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特許7657121電動自転車、バッテリ切換装置、及び、バッテリの切換方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-27
(45)【発行日】2025-04-04
(54)【発明の名称】電動自転車、バッテリ切換装置、及び、バッテリの切換方法
(51)【国際特許分類】
   B62M 6/45 20100101AFI20250328BHJP
   B62M 6/90 20100101ALI20250328BHJP
   B62J 43/13 20200101ALI20250328BHJP
   B62J 45/41 20200101ALI20250328BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20250328BHJP
【FI】
B62M6/45
B62M6/90
B62J43/13
B62J45/41
H02J7/00 302C
H02J7/00 P
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021135954
(22)【出願日】2021-08-23
(65)【公開番号】P2023030689
(43)【公開日】2023-03-08
【審査請求日】2024-06-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】弁理士法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】根来 正憲
(72)【発明者】
【氏名】芝原 克朗
(72)【発明者】
【氏名】片山 聡
【審査官】三宅 龍平
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-359032(JP,A)
【文献】特開2018-129984(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0250937(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第109703687(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62M 6/45 - 6/90
B62J 43/13
B62J 45/41
H02J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1バッテリと、
第2バッテリと、
電動モータを含む駆動ユニットと、
前記第1バッテリと前記第2バッテリと、前記駆動ユニットとの間に配置されるバッテリ切換装置とを有し、
前記バッテリ切換装置は、前記第1バッテリと前記駆動ユニットとの間に配置される第1電流制御スイッチと、前記第2バッテリと前記駆動ユニットとの間に配置される第2電流制御スイッチと、前記第1電流制御スイッチと前記第2電流制御スイッチとを制御する制御装置とを有し、
前記第1電流制御スイッチと前記第2電流制御スイッチのそれぞれは、
当該電流制御スイッチが接続されているバッテリから前記駆動ユニットへ流れる電流と、前記駆動ユニットから前記バッテリへ流れる電流の双方を許容する双方向導通状態と、
当該電流制御スイッチが接続されているバッテリから前記駆動ユニットへ流れる電流を許容し、前記駆動ユニットから前記バッテリへ流れる電流を規制する中間状態と、
当該電流制御スイッチが接続されているバッテリから前記駆動ユニットへ流れる電流と、前記駆動ユニットから前記バッテリへ流れる電流の双方を規制する双方向規制状態と、
を有し、
前記制御装置は、前記駆動ユニットに電流を供給するバッテリを前記第1バッテリから前記第2バッテリに切り換える過程において、前記第2電流制御スイッチを前記中間状態に設定し、その後、前記駆動ユニットの電位と前記第2バッテリの電位との相対関係が所定条件を満たしたときに前記第2電流制御スイッチを前記双方向導通状態に設定する
電動自転車。
【請求項2】
前記第2バッテリと前記駆動ユニットとの間を流れる電流を検出するための電流検出部を有し、
前記制御装置は、前記電流検出部の出力に基づいて、前記駆動ユニットの電位と前記第2バッテリとの電位との相対関係が前記所定条件を満たしたか否かを判定する
請求項1に記載される電動自転車。
【請求項3】
前記第2バッテリの電位を検出するためのバッテリ電圧検出部と
前記駆動ユニットの電位を検出するための駆動ユニット電圧検出部と
を有し、
前記制御装置は、前記バッテリ電圧検出部の出力と前記駆動ユニット電圧検出部の出力とに基づいて、前記駆動ユニットの電位と前記第2バッテリとの電位との相対関係が前記所定条件を満たしているか判定する
請求項1に記載される電動自転車。
【請求項4】
前記所定条件は、前記駆動ユニットの電位が前記第2バッテリの電位との差が閾値よりも小さいことである
請求項3に記載される電動自転車。
【請求項5】
前記所定条件は、前記第2バッテリの電位が前記駆動ユニットの電位と同じ、又は前記駆動ユニットの電位よも高いことである
請求項1乃至3のいずれかに記載される電動自転車。
【請求項6】
前記制御装置は、前記駆動ユニットに電流を供給するバッテリを前記第1バッテリから前記第2バッテリに切り換える過程において、前記第1電流制御スイッチを前記双方向導通状態から前記中間状態に変更し、且つ前記第2電流制御スイッチを前記双方向規制状態から前記中間状態に変更する
請求項1乃至5のいずれかに記載される電動自転車。
【請求項7】
前記駆動ユニットは、前記電動モータに電流を供給するモータ駆動装置と、前記モータ駆動装置と並列に接続されている平滑コンデンサとを有している
請求項1乃至6のいずれかに記載される電動自転車。
【請求項8】
ユーザが操作するための入力部を有し、
前記制御装置は、前記入力部から入力される信号に基づいて、前記駆動ユニットに電流を供給するバッテリを前記第1バッテリと前記第2バッテリとの間で切り換える
請求項1乃至7のいずれかに記載される電動自転車。
【請求項9】
前記第1電流制御スイッチと前記第2電流制御スイッチのそれぞれは、オン状態において当該電流制御スイッチが接続されるバッテリから前記駆動ユニットへの電流を許容する第1電界効果トランジスタ(第1FET)と、オン状態において前記駆動ユニットから前記電流制御スイッチが接続されるバッテリへの電流を許容する第2電界効果トランジスタ(第2FET)と含み、
前記第1FETと前記第2FETは、それらのボディダイオードの順方向が互いに反対向きとなるように直列に配置されている
請求項1乃至8のいずれかに記載される電動自転車。
【請求項10】
第1バッテリと第2バッテリと、電動自転車の駆動ユニットとの間に配置されるバッテリ切換装置であって、
前記第1バッテリと前記駆動ユニットとの間に配置される第1電流制御スイッチと、
前記第2バッテリと前記駆動ユニットとの間に配置される第2電流制御スイッチと、
前記第1電流制御スイッチと前記第2電流制御スイッチとを制御する制御装置と
を有し、
前記第1電流制御スイッチと前記第2電流制御スイッチのそれぞれは、
当該電流制御スイッチが接続されているバッテリから前記駆動ユニットへ流れる電流と、前記駆動ユニットから前記バッテリへ流れる電流の双方を許容する双方向導通状態と、
当該電流制御スイッチが接続されているバッテリから前記駆動ユニットへ流れる電流を許容し、前記駆動ユニットから前記バッテリへ流れる電流を規制する中間状態と、
当該電流制御スイッチが接続されているバッテリから前記駆動ユニットへ流れる電流と、前記駆動ユニットから前記バッテリへ流れる電流の双方を規制する双方向規制状態とを有し、
前記制御装置は、前記駆動ユニットに電流を供給するバッテリを前記第1バッテリから前記第2バッテリに切り換えるとき、前記第2電流制御スイッチを前記中間状態に設定し、その後、前記駆動ユニットの電位と前記第2バッテリの電位との相対関係が所定条件を満たしたときに前記第2電流制御スイッチを前記双方向導通状態に設定する
バッテリ切換装置。
【請求項11】
第1バッテリと、第2バッテリと、電動モータを含む駆動ユニットと、前記第1バッテリと前記駆動ユニットとの間に配置される第1電流制御スイッチと、前記第2バッテリと前記駆動ユニットとの間に配置される第2電流制御スイッチとを有している電動自転車において、
前記駆動ユニットに電流を供給するバッテリを前記第1バッテリから前記第2バッテリに切り換える方法であって、
前記第2バッテリから前記駆動ユニットへ流れる電流と前記駆動ユニットから前記第2バッテリへ流れる電流の双方を規制する双方向規制状態から、前記第2バッテリから前記駆動ユニットへ流れる電流を許容し、前記駆動ユニットから前記第2バッテリへ流れる電流を規制する中間状態に、前記第2電流制御スイッチを遷移させ、
前記駆動ユニットの電位と前記第2バッテリの電位との相対関係が所定条件を満たしたときに、前記中間状態から、前記第2バッテリから前記駆動ユニットへ流れる電流と、前記駆動ユニットから前記第2バッテリへ流れる電流の双方を許容する双方向導通状態に前記第2電流制御スイッチを遷移させる
バッテリの切換方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電動自転車、バッテリ切換装置、及び、バッテリの切換方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、2つのバッテリが搭載可能な電動自転車が開示されている。この自転車は、電動モータを含む駆動ユニットとバッテリとの間に、電動モータに電力を供給するバッテリを切り換えるための切換ユニットを有している。切換ユニットは、電界効果トランジスタ(FET)で構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-359032号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
バッテリの出力電位(正極端子の電圧)は、一般的に、バッテリ残量の減少に応じて下がる。2つのバッテリを有する電動自転車においては、駆動ユニットに電力を供給するバッテリが、出力電位が高いバッテリから低いバッテリに切り換えられたとき、一時的に駆動ユニットの電位が切換後のバッテリの電位よりも高くなり得る。その場合、駆動ユニットからバッテリへの電流が発生する。このような電流はバッテリに悪影響を生じる可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)本開示で提案する電動自転車の一例は、第1バッテリと、第2バッテリと、電動モータを含む駆動ユニットと、前記第1バッテリと前記第2バッテリと、前記駆動ユニットとの間に配置されるバッテリ切換装置とを有している。前記バッテリ切換装置は、前記第1バッテリと前記駆動ユニットとの間に配置される第1電流制御スイッチと、前記第2バッテリと前記駆動ユニットとの間に配置される第2電流制御スイッチと、前記第1電流制御スイッチと前記第2電流制御スイッチとを制御する制御装置とを有している。前記第1電流制御スイッチと前記第2電流制御スイッチのそれぞれは、当該電流制御スイッチが接続されているバッテリから前記駆動ユニットへ流れる電流と、前記駆動ユニットから前記バッテリへ流れる電流の双方を許容する双方向導通状態と、当該電流制御スイッチが接続されているバッテリから前記駆動ユニットへ流れる電流を許容し、前記駆動ユニットから前記バッテリへ流れる電流を規制する中間状態と、当該電流制御スイッチが接続されているバッテリから前記駆動ユニットへ流れる電流と、前記駆動ユニットから前記バッテリへ流れる電流の双方を規制する双方向規制状態とを有している。前記制御装置は、前記駆動ユニットに電流を供給するバッテリを前記第1バッテリから前記第2バッテリに切り換える過程において、前記第2電流制御スイッチを前記中間状態に設定し、その後、前記駆動ユニットの電位と前記第2バッテリの電位の相対関係が所定条件を満たしたときに前記第2電流制御スイッチを前記双方向導通状態に設定する。この電動自転車によると、駆動ユニットから第2バッテリへの電流が発生することを抑えることができる。
【0006】
(2)(1)の電動自転車は、前記第2バッテリと前記駆動ユニットとの間を流れる電流を検出するための電流検出部を有してよい。前記制御装置は、前記電流検出部の出力に基づいて、前記駆動ユニットの電位と前記第2バッテリとの電位との相対関係が前記所定条件を満たしたか否かを判定してよい。
【0007】
(3)(1)の電動自転車は、前記第2バッテリの電位を検出するためのバッテリ電圧検出部と、前記駆動ユニットの電位を検出するための駆動ユニット電圧検出部とを有してよい。前記制御装置は、前記バッテリ電圧検出部の出力と前記駆動ユニット電圧検出部の出力とに基づいて、前記駆動ユニットの電位と前記第2バッテリとの電位との相対関係が前記所定条件を満たしているか判定してよい。
【0008】
(4)(3)の電動自転車において、前記所定条件は、前記駆動ユニットの電位が前記第2バッテリの電位との差が閾値よりも小さいことであってよい。これによれば、この所定条件が成立するまでに要する時間を短縮することが可能となる。
【0009】
(5)(1)乃至(3)のいずれかに記載の電動自転車において、前記所定条件は、前記第2バッテリの電位が前記駆動ユニットの電位と同じ、又は前記駆動ユニットの電位よも高いことであってよい。
【0010】
(6)(1)乃至(5)のいずれかに記載の電動自転車において、前記制御装置は、前記駆動ユニットに電流を供給するバッテリを前記第1バッテリから前記第2バッテリに切り換える過程において、前記第1電流制御スイッチを前記双方向導通状態から前記中間状態に変更し、且つ前記第2電流制御スイッチを前記双方向規制状態から前記中間状態に変更する。
【0011】
(7)(1)乃至(6)のいずれかに記載の電動自転車において、前記駆動ユニットは、前記電動モータに電流を供給するモータ駆動装置と、前記モータ駆動装置と並列に接続されている平滑コンデンサとを有してよい。これによれば、モータ駆動装置に供給される電流の変動を低減できる。
【0012】
(8)(1)乃至(7)のいずれかに記載の電動自転車は、ユーザが操作するための入力部を有してよい。前記制御装置は、前記入力部から入力される信号に基づいて、前記駆動ユニットに電流を供給するバッテリを前記第1バッテリと前記第2バッテリとの間で切り換えてよい。これによれば、ユーザは、例えば一方のバッテリを優先的に使用し、バッテリ残量を充電に適した量にまで減らすことが容易となる。
【0013】
(9)(1)乃至(8)のいずれかに記載の電動自転車において、前記第1電流制御スイッチと前記第2電流制御スイッチのそれぞれは、オン状態において当該電流制御スイッチが接続されるバッテリから前記駆動ユニットへの電流を許容する第1電界効果トランジスタ(第1FET)と、オン状態において前記駆動ユニットから前記電流制御スイッチが接続されるバッテリへの電流を許容する第2電界効果トランジスタ(第2FET)と含み、前記第1FETと前記第2FETは、それらのボディダイオードの順方向が互いに反対向きとなるように直列に配置されてよい。これによれば、FETのボディーダイオードを利用して中間状態を実現できるので、部品数を減らすことができる。
【0014】
(10)本開示で提案するバッテリ切換装置は、第1バッテリと前記駆動ユニットとの間に配置される第1電流制御スイッチと、第2バッテリと前記駆動ユニットとの間に配置される第2電流制御スイッチと、前記第1電流制御スイッチと前記第2電流制御スイッチとを制御する制御装置とを有している。前記第1電流制御スイッチと前記第2電流制御スイッチのそれぞれは、当該電流制御スイッチが接続されているバッテリから前記駆動ユニットへ流れる電流と、前記駆動ユニットから前記バッテリへ流れる電流の双方を許容する双方向導通状態と、当該電流制御スイッチが接続されているバッテリから前記駆動ユニットへ流れる電流を許容し、前記駆動ユニットから前記バッテリへ流れる電流を規制する中間状態と、当該電流制御スイッチが接続されているバッテリから前記駆動ユニットへ流れる電流と、前記駆動ユニットから前記バッテリへ流れる電流の双方を規制する双方向規制状態とを有している。前記制御装置は、前記駆動ユニットに電流を供給するバッテリを前記第1バッテリから前記第2バッテリに切り換えるとき、前記第2電流制御スイッチを前記中間状態に設定し、その後、前記駆動ユニットの電位と前記第2バッテリの電位との相対関係が所定条件を満たしたときに前記第2電流制御スイッチを前記双方向導通状態に設定する。このバッテリ切換装置によると、駆動ユニットから第2バッテリへの電流が発生することを抑えることができる。
【0015】
(11)本開示で提案するバッテリの切換方法では、第2バッテリから駆動ユニットへ流れる電流と駆動ユニットから前記第2バッテリへ流れる電流の双方を規制する双方向規制状態から、前記第2バッテリから前記駆動ユニットへ流れる電流を許容し、前記駆動ユニットから前記第2バッテリへ流れる電流を規制する中間状態に、第2電流制御スイッチが遷移する。その後、前記駆動ユニットの電位と前記第2バッテリの電位との相対関係が所定条件を満たしたときに、前記中間状態から、前記第2バッテリから前記駆動ユニットへ流れる電流と、前記駆動ユニットから前記第2バッテリへ流れる電流の双方を許容する双方向導通状態に前記第2電流制御スイッチが遷移する。
【0016】
なお、本開示で提案する電動自転車は、乗員がペダルに加える力と電動モータから出力される力との合成によって走行する自転車であってもよいし、乗員の選択によって、乗員がペダルに加える力だけで走行したり、電動モータから出力される力だけで走行できる自転車であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本開示で提案する電動自転車の例を示す左側面図である。
図2】電動自転車のハードウェアを示すブロック図である。
図3】バッテリ切換装置が有している電流制御スイッチを示す図である。
図4】バッテリ切換装置が有している制御装置が有している機能を示すブロック図である。
図5】制御装置(切換実行部)が実行する処理の例を示すブロー図である。
図6A】駆動ユニットに電流を供給するバッテリ(放電バッテリ)を第1バッテリから第2バッテリに切り換える過程を説明するための図である。
図6B】放電バッテリを第1バッテリから第2バッテリに切り換える過程を説明するための図である。
図6C】放電バッテリを第1バッテリから第2バッテリに切り換える過程を説明するための図である。
図6D】放電バッテリを第1バッテリから第2バッテリに切り換える過程を説明するための図である。
図6E】放電バッテリを第1バッテリから第2バッテリに切り換える過程を説明するための図である。
図7A】バッテリ切換装置の他の例を示す図である。
図7B】バッテリ切換装置のさらに別の例を示す図である。
図8】制御装置が実行する処理の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下において、本開示で提案する電動自転車の例を説明する。図1は本開示で提案する電動自転車の一例である電動自転車1の左側面図である。図2は電動自転車1のハードウェアを示すブロック図である。
【0019】
図1で示すように、電動自転車1は、前輪2、前輪2を支持しているフロントフォーク5、フロントフォーク5の上部に固定されているハンドルバー6、サドル4、サドル4を支持しているサドルポスト5aを有する車体フレーム5、及び後輪7を有している。
【0020】
[駆動ユニット]
電動自転車1は、電動モータ12(図2参照)と、電動モータ12からの回転を減速して出力する減速機構とを含む駆動ユニット10を有している。駆動ユニット10は、例えば、サドルポスト5aの下方に配置される。駆動ユニット10の位置は図に示す例に限られない。駆動ユニット10には、クランク軸が設けられている。クランク軸には、クランクアーム19が連結されている。クランクアーム19の先端にはペダル13が取り付けられている。駆動ユニット10は、ペダル13に加えられる力(踏力)と電動モータ12が出力する力とを合成する。例えば、ペダル13に加えられる力(踏力)と電動モータ12が出力する力とが減速機構を構成する回転軸に入力され、これにより2つの力が合成される。駆動ユニット10の出力(回転)は、チェーンや、ベルト、シャフトなど伝達部材を介して後輪7に伝えられる。
【0021】
図2で示すように、駆動ユニット10は、上述した電動モータ12に加えて、モータ駆動装置15と、平滑コンデンサ16とを有している。また、電動自転車1は、複数のバッテリ41A・41Bと、バッテリ切換装置30と、モータ制御装置20とを有している。バッテリ切換装置30は、複数のバッテリ41A・41Bとモータ駆動装置15との間に配置され、バッテリ41A・41Bの電流はバッテリ切換装置30を通してモータ駆動装置15に供給される。
【0022】
バッテリ41A・41Bは電動モータ12に供給する電力を蓄える。バッテリ41A・41Bは、例えばリチウムイオンバッテリや、ニッケル水素バッテリであってよい。バッテリ41A・41Bの数は、図で示すように例えば2つであるが、3つ以上であってもよい。なお、以下の説明では、2つのバッテリ41A・41Bを区別する場合には、バッテリ41Aを「第1バッテリ」と称し、バッテリ41Bを「第2バッテリ」と称する。
【0023】
バッテリ41A・41Bは電動自転車1に対して別個に脱着可能であってよい。すなわち、第1バッテリ41Aを電動自転車1に搭載している状態で、第2バッテリ41Bだけ電動自転車1から取り外したり、反対に、第2バッテリ41Bを電動自転車1に搭載している状態で、第1バッテリ41Aだけ電動自転車1から取り外すことができてよい。バッテリ41A・41Bは、電動自転車1から取り外した状態で、充電器を通して充電可能であってよい。
【0024】
図1で示す例において、第2バッテリ41Bはサドルポスト5aの後側に沿って配置され、第1バッテリ41Aはサドルポスト5aの前側に配置されている。バッテリ41A・41Bが配置される位置には、バッテリ41A・41Bが脱着可能であり、バッテリ41A・41Bと電気的な接続を確立する端子を有するリセプタクルが配置されていてよい。バッテリ41A・41Bの配置は、図1で示す例に限られず、適宜変更されてよい。
【0025】
バッテリ41A・41Bのそれぞれは、内部に有しているバッテリセルの温度を監視する温度検出部や、バッテリセルの電圧を検出するための電圧検出部、充放電の電流を検出するための電流検出部、及び、これらの出力に基づいて温度や、電圧、電流、バッテリ残量を監視する制御装置(不図示)を有してよい。バッテリ41A・41Bはバッテリ切換装置30と通信するための通信モジュールを有してよい。
【0026】
モータ駆動装置15は、モータ制御装置20から入力される指令値に応じた電流を電動モータ12に供給する。モータ駆動装置15は、例えばインバータ回路を含み、バッテリ41A・41Bから供給される直流電流を交流電流に変換して電動モータ12に供給する。
【0027】
平滑コンデンサ16は、モータ駆動装置15と並列に接続されている。バッテリ切換装置30を介してバッテリ41A・41Bからモータ駆動装置15に電流が供給されているとき、平滑コンデンサ16に電荷が蓄えられる。平滑コンデンサ16はモータ駆動装置15に供給される電流の変動を低減する。
【0028】
モータ制御装置20は、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)などの記憶装置と、CPU(Central Processing Unit)などの演算装置とを含む。モータ制御装置20は記憶装置に格納されているプログラムを演算装置において実行することで、電動モータ12を制御する。具体的には、モータ制御装置20は、電動自転車1の速度や、ペダル13に加えられている力(踏力)に応じた指令値を算出し、この指令値をモータ駆動装置15に出力する。モータ制御装置20には、車速センサ29と踏力センサ28とが接続されてよい。モータ制御装置20は、FPGA(Field-Programmable Gate Array)で構成されてもよい。
【0029】
[バッテリ切換装置]
図2で示すように、バッテリ切換装置30は、各バッテリ41A・41Bとモータ駆動装置15とを接続する電力線P1・P2を有している。電力線P1・P2は、2つのバッテリ41A・41Bが脱着可能な2つのリセプタクル(不図示)にそれぞれ接続されている。このリセプタクルには、電力線P1・P2用の端子と、通信線(不図示)用の端子とが設けられてよい。また、バッテリ切換装置30は電力線P1・P2が接続する接続点Pxを有している。バッテリ切換装置30は、駆動ユニット10と電気的に接続するためのコネクタを有してよい。このコネクタには、接続点Pxに接続している、2本の電力線P1・P2に共通の端子が設けられてよい。
【0030】
バッテリ切換装置30は、ユーザ(乗員)による指示や走行環境に応じて、駆動ユニット10に向けて放電するバッテリをバッテリ41A・41Bの間で切り換える。以下では、駆動ユニット10に向けて放電する状態にあるバッテリを「放電バッテリ」と称する。
【0031】
図2で示すように、バッテリ切換装置30は、電流制御スイッチ31A・31Bと、スイッチ駆動回路32A・32Bと、制御装置38とを有している。また、バッテリ切換装置30は、電圧検出部34A・34B・34Cと、インジケータ35と、通信部36と、入力部37とを有してよい。
【0032】
第1電流制御スイッチ31Aは第1バッテリ41Aと駆動ユニット10との間に位置し、第1バッテリ41Aと直列に接続されている。第1電流制御スイッチ31Aは、制御装置38からの指令に応じて第1バッテリ41Aと駆動ユニット10との間で流れる電流を制御する。同様に、第2電流制御スイッチ31Bは第2バッテリ41Bと駆動ユニット10との間に位置し、第2バッテリ41Bと直列に接続されている。第2電流制御スイッチ31Bは、制御装置38からの指令に応じて第2バッテリ41Bと駆動ユニット10との間で流れる電流を制御する。
【0033】
図3は電流制御スイッチ31A・31Bの構成を示す図である。同図で示すように、第1電流制御スイッチ31Aは、例えば、第1電界効果トランジスタ(第1FET)33Aと、第2電界効果トランジスタ(第2FET)33Bを有する。第1電流制御スイッチ31Aにおいて、2つのFET33A・33Bは直列に接続され、それらのボディダイオード33a・33bの順方向は反対向きとなっている。図で示す例では、第1FET33Aのドレインと第2FET33Bのドレインとが接続されている。これとは異なり、第1FET33Aのソースと第2FET33Bのソースとが接続されてもよい。同様に、第2電流制御スイッチ31Bも、第1FET33Cと第2FET33Dとを有する。第2電流制御スイッチ31Bにおいて、2つのFET33C・33Dは直列に接続され、それらのボディダイオード33a・33bの順方向は反対向きとなっている。図で示す例においてFET33A~33DはNチャネルFETであるが、これらはPチャネルFETであってもよい。
【0034】
スイッチ駆動回路32A(図2参照)は、制御装置38から入力される信号に従って、第1バッテリ41Aに接続されている各FET33A・33Bのゲート電圧を制御する。同様に、スイッチ駆動回路32Bは、制御装置38から入力される信号に従ってバッテリ41Bに接続されている各FET33C・33Dのゲート電圧を制御する。
【0035】
制御装置38は、RAMやROMなどの記憶装置と、CPUなどの演算装置とを含む。モータ制御装置20は記憶装置に格納されているプログラムを演算装置において実行することで電流制御スイッチ31A・31Bを制御する。制御装置38が実行する処理については後において詳説する。制御装置38はFPGAで構成されてもよい。
【0036】
インジケータ35は、例えば複数の発光素子(例えば、LED)を含んでよい。制御装置38はインジケータ35を制御し、バッテリ41A・41Bの状態を示す。例えば、制御装置38は、駆動ユニット10に電流を供給しているバッテリ(放電バッテリ)をインジケータ35で示したり、バッテリ41A・41Bの動作状態を示してよい。バッテリ41A・41Bの動作状態は、例えばバッテリ41A・41Bの残量や、電圧、温度の異常などであってよい。
【0037】
通信部36は、バッテリ41A・41Bが内蔵している制御装置と通信するための通信モジュールであってよい。バッテリ切換装置30の制御装置38は、バッテリ41A・41Bの電圧(正極の電位)や、バッテリセルの温度、放電電流、バッテリ残量などバッテリ41A・41Bの情報を、通信部36を介してバッテリ41A・41Bから受信してよい。
【0038】
また、通信部36は、モータ制御装置20と通信可能な通信モジュールを含んでよい。制御装置38は、通信部36を通して、バッテリ41A・41Bの情報をモータ制御装置20に送信してもよい。
【0039】
このように、バッテリ切換装置30は、バッテリ41A・41Bの情報の送受信をバッテリ41A・41Bとモータ制御装置20との間で中継してよい。また、バッテリ切換装置30は、2本の電力線P1・P2に共通の端子(接続点Pxより駆動ユニット10側にある端子)を介してモータ駆動装置15に接続してよい。これによると、バッテリ切換装置30は、複数のバッテリ41A・41Bをあたかも1つのバッテリとして機能させるアダプタ装置として動作し得る。バッテリ切換装置30は、バッテリ41A・41Bと駆動ユニット10とは異なるハウジングに収容されてよい。
【0040】
図2で示した入力部37は、例えばユーザが手動操作可能なスイッチである。ユーザは入力部37を通してバッテリ切換指示を入力できてよい。すなわち、第1バッテリ41Aが放電バッテリとして利用されている場合、ユーザは、入力部37の操作によって、バッテリ41Bへの切り換えを制御装置38に指示できてよい。反対に、第2バッテリ41Bが放電バッテリとして利用されている場合、ユーザは、入力部37の操作によって、バッテリ41Aへの切り換えを制御装置38に指示できてよい。電動自転車1には3つ以上のバッテリが搭載可能であってもよい。この場合、ユーザは、入力部37の操作によって、放電バッテリをこの3つ以上のバッテリのなかから選択できてもよい。すなわち、入力部37はバッテリ選択指示を制御装置38に入力できてよい。
【0041】
電圧検出部34Aは、第1バッテリ41Aの出力電圧(例えば、正極端子の電位)に応じた信号を出力する回路である。電圧検出部34Bは、第2バッテリ41Bの出力電圧(例えば、正極端子の電位)に応じた信号を出力する回路である。電圧検出部34Cは、駆動ユニット10の電位(駆動ユニット10の正極端子の電位、本実施形態において平滑コンデンサ16の正極の電位)に応じた信号を出力する回路である。
【0042】
バッテリ切換装置30は、電力線P1・P2や制御装置38等を収容するハウジング内に電圧検出部34A・34B・34Cを有してよい。これによって、制御装置38が電位の情報を取得するのに要する時間を短縮できる。
【0043】
図で示す例とは異なり、電圧検出部34A・34Bは、バッテリ切換装置30ではなく、バッテリ41A・41Bに搭載されてもよい。この場合、制御装置38は、バッテリ41A・41Bから通信部36を介してバッテリ41A・41Bの出力電圧の情報を受信してよい。同様に、電圧検出部34Cは駆動ユニット10に設けられ、制御装置38は、駆動ユニット10(又はモータ制御装置20)から通信部36を介して駆動ユニット10の電位(平滑コンデンサ16の正極端子の電位)の情報を受信してもよい。
【0044】
[バッテリ切換装置の制御装置]
図4は、制御装置38が有している機能を示すブロック図である。同図に示すように、制御装置38は、その機能として、切換タイミング検出部38aと、切換実行部38cとを有している。
【0045】
[切換タイミング検出部]
切換タイミング検出部38aは、複数のバッテリ41A・41Bの一つから別の一つに放電バッテリ(駆動ユニット10に電流を供給するバッテリ)を切り換えるタイミングを検出する。
【0046】
切換タイミング検出部38aは、例えば、入力部37から入力される信号(バッテリ切換指示)に基づいて、放電バッテリを切り換えるタイミングを検出してよい。ユーザは、放電バッテリを、任意のタイミングで切り換えることが許容されてよい。例えば、現在の放電バッテリの残量が少なくなったとき、ユーザは、入力部37を通して、バッテリ残量の多いバッテリに放電バッテリを切り換えることができてよい。反対に、ユーザは、放電バッテリを、バッテリ残量の多いバッテリから、残量の少ないバッテリに切り換えることができてもよい。また、上述した通信部36はユーザが所有している携帯端末と通信可能であってもよい。この場合、制御装置38は、この携帯端末からバッテリ切換指示を受信してよい。
【0047】
また、切換タイミング検出部38aは、通信部36から受信するバッテリ41A・41Bの情報に基づいて、放電バッテリを切り換えるタイミングを検出してもよい。例えば、バッテリ残量が閾値よりも低くなったときや、バッテリセルの温度が異常となった場合に、切換タイミング検出部38aは放電バッテリを切り換えるタイミングが到来したと判断してもよい。
【0048】
[切換実行部]
放電バッテリの切換タイミングが切換タイミング検出部38aにおいて検出されたときに、切換実行部38cは、電流制御スイッチ31A・31Bを操作し、複数のバッテリ41A・41Bの一つから別の一つに放電バッテリを切り換える。各電流制御スイッチ31A・31Bは、双方向導通状態と、中間状態と、双方向規制状態とを有する。切換実行部38cは、放電バッテリを切り換える過程において、電流制御スイッチ31A・31Bの状態をこれら3つの状態に順番に遷移させる。
【0049】
第1電流制御スイッチ31Aは、双方向導通状態において、第1バッテリ41Aから駆動ユニット10へ流れる電流と、駆動ユニット10から第1バッテリ41Aへ流れる電流の双方を許容する。例えば、図6Aで示すように、2つのFET33A・33Bの双方がオン状態にあるとき、双方向導通状態が実現される。同様に、第2電流制御スイッチ31Bの双方向導通状態も、例えば、2つのFET33C・33Dの双方がオン状態にあるときに実現される。
【0050】
第1電流制御スイッチ31Aは、双方向規制状態において、第1バッテリ41Aから駆動ユニット10へ流れる電流と、駆動ユニット10から第1バッテリ41Aへ流れる電流の双方を規制する。例えば、図6D及び図6Eで示すように、2つのFET33A・33Bの双方がオフ状態にあるとき、双方向規制状態が実現される。同様に、第2電流制御スイッチ31Bの双方向規制状態も、例えば、2つのFET33C・33Dの双方がオフ状態にあるときに実現される。
【0051】
第1電流制御スイッチ31Aは、中間状態において、第1バッテリ41Aから駆動ユニット10へ流れる電流(放電)を許容し、駆動ユニット10から第1バッテリ41Aへ流れる電流(充電)を規制する。例えば、図6Bで示すように、ボディダイオード33aの順方向がバッテリ41Aから駆動ユニットに向かう方向である第1FET33Aをオフ状態とし、ボディダイオード33bの順方向が駆動ユニット10からバッテリ41Aに向かう方向である第2FET33Bをオン状態とするとき、この中間状態が実現される。この状態では、第1バッテリ41Aから駆動ユニット10への電流は、第1FET33Aにおいてはボディダイオード33aを流れ、第2FET33Bにおいてはチャネルを流れる。電流制御スイッチ31Bについても、第1FET33Cをオフ状態とし、第2FET33Dをオン状態とするとき、この中間状態が実現される。
【0052】
放電バッテリを切り換える過程において、駆動ユニット10側の電位が一時的にバッテリ41A・41Bよりも高くなることがある。図で示す例では、駆動ユニット10が有している平滑コンデンサ16がその原因となることがある。バッテリの出力電圧は、一般に、バッテリ残量が少なくなると低下する。平滑コンデンサ16には、現在の放電バッテリ(切換前の放電バッテリ)の出力電圧に応じた電荷が蓄えられている。電位の高いバッテリから低いバッテリに放電バッテリが切り換えられると、平滑コンデンサ16の電位が一時的に放電バッテリ(切換後のバッテリ)よりも高くなる。この状態において、この放電バッテリに接続されている電流制御スイッチが双方向導通状態となっていると、駆動ユニット10から放電バッテリに流れ込む電流が発生する。このことは、バッテリ41A・41Bに悪影響を生じる可能性がある。例えば、バッテリ41A・41Bの寿命や放電性能に悪影響を生じる可能性がある
【0053】
また、電動自転車1においては、ユーザは、入力部37の操作によって、バッテリ残量の多いバッテリ(例えば第1バッテリ41A)から、残量の少ないバッテリ(例えば第2バッテリ41B)に、放電バッテリを切り換えることができる。このような切り換えによって、ユーザは、バッテリ残量の少ないバッテリ(例えば、バッテリ41B)を優先的に使用し、バッテリ残量を充電に適した量にまで減らすことができる。このような切り換えが行われた場合、電位の高いバッテリ(上述の例では、バッテリ41B)から電位の低いバッテリ(上述の例では、バッテリ41A)へ、放電バッテリが切り換えられることとなる。その結果、平滑コンデンサ16の電位が放電バッテリ(切換後のバッテリ、上述の例ではバッテリ41A)よりも一時的に高くなる。
【0054】
そこで、切換実行部38cは、放電バッテリを第1バッテリ41Aから第2バッテリ41Bに切り換える過程で、第2電流制御スイッチ31Bを一時的に中間状態(図6C)に設定する。その後、駆動ユニット10の電位と第2バッテリ41B(切換後のバッテリ)の電位との相対関係が所定条件を満たしたときに、切換実行部38cは、第2電流制御スイッチ31Bを双方向導通状態に設定する。これによって、駆動ユニット10の電位から第2バッテリ41Bへの電流の流れ込みを防止できる。切換実行部38cは、放電バッテリを第2バッテリ41Bから第1バッテリ41Aに切り換えるときにも同様の処理を行う。以下では、この所定条件を「中間状態終了条件」と称する。
【0055】
なお、「駆動ユニット10の電位」とは、例えば、駆動ユニット10とバッテリ切換装置30とを接続するコネクタの正極端子の電位である。図で示す例において、駆動ユニット10は平滑コンデンサ16を有している。駆動ユニット10の正極端子の電位は、平滑コンデンサ16の正極端子の電位であってよい。また、「第2バッテリ41Bの電位」とは、例えば、第2バッテリ41Bとバッテリ切換装置30とを接続するコネクタ(リセプタクル)の正極端子の電位である。また、「第1バッテリ41Aの電位」とは、例えば、第1バッテリ41Aとバッテリ切換装置30とを接続するコネクタ(リセプタクル)の正極端子の電位である。また、「駆動ユニット10の電位と第2バッテリ41Bの電位との相対関係」とは、この2つの電位の相対的な高さの関係や、それらの差である。
【0056】
図2で示す例では、バッテリ切換装置30は、電圧検出部34A・34B・34Cを有している。切換実行部38cは、バッテリ41A・41Bの電位(Vb)を電圧検出部34A・34Bの出力信号に基づいて検出し、平滑コンデンサ16の電位(Vd)を電圧検出部34Cの出力信号に基づいて検出する。切換実行部38cは、第1バッテリ41Aから第2バッテリ41Bに放電バッテリを切り換える過程では、例えば、第2バッテリ41Bの電位(Vb)が平滑コンデンサ16の電位(Vd)と同じか、電位(Vd)よりも高くなったときに、上述の中間状態終了条件が成立したと判定する。切換実行部38cは、第2バッテリ41Bから第1バッテリ41Aに放電バッテリを切り換える過程では、第1バッテリ41Aの電位(Vb)が平滑コンデンサ16の電位(Vd)と同じか、電位(Vd)よりも高くなったときに、上述の中間状態終了条件が成立したと判定する。
【0057】
切換実行部38cは、バッテリ41A・41Bの電位(Vb)が平滑コンデンサ16の電位(Vd)と同じか、電位(Vd)よりも高い状態が、所定時間継続したか否かを判定してもよい。そして、この状態が所定時間以上継続したときに、切換実行部38cは、上述した中間状態終了条件が成立したと判断してもよい。
【0058】
中間状態終了条件は、必ずしも、「切換後のバッテリの電位(Vb)が平滑コンデンサ16の電位(Vd)と同じか、高い」、すなわち「切換後のバッテリの電位(Vb)と駆動ユニット10の電位(Vd)の差(Vb-Vd)が0以上である(Vb-Vd≧0)」でなくてもよい。例えば、中間状態終了条件は、「切換後のバッテリの電位(Vb)と平滑コンデンサ16の電位(Vd)の差(Vb-Vd)が負の閾値よりも大きい(Vb-Vd>Vth、Vth<0)」であってよい。これによれば、中間状態終了条件が早期に成立し得る。
【0059】
ここで閾値Vthは、バッテリ41A・41Bが許容している逆流電流(バッテリ41A・41Bの正極に流れ込む電流)に基づいて設定されていてよい。また、閾値Vthは、バッテリ41A・41Bが許容している逆流電流(Ia)と、抵抗とに基づいて設定されていてよい。例えば、
Vth=-(R1+R2+R3)×Iaであってよい。(Ia>0)
ここで、R1はバッテリ41A・41Bの内部抵抗であり、R2はバッテリ41A・41Bと駆動ユニット10とを接続する電力線の抵抗であり、R3は平滑コンデンサ16の内部抵抗である。
【0060】
また、閾値Vthは、さらに平滑コンデンサ16からモータ駆動装置15に流れる電流を考慮して設定されていてよい。この場合、閾値Vthは、「(R1+R2+R3)×Ia」よりさらに小さくよい。
【0061】
なお、切換実行部38cは判定に際して、平滑コンデンサ16の電位を検出したり、切換後のバッテリ(バッテリ41A又は41B)の電位を検出したりしなくてもよい。例えば、電力線P1・P2の電流に基づいて、平滑コンデンサ16の電位と切換後のバッテリの電位との相対関係が中間状態終了条件を満たしたか否かを判定してもよい。つまり、切換実行部38cは、切換後のバッテリの電位(Vb)が平滑コンデンサ16の電位(Vd)と同じか、高い状態を電流の流れによって検出できれば、必ずしも電位(Vb・Vd)を直接的に検出しなくてもよい。この処理については、後において詳説する。
【0062】
[処理の流れ]
図5は、切換実行部38cが実行する処理の例を示すフロー図である。以下では、図5及び図6A図6Eを参照しながら、放電バッテリを第1バッテリ41Aから第2バッテリ41Bに切り換える過程で実行される処理を例として説明する。
【0063】
第1バッテリ41Aが放電バッテリとして選択されているとき(すなわち、バッテリの切換過程の開始前)、図6Aで示すように、第1電流制御スイッチ31Aの第1FET33Aと第2FET33Bの双方がオン状態である(双方向導通状態)。一方、第2電流制御スイッチ31Bの第1FET33Cと第2FET33Dはオフ状態である(双方向規制状態)。
【0064】
切換タイミング検出部38aが第1バッテリ41Aから第2バッテリ41Bに放電バッテリを切り換えるタイミングを検出したとき、切換実行部38cは、図6Bで示すように、第1電流制御スイッチ31Aの第1FET33Aをオフ状態に切り換える(S101)。また、切換実行部38cは、第1電流制御スイッチ31Aの第2FET33Bをオン状態に維持する。すなわち、第1電流制御スイッチ31Aは双方向導通状態から中間状態に遷移する。
【0065】
上述したように、第1FET33Aにおいて、ボディダイオード33aの順方向はバッテリ41Aの放電方向となっている。また、第2FET33Bにおいて、ボディダイオード33aの順方向は第1FET33Aとは逆である。従って、図6Bの中間状態において、第1バッテリ41Aからの電流は、第1FET33Aのボディダイオード33aと、第2FET33Bのチャネルとを流れる。
【0066】
また、切換実行部38cは、図6Cで示すように、第2電流制御スイッチ31Bの第2FET33Dをオン状態に切り換える(S102)。このとき、切換実行部38cは、第2電流制御スイッチ31Bの第1FET33Aをオフ状態に維持する。すなわち、第2電流制御スイッチ31Bが双方向規制状態から中間状態に遷移する。
【0067】
第2FET33Dにおいて、ボディダイオード33aの順方向は第2バッテリ41Bの充電方向である。一方、第1FET33Cにおいて、ボディダイオード33aの順方向は第2バッテリ41Bの放電方向である。従って、図6Cの中間状態において、第2バッテリ41Bからの電流は、第1FET33Cのボディダイオード33aと、第2FET33Dのチャネルとを流れる。なお、図6Cで示す状態において、第1バッテリ41Aの電位が第2バッテリ41Bの電位よりも高い場合、第1バッテリ41Aから駆動ユニット10への電流供給が継続する。一方、第2バッテリ41Bの電位が第1バッテリ41Aの電位よりも高い場合には、第2バッテリ41Bから駆動ユニット10への電流供給が開始する。
【0068】
切換実行部38cは、図6Dで示すように、第1電流制御スイッチ31Aの第2FET33Bをオフ状態に切り換える(S103)。また、切換実行部38cは、第1電流制御スイッチ31Aの第1FET33Aをオフ状態に維持する。すなわち、第1電流制御スイッチ31Aは中間状態から双方向規制状態に遷移する。一方、第2電流制御スイッチ31Bは中間状態に維持される。
【0069】
このように、第1電流制御スイッチ31Aを双方向規制状態にする前に、第2電流制御スイッチ31Bを中間状態に設定するので、駆動ユニット10への電流供給が途切れることを防止できる。なお、図5で示す例とは異なり、切換実行部38cはS101の処理とS102の処理とを同時に行ってもよいし、S102の処理をS101の処理よりも先に行ってもよい。この場合でも、駆動ユニット10への電流供給が途切れることを防止できる。
【0070】
次に、切換実行部38cは、平滑コンデンサ16の電位と第2バッテリ41B(切換後のバッテリ)の電位との相対関係が中間状態終了条件を成立したか否かを判定する(S104)。具体的には、切換実行部38cは、第2バッテリ41Bの電位(Vb)が平滑コンデンサ16の電位(Vd)と同じか、電位(Vd)より高いか否かを判定する。切換実行部38cは、平滑コンデンサ16の電位(Vd)と第2バッテリ41Bの電位(Vb)との差(Vb-Vd)が負の閾値(Vth)よりも大きいか否かを判定してもよい。切換実行部38cは、中間状態終了条件が成立するまで、S104の処理を繰り返す。
【0071】
図6Dで示す状態において、第2バッテリ41Bの電位(Vb)よりも平滑コンデンサ16の電位(Vd)が高い場合、平滑コンデンサ16からモータ駆動装置15に電流が供給され、平滑コンデンサ16の電位が徐々に下がる。そして、平滑コンデンサ16の電位が第2バッテリ41Bの電位と等しくなると、第2バッテリ41Bから駆動ユニット10への電流供給が開始する。
【0072】
S104において、中間状態終了条件が成立すると、切換実行部38cは、図6Eで示すように、第2電流制御スイッチ31Bの第1FET33Aをオン状態に切り換える(S105)。これによって、第2電流制御スイッチ31Bは中間状態から双方向導通状態に遷移し、放電バッテリの切換処理が完了する。
【0073】
図5及び図6A図6Eでは、放電バッテリを第1バッテリ41Aから第2バッテリ41Bに切り換える過程で実行される処理を例として説明した。しかしながら、放電バッテリを第2バッテリ41Bから第1バッテリ41Aに切り換える過程でも、同様の処理が実行されてよい。この場合、上述の処理は「第1」と「第2」とが反対に読み替えられればよい。
【0074】
なお、切換実行部38cは、所定時間以内に中間状態終了条件が成立しない場合、放電バッテリの切換処理を途中で終了し、電流制御スイッチ31A・31Bを切換処理の開始前の状態(図6A図6Eの例では図6Aの状態)に戻してもよい。例えば、電動自転車1の停止中に入力部37を介してバッテリ切換指示が制御装置38に入力された場合、平滑コンデンサ16の放電に多くの時間を要する。このような場合に、所定時間以内に中間状態終了条件が成立しない可能性がある。この場合、切換実行部38cは、放電バッテリの切換処理をS104で終了し、電流制御スイッチ31A・31Bを切換処理の開始前の状態に戻してもよい。
【0075】
[他の例]
本開示は、以上説明した電動自転車1及びバッテリ切換装置30に限られない。
【0076】
図7A及び図7Bは本開示で提案するバッテリ切換装置の他の例を示すブロック図である。図7Aでは、他の例としてバッテリ切換装置130が示され、図7Bでは、他の例としてバッテリ切換装置230が示されている。図7A及び図7Bでは、これまで説明したバッテリ切換装置30と同じ箇所には同じ符号を付している。
【0077】
まず、図7Aを参照しながらバッテリ切換装置130について、バッテリ切換装置30とは相違する点を中心にして説明する。バッテリ切換装置130について説明の無い事項は、バッテリ切換装置30と同じであってよい。
【0078】
図7で示すように、バッテリ切換装置130は、電圧検出部34A・34B・34Cに代えて、電流検出部134を有している。電流検出部134はバッテリ41A・41Bから駆動ユニット10に供給される電流に応じた信号を出力する回路である。電流検出部134は、バッテリ41A・41Bの正極と平滑コンデンサ16の正極との間に配置されている。また、電流検出部134は、電力線P1と電力線P2の接続点Pxよりも平滑コンデンサ16寄りに配置されてよい。電流検出部134は、バッテリ41Aから駆動ユニット10に電流が流れている場合と、バッテリ41Bから駆動ユニット10に電流が流れている場合のいずれにおいても、その電流値に応じた信号を出力する。
【0079】
上述した中間状態終了条件は、例えば「切換後のバッテリの電位が平滑コンデンサ16の電位と同じか、高い」である。図6Dに示す状態では、第2バッテリ41B(切換後のバッテリ)の電位が平滑コンデンサ16の電位と同じか、高い状態になって初めて、切換後のバッテリから駆動ユニット10に電流が供給される。そのため、切換実行部38cは、電流検出部134の出力信号に基づいて中間状態終了条件が成立したか否かを判定してよい。そして、切換実行部38cは、第2バッテリ41Bから駆動ユニット10への電流供給が開始したときに、上述した中間状態終了条件が成立したと判定し(図5のS104において「Yes」)、第2電流制御スイッチ31Bを中間状態から双方向規制状態に遷移させる(図6のS105)。
【0080】
次に、図7Bを参照しながら、バッテリ切換装置230について、バッテリ切換装置30とは相違する点を中心にして説明する。バッテリ切換装置230について説明の無い事項は、バッテリ切換装置30・130と同じであってよい。
【0081】
バッテリ切換装置230は電流検出部234を有している。電流検出部234は、バッテリ41A・41Bの負極とグランドとの間に配置されている。図で示す例では、バッテリ41A・41Bの負極と平滑コンデンサ16の負極は、共通のグランドに接続している。従って、電流検出部234は、図7Aで示した電流検出部134と同様、第1バッテリ41Aから駆動ユニット10に電流が流れている場合と、第2バッテリ41Bから駆動ユニット10に電流が流れている場合のいずれにおいても、その電流に応じた信号を出力し得る。
【0082】
切換実行部38cは、中間状態終了条件が成立するか否かを電流検出部234の出力に基づいて判定する。切換実行部38cは、グランドからバッテリ41A・41Bの負極に戻る電流を検出したときに、中間状態終了条件が成立したと判定する。すなわち、切換実行部38cは、第2バッテリ41B(切換後のバッテリ)の正極の電位が平滑コンデンサ16の正極の電位よりも高くなったと判定する。
【0083】
放電バッテリの切換時における平滑コンデンサ16からバッテリ41A・41Bへの電流の流れ込みという課題は、低電位のバッテリから高電位のバッテリへの切換時には生じにくい。そこで、バッテリ切換装置の制御装置は放電バッテリの切り換えの形態に応じて、放電バッテリの切り換えのための手順を変えてもよい。このような処理によると、放電バッテリの切換に要する時間を短縮でき、また、高電位のバッテリの第1FET33A・33Cのボディダイオード33aによる発熱を低減できる。
【0084】
図8はこのような処理を実行する制御装置の例が有している機能を示すブロック図である。この制御装置338は、上述した切換タイミング検出部38aに加えて、切換実行部338cと切換モード判定部338eとを有している。
【0085】
切換タイミング検出部33aが放電バッテリの切換タイミングを検出したときに、切換モード判定部338eは、実行される放電バッテリの切り換えが、高電位のバッテリから低電位のバッテリへの切り換えであるか、或いは、低電位のバッテリから高電位のバッテリへの切り換えであるかを判定する。
【0086】
切換実行部133eは放電バッテリの切換手順として2つのモードを有してよい。第1の切換モードは、図5を参照しながら説明した切換処理である。すなわち、第1の切換モードでは、切換後の放電バッテリ(図5及び図6A図6Eの例において第2バッテリ41B)が中間状態に設定され、S104において中間状態終了条件が成立した後に、切換後の放電バッテリが双方向導通状態に設定される(S105)。
【0087】
一方、第2の切換モードは、S104の判定処理を経ることなく放電バッテリが切り換えられるモードである。すなわち、切換実行部338cは、切換前の放電バッテリと切換後の放電バッテリの双方を中間状態にした後(S101・S102)、切換前の放電バッテリ(図5の例において第1バッテリ41A)に接続されている電流制御スイッチの第2FET(図5において第2FET33B)をオフ状態とし(S103)、切換後の放電バッテリ(図5の例において第2バッテリ41B)に接続されている電流制御スイッチの第1FET(図5において第1FET33C)をオン状態とする(S105)。第2の切換モードにおいて、S104は実行されない。
【0088】
切換実行部338cは、放電バッテリが高電位のバッテリから低電位のバッテリへ切り換えられる場合、第1の切換モードを実行する。一方、切換実行部338cは、放電バッテリが低電位のバッテリから高電位のバッテリへ切り換えられる場合、第2の切換モードを実行する。
【0089】
[まとめ]
(1)電動自転車1では、各電流制御スイッチ31A・31Bは、当該電流制御スイッチ31A・31Bが接続されているバッテリ41A・41Bから駆動ユニット10へ流れる電流と、駆動ユニット10からバッテリ41A・41Bへ流れる電流の双方を許容する双方向導通状態を有している(図6Aの第1電流制御スイッチ31Aの状態、図6Eの第2電流制御スイッチ31Bの状態)。各電流制御スイッチ31A・31Bは、電流制御スイッチ31A・31Bが接続されているバッテリ41A・41Bから駆動ユニット10へ流れる電流を許容し、駆動ユニット10からバッテリ41A・41Bへ流れる電流を規制する中間状態を有している(図6Cの第1電流制御スイッチ31Aと第2電流制御スイッチ31Bの状態)。各電流制御スイッチ31A・31Bは、電流制御スイッチ31A・31Bが接続されているバッテリ41A・41Bから駆動ユニット10へ流れる電流と、駆動ユニット10からバッテリ41A・41Bへ流れる電流の双方を規制する双方向規制状態を有している(図6Eの第1電流制御スイッチ31Aの状態、図6Aの第2電流制御スイッチ31Bの状態)。制御装置38は、駆動ユニット10に電流を供給する放電バッテリを第1バッテリ41Aから第2バッテリ41Bに切り換える過程において、第2電流制御スイッチ31Bを中間状態に設定する。その後、駆動ユニット10の電位(具体的には、平滑コンデンサ16の電位)と第2バッテリ41Bの電位の相対関係が中間状態終了条件を満たしたときに、制御装置38は、第2電流制御スイッチ31Bを双方向導通状態に設定する。この電動自転車1によると、放電バッテリの切り換えに際して、駆動ユニット10から第2バッテリ41Bへの電流が発生することを抑えることができる。
【0090】
(2)図7A及び図7Bで示す例において、電動自転車1は、第2バッテリ41Bと駆動ユニット10との間を流れる電流を検出するための電流検出部134・234を有している。制御装置38は、電流検出部134・234の出力に基づいて、駆動ユニット10の電位と第2バッテリ41Bとの電位との相対関係が中間状態終了条件を満たしたか否かを判定している。
【0091】
(3)図2で示す例において、電動自転車1は、第2バッテリ41Bの電位を検出するための電圧検出部34Bと、駆動ユニット10の電位を検出するための電圧検出部34Cとを有している。制御装置38は、電圧検出部34Bの出力と電圧検出部34Cの出力とに基づいて、駆動ユニット10の電位と第2バッテリ41Bとの電位との相対関係が中間状態終了条件を満たしているか判定している。
【0092】
(4)中間状態終了条件は、例えば、駆動ユニット10の電位が第2バッテリ41Bの電位との差が閾値(Vth)よりも小さいことである。これによれば、この中間状態終了条件が成立するまでに要する時間を短縮することが可能となる。
【0093】
(5)中間状態終了条件は、例えば第2バッテリ41Bの電位が駆動ユニット10の電位よりも高いことである。
【0094】
(6)制御装置38は、駆動ユニット10に電流を供給する放電バッテリを第1バッテリ41Aから第2バッテリ41Bに切り換える過程において、第1電流制御スイッチ31Aを双方向導通状態から中間状態に変更し、且つ第2電流制御スイッチ31Bを双方向規制状態から中間状態に変更する。これによれば、駆動ユニット10への電流供給が途切れることを防止できる。
【0095】
(7)駆動ユニット10は、モータ駆動装置15と並列に接続されている平滑コンデンサ16を有してよい。これによれば、モータ駆動装置15に供給される電流の変動を低減できる。
【0096】
(8)バッテリ切換装置30は、ユーザが操作するための入力部37を有している。制御装置38は、入力部37から入力される信号に基づいて、駆動ユニット10に電流を供給する放電バッテリを第1バッテリ41Aと第2バッテリ41Bとの間で切り換えてよい。これによれば、ユーザは、例えば一方のバッテリを優先的に使用し、バッテリ残量を充電に適した量にまで減らすことが容易となる。
【0097】
(9)各電流制御スイッチ31A・31Bは、オン状態において駆動ユニット10から電流制御スイッチ31A・31Bが接続されるバッテリ41A・41Bへの電流を許容する第1FET33A・33Cと、オン状態において当該電流制御スイッチ31A・31Bが接続されるバッテリ41A・41Bから駆動ユニット10への電流を許容する第2FET33B・33Dと含む。第1FET33A・33Cと第2FET33B・33Dは、それらのボディダイオード33a・33bの順方向が互いに反対向きとなるように直列に配置されてよい。これによれば、ボディダイオード33a。33bを利用して中間状態を実現できるので、部品数を減らすことができる。
【0098】
[その他]
なお、本開示で提案する電動自転車とバッテリ切換装置は、以上説明した例に限られない。
【0099】
例えば、電流制御スイッチ31A・31Bは、FET33A~33Dに代えて、絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(IGBT)など他の素子で構成されてもよい。この場合、各電流制御スイッチ31A・31Bは、FET33A~33Dのボディダイオード33a・33bに相当するダイオード(順方向が逆向きになる2つのダイオードのペア)を有してよい。
【0100】
また、駆動ユニット10は必ずしも平滑コンデンサ16を有していなくてもよい。この場合でも、中間状態終了条件が成立するまで、切換後の放電バッテリに接続されている第1FET33A・33Cのオフ状態が維持されてよい。これによって、例えば、電動モータ12からの回生電流が切換後の放電バッテリに流れ込むことを防止できる。
【0101】
さらに他の例では、バッテリ切換装置30は、ユーザが操作するための入力部37を有していなくてもよい。この場合、切換タイミング検出部33aは、バッテリ41A・41Bの状態に基づいて放電バッテリの切換タイミングを検出してよい。
【符号の説明】
【0102】
1:電動自転車、10:駆動ユニット、12:電動モータ、15:モータ駆動装置、16:平滑コンデンサ、20:モータ制御装置、30:バッテリ切換装置、31A・31B:
電流制御スイッチ、32A・32B:スイッチ駆動回路、33A・33C:第1FET、33B・33D:第2FET、33a・33b:ボディダイオード、38:制御装置、38a:切換タイミング検出部、38c:切換実行部、34A・34B・34C:電圧検出部、35:インジケータ、36:通信部、37:入力部、41A:第1バッテリ、41B:第2バッテリ、130・230:バッテリ切換装置、134・234:電流検出部、333:制御装置、333c:切換実行部、333e:切換モード判定部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図7A
図7B
図8