(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-27
(45)【発行日】2025-04-04
(54)【発明の名称】ケーシングユニット
(51)【国際特許分類】
B60H 1/00 20060101AFI20250328BHJP
B60H 1/32 20060101ALI20250328BHJP
【FI】
B60H1/00 102P
B60H1/32 613M
(21)【出願番号】P 2020208378
(22)【出願日】2020-12-16
【審査請求日】2023-10-27
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】516299338
【氏名又は名称】三菱重工サーマルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】武澤 英之
【審査官】塩田 匠
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-251555(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0119824(US,A1)
【文献】特表平04-505396(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60H 1/00-3/06
H05K 5/00-5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一ケーシング、及び該第一ケーシングに対して第一方向から組み合わせられる第二ケーシングを有するケーシングユニットであって、
前記第一ケーシングは、
第一ケーシング本体と、
前記第一ケーシング本体から前記第二ケーシング側に向かって突出する突出部と、
を有し、
前記第二ケーシングは、
前記突出部が収容される収容溝が形成された第二ケーシング本体を有し、
前記突出部、及び前記第二ケーシング本体のいずれか一方には、前記第一ケーシングと前記第二ケーシングを前記第一方向に組み合わせることに伴って、前記第一ケーシング、及び前記第二ケーシングを前記第一方向に交差する第二方向に相対移動させる誘導部が形成され、
前記第二ケーシングは、前記組み合わせられた状態で前記第一方向にて前記第一ケーシング本体と重複するとともに、前記第一ケーシング、及び前記第二ケーシングが前記第二方向に相対移動することに伴って弾性変形可能なラップ部をさらに有し、
前記突出部の前記第二方向を向く面と、前記収容溝の前記第二方向を向く面とは、前記第一方向に延びることで、前記組み合わされた状態で、互いに面接触
し、
前記突出部は、前記第一ケーシング本体における前記第一方向を向く第一端面に形成され、前記第一方向に直交する断面視で、前記第一方向に延びる先端部と、該先端部から前記第一端面に向かうに従って前記第二方向に延びる前記誘導部としてのテーパ部と、を有し、
前記テーパ部は、前記突出部の延在方向である前記第一方向と前記第二方向とに直交する方向に間隔をあけて複数配列されているケーシングユニット。
【請求項2】
前記第一方向における前記ラップ部の寸法は、前記第一方向における前記突出部の寸法よりも大きく設定されている請求項1に記載のケーシングユニット。
【請求項3】
前記テーパ部は、前記突出部における前記第二方向を向く面の全域に形成されている請求項
1又は2に記載のケーシングユニット。
【請求項4】
前記突出部は、前記第一ケーシング本体における前記第一方向を向く第一端面に形成され、
前記収容溝は、前記第二ケーシング本体における前記第一端面と対向する第二端面に形成され、
前記誘導部は、
前記第一端面、及び前記第二端面のいずれか一方から他方に向かって突出する誘導突起と、
前記第一端面、及び前記第二端面のうちの他方に形成され、前記誘導突起を収容するとともに該誘導突起よりも前記第二方向にずれた位置に形成された誘導溝と、
を有する請求項1から
3のいずれか一項に記載のケーシングユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ケーシングユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば車両用空調装置のHVACユニットは、熱交換器やファン等の機器と、これら機器を外側から覆う樹脂製のケーシングユニットと、を主に備えている。ケーシングユニットの内部には、ファンで生成された送風が流通する流路が形成されている。損失を生じることなく送風を車内に供給するために、このような流路の気密性を維持することが重要である。
【0003】
ケーシングユニットの気密性を確保するための措置として、例えば下記特許文献1に記載されたものが知られている。下記特許文献1に係る空調ケースは、第一ケース本体に設けられた凹部と、第二ケース本体に設けられ、凹部に挿入される凸部と、を有している。凸部の側面にはテーパ部が形成されている。凸部が凹部に挿入されるに伴ってテーパ部に押圧されることで凹部が広がるように弾性変形する。これにより、第一ケース本体と第二ケース本体とが密接し、両者の間で気密性が保たれるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のように凹部が広がるように弾性変形する場合、凸部が挿入される際に大きな力が必要となる。このため、ケーシングユニットの組み立てを円滑に行えない虞がある。
【0006】
本開示は上記課題を解決するためになされたものであって、より高い気密性と液密性を有し、容易に組み立てることが可能なケーシングユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本開示に係るケーシングユニットは、第一ケーシング、及び該第一ケーシングに対して第一方向から組み合わせられる第二ケーシングを有するケーシングユニットであって、前記第一ケーシングは、第一ケーシング本体と、前記第一ケーシング本体から前記第二ケーシング側に向かって突出する突出部と、を有し、前記第二ケーシングは、前記突出部が収容される収容溝が形成された第二ケーシング本体を有し、前記突出部、及び前記第二ケーシング本体のいずれか一方には、前記第一ケーシングと前記第二ケーシングを前記第一方向に組み合わせることに伴って、前記第一ケーシング、及び前記第二ケーシングを前記第一方向に交差する第二方向に相対移動させる誘導部が形成され、前記第二ケーシングは、前記組み合わせられた状態で前記第一方向にて前記第一ケーシング本体と重複するとともに、前記第一ケーシング、及び前記第二ケーシングが前記第二方向に相対移動することに伴って弾性変形可能なラップ部をさらに有し、前記突出部の前記第二方向を向く面と、前記収容溝の前記第二方向を向く面とは、前記第一方向に延びることで、前記組み合わされた状態で、互いに面接触し、前記突出部は、前記第一ケーシング本体における前記第一方向を向く第一端面に形成され、前記第一方向に直交する断面視で、前記第一方向に延びる先端部と、該先端部から前記第一端面に向かうに従って前記第二方向に延びる前記誘導部としてのテーパ部と、を有し、前記テーパ部は、前記突出部の延在方向である前記第一方向と前記第二方向とに直交する方向に間隔をあけて複数配列されている。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、より高い気密性と液密性を有し、容易に組み立てることが可能なケーシングユニットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の第一実施形態に係るケーシングユニットの構成を示す概略図である。
【
図2】本開示の第一実施形態に係るケーシングユニットの要部拡大断面図である。
【
図3】本開示の第一実施形態に係るケーシングユニットを組み立てる中途の状態を示す説明図である。
【
図4】本開示の第一実施形態に係るケーシングユニットの変形例を示す要部拡大断面図である。
【
図5】本開示の第二実施形態に係るケーシングユニットの要部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<第一実施形態>
(ケーシングユニットの構成)
以下、本開示の第一実施形態に係るケーシングユニット100について、
図1から
図3を参照して説明する。ケーシングユニット100は、例えば車両用空調装置のファンや熱交換器、ダンパ等を収容する樹脂製の容器である。
図1に示すように、ケーシングユニット100は、下半をなす第一ケーシング1と、上半をなすとともにこの第一ケーシング1に組み合わされる第二ケーシング2と、を備えている。これら第一ケーシング1と第二ケーシング2の内部には上述の各種機器を収容するための空間や、送風を案内するための流路が形成されている。
【0011】
第一ケーシング1と第二ケーシング2には、両者を互いに脱落不能に固定する係合部3が複数設けられている。なお、以下の説明では、第一ケーシング1と第二ケーシング2とが組み合わされる方向を第一方向D1と呼ぶ。さらに、この第一方向D1に直交する水平方向のうち、ケーシングユニット100の内外方向に相当する方向を第二方向D2と呼ぶ。
【0012】
(第一ケーシングの構成)
次いで、
図2を参照してケーシングユニット100の接合部の構成について説明する。
図2は上述した係合部3とは異なる箇所の断面を示している。同図に示すように、第一ケーシング1は、第一ケーシング本体10と、突出部10Pと、テーパ部10Tと、を有している。
【0013】
第一ケーシング本体10は、第一方向D1の一方側を向く第一端面10Sと、この第一端面10Sにおける第二方向D2の一方側の端縁から第一方向D1の他方側に向かって延びる外面10Wと、第二方向D2における外面10Wと反対側を向く内面10Dと、を有している。
【0014】
第一端面10S上には、突出部10Pが設けられている。突出部10Pは、第一端面10Sから第一方向D1の一方側に向かって突出している。突出部10Pの第二方向D2における寸法(つまり、厚み)は、第一端面10Sの第二方向D2における寸法よりも小さく設定されている。
【0015】
突出部10Pは、基部Rと、先端部Tと、を有している。基部Rの第二方向D2における両面は第一方向D1に平行に延びている。先端部Tは、第一方向D1の一方側に向かうに従って次第に第二方向D2の寸法が小さくなることで先細り状の断面形状を有している。
【0016】
この突出部10Pの基部Rと、第一端面10Sとの間には誘導部としてのテーパ部10Tが形成されている。テーパ部10Tは、基部Rにおける第二方向D2の一方側を向く面から第一端面10Sにかけて延びている。より詳細には、テーパ部10Tは、基部Rから第一端面10Sに向かうに従って第二方向D2の一方側に向かって延びる端縁を有している。このようなテーパ部10Tが突出部10Pの延在長さの全域にわたって間隔をあけて複数設けられている。
【0017】
外面10Wは、主面10Aと、傾斜面10Bと、平行面10Cと、を有している。主面10A、及び平行面10Cは、第一方向D1に延びている。傾斜面10Bは、主面10A側から平行面10C側に向かうに従って第二方向D2の一方側に向かって傾斜して延びている。これら外面10Wは、ケーシングユニット100の外側を向く面である。
【0018】
内面10Dは、上記の主面10Aとは反対側を向く面であって、ケーシングユニット100の内側を向く面である。内面10Dのうち、傾斜面10Bと平行面10Cと第一方向D1において重複する部分には、凹部10Rが形成されている。凹部10Rは、内面10Dから第二方向D2の一方側に向かって凹んでいる。
【0019】
具体的には凹部10Rは、第一方向D1の一方側を向く底面R1と、この底面R1に接続されるとともに第二方向D2の他方側を向く側面R2とによって形成されている。側面R2の上端は突出部10Pの基部Rに連続している。つまり、基部Rと側面R2との間には段差等が形成されていない。
【0020】
(第二ケーシングの構成)
第二ケーシング2は、第二ケーシング本体20と、ラップ部20Rと、を有している。第二ケーシング本体20は、第一ケーシング本体10の平行面10Cから内面10Dまでの厚さ(つまり、第二方向D2における寸法)と略同一の厚さを有している。第二ケーシング本体20は、外側を向く外面20Aと、内側を向く内面20Bと、第一方向D1の他方側を向く(つまり、第一ケーシング1側を向く)第二端面20Cと、を有している。
【0021】
第二端面20Cには、上述の突出部10Pが収容される収容溝20Hが形成されている。収容溝20Hは、第二端面20Cから第一方向D1の一方側に向かって凹んでいる。収容溝20Hの第二方向D2における寸法は、突出部10Pの第二方向D2における寸法よりもわずかに大きく設定されている。また、第一ケーシング1と第二ケーシング2とが組み合わされた状態では、第二方向D2における突出部10Pの一方側の端面と収容溝20Hとの間に隙間が形成されている。一方で、突出部10Pの他方側の端面と収容溝20Hとは密接した状態となっている。また、この時、第二端面20Cと収容溝20Hとの間の角部C1は、上述のテーパ部10Tに当接した状態となっている。
【0022】
第二端面20Cにおける第二方向D2の他方側にはラップ部20Rが設けられている。ラップ部20Rは第二端面20Cから第一方向D1の他方側に向かって延びている。ラップ部20Rの厚さ(つまり、第二方向D2における寸法)は、第二ケーシング本体20の厚さよりも小さく設定されている。また、ラップ部20Rの長さ(つまり、第一方向D1における寸法)は、突出部10Pの長さよりも大きく設定されている。第一ケーシング1と第二ケーシング2とが組み合わされた状態では、ラップ部20Rは、上述の凹部10Rを第二方向D2の他方側から閉塞している。また、この時、ラップ部20Rは、第二端面20Cとの接続部を支点として第二方向D2の他方側に向かってわずかに湾曲するように弾性変形した状態となっている。つまり、ラップ部20Rは、内面10Dに対して弾性復元力を付加した状態で当接している。
【0023】
(作用効果)
続いて、
図3を参照して、ケーシングユニット100を組み立てる際の各部の挙動について説明する。同図に示すように、ケーシングユニット100を組み立てるに当たってはまず、第一ケーシング1と第二ケーシング2とを第一方向D1から正対させる。次いで、第一ケーシング1に対して第二ケーシング2を第一方向D1に移動させて、突出部10Pが収容溝20Hに中途まで挿入された状態とする。この時、ラップ部20Rは内面10Dに当接してはいるものの、弾性変形はしていない状態となっている。
【0024】
上記の状態からさらに第二ケーシング2を第一方向D1に移動させる。すると、収容溝20Hの角部C1がテーパ部10Tに当接する。なおも第二ケーシング2を移動させると、角部C1がテーパ部10Tに案内されることで、第二ケーシング2の全体が第二方向D2の一方側に向かって移動する。つまり、第一ケーシング1に対して第二ケーシング2が第二方向D2に相対移動する。これにより、突出部10Pが収容溝20Hに全て収容された状態では、
図2に基づいて上述したように、突出部10Pと収容溝20Hの内面とが互いに密接することとなる。また、このとき、第二ケーシング2が第二方向D2に移動したことから、ラップ部20Rは内面10Dに対して当接しながら弾性変形した状態となる。
【0025】
上記構成によれば、誘導部としてのテーパ部10Tによって第一ケーシング1と第二ケーシング2が第二方向D2に相対移動することで、これら第一ケーシング1と第二ケーシング2とが互いに強く密接した状態となる。これにより、さらに高い気密性・液密性を確保することができる。加えて、ラップ部20Rが第一ケーシング本体10と重複した状態で弾性変形することから、当該ラップ部20Rによって気密性・液密性をさらに高めることができる。また、組み立てに際して弾性変形させる箇所がラップ部20Rのみに限定されていることから、大きな力を要することなく容易に組み立てを行うことが可能となる。
【0026】
さらに、上記構成によれば、ラップ部20Rの寸法が突出部10Pよりも大きいことから、突出部10Pの挿入に伴って、ラップ部20Rをより容易に弾性変形しやすくすることができる。これにより、大きな力を要することなく組み立てを行うことができる。
【0027】
また、上記構成によれば、突出部10Pを収容溝20Hに挿入する際に、テーパ部10Tに沿って第二ケーシング2が第二方向D2に相対移動する。これにより、第一ケーシング1と第二ケーシング2とを強く密接させることができる。また、テーパ部10Tを形成することによって突出部10Pの基部R(先端部Tの反対側の部分)が大きく確保できることから、当該突出部10Pの強度を高めることもできる。
【0028】
以上、本開示の第一実施形態について説明した。なお、本開示の要旨を逸脱しない限りにおいて、上記の構成に種々の変更や改修を施すことが可能である。例えば、
図4に示すように、テーパ部10T´が、突出部10Pにおける第二方向D2を向く側面の全域、つまり、基部Rの延在長さの全域にわたって形成されている構成を採ることも可能である。この構成によれば、テーパ部10T´によって、第一ケーシング1と第二ケーシング2とをより大きく相対移動させることができる。これにより、これら第一ケーシング1と第二ケーシング2とをさらに強く密接させることができる。
【0029】
<第二実施形態>
次に、本開示の第二実施形態について、
図5を参照して説明する。なお、上記の第一実施形態と同様の構成については同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。同図に示すように、本実施形態では上述のテーパ部10Tに代えて、誘導部としての誘導突起30、及び誘導溝30Rが第一ケーシング1、及び第二ケーシング2にそれぞれ形成されている。
【0030】
誘導突起30は、第二ケーシング2の第二端面20Cから第一方向D1の他方側に向かって突出している。誘導突起30の断面形状は直角三角形である。より具体的には、誘導突起30の断面における斜辺は、第一方向D1の他方側に向かうに従って第二方向D2の一方側に向かって延びている。
【0031】
誘導溝30Rは誘導突起30を収容する。誘導溝30Rは、第一ケーシング1の第一端面10Sから第一方向D1の他方側に向かって凹んでいる。誘導溝30Rの断面形状は、誘導突起30の断面形状と同一である。なお、ここで言う同一とは実質的な同一を指すものであり、設計上の公差や製造上の誤差は許容される。第一ケーシング1と第二ケーシング2を組み合わせる前に両者を正対させた状態では、誘導溝30Rは、誘導突起30よりも第二方向D2の一方側にずれた位置に形成されている。なお、誘導突起30、及び誘導溝30Rは、第一端面10S、及び第二端面20Cの全周にわたって連続して形成されていてもよいし、間隔をあけて複数設けられていてもよい。
【0032】
上記構成によれば、突出部10Pを収容溝20Hに挿入する際に、誘導突起30が誘導溝30Rに収容される。ここで、誘導溝30Rは誘導突起30よりも第二方向D2にずれた位置に形成されている。これにより、誘導突起30と誘導溝30Rの斜辺同士が互いにすべるようにして当接することで、第一ケーシング1と第二ケーシング2とを第二方向D2に相対移動させることができる。その結果、これら第一ケーシング1と第二ケーシング2とを強く密接させることができる。
【0033】
以上、本開示の第二実施形態について説明した。なお、本開示の要旨を逸脱しない限りにおいて、上記の構成に種々の変更や改修を施すことが可能である。例えば、上記第二実施形態では、第二ケーシング2に誘導突起30が設けられ、第一ケーシング1に誘導溝30Rが形成されている例について説明した。しかしながら、第一ケーシング1に誘導突起30を設け、第二ケーシング2に誘導溝30Rを形成する構成を採ることも可能である。また、第一実施形態で説明したテーパ部10Tを第二実施形態の構成と組み合わせて適用することも可能である。
【0034】
さらに、上記の各実施形態とは異なり、ケーシングユニット100を車両用空調装置以外の機械装置の収容に用いることも可能である。また、
図1に示したケーシングユニット100の外観は一例であって、設計や仕様に応じて種々の形状、寸法体格とすることが可能である。
【0035】
<付記>
各実施形態に記載のケーシングユニット100は、例えば以下のように把握される。
【0036】
(1)第1の態様に係るケーシングユニット100は、第一ケーシング1、及び該第一ケーシング1に対して第一方向D1から組み合わせられる第二ケーシング2を有するケーシングユニット100であって、前記第一ケーシング1は、第一ケーシング本体10と、前記第一ケーシング本体10から前記第二ケーシング2側に向かって突出する突出部10Pと、を有し、前記第二ケーシング2は、前記突出部10Pが収容される収容溝20Hが形成された第二ケーシング本体20を有し、前記突出部10P、及び前記第二ケーシング本体20のいずれか一方には、前記第一ケーシング1と前記第二ケーシング2を前記第一方向D1に組み合わせることに伴って、前記第一ケーシング1、及び前記第二ケーシング2を前記第一方向D1に交差する第二方向D2に相対移動させる誘導部が形成され、前記第二ケーシング2は、前記組み合わせられた状態で前記第一方向D1にて前記第一ケーシング本体10と重複するとともに、前記第一ケーシング1、及び前記第二ケーシング2が前記第二方向D2に相対移動することに伴って弾性変形可能なラップ部20Rをさらに有する。
【0037】
上記構成によれば、誘導部によって第一ケーシング1と第二ケーシング2が第二方向D2に相対移動することで、これら第一ケーシング1と第二ケーシング2とが互いに強く密接した状態となる。また、組み立てに際して弾性変形させる箇所がラップ部20Rのみに限定されていることから、大きな力を要することなく容易に組み立てを行うことが可能となる。
【0038】
(2)第2の態様に係るケーシングユニット100では、前記第一方向D1における前記ラップ部20Rの寸法は、前記第一方向D1における前記突出部10Pの寸法よりも大きく設定されている。
【0039】
上記構成によれば、ラップ部20Rの寸法が突出部10Pよりも大きいことから、突出部10Pの挿入に伴って、ラップ部20Rをより容易に弾性変形しやすくすることができる。
【0040】
(3)第3の態様に係るケーシングユニット100では、前記突出部10Pは、前記第一ケーシング本体10における前記第一方向D1を向く第一端面10Sに形成され、前記第一方向D1に直交する断面視で、前記第一方向D1に延びる先端部Tと、該先端部Tから前記第一端面10Sに向かうに従って前記第二方向D2に延びる前記誘導部としてのテーパ部10Tと、を有する。
【0041】
上記構成によれば、突出部10Pを収容溝20Hに挿入する際に、テーパ部10Tに沿って第二ケーシング2が第二方向D2に相対移動する。これにより、第一ケーシング1と第二ケーシング2とを強く密接させることができる。
【0042】
(4)第4の態様に係るケーシングユニット100では、前記テーパ部10T´は、前記突出部10Pにおける前記第二方向D2を向く面の全域に形成されている。
【0043】
上記構成によれば、テーパ部10T´によって、第一ケーシング1と第二ケーシング2とをより大きく相対移動させることができる。
【0044】
(5)第5の態様に係るケーシングユニット100では、前記突出部10Pは、前記第一ケーシング本体10における前記第一方向D1を向く第一端面10Sに形成され、前記収容溝20Hは、前記第二ケーシング本体20における前記第一端面10Sと対向する第二端面20Cに形成され、前記誘導部は、前記第一端面10S、及び前記第二端面20Cのいずれか一方から他方に向かって突出する誘導突起30と、前記第一端面10S、及び前記第二端面20Cのうちの他方に形成され、前記誘導突起30を収容するとともに該誘導突起30よりも前記第二方向D2にずれた位置に形成された誘導溝30Rと、を有する。
【0045】
上記構成によれば、突出部10Pを収容溝20Hに挿入する際に、誘導突起30が誘導溝30Rに収容される。誘導溝30Rは誘導突起30よりも第二方向D2にずれた位置に形成されている。これにより、第一ケーシング1と第二ケーシング2とを第二方向D2に相対移動させることができる。その結果、これら第一ケーシング1と第二ケーシング2とを強く密接させることができる。
【符号の説明】
【0046】
100 ケーシングユニット
1 第一ケーシング
2 第二ケーシング
3 係合部
10 第一ケーシング本体
10A 主面
10B 傾斜面
10C 平行面
10D 内面
10P 突出部
10R 凹部
10S 第一端面
10T,10T´ テーパ部
10W 外面
20 第二ケーシング本体
20A 外面
20B 内面
20C 第二端面
20H 収容溝
20R ラップ部
30 誘導突起
30R 誘導溝
C1 角部
R 基部
R1 底面
R2 側面
T 先端部