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▶ 永玉榮 正光の特許一覧

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  • 特許-絞り具、絞り具の製造方法及び絞り方法 図1
  • 特許-絞り具、絞り具の製造方法及び絞り方法 図2
  • 特許-絞り具、絞り具の製造方法及び絞り方法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-27
(45)【発行日】2025-04-04
(54)【発明の名称】絞り具、絞り具の製造方法及び絞り方法
(51)【国際特許分類】
   B05C 17/02 20060101AFI20250328BHJP
   B05D 1/18 20060101ALI20250328BHJP
【FI】
B05C17/02
B05D1/18
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021033220
(22)【出願日】2021-03-03
(65)【公開番号】P2022134227
(43)【公開日】2022-09-15
【審査請求日】2023-12-28
(73)【特許権者】
【識別番号】520147991
【氏名又は名称】永玉榮 正光
(74)【代理人】
【識別番号】100174805
【弁理士】
【氏名又は名称】亀山 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】永玉榮 正光
【審査官】山崎 晶
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-076878(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0138750(US,A1)
【文献】特開2008-049218(JP,A)
【文献】登録実用新案第3228521(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2004/0149320(US,A1)
【文献】特開昭59-145826(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05C 17/02
B05D 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ローラ軸と、前記ローラ軸に対し回動自在な筒状のコアと、前記コアに設けられたローラ本体と、を備えた塗装ローラの絞り具であって、
絞り機構と、
前記絞り機構に設けられた柄と、を備え、
前記絞り機構は、筒部材を備え、
前記筒部材の一端側から他端側に向かうに従い前記筒部材の開口の寸法が小さくなっており、
前記筒部材の他端側開口は、前記ローラ本体が当たる寸法となっており、
前記柄のうち前記筒部材とは反対側の位置にマグネットが設けられることを特徴とする絞り具。
【請求項2】
前記筒部材には切り欠きが形成され、
前記切り欠きは、前記ローラ軸が通過可能となっていることを特徴とする請求項1記載の絞り具。
【請求項3】
前記柄は、前記筒部材の前記一端側に設けられることを特徴とする請求項1または2記載の絞り具。
【請求項4】
前記柄は、
前記筒部材の径方向に延びる基部と、
前記基部の先端から延びる柄本体部と、を備えていることを特徴とする請求項1ないし3のうちいずれか1項記載の絞り具。
【請求項5】
柄部材と、前記柄部材の先端部において左右に延びる左部材及び右部材と、を備えるワークに対し、
前記左部材の先端と前記右部材の先端とが近づくように前記左部材及び前記右部材を曲げることを特徴とする絞り具の製造方法。
【請求項6】
前記左部材及び前記右部材は、それぞれ前記柄部材の先端部から延び、
前記左部材の先端部は前記柄部材の基端部とは反対側に向かって延び、
前記右部材の先端部は前記柄部材の基端部とは反対側に向かって延びることを特徴とする請求項5記載の絞り具の製造方法。
【請求項7】
前記左部材及び前記右部材は板状に形成されることを特徴とする請求項記載の絞り具の製造方法。
【請求項8】
請求項1ないし4のうちいずれか1項記載の絞り具を用いた絞り方法であって、
前記筒部材の他端側開口に対して前記ローラ本体を当てる絞りステップを備え、
前記絞りステップでは、
前記筒部材の他端側の開口から前記筒部材の一端側に向けて前記コアの移動を行うことを特徴とする絞り方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、絞り具、絞り具の製造方法及び絞り方法に関する。
【背景技術】
【0002】
塗装用ローラを絞る絞り具として、柄と、柄の先に設けられた環状体と、を備えるものが知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-76878号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、特許文献1の絞り具は、製造コストが高くなってしまう。
【0005】
本発明は、斯かる実情に鑑み、製造コストの安い絞り具を提供しようとするものである。さらに、絞り具の製造方法及び絞り具を用いた絞り方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ローラ軸と、前記ローラ軸に対し回動自在な筒状のコアと、前記コアに設けられたローラ本体と、を備えた塗装ローラの絞り具であって、絞り機構と、前記絞り機構に設けられた柄と、を備え、前記絞り機構は、筒部材を備え、前記筒部材の一端側から他端側に向かうに従い前記筒部材の開口の寸法が小さくなっており、前記筒部材の他端側開口は、前記ローラ本体が当たる寸法となっており、前記柄のうち前記筒部材とは反対側の位置にマグネットが設けられることを特徴とする。また、前記筒部材には切り欠きが形成され、前記切り欠きは、前記ローラ軸が通過可能となっていることが好ましい。前記柄は、前記筒部材の前記一端側に設けられることが好ましい。前記柄は、前記筒部材の径方向に延びる基部と、前記基部の先端から延びる柄本体部と、を備えていることが好ましい。
【0007】
本発明の絞り具の製造方法は、柄部材と、前記柄部材の先端部において左右に延びる左部材及び右部材と、を備えるワークに対し、前記左部材の先端と前記右部材の先端とが近づくように前記左部材及び前記右部材を曲げることを特徴とする。また、前記左部材及び前記右部材は、それぞれ前記柄部材の先端部から延び、前記左部材の先端部は前記柄部材の基端部とは反対側に向かって延び、 前記右部材の先端部は前記柄部材の基端部とは反対側に向かって延びることが好ましい。前記左部材及び前記右部材は板状に形成されることが好ましい。
【0008】
本発明は、上記の絞り具を用いた絞り方法であって、前記筒部材の他端側開口に対して前記ローラ本体を当てる絞りステップを備え、前記絞りステップでは、前記筒部材の他端側の開口から前記筒部材の一端側に向けて前記コアの移動を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、製造コストの安い絞り具、絞り具の製造方法及び絞り方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】絞り具の概要を示す斜視図である。
図2】絞り具の原形となるワークの展開図である。
図3】絞り具(変形例)の概要を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1に示すように、絞り具2は、塗装ローラRを絞るためのものであって、絞り機構10と、先端に絞り機構10が形成された柄20と、を備える。
【0012】
塗装ローラRは、ローラ軸RXと、ローラ軸RXに対し回動自在な筒状のコアRCと、コアRCに設けられた筒状のローラ本体RNと、を備える。コアRCとローラ本体RNとは同軸状となっている。ローラ本体RNは、毛やスポンジなど塗料を吸い込むことができる材料からなる。塗料にローラ本体RNを浸すと、塗料はローラ本体RNに染み込む。ローラ本体RNを塗装エリアに押し当てることで、ローラ本体RNに染み込んだ塗料は塗装エリアに塗布される。
【0013】
絞り機構10は、筒部材11を備える。筒部材11の一端側開口部11Aは、ローラ本体RNの外径よりも大きい径の開口が形成される。このため、筒部材11の一端側開口部11Aは、ローラ本体RNが自身の軸方向において通過可能となっている。筒部材11の他端側開口部11Bは、コアRCの外径よりも大きく、ローラ本体RNの外径よりも小さい径の開口が形成される。このため、筒部材11の他端側開口部11Bは、コアRCが自身の軸方向において通過可能であるとともにローラ本体RNが当たる。また、筒部材11の一端側から他端側に向かうに従い筒部材11の開口の径が小さくなっていることが好ましい。そして、筒部材11は、テーパ状となっていることが好ましい。
【0014】
筒部材11には、切り欠き11Kが形成されていてもよい。切り欠き11Kは、ローラ軸RXが通過可能となっていることが好ましい。筒部材11の軸方向XからみてC字状となっていることが好ましい。切り欠き11Kは、筒部材11の軸方向Xに延びることが好ましい。
【0015】
柄20は、筒部材11の一端側に設けられることが好ましい。柄20は、筒部材11の径方向Yに対して鋭角に交わる方向へ向かって延びる。なお、柄20は、筒部材11の軸方向Xに延びてもよい。
【0016】
次に、絞り具2の使用方法について説明する。
【0017】
図1に示すように、ローラ本体RNの軸方向が鉛直方向となるように、塗装ローラRの柄REを持つ。次に、筒部材11の軸方向Xがローラ本体RNの軸方向と同軸状となるように絞り具2を持つ。このとき、筒部材11の他端側開口部11Bが、塗装ローラRのローラ本体RNに正対する。
【0018】
筒部材11を塗装ローラRに近づけると、筒部材11の他端側開口部11Bに対してローラ本体RNの一端側を当てる絞りステップが行われる。このようにして、他端側開口部11Bが塗装ローラRのローラ本体RNに押し当てられる結果、塗料を含むローラ本体RNを絞ることができる。
【0019】
他端側開口部11Bがローラ本体RNの中途部まで進むと、ローラ本体RNの一端側において筒部材11の径が大きくなるため、押し当てが解かれ、塗装ローラRのローラ本体RNは自信の復元力によって元の形に戻ろうとする。このとき、ローラ本体RNは、筒部材11の中にあるため、ローラ本体RNの復元時に飛び散る塗料は、筒部材11が遮るため、筒部材11の周囲に塗料が飛び散ることがない。
【0020】
次に、絞り具2の製造方法について説明する。
【0021】
図2に示すように、ワーク30は、絞り具2を形成するための部品であり、板状の部材から形成される。ワーク30は、柄部材31と、柄部材31の先端部において左右に延びる左部材33及び右部材34と、を備える。ワーク30は、金属製であることが好ましい。
【0022】
柄部材31は、基端部(図中の上端部)から先端部(図中の下端部)までまっすぐ延びる。左部材33及び右部材34は、それぞれ柄部材31の先端部から左右に向かって延びる。左部材33の先端部は柄部材31の基端部とは反対側に向かって延びる。右部材34の先端部は柄部材31の基端部とは反対側に向かって延びる。左部材33及び右部材34は湾曲となっていることが好ましい。そして、湾曲部分の凸部(図中の上部)から柄部材31が延びる。
【0023】
左部材33の先端と右部材34の先端とが近づくように(紙面方向手前側に)左部材33及び右部材34を湾曲させると、紙面上方向からみてC字状となる。このようにして、左部材33及び右部材34が筒部材11となり、柄部材31が柄20となり、ワーク30から絞り具2(図2)を製造することができる。左部材33及び右部材34が湾曲となっているため、テーパ状の筒部材11を形成することができる。
【0024】
ワーク30は、板状の部材から形成されるため、曲げ工程のみにより、絞り具を作ることができる。このため、製造コストを抑えることができる。
【0025】
上記実施形態では、筒部材11の他端側開口部11Bに対してローラ本体RNの一端側を当てる絞りステップを行ったが、本発明はこれに限られず、筒部材11の一端側開口部11Aからローラ本体RNの一端側を導入してもよい。
【0026】
上記実施形態では、切り欠き11Kを筒部材11の軸方向Xに延ばしたが、本発明はこれに限られず、軸方向Xに対して斜め方向に延びてもよい。
【0027】
上記実施形態では、柄20は、筒部材11の径方向Yに対して鋭角に交わる方向へ向かって延びていたが、本発明はこれに限られない。例えば、図3に示すように、柄20は、筒部材11の径方向Yに延びる基部22と、基部22の先端から径方向Yに対して鋭角に交わる方向へ向かって延びる柄本体部21と、を備えていてもよい。基部22を設けることにより、ローラ本体RNに付着した塗料等が柄本体部21に付着しにくくなる。
【0028】
また、柄20において、マグネット25を設けてもよい。マグネット25は、柄20のうち、筒部材11とは反対側に設けられることが好ましい。これにより、鉄製の缶や鉄製のバケツ等に対して絞り具2を固定することができる。このため、片手で保持した塗装ローラRを移動させるだけで、塗料を含むローラ本体RNを絞ることができる。
【0029】
上記実施形態では、柄20を筒部材11の一端側からのばしたが、本発明はこれに限られず、柄20を筒部材11の他端側からのばしてもよい。
【0030】
尚、本発明は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0031】
2 絞り具
10 絞り機構
11 筒部材
11A 一端側開口部
11B 他端側開口部
11K 切り欠き
20 柄
30 ワーク

図1
図2
図3