IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ Cellid株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-眼鏡型端末 図1
  • 特許-眼鏡型端末 図2
  • 特許-眼鏡型端末 図3
  • 特許-眼鏡型端末 図4
  • 特許-眼鏡型端末 図5
  • 特許-眼鏡型端末 図6
  • 特許-眼鏡型端末 図7
  • 特許-眼鏡型端末 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-27
(45)【発行日】2025-04-04
(54)【発明の名称】眼鏡型端末
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/02 20060101AFI20250328BHJP
   H04N 5/64 20060101ALI20250328BHJP
   H04N 13/344 20180101ALI20250328BHJP
【FI】
G02B27/02 Z
H04N5/64 511A
H04N13/344
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2024540086
(86)(22)【出願日】2022-08-08
(86)【国際出願番号】 JP2022030272
(87)【国際公開番号】W WO2024033969
(87)【国際公開日】2024-02-15
【審査請求日】2025-01-29
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521023539
【氏名又は名称】Cellid株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】生水 利明
(72)【発明者】
【氏名】舘岡 進
(72)【発明者】
【氏名】稲畑 達雄
(72)【発明者】
【氏名】白神 賢
(72)【発明者】
【氏名】小倉 翔太郎
【審査官】鈴木 俊光
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2021/106749(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/012108(WO,A1)
【文献】中国実用新案第210776045(CN,U)
【文献】特表2021-508093(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/01 - 27/02
H04N 5/64
H04N 13/344
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが装着する眼鏡型端末であって、
光導波部(optical waveguide)を有し、第1面から入射した光の少なくとも一部を前記第1面の反対側の第2面へと透過させつつ、前記第2面に画像光を投影させるための投影基板と、
前記光導波部に対して前記投影基板の前記第1面の側に空気層を介して設けられており、前記光導波部の少なくとも一部を覆い、前記投影基板の前記第1面から漏洩する前記画像光の偏光方向の光を低減させる偏光低減板と
有し
前記光導波部は、前記画像光を投影させるための投影光の少なくとも一部を導波して、前記第2面から前記画像光として出射する、
投影光学系と、
前記投影基板を固定しているフレームと、
前記フレームに設けられており、前記光導波部の出射領域に前記画像光を投影させるための前記投影光を前記投影基板の前記光導波部の入射領域に照射する投影部と
を備え、
前記投影光学系は、前記ユーザの右眼用のレンズ及び左眼用レンズのうち少なくとも一方として設けられており、前記第1面から入射する少なくとも一部の光を前記ユーザの眼へと透過させつつ、前記第2面に前記画像光を投影させ、
前記投影部は、前記入射領域に照射する前記投影光の偏光方向を調節する偏光調節部を有し、
前記偏光調節部は、当該投影基板の前記第1面から漏洩する前記画像光の偏光方向と、前記偏光低減板が光の強度を低減させる偏光方向とを一致させるように調節する、
眼鏡型端末
【請求項2】
ユーザが装着する眼鏡型端末であって、
光導波部(optical waveguide)を有し、第1面から入射した光の少なくとも一部を前記第1面の反対側の第2面へと透過させつつ、前記第2面に画像光を投影させるための投影基板と、
前記光導波部に対して前記投影基板の前記第1面の側に空気層を介して設けられており、前記光導波部の少なくとも一部を覆い、前記投影基板の前記第1面から漏洩する前記画像光の偏光方向の光を低減させる偏光低減板と
有し
前記光導波部は、前記画像光を投影させるための投影光の少なくとも一部を導波して、前記第2面から前記画像光として出射する、
投影光学系と、
前記投影基板を固定しているフレームと、
前記フレームに設けられており、前記光導波部の出射領域に前記画像光を投影させるための前記投影光を前記投影基板の前記光導波部の入射領域に照射する投影部と
を備え、
前記投影光学系は、前記ユーザの右眼用のレンズ及び左眼用レンズのうち少なくとも一方として設けられており、前記第1面から入射する少なくとも一部の光を前記ユーザの眼へと透過させつつ、前記第2面に前記画像光を投影させ、
前記フレームには、複数の前記投影基板が固定されており、
前記偏光低減板は、複数の前記投影基板の前記ユーザとは反対側に設けられており、
前記投影部は、複数の前記投影基板のそれぞれに設けられている前記入射領域に異なる波長の前記投影光をそれぞれ照射し、
複数の前記投影基板にそれぞれ設けられている前記出射領域は、平面視で少なくとも一部が重なっており、前記投影部から複数の前記入射領域にそれぞれ照射された前記投影光に対応する前記画像光を複数の前記投影基板の前記第2面から前記ユーザの眼へとそれぞれ出射し、
前記投影部は、前記入射領域に照射する複数の前記投影光のうち少なくとも1つの前記投影光の偏光方向を調節する偏光調節部を有し、
前記偏光調節部は、複数の前記投影基板のそれぞれの前記第1面から漏洩する複数の前記画像光のうち、前記偏光調節部が偏光方向を調節した少なくとも1つの前記投影光に対応する前記画像光の偏光方向と、前記偏光低減板が光の強度を低減させる偏光方向とを一致させるように調節する、
眼鏡型端末
【請求項3】
前記偏光低減板は、前記投影基板の前記第1面と対向して設けられている偏光フィルタを有する、請求項1に記載の眼鏡型端末
【請求項4】
前記偏光低減板は、
前記投影基板の前記第1面と対向して設けられている保護基板と、
前記保護基板の前記投影基板とは反対側の第3面及び前記投影基板に対向する第4面のうち少なくとも一方にコーティングされている偏光膜と
を有する、請求項1に記載の眼鏡型端末
【請求項5】
前記光導波部は、
入射回折格子を有し、前記画像光を投影させるための前記投影光が入射し、入射した前記投影光を当該投影基板の内部に導波する前記入射領域と、
出射回折格子を有し、前記入射領域から入射した前記投影光の少なくとも一部を導波して前記第2面から前記画像光として出射する前記出射領域と
を有し、
前記偏光低減板は、前記出射回折格子の少なくとも一部を覆う、
請求項1から4のいずれか一項に記載の眼鏡型端末
【請求項6】
前記光導波部は、中間回折格子を含み、前記入射領域から入射した前記投影光の一部を前記出射領域に向けて導波する中間領域を更に有し、
前記入射回折格子は、複数の第1溝部が第1周期で形成されており、
前記中間回折格子は、複数の第2溝部が第2周期で形成されており、
前記出射回折格子は、複数の第3溝部が第3周期で形成されている、
請求項に記載の眼鏡型端末
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投影光学系及び眼鏡型端末に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ウェイブガイド等を含む光学系を用いて2次元画像をユーザに観察させるように表示する眼鏡型のデバイス、ヘッドマウントディスプレイ等が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-207686号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような装置は、限られた空間に光学系を組み込むので、光学系が複雑になってしまうことがあった。また、ユーザに観察させるために投影した画像光の一部がユーザとは異なる方向に漏れ光として出射してしまい、例えば、ユーザの目が光っているように見えてしまうことがあった。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、簡便な構成でユーザに観察させる画像光の漏れ光を低減できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様においては、光導波部(optical waveguide)を有し、第1面から
入射した光の少なくとも一部を前記第1面の反対側の第2面へと透過させつつ、前記第2面に画像光を投影させるための投影基板と、前記光導波部に対して前記投影基板の前記第1面の側に空気層を介して設けられており、前記光導波部の少なくとも一部を覆い、前記投影基板の前記第1面から漏洩する前記画像光の偏光方向の光を低減させる偏光低減板とを備え、前記光導波部は、前記画像光を投影させるための投影光の少なくとも一部を導波して、前記第2面から前記画像光として出射する、投影光学系を提供する。
【0007】
前記偏光低減板は、前記投影基板の前記第1面と対向して設けられている偏光フィルタを有してもよい。
【0008】
前記偏光低減板は、前記投影基板の前記第1面と対向して設けられている保護基板と、前記保護基板の前記投影基板とは反対側の第3面及び前記投影基板に対向する第4面のうち少なくとも一方にコーティングされている偏光膜とを有してもよい。
【0009】
前記光導波部は、入射回折格子を有し、前記画像光を投影させるための投影光が入射し、入射した前記投影光を当該投影基板の内部に導波する入射領域と、出射回折格子を有し、前記入射領域から入射した前記投影光の少なくとも一部を導波して前記第2面から前記画像光として出射する出射領域とを有し、前記偏光低減板は、前記出射回折格子の少なくとも一部を覆っていてもよい。
【0010】
前記光導波部は、中間回折格子を含み、前記入射領域から入射した前記投影光の一部を前記出射領域に向けて導波する中間領域を更に有し、前記入射回折格子は、複数の第1溝部が第1周期で形成されており、前記中間回折格子は、複数の第2溝部が第2周期で形成されており、前記出射回折格子は、複数の第3溝部が第3周期で形成されていてもよい。
【0011】
本発明の第2の態様においては、ユーザが装着する眼鏡型端末であって、前記ユーザの右眼用のレンズ及び左眼用レンズのうち少なくとも一方として設けられており、前記第1面から入射する少なくとも一部の光を前記ユーザの眼へと透過させつつ、前記第2面に前記画像光を投影させる、第1の態様の前記投影光学系と、前記投影基板を固定しているフレームと、前記フレームに設けられており、前記光導波部の出射領域に前記画像光を投影させるための前記投影光を前記投影基板の前記光導波部の入射領域に照射する投影部とを備える、眼鏡型端末を提供する。
【0012】
前記投影部は、前記入射領域に照射する前記投影光の偏光方向を調節する偏光調節部を有し、前記偏光調節部は、当該投影基板の前記第1面から漏洩する前記画像光の偏光方向と、前記偏光低減板が光の強度を低減させる偏光方向とを一致させるように調節してもよい。
【0013】
前記フレームには、複数の前記投影基板が固定されており、前記偏光低減板は、複数の前記投影基板の前記ユーザとは反対側に設けられており、前記投影部は、複数の前記投影基板のそれぞれに設けられている前記入射領域に異なる波長の前記投影光をそれぞれ照射し、複数の前記投影基板にそれぞれ設けられている前記出射領域は、平面視で少なくとも一部が重なっており、前記投影部から複数の前記入射領域にそれぞれ照射された前記投影光に対応する前記画像光を複数の前記投影基板の前記第2面から前記ユーザの眼へとそれぞれ出射してもよい。
【0014】
前記投影部は、前記入射領域に照射する複数の前記投影光のうち少なくとも1つの前記投影光の偏光方向を調節する偏光調節部を有し、前記偏光調節部は、複数の前記投影基板のそれぞれの前記第1面から漏洩する複数の前記画像光のうち、前記偏光調節部が偏光方向を調節した少なくとも1つの前記投影光に対応する前記画像光の偏光方向と、前記偏光低減板が光の強度を低減させる偏光方向とを一致させるように調節してもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、簡便な構成でユーザに観察させる画像光の漏れ光を低減できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本実施形態に係る眼鏡型端末10の第1構成例を示す。
図2】本実施形態に係る眼鏡型端末10における投影光の光路の概略を示す。
図3】本実施形態に係る投影基板100における投影光の光路の概略を示す。
図4】本実施形態に係る投影部120が投影基板100に照射する投影光と、投影基板100が出射する画像光の一例を示す。
図5】本実施形態に係る投影基板100の構成例を示す。
図6】本実施形態に係る眼鏡型端末10の第2構成例を示す。
図7】本実施形態に係る眼鏡型端末10の第3構成例を示す。
図8】本実施形態に係る眼鏡型端末10の第4構成例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<眼鏡型端末10の第1構成例>
図1は、本実施形態に係る眼鏡型端末10の第1構成例を示す。本実施例において、互いに直交する3つの軸をX軸、Y軸、及びZ軸とする。眼鏡型端末10は、ユーザが装着する、例えば、ウェアラブルデバイスである。眼鏡型端末10は、眼鏡越しの景色をユーザに観察させつつ、投影基板100に設けられている表示領域に画像光を投影する。眼鏡型端末10は、投影光学系50と、フレーム110と、投影部120とを備える。
【0018】
投影光学系50は、投影基板100と偏光低減板310とを備える。図1において、投影光学系50のうちの投影基板100を示し、偏光低減板310の記載は省略している。偏光低減板310については後述する。
【0019】
投影基板100は、光導波部200(optical waveguide)を有し、第1面から入射す
る少なくとも一部の光をユーザの眼へと透過させつつ、第2面に画像光を投影させる。ここで、投影基板100の第1面は、眼鏡型端末10をユーザが装着した状態でユーザとは反対側を向く面である。また、投影基板100の第2面は、眼鏡型端末10をユーザが装着した状態でユーザを向く面である。図1は、投影基板100の第1面及び第2面がXY平面と略平行に配置されている例を示す。
【0020】
投影基板100は、例えば、ガラス基板に光導波部200(optical waveguide)が形
成されている基板である。光導波部200は、投影基板100の第2面から入射した画像光を投影させるための投影光の少なくとも一部を導波して、当該第2面から画像光として出射する。投影基板100については後述する。
【0021】
フレーム110は、投影光学系50を固定している。フレーム110には、ユーザの右眼用のレンズ及び左眼用レンズのうち少なくとも一方として投影光学系50が設けられている。図1は、フレーム110にユーザの右眼用のレンズとして投影光学系50aが設けられており、左眼用レンズとして投影光学系50bが設けられている例を示す。
【0022】
これに代えて、フレーム110は、ユーザの右眼用のレンズ又は左眼用レンズとして1つの投影光学系50が設けられていてもよい。また、フレーム110は、ユーザの両眼用レンズとして1つの投影光学系50が設けられていてもよい。この場合、フレーム110は、ゴーグルの形状を有してもよい。フレーム110は、ユーザが当該眼鏡型端末10を装着できるように、テンプル、ストラップ等の部位を有する。
【0023】
投影部120は、フレーム110に設けられており、投影基板100に画像光を投影させるための投影光を投影光学系50に向けて照射する。フレーム110には、このような投影部120が1又は複数設けられている。図1は、投影光学系50a(投影基板100a)に投影光L1を照射するための投影部120aと、投影光学系50b(投影基板100b)に投影光L2を照射するための投影部120bとがフレーム110に設けられている例を示す。
【0024】
投影部120は、フレーム110の投影光学系50を固定している部位に設けられていてもよく、フレーム110のテンプル等に設けられていてもよい。投影部120は、フレーム110と一体になるように設けられていることが望ましい。投影部120は、例えば、1つの波長を含む投影光を投影光学系50に照射して、ユーザに単色の画像を観察させる。また、投影部120は、複数の波長を含む投影光を投影光学系50に照射して、ユーザに複数の色を含む画像を観察させてもよい。
【0025】
このような投影光学系50について、次に説明する。なお、まずは、投影光学系50の投影基板100の動作を説明し、偏光低減板310については後述する。
【0026】
図2は、本実施形態に係る眼鏡型端末10における投影光の光路の概略を示す。投影部120は、投影基板100の光導波部200の入射領域210に投影光を照射する。入射領域210は、投影基板100の基板内に投影光を導波する。そして、基板内を導波した投影光の少なくとも一部は、光導波部200の出射領域230から画像光として出射する。なお、入射領域210及び出射領域230については後述する。
【0027】
図3は、本実施形態に係る投影基板100における投影光の光路の概略を示す。後述するが、光導波部200は、入射領域210、中間領域220、及び出射領域230を有する。投影光Lは、入射領域210に入射し、中間領域220を経て出射領域230から画像光Pとして出射する。中間領域220は、投影光Lが入射領域210から離れて進行するにつれて、投影光Lを一部ずつ出射領域230に導波する。
【0028】
同様に、出射領域230も、投影光Lが中間領域220から離れて進行するにつれて、投影光Lの一部ずつの光を画像光Pの一部として出射する。これにより、投影基板100は、入射領域210に入射した投影光Lを出射領域230から画像光Pとして出射する。
【0029】
ここで、中間領域220が、中間領域220の領域全体において一定の割合で投影光Lを出射領域230に導波する例を考える。この場合、投影光Lが入射領域210から離れて進行するにつれて投影光Lの光量が減少するので、中間領域220から出射領域230に入射する投影光Lは、入射領域210からの距離によって強度が異なってしまうことがある。
【0030】
同様に、出射領域230が、出射領域230の領域全体において一定の割合で投影光Lを画像光Pとして出射する例を考える。この場合、投影光Lが中間領域220から離れて進行するにつれて投影光Lの光量が減少するので、出射領域230から出射する画像光Pは、入射領域210からの距離及び出射領域230からの距離によって強度が異なってしまうことがある。例えば、出射領域230が投影する画像の左上の画素から右下の画素に向けて、輝度が徐々に低減してしまうことがある。本実施形態に係る投影基板100は、このような輝度のバラツキを低減させるものである。
【0031】
<投影光と画像光の一例>
図4は、本実施形態に係る投影部120が投影基板100に照射する投影光Lと、投影基板100が出射する画像光Pの一例を示す。投影部120は、例えば、+Z方向に位置する投影基板100の第2面に向けて投影光Lを照射する。投影光Lは、ユーザに見せる画像に対応しており、例えば、XY平面と略平行な面にスクリーン等を設置して投影光Lを投影させた場合、当該スクリーンにはユーザに観察させる画像M1が表示される。ユーザに見せる画像は、例えば投影部120が有するプロセッサが作成するAR(Augmented Reality)画像又はVR(Virtual Reality)画像である。このように、投影部120は、XY平面と略平行な面に画像M1を形成する複数の光線を投影光Lとして照射する。
【0032】
本実施形態において、投影部120が、XY平面と略平行な面においてX軸方向を長手方向とした略長方形の画像M1を投影する例を説明する。また、図4において、投影部120が照射する複数の光線のうち5つの光線を入力光線20として示す。例えば、画像の左上の画素に対応する光線を第1入力光線20a、画像の左下の画素に対応する光線を第2入力光線20b、画像の中央の画素に対応する光線を第3入力光線20c、画像の右上の画素に対応する光線を第4入力光線20d、画像の右下の画素に対応する光線を第5入力光線20eとする。
【0033】
投影部120は、例えば、このような投影光Lを無限遠または所定の位置に正立虚像を作る様に投影基板100の入射領域210に照射する。入射領域210に入射した投影光は、中間領域220を経て出射領域230から画像光Pとして出射される。画像光Pは、出射領域230から出射され、投影基板100から距離dだけ離れたユーザの眼に入射する。そして、画像光Pは、ユーザの眼の網膜で画像M2として結像する。このように、画像光Pは、画像M2として結像する複数の光線束を含む。
【0034】
図4において、投影基板100の出射領域230の円形領域Cから照射され、所定の位置で結像する複数の光線束のうち5つの光線束を出力光線束30として示す。例えば、画像の右下の画素として結像する光線束を第1出力光線束30a、画像の右上の画素として結像する光線束を第2出力光線束30b、画像の中央の画素として結像する光線束を第3出力光線束30c、画像の左下の画素として結像する光線束を第4出力光線束30d、画像の左上の画素として結像する光線束を第5出力光線束30eとする。
【0035】
それぞれの光線束は、投影部120から入射した複数の入力光線20のそれぞれに対応する。例えば、第1出力光線束30aは、第1入力光線20aに対応しており、第1入力光線20aが投影基板100の入射領域210から出射領域230までの間に複数回の分岐及び複数回の回折等によって発生した複数の光線を含む。同様に、第2出力光線束30bは第2入力光線20bに、第3出力光線束30cは第3入力光線20cに、第4出力光線束30dは第4入力光線20dに、第5出力光線束30eは第5入力光線20eに、それぞれ対応する。
【0036】
言い換えると、出射領域230から出射される画像光Pがユーザの眼の網膜で結像した画像M2は、投影部120が照射した投影光Lが投影する画像M1に対応する。これにより、眼鏡型端末10を装着したユーザは、投影基板100越しに見る風景に重ねて、投影基板100の第2面に画像M2が投影されているように感じることができる。言い換えると、出射領域230は、投影光Lが投影する画像M1に対応する画像M2を表示させる表示領域として機能する。
【0037】
図4において、ユーザが観測する画像M2は、投影光Lが投影する画像M1を上下及び左右に反転した画像となる例を示す。なお、投影光Lが投影する画像M1は、静止画であってもよく、これに代えて、動画であってもよい。以上のように、入射した投影光Lに対応する画像光Pを出射する投影基板100について次に説明する。
【0038】
<投影基板100の構成例>
図5は、本実施形態に係る投影基板100の構成例を示す。図3は、投影基板100の第1面及び第2面がXY平面と略平行に配置されている例を示す。投影基板100は、第1面から入射した光の少なくとも一部を第1面の反対側の第2面へと透過させつつ、第2面に画像光を投影させるための光導波部200を有する基板である。投影基板100は、一例として、ガラス基板である。投影基板100は、入射領域210、中間領域220、及び出射領域230を有する光導波部200を備える。
【0039】
<入射領域210の例>
入射領域210は、画像光を投影させるための投影光が入射し、入射した投影光を中間領域220に向けて導波する。図5は、入射領域210がXY平面と略平行な面において、円形の形状を有する例を示すが、これに限定されることはない。入射領域210は、投影光を中間領域220へと導波できればよく、楕円形、多角形、台形等の形状を有してよい。
【0040】
入射領域210は、複数の第1溝部212が第1周期で形成されている入射回折格子を有する。言い換えると、複数の第1溝部212は、予め定められた溝の幅及び間隔で投影基板100の上面に同一方向に配列されていることにより、回折格子として機能する。入射領域210は、反射型又は透過型の入射回折格子を有し、反射型回折又は透過型回折によって中間領域220の方向に投影光を導く。複数の第1溝部212の第1周期は、例えば、10nm程度から10μm程度の範囲である。
【0041】
複数の第1溝部212は、例えば、入射領域210から中間領域220に向かう方向に配列されている。ここで、入射領域210から中間領域220に向かう投影光の進行方向を第1方向とする。図5は、第1方向がX軸方向と略平行な方向であり、Y軸方向と略平行な方向に延伸する第1溝部212が第1方向に配列されている例を示す。投影光は、収束しつつ入射領域210に入射するので、入射領域210は、投影基板100の面内において第1方向を中心として広がり角を有するように投影光を中間領域220へと導波する。
【0042】
<中間領域220の例>
中間領域220は、入射領域210から入射した投影光の一部を出射領域230に向けて導波する。中間領域220は、XY平面と略平行な面において、投影光が通過する領域に設けられている。中間領域220は、反射型の中間回折格子を有し、反射型回折によって出射領域230の方向へと投影光を導く。中間領域220は、例えば、第1方向を長手方向とした長方形の形状を有する。
【0043】
なお、投影光は第1方向を中心に広がりながら進行するので、中間領域220は、入射領域210から離れるにつれて、入射領域210を通り投影光の進行方向である第1方向から離れるように広がる形状を有していることが好ましい。中間領域220は、例えば、XY平面と略平行な面において、台形、扇型等の形状を有する。図5は、中間領域220が台形の形状を有する例を示す。このような形状の中間領域220は、投影光がXY平面において広がりながら進行する領域に対応して形成することができ、投影光を効率的に導波することができる。
【0044】
中間領域220は、複数の第2溝部222が第2周期で形成されている中間回折格子を有する。言い換えると、複数の第2溝部222は、予め定められた溝の幅及び間隔で投影基板100の上面に同一方向に配列されていることにより、回折格子として機能する。中間領域220は、例えば、反射型の中間回折格子として機能し、投影光を出射領域230へと導く。
【0045】
複数の第2溝部222の第2周期は、複数の第1溝部212の第1周期とは異なる周期である。第2周期は、投影光を出射領域230へと導くために適切な周期が選択されることが望ましい。第2周期は、例えば、10nm程度から10μm程度の範囲である。
【0046】
複数の第2溝部222は、例えば、予め定められた方向に配列されている。例えば、中間領域220から出射領域230に向かう方向を第2方向とし、第1方向と第2方向とがなす角を第1角度とする。この場合、複数の第2溝部222は、第1方向に対して第1角度の1/2の角度だけ第2方向に傾斜する方向に形成されている。図5は、第2方向がY軸方向と略平行な方向であり、第1角度が略90度であり、複数の第2溝部222が第1方向に対して略45度だけ第2方向に傾斜した方向に配列している例を示す。
【0047】
中間領域220は、入射した投影光の進行方向に配列されている複数の第1分割領域224を有する。複数の第1分割領域224に形成されている第2溝部222は、それぞれ深さが異なる。言い換えると、中間領域220において、入力した投影光のうち出射領域230へと導波される光の割合が第1分割領域224毎に異なるように、第2溝部222が形成されている。
【0048】
中間領域220は、3つ以上の第1分割領域224を有することが望ましい。このように、中間領域220は、複数の第1分割領域224に分割され、出射領域230に導波する投影光の光量を第1分割領域224毎に異ならせることにより、入射領域210からの距離によって強度が異なる投影光を出射領域230に導波しつつ、投影光の進行方向に対して垂直な方向の光量の分布を略一定に調節する。
【0049】
例えば、一の第1分割領域224に設けられている第2溝部222の深さが、一の第1分割領域224よりも入射領域210に近い第1分割領域224に設けられている第2溝部222の深さよりも大きくなるように第2溝部222が形成されている。この場合、複数の第1分割領域224のうち隣接する2つの第1分割領域224の第2溝部222の深さの変化率は、入射領域210から離れるほど大きくてもよい。
【0050】
一例として、図5に示すように、3つの第1分割領域224を有する中間領域220を考える。ここで、3つの第1分割領域224のうち最も入射領域210に近い第1分割領域224aは、入射した投影光の略1/4の光量の光を出射領域230に導波するように、第2溝部222aの深さが形成されているとする。この場合、最も入射領域210に近い第1分割領域224aに入射した投影光の残りの略3/4の光量は、隣接する第1分割領域224bに入射する。
【0051】
入射領域210に2番目に近い第1分割領域224bは、入射した投影光の略1/3の光量の光を出射領域230に導波するように、第2溝部222bの深さが形成されているとする。言い換えると、入射領域210に2番目に近い第1分割領域224bの第2溝部222bの深さは、入射領域210に最も近い第1分割領域224aと比較して4/3倍の光量の光を出射領域230に導波するように、第2溝部222aの深さよりも大きく形成されている。このような第1分割領域224bは、入射領域210に最も近い第1分割領域224aに入射した投影光の略1/4の光量の光を出射領域230に導波することになる。
【0052】
そして、最も入射領域210に近い第1分割領域224aに入射した投影光の残りの略1/2の光量は、隣接する第1分割領域224cに入射する。入射領域210に3番目に近い第1分割領域224cは、入射した投影光の略1/2の光量の光を出射領域230に導波するように、第2溝部222cの深さが形成されているとする。言い換えると、入射領域210に3番目に近い第1分割領域224cの第2溝部222cの深さは、入射領域210に2番目に近い第1分割領域224bと比較して3/2倍の光量の光を出射領域230に導波するように、第2溝部222bの深さよりも大きく形成されている。
【0053】
また、3つの第1分割領域224のうち隣接する2つの第1分割領域224の第2溝部222の深さの変化率は、入射領域210から離れるほど大きくなるように形成されている。そして、入射領域210に3番目に近い第1分割領域224cは、入射領域210に最も近い第1分割領域224aに入射した投影光の略1/4の光量の光を出射領域230に導波することになる。以上の例のように、中間領域220は、出射領域230に導波する投影光の光量を第1分割領域224毎に異ならせて所定の値にすることにより、それぞれの第1分割領域224に対応する出射領域230へと導波する投影光の光量をほぼ一定の分布にしつつ、投影光を出射領域230に導波できることがわかる。
【0054】
なお、中間領域220は、入射領域210から最も遠い位置に、第1反射領域226を更に有してもよい。図5は、中間領域220が3つの第1分割領域224と第1反射領域226とを有する例を示す。第1反射領域226は、複数の第1分割領域224を通過した光の少なくとも一部を再び複数の第1分割領域224へと反射する。第1反射領域226は、隣接する第1分割領域224の第2溝部222の深さよりも大きい深さの第2溝部222を有する。
【0055】
中間領域220がこのような第1反射領域226を有することにより、複数の第1分割領域224は、第1反射領域226が反射した光の少なくとも一部を出射領域230へと導波する。これにより、中間領域220は、より多くの投影光を出射領域230へと導波することができる。なお、複数の第1分割領域224の第2溝部222の深さは、それぞれの第1分割領域224が第1反射領域226による反射光を含めて出射領域230へと導波する投影光の光量を略一定にさせるように決められていてもよい。
【0056】
<出射領域230の例>
出射領域230は、中間領域220から入射した投影光の少なくとも一部を導波して投影基板100の第2面から画像光として出射する。図5は、出射領域230がXY平面と略平行な面において、X軸方向を長手方向とした長方形の形状を有する例を示すが、これに限定されることはない。出射領域230は、投影光を導波して画像光として出射できればよく、例えば、Y軸方向を長手方向とした長方形、正方形、台形等の形状を有してよい。
【0057】
出射領域230は、複数の第3溝部232が第3周期で形成されている出射回折格子を有する。言い換えると、複数の第3溝部232は、予め定められた溝の幅及び間隔で投影基板100の上面に同一方向に配列されていることにより、回折格子として機能する。出射領域230は、反射型又は透過型の出射回折格子を有し、反射型回折又は透過型回折によってユーザの眼の方向に画像光を導く。
【0058】
出射領域230に設けられている複数の第3溝部232の第3周期は、中間領域220の複数の第2溝部222の第2周期とは異なる周期である。出射領域230の複数の第3溝部232の第3周期は、入射領域210の複数の第1溝部212の第1周期と同一の周期であってもよい。このように、投影光が入射する領域と画像光を出射する領域とに設けられている回折格子の周期を略一致させることで、ユーザが観察する画像に発生する歪み等を低減できる。第3周期は、例えば、10nm程度から10μm程度の範囲である。
【0059】
複数の第3溝部232は、例えば、中間領域220から出射領域230に向かう第2方向に配列されている。図5は、第1方向に延伸する第3溝部232が第2方向に配列している例を示す。
【0060】
出射領域230は、中間領域220と同様に、中間領域220から入射した投影光の進行方向に配列されている複数の第2分割領域234を有する。複数の第2分割領域234に形成されている第3溝部232は、それぞれ深さが異なる。言い換えると、出射領域230において、入力した投影光のうち画像光として出射する光の割合が第2分割領域234毎に異なるように、第3溝部232が形成されている。
【0061】
出射領域230は、2つ以上の第2分割領域234を有することが望ましい。例えば、一の第2分割領域234に設けられている第3溝部232の深さは、一の第2分割領域234よりも中間領域220に近い第2分割領域234に設けられている第3溝部232の深さよりも大きく形成されている。また、出射領域230が3つ以上の第2分割領域234を有する場合、隣接する2つの第2分割領域234の第3溝部232の深さの変化率は、中間領域220から離れるほど大きくしてもよい。
【0062】
以上のように、出射領域230は、複数の第2分割領域234に分割され、画像光として出射する光の光量を第2分割領域234毎に異ならせる。これにより、出射領域230は、中間領域220の複数の第1分割領域224と同様に、投影光を画像光として導波しつつ、観測者が画像光を画像として観測した場合に画像全体の光量の分布を略一定に調節できる。
【0063】
出射領域230は、中間領域220から最も遠い位置に、第2反射領域236を更に有してもよい。図5は、出射領域230が2つの第2分割領域234と第2反射領域236とを有する例を示す。第2反射領域236は、複数の第2分割領域234を通過した光の少なくとも一部を再び複数の第2分割領域234へと反射する。第2反射領域236は、隣接する第2分割領域234の第3溝部232の深さよりも大きい深さの第3溝部232を有する。
【0064】
出射領域230がこのような第2反射領域236を有することにより、複数の第2分割領域234は、第2反射領域236が反射した光の少なくとも一部を投影基板100の第2面から画像光として出射する。これにより、出射領域230は、中間領域220と同様に、より多くの投影光を画像光として出射することができる。なお、複数の第2分割領域234の第3溝部232の深さは、それぞれの第2分割領域234が第2反射領域236による反射光を含めて画像光として出射する光の光量を略一定にさせるように決められてもよい。
【0065】
以上のように、本実施形態に係る投影基板100は、入射領域210に入射する投影光を中間領域220の複数の第1分割領域224毎に異なる割合で投影光を分岐させつつ、出射領域230から画像光として出射する。これにより、投影基板100は、ユーザに観察させる投影画像の輝度のバラツキを低減できる。また、投影基板100は、出射領域230においても、複数の第2分割領域234毎に異なる割合で画像光を出射することで、画像の輝度のバラツキを更に低減できる。
【0066】
このような投影基板100は、ガラス基板等の表面又は裏面に、入射領域210、中間領域220、及び出射領域230に対応する回折格子を形成することで実現できる。なお、回折格子を形成する溝部は、例えば、レジスト、樹脂等である。したがって、本実施形態に係る投影基板100は、複雑な光学系を組み込むことなく、予め定められた周期、深さの溝部を領域毎に形成することで簡便に生産できる基板である。
【0067】
<眼鏡型端末10の第2構成例>
以上において、右目用及び左目用の投影光学系50にはそれぞれ1つの投影基板100がフレーム110に設けられており、対応する投影部120が投影光をそれぞれの投影基板100の入射領域210に照射する眼鏡型端末10の例を既に説明したが、これに限定されることはない。例えば、1つの投影光学系50には、複数の投影基板100が設けられていてもよい。このような眼鏡型端末10について次に説明する。
【0068】
図6は、本実施形態に係る眼鏡型端末10の第2構成例を示す。第2構成例の眼鏡型端末10において、図1に示された本実施形態に係る眼鏡型端末10の動作と略同一のものには同一の符号を付け、説明を省略する。第2構成例の眼鏡型端末10の外観は、図1に示された眼鏡型端末10とほとんど変わらない外観でよい。
【0069】
第2構成例の眼鏡型端末10のフレーム110には、複数の投影基板100が固定されている。この場合、複数の投影基板100にそれぞれ設けられている出射領域230がXY平面と略平行な平面視で少なくとも一部が重なるように、複数の投影基板100がフレーム110に固定されている。図6は、眼鏡型端末10のフレーム110に3つの投影基板100R、投影基板100G、及び投影基板100Bが固定されており、3つの投影基板100の出射領域230R、出射領域230G、及び出射領域230BがXY平面における平面視で重なっている例を示す。
【0070】
投影部120は、複数の投影基板100のそれぞれに設けられている入射領域210に異なる波長の投影光をそれぞれ照射する。これにより、複数の投影基板100にそれぞれ設けられている出射領域230は、投影部120から複数の入射領域210にそれぞれ照射された投影光に対応する画像光を複数の投影基板100の第2面からユーザの眼へとそれぞれ出射する。
【0071】
このような眼鏡型端末10を装着したユーザは、異なる波長の画像光が重畳された画像を観察することになるので、混色の色を有する画像を観察することができる。図6は、投影部120が画像を形成する赤、緑、及び青といったRGBの三原色に対応する3つの投影光を3つの投影基板100の入射領域210にそれぞれ照射する例を示す。そして、3つの投影基板100は、RGBの三原色に対応する3つの画像光を重畳してユーザの眼へと出射する。これにより、ユーザは、例えば、2の複数の色を有する画像を観察することができる。ここで、nは、4、8、16、24等の正の整数である。
【0072】
<眼鏡型端末10の第3構成例>
以上の眼鏡型端末10において、ユーザに向けて射出すべき画像光の一部が、ユーザとは異なる方向に漏れ光として出射してしまうことがあった。例えば、投影基板100の第2面から射出する画像光の一部が、光導波部200の回折格子によって投影基板100の第1面から射出してしまうことがある。この場合、ユーザを見ている人は、ユーザの目が光っているように見えてしまい、不快に感じることがある。そこで、本実施形態に係る眼鏡型端末10は、このような漏れ光を低減できるように構成されてもよい。このような構成について次に説明する。
【0073】
図7は、本実施形態に係る眼鏡型端末10の第3構成例を示す。第3構成例の眼鏡型端末10において、図1に示された本実施形態に係る眼鏡型端末10の動作と略同一のものには同一の符号を付け、説明を省略する。なお、図7は、投影部120を省略した図である。第3構成例の眼鏡型端末10の外観は、図1に示された眼鏡型端末10とほとんど変わらない外観でよい。
【0074】
第3構成例の眼鏡型端末10において、投影光学系50は、偏光低減板310を更に備える。偏光低減板310は、投影基板100の光導波部200に対して投影基板100の第1面の側に空気層を介して設けられている。このように、偏光低減板310は、光導波部200の光学特性に影響を与えないように、光導波部200からは離れて設けられている。
【0075】
偏光低減板310は、光導波部200の少なくとも一部を覆い、投影基板100の第1面から漏洩する画像光の偏光方向の光を低減させる。偏光低減板310は、出射領域230の出射回折格子の少なくとも一部を覆う。これにより、偏光低減板310は、出射回折格子から漏洩した画像光を受光することができる。
【0076】
出射回折格子から漏洩した画像光は、光導波部200の複数の回折格子を導波した光なので、光導波部200の構造に対応して一方向に偏光した光になる。そこで、偏光低減板310は、投影基板の第1面から漏洩した画像光の偏光方向の光を低減させるように設けられる。
【0077】
これにより、偏光低減板310は、他者が眼鏡型端末10を装着したユーザを見ても、画像光が気にならない程度以下に、漏洩した画像光の強度を低減させることができる。また、偏光低減板310は、漏洩した画像光の偏光方向に対して垂直な偏光方向の光を透過させるので、外界の光を透過してユーザに視認させることができる。
【0078】
図7は、偏光低減板310が、投影基板100の第1面と対向して設けられている偏光フィルタを有する例を示す。偏光フィルタは、入力した光のうち所定の方向の直線偏光の成分を減衰させる偏光板、偏光フィルム等である。偏光低減板310は、フレーム110又は投影基板100に固定されていることが望ましい。なお、偏光低減板310は、偏光フィルタが回転可能に設けられており、低減させる光の偏光方向(吸収軸)を調節可能であってもよい。また、偏光低減板310は、透明な基板等にコーティングされた偏光膜でもよい。このような偏光低減板310について次に説明する。
【0079】
<眼鏡型端末10の第4構成例>
図8は、本実施形態に係る眼鏡型端末10の第4構成例を示す。第4構成例の眼鏡型端末10において、図1及び図7に示された本実施形態に係る眼鏡型端末10の動作と略同一のものには同一の符号を付け、説明を省略する。第4構成例の眼鏡型端末10の外観は、図1に示された眼鏡型端末10とほとんど変わらない外観でよい。
【0080】
第4構成例の眼鏡型端末10において、偏光低減板310は、保護基板320と偏光膜330とを備える。保護基板320は、投影基板100の第1面と対向して設けられている。保護基板320は、ガラス基板、プラスチック基板等の少なくとも可視光に対して透明な基板である。
【0081】
偏光膜330は、保護基板320の投影基板100とは反対側の第3面及び投影基板100に対向する第4面のうち少なくとも一方にコーティングされている。図8は、偏光膜330が保護基板320の第3面にコーティングされている例を示す。
【0082】
偏光膜330は、偏光フィルタと同様に、入力した光のうち所定の方向の直線偏光の成分を減衰させる薄膜である。偏光膜330は、保護基板320の一部又は全部にコーティングされていてもよい。
【0083】
このように保護基板320及び偏光膜330を有する偏光低減板310も、図7で説明した偏光低減板310と同様に、出射回折格子から漏洩した画像光の強度を低減させることができ、また、外界の光を透過してユーザに視認させることができる。保護基板320は、フレーム110又は投影基板100に固定されていることが望ましい。また、保護基板320は、回転可能に設けられており、偏光低減板310の吸収軸の方向を調節可能に構成されていてもよい。
【0084】
以上の本実施形態に係る眼鏡型端末10は、簡便な構成でユーザに観察させる画像光の漏れ光を低減できる。なお、眼鏡型端末10において、偏光低減板310の透過軸が調節可能である例を説明したが、これに限定されることはない。これに代えて、又はこれに加えて、眼鏡型端末10は、画像光の偏光方向が調節可能に構成されていてもよい。
【0085】
例えば、投影部120は、入射領域210に照射する投影光の偏光方向を調節する偏光調節部を有する。偏光調節部は、例えば、直線偏光の偏光方向を回転させる波長板等を有する。偏光調節部は、投影基板100の第1面から漏洩する画像光の偏光方向と、偏光低減板310が光の強度を低減させる偏光方向とを略一致させるように調節する。このような投影部120は、光導波部200において投影光を効率よく導波させつつ、偏光低減板310で適切に漏洩光を低減させるように、当該投影光の偏光方向を調節できる。
【0086】
また、偏光調節部は、出射回折格子から漏洩した画像光の偏光方向が水平方向になるように、投影光の偏光方向を調節してもよい。この場合、偏光低減板310の吸収軸は水平方向と略一致させる。すると、外界からの光のうち水平方向の光は偏光低減板310によって低減することになる。これにより、眼鏡型端末10は、水面等の水平面からの反射光を低減させる偏光眼鏡として機能することもできる。
【0087】
以上の第3構成例及び第4構成例の眼鏡型端末10は、図6で説明したように、投影光学系50が複数の投影基板100を備え、異なる波長の複数の画像光が重畳された画像をユーザに観察させてもよい。この場合、複数の画像光の偏光方向が略一致していることが望ましい。
【0088】
偏光低減板310は、複数の投影基板100のユーザとは反対側に設けられていることが望ましい。図6は、投影光学系50が3枚の投影基板100と、3枚の投影基板100のユーザとは反対側に設けられている1枚の偏光低減板310とを有する例を示している。
【0089】
この場合においても、投影部120は、入射領域210に照射する複数の投影光のうち少なくとも1つの投影光の偏光方向を調節する偏光調節部を有してよい。そして、偏光調節部は、投影基板100の第1面から漏洩する画像光に含まれている複数の投影光のうち少なくとも1つの投影光の偏光方向と、偏光低減板310が光の強度を低減させる偏光方向とを略一致させるように調節する。これにより、投影部120は、光導波部200において少なくとも1つの投影光を効率よく導波させつつ、偏光低減板310で適切に当該投影光に対応する漏洩光を低減させるように当該投影光の偏光方向を調節できる。
【0090】
なお、投影部120は、入射領域210に照射する複数の投影光に対応して、複数の投影光の偏光方向を調節する偏光調節部を複数有してもよい。この場合、投影部120は、光導波部200において複数の投影光を効率よく導波させつつ、偏光低減板310で適切に複数の投影光に対応する漏洩光を低減させるように複数の投影光の偏光方向を調節できる。
【0091】
以上の本実施形態に係る眼鏡型端末10において、投影基板100の光導波部200が入射領域210、中間領域220、及び出射領域230を有する例を説明したが、これに限定されることはない。光導波部200は、投影部120から入射した投影光をユーザに観察させるための画像光として出力できればよく、入射領域210、中間領域220、及び出射領域230の形状等は他の形状であってもよい。また、光導波部200は、例えば、入射領域210及び出射領域230を有し、中間領域220を有さない構成であってもよい。
【0092】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0093】
10 眼鏡型端末
20 入力光線
30 出力光線束
50 投影光学系
100 投影基板
110 フレーム
120 投影部
200 光導波部
210 入射領域
212 第1溝部
220 中間領域
222 第2溝部
224 第1分割領域
226 第1反射領域
230 出射領域
232 第3溝部
234 第2分割領域
236 第2反射領域
310 偏光低減板
320 保護基板
330 偏光膜
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8