(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-27
(45)【発行日】2025-04-04
(54)【発明の名称】情報処理装置、プログラム及び情報提供システム
(51)【国際特許分類】
G06F 16/904 20190101AFI20250328BHJP
G09F 5/00 20060101ALI20250328BHJP
G09F 19/00 20060101ALI20250328BHJP
G06F 16/903 20190101ALI20250328BHJP
G01N 33/00 20060101ALI20250328BHJP
G01N 33/02 20060101ALN20250328BHJP
G01N 33/14 20060101ALN20250328BHJP
【FI】
G06F16/904
G09F5/00 Z
G09F19/00 Z
G06F16/903
G01N33/00 A
G01N33/00 B
G01N33/00 C
G01N33/02
G01N33/14
(21)【出願番号】P 2021563870
(86)(22)【出願日】2020-12-01
(86)【国際出願番号】 JP2020044639
(87)【国際公開番号】W WO2021117545
(87)【国際公開日】2021-06-17
【審査請求日】2023-11-09
(31)【優先権主張番号】P 2019225720
(32)【優先日】2019-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004569
【氏名又は名称】日本たばこ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100173565
【氏名又は名称】末松 亮太
(72)【発明者】
【氏名】栗栖 俊治
(72)【発明者】
【氏名】岡村 祐介
(72)【発明者】
【氏名】巾嶋 良幸
【審査官】吉田 誠
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/114785(WO,A1)
【文献】国際公開第2008/139568(WO,A1)
【文献】特開2019-028943(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 16/00 - 16/958
G01N 33/00
G09F 5/00
G09F 19/00
G06F 16/903
G01N 33/02
G01N 33/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの嗅覚又は味覚を刺激する複数の物体の
各々について、当該物体と嗅覚又は味覚に関する表現群とを対応付けたデータベースを記憶する記憶部と、
物体の識別情報を読み取るセンシング面を有するセンサ部と、
前記複数の物体のうち、ユーザによって選択され
、前記センシング面に置かれた物体を特定する特定部と、
前記データベースにおいて前記特定され
た物体
と対応付けられている嗅覚又は味覚に関する表現群を
表示面に表示させる表示制御部と、
前記センシング面に複数の物体が置かれると、第1表示モード
から第2表示モー
ドに切り替える切替部とを備え、
前記表示制御部は、
前記第1表示モードにおいて、前記特定部によって特定された1の物体について前記表現群を表示させ、
前記第2表示モードにおいて、前記特定部によって特定された複数の物体のそれぞれについて前記表現群を表示させ、且つ、当該表現群のうち当該複数の物体において共通する表現を、当該複数の物体において共通しない表現と識別可能に表示させる
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記表示制御部は、
前記第1表示モードにおいて、前記特定部によって特定された1の物体について前記表現群を表示させ、
前記表示面に前記複数の物体の位置を示す画像が表示されている場合において、表示されている表現群のうちいずれかがユーザにより選択され
たときは、選択された当該表現と、当該表現に関連する嗅覚又は味覚に対応する
ことが前記データベースにおいて示される他の物体との関係を示す画像である関係画像を
、前記位置を示す画像に応じた位置に表示させる
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記表示制御部は、
前記第1表示モードにおいて、前記特定部によって特定された1の物体について前記表現群を、当該物体
に対応する前記位置を示す画像の周囲に表示させ、
表示されている表現群のうちいずれかがユーザにより選択されると、選択された当該表現と当該表現に関連する嗅覚又は味覚に対応する他の物体との関係を示す画像であって、当該他の物体
に対応する前記位置を示す画像に応じた画像である前記関係画像を、前記
表示面に表示する
ことを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
コンピュータに、
ユーザの嗅覚又は味覚を刺激する複数の物体の
各々について、当該物体と嗅覚又は味覚に関する表現群とを対応付けたデータベースを記憶する記憶部と、
物体の識別情報を読み取るセンシング面を有するセンサ部と、
前記複数の物体のうち、ユーザによって選択され
、前記センシング面に置かれた物体を特定する特定部と、
前記データベースにおいて前記特定され
た物体
と対応付けられている嗅覚又は味覚に関する表現群を
表示面に表示させる表示制御部と、
前記センシング面に複数の物体が置かれると、第1表示モード
から第2表示モー
ドに切り替える切替部と
を実現させる
ためのプログラムであって、
前記表示制御部は、
前記第1表示モードにおいて、前記特定部によって特定された1の物体について前記表現群を表示させ、
前記第2表示モードにおいて、前記特定部によって特定された複数の物体のそれぞれについて前記表現群を表示させ、且つ、当該表現群のうち当該複数の物体において共通する表現を、当該複数の物体において共通しない表現と識別可能に表示させる
プログラム。
【請求項5】
ユーザインタフェース装置と、
情報処理装置と
を有し、
前記ユーザインタフェース装置が、
物体の識別情報を読み取るセンシング面を有するセンサ部と、
情報を表示する表示面と
を有し、
前記情報処理装置が、
ユーザの嗅覚又は味覚を刺激する複数の物体の
各々について、当該物体と嗅覚又は味覚に関する表現群とを対応付けたデータベースを記憶する記憶部と、
前記複数の物体のうち、ユーザによって選択され
、前記センシング面に置かれた物体を特定する特定部と、
前記データベースにおいて前記特定され
た物体
と対応付けられている嗅覚又は味覚に関する表現群を
前記表示面に表示させる表示制御部と、
前記センシング面に複数の物体が置かれると、第1表示モード
から第2表示モー
ドに切り替える切替部と
を備え、
前記表示制御部は、前記第1表示モードにおいて、前記特定部によって特定された1の物体について前記表現群を表示させ、前記第2表示モードにおいて、前記特定部によって特定された複数の物体のそれぞれについて前記表現群を表示させ、且つ、当該表現群のうち当該複数の物体において共通する表現を、当該複数の物体において共通しない表現と識別可能に表示させ
る
ことを特徴とする情報提供システム。
【請求項6】
各々の前記物体に設けられ、識別情報を格納したタグである物体タグと、
前記物体が置かれるトレイに設けられ、識別情報を格納したタグであるトレイタグとを備え、
前記特定部は、前記複数の物体のうちいずれかが前記ユーザインタフェース装置の前記センシング面に置かれたときに、当該物体に設けられた前記物体タグを読み取って当該物体を特定し、
前記切替部は、前記トレイが前記ユーザインタフェース装置の所定の位置に置かれたときに、当該トレイに設けられた前記トレイタグ
により前記センシング面に複数の物体が置かれたことが検知されると前記第1表示モード
から前記第2表示モー
ドに切り替える
ことを特徴とする請求項5記載の情報提供システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体の香り又は味に関する情報提供の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
香りは、人間の感情や行動、記憶を司る大脳辺縁系に働きかけることで様々な効用を人間に与えることが知られている。例えば特許文献1には、香りを嗅いだ被験者に対し、その香りを嗅いだことによって想起された心的事象について質問を提示し、その回答を数値として取得することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、或る香りがどのようなものであるかとか、ユーザ自身がどのような香りを好んでいるかといったことを的確に表現して他人に伝えることは、それほど簡単ではない。これは、大半の人間にとっては香りに関して表現する機会が少ないために、香りを表現する語彙に乏しかったり、また、香りとその香りの表現との対応関係を正確に認識できていなかったり、という事情があるためだと考えられる。このような事情は、物体の香りに限らず、物体の味についても同様である。
【0005】
そこで、本発明は、物体の香り又は味とその香り又は味の表現との関係を把握できるようにするとともに、ユーザ自身がどのような香り又は味を好んでいるかを把握することが可能な仕組みを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明は、ユーザの嗅覚又は味覚を刺激する複数の物体のうち、ユーザによって選択された物体を特定する特定部と、特定された前記物体によって刺激される嗅覚又は味覚に関する表現群を表示させる表示制御部と、第1表示モード及び第2表示モードを相互に切り替える切替部とを備え、前記表示制御部は、前記第1表示モードにおいて、前記特定部によって特定された1の物体について前記表現群を表示させ、前記第2表示モードにおいて、前記特定部によって特定された複数の物体のそれぞれについて前記表現群を表示させ、且つ、当該表現群のうち当該複数の物体において共通する表現を、当該複数の物体において共通しない表現と識別可能に表示させることを特徴とする情報処理装置を提供する。
【0007】
前記表示制御部は、前記第1表示モードにおいて、前記特定部によって特定された1の物体について前記表現群を表示させ、表示されている表現群のうちいずれかがユーザにより選択されると、選択された当該表現と、当該表現に関連する嗅覚又は味覚に対応する他の物体との関係を示す画像である関係画像を表示させるようにしてもよい。
【0008】
嗅覚又は味覚に対応する複数の物体がユーザインタフェース装置に置かれており、前記特定部は、前記複数の物体のうちいずれかが前記ユーザインタフェース装置の所定の位置に置かれたときに当該物体を特定し、前記表示制御部は、前記第1表示モードにおいて、前記特定部によって特定された1の物体について前記表現群を、当該物体が置かれた前記所定の位置の周囲に表示させ、表示されている表現群のうちいずれかがユーザにより選択されると、選択された当該表現と当該表現に関連する嗅覚又は味覚に対応する他の物体との関係を示す画像であって、当該他の物体が置かれた位置に応じた画像である前記関係画像を、前記ユーザインタフェース装置に表示するようにしてもよい。
【0009】
また、本発明は、コンピュータに、ユーザの嗅覚又は味覚を刺激する複数の物体のうち、ユーザによって選択された物体を特定する特定部と、特定された前記物体によって刺激される嗅覚又は味覚に関する表現群を表示させる表示制御部と、第1表示モード及び第2表示モードを相互に切り替える切替部とを実現させるプログラムであって、前記表示制御部は、前記第1表示モードにおいて、前記特定部によって特定された1の物体について前記表現群を表示させ、前記第2表示モードにおいて、前記特定部によって特定された複数の物体のそれぞれについて前記表現群を表示させ、且つ、当該表現群のうち当該複数の物体において共通する表現を、当該複数の物体において共通しない表現と識別可能に表示させるプログラムを提供する。
【0010】
また、本発明は、ユーザインタフェース装置と、ユーザの嗅覚又は味覚を刺激する複数の物体のうち、ユーザによって選択された物体を特定する特定部と、特定された前記物体によって刺激される嗅覚又は味覚に関する表現群を表示させる表示制御部と、第1表示モード及び第2表示モードを相互に切り替える切替部とを備え、前記表示制御部は、前記第1表示モードにおいて、前記特定部によって特定された1の物体について前記表現群を表示させ、前記第2表示モードにおいて、前記特定部によって特定された複数の物体のそれぞれについて前記表現群を表示させ、且つ、当該表現群のうち当該複数の物体において共通する表現を、当該複数の物体において共通しない表現と識別可能に表示させる情報処理装置とを有することを特徴とする情報提供システムを提供する。
【0011】
また、本発明は、各々の前記物体に設けられ、識別情報を格納したタグである物体タグと、前記物体が置かれるトレイに設けられ、識別情報を格納したタグであるトレイタグとを備え、前記特定部は、前記複数の物体のうちいずれかが前記ユーザインタフェース装置の所定の位置に置かれたときに、当該物体に設けられた前記物体タグを読み取って当該物体を特定し、前記切替部は、前記トレイが前記ユーザインタフェース装置の所定の位置に置かれたときに、当該トレイに設けられた前記トレイタグを読み取って前記第1表示モード及び前記第2表示モードを相互に切り替えるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、物体の香り又は味とその香り又は味の表現との関係を把握できるようにするとともに、ユーザ自身がどのような香り又は味を好んでいるかを把握することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態に係る情報提供システムの全体構成を例示するブロック図である。
【
図2】情報提供システムの構造を例示する側面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】情報処理装置が記憶する表現DBの一例を示す図である。
【
図5】情報処理装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図6】情報処理装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図7】情報提供システムの利用時において、ユーザインタフェース装置のユーザインタフェース面を上方から見たときの様子を例示する平面図である。
【
図8】情報提供システムの利用時において、ユーザインタフェース装置のユーザインタフェース面を上方から見たときの様子を例示する平面図である。
【
図9】情報提供システムの利用時において、ユーザインタフェース装置のユーザインタフェース面を上方から見たときの様子を例示する平面図である。
【
図10】情報提供システムの利用時において、ユーザインタフェース装置のユーザインタフェース面を上方から見たときの様子を例示する平面図である。
【
図11】情報提供システムの利用時において、ユーザインタフェース装置のユーザインタフェース面を上方から見たときの様子を例示する平面図である。
【
図12】情報提供システムの利用時において、ユーザインタフェース装置のユーザインタフェース面を上方から見たときの様子を例示する平面図である。
【
図13】情報提供システムの利用時において、ユーザインタフェース装置のユーザインタフェース面を上方から見たときの様子を例示する平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[構成]
まず、本発明の一実施形態に係る情報提供システム1の全体構成について説明する。情報提供システム1は、物体の香りとその香りの表現との関係をユーザが視覚的に把握できるようにするとともに、ユーザ自身がどのような香りを好んでいるかを把握するための情報提供を行うシステムである。
図1に示すように、情報提供システム1は、情報処理装置10と、表示装置20と、センサ装置40と、第1トレイ50aと、第2トレイ50bと、複数のサンプル60とを備えている。情報処理装置10、表示装置20及びセンサ装置40は、通信可能に接続されている。情報処理装置10は、本発明に係る情報処理装置の一例であり、情報提供システム1において中枢的な制御を司る装置である。表示装置20は、ユーザに対して情報を表示する表示装置の一例である。センサ装置40は、ユーザの操作を受け付ける操作装置の一例である。表示装置20及びセンサ装置40は、ユーザに対する情報提供及びユーザによる指示を受け付けるユーザインタフェース装置30を構成している。
【0015】
複数のサンプル60はいずれも、ユーザの嗅覚を刺激する香りを発する物体である。例えば、サンプル60は、香りを発する自然物(例えばラベンダーという植物そのもの)であってもよいし、その香りを含む人工生成物(例えばラベンダーの香りが抽出された揮発性の液体や、その液体をしみこませたシートなど)であってもよい。本実施形態では、サンプル60として、香りを発する自然物から抽出された香りを含むアロマオイルと呼ばれる液体を収容した円筒状の蓋付き小瓶を用いる。各サンプル60には、そのサンプルの名称やID(例えば「ラベンダー」という植物の名称や「1」という数字)が記されたシールや札が付されている。ユーザはこの名称やIDを参照することによって、各サンプルを視覚的に識別することが可能となる。
【0016】
第1トレイ50a及び第2トレイ50bは、表示装置20の表示モードを切り替えるための操作具として機能する。第1トレイ50a及び第2トレイ50bはいずれも、その上にサンプル60を置くことができるような大きさ及び形状になっている。また、第1トレイ50a及び第2トレイ50bは上下に重ねることができるような大きさ及び形状になっている。
【0017】
図2は、情報提供システム1の構造を例示する側面図、より具体的には、表示装置20、センサ装置40、第1トレイ50a及びサンプル60を水平方向から見たときの位置関係を例示する図である。表示装置20は、例えば薄い矩形の板状であり、その上面が水平な表示面となっている。センサ装置40は、表示装置20の一部に内蔵されている。第1トレイ50a及び第2トレイ50bには、各トレイを識別する識別情報(トレイIDという)を記憶した記憶媒体であるタグ51a(第1トレイタグ),51b(第2トレイタグ)が設けられている。
図2に例示したように、センサ装置40は、自身がセンシング可能な領域の表示装置20の表示面(つまり、ユーザインタフェース装置30の所定の位置に相当するユーザインタフェース面であり、以下、センシング面という)に第1トレイ50aが置かれると、例えばNFC(Near Field Communication)と呼ばれる近距離無線通信規格を用いて、その第1トレイ50aのタグ51aに記憶されたトレイIDを読み取ることで、第1トレイ50aが置かれたことを特定する。この場合、表示装置20の表示モードは、「単一サンプル表示モード」と呼ばれる第1表示モードに切り替えられる。単一サンプル表示モードとは、センシング面にサンプル60が1つのみ置かれることを前提とした表示モードである。また、第1トレイ50aの上に第2トレイ50bを重ねておくことも可能である。センサ装置40はセンシング面に第1トレイ50a及び第2トレイ50bが置かれると、これら第1トレイ50aのタグ51a及び第2トレイ50bのタグ51bに記憶された2つのトレイIDを読み取ることで、第1トレイ50a及び第2トレイ50bが置かれたことを特定する。この場合、表示装置20の表示モードは、「複数サンプル表示モード」と呼ばれる第2表示モードに切り替えられる。複数サンプル表示モードとは、センシング面にサンプル60が複数置かれることを前提とした表示モードである。
【0018】
サンプル60には、各サンプルを識別する識別情報(サンプルIDという)を記憶した記憶媒体であるタグ61(物体タグ)が設けられている。センサ装置40は、センシング面にサンプル60が置かれると、そのサンプル60のタグ61に記憶されたサンプルIDを読み取ることで、置かれたサンプル60を特定する。
【0019】
また、表示装置20は、いわゆるタッチスクリーンとしても機能し、例えばユーザの指や所定の操作子で表示面がタッチされると、表示面においてタッチされた位置を検出する。ユーザによりタッチされた位置は、表示面の或る位置を原点とした2次元座標平面におけるX,Y座標として表現される。
【0020】
図3は、情報処理装置10のハードウェア構成を例示する図である。情報処理装置10は、CPU101(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103、補助記憶装置104及び通信IF(Interface)105を有するコンピュータである。
【0021】
CPU101は、各種の演算を行うプロセッサである。ROM102は、例えば情報処理装置10の起動に用いられるプログラム及びデータを記憶した不揮発性メモリである。RAM103は、CPU101がプログラムを実行する際のワークエリアとして機能する揮発性メモリである。補助記憶装置104は、例えばHDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)などの不揮発性の記憶装置であり、情報処理装置10において用いられるプログラム及びデータを記憶する。CPU101はこのプログラムを実行することにより、後述する機能を実現し、また、後述する動作を実行する。通信IF105は、所定の通信規格に従って通信を行うためのインターフェースである。この通信規格は、有線通信の規格であってもよいし、無線通信の規格であってもよい。なお、情報処理装置10は、
図3に例示した構成以外に、例えば液晶ディスプレイ等の表示装置やキーボード等の操作装置などの、他の構成を含んでいてもよい。
【0022】
補助記憶装置104は、
図4に示すような表現データベース(以下、データベースをDBと表現する)を記憶している。この表現DBにおいては、各々のサンプルIDと、そのサンプルIDに対応するサンプル60によって刺激される嗅覚に関する1以上の表現(つまりサンプル60の香りを文字で表した1以上の表現)が対応付けられている。つまり、この表現は、ユーザがサンプル60の香りを嗅いだときに、その香りを他人に伝えるための手段として用いられる。この表現は、例えば名詞や形容詞等のあらゆる品詞を用いた表現であってもよいし、また、その香りの直接的表現から間接的表現までをも網羅している。ここでいう直接的な表現とは、例えば「甘い」とか「フルーティ」というように、香りのイメージを想起させるときに慣用される表現のことであり、間接的な表現とは、例えば「春」とか「朝」とか「散歩」といったように、上記の直接的な表現に比べると、香りの表現としては慣用されていない表現のことである。間接的表現とは、直接的表現を基準としてその直接的表現から想起される二次的な表現であり、直接的表現と比べて香りを抽象的に表す表現と言ってもよい。
【0023】
さらに、この表現DBには、各表現を表示するときの表示態様が含まれている。この表示態様は、例えば、表現を表示する位置、表現を表示するときの色、表現を表示するときの大きさ、表現を表示するときのフォント、表現を表示するときの修飾、表現を表示する時間、表現を表示する時期、表現の動き(表現の空間的な変化又は時間的な変化を含む)、又は、表現に用いられる言語等を含む。
【0024】
この表示態様は、サンプル60と表現との関係に応じて変わる。サンプル60と表現との関係とは、そのサンプル60においてその表現によって表される香り(より厳密にいうとそのサンプルの香りに含まれる成分)の強度や量、或いは、その香りに対するその表現の抽象度等である。例えば「甘い」という香りが強いサンプル60の近くには、「甘い」という表現を表示するとか、「甘い」という香りが強いサンプル60に対しては、大きく又は目立つ色で「甘い」という表現を表示するとか、「甘い」という香りが強いサンプル60に対しては、振動するように動くことで目立つように「甘い」という表現を表示するといった例が、サンプル60と表現との関係に応じて変わる表示態様の一例である。また、例えば「甘い」という香りが強く、且つ、「フルーティ」という香りが弱いサンプルに対しては、そのサンプルの近くに「甘い」という表現を表示し、そのサンプルの遠くに「フルーティ」という表現を表示するという例も、サンプル60と表現との関係に応じて変わる表示態様の一例である。また、或るサンプルに対して直接的表現と間接的表現とが対応付けられている場合には、そのサンプルの近くに直接的表現を表示し、そのサンプルの遠くに間接的表現を表示するというように、表現の抽象度に応じてサンプル60と表現との距離を変えるという例も、サンプル60と表現との関係に応じて変わる表示態様の一例である。要するに、サンプル60と表現との関係の内容(具体的には関係の強弱や関係の仕方)が視覚的に認識し得るような表示態様で表現を表示する、ということである。
【0025】
図4の例では、サンプルID「ID001」のサンプル60については、表現1として「甘い」、表現2として「フレッシュ」、表現3として「花」…が設定されている。これらの表現のうち、「甘い」という表現1の表示態様は、表現を表示する位置(X,Y座標)が「X1、Y1」であり、その文字の色は「赤」であり、文字のフォントは「ゴシック体」であり、文字のサイズ(大きさ)は「25ポイント」であり、動きは「点滅」である。なお、
図4に示した表現態様はあくまで例示であり、この表現態様はシステム設計者により任意に決められる。
【0026】
次に、
図5は、情報処理装置10の機能構成の一例を示すブロック図である。情報処理装置10は、サンプル特定部11、切替部12、表現DB記憶部13及び表示制御部14という機能を実現する。
【0027】
サンプル特定部11は、センサ装置40のセンシング面に、ユーザによって選択されたサンプル60が置かれると、そのサンプル60のタグ61に記憶されたサンプルIDの読み取り結果に基づいて、どのサンプル60がセンシング面に置かれたかを特定する。
【0028】
切替部12は、センサ装置40のセンシング面に第1トレイ50a又は第2トレイ50bが置かれると、その第1トレイ50aのタグ51a又は第2トレイ50bのタグ51bに記憶されたトレイIDの読み取り結果に基づいて、単一サンプル表示モード又は複数サンプル表示モードを相互に切り替える。
【0029】
表示制御部14は、単一サンプル表示モード及び複数サンプル表示モードにおいて、表示装置20を制御して、ユーザインタフェース装置30においてサンプル60が置かれた位置(つまりセンシング面)の周囲に対応する表示領域に、サンプル特定部11により特定されたサンプル60によって刺激される嗅覚に関する表現群を表示する。このとき、表示制御部14は、表現DB記憶部13に記憶された表現DB(
図4)において、サンプル特定部11により特定されたサンプル60に対応する表示態様で表示する。サンプル60が置かれた位置の周囲に対応する表示領域とは、例えばサンプル60が置かれたセンシング面を中心とした半径30センチ以内の円形の領域である。
【0030】
表示制御部14は、単一サンプル表示モードにおいて、表示されている表現群のうちいずれかの表現がユーザにより選択されると、選択された表現と、その表現に関連する嗅覚に対応する他のサンプル60との関係を示す画像である関係画像を表示する。また、表示制御部14は、複数サンプル表示モードにおいて、サンプル特定部11によって特定された複数のサンプル60のそれぞれについて、各々のサンプル60によって刺激される嗅覚に関する表現群を表示させ、且つ、その表現群のうちこれら複数のサンプル60において共通する表現を、これら複数のサンプル60に共通しない表現と識別可能に表示させる。このような表示制御部14による表示制御については、
図7~13を参照しながら後で詳述する。
【0031】
[動作]
次に、
図6のフローチャートに沿って、本実施形態の動作を説明する。
図7はユーザインタフェース装置30のユーザインタフェース面を上方から見たときの様子を示す平面図である。ユーザインタフェース面の所定の複数の位置にはそれぞれ、サンプル60(
図7では9個のサンプル30a~60i)が1つずつ置かれている。どのサンプル60をどの位置に置くかは予め決まっており、ユーザインタフェース面(つまり表示面)に、各々のサンプル60を置くべき位置を示す画像(例えばサンプル60のIDと同じIDを示す画像)が表示されている。ユーザはそれらの画像が示す位置に各サンプル60a~60iを置く。このような各サンプル60とそのサンプル60が置かれる位置との対応関係は、予め表現DB記憶部13に記憶されているものとする。
【0032】
図7に示すようにセンシング面SAに第1トレイ50aが置かれると、情報処理装置10の切替部12は、センサ装置40によるトレイIDの読み取り結果に基づいて(ステップS11)、第1トレイ50aが置かれたと判断して、表示モードを単一サンプル表示モードに切り替える(ステップS12)。なお、センサ装置40によるセンシング面の位置、形状、大きさは任意に決められるが、センシング面がユーザインタフェース装置30のどこであるかをユーザが予め知っておくか、又は、表示や音声案内等の方法でユーザに知らせるようにする。
【0033】
ユーザは、サンプル60a~60iのうち任意のものをいくつか選んでその香りを嗅ぎ、自身が好む香りのサンプル60をセンシング面SAにある第1トレイ50aの上に置く。情報処理装置10のサンプル特定部11は、センサ装置40によるサンプルIDの読み取り結果に基づいて(ステップS11)、どのサンプル60がセンシング面に置かれたかを特定する(ステップS13)。
【0034】
表示制御部14は、特定されたサンプルIDをキーにして、表現DBにおいてそのサンプルIDに対応する表現を検索する(ステップS14)。そして、表示制御部14は、単一サンプル表示モードであるか又は複数サンプル表示モードであるかという表示モードの別と、表現DBを参照して、検索した表現の各々に対応する表示態様を決定する(ステップS15)。そして、表示制御部14は、表示装置20を制御して、センシング面SAの周囲の表示領域に、ステップS14で検索した表現を、ステップS15で決定した表示態様で表示する(ステップS16)。
【0035】
例えばサンプル60aが第1トレイ50aの上に置かれたとすると、
図8に示すように、サンプル60aの香りに関する表現が、例えばセンシング面(つまりサンプル60aが置かれた位置)を中心とした任意の大きさの扇図形の内部に表示される。このときの各表現の表示態様は、その表現とサンプル60gとの関係に応じた表示態様である。ユーザは、これらの表現を見ながらサンプル60aの香りに対する表現のしかたを知ることができる。このとき同時に、ユーザは各表現の表示態様を参考にして、サンプル60gの香りと各表現の関係についても知ることができる。例えば
図8の例では、ユーザは、サンプル60aの香りは、代表的には「甘い」「リラックス」と表現される香りであるが、そのほかにも「華やか」、「花」、「果物」と表現されるような香りの成分も含んでおり、さらには、それらの香りから「春」といった抽象的な事象が連想されるものだということを認識することができる。
【0036】
さらに、ユーザは、表示されている表現群のうち、自身が気になる香りの表現があれば、その表現をタッチする操作を行うことで選択する。表示制御部14は、このようなタッチ操作がなされると、そのタッチ操作がなされた位置と各表現の表示位置とに基づいて、ユーザにより選択された表現を特定する。このとき、どの表現の選択が受け付けられたかをユーザが分かるように、その表現を何らかの図形画像で囲んだり、その表現の背景を特定の色で表示したり、その表現を反転表示したりする。
【0037】
そして、表示制御部14は、表現DBにおいて、選択された表現に対応付けられているサンプルIDを検索する。この検索の結果、選択された表現に対応付けられたサンプルIDがあれば、表示装置20を制御して関係画像を表示する(ステップS16)。この関係画像は、例えば、ユーザインタフェース面においてユーザにより選択された表現と、検索されたサンプルIDに対応する他のサンプル60との関係を示す画像であって、そのサンプル60が置かれた位置に応じた画像である。
【0038】
例えば、
図9に例示するように、ユーザにより「甘い」という表現が選択された場合、その「甘い」という表現を囲む円環画像が表示されるとともに、その「甘い」という表現によって表される他のサンプル(ここでは、サンプル60b、60d及び60gとする)の位置を囲む円環画像が表示される。このような円環画像(関係画像)が表示されることにより、ユーザは、「甘い」と表現される香りとして、サンプル60aの他に、サンプル60b,60d及び60gがあることを知ることができる。
【0039】
この関係画像の色、太さ、大きさ、動き等の表示態様は、ユーザにより選択された表現と、その表現によって表される他のサンプルとの関係に応じたものであってもよい。例えば、ユーザにより選択された表現とその表現によって表される他のサンプルとの関係が強い場合には、関係画像がより目立つような色、太さ、大きさ、動き等の表示態様となるし、関係が弱い場合にはその逆の表示態様となる。
【0040】
なお、ユーザがさらに別の表現について知りたい場合には、その表現をタッチする操作を行うことで、今度は、別の表現について上記の処理が行われる。
【0041】
ここで、
図9の状態から、ユーザがサンプル60aを第1トレイ50aの上から外して、「甘い」に関連する他のサンプルの香りを嗅ぎ、自身が好む香りのサンプルとして、例えばサンプル60bをセンシング面SAにある第1トレイ50aの上に置いたとする。サンプル特定部11は、センサ装置40によるサンプルIDの読み取り結果に基づいて(ステップS11)、サンプル60bがセンシング面に置かれたことを特定する(ステップS13)。
【0042】
これにより、
図10に示すように、サンプル60bの香りに関する表現が、センシング面を中心とした扇図形の内部に表示される(ステップS16)。ユーザは、これらの表現を見ながらサンプル60bの香りに対する表現のしかたを知ることができる。さらに、ユーザが、表示されている表現群のうち、自身が気になる香りの表現として「果物」をタッチする操作を行った場合、
図11に示すように、その「果物」という表現を囲む円環画像が表示されるとともに、その「果物」という表現によって表される他のサンプル(ここでは、サンプル60g及び60iとする)の位置を囲む円環画像が表示される。ユーザは、「果物」と表現される香りとして、サンプル60bの他に、サンプル60g及び60iがあることを知ることができる。なお、
図11においては、「果物」という表現によって表されるサンプルであるサンプル60aの位置を囲む円環画像が表示されていない。これについては、一連の動作において過去にセンシング面に置かれたサンプル60を表示制御部14が記憶しておき、過去に置かれたサンプル60については
図11に例示したように円環画像を表示しないようにしてもよいし、過去に置かれたサンプル60についても円環画像を表示するようにしてもよい。
【0043】
さらに、
図11の状態から、ユーザがサンプル60bを第1トレイの上から外して、「果物」に関連する他のサンプルの香りを嗅ぎ、自身が好む香りのサンプルとして、例えばサンプル60gをセンシング面SAの第1トレイ50aの上に置いたとする。情報処理装置10のサンプル特定部11は、センサ装置40によるサンプルIDの読み取り結果に基づいて(ステップS11)、サンプル60gがセンシング面に置かれたことを特定する(ステップS13)。
【0044】
これにより、
図12に示すように、サンプル60gの香りに関する表現が、センシング面を中心とした扇図形の内部に表示される(ステップS16)。ユーザは、これらの表現を見ながらサンプル60gの香りに対する表現のしかたを知ることができる。以上のような単一サンプル表示モードにおける表示処理を複数回経ることで、ユーザは自身が好む香りのサンプルとして、サンプル60a,60b,60gがあることを知ることができる。
【0045】
次に、ユーザは、センシング面SAにある第1トレイ50aの上に、さらに第2トレイ50bを重ねて置く。情報処理装置10の切替部12は、センサ装置40によるトレイIDの読み取り結果に基づいて(ステップS11)、第1トレイ50a及び第2トレイ50bが置かれたと判断して、表示モードを複数サンプル表示モードに切り替える(ステップS12)。
【0046】
次に、ユーザは、単一サンプル表示モードにおいて自身が好む香りのサンプルとして選んだサンプル60a,60b,60gをセンシング面SA上の第1トレイ50a及び第2トレイ50bの上に置く。情報処理装置10のサンプル特定部11は、センサ装置40によるサンプルIDの読み取り結果に基づいて(ステップS11)、サンプル60a,60b,60gがセンシング面に置かれたことを特定する(ステップS13)。
【0047】
表示制御部14は、特定されたサンプル60a,60b,60gのサンプルIDをキーにして、表現DBにおいてそのサンプルIDに対応する表現を検索する(ステップS14)。さらに、表示制御部14は、単一サンプル表示モードであるか又は複数サンプル表示モードであるかという表示モードの別と、表現DBを参照して、検索した表現の各々に対応する表示態様を決定する(ステップS15)。そして、表示制御部14は、表示装置20を制御して、センシング面SAの周囲の表示領域に、サンプル60a,60b,60gの各々についてステップS14で検索した表現を、ステップS15で決定した表示態様で表示する(ステップS16)。さらにこのとき、表示制御部14は、表示装置20を制御して、サンプル60a,60b,60gにおいて共通する表現を、サンプル60a,60b,60gにおいて共通しない表現と識別可能に表示させる。例えば、
図13に例示するように、「果物」という表現がサンプル60a,60b,60gにおいて共通する表現である場合、その「果物」という表現を囲む三重の円環画像が表示される。また、「甘い」「花」「リラックス」という表現がいずれもサンプル60a,60bにおいて共通する表現である場合、その「甘い」「花」「リラックス」という表現を囲む二重の円環画像が表示される。そして、それ以外の表現である「フレッシュ」「海」「ピンク」「爽快」「華やか」「透明感」「海」「バケーション」「春」「夏」「草原」という表現は、サンプル60a,60b,60gのうちいずれか2以上のサンプルにおいて共通する表現ではないので、上記のような円環画像は表示されない。このようなユーザが選んだ複数のサンプル60に共通する表現を確認することによって、ユーザ自身がどのような香りを好んでいるかをより明確に把握することが可能となる。
【0048】
以上説明した実施形態によれば、ユーザは物体の香りとその香りの表現との関係を視覚的に把握することが可能となる。さらに、ユーザ自身がどのような香りを好んでいるかを視覚的に把握できるようになる。
【0049】
[変形例]
本発明は、上述した実施形態に限定されない。上述した実施形態を以下のように変形してもよい。また、以下の2つ以上の変形例を組み合わせて実施してもよい。
【0050】
[変形例1]
本発明は、嗅覚を対象としたものに限らず、味覚を対象としたもの(例えばワイン、日本酒、スパイス、調味料等)にも適用可能である。つまり、実施形態における「香り」を「味」に置き換えて本発明を実施してもよい。
【0051】
[変形例2]
各表現を表示するときの表示態様は、表現とその表現の表示を見るユーザとの関係に応じたものであってもよい。表現とユーザとの関係とは、例えば、その表現によって表される香りの香りと香りに関するユーザの嗜好との一致度や、ユーザがその表現を香りの表現として用いた履歴等を含む。例えば「甘い」という香りを好むユーザに対しては、センサ装置40のセンシング面に置かれたサンプル60の近くに「甘い」という表現を表示するとか、大きく又は目立つ色で「甘い」という表現を表示するとか、振動するように動くことで目立つように「甘い」という表現を表示するといった例が考えられる。この場合、香りに関するユーザの嗜好は予め収集及びデータベース化されて補助記憶装置104等に記憶されており、表示制御部14はそれを参照するものとする。
【0052】
また、例えば「甘い」という表現を過去に多く用いたことがあるユーザに対しては、センサ装置40のセンシング面に置かれたサンプル60の近くに「甘い」という表現を表示するとか、大きく又は目立つ色で「甘い」という表現を表示するとか、振動するように動くことで目立つように「甘い」という表現を表示するといった例が考えられる。この場合、ユーザが香りに対して用いた表現の履歴は予め収集及びデータベース化されて補助記憶装置104等に記憶されており、表示制御部14はそれを参照するものとする。
【0053】
[変形例3]
各表現を表示するときの表示態様は、その表現によって表される香りの属性に応じたものであってもよい。香りの属性とは、例えばトップノート・ミドルノート・ラストノートの別であるとか、香りの刺激の強さ/弱さとか、香りの魅惑度や特殊性、希少性といったものを含む。トップノート・ミドルノート・ラストノートとは、香りが変化していくときに、時間的に最初に認知される香り、その次に認知される香り、さらにその次に認知される香りのことである。例えば、センサ装置40のセンシング面に置かれたサンプル60の近くから遠くへと順に、トップノート・ミドルノート・ラストノートに相当する表現を表示する例や、トップノート・ミドルノート・ラストノートに相当する表現の表示を時系列に切り替えていく例が考えられる。また、刺激が強い香りとか希少な香りに関する表現は、特定の色やフォント、動きで表示する例が考えられる。
【0054】
[変形例4]
各表現を表示するときの表示態様は、その表現の属性に応じたものであってもよい。表現の属性とは、例えば、表現から受けるイメージ、表現の品詞の別、表現に用いる文字の種別(ひらがな、カタカナ、漢字、アルファベット等)、表現を構成する文字数/単語数等を含む。例えば「甘い」という表現は暖色で表示する例が考えられる。
【0055】
[変形例5]
表示制御部14は前述した関係画像を表示する場合に(
図9参照)、ユーザにより選択された表現によって表される香りに関するユーザの嗜好に応じた表示態様でその関係画像を表示するようにしてもよい。例えば、ユーザにより選択された「甘い」という表現と、その表現によって表される他のサンプルとを強調する関係画像において、その色、太さ、大きさ、動き等の表示態様を、「甘い」香りに対するユーザの嗜好に応じて変える。具体的には、ユーザが「甘い」香りを好む場合は、関係画像がより目立つような色、太さ、大きさ、動き等の表示態様とする例が考えられる。この場合、香りに関するユーザの嗜好は予め収集及びデータベース化されて補助記憶装置104等に記憶されており、表示制御部14はそれを参照するものとする。なお、関係画像は、
図9に例示した画像に限らず、ユーザにより選択された表現とその表現によって表されるサンプルとが関係していることが分かるような画像であればよい。
【0056】
[変形例6]
表示制御部14は、複数のサンプル60の各々について表現を表示するときに、相性が良い表現どうしを色や動き等で識別し得るような表示態様で表示するようにしてもよい。例えば「甘い」という表現に対応するサンプル60と「まろやか」という表現に対応するサンプル60とについては、「甘い」と「まろやか」は相性がいいという前提で、これら「甘い」と「まろやか」という表現を同じ色で表示し、そのような相性の良い関係に無い表現はそれぞれ別の色で表示する例が考えられる。同様に、表示制御部14は、相性が悪い表現どうしについても色や動きで識別し得る表示態様で表示するようにしてもよい。例えば「甘い」という表現に対応するサンプル60と「苦い」という表現に対応するサンプル60とについては、「甘い」と「苦い」は相性が悪いという前提で、これら「甘い」と「苦い」という表現を同じような激しい動きで表示し、そのような相性の悪い関係に無い表現は動きのない表示を行う例が考えられる。このように、表示制御部14は、第1物体に関する表現と第2物体に関する表現とのうち、所定の関係にある表現については、当該所定の関係ではない表現と識別可能な表示態様で表示するようにしてもよい。ここでいう、複数の表現が所定の関係にある表現とは、上述したような相性の良い/悪いという関係のほか、複数の表現がいずれもユーザの嗜好に合致する/合致しないとか、類似の香りの表現群に属する/属しないといった例も考えられる。この場合、香りに関するユーザの嗜好や類似の香りの表現群は予め収集及びデータベース化されて補助記憶装置104等に記憶されており、表示制御部14はそれを参照するものとする。
【0057】
[変形例7]
上記実施形態において、切替部12は、センシング面に第1トレイ50aが置かれた場合に「単一サンプル表示モード」に切り替え、センシング面に第1トレイ50a及び第2トレイ50bが置かれた場合に「複数サンプル表示モード」に切り替えていた。このように表示モードを切り替える操作具としてトレイを利用する方法は上記実施形態の例に限定されない。例えば、トレイIDを格納したタグが設けられたトレイを1つのみ用意しておき、切替部12は、センシング面にそのトレイが置かれてない場合には「単一サンプル表示モード」に切り替え、センシング面にそのトレイが置かれた場合に「複数サンプル表示モード」に切り替えるようにしてもよい。またこれとは逆に、切替部12は、センシング面にトレイが置かれた場合には「単一サンプル表示モード」に切り替え、センシング面にそのトレイが置かれていない場合に「複数サンプル表示モード」に切り替えるようにしてもよい。以上のように、切替部12は、トレイがユーザインタフェース装置30の所定の位置に置かれたときに、当該トレイに設けられたタグを読み取って、単一サンプル表示モードと呼ばれる第1表示モード及び複数サンプル表示モードと呼ばれる第2表示モードを相互に切り替えるようにすればよい。
【0058】
[変形例8]
表示装置や操作装置は、
図1で例示した表示装置20やセンサ装置40に限定されない。例えば表示装置は、或る表示面に画像を投影するものであってもよい。また、表示装置は壁面に画像を表示するものであってもよい(壁面に画像を投影する場合や壁面自体が表示装置である場合を含む)。また、表示装置はいわゆる拡張現実を実現する表示装置であってもよい。具体的には、スマートホンやタブレット或いはグラス型ウェアラブル装置の撮像装置でサンプル60を撮像すると、その撮像画像中のサンプル60の周囲に、対応する表現群を表示するものであってもよい。また、操作装置は、ユーザの操作を画像認識技術によって検知する装置であってもよい。
【0059】
[変形例9]
実施形態においては、サンプル60をセンサ装置40のセンシング面に置くとそのサンプル60に関する表現を表示していたが、ユーザが例えばサンプル60に相当するアロマオイルを収容した蓋付き小瓶の蓋を開けたときに、そのサンプル60に関する表現を表示するようにしてもよい。同様に、例えば自然物そのものを皿に置いた状態で透明カバーを被せておき、ユーザがその透明カバーを外したときに、その自然物の香りに関する表現を表示するようにしてもよい。このようなユーザの行為は例えば周知の画像認識技術を用いて検出することができる。
【0060】
[変形例10]
表現の表示形態は、2次元表示でもよいし、3次元表示であってもよい。また、表示される「表現」は、文字に限らず、色、抽象画、或いは人物/景色等の画像であってもよい。
【0061】
本発明は、情報処理装置10において行われる処理のステップを備える情報処理方法として提供されてもよい。また、本発明は、情報処理装置10において実行されるプログラムとして提供されてもよい。かかるプログラムは、光ディスク等の記録媒体に記録した形態で提供されたり、インターネット等のネットワークを介して、コンピュータにダウンロードさせ、これをインストールして利用可能にするなどの形態で提供されたりすることが可能である。
【0062】
以上、本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【符号の説明】
【0063】
1…情報提供システム、20…表示装置、30…ユーザインタフェース装置、40…センサ装置、50a…第1トレイ、51a…タグ、50b…第2トレイ、51b…タグ、60,60a~60i…サンプル、61…タグ、101…CPU、102…ROM、103…RAM、104…補助記憶装置、105…通信IF、11…サンプル特定部、12…切替部、13・・・表現DB記憶部、14…表示制御部。