(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-27
(45)【発行日】2025-04-04
(54)【発明の名称】冷却貯蔵庫
(51)【国際特許分類】
F25D 17/08 20060101AFI20250328BHJP
F25D 19/00 20060101ALI20250328BHJP
F25D 23/06 20060101ALI20250328BHJP
F25D 13/02 20060101ALN20250328BHJP
【FI】
F25D17/08 302
F25D19/00 560B
F25D23/06 D
F25D13/02
(21)【出願番号】P 2021171406
(22)【出願日】2021-10-20
【審査請求日】2024-09-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】嘉戸 修治
(72)【発明者】
【氏名】奥村 洋平
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 泰光
【審査官】笹木 俊男
(56)【参考文献】
【文献】実開平06-004568(JP,U)
【文献】特開2004-309034(JP,A)
【文献】特開平11-264645(JP,A)
【文献】特開2003-097120(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 1/00 ~ 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1開口と、第2開口と、被貯蔵物を収容するための貯蔵室と、を有する断熱箱体と、
前記貯蔵室内を冷却するための冷却器と、
前記断熱箱体内に設けられ、前記冷却器を収容する冷却器室を構成する冷却器ダクトであって、透明性を有する冷却器ダクトと、
前記第1開口を開閉可能とされ、前記第1開口を通じて前記貯蔵室に前記被貯蔵物を出し入れするための扉と、
前記第2開口を開閉するためのアクセス部材と、を備え、
前記第2開口は、開かれた状態において、外部から前記冷却器室内を視認可能な位置に設けられている冷却貯蔵庫。
【請求項2】
前記第1開口は、前記断熱箱体の前面に設けられ、
前記冷却器ダクトは、前記断熱箱体内の上部に設けられており、
前記第2開口は、前記断熱箱体の前面において、前記第1開口の上方、かつ前記冷却器ダクトの前方に位置している請求項1に記載の冷却貯蔵庫。
【請求項3】
前記断熱箱体の上方には、前記冷却器と接続されて冷凍サイクルを構成する機器を収容する機械室が設けられており、
前記機械室を前方から覆う、着脱可能なフロントパネルをさらに備え、
前記アクセス部材は、前記フロントパネルを取り外した状態で、前記第2開口を開閉可能とされる請求項2に記載の冷却貯蔵庫。
【請求項4】
前記アクセス部材は、前記第2開口に対して着脱可能に嵌め込まれており、
断熱本体と、前記断熱本体の前面に配されると共に、前記フロントパネルと当接する当接部を有する前面プレートと、を備える請求項3に記載の冷却貯蔵庫。
【請求項5】
前記冷却器ダクトの下方には、前記貯蔵室の天井面となる上パネルが設けられており、
前記上パネルの前端部と前記アクセス部材との間には、前記貯蔵室の空気が前記上パネルの上方に通過可能な間隙が設けられている請求項2から請求項4のいずれか1項に記載の冷却貯蔵庫。
【請求項6】
前記断熱箱体を構成する断熱壁の第1側壁部に上下方向に沿って設けられ、前記貯蔵室内の空気を吸い込んで前記冷却器室に向かって流すための第1ダクトと、
前記第1側壁部と異なる第2側壁部に上下方向に沿って設けられ、前記冷却器室からの空気を前記貯蔵室に吹き出すための第2ダクトと、を備える請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の冷却貯蔵庫。
【請求項7】
前記第1側壁部と前記第2側壁部は、左右方向に対をなしており、
前記第1ダクトと前記第2ダクトは、対向している請求項6に記載の冷却貯蔵庫。
【請求項8】
上下方向に並んで配され、前記貯蔵室内を区画するための複数段の棚を備え、
前記第1ダクト、及び前記第2ダクトは、前記貯蔵室に向けて開口する通風孔を上下方向に沿って複数具備しており、
前記第1ダクトの下部、及び前記第2ダクトの下部は、開口すると共に、最下段の前記棚に近接している請求項6または請求項7に記載の冷却貯蔵庫。
【請求項9】
前記第1開口は、前記断熱箱体の前面に設けられ、
前記冷却器ダクトは、前記断熱箱体内の下部に設けられており、
前記第2開口は、前記断熱箱体の前面において、前記第1開口の下方、かつ前記冷却器ダクトの前方に位置しており、
前記断熱箱体の下方には、前記冷却器と接続されて冷凍サイクルを構成する機器を収容する機械室が設けられている請求項1に記載の冷却貯蔵庫。
【請求項10】
前記機械室を前方から覆う、着脱可能なフロントパネルをさらに備え、
前記アクセス部材は、前記フロントパネルを取り外した状態で、前記第2開口を開閉可能とされる請求項9に記載の冷却貯蔵庫。
【請求項11】
前記アクセス部材は、前記第2開口に対して着脱可能に嵌め込まれており、
断熱本体と、前記断熱本体の前面に配されると共に、前記フロントパネルと当接する当接部を有する前面プレートと、を備える請求項10に記載の冷却貯蔵庫。
【請求項12】
前記扉を施錠するためのロック装置を備える請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の冷却貯蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、冷却貯蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、冷却貯蔵庫では、貯蔵庫本体である断熱箱体の上部に冷却器ダクト(冷却器カバー)を張設して冷却器室を形成し、冷却器室内に冷気を生成する冷却器、及び冷却器用ファンを収容することが知られており、その一例が特許文献1に開示されている。このような構成の冷却貯蔵庫では、冷却不良等の異常動作が発生した場合、冷却器室付近に設けられている部品が取り外されて、冷却器、冷却器用ファン等の状況が目視確認され、故障判断、故障箇所の特定が行われる。その際、作業管理者は、扉を開いて断熱箱体の前面開口から手を伸ばし、部品の取り外し作業を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記したように、冷却貯蔵庫の異常確認作業は、冷却器室付近の部品の取り外し作業を伴うため、容易に行うことができず、時間を要する。そして、作業管理者が手を入れる断熱箱体の開口が小さくなるほど、その作業の難易度は上がってしまう。例えば、食品等の荷物を冷却保存しつつ、施錠できるロッカー式冷却貯蔵庫の場合、前面開口の横幅は人の肩幅程度に小さく、また上下に並ぶ収容スペース毎に前面開口が分割されているため、上下方向の寸法も小さい。このようなロッカー式冷却貯蔵庫に異常動作が発生すると、作業管理者は、小さな開口を使って部品の脱着作業を行う必要があるため、その作業は困難で、長時間に及んでしまうことがある。また、作業中は、扉が開かれたままとなるため、収容スペースの温度が上昇してしまう。
【0005】
本技術は上記のような実情に基づいて完成されたものであって、扉を閉じたまま冷却器室内を視認できる冷却貯蔵庫を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本技術に関わる冷却貯蔵庫は、第1開口と、第2開口と、被貯蔵物を収容する貯蔵室と、を有する断熱箱体と、前記貯蔵室を冷却するための冷却器と、前記断熱箱体内に設けられ、前記冷却器を収容する冷却器室を構成する冷却器ダクトであって、透明性を有する冷却器ダクトと、前記第1開口を開閉可能とされ、前記第1開口を通じて前記貯蔵室に前記被貯蔵物を出し入れするための扉と、前記第2開口を開閉するためのアクセス部材と、を備え、前記第2開口は、開かれた状態において、外部から前記冷却器室内を視認可能な位置に設けられている。
【0007】
このようにすれば、アクセス部材によって第2開口を開くと、透明な冷却器ダクトを介して、外部から冷却器室内を視認可能となる。これにより、扉を閉じたまま、第2開口を通じて冷却器室内を視認できる冷却貯蔵庫が実現される。
【0008】
また、前記第1開口は、前記断熱箱体の前面に設けられ、前記冷却器ダクトは、前記断熱箱体内の上部に設けられており、前記第2開口は、前記断熱箱体の前面において、前記第1開口の上方、かつ前記冷却器ダクトの前方に位置してもよい。このようにすれば、第2開口、及びこれを開閉するアクセス部材は、断熱箱体の前面において、第1開口、及びこれを開閉する扉の上方に設けられるようになる。その結果、作業管理者が第2開口を通じて冷却器室内をより視認しやすくできると共に、第2開口を開閉するアクセス部材をより操作しやすくできる。
【0009】
また、前記断熱箱体の上方には、前記冷却器と接続されて冷凍サイクルを構成する機器を収容する機械室が設けられており、前記機械室を前方から覆う、着脱可能なフロントパネルをさらに備え、前記アクセス部材は、前記フロントパネルを取り外した状態で、前記第2開口を開閉可能とされてもよい。このようにすれば、フロントパネルを取り外さない場合には、アクセス部材によって第2開口を開閉できず、作業管理者以外の者が誤って第2開口を開閉してしまう事態を抑制できる。
【0010】
また、前記アクセス部材は、前記第2開口に対して着脱可能に嵌め込まれており、断熱本体と、前記断熱本体の前面に配されると共に、前記フロントパネルと当接する当接部を有する前面プレートと、を備えていてもよい。このようにすれば、フロントパネルを取り付けると、フロントパネルが当接部に押し当ることによって、アクセス部材が第2開口に適切に嵌め込まれるようになる。その結果、断熱箱体の断熱性を確保して第2開口を閉じられるようになる。
【0011】
また、前記冷却器ダクトの下方には、前記貯蔵室の天井面となる上パネルが設けられており、前記上パネルの前端部と前記アクセス部材との間には、前記貯蔵室の空気が前記上パネルの上方に通過可能な間隙が設けられていてもよい。このようにすれば、上パネルの前端部とアクセス部材との間の間隙を通って、貯蔵室の空気が上パネルの上方を通過し、ひいては冷却器ダクト(冷却器室)に向かって流れるように流路を形成できる。その結果、貯蔵室内から冷却器室に向かう空気の流通を確保しやすくなる。
【0012】
また、前記断熱箱体を構成する断熱壁の第1側壁部に上下方向に沿って設けられ、前記貯蔵室内の空気を吸い込んで前記冷却器室に向かって流すための第1ダクトと、前記第1側壁部と異なる第2側壁部に上下方向に沿って設けられ、前記冷却器室からの空気を前記貯蔵室に吹き出すための第2ダクトと、を備えていてもよい。このようにすれば、2つの側壁部にそれぞれダクトを設け、一方のダクト(第1ダクト)を貯蔵室内の空気を吸い込んで冷却器室に向かって流すために用い、他方のダクト(第2ダクト)を冷却器室からの空気を貯蔵室に吹き出すために用いることで、貯蔵室と冷却器室との間に空気の循環路を形成することができる。
【0013】
また、前記第1側壁部と前記第2側壁部は、左右方向に対をなしており、前記第1ダクトと前記第2ダクトは、対向していてもよい。このようにすれば、左右の側壁部に設けられる2つのダクトを空気の流路とすることで、後壁部にダクトを設ける必要がなくなる。その結果、後面開口、及びこれを開閉する扉を追加する派生品に対して流用しやすくなる。
【0014】
また、上下方向に並んで配され、前記貯蔵室内を区画するための複数段の棚を備え、前記第1ダクト、及び前記第2ダクトは、前記貯蔵室に向けて開口する通風孔を上下方向に沿って複数具備しており、前記第1ダクトの下部、及び前記第2ダクトの下部は、開口すると共に、最下段の前記棚に近接していてもよい。このようにすれば、棚によって貯蔵室内を複数に区画して、複数の収容スペースを形成できる。また、そのような場合であっても、第1ダクト及び前記第2ダクトの通風孔によって、収容スペース間の温度のバラつきを抑制できるようになる。さらには、第1ダクト及び第2ダクトの下部が、最下段の前記棚の近傍まで延出して(近接して)開口しているため、仮に被貯蔵物によって通風孔が塞がれてしまった場合であっても、空気の流れをより確実に確保でき、収容スペース間の温度のバラつきを抑制しやすくなる。
【0015】
また、前記第1開口は、前記断熱箱体の前面に設けられ、前記冷却器ダクトは、前記断熱箱体内の下部に設けられており、前記第2開口は、前記断熱箱体の前面において、前記第1開口の下方、かつ前記冷却器ダクトの前方に位置しており、前記断熱箱体の下方には、前記冷却器と接続されて冷凍サイクルを構成する機器を収容する機械室が設けられていてもよい。このようにすれば、貯蔵室の上下方向の位置を高くでき、貯蔵室の下部の収容スペースに対しても被貯蔵物を出し入れしやすくできる。また、機械室内に収容される機器類を下方に配することができるため、冷却貯蔵庫全体の重心位置がより下方になり、安定性を向上できる。さらには、冷却貯蔵庫が屋外に設置された場合であっても、機械室内に雨等が侵入する事態を抑制でき、機械室内に収容される機器の動作不良を抑制しやすくなる。
【0016】
また、前記扉を施錠するためのロック装置を備えていてもよい。このようにすれば、扉を閉じたまま、冷却器室内を視認できるロッカー式の冷却貯蔵庫を実現できる。
【発明の効果】
【0017】
本技術によれば、扉を閉じたまま冷却器室内を視認できる冷却貯蔵庫を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】実施形態1に係るロッカー式冷蔵庫の使用態様を示す斜視図
【
図5】左コーナーパネル部材を取り外し、扉とロック装置の係合部分を拡大した斜視図
【
図8】フロントパネルを取り外し、アクセス部材付近を拡大した斜視図
【
図12】アクセス部材が取り外された第2前面開口を通じて冷却器室が視認される様子を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0019】
<実施形態1>
実施形態1に係るロッカー式冷蔵庫10(冷却貯蔵庫の一例)について
図1から
図12を参照して説明する。各図に示した符号F,Rr,L,R,U,Dはそれぞれ、ロッカー式冷蔵庫10の前後方向における前、後、正面から見たときの幅方向(左右方向)における左、右、鉛直方向(上下方向)の上、下を示している。ただし、上記方向は便宜的に定めたものに過ぎず、限定的に解釈すべきものではない。また、複数の同一部材については、一の部材に符号を付して、他の部材の符号は省略することがある。
【0020】
ロッカー式冷蔵庫10は、
図1及び
図2に示すように、全体として縦長の略直方体状をなしており、扉13が前面となるように複数台が隣接して並べられて使用される。ロッカー式冷蔵庫10は、例えば店舗の店先やショッピングモール内に設置され、食品、薬品等の荷物(被貯蔵物の一例)を冷却しつつ、施錠状態で収容することができる。ロッカー式冷蔵庫10は、サービス提供者(例えば、店員や宅配員)が収容した荷物を、サービス使用者(例えば、購入者)が受け取るために用いられるが、用途は限定されない。例えば、サービス使用者が一時的に荷物を冷却保管するために用いられても構わない。またロッカー式冷蔵庫10は、用途や設置場所によっては、複数台でなく1台のみが設置されて用いられても構わない。以下、サービス提供者及びこれに許可された者を管理者とし、サービス提供者を単に使用者とする。
【0021】
隣接設置される複数台のロッカー式冷蔵庫10のうちの1台は、
図1に示すように、操作端末80を備えている。操作端末80は、操作パネル等の入力手段80A、またはバーコードリーダ等の読取手段80Bの少なくとも一方を備える情報端末であって、タブレット型端末、コンピュータ等の既知の端末が用いられる。使用者は、操作パネルにパスワードを入力したり、バーコードリーダに2次元バーコードを読み取らせることで、後述する扉13のロック装置70を解錠または施錠できる。操作端末80は、ロッカー式冷蔵庫10とは別体として周囲に設置されていても構わず、またロック装置70が電子錠でない場合には、必要とされない。各台の基本的構成は、操作端末80以外は共通であり、以下では、
図2に示す操作端末80を備えないロッカー式冷蔵庫10を例に詳しく説明する。
【0022】
ロッカー式冷蔵庫10は、
図2から
図4に示すように、おおまかには、貯蔵庫本体である断熱箱体11と、複数の扉13と、扉13を施錠するために扉13毎に設けられた複数のロック装置70と、断熱箱体11の上方に配された機械室15と、断熱箱体11内に形成される貯蔵室12を冷却するための冷却装置16と、アクセス部材90と、を備える。扉13は、断熱箱体11の第1前面開口11S1(第1開口の一例)を開閉可能に設けられている。アクセス部材90は、断熱箱体11の第2前面開口11S2(第2開口の一例)を開閉するための部材である。アクセス部材90は、後述するフロントパネル15Aを取り外した状態で、第2前面開口11S2を開閉可能に設けられている。
【0023】
断熱箱体11は、
図3及び
図4に示すように、ステンレス等の金属板が箱状に組み立てられた外箱11Aと内箱11Bとの間に、発泡樹脂製の断熱材11Cが充填された構造を有する。断熱箱体11は、天井壁部41と、底壁部42と、左側壁部43と、右側壁部44と、後壁部45と、を有する断熱壁から構成されている。左側壁部43は、
図2に示すように、前後方向についての中央部が所定の幅で庫外側(貯蔵室12と反対側)に向かって突出する突出部43Aを有する。左側壁部43の庫外側において、この突出部43Aの前方には第1左コーナーパネル部材72が設けられ、後方には第2左コーナーパネル部材73が設けられている。右側壁部44は、左側壁部43と左右対称な形状をなしており、基本的な構成は同一である。
【0024】
天井壁部41には、
図3及び
図4に示すように、開口が設けられており、この開口には断熱性を有する天井蓋体46が機械室15側から嵌め込まれている。天井蓋体46の下方には、冷却器ダクト23が張設されることによって冷却器室20が形成されている。さらに冷却器ダクト23の下方には、天井壁部41と平行な平坦面を有する上パネル51が取り付けられている。左側壁部43には、左ダクト53が上下方向に沿って取り付けられている。また、右側壁部44には、右ダクト54が上下方向に沿って取り付けられている。そして、上パネル51、左側壁部43、左ダクト53、右側壁部44、右ダクト54、及び底壁部42で囲まれた部分が、被貯蔵物を収容するための貯蔵室12となっている。
【0025】
貯蔵室12は、
図3及び
図4に示すように、断熱箱体11の内部空間(庫内)の大部分を占めており、複数(具体的には4つ)の棚網48によって上下に複数(具体的には4つ)の収容スペース12A,12B,12C,12Dに区画されている。4つの棚網48は、天井面を構成する上パネル51と底壁部42との間に間隔を空けて上下に並んでおり、上3段の棚網48は、後述する横フレーム49の上面と、上下方向の高さがほぼ一致している。最下段の棚網48は、底壁部42より僅かに上方となるように設けられており(
図7)、これにより最下段の棚網48と底壁部42との間にも空気が流通可能となっている。
【0026】
棚網48は、
図3及び
図4に示すように、左側壁部43及び右側壁部44の貯蔵室12側の面に取り付けられており、被貯蔵物を載置することができる。より詳しくは、棚網48は、左側壁部43において左ダクト53が設けられていない部分、及び右側壁部44において右ダクト54が設けられていない部分に、棚受具48Aによって取り付けられている。棚受具48Aを当該部分に取り付けることで、棚網48の強度を確保しやすくなる。棚受具48Aは、棚網48を構成するワイヤの一部を覆っており、非汎用の特殊形状をなすネジによって左側壁部43及び右側壁部44に固定されている。これにより、使用者が容易に棚網48を取り外しできないようになっている。
【0027】
断熱箱体11の前面には、
図4に示すように、複数(具体的には4つ)の横フレーム49が設けられている。4つの横フレーム49は、天井壁部41と底壁部42との間に間隔を空けて上下に並んでいる。横フレーム49は、断熱材が充填された中実の角柱状部材であって、左側壁部43から右側壁部44に亘って左右方向に延在している。断熱箱体11の前面のうち、最上段の横フレーム49と底壁部42との間の部分が第1前面開口11S1である。第1前面開口11S1は、横フレーム49によって、収容スペース12A,12B,12C,12Dに対応する大きさに分割されている。また、断熱箱体11の前面のうち、第1前面開口11S1の上方に位置し、最上段の横フレーム49と天井壁部41との間の部分が第2前面開口11S2となる。第2前面開口11S2は、冷却器室20をロッカー式冷蔵庫10の外部から視認するための開口である。第2前面開口11S2は、アクセス部材90を着脱することによって開閉可能となっている。
【0028】
扉13は、
図4に示すように、横フレーム49によって分割された第1前面開口11S1の各部分を開閉できるように複数(具体的には4つ)設けられている。各扉13によって、第1前面開口11S1を通じて各収容スペース12A,12B,12C,12Dに被貯蔵物を出し入れすることができる。各扉13は、揺動式の右開きの断熱扉であって、扉13の右側部分がヒンジ部材13A(
図1)によって断熱箱体11に取り付けられている。また、各扉13は、
図5に示すように、左側部分の前面に凹形状の引手13Bと、左側部分の後面にロック装置70と係合する係合板13Cと、を備える。係合板13Cは、後方に突出する板状部材であって、その先端部に、ロック装置70の可動棒体70Bが挿入される係合穴13C1が形成されている。
【0029】
ロック装置70は、
図2に示すように、扉13の左側部分の後方に設けられている。ロック装置70は、左側壁部43と、第1左コーナーパネル部材72との間に収容される形で、左側壁部43の庫外側に設けられている。ロック装置70は、
図5に示すように、縦長箱状の本体部70Aと、可動棒体70Bと、を備える。本体部70Aの前面には、後方に向かって細長く延びる差込穴70A1が設けられており、差込穴70A1に扉13の係合板13Cが差し込まれる。可動棒体70Bは、扉13の閉状態において、係合板13Cの係合穴13C1に挿入可能な位置に設けられており、上下方向に動くことができる。ロック装置70は、電子錠であって、操作端末80からの解錠信号を受信すると、可動棒体70Bが上方向に動いて扉13の係合穴13C1から引き抜かれ、これにより扉13を開くことができるようになる。また、操作端末80からの施錠信号を受信すると、可動棒体70Bが下方向に動いて扉13の係合穴13C1に挿入され、これにより扉13を開くことができない閉状態となる。ただし、ロック装置70は、施錠忘れを防止するために、扉13が閉じられると自動的に施錠されるオートロック機能を備えていても構わず、その種類は限定されず、電子錠でなくても構わない。さらにロッカー式冷蔵庫10は、管理者が全てのロック装置70を一括解錠できる解錠装置を備えていても構わない。
【0030】
機械室15は、
図2から
図4に示すように、断熱箱体11の上方に配されており、前方、左方、及び右方はそれぞれ、フロントパネル15A、左サイドパネル15B、右サイドパネル15Cで覆われている。機械室15の上方、及び後方は、外気を取り込み、かつ機械室15内の熱を放出するために開放されている。機械室15には、冷却装置16を構成する圧縮機17、凝縮器18、及び凝縮器ファン19の他に、制御装置60(電装箱、電源ユニット)、オペレーションボックス61、並びにロック装置用中継機62等が収容されている。
【0031】
冷却装置16は、
図3及び
図4に示すように、圧縮機17、凝縮器18、膨張弁(キャピラリーチューブ)、及び後述する冷却器室20内の冷却器(蒸発器)21を備えており、これらがこの順に冷媒管で繋がれて冷媒が循環されることで、既知の冷凍回路(冷凍サイクル)が形成されている。
【0032】
制御装置60は、
図2から
図4に示すように、機械室15の後側に配されている。制御装置60は、ロッカー式冷蔵庫10の運転を制御したり、電源を供給するための回路等を備えており、これらが横長の箱体に収容されている。
【0033】
オペレーションボックス61は、
図4及び
図8に示すように、フロントパネル15Aの後側に配されており、表示部61A、操作部61B、及び操作基板を備える。表示部61A及び操作部61Bは、オペレーションボックス61の前面に設けられており、表示部61Aに表示される貯蔵室12の内部温度等は、フロントパネル15Aの一部に設けられた開口を通じて、外部から視認可能となっている(
図2)。操作部61Bは、貯蔵室12の冷却目標温度等を設定、変更するためのボタンである。操作部61Bは、管理者がフロントパネル15Aを取り外した状態で操作可能となる。表示部61A及び操作部61Bは、操作基板を介して、制御装置60の制御基板と接続されている。
【0034】
ロック装置用中継機62は、
図2に示すように、右サイドパネル15Cの左側(機械室15側)に配されており、各ロック装置70からの引き出し配線が接続されているものとされる。ロック装置用中継機62は、操作端末80と通信接続されており、操作端末80からの解錠信号等は、ロック装置用中継機62を介してロック装置70に伝送される。
【0035】
冷却器ダクト23は、
図3及び
図4に示すように、断熱箱体11の上部(天井蓋体46)を下方から覆うように設けられており、冷却器ダクト23と天井蓋体46との間には冷却器室20が形成されている。冷却器室20内には、冷却器21、循環用ファン24、及び室内温度センサ29が収容されている。冷却器21は、その内部を通過する空気を熱交換によって冷却することで、冷気を生成する。冷却器21は、前後方向に所定の間隔で並べられた多数の金属プレート(フィン)と、各フィンを貫通しつつ折り返した形状をなす蒸発管と、を備えている。循環用ファン24は、複数枚の羽根と、モータと、を備えており、貯蔵室12の空気を循環させつつ冷却器21内を通過させる。
【0036】
冷却器ダクト23は、
図6に示すように、左側壁部43から右側壁部44に向けて下方に傾斜する形状をなし、透明性を有する樹脂によって一体形成されている。冷却器ダクト23の左側部分23Aは、右側部分23Bに比べて傾斜角度が大きく形成されている。冷却器ダクト23の左側部分23Aには、貯蔵室12から冷却器室20内に吸い込まれる空気の吸込口25が形成されており、吸込口25を覆うように循環用ファン24が設けられている。冷却器ダクト23のうち傾斜角度の小さい右側部分23Bには、冷却器21が設けられている。冷却器ダクト23の下方傾斜した先端部(右端部)は、冷却器室20の空気の吹出口26となっている。室内温度センサ29は、循環用ファン24と冷却器21との間に設けられており、循環用ファン24によって吸い込まれた貯蔵室12の空気が室内温度センサに当たることで、温度が検出される。室内温度センサ29は、例えばサーミスタである。
【0037】
また、冷却器ダクト23は、庫内ドレンパンを兼ねており、
図3に示すように、右端部の一部に下方からドレンホース31が接続されている。ドレンホース31は、右側壁部44内に埋設されて下方に延びており、右側壁部44内から底壁部42内を通って、底壁部42の下方に設けられた庫外ドレンパン32に繋がっている。
【0038】
左ダクト53は、
図3及び
図4に示すように、断熱箱体11の左側壁部43に沿って設けられており、上下方向に延在している。左側壁部43は、既述したように突出部43Aを有しており、これにより左側壁部43の庫内側は、前後方向についての中央部が所定の幅で窪んでいる。左ダクト53は、この窪んだ部分に設けられている。左ダクト53内(左側壁部43と左ダクト53とに囲まれた空間)は、貯蔵室12内の空気を吸い込んで冷却器ダクト23の吸込口25(ひいては冷却器室20内の冷却器21)に向かって流すための流路となる。
【0039】
左ダクト53は、ステンレス鋼板等の金属板を所定の形状に曲げ加工することにより形成されており、上パネル51から最下段の棚網48近傍まで下方に延びている。左ダクト53の上部及び下部は開口している。左ダクト53の上部開口は、冷却器ダクト23と上パネル51との間の空間と連通しており、左ダクト53の貯蔵室12側の面の上端部53Aは、上パネル51の左端部と接続されている。左ダクト53の下部開口は、貯蔵室12の下部と連通している。左ダクト53の下部開口の開口縁である下端部54Cは、
図7に示すように、底壁部42の上面(内箱11Aの庫内側の面)とギャップG54Cを空ける形で、最下段の棚網48より僅かに上方位置に配されており、最下段の棚網48と近接している。また、左ダクト53には、貯蔵室12内の空気を左ダクト53内に吸い込むための流入孔53B(通風孔の一例)が多数設けられている。多数の流入孔53Bは、上下方向及び前後方向に一定ピッチで、5つずつ格子状に配列されるように設けられている。
【0040】
右ダクト54は、
図3に示すように、左ダクト53と対向する位置に、右側壁部44に沿って設けられており、上下方向に延在している。右側壁部44の庫内側は、上記した左側壁部43と同様に、前後方向についての中央部が所定の幅で窪んでいる。左ダクト53は、左ダクト53と同様に、この窪んだ部分に設けられている。右ダクト54内(右側壁部44と右ダクト54とに囲まれた空間)は、冷却器ダクト23の吹出口26から吹き出される冷却器21からの冷気を、貯蔵室12に向かって流すための流路となる。
【0041】
右ダクト54も、左ダクト53と同様に、ステンレス鋼板等の金属板を所定の形状に曲げ加工することにより形成されており、上パネル51から最下段の棚網48付近まで下方に延びている。右ダクト54の上部及び下部は開口している。右ダクト54の上部開口は、冷却器ダクト23の吹出口26と連通しており、下部開口は、貯蔵室12の下部と連通している。右ダクト54の下部開口の開口縁である下端部54Cは、
図7に示すように、底壁部42の上面(内箱11Aの庫内側の面)とギャップG54Cを空ける形で、最下段の棚網48より僅かに上方位置に配されており、最下段の棚網48と近接している。また、右ダクト54には、右ダクト54内に流れ込んだ冷気を貯蔵室12に吹き出すための流出孔54B(通風孔の一例)が多数設けられている。多数の流出孔54Bは、上下方向及び前後方向に一定ピッチで、5つずつ格子状に配列されるように設けられている。
【0042】
冷却運転は、圧縮機17、凝縮器ファン19及び循環用ファン24が駆動されることで行われる。冷却運転において、貯蔵室12の空気は、左ダクト53の流入孔53B及び下端部53Cから左ダクト53内へ流入し、左ダクト53内を上昇して、左ダクト53の上部開口から流出する。左ダクト53から流出した空気は、冷却器ダクト23と上パネル51との間の空間を通って、冷却器ダクト23の吸込口25へ吸い込まれ、冷却器21を通過する過程で熱交換によって冷却されて冷気となる。冷却器21からの冷気は、吹出口26から吹き出されて、右ダクト54内へ流入し、右ダクト54内を下降して、右ダクト54の流出孔54B、及び下端部54Cから貯蔵室12へ吹き出される。このようにして貯蔵室12の空気が冷却される。また、所定の冷却運転時間後等に、適宜行われる除霜運転によって生じる冷却器21等からの除霜水は、冷却器ダクト23で受けられたのち、ドレンホース31を通って庫外ドレンパン32に排水される。
【0043】
上記したように左右の側壁部に設けられた左ダクト53、及び右ダクト54を空気の流路とすることで、後壁部45に空気の流路となるダクトを設ける必要がなくなる。その結果、後面開口、及びこれを開閉する扉を追加する派生品を製造する際に、派生品に流用しやすくなる。
【0044】
また、各ダクト53,54において上下方向に沿って通風孔(流入孔53B,流出孔54B)を複数設けることで、貯蔵室12を複数の収容スペース12A,12B,12C,12Dに区画した場合であっても、収容スペース間の温度のバラつきを抑制して、温度をより均一に保ちながら冷却できる。
【0045】
また、各ダクト53,54の下端部53C,54Cを、最下段の棚網48に近接させることで、仮に収容した被貯蔵物によって流入孔53B、流出孔54Bが塞がれてしまった場合であっても、各ダクト53,54の下部開口から空気の流通が確保されるようになっている。さらに、最下段の棚網48は、底壁部42より僅かに上方に設けられており、最下段の棚網48と底壁部42との間にも空気が流れるようになっている。これにより空気の流通が確実に確保されるようになっている。
【0046】
次に、アクセス部材90について説明する。アクセス部材90は、
図8から
図9に示すように、横長の直方体形状をなすブロック体であり、平常時は、第2前面開口11S2に対して着脱可能に嵌め込まれている。アクセス部材90は、フロントパネル15Aを取り外した状態で、第2前面開口11S2を開閉するように着脱することができる。換言すると、フロントパネル15Aを取り外さない場合には、アクセス部材90によって第2前面開口11S2を開閉することはできない。これにより、使用者が誤って第2前面開口11S2を開閉できないように構成されている。
【0047】
アクセス部材90は、
図10に示すように、ブロック状の本体である断熱本体91と、前面プレート92と、後面カバー93と、を備える。断熱本体91は、第2前面開口11S2に対応する形状及び大きさを有し、断熱性材料(例えば、ウレタン、発泡スチロール)によって形成されている。後面カバー93は、断熱本体91の後面全体を覆っており、断熱本体91の吸湿を抑制している。後面カバー93は、例えばアルミニウム箔から構成されている。前面プレート92は、断熱本体91の前面に設けられており、ステンレス鋼板等の金属板を曲げ加工することにより形成されている。前面プレート92は、上下方向の長さが断熱本体91に比して大きく、左右方向の長さが断熱本体91に比して小さく形成されている。
【0048】
前面プレート92は、左右方向の両側部に、前方に突出して左右方向に沿って折れ曲がる当接部92Aを有する。当接部92Aは、
図11に示すように、フロントパネル15Aを取り付けると、フロントパネル15Aの後面15A1と当接するように形成されている。アクセス部材90は、第2前面開口11S2への嵌め込みが不十分であると、断熱箱体11の断熱性を低下させてしまう。そこで、当接部92Aに対してフロントパネル15Aを前方から押し当てることで、アクセス部材90が第2前面開口11S2に十分に嵌め込まれるようになる。また、当接部92Aと断熱本体91との間には所定の隙間が生じるため、この隙間に指を入れると、当接部92Aを取手として用いることができ、アクセス部材90の着脱を容易にできるようになる。
【0049】
また、アクセス部材90は、
図11に示すように、上パネル51の前端部51Aとの間に、貯蔵室12(より詳しくは収容スペース12A)からの空気が通過可能な間隙G90が形成されるように、第2前面開口11S2に嵌め込まれる。前面プレート92は、上下方向の長さが断熱本体91、及び第2前面開口11S2より大きく、これによりアクセス部材90が後方に押し込まれ過ぎずに、間隙G90が形成されるようになっている。その結果、貯蔵室12の空気が間隙G90を通って、上パネル51の上方を通過し、ひいては冷却器ダクト23の吸込口25に向かって流れるように流路を形成できる。これにより左ダクト53の流入孔53Bが被貯蔵物によって塞がれてしまった場合であっても、貯蔵室12から吸込口25に向かう空気の流通を確実に確保できるようになる。
【0050】
上記したアクセス部材90を取り外すと、
図12に示すように、第2前面開口11S2が開かれて、第2前面開口11S2の後方に位置する冷却器室20内を視認できるようになる。既述したように、冷却器室20を構成する冷却器ダクト23は透明性を有しているため、第2前面開口11S2を通じて、冷却器ダクト23に覆われている冷却器21、循環用ファン24、及び室内温度センサ29の状態を目視確認できるようになる。
【0051】
ロッカー式冷蔵庫10に冷却不良等の異常動作が発生した場合、具体的な原因としては、例えば、循環用ファン24が回転駆動しなかったり、除霜不良によって冷却器21に霜が付着して、冷却器21内を空気が通過できないことが考えられる。また例えば、室内温度センサ29に霜が付着してしまい、温度が正しく検出されないことが考えられる。第2前面開口11S2から、冷却器室20内を目視確認することで、故障判断、故障箇所の特定を容易に短時間に行えるようになる。
【0052】
仮に第2前面開口11S2が設けられておらず、冷却器ダクト23が透明性を有していない場合には、冷却器21、循環用ファン24、及び室内温度センサ29の状態を目視確認するには、扉13を開けて第1前面開口11S1から手を伸ばし、上パネル51、及び冷却器ダクト23等を取り外す作業が必要となる。また、その際には扉13は開かれたままとなるため、貯蔵室12の温度が上昇してしまい、被貯蔵物にダメージを与えてしまう恐れがある。本実施形態によれば、扉13を閉じたまま冷却器室20内を視認することができるため、上パネル51、及び冷却器ダクト23等を取り外す作業は不要であり、貯蔵室12の温度が上昇する事態を抑制できる。
【0053】
また、本実施形態によれば、第2前面開口11S2、及びアクセス部材90は、断熱箱体11の前面において、第1前面開口11S1、及び扉13の上方に設けられているため(
図4)、立ち上がった人の眼の高さに近く、管理者は、第2前面開口11S2から冷却器室20内を容易に視認できる。さらに、複数台のロッカー式冷蔵庫10が隣接設置されて、側面が隣接台によって塞がれている場合であっても(
図1)、第2前面開口11S2は断熱箱体11の側面ではなく、前面に設けられているため、隣接台を動かすことなく、アクセス部材90を着脱できる。
【0054】
<他の実施形態>
本技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本技術の技術的範囲に含まれる。
【0055】
(1)アクセス部材90は、第2前面開口11S2を開閉可能であれば、着脱式に設けられていなくても構わず、例えば、扉のように第2前面開口11S2を開閉する構成であっても構わない。
【0056】
(2)第2前面開口11S2は第2開口の一例に過ぎず、第2開口は、冷却器室20内を視認可能な位置に設けられていれば、断熱箱体11の前面以外に設けられていても構わない。例えば、第2開口は、断熱箱体11の後面に設けられており、アクセス部材90は、第2開口を開閉可能に断熱箱体11の後方から着脱可能に設けられていても構わない。
【0057】
(3)左ダクト53の流入孔53B、右ダクト54の流出孔54Bの数、形状、及び配置は、貯蔵室12の大きさ等に合わせて適宜変更可能である。また、上パネル51に流出孔を設け、貯蔵室12の空気が、上パネル51の流出孔を通っても吸込口25に向えるようにしても構わない。
【0058】
(4)貯蔵室12は区画されておらず、扉13は1つだけ設けられていても構わない。
【0059】
(5)第1前面開口11S1に加えて、貯蔵室12に繋がる後面開口が設けられ、後面開口を開閉する第2の扉が備えられていてもよい。このようにすれば、貯蔵室12に対して、前方及び後方の両方から被貯蔵物を出し入れ可能となる(いわゆるパススルータイプ)。パススルータイプの冷蔵庫によれば、例えば、前面の扉13を使用者の開閉用とし、後面の第2の扉を管理者の開閉用とすることができる。
【0060】
(6)冷却器室20及び機械室15内の機器(具体的には、循環用ファン24、冷却装置16を構成する機器等)の配置は図示に限られず、冷気が所望の方向に循環すれば他の配置であっても構わない。
【0061】
(7)機械室15は、断熱箱体11の下方に配されていても構わない。また、冷却器室20は、断熱箱体11内の下部(すなわち貯蔵室12の下方)に配されていても構わない。例えばロッカー式冷蔵庫10は、上下方向の下から上に向かって、機械室15、冷却器室20、貯蔵室12がこの順に配されるように構成されていても構わない。このようにすれば、貯蔵室12の上下方向の位置を高くできるため、貯蔵室12の下部(例えば、収容スペース12C,12D)対して被貯蔵物を出し入れしやすくできる。また、機械室15内や冷却器室20内に収容される機器類を下方に配することができるため、ロッカー式冷蔵庫10全体の重心位置をより下方にすることができる。これにより、例え被貯蔵物が収容されていない場合であっても、ロッカー式冷蔵庫10の安定性を向上できる。さらには、ロッカー式冷蔵庫10が屋外に設置された場合であっても、機械室15内に雨等が侵入する事態を抑制でき、制御装置60等の動作不良を抑制しやすくなる。
【0062】
(8)冷却貯蔵庫は、ロック装置70を備えない、ロッカー式冷蔵庫10以外の冷蔵庫であっても構わない。また、その冷却温度は、冷蔵保存温度に限られず、冷凍保存温度であっても構わない。
【符号の説明】
【0063】
10:ロッカー式冷蔵庫(冷却貯蔵庫)、11:断熱箱体、11S1:第1前面開口(第1開口)、11S1:第2前面開口(第2開口)、12:貯蔵室、13:扉、15:機械室、15A:フロントパネル、20:冷却器室、21:冷却器、23:冷却器ダクト、51:上パネル、43:左側壁部(第2側壁部)、44:右側壁部(第1側壁部)、48:棚網(棚)、53:左ダクト(第2ダクト)、53B:流入孔(通風孔)、54:右ダクト(第1ダクト)、54B:流出孔(通風孔)、70:ロック装置、90:アクセス部材、91:断熱本体、92:前面プレート、92A:当接部