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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-27
(45)【発行日】2025-04-04
(54)【発明の名称】複合電子黒板システム
(51)【国際特許分類】
   B43L 1/04 20060101AFI20250328BHJP
   G03B 21/56 20060101ALI20250328BHJP
【FI】
B43L1/04 F
G03B21/56
B43L1/04 B
B43L1/04 G
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2024180731
(22)【出願日】2024-10-16
【審査請求日】2024-10-22
(31)【優先権主張番号】P 2024140071
(32)【優先日】2024-08-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523330721
【氏名又は名称】一般社団法人日本未来黒板研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100081558
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 晴男
(74)【代理人】
【識別番号】100154287
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 貴広
(72)【発明者】
【氏名】坂和 勝紀
【審査官】広瀬 杏奈
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-231751(JP,A)
【文献】特開2016-210145(JP,A)
【文献】実開昭47-008411(JP,U)
【文献】特開平09-298894(JP,A)
【文献】特開2011-104911(JP,A)
【文献】実開平07-035095(JP,U)
【文献】特開2010-264732(JP,A)
【文献】特開2013-202959(JP,A)
【文献】特開2012-178874(JP,A)
【文献】特開2011-116081(JP,A)
【文献】特開2009-113449(JP,A)
【文献】実開平07-014067(JP,U)
【文献】特開昭53-118658(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2011-0065072(KR,A)
【文献】特開昭63-214498(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B43L 1/04
G03B 21/56
A47H 1/00-23/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
既設黒板に電子黒板と映写対応手段を付設して構成される電子黒板システムであって、
前記既設黒板の上辺に沿って第1上側ハンガーレールを配置すると共に、前記既設黒板の下辺に沿って前記第1上側ハンガーレールと対をなす第1下側ハンガーレールを配置し、また、前記第1上側ハンガーレールの上側に沿って第2上側ハンガーレールを配置すると共に、前記第1下側ハンガーレールの下側に沿って前記第2上側ハンガーレールと対をなす第2下側ハンガーレールを配置し、
前記第1上側ハンガーレールと前記第1下側ハンガーレール間に、前記既設黒板を跨いで横方向にスライド可能に第1スライド枠を掛け渡し、また、前記第2上側ハンガーレールと前記第2下側ハンガーレール間に、前記既設黒板を跨ぎ、且つ、前記第1スライド枠と接触することなく前記第1スライド枠の表側又は裏側を横方向にスライド可能に第2スライド枠を掛け渡し、
前記第1スライド枠に1台又は2台の前記電子黒板を取り付け、また、前記第2スライド枠に前記映写対応手段及びプロジェクターを取り付けて成り、
前記第1スライド枠はその上端部及び下端部に、前記第1上側ハンガーレール又は第1下側ハンガーレールに係合して移動するランナーを備え、前記第2スライド枠はその上端部及び下端部に、前記第2上側ハンガーレール又は第2下側ハンガーレールに係合して移動するランナーを備えており、
前記第1上側ハンガーレール、第1下側ハンガーレール、第2上側ハンガーレール及び第2上側ハンガーレールは、一側面又は下面に、前記第1スライド枠及び第2スライド枠の端部から延びるランナー支持板の移動を許容する長さ方向に伸びるスリットが形成されており、
前記ランナーは、前記ランナー支持板に固定される水平板と、前記水平板に取り付けられる軸支ブロックと、前記軸支ブロックに軸支される一対又は二対の垂直ローラーと、前記軸支ブロック上に設置される一対の水平ローラーで構成され、前記一対の水平ローラーの回転軸は前記各ハンガーレールの長さ方向の軸に対して互いに反対方向にずらして配置されていることを特徴とする複合電子黒板システム。
【請求項2】
前記第1上側ハンガーレールと前記第2上側ハンガーレールはアルミニウム押出成形により一体成形され、前記第1下側ハンガーレールと前記第2下側ハンガーレールはアルミニウム押出成形により一体成形される、請求項1に記載の複合電子黒板システム。
【請求項3】
前記第2上側ハンガーレールの上側に、それと平行に伸びる第1ケーブルレールが設置される、請求項1に記載の複合電子黒板システム。
【請求項4】
前記第1ケーブルレールは、前記第2上側ハンガーレール及び前記第1上側ハンガーレールとアルミニウム押出成形により一体成形される、請求項3に記載の複合電子黒板システム。
【請求項5】
前記第1下側ハンガーレールの上側に、それと平行に伸びる第2ケーブルレールが設置される、請求項1に記載の複合電子黒板システム。
【請求項6】
前記第2ケーブルレールは、前記第1下側ハンガーレール及び前記第2下側ハンガーレールとアルミニウム押出成形により一体成形される、請求項5に記載の複合電子黒板システム。
【請求項7】
前記第1上側ハンガーレールの下側に沿ってカーテンレールが配置され、前記カーテンレールに前記既設黒板を覆うカーテンが吊下される、請求項1に記載の複合電子黒板システム。
【請求項8】
前記カーテンは自動開閉機構を備える、請求項7に記載の複合電子黒板システム。
【請求項9】
前記映写対応手段は軽量ホワイトボードである、請求項1に記載の複合電子黒板システム。
【請求項10】
前記映写対応手段はスクリーンプレートである、請求項1に記載の複合電子黒板システム。
【請求項11】
前記第1スライド枠と前記電子黒板の背面との間、及び/又は、前記第2スライド枠と前記映写対応手段との間に定荷重ばねが配備されることにより、前記電子黒板、及び/又は、前記映写対応手段が上下動可能にされる、請求項1に記載の複合既設黒板システム。
【請求項12】
前記一対の水平ローラーは、前記軸支ブロック上において水平方向に微動可能である、請求項1に記載の複合電子黒板システム。
【請求項13】
既設黒板に電子黒板を付設して構成される電子黒板システムであって、
前記既設黒板の上辺に沿って第1上側ハンガーレールを配置すると共に、前記既設黒板の下辺に沿って前記第1上側ハンガーレールと対をなす第1下側ハンガーレールを配置して、前記第1上側ハンガーレールと前記第1下側ハンガーレール間に、前記既設黒板を跨いで横方向にスライド可能に、前記電子黒板を取り付けるための第1スライド枠を掛け渡し、
また、前記第1上側ハンガーレールの下側に沿ってカーテンレールを配置して、前記カーテンレールに前記既設黒板を覆うカーテンを吊下して成り、
前記第1スライド枠はその上端部及び下端部に、前記第1上側ハンガーレール又は第1下側ハンガーレールに係合して移動するランナーを備えており、
前記第1上側ハンガーレール及び第1下側ハンガーレールには、一側面又は下面に、前記第1スライド枠の端部から延びるランナー支持板の移動を許容する長さ方向に伸びるスリットが形成されており、
前記ランナーは、前記ランナー支持板に固定される水平板と、前記水平板に取り付けられる軸支ブロックと、前記軸支ブロックに軸支される一対又は二対の垂直ローラーと、前記軸支ブロック上に設置される一対の水平ローラーで構成され、前記一対の水平ローラーの回転軸は前記各ハンガーレールの長さ方向の軸に対して互いに反対方向にずらして配置されていることを特徴とする複合電子黒板システム。
【請求項14】
前記一対の水平ローラーは、前記軸支ブロック上において水平方向に微動可能である、請求項13に記載の複合電子黒板システム。
【請求項15】
既設黒板に電子黒板を付設して構成される電子黒板システムであって、
前記既設黒板の上辺に沿って第1上側ハンガーレールを配置すると共に、前記既設黒板の下辺に沿って前記第1上側ハンガーレールと対をなす第1下側ハンガーレールを配置し、
前記第1上側ハンガーレールと前記第1下側ハンガーレール間に、前記既設黒板を跨いで横方向にスライド可能に、前記電子黒板を取り付けるための第1スライド枠を掛け渡し、
前記既設黒板の一側部又は上辺部にロールスクリーンケースを、収納するロールスクリーンを横方向又は下方向に引き出し可能に設置し、前記既設黒板の上方にプロジェクターを配備して成り、
前記第1スライド枠はその上端部及び下端部に、前記第1上側ハンガーレール又は第1下側ハンガーレールに係合して移動するランナーを備えており、
前記第1上側ハンガーレール及び第1下側ハンガーレールには、一側面又は下面に、前記第1スライド枠の端部から延びるランナー支持板の移動を許容する長さ方向に伸びるスリットが形成されており、
前記ランナーは、前記ランナー支持板に固定される水平板と、前記水平板に取り付けられる軸支ブロックと、前記軸支ブロックに軸支される一対又は二対の垂直ローラーと、前記軸支ブロック上に設置される一対の水平ローラーで構成され、前記一対の水平ローラーの回転軸は前記各ハンガーレールの長さ方向の軸に対して互いに反対方向にずらして配置されていることを特徴とする複合電子黒板システム。
【請求項16】
前記一対の水平ローラーは、前記軸支ブロック上において水平方向に微動可能である、請求項15に記載の複合電子黒板システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合電子黒板システムに関するものであり、より詳細には、比較的廉価にて設置でき、令和元年に発表されたGIGAスクール構想の実現に寄与し得る複合電子黒板システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
令和元年にGIGAスクール構想の実現パッケージが発表されたことを受けて、各学校において校内LANが整備され、学校ICT導入・利活用が急速に進んでいる。このGIGAスクール構想の骨子は、児童・生徒1人1人に個別化され、創造性を育む教育ICT環境の構築である。具体的には、児童・生徒1人1人に学習者用端末(タブレット)が与えられ、各教室に配備される電子黒板を用いての授業ということになる。
【0003】
しかるに、各教室には大きな黒板が設置されていて、古くから学校における授業は黒板への板書を基本に進められてきており、児童・生徒、教師共に馴染のある授業法であり、たとえICT教育が進んだとしても捨てがたいものである。一方、教室ごとに従来の黒板等の他に電子黒板を用意することは、予算の面及び設置スペースの面で限度がある。特に、黒板に代わるような大型の電子黒板を導入することは、極めて困難なことである。
【0004】
そこで、既設黒板やホワイトボードを利用し、ボード上部にプロジェクターを配設し、ボードに映写することでボードを電子黒板化(インタラクティブ化)することが考えられている。そしてその場合、映写範囲が狭いために、プロジェクターを左右に移動可能にし、映写位置が変えられるようにすることが考えられている(特開2021-128299号公報、特開2018-189925号公報)。また、プロジェクターによる映写の場合、電子黒板に比較して画像が不鮮明であるところから、電子黒板を既設黒板の前側に設置して、既設黒板への板書の邪魔にならないように左右にスライド可能にするタイプのものも多く出回ってきている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2021-128299号公報
【文献】特開2018-189925号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来提案されている上記インタラクティブ化方法の場合、プロジェクターにより既設黒板に映写することにより、既設黒板を電子黒板化するものであるが、既設黒板の場合は映写画像が不鮮明であるため、黒板面の張替えが必要となり、その作業に手間とコストがかかるという問題がある。また、従来提案されているシステムは、使用態様が、黒板面へのプロジェクター映写、電子黒板の利用、電子黒板を移動させての黒板への板書というように限定されていて、それ以上の使用態様は想定されていない。
【0007】
本発明は、上記従来のシステムにおける問題に鑑みてなされたもので、既設黒板をそのまま残した上で、GIGAスクール構想の実現に必要な種々の機器を、比較的低コストにて組付けて、種々の利用態様を可能にする複合電子黒板システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための請求項1に係る発明は、既設黒板に電子黒板と映写対応手段を付設して構成される電子黒板システムであって、
前記既設黒板の上辺に沿って第1上側ハンガーレールを配置すると共に、前記既設黒板の下辺に沿って前記第1上側ハンガーレールと対をなす第1下側ハンガーレールを配置し、また、前記第1上側ハンガーレールの上側に沿って第2上側ハンガーレールを配置すると共に、前記第1下側ハンガーレールの下側に沿って前記第2上側ハンガーレールと対をなす第2下側ハンガーレールを配置し、
前記第1上側ハンガーレールと前記第1下側ハンガーレール間に、前記既設黒板を跨いで横方向にスライド可能に第1スライド枠を掛け渡し、また、前記第2上側ハンガーレールと前記第2下側ハンガーレール間に、前記既設黒板を跨ぎ、且つ、前記第1スライド枠と接触することなく前記第1スライド枠の表側又は裏側を横方向にスライド可能に第2スライド枠を掛け渡し、
前記第1スライド枠に1台又は2台の前記電子黒板を取り付け、また、前記第2スライド枠に前記映写対応手段及びプロジェクターを取り付けて成り、
前記第1スライド枠はその上端部及び下端部に、前記第1上側ハンガーレール又は第1下側ハンガーレールに係合して移動するランナーを備え、前記第2スライド枠はその上端部及び下端部に、前記第2上側ハンガーレール又は第2下側ハンガーレールに係合して移動するランナーを備えており、
前記第1上側ハンガーレール、第1下側ハンガーレール、第2上側ハンガーレール及び第2上側ハンガーレールは、一側面又は下面に、前記第1スライド枠及び第2スライド枠の端部から延びるランナー支持板の移動を許容する長さ方向に伸びるスリットが形成されており、
前記ランナーは、前記ランナー支持板に固定される水平板と、前記水平板に取り付けられる軸支ブロックと、前記軸支ブロックに軸支される一対又は二対の垂直ローラーと、前記軸支ブロック上に設置される一対の水平ローラーで構成され、前記一対の水平ローラーの回転軸は前記各ハンガーレールの長さ方向の軸に対して互いに反対方向にずらして配置されていることを特徴とする複合電子黒板システムである。一実施形態においては、前記一対の水平ローラーは、前記軸支ブロック上において水平方向に微動可能にされる。
【0009】
一実施形態においては、前記第1上側ハンガーレールと前記第2上側ハンガーレールはアルミニウム押出成形により一体成形され、前記第1下側ハンガーレールと前記第2下側ハンガーレールはアルミニウム押出成形により一体成形される。
【0010】
一実施形態においては、前記第2上側ハンガーレールの上側に、それと平行に伸びる第1ケーブルレールが設置される。好ましくは、前記第1ケーブルレールは、前記第2上側ハンガーレール及び前記第1上側ハンガーレールとアルミニウム押出成形により一体成形される。
【0011】
一実施形態においては、前記第1下側ハンガーレールの上側に、それと平行に伸びる第2ケーブルレールが設置される。好ましくは、前記第2ケーブルレールは、前記第1下側ハンガーレール及び前記第2下側ハンガーレールとアルミニウム押出成形により一体成形される。
【0012】
一実施形態においては、前記第1上側ハンガーレールの下側に沿ってカーテンレールが配置され、前記カーテンレールに前記既設黒板を覆うカーテンが吊下される。前記カーテンは、自動開閉機構を備えることもある。
【0013】
一実施形態においては、前記映写対応手段は軽量ホワイトボードであり、他の実施形態においては、前記映写対応手段はスクリーンである。
【0014】
一実施形態においては、前記第1スライド枠と前記電子黒板の背面との間、及び/又は、前記第2スライド枠と前記映写対応手段との間に定荷重ばねが配備されることにより、前記電子黒板、及び/又は、前記映写対応手段が上下動可能にされる。
【0015】
上記課題を解決するための請求項13に係る発明は、
既設黒板に電子黒板を付設して構成される電子黒板システムであって、
前記既設黒板の上辺に沿って第1上側ハンガーレールを配置すると共に、前記既設黒板の下辺に沿って前記第1上側ハンガーレールと対をなす第1下側ハンガーレールを配置して、前記第1上側ハンガーレールと前記第1下側ハンガーレール間に、前記既設黒板を跨いで横方向にスライド可能に、前記電子黒板を取り付けるための第1スライド枠を掛け渡し、
また、前記第1上側ハンガーレールの下側に沿ってカーテンレールを配置して、前記カーテンレールに前記既設黒板を覆うカーテンを吊下して成り、
前記第1スライド枠はその上端部及び下端部に、前記第1上側ハンガーレール又は第1下側ハンガーレールに係合して移動するランナーを備えており、
前記第1上側ハンガーレール及び第1下側ハンガーレールには、一側面又は下面に、前記第1スライド枠の端部から延びるランナー支持板の移動を許容する長さ方向に伸びるスリットが形成されており、
前記ランナーは、前記ランナー支持板に固定される水平板と、前記水平板に取り付けられる軸支ブロックと、前記軸支ブロックに軸支される一対又は二対の垂直ローラーと、前記軸支ブロック上に設置される一対の水平ローラーで構成され、前記一対の水平ローラーの回転軸は前記各ハンガーレールの長さ方向の軸に対して互いに反対方向にずらして配置されていることを特徴とする複合電子黒板システムである一実施形態においては、前記一対の水平ローラーは、前記軸支ブロック上において水平方向に微動可能にされる。
【0016】
上記課題を解決するための請求項15に係る発明は、既設黒板に電子黒板を付設して構成される電子黒板システムであって、
前記既設黒板の上辺に沿って第1上側ハンガーレールを配置すると共に、前記既設黒板の下辺に沿って前記第1上側ハンガーレールと対をなす第1下側ハンガーレールを配置し、
前記第1上側ハンガーレールと前記第1下側ハンガーレール間に、前記既設黒板を跨いで横方向にスライド可能に、前記電子黒板を取り付けるための第1スライド枠を掛け渡し、
前記既設黒板の一側部又は上辺部にロールスクリーンケースを、収納するロールスクリーンを横方向又は下方向に引き出し可能に設置し、前記既設黒板の上方にプロジェクターを配備して成り、
前記第1スライド枠はその上端部及び下端部に、前記第1上側ハンガーレール又は第1下側ハンガーレールに係合して移動するランナーを備えており、
前記第1上側ハンガーレール及び第1下側ハンガーレールには、一側面又は下面に、前記第1スライド枠の端部から延びるランナー支持板の移動を許容する長さ方向に伸びるスリットが形成されており、
前記ランナーは、前記ランナー支持板に固定される水平板と、前記水平板に取り付けられる軸支ブロックと、前記軸支ブロックに軸支される一対又は二対の垂直ローラーと、前記軸支ブロック上に設置される一対の水平ローラーで構成され、前記一対の水平ローラーの回転軸は前記各ハンガーレールの長さ方向の軸に対して互いに反対方向にずらして配置されていることを特徴とする複合電子黒板システムである。一実施形態においては、前記一対の水平ローラーは、前記軸支ブロック上において水平方向に微動可能にされる。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る複合電子黒板システムは上記のとおりであって、既設黒板をそのまま残した上で、GIGAスクール構想の実現に必要な種々の機器を、比較的低コストにて組付けて、種々の利用態様を可能にできるので、GIGAスクール構想の実現に寄与し得る効果があり、また、複数のハンガーレールを一体成形とすることにより、材料コスト及び施工コストを削減し得る効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明に係る複合電子黒板システムの一実施形態を示す正面図である。
図2】本発明に係る複合電子黒板システムの一実施形態を示す拡大側面図である。
図3】本発明に係る複合電子黒板システムの他の実施形態を示す正面図である。
図4】本発明に係る複合電子黒板システムの他の実施形態を示す拡大側面図である。
図5】本発明に係る複合電子黒板システムにおけるスライド枠の一構成例を示す正面図である。
図6】本発明に係る複合電子黒板システムにおけるスライド枠の他の構成例を示す正面図である。
図7】本発明に係る複合電子黒板システムにおけるスライド枠の更に他の構成例を示す正面図である。
図8】本発明に係る複合電子黒板システムにおけるスライド枠の更に他の構成例を示す正面図である。
図9】本発明に係る複合電子黒板システムにおけるスライド枠の更に他の構成例を示す正面図である。
図10】本発明に係る複合電子黒板システムにおけるランナーの一構成例を示す分解斜視図である。
図11】本発明に係る複合電子黒板システムにおけるランナーの一構成例を示す平面図である。
図12】本発明に係る複合電子黒板システムにおけるランナーの一構成例を示す側面図である。
図13】本発明に係る複合電子黒板システムにおけるランナーの他の構成例を示す分解斜視図である。
図14】本発明に係る複合電子黒板システムにおけるハンガーレールの構成例を示す側面図である。
図15】本発明に係る複合電子黒板システムにおける既設黒板と電子黒板と映写対応ボードの位置関係の例を示す図である。
図16】本発明に係る複合電子黒板システムにおける既設黒板と電子黒板と映写対応ボードの他の位置関係を示す図である。
図17】本発明に係る複合電子黒板システムにおける既設黒板と電子黒板と映写対応ボードの更に他の位置関係を示す図である。
図18】本発明に係る複合電子黒板システムにおける既設黒板と電子黒板と映写対応ボードの更に他の位置関係を示す図である。
図19】本発明に係る複合電子黒板システムの第2の態様を示す側面図である。
図20】本発明に係る複合電子黒板システムの第3の態様を示す正面図である。
図21】本発明に係る複合電子黒板システムの第3の態様を示す側面図である。
図22】本発明に係る複合電子黒板システムの第3の態様の別例を示す正面図である。
図23】本発明に係る複合電子黒板システムの第3の態様の別例を示す側面図である。
図24】本発明に係る複合電子黒板システムの第3の態様の別例を示す側面図である。
図25】本発明に係る複合電子黒板システムの第4の態様を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明を実施するための形態につき、添付図面に依拠して詳細に説明する。本発明に係る複合電子黒板システムは、基本的には、チョークを用いて板書する既設黒板1に電子黒板15と、通例、映写対応手段として、軽量ホワイトボードである映写対応ボード16を付設することにより構成されるものである。
【0023】
より詳細には、既設黒板1の上辺に沿って第1上側ハンガーレール5が配置されると共に、既設黒板1の下辺に沿って第1上側ハンガーレールと対をなす第1下側ハンガーレール6が配置され、また、第1上側ハンガーレール5の上側に沿って第2上側ハンガーレール7が配置されると共に、第1下側ハンガーレール6の下側に沿って第2上側ハンガーレール7と対をなす第2下側ハンガーレール8が配置される。なお、多くの既設黒板1は平面黒板であるが、曲面黒板あるいは半曲面黒板の場合もあり、その場合は、上記各ハンガーレールは、それぞれその曲面に合わせて湾曲させる。
【0024】
第1上側ハンガーレール5と第2上側ハンガーレール7、並びに、第1下側ハンガーレール6と第2下側ハンガーレール8は、それぞれ独立したものとして、個別に取り付けるようにしてもよいが、好ましくは、第1上側ハンガーレール5と第2上側ハンガーレール7をアルミニウム押出成形により一体成形することとし、第1下側ハンガーレール6と第2下側ハンガーレール8もアルミニウム押出成形により一体成形することとする。
【0025】
そして、各ハンガーレールは、第1上側ハンガーレール5と第2上側ハンガーレール7の繋ぎ板9、並びに、第1下側ハンガーレール6と第2下側ハンガーレール8の繋ぎ板を、それぞれ壁面50にネジ止め等により、十分な取り付け強度を持たせて固定することにより設置される(図14参照)。各上側及び下側ハンガーレール5~8には、後述するランナー31を移動させるための、長さ方向に伸びるスライド用開口(以下スリットとする)が、一側面(図1~13)又は下面(図14)に形成される。
【0026】
第1上側ハンガーレール5と第1下側ハンガーレール6間に、既設黒板1を跨いで横方向にスライド可能に第1スライド枠11が掛け渡され、第2上側ハンガーレール7と第2下側ハンガーレール8間に、既設黒板1を跨ぎ、且つ、第1スライド枠11の前側を、第1スライド枠11に接触することなく横方向にスライド可能に第2スライド枠12が掛け渡される(図2参照)。
【0027】
第1スライド枠11には電子黒板15が取り付けられ、また、第2スライド枠12には、映写対応ボード16及びプロジェクター17が取り付けられる。電子黒板15は、通例、第1スライド枠11に1台設置されるが、上下に2台設置されることもある。ここにおいて用いられる映写対応ボード16は、壁面設置の既設黒板1に匹敵するサイズの大型で重量のあるものではなく、例えば、縦横が100×300cm程度でアルミ枠の比較的軽量なホワイトボード、あるいは、スクリーンプレート(板状スクリーン)である。
【0028】
プロジェクター17は、電子黒板機能を搭載した、超短焦点型のものであり、第2スライド枠12の上部に延設した固定板17aに設置され(図2参照)、第2スライド枠12及び映写対応ボード16と一体に横移動する。第1スライド枠11及び第2スライド枠12には、適宜、タブレットやパソコン等を載置するための置台18,19が設置される。
【0029】
好ましい実施形態においては、第2上側ハンガーレール7の上側に、それと平行に伸びる第1ケーブルレール21が設置され、更に必要に応じ、第1下側ハンガーレール6の上側に、それと平行に伸びる第2ケーブルレール22が設置される(図1,2参照)。第1ケーブルレール21は、第2上側ハンガーレール7及び第1上側ハンガーレール5とアルミニウム押出成形により一体成形することができる。また、第2ケーブルレール22は、第1下側ハンガーレール6及び第2下側ハンガーレール8とアルミニウム押出成形により一体成形することができる。
【0030】
第1ケーブルレール21及び第2ケーブルレール22は、それぞれ上面が開口された形状のものであり、ケーブルの保護と見た目を考慮し、ケーブルキャリアを介する等してケーブルが収納される。例えば、第1ケーブルレール21にはプロジェクター17用の電源ケーブルが収納され、第2ケーブルレール22には電子黒板15用の電源ケーブルが収納される。
【0031】
図示した例では、内側の第1スライド枠11に電子黒板15が取り付けられ、外側の第2スライド枠12に映写対応ボード16が取り付けられるが、逆に、内側の第1スライド枠11に映写対応ボード16を取り付け、外側の第2スライド枠12に電子黒板15を取り付けることとしてもよい。
【0032】
更に、第1上側ハンガーレール5の下側に沿って、下面にスライド用開口を設けたカーテンレール23を配置し、このカーテンレール23に既設黒板1を覆うカーテン24を、適宜カーテンランナーを介して吊下することもある(図3,4参照)。このカーテン24は、主に、チョーク粉の飛散を防止して、人体に対する健康被害を回避すると共に、周辺機器に堆積して機器の故障を招くことを回避するために設置され、また、見た目の良さを確保するために設置されるものである。カーテンレール23は、リモコン操作による自動開閉式にすることが好ましい。そのためには、カーテンレール23に、市販の任意の自動開閉具を吊下すればよい。
【0033】
第1スライド枠11及び第2スライド枠12は、図1~4に示されるようなH型であってもよいが、X型や逆V型等の形状に構成することもできる。図5~9はその例を示すもので、単に2本の直杆25をX型に交差させたもの(図5)、2本の曲杆26の頂部同士を接合したもの(図6)、縦長平板27の四隅から斜め方向に直杆28を伸ばしたもの(図7)、図7の形態を1枚の平板29で形成したもの(図8)、並びに、2本の直杆30をV型又は逆V型に組んだもの(図9)等が考えられる。また、図示してないが、トラス構造にすることもできる。以上いずれの場合も、各杆の端部に、ハンガーレールに係合して移動するランナー31が取り付けられる。
【0034】
ランナー31の構成は任意であるが、例えば、各上側及び下側ハンガーレール5~8として、図1~4に示されるような、スリットが一側面に形成されたものが用いられる場合には、上記各杆の先端のランナー支持板に固定される水平板32を有するコの字型の支持ケース33と、両側に一対又は二対の垂直ローラー34を軸支していて支持ケース33内に支持される軸支ブロック35と、軸支ブロック35上に設置される一対の水平ローラー36,36aで構成されるものを用いることができる(図10~13)。
【0035】
その場合、一対の水平ローラー36,36aの回転軸は前記各ハンガーレールの長さ方向の軸に対して互いに反対方向にずらし、且つ、支持ケース33から若干はみ出るように配置される(図11参照)。このように構成することにより、ハンガーレール内転動中に水平ローラー36,36aがハンガーレールの内側面に当接することで、衝撃が吸収、軽減されてランナー31の転動中における横ブレが抑止され、電子黒板15並びに映写対応ボード16の横移動を、スムーズに安定した状態で行うことが可能となる。
【0036】
一対の水平ローラー36,36aは、支持ケース33の上面上において水平方向に微動可能にされることもある。そのためには、例えば、規制溝38を有する回動板37を支持ケース33上に軸着し、水平ローラー36,36aを回動板37に設置するようにする(図13参照)。規制溝38には規制ボルト39がねじ込まれ、回動板37は規制溝38の幅分回動可能となる。この構成の場合、ランナー31の転動はより一層スムーズなものとなり、電子黒板15並びに映写対応ボード16の横方向への安定移動が可能となる。
【0037】
電子黒板15は、第1スライド枠11に上下動可能に設置することもある。そのためには、定荷重ばね(コンストン(登録商標)バネ)を用いることが有効である。定荷重ばねは、ばねケースから引き出される荷重に対して、巻き戻し方向への均衡復元力を有するもので 、例えば、ばねケースが第1スライド枠11の横桟に固定され、ばねケースから引き出されるばねの先端部が電子黒板15の背面に固定される。なお、ばねケースは、図5,6に記載した実施形態の場合は、直杆25,25間又は曲杆26,26間に渡される横桟に固定し、図7,8に記載した実施形態の場合は、縦長平板27又は平板29に固定する。
【0038】
定荷重ばねは、電子黒板15の安定したスムーズな上下動を確保するために、左右一対配備することが好ましい。また、第1スライド枠11には、電子黒板15の上下動を支持するガイドレールとなるように、例えば、摺動溝を有する縦材が配備され、電子黒板15の背面に、その摺動溝に係合して摺動する摺動部が設けられる。映写対応ボード16も、上記電子黒板15の場合と同様に定荷重ばねを設置することにより、上下動可能にすることができる。
【0039】
第1スライド枠11及び/又は第2スライド枠12は、自動スライド方式に構成することができる。そのためには、自動ドアにおけるドア自動スライド機構を転用することができる。即ち、第1上側ハンガーレール5及び第2上側ハンガーレール7内一端側に電動モータ及びそれにより駆動される駆動プーリが配備され、他端側に従動プーリが配備され、駆動プーリと従動プーリにタイミングベルトが掛け回され、第1スライド枠11及び/又は第2スライド枠12の上端部が、タイミングベルトに連結されたドアハンガーに吊下される構成を採用することができる。その場合の第1スライド枠11及び第2スライド枠12は、下面にスリットが設けられたものとされる。
【0040】
図示してないが、移動する電子黒板15及び映写対応ボード16の両側面及び角部には、生徒や教師の安全面に配慮して、適宜軟質材製カバーを被覆し、また、第1スライド枠11及び第2スライド枠12の移動に際して指が挟み込まれることがないよう、各部材や機器間にスペースを設けるようにする。更に、電子黒板15及び映写対応ボード16の移動端における衝撃を吸収させるために、各ハンガーレールの端部に、バネやクッション材を備えたエンドキャップを嵌着するようにする。
【0041】
本発明に係る複合型電子黒板システムは、主に、GIGAスクール実現のために、既設黒板1を利用し、一部に板書スペースを残しつつ構築されるものであるが、学校や予備校はもとより、公共施設、商業施設、病院、その他任意の施設において採用可能である。本発明に係る複合型電子黒板システムにおいて用いる電子黒板15はパソコン機能を備えたものであり、そこにおける筆記内容、映写内容はそのまま保存可能であると共に、プロジェクター17を介して映写対応ボード16に拡大映写可能である(ミラーリング映写)。これにより生徒は、先生が電子黒板15に筆記中に、先生の体が邪魔になって筆記内容が見えないということがなくなり、スムーズな授業が可能になる。
【0042】
図示してないが、GIGAスクール構想の実現のためには更に、教師が扱う教師用端末と、生徒1人に1台用意される生徒用端末とが含まれる。通例、教師用端末はタブレット又はスマホであり、生徒用端末はタブレットである。教師用端末と生徒用端末は電子黒板15にWi-Fi接続され、電子黒板15と各端末との間での相互通信が可能に設定される。
【0043】
既設黒板1の電子黒板2及び映写対応ボード16に覆われていない部分には、従来通りのチョーク等での板書が可能である。既設黒板1並びに映写対応ボード16の周縁部に、板書内容を電子黒板15に取り込み可能にするために、チョーク、マーカー、指先等の動きを検出するセンサ(図示してない)を複数配備することが好ましい。このセンサとしては、一般の電子黒板において用いられているのと同じ、赤外線遮断方式等のセンサを用いることができる。その場合は、センサからの板書内容に対応する出力信号が電子黒板15に取り込まれ、そのまま電子黒板2に表示されると共に、デジタルデータ化されて保存される。その保存データは、教師及び生徒が共有して有効活用できる。
【0044】
プロジェクター17は、教師が扱う携帯端末の画面ミラーリングが可能なものとされる。プロジェクター17としてこのミラーリング機能を搭載したものを用いる場合は、そのプロジェクターメーカーが提供する専用アプリを携帯端末にインストールする。また、そのような機能を搭載していないプロジェクター17を用いる場合は、プロジェクター17に、キャスト機能とミラーリング機能とを有する小型デバイスであるストリーミングデバイスをHDMI(登録商標)接続し、これに携帯端末をWi-Fi接続する。
【0045】
ストリーミングデバイスとしては、広く出回っていて、安価で入手できるグーグル社のクロームキャスト等を用いることができる。なお、ここにいうキャスト機能とは、携帯端末5からストリーミングデバイスに転送される視聴中の動画を、プロジェクター17を介して映写対応ボード16に、より大きく映写させる機能である。また、ミラーリング機能は、携帯端末に保存されているコンテンツ画面を、プロジェクター17を介してそのまま映写対応ボード16に映写して画面共有可能にする機能である。
【0046】
本発明に係る電子黒板システムを教育現場において実施する場合は、携帯端末において教材等のコンテンツを作成、編集して保存しておく。教材は、市販されている電子教材や、無償で提供されている教材をインストールしてそのまま利用することができ、また、それを教師が独自にカスタマイズしたものを用いることもできる。更に、テレビやYouTube(登録商標)等の画面を利用することもできる。使用教材の作成、編集は、別途PCを用いて行い、携帯端末に保存しておくこともできる。
【0047】
例えば、映写対応ボード16に五線紙等のテンプレート映像を投写し、その映像の上からマーカーで書き込みすることができる。また、授業内容に応じて映写対応ボード16への映写位置を左・中央・右にスライドさせたり、左右に2画面映写させたりすることもできるので、授業展開が非常にスムーズになる。例えば、左側に電子教科書の画面、右側に生徒たちの回答をサムネイル映写することも可能で、その比較表示により、様々な考えを確認でき、新たな気付きを促したり、新しいアイディアの創出に繋がることが期待できる。更に、携帯端末でリアルタイムに撮影した動画や写真を、その場で直ちに映写することができ、しかも、その画面に指先や電子ペンで書き込んでの保存も可野宇である。また、電子黒板15の表示画面との合わせ活用が可能となる。
【0048】
上記構成の本発明の第1の態様の複合電子黒板システムにおいては、第1スライド枠11と第2スライド枠12が、接触することなく横移動可能であるので、電子黒板15と映写対応ボード16を任意の位置に移動させて使用することができ、GIGAスクール構想に対応する授業の実施が容易となる。
【0049】
本発明に係る複合電子黒板システムの場合、以下のような使用態様(位置関係)が可能である。
<使用態様1>既設黒板1中心の使用態様(図15
主に既設黒板1を使用し、従来のようにチョークによる板書を行って授業を行う場合は、第1スライド枠11を末端まで移動させて電子黒板15を末端に位置させ、また、第2スライド枠12を末端まで移動させて映写対応ボード16を末端に位置させる。それにより、電子黒板15は映写対応ボード16の後ろ側に隠れる。映写対応ボード16が上下動可能な場合は、所望の高さに上下動させる。その状態で、映写対応ボード16にプロジェクター17による映写を行うことができる。また、映写対応ボード16にマーカーを用いての板書ができ、また、映写対応ボード16をインタラクティブボードとし、指先や電子ペンを用いて筆記することができる。
【0050】
<使用態様2>映写対応ボード16中心の使用態様(図16
電子黒板15を端部又は既設黒板1の中央部に移動させ、その上に映写対応ボード16を移動させて、電子黒板15を映写対応ボード16の後ろ側に隠す。電子黒板15及び映写対応ボード16が上下動可能な場合は、所望の高さに上下動させる。この場合は、映写対応ボード16にマーカーを用いての板書ができ、また、映写対応ボード16をインタラクティブボードとして、指先や電子ペンを用いて筆記することができる。表出する既設黒板1には、チョークよる板書を行うことができる。
【0051】
<使用態様3>三者を用いる使用態様(図1,3,17,18)
最も一般的であり、且つ、推奨される使用態様で、電子黒板15を端部に位置させ、映写対応ボード16を電子黒板15が隠れない位置に移動させる既設黒板1の端部に位置させる。そして、電子黒板15及び映写対応ボード16が上下動可能な場合は、所望の高さに上下動させる。この場合は、既設黒板1にチョークよる板書を行うことができ、映写対応ボード16にマーカーを用いての板書ができ、また、映写対応ボード16をインタラクティブボード化して、指先や電子ペンを用いて筆記することができる。
【0052】
図19は本発明の第2の態様を示すもので、それは、既設黒板1に電子黒板15を付設して構成される電子黒板システムであって、既設黒板1の上辺に沿って第1上側ハンガーレール5を配置すると共に、既設黒板1の下辺に沿って第1上側ハンガーレール5と対をなす第1下側ハンガーレール6を配置し、第1上側ハンガーレール5と第1下側ハンガーレール6間に、既設黒板1を跨いで横方向にスライド可能に、電子黒板15を取り付けるための第1スライド枠11を掛け渡し、第1上側ハンガーレール5の下側に沿ってカーテンレール23を配置して、カーテンレール23に既設黒板1を覆うカーテン24を吊下して成るものである。カーテン24は自動開閉機構を備える。
【0053】
この第2の態様は、要するに、第1の態様の映写対応手段である映写対応ボード16及びそれの取り付け手段12等を除いたものである。なお、必要に応じ、既設黒板1の上側壁面にプロジェクターを配備し、直接既設黒板1に投写するようにすることもできる。
【0054】
図20~24は、本発明の第3の態様を示すもので、それは、既設黒板1に電子黒板15を付設して構成される電子黒板システムであって、既設黒板1の上辺に沿って第1上側ハンガーレール5を配置すると共に、既設黒板1の下辺に沿って第1上側ハンガーレール5と対をなす第1下側ハンガーレール6を配置し、第1上側ハンガーレール5と第1下側ハンガーレール6間に、既設黒板1を跨いで横方向にスライド可能に、電子黒板15を取り付けるための第1スライド枠11を掛け渡し、既設黒板1の一側部又は上辺部にロールスクリーンケース41を、スクリーン42を横方向又は下方向に引き出し可能に設置し(図20,21に示す例では側部に、図22~24に示す例では上部に設置されている。)、既設黒板1の上方(壁面又は第1上側ハンガーレール5)にプロジェクター17を配備して成る。
【0055】
ロールスクリーンケース41を既設黒板1の上辺に沿って設置する場合は、例えば、ロールスクリーンケース41の上面にフック51を複数取り付け、このフック51を、第1上側ハンガーレール5に係合させたランナー31の軸の立ち上げ部52に引っ掛けることで、ロールスクリーンケース41を任意の位置に移動可能にすることができる(図23参照)。また、フック51の内側にフック51に沿った形状の硬質樹脂製スライド部材53を固定し、スライド部材53を第1上側ハンガーレール5に引っ掛けることで、ロールスクリーンケース41を任意の位置に移動可能にすることができる(図24参照)。
【0056】
スクリーン42は、プロジェクター17の使用時にロールスクリーンケース41から所望量引き出し、横引きの場合はマグネットやフック等の手段により既設黒板1上に固定して、その引き出し状態を保持する。縦引きの場合は、一般的なロールスクリーンと同様の方法で、所望位置に停止させることができる。この態様の場合、電子黒板15は適宜位置に移動させ、スクリーン42を引き出さない時は既設黒板1全体に板書でき、スクリーン42を引き出した時は、既設黒板1の露出部分に板書できる。
【0057】
以上の説明は、主に、第1上側ハンガーレール5と第2上側ハンガーレール7が一体成形され、第1下側ハンガーレール6と第2下側ハンガーレール8が一体成形される場合に関するものであるが、第1上側ハンガーレール5と第2上側ハンガーレール7、並びに、第1下側ハンガーレール6と第2下側ハンガーレール8をそれぞれ別体にし、それぞれ個別に設置する場合もある。その場合は、第1上側ハンガーレール5の上面側と第2上側ハンガーレール7の下面に、互いに係止し合う係止手段54,55を設け、第2下側ハンガーレール8の上面側と第1下側ハンガーレール6の下面に、互いに係止し合う係止手段54,55を設けることが好ましい。
【0058】
そのような構成とした場合は、先に、第2上側ハンガーレール7を固定し、その後係止手段54,55を介して、第1上側ハンガーレール5を吊下し、その状態で第1上側ハンガーレール5を第2上側ハンガーレール7に、容易に平行に設置することができる。第1下側ハンガーレール6と第2下側ハンガーレール8についても同様である。更に、第1上側ハンガーレール5とカーテンレール23についても同様である。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明に係る複合電子黒板システムは上記のとおりであって、既設の既設黒板をそのまま残した上で、GIGAスクール構想の実現に必要な種々の機器を、比較的低コストにて組付けて、種々の利用態様を可能にできるので、GIGAスクール構想の実現に寄与し得る効果があり、また、複数のハンガーレールを一体成形できるため、材料コスト及び施工コストを削減し得る効果があるので、その産業上の利用可能性は大である。
【符号の説明】
【0060】
1 既設黒板
5 第1上側ハンガーレール
6 第1下側ハンガーレール
7 第2上側ハンガーレール
8 第2下側ハンガーレール
11 第1スライド枠
12 第2スライド枠
15 電子黒板
16 映写対応ボード
17 プロジェクター
21 第1ケーブルレール
22 第2ケーブルレール
23 カーテンレール
24 カーテン
41 ロールスクリーンケース
42 ロールスクリーン
【要約】
【課題】既設の既設黒板をそのまま残した上で、GIGAスクール構想の実現に必要な種々の機器を、比較的低コストにて組付けて、種々の利用態様を可能にする複合電子黒板システムを提供することを課題とする。
【解決手段】既設の既設黒板1の上辺に沿って第1上側ハンガーレール5を配置し、その下辺に沿って第1下側ハンガーレール6を配置し、第1上側ハンガーレール5の上側に沿って第2上側ハンガーレール7を配置し、第1下側ハンガーレール6の下側に沿って第2下側ハンガーレール8を配置し、第1上側ハンガーレール5と第1下側ハンガーレール6間に電子黒板15を取り付ける第1スライド枠11を掛け渡し、第2上側ハンガーレール7と第2下側ハンガーレール8間に映写対応ボード16及びプロジェクター17を取り付ける第2スライド枠12を掛け渡して構成する。
【選択図】図1
図1
図2
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