(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-27
(45)【発行日】2025-04-04
(54)【発明の名称】工業用炉の排気システム
(51)【国際特許分類】
F23J 15/00 20060101AFI20250328BHJP
F23G 7/06 20060101ALI20250328BHJP
F23G 7/07 20060101ALI20250328BHJP
【FI】
F23J15/00 Z
F23G7/06 B
F23G7/06 101E
F23G7/06 103
F23G7/06 104
F23G7/07 R
(21)【出願番号】P 2022088344
(22)【出願日】2022-05-31
【審査請求日】2024-01-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000211123
【氏名又は名称】中外炉工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129791
【氏名又は名称】川本 真由美
(74)【代理人】
【識別番号】100144200
【氏名又は名称】奥西 祐之
(74)【代理人】
【氏名又は名称】鈴木 知
(72)【発明者】
【氏名】河本 祐作
(72)【発明者】
【氏名】田口 脩平
(72)【発明者】
【氏名】仲井 和成
(72)【発明者】
【氏名】大倉 莉奈
【審査官】大谷 光司
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-267248(JP,A)
【文献】特開2005-003247(JP,A)
【文献】特開2003-240221(JP,A)
【文献】特開2001-241619(JP,A)
【文献】特開平07-233912(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23J15/00-15/08
F23G7/06-7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
工業用炉の排気流路に設けられ、排気中の未燃燃料に自燃を生じさせる自燃生成部と、
該自燃生成部の上流に設けられ、未燃燃料の自燃を促進する自燃促進手段と、
上記自燃生成部の下流に設けられ、上記自燃生成部を経過した排気中の未燃燃料を検出するための検出手段と、
該検出手段の検出結果で上記自燃促進手段を制御する制御手段とを備え、
前記排気流路である排気管には、前記自燃促進手段、前記排気管内の温度を検出する温度センサ及び前記検出手段が設けられ、
前記未燃燃料はアンモニア燃料であり、
前記検出手段は、酸素検出センサであることを特徴とする工業用炉の排気システム。
【請求項2】
前記自燃生成部は、流通する排気の熱を蓄熱する蓄熱部であることを特徴とする請求項1に記載の工業用炉の排気システム。
【請求項3】
前記自燃生成部は、触媒であることを特徴とする請求項1に記載の工業用炉の排気システム。
【請求項4】
前記自燃促進手段は、排気を加熱するヒータであることを特徴とする請求項1~3いずれかの項に記載の工業用炉の排気システム。
【請求項5】
前記自燃促進手段は、排気に空気を供給する空気供給手段であることを特徴とする請求項1~3いずれかの項に記載の工業用炉の排気システム。
【請求項6】
前記自燃促進手段は、排気を加熱するバーナであることを特徴とする請求項1~3いずれかの項に記載の工業用炉の排気システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンパクトかつ低コストな構成で排気中の未燃燃料(特に、バーナ燃料がアンモニアである場合の未燃アンモニア燃料)を処理することが可能で、排気を無害化できる工業用炉の排気システムに関する。
【背景技術】
【0002】
工業用炉の排気処理に関する技術として、特許文献1~4が知られている。特許文献1の「ラジアントチューブバーナー設備」は、ラジアントチューブの一端部における燃焼バーナー部に燃料ガスと燃焼用空気とを供給し、前記の燃焼バーナー部において燃料ガスをラジアントチューブ内で燃焼させ、燃焼後の燃焼排ガスをラジアントチューブの他端部から排出させるラジアントチューブバーナーを備えたラジアントチューブバーナー設備において、前記のラジアントチューブにおける燃焼排ガスの排出方向下流側の位置に、三元触媒を収容させた排ガス処理部を設けると共に、前記の排ガス処理部よりも燃焼排ガスの排出方向下流側の位置に、排ガス処理部から排出される燃焼排ガスに含まれる未燃成分ガスを燃焼させる後燃焼装置を設けて構成されている。
【0003】
特許文献2の「工業炉」は、燃焼バーナーに燃料ガスと燃焼用空気とを供給し、前記の燃焼バーナーにより燃料ガスを炉内において燃焼させ、燃焼後の燃焼排ガスを、炉内から排気管を通して排出させる工業炉において、前記の排気管に、三元触媒を収容させた排ガス処理部を設けると共に、前記の排気管に設けた排ガス処理部よりも燃焼排ガスの排出方向下流側の位置に、排ガス処理部から排出される燃焼排ガスに含まれる未燃成分ガスを燃焼させる後燃焼装置を設けて構成されている。
【0004】
特許文献3の「燃焼排ガスの窒素酸化物の低減方法及びその装置」は、燃焼装置内の700~1300℃の温度領域にアンモニアを吹込んで窒素酸化物を酸素存在下で分解する方法において、上記分解処理後の排ガス温度が600~500℃の領域に排ガスの流れ方向に平行に触媒面が配置された触媒層に上記分解処理後の排ガスを通過させて排ガス中の残存窒素酸化物と残存アンモニアとを同時に分解して無害化するようにしている。
【0005】
特許文献4の「アンモニア含有排ガスの除害装置」は、排ガス中のアンモニアを除く有害成分を除去する除去剤を充填した充填筒と、充填筒から導出した排ガスに酸素含有ガスを添加する酸素導入部と、添加した酸素とアンモニアとを反応させてアンモニアを無害な窒素と水とに分解する酸化触媒を充填したアンモニア分解筒とを備えるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第6525908号公報
【文献】特許第6525909号公報
【文献】特開昭54-77277号公報
【文献】特開平11-42422号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
バーナーで燃料を燃やすときに空気比が「1」よりも低いと、未燃燃料を含む排ガスが大気中に排出されるおそれがある。
【0008】
特許文献1のラジアントチューブバーナーや、特許文献2の直火バーナーでは、排気の排出方向下流側の位置に後燃焼装置を設け、未燃燃料を燃焼させるようにしている。
【0009】
また、バーナー燃料としてアンモニアを用いる場合、未燃燃料として、アンモニアが大気中に排出されるおそれがある。アンモニアは、僅かな量であっても刺激臭がして、大気中に排出されると環境問題となる。
【0010】
特許文献3及び特許文献4では、触媒を用いてアンモニアを分解する除害装置を備えるようにしている。
【0011】
特許文献1や特許文献2が開示している後燃焼装置は、常時稼働させ続けなければならないため、燃料費が嵩むという課題があった。
【0012】
特許文献3や特許文献4が開示している除害装置は、設備が大がかりであり、このため、設置するための広いスペースが必要であると共に多大なコストがかかるという課題があった。
【0013】
本発明は上記従来の課題に鑑みて創案されたものであって、コンパクトかつ低コストな構成で排気中の未燃燃料を処理することが可能で、排気を無害化できる工業用炉の排気システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明にかかる工業用炉の排気システムは、工業用炉の排気流路に設けられ、排気中の未燃燃料に自燃を生じさせる自燃生成部と、該自燃生成部の上流に設けられ、未燃燃料の自燃を促進する自燃促進手段と、上記自燃生成部の下流に設けられ、上記自燃生成部を経過した排気中の未燃燃料を検出するための検出手段と、該検出手段の検出結果で上記自燃促進手段を制御する制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0015】
前記自燃生成部は、流通する排気の熱を蓄熱する蓄熱部であることを特徴とする。
【0016】
前記自燃生成部は、触媒であることを特徴とする。
【0017】
前記自燃促進手段は、排気を加熱するヒータであることを特徴とする。
【0018】
前記自燃促進手段は、排気に空気を供給する空気供給手段であることを特徴とする。
【0019】
前記自燃促進手段は、排気を加熱するバーナであることを特徴とする。
【0020】
前記検出手段は、温度センサであることを特徴とする。
【0021】
前記検出手段は、未燃燃料検出センサであることを特徴とする。
【0022】
前記検出手段は、酸素検出センサであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明にかかる工業用炉の排気システムにあっては、コンパクトかつ低コストな構成で排気中の未燃燃料を処理することができ、排気を無害化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明に係る工業用炉の排気システムの好適な実施形態を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、本発明にかかる工業用炉の排気システムの好適な実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0026】
本実施形態に係る工業用炉の排気システムは、
図1に示すように、例えばラジアントチューブバーナ2や直火型バーナ3などを備えた工業用炉1に備えられる。
【0027】
ラジアントチューブバーナ2を備えた工業用炉1の場合には、U字型に形成したラジアントチューブ2aが工業用炉1の内部に配置される。
【0028】
ラジアントチューブ2aの両端部は、炉壁1aを貫通して工業用炉1の外部に延出され、ラジアントチューブ2aの一端部側で、供給される燃料ガス及び燃焼用空気により燃焼動作が行われ、ラジアントチューブ2a内で発生した排気Eは、ラジアントチューブ2aの他端部側に接続された排気管5に流通され、当該排気管5が接続された煙突4から外部へ排出される。
【0029】
直火型バーナ3を備えた工業用炉1の場合には、炉壁1aに設けた直火型バーナ3に、燃料ガス及び燃焼用空気が供給され、直火型バーナ3の燃焼動作により工業用炉1内に発生した排気Eは、炉壁1aに接続された排気管5に流通され、当該排気管5が接続された煙突4から外部へ排出される。
【0030】
本実施形態に係る工業用炉の排気システムでは、燃料ガスとして、アンモニア(NH3)を用いる場合を例示して説明する。しかしながら、炭素分を含む化石燃料を用いる場合であっても、ほぼ同様である。
【0031】
工業用炉1の排気流路を構成する排気管5には、その途中の適宜位置に、自燃生成部6が設けられる。
【0032】
自燃生成とは、排気E中の未燃の燃料ガスが自然着火して燃焼反応(自燃)が生じることをいう。
【0033】
自燃生成部6とは例えば、燃料ガスの着火点(発火点)以上の温度が保たれる、十分な酸素量が保たれる、という条件が揃った部位をいう。
【0034】
自燃生成部6は、排気管5の途中に、当該自燃生成部6の上流側(工業用炉1側)と下流側(煙突4側)とを区分けしつつ、排気Eが上流側から下流側へ流通するのを許容するように設けられる。
【0035】
自燃生成部6の一例は、排気管5を流通する排気Eの排熱を蓄熱する蓄熱部で構成される。
【0036】
蓄熱部は、例えば、排気管5内に、排気Eの流通方向に間隔を空けて2枚の格子状部材6aを配置し、これら2枚の格子状部材6aの間に、多数のボール状蓄熱材6bを充填することで構成される。
【0037】
排気Eは、自燃生成部6である蓄熱部における蓄熱材6bの隙間を通って、上流側から下流側へ向かって流れ、煙突4に至る。
【0038】
排気Eが自燃生成部6を流通するときに、蓄熱材6bは、蓄熱した排熱により、排気Eに含まれる未燃燃料ガスのアンモニアを自燃反応で燃焼させる。
【0039】
排気管5には、自燃生成部6よりも上流側に配置して、未燃燃料の自燃を促進する自燃促進手段が設けられる。
【0040】
自燃促進手段の一例は、供給される燃焼用空気及び燃料で燃焼動作されて排気Eを加熱するアフターバーナ7で構成される。
【0041】
アフターバーナ7は、燃焼用空気と燃料の混合により燃焼動作され、後述する制御手段としてのコントローラ10により、起動・停止及び燃焼制御がなされる。
【0042】
アフターバーナ7には、燃料供給管8と燃焼用空気供給管9が接続される。
【0043】
アフターバーナ7は、燃焼動作されることで、排気Eの温度を上昇させる。
【0044】
排気Eが昇温されると、蓄熱材6bの温度を上昇させることができると共に、アンモニアの自燃を促進させることができる。
【0045】
この際、アフターバーナ7は、理想空燃比(空気比が1.0)で燃焼させることが好ましい。
【0046】
他方、アフターバーナ7を、空気過多、すなわち酸素過多のエアリッチ燃焼させることで、酸素分を蓄熱部(自燃生成部6)に供給することができ、自燃生成部6に、自燃を促進する酸素量を増加させることができる。
【0047】
排気管5には、自燃生成部6よりも下流側に配置して、自燃生成部6を経過した排気E中の未燃燃料を検出するための検出手段として、排気管5内の温度を検出する温度センサ11と未燃燃料であるアンモニアを検出するアンモニア検出センサ12とが備えられる。
【0048】
温度センサ11は、自燃生成部6の近傍に配置され、自燃生成部6を通過した排気Eの温度を検出する。
【0049】
自燃生成部6近傍の排気Eの温度を検出することにより、当該排気Eとほぼ同等の温度である自燃生成部6の温度を間接的に検出する。
【0050】
排気Eは、蓄熱材6bを通るときにその熱が蓄熱材6bに蓄積され、自燃生成部6の出口では温度が低くなっている。
【0051】
そこで、自燃生成部6の下流側で排気Eの温度が自燃を生じる温度以上であれば、自燃生成部6の出口よりも上流の蓄熱材6b全体は、自燃を生じる温度以上であり、確実に自燃させることができるので、自燃生成部6の下流側で排気Eの温度を検出することが好ましい。
【0052】
温度センサ11及びアンモニア検出センサ12は、排気管5の外部に設けられ、自燃促進手段であるアフターバーナ7を制御するコントローラ10に接続される。
【0053】
コントローラ10には、アフターバーナ7の燃料供給管8及び燃焼用空気供給管9のバルブ8a,9aが接続される。
【0054】
コントローラ10は、アフターバーナ7の起動・停止と、燃料供給管8及び燃焼用空気供給管9のバルブ8a,9aの開閉制御によるアフターバーナ7の燃焼制御を実行する。
【0055】
コントローラ10は、温度センサ11及びアンモニア検出センサ12の検出結果に基づき、設定温度よりも検出温度が低いときあるいはアンモニアが検出されたときのいずれかの場合に、アフターバーナ7を起動し燃焼運転する。
【0056】
この際、コントローラ10は、必要に応じてアフタバーナ7の燃焼を、理想空燃比としたり、もしくはエアリッチで燃焼制御する。
【0057】
他方、設定温度よりも検出温度が高くかつアンモニアが検出されないときには、アフターバーナ7を停止する。
【0058】
具体的には、コントローラ10は、例えば、温度センサ11により検出された温度が設定温度よりも低い場合には、バルブ8a,9aを開き作動させ、アフターバーナ7に燃料及び燃焼用空気を供給して燃焼させる。
【0059】
このとき、設定温度とは、例えば、排気Eに含まれるアンモニアに自燃が生じる温度(着火点)もしくはそれ以上の温度である。
【0060】
また、コントローラ10は、例えば、アンモニア検出センサ12により、自燃生成部6を通過した排気Eにアンモニアが検出された場合も、バルブ8a,9aを開き作動させ、アフターバーナ7に燃料及び燃焼用空気を供給して燃焼させる。
【0061】
本実施形態に係る工業用炉の排気システムによれば、排気管5内は、自燃生成部6の上流側で、アフターバーナ7の燃焼に晒された排気Eは、加熱されかつ空気が供給されることにより、自燃作用が促進されて、排気Eに含まれる未燃アンモニアが燃焼する。
【0062】
さらに、排気Eは、空気とともに自燃生成部6を通過する際に、蓄熱材6bで加熱されて燃焼されることにより、排気E中にアンモニアが残存している場合、当該残存アンモニアも消失させることができる。
【0063】
このように、アンモニアを含む排気Eは、アフターバーナ7を経過して自燃生成部6へ流れ込み、そして、アフターバーナ7で加熱されかつ空気が供給された排気E中のアンモニアが、当該自燃生成部6において、窒素と水に分解される自燃作用を生じることにより、排気管5内でアンモニアを含む排気Eを無害化することができ、アンモニアが外部へ排出されることを防止できる。
【0064】
また、アフターバーナ7は、自燃生成部6の下流側に設けられている温度センサ11及びアンモニア検出センサ12の検出結果に基づいて点火され燃焼動作されるので、必要な場合のみ燃焼させることができる。
【0065】
このため、常時燃焼し続ける場合よりも、燃料の消費を抑えることができ、コストダウンを達成することができる。
【0066】
また、自燃促進手段を構成するアフターバーナ7と、自燃生成部6と、温度センサ11及びアンモニア検出センサ12は、排気管5に設けられるので、大掛かりな除害装置を備える場合よりもコンパクトにすることができる。
【0067】
このように本実施形態に係る工業用炉の排気システムであれば、コンパクトかつ低コストな構成で、排気E中の未燃燃料を処理して、排気Eを無害化することができる。
【0068】
上記実施形態では、加熱及び空気供給を行う自燃促進手段としてアフターバーナ7を備えた例について説明したが、アフターバーナ7に代えて、単に加熱手段として排気を加熱するヒータを備えるようにしても良い。
【0069】
あるいは、アフターバーナ7に代えて、単なる空気供給手段として、排気管5に接続され、当該排気管5内の排気Eに対して空気を供給する燃焼用空気供給管を備えるようにしても良い。
【0070】
自燃生成部6は、燃料が自燃する温度以上になっていれば、未燃の燃料は空気と混合されるだけで燃焼する。
【0071】
さらには、アフターバーナ7に代えて、これらヒータ及び燃焼用空気供給管の双方を備えるようにしても良い。
【0072】
これらヒータや燃焼用空気供給管も、コントローラ10によって作動制御される。
【0073】
これらヒータや燃焼用空気供給管であっても、自燃促進手段として機能させて、上記実施形態と同様の作用効果を奏することはもちろんである。
【0074】
上記実施形態においては、温度センサ11及びアンモニア検出センサ12双方を備える例について説明したが、これに限らず、温度センサ11とアンモニア検出センサ12のうち、いずれか一方を備えた構成であってもよい。
【0075】
上記実施形態では、自燃生成部6として蓄熱材6bを用いる例について説明したが、これに限らず、蓄熱材6bに代えて、アンモニアの分解作用を奏する触媒を用いてもよい。
【0076】
触媒の場合には、排気Eが、もしくはコントローラ10による制御でアフターバーナ7やヒータによって加熱されたりさらに空気が供給された排気Eが、自燃生成部6である触媒に流れ込み、そしてこの触媒が温度上昇して活性化しアンモニアの分解反応が促進され、その結果自燃作用と相俟って、排気Eを効率よく無害化することができる。
【0077】
上記実施形態では、排気Eに含まれる未燃燃料を検出する検出手段としてアンモニア検出センサ12を用いる例について説明したが、これに限らず、アンモニア検出センサ12に代えて、酸素検出センサ12aを用いてもよい。
【0078】
アンモニア燃料の燃焼では、アンモニアと酸素とが反応して、窒素と水(水蒸気)とが生成される。
【0079】
このため、自燃生成部6が、アンモニアの着火点以上の温度でありながら、自燃生成部6を通過した排気E中から酸素が検出されるときには、アンモニアの完全燃焼が達成され、酸素過多であることが分かる。
【0080】
他方、酸素検出センサ12aで酸素が検出されないときもしくは酸素が微量しか検出されないときには、排気E中に未燃アンモニアが残存している可能性が高いことが分かる。
【0081】
このように、酸素検出センサ12aであっても、排気Eに含まれる未燃燃料を検出する検出手段として用いることができる。
【0082】
コントローラ10は、酸素検出センサ12aが酸素が検出しないときは、アフターバーナ7を燃焼動作させるなどし、酸素を検出したときは、アフターバーナ7の燃焼を停止するなどするように制御する。
【0083】
さらに、上記実施形態においては、工業用炉1として、アンモニアを燃料とする工業用炉1を例に挙げて説明したが、これに限らず、化石燃料(都市ガスやオイルなどの炭化水素系燃料、以下同じ)を用いて燃焼熱を得る工業用炉1であってもよい。
【0084】
化石燃料で運転される工業用炉1の場合には、検出手段として酸素検出センサ12aを用いる。
【0085】
これにより、排気E中に含まれる未燃焼成分が含まれることによる危険や使用燃料量の無駄を防止できる。
【0086】
化石燃料の燃焼では、燃料と酸素が反応して、火炎が生成される。
【0087】
このため、自燃生成部6が、化石燃料の着火点以上の温度でありながら、自燃生成部6を通過した排気E中から酸素が検出されるときには、化石燃料の完全燃焼が達成され、酸素過多であることが分かる。
【0088】
他方、酸素検出センサ12aで酸素が検出されないときもしくは酸素が微量しか検出されないときには、排気E中に化石燃料が残存している可能性が高いことが分かる。
【0089】
コントローラ10は、酸素検出センサ12aが酸素が検出しないとき、アフターバーナ7を燃焼動作させるなどし、酸素を検出したとき、アフターバーナ7の燃焼を停止するなどするように制御する。
【0090】
このように本実施形態に係る工業用炉の排気システムは、化石燃料を燃焼する工業用炉1に適用しても、上記実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0091】
上記実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0092】
1 工業用炉
1a 炉壁
2 ラジアントチューブバーナ
2a ラジアントチューブ
3 直火型バーナ
4 煙突
5 排気管
6 自燃生成部
6a 格子状部材
6b 蓄熱材
7 アフターバーナ
8 燃料供給管
8a バルブ
9 空気供給管
9a バルブ
10 コントローラ
11 温度センサ
12 アンモニア検出センサ(未燃燃料検出センサ)
12a 酸素検出センサ
E 排気