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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-27
(45)【発行日】2025-04-04
(54)【発明の名称】無線識別に基づくスマートファスナ
(51)【国際特許分類】
   G06K 19/07 20060101AFI20250328BHJP
【FI】
G06K19/07 260
G06K19/07 160
G06K19/07 230
【請求項の数】 17
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020132329
(22)【出願日】2020-08-04
(65)【公開番号】P2021047849
(43)【公開日】2021-03-25
【審査請求日】2023-08-02
(31)【優先権主張番号】16/536,026
(32)【優先日】2019-08-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ソレンセン, アダム イー.
(72)【発明者】
【氏名】コフランド, ドナルド ダブリュ.
(72)【発明者】
【氏名】ソン, ヒョク ジェー.
(72)【発明者】
【氏名】チャン, チアミン
【審査官】小林 紀和
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第102009043267(DE,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0129158(US,A1)
【文献】特表2011-527756(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0008008(US,A1)
【文献】特開平10-062277(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0056375(US,A1)
【文献】米国特許第11371823(US,B1)
【文献】特表2019-518203(JP,A)
【文献】特開平07-019970(JP,A)
【文献】特開2010-78480(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 19/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファスナ(102)、
前記ファスナ(102)に接続された、第1の磁気弾性構成要素(104)及び第2の磁気弾性構成要素(404)であって、前記第1の磁気弾性構成要素(104)に加わる第1の歪みレベル(520)が、前記ファスナ(102)の締まり状態の範囲内の締まりレベル(510)の関数(506)であり、前記第2の磁気弾性構成要素(404)に加わる第2の歪みレベル(1120)が、前記ファスナの締まり状態の範囲内の締まりレベルの関数(1206)である、第1の磁気弾性構成要素(104)及び前記第2の磁気弾性構成要素(404)、
第1の無線識別(RFID)回路(108)及び第2のRFID回路(408)
前記第1のRFID回路(108)に電気的に接続された第1のアンテナ(110、210)、及び前記第2のRFID回路(408)に電気的に接続された第2のアンテナ(410)
前記第1のRFID回路(108)と前記第1のアンテナ(110)に電気的に接続された第1の可変インダクタ回路(106)、並びに
前記第2のRFID回路(408)と前記第2のアンテナ(410)に電気的に接続された第2の可変インダクタ回路(406)、を備え、
前記第1のRFID回路(108)の共振応答周波数が、前記ファスナ(102)が前記締まり状態の範囲内において締まっている状態にあることに応答して、RFIDリーダに関連付けられた指定RFID帯内にあり、前記第2のRFID回路(408)の共振応答周波数が、前記ファスナ(102)が前記締まり状態の範囲内において締まっていない状態にあることに応答して、前記RFIDリーダに関連付けられた前記指定RFID帯内にあり、
前記第1のRFID回路(108)の共振応答周波数と前記第2のRFID回路(408)の共振応答周波数は両方とも、前記ファスナ(102)が前記締まり状態の範囲内において前記締まっている状態と締まっていない状態との間の状態であることに応答して、前記指定RFID帯内の励起信号に応答するための前記指定RFID帯の範囲外にある、
システム。
【請求項2】
前記ファスナ(102)の前記締まりレベルの範囲(502)が、前記ファスナ(102)の締まっている状態と前記ファスナ(102)の締まっていない状態にそれぞれ対応する締まりレベルの重なり合わない第1のサブレンジと第2のサブレンジ(516、518)を含み、前記ファスナ(102)の前記締まっている状態と前記ファスナ(102)の前記締まっていない状態が、重なり合わない第1の共振応答周波数帯と第2の共振応答周波数帯(726、728)にそれぞれ対応する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記重なり合わない第1の共振応答周波数帯(726)が指定RFID帯に対応するか、又は前記重なり合わない第2の共振応答周波数帯(728)が前記指定RFID帯に対応する、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記第1の磁気弾性構成要素(104)に加わる歪みレベルの第1の範囲(816、916)に応答して、前記第1のRFID回路(108)の共振を可能にし且つ前記第1のRFID回路(108)を作動させ、前記第2の磁気弾性構成要素(404)に加わる歪みレベルの第2の範囲(818、918)に応答して、前記第2のRFID回路(408)の共振を可能にし前記第2のRFID回路を作動させる、指定RFID帯域内の所定の周波数(830)における励起信号を送信するように構成されたRFIDリーダ(112)
を更に備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記歪みレベルの第1の範囲(816)が、締まっている状態にある前記ファスナ(102)に関連付けられ、前記歪みレベルの第2の範囲(818)が、締まっていない状態にある前記ファスナ(102)に関連付けられる請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記第1のRFID回路(108)の前記共振応答周波数(720)を決定し、前記第1のRFID回路(108)の前記共振応答周波数(720)を前記第1の磁気弾性構成要素(104)に加わる前記第1の歪みレベル(520)にマッピングするために、一定の周波数の範囲(1016)にわたって励起信号(114)を送信するように構成されたRFIDリーダ(112)を更に備える、請求項1から5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
追加のRFID回路(308)と追加の可変インダクタ回路(306)に関連付けられる追加のファスナ(302)、及び
締まっていない状態にある前記ファスナ(102)に対応する前記磁気弾性構成要素(104)に加わる前記歪みレベル(524)に応答して、前記RFID回路(108)の前記共振応答周波数(724)と一致する所定の周波数(730)を有する励起信号(114)を送信し、それにより締まっている状態にある前記追加のファスナに応答して、前記追加のファスナ(302)の中から前記ファスナ(102)を見つけることを可能にするように構成されたRFIDリーダ(112)
を更に備える、請求項1から6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記RFID回路(108)が、前記RFID回路(108)の前記共振応答周波数(620)と一致する前記所定の周波数(730)に応答して、前記ファスナ(102)を見つけるために使用可能な識別子(118)を送信するように構成されている、請求項7に記載の前記システム。
【請求項9】
前記第1の可変インダクタ回路(106)が呈するインダクタンス(620)が、前記第1の磁気弾性構成要素(104)に加わる前記第1の歪みレベル(520)の関数(606)であり、前記第1のRFID回路(108)の共振応答周波数(720)が、前記第1の可変インダクタ回路(106)が呈する前記インダクタンス(620)の関数(706)であり、且つ前記第1の歪みレベル(522)の変化が前記共振応答周波数(720)のシフト(722)をもたらし、
前記第2の可変インダクタ回路(406)が呈する第2のインダクタンスレベル(1220)が、前記第2の磁気弾性構成要素(404)に加わる第2の歪みレベル(1120)の関数(1206)であり、前記第2のRFID回路(408)の第2の共振応答周波数(1320)が、前記第2の可変インダクタ回路(406)が呈する第2のインダクタンス(1220)の関数(1306)であり、前記第2の歪みレベル(1120)の変化が前記第2の共振応答周波数(1320)のシフトをもたらす、前記第2の可変インダクタ回路(406)である、請求項1から8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
前記第1のアンテナが双極子型アンテナ(110)またはループアンテナである、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
第1の無線識別(RFID)回路(108)、
前記第1のRFID回路(108)に電気的に接続された第1のアンテナ(110、210)
前記第1のRFID回路(108)と前記第1のアンテナ(110、210)に電気的に連結されるとともにファスナに接続され、且つ第1の磁気弾性構成要素(104)を有する第1の可変インダクタ回路(106)であって、前記第1の可変インダクタ回路(106)が呈するインダクタンスが、前記ファスナの締まり状態の範囲内の状態に関連付けられた締まりレベルに対応する、前記第1の磁気弾性構成要素(104)に加わる第1の歪みレベルの関数であり、前記第1のRFID回路(108)の共振応答周波数が、前記第1の可変インダクタ回路(106)が呈する前記インダクタンスの関数であり、前記第1の歪みレベルの変化が、前記第1のRFID回路(108)の前記共振応答周波数のシフトをもたらし、前記第1のRFID回路(108)の第1の所定の歪みレベルの範囲が、リーダに関連付けられた所定の共振応答周波数帯をもたらし、且つ前記第1の所定の歪みレベルの範囲がファスナが締まった状態にあることに関連付けられる、前記第1の可変インダクタ回路(106)、
第2の無線識別(RFID)回路(408)、
前記第2のRFID回路(408)に電気的に接続された第2のアンテナ(410)、及び、
前記第2のRFID回路(408)と前記第2のアンテナ(410)に電気的に連結されるとともに前記ファスナに接続され、且つ第2の磁気弾性構成要素(404)を有する第2の可変インダクタ回路(406)であって、前記第2の可変インダクタ回路(406)が呈するインダクタンスが、前記ファスナの前記締まり状態の範囲内の状態に関連付けられた締まりレベルに対応する、前記第2の磁気弾性構成要素(404)に加わる第2の歪みレベルの関数であり、前記第2のRFID回路(408)の共振応答周波数が、前記第2の可変インダクタ回路(406)が呈する前記インダクタンスの関数であり、前記第2の歪みレベルの変化が、前記第2のRFID回路(408)の前記共振応答周波数のシフトをもたらし、前記第2のRFID回路(408)の第2の所定の歪みレベルの範囲が、前記リーダに関連付けられた前記所定の共振応答周波数帯をもたらし、且つ前記第2の所定の歪みレベルの範囲が、前記ファスナが締まっていない状態にあることに関連付けられる、前記第2の可変インダクタ回路(406)を備え、
前記第1のRFID回路(108)の前記共振応答周波数と前記第2のRFID回路(408)の前記共振応答周波数は両方とも、前記ファスナが前記締まっている状態と締まっていない状態との間にある状態であることに応答して、前記所定の共振応答周波数帯域内の励起信号に応答するための前記リーダの前記所定の共振周波数帯域の範囲外となる、装置。
【請求項12】
前記第1のアンテナが双極子型アンテナ(110)であり、前記所定の共振応答周波数帯が極超高周波(UHF)帯である、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記第1のアンテナがループアンテナ(210)であり、前記所定の共振応答周波数帯が高周波(HF)帯又は低周波(LF)帯である、請求項11記載の装置。
【請求項14】
前記第1の可変インダクタ回路(106)が前記ループアンテナ(210)のループに組み込まれている、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記第1の可変インダクタ回路(106)が、前記第1の磁気弾性構成要素(104)を取り囲むインダクタコイルである、請求項11記載の装置。
【請求項16】
前記第1の磁気弾性構成要素(104)がマルチフェロイック材料のコアを含む、請求項11記載の装置。
【請求項17】
第1の無線識別(RFID)回路(108)を提供すること、
第1のアンテナ(110、210)を前記第1のRFID回路(108)に電気的に接続すること、
第1の磁気弾性構成要素(104)を有する第1の可変インダクタ回路(106)を前記第1のRFID回路(108)と前記第1のアンテナ(110、210)に電気的に接続することであって、前記第1の可変インダクタ回路(106)が呈するインダクタンスが、ファスナの締まり状態の範囲内の状態に関連付けられた締まりレベルに対応する、前記第1の磁気弾性構成要素(104)に加わる第1の歪みレベルの関数であり、前記第1のRFID回路(108)の共振応答周波数が、前記第1の可変インダクタ回路(106)が呈する前記インダクタンスの関数であり、前記第1の歪みレベルの変化が前記第1のRFID回路(108)の前記共振応答周波数のシフトをもたらし、前記第1のRFID回路(108)の所定の第1の歪みレベル範囲は、RFIDリーダに関連付けられた指定RFID帯をもたらし、前記第1の所定の第1の歪みレベル範囲は、前記ファスナが締まった状態にあることと関連づけられる、第1の可変インダクタ回路(106)を前記第1のRFID回路(108)と前記第1のアンテナ(110、210)に電気的に接続すること、
前記第1の磁気弾性構成要素を前記ファスナに接続することであって、前記第1のRFID回路(108)の共振応答周波数は、前記ファスナが締まっている状態にあることに応じて前記RFIDリーダに関連付けられた所定のRFID帯内にある、前記第1の磁気弾性部品を前記ファスナに接続すること、
第2の無線識別(RFID)回路(408)を提供すること、
第2のアンテナ(410)を前記第2のRFID回路(408)に電気的に接続すること、
第2の磁気弾性構成要素(404)を有する第2の可変インダクタ回路(406)を前記第2のRFID回路(408)と前記第2のアンテナ(410)に電気的に接続することであって、前記第2の可変インダクタ回路(406)が呈するインダクタンスが、ファスナの締まり状態の範囲内の状態に関連付けられた締まりレベルに対応する、前記第2の磁気弾性構成要素(404)に加わる第2の歪みレベルの関数であり、前記第2のRFID回路(408)の共振応答周波数が、前記第2の可変インダクタ回路(406)が呈する前記インダクタンスの関数であり、前記第2の歪みレベルの変化が前記共振応答周波数のシフトをもたらし、前記第2のRFID回路(408)の第2の所定の歪みレベル範囲は、RFIDリーダに関連付けられた所定のRFID帯をもたらし、第2の歪みレベル範囲は、ファスナが締まっていない状態であることと関連づけられる、第2の磁気弾性構成要素(404)を有する第2の可変インダクタ回路(406)を前記第2のRFID回路(408)と前記第2のアンテナ(410)に電気的に接続すること、
前記第2の磁気弾性構成要素をファスナに接続し、前記ファスナが締まっていない状態にあることに応答して、第2のRFID回路(408)の共振応答周波数が、前記RFIDリーダに関連付けられた指定RFID帯域内にあること、及び
前記第1のRFID回路(108)の応答共振周波数と前記第2のRFID回路(408)の共振応答周波数は両方とも、前記ファスナが前記締まった状態と前記締まっていない状態との間の状態にあることに応じて、前記指定RFID帯内の励起信号に応答するための前記RFIDリーダの前記指定RFID帯の範囲外にあること、
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概してファスナの分野に関し、特に無線自動識別に基づくスマートファスナに関する。
【背景技術】
【0002】
無線識別(RFID)システムは、対象のアセットを追跡及び識別するためのユビキタスとなった。RFIDタグは、タグの電源に基づいてパッシブ又はアクティブに分類することができる。最も一般的な形態のRFIDシステムは、RFIDチップがリーダから放射される衝突フィールドにより電力供給されるパッシブタグを使用する。典型的な極超高周波(UHF)帯RFIDタグは、双極子型のアンテナとRFID集積回路(IC)チップとを含み得る。RFIDチップは、多数の製造者より既製品を入手することができる。LF、HF、及びUHF帯における大多数のRFIDチップは、ある程度の耐性と共にある程度の容量リアクタンスを呈する。RFIDチップの複素インピーダンスは、アンテナの一部として電磁誘導式ループを加えることにより、最大電力転送のためのアンテナの複素インピーダンスと共役整合させることができる。典型的な用途における電磁誘導式ループは、RFIDタグを特定の所定RFID周波数において確実にリーダと通信可能にするために、固定インダクタンスを呈する。
【0003】
RFIDシステムはまた、センサと統合されて無線センサシステムを可能にし得る。例えば、RFIDセンサシステムは、歪みセンサと、歪みセンサによって測定されたデータを処理するマイクロプロセッサとを含み、RFIDタグを介してリーダと通信する。典型的なセンサ統合型RFIDタグは、センサ、マイクロプロセッサ、RFID回路、アンテナ、及び専用電源を含み得る。しかしながら、これらすべてのシステムの組み合わせは、典型的なRFIDシステムのサイズ、重量、電力(SWAP)要件を、多くの展開シナリオにとって望ましくないものにする。さらなる不利益が存在し得る。
【発明の概要】
【0004】
ここに開示されるのは、典型的なRFID感知システムの欠点うちの少なくとも一つを克服するスマートファスナ(例えば、センサ)システムである。センサシステムは、ファスナ(例えば、ボルト)が緩んでいるか又は締まっているかを決定することを含む、種々の用途のために使用することができる。一実施形態において、システムは、ファスナに取り付けられた磁気弾性材料に基づく歪みセンサを含む。磁気弾性材料は、ファスナ上に生じた歪みの関数として変化するインダクタンスを有する可変インダクタの一部である。可変インダクタは、RFID回路が指定RFID動作帯内部で共振するように、設計された「正常な」歪み状態について、アンテナをRFID回路に共役整合させるように設計されている。いくつかの実施形態では、正常な歪み状態は、締まっている状態のファスナに関連付けられる。いくつかの実施形態では、正常な歪み状態は、緩んだ状態のファスナに関連付けられる。
【0005】
本開示の態様によるシステムのいくつかの実施形態では、システムは、ファスナとファスナに接続された磁気弾性構成要素とを含み、ここで磁気弾性構成要素に加わる歪みレベルは、ファスナの締まりレベルの範囲内の締まりレベルの関数である。システムは、RFID回路と、RFID回路に電気的に接続されたアンテナとを更に含む。システムは、RFID回路及びアンテナに電気的に接続された可変インダクタ回路を含み、ここで、可変インダクタ回路が呈するインダクタンスは、磁気弾性構成要素に加わる歪みレベルの関数であり、RFID回路の共振応答周波数は、可変インダクタ回路が呈するインダクタンスの関数であり、歪みレベルの変化は共振応答周波数にシフトをもたらす。
【0006】
このような実施形態のいくつかでは、ファスナの締まりレベルの範囲は、ファスナの締まっている状態とファスナの締まっていない状態とにそれぞれ対応する、重なり合わない締まりレベルの第1のサブレンジと第2のサブレンジとを含み、ここでファスナの締まっている状態とファスナの締まっていない状態とは、重なり合わない第1の共振応答周波数帯と第2の共振応答周波数帯とにそれぞれ対応する。このような実施形態のいくつかでは、重なり合わない第1の共振応答周波数帯が指定RFID帯に対応するか、又は重なり合わない第2の共振応答周波数帯が指定RFID帯に対応する。
【0007】
このような実施形態のいくつかでは、システムは、磁気弾性構成要素に加わる歪みレベルの第1の範囲に応答してRFID回路の共振を可能にし且つRFID回路を作動させ、磁気弾性構成要素に加わる歪みレベルの第2の範囲に応答して共振を可能にせず且つRFID回路を作動させない所定の周波数で励起信号を送信するように構成されたRFIDリーダも含む。いくつかの実施形態では、歪みレベルの第1の範囲が締まっている状態にあるファスナに関連付けられており且つ歪みレベルの第2の範囲が締まっていない状態にあるファスナに関連付けられているか、又は歪みレベルの第1の範囲が締まっていない状態にあるファスナに関連付けられており且つ歪みレベルの第2の範囲が締まっている状態にあるファスナに関連付けられている。
【0008】
RFIDリーダを含むいくつかの実施形態では、RFIDリーダは、周波数のある範囲にわたって励起信号を送信し、RFID回路の共振応答周波数を決定し、RFID回路の共振応答周波数を磁気弾性構成要素に加わる歪みレベルにマッピングするように構成される。
【0009】
いくつかの実施形態では、システムは、追加のRFID回路と追加の可変インダクタ回路に関連付けられる追加のファスナと、締まっていない状態にあるファスナに対応する磁気弾性構成要素に加わる歪みレベルに応答してRFID回路の共振応答周波数と一致する所定の周波数を有する励起信号を送信し、それにより、締まっている状態にある追加のファスナに応答して追加のファスナの中から前記ファスナを見つけることを可能にするように構成されたRFIDリーダも含む。いくつかの実施形態では、RFID回路は、RFID回路の共振応答周波数と一致する所定の周波数に応答して前記ファスナを見つける識別子を送信するように構成される。
【0010】
いくつかの実施形態では、システムは、ファスナに接続される第2の磁気弾性構成要素、第2のRFID回路、RFID回路に電気的に接続される第2のアンテナ、及び第2のRFID回路と第2のアンテナに電気的に連結される第2の可変インダクタ回路も含み、ここで第2の可変インダクタ回路が呈する第2のインダクタンスレベルは、第2の磁気弾性構成要素に加わる第2の歪みレベルの関数であり、第2のRFID回路の第2の共振応答周波数は第2の可変インダクタ回路が呈する第2のインダクタンスの関数であり、第2の歪みレベルの変化は、第2の共振応答周波数のシフトをもたらす。いくつかの実施形態では、RFID回路の共振応答周波数は、締まっている状態にあるファスナに対応する磁気弾性構成要素に加わる歪みレベルに応答して指定RFID帯内にあり、第2のRFID回路の第2の共振応答周波数は、締まっていない状態にあるファスナに対応する第2の磁気弾性構成要素に加わる第2の歪みレベルに応答して指定RFID帯内にある。
【0011】
本開示の態様による装置のいくつかの実施形態では、装置は、RFID回路と、RFID回路に電気的に接続されたアンテナとを含む。装置は、RFID回路とアンテナに電気的に連結された可変インダクタ回路も含み、可変インダクタ回路は磁気弾性構成要素を有し、ここで可変インダクタ回路が呈するインダクタンスは、磁気弾性構成要素に加わる歪みレベルの関数であり、RFID回路の共振応答周波数は、可変インダクタ回路が呈するインダクタンスの関数であり、歪みレベルの変化は共振応答周波数のシフトをもたらし、所定の歪みレベル範囲は所定の共振応答周波数帯をもたらす。
【0012】
このような実施形態のいくつかでは、アンテナは双極子型のアンテナであり、所定の共振応答周波数帯はUHF帯である。いくつかの実施形態では、アンテナはループ型のアンテナであり、所定の共振応答周波数帯は高周波(HF)帯又は低周波(LF)帯である。いくつかの実施形態では、可変インダクタ回路は、ループ型のアンテナのループに組み込まれている。いくつかの実施形態では、可変インダクタ回路は、磁気弾性構成要素を取り囲むインダクタコイルを含む。いくつかの実施形態では、磁気弾性構成要素は、マルチフェロイック材料のコアを含む。
【0013】
本開示の態様による方法のいくつかの実施形態では、方法は、RFID回路を提供することを含む。方法は、アンテナをRFID回路に電気的に接続することを更に含む。方法は、磁気弾性構成要素を有する可変インダクタ回路をRFID回路と可変インダクタ回路に電気的に接続することも含み、ここで可変インダクタ回路が呈するインダクタンスは、磁気弾性構成要素に加わる歪みレベルの関数であり、RFID回路の共振応答周波数は、可変インダクタ回路が呈するインダクタンスの関数であり、歪みレベルの変化は共振応答周波数のシフトをもたらす。
【0014】
いくつかの実施形態では、方法は、磁気弾性構成要素をファスナに接続することを含み、ここで共振応答周波数は、締まっている状態にあるファスナに対応する磁気弾性構成要素に加わる歪みレベルに応答して指定RFID帯内にある。いくつかの実施形態では、方法は、磁気弾性構成要素をファスナに接続することを含み、ここで共振応答周波数は、締まっていない状態にあるファスナに対応する磁気弾性構成要素に加わる歪みレベルに応答して指定RFID帯内にある。いくつかの実施形態では、方法は、磁気弾性構成要素に加わる歪みレベルを変更し、それにより、RFID回路の共振応答周波数をシフトさせることを含む。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本開示の態様による、双極子型アンテナを組み込んだRFIDに基づくスマートファスナシステムの例示的実施形態を示している。
図2】本開示の態様による、ループ型アンテナを組み込んだRFIDに基づくスマートファスナシステムの例示的実施形態を示している。
図3】本開示の態様による、多重ファスナを有するRFIDに基づくスマートファスナシステムの例示的実施形態を示している。
図4】本開示の態様による、ファスナ上に多重RFID回路を有するRFIDに基づくスマートファスナシステムの例示的実施形態を示している。
図5】締まりレベルの範囲の関数として歪みを示すグラフである。
図6】磁気弾性構成要素における歪みの関数として可変インダクタ回路のインダクタンスを示すグラフである。
図7】可変インダクタ回路におけるインダクタンスの関数としてRFID回路の共振応答周波数を示すグラフである。
図8】磁気弾性構成要素に加わる歪みの関数としてRFID回路の共振応答周波数を示すグラフである。
図9】磁気弾性構成要素に加わる歪みの関数としてRFID回路の共振応答周波数を示すグラフである。
図10】磁気弾性構成要素に加わる歪みの関数としてRFID回路の共振応答周波数を示すグラフである。
図11】ファスナの締まりレベルの範囲の関数として磁気弾性構成要素における歪みを示すグラフである。
図12】磁気弾性構成要素における歪みの関数として可変インダクタ回路のインダクタンスを示すグラフである。
図13】可変インダクタ回路におけるインダクタンスの関数としてRFID回路の共振応答周波数を示すグラフである。
図14】周波数の関数としてRFID回路の受信信号レベルを示すグラフである。
図15】可変インダクタンスを呈するスマートファスナの実施形態を示している。
図16】磁気弾性材料に加わる機械的応力/歪みの関数として磁気弾性構成要素に誘導される透磁率の変化を示すグラフである。
図17】RFIDスマート感知のための方法の実施形態のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本開示には種々の修正形態及び代替形態が可能であるが、説明のための例示的実施形態が、例として図示され、ここで詳細に記載される。しかしながら、本開示は開示される特定の形態に限定されず、本開示の範囲に含まれるすべての修正例、等価物及び代替例を網羅する。
【0017】
図1-4を参照すると、RFIDに基づくスマートファスナシステムの複数の例示的実施形態が概略的に示されている。ここで詳細に説明されるように、その構成はいくらか異なっている。これら様々な構成において同じ参照番号は同じ部品、構成要素、及び/又は概念を指し、様々な構成の中のその変形例は、異なる参照番号により表される。
【0018】
図1を参照すると、RFIDに基づくスマートファスナシステム100の例示的実施形態が示されている。システム100は、RFID回路108、アンテナ110、及び可変インダクタ回路106を含んでいる。アンテナ110は、双極子型アンテナとして示されている。RFID回路108は、UHF帯に容量リアクタンス及び抵抗を呈するパッシブRFID回路を含む。RFID回路108の共振応答周波数は、可変インダクタ回路106のインダクタンスに依存している。可変インダクタ回路106を使用して、RFID回路108の複素インピーダンスがアンテナ110の複素インピーダンスと共役整合されるとき、大きな電力転送を達成することができる。可変インダクタ回路106のインダクタンスを調節することにより、RFID回路108の共振応答周波数を変更することができる。
【0019】
システム100は、ファスナ102に取り付けられた磁気弾性構成要素104を含む。磁気弾性構成要素104は、可変インダクタ回路106の一部を形成し得る。例えば、いくつかの実施形態では、可変インダクタ回路106は、図1に示されるように、磁気弾性構成要素104に巻き付けられたコイルである。しかしながら、他の構成も可能である。
【0020】
例えばファスナ102を締め付けることにより磁気弾性構成要素104に加わる歪みは、磁気弾性構成要素104の透磁率を変化させ、これは更に可変インダクタ回路が呈するインダクタンス106に変化をもたらす。インダクタンスの変化はRFID回路108の共振応答周波数を変化させる。このようにして、RFID回路108の共振応答周波数は、最終的にファスナ102の締まり具合に依存する。このような関係について以下で更に記載する。
【0021】
RFID回路108、アンテナ110、可変インダクタ回路106、及び磁気弾性構成要素104は、装置180としてまとめてパッケージ化される。システム100は、装置180に対する追加の構成要素を更に含むことができる。
【0022】
システム100は、RFIDリーダ112を更に含む。RFIDリーダ112は、LFモード、HFモード、UHFモード、又はこれらのいずれかの組み合わせで動作し得る。ここで使用されるLFは、標準化団体によるRFID使用のために割り当てられた数百キロヘルツの範囲内の所定の周波数帯を意味する。例えば、LFは、120kHzと150kHzの間である。HFは、RFIDの使用のために割り当てられた数十メガヘルツの範囲内の所定の周波数帯を意味する。例えば、HFは、約13.56MHzである。UHFは、RFID使用のために割り当てられた数百メガヘルツの範囲内の所定の周波数帯を意味する。例えば、UHFは、欧州では865-868MHzであり、北米では902-928MHzである。いくつかの実施形態では、RFIDリーダ112は、RFID回路108の共振応答周波数を決定するために周波数掃引を実施することができる。
【0023】
動作の間に、RFIDリーダ112は、励起信号114をRFID回路108に送信する。RFID回路108の共振応答周波数が励起信号114の周波数に対応するとき、RFID回路108が作動される。作動すると、RFID回路108は応答信号116をRFIDリーダ112に送信する。応答信号116は、RFID回路108を一意的に識別する識別子118を含む。RFID回路108の共振応答周波数はファスナ102の締まり度合いに最終的に依存するため、RFIDリーダ112を使用してファスナ102が締まっているか又は緩んでいるかを決定することができる。いくつかの事例では、RFID回路108は、ファスナ102が締まっているときに作動するように構成することができる。そのような場合、RFIDリーダ112は、受信される応答信号116がないときファスナ102が緩んでいると決定することができる。いくつかの事例では、RFID回路108は、ファスナ102が緩んでいるときに作動するように構成することができる。そのような場合、RFIDリーダ112は、受信される応答信号116がないときファスナ102が締まっていると決定することができる。いくつかの事例では、RFIDリーダ112は、RFID回路108の共振応答周波数を決定するために掃引を実施するように構成され、この周波数は次いで、ファスナ102の締まりレベルに相関付けられる。このような構成について、ここで更に記載される。
【0024】
図2を参照すると、RFIDに基づくスマートファスナシステム200の別の例示的実施形態が示されている。システム100のアンテナ110などの双極子型アンテナの代わりに、システム200はループアンテナ210を含む。可変インダクタ回路106は、図2に示されるように、ループアンテナ210のループの一部を形成する。例えば、可変インダクタ回路106は、磁気弾性構成要素104に巻き付けられ且つループアンテナ210に電気的に直列に連結されたコイルとすることができる。他の構成も可能である。更に、図1及び2はそれぞれ双極子型及びループアンテナを示しているが、他の種類のアンテナをシステム100、200に使用してもよい。双極子型アンテナは、極超高周波(UHF)帯においてより有効であり、ループアンテナは高周波(HF)帯又は低周波(LF)帯においてより有効であり得る。
【0025】
システム100、200の恩恵は、ファスナ102に取り付けられる歪みセンサが、典型的なパッシブRFID回路構成に類似の形状因子で実装され得ることである。しかしながら、固定インダクタの代わりに、インピーダンス整合のために可変インダクタ回路106を使用することにより、RFID回路108の共振応答周波数をファスナ102における歪みに相関付けてもよい。更に、システム100、200は、更にマイクロプロセッサ及び専用電源に依存し得る典型的なファスナ歪みセンサと比較して有益なサイズ、重量及び電力を有し得る。
【0026】
図1及び2に示されるシステム100及び200を参照して上述した概念は、例えば一又は複数の緩んだファスナを締まっているファスナの中から見つけることを可能にするために、複数のファスナを含むシステムに用いることができる。図3を参照すると、RFIDに基づくスマートファスナシステム300の別の例示的実施形態が示されている。システム300は、追加のファスナ302の締まりが追加の磁気弾性構成要素304の透磁率に影響するように、追加のファスナ302と、それぞれの追加のファスナ302に固定された追加の磁気弾性構成要素304とを含む。追加の可変インダクタ回路306は、追加の磁気弾性構成要素304に加わる歪みレベルが追加の可変インダクタ回路306のインダクタンスに影響するように、追加の磁気弾性構成要素304の近位に位置決めされる。追加のRFID回路308及びアンテナ310も、それぞれ追加のファスナ302の各々に関連付けられる。
【0027】
システム300の動作の間、可変インダクタ回路106、及び追加の可変インダクタ回路306の各々は、RFID回路108及び追加のRFID回路308とインピーダンス整合させることができ、それらそれぞれの共振応答周波数は、ファスナ102及び追加のファスナ302が締まっていない状態にあるとき、RFIDリーダ112が発する励起信号114に対応する。例えば、ファスナ102が締まっていない(即ち、緩んだ又は緩められた)状態にあり、追加のファスナ302の各々が締まっている状態にある場合には、追加のRFID回路308は、励起信号114に応答して作動することを控えることができる。しかしながら、RFID回路108は、作動して応答信号116をRFIDリーダ112に送ってもよい。そのようにして、RFIDリーダ112は、追加のファスナ302(例えば、締まっているファスナ)の中からファスナ102(例えば、緩められたファスナ)を見つけることができる。いくつかの事例では、RFIDリーダ112は、あるとすればどれが緩められているかを発見するために、ファスナ102及び追加のファスナ302全体にわたって掃引され得る。いくつかの実施形態では、RFID回路108は、緩められたとき、ファスナ102を見つけるために使用することのできる識別子118を送信する。
【0028】
システム(例えばシステム300)の一の例示的使用では、技術者は、各ファスナを物理的に試験することなく、迅速に且つ効率的に、一群のファスナが締まっていると決定することができるか、又は締まっているファスナの中から一又は複数の緩められたファスナを見つけることができる。他の利点も存在し得る。
【0029】
図4を参照すると、RFIDに基づくスマートファスナシステム400の別の例示的実施形態が示されている。システム400は、ファスナ102に取り付けられた第2の磁気弾性構成要素404、第2の可変インダクタ回路406、第2のRFID回路408、及び第2のアンテナ410を含む。システム400は、ファスナ102が第1の状態(例えば、緩められた状態)にあるとき、応答信号116及び識別子118の受信を可能にするか、又はファスナ102が第2の状態(例えば、締まっている状態)にあるとき、第2の応答信号416及び第2の識別子418の受信を可能にする。
【0030】
例えば、可変インダクタ回路106は、ファスナ102が緩められているときにRFID回路108の共振応答周波数が励起信号114の所定の周波数に対応するようにRFID回路108とインピーダンス整合させることができる。第2の可変インダクタ回路406は、ファスナ102が締まっているときに第2のRFID回路408の共振応答周波数が励起信号114の所定の周波数に対応するように、第2のRFID回路408とインピーダンス整合させることができる。したがって、ファスナ102が緩められているとき、識別子118を含み、RFIDリーダ112に対してファスナ102が緩んでいることを示す応答信号116を受信することができる。ファスナ102が締まっているとき、第2の識別子418を含み、RFIDリーダ112に対してファスナ102が締まっていることを示す第2の応答信号416を受信することができる。
【0031】
システム(例えばシステム400)の一の例示的使用では、ファスナ102が締まっているか又は緩んでいるかの信号を受信することができ、それにより技術者は、リーダの誤作動の可能性が生じているかどうかを見定めることができる。他の利点も存在し得る。
【0032】
図5-13は、一連のグラフの形態で、ファスナの締まりレベル、ファスナに取り付けられた磁気弾性構成要素にかかる歪み、磁気弾性構成要素に連結され得るか又は同構成要素を含み得る可変インダクタ回路が呈するインダクタンス、及び可変インダクタ回路に電気的に接続されたRFID回路の共振応答周波数の間にあり得る、様々な関数関係を示す。図5-10は、図1及び2に示される構成に対応する。図11-13は、図4に示される構成に対応する。
【0033】
図5のグラフは、締まりレベル502(例えば、磁気弾性構成要素104における)の範囲の関数506として(例えば、ファスナ102の)歪み504を示す。関数506は線形でも非線形でもよいことに注意されたい。説明を簡単にするために、関数506は線形で示されている。
【0034】
締まりレベル502の範囲は、第1のサブレンジ516及び第2のサブレンジ518を含むことができる。第1のサブレンジ516は、締まっている状態にあるファスナ102に対応し得る。第2のサブレンジ518は、締まっていない状態にあるファスナ102に対応し得る。この状況において、締まり度合いは通常、ファスナの接触面(例えば、ねじ山、ファスナヘッド面、及び/又はファスナナット面)と構造との間の表面摩擦とたわみとの組み合わせに起因する接触力の量を指す。締まり度合いは、典型的には、ファスナに加わるトルクの形態で現れ、いずれかの適切な単位を用いて表される。締まりレベル502の範囲は、ファスナの種類およびその特定の用途に伴って変動する。サブレンジ516、518の幅も、システム100、200の特定の用途に依存する。例えば、いくつかの用途では、図5に示されるように、第1のサブレンジ516と第2のサブレンジ518との間にギャップが存在する。ギャップは、締まっている状態とも締まっていない状態とも考慮されない締まりレベルを示すことができる。例えば、ギャップは、「完全に」締まっている状態又は「完全に」緩められた状態でない、締まっている状態又は締まっていない状態の一定の許容誤差内の範囲を表す。換言すれば、ギャップ内に含まれるファスナは、完全に締まっている状態にない可能性があるが、心配するほど緩んでいない可能性がある。他の用途では、ファスナは、完全に緩められていないかもしれないが、締まっている状態であるという信号を出すために十分には締まっている状態にないかもしれない。いくつかの用途では、サブレンジ516、518は互いに接し、ファスナは、締まっている状態にあると考慮されない場合には、締まっていない。これは、ファスナが二つの状態の一方にあるときに信号を出すようにしかリーダが構成されていない用途において有用であり得る。
【0035】
第1のサブレンジ516が歪みレベルの第1の範囲526に対応し、第2のサブレンジ518が歪みレベルの第2の範囲528に対応し得る。第1のサブレンジ516に含まれるファスナ102の第1の締まりレベル510は、歪みレベルの第1の範囲526に含まれる磁気弾性構成要素104に加わる第1の歪みレベル520をもたらす。同様に、第2のサブレンジ518に含まれるファスナ102の第2の締まりレベル514は、歪みレベルの第2の範囲528に含まれる磁気弾性構成要素104に加わる第2の歪みレベル524をもたらす。ファスナ102の締まり度合い512が第1の締まりレベル510(例えば、締まっている状態)から第2の締まりレベル(例えば、締まっていない状態)に変化すると、磁気弾性構成要素104における歪みレベル504の変化522をもたらす。歪みレベル504におけるこのような変化522は、最終的に、ここに記載されるようにRFID回路108の共振応答周波数にシフトをもたらす。
【0036】
図6のグラフは、磁気弾性構成要素104における歪み504の関数606として可変インダクタ回路106のインダクタンス604を示す。関数606は線形でも非線形でもよいことに注意されたい。説明を簡単にするために、関数606はやや湾曲しているが、どのような形状をとってもよい。
【0037】
図5を参照して記載される歪みレベルの第1の範囲526は、図6に示されるインダクタンスの第1の範囲626に対応し、歪みレベルの第2の範囲528はインダクタンスの第2の範囲628に対応する。インダクタンス604は歪み504と相関し、歪み504は次に締まりレベル502の範囲と相関するため、インダクタンスの第1の範囲626は締まっている状態にあるファスナ102に対応し、インダクタンスの第2の範囲628は締まっていない状態にあるファスナ102に対応する。図6に示されるように、第1の歪みレベル520は第1のインダクタンスレベル620をもたらし、第2の歪みレベル524は第2のインダクタンスレベル624をもたらす。歪みレベル504の変化522は、インダクタンス604の変化622をもたらす。
【0038】
図7のグラフは、可変インダクタ回路106におけるインダクタンス604の関数706としてRFID回路108の共振応答周波数704を示す。関数706は線形でも非線形でもよいことに注意されたい。説明を簡単にするために、図の関数706は線形であるが、どのような形状をとってもよい。
【0039】
図6を参照して記載されるインダクタンスの第1の範囲626は、図7に示される第1の共振応答周波数帯726に対応し、インダクタンスの第2の範囲628は第2の共振応答周波数帯728に対応する。共振応答周波数704はインダクタンス604と相関し、インダクタンス604は次に歪み504と相関するため、歪み504は締まりレベル502の範囲と相関し、第1の共振応答周波数帯726は締まっている状態にあるファスナ102に対応し、第2の共振応答周波数帯728は締まっていない状態にあるファスナ102に対応する。図7に示されるように、第1のインダクタンスレベル620は、第1の共振応答周波数帯726内にある第1の共振応答周波数720をもたらし、第2のインダクタンスレベル624は、第2の共振応答周波数帯728にある第2の共振応答周波数724をもたらす。したがって、歪みレベル520の変化522は、インダクタンス604の変化622をもたらし、これは更に共振応答周波数720のシフト722をもたらし得る。
【0040】
共振応答周波数帯726、728のうちの一方を、RFIDリーダ112によって使用され得る指定RFID帯に対応させることができる。第1の共振応答周波数帯726が指定RFID帯に対応する場合、ファスナ102が締まっている状態にあるとき、RFID回路108は作動してRFIDリーダ112によって検出可能となり得る。第2の共振応答周波数帯728が指定RFID帯に対応する場合、ファスナ102が締められていない状態にあるとき、RFID回路108は作動してRFIDリーダ112によって検出可能となり得る。したがって、いくつかの実施形態では、RFIDリーダ112を使用して、ファスナ102が締まっているときを検出することができ、他の実施形態では、RFIDリーダ112を使用して、ファスナ102が締まっていない状態にあるときを検出することができる。
【0041】
図8及び9に示すように、可変インダクタ回路106は、例えば、可変インダクタ回路106に付属するコイルの数を調節することにより調整することができる。図8に示すように、関数806に対応するように可変インダクタ回路106を調整することにより、RFIDリーダ112は、ファスナ102が締まっている状態にあるときを検出するように構成することができる。図9に示すように、関数906に対応するように可変インダクタ回路106を調整することにより、RFIDリーダ112は、ファスナ102が締まっていない状態にあるときを検出するように構成することができる。
【0042】
図8のグラフは、磁気弾性構成要素104に加わる歪み504の関数806としてRFID回路108の共振応答周波数704を示す。関数806は線形でも非線形でもよいことに注意されたい。説明を簡単にするために、図の関数806は湾曲しているが、どのような形状をとってもよい。
【0043】
図8では、第1の歪みレベル520(例えば、締まっている状態にあるファスナ102に関連付けられる)は、第1の共振応答周波数720をもたらす。第1の歪みレベル520は歪みレベルの第1の範囲816に含まれ、第1の共振応答周波数720は第1の共振応答周波数帯826に含まれる。RFID回路108が第1の共振応答周波数720を呈するとき、所定の周波数830はRFID回路108の共振を可能にし、RFID回路108を作動させる。したがって、歪みレベルの第1の範囲816が磁気弾性構成要素104に加わることに応答して、所定の周波数830はRFID回路108の共振を可能にし、RFID回路108を作動させる。歪みレベルの第1の範囲816は、締まっている状態にあるファスナ102に関連付けることができる。
【0044】
第2の歪みレベル524(例えば、締まっていない状態にあるファスナ102に関連付けられる)は、第2の共振応答周波数724をもたらす。第2の歪みレベル524は歪みレベルの第2の範囲818に含まれ、第2の共振応答周波数724は第2の共振応答周波数帯828に含まれる。所定の周波数830は、RFID回路108が第2の共振応答周波数724を呈するとき、共振を可能にせず、RFID回路を作動させない。したがって、歪みレベルの第2の範囲818が磁気弾性構成要素104に加わることに応答して、所定の周波数830はRFID回路108の共振を可能にせず、RFID回路108を作動させない。歪みレベルの第2の範囲818は、締まっていない状態にあるファスナ102に関連付けることができる。
【0045】
図9のグラフは、磁気弾性構成要素104に加わる歪み504の関数906としてRFID回路108の共振応答周波数704を示す。関数906は線形でも非線形でもよいことに注意されたい。説明を簡単にするために、図の関数906は湾曲しているが、どのような形状をとってもよい。
【0046】
図9では、第2の歪みレベル524(例えば、締まっていない状態にあるファスナ102に関連付けられる)は、第1の共振応答周波数720をもたらす。第2の歪みレベル524は歪みレベルの第1の範囲916に含まれ、第1の共振応答周波数720は第1の共振応答周波数帯926に含まれる。RFID回路108が第1の共振応答周波数720を呈するとき、所定の周波数830はRFID回路108の共振を可能にし、RFID回路108を作動させる。したがって、歪みレベルの第1の範囲916が磁気弾性構成要素104に加わることに応答して、所定の周波数830はRFID回路108の共振を可能にし、RFID回路108を作動させる。歪みレベルの第1の範囲916は、締まっていない状態にあるファスナ102に関連付けられる。
【0047】
第1の歪みレベル520(例えば、締まっている状態にあるファスナ102に関連付けられる)は、第2の共振応答周波数924をもたらす。第1の歪みレベル520は歪みレベルの第2の範囲918に含まれ、第2の共振応答周波数924は第2の共振応答周波数帯928に含まれる。所定の周波数830は、RFID回路108が第2の共振応答周波数924を呈するとき、共振を可能にせず、RFID回路を作動させない。したがって、歪みレベルの第2の範囲918が磁気弾性構成要素104に加わることに応答して、所定の周波数830はRFID回路108の共振を可能にせず、RFID回路108を作動させない。歪みレベルの第2の範囲918は、締まっている状態にあるファスナ102に関連付けることができる。
【0048】
図10のグラフは、磁気弾性構成要素104に加わる歪み504の関数1006としてRFID回路108の共振応答周波数704を示す。関数1006は線形でも非線形でもよいことに注意されたい。説明を簡単にするために、図の関数1006は湾曲しているが、どのような形状をとってもよい。
【0049】
RFIDリーダ112は、周波数の範囲1026にわたって励起信号114を送信するように構成することができる。RFIDリーダ112は次いで、RFID回路108の共振応答周波数720を決定し、歪みレベルの範囲1016内で磁気弾性構成要素104に加わる第1の歪みレベル520に共振応答周波数720をマッピングすることができる。これにより、システム100、200を使用して、読み取り値を締まり度合いの別個の状態に限定する代わりに、ファスナ102に関連付けられる歪みのレベルを決定することができる。
【0050】
図11のグラフは、ファスナ102の締まりレベル502の範囲の関数506として、磁気弾性構成要素104及び磁気弾性構成要素404の両方における歪み504を示す。
【0051】
図5のように、図11の締まりレベル502の範囲は、第1のサブレンジ516及び第2のサブレンジ518を含むことができる。第1のサブレンジ516は、締まっている状態にあるファスナ102に対応し得る。第2のサブレンジ518は、締まっていない状態にあるファスナ102に対応し得る。第1のサブレンジは516歪みレベルの第1の範囲526に対応し、第2のサブレンジ518は歪みレベルの第2の範囲528に対応する。ファスナ102が締まっているとき、第1のサブレンジ516に含まれるファスナ102の第1の締まりレベル510は、歪みレベルの第1の範囲526に含まれる磁気弾性構成要素104に加わる第1の歪みレベル520をもたらす。ファスナ102が緩んでいるとき、第2のサブレンジ518に含まれるファスナ102の第2の締まりレベル1110は、歪みレベルの第2の範囲528に含まれる第2の磁気弾性構成要素404に加わる第2の歪みレベル1120をもたらす。
【0052】
図5のように,サブレンジ516、518の幅は、システム100-400の特定の用途に依存する。例えば、システム400の場合、第1のサブレンジ516と第2のサブレンジ518との間のギャップは、締まっているとも締まっていないとも考慮されない締まりレベルを示す。図5を参照して記載されるように、ギャップは、「完全に」締まっている状態又は「完全に」緩められた状態でない、締まっている状態又は締まっていない状態の一定の許容誤差内の範囲を表すことができる。これは、リーダが、ファスナが締まっている状態にあるとき又は緩められた状態にあるときに信号を出すように構成されているが、ファスナがこれら状態のいずれにもない場合にはリーダは信号を出さない用途において有用であり得る。
【0053】
図12のグラフは、可変インダクタ回路106のインダクタンス604及び第2の可変インダクタ回路406を、それぞれ、磁気弾性構成要素104における歪み504の関数606として、及び第2の磁気弾性構成要素404における歪み504の関数1206として示す。関数606と関数1206との間の差は、磁気弾性構成要素104、404の寸法により、及び可変インダクタ回路106、406において磁気弾性構成要素104、404に巻き付けられたループの数により、制御することができる。
【0054】
図11を参照して記載される歪みレベルの第1の範囲526は、図12に示されるインダクタンスの第1の範囲626に対応し、歪みレベルの第2の範囲528はインダクタンスの第2の範囲628に対応する。インダクタンス604は歪み504と相関し、歪み504は次に締まりレベル502の範囲と相関するため、インダクタンスの第1の範囲626は締まっている状態にあるファスナ102に対応し、インダクタンスの第2の範囲628は締まっていない状態にあるファスナ102に対応し得る。図12に示されるように、磁気弾性構成要素104における第1の歪みレベル520は可変インダクタ回路106に第1のインダクタンスレベル620をもたらし、第2の磁気弾性構成要素404における第2の歪みレベル1120は第2の可変インダクタ回路406に第2のインダクタンスレベル1220をもたらす。可変インダクタ回路106、406の互いに異なる構成により、第1のインダクタンスレベル620及び第2のインダクタンスレベル1220の両方は、インダクタンスの第1の範囲626に含まれる。
【0055】
図13のグラフは、可変インダクタ回路106及び第2の可変インダクタ回路406におけるインダクタンス604の関数706としてRFID回路108及び第2のRFID回路408の共振応答周波数704を示す。
【0056】
図6を参照して記載されるインダクタンスの第1の範囲626は、図13に示される共振応答周波数帯726に対応し得る。共振応答周波数704はインダクタンス604と相関し、インダクタンス604は次に歪み504と相関し、歪み504は締まりレベル502の範囲と相関するため、共振応答周波数帯726は、RFID回路108の締まっている状態にあるファスナ102に対応し、且つ第2のRFID回路408の締まっていない状態にあるファスナ102に対応する。したがって、ファスナ102が締まっている状態にあるとき、RFID回路108に関連付けられる第1のインダクタンスレベル620は、共振応答周波数帯726に含まれる第1の共振応答周波数720をもたらす。ファスナ102が締まっていない状態にあるとき、RFID回路408に関連付けられる第2のインダクタンスレベル1220は、共振応答周波数帯726に含まれる第2の共振応答周波数1320をもたらす。
【0057】
したがって、図4に示したように、共振応答周波数帯726内で動作しているRFIDリーダ112は、ファスナ102が締まっているときRFID回路108から応答信号116を受信し、ファスナ102が締まっていないときとき第2のRFID回路408から第2の応答信号416を受信することができる。
【0058】
図14のグラフは、周波数1402の関数としてRFID回路108の受信信号レベル1404を示す。図14は、ここに記載される概念を別の方法で可視化している。ファスナ102が第1の状態(例えば、締まっている状態又は締まっていない状態)にある間、RFID回路108の共振応答周波数1406は指定RFID帯1410(例えば、RFIDリーダ112によって使用される)に含まれる。ファスナ102の締まり度合いの変化は、シフトした曲線1416を有するシフトした共振応答周波数1414への、共振応答周波数1406のシフト1412をもたらす。指定RFID帯1410内では、曲線1408の信号レベルとシフトした曲線1416の信号レベルとの間の差1418によって、RFIDリーダ112はRFID回路108を検出することができなくなる。
【0059】
図15を参照すると、可変インダクタンスを呈するスマートファスナ1500の実施例が示されている。他の構成も可能であるが、本開示により構築される実施形態の形態に示されるスマートファスナ1500は、まず、磁気弾性材料(例えば、Galfenol-FeGa)を、並行に配置された磁気弾性ドメインを有するストリップ1502に切り分けることにより製作された。モータ巻き線から作製されたコイル1504を、中央部の周りに配置された複数の巻き線を有するストリップ1502の周りに形成した。磁気弾性ストリップ1502の両端を、パイプ係合ファスナとして使用されるBナット1506へと機械加工されるトレンチ1508を横切るように取り付けた。トレンチ1508は、ナット1506が適当なトルクで固定されるときにトレンチの幅方向に歪みを誘発するような方法で製作された。アンテナ(図示しない)を含むRFIDシステムへの統合を可能にするために、コネクタ1510をコイル1504に取り付けた。実際には、RFIDシステムは、コネクタなしで直接統合されるであろう。
【0060】
ネットワークアナライザを使用して、記載されるスマートファスナ1500の、歪みにより誘導された透磁率の変化と、スマートファスナ1500の複素インピーダンスを測定した。固定をシミュレーションした後、インピーダンスは、現在使用されている典型的な歪みセンサの数倍にあたる>15%変化した。ナットを緩めると、複素インピーダンスがその開始値に戻ることが分かった。したがって、スマートファスナ1500は再利用可能である。
【0061】
図16のグラフは、磁気弾性材料に加わる機械的応力/歪み1602の関数1606として、磁気弾性構成要素に誘導された透磁率の変化1604を示している。図15に示される、開示されるスマートファスナの用途では、加わった応力/歪み1602は、材料変形のプロセスの間の磁気性材料の磁気比透磁率を変化させる。加わる機械的負荷に起因する材料の磁化の変動は、その飽和値に到達するまで、磁歪性の歪みを変化させる。内部では、磁気性材料は、局所磁気ドメインを発生する結晶構造を有し、各々が均一な磁気分極の領域である。機械的負荷が加わるとき、ドメイン間の境界はシフトし、ドメインは回転する。これら影響は共に、材料の磁化に変化を生じさせる。
【0062】
図17には、RFIDスマート感知のための方法1700が示されている。方法1700は、1702において、RFID回路を提供することを含む。例えば、RFID回路108は、システム100、200、300、400の一部として提供される。
【0063】
方法1700は、1704において、RFID回路に電気的に接続するアンテナを提供することを更に含む。例えば、アンテナ110、210、310、410は、システム100、200の一部として提供される。
【0064】
方法1700は、1706において、磁気弾性構成要素を有する可変インダクタ回路を提供することも含む。例えば、可変インダクタ回路106は、システム100、200の一部として提供され、磁気弾性構成要素104を含み得る。更に、可変インダクタ回路が呈するインダクタンスは、磁気弾性構成要素に加わる歪みレベルの関数であり、RFID回路の共振応答周波数は、可変インダクタ回路が呈するインダクタンスの関数であり、歪みレベルの変化は共振応答周波数にシフトをもたらし得る。
【0065】
方法1700は、1708において、磁気弾性構成要素をファスナに接続することを含む。例えば、磁気弾性構成要素104は、ファスナ102に取り付けられる。
【0066】
本開示は以下の条項による実施形態を含む。
【0067】
条項1.
ファスナ(102);
ファスナ(102)に接続された磁気弾性構成要素(104)であって、磁気弾性構成要素(104)に加わる歪みレベル(520)が、ファスナ(102)の締まりレベルの範囲(502)内で締まりレベル(510)の関数(506)である、磁気弾性構成要素;
無線識別(RFID)回路(108);
RFID回路(108)に電気的に接続されたアンテナ(110、210);及び
RFID回路(108)とアンテナ(110)に電気的に接続された可変インダクタ回路(106)であって、可変インダクタ回路(106)が呈するインダクタンス(620)が、磁気弾性構成要素(104)に加わる歪みレベル(520)の関数(606)であり、RFID回路(108)の共振応答周波数(720)が、可変インダクタ回路(106)が呈するインダクタンス(620)の関数(706)であり、歪みレベル(522)の変化が共振応答周波数(720)のシフト(722)をもたらす、可変インダクタ回路(106)
を備えるシステム。
【0068】
条項2.ファスナ(102)の締まりレベルの範囲(502)が、ファスナ(102)の締まっている状態とファスナ(102)の締まっていない状態にそれぞれ対応する、重なり合わない締まりレベルの第1のサブレンジと第2のサブレンジ(516、518)を含み、ファスナ(102)の締まっている状態とファスナ(102)の締まっていない状態が、重なり合わない第1の共振応答周波数帯と第2の共振応答周波数帯(726、728)にそれぞれ対応する、条項1のシステム。
【0069】
条項3.重なり合わない第1の共振応答周波数帯(726)が指定RFID帯に対応するか、又は重なり合わない第2の共振応答周波数帯(728)が指定RFID帯に対応する、条項2のシステム。
【0070】
条項4.
磁気弾性構成要素(104)に加わる歪みレベルの第1の範囲(816、916)に応答してRFID回路(108)の共振を可能にし且つRFID回路(108)を作動させ、磁気弾性構成要素(104)に加わる歪みレベルの第2の範囲(818、918)に応答して共振を可能にせず且つRFID回路(108)を作動させない、所定の周波数(830)で励起信号(114)を送信するように構成されたRFIDリーダ(112)
を更に備える、条項1-3のいずれかのシステム。
【0071】
条項5.歪みレベルの第1の範囲(816)が締まっている状態にあるファスナ(102)に関連付けられており、歪みレベルの第2の範囲(818)が締まっていない状態にあるファスナ(102)に関連付けられているか、又は歪みレベルの第1の範囲(916)が締まっていない状態にあるファスナ(102)に関連付けられており、歪みレベルの第2の範囲(918)が締まっている状態にあるファスナ(102)に関連付けられている、条項4のシステム。
【0072】
条項6.
周波数のある範囲(1016)にわたって励起信号(114)を送信し、RFID回路(108)の共振応答周波数(720)を決定し、RFID回路(108)の共振応答周波数(720)を磁気弾性構成要素(104)に加わる歪みレベル(520)にマッピングするように構成されたRFIDリーダ(112)
を更に備える、条項1-5のいずれかのシステム。
【0073】
条項7.
追加のRFID回路(308)と追加の可変インダクタ回路(306)に関連付けられる追加のファスナ(302);及び
締まっていない状態にあるファスナ(102)に対応する磁気弾性構成要素(104)に加わる歪みレベル(524)に応答してRFID回路(108)の共振応答周波数(724)と一致する所定の周波数(730)を有する励起信号(114)を送信し、それにより、締まっている状態にある追加のファスナに応答して追加のファスナ(302)の中からファスナ(102)を見つけることを可能にするように構成されたRFIDリーダ(112)
を更に備える、条項1-6のいずれかのシステム。
【0074】
条項8.RFID回路(108)が、RFID回路(108)の共振応答周波数(620)と一致する所定の周波数(730)に応答してファスナ(102)を見つけるために使用可能な識別子(118)を送信するように構成されている、条項7のシステム。
【0075】
条項9.
ファスナ(102)に接続される第2の磁気弾性構成要素(404);
第2のRFID回路(408);
RFID回路(408)に電気的に接続される第2のアンテナ(410);及び
第2のRFID回路(408)と第2のアンテナ(410)に電気的に連結される第2の可変インダクタ回路(406)であって、第2の可変インダクタ回路(406)が呈する第2のインダクタンスレベル(1220)が、第2の磁気弾性構成要素(404)に加わる第2の歪みレベル(1120)の関数(1206)であり、第2のRFID回路(408)の第2の共振応答周波数(1320)が、第2の可変インダクタ回路(406)が呈する第2のインダクタンス(1220)の関数(1306)であり、第2の歪みレベル(1120)の変化が第2の共振応答周波数(1320)のシフトをもたらす、第2の可変インダクタ回路(406)
を更に備える、条項1-8のいずれかのシステム。
【0076】
条項10.RFID回路(108)の共振応答周波数(620)が、締まっている状態にあるファスナ(102)に対応する磁気弾性構成要素(104)に加わる歪みレベル(520)に応答して指定RFID帯内にあり、第2のRFID回路(408)の第2の共振応答周波数(1320)が、締まっていない状態にあるファスナ(102)に対応する第2の磁気弾性構成要素(404)に加わる第2の歪みレベル(1120)に応答して指定RFID帯内にある、条項9のシステム。
【0077】
条項11.
無線識別(RFID)回路(108)、
RFID回路(108)に電気的に接続されたアンテナ(110、210)、及び
RFID回路(108)とアンテナ(110、210)に電気的に連結された、磁気弾性構成要素(104)を有する可変インダクタ回路(106)であって、可変インダクタ回路(106)が呈するインダクタンスが、磁気弾性構成要素(104)に加わる歪みレベルの関数であり、RFID回路(108)の共振応答周波数が、可変インダクタ回路(106)が呈するインダクタンスの関数であり、歪みレベルの変化が、共振応答周波数にシフトをもたらし、且つ所定の歪みレベルの範囲が、所定の共振応答周波数帯をもたらす、可変インダクタ回路(106)
を備えた装置。
【0078】
条項12.アンテナが双極子型アンテナ(110)であり、所定の共振応答周波数帯が極超高周波(UHF)帯である、条項11の装置。
【0079】
条項13.アンテナがループアンテナ(210)であり、所定の共振応答周波数帯が高周波(HF)帯又は低周波(LF)帯である、条項11又は12の装置。
【0080】
条項14.可変インダクタ回路(106)がループアンテナ(210)のループに組み込まれている、条項13の装置。
【0081】
条項15.可変インダクタ回路(106)が磁気弾性構成要素(104)を取り囲むインダクタコイルを含む、条項11-14のいずれかの装置。
【0082】
条項16.磁気弾性構成要素(104)がマルチフェロイック材料のコアを含む、条項11-15のいずれかの装置。
【0083】
条項17.
無線識別(RFID)回路(108)を提供すること、
アンテナ(110、210)をRFID回路(108)に電気的に接続すること;及び
磁気弾性構成要素(104)を有する可変インダクタ回路(106)をRFID回路とアンテナに電気的に接続することであって、可変インダクタ回路(106)が呈するインダクタンスが、磁気弾性構成要素(104)に加わる歪みレベルの関数であり、
RFID回路(108)の共振応答周波数が、可変インダクタ回路(106)が呈するインダクタンスの関数であり、且つ歪みレベルの変化が、共振応答周波数のシフトをもたらす、可変インダクタ回路(106)を接続すること
を含む方法。
【0084】
条項18.
磁気弾性構成要素(104)をファスナ(102)に接続することであって、共振応答周波数が、締まっている状態のファスナ(102)に対応する磁気弾性構成要素(104)に加わる歪みレベルに応答して指定RFID帯内にある、磁気弾性構成要素(104)を接続すること
を更に含む、条項17の方法。
【0085】
条項19.
磁気弾性構成要素(104)をファスナ(102)に接続することであって、共振応答周波数が、締まっていない状態にあるファスナ(102)に対応する磁気弾性構成要素(104)に加わる歪みレベルに応答して指定RFID帯内にある、磁気弾性構成要素(104)を接続すること
を更に含む、条項17又は18の方法。
【0086】
条項20.
磁気弾性構成要素(104)に加わる歪みレベルを変更し、それによりRFID回路(108)の共振応答周波数をシフトさせること
を更に含む、条項17-19のいずれかの方法。
【0087】
種々の実施形態を図示し、説明したが、本発明はそれらに限定されず、当業者に自明であろう修正例及び変形例をすべて含むと理解されたい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17