(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-26
(45)【発行日】2025-04-03
(54)【発明の名称】複数のRANハードウェアプラットフォーム間での可搬性のある仮想RANをプロビジョニングするためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
H04L 41/0895 20220101AFI20250327BHJP
H04W 24/02 20090101ALI20250327BHJP
【FI】
H04L41/0895
H04W24/02
(21)【出願番号】P 2022541944
(86)(22)【出願日】2021-05-16
(86)【国際出願番号】 IN2021050469
(87)【国際公開番号】W WO2021234728
(87)【国際公開日】2021-11-25
【審査請求日】2023-08-28
(31)【優先権主張番号】202041020746
(32)【優先日】2020-05-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(73)【特許権者】
【識別番号】524430079
【氏名又は名称】テジャス ネットワークス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ナイク・パラグ
(72)【発明者】
【氏名】サハ・アニンディア
(72)【発明者】
【氏名】クルカーニ・マカランド
(72)【発明者】
【氏名】マラプール・ヘマント
(72)【発明者】
【氏名】ダッタ・サスミット・クマール
(72)【発明者】
【氏名】ペンダルカール・サンディープ
(72)【発明者】
【氏名】コラサー・ヴェヌウゴパル
(72)【発明者】
【氏名】ヴイ・スダルシャン
【審査官】吉田 歩
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/200570(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/199685(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 41/0895
H04W 24/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のRANハードウェアプラットフォーム間における可搬性のある仮想無線アクセスネットワーク(vRAN)をプロビジョニングするための仮想無線アクセスネットワーク(vRAN)システム(300)であって、
少なくとも一の可搬性のある無線アクセスネットワーク(RAN)アプリケーションを、RANハードウェア(326)上でインスタンス化される形態で定義する波形開発キット(302)と、
(i)スケジューリングが可能なリソースをリアルタイムで監視し、(ii)ネットワークの自動化のために複数の統計を収集し、前記複数の統計を監視する、波形実行環境(304)と、を備え、
前記波形実行環境(304)は、前記RANハードウェア(326)における少なくとも一のハードウェア計算リソースに関する記述に基づいて、前記RANハードウェア(326)における前記複数のRANハードウェアプラットフォームのうち、少なくとも一のハードウェアプラットフォーム上において可搬性のある仮想無線アクセスネットワーク(vRAN)をプロビジョニングするために必要なスペクトルリソースの、少なくとも一の属性を仮想化するRANハイパーバイザ(314)を有
し、
ハイパーオブザーバビリティを使用してRFおよび信号条件に基づいて、前記RANハードウェア(326)のダイナミックな再構成を可能とする、仮想無線アクセスネットワーク(vRAN)システム(300)。
【請求項2】
前記波形開発キット(302)は、
前記無線アクセスネットワーク(RAN)に関連する機能を記述するための、少なくとも一のドメイン固有パターンをキャプチャする、定義されたドメイン固有言語(DSL)と、
前記定義されたドメイン固有言語(DSL)で記述されたプラットフォーム独立(PI)信号処理アルゴリズムを、RAN対象ハードウェア上で実行するためのバイトコードまたは中間表現(IR)(310)に変換するコンパイラと、
を含む、請求項1に記載の仮想無線アクセスネットワーク(vRAN)システム(300)。
【請求項3】
定義されたドメイン固有言語(DSL)は、
(i)フレーム、パケット、シンボル、またはサンプル
の着信ストリームのうちの少なくとも一に対して動作するストリーム処理機能であって、(i)任意のストリーム型を取得し、前記ストリーム型を別のストリーム型に変換する、または(ii)任意のストリーム型の各要素に対して演算を行う、ストリーム処理機能と、
(ii)前記ストリーム型を処理する際の条件を示す信号を発する制御処理関数と、を含み、
前記信号は、(i)他の制御処理関数、または(ii)ストリーム処理関数、のうち少なくとも一により、別の動作の実行または実行経路の変更に使用される、請求項1に記載の仮想無線アクセスネットワーク(vRAN)システム(300)。
【請求項4】
前記RANハイパーバイザ(314)は、
RANモデムインスタンス(306)が実行される仮想マシン(VM)用のプラットフォームを提供するRAN計算ハイパーバイザ(316)と、
無線ユニット(106A~106B)と、RF属性データベース(336)に格納されるモデム非依存のRF属性と、の構築に使用されるRFハードウェア(334)を仮想化する、RANスペクトルハイパーバイザ(318)と、を含む、請求項1に記載の仮想無線アクセスネットワーク(vRAN)システム(300)。
【請求項5】
前記RANハイパーバイザ(314)は、無線アクセスネットワーク(RAN)の複数のRANモデムインスタンス、およびデジタル信号処理(DSP)フローグラフを、異種プロセッシングエレメント上でスケジューリングすることによって、前記仮想無線アクセスネットワーク(RAN)に関連付けられたダイナミックな負荷をプロセッシングエレメント(PE)に分散し管理する、請求項1に記載の仮想無線アクセスネットワーク(vRAN)システム(300)。
【請求項6】
前記仮想無線アクセスネットワーク(vRAN)システム(300)は、前記RANハイパーバイザ(314)上で実行されるRANコンテナ(332A~332N)用の複数の無線仮想マシン(322A~322N)
のRANモデムインスタンスを作成、削除、または変更するRANオーケストレータ(312)を含み、前記RANオーケストレータ(312)は、各RANモデムインスタンス(306)にバンドル化されたスケジューリング情報およびランタイム仕様(328A~328N)を
解釈することで、前記RANハイパーバイザ(314)上に作成された様々なモデムエンティティをインスタンス化および調整する、請求項1に記載の仮想無線アクセスネットワーク(vRAN)システム(300)。
【請求項7】
仮想無線アクセスネットワーク(vRAN)システム(300)は、前記波形開発キット(302)によって生成された異なる波形の中間表現のキャッシュ、また
はRANモデムインスタンス(306)であるモデムストア(308)を備え、中間表現は、対象のハードウェア上で実行するために、定義されたドメイン固有言語(DSL)モデルで指定した少なくとも一のドメイン固有パターンにおける制約から導き出される、スケジューリング情報およびランタイム仕様(328A~328N)と組み合わされ、中間表現は、スケジューリング情報およびランタイム仕様(328A~328N)と共にモデムストア(308)上にホスティングされる、請求項1に記載の仮想無線アクセスネットワーク(vRAN)システム(300)。
【請求項8】
モデムストア(308)
はRANオーケストレータ(312)と接続し、前記仮想無線アクセスネットワーク(RAN)の実行に必要なモデムおよびリソースのプロビジョンを可能にする、請求項1に記載の仮想無線アクセスネットワーク(vRAN)システム(300)。
【請求項9】
それぞれのランタイム仕様(328A~328N)は様々なランタイムおよびコード生成に固有の側面を記述するコンフィグレーションデータベースであって、前記記述によってRANハイパーバイザ(314)
はRANモデムインスタンス(306)の中間表現(IR)を前記RANハードウェア(326)に適切にマッピングすることが可能となる、請求項6に記載の仮想無線アクセスネットワーク(vRAN)システム(300)。
【請求項10】
前記RANハイパーバイザ(314)は、前記RANハードウェア(326)上のコンピューティングエレメントの使用を管理し、前記RANハードウェア(326)が提供するセキュリティ機能と
、RANオーケストレータ(312)において提供されるポリシーは、前記RANハイパーバイザ(314)が、前記コンピューティングエレメントに関連する前記少なくとも一つの属性を管理するために使用される、請求項1に記載の仮想無線アクセスネットワーク(vRAN)システム(300)。
【請求項11】
マッパ(344)は、(i)各RANハードウェア(326)内のコンピューティングエレメント、ストレージエレメント、および相互接続リソースエレメントについての詳細な記述を分析すること、(ii)前記詳細な記述と、各モデムインスタンス(306)のランタイム仕様により提供される多数の制約とを相関付けること、(iii)前記RANハードウェア(326)の基礎にあ
るプロセッシングエレメントにおける前記RANモデムインスタンス(306)のマッピングを作成することにより、各RANモデムインスタンス(306)を、前記RANハードウェア(326)における実際の物理プロセッシングエレメントにマッピングし、前記詳細な記述はハードウェアリソース記述(HRD)(324)により提供される、請求項4に記載の仮想無線アクセスネットワーク(vRAN)システム(300)。
【請求項12】
ハイパーモニタ機能の複数の階層は、
選択可能なハードウェア信号を監視し、データを、格納するためにワイヤスピードで前記ハイパーモニタ機能に移動させるインターフェース機能を提供するハードウェア機能ブロックと、
前記RANハードウェア(326)とインタラクションし、機能群監視のための制御信号を設定する下位レベルソフトウェア機能ブロックであって、小型の推論エンジン内で動作して前記制御信号を決定し、フィルタ信号を提供して不要なデータ転送を低減する下位レベルソフトウェア機能ブロックと、
前記ハイパーモニタ機能が作成したデータベースにおける格納およびクエリを実行するために前記RANハイパーバイザ(314)内に配置されるソフトウェア機能であって、自動化およ
び無線インターフェースコントローラ(RIC)で使用する目的で、格納データに対して推論を実行するソフトウェアブロックと、のうち少なくとも一を含む、請求項1に記載の仮想無線アクセスネットワーク(vRAN)システム(300)。
【請求項13】
前記仮想無線アクセスネットワーク(vRAN)システム(300)は、無線周波数チャネルのスライシングを行い、時間領域、周波数領域、または空間領域のうちの少なくとも一において仮想化を行うことで、5Gおよび他の通信モデムにおけるスライシングの概念の実装を可能にする、請求項1に記載の仮想無線アクセスネットワーク(vRAN)システム(300)。
【請求項14】
前記RANスペクトルハイパーバイザ(318)は、前記RF属性データベース(336)に対して人工知能(AI)予測エンジンを使用し、スペクトルリソース(338)を活用するためにRF属性を
識別した(RF attribute aware)波形を設計する、請求項4に記載の仮想無線アクセスネットワーク(vRAN)システム(300)。
【請求項15】
複数のRANハードウェアプラットフォーム間における可搬性のある仮想無線アクセスネットワーク(vRAN)をプロビジョニング方法であって、
波形開発キット(302)により、少なくとも一の可搬性のある無線アクセスネットワーク(RAN)アプリケーションを、RANハードウェア(326)上でインスタンス化される形態で定義することと、
波形実行環境(304)によりスケジューリングが可能なリソースをリアルタイムで監視することと、
前記波形実行環境(304)により、ネットワークの自動化のために複数の統計を収集し、前記複数の統計を監視することと、
RANハイパーバイザ(314)により、前記RANハードウェア(326)における前記複数のRANハードウェアプラットフォームのうち、少なくとも一のハードウェアプラットフォーム上において可搬性のある仮想無線アクセスネットワーク(vRAN)をプロビジョニングするために必要なスペクトルリソースの少なくとも一の属性を、前記RANハードウェア(326)における少なくとも一のハードウェア計算リソースに関する記述に基づいて仮想化すること
と、
ハイパーオブザーバビリティを使用してRFおよび信号条件に基づいて、前記RANハードウェア(326)のダイナミックな再構成を可能とすること、を含む、方法。
【請求項16】
RANワークロードが複数のプロセッシングエレメント(PE)間でダイナミックに共有されるよう、前記RANハイパーバイザ(314)を使用して、RANフローグラフにおける複数のRANモデムインスタンス(306)をスケジューリングすること、を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
スペクトルリソース(338)の活用のために、ハイパーモニタからの過去に行った決定と入力に基づいて自動学習をすること、を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
(i)各RANハードウェア(326)内のコンピューティングエレメント、ストレージエレメント、および相互接続リソースエレメントについての詳細な記述を分析すること、
(ii)前記詳細な記述と、各モデムインスタンス(306)のランタイム仕様に提供されている多数の制約とを相関付けること、
(iii)前記RANハードウェア(326)の基礎にあ
るプロセッシングエレメントにおけ
るRANモデムインスタンス(306)のマッピングを作成することにより、各RANモデムインスタンス(306)を、前記RANハードウェア(326)における実際の物理プロセッシングエレメントにマッピングすることを含む、
請求項15に記載の方法。
【請求項19】
選択可能なハードウェア信号を監視し、データを、格納するためにワイヤスピード
でハイパーモニタ機能に移動させるインターフェース機能を提供することと、
前記RANハードウェア(326)とインタラクションし、機能群監視のための制御信号を設定することとを含み、前記制御信号を決定するために動作する小型の推論エンジンであって、不要なデータ転送を低減するためにフィルタ信号が提供され、
前記ハイパーモニタ機能が作成したデータベースにおける格納とクエリを実行することと、を含み、自動化および無線インターフェースコントローラ(RIC)で使用する目的で、格納データに対して推論が行われる、
請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2020年5月16日に出願されたインド非仮特許出願第202041020746号に対する優先権を主張し、その完全な開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本明細書の実施形態は、一般に、可搬性のある無線アクセスネットワーク(RAN)モデムおよびデジタル信号処理(DSP)アプリケーションに関し、より詳細には、複数のRANハードウェアプラットフォーム間での可搬性がある仮想無線アクセスネットワーク(RAN)をプロビジョニングするためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
デジタル信号処理、またはデジタル計算の信号処理への応用は、無線通信の根幹を成している。デジタル信号プロセッサとは、そのアーキテクチャがデジタル信号処理演算の実行に最適化された、専用のマイクロプロセッサチップである。このような専用ハードウェアには、信号処理アプリケーションの大幅な高速化が可能な特別なCPUアーキテクチャやハードウェアアクセラレータが利用されているが、従来、DSPソフトウェアは、このような専用ハードウェア上での実行を前提として設計や開発がなされてきた。
【0004】
無線アクセスネットワーク(RAN)は、無線接続するデバイスをコアネットワークに繋ぐ、モバイル通信システムの一部である。従来のモバイルネットワークインフラストラクチャには、ベンダ独自の技術や、個々の構成に特化したネットワーク技術をバンドル化したものが使用されているため、特定のベンダに縛られることとなり、その結果、同一ネットワーク内に存在する様々なデバイスを管理するにあたって問題が生じる。無線アクセスネットワーク(RAN)は、無線媒体を介してコアネットワークサービスへのアクセスを提供する。そして、このようなサービスは一または複数種類のコアエレメントにより実装される。事業者は、無線アクセスネットワーク(RAN)を仮想化し、仮想無線アクセスネットワーク(vRAN)とすることで、ネットワークの合理化を図ろうと尽力している。仮想化RANまたはクラウドRANは、通信データセンタまたはパブリックデータセンタでVNF(仮想ネットワーク機能)としてベースバンド機能を実行する。vRANは、ベンダ独自のアプライアンス型基地局として実行することも可能であり、もしくはデータセンタにおいて標準的なサーバ上に複数の仮想マシンをホスティングし、それをプールして仮想ネットワーク機能ソフトウェアとして実行することができる。vRANでは、ベースバンド機能は仮想マシンとして動作する。
【0005】
図1は、先行技術による従来の無線アクセスネットワーク(RAN)アーキテクチャのブロック図である。従来のRANは、一または複数の鉄塔102A~102N、一または複数のセル拠点キャビネット104A~104N、バックホール110、およびコアネットワーク112を含む。各セル拠点キャビネット104Aは、無線ユニット(RU)群106A~106Bと、ベースバンドユニット(BBU)108Aと、を含む。いくつかの実施形態では、RU106Nを鉄塔102Nに接続し、共通公衆無線インターフェース(CPRI)ファイバ経由でベースバンドユニット(BBU)108Nと通信させることができる。
【0006】
図2は、先行技術による、従来の仮想無線アクセスネットワーク(vRAN)アーキテクチャの例示的なシステム図である。vRANは、一または複数の鉄塔102A~102Nと、フロントホール202Aと、バックホール202Bと、一または複数の仮想基地局206A~206Nを含む仮想サーバ205と、コアネットワーク112と、を含む。
図1および
図2を参照すると、vRANにおいては、基地局ソフトウェアが仮想サーバ上で仮想マシンとして動作する。しかしながら、
図1および
図2に示すような従来の仮想無線アクセスネットワーク(vRAN)にはいくつか制約がある。
【0007】
従来のRANにおいては、ベースバンドユニット(BBU)108Aは、カスタムのASICやFPGAをベースにして実装される。他方、vRANでは、ベースバンドユニット(BBU)108Aは、標準的なサーバ、例えば仮想サーバ205上で実行されるソフトウェアコンポーネントとして実装される。vRANでは、ベースバンドユニットは、フロントホール202Aを介して1つ以上の鉄塔102A~102Nに搭載された無線ユニット(RU)群106A~106Bと、そしてバックホール202Bを介してコアネットワーク112と、通信可能に接続される。
【0008】
従来の仮想無線アクセスネットワーク(vRAN)の実装に用いられるサーバは、企業の様々なIT業務用に構築され最適化されたCPUアーキテクチャを使用して実装されている。このようなサーバをvRANの実装に用いると、vRANの信号処理指向のワークロードを実行するためのリソースに余計な予算を割くこととなり、結果として必要コストや電力が増大する。従来の仮想無線アクセスネットワーク(vRAN)は、時にフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)アクセラレーションに依存することもあり、その結果、電力消費もまた増大する。そのような目的に特化されているvRANソフトウェアは、通常、様々なハードウェアスキュー間における可搬性に欠ける。時にvRANソフトウェアは、ベンダ固有の制約条件により、準同型命令セットアーキテクチャの実装間における可搬性すら有していない。さらに、一旦インスタンス化されると、プロセッシングエレメント(PE)間におけるRANワークロードのダイナミックな共有がなされない。
【0009】
従来の仮想無線アクセスネットワーク(vRAN)は、ソフトウェアベースの仮想表現を作成したり、プロセッシングエレメントの最適な仮想化を行ったりすることができない上、RANの計算リソースは非常にハードウェアに対する依存度が高くなる傾向がある。さらに、プロセッシングエレメント自体は信号を識別することができない(not ''Signal aware'')。つまり、プロセッシングエレメントは信号の状態に基づいてダイナミックな再構成を行うことができないことになり、したがってパフォーマンスを犠牲にすることなく消費電力の実質的節約を図ることができない。ネットワークスライスの実装および管理は、5G RAN開発の中核に位置する。スライシングの効果的な実装のためには、スペクトル、スペクトルにおける干渉、およびスペクトルのその他属性などといった無線リソースを、RANの実装に必要な計算リソースと併せて仮想化する必要がある。現在、RANのコンテナ化は、VNF(仮想ネットワーク機能)として完全に指定できる機能に限定されてしまっている。RANの実装の場合においては、カスタムのハードウェアソリューションはコンテナ化が不可能であるか、もしくはそうでなくても非常に困難である。また、RANのオーケストレーションは存在しない、もしくは機能的に制限されている。
【0010】
既存の通信システムに配備されている、vRANやRANで使用される既存のRANハードウェアプラットフォームには、Intel(登録商標)製のFlexRAN(登録商標)、Marvell(登録商標)、NXP(登録商標)、およびTI(登録商標)製のSoCASIC(登録商標)ベースのソリューション、ならびにXilinx(登録商標)およびAltera(登録商標)製のFPGAベースのソリューションなどがある。このようなソリューションには、それぞれ欠点がある。例えば、オープン性に欠ける、スケーラビリティに限界がある、電力消費が過大である、ソフトウェア開発が煩雑である、運用費用が高い、RAN AIアクセラレーションがない、等である。前述のソリューションはいずれも、独立ハードウェアベンダに対する柔軟性が欠けている。FlexRAN(登録商標)の場合、ISAはオープンであるが、SoCASIC(登録商標)ソリューションがクローズドであるために、そのマイクロアーキテクチャも同様にクローズドである。スケーラビリティに関しては、FlexRAN(登録商標)ソリューションは、データセンタタイプの配備にしか適していない。SoCASIC(登録商標)ベースのソリューションは、典型的に、スモールセルまたはマクロセル用にサイジングされており、スケールアップ時またはスケールダウン時の集約が容易ではない。FPGAソリューションは、集約するデバイス数を増やすことでスケールアップが可能であるが、リサイジングや、例えばスモールセルまたはマクロセル等といった配備の特性に基づいてFPGAビットファイル/ネットリストの互換性を再生成する必要がある。
【0011】
消費電力については、(i)FlexRAN(登録商標)ソリューションは膨大な電力を消費する。SoCASIC(登録商標)ソリューションは、FlexRANおよびFPGAベースのソリューションと比較して低消費電力ではあるが、RANワークロードに基づいてダイナミックに消費電力をスケーリングすることができない。ソフトウェア開発の容易さについては、(i)FlexRAN(登録商標)のソフトウェア開発は煩雑である、プラットフォーム依存であり、Cとアセンブリの組み合わせを使用して記述され、さらに特定のプロセッサファミリに最適化されている等の理由から、プラットフォーム間での実装に可搬性を持たせることは困難である。SoCASIC(登録商標)の場合、ソフトウェア開発は煩雑であり、SoCアーキテクチャに基づいた非常に特殊なプリミティブによりほとんどがクローズドとなっている。一般的なユーザによる記述も容易ではなく、また可搬性もない。FPGAベースのソリューションの場合、ソフトウェア開発は煩雑であり、ほとんどが選択されたFPGAプラットフォームに基づく非常に特殊なプリミティブによりクローズドとなっており、一般的なユーザにとって書くのは容易ではなく、レジスタ転送レベルでの可搬性しかない。さらに、FlexRAN(登録商標)のようなプラットフォームは、運用コストが非常に高くなる。
【0012】
したがって、DSPソフトウェア、特に通信事業者が配備するvRANアーキテクチャの設計および開発用の現在のシステムおよび方法に関連した欠点を軽減および/または克服する必要がある。
【発明の概要】
【0013】
本明細書の実施形態は、一または複数のRANハードウェアプラットフォームにおいて可搬性のある仮想無線アクセスネットワーク(vRAN)をプロビジョニングするための仮想無線アクセスネットワーク(vRAN)システムを提供する。仮想無線アクセスネットワーク(vRAN)システムは、波形開発キットと、波形実行環境とを含む。波形実行環境は、RANハイパーバイザを含む。波形開発キットは、少なくとも1つの可搬性のある無線アクセスネットワーク(RAN)アプリケーションを、RANハードウェア上でインスタンス化される形態で定義する。波形実行環境は、(i)スケジューリングが可能なリソースをリアルタイムで監視し、(ii)ネットワークの自動化のために、一または複数の統計を収集し、前記一または複数の統計を監視する。RANハイパーバイザは、RANハードウェアにおける少なくとも一のハードウェア計算リソースに関する記述に基づいて、RANハードウェアにおける一または複数のRANハードウェアプラットフォームのうち、少なくとも一のハードウェアプラットフォームにおいて、可搬性のある仮想無線アクセスネットワーク(vRAN)をプロビジョニングするために必要なスペクトルリソースの属性を、少なくとも1つ仮想化する。
【0014】
いくつかの実施形態では、波形開発キットは、(i)前記無線アクセスネットワーク(RAN)に関連する機能を記述するための、少なくとも一のドメイン固有パターンをキャプチャする、定義されたドメイン固有言語(DSL)と、(ii)定義されたドメイン固有言語(DSL)で記述された、プラットフォーム独立(PI)信号処理アルゴリズムを、RAN対象ハードウェア上で実行するためのバイトコードまたは中間表現(IR)に変換するコンパイラと、を含む。
【0015】
いくつかの実施形態では、定義されたドメイン固有言語(DSL)は、(i)フレーム、パケット、シンボル、またはサンプルから構成される複数の着信ストリームのうち少なくとも1つに対して演算を行うストリーム処理関数と、(ii)当該種類のストリームを処理する際の条件を示す信号を発する制御処理関数と、を含む。ストリーム処理関数は、(i)ストリーム型を取得し、ストリーム型を他のストリーム型に変換する、または(ii)あるストリーム型の各要素に対して演算を行う。このような信号は、別の動作を実行したり、または実行パスを変更するのに、(i)他の制御処理関数、または(ii)ストリーム処理関数のうち、少なくとも1つにより使用される。
【0016】
いくつかの実施形態では、RANハイパーバイザは、(i)RANモデムインスタンスが実行される仮想マシン(VM)用のプラットフォームを提供するRAN計算ハイパーバイザと、(ii)無線ユニットと、RF属性データベースに格納されるモデム非依存のRF属性と、を構築するのに使用される、RFハードウェアを仮想化するRANスペクトルハイパーバイザと、を含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、RANハイパーバイザは、異種プロセッシングエレメント上で、無線アクセスネットワーク(RAN)およびデジタル信号処理(DSP)フローグラフにおける複数のRANモデムインスタンスをスケジューリングすることにより、仮想無線アクセスネットワーク(RAN)に関連したダイナミックな負荷をプロセッシングエレメント(PE)に分散および管理する。
【0018】
いくつかの実施形態では、仮想無線アクセスネットワーク(vRAN)システムはRANオーケストレータを含み、RANオーケストレータは、RANハイパーバイザ上で実行されるRANコンテナ用に、一または複数の無線仮想マシン(RVM)のRANモデムインスタンスを作成、削除、または変更する。RANオーケストレータは、RANモデムインスタンスにバンドル化されたスケジューリング情報およびランタイム仕様を理解することで、RANハイパーバイザ上に作成された様々なモデムエンティティをインスタンス化および調整する。
【0019】
いくつかの実施形態では、仮想無線アクセスネットワーク(vRAN)システムは、波形開発キットにより生成された異なる波形の中間表現のキャッシュ、またはRANモデムインスタンスであるモデムストアを含む。中間表現は、対象のハードウェア上で実行するために、定義されたドメイン固有言語(DSL)モデルで指定した少なくとも一のドメイン固有パターンにおける制約から導き出される、スケジューリング情報およびランタイム仕様とセットにされる。中間表現は、スケジューリング情報およびランタイム仕様と共にモデムストア上にホスティングされる。
【0020】
いくつかの実施形態では、モデムストアはRANオーケストレータと接続され、仮想無線アクセスネットワーク(RAN)の実行に必要なモデムやリソースのプロビジョンを可能にする。
【0021】
いくつかの実施形態では、それぞれのランタイム仕様は、様々なランタイムおよびコード生成に固有の側面を記述する、コンフィグレーションデータベースである。この記述により、RANハイパーバイザはRANモデムインスタンスの中間表現(IR)をRANハードウェアに適切にマッピングすることが可能になる。
【0022】
いくつかの実施形態では、RANハイパーバイザは、RANハードウェア上のコンピューティングエレメントの使用を管理する。RANハードウェアが提供するセキュリティ機能と、RANオーケストレータにおいて提供されるポリシーは、コンピューティングエレメントに関連する少なくとも一の属性を管理するためにRANハイパーバイザによって用いられる。
【0023】
いくつかの実施形態では、マッパは、(i)各RANハードウェア内のコンピューティングエレメント、ストレージエレメント、および相互接続リソースエレメントについての詳細な記述を分析し、(ii)その詳細な記述と、各モデムインスタンスのランタイム仕様に提供されている多数の制約とを相関付け、(iii)基礎にあるRANハードウェアのプロセッシングエレメントにわたって、RANモデムインスタンスのマッピングを作成することにより、各RANモデムインスタンスを、RANハードウェアにおける実際の物理プロセッシングエレメントにマッピングする。詳細な記述は、ハードウェアリソース記述(Hardware Resource Description:HRD)に記載される。
【0024】
いくつかの実施形態では、ハイパーモニタ機能の複数の階層は、(a)選択可能なハードウェア信号を監視し、データを、格納するためにワイヤスピードでハイパーモニタ機能に移動させるインターフェース機能を提供するハードウェア機能ブロックと、(b)RANハードウェアとインタラクションし、機能群監視のための制御信号を設定する、下位レベルソフトウェア機能ブロックと、(c)ハイパーモニタ機能が作成したデータベースにおける格納とクエリを実行するために、RANハイパーバイザ内に配置されるソフトウェア機能と、の少なくとも1つを含む。下位レベルソフトウェア機能ブロックは小型の推論エンジン内で動作して制御信号を決定する。下位レベルソフトウェア機能ブロックは、不要なデータ転送を低減するためのフィルタ信号を提供する。ソフトウェアブロックは、自動化および無線インターフェースコントローラ(RIC)で使用する目的で、格納データに対して推論を行う。
【0025】
いくつかの実施形態では、仮想無線アクセスネットワーク(vRAN)システムは、無線周波数チャネルのスライシングを行い、時間領域、周波数領域、または空間領域のうちの少なくとも1つにおいてチャネルを仮想化することで、5Gおよび他の通信モデムにおけるスライシングの概念の実装を可能にする。
【0026】
いくつかの実施形態では、RANスペクトルハイパーバイザは、RF属性データベースに対して人工知能(AI)予測エンジンを使用し、スペクトルリソースを活用するためにRF属性を意識した(RF attribute aware)波形を設計する。
【0027】
別の態様では、一または複数のRANハードウェアプラットフォームにおいて可搬性のある仮想無線アクセスネットワーク(RAN)をプロビジョニングする方法が提供される。方法は、(i)波形開発キットにより、少なくとも一の可搬性のある無線アクセスネットワーク(RAN)アプリケーションを、RANハードウェア上でインスタンス化される形態で定義することと、(ii)波形実行環境により、スケジューリングが可能なリソースをリアルタイムで監視することと、(iii)波形実行環境により、一または複数の統計を収集し、ネットワーク自動化のために当該一または複数の統計を監視することと、(iv)RANハイパーバイザにより、RANハードウェアにおける少なくとも一のハードウェア計算リソースの記述に基づいて、RANハードウェアにおける一または複数のRANハードウェアプラットフォームのうち、少なくとも一のハードウェアプラットフォームにおいて可搬性のある無線アクセスネットワーク(RAN)をプロビジョニングするために必要な、スペクトルリソースの少なくとも一の属性を仮想化すること、を含む。
【0028】
いくつかの実施形態では、本方法は、RANハイパーバイザを使用してRANワークロードが複数のプロセッシングエレメント(PE)間でダイナミックに共有されるよう、RANフローグラフにおける複数のRANモデムインスタンスをスケジューリングすること、を含む。
【0029】
いくつかの実施形態では、本方法は、ハイパーオブザーバビリティを使用してRFおよび信号条件に基づいてRANハードウェアのダイナミックな再構成を可能とすること、を含む。
【0030】
いくつかの実施形態では、本方法は、スペクトルリソースの活用のために、ハイパーモニタからの過去に行った決定と入力に基づいて自動学習をすること、を含む。
【0031】
いくつかの実施形態では、方法は、(i)各RANハードウェア内のコンピューティングエレメント、ストレージエレメント、および相互接続リソースエレメントについての詳細な記述を分析すること、(ii)その詳細な記述と、各モデムインスタンスのランタイム仕様に提供されている多数の制約とを相関付けること、(iii)基礎にあるRANハードウェアのプロセッシングエレメントにわたって、RANモデムインスタンスのマッピングを作成すること、とにより、各RANモデムインスタンスを、RANハードウェア全体の、実際の物理プロセッシングエレメントにマッピングすること、を含む。
【0032】
いくつかの実施形態では、方法は、(a)選択可能なハードウェア信号を監視し、データを、格納するためにワイヤスピードでハイパーモニタ機能に移動させるインターフェース機能を提供することと、(b)RANハードウェアとインタラクションし、機能群監視のための制御信号を設定することと、(c)ハイパーモニタ機能が作成したデータベースにおける格納とクエリを実行すること、を含む。不要なデータ転送を低減するために、フィルタ信号が提供される。自動化および無線インターフェースコントローラ(RIC)で使用する目的で、格納データに対して推論が行われる。小型の推論エンジンが動作して制御信号を決定する。
【0033】
ランタイムシステムと組み合わせた仮想無線アクセスネットワーク(vRAN)システムのドメイン固有言語(DSL)モデルは、ハードウェアに依存せず、ハードウェアへの静的なマッピングに依存しない。DSLモデルでは、(i)キャリア数、パイロットモード、および新しいパイロットモードの定義など、様々なRANに関連した構成、(ii)ノイズ指数、タイミング制約条件などのRAN固有の不変条件、(iii)RANに関連づけられたフィードバックループの定義、(iv)RAN環境における高速経路および低速経路の定義、の記述を行う。いくつかの実施形態では、RANの経路はブロードキャスト経路を含む。DSLモデルにより、ユーザはストリームプロセッサを定義することができる。波形開発キットは、DSLモデルをバイトコードに変換する。このバイトコードは、RANハイパーバイザによってその基礎にあるハードウェア上にマッピングされる。RANハイパーバイザは、コンピューティングリソースとRFリソースとを併せて仮想化する。RANハイパーバイザは、干渉、フェージングなどのスペクトルリソースの属性を仮想化する。RANハイパーバイザにより、仮想RANモデムの負荷分散を容易に行うことができる。
【0034】
ハードウェア内のダイナミックデータパスからRANハイパーバイザ、そしてRANモデム自体にまで広がるAlファーストアーキテクチャ。一例として、負荷分散と、RANハイパーバイザによる最適化や負荷分散のための重要な統計のレポート機能を支援する、Alドリブンの監視経路。仮想無線アクセスネットワーク(vRAN)システムは、新しいRANハードウェアに対しクリーンな抽象化を可能にし、波形実行環境を変更する必要のない可搬性を実現する。仮想無線アクセスネットワーク(vRAN)システムは、vRANアーキテクチャを効率的に実装する。仮想無線アクセスネットワーク(vRAN)システムは、新しいコンポーネントの信号処理パイプラインへのオンザフライによる追加、そしてダイナミックモニタの追加を可能にすることで、RAN向けのマイクロサービスを導入する能力を含む。仮想無線アクセスネットワーク(vRAN)システムは、無線および計算リソースの両方を仮想化して、ネットワークスライスの最適な実装および無線リソースの最適な使用を可能にする。仮想無線アクセスネットワーク(vRAN)システムは、リアルタイムデータを収集し、無線インターフェースコントローラ(RIC)向けに推論を実行し、問題の切り分けなど、良好な設計プラクティスを実施するためのアーキテクチャ構成を提供する。vRANシステムは、vRAN展開時のデバッグや、プロビジョニング時間を短縮する。仮想無線アクセスネットワーク(vRAN)システムは、RANモデムおよびDSPアプリケーションを効率的に実行するための非常にスケーラブルなハードウェアアーキテクチャを含んでいる。
【0035】
本明細書の実施形態のこれらおよび他の態様は、以下の説明および添付の図面と併せて考慮すると、よりよく理解されるであろう。以下の説明は、好ましい実施形態、そして実施形態に関する多くの具体的な詳細を示しているが、これらは限定的なのもではなく、例として示されていることを理解されたい。本明細書の実施形態については、その趣旨から逸脱することなく、本明細書の実施形態の範囲内で多くの変更および修正を行うことができ、本明細書の実施形態はすべてのそのような修正を含むものとする。
【図面の簡単な説明】
【0036】
本明細書の実施の形態は、次の図面を参照する以下の詳細な説明からより良く理解されるであろう。
【0037】
【
図1】先行技術による従来の無線アクセスネットワーク(RAN)アーキテクチャのブロック図である。
【0038】
【
図2】先行技術による、従来の仮想無線アクセスネットワーク(vRAN)アーキテクチャの例示的なシステム図である。
【0039】
【
図3A】本明細書のいくつかの実施形態による、一または複数のRANハードウェアプラットフォームにわたる可搬性のある仮想無線アクセスネットワーク(vRAN)をプロビジョニングするための仮想無線アクセスネットワーク(vRAN)システム300を示すブロック図である。
【0040】
【
図3B】本明細書のいくつかの実施形態による、
図3Aの仮想無線アクセスネットワーク(vRAN)システムの分解図である。
【0041】
【
図3C】本明細書のいくつかの実施形態による、
図3BのRANハイパーバイザの分解図である。
【0042】
【
図4】本明細書のいくつかの実施形態による、直交周波数分割多重(OFDM)信号と直交周波数分割多重(OFDM)サブキャリア間の関係を示すグラフ図である。
【0043】
【
図5】本明細書のいくつかの実施形態による、
図3Bの(i)RANオーケストレータまたは(ii)RANハイパーバイザのうちの少なくとも一方に対する入力を記録および最適化するためのハイパーモニタ機能504の例示的なブロック図が示されている。
【0044】
【
図6A】本明細書のいくつかの実施形態による、Intel Xeon、デジタル信号プロセッサ(例えばTI社製)またはフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)環境のような典型的なCOTSプロセッサのプロセッシングエレメント(PE)を含むRANハードウェア326への信号チェーンのマッピングを示す例示的な図である。
【0045】
【
図7】本明細書のいくつかの実施形態による、一または複数のRANハードウェアプラットフォームにわたって可搬性のある仮想無線アクセスネットワーク(vRAN)をプロビジョニングする方法を示すフローチャートである。
【0046】
【
図8】本明細書の実施形態によるコンピュータアーキテクチャの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下の詳細な説明は、本開示の実施形態およびその実施が可能な方法を示す。本開示を実施するいくつかの態様が開示されているが、当業者であれば、本開示を実施または実施するための他の実施形態も可能であることを認識するであろう。
【0048】
定義:
【0049】
ハイパーバイザ:ハイパーバイザとは、仮想マシンの作成および管理を目的として、コンピューティングデバイス上で実行され、基礎にあるリソースを仮想化するモジュールである。いくつかの実施形態では、ハイパーバイザとは、RANハードウェアリソースの統一ビューを仮想マシンに提示するモジュールをいう。仮想マシンとは、ハイパーバイザ内またはハイパーバイザ上のモジュールとして実行され、RANハードウェアリソースを使用するモデムである。RANハードウェアリソースは、DSPもしくはFPGAのクラスタ、または他の任のコンピューティングエレメントの少なくとも1つである。いくつかの実施形態では、RAN仮想マシンはRANのOSと見なされる。仮想マシンにおけるRANのOSは、モデムのインスタンスを一または複数実行することができる。いくつかの実施形態では、ハイパーバイザは、ゲストRANのOSがプロセッサコア上で動作するためのタイムスライスを提供するために、スケジューリングを行う。
【0050】
コンテナ:コンテナは、アプリケーションのいくつかのインスタンスを同一のオペレーティングシステム上で実行することを可能にする。いくつかの実施形態では、仮想マシンがハードウェアを仮想化するにあたって、コンテナによりオペレーティングシステムを仮想化する。
【0051】
VNF(仮想ネットワーク機能):VNF(仮想ネットワーク機能)は、ソフトウェアコンポーネントとして実装され、仮想マシンまたはコンテナ上で実行されるネットワークエレメントである。いくつかの実施形態では、VNFに対するリソースの割り当ては、オーケストレータにより行われる。
【0052】
フローグラフ:フローグラフとは、一方向モデム機能を実行する、相互に接続された一連の処理ノードである。RANモデムの実装においては、少なくとも各方向(ダウンリンクおよびアップリンク)それぞれに対応する、2つのフローグラフが必要となる。RANフローグラフは、RAN機能を実装するフローグラフである。
【0053】
ハイパーモニタ:ハイパーモニタとは、システム全体の効率の最適化を目的として、リソースの利用およびワークロードに関する統計を、オーケストレータに供給する目的で、基礎にあるプロセッシングエレメントから収集するエンティティである。いくつかの実施形態では、ハイパーモニタは、ハイパーバイザに直接入力を提供することができる。いくつかの実施形態では、(i)RANハードウェアを含むプロセッシングエレメントの、リソースの使用状況、割り当て、および他の属性に関する統計と、(ii)ノイズ指数、CQI、および他の属性など、モデムのベースバンドおよびRF機能に関する統計と、の2種類の統計がある。いくつかの実施形態では、これら2種類の統計により、RANハードウェア上でソフトウェアとして実行される、ハイパーモニタのダイナミックコンポーネントをインスタンス化することが可能となる。
【0054】
いくつかの実施形態では、無線仮想マシン(RVM)またはモデムは、その機能に固有のハイパーモニタコンポーネントをインスタンス化し、最適なリソースの割り当て、または電力および/またはパフォーマンス等の他のコスト関数のために、ハイパーバイザに対するインターフェースおよび入力を提供することができる。
【0055】
RAN機能は、可搬性があるRANハードウェアプラットフォームとは独立の仮想化方式で実装する必要がある。本システムは、RANコンテナ化による可搬性のあるRANソリューションの設計および展開を可能にする。本システムは、a)ベースバンドユニットおよび無線ユニットの物理層の、ソフトウェアによる実装、ならびにb)当該ソフトウェアが実行されるサーバの設計に関する。可搬性のあるRANは、(i)プラットフォーム非依存なやり方でRANソフトウェアを記述し、設計するためのドメイン固有言語(DSL)の概念の上に構築し、またそのような概念を組み合わせることと、(ii)無線周波数(RF)およびRAN計算リソースを仮想化するハイパーバイザを使用して仮想化を行うことと、および(iii)RAN機能のマッピングが可能なRANハードウェア(例えば、デジタル信号処理(DSP)機能を実装することができるプラットフォーム)を利用することと、によって設計および実装される。
【0056】
本vRANシステムでは、任意のハードウェア実装にわたるRANソフトウェアの可搬性は、(i)ドメイン固有言語(DSL)を使用してプラットフォームに依存しない方法で、(RANおよび他のアプリケーション用に、)DSP機能を記述する方法、および(ii)記載された機能のタイミング期限、レイテンシ、データの一貫性、および処理要件を満たしながら、所与のハードウェア上で一または複数のRAN機能を実行する方法によって達成される。
【0057】
本vRANシステムでは、プロセッシングエレメント(PE)間でのRANワークロードのダイナミックな共有は、RANハイパーバイザの使用により、異種プロセッシングエレメント(例えば、これに限定されないが、CPU、アクセラレーションユニット、またはFPGA)、データ保持メモリ、データ転送エンジン、および通信バスにおいて、RANフローグラフの複数のインスタンスをスケジューリングする方法を使用することで行われる。
【0058】
本vRANシステムは、RANおよび他のアプリケーション用のDSP機能の効率的実行のために、非常にスケーラブルなハードウェアアーキテクチャに依存するものである。本vRANシステムでは、DSP処理をスケーリングすることにより、vRANで記述されるプーリングゲインが最大化される。本vRANシステムは、本方法は、RFおよび信号条件に基づき、ハードウェアのダイナミックな再構成を可能とする、ハイパーオブザーバビリティを含む。本vRANシステムは、さらに、プロセッシングエレメントを形成するハードウェアデータ経路からデジタル信号プロセッサまたはFPGA等の他のプロセッシングエレメント、ハイパーバイザソフトウェアおよび仮想マシンソフトウェアまでにわたる計算階層の各レベルにおいて、RAN AI加速エンジンを含む。
【0059】
vRANシステムは、RAN機能の高速化と改善を可能にし、PEなどのリソースをより良好に仮想化するハイパーバイザ能力を改善する、ハイパーモニタなどといったハードウェアおよびソフトウェア機能を含む。ハイパーバイザの別の側面として、ハイパーモニタからの過去に行った決定と入力に基づいて自動学習する能力がある。リソースがどのように分割され、分散されるかに関するすべての決定は、ハイパーモニタデータベースに格納される。推論エンジンは、定義された様々なコスト関数を最適使用するために、部分的にハイパーバイザ上で動作し、また部分的にRANハードウェア上で動作する。ハイパーモニタは、プロセッシングエレメント(PE)に設定された特定のトリガに従って、ワークロード条件を推論するためのデータを収集し、PEを動的に再構成する。収集されたパラメータは、様々なコスト関数(例えば、これに限定されないが、消費電力、ダイサイズなど)に関するパフォーマンスの最適化に用いられる。
【0060】
本vRANシステムでは、信号処理アルゴリズムの定義および設計と、プラットフォーム上における実際の実行とが、切り分けられている。これにより、RANおよび他のモデム/通信受信機用に設計された信号処理関数は、(i)プラットフォーム非依存な(PI)部分と、(ii)プラットフォーム依存(PD)の機能と、の2つの主要なコンポーネントに抽象化される。
【0061】
プラットフォーム非依存(PI)部分は、アルゴリズムまたは「何を」の部分を記述し、通常、ハードウェア知識を持たない当業者によって、例えば、MATLAB(登録商標)およびOctaveなどといったフレームワークでのプロトタイピングにより行われる。
【0062】
プラットフォーム依存(PD)機能は、特定のハードウェアでの実装用に信号処理アルゴリズムを変換し、実装の電力およびコストを最適化する。これらは、ソフトウェアとハードウェアの特別な組み合わせを使用して行われる傾向がある。
【0063】
本vRANシステムは、クロスプラットフォームの可搬性を達成するために、信号処理アプリケーションのプラットフォーム依存機能と、プラットフォーム非依存機能と、を記述する方法を含む。
【0064】
本明細書の実施形態ならびにその様々な特徴および効果に関する詳細は、添付の図面に示され、以下の説明に詳述される非限定的な実施形態を参照することで、より完全に説明される。本明細書の実施形態を不必要に不明瞭にしないために、周知の構成要素および処理技術の説明は省略する。本明細書で使用する例は、本明細書の実施形態を実施し得る方法の理解を促すこと、さらに当業者が本明細書の実施形態を実施することができるようにすることのみを、その意図としている。したがって、実施例は、本明細書の実施形態の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0065】
上述したように、可搬性のある無線アクセスネットワーク(RAN)モデムおよびデジタル信号処理(DSP)アプリケーションを設計するためのシステムおよび方法に関しては、依然としてニーズがある。ここで図面、より詳細には
図3A~
図8を参照する。この図では好ましい実施形態が示されており、類似した参照符号は、図面全体を通して一貫して対応する特徴を示している。
【0066】
図3Aは、本明細書のいくつかの実施形態による、一または複数のRANハードウェアプラットフォームにわたる可搬性のある仮想無線アクセスネットワーク(vRAN)をプロビジョニングするための仮想無線アクセスネットワーク(vRAN)システム300を示すブロック図である。仮想無線アクセスネットワーク(vRAN)システム300は、無線ユニット群106A~106Bおよび仮想基地局206A~206Nの機能に関連した仮想RANモデムおよびDSPアプリケーションを設計するために、コンピューティングデバイス301において、仮想無線アクセスネットワーク(vRAN)システム300のコンポーネンツおよびモジュールを実行する。いくつかの実施形態では、そのようなコンポーネンツは、ハイパーバイザ、オーケストレータ、および実行環境に関連付けられたコンテナを含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、オーケストレータは、仮想マシンの制御およびライフサイクル管理を担当する。いくつかの実施形態では、コンピューティングデバイス301は、計算サーバ、パーソナルコンピュータ、タブレット、ラップトップ、または電子ノートブックのうちの少なくとも1つから選択される。いくつかの実施形態では、一または複数のRANハードウェアプラットフォームは、ISAまたはDSPベースのプラットフォーム、FlexRANプラットフォーム、SoCASICベースのプラットフォーム、およびFPGAベースのプラットフォームを含むが、これらに限定されない。
【0067】
図3Bは、本明細書のいくつかの実施形態による
図3Aの仮想無線アクセスネットワーク(vRAN)システム300の分解図を示す。仮想無線アクセスネットワーク(vRAN)システム300は、波形開発キット(waveform development kit(WDK))302、波形実行環境304、RANオーケストレータ312、およびハードウェアリソース記述324を含む。WDK302は、可搬性のあるRANモデムおよびDSPアプリケーション(図示せず)に関連する機能を記述するための、定義されたドメイン固有言語(DSL)、コンパイラまたはインタプリタ(図示せず)、ならびに各DSPアプリケーション用のモデムストア308およびランタイム仕様を含む。波形実行環境304は、RANハイパーバイザ314と、モデムストア308内からの1つ以上のモデム320A~320Nと、それぞれのRANコンテナ332A~332Nおよび無線仮想マシン(RVM)322A~322Bとを含む。無線仮想マシン(RVM)322A~322Bは、各モデムが独立したスライスとして動作することを可能にするために、スケジューリングおよびアドレス空間の分離などといった、典型的なオペレーティングシステムの基本的な機能を実行する。
【0068】
波形開発キット(WDK)302は、可搬性のあるRANアプリケーションを定義し、可搬性のあるRANアプリケーションをRANハードウェア326上でインスタンス化される形式に変換するための開発環境である。RAN信号処理アプリケーションは、データのストリームに対して動作する有向フローグラフである。定義されたDSLは、これらのドメイン固有パターンを取り込む(例:フローグラフ)。いくつかの実施形態では、新しいパターンがC等のプロシージャ型の言語でコーディングされている場合、開発や理解が煩雑となり、時間がかかり、システムの複雑さの表現が増加する。ドメイン内でパターンおよび抽象化を記述する能力により、複雑なシステムをはるかに迅速かつ容易に構築するこが可能となる。
【0069】
定義されたDSLは、複雑なRANモデムや、その開発をより高速かつ容易にするDSPアプリケーションを構築するためのモデムフローグラフの記述のための抽象化を提供する。いくつかの実施形態では、定義されたDSLは、FFT、フィルタリング、畳み込みなど、ドメイン固有演算向けの組み込み型を提供する。いくつかの実施形態では、定義されたDSLにより、ベースタイプまたは新しい動作のうちの少なくとも1つから導き出される他の組み込み型を追加することが可能となる。定義されたDSLは固定小数点型をネイティブに扱い、開発者は実装の詳細を掘り下げることなく、モデムのフローグラフに必要な機能の抽象化に集中することができるようになる。いくつかの実施形態では、定義されたDSLは、新しい言語か、もしくはC++、Rustなどといった任意のホスト言語で実装されたもののうちの少なくとも1つである。定義されたDSLは、ストリーム処理関数と、制御処理関数と、異なるストリーム処理関数を接続してそれぞれの関数に基づいてその実行をスケジューリングする追加の機構と、を含む。ストリーム処理関数は、フレーム、パケット、シンボル、またはサンプルの着信ストリームのうちの少なくとも1つに対して演算を行う。ストリーム処理関数は、(i)ストリーム型を取得し、ストリーム型を他のストリーム型に変換する、または(ii)あるストリーム型の各要素に対して演算を行う。例えば、スクランブラはビットストリームを取得し、別のビットストリームを生成する。いくつかの実施形態では、シンボルマッパは、ビットストリームを取得し、シンボルストリームを生成する。DSLは、前述の動作を実行するために組み込み機能を提供する。いくつかの実施形態では、DSLにより、ユーザば、汎用のストリーム処理関数または組み込みのストリーム処理関数を作成することができる。
【0070】
制御処理関数は、ストリームを処理する際の条件を示す信号を発する。例えば、シンボルまたはフレームの境界が検出されたときに信号を発する同期プロセスである。いくつかの実施形態では、この信号は、(i)他の制御処理関数、または(ii)ストリーム処理関数と、のうちの少なくとも1つが、別の動作を実行する、または実行経路を変更するのに使用される。定義されたDSLは、適切に指定された入力方向または出力方向を含む、データポートを使用して、複数のストリーム処理関数を接続するための一または複数の機構を含む。定義されたDSLは、ストリーム処理関数のアクティビティを時間的に並列または直列でスケジューリングするための一または複数の機構を含む。定義されたDSLは、ストリーム処理関数の入力ポートもしくは出力ポートのいずれかに対してタイミング、データレート、またはその他のすべての制約を指定するための構成を含む。これらは、本明細書で使用するDSLの例であって、本明細書の実施形態を実施し得る方法の理解を促すこと、さらに当業者が本明細書の実施形態を実施することができるようにすることのみを、その意図としている。したがって、実施例は、本明細書の実施形態の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0071】
コンパイラまたはインタプリタは、DSLモデルと呼ばれる、DSLで記述されているプラットフォーム非依存(PI)の信号処理アルゴリズムを、対象ハードウェア上で実行するためのバイトコードまたは中間表現(IR)310に変換する。いくつかの実施形態では、IR310は、DSLモデルで指定したフローグラフにおける制約から導き出されるスケジューリング情報およびランタイム仕様330A~330Nとバンドル化される。IR310は、スケジューリング情報およびランタイム仕様330A~330Nと共にモデムストア308上にホスティングされる。モデムストア308は、WDK302が生成した異なる波形の中間表現のキャッシュまたは一つ以上のインスタンスである。いくつかの実施形態では、バイトコードは、モデムの複数のインスタンスの実行を切り分ける、仮想マシン(VM)またはRANコンテナ332A~332Nのうちいずれかのプラットフォーム上で実行することができる。
【0072】
いくつかの実施形態では、RANコンテナ332A~332Nは、オペレーティングシステムリソースを仮想化することで、同一オペレーティングシステム上のアプリケーションの複数のインスタンスにより、または仮想マシンが存在する場合は複数のオペレーティングシステム上のRANコンテナ332A~332Nの複数のインスタンスにより、RANハードウェア326を仮想化することができる。各ランタイム仕様328A~328Nは、RANハイパーバイザ314がモデムインスタンス306のIRを、RANハードウェア326に適切にマッピングすることを可能にする、様々なランタイムおよびコード生成に固有の側面を記述する、コンフィグレーションデータベースである。各ランタイム仕様328A~328Nは、以下の少なくとも一のパラメータを指定する。このパラメータはランタイム仕様328A~328Nの一部であってよい。(i)定義されたDSLモデルで言及されたデータ型の幅、(ii)シミュレーション処理の一部として自動的に識別される数値表現、(iii)ノイズフィルタ全体またはデジタルノイズに対する制約、(iv)シミュレーション環境Matlab、octave、FlexRAN、NXP、および他のプラットフォーム等のすべての種類の環境を指定するためのサポート、(v)インターリーブ型または並置型の少なくとも1つであり得るバッファ管理型およびIQサンプルバッファ型、(vi)DSLモデルで言及されたデータ型の幅は、パイプラインのブロックごと、またはチェーン全体に対して適用され得る。
【0073】
いくつかの実施形態では、RANオーケストレータ312は、RANハイパーバイザ314上で実行される、RANコンテナ332A~Nの仮想マシンのインスタンスを作成、削除、または変更する役割を担う。これには、インスタンスのスケールアップとスケールダウンが含まれる。いくつかの実施形態では、ハードウェアリソース記述324は、(i)コアのライン上のプロセッシングエレメント、プロセッシングエレメント等の階層、(ii)メモリアクセスのレイテンシおよび記憶階層、(iii)各プロセッシングエレメントのパフォーマンス、電力、データ、コードサイズ要件等の詳細、(iv)処理タイル数、1タイル内のプロセッサの数およびタイプまたは特性、ならびに(v)様々なプロセッシングエレメントを接続する相互接続バスのネットワーク、およびそのトポロジ、タイルの接続性グラフ、データ幅、および転送速度等のプロパティやプロトコルの記述、のうちの少なくとも一である。いくつかの実施形態では、モデムストア308はRANオーケストレータ312と接続され、RANモデムおよびDSP機能を実行するのに必要なモデムおよびリソースのプロビジョンを可能にする。
【0074】
RANオーケストレータ312は、ベンダの異なる無線仮想マシン(RVM)322A~322Bを実行するための柔軟性を提供する。RANオーケストレータ312は、各モデムインスタンス306にバンドル化されたスケジューリング情報およびランタイム仕様328A~328Nの理解を通じて、RANハイパーバイザ314上に生成された様々なモデムエンティティをインスタンス化し、モデムエンティティ間の調整を行う。
【0075】
RANハイパーバイザ314は、スペクトルリソース338の属性と、スペクトルリソース338(例:スペクトル)上にRAN機能をプロビジョニングするために必要な計算を併せて仮想化する。いくつかの実施形態では、RANハイパーバイザ314は、異種プロセッシングエレメント上で、RANおよびDSPフローグラフの複数のインスタンスをスケジューリングすることにより、プロセッシングエレメント間でRANモデムおよびDSPアプリケーションに関連した、ダイナミックな負荷を分散および管理する。いくつかの実施形態では、RANコンテナ332A~332Nは、RANハイパーバイザ314上のRANモデムおよびDSPアプリケーションに直接関連付けられたホストアプリケーションである。いくつかの実施形態では、RAN仮想マシンは、ベアメタルコンテナ内または無線仮想マシン(RVM)322A~322B内の、RANモデムおよびDSPアプリケーションに関連付けられたインスタンスを実行する。
【0076】
波形実行環境304は、(i)スケジューリングが可能なリソースの利用に関連するコスト関数を特定するために、当該リソースをリアルタイムで監視すること、(ii)ネットワーク自動化のために、RANハイパーバイザ314が必要する一または複数の統計を収集すること、または(iii)RANハイパーバイザ314のパフォーマンスを改善するために、オフラインでの推論用のデータを格納すること、のうちの少なくとも1つを実行するハイパーモニタ(ブックキーピング)機能を含む。いくつかの実施形態では、RANおよびDSPの統計は、コンスタレーション、チャネルインパルス応答、干渉、ビット誤り率(BER)、受信信号強度指標(RSSI)、または他の無線周波数チャネル品質指標のうちの少なくとも1つを含む。仮想サーバ205(
図3Aに示す)は、波形実行環境304を表す。ここで波形開発キット(WDK)302によって生成されたモデムインスタンスが実行される。これらのモデムインスタンスは、
図3Aに示すように仮想基地局206A~206Nを表す。仮想サーバ205上のRANオーケストレータ312は、仮想基地局206A~206Nのインスタンス化の管理とライフサイクル管理を行う。
【0077】
RANハードウェア326は、ISAまたはDSPベースのプラットフォーム、FlexRANプラットフォーム、SoC ASICベースのプラットフォーム、およびFPGAベースのプラットフォームを含むがこれらに限定されない、一または複数のRANハードウェアプラットフォーム340A~340Nを含む。
【0078】
いくつかの実施形態では、ハイパーモニタ機能の複数の階層は、ハードウェア機能ブロック、下位レベルソフトウェア機能、またはソフトウェア機能のうち、少なくとも1つを含む。ハードウェア機能ブロックは、選択可能なハードウェア信号を監視し、データを、格納するためにワイヤスピードでハイパーモニタ機能に移動させるインターフェース機能を提供する。下位レベルソフトウェア機能ブロックは、ハードウェアとインタラクションし、機能群を監視するための制御信号を設定する。下位レベルソフトウェア機能ブロックは小型の推論エンジン内で動作させて制御信号を決定するようにしてもよい。いくつかの実施形態では、下位レベルソフトウェア機能ブロックは、不要なデータ転送を低減するためのフィルタ信号を提供する。RANハイパーバイザ314内に位置するソフトウェア機能は、ハイパーモニタ機能が作成したデータベースにおける格納とクエリを行うために使用してもよい。ソフトウェアブロックは、自動化および無線インターフェースコントローラ(RIC)で使用する目的で、格納データに対して推論を行ってもよい。
【0079】
いくつかの実施形態では、トリガ条件には、(i)モデムにおけるデータ/信号、または信号もしくはイベントの測定された統計的特性との単純なパターン一致条件、(ii)状態遷移シーケンスを有する予め定義された有限状態機械の出力まで、様々なものがある。いくつかの実施形態では、格納条件は、(i)トリガ条件を満たした後の信号の指定数のサンプルまたは全サンプルを格納する、ならびに(ii)状態機械によって生成された特定の離散的イベントでサンプルを格納すること、を含む。ハードウェアは、プログラム可能な状態機械の実装をサポートし、あらかじめ定義された、信号の特定の統計的特性の検出を可能とする。統計的特性は、例えば、中央値、標準偏差、信号のダイナミックレンジ、信号の値に基づいた状態の、プログラム可能な状態遷移などである。そのようなハードウェアベースの機構により、リアルタイムで特性を抽出するためのデータ処理をワイヤスピードで行うことが可能となる。
【0080】
図3Cは、本明細書のいくつかの実施形態による、
図3BのRANハイパーバイザ314の分解図である。RANハイパーバイザ314は、NF全体もしくはデジタルノイズに対する制約を使用して、RANハードウェア326上のコンピューティングエレメントの使用を最適化する。RANハイパーバイザ314は、RAN計算ハイパーバイザ316と、RANスペクトルハイパーバイザ318と、を含む。RAN計算ハイパーバイザ316は、仮想マシン(VM)用プラットフォームを提供する。RANモデムは、そこで実行してもよい。RAN計算ハイパーバイザ316は、ロードバランサ部342と、マッパ部344と、モニタ部346と、ルータ部348と、バーチャライザ部350と、プロビジョニング部352とを含む。ロードバランサ部342は、ハードウェアのプロセッシングエレメント(PE)をトラッキングし、プロセッシングエレメント(PE)を仮想RANの仮想マシンに割り当てる。ロードバランサ部342は、抽象変数(例:データのバッファ)、抽象変数のライフタイムおよびメモリへのマッピング、データ転送のスケジューリング、ならびにデータオーバーフローまたはアンダーフローの危険の回避を管理する。いくつかの実施形態では、ロードバランサ部342は、各RANインスタンスの負荷をトラッキングし、処理負荷の統計的多重化を使用して仮想マシンのリサイジングを行う。いくつかの実施形態では、ロードバランサ部342は各RANインスタンスに関連したハイパーモニタ機能を含む。各RANインスタンスは、スケジュールされた無線ベアラ(RB)やRANインスタンスに関連するダイナミックな負荷のトラッキングを行う。
【0081】
マッパ部344は、RANハードウェア326上でRANインスタンスのスケジューリングを行い、RANインスタンスを管理する。生成される各RANモデムインスタンス306は、ピーク負荷およびリソース要件を有する。マッパ部344により、各RANモデムインスタンス306は、RANハードウェア326における実際の「物理プロセッシングエレメント」にマッピングされる。マッパ部344は、各RANハードウェア326内の計算リソースエレメント、ストレージリソースエレメント、および相互接続リソースエレメントに関する詳細な記述を分析する。いくつかの実施形態では、詳細な記述はハードウェアリソース記述(HRD)324に記載される。マッパ部344は、詳細な記述を、各モデムインスタンス306のランタイム仕様によって提供される多数の制約に相関付け、そのようにして基礎にあるRANハードウェア326のプロセッシングエレメントに対するRANモデムインスタンス306の最も効率的なマッピングを作成する。
【0082】
いくつかの実施形態では、RANハードウェア326に関してHRD記述が提供され得る限り、所定のモデムインスタンス306を任意のRANハードウェアに効率的にマッピングできるようにマッパ部344が設計される。マッパ部344は、実際の実行に関する統計に基づいて負荷をトラッキングし、処理電力を増減する。いくつかの実施形態では、新たなスレッドが導入された場合、ピーク需要用リソースがそのインスタンスに割り当てられる。モニタ部346は、統計を取得し、上位レベル機能用にRANモデムを監視する。ルータ部348は、フロントホールからのDMAを様々なメモリに設定し、さらに複数のメモリと相互接続バス階層間でメモリ転送を実行する。バーチャライザ部350は、RANハードウェアリソースを仮想化する。プロビジョニング部352は、新しいモデムインスタンス306をプロビジョニングする。
【0083】
いくつかの実施形態では、RANハイパーバイザ314は、マッピングおよびスケジューリングの処理を高速化するために、ハイパーモニタまたは任意のそれに類する機能が提供するハードウェアプリミティブまたは支援を使用する。RANハイパーバイザ314は、ハードウェアおよびRANオーケストレータ312において言及されたポリシーにより提供されるセキュリティ機能を使用して、基礎にあるRANハードウェア326のいくつかの側面や属性へのアクセスを制限する。RANスペクトルハイパーバイザ318は、スペクトルなどのスペクトルリソース338無認可、認可などの共有属性、干渉などの属性とともに仮想化する。いくつかの実施形態では、RANスペクトルハイパーバイザ318は、ドメイン固有言語(DSL)により記述される、RANモデムの対応するスペクトルリソースに対する遅延バインディングを可能にする。RANスペクトルハイパーバイザ318は、(i)機能の様々なコストに基づいて複数の無線間でRFチャネルを分割または共有すること、例えば、IoT無線、ブロードキャスト無線、およびあらゆる種類のモデムのうちの少なくとも1つを実行するために単一のRFチャネルを分割すること、(ii)不連続なRFチャネルを集約して、単一のRFチャネルとして提示すること、または(iii)スペクトルの所与の部分を仮想化し、複数のモデム間で独立して共有させること、のうちの少なくとも1つを可能にする。いくつかの実施形態では、5Gおよび他の通信モデムにおける「スライシング」の概念の効率的な実装を可能にするために、時間領域、周波数領域、または空間領域(アンテナへのマッピング)のうち少なくとも1つにおいて、RFチャネルのスライシングと仮想化が行われる。
【0084】
いくつかの実施形態では、RANスペクトルハイパーバイザ318は、無線ユニット群106A~106Bの構築に使用されるRFハードウェア334と、干渉およびフェージング、隣接チャネル、拒否、保護比、ACLR/ACPR、免許取得済み帯域、および免許不要帯域などといった、RF属性データベース336に格納されるモデム非依存RF属性と、を仮想化する。RFリソースに固有の属性を仮想化することで、モデムがRF固有の特性を気にすることなく、複数のRFチャネルを連結しチャネル分割する助けとなる。スペクトルリソース338のRF属性は、RFハードウェア334により検知され、RF属性データベース336に格納される。RANハイパーバイザ314は、その情報を、物理RANハードウェアリソースの割り当てに使用し、モデム実装とは独立した、プリコーディング等といった属性固有の補正を実装する。RANハイパーバイザ314は、モデム規格とは独立の、チャネルサウンディング信号を実装することができる。他の実施形態では、RANスペクトルハイパーバイザ318は、RF属性データベース336に対して人工知能(AI)予測エンジンを使用し、スペクトルリソース338をより良く利用するために、RF属性を意識した(RF attribute aware)波形設計を行う。
【0085】
図4は、本明細書のいくつかの実施形態による、直交周波数分割多重(OFDM)信号と直交周波数分割多重(OFDM)サブキャリア間の関係を示すグラフ図である。グラフ図は、ハイパーモニタに関連付けられる平均化ウィンドウ402を決定する目的でOFDMサブキャリアおよびOFDMシンボルを分析するために、周波数と時間の間にマッピングされている。いくつかの実施形態では、OFDMサブキャリアは、一または複数のサブバンド404A~404Nを含んでいてもよい。可搬性のあるRANモデムおよびDSPアプリケーションを設計する際に、ハイパーモニタ機能により、ダイナミックレンジ検出、ノイズ電力推定、SNR推定、または遅延拡散推定のうち、少なくとも1つが可能となる。ダイナミックレンジ検出は、信号処理チェーンの構成要素において、プログラム上異なった種類の動作に対して必要とされる最適なスケーリングファクタを決定する。
【0086】
使用されるスケーリングファクタの種類には、(i)インパルス応答の値(magnitude)の和(L1ノルム)によるスケーリングと、(ii)インパルス応答の値の二乗和平方根(L2ノルム)によるスケーリングと、(iii)周波数応答の最大値(チェビシェフノルム)によるスケーリングと、がある。インパルス応答の値の和(L1ノルム)でスケーリングする場合、Q.Mフォーマットを使用するシステムについて、任意のノードにおけるデジタルシステムの値(magnitude)を1未満に制限する。ここで固定小数点表現に使用されるビット数をPとした場合、Mは(P-1)に等しくなる。デジタルシステムへの最大入力信号Xmaxが(1-2^(-M))である場合、デジタルシステムの出力は{y(n)}<1に制限される。ただし、スケーリングファクタがG<1/{0~N-1の範囲のkに対するXmax*Sigma[mod Hk]}によって制限されることを前提とする。ここで、Hkは、長さNをもつフィルタのインパルス応答である。0からN-1までの範囲のkの総和項Sigma[mod Hk]は、L1ノルムと呼ばれる。
【0087】
インパルス応答の値の2乗和の平方根(L2ノルム)によるスケーリングの場合、使用可能なスケーリングファクタは以下の通りである。G<1/{Xmax*Sqrt(0~N-1の範囲のkに対してSigma[H(k)^2]。)}。前記のノルムはL2ノルムと呼ばれ、常にL1より小さくなる。いくつかの実施形態では、インパルス応答の値の和(L1ノルム)によるスケーリング、およびインパルス応答の値の二乗和の平方根(L2ノルム)によるスケーリングは、広帯域信号に使用される。
【0088】
最大周波数応答によるスケーリング(チェビシェフノルム)では、入力が狭帯域信号である場合に、スケーリングファクタが適用可能であることを決定するために使用される。この方法では、まず、入力周波数における振幅応答が決定され、これに最大入力信号Xmaxを乗算して、以下のようにスケーリングゲインを決定する。G<1/{Xmax*max[H(wk)]}項max[H(wk)]は、周波数応答H(w)のチェビシェフノルムとして知られている。これにより、正弦波入力に対するシステムの定常状態の応答が、絶対オーバーフローしないことを保証する。
【0089】
ノイズ推定は、OFDM搬送波から瞬時ノイズの統計を収集し、複数のサブグループ内でノイズ統計を別々に平均化することで行われる。その後、ノイズ電力推定を強化するために、複数の直交周波数分割多重(OFDM)シンボルからのノイズ統計値を平均化する。これらのノイズ電力推定値に基づいて、ノイズ統計値の色および変動の双方が、短期的または長期的推定値として決定される。SNRの推定値は、様々な推定器を用いて決定される(例えば、最尤(ML)推定器および最小平均二乗推定器(MMSE)、Boumard推定器、またはRen推定器)。SNR推定器は、どの二次モーメントを計算されるかに基づいて、受信信号Y(n)、チャネル推定値H(n)、ならびに事前に定義されたパイロット信号またはトレーニング信号強度のプロービングを必要とする。別の方法では、プロービングが可能なプリアンブルシンボルを利用する。いくつかの実施形態では、周波数選択性チャネルと非選択性チャネルの両方に対してSNRを決定する。遅延スプレッドの推定値については、チャネル周波数応答を使用し、複数のシンボルににおける推定相関を計算することによって決定される。
【0090】
図5は、本明細書のいくつかの実施形態による、
図3Bの(i)RANオーケストレータ312または(ii)RANハイパーバイザ314のうちの少なくとも一方に対する入力を記録および最適化するためのハイパーモニタ機能504の例示的ブロック図を示す。ハイパーモニタ機能504は、対応するコンフィグレーションパラメータに基づいて動作している複数の信号処理段502A~502Nの出力をプロービングする。次の信号処理段に適した刺激を決定するために、プロービングされた出力を分析してダイナミックレンジ、SNR、ノイズ電力、遅延スプレッドなどに関する信号統計の推定を行う。いくつかの実施形態では、第N信号処理段からの出力信号が最終出力となる。
【0091】
図6A~
図6Cは、本明細書のいくつかの実施形態による、Intel Xeon、デジタル信号プロセッサ(例えばTI社の)またはフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)環境などといった典型的なCOTSプロセッサのプロセッシングエレメント(PE)を含む、信号チェーンのRANハードウェア326へのマッピングを示す例示的な図である。いくつかの実施形態では、信号チェーンをデジタル信号プロセッサまたはFPGA環境内のプロセッシングエレメントにマッピングするためのスケジューリング可能なリソースには、プロセッサのタイルまたはプロセッサグループと、各メモリに関連づけられる記憶階層およびレイテンシと、RANモデムおよびDSP機能にわたって共有および仮想化されるDMAおよび他のIOメカニズムと、のうち少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態では、プロセッシングエレメントは、スケジューリング可能なリソースを、空間的または時間的に、または両方を組み合わせて、使用することができる。
図6Aは、時間に沿って、2つのOFDMストリームを異なるタイルにマッピングした一例である。いくつかの実施形態では、別々のストリームが異なるタイルにダイナミックにマッピングされる。プロセッシングエレメントへの割り当ては、OFDMシンボル境界で、またはそれよりもさらに細かい時間分解能で行われる。
図6Bは、シンボル時間内において時間多重して、同一処理タイル内のプロセッシングエレメントにマッピングした例である。
【0092】
図6Cは、異なるタスクを異なるタイルに静的にマッピングした例である。いくつかの実施形態では、RANハイパーバイザ314は、ネットワークスライスの実行に応じて、空間的マッピングまたは時間的マッピングを行う。RANハイパーバイザ314は、メモリレイテンシ属性と電力消費属性を理解する。これらの属性は、信号処理チェーンブロックをどのようにプロセッシングエレメントにマッピングするかを決定する際の追加のコスト関数とすることができる。
【0093】
図7は、本明細書のいくつかの実施形態による、一または複数のRANハードウェアプラットフォームにおいて可搬性のある仮想無線アクセスネットワーク(RAN)をプロビジョニングする方法を示すフローチャートである。ステップ702において、少なくとも一の可搬性のある無線アクセスネットワーク(RAN)アプリケーションが、RAN対象ハードウェア上でインスタンス化される形式で定義される。ステップ704において、スケジューリング可能なリソースのリアルタイム監視を行う。ステップ706において、ネットワーク自動化のために、一または複数の統計の収集および監視が行われる。ステップ708で、一または複数のRANハードウェアプラットフォームのうち、少なくとも一のハードウェアプラットフォーム上で、可搬性のある仮想無線アクセスネットワーク(vRAN)をプロビジョニングするのに必要なスペクトルリソースの少なくとも一の属性が、RANハードウェア326における少なくとも一のハードウェア計算リソースの記述に基づいて仮想化される。
【0094】
いくつかの実施形態では、本方法は、RANハイパーバイザ314を使用してRANワークロードが複数のプロセッシングエレメント(PE)間でダイナミックに共有されるよう、RANフローグラフにおける複数のRANモデムインスタンス306をスケジューリングすること、を含む。
【0095】
いくつかの実施形態では、本方法は、ハイパーオブザーバビリティを使用して、RFおよび信号条件に基づき、RANハードウェア326のダイナミックな再構成を可能とすること、を含む。
【0096】
いくつかの実施形態では、本方法は、スペクトルリソース338の活用のために、ハイパーモニタからの過去に行った決定と入力に基づいて自動学習をすること、を含む。
【0097】
いくつかの実施形態では、本方法は、(i)各RANハードウェア326内の計算リソースエレメント、ストレージリソースエレメント、および相互接続リソースエレメントの詳細な記述を分析すること、(ii)前記詳細な記述と、各モデムインスタンス306のランタイム仕様により提供される多数の制約とを相関付けること、(iii)基礎にある前記RANハードウェア326の前記プロセッシングエレメントにおける前記RANモデムインスタンス306のマッピングを作成すること、とにより、各RANモデムインスタンス306を、RANハードウェア326上の実際の物理プロセッシングエレメントにマッピングすること、を含む。
【0098】
いくつかの実施形態では、方法は、(i)選択可能なハードウェア信号を監視し、データを、格納するためにワイヤスピードでハイパーモニタ機能に移動させるインターフェース機能を提供することと、(ii)RANハードウェア326とインタラクションし、機能群監視のための制御信号を設定することと、(iii)ハイパーモニタ機能が作成したデータベースにおける格納とクエリを実行すること、を含む。いくつかの実施形態では、制御信号を決定するために動作する小型の推論エンジン。いくつかの実施形態では、不要なデータ転送を低減するために、フィルタ信号が提供される。いくつかの実施形態では、自動化および無線インターフェースコントローラ(RIC)で使用する目的で、格納データに対して推論が行われる。
【0099】
本明細書の実施形態は、実行することで上述の方法に関連して述べたような動作が可能な、予め構成された命令群を含むように構成されたコンピュータプログラム製品を含んでいてもよい。一例では、予め構成された命令群は、コンピュータによる読み取り可能な、有形の非一時的媒体またはプログラム記憶装置に記憶することができる。一例では、コンピュータによる読み取り可能な、有形の非一時的媒体は、デバイスにより実行されると本明細書で説明したような動作をデバイスに実行させることができる命令群を含むよう構成することが可能である。本明細書の実施形態は、さらに、コンピュータにより実行可能な命令またはデータ構造を保持または格納するための、コンピュータによる読み取り可能な、有形および/または非一時的記憶媒体を含んでいてもよい。
【0100】
一般に、本明細書で使用するプログラムモジュールは、特定のタスクを実行する、または特定の抽象データ型を実装する、といった目的特化型のプロセッサ等の設計において固有のルーチン、プログラム、コンポーネント、データ構造、オブジェクト、および機能を含む。コンピュータによる実行が可能な命令、関連するデータ構造、およびプログラムモジュールは、本明細書で開示される方法のステップを実行するためのプログラムコード手段の例である。そのような実行可能な命令の特定のシーケンス、または関連するデータ構造は、そのようなステップに記載された機能を実装するための、対応する動作の例を表すものである。
【0101】
本明細書の実施形態は、ハードウェアエレメントとソフトウェアエレメントの両方を含むことができる。ソフトウェアで実施される実施形態には、ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコードなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0102】
プログラムコードを記憶および/または実行するのに適したデータ処理システムは、システムバスを介して記憶エレメントに、直接的または間接的に結合された少なくとも一のプロセッサを含む。記憶エレメントは、プログラムコードを実際に実行する際に使用するローカルメモリ、大容量記憶装置、および実行中に大容量記憶装置から、コードを検索しなければならない回数を減らすために、少なくともプログラムコードの一部を一時的に記憶するキャッシュメモリを含むことができる。
【0103】
入出力(I/O)デバイス(キーボード、ディスプレイ、ポインティングデバイスなどを含むが、これらに限定されない)は、直接、または仲介役のI/Oコントローラを介してシステムに結合することができる。さらに、仲介役のプライベートネットワークまたは公衆ネットワークを介して、データ処理システムを他のデータ処理システム、リモートプリンタ、またはストレージデバイスに結合可能とするために、システムにネットワークアダプタを結合してもよい。現在利用可能なネットワークアダプタの種類のほんの一例として、モデム、ケーブルモデム、およびEthernetカードが挙げられる。
【0104】
図8は、
図3A~
図7を参照し、本明細書の実施形態を実施するための代表的なハードウェア環境を示す。この概略図は、本明細書の実施形態によるコンピューティングデバイス301のハードウェア構成を示す。コンピューティングデバイス301は、少なくとも一のプロセッサデバイス10を含む。目的特化型のCPU10は、システムバス12を介して、ランダムアクセスメモリ(RAM)14、読み出し専用メモリ(ROM)16、および入出力(I/O)アダプタ18など、様々なデバイスに相互接続されている。I/Oアダプタ18により、ディスクユニット11およびテープドライブ13などの周辺装置や、システムによる読み取りが可能な他のプログラム記憶装置への接続が可能となる。コンピューティングデバイス301は、プログラム記憶装置上にある本発明の命令を読み取り、これらの命令に従って本明細書の実施形態の方法論を実行することができる。コンピューティングデバイス301は、さらに、キーボード15、マウス17、スピーカ24、マイク22、および/またはタッチスクリーンデバイス(図示せず)などの他のユーザインターフェースデバイスをバス12に接続し、ユーザからの入力を収集するユーザインターフェースアダプタ19を含む。さらに、通信アダプタ20は、バス12をデータ処理ネットワーク25に接続する。ディスプレイアダプタ21は、バス12をディスプレイデバイス23に接続する。ディスプレイデバイスは、本明細書の実施形態による出力データのグラフィカルユーザインターフェース(GUI)29を提示する。ディスプレイデバイスは、例えば、モニタ、プリンタ、もしくは送信機などといった出力装置として具現化してもよい。さらに、電気信号または電子信号の処理、送信、受信、比較、および変換を行うために、トランシーバ26、信号比較器27、および信号変換器28をバス12に接続してもよい。
【0105】
特定の実施形態の前述の説明は、本明細書の実施形態の一般的な性質を十分に明らかにしており、他者が現在の知識を適用することにより、一般的な概念から逸脱することなく、そのような特定の実施形態を様々な用途に合わせて容易に修正および/または適合させることができる。したがって、そのような適合および修正は、開示された実施形態の均等物の意味および範囲内で理解されるべきであり、理解されるよう意図される。本明細書で使用した表現または用語は、説明を目的としたものであって、限定することを目的としたものではないことを理解されたい。したがって、本明細書の実施形態の、好ましい実施形態に関して説明してきたが、当業者であれば、本明細書の実施形態は、添付の特許請求の範囲の精神および範囲内で修正して実施することができることを認識するであろう。