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特許7656965インテリジェント航行作業リスク警告方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-27
(45)【発行日】2025-04-04
(54)【発明の名称】インテリジェント航行作業リスク警告方法
(51)【国際特許分類】
   B63B 45/08 20060101AFI20250328BHJP
   B63B 21/66 20060101ALI20250328BHJP
   B63B 79/20 20200101ALI20250328BHJP
   G05D 1/622 20240101ALI20250328BHJP
   G05D 1/633 20240101ALI20250328BHJP
   G06Q 10/047 20230101ALI20250328BHJP
【FI】
B63B45/08
B63B21/66
B63B79/20
G05D1/622
G05D1/633
G06Q10/047
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023562323
(86)(22)【出願日】2023-03-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-22
(86)【国際出願番号】 CN2023081178
(87)【国際公開番号】W WO2024108815
(87)【国際公開日】2024-05-30
【審査請求日】2023-10-10
(31)【優先権主張番号】202211457612.4
(32)【優先日】2022-11-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520154254
【氏名又は名称】江蘇科技大学
【氏名又は名称原語表記】JIANGSU UNIVERSITY OF SCIENCE AND TECHNOLOGY
【住所又は居所原語表記】No.2 Mengxi Road,Zhenjiang,Jiangsu 212003,China
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】羅 小芳
(72)【発明者】
【氏名】白 旭
(72)【発明者】
【氏名】劉 ▲啓▼新
(72)【発明者】
【氏名】楊 立
(72)【発明者】
【氏名】張 海華
(72)【発明者】
【氏名】凌 浩
【審査官】福田 信成
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第103207937(CN,A)
【文献】中国実用新案第210166942(CN,U)
【文献】特開2021-070408(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第110570690(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0251849(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63B 45/08
B63B 21/66
B63B 79/20
G06Q 10/047
G05D 1/622
G05D 1/633
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
船舶領域モデルに基づいて航行安全領域を決定するステップと、
航行海域の情報を取得し、かつ衝突予防援助装置に導入するステップと、
本船の航行速度、本船の針路、水面障害物情報及び水中障害物情報に基づいて接近点座標を予測するステップと、
現在の航路の下で、前記接近点座標が前記航行安全領域の範囲内にあると、航路を再計画するステップと、
風、波、流、海霧、降雨の影響に基づいて航行安全領域半径を設定することと、を含み、
船舶領域モデルに基づいて航行安全領域を決定するステップは、
船の中心を原点とし、船首方向をx軸正の向き、船首に垂直な方向をy軸正の向きとし、座標系を確立すること、を含み、
前記航行安全領域の境界層方程式は以下の式によって表されることを特徴とするインテリジェント航行作業リスク警告方法。
【数13】
(ここで、R は航行安全領域の縦方向前半径、R は航行安全領域の縦方向後半径、R は航行安全領域の横方向左半径、R は航行安全領域の横方向右半径、Lは船舶の長さ、V は船舶航行時のリアルタイム航行速度である。)
【数14】
【数15】
(ここで、k 、k 、k 、k 、k ∈[0,1]、それぞれ風、波、流、海霧、降雨の影響係数である。)
【数16】
【数17】
【数18】
(ここで、sgn(*)は符号判別関数である。)
【請求項2】
水面障害物が他の船舶であり、かつ他の前記船舶に船舶自動識別装置が搭載されている場合、前記船舶自動識別装置を通じて船位、航行速度、針路、船名、呼出符号情報を相互に交換するステップと、
他の前記船舶に船舶自動識別装置が搭載されていない場合、赤外線サーマルイメージャーと可視光カメラを通じて他の前記船舶を識別し、かつレーザレーダを通じて他の前記船舶の位置を決め、他の前記船舶の針路を決定し、2回の位置決めによって他の前記船舶の航行距離と航行時間を取得することにより、他の前記船舶のリアルタイム航行速度を取得し、前記衝突予防援助装置を通じて前記水面障害物の航行軌跡を取得するステップと、をさらに含むこと特徴とする請求項1に記載のインテリジェント航行作業リスク警告方法。
【請求項3】
ソナーを通じて水中障害物の速度と方位を探知するステップと、
前記衝突予防援助装置を通じて前記水中障害物の航行軌跡を取得するステップと、をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のインテリジェント航行作業リスク警告方法。
【請求項4】
前記水面障害物が航行中の船舶である場合、接近点が本船の航行安全領域内にある場合、前記接近点が本船の航行安全領域内になくなるまで、海上衝突予防法に基づいて前記船舶に回避信号を送信し、前記船舶が回避操作を行わない場合、前記船舶が本船の航行安全領域内に入ったとき、本船の針路と速度を変更し、前記船舶を能動的に回避するステップ、をさらに含むことを特徴とする請求項に記載のインテリジェント航行作業リスク警告方法。
【請求項5】
前記水面障害物が海上航行障害物である場合、能動的回避策をとるステップ、をさらに含むことを特徴とする請求項に記載のインテリジェント航行作業リスク警告方法。
【請求項6】
前記水中障害物が固定航行障害物である場合、前記ソナーにより前記固定航行障害物と本船との間の直線距離、及び前記固定航行障害物と水平面との間の夾角を測定するステップと、
前記固定航行障害物から水面までの垂直距離を計算するステップと、
前記固定航行障害物から水面までの垂直距離、及び本船の喫水深さの大きさを判断するステップと、
前記固定航行障害物から水面までの垂直距離が本船の喫水深さより大きい場合、前記固定航行障害物は本船に影響を与えないと判断するステップと、
前記固定航行障害物から水面までの垂直距離が本船の喫水深さよりも小さい場合、能動的回避策をとるステップと、をさらに含むことを特徴とする請求項に記載のインテリジェント航行作業リスク警告方法。
【請求項7】
前記水中障害物が移動航行障害物である場合、前記ソナーにより前記移動航行障害物の移動速度及び方向を取得するステップと、
前記衝突予防援助装置を用いて前記移動航行障害物の浮上軌跡を予測するステップと、前記移動航行障害物の前記浮上軌跡に基づいて本船の針路と航行速度を調整するステップと、をさらに含むことを特徴とする請求項に記載のインテリジェント航行作業リスク警告方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インテリジェント船舶航行制御技術分野に関し、具体的にはインテリジェント航行作業リスク警告方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ここ数年来、中国の造船業は比較的速いスピードで発展してきて、造船量は絶えず増加し、特にデジタルと知能技術の絶えずの進歩に伴い、モノのインターネット、情報技術、人工知能と5G通信技術の急速な発展に伴い、船舶領域全体はコンピュータ、デジタル化と知能化の面で大きな進歩を遂げた。
【0003】
インテリジェント船舶が航行する際、人為的な制御が不足し、人の思考、経験に頼ってリスクを事前に予測することができず、各種設備間の協力によって損失を低減するしかない。
【0004】
そのため、どのようにしてインテリジェント航行時に遭遇する可能性のある衝突リスクを早期に警告し、船舶自身の運行状態とリスクの大きさに基づいて、インテリジェント航行の意思決定システムにより船舶の既定航路を最適化し、リアルタイムでリスクを回避するかは、現在早急に解決すべき問題となっている。
【発明の概要】
【0005】
上記に鑑みて、本発明の実施例は、従来技術におけるインテリジェント船舶の航行中の船舶既定航路の最適化、リアルタイム避難における研究不足の問題を解決するためのインテリジェント航行作業リスク警告方法を提供する。
【0006】
本発明の実施例は、インテリジェント航行作業リスク警告方法を提供し、
船舶領域モデルに基づいて航行安全領域を決定するステップと、
航行海域の情報を取得し、かつ衝突予防援助装置に導入するステップと、
本船の航行速度、本船の針路、水面障害物情報及び水中障害物情報に基づいて接近点座標を予測するステップと、
現在の航路の下で、前記接近点座標が前記航行安全領域の範囲内にあると、航路を再計画するステップと、を含む。
【0007】
好ましくは、船舶領域モデルに基づいて航行安全領域を決定するステップは、
船の中心を原点とし、船首方向をx軸正の向き、船首に垂直な方向をy軸正の向きとし、座標系を確立すること、を含む。
【数1】
(ここで、Rは航行安全領域の縦方向前半径、Rは航行安全領域の縦方向後半径、Rは航行安全領域の横方向左半径、Rは航行安全領域の横方向右半径、Lは船舶の長さ、Vは船舶航行時のリアルタイム航行速度である。)
【0008】
好ましくは、風、波、流、海霧、降雨の影響に基づいて航行安全領域半径を設定すること、をさらに含む。
【数2】
【数3】
(ここで、k、k、k、k、k∈[0,1]、それぞれ風、波、流、海霧、降雨の影響係数である。)
【0009】
好ましくは、航行安全領域の境界層方程式は以下の式によって表される。
【数4】
【数5】
【数6】
(ここで、sgn()は符号判別関数である。)
【0010】
好ましくは、
水面障害物が他の船舶であり、かつ他の船舶に船舶自動識別装置が搭載されている場合、船舶自動識別装置を通じて船位、航行速度、針路、船名、呼出符号情報を相互に交換するステップと、
他の船舶に船舶自動識別装置が搭載されていない場合、赤外線サーマルイメージャーと可視光カメラを通じて他の船舶を識別し、かつレーザレーダを通じて他の船舶の位置を決め、他の船舶の針路を決定し、2回の位置決めによって他の船舶の航行距離と航行時間を取得することにより、他の船舶のリアルタイム航行速度を取得し、衝突予防援助装置を通じて水面障害物の航行軌跡を取得するステップと、をさらに含む。
【0011】
好ましくは、
ソナーを通じて水中障害物の速度と方位を探知するステップと、
衝突予防援助装置を通じて水中障害物の航行軌跡を取得するステップと、をさらに含む。
【0012】
好ましくは、
水面障害物が航行中の船舶である場合、接近点が本船の航行安全領域内にある場合、接近点が本船の航行安全領域内になくなるまで、海上衝突予防法に基づいて船舶に回避信号を送信し、船舶が回避操作を行わない場合、船舶が本船の航行安全領域内に入ったとき、本船の針路と速度を変更し、船舶を能動的に回避するステップ、をさらに含む。
【0013】
好ましくは、
水面障害物が海上航行障害物である場合、能動的回避策をとるステップ、をさらに含む。
【0014】
好ましくは、
水中障害物が固定航行障害物である場合、ソナーにより前記固定航行障害物と本船との間の直線距離、及び固定航行障害物と水平面との間の夾角を測定するステップと、
固定航行障害物から水面までの垂直距離を計算するステップと、
固定航行障害物から水面までの垂直距離、及び本船の喫水深さの大きさを判断するステップと、
固定航行障害物から水面までの垂直距離が本船の喫水深さより大きい場合、固定障害物は本船に影響を与えないと判断するステップと、
固定航行障害物から水面までの垂直距離が本船の喫水深さよりも小さい場合、能動的回避策をとるステップと、をさらに含む。
【0015】
好ましくは、
水中障害物が移動航行障害物である場合、ソナーにより移動航行障害物の移動速度及び方向を取得するステップと、
衝突予防援助装置を用いて移動航行障害物の浮上軌跡を予測するステップと、
移動航行障害物の浮上軌跡に基づいて本船の針路と航行速度を調整するステップと、をさらに含む。
【発明の効果】
【0016】
本発明の実施例の有益な効果は以下の通り、
クォータニオン船舶領域モデルを構築することにより、インテリジェント船舶の安全航行境界を決定し、各種設備を用いて水面と水中の情報を収集し、遭遇する可能性のある衝突リスクを予測し、新しい航路をタイムリーに計画し、針向や航行速度を調整し、衝突リスクをタイムリーに回避し、インテリジェント船舶の航行時にその衝突リスクをリアルタイムに予測し、その航行の安全性を高める。
【0017】
本発明の特徴及び利点は、図面を参照することによってより明確に理解され、図面は、概略的であり、本発明を限定するものとして理解されるべきではなく、図面において、
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施例におけるインテリジェント航行作業リスク警告方法のフローチャートである。
図2】本発明の実施例におけるインテリジェント船舶航行安全領域の概略図である。
図3】本発明の実施例におけるインテリジェント船舶と他の船舶との最小接近距離の概略図である。
図4】本発明の実施例における水中障害物から水面までの垂直距離の概略図である。
図5】本発明の実施例における他のインテリジェント航行作業リスク警告方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施例の目的、技術的態様及び利点をより明確にするために、以下に本発明の実施例の図面に関連して、本発明の実施例における技術的態様を明確に完全に説明する。明らかに、説明された実施例は本発明の一部の実施例であり、すべての実施例ではない。本発明における実施例に基づいて、当業者が創造的な労働を行うことなく得られる他のすべての実施例は、本発明の保護の範囲に属する。
【0020】
本発明の実施例は、インテリジェント航行作業リスク警告方法を提供し、図1に示すように、下記のステップを含み、
船舶領域モデルに基づいて航行安全領域を決定するステップS10。
【0021】
本実施例において、図2に示すように、船舶航行安全領域モデルを決定するときには、船の中心を原点とし、船首方向をx軸正の向き、船首に垂直な方向をy軸正の向きとし、座標系を確立し、下記数7に示すように、ここで、R、R、R、Rはそれぞれ船舶領域の縦方向の前後半径と横方向の左右半径を表し、その計算式は、以下の通り、
【数7】
(ここで、Rは航行安全領域の縦方向前半径、Rは航行安全領域の縦方向後半径、Rは航行安全領域の横方向左半径、Rは航行安全領域の横方向右半径、Lは船舶の長さ、Vは船舶航行時のリアルタイム航行速度である。)
【0022】
公式から見れば、船舶の長さが長く、速度が速いほど、その安全領域の半径値は大きくなり、船舶の領域の大きさは船舶の長さと航行速度の増大に伴って増大することが分かる。
【0023】
航行海域の情報を取得し、かつ衝突予防援助装置に導入するステップS20。
【0024】
本実施例において、すべての単位を均等に換算し、航行速度の単位が海里/時に統一された場合、針向の単位は経緯度に統一に表示され、衝突予防援助装置に導入した後、針向及び航路速度に基づいて航行障害物の未来時刻の航行軌跡を描画する。
【0025】
本船の航行速度、本船の針路、水面障害物情報及び水中障害物情報に基づいて接近点座標を予測するステップS30。
【0026】
本実施例において、他の船と本船との最小接近距離を幾何学的方法により決定する。
【0027】
現在の航路の下で、接近点座標が前記航行安全領域の範囲内にあると、航路を再計画するステップS40。
【0028】
本実施例において、インテリジェント航行の意思決定システムはその接近点を判定し、本船に危険をもたらす場合、インテリジェント意思決定システムはタイムリーに新しい航路を計画し、タイムリーに回避する。クォータニオン船舶領域モデルを構築することにより、インテリジェント船舶の安全航行境界を決定し、各種設備を用いて水面と水中の情報を収集し、遭遇する可能性のある衝突リスクを予測し、新しい航路をタイムリーに計画し、針向や航行速度を調整し、衝突リスクをタイムリーに回避し、インテリジェント船舶の航行時にその衝突リスクをリアルタイムに予測し、その航行の安全性を高める。
【0029】
オプションの実施形態として、
風、波、流、海霧、降雨の影響に基づいて航行安全領域半径を設定すること、をさらに含む。
【数8】
【数9】
(ここで、k、k、k、k、k∈[0,1]、それぞれ風、波、流、海霧、降雨の影響係数である。)
【0030】
オプションの実施形態として、航行安全領域の境界層方程式は以下の式によって表される。
【数10】
【数11】
【数12】
(ここで、sgn(*)は符号判別関数である。)
【0031】
本実施例において、船舶が接近した際に緊張局面を形成しないようにするため、本実施例では安全領域を4段の異なる楕円弧で構成された領域に設定し、その場合の領域面積はより大きく、船舶回避際の安全性を高めるとともに、船舶の長さ、速度及び環境要因の影響を加え、航行環境の変化に応じて安全領域境界の動的変化を実現することができる。
【0032】
オプションの実施形態として、
水面障害物が他の船舶であり、かつ他の船舶に船舶自動識別装置が搭載されている場合、船舶自動識別装置を通じて船位、航行速度、針路、船名、呼出符号情報を相互に交換するステップと、
他の船舶に船舶自動識別装置が搭載されていない場合、赤外線サーマルイメージャーと可視光カメラを通じて他の前記船舶を識別し、かつレーザレーダを通じて他の船舶の位置を決め、他の船舶の針路を決定し、2回の位置決めによって他の船舶の航行距離と航行時間を取得することにより、他の船舶のリアルタイム航行速度を取得し、衝突予防援助装置を通じて水面障害物の航行軌跡を取得するステップと、をさらに含む。
【0033】
具体的な実施例において、水面障害物が航行中の船舶である場合、接近点が本船の航行安全領域内にある場合、接近点が本船の航行安全領域内になくなるまで、海上衝突予防法に基づいて船舶に回避信号を送信し、船舶が回避操作を行わない場合、船舶が本船の航行安全領域内に入ったとき、本船の針路と速度を変更し、船舶を能動的に回避する。
【0034】
本実施例において、本船の航行速度は航行速度インジケータから直接取得することができ、針向はGPSシステムに基づいて取得することができる。海面に航行している船舶については、図3に示すように、本船とその船の最小接近距離(DCPA)を幾何学的方法により衝突予防援助装置に表示した。接近点が本船の航行安全領域内にある場合、接近点が本船の航行安全領域内になくなるまで、海上衝突予防法に基づいて船舶に回避信号を送信し、船舶が回避操作を行わない場合、船舶が本船の航行安全領域内に入ったとき、本船の針路と速度を変更し、船舶を能動的に回避する。
【0035】
具体的な実施形態において、船舶に搭載される信号ランプの最小可視距離は6海里であるため、本発明で収集されている海上情報の範囲はインテリジェント船舶を中心とし、半径は6海里の円形領域である。海面に航行している船舶については、その航行速度を得る必要があり、インテリジェント船舶には船舶自動識別装置(AIS)が搭載されており、同様に該システムを搭載している船舶は、船位、航行速度、針路、船名、呼出符号情報などの重要な情報を自動交換することにより、必要な情報を得ることができる。
【0036】
AISシステムが搭載されていない一部の船舶については、本船は搭載されている赤外線サーマルイメージャーと可視光カメラによって識別するとともに、レーザレーダを用いてそれを位置決めし、その針路を特定し、短時間の2回の位置決めによってその航行距離sと所要時間tを特定し、それに基づいてリアルタイム航行速度v=s/tを算出し、その他の航行障害物もこれらの船搭載設備によって識別位置決めを行う。
【0037】
オプションの実施形態として、ソナーを通じて水中障害物の速度と方位を探知するステップと、
前記衝突予防援助装置を通じて前記水中障害物の航行軌跡を取得するステップと、をさらに含む。
【0038】
本実施例において、水中障害物に対してソナーを用いて検出し、その速度と方位を確定し、以上の情報の監視について、すべてリアルタイム動態監視を行う。
【0039】
水中障害物が固定航行障害物である場合、ソナーにより固定航行障害物と本船との間の直線距離、及び固定航行障害物と水平面との間の夾角を測定する。固定航行障害物から水面までの垂直距離を計算する。固定航行障害物から水面までの垂直距離、及び本船の喫水深さの大きさを判断する。固定航行障害物から水面までの垂直距離が本船の喫水深さより大きい場合、固定障害物は本船に影響を与えないと判断する。固定航行障害物から水面までの垂直距離が本船の喫水深さよりも小さい場合、能動的回避策をとる。
【0040】
水中障害物が移動航行障害物である場合、ソナーにより前記移動航行障害物の移動速度及び方向を取得する。衝突予防援助装置を用いて移動航行障害物の浮上軌跡を予測する。移動航行障害物の浮上軌跡に基づいて本船の針路と航行速度を調整する。
【0041】
本実施例において、水中障害物について、移動航行障害物か固定航行障害物かを確定する必要があり、固定航行障害物である場合、航行障害物から水面までの垂直距離Lを取得する必要がある。具体的なステップは、ソナーによって航行障害物と船舶との間の直線距離S及び航行障害物と水平面との間の夾角αを測定し,図4に示すように、航行障害物から水平面までの距離はL=Ssinα,本船の喫水深さをDと仮定し、LとDの大きさを判断し、L>Dであれば、航行障害物は船舶に何の影響を与えないことを判断し、移動航行障害物である場合、ソナーによってその移動速度と方向を特定し、衝突予防援助装置を用いてその時の速度と方向に沿って移動することを予測し、その浮上時に現在の船舶安全領域内にいるかどうかを予測し、予測結果に基づいて針路や速度を適時に調整し、インテリジェント船舶の航行の安全を保証する。
【0042】
オプションの実施形態として、水面障害物が海上航行障害物である場合、能動的回避策をとる。
【0043】
本実施例において、海上の航行障害物に対して、本船は直ちに回避措置を取って損失を回避しなければならない。具体的な方法は、移動航行障害物について、判断方法は航行中の船舶と同じで、違うのは本船が針路を再計画して回避するしかないこと、固定航行障害物については、本船の航行軌跡に基づいて、将来のある時点の安全領域内にあるかどうかを判断し、もしあれば航路を再計画し、障害物を回避する必要がある。
【0044】
具体的な実施形態では、図5に示すように、クォータニオン船舶領域モデルに基づいてインテリジェント船舶航行時の安全領域を構築し、航行海域情報を取得し、衝突予防援助装置に導入し、それぞれ水面情報と水中情報を分析処理し、回避策を選択し、インテリジェント船舶航行の安全を保証する。
【0045】
添付図面に関連して本発明の実施例を説明したが、当業者は本発明の精神及び範囲を逸脱することなく種々の修正及び変形を行うことができ、そのような修正及び変形はいずれも添付の特許請求の範囲によって規定される範囲内に入る。
図1
図2
図3
図4
図5