(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-27
(45)【発行日】2025-04-04
(54)【発明の名称】A2A/A2B及びPD-1/PD-L1阻害剤を含む併用療法
(51)【国際特許分類】
A61K 31/4985 20060101AFI20250328BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20250328BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20250328BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20250328BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20250328BHJP
C12N 15/13 20060101ALN20250328BHJP
C07D 487/04 20060101ALN20250328BHJP
【FI】
A61K31/4985 ZNA
A61K39/395 N
A61P35/00
A61P37/04
A61P43/00 121
C12N15/13
C07D487/04 145
(21)【出願番号】P 2022540992
(86)(22)【出願日】2020-12-30
(86)【国際出願番号】 US2020067593
(87)【国際公開番号】W WO2021138512
(87)【国際公開日】2021-07-08
【審査請求日】2023-12-14
(32)【優先日】2020-01-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505193450
【氏名又は名称】インサイト・コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】INCYTE CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【氏名又は名称】落合 康
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ホイ
(72)【発明者】
【氏名】カールセン,ピーター ニールス
(72)【発明者】
【氏名】フアン,タイシェン
(72)【発明者】
【氏名】リィ,ヨン
(72)【発明者】
【氏名】リン,ルーピン
(72)【発明者】
【氏名】チィ,チャオ
(72)【発明者】
【氏名】テッカート,プラモード ウニクリシュナン
(72)【発明者】
【氏名】ワン,シャオジャオ
(72)【発明者】
【氏名】ウー,リアンシン
(72)【発明者】
【氏名】ヤオ,ウェンチン
(72)【発明者】
【氏名】ジュー,ウェンユー
【審査官】新熊 忠信
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/168847(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/222677(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/119266(WO,A1)
【文献】特表2018-524394(JP,A)
【文献】特許第7490631(JP,B2)
【文献】特許第7447128(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00-33/44
A61K 39/00-39/44
A61P 35/00
A61P 37/00
A61P 43/00
C07D 487/00-487/22
C07K 16/00-16/46
C12N 15/00-15/90
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)A2A/A2Bの阻害剤;及び
(ii)PD-1/PD-L1の阻害剤
を含む、
対象におけるがんを治療するための組合せ医薬
であって、
前記A2A/A2Bの阻害剤が、式(III):
【化1】
[式中、
Cy
1
は、ハロ及びCNから独立して選択される1または2個の置換基によって置換されるフェニルであり;
R
2
は、5~6員ヘテロアリール及び4~7員ヘテロシクロアルキルから選択され、ここで、前記R
2
の5~6員ヘテロアリール及び4~7員ヘテロシクロアルキルは、それぞれ、任意選択で、1、2、または3個の独立して選択されるR
2A
置換基で置換され;
各R
2A
は、D、ハロ、C
1-6
アルキル、及びC
1-6
ハロアルキルから独立して選択され;
R
4
は、フェニル-C
1-3
アルキル-、C
3-7
シクロアルキル-C
1-3
アルキル-、(5~6員ヘテロアリール)-C
1-3
アルキル-、及び(4~7員ヘテロシクロアルキル)-C
1-3
アルキルから選択され、ここで、前記R
4
のフェニル-C
1-3
アルキル-、C
3-7
シクロアルキル-C
1-3
アルキル-、(5~6員ヘテロアリール)-C
1-3
アルキル-、及び(4~7員ヘテロシクロアルキル)-C
1-3
アルキル-は、その各々が、1、2、または3個の独立して選択されるR
4A
置換基で任意選択で置換され;
各R
4A
は、ハロ、C
1-6
アルキル、C
1-6
ハロアルキル、CN、OR
a41
、及びNR
c41
R
d41
から独立して選択され;及び
各R
a41
、R
c41
、及びR
d41
は、H及びC
1-6
アルキルから独立して選択される]
で示される化合物またはその薬学的に許容される塩であり;
かつ、
前記PD-1/PD-L1の阻害剤が、
(a)アテゾリズマブ;または
(b)抗体Xであって、前記抗体Xが、抗体またはその抗原結合断片であり、ここで、
前記抗体が、可変重(VH)相補性決定領域(CDR)1、VH CDR2、及びVH CDR3を含むVHドメインを含み、ここで、
前記VH CDR1がアミノ酸配列SYWMN(配列番号6)を含み、
前記VH CDR2がアミノ酸配列VIHPSDSETWLDQKFKD(配列番号7)を含み、そして、
前記VH CDR3がアミノ酸配列EHYGTSPFAY(配列番号8)を含み、
かつ、
前記抗体が、さらに、可変軽(VL) CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含むVLドメインを含み、ここで、
前記VL CDR1がアミノ酸配列RASESVDNYGMSFMNW(配列番号9)を含み、
前記VL CDR2がアミノ酸配列AASNQGS(配列番号10)を含み、そして
前記VL CDR3がアミノ酸配列QQSKEVPYT(配列番号11)を含む、
前記抗体Xである、
前記組合せ医薬。
【請求項2】
前記A2A/A2Bの阻害剤が、
3-(8-アミノ-5-(1-メチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリダジン-3-イル)-2-(ピリジン-2-イルメチル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピラジン-6-イル)ベンゾニトリル
、またはその薬学的に許容される塩;
3-(8-アミノ-2-((2,6-ジフルオロフェニル)(ヒドロキシ)メチル)-5-(ピリミジン-4-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピラジン-6-イル)ベンゾニトリル、またはその薬学的に許容される塩;
3-(8-アミノ-2-(アミノ(2,6-ジフルオロフェニル)メチル)-5-(4-メチルオキサゾール-5-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピラジン
-6-イル)ベンゾニトリル、またはその薬学的に許容される塩;及び
3-(8-アミノ-2-((2,6-ジフルオロフェニル)(ヒドロキシ)メチル)-5-(2,6-ジメチルピリジン-4-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピラジン-6-イル)ベンゾニトリル、またはその薬学的に許容される塩
から選択される、
請求項
1に記載の組合せ医薬。
【請求項3】
前記A2A/A2Bの阻害剤が、3-(8-アミノ-5-(1-メチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリダジン-3-イル)-2-(ピリジン-2-イルメチル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピラジン-6-イル)ベンゾニトリル、またはその薬学的に許容される塩である、請求項1に記載の組合せ医薬。
【請求項4】
前記PD-1/PD-L1の阻害剤が、アテゾリズマブである、請求項1~
3のいずれか1項に記載の組合せ医薬。
【請求項5】
前記PD-1/PD-L1の阻害剤が、抗体Xであ
る、請求項1~
3のいずれか1項に記載の組合せ医薬。
【請求項6】
抗体Xが、ヒト化抗体である、請求項
5に記載の組合せ医薬。
【請求項7】
前記A2A/A2Bの阻害剤が、3-(8-アミノ-5-(1-メチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリダジン-3-イル)-2-(ピリジン-2-イルメチル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピラジン-6-イル)ベンゾニトリルまたはその薬学的に許容される塩であり;かつ
前記PD-1/PD-L1の阻害剤が、抗体Xである、
請求項1に記載の組合せ医薬。
【請求項8】
前記A2A/A2Bの阻害剤が、遊離塩基基準で約0.1mgから約1000mgの用量で前記対象に投与される、請求項1~
7のいずれか1項に記載の組合せ医薬。
【請求項9】
前記A2A/A2B阻害剤が、1日1回、1日おき、または週に1回前記対象に投与される、請求項1~
8のいずれか1項に記載の組合せ医薬。
【請求項10】
前記A2A/A2Bの阻害剤及びPD-1/PD-L1の阻害剤が、同時に投与される、請求項1~
9のいずれか1項に記載の組合せ医薬。
【請求項11】
前記A2A/A2Bの阻害剤及びPD-1/PD-L1の阻害剤が、連続して投与される、請求項1~
9のいずれか1項に記載の組合せ医薬。
【請求項12】
前記がんが、膀胱癌、乳癌、
大腸癌、頭頸部癌
、肺癌、卵巣癌、膵癌、
及び前立腺
癌から選択される、請求項1~
11のいずれか1項に記載の組合せ医薬。
【請求項13】
前記がんが、頭頸部癌である、請求項12に記載の組合せ医薬。
【請求項14】
前記頭頸部癌が、頭頸部扁平上皮細胞癌である、請求項13に記載の組合せ医薬。
【請求項15】
前記がんが、肺癌である、請求項12に記載の組合せ医薬。
【請求項16】
前記肺癌が、非小細胞肺癌(NSCLC)である、請求項15に記載の組合せ医薬。
【請求項17】
前記がんが、卵巣癌である、請求項12に記載の組合せ医薬。
【請求項18】
前記がんが、前立腺癌である、請求項12に記載の組合せ医薬。
【請求項19】
前記前立腺癌が、転移性去勢抵抗性前立腺癌である、請求項18に記載の組合せ医薬。
【請求項20】
前記がんが、乳癌である、請求項12に記載の組合せ医薬。
【請求項21】
前記がんが、膀胱癌である、請求項12に記載の組合せ医薬。
【請求項22】
前記がんが、大腸癌である、請求項12に記載の組合せ医薬。
【請求項23】
前記がんが、膵癌である、請求項12に記載の組合せ医薬。
【請求項24】
対象における膀胱癌、乳癌、
大腸癌、頭頸部癌
、肺癌、卵巣癌、膵癌、
及び前立腺
癌から選択されるがんの治療に用いるための組合せ医薬であって、前記組合せ医薬が、
(i)3-(8-アミノ-5-(1-メチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリダジン-3-イル)-2-(ピリジン-2-イルメチル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピラジン-6-イル)ベンゾニトリルまたはその薬学的に許容される塩であるA2A/A2Bの阻害剤;及び
(ii)抗体XであるPD-1/PD-L1の阻害剤
を含み、
ここで、
前記A2A/A2Bの阻害剤が、遊離塩基基準で約0.1mgから約500mgの用量で前記対象に投与され、前記A2A/A2Bの阻害剤が、1日1回または1日おきに1回投与され、
かつ、
前記抗体Xが、Q4Wで約100mgから約1000mgの用量で前記対象に投与され、
ここで、
前記抗体Xが、抗体またはその抗原結合断片であり、ここで、
前記抗体が、可変重(VH)相補性決定領域(CDR)1、VH CDR2、及びVH CDR3を含むVHドメインを含み、ここで、
前記VH CDR1がアミノ酸配列SYWMN(配列番号6)を含み、
前記VH CDR2がアミノ酸配列VIHPSDSETWLDQKFKD(配列番号7)を含み、
そして、
前記VH CDR3がアミノ酸配列EHYGTSPFAY(配列番号8)を含み、
かつ、
前記抗体が、さらに、可変軽(VL) CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含むVLドメインを含み、ここで、
前記VL CDR1がアミノ酸配列RASESVDNYGMSFMNW(配列番号9)を含み、
前記VL CDR2がアミノ酸配列AASNQGS(配列番号10)を含み、
そして、
前記VL CDR3がアミノ酸配列QQSKEVPYT(配列番号11)を含む、
前記組合せ医薬。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示されるのは、A2A/A2Bの阻害剤及びPD-1/PD-L1の阻害剤を含む併用療法、及びがんなどの障害を治療するためにそれを使用する方法である。
【背景技術】
【0002】
一部の癌患者は、長期予後が不良であり、及び/または当該技術分野で一般的に使用される1つまたは複数のタイプの治療に耐性がある。したがって、この治療が困難な患者集団において、有効性が向上し、安全性プロファイルが改善された、がんに対する効果的な治療法の必要性が残っている。
【発明の概要】
【0003】
本出願は、とりわけ、対象におけるがんを治療する方法を提供し、対象に以下を投与することを含む:
(i)A2A/A2Bの阻害剤;及び
(ii)PD-1/PD-L1の阻害剤。
【0004】
本発明の他の特性、目的、及び利点は、説明及び特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】A~C。初代T細胞と共培養されたCHO-PD-L1における(1A)ペムブロリズマブ、(1B)抗体X及び(1C)化合物Yとの化合物9の相乗効果を示す(実施例1を参照)。
【
図2】A~D。CD3抗体で刺激されたPBMCにおけるアテゾリズマブとの化合物9または化合物3Aの相乗効果を示す。
【
図3】A~C。前臨床CT26及びB16-F10腫瘍モデルにおける化合物9及び抗PD1(マウスPD-1に対するクローン29F.1A12)の抗腫瘍効果を示す。(3A)単剤として及び抗PD1抗体と組み合わせたCT26同系モデルにおける10mg/kgBID化合物9の有効性研究。(3B)CT-26NSG異種移植モデルにおける10mg/kgBID化合物9の有効性研究。(3C)単剤として、及び抗PD-L1抗体と組み合わせたB16同系モデルにおける10mg/kgBID化合物9の有効性研究。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本出願は、対象におけるがんを治療する方法を提供し、対象に以下を投与することを含む:
(i)A2A/A2Bの阻害剤;及び
(ii)PD-1/PD-L1の阻害剤。
【0007】
A2A/A2B阻害剤
アデノシンは、多くの免疫細胞タイプを介して免疫応答を調節できる細胞外シグナル伝達分子である。アデノシンは、Drury and Szent-Gyorgyu(Sachdeva、S.and Gupta、M.Saudi Pharmaceutical Journal、2013、21、245-253)によって冠状血管緊張の生理学的調節因子として最初に認識されたが、SattinとRallは、アデノシンが細胞表面の特定の受容体の占有を介して細胞機能を調節することを示した、(Sattin,A.,and Rall,T.W.,1970).Mol.Pharmacol.6,13-23;Hasko’,G.,at al.,2007,Pharmacol.Ther.113,264-275)1970年まで認識されていなかった。
【0008】
アデノシンは、様々な他の生理的機能において重要な役割を果たしている。それは、核酸の合成に関与し、3つのリン酸基に連結した場合、それは、細胞エネルギーシステムの不可欠な成分であるATPを形成する。アデノシンは、細胞外ATPの酵素分解によって生成され得るか、または損傷した細胞膜を通過することによって傷ついたニューロン及びグリア細胞からも放出され得る(Tautenhahn,M.et al.Neuropharmacology,2012,62,1756-1766)。アデノシンは、細胞膜上に局在する特定の受容体への作用を介して、末梢と中枢神経系の両方で様々な薬理作用をもたらす(Matsumoto,T.et al.Pharmacol.Res.,2012,65,81-90)。細胞外アデノシン生成のための代替経路が記載されている。これらの経路には、CD38、CD203a、及びCD73の協調作用による、ATPの代わりにニコチンアミドジヌクレオチド(NAD)からのアデノシンの生成が含まれる。アデノシンのCD73非依存的産生は、アルカリホスファターゼまたは前立腺特異的ホスファターゼなどの他のホスフェートによっても生じ得る。
【0009】
A1、A2A(ADORA2A)、A2B(ADORA2B)、及びA3受容体を含むヒトにおけるアデノシン受容体の4つの既知のサブタイプが存在する。A1及びA2Aは高親和性受容体である一方で、A2B及びA3は低親和性受容体である。アデノシンとそのアゴニストは、これらの受容体の1つまたは複数を介して作用し、サイクリックAMP(cAMP)の増加に関与する酵素であるアデニル酸シクラーゼの活性を調節することができる。異なる受容体は、この酵素に対して異なる刺激効果と抑制効果を持っている。cAMPの細胞内濃度の増加は、免疫及び炎症細胞の活性を抑制し得る(Livingston,M.et al.,Inflamm.Res.,2004,53,171-178)。
【0010】
A2Aアデノシン受容体は、末梢及びCNS(中枢神経系)でシグナルを伝達することができ、アゴニストは抗炎症薬として探索され、アンタゴニストは神経変性疾患に対して探索される(Carlsson,J.et al.,J.Med.Chem.,2010,53,3748-3755)。ほとんどの細胞型では、A2Aサブタイプは細胞内カルシウムレベルを阻害するが、A2Bはそれらを増強する。A2A受容体は一般に、免疫細胞からの炎症反応を阻害するようである(Borrmann,T.et al.,J.Med.Chem.,2009,52(13),3994-4006)。
【0011】
A2B受容体は、消化管、膀胱、肺内に、及び肥満細胞上に高度に発現している(Antonioli,L.et al.,Nature Reviews Cancer,2013,13,842-857)。A2B受容体は、構造的にはA2A受容体と密接に関連しており、アデニル酸シクラーゼを活性化することができるが、機能的には異なる。このサブタイプは、アデニル酸シクラーゼ以外のシグナル伝達系を利用し得ることが仮定されている(Livingston,M.et al.,Inflamm.Res.,2004,53,171-178)。全てのアデノシン受容体の中で、A2Bアデノシン受容体は、生理学的条件下で沈黙を保ち、細胞外アデノシンレベルの増加の結果として活性化されると考えられている低親和性受容体と見なされる(Ryzhov,S.et al.Neoplasia,2008,10,987-995)。A2Bアデノシン受容体の活性化は、それぞれGs及びGqタンパク質の活性化を通じて、アデニル酸シクラーゼ及びホスホリパーゼCを刺激することができる。マイトジェン活性化プロテインキナーゼへのカップリングも記載されている(Borrmann,T.et al.,J.Med.Chem.,2009,52(13),3994-4006)。
【0012】
免疫系では、アデノシンシグナル伝達の関与は、過剰な免疫反応から組織を保護する重要な調節メカニズムである可能性がある。アデノシンは、T細胞、ナチュラルキラー細胞、マクロファージ、樹状細胞、肥満細胞、骨髄由来抑制細胞など、多くの免疫細胞タイプを介して免疫応答を負に調節することができる(Allard,B.et al.Current Opinionin Pharmacology,2016,29,7-16)。
【0013】
腫瘍では、この経路は腫瘍の微小環境によって乗っ取られ、免疫系の抗腫瘍能力を妨害し、癌の進行を促進する。腫瘍の微小環境では、アデノシンは主に2つのエクトヌクレオチダーゼCD39とCD73によって細胞外ATPから生成される。複数の細胞タイプは、CD39及びCD73を発現させることによってアデノシンを生成することができる。これは、腫瘍細胞、Tエフェクター細胞、T調節細胞、腫瘍関連マクロファージ、骨髄由来抑制細胞(MDSC)、内皮細胞、癌関連線維芽細胞(CAF)、及び間葉系間質/幹細胞(MSC)の場合である。さらに、腫瘍の微小環境に共通する状態である低酸素症及び炎症は、CD39及びCD73の発現を誘導し、アデノシン産生の増加をもたらす。結果として、固形腫瘍のアデノシンレベルは、通常の生理学的状態と比較して高くなる。
【0014】
A2Aは主に、Tエフェクター細胞、T制御性細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞などのリンパ球由来細胞に発現している。A2A受容体を遮断すると、T細胞を一時的に不活性化する下流の免疫抑制シグナルを防ぐことができる。A2B受容体は主に、樹状細胞、腫瘍随伴マクロファージ、骨髄由来抑制細胞(MDSC)、間葉系間質/幹細胞(MSC)などの単球由来細胞に発現している。前臨床モデルでのA2B受容体の遮断は、腫瘍増殖を抑制し、転移を阻止し、腫瘍抗原の提示を増加させ得る。
【0015】
ADORA2A/ADORA2B(A2A/A2B)遮断の安全性プロファイルに関して、A2A及びA2B受容体ノックアウト(KO)マウスは全て成長異常を示さずに生存可能であり、繁殖可能である(Allard,B.et al.Current Opinion in Pharmacology,2016,29,7-16)。A2AKOマウスは、リポ多糖(LPS)による負荷時にのみ、炎症誘発性サイトカインのレベルの増加を示し、ベースラインでは炎症の根拠を示さなかった(Antonioli,L.et al.,Nature Reviews Cancer,2013,13,842-857)。A2B KOマウスは、正常な血小板、赤血球、及び白血球の数を示したが、TNF-αやIL-6などのベースラインで炎症が増加した)(Antonioli,L.et al.,Nature Reviews Cancer,2013,13,842-857)。LPS処理後、TNF-α及びIL-6の産生のさらなる増加が検出された。A2B KOマウスはまた、炎症及び白血球接着/ローリングを媒介する血管接着分子の増加を示した。強化された肥満細胞活性化;IgEを介したアナフィラキシーに対する感受性の増加、及び低酸素下での血管漏出と好中球流入の増加(Antonioli,L.et al.,Nature Reviews Cancer,2013,13,842-857)。
【0016】
アデノシン経路は、過剰な免疫反応から組織を保護する重要な免疫抑制経路である(Antonioli,L.et al.Nature Review Cancer.2013,13,842-857;Inflamm.Res.2004,53:171-178;Allard,et al.Current Opinion in Pharmacology 2016,29:7)。アデノシンの免疫抑制活性は、A2A及びA2Bとして知られる2つのGタンパク質共役型受容体(GPCR)を介して媒介される。両方の受容体は、T細胞、ナチュラルキラー細胞、マクロファージ、樹状細胞、肥満細胞、骨髄由来サプレッサー細胞など、多くの免疫細胞タイプで発現していることがわかる(Saudi Pharmaceutical Journal.2013,21:245;Frontiers in Immunology.2019,10:925;J Clin Invest.2017,127(3):929;Neoplasia.2008,10:987;Neoplasia.2013,15:1400)。腫瘍微小環境で観察された高レベルのアデノシン産生の結果として、免疫系の抗腫瘍能力が抑制され、癌の進行をもたらすことが報告されている。
【0017】
いくつかの実施形態では、A2A/A2Bの阻害剤は、表1から選択される化合物、またはその薬学的に許容される塩である。
【0018】
表1:
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【0019】
いくつかの実施形態では、A2A/A2Bの阻害剤は、式(I)の化合物
【化1】
またはその薬学的に許容される塩であって、式中、
Cy
1は、ハロ及びCNから独立して選択される1または2個の置換基によって置換されるフェニルであり;
Cy
2は、5~6員ヘテロアリールまたは4~7員ヘテロシクロアルキルであり、式中、上記Cy
2の5~6員ヘテロアリールまたは4~7員ヘテロシクロアルキルは、それぞれ、C
1-3アルキル、C
1-3アルコキシ、NH
2、NH(C
1-3アルキル)及びN(C
1-3アルキル)
2から独立して選択される1、2、または3個の基でそれぞれ任意選択で置換され;
R
2は、フェニル-C
1-3アルキル-、C
3-7シクロアルキル-C
1-3アルキル-、(5~7員ヘテロアリール)-C
1-3アルキル-、(4~7員ヘテロシクロアルキル)-C
1-3アルキル-、及びOR
a2から選択され、式中、上記R
2のフェニル-C
1-3アルキル-、C
3-7シクロアルキル-C
1-3アルキル-、(5~7員ヘテロアリール)-C
1-3アルキル-、及び(4~7員ヘテロシクロアルキル)-C
1-3アルキル-は、その各々が、1、2、または3個の独立して選択されるR
C置換基で任意選択で置換され;
R
a2は、1または2個の独立して選択されるR
C置換基で任意選択で置換された(5~7員ヘテロアリール)-C
1-3アルキル-であり;
各R
Cは、ハロ、C
1-6アルキル、C
6アリール、5~7員ヘテロアリール、(4~7員ヘテロシクロアルキル)-C
1-3アルキル-、OR
a4、及びNR
c4R
d4から独立して選択され;
各R
a4、R
c4、及びR
d4は、H及びC
1-6アルキルから独立して選択される。
【0020】
式(I)の化合物のいくつかの実施形態では、Cy2は、ピリミジニルである。
【0021】
式(I)の化合物のいくつかの実施形態では、R2は、ピリジン-2-イルメチル、(2,6-ジフルオロフェニル)(ヒドロキシ)メチル、(5-(ピリジン-2-イル)-1H-テトラゾール-1-イル)メチル、(3-メチルピリジン-2-イル)メトキシ、及び(5-(1H-ピラゾール-1-イル)-1H-テトラゾール-1-イル)メチルから選択される。
【0022】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩は、3-(5-アミノ-2-(ピリジン-2-イルメチル)-8-(ピリミジン-4-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-c]ピリミジン-7-イル)ベンゾニトリル、またはその薬学的に許容される塩(化合物1、表1を参照)である。
【0023】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩は、3-(5-アミノ-2-((2,6-ジフルオロフェニル)(ヒドロキシ)メチル)-8-(ピリミジン-4-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-c]ピリミジン-7-イル)ベンゾニトリル、またはその薬学的に許容される塩(化合物2、表1を参照)である。
【0024】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩は、3-(5-アミノ-2-((5-(ピリジン-2-イル)-2H-テトラゾール-2-イル)メチル)-8-(ピリミジン-4-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-c]ピリミジン-7-イル)ベンゾニトリル、またはその薬学的に許容される塩(化合物3A、表1を参照)である。
【0025】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩は、3-(5-アミノ-2-((5-(ピリジン-2-イル)-1H-テトラゾール-1-イル)メチル)-8-(ピリミジン-4-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-c]ピリミジン-7-イル)ベンゾニトリル、またはその薬学的に許容される塩(化合物3B、表1を参照)である。
【0026】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩は、3-(5-アミノ-2-((3-メチルピリジン-2-イル)メトキシ)-8-(ピリミジン-4-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-c]ピリミジン-7-イル)ベンゾニトリル、またはその薬学的に許容される塩(化合物4、表1を参照)である。
【0027】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩は、3-(2-((5-(1H-ピラゾール-1-イル)-2H-テトラゾール-2-イル)メチル)-5-アミノ-8-(ピリミジン-4-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-c]ピリミジン-7-イル)ベンゾニトリル、またはその薬学的に許容される塩(化合物21A、表1を参照)である。
【0028】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩は、3-(2-((5-(1H-ピラゾール-1-イル)-1H-テトラゾール-1-イル)メチル)-5-アミノ-8-(ピリミジン-4-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-c]ピリミジン-7-イル)ベンゾニトリル、またはその薬学的に許容される塩(化合物21B、表1を参照)である。
【0029】
いくつかの実施形態では、A2A/A2Bの阻害剤は、
3-(5-アミノ-2-(ピリジン-2-イルメチル)-8-(ピリミジン-4-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-c]ピリミジン-7-イル)ベンゾニトリル、またはその薬学的に許容される塩;
3-(5-アミノ-2-((2,6-ジフルオロフェニル)(ヒドロキシ)メチル)-8-(ピリミジン-4-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-c]ピリミジン-7-イル)ベンゾニトリル、またはその薬学的に許容される塩;
3-(5-アミノ-2-((5-(ピリジン-2-イル)-1H-テトラゾール-1-イル)メチル)-8-(ピリミジン-4-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-c]ピリミジン-7-イル)ベンゾニトリル、またはその薬学的に許容される塩;
3-(5-アミノ-2-((3-メチルピリジン-2-イル)メトキシ)-8-(ピリミジン-4-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-c]ピリミジン-7-イル)ベンゾニトリル、またはその薬学的に許容される塩;及び
3-(2-((5-(1H-ピラゾール-1-イル)-1H-テトラゾール-1-イル)メチル)-5-アミノ-8-(ピリミジン-4-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-c]ピリミジン-7-イル)ベンゾニトリル、またはその薬学的に許容される塩から選択される。
式(I)の化合物の合成及び特徴付けは、WO2019/168847及びUS 62/891,685に見出すことができ、これらは両方とも、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0030】
いくつかの実施形態では、A2A/A2Bの阻害剤は、式(II)の化合物
【化2】
またはその薬学的に許容される塩であって、式中、
R
2は、H及びCNから選択され;
Cy
1は、ハロ及びCNから独立して選択される1または2個の置換基によって置換されるフェニルであり;
Lは、C
1-3アルキレンであり、式中、上記アルキレンは、任意選択で、1、2、または3個の独立して選択されるR
8D置換基で置換され;
Cy
4は、フェニル、シクロヘキシル、ピリジル、ピロリジノニル、及びイミダゾリルから選択され、式中、フェニル、シクロヘキシル、ピリジル、ピロリジノニル、及びイミダゾリルは、それぞれ、R
8D及びR
8から独立して選択される1、2、または3個の置換基で任意選択で置換され;
各R
8は、独立して、ハロ、C
1-6アルキル、C
1-6ハロアルキル、C
2-4アルケニル、C
2-4アルキニル、フェニル、C
3-7シクロアルキル、5~6員ヘテロアリール、4~7員ヘテロシクロアルキル、フェニル-C
1-3アルキル、C
3-7シクロアルキル-C
1-3アルキル、(5~6員ヘテロアリール)-C
1-3アルキル、及び(4~7員ヘテロシクロアルキル)-C
1-3アルキルから選択され、式中、上記R
8のC
1-6アルキル、C
2-4アルケニル、C
2-4アルキニル、フェニル、C
3-7シクロアルキル、5~6員ヘテロアリール、4~7員ヘテロシクロアルキル、フェニル-C
1-3アルキル、C
3-7シクロアルキル-C
1-3アルキル、(5~6員ヘテロアリール)-C
1-3アルキル、及び(4~7員ヘテロシクロアルキル)-C
1-3アルキルはそれぞれ、1、2、または3個の独立して選択されるR
8A置換基で任意選択で置換され;
各R
8Aは、独立して、ハロ、C
1-6アルキル、5~6員ヘテロアリール、4~7員ヘテロシクロアルキル、CN、OR
a81、及びNR
c81R
d81から選択され、式中、上記R
8AのC
1-3アルキル、5~6員ヘテロアリール、及び4~7員ヘテロシクロアルキルは、それぞれ、1、2、または3個の独立して選択されるR
8B置換基で任意選択で置換され;
各R
a81、R
c81、及びR
d81が独立して、H、C
1-6アルキル、及び4~7員ヘテロシクロアルキルから選択され、式中、上記R
a81、R
c81、及びR
d81のC
1-6アルキル及び4~7員ヘテロシクロアルキルは、それぞれ、1、2、または3個の独立して選択されるR
8B置換基で任意選択で置換され;
各R
8Bが、ハロ及びC
1-3アルキルから独立して選択され;及び
各R
8Dが、OH、CN、ハロ、C
1-6アルキル、及びC
1-6ハロアルキルから独立して選択される。
【0031】
いくつかの実施形態では、式(II)の化合物、またはその薬学的に許容される塩は、3-(5-アミノ-2-(ヒドロキシ(フェニル)メチル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-c]ピリミジン-7-イル)ベンゾニトリル、またはその薬学的に許容される塩(化合物5、表1を参照)である。
【0032】
いくつかの実施形態では、式(II)の化合物、またはその薬学的に許容される塩は、3-(5-アミノ-2-((2,6-ジフルオロフェニル)(ヒドロキシ)メチル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-c]ピリミジン-7-イル)-2-フルオロベンゾニトリル、またはその薬学的に許容される塩(化合物6、表1を参照)である。
【0033】
いくつかの実施形態では、式(II)の化合物、またはその薬学的に許容される塩は、5-アミノ-7-(3-シアノ-2-フルオロフェニル)-2-((2,6-ジフルオロフェニル)(ヒドロキシ)メチル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-c]ピリミジン-8-カルボニトリル、またはその薬学的に許容される塩(化合物7、表1を参照)である。
【0034】
いくつかの実施形態では、式(II)の化合物、またはその薬学的に許容される塩は、3-(5-アミノ-2-((2-フルオロ-6-(((1-メチル-2-オキソピロリジン-3-イル)アミノ)メチル)フェニル)(ヒドロキシ)メチル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-c]ピリミジン-7-イル)-2-フルオロベンゾニトリル、またはその薬学的に許容される塩(化合物8、表1を参照)である。
【0035】
式(II)の化合物の合成及び特徴付けは、WO2019/222677に見出すことができ、これは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0036】
いくつかの実施形態では、A2A/A2Bの阻害剤は、式(III)の化合物
【化3】
またはその薬学的に許容される塩であって、式中、
Cy
1は、ハロ及びCNから独立して選択される1または2個の置換基によって置換されるフェニルであり;
R
2は、5~6員ヘテロアリール及び4~7員ヘテロシクロアルキルから選択され、式中、上記R
2の5~6員ヘテロアリール及び4~7員ヘテロシクロアルキルは、それぞれ、任意選択で、1、2、または3個の独立して選択されるR
2A置換基で置換され;
各R
2Aが、D、ハロ、C
1-6アルキル、及びC
1-6ハロアルキルから独立して選択され;
R
4は、フェニル-C
1-3アルキル-、C
3-7シクロアルキル-C
1-3アルキル-、(5~6員ヘテロアリール)-C
1-3アルキル-、及び(4~7員ヘテロシクロアルキル)-C
1-3アルキルから選択され、式中、上記R
4のフェニル-C
1-3アルキル-、C
3-7シクロアルキルC
1-3-アルキル-、(5~6員ヘテロアリール)-C
1-3アルキル-、及び(4~7員ヘテロシクロアルキル)-C
1-3アルキル-は、その各々が、1、2、または3個の独立して選択されるR
4A置換基で任意選択で置換され;
各R
4Aが、ハロ、C
1-6アルキル、C
1-6ハロアルキル、CN、OR
a41、及びNR
c41R
d41から独立して選択され;及び
各R
a41、R
c41、及びR
d41が、H及びC
1-6アルキルから独立して選択される。
【0037】
いくつかの実施形態では、式(III)の化合物、またはその薬学的に許容される塩は、3-(8-アミノ-5-(1-メチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリダジン-3-イル)-2-(ピリジン-2-イルメチル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピラジン-6-イル)ベンゾニトリル、またはその薬学的に許容される塩(化合物9、表1を参照)である。
【0038】
いくつかの実施形態では、式(III)の化合物、またはその薬学的に許容される塩は、3-(8-アミノ-2-((2,6-ジフルオロフェニル)(ヒドロキシ)メチル)-5-(ピリミジン-4-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピラジン-6-イル)ベンゾニトリル、またはその薬学的に許容される塩(化合物10、表1を参照)である。
【0039】
いくつかの実施形態では、式(III)の化合物、またはその薬学的に許容される塩は、3-(8-アミノ-2-(アミノ(2,6-ジフルオロフェニル)メチル)-5-(4-メチルオキサゾール-5-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピラジン-6-イル)ベンゾニトリル、またはその薬学的に許容される塩(化合物11、表1を参照)である。
【0040】
いくつかの実施形態では、式(III)の化合物、またはその薬学的に許容される塩は、3-(8-アミノ-2-((2,6-ジフルオロフェニル)(ヒドロキシ)メチル)-5-(2,6-ジメチルピリジン-4-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピラジン-6-イル)ベンゾニトリル、またはその薬学的に許容される塩(化合物12、表1を参照)である。
【0041】
式(III)の化合物の合成及び特徴付けは、PCT/US2019/040496に見出すことができ、これは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0042】
いくつかの実施形態では、A2A/A2Bの阻害剤は、式(IV)の化合物
【化4】
またはその薬学的に許容される塩であって、式中、
Cy
1は、ハロ及びCNから独立して選択される1または2個の置換基によって置換されるフェニルであり;
Cy
2が、5~6員ヘテロアリール及び4~7員ヘテロシクロアルキルから選択され、式中、上記Cy
2の5~6員ヘテロアリール及び4~7員ヘテロシクロアルキルがそれぞれ、1、2、または3個の独立して選択されるR
6置換基で任意選択で置換され;
各R
6が、ハロ、C
1-6アルキル、及びC
1-6ハロアルキルから独立して選択され、
R
2は、フェニル-C
1-3アルキル-または(5~6員ヘテロアリール)-C
1-3アルキル-であり、式中、上記R
2のフェニル-C
1-3アルキル-及び(5~6員ヘテロアリール)-C
1-3アルキル-はそれぞれ、1、2、または3個の独立して選択されるR
2A置換基で任意選択で置換され;
各R
2Aが独立して、ハロ、C
1-6アルキル、及びC
1-6ハロアルキルから選択される。
【0043】
いくつかの実施形態では、式(IV)の化合物、またはその薬学的に許容される塩は、3-(4-アミノ-2-(ピリジン-2-イルメチル)-7-(ピリミジン-4-イル)-2H-[1,2,3]トリアゾロ[4,5-c]ピリジン-6-イル)ベンゾニトリル、またはその薬学的に許容される塩(化合物13、表1を参照)である。
【0044】
いくつかの実施形態では、式(IV)の化合物、またはその薬学的に許容される塩は、3-(4-アミノ-2-((3-フルオロピリジン-2-イル)メチル)-7-(ピリミジン-4-イル)-2H-[1,2,3]トリアゾロ[4,5-c]ピリジン-6-イル)ベンゾニトリル、またはその薬学的に許容される塩(化合物14、表1を参照)である。
【0045】
いくつかの実施形態では、式(IV)の化合物、またはその薬学的に許容される塩は、3-(4-アミノ-2-((3-フルオロピリジン-2-イル)メチル)-7-(ピリジン-4-イル)-2H-[1,2,3]トリアゾロ[4,5-c]ピリジン-6-イル)ベンゾニトリル、またはその薬学的に許容される塩(化合物15、表1を参照)である。
【0046】
いくつかの実施形態では、式(IV)の化合物、またはその薬学的に許容される塩は、3-(4-アミノ-7-(1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)-2-(ピリジン-2-イルメチル)-2H-[1,2,3]トリアゾロ[4,5-c]ピリジン-6-イル)-2-フルオロベンゾニトリル、またはその薬学的に許容される塩(化合物16、表1を参照)である。
【0047】
式(IV)の化合物の合成及び特徴付けは、US62/798,180に見出すことができ、これは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0048】
いくつかの実施形態では、A2A/A2Bの阻害剤は、式(V)の化合物
【化5】
またはその薬学的に許容される塩であって、式中、
R
2は、H、D、ハロ、C
1-6アルキル、及びC
1-6ハロアルキルから選択され、
R
3は、H及びC
1-6アルキルから選択され、
R
4は、H及びC
1-6アルキルから選択され、
R
5は、H、ハロ、CN、C
1-6アルキルから選択され、
R
6は、フェニル、C
3-7シクロアルキル、5~7員ヘテロアリール、及び4~7員ヘテロシクロアルキルから選択され;上記R
6のフェニル、C
3-7シクロアルキル、5~7員ヘテロアリール、及び4~7員ヘテロシクロアルキルは、1、2、または3個の独立して選択されるR
A置換基で任意選択で置換され;
各R
Aは、(5~10員ヘテロアリール)-C
1-3アルキル-、及び(4~10員ヘテロシクロアルキル)-C
1-3アルキル-から独立して選択され、上記R
Aの(5~10員ヘテロアリール)-C
1-3アルキル-、及び(4~10員ヘテロシクロアルキル)-C
1-3アルキル-はそれぞれ、1または2個の独立して選択されるR
B置換基で任意選択で置換され;
各R
Bは、ハロ、C
1-6アルキル、及びC(O)R
b26から独立して選択され;
各R
b26が、H及びC
1-3アルキルから独立して選択され、上記R
b26のC
1-3アルキルが、1または2個の独立して選択されるR
C置換基で任意選択で置換され;
各R
Cが、ハロ、C
1-6アルキル、CN、OR
a36、及びNR
c36R
d36から独立して選択され、
各R
a36、R
c36、及びR
d36は、H及びC
1-6アルキルから独立して選択される。
【0049】
いくつかの実施形態では、式(V)の化合物、またはその薬学的に許容される塩は、7-(1-((5-クロロピリジン-3-イル)メチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-3-メチル-9-ペンチル-6,9-ジヒドロ-5H-ピロロ[3,2-d][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-5-オン、またはその薬学的に許容される塩(化合物17、表1を参照)である。
【0050】
いくつかの実施形態では、式(V)の化合物、またはその薬学的に許容される塩は、3-メチル-7-(1-((5-メチルピリジン-3-イル)メチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-9-ペンチル-6,9-ジヒドロ-5H-ピロロ[3,2-d][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-5-オン、またはその薬学的に許容される塩(化合物18、表1を参照)である。
【0051】
いくつかの実施形態では、式(V)の化合物、またはその薬学的に許容される塩は、3-メチル-9-ペンチル-7-(1-(チエノ[3,2-b]ピリジン-6-イルメチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-6,9-ジヒドロ-5H-ピロロ[3,2-d][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-5-オン、またはその薬学的に許容される塩(化合物19、表1を参照)である。
【0052】
いくつかの実施形態では、式(V)の化合物、またはその薬学的に許容される塩は、7-(1-((2-(2-(ジメチルアミノ)アセチル)-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-6-イル)メチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-3-メチル-9-ペンチル-6,9-ジヒドロ-5H-ピロロ[3,2-d][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-5-オン、またはその薬学的に許容される塩(化合物20、表1を参照)である。
【0053】
式(V)の化合物の合成及び特徴付けは、US-2019-0337957に見出すことができ、これは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0054】
PD-1/PD-L1阻害剤
免疫系は、がんなどの疾患の制御及び根絶において重要な役割を果たす。しかし、癌細胞はしばしば、それらの成長を促進するために免疫系を回避または抑制するための戦略を開発する。そのようなメカニズムの1つは、免疫細胞で発現する共刺激及び共抑制分子の発現を変化させることである(Postow et al,J.Clinical Oncology 2015,1-9)。PD-1などの阻害免疫チェックポイントのシグナル伝達をブロックすることは、有望で効果的な治療法であることが証明されている。
【0055】
プログラム死-1(「PD-1」、別名「CD279」)は、免疫応答を広く負に調節する拡張CD28/CTLA-4ファミリーのT細胞レギュレーターの約31kDタイプI膜タンパク質メンバーである(Ishida,Y.et al.(1992)EMBO J.11:3887-3895;米国特許公開第2007/0202100号;同第2008/
311117号;及び同第2009/00110667号;米国特許番号6,808,710号;同第7,101,550号;同第7,488,802号;同第7,635,757号;及び同第7,722,868号;PCT公開第WO01/14557号)。
【0056】
PD-1は、活性化T細胞、B細胞、及び単球で発現する(Agata,Y.et al.(1996)Int.Immunol.8(5):765-772;Yamazaki、T.et al.(2002))J.Immunol.169:5538-5545)及びナチュラルキラー(NK)T細胞の低レベル(Nishimura,H.et al.(2000)J.Exp.Med.191:891-898;Martin-Orozco,N.et al.(2007)Semin.CancerBiol.17(4):288-298)。
【0057】
PD-1の細胞外領域は、CTLA-4の同等のドメインと23%の同一性を持つ単一の免疫グロブリン(Ig)Vドメインで構成されている(Martin-Orozco,N.et al.(2007)Semin.CancerBiol.17(4):288-298)。細胞外IgVドメインは、膜貫通領域及び細胞内テールに続く。細胞内テールは、免疫受容体チロシンベースの阻害モチーフ及び免疫受容体チロシンベースのスイッチモチーフに位置する2つのリン酸化部位を含み、これはPD-1がTCRシグナルを負に調節することを示唆している。(Ishida,Y.et al.(1992)EMBO J.11:3887-2895;Blank,C.et at.(2006)Immunol.Immunother.56(5):739-745)。
【0058】
PD-1は、B7-H1及びB7-DCに結合することにより、免疫系の阻害を仲介する(Flies,D.B.et al.(2007)J.Immunother.30(3):251-260;米国特許第6,803,192号;同第7,794,710号;米国特許出願公開第2005/0059051号;同第2009/0055944号;同第2009/0274666号;同第2009/0313687号;PCT公開第WO01/39722号;同第WO02/086083号)。
【0059】
ヒトPD-1タンパク質(Genbank受託番号NP_005009)のアミノ酸配列は、MQIPQAPWPVVWAVLQLGWRPGWFLDSPDRPWNPPTFSPALLVVTEGDNATFTCSFSNTSESFVLNWYRMSPSNQTDKLAAFPEDRSQPGQDCRFRVTQLPNGRDFHMSVVRARRNDSGTYLCGAISLAPKAQIKESLRAELRVTERRAEVPTAHPSPSPRPAGQFQTLVVGVVGGLLGSLVLLVWVLAVICSRAARGTIGARRTGQPLKEDPSAVPVFSVDYGELDFQWREKTPEPPVPCVPEQTEYATIVFPSGMGTSSPARRGSADGPRSAQPLRPEDGHCSWPL(配列番号1)である。
【0060】
PD-1は、PD-L1及びPD-L2の2つのリガンドを有し(Parry et al,Mol Cell Biol 2005,9543-9553;Latchman et al,Nat Immunol 2001,2,261-268)、それらはそれらの発現パターンが異なる。PD-L1タンパク質は、リポ多糖及びGM-CSF処理に応答してマクロファージ及び樹状細胞で、T細胞受容体及びB細胞受容体シグナル伝達時にT細胞及びB細胞でアップレギュレートされる。PD-L1はほとんど全ての腫瘍細胞でも高度に発現しており、IFN-γ治療後に発現がさらに増加する(Iwai et al,PNAS2002,99(19):12293-7;Blank et al,Cancer Res 2004,64(3):1140-5)。実際、腫瘍のPD-L1発現状態は、複数の腫瘍タイプで予後が予測されることが示されている(Wang et al,Eur J Surg Oncol 2015;Huang et al,Oncol Rep 2015;Sabatier et al,Oncotarget 2015、6(7):5449-5464)。対照的に、PD-L2の発現はより制限されており、主に樹状細胞によって発現される(Nakae et al,J Immunol 2006,177:566-73)。T細胞上でのPD-1とそのリガンドPD-L1及びPD-L2のライゲーションは、IL-2及びIFN-γの産生、ならびにT細胞受容体の活性化時に誘導される細胞増殖を阻害するシグナルを伝達する(Carter et al,Eur J Immunol 2002,32(3):634-43;Freeman et al,J Exp Med 2000,192(7):1027-34)。このメカニズムには、Syk及びLckリン酸化などのT細胞受容体シグナル伝達を阻害するためのSHP-2またはSHP-1ホスファターゼの動員が含まれる(Sharpe et al,Nat Immunol 2007,8,239-245)。PD-1シグナル伝達軸の活性化は、PKC-θ活性化ループのリン酸化も減衰させる。これは、NF-κB及びAP1経路の活性化、及びIL-2、IFN-γ、TNFなどのサイトカイン産生に必要である(Sharpe et al,Nat Immunol 2007,8,239-245;Carter et al,Eur J Immunol 2002,32(3):634-43;Freeman et al,J Exp Med 2000,192(7):1027-34)。
【0061】
前臨床動物研究からの数連の証拠は、PD-1及びそのリガンドが免疫応答を負に制御していることを示す。PD-1欠損マウスは、ループス様糸球体腎炎及び拡張型心筋症を発症することが示されている(Nishimura et al,Immunity 1999,11:141-151;Nishimura et al,Science 2001,291:319-322)。慢性感染症のLCMVモデルを使用して、PD-1/PD-L1相互作用が、ウイルス特異的CD8 T細胞のエフェクター機能の活性化、拡大、獲得を阻害することが示されている(Barber et al.,Nature 2006,439,682-7)。まとめると、これらのデータは、T細胞応答を増大または「救済」するためにPD-1媒介阻害シグナル伝達カスケードをブロックする治療アプローチの開発を支持する。したがって、PD-1/PD-L1タンパク質/タンパク質相互作用をブロックし、それによって対象の癌を治療する新しい方法が必要である。
【0062】
いくつかの実施形態では、PD-1/PD-L1の阻害剤は、ニボルマブ(OPDIVO(登録商標)、BMS-936558、MDX1106、またはMK-34775)、ペムブロリズマブ(KEYTRUDA(登録商標)、MK-3475、SCH-900475、ランブロリズマブ)、CAS登録番号1374853-91-4)、アテゾリズマブ(Tecentriq(登録商標)、CAS Reg番号1380723-44-3)、デュルバルマブ、アベルマブ(Bavencio(登録商標))、セミプリマブ、AMP-224、AMP-514/MEDI-0680、アテゾリズマブ、アベルマブ、BGB-A317、BMS936559、デュルバルマブ、JTX-4014、SHR-1210、ピジリズマブ(CT-011)、REGN2810、BGB-108、BGB-A317、SHR-1210(HR-301210、SHR1210、またはSHR-1210)、BMS-936559、MPDL3280A、MEDI4736、MSB0010718C、MDX1105-01、及び米国特許第7,488,802号、第7,943,743号、第8,008,449号、第8,168,757号、第8,217,149号、または公開番号WO03042402、WO2008/156712、WO2010/089411、WO2010/036959、WO2011/066342、WO2011/159877、WO2011/082400、WO2011/161699、WO2017/070089、WO2017/087777、WO2017/106634、WO2017/112730、WO2017/192961、WO2017/205464、WO2017/222976、WO2018/013789、WO2018/04478、WO2018/119236、WO2018/119266、WO2018/119221、WO2018/119286、WO2018/119263、WO2018/119224、WO2019/191707、及びWO2019/217821に記載されているPD-1/PD-L1遮断薬の1つ以上、及びそれらの任意の組み合わせから選択される化合物である。本明細書に示される特許、出願及び特許出願公開のそれぞれの開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0063】
いくつかの実施形態では、PD-1/PD-L1の阻害剤は、例えば、WO2018/119266に開示されるような化合物から選択される。
(S)-1-((7-クロロ-2-(2’-クロロ-3’-(5-(((2-ヒドロキシエチル)アミノ)メチル)ピコリナミド)-2-メチル-[1,1’-ビフェニル]-3-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-5-イル)メチル)ピペリジン-2-カルボン酸、またはその薬学的に許容される塩;
(S)-1-((7-クロロ-2-(3’-(7-クロロ-5-(((S)-3-ヒドロキシピロリジン-1-イル)メチル)ベンゾ[d]オキサゾール-2-イル)-2,2’-ジメチルビフェニル-3-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-5-イル)メチル)ピロリジン-3-カルボン酸、またはその薬学的に許容される塩;
(R)-1-((7-シアノ-2-(3’-(3-(((R)-3-ヒドロキシピロリジン-1-イル)メチル)-1,7-ナフチリジン-8-イルアミノ)-2,2’-ジメチルビフェニル-3-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-5-イル)メチル)ピロリジン-3-カルボン酸、またはその薬学的に許容される塩;
(S)-1-((2-(2’-クロロ-3’-(1,5-ジメチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-カルボキサミド)-2-メチルビフェニル-3-イル)-7-シアノベンゾ[d]オキサゾール-5-イル)メチル)ピロリジン-3-カルボン酸、またはその薬学的に許容される塩;
(R)-1-((7-シアノ-2-(2,2’-ジメチル-3’-(4,5,6,7-テトラヒドロチアゾロ[5,4-c]ピリジン-2-イル)ビフェニル-3-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-5-イル)メチル)ピロリジン-3-カルボン酸、またはその薬学的に許容される塩;
(R)-1-((7-シアノ-2-(3’-(5-(2-(ジメチルアミノ)アセチル)-5,6-ジヒドロ-4H-ピロロ[3,4-d]チアゾール-2-イル)-2,2’-ジメチルビフェニル-3-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-5-イル)メチル)ピロリジン-3-カルボン酸、またはその薬学的に許容される塩;及び
1-((7-シアノ-2-(3’-(5-(2-(ジメチルアミノ)アセチル)-5,6-ジヒドロ-4H-ピロロ[3,4-d]チアゾール-2-イル)-2,2’-ジメチルビフェニル-3-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-5-イル)メチル)ピペリジン-4-カルボン酸、またはその薬学的に許容される塩。
【0064】
いくつかの実施形態では、PD-1/PD-L1の阻害剤は、(R)-1-((7-シアノ-2-(3’-(3-(((R)-3-ヒドロキシピロリジン-1-イル)メチル)-1,7-ナフチリジン-8-イルアミノ)-2,2’-ジメチルビフェニル-3-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-5-イル)メチル)ピロリジン-3-カルボン酸、またはその薬学的に許容される塩である。
【0065】
(R)-1-((7-シアノ-2-(3’-(3-(((R)-3-ヒドロキシピロリジン-1-イル)メチル)-1,7-ナフチリジン-8-イルアミノ)-2,2’-ジメチルビフェニル-3-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-5-イル)メチル)ピロリジン-3-カルボン酸、またはその薬学的に許容される塩は、本明細書では化合物Yとも呼ばれる。化合物Yの合成及び特徴付けは、WO2018/119266に開示されており、これは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0066】
いくつかの実施形態では、PD-1/PD-L1の阻害剤は、以下から選択される:
(R)-1-((7-シアノ-2-(3’-(3-(((R)-3-ヒドロキシピロリジン-1-イル)メチル)-1,7-ナフチリジン-8-イルアミノ)-2,2’-ジメチルビフェニル-3-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-5-イル)メチル)ピロリジン-3-カルボン酸臭化水素酸塩;
(R)-1-((7-シアノ-2-(3’-(3-(((R)-3-ヒドロキシピロリジン-1-イル)メチル)-1,7-ナフチリジン-8-イルアミノ)-2,2’-ジメチルビフェニル-3-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-5-イル)メチル)ピロリジン-3-カルボン酸シュウ酸塩;
(R)-1-((7-シアノ-2-(3’-(3-(((R)-3-ヒドロキシピロリジン-1-イル)メチル)-1,7-ナフチリジン-8-イルアミノ)-2,2’-ジメチルビフェニル-3-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-5-イル)メチル)ピロリジン-3-カルボン酸塩酸塩;
(R)-1-((7-シアノ-2-(3’-(3-(((R)-3-ヒドロキシピロリジン-1-イル)メチル)-1,7-ナフチリジン-8-イルアミノ)-2,2’-ジメチルビフェニル-3-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-5-イル)メチル)ピロリジン-3-カルボン酸L-酒石酸塩;
(R)-1-((7-シアノ-2-(3’-(3-(((R)-3-ヒドロキシピロリジン-1-イル)メチル)-1,7-ナフチリジン-8-イルアミノ)-2,2’-ジメチルビフェニル-3-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-5-イル)メチル)ピロリジン-3-カルボン酸マロン酸塩;及び
(R)-1-((7-シアノ-2-(3’-(3-(((R)-3-ヒドロキシピロリジン-1-イル)メチル)-1,7-ナフチリジン-8-イルアミノ)-2,2’-ジメチルビフェニル-3-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-5-イル)メチル)ピロリジン-3-カルボン酸リン酸塩。
【0067】
いくつかの実施形態では、PD-1/PD-L1の阻害剤は、例えば、WO2018/119224に開示されるような化合物から選択される。
(S)-1-((2-(2’-クロロ-3’-(1,5-ジメチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-カルボキサミド)-2-メチルビフェニル-3-イル)-7-シアノベンゾ[d]オキサゾール-5-イル)メチル)ピロリジン-3-カルボン酸、またはその薬学的に許容される塩;
(R)-1-((2-(2’-クロロ-3’-(6-イソプロピル-4,5,6,7-テトラヒドロ-2H-ピラゾロ[3,4-c]ピリジン-2-イル)-2-メチルビフェニル-3-イル)-7-シアノベンゾ[d]オキサゾール-5-イル)メチル)ピロリジン-3-カルボン酸、またはその薬学的に許容される塩;
(S)-N-(2-クロロ-3’-(5-(2-ヒドロキシプロピル)-1-メチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-カルボキサミド)-2’-メチルビフェニル-3-イル)-5-イソプロピル-1-メチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-カルボキサミド、またはその薬学的に許容される塩;
シス-4-((2-((2,2’-ジクロロ-3’-(1-メチル-5-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-カルボキサミド)-[1,1’-ビフェニル]-3-イル)カルバモイル)-1-メチル-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-イル)メチル)シクロヘキサン-1-カルボン酸、またはその薬学的に許容される塩;
トランス-4-(2-(2-((2,2’-ジクロロ-3’-(5-(2-ヒドロキシエチル)-1-メチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-カルボキサミド)-[1,1’-ビフェニル]-3-イル)カルバモイル)-1-メチル-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-イル)エチル)シクロヘキサン-1-カルボン酸、またはその薬学的に許容される塩;
トランス-4-(2-(2-((2-クロロ-2’-メチル-3’-(1-メチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-カルボキサミド)-[1,1’-ビフェニル]-3-イル)カルバモイル)-1-メチル-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-イル)エチル)シクロヘキサン-1-カルボン酸、またはその薬学的に許容される塩;及び
シス-4-((2-(2-クロロ-3’-(5-(2-(エチル(メチル)アミノ)アセチル)-5,6-ジヒドロ-4H-ピロロ[3,4-d]チアゾール-2-イル)-2’-メチルビフェニル-3-イルカルバモイル)-1-メチル-6,7-ジヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5(4H)-イル)メチル)シクロヘキサン-1-カルボン酸、またはその薬学的に許容される塩。
【0068】
いくつかの実施形態では、PD-1/PD-L1の阻害剤が、例えば、WO2019/191707に開示されるような化合物から選択される。
(R)-1-((7-シアノ-2-(3’-(7-((3-ヒドロキシピロリジン-1-イル)メチル)-2-メチルピリド[3,2-d]ピリミジン-4-イルアミノ)-2,2’-ジメチルビフェニル-3-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-5-イル)メチル)ピペリジン-4-カルボン酸、またはその薬学的に許容される塩;
(R)-1-((7-シアノ-2-(3’-(7-(((S)-1-ヒドロキシプロパン-2-イルアミノ)メチル)-2-メチルピリド[3,2-d]ピリミジン-4-イルアミノ)-2,2’-ジメチルビフェニル-3-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-5-イル)メチル)ピロリジン-3-カルボン酸、またはその薬学的に許容される塩;
(R)-1-((7-シアノ-2-(3’-(2-(ジフルオロメチル)-7-((3-ヒドロキシピロリジン-1-イル)メチル)ピリド[3,2-d]ピリミジン-4-イルアミノ)-2,2’-ジメチルビフェニル-3-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-5-イル)メチル)ピペリジン-4-カルボン酸、またはその薬学的に許容される塩;
(R)-1-((7-シアノ-2-(3’-(2-(ジフルオロメチル)-7-((3-ヒドロキシピロリジン-1-イル)メチル)ピリド[3,2-d]ピリミジン-4-イルアミノ)-2,2’-ジメチルビフェニル-3-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-5-イル)メチル)-N,N-ジメチルピペリジン-4-カルボキサミド、またはその薬学的に許容される塩;
(R)-1-((7-シアノ-2-(3’-(2-シクロプロピル-7-(((R)-3-ヒドロキシピロリジン-1-イル)メチル)ピリド[3,2-d]ピリミジン-4-イルアミノ)-2,2’-ジメチルビフェニル-3-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-5-イル)メチル)ピロリジン-3-カルボン酸、またはその薬学的に許容される塩;及び
(R)-1-((7-シアノ-2-(3’-(3-(((R)-3-ヒドロキシピロリジン-1-イル)メチル)-6-メチル-1,7-ナフチリジン-8-イルアミノ)-2,2’-ジメチルビフェニル-3-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-5-イル)メチル)ピロリジン-3-カルボン酸、またはその薬学的に許容される塩。
【0069】
いくつかの実施形態では、PD-1/PD-L1の阻害剤が、例えば、WO2019/217821に開示されるような化合物から選択される。
4-(2-(2-((2,2’-ジクロロ-3’-(1-メチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-カルボキサミド)-[1,1’-ビフェニル]-3-イル)カルバモイル)-1-メチル-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-イル)エチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボン酸、またはその薬学的に許容される塩;
4-(2-(2-((3’-(5-((1H-ピラゾール-3-イル)メチル)-1-メチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-カルボキサミド)-2,2’-ジクロロ-[1,1’-ビフェニル]-3-イル)カルバモイル)-1-メチル-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-イル)エチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボン酸、またはその薬学的に許容される塩;
(R)-4-(2-(2-((2,2’-ジクロロ-3’-(5-(2-ヒドロキシプロピル)-1-メチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-カルボキサミド)-[1,1’-ビフェニル]-3-イル)カルバモイル)-1-メチル-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-イル)エチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボン酸、またはその薬学的に許容される塩;
4,4’-(((((2,2’-ジクロロ-[1,1’-ビフェニル]-3,3’-ジイル)ビス(アザネジイル))ビス(カルボニル))ビス(1-メチル-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2,5-ジイル))ビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボン酸)、またはその薬学的に許容される塩;
4-(2-(2-((2-クロロ-2’-メチル-3’-(1-メチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-カルボキサミド)-[1,1’-ビフェニル]-3-イル)カルバモイル)-1-メチル-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-イル)エチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボン酸、またはその薬学的に許容される塩;
4-(2-(2-((2,2’-ジメチル-3’-(1-メチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-カルボキサミド)-[1,1’-ビフェニル]-3-イル)カルバモイル)-1-メチル-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-イル)エチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボン酸、またはその薬学的に許容される塩;及び
4-(2-(2-((3’-(5-(トランス-4-カルボキシ-4-メチルシクロヘキシル)-1-メチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-カルボキサミド)-2,2’-ジクロロ-[1,1’-ビフェニル]-3-イル)カルバモイル)-1-メチル-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-イル)エチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボン酸、またはその薬学的に許容される塩。
【0070】
いくつかの実施形態では、PD-1/PD-L1の阻害剤は、ペムブロリズマブである。
【0071】
いくつかの実施形態では、PD-1/PD-L1の阻害剤は、ニボルマブである。
【0072】
いくつかの実施形態では、PD-1/PD-L1の阻害剤は、アテゾリズマブである。
【0073】
いくつかの実施形態では、PD-1/PD-L1の阻害剤は、抗体Xである。本明細書で使用される場合、抗体Xは、ヒトPD-1に結合するヒト化IgG4モノクローナル抗体である。WO2017019846のhPD-1mAb7(1.2)を参照されたい。これは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。成熟抗体X重鎖及び軽鎖のアミノ酸配列を以下に記載する。可変重(VH)ドメイン及び可変軽(VL)ドメインの相補性決定領域(CDR)1、2、及び3は、成熟VL及びVH配列のN末端からC末端までの順序で示され、両方とも下線及び太字である。以下に列挙する成熟重鎖(配列番号2)及び成熟軽鎖(配列番号3)からなる抗体は、抗体Xと称される。
【0074】
【0075】
【0076】
抗体Xの可変重(VH)ドメインは、以下のアミノ酸配列を有する。
【化8】
【0077】
抗体Xの可変軽(VL)ドメインは、以下のアミノ酸配列を有する。
【化9】
【0078】
抗体XのVH CDRのアミノ酸配列を以下に列挙する。
VH CDR1:SYWMN(配列番号6)、
VH CDR2:VIHPSDSETWLDQKFKD(配列番号7)、
VH CDR3:EHYGTSPFAY(配列番号8)
【0079】
抗体XのVL CDRのアミノ酸配列を以下に列挙する:
VL CDR1:RASESVDNYGMSFMNW(配列番号9)、
VL CDR2:AASNQGS(配列番号10)、及び
VL CDR3:QQSKEVPYT(配列番号11)。
【0080】
本明細書で使用される場合、「QD」は、対象に1日1回投与される投与量を意味すると解釈される。「QOD」は、対象に1日おきに1回投与される投与量を意味すると解釈される。「QW」は、対象に週に1回投与される投与量を意味すると解釈される。「Q2W」は、対象に2週に1回投与される投与量を意味すると解釈される。「Q3W」は、対象に3週に1回投与される投与量を意味すると解釈される。「Q4W」は、対象に4週に1回投与される投与量を意味すると解釈される。
【0081】
本明細書で使用される場合、量、投与量、時間的持続時間などの測定可能な値を指すときの「約」は、±10%の変動を包含することを意味する。特定の実施形態では、「約」は、指定された値からの±5%、±1%、または±0.1%の変動、及びその間の任意の変動を含み得、そのような変動は、開示された方法を実行するのに適切である。
【0082】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される化合物は、前述の化合物のうちの1つの(S)-エナンチオマー、またはその薬学的に許容される塩である。いくつかの実施形態では、化合物は、前述の化合物のうちの1つの(R)-エナンチオマー、またはその薬学的に許容される塩である。
【0083】
明確にするために、別個の実施形態と関連して記載される、本発明のある特定の特徴はまた、単一の実施形態では組み合わせて提供され得るとさらに理解される。逆に、簡潔性のために単一の実施形態の文脈において記載されている本発明の様々な特徴は、別々にまたは任意の好適な部分的組み合わせで提供することもできる。
【0084】
nが整数である「n員」という用語は典型的には、環形成原子の数がnである部位における環形成原子の数を表す。例えば、ピペリジニルは、6員ヘテロシクロアルキル環の例であり、ピラゾリルは、5員ヘテロアリール環の例であり、ピリジルは、6員ヘテロアリール環の例であり、1,2,3,4-テトラヒドロ-ナフタレンは、10員シクロアルキル基の例である。
【0085】
本明細書で使用される場合、「任意選択で置換される」という語句は、非置換または置換されていることを意味する。置換基は独立して選択され、置換は化学的に到達可能な任意の位置で行われてよい。本明細書で使用される場合、「置換される」という用語は、水素原子が除去され、置換基によって置き換えられることを意味する。単一の二価の置換基、例えば、オキソは、2つの水素原子を置き換えることができる。所与の原子での置換は原子価によって制限されることを理解されるべきである。
【0086】
本明細書で使用される場合、「各『変数』は、以下から独立して選択される」という語句は、「出現ごとに『変数』は、以下から選択される」ことと実質的に同じことを意味する。
【0087】
定義を通じて、「Cn~m」という用語は、端点を含む範囲を示し、n及びmは整数であり、炭素の数を示す。例としては、C1-3、C1-4、C1-6などが挙げられる。
【0088】
本明細書で使用される場合、単独でまたは他の用語と組み合わせて用いられる「Cn-mアルキル」という用語は、n~m個の炭素を有する、直鎖または分岐であり得る飽和炭化水素基を指す。アルキル部分の例としては、メチル(Me)、エチル(Et)、n-プロピル(n-Pr)、イソプロピル(iPr)、n-ブチル、tert-ブチル、イソブチル、sec-ブチル等の化学基、2-メチル-1-ブチル、n-ペンチル、3-ペンチル、n-ヘキシル、1,2,2-トリメチルプロピル等の高級同族体等が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、アルキル基は、1~6個の炭素原子、1~4個の炭素原子、1~3個の炭素原子、または1~2個の炭素原子を含有する。
【0089】
本明細書で使用される場合、単独でまたは他の用語と組み合わせて用いられる「Cn~mアルコキシ」という用語は、式-O-アルキルの基を指し、アルキル基がn~m個の炭素を有する。例となるアルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ(例えば、n-プロポキシ及びイソプロポキシ)、ブトキシ(例えば、n-ブトキシ及びtert-ブトキシ)等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0090】
本明細書で使用される場合、単独でまたは他の用語と組み合わせて用いられる「アリール」という用語は、単環式または多環式(例えば、2、3、または4つの縮合環を有する)であり得る、芳香族炭化水素基を指す。「Cn~mアリール」という用語は、n~m個の環炭素原子を有するアリール基を指す。アリール基としては、例えば、フェニル、ナフチル、アントラセニル、フェナントレニル、インダニル、インデニルなどが挙げられる。いくつかの実施形態では、アリール基は、5~10個の炭素原子を有する。いくつかの実施形態では、アリール基は、フェニルまたはナフチルである。いくつかの実施形態では、アリールは、フェニル(すなわち、C6アリール)である。
【0091】
本明細書で使用される場合、「ハロ」または「ハロゲン」は、F、Cl、Br、またはIを指す。いくつかの実施形態では、ハロは、F、Cl、またはBrである。いくつかの実施形態では、ハロは、FまたはClである。いくつかの実施形態では、ハロは、Fである。いくつかの実施形態では、ハロは、Clである。
【0092】
本明細書で使用される場合、単独でまたは他の用語と組み合わせて用いられる「Cn~mハロアルキル」という用語は、1個のハロゲン原子から2s+1個のハロゲン原子(同じであっても異なっていてもよい)を有するアルキル基を指し、「s」はアルキル基中の炭素原子の数であり、アルキル基はn~m個の炭素原子を有する。いくつかの実施形態では、ハロアルキル基は、フッ素化のみされている。いくつかの実施形態では、アルキル基は、1~6個、1~4個、または1~3個の炭素原子を有する。例示的なハロアルキル基としては、CF3、C2F5、CHF2、CH2F、CCl3、CHCl2、C2Cl5などが挙げられる。
【0093】
本明細書で使用される場合、「シクロアルキル」は、環化アルキル及びアルケニル基を含む、非芳香族環式炭化水素を指す。シクロアルキル基としては、単環式または多環式(例えば、2個の縮合環を有する)基、スピロ環、及び架橋環(例えば、架橋ビシクロアルキル基)が挙げられ得る。シクロアルキル基の環形成炭素原子は、オキソまたはスルフィド(例えば、C(O)またはC(S))によって任意選択で置換されていてもよい。またシクロアルキルの定義には、シクロアルキル環に縮合した(すなわち、それと共通の結合を有する)1つ以上の芳香環を有する部分、例えば、シクロペンタン、シクロヘキサンなどのベンゾまたはチエニル誘導体が含まれる。縮合芳香環を含むシクロアルキル基は、縮合芳香環の環形成原子を含む任意の環形成原子を介して結合することができる。シクロアルキル基は、3、4、5、6、7、8、9、または10個の環形成炭素(すなわち、C3-10)を有してもよい。いくつかの実施形態では、シクロアルキルは、C3-10の単環式または二環式のシクロアルキルである。いくつかの実施形態では、シクロアルキルは、C3-7単環式シクロアルキルである。いくつかの実施形態では、シクロアルキルは、C4-7の単環式のシクロアルキルである。いくつかの実施形態では、シクロアルキルは、C4-10スピロ環または架橋シクロアルキル(例えば、架橋ビシクロアルキル基)である。シクロアルキル基の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘキサジエニル、シクロヘプタトリエニル、ノルボルニル、ノルピニル、ノルカルニル、キュバン、アダマンタン、ビシクロ[1.1.1]ペンチル、ビシクロ[2.1.1]ヘキシル、ビシクロ[2.2.1]ヘプタニル、ビシクロ[3.1.1]ヘプタニル、ビシクロ[2.2.2]オクタニル、スピロ[3.3]ヘプタニルなどが挙げられる。いくつかの実施形態では、シクロアルキルは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、またはシクロヘキシルである。
【0094】
本明細書で使用される場合、「ヘテロアリール」は、N、O、S、及びBから選択される少なくとも1つのヘテロ原子環員を有する、単環式または多環式(例えば、2個の縮合環を有する)の芳香族複素環を指す。いくつかの実施形態では、ヘテロアリール環は、N、O、S、及びBから独立して選択される1、2、3、または4個のヘテロ原子環員を有する。いくつかの実施形態では、ヘテロアリール部分における任意の環形成Nは、N-オキシドであり得る。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールは、N、O、S、及びBから独立して選択される1、2、3、または4個のヘテロ原子環員を有する、5~10員の単環式または二環式のヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールは、N、O、及びSから独立して選択される1、2、3、または4個のヘテロ原子環員を有する、5~10員の単環式または二環式のヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールは、N、O、S、及びBから独立して選択される1または2個のヘテロ原子環員を有する、5~6員の単環式のヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールは、N、O、及びSから独立して選択される1つまたは2つのヘテロ原子環員を有する、5~6単環式ヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、ヘテロアリール基は、3~10、4~10、5~10、5~7、3~7、または5~6個の環形成原子を含む。いくつかの実施形態では、ヘテロアリール基は、1~4個の環形成ヘテロ原子、1~3個の環形成ヘテロ原子、1~2個の環形成ヘテロ原子、または1個の環形成ヘテロ原子を有する。ヘテロアリール基が1個を超えるヘテロ原子環員を含む場合、ヘテロ原子は同じでも異なっていてもよい。ヘテロアリール基の例としては、チエニル(またはチオフェニル)、フリル(またはフラニル)、ピロリル、イミダゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、ピラゾリル、イソチアゾリル、イソキサゾリル、1,2,3-トリアゾリル、テトラゾリル、1,2,3-チアジアゾリル、1,2,3-オキサジアゾリル、1,2,4-トリアゾリル、1,2,4-チアジアゾリル、1,2,4-オキサジアゾリル、1,3,4-トリアゾリル、1,3,4-チアジアゾリル、1,3,4-オキサジアゾリル、及び1,2-ジヒドロ-1,2-アザボリン、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、アゾリル、トリアゾリル、チアジアゾリル、キノリニル、イソキノリニル、インドリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾフラニル、ベンズイソキサゾリル、イミダゾ[1、2-b]チアゾリル、プリニル、トリアジニル、チエノ[3,2-b]ピリジニル、イミダゾ[1,2-a]ピリジニル、1,5-ナフチリジニル、1H-ピラゾロ[4,3-b]ピリジニル、トリアゾロ[4,3-a]ピリジニル、1H-ピロロ[3,2-b]ピリジニル、1H-ピロロ[2,3-b]ピリジニル、ピラゾロ[1,5-a]ピリジニル、インダゾリルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0095】
本明細書で使用される場合、「ヘテロシクロアルキル」は、少なくとも1つの非芳香族環(飽和または部分不飽和環)を有する単環式または多環式の複素環を指し、ヘテロシクロアルキルの環形成炭素原子のうちの1個以上は、N、O、S、及びBから選択されるヘテロ原子によって置き換えられており、ヘテロシクロアルキル基の環形成炭素原子及びヘテロ原子は、1個以上のオキソまたはスルフィド(例えば、C(O)、S(O)、C(S)、またはS(O)2など)によって任意選択で置換されていてもよい。ヘテロシクロアルキル基の環形成炭素原子またはヘテロ原子が任意選択で1つまたは複数のオキソまたは硫化物で置換される場合、上記基のOまたはSは、本明細書で指定される環形成原子の数に追加される(例えば、1-メチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリダジン-3-イルは6員ヘテロシクロアルキル基であり、環形成炭素原子がオキソ基で置換されており、6員ヘテロシクロアルキル基がさらにメチル基で置換されている)。ヘテロシクロアルキル基としては、単環式及び多環式(例えば、2つの縮合環を有する)系が挙げられる。ヘテロシクロアルキルには、単環式及び多環式の3~10員、4~10員、5~10員、4~7員、5~7員、または5~6員のヘテロシクロアルキル基が含まれる。ヘテロシクロアルキル基にはまた、スピロ環及び架橋環(例えば、N、O、S、及びBから独立して選択されるヘテロ原子によって置き換えられた1つ以上の環形成炭素原子を有する5~10員架橋ビヘテロシクロアルキル環)が含まれ得る。ヘテロシクロアルキル基は、環形成炭素原子または環形成ヘテロ原子を介して結合することができる。いくつかの実施形態では、ヘテロシクロアルキル基は、0~3つの二重結合を含有する。いくつかの実施形態では、ヘテロシクロアルキル基は、0~2つの二重結合を含有する。
【0096】
ヘテロシクロアルキルの定義にはまた、非芳香族複素環式環、例えば、ピペリジン、モルホリン、アゼピンなどのベンゾまたはチエニル誘導体に縮合した(すなわち、それと共通の結合を有する)1つ以上の芳香環を有する部分も含まれる。縮合芳香環を含むヘテロシクロアルキル基は、縮合芳香環の環形成原子を含む任意の環形成原子を介して結合することができる。
【0097】
いくつかの実施形態では、ヘテロシクロアルキル基は、3~10個の環形成原子、4~10個の環形成原子、3~7個の環形成原子、または5~6個の環形成原子を含む。いくつかの実施形態では、ヘテロシクロアルキル基は、1~4個のヘテロ原子、1~3個のヘテロ原子、1~2個のヘテロ原子または1個のヘテロ原子を有する。いくつかの実施形態では、ヘテロシクロアルキルは、N、O、S、及びBから独立して選択される1または2個のヘテロ原子を有し、かつ1個以上の酸化環員を有する、単環式4~6員ヘテロシクロアルキルである。いくつかの実施形態では、ヘテロシクロアルキルは、N、O、S、及びBから独立して選択される1、2、3、または4個のヘテロ原子を有し、かつ1個以上の酸化環員を有する、単環式または二環式の5~10員ヘテロシクロアルキルである。いくつかの実施形態では、ヘテロシクロアルキルは、N、O、及びSから独立して選択される1、2、3、または4個のヘテロ原子を有し、かつ1個以上の酸化環員を有する単環式または二環式の5~10員ヘテロシクロアルキルである。いくつかの実施形態では、ヘテロシクロアルキルは、N、O、及びSから独立して選択される1、2、3、または4個のヘテロ原子を有し、かつ1個以上の酸化環員を有する単環式の5~6員ヘテロシクロアルキルである。
【0098】
例示的なヘテロシクロアルキル基としては、ピロリジン-2-オン(または2-オキソピロリジニル)、1,3-イソオキサゾリジン-2-オン、ピラニル、テトラヒドロピラン、オキセタニル、アゼチジニル、モルホリノ、チオモルホリノ、ピペラジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、ピペリジニル、ピロリジニル、イソオキサゾリジニル、イソチアゾリジニル、ピラゾリジニル、オキサゾリジニル、チアゾリジニル、イミダゾリジニル、アゼパニル、1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン、ベンズアザペン、アザビシクロ[3.1.0]ヘキサニル、ジアザビシクロ[3.1.0]ヘキサニル、オキソビシクロ[2.1.1]ヘキサニル、アザビシクロ[2.2.1]ヘプタニル、ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプタニル、アザビシクロ[3.1.1]ヘプタニル、ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタニル、アザビシクロ[3.2.1]オクタニル、ジアザビシクロ[3.2.1]オクタニル、オキソビシクロ[2.2.2]オクタニル、アザビシクロ[2.2.2]オクタニル、アザアダマンタニル、ジアザアダマンタニル、オキソ-アダマンタニル、アザスピロ[3.3]ヘプタニル、ジアザスピロ[3.3]ヘプタニル、オキソ-アザスピロ[3.3]ヘプタニル、アザスピロ[3.4]オクタニル、ジアザスピロ[3.4]オクタニル、オキソ-アザスピロ[3.4]オクタニル、アザスピロ[2.5]オクタニル、ジアザスピロ[2.5]オクタニル、アザスピロ[4.4]ノナニル、ジアザスピロ[4.4]ノナニル、オキソ-アザスピロ[4.4]ノナニル、アザスピロ[4.5]デカニル、ジアザスピロ[4.5]デカニル、ジアザスピロ[4.4]ノナニル、オキソ-ジアザスピロ[4.4]ノナニル、オキソ-ジヒドロピリダジニル、オキソ-2,6-ジアザスピロ[3.4]オクタニル、オキソヘキサヒドロピロロ[1,2a]ピラジニル、3-オキソピペラジニル、オキソ-ピロリジニル、オキソ-ピラジニルなどが挙げられる。例えば、ヘテロシクロアルキル基には、次の基が含まれる(N-メチル置換がある場合とない場合):
【化10】
【0099】
本明細書で使用される場合、「Co~pシクロアルキル-Cn~mアルキル-」は、式シクロアルキル-アルキレン-の基を指し、シクロアルキルはo~p個の炭素原子を有し、アルキレン連結基はn~m個の炭素原子を有する。
【0100】
本明細書で使用される場合、「Co~pアリール-Cn~mアルキル-」は、式アリール-アルキレン-の基を指し、アリールはo~p個の炭素原子を有し、アルキレン連結基はn~m個の炭素原子を有する。
【0101】
本明細書で使用される場合、「ヘテロアリール-Cn~mアルキル-」は、式ヘテロアリール-アルキレン-の基を指し、アルキレン連結基はn~m個の炭素原子を有する。
【0102】
本明細書で使用される場合、「ヘテロシクロアルキル-Cn-mアルキル-」は、式ヘテロシクロアルキル-アルキレン-の基を指し、式中、アルキレン連結基は、n~m個の炭素原子を有する。
【0103】
ある特定の箇所では、定義または実施形態は、具体的な環(例えば、アゼチジン環、ピリジン環等)を指す。特に明記されていない限り、これらの環は、原子の原子価を超えない限り、任意の環員に取り付けることができる。例えば、アゼチジン環は、環の任意の位置で結合されてよく、これに対してピリジン-3-イル環は3位で結合される。
【0104】
本明細書で使用される場合、「オキソ」という用語は、炭素に結合した場合はカルボニル基(例えば、C=OもしくはC(O))を形成するか、または窒素もしくは硫黄ヘテロ原子に結合して、ニトロソ、スルフィニルもしくはスルホニル基を形成する、二価置換基としての酸素原子(すなわち、=O)を指す。
【0105】
本明細書で使用される場合、「から独立して選択される」という用語は、変数または置換基の各出現が、適用可能な一覧から出現ごとに独立して選択されることを意味する。
【0106】
本明細書に記載される化合物は、非対称(例えば、1つ以上の立体中心を有する)であり得る。エナンチオマーやジアステレオマーなどの全ての立体異性体は、特に明記されていない限り意図されている。非対称に置換された原子を含有する本開示の化合物は、光学的活性形態、またはラセミ形態で単離され得る。光学的に不活性な出発材料から光学活性形態を調製する方法は、ラセミ混合物の分割または立体選択的合成によるものなど、当該技術分野において既知である。オレフィン、C=N二重結合等の多くの幾何異性体もまた、本明細書に記載される化合物中に存在することができ、全てのそのような安定した異性体が本発明において企図される。本開示の化合物のシス及びトランスの幾何異性体が記載され、異性体の混合物として、または分離された異性体形態として単離され得る。いくつかの実施形態では、化合物は、(R)配置を有する。いくつかの実施形態では、化合物は(S)-配置を有する。本明細書に提供される式(例えば、式(I)、(II)等)は、該化合物の立体異性体を含む。
【0107】
化合物のラセミ混合物の分割は、当該技術分野で周知である多数の方法のいずれかによって実行され得る。例示的な方法としては、光学活性の塩形成有機酸であるキラル分割酸を用いた分別再結晶が挙げられる。分別再結晶法に適する分割剤は、例えば、D及びL型の酒石酸、ジアセチル酒石酸、ジベンゾイル酒石酸、マンデル酸、リンゴ酸、乳酸などの光学活性酸、またはβ-カンファースルホン酸などの様々な光学活性カンファースルホン酸である。分別結晶法に適する他の分割剤としては、立体異性的に純粋な形態のα-メチルベンジルアミン(例えば、S型及びR型、またはジアステレオマー的に純粋な形態)、2-フェニルグリシノール、ノルエフェドリン、エフェドリン、N-メチルエフェドリン、シクロヘキシルエチルアミン、1,2-ジアミノシクロヘキサンなどが挙げられる。
【0108】
ラセミ混合物の分割は、光学活性分割剤(例えば、ジニトロベンゾイルフェニルグリシン)が充填されたカラムでの溶出によって実施することもできる。好適な溶出溶媒組成物は、当業者によって決定され得る。
【0109】
本明細書に記載される化合物には、互変異性の形態も含まれる。互変異性の形態は、隣接する二重結合と単結合の交換と、同時にプロトンが移動することによって得られる。互変異性形態には、同じ実験式及び総電荷を有する異性体のプロトン化状態であるプロトトロピック互変異性体が含まれる。プロトトロピック互変異性体の例には、ケトン-エノール対、アミド-イミド酸対、ラクタム-ラクチム対、エナミン-イミン対ならびにプロトンがヘテロ環系の2つ以上の位置を占めることが可能な環状形態、例えば、1H-イミダゾール、及び3H-イミダゾール、1H-1,2,4-トリアゾール、2H-1,2,4-トリアゾール、及び4H-1,2,4-トリアゾール、1H-イソインドール及び2H-イソインドール、2-ヒドロキシピリジン及び2-ピリドン、ならびに1H-ピラゾール及び2H-ピラゾールが含まれる。互変異性型は平衡状態であり得るか、または適切な置換によって1つの形態に立体的に固定され得る。
【0110】
全ての化合物及びその薬学的に許容可能な塩は、水及び溶媒などの他の物質と一緒に確認され得る(例えば、水和物及び溶媒和物)または、単離され得る。
【0111】
いくつかの実施形態では、化合物の調製は、例えば、所望の反応の触媒作用または酸付加塩などの塩形態の形成に影響を及ぼすような酸または塩基の添加を含み得る。
【0112】
いくつかの実施形態では、本明細書において記載される化合物またはその塩は、実質的に単離される。「実質的に単離されている」とは、化合物が形成または検出された環境から化合物が少なくとも部分的に、または実質的に分離されていることを意味する。部分的な分離は、例えば、本明細書に記載の化合物が濃縮された組成物を含むことができる。実質的な分離には、本明細書において記載される化合物またはその塩の少なくとも約50重量%、少なくとも約60重量%、少なくとも約70重量%、少なくとも約80重量%、少なくとも約90重量%、少なくとも約95重量%、少なくとも約97重量%、または少なくとも約99重量%を含有する組成物が含まれ得る。化合物及びそれらの塩を単離する方法は、当該技術分野において日常的なものである。
【0113】
「化合物」という用語は、本明細書で使用される場合、図示される構造の全ての立体異性体、幾何異性体、互変異性体、及び同位体を含むことを意味する。特定の1つの互変異性の形態として名前また構造で特定されている本明細書の化合物は、他に特定されていない限り、他の互変異性の形態を含むように意図される。
【0114】
「薬学的に許容される」という語句は、適切な医学的判断の範囲内でヒト及び動物の組織と接触させて使用するのに好適であり、過度の毒性、刺激、アレルギー応答、または他の問題もしくは合併症を伴うことなく、妥当な利益/リスク比に見合うような化合物、物質、組成物、及び/または剤形を指すために本明細書で用いられる。
【0115】
本願はまた、本明細書に記載される化合物の薬学的に許容される塩も含む。本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される塩」は、既存の酸または塩基部分をその塩形態に変換することによって親化合物が改変されている、開示される化合物の誘導体を指す。薬学的に許容される塩の例としては、アミンなどの塩基性残基の無機塩または有機酸塩、カルボン酸などの酸性残基のアルカリ塩または有機塩などが挙げられる、これらに限定されない。本開示の薬学的に許容可能な塩には、例えば、非毒性の無機酸または有機酸から形成される親化合物の従来の非毒性塩が含まれる。本開示の薬学的に許容される塩は、従来の化学的方法により、塩基性部分または酸性部分を含有する親化合物から合成することができる。一般に、そのような塩は、水中もしくは有機溶媒中、またはその2つの混合物中で、化学量論的量の適切な塩基または酸と、これらの化合物の遊離酸または塩基形態を反応させることにより調製することができ、一般に、エーテル、酢酸エチル、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、もしくはブタノール)またはアセトニトリル(ACN)のような非水性培地が好ましい。好適な塩の一覧は、Remington’s Pharmaceutical Sciences,17th ed.,Mack Publishing Company,Easton,Pa.,1985,p.1418 and Journal of Pharmaceutical Science,66,2(1977)に見出され、その各々の全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0116】
本明細書に記載の化合物は、その塩を含めて、既知の有機合成技術を使用して調製することができ、多数の可能な合成経路のうちのいずれかに従って合成することができる。
【0117】
本明細書に記載の化合物を調製するための反応は、有機合成の当業者により容易に選択され得る好適な溶媒中で実施することができる。好適な溶媒は、反応が実施される温度、例えば、溶媒の凍結温度から溶媒の沸騰温度の範囲であり得る温度で、出発物質(反応物)、中間体または生成物と実質的に非反応性であり得る。所与の反応は、1つの溶媒または2つ以上の溶媒の混合物中で実施され得る。特定の反応工程に応じて、特定の反応工程に好適な溶媒が当業者によって選択され得る。
【0118】
本明細書に記載の化合物の調製は、種々の化学基の保護及び脱保護を伴い得る。保護及び脱保護の必要性、ならびに適切な保護基の選択は、当業者により容易に決定され得る。保護基の化学的性質については、例えば、T.W.Greene,and P.G.M.Wuts,Protective Groups in Organic Synthesis,3rd Ed.,Wiley & Sons,Inc.,New York(1999)に見出すことができ、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0119】
反応は、当該技術分野で既知の任意の好適な方法に従ってモニターすることができる。例えば、生成物の形成は、核磁気共鳴分光法(例えば、1Hまたは13C)、赤外分光法、分光光度法(例えば、紫外可視)等の分光手段、質量分析法によって、または高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、液体クロマトグラフィー-質量分光法(LCMS)、もしくは薄層クロマトグラフィー(TLC)等のクロマトグラフ方法によってモニターすることができる。化合物は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)(「Preparative LC-MS Purification:Improved Compound Specific Method Optimization(分取LC-MS精製:化合物固有のメソッド最適化の改善)」 Karl F.Blom,et al.J.Combi.Chem.2004,6(6),874-883、これは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)及び順相シリカクロマトグラフィーを含む、種々の方法によって、当業者により精製することができる。
【0120】
本明細書に記載の化合物は、例えば、A2A/A2Bを含む様々なGPCRのうちの1つまたは複数の活性を調節することができる。「変調する」という用語は、A2A/A2Bファミリーの1つまたは複数のメンバーの活動を増加または減少させる能力を指すことを意味する。したがって、本明細書に記載の化合物は、A2A/A2Bを本明細書に記載の化合物または組成物のいずれか1つまたは複数と接触させることによってA2A/A2Bを調節する方法で使用することができる。いくつかの実施形態では、本発明の化合物は、A2A及びA2Bの一方または両方の阻害剤として作用することができる。さらなる実施形態では、本明細書に記載の化合物は、本明細書に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩の調節量を投与することにより、受容体の調節を必要とする個体における。A2A/A2Bの活性を調節するために使用することができる。いくつかの実施形態では、調節は、阻害である。
【0121】
癌細胞の成長及び生存が複数のシグナル伝達経路によって影響を受けることを考えると、本発明は、薬剤耐性変異体によって特徴付けられる病状を治療するために有用である。さらに、それらが活性を調節するGPCRにおいて異なる選好を示す異なるGPCR阻害剤を組み合わせて使用することができる。このアプローチは、複数のシグナル伝達経路を標的とすることで病状を治療するのに非常に効率的であり、細胞内で薬剤耐性が生じる可能性を減らし、病気の治療の毒性を減らすことができる。
【0122】
本化合物が結合及び/または調節する(例えば、阻害する)GPCRには、A2A/A2Bファミリーの任意のメンバーが含まれる。
【0123】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される2つ以上の化合物は、1つのGPCR(例えば、A2A)の活性を阻害するために使用される。
【0124】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される2つ以上の化合物は、少なくとも2つのGPCR(例えば、A2A及びA2B)などの2つ以上のGPCRを阻害するために使用される。
【0125】
いくつかの実施形態では、1つ以上の化合物は、別のGPCRアンタゴニストと組み合わせて使用されて、1つのGPCR(例えば、A2AまたはA2B)の活性を阻害する。
【0126】
本明細書に記載のA2A/A2Bの阻害剤は選択的であり得る。「選択的」とは、化合物が、少なくとも1つの他のGPCRと比較して、それぞれ、より大きい親和性または効力でGPCRに結合するか、またはそれを阻害することを意味する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物は、A2AまたはA2Bの選択的阻害剤である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物は、A2Aの選択的阻害剤(例えば、A2Bを上回る)である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物は、A2Bの選択的阻害剤(例えば、A2Aを上回る)である。いくつかの実施形態では、選択性は、少なくとも約2倍、5倍、10倍、少なくとも約20倍、少なくとも約50倍、少なくとも約100倍、少なくとも約200倍、少なくとも約500倍または少なくとも約1000倍であり得る。選択性は、当該技術分野で日常的な方法によって測定することができる。いくつかの実施形態では、選択性は、各GPCRに対する生化学的親和性で試験することができる。いくつかの実施形態では、本開示の化合物の選択性は、特定のA2A/A2B GPCR活性に関連する細胞アッセイによって決定することができる。
【0127】
本明細書で使用される場合、「接触させること」という用語は、インビトロ系またはインビボ系にて、示された部分を一緒にすることを指す。例えば、A2A/A2Bを本明細書に記載の化合物と「接触させること」は、本発明の化合物を、A2A/A2Bを有するヒト等の個体または患者に投与すること、及び例えば、A2A/A2Bを含む細胞調製物または精製された調製物を含む試料へ本明細書に記載の化合物を導入することを含む。
【0128】
本明細書で使用される場合、互換的に使用される「個体」または「患者」という用語は、哺乳動物を含む任意の動物、好ましくはマウス、ラット、他の齧歯類、ウサギ、イヌ、ネコ、ブタ、ウシ、ヒツジ、ウマ、または霊長類、最も好ましくはヒトを指す。
【0129】
本明細書で使用される場合、「治療上有効量」という語句は、研究者、獣医、医師、または他の臨床医が組織、系、動物、個体、またはヒトにおいて求めている生物学的または医薬的応答を引き出す、活性化合物または医薬品の量を指す。
【0130】
本明細書で使用される場合、「治療すること」または「治療」という用語は、(1)疾患を予防すること、例えば、疾患、状態、または障害の素因がある可能性があるが、疾患の病態または症状をまだ経験または示していない個人の疾患、状態、または障害を予防すること、(2)疾患を阻害すること、例えば、疾患、状態または障害の病態または症状を経験または示している個体における疾患、状態または障害を阻害すること(すなわち、病態及び/または症状のさらなる進行を阻止すること)、及び(3)疾患を寛解すること、例えば、疾患、状態または障害の病態または症状を経験または示している個体における疾患、状態または障害を寛解すること(すなわち、病態及び/または症状を逆転すること)、例えば、疾患の重症度を低下させること、のうちの1つまたは複数を指す。いくつかの実施形態では、「治療すること」または「治療」という用語は、疾患を阻害または寛解することを指す。
【0131】
投薬及び投与経路
いくつかの実施形態では、A2A/A2Bの阻害剤またはその薬学的に許容可能な塩は、遊離塩基基準で、約0.1mg~約1000mgの投与量で対象に投与される。いくつかの実施形態では、A2A/A2Bの阻害剤またはその薬学的に許容可能な塩は、遊離塩基基準で、約1mg~約500mgの投与量で対象に投与される。いくつかの実施形態では、A2A/A2Bの阻害剤またはその薬学的に許容可能な塩は、遊離塩基基準で、約5mg~約250mgの投与量で対象に投与される。いくつかの実施形態では、A2A/A2Bの阻害剤またはその薬学的に許容可能な塩は、遊離塩基基準で、約10mg~約100mgの投与量で対象に投与される。
【0132】
いくつかの実施形態では、A2A/A2Bの阻害剤、またはその薬学的に許容される塩は、遊離塩基基準で、約0.5mg、約1mg、約5mg、約10mg、約15mg、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、約50mg、約55mg、約60mg、約65mg、約70mg、約75mg、約80mg、約85mg、約90mg、約95mg、約100mg、約105mg、約110mg、約115mg、約120mg、約125mg、約130mg、約135mg、約140mg、約145mg、約150mg、約155mg、約160mg、約165mg、約170mg、約175mg、約180mg、約185mg、約190mg、約195mg、約200mg、約205mg、約210mg、約215mg、約220mg、約225mg、約230mg、約235mg、約240mg、約245mg、約250mg、約255mg、約260mg、約265mg、約270mg、約275mg、約280mg、約285mg、約290mg、約295mg、約300mg、約305mg、約310mg、約315mg、約320mg、約325mg、約330mg、約335mg、約340mg、約345mg、約350mg、約355mg、約360mg、約365mg、約370mg、約375mg、約380mg、約385mg、約390mg、約395mg、約400mg、約405mg、約410mg、約415mg、約420mg、約425mg、約430mg、約435mg、約440mg、約445mg、約450mg、約455mg、約460mg、約465mg、約470mg、約475mg、約480mg、約485mg、約490mg、約495mg、約500mg、約505mg、約510mg、約515mg、約520mg、約525mg、約530mg、約535mg、約540mg、約545mg、約550mg、約555mg、約560mg、約565mg、約570mg、約575mg、約580mg、約585mg、約590mg、約595mg、約600mg、約605mg、約610mg、約615mg、約620mg、約625mg、約630mg、約635mg、約640mg、約645mg、約650mg、約655mg、約660mg、約665mg、約670mg、約675mg、約680mg、約685mg、約690mg、約695mg、約700mg、約705mg、約710mg、約715mg、約720mg、約725mg、約730mg、約735mg、約740mg、約745mg、約750mg、約755mg、約760mg、約765mg、約770mg、約775mg、約780mg、約785mg、約790mg、約795mg、約800mg、約805mg、約810mg、約815mg、約820mg、約825mg、約830mg、約835mg、約840mg、約845mg、約850mg、約855mg、約860mg、約865mg、約870mg、約875mg、約880mg、約885mg、約890mg、約895mg、約900mg、約905mg、約910mg、約915mg、約920mg、約925mg、約930mg、約935mg、約940mg、約945mg、約950mg、約955mg、約960mg、約965mg、約970mg、約975mg、約980mg、約985mg、約990mg、約995mg、及び約1000mgから選択される投与量で対象に投与される。いくつかの実施形態では、A2A/A2Bの阻害剤、またはその薬学的に許容される塩は、遊離塩基基準で、約0.1mg~約500mgの範囲の投与量またはそれらの間の任意の投与量値で対象に投与される。いくつかの実施形態では、A2A/A2Bの阻害剤、またはその薬学的に許容可能な塩は、遊離塩基基準で、約1mg~約100mgの範囲の投与量またはそれらの間の任意の投与量値で対象に投与される。
【0133】
いくつかの実施形態では、A2A/A2Bの阻害剤、またはその薬学的に許容される塩は、1日1回、1日おきに、週に1回、またはその間の任意の時間間隔で対象に投与される。いくつかの実施形態では、A2A/A2Bの阻害剤、またはその薬学的に許容される塩は、1日1回対象に投与される。いくつかの実施形態では、A2A/A2Bの阻害剤、またはその薬学的に許容される塩は、1日おきに対象に投与される。いくつかの実施形態では、A2A/A2Bの阻害剤、またはその薬学的に許容される塩は、週に1回対象に投与される。
【0134】
いくつかの実施形態では、投与量のそれぞれは、単一の、1日1回の投与量として投与される。いくつかの実施形態では、投与量のそれぞれは、単一の、1日1回の経口投与量として投与される。
【0135】
いくつかの実施形態では、PD-1/PD-L1の阻害剤、またはその薬学的に許容可能な塩は、遊離塩基基準で、約0.1mg~約1000mgの投与量で対象に投与される。いくつかの実施形態では、PD-1/PD-L1の阻害剤、またはその薬学的に許容可能な塩は、遊離塩基基準で、約1mg~約500mgの投与量で対象に投与される。いくつかの実施形態では、PD-1/PD-L1の阻害剤、またはその薬学的に許容可能な塩は、遊離塩基基準で、約5mg~約250mgの投与量で対象に投与される。いくつかの実施形態では、PD-1/PD-L1の阻害剤、またはその薬学的に許容可能な塩は、遊離塩基基準で、約10mg~約100mgの投与量で対象に投与される。
【0136】
いくつかの実施形態では、PD-1/PD-L1の阻害剤、またはその薬学的に許容される塩は、遊離塩基基準で、約0.5mg、約1mg、約5mg、約10mg、約15mg、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、約50mg、約55mg、約60mg、約65mg、約70mg、約75mg、約80mg、約85mg、約90mg、約95mg、約100mg、約105mg、約110mg、約115mg、約120mg、約125mg、約130mg、約135mg、約140mg、約145mg、約150mg、約155mg、約160mg、約165mg、約170mg、約175mg、約180mg、約185mg、約190mg、約195mg、約200mg、約205mg、約210mg、約215mg、約220mg、約225mg、約230mg、約235mg、約240mg、約245mg、約250mg、約255mg、約260mg、約265mg、約270mg、約275mg、約280mg、約285mg、約290mg、約295mg、約300mg、約305mg、約310mg、約315mg、約320mg、約325mg、約330mg、約335mg、約340mg、約345mg、約350mg、約355mg、約360mg、約365mg、約370mg、約375mg、約380mg、約385mg、約390mg、約395mg、約400mg、約405mg、約410mg、約415mg、約420mg、約425mg、約430mg、約435mg、約440mg、約445mg、約450mg、約455mg、約460mg、約465mg、約470mg、約475mg、約480mg、約485mg、約490mg、約495mg、約500mg、約505mg、約510mg、約515mg、約520mg、約525mg、約530mg、約535mg、約540mg、約545mg、約550mg、約555mg、約560mg、約565mg、約570mg、約575mg、約580mg、約585mg、約590mg、約595mg、約600mg、約605mg、約610mg、約615mg、約620mg、約625mg、約630mg、約635mg、約640mg、約645mg、約650mg、約655mg、約660mg、約665mg、約670mg、約675mg、約680mg、約685mg、約690mg、約695mg、約700mg、約705mg、約710mg、約715mg、約720mg、約725mg、約730mg、約735mg、約740mg、約745mg、約750mg、約755mg、約760mg、約765mg、約770mg、約775mg、約780mg、約785mg、約790mg、約795mg、約800mg、約805mg、約810mg、約815mg、約820mg、約825mg、約830mg、約835mg、約840mg、約845mg、約850mg、約855mg、約860mg、約865mg、約870mg、約875mg、約880mg、約885mg、約890mg、約895mg、約900mg、約905mg、約910mg、約915mg、約920mg、約925mg、約930mg、約935mg、約940mg、約945mg、約950mg、約955mg、約960mg、約965mg、約970mg、約975mg、約980mg、約985mg、約990mg、約995mg、及び約1000mgから選択される投与量で対象に投与される。いくつかの実施形態では、PD-1/PD-L1の阻害剤、またはその薬学的に許容される塩は、遊離塩基基準で、約0.1mg~約500mgの範囲の投与量、またはその間の任意の投与量値で対象に投与される。いくつかの実施形態では、PD-1/PD-L1の阻害剤、またはその薬学的に許容可能な塩は、遊離塩基基準で、約1mg~約100mgの投与量、またはその間の任意の投与量値で対象に投与される。
【0137】
いくつかの実施形態では、PD-1/PD-L1の阻害剤は、約1mg/kg~約10mg/kgの投与量で対象に投与される。いくつかの実施形態では、PD-1/PD-L1の阻害剤は、約2mg/kg、約3mg/kg、約4mg/kg、約5mg/kg、約6mg/kg、約7mg/kg、約8mg/kg、約9mg/kg、または約10mg/kgの投与量で対象に投与される。いくつかの実施形態では、PD-1/PD-L1の阻害剤は、約200mg~約1000mgの投与量で対象に投与される。いくつかの実施形態では、PD-1/PD-L1の阻害剤は、約200mg、約225mg、約250mg、約275mg、約300mg、約325mg、約350mg、約375mg、約400mg、約425mg、約450mg、約475mg、約500mg、約525mg、約550mg、約575mg、約600mg、約625mg、約650mg、約675mg、約700mg、約725mg、約750mg、約775mg、約800mg、約825mg、約850mg、約875mg、約900mg、約925mg、約950mg、約975mg、または約1000mgの投与量で対象に投与される。
【0138】
いくつかの実施形態では、PD-1/PD-L1の阻害剤は、1日1回、1日おきに、週に1回、またはその間の任意の時間間隔で対象に投与される。いくつかの実施形態では、PD-1/PD-L1の阻害剤は、1日1回対象に投与される。いくつかの実施形態では、PD-1/PD-L1の阻害剤は、1日おきに対象に投与される。いくつかの実施形態では、PD-1/PD-L1の阻害剤は、週に1回対象に投与される。
【0139】
いくつかの実施形態では、投与量のそれぞれは、単一の、1日1回の投与量として投与される。いくつかの実施形態では、投与量のそれぞれは、単一の、1日1回の経口投与量として投与される。
【0140】
いくつかの実施形態では、PD-1/PD-L1の阻害剤は、2週間ごと、3週間ごと、または4週間ごとに対象に投与される。いくつかの実施形態では、PD-1/PD-L1の阻害剤は、毎月または四半期ごとに対象に投与される。いくつかの実施形態では、PD-1/PD-L1の阻害剤は、静脈内投与によって対象に投与される。
【0141】
いくつかの実施形態では、PD-1/PD-L1の阻害剤は、1mg/kg Q2Wの投与量で対象に投与される。
【0142】
いくつかの実施形態では、PD-1/PD-L1の阻害剤は、3mg/kg Q2Wの投与量で対象に投与される。
【0143】
いくつかの実施形態では、PD-1/PD-L1の阻害剤は、3mg/kg Q4Wの投与量で対象に投与される。
【0144】
いくつかの実施形態では、PD-1/PD-L1の阻害剤は、10mg/kg Q2Wの投与量で対象に投与される。
【0145】
いくつかの実施形態では、PD-1/PD-L1の阻害剤は、10mg/kg Q4Wの投与量で対象に投与される。
【0146】
いくつかの実施形態では、PD-1/PD-L1の阻害剤は、200mg Q3Wの投与量で対象に投与される。
【0147】
いくつかの実施形態では、PD-1/PD-L1の阻害剤は、250mg Q3Wの投与量で対象に投与される。
【0148】
いくつかの実施形態では、PD-1/PD-L1の阻害剤は、375mg Q3Wの投与量で対象に投与される。
【0149】
いくつかの実施形態では、PD-1/PD-L1の阻害剤は、500mg Q4Wの投与量で対象に投与される。
【0150】
いくつかの実施形態では、PD-1/PD-L1の阻害剤は、750mg Q4Wの投与量で対象に投与される。
【0151】
いくつかの実施形態では、PD-1/PD-L1の阻害剤は、抗体Xである。いくつかの実施形態では、抗体Xは、約250mgから約850mgの投与量で対象に投与される。いくつかの実施形態では、抗体Xは、約375mgから約850mgの投与量で対象に投与される。いくつかの実施形態では、抗体Xは、約450mgから約850mgの投与量で対象に投与される。いくつかの実施形態では、抗体Xは、約500mgから約750mgの投与量で対象に投与される。いくつかの実施形態では、抗体Xは、約500mgの投与量で対象に投与される。いくつかの実施形態では、抗体Xは、約750mgの投与量で対象に投与される。いくつかの実施形態では、抗体Xは、4週間ごとに対象に投与される。いくつかの実施形態では、抗体Xは、静脈内投与によって対象に投与される。
【0152】
いくつかの実施形態では、抗体Xは、1mg/kg Q2Wの投与量で対象に投与される。
【0153】
いくつかの実施形態では、抗体Xは、3mg/kg Q2Wの投与量で対象に投与される。
【0154】
いくつかの実施形態では、抗体Xは、3mg/kg Q4Wの投与量で対象に投与される。
【0155】
いくつかの実施形態では、抗体Xは、10mg/kg Q2Wの投与量で対象に投与される。
【0156】
いくつかの実施形態では、抗体Xは、10mg/kg Q4Wの投与量で対象に投与される。
【0157】
いくつかの実施形態では、抗体Xは、200mg Q3Wの投与量で対象に投与される。
【0158】
いくつかの実施形態では、抗体Xは、250mg Q3Wの投与量で対象に投与される。
【0159】
いくつかの実施形態では、抗体Xは、375mg Q3Wの投与量で対象に投与される。
【0160】
いくつかの実施形態では、抗体Xは、500mg Q4Wの投与量で対象に投与される。
【0161】
いくつかの実施形態では、抗体Xは、750mg Q4Wの投与量で対象に投与される。
【0162】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるのは、以下のものを対象に投与することを含む、対象におけるがんの治療方法である:
(i)3-(8-アミノ-5-(1-メチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリダジン-3-イル)-2-(ピリジン-2-イルメチル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピラジン-6-イル)ベンゾニトリルであるA2A/A2Bの阻害剤、またはその薬学的に許容される塩;及び
(ii)抗体XであるPD-1/PD-L1の阻害剤。
【0163】
いくつかの実施形態では、A2A/A2Bの阻害剤は、遊離塩基基準で約0.1mg~約500mgの用量で対象に投与され、A2A/A2Bの阻害剤は、1日1回または1日おきに投与される。
【0164】
いくつかの実施形態では、抗体Xは、約100mg~約1000mg Q4Wの投与量で対象に投与される。
【0165】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるのは、対象における膀胱癌、乳癌、子宮頸癌、結腸癌、直腸癌、肛門癌、子宮内膜癌、腎臓癌、口腔癌、頭頸部癌、肝臓癌、黒色腫、中皮腫、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、非黒色腫皮膚癌、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、肉腫、甲状腺癌、及びメルケル細胞癌から選択されるがんの治療方法であって、以下のものを対象に投与することを含む、方法である:
(i)3-(8-アミノ-5-(1-メチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリダジン-3-イル)-2-(ピリジン-2-イルメチル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピラジン-6-イル)ベンゾニトリルであるA2A/A2Bの阻害剤、またはその薬学的に許容される塩;及び
(ii)抗体XであるPD-1/PD-L1の阻害剤;
ここで、A2A/A2Bの阻害剤は、遊離塩基基準で、約0.1mg~約500mgの投与量で対象に投与され、ここで、A2A/A2Bの阻害剤は、1日1回または1日おきに投与され;及び
抗体Xは、約100mg~約1000mg Q4Wの投与量で対象に投与される。
【0166】
いくつかの実施形態では、抗体Xは、約375mg Q4Wの投与量で対象に投与される。いくつかの実施形態では、抗体Xは、約500mg Q4Wの投与量で対象に投与される。いくつかの実施形態では、抗体Xは、約750mg Q4Wの投与量で対象に投与される。
【0167】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるのは、以下のものを対象に投与することを含む、対象におけるがんの治療方法である:
(i)3-(8-アミノ-5-(1-メチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリダジン-3-イル)-2-(ピリジン-2-イルメチル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピラジン-6-イル)ベンゾニトリルであるA2A/A2Bの阻害剤、またはその薬学的に許容される塩;及び
(ii)ペムブロリズマブであるPD-1/PD-L1の阻害剤。
【0168】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるのは、対象における膀胱癌、乳癌、子宮頸癌、結腸癌、直腸癌、肛門癌、子宮内膜癌、腎臓癌、口腔癌、頭頸部癌、肝臓癌、黒色腫、中皮腫、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、非黒色腫皮膚癌、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、肉腫、甲状腺癌、及びメルケル細胞癌から選択されるがんの治療方法であって、以下のものを対象に投与することを含む、方法である:
(i)3-(8-アミノ-5-(1-メチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリダジン-3-イル)-2-(ピリジン-2-イルメチル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピラジン-6-イル)ベンゾニトリルであるA2A/A2Bの阻害剤、またはその薬学的に許容される塩;及び
(ii)ペムブロリズマブであるPD-1/PD-L1の阻害剤。
【0169】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるのは、以下のものを対象に投与することを含む、対象におけるがんの治療方法である:
(i)3-(8-アミノ-5-(1-メチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリダジン-3-イル)-2-(ピリジン-2-イルメチル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピラジン-6-イル)ベンゾニトリルであるA2A/A2Bの阻害剤、またはその薬学的に許容される塩;及び
(ii)アテゾリズマブであるPD-1/PD-L1の阻害剤。
【0170】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるのは、対象における膀胱癌、乳癌、子宮頸癌、結腸癌、直腸癌、肛門癌、子宮内膜癌、腎臓癌、口腔癌、頭頸部癌、肝臓癌、黒色腫、中皮腫、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、非黒色腫皮膚癌、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、肉腫、甲状腺癌、及びメルケル細胞癌から選択されるがんの治療方法であって、以下のものを対象に投与することを含む、方法である:
(i)3-(8-アミノ-5-(1-メチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリダジン-3-イル)-2-(ピリジン-2-イルメチル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピラジン-6-イル)ベンゾニトリルであるA2A/A2Bの阻害剤、またはその薬学的に許容される塩;及び
(ii)アテゾリズマブであるPD-1/PD-L1の阻害剤。
【0171】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるのは、以下のものを対象に投与することを含む、対象におけるがんの治療方法である:
(i)3-(8-アミノ-5-(1-メチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリダジン-3-イル)-2-(ピリジン-2-イルメチル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピラジン-6-イル)ベンゾニトリルであるA2A/A2Bの阻害剤、またはその薬学的に許容される塩;及び
(ii)(R)-1-((7-シアノ-2-(3’-(3-(((R)-3-ヒドロキシピロリジン-1-イル)メチル)-1,7-ナフチリジン-8-イルアミノ)-2,2’-ジメチルビフェニル-3-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-5-イル)メチル)ピロリジン-3-カルボン酸であるPD-1/PD-L1の阻害剤、またはその薬学的に許容される塩(化合物Y)。
【0172】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるのは、対象における膀胱癌、乳癌、子宮頸癌、結腸癌、直腸癌、肛門癌、子宮内膜癌、腎臓癌、口腔癌、頭頸部癌、肝臓癌、黒色腫、中皮腫、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、非黒色腫皮膚癌、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、肉腫、甲状腺癌、及びメルケル細胞癌から選択されるがんの治療方法であって、以下のものを対象に投与することを含む、方法である:
(i)3-(8-アミノ-5-(1-メチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリダジン-3-イル)-2-(ピリジン-2-イルメチル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピラジン-6-イル)ベンゾニトリルであるA2A/A2Bの阻害剤、またはその薬学的に許容される塩;及び
(ii)(R)-1-((7-シアノ-2-(3’-(3-(((R)-3-ヒドロキシピロリジン-1-イル)メチル)-1,7-ナフチリジン-8-イルアミノ)-2,2’-ジメチルビフェニル-3-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-5-イル)メチル)ピロリジン-3-カルボン酸であるPD-1/PD-L1の阻害剤、またはその薬学的に許容される塩(化合物Y)。
【0173】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるのは、以下のものを対象に投与することを含む、対象におけるがんの治療方法である:
(i)3-(5-アミノ-2-((5-(ピリジン-2-イル)-2H-テトラゾール-2-イル)メチル)-8-(ピリミジン-4-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-c]ピリミジン-7-イル)ベンゾニトリルであるA2A/A2Bの阻害剤、またはその薬学的に許容される塩;及び
(ii)抗体XであるPD-1/PD-L1の阻害剤。
【0174】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるのは、以下のものを対象に投与することを含む、対象におけるがんの治療方法である:
(i)3-(5-アミノ-2-((5-(ピリジン-2-イル)-2H-テトラゾール-2-イル)メチル)-8-(ピリミジン-4-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-c]ピリミジン-7-イル)ベンゾニトリルであるA2A/A2Bの阻害剤、またはその薬学的に許容される塩;及び
(ii)抗体XであるPD-1/PD-L1の阻害剤。
【0175】
いくつかの実施形態では、A2A/A2Bの阻害剤は、遊離塩基基準で約0.1mg~約500mgの用量で対象に投与され、A2A/A2Bの阻害剤は、1日1回または1日おきに投与される。
【0176】
いくつかの実施形態では、抗体Xは、約100mg~約1000mg Q4Wの投与量で対象に投与される。
【0177】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるのは、対象における膀胱癌、乳癌、子宮頸癌、結腸癌、直腸癌、肛門癌、子宮内膜癌、腎臓癌、口腔癌、頭頸部癌、肝臓癌、黒色腫、中皮腫、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、非黒色腫皮膚癌、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、肉腫、甲状腺癌、及びメルケル細胞癌から選択されるがんの治療方法であって、以下のものを対象に投与することを含む、方法である:
(i)3-(5-アミノ-2-((5-(ピリジン-2-イル)-2H-テトラゾール-2-イル)メチル)-8-(ピリミジン-4-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-c]ピリミジン-7-イル)ベンゾニトリルであるA2A/A2Bの阻害剤、またはその薬学的に許容される塩;及び
(ii)抗体XであるPD-1/PD-L1の阻害剤;
ここで、A2A/A2Bの阻害剤は、遊離塩基基準で、約0.1mg~約500mgの投与量で対象に投与され、ここで、A2A/A2Bの阻害剤は、1日1回または1日おきに投与され;及び
抗体Xは、約100mg~約1000mg Q4Wの投与量で対象に投与される。
【0178】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるのは、対象における膀胱癌、乳癌、子宮頸癌、結腸癌、直腸癌、肛門癌、子宮内膜癌、腎臓癌、口腔癌、頭頸部癌、肝臓癌、黒色腫、中皮腫、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、非黒色腫皮膚癌、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、肉腫、甲状腺癌、及びメルケル細胞癌から選択されるがんの治療方法であって、以下のものを対象に投与することを含む、方法である:
(i)3-(5-アミノ-2-((5-(ピリジン-2-イル)-2H-テトラゾール-2-イル)メチル)-8-(ピリミジン-4-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-c]ピリミジン-7-イル)ベンゾニトリルであるA2A/A2Bの阻害剤、またはその薬学的に許容される塩;及び
(ii)抗体XであるPD-1/PD-L1の阻害剤;
ここで、A2A/A2Bの阻害剤は、遊離塩基基準で、約0.1mg~約500mgの投与量で対象に投与されここで、A2A/A2Bの阻害剤は、1日1回または1日おきに投与され;及び
抗体Xは、約100mg~約1000mg Q4Wの投与量で対象に投与される。
【0179】
いくつかの実施形態では、抗体Xは、対象に、約375mg Q4Wの投与量で対象に投与される。いくつかの実施形態では、抗体Xは、約500mg Q4Wの投与量で対象に投与される。いくつかの実施形態では、抗体Xは、約750mg Q4Wの投与量で対象に投与される。
【0180】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるのは、以下のものを対象に投与することを含む、対象におけるがんの治療方法である:
(i)3-(5-アミノ-2-((5-(ピリジン-2-イル)-2H-テトラゾール-2-イル)メチル)-8-(ピリミジン-4-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-c]ピリミジン-7-イル)ベンゾニトリルであるA2A/A2Bの阻害剤、またはその薬学的に許容される塩;及び
(ii)ペムブロリズマブであるPD-1/PD-L1の阻害剤。
【0181】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるのは、以下のものを対象に投与することを含む、対象におけるがんの治療方法である:
(i)3-(5-アミノ-2-((5-(ピリジン-2-イル)-1H-テトラゾール-1-イル)メチル)-8-(ピリミジン-4-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-c]ピリミジン-7-イル)ベンゾニトリルであるA2A/A2Bの阻害剤、またはその薬学的に許容される塩;及び
(ii)ペムブロリズマブであるPD-1/PD-L1の阻害剤。
【0182】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるのは、対象における膀胱癌、乳癌、子宮頸癌、結腸癌、直腸癌、肛門癌、子宮内膜癌、腎臓癌、口腔癌、頭頸部癌、肝臓癌、黒色腫、中皮腫、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、非黒色腫皮膚癌、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、肉腫、甲状腺癌、及びメルケル細胞癌から選択されるがんの治療方法であって、以下のものを対象に投与することを含む、方法である:
(i)3-(5-アミノ-2-((5-(ピリジン-2-イル)-2H-テトラゾール-2-イル)メチル)-8-(ピリミジン-4-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-c]ピリミジン-7-イル)ベンゾニトリルであるA2A/A2Bの阻害剤、またはその薬学的に許容される塩;及び
(ii)ペムブロリズマブであるPD-1/PD-L1の阻害剤。
【0183】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるのは、対象における膀胱癌、乳癌、子宮頸癌、結腸癌、直腸癌、肛門癌、子宮内膜癌、腎臓癌、口腔癌、頭頸部癌、肝臓癌、黒色腫、中皮腫、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、非黒色腫皮膚癌、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、肉腫、甲状腺癌、及びメルケル細胞癌から選択されるがんの治療方法であって、以下のものを対象に投与することを含む、方法である:
(i)3-(5-アミノ-2-((5-(ピリジン-2-イル)-1H-テトラゾール-1-イル)メチル)-8-(ピリミジン-4-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-c]ピリミジン-7-イル)ベンゾニトリルであるA2A/A2Bの阻害剤、またはその薬学的に許容される塩;及び
(ii)ペムブロリズマブであるPD-1/PD-L1の阻害剤。
【0184】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるのは、以下のものを対象に投与することを含む、対象におけるがんの治療方法である:
(i)3-(5-アミノ-2-((5-(ピリジン-2-イル)-2H-テトラゾール-2-イル)メチル)-8-(ピリミジン-4-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-c]ピリミジン-7-イル)ベンゾニトリルであるA2A/A2Bの阻害剤、またはその薬学的に許容される塩;及び
(ii)アテゾリズマブであるPD-1/PD-L1の阻害剤。
【0185】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるのは、以下のものを対象に投与することを含む、対象におけるがんの治療方法である:
(i)3-(5-アミノ-2-((5-(ピリジン-2-イル)-1H-テトラゾール-1-イル)メチル)-8-(ピリミジン-4-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-c]ピリミジン-7-イル)ベンゾニトリルであるA2A/A2Bの阻害剤、またはその薬学的に許容される塩;及び
(ii)アテゾリズマブであるPD-1/PD-L1の阻害剤。
【0186】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるのは、対象における膀胱癌、乳癌、子宮頸癌、結腸癌、直腸癌、肛門癌、子宮内膜癌、腎臓癌、口腔癌、頭頸部癌、肝臓癌、黒色腫、中皮腫、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、非黒色腫皮膚癌、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、肉腫、甲状腺癌、及びメルケル細胞癌から選択されるがんの治療方法であって、以下のものを対象に投与することを含む、方法である:
(i)3-(5-アミノ-2-((5-(ピリジン-2-イル)-2H-テトラゾール-2-イル)メチル)-8-(ピリミジン-4-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-c]ピリミジン-7-イル)ベンゾニトリルであるA2A/A2Bの阻害剤、またはその薬学的に許容される塩;及び
(ii)アテゾリズマブであるPD-1/PD-L1の阻害剤。
【0187】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるのは、対象における膀胱癌、乳癌、子宮頸癌、結腸癌、直腸癌、肛門癌、子宮内膜癌、腎臓癌、口腔癌、頭頸部癌、肝臓癌、黒色腫、中皮腫、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、非黒色腫皮膚癌、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、肉腫、甲状腺癌、及びメルケル細胞癌から選択されるがんの治療方法であって、以下のものを対象に投与することを含む、方法である:
(i)3-(5-アミノ-2-((5-(ピリジン-2-イル)-1H-テトラゾール-1-イル)メチル)-8-(ピリミジン-4-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-c]ピリミジン-7-イル)ベンゾニトリルであるA2A/A2Bの阻害剤、またはその薬学的に許容される塩;及び
(ii)アテゾリズマブであるPD-1/PD-L1の阻害剤。
【0188】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるのは、以下のものを対象に投与することを含む、対象におけるがんの治療方法である:
(i)3-(5-アミノ-2-((5-(ピリジン-2-イル)-2H-テトラゾール-2-イル)メチル)-8-(ピリミジン-4-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-c]ピリミジン-7-イル)ベンゾニトリルであるA2A/A2Bの阻害剤、またはその薬学的に許容される塩;及び
(ii)(R)-1-((7-シアノ-2-(3’-(3-(((R)-3-ヒドロキシピロリジン-1-イル)メチル)-1,7-ナフチリジン-8-イルアミノ)-2,2’-ジメチルビフェニル-3-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-5-イル)メチル)ピロリジン-3-カルボン酸であるPD-1/PD-L1の阻害剤、またはその薬学的に許容される塩(化合物Y)。
【0189】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるのは、以下のものを対象に投与することを含む、対象におけるがんの治療方法である:
(i)3-(5-アミノ-2-((5-(ピリジン-2-イル)-1H-テトラゾール-1-イル)メチル)-8-(ピリミジン-4-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-c]ピリミジン-7-イル)ベンゾニトリルであるA2A/A2Bの阻害剤、またはその薬学的に許容される塩;及び
(ii)(R)-1-((7-シアノ-2-(3’-(3-(((R)-3-ヒドロキシピロリジン-1-イル)メチル)-1,7-ナフチリジン-8-イルアミノ)-2,2’-ジメチルビフェニル-3-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-5-イル)メチル)ピロリジン-3-カルボン酸であるPD-1/PD-L1の阻害剤、またはその薬学的に許容される塩(化合物Y)。
【0190】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるのは、対象における膀胱癌、乳癌、子宮頸癌、結腸癌、直腸癌、肛門癌、子宮内膜癌、腎臓癌、口腔癌、頭頸部癌、肝臓癌、黒色腫、中皮腫、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、非黒色腫皮膚癌、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、肉腫、甲状腺癌、及びメルケル細胞癌から選択されるがんの治療方法であって、以下のものを対象に投与することを含む、方法である:
(i)3-(5-アミノ-2-((5-(ピリジン-2-イル)-2H-テトラゾール-2-イル)メチル)-8-(ピリミジン-4-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-c]ピリミジン-7-イル)ベンゾニトリルであるA2A/A2Bの阻害剤、またはその薬学的に許容される塩;及び
(ii)(R)-1-((7-シアノ-2-(3’-(3-(((R)-3-ヒドロキシピロリジン-1-イル)メチル)-1,7-ナフチリジン-8-イルアミノ)-2,2’-ジメチルビフェニル-3-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-5-イル)メチル)ピロリジン-3-カルボン酸であるPD-1/PD-L1の阻害剤、またはその薬学的に許容される塩(化合物Y)。
【0191】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるのは、対象における膀胱癌、乳癌、子宮頸癌、結腸癌、直腸癌、肛門癌、子宮内膜癌、腎臓癌、口腔癌、頭頸部癌、肝臓癌、黒色腫、中皮腫、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、非黒色腫皮膚癌、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、肉腫、甲状腺癌、及びメルケル細胞癌から選択されるがんの治療方法であって、以下のものを対象に投与することを含む、方法である:
(i)3-(5-アミノ-2-((5-(ピリジン-2-イル)-1H-テトラゾール-1-イル)メチル)-8-(ピリミジン-4-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-c]ピリミジン-7-イル)ベンゾニトリルであるA2A/A2Bの阻害剤、またはその薬学的に許容される塩;及び
(ii)(R)-1-((7-シアノ-2-(3’-(3-(((R)-3-ヒドロキシピロリジン-1-イル)メチル)-1,7-ナフチリジン-8-イルアミノ)-2,2’-ジメチルビフェニル-3-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-5-イル)メチル)ピロリジン-3-カルボン酸であるPD-1/PD-L1の阻害剤、またはその薬学的に許容される塩(化合物Y)。
【0192】
いくつかの実施形態では、A2A/A2Bの阻害剤、及びPD-1/PD-L1の阻害剤は、同時に投与される。
【0193】
いくつかの実施形態では、A2A/A2Bの阻害剤、及びPD-1/PD-L1の阻害剤は、連続して投与される。
【0194】
PD-1/PD-L1の阻害剤が、抗PD-1抗体またはその抗原結合断片である場合、PD-1/PD-L1の阻害剤は、様々な方法によって、対象、例えば、それを必要とする対象、例えば、ヒト対象に投与され得る。本明細書で議論される方法及び投与量は、全ての抗PD-1抗体またはその抗原結合断片、例えば、抗体Xに適用可能である。多くの用途において、投与経路は、静脈内注射または注入(IV)、皮下注射(SC)、腹腔内(IP)、または筋肉内注射のうちの1つである。関節内送達を使用することも可能である。非経口投与の他の方法も使用することができる。そのような様式の例としては、動脈内、くも膜下腔内、被膜内、眼窩内、心臓内、皮内、経気管、皮下、関節内、被膜下、くも膜下、脊髄内、ならびに硬膜外及び胸骨内注射が挙げられる。いくつかの場合では、投与は経口であり得る。
【0195】
抗体またはその抗原結合断片の投与経路及び/または投与様式はまた、例えば、対象をモニタリングすることによって、例えば、腫瘍を視覚化するために、例えば断層撮像を使用して、個々の症例に合わせて調整され得る。
【0196】
抗体またはその抗原結合断片は、固定用量として、またはmg/kg患者体重用量で投与され得る。用量はまた、抗PD-1抗体に対する抗体の産生を低減または回避するように選択され得る。投薬レジメンは、所望の応答(例えば、治療応答)または組み合わせ治療効果を提供するために調整される。一般に、抗PD-1抗体(及び任意選択で第2の薬剤)の用量は、対象に薬剤を生物が利用可能な量で提供するために使用され得る。例えば、0.1~100mg/kg、0.5~100mg/kg、1mg/kg~100mg/kg、0.5~20mg/kg、0.1~10mg/kg、または1~10mg/kgの範囲の用量を投与することができる。他の用量も使用することができる。特定の実施形態では、治療を必要とする対象に、抗PD-1抗体を、1mg/kg、2mg/kg、3mg/kg、4mg/kg、5mg/kg、10mg/kg、15mg/kg、20mg/kg、30mg/kg、35mg/kg、または40mg/kgの用量で投与する。
【0197】
組成物は、約1mg/mL~100mg/mL、または約10mg/mL~100mg/mL、または約50~250mg/mL、または約100~150mg/mL、または約100~250mg/mLの、抗PD-1抗体もしくはその抗原結合断片を含んでよい。
【0198】
本明細書で使用される投薬単位形態または「固定用量」または「均一用量」は、対象を治療するための単位投与量として適した、物理的に別々の単位を指し、各単位は、必要な医薬担体に関連して、及び任意選択で他の薬剤に関連して所望の治療効果をもたらすように算出された、既定量の活性化合物を含有する。単回または複数回の投薬が行われ得る。代替的に、または加えて、抗体は、連続注入を介して投与されてもよい。例示的な固定用量は、375mg、500mg、及び750mgを含む。
【0199】
抗PD-1抗体またはその抗原結合断片の用量は、例えば、少なくとも2回の用量、3回の用量、5回の用量、10回の用量、またはそれ以上、例えば、1日1回もしくは2回、または1週間に約1~4回、または好ましくは週に1回、隔週(2週間毎)、3週間毎、月1回、例えば、約1~12週間、好ましくは2~8週間、より好ましくは約3~7週間、さらにより好ましくは約4、5、または6週間を包含するのに十分な期間(治療の経過)にわたって周期的な間隔で投与することができる。対象を効果的に治療するために必要とされる投与量及び時期に影響を及ぼし得る因子としては、例えば、疾患または障害の重症度、製剤、送達経路、以前の治療、対象の一般的な健康及び/または年齢、ならびに存在する他の疾患が挙げられる。さらに、治療有効量の化合物を用いた対象の治療は、単一の治療を含むことができ、または好ましくは、一連の治療を含むことができる。
【0200】
薬学的組成物は、本明細書に記載される薬剤の「治療有効量」を含み得る。かかる有効量は、投与される薬剤の効果、または2つ以上の薬剤が使用される場合の薬剤の組み合わせ効果に基づいて決定され得る。薬剤の「治療有効量」はまた、個人の疾患状態、年齢、性別、及び体重などの要因、ならびに個人における所望の応答を引き出す化合物の能力、例えば、少なくとも1つの障害パラメータの改善、または少なくとも1つの障害の症状の改善により変動し得る。治療有効量は、治療上有益な効果が、組成物の任意の毒性または有害効果を上回るものでもある。
【0201】
医薬製剤
薬剤として用いられる場合、本開示の化合物は、医薬組成物の形態で投与することができる。これらの組成物は、医薬分野で周知の様式で調製することができ、局所処置が所望されるか、または全身処置が所望されるか、及び処置対象となる領域に応じて、様々な経路によって投与することができる。投与は、局所的(経皮、表皮、眼、ならびに、鼻腔内、膣、及び直腸送達を含む粘膜への送達を含む)、経肺(例えば、ネブライザーによるものを含む散剤もしくはエアロゾル剤の吸入もしくは吹送によるもの;気管内もしくは経鼻)、経口、または非経口であってよい。非経口投与には、静脈内、動脈内、皮下、腹腔内、筋肉内、または注射もしくは注入、または頭蓋内、例えば、髄腔内もしくは脳室内、投与が含まれる。非経口投与は、単回ボーラス用量の形態であり得るか、または、例えば、連続灌流ポンプによるものであってもよい。局所投与のための薬学的組成物及び製剤としては、経皮パッチ、軟膏、ローション、クリーム、ゲル、ドロップ、坐薬、スプレー、液体、及び粉末が挙げられ得る。従来の薬学的担体、水性基剤、粉末基剤、または油性基剤、増粘剤などは、必須であるか、または望ましいことがある。
【0202】
本開示には、1つ以上の薬学的に許容される担体(賦形剤)と組み合わせて、活性成分として、本開示の化合物またはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物も含まれる。いくつかの実施形態では、組成物は、局所的投与に適する。この組成物を作製する際に、典型的には活性成分は賦形剤と混合され、賦形剤によって希釈されるか、または例えば、カプセル、小袋、紙もしくは他の容器の形態のそのような担体に封入される。賦形剤が希釈剤として機能する場合、それは、活性成分のためのビヒクル、担体、または媒体として作用する固体、半固体、または液体の材料であり得る。したがって、組成物は、錠剤、丸剤、粉末、ロゼンジ、サシェ、カシェ、エリキシル、懸濁剤、エマルション、溶液、シロップ、エアロゾル(固体または液体媒体として)、例えば、10重量%までの活性化合物を含む軟膏、軟質及び硬質ゼラチンカプセル、坐剤、無菌注射用溶液、及び無菌包装粉末の形態であり得る。
【0203】
製剤を調製する際は、活性化合物は、他の成分と組み合わせる前に、適切な粒径を提供するために粉砕することができる。活性化合物が実質的に不溶性である場合、200メッシュ未満の粒径まで粉砕され得る。活性化合物が実質的に水溶性である場合、粒径は、粉砕によって調整されて、製剤中に実質的に均一な分布、例えば約40メッシュをもたらすことができる。
【0204】
本開示の化合物は、錠剤形成及び他の製剤タイプに適した粒経を得るために、湿式粉砕などの既知の粉砕手順を使用して粉砕され得る。本開示の化合物の微細に分割された(ナノ粒子)調製物は、当該技術分野で知られているプロセスによって調製することができ、例えば、国際出願第WO2002/000196号の開示を参照されたい。
【0205】
適切な賦形剤のいくつかの例には、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アラビアゴム、リン酸カルシウム、アルギン酸塩、トラガカント、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微結晶性セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、水、シロップ、及びメチルセルロースが含まれる。製剤には、タルク、ステアリン酸マグネシウム、及び鉱物油などの潤滑剤、湿潤剤、乳化剤及び懸濁剤、メチルベンゾエート及びプロピルヒドロキシベンゾエートなどの保存剤、甘味料、ならびに香味料をさらに含み得る。本発明の組成物は、当該技術分野で既知の手順を用いることによる患者への投与後に、活性成分の迅速、持続、または遅延放出を提供するように製剤化することができる。
【0206】
組成物は、単位剤形で製剤化され得る。「単位剤形」という用語は、ヒト対象及び他の哺乳動物のための単位投与量として好適な物理的に個別の単位を指し、各単位には、好適な薬学的賦形剤に関連して、所望の治療効果を生み出すために算出された、既定量の活性物質が含まれる。
【0207】
錠剤などの固体組成物を調製するために、主要な活性成分を薬学的賦形剤と混合して、本発明の化合物の均質な混合物を含有する固体の前製剤組成物を形成する。これらの前製剤組成物が均質物として言及される場合、活性成分は、典型的には、組成物全体に均一に分散され、それにより、組成物は、錠剤、丸剤、及びカプセル剤などの等しく有効な単位剤形に容易に細分化することができる。次いで、この固体予備製剤は、単位剤形に細分化される。
【0208】
本開示の錠剤または丸剤は、長期作用の利点をもたらす剤形を提供するためにコーティングまたは別様に配合され得る。例えば、錠剤または丸剤は、内部用量及び外部用量の成分を含み得、後者は前者上のエンベロープの形態である。2つの成分は、胃における崩壊に抵抗し、かつその内部成分を無傷で十二指腸内まで通過させる、または放出を遅延させることができる、腸溶性の層によって分離することができる。多数のポリマー酸、ならびにシェラック、セチルアルコール、及び酢酸セルロースなどの物質とのポリマー酸の混合物を含む様々な物質は、そのような腸溶性層またはコーティングとして利用することができる。
【0209】
本発明の化合物及び組成物が経口または注射による投与のために組み込まれ得る液体形態には、水溶液、好適に風味付けされたシロップ、水性または油性懸濁液、及び綿実油、ゴマ油、ココナッツ油、またはピーナッツ油などの食用油で風味付けされた乳剤、ならびにエリキシル剤及び類似の薬学的ビヒクルが含まれる。
【0210】
吸入または吹送のための組成物には、薬学的に許容される水性もしくは有機溶媒、またはそれらの混合物中の液体及び懸濁液、ならびに粉末が含まれる。液体または固体の組成物は、上記のような好適な薬学的に許容される賦形剤を含有し得る。いくつかの実施形態では、組成物は、局所または全身効果のために口または鼻呼吸経路により投与される。組成物は、不活性ガスの使用により噴霧され得る。噴霧された溶液は、噴霧デバイスから直接的に吸入され得るか、または噴霧デバイスが、顔面マスク、テント、もしくは断続的陽圧呼吸機器に装着され得る。溶液、懸濁液、または粉末の組成物は、適切な様式で製剤を送達するデバイスから経口的または鼻腔に投与され得る。
【0211】
局所製剤は、1つ以上の従来の担体を含有し得る。いくつかの実施形態では、軟膏は、水、及び例えば、流動パラフィン、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、プロピレングリコール、白色ワセリン(登録商標)(ワセリン)等から選択される1つ以上の疎水性担体を含有し得る。クリームの担体組成物は、水と、グリセロール及び1つ以上の他の構成成分、例えば、グリセリンモノステアリン酸塩、PEG-グリセリンモノステアリン酸塩、及びセチルステアリルアルコールとの組み合わせに基づき得る。ゲルは、イソプロピルアルコール及び水を使用して、好適には、例えばグリセロール、ヒドロキシエチルセルロースなどの他の構成成分と組み合わせて製剤化され得る。いくつかの実施形態では、局所製剤は、少なくとも約0.1、少なくとも約0.25、少なくとも約0.5、少なくとも約1、少なくとも約2、または少なくとも約5重量%の本開示の化合物を含む。局所製剤は、例えば、乾癬または他の皮膚症状等の選択された適応症を治療するための指示書を任意選択で添付した100gのチューブ中に適切に包装され得る。
【0212】
患者に投与される化合物または組成物の量は、投与されるもの、予防または治療などの投与の目的、患者の状態、投与の方法などに応じて変化するであろう。治療的用途では、組成物は、疾患の症状及びその合併症を治癒または少なくとも部分的に阻止するのに十分な量で、すでに疾患に罹患している患者に投与することができる。有効用量は、治療される疾患病態、ならびに疾患の重症度、患者の年齢、体重、及び一般状態などの因子に基づく担当医師の判断に依存する。
【0213】
患者に投与される組成物は、上記の薬学的組成物の形態であり得る。これらの組成物は、従来の殺菌技法によって殺菌され得るか、または無菌濾過されてもよい。水溶液は、そのままで使用するために包装するか、または凍結乾燥することができ、凍結乾燥調製物は、投与前に無菌水性担体と組み合わされる。化合物調製物のpHは、典型的には、3~11、より好ましくは5~9、最も好ましくは7~8であろう。ある特定の前述の賦形剤、担体、または安定剤の使用によって、薬学的塩の製剤が得られることは理解されよう。
【0214】
本開示の化合物の治療量は、例えば、治療を行う特定の用途、化合物の投与方法、患者の健康及び症状ならびに処方する医師の判断に従って変動し得る。医薬組成物中の本開示の化合物の割合または濃度は、投与量、化学的性質(例えば、疎水性)、及び投与経路を含めたいくつかの要因に応じて様々であり得る。例えば、本発明の化合物は、非経口投与の場合、約0.1~約10%w/vの化合物を含有する生理緩衝水溶液中で提供することができる。
【0215】
本発明の組成物は、化学療法薬、ステロイド、抗炎症性化合物または免疫抑制剤などの1種または複数種の追加の医薬品をさらに含むことが可能であり、その例は本明細書に収載している。
【0216】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体は、インプラントを含む徐放性製剤及びマイクロカプセル化送達システムなど、急速放出から化合物を保護する担体を用いて調製することができる。エチレン酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、及びポリ乳酸などの生分解性、生体適合性ポリマーを使用することができる。そのような製剤の調製のための多くの方法は、特許取得されているか、または一般的に知られている。例えば、Sustained and Controlled Release Drug Delivery Systems,J.R.Robinson,ed.Marcel Dekker,Inc.,New York(1978)を参照されたい。
【0217】
固形腫瘍及びがん
本開示の治療方法及びレジメンを使用して治療可能ながんの例には、これらに限定されないが、骨癌、脾臓癌、皮膚癌、頭頸部癌、皮膚または眼内悪性黒色腫、子宮癌、卵巣癌、直腸癌、肛門部癌、胃癌(stomach cancer)、精巣癌、子宮癌、卵管癌、子宮内膜癌(carcinoma of the endometrium)、子宮内膜癌(endometrial cancer)、子宮頸癌、膣癌、外陰癌、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、食道癌、小腸癌、内分泌系癌、甲状腺癌、副甲状腺癌、副腎癌、軟部組織肉腫、尿管癌、尿道癌、尿膜管癌、胃癌(gastric cancer)、陰茎癌、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ性白血病を含む慢性または急性白血病、小児固形腫瘍、リンパ球性リンパ腫、膀胱癌、腎臓癌または尿道癌、腎盂癌、中枢神経系(CNS)の新生物、原発性CNSリンパ腫、腫瘍血管新生、脊髄軸腫瘍、脳幹神経膠腫、下垂体腺腫、カポジ肉腫、類表皮癌、扁平上皮細胞癌、T細胞リンパ腫、アスベストによって誘発されるがんを含む環境的に誘発されるがん、ならびに上記がんの組み合わせが挙げられる。本開示の方法は、転移がん、特にPD-L1を発現する転移がんの処置にも有用である。
【0218】
いくつかの実施形態では、本開示の方法により治療可能ながんには、黒色腫(例えば、転移性悪性黒色腫)、腎癌(例えば、明細胞癌)、前立腺癌(例えば、ホルモン不応性前立腺腺癌)、乳癌、結腸癌、肺癌(例えば、非小細胞肺癌及び小細胞肺癌)、頭頸部扁平上皮細胞癌、尿路上皮癌(例えば、膀胱)、及びマイクロサテライト不安定性の高いがん(MSIhigh)が含まれる。さらに、本開示は、本開示の方法を使用して成長が阻害される可能性がある難治性または再発性悪性腫瘍を含む。
【0219】
いくつかの実施形態では、本開示の方法を使用して治療可能ながんとしては、固形腫瘍(例えば、前立腺癌、結腸癌、食道癌、子宮内膜癌、卵巣癌、子宮癌、腎癌、肝癌、膵臓癌、胃癌、乳癌、肺癌、頭頸部癌、甲状腺癌、膠芽腫、肉腫、膀胱癌など)、血液がん(例えば、リンパ腫、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、マントル細胞リンパ腫、非ホジキンリンパ腫(再発性もしくは難治性NHL及び再発濾胞性を含む)、ホジキンリンパ腫または多発性骨髄腫などのリンパ腫、白血病)ならびに該がんの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0220】
いくつかの実施形態では、本開示の本方法を使用して処置可能ながんとしては、胆管癌(cholangiocarcinoma)、胆管癌(bile duct cancer)、トリプルネガティブ乳癌、横紋筋肉腫、小細胞肺癌、平滑筋肉腫、肝細胞癌、ユーイング肉腫、脳癌、脳腫瘍、星細胞腫、神経芽細胞腫、神経線維腫、基底細胞癌、軟骨肉腫、類上皮肉腫、眼癌(eye cancer)、卵管癌、胃腸癌、消化管間質腫瘍、有毛細胞白血病、腸癌、膵島細胞癌、口腔癌(口腔癌)、口腔癌(mouth cancer)、咽頭癌、喉頭癌、口唇癌、中皮腫、頸部癌、鼻腔癌、眼癌(ocular cancer)、眼黒色腫、骨盤癌、直腸癌、腎細胞癌、唾液腺癌、副鼻腔癌、脊椎癌、舌癌、管状癌、尿道癌、及び尿管癌が挙げられるが、これらに限定されない。
【0221】
いくつかの実施形態では、疾患または障害は、肺癌(例えば、非小細胞肺癌)、黒色腫、膵臓癌、乳癌、前立腺癌、肝臓癌、結腸癌、子宮内膜癌、膀胱癌、皮膚癌、子宮癌、腎癌、胃癌、または肉腫である。いくつかの実施形態では、がんは、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、多発性骨髄性白血病、本質的な血小板血症、慢性骨髄性白血病、骨髄線維症、原発性骨髄線維症、多発性赤血球増加症後/本質的な血小板血症骨髄線維症、本質的な血小板血症後の骨髄線維症及び多発性赤血球増加症後の骨髄線維症から選択される。いくつかの実施形態では、がんは、黒色腫、子宮内膜癌、肺癌、腎細胞癌、尿路上皮癌、膀胱癌、乳癌、及び膵癌から選択される。
【0222】
いくつかの実施形態では、がんは、膀胱癌、肺癌(例えば、非小細胞肺癌(NSCLC)、小細胞肺癌、または肺転移)、黒色腫(例えば、転移性黒色腫)、乳癌、子宮頸癌、卵巣癌、結腸癌、直腸癌、大腸癌、膵癌、食道癌、前立腺癌、腎臓癌、皮膚癌、甲状腺癌、肝癌、子宮癌、頭頸部癌、腎細胞癌、子宮内膜癌、肛門癌、胆管癌、口腔癌、非黒色腫皮膚癌、及びメルケル細胞癌から選択される。
【0223】
いくつかの実施形態では、前立腺癌は、転移性去勢抵抗性前立腺癌(mCRPC)である。
【0224】
いくつかの実施形態では、大腸癌は、結腸直腸癌(CRC)である。
【0225】
いくつかの実施形態では、がんは、肺癌(例えば、非小細胞肺癌)、黒色腫、膵臓癌、乳癌、頭頸部扁平上皮細胞癌、前立腺癌、肝臓癌、結腸癌(color cancer)、子宮内膜癌、膀胱癌、皮膚癌、子宮癌、腎癌、胃癌、または肉腫である。いくつかの実施形態では、肉腫は、アスキン腫瘍、ブドウ状肉腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、悪性血管内皮腫、悪性神経鞘腫、骨肉腫、胞巣状軟部肉腫、血管肉腫、葉状嚢肉腫、隆起性皮膚線維肉腫、デスモイド腫瘍、線維形成性小丸細胞腫瘍、類上皮肉腫、骨外性軟骨肉腫、骨外性骨肉腫、線維肉腫、消化管間質腫瘍(GIST)、血管周囲細胞腫、血管肉腫、カポジ肉腫、平滑筋肉腫、脂肪肉腫、リンパ管肉腫、リンパ肉腫、悪性末梢神経鞘腫瘍(MPNST)、神経線維肉腫、横紋筋肉腫、滑膜肉腫、または未分化多形肉腫である。
【0226】
いくつかの実施形態では、がんは、中皮腫または腺癌である。いくつかの実施形態では、疾患または障害は、中皮腫である。いくつかの実施形態では、がんは、腺癌である。
【0227】
MDSC(骨髄系由来抑制細胞)は、骨髄系列(骨髄幹細胞を起源とする細胞のファミリー)からの不均一な免疫細胞の群である。MDSCは、造血の変化の結果として、慢性感染症や癌などの病理学的状況で強く拡大する。MDSCは、免疫刺激特性ではなく強力な免疫抑制活性を有する他の骨髄細胞タイプとは区別される。他の骨髄細胞と同様に、MDSCは、T細胞、樹状細胞、マクロファージ及びナチュラルキラー細胞を含む他の種類の免疫細胞と相互作用して、それらの機能を制御する。いくつかの実施形態では、例えば、本明細書に記載の化合物は、マクロファージ及び/またはMDSCの浸潤の高い基底レベルを伴う固形腫瘍を含む、MDSCの高い浸潤を伴うがん組織(例えば、腫瘍)に関連する方法において使用され得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の併用療法は、PD-1またはPD-L1を発現する腫瘍または腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を伴う癌組織(例えば、腫瘍)に関連する方法で使用することができる。
【0228】
いくつかの実施形態では、がんは、頭頸部扁平上皮癌(HNSCC)、非小細胞肺癌(NSCLC)、結腸直腸癌(例えば、結腸癌)、黒色腫、卵巣癌、膀胱癌、腎細胞癌、肝臓癌、または肝細胞癌である。
【0229】
いくつかの実施形態では、がんは、膀胱癌、乳癌、子宮頸癌、結腸癌、直腸癌、肛門癌、子宮内膜癌、腎臓癌、口腔癌、頭頸部癌、肝癌、黒色腫、中皮腫、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、非黒色腫皮膚癌、卵巣癌、膵癌、前立腺癌、肉腫、甲状腺癌、及びメルケル細胞癌から選択される。
【0230】
いくつかの実施形態では、がんは、黒色腫、子宮内膜癌、肺癌、腎臓癌、膀胱癌、乳癌、膵臓癌、及び結腸癌から選択されるがんから選択される。
【0231】
いくつかの実施形態では、がんは、子宮内膜癌、肛門癌、及び胆管癌から選択される。
【0232】
いくつかの実施形態では、がんは、腫瘍微小環境において高いアデノシンレベルを示す腫瘍である。これらの腫瘍は、遺伝子発現シグネチャーによって濃縮されるか、またはCD73及び/または組織非特異的アルカリホスファターゼ(すなわち、TNAP及びPAP)を含む他のアルカリホスファターゼの高発現レベルによって濃縮される可能性がある。
【0233】
いくつかの実施形態では、がんは、直腸癌である。いくつかの実施形態では、がんは、黒色腫である。いくつかの実施形態では、がんは、子宮内膜癌である。いくつかの実施形態では、子宮内膜癌(子宮内膜癌)(例えば、子宮内膜癌(endometiral adenocarcinoma))である。いくつかの実施形態では、がんは、肺癌である。いくつかの実施形態では、肺癌は、小細胞肺癌または非小細胞肺癌である。いくつかの実施形態では、がんは、腎臓腎明細胞癌である。いくつかの実施形態では、がんは、扁平上皮癌である。いくつかの実施形態では、がんは、膀胱癌である。いくつかの実施形態では、がんは、乳癌である。いくつかの実施形態では、がんは、トリプルネガティブ乳癌である。いくつかの実施形態では、がんは、肺癌である。いくつかの実施形態では、膵臓癌は、膵管腺癌である。いくつかの実施形態では、がんは、肉腫である。いくつかの実施形態では、肉腫は、アスキン腫瘍、ブドウ状肉腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、悪性血管内皮腫、悪性神経鞘腫、骨肉腫、胞巣状軟部肉腫、血管肉腫、葉状嚢肉腫、隆起性皮膚線維肉腫、デスモイド腫瘍、線維形成性小丸細胞腫瘍、類上皮肉腫、骨外性軟骨肉腫、骨外性骨肉腫、線維肉腫、消化管間質腫瘍(GIST)、血管周囲細胞腫、血管肉腫、カポジ肉腫、平滑筋肉腫、脂肪肉腫、リンパ管肉腫、リンパ肉腫、悪性末梢神経鞘腫瘍(MPNST)、神経線維肉腫、横紋筋肉腫、滑膜肉腫、または未分化多形肉腫である。
【0234】
標識化合物及びアッセイ法
本開示は、本開示の同位体標識化合物をさらに含む。「同位体標識」または「放射性標識された」化合物は、1つ以上の原子が、自然界で通常見られる(すなわち、天然に存在する)原子量または質量数とは異なる原子量または質量数を有する原子に置き換えられた、すなわち置換された本開示の化合物である。本開示の化合物に組み込まれてよい好適な放射性核種としては、2H(重水素についてはDとも記載される)、3H(トリチウムについてはTとも記載される)、11C、13C、14C、13N、15N、15O、17O、18O、18F、35S、36Cl、82Br、75Br、76Br、77Br、123I、124I、125I及び131Iが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、本開示の化合物中における1個以上の水素原子が、重水素原子によって置き換えられ得る(例えば、本開示の化合物のアルキル基の1個以上の水素原子が、重水素原子で任意選択で置換され得る、例えば、-CH3が-CD3で置換されるなど)。
【0235】
本明細書に提示される化合物の1つ以上の構成原子は、天然または非天然存在度の原子の同位体で置き換えまたは置換することができる。いくつかの実施形態では、化合物は、少なくとも1個の重水素原子を含む。いくつかの実施形態では、化合物は、2個以上の重水素原子を含む。いくつかの実施形態では、化合物は、1~2個、1~3個、1~4個、1~5個、または1~6個の重水素原子を含む。いくつかの実施形態では、化合物中の全ての水素原子を、重水素原子に置き換えられる、すなわち置換することができる。
【0236】
いくつかの実施形態では、任意の式A置換基の炭素原子に結合した1、2、3、4、5、6、7、または8個の水素原子は、それぞれ、任意選択で重水素原子によって置き換えられる。
【0237】
有機化合物中に同位体を含めるための合成法は、当該技術分野では周知のものである(Deuterium Labeling in Organic Chemistry by Alan F.Thomas(New York,N.Y.,Appleton-Century-Crofts,1971、The Renaissance of H/D Exchange by Jens Atzrodt,Volker Derdau,Thorsten Fey and Jochen Zimmermann,Angew.Chem.Int.Ed.2007,7744-7765;The Organic Chemistry of Isotopic Labelling by James R.Hanson,Royal Society of Chemistry,2011)。同位体標識化合物は、NMR分光法、代謝実験、及び/またはアッセイなどのさまざまな研究で使用することができる。
【0238】
重水素などより重い同位体への置換は、代謝安定性がより高まることに由来するある特定の治療上の利点、例えば、インビボ半減期の延長または投薬必要量の減少など、をもたらすことができ、したがって、場合によっては、好ましくなり得る(例えば、A.Kerekes et.al.J.Med.Chem.2011,54、201-210;R.Xu et.al.J.Label Compd.Label Compd.Radiopharm.2015,58、308-312を参照されたい)。特に、1つ以上の代謝部位での置換は、1つ以上の治療上の利点をもたらす可能性がある。
【0239】
当該放射標識化合物に組み込まれる放射性核種は、その放射標識化合物の特定の用途に依存する。例えば、インビトロA2A/A2B標識及び競合アッセイの場合、3H、14C、82Br、125I、131I、または35Sを組み込む化合物が有用であり得る。放射性画像化用途の場合、11C、18F、125I、123I、124I、131I、75Br、76Br、または77Brが有用であり得る。
【0240】
「放射性標識」または「標識化合物」は、少なくとも1つの放射性核種を組み込んだ化合物であることが理解される。いくつかの実施形態では、放射性核種は、3H、14C、125I、35S、及び82Brからなる群から選択される。
【0241】
本開示は、放射性同位体を本開示の化合物に組み込むための合成方法をさらに含むことができる。有機化合物に放射性同位体を組み込むための合成方法は、当該技術分野で周知であり、当業者は、開示の化合物に適用可能な方法を容易に認識するであろう。
【0242】
抗体の産生方法
抗体は、細菌または真核細胞において産生され得る。いくつかの抗体、例えば、Fab’は、細菌細胞、例えば、E.coli細胞において産生され得る。抗体はまた、形質転換細胞株(例えば、CHO、293E、COS)などの真核細胞において産生され得る。加えて、抗体(例えば、scFv’)は、Pichia(例えば、Powers et al.,J Immunol Methods.251:123-35(2001))、Hanseula、またはSaccharomycesなどの酵母細胞内で発現され得る。目的の抗体を産生するために、抗体をコードするポリヌクレオチドを構築し、発現ベクターに導入し、次いで、好適な宿主細胞に発現させる。標準的な分子生物学的技術を使用して、組換え発現ベクターを調製し、宿主細胞をトランスフェクトし、形質転換体を選択し、宿主細胞を培養し、抗体を回収する。
【0243】
抗体が細菌細胞(例えば、E.coli)で発現される場合、発現ベクターは、細菌細胞内のベクターの増幅を可能にする特徴を有するべきである。さらに、JM109、DH5α、HB101、またはXL1-BlueなどのE.coliを宿主として使用する場合、ベクターは、プロモーター、例えば、lacZプロモーター(Ward et al.,341:544-546(1989)、araBプロモーター(Better et al.,Science,240:1041-1043(1988))、またはE.coliにおいて効率的な発現を可能にすることができるT7プロモーターを有さなければならない。そのようなベクターの例としては、例えば、M13シリーズベクター、pUCシリーズベクター、pBR322、pBluescript、pCR-Script、pGEX-5X-1(Pharmacia)、「QIAexpress system」(QIAGEN)、pEGFP、及びpET(この発現ベクターが使用される場合、宿主は好ましくはT7 RNAポリメラーゼを発現するBL21である)が挙げられる。発現ベクターは、抗体分泌のためのシグナル配列を含有し得る。E.coliの周辺質への産生のために、pelBシグナル配列(Lei et al.,J.Bacteriol.,169:4379(1987))を、抗体分泌のシグナル配列として使用してもよい。細菌の発現については、塩化カルシウム法またはエレクトロポレーション法を使用して、発現ベクターを細菌細胞に導入してもよい。
【0244】
抗体が、CHO、COS、及びNIH3T3細胞などの動物細胞において発現される場合、発現ベクターは、これらの細胞において発現するのに必要なプロモーター、例えば、SV40プロモーター(Mulligan et al.Nature,277:108(1979))、MMLV-LTRプロモーター、EF1αプロモーター(Mizushima et al.、Nucleic Acids Res.,18:5322(1990))、またはCMVプロモーターを含む。免疫グロブリンまたはそのドメインをコードする核酸配列に加えて、追加の配列、例えば、宿主細胞内でのベクターの複製を調節する配列(例えば、複製起点)及び選択マーカー遺伝子を、組換え発現ベクターに保有させることができる。選択マーカー遺伝子は、ベクターを導入した宿主細胞の選択を促進することができる(例えば、米国特許第4,399,216号、同第4,634,665号、及び同第5,179,017号を参照されたい)。例えば、通常、選択マーカー遺伝子は、ベクターを導入した宿主細胞に、G418、ハイグロマイシン、メトトレキサートなどの薬物に対する耐性を付与する。選択マーカーを有するベクターの例としては、pMAM、pDR2、pBK-RSV、pBK-CMV、pOPRSV、及びpOP13が挙げられる。
【0245】
一実施形態では、抗体は、哺乳動物細胞で産生される。抗体を発現するための例示的な哺乳動物宿主細胞としては、チャイニーズハムスター卵巣(CHO細胞)(Urlaub and Chasin(1980)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77:4216-4220に記載されるdhfr-CHO細胞を含み、例えば、Kaufman and Sharp(1982)Mol.Biol.159:601-621に記載されるように、DHFR選択マーカーと共に使用される)、ヒト胚性腎臓293細胞(例えば、293、293E、293T)、COS細胞、NIH3T3細胞、リンパ球細胞株、例えば、NS0骨髄腫細胞及びSP2細胞、ならびにトランスジェニック動物、例えば、トランスジェニック哺乳動物に由来する細胞が挙げられる。
【0246】
抗体発現のための例示的な系では、抗PD-1抗体(例えば、抗体X)と結合する抗体の抗体重鎖及び抗体軽鎖の両方をコードする組換え発現ベクターを、リン酸カルシウム媒介性トランスフェクションによって、dhfr-CHO細胞内に導入する。組換え発現ベクター内で、抗体重鎖及び軽鎖遺伝子はそれぞれ、エンハンサー/プロモーター調節エレメント(例えば、CMVエンハンサー/AdMLPプロモーター調節エレメントまたはSV40エンハンサー/AdMLPプロモーター調節エレメントなどのSV40、CMV、アデノウイルスなどに由来する)に作用可能に連結され、遺伝子の高レベルの転写を駆動する。組換え発現ベクターはまた、メトトレキサート選択/増幅を使用してベクターでトランスフェクトされたCHO細胞の選択を可能にするDHFR遺伝子を保有する。選択された形質転換宿主細胞は、抗体重鎖及び軽鎖の発現を可能にするように培養され、抗体は、培養培地から回収される。
【0247】
抗体は、遺伝子改変動物によっても産生される。例えば、米国特許第5,849,992号は、トランスジェニック哺乳動物の乳腺において抗体を発現させる方法を記載している。目的の抗体と分泌のためのシグナル配列をコードする乳汁特異的プロモーターと核酸を含む導入遺伝子が構築される。そのようなトランスジェニック哺乳動物の雌によって産生される乳は、そのなかに分泌される、目的の抗体を含む。抗体は、乳から精製することができるか、またはいくつかの用途のために直接使用されることができる。本明細書に記載される核酸のうちの1つ以上を含む動物も提供される。
【0248】
本開示の抗体は、宿主細胞の内部または外部(培地など)から単離され、実質的に純粋で均質な抗体として精製され得る。抗体精製のために一般的に使用される単離及び精製方法は、抗体の単離及び精製のために使用されてもよく、任意の特定の方法に限定されない。抗体は、例えば、カラムクロマトグラフィー、濾過、限外濾過、塩析、溶媒沈殿、溶媒抽出、蒸留、免疫沈殿、SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動、等電気集束、透析、及び再結晶化を適切に選択及び組み合わせることによって単離及び精製され得る。クロマトグラフィーとしては、例えば、アフィニティークロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィー、ゲル濾過、逆相クロマトグラフィー、及び吸着クロマトグラフィー(Strategies for Protein Purification and Characterization:A Laboratory Course Manual.Ed Daniel R.Marshak et at.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,1996)。クロマトグラフィーは、HPLC及びFPLCなどの液相クロマトグラフィーを使用して実施され得る。アフィニティークロマトグラフィーに使用されるカラムとしては、プロテインAカラム及びプロテインGカラムが挙げられる。プロテインAカラムを使用するカラムの例としては、Hyper D、POROS、及びSepharose FF(GE Healthcare Biosciences)が挙げられる。本開示はまた、これらの精製方法を使用して高度に精製される抗体も含む。
【0249】
抗体Xなどの抗体は、例えば、列挙されたアミノ酸配列をコードする合成遺伝子を調製及び発現することによって、またはヒト生殖細胞系列遺伝子を変異させて、列挙されたアミノ酸配列をコードする遺伝子を提供することによって作製され得る。さらに、この抗体及び他の抗PD-1抗体は、例えば、以下の方法のうちの1つまたは複数を使用して得ることができる。
【0250】
ヒト化抗体は、抗原結合に直接関与していないFv可変領域の配列を、ヒトFv可変領域由来の同等の配列で置き換えることによって生成され得る。ヒト化抗体を生成するための一般的な方法は、Morrison,S.L.,Science,229:1202-1207(1985)、Oi et al.,BioTechniques,4:214(1986)、ならびにUS5,585,089、US5,693,761、US5,693,762、US5,859,205、及びUS6,407,213によって提供される。これらの方法は、重鎖または軽鎖のうちの少なくとも1つから免疫グロブリンFv可変領域の全てまたは一部をコードする核酸配列を単離、操作、及び発現することを含む。かかる核酸の供給源は、当業者に周知であり、例えば、上述のように、所定の標的に対する抗体を産生するハイブリドーマから、生殖細胞系列免疫グロブリン遺伝子から、または合成構築物から得ることができる。次いで、ヒト化抗体をコードする組換えDNAを、適切な発現ベクターにクローニングすることができる。
【0251】
例えば、ヒト生殖系列配列は、Tomlinson,I.A.et al.,J.Mol.Biol.,227:776-798(1992);Cook,G.P.et al.,Immunol.Today,16:237-242(1995);Chothia,D.et al.,J.Mol.Bio.227:799-817(1992);and Tomlinson et al.,EMBO J.,14:4628-4638(1995)に開示されている。V BASEディレクトリは、ヒト免疫グロブリン可変領域配列の包括的なディレクトリを提供する(Tomlinson,I.A.et al.,MRC Centre for Protein Engineering,Cambridge,UKによってコンパイルされた)。これらの配列は、例えば、フレームワーク領域及びCDRのためのヒト配列の供給源として使用され得る。コンセンサスヒトフレームワーク領域もまた、例えば、米国特許第6,300,064号に記載されているように、使用され得る。
【0252】
抗体をヒト化するための他の方法もまた、使用され得る。例えば、他の方法は、抗体の三次元構造、結合決定基に三次元的に近接するフレームワーク位置、及び免疫原性ペプチド配列を説明することができる。例えば、WO90/07861、米国特許第5,693,762号、同第5,693,761号、同第5,585,089号、同第5,530,101号、及び同第6,407,213号、Tempest et al.(1991)Biotechnology 9:266-271を参照されたい。さらに別の方法は、「ヒューマニアリング(humaneering)」と称され、例えば、US2005-008625に記載されている。
【0253】
抗体は、ヒトFc領域、例えば、野生型Fc領域または1つ以上の改変を含むFc領域を含むことができる。一実施形態では、定常領域は、抗体の特性を改変するために(例えば、Fc受容体結合、抗体グリコシル化、システイン残基の数、エフェクター細胞機能、または補完機能)。例えば、ヒトIgG1定常領域は、1つ以上の残基、例えば、残基234及び237のうちの1つ以上で変異され得る(Kabat番号付けに基づく)。抗体は、エフェクター機能、例えば、Fc受容体結合及び補体活性化を低減または改変させる重鎖のCH2領域に変異を有し得る。例えば、抗体は、米国特許第5,624,821号及び第5,648,260号に記載されるような変異を有し得る。抗体はまた、当該技術分野に開示されるように、IgG4のヒンジ領域における変異(例えば、Angal et al.(1993)Mol.Immunol.30:105-08)などのように、免疫グロブリンの2つの重鎖間のジスルフィド結合を安定化する変異を有してもよい。例えば、U.S.2005/0037000も参照されたい。
【0254】
抗PD-1抗体は、全長抗体の形態であり得るか、または抗PD-1抗体、例えば、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、Fd、dAb、scFv、及びsc(Fv)2の低分子量形態(例えば、生物学的に活性な抗体断片またはミニボディ)の形態であり得る。本開示に包含される他の抗PD-1抗体としては、VHもしくはVLなどの単一の可変鎖、またはその生物学的に活性な断片を含有する単一ドメイン抗体(sdAb)が挙げられる。例えば、Moller et al.,J.Biol.Chem.,285(49):38348-38361(2010);Harmsen et al.,Appl.Microbiol.Biotechnol.,77(1):13-22(2007);US2005/0079574 and Davieset al.(1996)Protein Eng.,9(6):531-7を参照されたい。全抗体と同様に、sdAbは、特定の抗原に選択的に結合することができる。わずか12~15kDaの分子量を有するsdAbは、一般的な抗体よりもはるかに小さく、Fab断片及び一本鎖可変断片よりもさらに小さい。
【0255】
本明細書では、抗PD-1抗体、またはその抗原結合断片、及び1つ以上の酸性変異体の混合物を含む組成物が提供され、例えば、酸性変異体(複数可)の量は、約80%、70%、60%、60%、50%、40%、30%、30%、20%、10%、5%、または1%未満である。少なくとも1つの脱アミド化部位を含む、抗PD-1抗体、またはその抗原結合断片を含む組成物も提供され、組成物のpHは、例えば、少なくとも約90%の抗体が脱アミド化されない(すなわち、約10%未満の抗体が脱アミド化される)ように、約5.0~約6.5である。特定の実施形態では、抗体の約5%、3%、2%または1%未満が脱アミド化される。pHは、5.5または6.0などの5.0~6.0であってよい。特定の実施形態では、組成物のpHは、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、または6.5である。
【0256】
「酸性変異体」は、目的のポリペプチドよりも酸性である(例えば、カチオン交換クロマトグラフィーによって決定される)目的のポリペプチドの変異体である。酸性変異体の例は、脱アミド化変異体である。
【0257】
ポリペプチド分子の「脱アミド化」変異体は、元のポリペプチドの1つ以上のアスパラギン残基(複数可)がアスパラギン酸に変換された、すなわち、中性アミド側鎖が、全体的な酸性特性を有する残基に変換されたポリペプチドである。
【0258】
本明細書で使用される「混合物」という用語は、抗PD-1抗体またはその抗原結合断片を含む組成物に関し、ヒトPD-1もしくはヒトPD-L1に結合する所望の抗体、またはその抗原結合断片、及びその1つ以上の酸性変異体の両方の存在を意味する。酸性変異体は、少量の他の酸性変異体(複数可)と共に、ヒトPD-1またはヒトPD-L1と結合する主として脱アミド抗体を含んでよい。
【0259】
特定の実施形態では、脱アミド化を排除するために変異させた抗体の結合親和性(KD)、オンレート(KDオン)及び/またはオフレート(KDオフ)は、例えば、約5倍、2倍、1倍(100%)、50%、30%、20%、10%、5%、3%、2%または1%未満の差を有する、野生型抗体のものと類似する。
【0260】
抗体断片
抗体断片(例えば、Fab、Fab’、F(ab’)2、Facb、及びFv)は、インタクトな抗体のタンパク質分解によって調製され得る。例えば、抗体断片は、全抗体を、パパイン、ペプシン、またはプラスミンなどの酵素で処理することによって得ることができる。全抗体のパパイン消化は、F(ab)2またはFab断片を産生し、全抗体のペプシン消化は、F(ab’)2またはFab’を産生し、全抗体のプラスミン消化は、Facb断片を産生する。
【0261】
代替的に、抗体断片は、組換えで産生され得る。例えば、目的の抗体断片をコードする核酸を構築し、発現ベクターに導入し、好適な宿主細胞で発現させることができる。例えば、Co,M.S.et al.,J.Immunol.,152:2968-2976(1994)、Better,M.and Horwitz,A.H.,Methods in Enzymology,178:476-496(1989)、Plueckthun,A.and Skerra,A.,Methods in Enzymology,178:476-496(1989)、Lamoyi,E.,Methods in Enzymology,121:652-663(1989)、Rousseaux,J.et al.、Methods in Enzymology,(1989)121:663-669(1989)、及びBird,R.E.et al.,TIBTECH,9:132-137(1991)を参照されたい)。抗体断片は、E.coli中で発現されて、それから分泌され得るため、これらの断片を容易に大量に産生することができる。抗体断片は、抗体ファージライブラリから単離することができる。代替的に、Fab’-SH断片は、E.coliから直接回収されてもよく、化学的にカップリングして、F(ab)2断片を形成してもよい(Carter et al.,Bio/Technology 10:163-167(1992))。別のアプローチによると、F(ab’)2断片は、組換え宿主細胞培養物から直接単離され得る。サルベージ受容体結合エピトープ残基を含み、インビボ半減期が増加したFab及びF(ab’)2断片については、米国特許第5,869,046号に記載されている。
【0262】
ミニボディ
ヒトPD-1またはヒトPD-L1に結合する抗体のミニボディには、ダイアボディ、一本鎖(scFv)、及び一本鎖(Fv)2(sc(Fv)2)が含まれる。
【0263】
「ダイアボディ」は、遺伝子融合によって構築される二価のミニボディである(例えば、Holliger,P.et al.Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,90:6444-6448(1993)、EP404,097、WO93/11161を参照されたい)。ダイアボディは、2つのポリペプチド鎖からなる二量体である。ダイアボディの各ポリペプチド鎖のVL及びVHドメインは、リンカーによって結合される。リンカーを構成するアミノ酸残基の数は、2~12個の残基(例えば、3~10個の残基、または5個もしくは約5個の残基)であり得る。ダイアボディ中のポリペプチドのリンカーは、典型的には、VLとVHとが互いに結合することを可能にするには短すぎる。したがって、同じポリペプチド鎖にコードされるVL及びVHは、一本鎖可変領域断片を形成することはできないが、代わりに、異なる一本鎖可変領域断片を有する二量体を形成する。その結果、ダイアボディは2つの抗原結合部位を有する。
【0264】
scFvは、VH及びVLをリンカーと連結することによって得られる一本鎖ポリペプチド抗体である(例えば、Huston et al.Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,85:5879-5883(1988)、及びPlickthun,“The Pharmacology of Monoclonal Antibodies”Vol.113,Ed Resenburg and Moore,Springer Verlag,New York,pp.269-315,(1994)を参照されたい)。連結されるVH及びVLの順序は特に限定されず、任意の順序で配置され得る。配置の例としては、[VH]リンカー[VL]、または[VL]リンカー[VH]が挙げられる。ScFvにおけるH鎖V領域及びL鎖V領域は、本明細書に記載のヒトPD-1もしくはヒトPD-L1、またはその抗原結合断片と結合する任意の抗体に由来し得る。
【0265】
sc(Fv)2は、2つのVH及び2つのVLがリンカーによって連結されて、一本鎖を形成するミニボディである(Hudson,et al.,J.Immunol.Methods,(1999)231:177-189(1999))。sc(Fv)2は、例えば、scFvをリンカーと接続することによって調製することができる。本発明のsc(FV)2は、好ましくは、2つのVH及び2つのVLが一本鎖ポリペプチドのN末端から始まるVH、VL、VH、及びVL([VH]リンカー[VL]リンカー[VH]リンカー[VL])の順に配置されているが、ただし、2つのVH及び2つのVLの順序は、上記の配置に限定されず、それらは任意の順序で配置され得る。
【0266】
二重特異性抗体
二重特異性抗体は、少なくとも2つの異なるエピトープに対する結合特異性を有する抗体である。例示的な二重特異性抗体は、PD-1タンパク質の2つの異なるエピトープに結合し得る。他のそのような抗体は、PD-1結合部位を、別のタンパク質の結合部位と組み合わせ得る。二重特異性抗体は、全長抗体またはその低分子量形態(例えば、F(ab’)2二重特異性抗体、sc(Fv)2二重特異性抗体、ダイアボディ二重特異性抗体)として調製することができる。
【0267】
全長二重特異性抗体の伝統的な産生は、2つの免疫グロブリン重鎖-軽鎖対の共発現に基づき、これらの2つの鎖は、異なる特異性を有する(Millstein et al.,Nature,305:537-539(1983))。異なるアプローチによると、所望の結合特異性を有する抗体可変ドメインが、免疫グロブリン定常ドメイン配列に融合される。免疫グロブリン重鎖融合体、また所望の場合は免疫グロブリン軽鎖をコードするDNAが、別個の発現ベクターに挿入され、好適な宿主細胞に共トランスフェクトされる。これは、3つのポリペプチド断片の比率を調整する際のより大きな柔軟性を提供する。しかしながら、均等な比率での少なくとも2つのポリペプチド鎖の発現により高収率がもたらされる場合、2つまたは3つ全てのポリペプチド鎖のコード配列を1つの発現ベクターに挿入することが可能である。
【0268】
米国特許第5,731,168号に記載される別のアプローチに従って、一対の抗体分子間の界面を操作して、組換え細胞培養物から回収されるヘテロ二量体の割合を最大にしてもよい。好ましい界面は、CH3ドメインの少なくとも一部を含む。この方法では、第1の抗体分子の界面由来の1つ以上の小さいアミノ酸側鎖が、より大きい側鎖(例えば、チロシンまたはトリプトファン)で置き換えられる。大きいアミノ酸側鎖をより小さいアミノ酸側鎖(例えば、アラニンまたはトレオニン)で置き換えることによって、大きい側鎖(複数可)と同一または同様のサイズの補償「空洞」が第2の抗体分子の界面上に作製される。これにより、ホモ二量体などの他の望ましくない最終産物よりもヘテロ二量体の収率を増加させるための機序が提供される。
【0269】
二重特異性抗体としては、架橋または「ヘテロコンジュゲート」抗体が挙げられる。例えば、ヘテロコンジュゲートにおける抗体のうちの一方がアビジンにカップリングし得、他方がビオチンにカップリングし得る。ヘテロコンジュゲート抗体は、任意の簡便な架橋方法を使用して作製され得る。
【0270】
「ダイアボディ」技術は、二重特異性抗体断片の作製のための代替機序を提供している。これらの断片は、同じ鎖上の2つのドメイン間の対合を可能にするには短すぎるリンカーによってVLに接続されたVHを含む。したがって、1つの断片のVH及びVLドメインが別の断片の相補的VL及びVHドメインと対合させられ、それにより2つの抗原結合部位が形成される。
【0271】
多価抗体
多価抗体は、その抗体が結合する抗原を発現する細胞によって、二価抗体よりも速く内部移行(及び/または異化)され得る。本明細書に提供される抗体は、3つ以上の抗原結合部位を有する多価抗体(例えば、四価抗体)であってもよく、これは、抗体のポリペプチド鎖をコードする核酸の組換え発現によって容易に産生され得る。多価抗体は、二量体化ドメイン、及び3つ以上の抗原結合部位を含むことができる。例示的な二量体化ドメインは、Fc領域またはヒンジ領域を含む(またはそれらからなる)。多価抗体は、3~約8個(例えば、4個)の抗原結合部位を含む(またはそれらからなる)ことができる。多価抗体は、任意選択で少なくとも1つのポリペプチド鎖(例えば、少なくとも2つのポリペプチド鎖)を含み、このポリペプチド鎖(複数可)は、2つ以上の可変ドメインを含む。例えば、ポリペプチド鎖(複数可)は、VD1-(X1)n-VD2-(X2)n-Fcを含み得、ここで、VD1は第1の可変ドメインであり、VD2は第2の可変ドメインであり、FcはFc領域の1つのポリペプチド鎖であり、X1及びX2はアミノ酸またはペプチドスペーサーを表し、nは0または1である。
【0272】
コンジュゲート抗体
本明細書に開示される抗体は、ポリマー(例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、PEG(PEI-PEG)で修飾されたポリエチレンイミン(PEI)、ポリグルタミン酸(PGA)(N-(2-ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド(HPMA)コポリマー)、ヒアルロン酸、放射性物質(例えば、90Y、131I)蛍光物質、発光物質、ハプテン、酵素、金属キレート、薬物、及び毒素(例えば、カルケアマイシン、シュードモナス外毒素A、リシン(例えば、デグリコシル化リシンA鎖)))などの巨大分子物質を含む様々な分子に結合されるコンジュゲート抗体であってもよい。
【0273】
一実施形態では、抗PD-1抗体の細胞傷害作用を改善し、その結果、それらの治療効果を改善するために、抗体は、放射性同位体及び細胞傷害剤を含む強毒性物質とコンジュゲートされる。これらのコンジュゲートは、標的部位(すなわち、抗体によって認識される抗原を発現する細胞)に選択的に毒性負荷を送達することができ、一方で、抗体によって認識されない細胞は、免除される。毒性を最小限に抑えるために、コンジュゲートは、一般に、血清半減期が短い分子(したがって、マウス配列、及びIgG3またはIgG4アイソタイプの使用)に基づいて操作される。
【0274】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体、またはその抗原結合断片は、例えば、血液、血清、もしくは他の組織中で、例えば、少なくとも1.5、2、5、10、または50倍、循環におけるその安定化及び/または保持を改善する部分で修飾される。例えば、ヒトPD-1またはヒトPD-L1に結合する抗体、またはその抗原結合断片は、ポリマー、例えば、ポリアルキレンオキシドまたはポリエチレンオキシドなどの実質的に非抗原性ポリマーと会合する(例えば、コンジュゲートする)ことができる。好適なポリマーは、重量によって実質的に変化する。約200~約35,000ダルトン(または約1,000~約15,000、及び2,000~約12,500)の範囲の分子数平均重量を有するポリマーを使用することができる。例えば、ヒトPD-1またはヒトPD-L1に結合する抗体、またはその抗原結合断片は、水溶性ポリマー、例えば、親水性ポリビニルポリマー、例えば、ポリビニルアルコールまたはポリビニルピロリドンにコンジュゲートされ得る。かかるポリマーの例としては、ポリエチレングリコール(PEG)またはポリプロピレングリコールなどのポリアルキレンオキシドホモポリマー、ポリオキシエチレン化ポリオール、これらのコポリマー及びこれらのブロックコポリマーが挙げられるが、ブロックコポリマーの水溶性が維持されることを条件とする。さらなる有用なポリマーとしては、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレンなどのポリオキシアルキレン、ならびにポリオキシエチレン及びポリオキシプロピレンのブロックコポリマー、ポリメタクリレート、カルボマー、ならびに分枝または非分枝の多糖類が挙げられる。
【0275】
上述のコンジュゲート抗体は、本明細書に記載の抗体またはその低分子量形態に対して化学修飾を行うことによって調製することができる。抗体を修飾するための方法は、当該技術分野で周知である(例えば、US5057313及びUS5156840)。
【0276】
キット
本開示はまた、例えば、A2A/A2B関連疾患または障害の処置または予防において有用な、医薬キットも含み、これは、治療上有効量の本開示の化合物を含む医薬組成物を収容する1つまたは複数の容器を含む。当業者には明らかなように、そのようなキットは、必要に応じて、例えば、1つ以上の薬学的に許容される担体を有する容器、追加の容器等の様々な従来の医薬キット構成要素のうちの1つ以上をさらに含むことができる。挿入物またはラベルのいずれかとして、投与される成分の量、投与のガイドライン、及び/または成分を混合するためのガイドラインを示す指示書も、キットに含めることができる。
【0277】
本発明は、特定の例により、より詳細に説明されるであろう。以下の実施例は例示の目的のために提供され、いかなる様式でも本発明を限定するようには意図されない。当業者らは、本質的に同じ結果をもたらすように変更または修正され得る様々な重要ではないパラメータを容易に認識するであろう。明確にするために別個の実施形態の文脈中で記載される本発明のある特定の特徴を組み合わせて、単一の実施形態ではも提供され得ることが理解される。逆に、簡潔性のために単一の実施形態の文脈において説明される本発明の様々な特徴を、別個にまたは任意の好適な部分的組み合わせで提供することもできる。
【0278】
本明細書で説明されるものに加えて、本発明の様々な修正は、前述の説明から当業者には明らかとなろう。そのような修正は、添付の特許請求の範囲の範囲内にあることが意図される。本出願において引用される全ての特許、特許出願及び特許公開を含む各参考文献は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【実施例】
【0279】
実施例1:インビトロでのCHO-PD-L1共培養アッセイ
インビトロでのCHO-PD-L1共培養アッセイでは、T細胞をCHO-PD-L1細胞の存在下でPD-1抗体で処理し、アデノシン模倣物である5’-N-エチルカルボキサミドアデノシン(NECA)を使用した。試薬、アデノシンシグナル伝達を活性化する。これらの条件下で、化合物9は抗PD1試薬でT細胞機能を回復させることができる。
【0280】
このシステムで試験された抗PD1試薬には、
図1に示すように、2μMのNECAの処理下での(A)ペムブロリズマブ、(B)抗体X及び(C)化合物Yが含まれる。
【0281】
プロトコル
0日目、抗生物質を含まない100ulのCHO培地でプレート96組織培養フラットボトムプレートに10,000個のCHOPDL1+細胞をプレートする。1日目に、T細胞を解凍し、1x106細胞/mlでT細胞培地に再懸濁した。培地をCHOPDL1+細胞プレートから除去し、130ulのT細胞培地を添加した。198ulのT細胞培地を2ul、または-1:100希釈で化合物プレートに添加し、次に再懸濁した。化合物プレートからの20ulの化合物を、化合物を1:1000で最終希釈してCHO細胞プレートに加えた。50μlのT細胞(50,000個の細胞)をCHO細胞を含むプレートに加えて合計200μlの容量にし、37℃で72時間インキュベーションを行った。培養3日後、hIFNg及びhIL2(メーカーのプロトコル)用のProCartaplex 2プレックスキット(Life Technologiesカタログ番号PPX-02)を使用して実行されるhIFNg及びhIL2サイトカインアッセイのために上清を収集した。ProCartaplexキットを使用したサイトカインアッセイは、Flex Map3DLuminexマルチプレックスプラットフォームで実行される。
【0282】
実施例2:インビトロでの混合系統反応アッセイ
別のインビトロアッセイである混合系統反応アッセイ(MLR)では、健康なドナーからのPBMCをCD3抗体で刺激し、10μMのアデノシン模倣試薬であるNECAの下でアテゾリズマブ、化合物9または化合物3Aで処理した(
図2A~2D)。
【0283】
プロトコル
0日目に、健康なドナーからの10,000個のPBMCを、別の健康なドナーからの10,000個のγ線照射されたPBMCと共培養した。細胞を96ウェル組織培養丸底プレートに10%FBSを添加した200ul RPMI-1640培地にプレーティングし、10μMNECA、5ng/ml CD3抗体(クローンOKT3)、及び化合物/抗体の表示濃度の有無にかかわらず処理した。細胞を37℃で4日間インキュベートした。各ウェルの上清中のIFN-γをHTRFキット(Cisbio、62HIFNGPEH)で測定し、4日目にPherastar FSプレートリーダー(BMG Labtech)で蛍光シグナルを検出した。
【0284】
化合物9を抗PD-L1抗体(すなわち、アテゾリズマブ)と組み合わせると、IFNγ産生を有意に増加させることができた(
図2A~2B)。また、化合物3Aを抗PD-L1抗体(すなわち、アテゾリズマブ)と組み合わせると、IFNγ産生を有意に増加させることができた(
図2C~2D)。
【0285】
実施例3:マウス相乗モデルでのインビボ有効性研究
化合物9は、2つの異なるモデルで腫瘍増殖の阻害について評価された。CT-26マウス結腸癌は、腫瘍微小環境に高レベルのアデノシンがあり、臨床調査のために選択された高アデノシン腫瘍を反映していることが実証されている(Mosely,et al.,Cancer Immunol Res;5(1)January 2017,pp.29-41)。単剤として、10mg/kg BIDで、化合物9は、ビヒクル対照と比較して52%の腫瘍増殖阻害(TGI)で腫瘍増殖を有意に遅らせ、さらに抗PD-1抗体(77%TGI)と組み合わせて相加性を示したビヒクルに対して)(
図3A)。対照的に、化合物9がその治療作用の大部分を発揮すると考えられるT及びNK細胞を欠く、NSGマウスで宿主化されたときに同じレジメンがモデルに適用された場合、単剤の有効性は観察されなかった(
図3B)。
【0286】
化合物9は、免疫チェックポイント耐性を破壊する能力について、免疫学的に低温のモデルであるB16黒色腫モデルでさらに評価された。化合物9及び抗PD-L1の両方は、適度であるが有意ではない単剤活性を有したが、組み合わせた場合、相乗作用して、54%の腫瘍増殖阻害をもたらした(
図3C)。これらのデータは、化合物9が高アデノシン腫瘍の微小環境を変化させ、他の免疫腫瘍学薬と協力して効果的な抗腫瘍反応を促進できることを示唆している。
【0287】
実施例A:A2A/A2B阻害剤の活性
I.A2A Tag-lite(登録商標)HTRFアッセイ
アッセイは、黒色の少量の384ウェルポリスチレンプレート(Greiner 784076-25)で、最終容量10μLで実施した。試験化合物を最初にDMSOで段階的に希釈し、次いで、100nlをプレートのウェルに添加した後、他の反応成分を添加した。DMSOの最終濃度は1%であった。Tag-lite(登録商標)アデノシンA2A標識細胞(CisBio C1TT1A2A)をTag-liteバッファー(CisBio LABMED)で1:5に希釈し、1200gで5分間回転させた。ペレットをタグライトバッファーに初期細胞懸濁量の10.4倍の量で再懸濁し、アデノシンA2Aレセプタレッドアンタゴニスト蛍光リガンド(CisBio L0058RED)を最終濃度12.5nMで添加した。10ulの細胞とリガンドの混合物をアッセイウェルに加え、室温で45分間インキュベートした後、HTRF337/620/665光学モジュールを備えたPHERAstarFSプレートリーダー(BMG Labtech)で読み取った。蛍光リガンドの結合パーセントを算出し、100nMのA2AアンタゴニストZM241385(Tocris1036)対照は100%のリガンドに取って代わり、1%DMSOは0%に取って代わる。阻害剤濃度の対数に対する結合%のデータを1部位競合結合モデル(GraphPad Prismバージョン7.02)(リガンド定数=12.5nM及びリガンドKd=1.85nM)に適合させた。この方法により得られた実施例のKiデータを表2に示す。
【0288】
II.アデノシンA2B受容体サイクリックAMP GSアッセイ
ヒトアデノシンA2B受容体(Perkin Elmer)を発現する安定的にトランスフェクトされたHEK-293細胞を10%のFBS及び100μg/mlのジェネティシン(Life Technologies)を有するMEM培地で維持した。アッセイの18~24時間前に、ジェネティシンを培養物から除去した。FRET(蛍光共鳴エネルギー移動)技術を利用するcisbioのcAMP-GSダイナミックキットを使用して細胞内のcAMP蓄積を測定した。適切な濃度の本開示の化合物を、室温(RT)で30分間穏やかに振盪しながら、白色96ウェル半領域プレート(Perkin Elmer)中の10000細胞/ウェルと混合する。12nMのアゴニストであるNECA(R&D Technologies)を室温で60分間穏やかに振盪しながら、各ウェルに添加した。検出試薬であるd2標識cAMP(受容体)及び抗cAMPクリプタート(供与体)を室温で60分間穏やかに振盪しながら、各ウェルに添加した。プレートをPherastar(BMG Labtech)で読み取り、蛍光比665/620を算出し、GraphPad Prismを使用して化合物の濃度の対数に対する対照のパーセントの曲線を適合させることによってEC50を決定した。この方法により得られた実施例のEC50データを表2に示す。
【0289】
表2.A
2A_Kiデータ(実施例A(I))及びA
2B_cAMP_EC
50データ(実施例A(II))を以下に提供する。
【表2】
【0290】
実施例A1:3-(5-アミノ-2-(ピリジン-2-イルメチル)-8-(ピリミジン-4-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-c]ピリミジン-7-イル)ベンゾニトリル(化合物1)
【化11】
工程1:3-(2-アミノ-6-クロロピリミジン-4-イル)ベンゾニトリル
【化12】
1,4-ジオキサン(60mL)、及び水(5mL)中の4,6-ジクロロピリミジン-2-アミン(2.5g、15.2mmol)、(3-シアノフェニル)ボロン酸(2.02g、13.7mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(1.06g、0.92mmol)及び炭酸ナトリウム(3.23g、30.5mmol)の混合物を窒素で脱気し、次いで得られた混合物を60℃で2日間加熱し、撹拌した。室温(r.t.)に冷却した後、混合物を濃縮し、水で希釈し、DCM(30mL×3)で抽出した。組み合わせた有機層をMgSO
4で乾燥させ、濾過し、濃縮した。得られた残渣をジクロロメタン中8%のEtOAcで溶離するシリカゲルカラムでのフラッシュクロマトグラフィによって精製して所望の生成物を得た。C
11H
8ClN
4について計算されたLC-MS(M+H)
+:231.0、実測値:231.0。
【0291】
工程2:2-(ピリジン-2-イル)アセトヒドラジド
【化13】
ヒドラジン(4.15mL、132mmol)を2-(ピリジン-2-イル)酢酸メチル(10g、66.2mmol)のエタノール(66mL)溶液に室温で添加した。混合物を85℃で4時間加熱し、撹拌し、次いで室温に冷却した。起立時に白色の固体が形成され、これを濾過により収集し、さらなる精製をせずに次の工程で使用した。C
7H
10N
3Oについて計算されたLC-MS(M+H)
+:152.1、実測値:152.0。
【0292】
工程3:3-(5-アミノ-2-(ピリジン-2-イルメチル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-c]ピリミジン-7-イル)ベンゾニトリル
【化14】
2-(ピリジン-2-イル)アセトヒドラジド(2.62g、17.34mmol)を3-(2-アミノ-6-クロロピリミジン-4-イル)ベンゾニトリル(4.00g、17.34mmol)のエタノール(35mL)溶液に室温で添加した。還流下で2時間加熱し、撹拌した後、反応混合物を室温に冷却し、濃縮した。得られた残留物をN,O-ビス(トリメチルシリル)アセトアミド(20mL)に取り、120℃で7時間撹拌した。次に、混合物を室温に冷却し、氷に注ぎ、室温で1時間撹拌した。得られた固体を濾過によって収集し、20mLの1NのHCl溶液に取った。得られた混合物を室温で1時間撹拌し、濾過し、水層を飽和NaHCO
3溶液の添加によって中和した。得られた固体を濾過によって収集し、乾燥させて所望の生成物を得た。C
18H
14N
7について計算されたLC-MS(M+H)
+:328.1;実測値328.1。
【0293】
工程4:3-(5-アミノ-8-ブロモ-2-(ピリジン-2-イルメチル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-c]ピリミジン-7-イル)ベンゾニトリル
【化15】
-30℃のDMF(12mL)中の3-(5-アミノ-2-(ピリジン-2-イルメチル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-c]ピリミジン-7-イル)ベンゾニトリル(2g、6.11mmol)の混合物にNBS(1.09g、6.11mmol)を少量ずつ添加した。反応混合物をゆっくりと0℃まで温め、均質な溶液を得た。0℃で1時間撹拌した後、反応混合物を飽和NaHCO
3で希釈し、得られた沈殿物を濾過によって収集した。次いで固体をDCM中0~10%のMeOHで溶離するシリカゲルカラムでのフラッシュクロマトグラフィによって精製して所望の生成物を得た。C
18H
13BrN
7について計算されたLC-MS(M+H)
+:406.0;実測値406.0。
【0294】
工程5:3-(5-アミノ-2-(ピリジン-2-イルメチル)-8-(ピリミジン-4-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-c]ピリミジン-7-イル)ベンゾニトリル
Pd(Ph3P)4(284mg、0.246mmol)を1,4-ジオキサン(12mL)中の4-(トリブチルスタンニル)ピリミジン(1090mg、2.95mmol)、3-(5-アミノ-8-ブロモ-2-(ピリジン-2-イルメチル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-c]ピリミジン-7-イル)ベンゾニトリル(1000mg、2.46mmol)、及び塩化銅(I)(244mg、2.46mmol)の混合物に添加した。反応混合物をN2でパージし、80℃で7時間撹拌した。得られた混合物を室温に冷却し、濃縮し、DCM(50mL)で希釈し、飽和NH4OH溶液で洗浄した。有機層をNa2SO4で乾燥させ、濃縮し、分取LC-MS(pH2、TFAを有するアセトニトリル/水)によって精製して生成物をTFA塩として得た。C22H16N9について計算されたLC-MS(M+H)+:406.2;実測値406.2。1H NMR(500MHz,DMSO)δ 8.95(s,1H),8.83(d,J=5.3Hz,1H),8.59(d,J=5.1Hz,1H),7.96(m,1H),7.88(d,J=5.1Hz,1H),7.82(d,J=7.6Hz,1H),7.76(s,1H),7.60-7.53(m,2H)、7.53-7.48(m,1H),7.48-7.42(m,1H),4.49(s,2H)。
【0295】
実施例A2:3-(5-アミノ-2-((2,6-ジフルオロフェニル)(ヒドロキシ)メチル)-8-(ピリミジン-4-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-c]ピリミジン-7-イル)ベンゾニトリル(化合物2)の合成
【化16】
工程1:2-(2,6-ジフルオロフェニル)-2-ヒドロキシ酢酸メチル
【化17】
濃硫酸(1.42mL、27mmol)を2,6-ジフルオロマンデル酸(5g、27mmol)のメタノール(45mL)溶液に0℃で添加した。混合物を室温で4時間撹拌してから濃縮した。得られたスラリーに飽和NaHCO
3溶液(30mL)を添加した。得られた混合物をDCM(3×20mL)で抽出した。組み合わせた有機層を水で洗浄し、Mg
2SO
4で乾燥させ、濾過し、濃縮して粗生成物を得、これをさらなる精製をせずに次の工程で使用した。C
11H
12F
2NO
3(M+H+MeCN)
+について計算されたLC-MS:m/z=244.1;実測値244.2。
【0296】
工程2:3-(5-アミノ-2-((2,6-ジフルオロフェニル)(ヒドロキシ)メチル)-8-(ピリミジン-4-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-c]ピリミジン-7-イル)ベンゾニトリル
この化合物は、実施例A1について記載されているものと同様の手順を使用して、工程2において2-(ピリジン-2-イル)酢酸メチルに代えて2-(2,6-ジフルオロフェニル)-2-ヒドロキシ酢酸メチルを用いて調製した。2つのエナンチオマーを、80mL/分の流速でCO2中25%のMeOHのイソクラティック移動相で溶離するPhenomenex Luxセルロース-1カラム(21.2×250mm、5μmの粒子サイズ)を使用するキラルSFCによって分離した。ピーク1を単離し、分取LCMS(pH=2、TFAを有するMeCN/水)によって精製して所望の生成物をTFA塩として得た。C23H15F2N8Oについて計算されたLC-MS(M+H)+:m/z=457.1;実測値457.1。1H NMR(500MHz,DMSO)δ 8.94(d,J=1.3Hz,1H),8.81(d,J=5.2Hz,1H),7.85(dd,J=5.3、1.4Hz,1H),7.81(dt,J=7.4,1.5Hz,1H),7.76(t,J=1.7Hz,1H),7.55(dt,J=7.8,1.5Hz,1H),7.49(t,J=7.8Hz,1H),7.44(tt,J=8.4,6.4Hz,1H),7.09(t,J=8.3Hz,2H),6.27(s,1H)。
【0297】
実施例A3:3-(5-アミノ-2-((5-(ピリミジン-2-イル)-2H-テトラゾール-2-イル)メチル)-8-(ピリミジン-4-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-c]ピリミジン-7-イル)ベンゾニトリル(化合物3A)及び3-(5-アミノ-2-((5-(ピリミジン-2-イル)-1H-テトラゾール-1-イル)メチル)-8-(ピリミジン-4-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-c]ピリミジン-7-イル)ベンゾニトリル(化合物3B)の合成
【化18】
工程1:3-(5-アミノ-2-(ヒドロキシメチル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-c]ピリミジン-7-イル)ベンゾニトリル
【化19】
2-ヒドロキシアセトヒドラジド(2.34g、26.01mmol)を3-(2-アミノ-6-クロロピリミジン-4-イル)ベンゾニトリル(4.00g、17.34mmol)(実施例A1、工程1)のエタノール(35mL)溶液に室温で添加した。還流下で2時間加熱し、撹拌した後、反応混合物を室温に冷却し、濃縮した。得られた残留物をN,O-ビス(トリメチルシリル)アセトアミド(20mL)に取り、120℃で7時間撹拌した。次に、混合物を室温に冷却し、氷に注ぎ、室温で1時間撹拌した。得られた固体を濾過によって収集し、20mLの1NのHCl溶液に取った。得られた混合物を室温で1時間撹拌し、濾過し、水層を飽和NaHCO
3溶液の添加によって中和した。得られた固体を濾過によって収集し、乾燥させて所望の生成物を得た。C
13H
11N
6Oについて計算されたLC-MS(M+H)
+:267.1;実測値267.1。
【0298】
工程2:3-(5-アミノ-8-ブロモ-2-(ヒドロキシメチル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-c]ピリミジン-7-イル)ベンゾニトリル
【化20】
-30℃のDMF(12mL)中の3-(5-アミノ-2-(ヒドロキシメチル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-c]ピリミジン-7-イル)ベンゾニトリル(1.0g、3.76mmol)の混合物にNBS(0.67g、3.76mmol)を少量ずつ添加した。反応混合物をゆっくりと0℃まで温め、均質な溶液を得た。0℃で1時間撹拌した後、反応混合物を飽和NaHCO
3溶液で希釈し、そして所望の生成物を濾過により収集し、そして乾燥させた。C
13H
10BrN
6Oについて計算されたLC-MS(M+H)
+:345.0;実測値345.0。
【0299】
工程3:3-(5-アミノ-2-(ヒドロキシメチル)-8-(ピリミジン-4-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-c]ピリミジン-7-イル)ベンゾニトリル
【化21】
テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.067g、0.058mmol)を1,4-ジオキサン(5.0mL)中の4-(トリブチルスタンニル)ピリミジン(0.321g、0.869mmol)、3-(5-アミノ-8-ブロモ-2-(ヒドロキシメチル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-c]ピリミジン-7-イル)ベンゾニトリル(0.20g、0.579mmol)、CsF(0.176g、1.159mmol)、及びヨウ化銅(I)(0.022g、0.116mmol)の混合物に添加した。反応混合物をN
2でパージし、80℃で7時間撹拌した。得られた混合物を室温に冷却し、濃縮し、DCM中0%~10%のメタノールで溶離するフラッシュカラムクロマトグラフィによって精製して生成物を得た。C
17H
13N
8Oについて計算されたLC-MS(M+H)
+:345.1;実測値345.1。
【0300】
工程4:3-(5-アミノ-2-(クロロメチル)-8-(ピリミジン-4-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-c]ピリミジン-7-イル)ベンゾニトリル
【化22】
アセトニトリル(10ml)中の3-(5-アミノ-2-(ヒドロキシメチル)-8-(ピリミジン-4-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-c]ピリミジン-7-イル)ベンゾニトリル(0.1g、0.290mmol)の混合物に塩化チオニル(0.212ml、2.90mmol)を室温で添加した。反応混合物を室温で5時間撹拌し、濃縮し、DCM中0%~5%のメタノールで溶離するフラッシュクロマトグラフィによって精製して生成物を得た。C
17H
12ClN
8について計算されたLC-MS(M+H)
+:363.1;実測値363.1。
【0301】
工程5:3-(5-アミノ-2-((5-(ピリジン-2-イル)-2H-テトラゾール-2-イル)メチル)-8-(ピリミジン-4-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-c]ピリミジン-7-イル)ベンゾニトリル(化合物3A)、及び3-(5-アミノ-2-((5-(ピリジン-2-イル)-1H-テトラゾール-1-イル)メチル)-8-(ピリミジン-4-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-c]ピリミジン-7-イル)ベンゾニトリル(化合物3B)の混合物
DMF(1mL)中の3-(5-アミノ-2-(クロロメチル)-8-(ピリミジン-4-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-c]ピリミジン-7-イル)ベンゾニトリル(10mg、0.028mmol)、2-(1H-テトラゾール-5-イル)ピリジン(8.1mg、0.055mmol)及びCs2CO3(20.7mg、0.064mmol)の混合物を100℃で10分間撹拌した。次いで、反応混合物を室温に冷却し、メタノール(4mL)で希釈し、分取LC-MS(pH2、TFAを有するアセトニトリル/水)によって精製して生成物をTFA塩として得た。C23H16N13について計算されたLC-MS(M+H)+:474.2;実測値474.2。
【0302】
化合物3A:1H NMR(500MHz,DMSO)δ 8.99(d,J=1.4Hz,1H),8.85(d,J=5.3Hz,1H),8.80-8.71(m,1H),8.71-8.39(b、2H)、8.18(d,J=7.7,1.1Hz,1H),8.04(t,J=7.8,1.8Hz,1H),7.85(m,2H)、7.80-7.76(m,1H),7.62-7.55(m,2H)、7.53(t,J=7.8Hz,1H),6.39(s,2H)。
【0303】
実施例A4:3-(5-アミノ-2-((3-メチルピリジン-2-イル)メトキシ)-8-(ピリミジン-4-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-c]ピリミジン-7-イル)ベンゾニトリル(化合物4)の合成
【化23】
工程1:6-クロロ-N
2,N
2-ビス(4-メトキシベンジル)ピリミジン-2,4-ジアミン
【化24】
2-プロパノール(31mL)中の2,6-ジクロロピリミジン-4-アミン(5.0g、31mmol)の溶液に、N、N-ジイソプロピルエチルアミン(6.4ml、37mmol)及びビス(4-メトキシベンジル)アミン(7.9g、31mmol)を加えた。得られた溶液を100℃で16時間撹拌し、室温に冷却し、水(100mL)で希釈し、そしてEtOAc(100mL)で抽出した。有機層を水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮して粗生成物を得、これをさらなる精製をせずに次の工程で使用した。C
20H
22ClN
4O
2について計算されたLC-MS(M+H)
+:m/z=385.1;実測値385.1。
【0304】
工程2:7-クロロ-N
5,N
5-ビス(4-メトキシベンジル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-c]ピリミジン-2,5-ジアミン
【化25】
O-エチルカーボンイソチオシアナチデート(3.1mL、26mmol)を6-クロロ-N
2,N
2-ビス(4-メトキシベンジル)ピリミジン-2,4-ジアミン(室温で1.0g、2.6mmol)の1.4-ジオキサン(5.0mL)溶液に加えた。次いで、反応混合物を90℃で一晩撹拌し、室温に冷却し、濾過した。得られた物質をメタノール(12mL)及びエタノール(12mL)に溶解し、N、N-ジイソプロピルエチルアミン(0.91mL、5.2mmol)、続いてヒドロキシルアミン塩酸塩(0.54g、7.8mmol)を加えた。反応混合物を45℃で2時間撹拌し、室温に冷却し、濃縮した。得られた物質をEtOAcに取り、水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、そして濃縮した。粗物質を、0%から50%のEtOAc/ヘキサンで溶出させるシリカカラムクロマトグラフィーによって精製して、生成物を得た。C
21H
22ClN
6O
2について計算されたLC-MS(M+H)
+:425.1;実測値:425.2。
【0305】
工程3:3-(2-アミノ-5-(ビス(4-メトキシベンジル)アミノ)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-c]ピリミジン-7-イル)ベンゾニトリル
【化26】
クロロ(2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’、4’、6’-トリ-i-プロピル-1,1’-ビフェニル)(2’-アミノ-1,1’-ビフェニル-2-イル)パラジウム(II)(330mg、0.42mmol)を1,4-ジオキサン(8.8mL)と水(1.8mL)中の(3-シアノフェニル)ボロン酸(460mg、3.2mmol)、7-クロロ-N
5、N
5-ビス(4-メトキシベンジル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-c]ピリミジン-2,5-ジアミン(890mg、2.1mmol)、及び炭酸ナトリウム(890mg、8.4mmol)の混合物に加えた。混合物をN
2でパージし、95℃で一晩撹拌した。次いで反応混合物を室温に冷却し、濃縮して、DCM中0%~50%のEtOAcで溶離するシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製して、所望の生成物を得た。C
28H
26N
7O
2について計算されたLC-MS(M+H)
+:492.2;実測値492.2。
【0306】
工程4:3-(2-アミノ-5-(ビス(4-メトキシベンジル)アミノ)-8-ブロモ-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-c]ピリミジン-7-イル)ベンゾニトリル
【化27】
DMF(1.4mL)中の3-(2-アミノ-5-(ビス(4-メトキシベンジル)アミノ)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-c]ピリミジン-7-イル)ベンゾニトリル(330mg、0.66mmol)の溶液にNBS(120mg、0.66mmol)を0℃で徐々に添加した。次いで、反応混合物を室温で30分間撹拌してから、水(10mL)を添加した。得られた固体を濾過によって収集し、乾燥させて所望の生成物を得た。C
28H
25BrN
7O
2について計算されたLC-MS(M+H)
+:m/z=570.1;実測値570.2。
【0307】
工程5:3-(2-アミノ-5-(ビス(4-メトキシベンジル)アミノ)-8-(ピリミジン-4-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-c]ピリミジン-7-イル)ベンゾニトリル
【化28】
ジオキサン(4.7mL)中の3-(2-アミノ-5-(ビス(4-メトキシベンジル)アミノ)-8-ブロモ-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-c]ピリミジン-7-イル)ベンゾニトリル(350mg、0.61mmol)、4-(トリブチルスタンニル)ピリミジン(210μL、0.67mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(70mg、0.060mmol)、ヨウ化銅(I)(23mg、0.12mmol)及びフッ化セシウム(180mg、1.2mmol)の混合物をマイクロ波反応器内で140℃で30分間加熱し、撹拌した。次いで、反応混合物を室温に冷却し、セライトプラグ(DCMで洗浄した)を通して濾過し、濃縮した。得られた物質を0~20%MeOH/DCMで溶離するシリカゲルカラムクロマトグラフィによって精製して所望の生成物を得た。C
32H
28N
9O
2について計算されたLC-MS(M+H)
+:m/z=570.2;実測値570.3。
【0308】
工程6:3-(5-(ビス(4-メトキシベンジル)アミノ)-2-ブロモ-8-(ピリミジン-4-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-c]ピリミジン-7-イル)ベンゾニトリル
【化29】
窒素下の50℃のアセトニトリル(3mL)中の臭化銅(II)(91mg、0.407mmol)及びtert-ブチルニトリル(0.054ml、0.407mmol)の混合物にアセトニトリル(3mL)中の3-(2-アミノ-5-(ビス(4-メトキシベンジル)アミノ)-8-(ピリミジン-4-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-c]ピリミジン-7-イル)ベンゾニトリル(100mg、0.203mmol)を滴下した。混合物を50℃で2時間撹拌した。室温に冷却した後、1Nの水性NH
4OH溶液(20mL)を添加し、混合物をCH
2Cl
2(20mL)で3回抽出した。組み合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗物質を50~100%酢酸エチル/ヘキサンで溶離するシリカゲルカラムクロマトグラフィによって精製して所望の生成物を得た。C
32H
26BrN
8O
2について計算されたLC-MS(M+H)
+:m/z=633.1;実測値633.2。
【0309】
工程7:3-(5-アミノ-2-((3-メチルピリジン-2-イル)メトキシ)-8-(ピリミジン-4-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-c]ピリミジン-7-イル)ベンゾニトリル
1,4-ジオキサン(1mL)中の水素化ナトリウム(鉱油中60%、3.8mg、0.095mmol)、3-(5-(ビス(4-メトキシベンジル)アミノ)-2-ブロモ-8-(ピリミジン-4-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-c]ピリミジン-7-イル)ベンゾニトリル(20mg、0.032mmol)及び(3-メチルピリジン-2-イル)メタノール(9.1μL、0.095mmol)の懸濁液を110℃で窒素下で一晩加熱し、撹拌した。次いで、反応混合物を室温に冷却し、濃縮し、TFA(1.0mL)を添加した。次いで得られた混合物を110℃で30分間撹拌し、室温に冷却し、アセトニトリルで希釈し、濾過し、分取LC-MS(pH2、TFAを有するアセトニトリル/水)によって精製して所望の生成物をTFA塩として得た。C23H18N9Oについて計算されたLC-MS(M+H)+:m/z=436.2;実測値436.2。1H NMR(600MHz,DMSO)δ 8.97(d,J=1.4Hz,1H),8.88(d,J=5.2Hz,1H),8.58-8.52(m,1H),7.97(d,J=7.8Hz,1H),7.88(dd,J=5.4,1.4Hz,1H),7.85(dt,J=7.5,1.5Hz,1H),7.78(t,J=1.8Hz,1H),7.60-7.54(m,2H),7.53(t,J=7.8Hz,1H),5.69(s,2H),2.48(s,3H)。
【0310】
実施例A5:3-(5-アミノ-2-(ヒドロキシ(フェニル)メチル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-c]ピリミジン-7-イル)ベンゾニトリル(化合物5)の合成
【化30】
工程1:3-(2-アミノ-6-クロロピリミジン-4-イル)ベンゾニトリル
【化31】
1,4-ジオキサン(60mL)、及び水(5mL)中の4,6-ジクロロピリミジン-2-アミン(2.5g、15.24mmol)、(3-シアノフェニル)ボロン酸(2.016g、13.72mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(1.057g、0.915mmol)及び炭酸ナトリウム(3.23g、30.5mmol)の混合物を窒素で脱気し、次いで得られた混合物を60℃で2日間加熱した。室温(RT)に冷却した後、混合物を濃縮し、水で希釈し、ジクロロメタン(DCM、3×30mL)で抽出した。組み合わせた有機層をMgSO
4で乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗残留物をジクロロメタン中8%の酢酸エチル(EtOAc)でシリカゲルカラムでのフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、所望の生成物を得た。C
11H
8ClN
4について計算されたLC-MS(M+H)
+:231.0、実測値:231.0。
【0311】
工程2:3-(5-アミノ-2-(ヒドロキシ(フェニル)メチル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-c]ピリミジン-7-イル)ベンゾニトリル
3-(2-アミノ-6-クロロピリミジン-4-イル)ベンゾニトリル(100mg、0.434mmol)及び2-ヒドロキシ-2-フェニルアセトヒドラジド(108mg、0.650mmol)のエタノール(2ml)溶液を加熱し、95℃で3時間撹拌した。RTに冷却した後、反応混合物を濃縮乾固し、N、O-ビス(トリメチルシリル)アセトアミド(1mL)に取り、120℃で7時間撹拌した。得られた混合物を室温に冷却し、氷に注ぎ、1時間撹拌した。得られた懸濁液をDCMで3回抽出した。組み合わせた有機層をMgSO4で乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗残留物をメタノール(MeOH)に溶解し、分取LC-MS(pH2、TFAを有するアセトニトリル/水)によって精製して生成物をTFA塩として得た。C19H15N6Oについて計算されたLC-MS(M+H)+:m/z=343.1;実測値343.1。
【0312】
実施例A6:3-(5-アミノ-2-((2,6-ジフルオロフェニル)(ヒドロキシ)メチル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-c]ピリミジン-7-イル)-2-フルオロベンゾニトリル(化合物6)の合成
【化32】
工程1:3-(2-アミノ-6-クロロピリミジン-4-イル)-2-フルオロベンゾニトリル
【化33】
0℃に冷却したTHF(60mL)中の3-ブロモ-2-フルオロベンゾニトリル(18.3g、91mmol)の溶液に、THF(1.3M)中のi-PrMgClLiCl錯体(70.4mL、91mmol)を20分かけて加えた。混合物を0℃で50分間撹拌し、次に2-MeTHF(1.9M)中の塩化亜鉛(48.1mL、91mmol)を0℃で加えた。反応物を室温で25分間撹拌し、その時点で4,6-ジクロロピリミジン-2-アミン(10g、61.0mmol)を一度に加えた。溶液を10分間撹拌した。テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(1.41g、1.22mmol)を混合物に加え、反応物を室温で16時間撹拌した。完了したら、2,4,6-トリメルカプトトリアジンシリカゲル(2g)を反応溶液に加えた。その混合物を1時間攪拌し、次いで濾過した。所望の生成物が完全に溶出するまで(LCMSによって検出されるように)、固体を酢酸エチルで洗浄した。濾液を飽和塩化アンモニウム溶液及び水で洗浄した。有機物を濃縮して、粗生成物を得た。粗物質質に水を加え、得られた沈殿物を濾過により収集し、窒素流下で乾燥させた。粗物質をさらに精製することなく進めた。C
11H
8ClN
4Oについて計算されたLC-MS(M+H)
+:m/z=249.0;実測値249.0。
【0313】
工程2:2-(2,6-ジフルオロフェニル)-2-ヒドロキシ酢酸メチル
【化34】
濃硫酸(1.4mL、27mmol)を2,6-ジフルオロマンデル酸(5.0g、27mmol)のメタノール(45mL)溶液に0℃で添加した。混合物を室温で4時間撹拌してから濃縮した。得られたスラリーに飽和NaHCO
3溶液を添加した。得られた混合物をDCMで抽出した。組み合わせた有機層を水で洗浄し、MgSO
4で乾燥させ、濾過し、濃縮して粗生成物を得、これをさらなる精製をせずに次の工程で使用した。C
11H
12F
2NO
3(M+H+MeCN)
+について計算されたLC-MS:m/z=244.1;実測値244.2。
【0314】
工程3:2-(2,6-ジフルオロフェニル)-2-ヒドロキシアセチルヒドラジド
【化35】
ヒドラジン(3.0mL、96mmol)を2-(2,6-ジフルオロフェニル)-2-ヒドロキシ酢酸メチル(10.8g、53mmol)のエタノール(90mL)溶液にRTで加えた。反応混合物を100℃で2時間撹拌し、RTに冷却し、濃縮して、さらに精製することなく次の工程で使用した。C
8H
9F
2N
2O
2について計算されたLC-MS(M+H)
+:203.1;実測値:203.2。
【0315】
工程4:3-(5-アミノ-2-((2,6-ジフルオロフェニル)(ヒドロキシ)メチル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-c]ピリミジン-7-イル)-2-フルオロベンゾニトリル
表題化合物は、実施例A5の工程2に記載されたのと同様の手順を使用して、3-(2-アミノ-6-クロロピリミジン-4-イル)ベンゾニトリルに代えて3-(2-アミノ-6-クロロピリミジン-4-イル)-2-フルオロベンゾニトリルを用いて、2-ヒドロキシ-2-フェニルアセトヒドラジドに代えて2-(2,6-ジフルオロフェニル)-2-ヒドロキシアセトヒドラジドを用いて調製した。2つのエナンチオマーを、85mL/分の流速でCO2中15%のMeOHのイソクラティック移動相で溶離するPhenomenex(R,R)-Whelk-O1カラム(21.2×250mm、5μmの粒子サイズ)を使用するキラルSFCによって分離した。ピーク1及びピーク2の保持時間は、それぞれ3.8分と5.3分であった。濃縮後、ピーク2を分取LCMS(pH=2、TFAを有するMeCN/水)によって精製して所望の生成物をTFA塩として得た。C19H17N6Oについて計算されたLC-MS(M+H)+:m/z=397.1;実測値397.1。
【0316】
実施例A7:5-アミノ-7-(3-シアノ-2-フルオロフェニル)-2-((2,6-ジフルオロフェニル)(ヒドロキシ)メチル)-[1,2,4]トリアゾール[1,5-c]ピリミジン-8-カルボニトリル(化合物7)の合成
【化36】
工程1:3-(5-アミノ-8-ブロモ-2-((2,6-ジフルオロフルオロフェニル)(ヒドロキシ)メチル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-c]ピリミジン-7-イル)-2-フルオロベンゾニトリル
【化37】
この化合物は、実施例A1、工程4について記載されているものと同様の手順を使用して、3-(5-アミノ-2-(ピリジン-2-イルメチル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-c]ピリミジン-7-イル)ベンゾニトリルに代えて3-(5-アミノ-2-((2,6-ジフルオロフルオロフェニル)(ヒドロキシ)メチル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-c]ピリミジン-7-イル)-2-フルオロベンゾニトリル(実施例A6から)を用いて調製した。C
19H
11BrF
3N
6Oについて計算されたLC-MS(M+H)
+:475.0;実測値475.0。
【0317】
工程2:5-アミノ-7-(3-シアノ-2-フルオロフェニル)-2-((2,6-ジフルオロフェニル)(ヒドロキシ)メチル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-c]ピリミジン-8-カルボニトリル
1,4-ジオキサン(0.63mL)及び水(0.63mL)中の3-(5-アミノ-8-ブロモ-2-((2,6-ジフルオロフェニル)(ヒドロキシ)メチル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-c]ピリミジン-7-イル-2-フルオロベンゾニトリル(0.12g、0.25mmol)、ZnCN2(0.060g、0.51mmol)及びtBuXPhos Pd G3(0.020g、0.025mmol)の混合物をN2でパージし、100℃で1時間撹拌した。室温に冷却した後、反応物を飽和NaHCO3で希釈し、有機物をEtOAc(3×)で抽出した。組み合わせた有機物をMgSO4で乾燥させ、濃縮した。2つのエナンチオマーを、20mL/分の流速でヘキサン中60%のEtOHのイソクラティック移動相で溶離するPhenomenex Luxセルロース-4カラム(21.2×250mm、5μmの粒子サイズ)を使用するキラルHPLCによって分離した。ピーク1及びピーク2の保持時間は、それぞれ、4.9分及び7.2分であった。濃縮後、ピーク1は、分取LC-MS(pH2、TFAを有するアセトニトリル/水)によって精製して、所望の生成物をTFA塩として得た。C20H11F3N7Oについて計算されたLC-MS(M+H)+:422.1;実測値422.1。
【0318】
実施例A8:3-(5-アミノ-2-((2-フルオロ-6-(((1-メチル-2-オキソピロリジン-3-イル)アミノ)メチル)フェニル)(ヒドロキシ)メチル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-c]ピリミジン-7-イル)-2-フルオロベンゾニトリル(化合物8)の合成
【化38】
工程1:2-(2-フルオロ-6-ビニルフェニル)酢酸メチル
【化39】
2-(2-ブロモ-6-フルオロフェニル)酢酸メチル(6.0g、24mmol)、リン酸カリウム、三塩基性(15.5g、73mmol)、酢酸パラジウム(II)(0.55g、2.4mmol)、及びSPhos(1.0g、2.4mmol)の混合物を500mLの圧力容器に加えた。次に、ジオキサン(150mL)及び水(15mL)中の4,4,5,5-テトラメチル-2-ビニル-1,3,2-ジオキサボロラン(6.4ml、36mmol)を加え、反応混合物をN
2でパージし、80℃で16時間撹拌した。次いで、反応混合物を室温に冷却し、濃縮し、EtOAc(×3)で抽出した。組み合わせた有機層をMgSO
4で乾燥させ、濃縮し、カラムクロマトグラフィによって精製した(DCM中0から50%のEtOAc)。C
11H
12FO
2について計算されたLC-MS(M+H)
+:195.1;実測値195.1。
【0319】
工程2:2-(2-フルオロ-6-ビニルフェニル)-2-ヒドロキシ酢酸メチル
【化40】
2-(2-フルオロ-6-ビニルフェニル)酢酸メチル(2.5g、12.9mmol)をTHF(130mL)に溶解し、-78℃に冷却した。THF(1.0M)中のLDA(16.7mL、16.7mmol)を滴下して、得られた溶液を-78℃で30分間撹拌した。次に、9,9-ジメチルテトラヒドロフラン-4H-4a、7-メタノベンゾ[c][1,2]オキサジレノ[2,3-b]イソチアゾール3,3-ジオキシド(4.7g、20.6mmol)をTHF(0.5M)に滴下する。-78℃で30分間撹拌した後、反応混合物を0℃に温め、1時間撹拌した。その反応物を、飽和NH
4Cl溶液でクエンチした。水層をDCM(3×)で抽出した。組み合わせた有機物を無水Na
2SO
4で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。粗物質を0~50%酢酸エチル/ヘキサンで溶離するカラムクロマトグラフィによって精製して所望の生成物を得た。C
11H
11FO
3Naについて計算されたLCMS(M+Na)
+:233.1;実測値233.1。
【0320】
工程3:2-(2-フルオロ-6-ビニルフェニル)-2-ヒドロキシアセトヒドラジド
【化41】
この化合物は、実施例A6、工程3について記載されているものと同様の手順を使用して、2-(2,6-ジフルオロフェニル)-2-ヒドロキシ酢酸メチルに代えて2-(2-フルオロ-6-ビニルフェニル)-2-ヒドロキシ酢酸メチルを用いて調製した。C
10H
11FN
2O
2について計算されたLC-MS(M+H)
+:211.1、実測値:211.1。
【0321】
工程4:3-(5-アミノ-2-((2-フルオロ-6-ビニルフェニル)(ヒドロキシ)メチル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-c]ピリミジン-7-イル)―2-フルオロベンゾニトリル
【化42】
この化合物は、実施例A6、工程4について記載されているものと同様の手順を使用して、2-(2,6-ジフルオロフェニル)-2-ヒドロキシアセトヒドラジドに代えて2-(2-フルオロ-6-ビニルフェニル)-2-ヒドロキシアセトヒドラジドを用いて調製した。C
21H
15F
2N
6Oについて計算されたLCMS(M+H)
+:405.1;実測値:405.1。
【0322】
工程5:3-(5-アミノ-2-((2-フルオロ-6-ホルミルフェニル)(ヒドロキシ)メチル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-c]ピリミジン-7-イル)-2-フルオロベンゾニトリル
【化43】
水中の四酸化オスミウム(4%w/w、0.36mL、0.12mmol)を、3-(5-アミノ-2-((2-フルオロ-6)-ビニルフェニル)(ヒドロキシ)メチル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-c]ピリミジン-7-イル)-2-フルオロベンゾニトリル(930mg、2.30mmol)のTHF(18mL)及び水(4.6mL)溶液に添加した。反応混合物を室温で5分間撹拌し、次に過ヨウ素酸ナトリウム(2.5g、11.5mmol)を加えた。1時間撹拌した後、混合物を飽和NaHCO
3水溶液(5% w/w、20mL)中のメタ重亜硫酸ナトリウムで希釈し、EtOAc(×3)で抽出した。組み合わせた有機層をMgSO
4で乾燥し、減圧下で濃縮した。粗物質を0~100%酢酸エチル/ヘキサンで溶離するカラムクロマトグラフィによって精製して所望の生成物を得た。C
20H
13F
2N
6O
2について計算されたLC-MS(M+H)
+:407.1;実測値407.1。
【0323】
工程6:3-(5-アミノ-2-((2-フルオロ-6-(((1-メチル-2-オキソピロリジン-3-イル)アミノ)メチル)フェニル)(ヒドロキシ)メチル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-c]ピリミジン-7-イル)-2-フルオロベンゾニトリル
3-アミノ-1-メチルピロリジン-2-オン(63mg、0.55mmol)及び3-(5-アミノ-2-((2-フルオロ-6-ホルミルフェニル)(ヒドロキシ)メチル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-c]ピリミジン-7-イル)-2-フルオロベンゾニトリル(150mg、0.37mmol)の溶液を1,2-ジクロロエタン(1.9mL)中で40℃で2時間撹拌した。次に、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(160mg、0.74mmol)を加え、反応混合物を室温で16時間撹拌した。反応物を飽和NaHCO3で希釈し、有機物をEtOAc(×3)で抽出した。組み合わせた有機物をMgSO4で乾燥させ、濃縮した。ジアステレオマーを、20mL/分の流速でヘキサン中45%のEtOHのイソクラティック移動相で溶離するPhenomenex Luxセルロース-4カラム(21.2×250mm、5μmの粒子サイズ)を使用するキラルHPLCによって分離した。ピーク1及びピーク2の保持時間は、それぞれ、14.9分及び17.5分であった。濃縮後、ピーク2を、20mL/分の流速でヘキサン中30%のEtOHのイソクラティック移動相で溶離するPhenomenex Luxセルロース-1カラム(21.2×250mm、5μmの粒子サイズ)を使用するキラルHPLCによってさらに分離した。ピーク1及びピーク2の保持時間は、それぞれ、11.0分及び15.5分であった。濃縮後、ピーク1を分取LCMS(pH=2、TFAを有するMeCN/水)によって精製して所望の生成物をTFA塩として得た。C25H23F2N8O2について計算されたLC-MS(M+H)+:505.2;実測値505.2。
【0324】
実施例A9:3-(8-アミノ-5-(1-メチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリダジン-3-イル)-2-(ピリジン-2-イルメチル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピラジン-6-イル)ベンゾニトリル(化合物9)の合成
【化44】
工程1:3-ブロモ-1-(2-(3-シアノフェニル)-2-オキソエチル)-1H-1,2,4-トリアゾール-5-カルボン酸メチル
【化45】
DMF(100mL)中の3-ブロモ-1H-1,2,4-トリアゾール-5-カルボン酸メチル(5.0g、24.3mmol)、3-(2-ブロモアセチル)ベンゾニトリル(5.44g、24.3mmol)に炭酸カリウム(3.35g、24.3mmol)を加えた。この反応混合物を周囲温度で2時間撹拌した。反応混合物を、水及びDCMで希釈した。有機層を分離し、塩水で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、濾過し、濃縮した。得られた残留物をフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、所望の生成物を白色の固体として得た(5.2g、61%)。C
13H
10BrN
4O
3について計算されたLC-MS(M+H)
+:m/z=349.0;実測値349.0。
【0325】
工程2:3-(2-ブロモ-8-オキソ-7,8-ジヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピラジン-6-イル)ベンゾニトリル
【化46】
3-ブロモ-1-(2-(3-シアノフェニル)-2-オキソエチル)-1H-1,2,4-トリアゾール-5-カルボン酸メチル(10.5g、30.1mmol)を酢酸(100mL)に溶解し、酢酸アンモニウム(23.18g、301mmol)を加えた。混合物を110℃で12時間撹拌した。室温に冷却した後、反応混合物を水で希釈した。得られた沈殿物を濾過により収集し、水で洗浄し、真空下で乾燥させて、生成物(8.4g、88%)を得た。C
12H
7BrN
5Oについて計算されたLC-MS(M+H)
+:m/z=316.0;実測値316.0。
【0326】
工程3:3-(2-ブロモ-8-クロロ-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピラジン-6-イル)ベンゾニトリル
【化47】
3-(2-ブロモ-8-オキソ-7,8-ジヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピラジン-6-イル)ベンゾニトリル(8.4g、26.6mmol)とPOCl
3(49.5mL、531mmol)を110℃で一晩撹拌した。室温まで冷却した後、反応混合物を氷及び重炭酸ナトリウムを含むフラスコにゆっくりと加えた。得られた沈殿物を収集し、水で洗浄し、乾燥させて、生成物(8.8g、99%)を得た。C
12H
6BrClN
5について計算されたLC-MS(M+H)
+:m/z=333.9;実測値334.0。
【0327】
工程4:3-(8-(ビス(4-メトキシベンジル)アミノ)-2-ブロモ-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピラジン-6-イル)ベンゾニトリル
【化48】
DMF(134mL)中の3-(2-ブロモ-8-クロロ-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピラジン-6-イル)ベンゾニトリル(8.99g、26.9mmol)、ビス(4-メトキシベンジル)アミン(10.37g、40.3mmol)、及びDIPEA(9.4mL、53.7mmol)の混合物を85℃で一晩撹拌した。この反応混合物を室温まで冷却し、水で希釈した。得られた沈殿物を濾過により収集し、乾燥させて生成物(14.1g、94%)を得た。C
28H
24BrN
6O
2について計算されたLC-MS(M+H)
+:m/z=555.1;実測値555.1。
【0328】
工程5:3-(8-(ビス(4-メトキシベンジル)アミノ)-2-(ピリジン-2-イルメチル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピラジン-6-イル)ベンゾニトリル
【化49】
THF(0.5mL)中の2-メチルピリジン(0.050g、0.540mmol)の溶液に、-78℃で2.5Mn-ブチルリチウム(0.216mL、0.540mmol)を加えた。得られた溶液を同じ温度で1時間撹拌した後、2-メチルテトラヒドロフラン(0.284mL、0.540mmol)中の1.9M塩化亜鉛を加え、得られた混合物を室温で10分間撹拌した。
【0329】
3-(8-(ビス(4-メトキシベンジル)アミノ)-2-ブロモ-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピラジン-6-イル)ベンゾニトリル(0.15g、0.270mmol)、酢酸パラジウム(1.1mg、4.7μmol)、及び2’-(ジシクロヘキシルホスフィノ)-N、N、N’、N’-テトラメチルビフェニル-2,6-ジアミン(4.1mg、9.5μmol)を高真空で排気し、窒素で埋め戻した。次に、THF(2.0mL)とトルエン(0.5mL)を反応バイアルに加えた。混合物を0℃に冷却し、前の工程で調製した亜鉛試薬を注射器を介してゆっくりと加えた。次に、反応混合物を60℃で一晩撹拌し、室温に冷却し、酢酸エチルと飽和NH4Cl溶液との間で分配した。層を分離させ、水層を酢酸エチルで抽出した。組み合わせた有機層を水及びブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濃縮した。得られた残留物をフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、生成物(0.11g、71%)を得た。C34H30N7O2について計算されたLC-MS(M+H)+:m/z=568.2;実測値568.3。
【0330】
工程6:3-(8-アミノ-2-(ピリジン-2-イルメチル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピラジン-6-イル)ベンゾニトリル
【化50】
3-(8-(ビス(4-メトキシベンジル)アミノ)-2-(ピリジン-2-イルメチル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピラジン-6-イル)ベンゾニトリル(110mg、0.194mmol)及びTFA(746μL、9.69mmol)の混合物を80℃で30分間撹拌し、室温まで冷却し、濃縮した。得られた残留物を分取LCMS(pH2)により精製して、生成物を白色の固体(TFA塩)として得た(57mg、90%)。C
18H
14N
7について計算されたLC-MS(M+H)
+:m/z=328.1;実測値328.1。
【0331】
工程7:3-(8-アミノ-5-ブロモ-2-(ピリジン-2-イルメチル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピラジン-6-イル)ベンゾニトリル
【化51】
DMF(0.5mL)/DCM(0.5mL)中の3-(8-アミノ-2-(ピリジン-2-イルメチル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピラジン-6-イル)ベンゾニトリル(TFA塩)(35mg 、0.079mmol)の溶液にNBS(14.1mg、0.079mmol)を加えた。次いで、反応混合物を室温で1時間撹拌し、濃縮して粗生成物を得、これをさらなる精製をせずに次の工程で使用した。C
18H
13BrN
7について計算されたLC-MS(M+H)
+:406.0;実測値406.0。
【0332】
工程8.3-(8-アミノ-5-(1-メチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリダジン-3-イル)-2-(ピリジン-2-イルメチル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピラジン-6-イル)ベンゾニトリル
1,4-ジオキサン(1mL)中の6-クロロ-2-メチルピリダジン-3(2H)-オン(30mg、0.21mmol)、ビス(ピナコラート)ジボロン(53mg、0.21mmol)、クロロ(2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピル-1,1’-ビフェニル)[2-(2’-アミノ-1,1’-ビフェニル)]パラジウム(II)(15.7mg、0.02mmol)(XPhos Pd G2)及び酢酸カリウム(61.7mg、0.63mmol)を100℃で1時間撹拌した。次に、3-(8-アミノ-5-ブロモ-2-(ピリジン-2-イルメチル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピラジン-6-イル)ベンゾニトリル(10mg、0.025mmol)、炭酸セシウム(37.6mg、0.116mmol)及び水(0.2mL)を反応混合物に加えた。得られた混合物を90℃で1時間加熱した。混合物を濃縮し、分取LCMS(pH2、TFAを有するアセトニトリル/水)によって精製して生成物をTFA塩として得た。C23H18N9Oについて計算されたLC-MS(M+H)+:m/z=436.2;実測値436.2。
【0333】
1H NMR(500MHz,DMSO)δ8.66-8.62(d,J=5.1Hz,1H),8.09-8.02(d,J=1.8Hz,1H),7.88-7.85(t,J=1.8Hz,1H),7.85-7.81(m,3H)、7.78-7.72(d,J=9.6Hz,1H),7.66-7.51(m,4H)、7.10-7.06(d,J=9.6Hz,1H),4.59-4.48(s,2H),3.53-3.43(s,3H)。
【0334】
実施例A10:3-(8-アミノ-2-((2,6-ジフルオロフェニル)(ヒドロキシ)メチル)-5-(ピリミジン-4-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピラジン-6-イル)ベンゾニトリル(化合物10)の合成
【化52】
工程1:3-ブロモ-1-(2-(3-シアノフェニル)-2-オキソエチル)-1H-1,2,4-トリアゾール-5-カルボン酸メチル
【化53】
DMF(100mL)中の3-ブロモ-1H-1,2,4-トリアゾール-5-カルボン酸メチル(5.0g、24.3mmol)、3-(2-ブロモアセチル)ベンゾニトリル(5.44g、24.3mmol)に炭酸カリウム(3.35g、24.3mmol)を加えた。反応混合物を周囲温度で2時間撹拌した。次いで反応混合物を、水及びDCMで希釈した。有機層を分離し、塩水で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、濾過し、濃縮した。得られた残留物をフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、所望の生成物を白色の固体として得た(5.2g、61%)。C
13H
10BrN
4O
3について計算されたLC-MS(M+H)
+:m/z=349.0;実測値349.0。
【0335】
工程2:3-(2-ブロモ-8-オキソ-7,8-ジヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピラジン-6-イル)ベンゾニトリル
【化54】
3-ブロモ-1-(2-(3-シアノフェニル)-2-オキソエチル)-1H-1,2,4-トリアゾール-5-カルボン酸メチル(10.5g、30.1mmol)を酢酸(100mL)に溶解し、酢酸アンモニウム(23.18g、301mmol)を加えた。混合物を110℃で12時間撹拌した。室温に冷却した後、混合物を水で希釈した。得られた沈殿物を濾過により収集し、水で洗浄し、真空下で乾燥させて、生成物(8.4g、88%)を得た。C
12H
7BrN
5Oについて計算されたLC-MS(M+H)
+:m/z=316.0;実測値316.0。
【0336】
工程3:3-(2-ブロモ-8-クロロ-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピラジン-6-イル)ベンゾニトリル
【化55】
3-(2-ブロモ-8-オキソ-7,8-ジヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピラジン-6-イル)ベンゾニトリル(8.4g、26.6mmol)とPOCl
3(49.5mL、531mmol)の混合物を110℃で一晩撹拌した。室温まで冷却した後、反応混合物を氷及び重炭酸ナトリウムを含むフラスコにゆっくりと加えた。得られた沈殿物を濾過により回収し、水で洗浄し、乾燥させて、生成物(8.8g、99%)を得た。C
12H
6BrClN
5について計算されたLC-MS(M+H)
+:m/z=336.0;実測値336.0。
【0337】
工程4:3-(8-(ビス(4-メトキシベンジル)アミノ)-2-ブロモ-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピラジン-6-イル)ベンゾニトリル
【化56】
DMF(134mL)中の3-(2-ブロモ-8-クロロ-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピラジン-6-イル)ベンゾニトリル(8.99g、26.9mmol)、ビス(4-メトキシベンズイル)アミン(10.37g、40.3mmol)、及びDIPEA(9.4mL、53.7mmol)の混合物を65℃で一晩撹拌した。反応混合物を室温まで冷却し、水で希釈した。得られた沈殿物を濾過により収集し、乾燥させて生成物(14.1g、94%)を得た。C
28H
24BrN
6O
2について計算されたLC-MS(M+H)
+:m/z=555.1;実測値:555.1。
【0338】
工程5:3-(8-(ビス(4-メトキシベンジル)アミノ)-2-ビニル-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピラジン-6-イル)ベンゾニトリル
【化57】
1,4-ジオキサン(200mL)及び水(50mL)中の3-(8-(ビス(4-メトキシベンジル)アミノ)-2-ブロモ-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピラジン-6-イル)ベンゾニトリル(10.0g、18.0mmol)、4,4,5,5-テトラメチル-2-ビニル-1,3,2-ジオキサボロラン(3.88g、25.2mmol)、リン酸カリウム三塩基性(9.55g、45.0mmol)及びクロロ(2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’、4’、6’-トリイソプロピル-1,1’-ビフェニル)[2-(2’-アミノ-1,1’-ビフェニル)]パラジウム(II)(567mg、0.72mmol)の混合物を85℃で2時間撹拌した。反応混合物を室温に冷却し、1,4-ジオキサンの大部分を除去した。得られた沈殿物を濾過によって収集し、乾燥させて粗生成物(9.1g)を得、これを次の工程で直接使用した。C
30H
27N
6O
2について計算されたLC-MS(M+H)
+:m/z=503.2;実測値503.1。
【0339】
工程6:3-(8-(ビス(4-メトキシベンジル)アミノ)-5-ブロモ-2-ビニル-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピラジン-6-イル)ベンゾニトリル
【化58】
10mLのジクロロメタン中の3-(8-(ビス(4-メトキシベンジル)アミノ)-2-ビニル-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピラジン-6-イル)ベンゾニトリル(717mg、1.43mmol)の溶液に、1-ブロモピロリジン-2,5-ジオン(254mg、1.43mmol)を0℃で加えた。得られた混合物を4時間撹拌し、シリカゲルカラムで直接精製して、所望の生成物(780mg、94%)を得た。C
30H
26BrN
6O
2について計算されたLC-MS(M+H)
+:m/z=581.1;実測値581.2。
【0340】
工程7:3-(8-(ビス(4-メトキシベンジル)アミノ)-5-(ピリミジン-4-イル)-2-ビニル-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピラジン-6-イル)ベンゾニトリル
【化59】
THF(5mL)中の3-(8-(ビス(4-メトキシベンジル)アミノ)-5-ブロモ-2-ビニル-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピラジン-6-イル)ベンゾニトリル(260mg、0.45mmol)、4-(トリブチルスタンニル)ピリミジン(215mg、0.58mmol)、塩化リチウム(28.4mg、0.67mmol)、塩化銅(I)(67mg、0.67mmol)、及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(52mg、0.045mmol)を90℃で45分間撹拌した。反応混合物を水でクエンチし、ジクロロメタンで抽出した。組み合わせた有機層を濃縮し、シリカゲルカラムで精製して、所望の生成物(176mg、67%)を得た。C
34H
29N
8O
2について計算されたLC-MS(M+H)
+:m/z=581.2;実測値581.1。
【0341】
工程8:3-(8-(ビス(4-メトキシベンジル)アミノ)-2-ホルミル-5-(ピリミジン-4-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピラジン-6-イル)ベンゾニトリル
【化60】
THF/水(1:1、6mL)中の3-(8-(ビス(4-メトキシベンジル)アミノ)-5-(ピリミジン-4-イル)-2-ビニル-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピラジン-6-イル)ベンゾニトリル(176mg、0.3mmol)、酸化オスミウム(VIII)(0.3mLの水に3mg、0.015mmol)、及び過ヨウ素酸ナトリウム(292mg、1.36mmol)の混合物を65℃で1時間撹拌した。反応混合物を室温に冷却し、ジクロロメタンで抽出した。組み合わせた有機層を濃縮し、シリカゲルカラムで精製して、所望の生成物(130mg、74%)を得た。C
33H
27N
8O
3について計算されたLC-MS(M+H)
+:m/z=583.2;実測値583.2。
【0342】
工程9:3-(8-アミノ-2-((2,6-ジフルオロフェニル)(ヒドロキシ)メチル)-5-(ピリミジン-4-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピラジン-6-イル)ベンゾニトリル
グリニャール試薬の調製:テトラヒドロフラン(1mL)中の1,3-ジフルオロ-2-ヨードベンゼン(142mg、0.6mmol)の溶液に、イソプロピルマグネシウムクロリド溶液(296μl、2M)を-10℃で添加した。得られた混合物を1時間撹拌し、次の工程で直接使用した。
【0343】
THF(2mL)中の3-(8-(ビス(4-メトキシベンジル)アミノ)-2-ホルミル-5-(ピリミジン-4-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピラジン-6-イル)ベンゾニトリル(120mg、0.2mmol)の溶液に、前の工程から新たに調製したグリニャール試薬を-10℃で加えた。反応混合物を30分間撹拌し、塩化アンモニウム溶液(4mL)でクエンチし、ジクロロメタンで抽出した。組み合わせた有機層を真空中で濃縮した。得られた材料をTFA(5mL)に溶解し、80℃で20分間撹拌した。次に、反応混合物を室温に冷却し、濃縮し、水性NaHCO3溶液を加えることにより塩基性化した。
【0344】
粗物質をシリカゲルカラムによって直接精製して、所望の生成物(60mg、64%)をラセミ混合物として得た。次に、キラルカラム(Phenomenex Lux 5um Cellulose-4、21.2x250mm)及びヘキサン中の75%EtOH(20mL/min)溶媒システムを使用したキラルHPLCで生成物を分離した。
【0345】
ピーク2を分離し、分取LC/MS(pH=2、アセトニトリル/TFAを含む水)でさらに精製して、所望の生成物をTFA塩として得た。C23H15F2N8Oについて計算されたLC-MS(M+H)+:m/z=457.1;実測値:457.0。
【0346】
1H NMR(600MHz,DMSO-d6)δ9.14(d,J=1.3Hz,1H),8.95(d,J=5.2Hz,1H),7.90(dd,J=5.2,1.4Hz,1H),7.88(s,1H),7.78(dt,J=7.6,1.4Hz,1H),7.74(t,J=1.4Hz,1H),7.54(dt,J=7.9,1.3Hz,1H),7.51-7.40(m,2H),7.09(t,J=8.4Hz,2H),6.27(s,1H)。
【0347】
実施例A11:3-(8-アミノ-2-(アミノ(2,6-ジフルオロフェニル)メチル)-5-(4-メチルオキサゾール-5-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5 -a]ピラジン-6-イル)ベンゾニトリル(化合物11)の合成
【化61】
工程1:3-(8-(ビス(4-メトキシベンジル)アミノ)-5-ブロモ-2-ビニル-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピラジン-6-イル)ベンゾニトリル
【化62】
DCM(5mL)中の3-(8-(ビス(4-メトキシベンジル)アミノ)-2-ビニル-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピラジン-6-イル)ベンゾニトリル(実施例A10、工程5;241mg、0.48mmol)の溶液に、NBS(84.6mg、0.48mmol)を加えた。次いで、反応混合物を室温で1時間撹拌し、濃縮して粗生成物を得、これをさらなる精製をせずに次の工程で使用した。C
30H
26BrN
6O
2について計算されたLC-MS(M+H)
+:m/z=581.1;実測値:581.1。
【0348】
工程2:3-(8-(ビス(4-メトキシベンジル)アミノ)-5-ブロモ-2-ホルミル-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピラジン-6-イル)ベンゾニトリル
【化63】
THF/水(1:1、6mL)中の3-(8-(ビス(4-メトキシベンズイル)アミノ)-5-ブロモ-2-ビニル-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピラジン-6-イル)ベンゾニトリル(174mg、0.3mmol)、酸化オスミウム(VIII)(0.3mLの水に3mg、0.015mmol)、及び過ヨウ素酸ナトリウム(292mg、1.36mmol)の混合物を65℃で1時間撹拌した。反応混合物を室温に冷却し、ジクロロメタンで抽出した。組み合わせた有機層を濃縮し、シリカゲルカラムで精製して、所望の生成物を得た。C
29H
24N
6O
3Brについて計算されたLC-MS(M+H)
+:m/z=583.1;実測値583.1。
【0349】
工程3:3-(8-(ビス(4-メトキシベンジル)アミノ)-5-ブロモ-2-((2,6-ジフルオロフェニル)(ヒドロキシ)メチル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピラジン-6-イル)ベンゾニトリル
【化64】
グリニャール試薬の調製:テトラヒドロフラン(1mL)中の1,3-ジフルオロ-2-ヨードベンゼン(142mg、0.6mmol)の溶液に、イソプロピルマグネシウムクロリド溶液(296μl、2M)を-10℃で添加した。得られた混合物を1時間撹拌し、次の工程で直接使用した。
【0350】
THF(2mL)中の3-(8-(ビス(4-メトキシベンジル)アミノ)-5-ブロモ-2-ホルミル-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピラジン-6-イル)ベンゾニトリル(120mg、0.2mmol)の溶液に、前の工程から新たに調製したグリニャール試薬を-10℃で加えた。反応混合物を30分間撹拌し、塩化アンモニウム溶液(4mL)でクエンチし、ジクロロメタンで抽出した。組み合わせた有機層を真空下で濃縮し、シリカゲルカラムによって精製して、ラセミ混合物として所望の生成物を得た。C35H28N6O3BrF2について計算されたLC-MS(M+H)+:m/z=697.1;実測値697.1。
【0351】
工程4:3-(8-(ビス(4-メトキシベンジル)アミノ)-2-((2,6-ジフルオロフェニル)(ヒドロキシ)メチル)-5-(4-メチルオキサゾール-5-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピラジン-6-イル)ベンゾニトリル
【化65】
1,4-ジオキサン(2mL)及び水(200μl)中の3-(8-(ビス(4-メトキシベンジル)アミノ)-5-ブロモ-2-((2,6-ジフルオロフェニル)(ヒドロキシ)メチル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5 -a]ピラジン-6-イル)ベンゾニトリル(382mg、0.55mmol)、4-メチル-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)オキサゾール(137mg、0.65mmol)、ジシクロヘキシル(2’、4’、6’-トリイソプロピルビフェニル-2-イル)ホスフィン-(2’-アミノビフェニル-2-イル)(クロロ)パラジウム(1:1)(17mg、21.6μmol)、及びCs
2CO
3(356mg、1.09mmol)をN
2でパージし、95℃で7時間加熱した。混合物を濃縮し、フラッシュクロマトグラフィーにより精製して、所望の生成物を無色の油状物として得た。C
39H
32N
7O
4F
2(M+H)
+について計算したLCMS:700.2;実測値700.2。
【0352】
工程5:3-(8-(ビス(4-メトキシベンジル)アミノ)-2-(クロロ(2,6-ジフルオロフェニル)メチル)-5-(4-メチルオキサゾール-5-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピラジン-6-イル)ベンゾニトリル
【化66】
2mLのジクロロメタン中の3-(8-(ビス(4-メトキシベンジル)アミノ)-2-((2,6-ジフルオロフェニル)(ヒドロキシ)メチル)-5-(4-メチルオキサゾール-5-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピラジン-6-イル)ベンゾニトリル(201mg、0.29mmol)の溶液に、塩化チオニル(105μl、1.435mmol)を室温で加えた。得られた混合物を4時間撹拌し、濃縮し、さらに精製することなく次の工程で使用した。C
39H
31N
7O
3ClF
2について計算されたLC-MS(M+H)
+:m/z=718.2;実測値718.2。
【0353】
工程6:3-(8-アミノ-2-(アミノ(2,6-ジフルオロフェニル)メチル)-5-(4-メチルオキサゾール-5-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピラジン-6-イル)ベンゾニトリル
1mLのDMSO中の3-(8-(ビス(4-メトキシベンジル)アミノ)-2-(クロロ(2,6-ジフルオロフェニル)メチル)-5-(4-メチルオキサゾール-5-イル)-[1,2、4]トリアゾロ[1,5-a]ピラジン-6-イル)ベンゾニトリル(40mg、0.084mmol)に、アンモニア溶液(1mL)を加えた。混合物をマイクロ波条件で100℃で10時間加熱した後、水で希釈し、EtOAcで抽出した。組み合わせた有機層を水及びブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濃縮した。得られた残渣をTFA(1mL)中に溶解し、80℃で20分間攪拌した。次いで反応混合物を室温に冷却し、濃縮し、水性NaHCO3溶液を加えることにより塩基性化した。粗物質をシリカゲルカラムによって直接精製して、所望の生成物をラセミ混合物として得た。次に、生成物を、キラルカラム(AM-1)及びヘキサン中の45%EtOH(20mL/分)溶媒系を使用するキラルHPLCで分離した。ピーク1を単離し、分取LCMS(pH=2、TFAを有するアセトニトリル/水)によってさらに精製して所望の生成物をTFA塩として得た。C23H17F2N8Oについて計算されたLC-MS(M+H)+:m/z=459.1;実測値459.0。
【0354】
実施例A12:3-(8-アミノ-2-((2,6-ジフルオロフェニル)(ヒドロキシ)メチル)-5-(2,6-ジメチルピリジン-4-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピラジン-6-イル)ベンゾニトリル(化合物12)の合成
【化67】
ジオキサン(3.0mL)及び水(0.60mL)中の3-(8-(ビス(4-メトキシベンジル)アミノ)-5-ブロモ-2-((2,6-ジフルオロフェニル)(ヒドロキシ)メチル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピラジン-6-イル)ベンゾニトリル(実施例A11、工程3;0.518g、0.638mmol)、2,6-ジメチル-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリジン(0.346g、1.48mmol)、及びジシクロヘキシル(2’、4’、6’-トリイソプロピルビフェニル-2-イル)ホスフィン-(2’-アミノビフェニル-2-イル)(クロロ)パラジウム(1:1)(0.058g、0.074mmol)の溶液に、三塩基性リン酸カリウム(0.472g、2.23mmol)を加えた。得られた反応混合物を90℃で1時間撹拌した。次いで反応混合物を水及びDCMで希釈した。層を分離し、水層をDCMで抽出し、合わせた有機画分をMgSO
4で乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗物質をTFA(5mL)に溶解し、80℃に20分間加熱した。その後、反応混合物を室温に冷却し、濃縮し、水性NaHCO
3溶液を加えることにより塩基性化した。粗物質をシリカゲルカラムによって直接精製して、所望の生成物(257mg、72%)をラセミ混合物として得た。
【0355】
次に、キラルカラム(Phenomenex Lux 5um Cellulose-2、21.1×250mm)及びヘキサン中の35%EtOH(20mL/min)溶媒システムを使用したキラルHPLCで生成物を分離した。ピーク2を分離し、分取LC/MS(pH=2、アセトニトリル/水とTFA)を使用してさらに精製し、所望の生成物をTFA塩として得た。C26H20F2N7Oについて計算されたLC-MS(M+H)+:m/z=484.2;実測値484.2。1H NMR(500MHz,DMSO-d6)δ7.92(s,2H),7.85(s,1H),7.83(d,J=7.6Hz,1H),7.56(d,J=8.0Hz,1H),7.53-7.40(m,4H)、7.10(t,J=8.4Hz,2H),6.27(s,1H),2.51(s,6H)。
【0356】
実施例A13:3-(4-アミノ-2-(ピリジン-2-イルメチル)-7-(ピリミジン-4-イル)-2H-[1,2,3]トリアゾロ[4,5-c]ピリジン-6-イル)ベンゾニトリル(化合物13)の合成
【化68】
工程1.4,6-ジクロロ-3H-[1,2,3]トリアゾロ[4,5-c]ピリジン
【化69】
水(3mL)中のNaNO
2(3.88g、56.2mmol)の溶液を、37%の塩酸(5mL)中の2,6-ジクロロピリジン-3,4-ジアミン(10g、56mmol)の溶液に0℃で加えた。溶液を30分間撹拌した。水(20mL)を加え、白色の沈殿物を濾過し、水で洗浄し、乾燥させて、所望の生成物を得た。C
5H
3Cl
2N
4について計算されたLC-MS:189.0(M+H)
+;実測値:189.0(M+H)
+。
【0357】
工程2.6-クロロ-N-(2,4-ジメトキシベンジル)-3H-[1,2,3]トリアゾロ[4,5-c]ピリジン-4-アミン
【化70】
1,4-ジオキサン(10mL)中の4,6-ジクロロ-3H-[1,2,3]トリアゾロ[4,5-c]ピリジン(600mg、3.17mmol)、(2,4-ジメトキシフェニル)メタンアミン(0.53mLl、3.49mmol)及びトリエチルアミン(0.53mL、3.81mmol)の混合物を110℃で3日間撹拌した。シリカゲルカラムでの直接精製により、所望の生成物(875mg、86%)を得た。C
14H
15ClN
5O
2について計算されたLC-MS:320.1(M+H)
+;実測値:320.3(M+H)
+。
【0358】
工程3.6-クロロ-N-(2,4-ジメトキシベンジル)-2-(ピリジン-2-イルメチル)-2H-[1,2,3]トリアゾロ[4,5-c]ピリジン-4-アミン
【化71】
DCM(20mL)中の6-クロロ-N-(2,4-ジメトキシベンジル)-3H-[1,2,3]トリアゾロ[4,5-c]ピリジン-4-アミン(875mg、2.74mmol)、ピリジン-2-イルメタノール(0.317mL、3.28mmol)、及びトリフェニルホスフィン(1436mg、5.47mmol)の混合物に、アゾジカルボン酸ジイソプロピル(0.647mL、3.28mmol)を0℃で加えた。得られた混合物を0℃で1時間攪拌した。シリカゲルカラムでの直接精製により、所望の生成物(375mg、33.4%)を得た。C
20H
20ClN
6O
2について計算されたLC-MS:411.1(M+H)
+;実測値:411.2(M+H)
+。
【0359】
工程4.3-(4-((2,4-ジメトキシベンジル)アミノ)-2-(ピリジン-2-イルメチル)-2H-[1,2,3]トリアゾロ[4,5-c]ピリジン-6-イル)ベンゾニトリル
【化72】
1,4-ジオキサン(10mL)及び水(1.00mL)中の6-クロロ-N-(2,4-ジメトキシベンジル)-2-(ピリジン-2-イルメチル)-2H-[1,2,3]トリアゾロ[4,5-c]ピリジン-4-アミン(375mg、0.913mmol)及び(3-シアノフェニル)ボロン酸(268mg、1.825mmol)の混合物に、炭酸セシウム(595mg、1.825mmol)を加えた。得られた混合物をN
2でパージし、次いでクロロ(2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピル-1,1’-ビフェニル)[2-(2’-アミノ-1,1’-ビフェニル)]パラジウム(II)(71.8mg、0.091mmol)を加えた。反応混合物をマイクロ波照射下で120℃で90分間撹拌した。反応を20mLの酢酸エチル及び20mLの水でクエンチした。有機相を分離し、水溶液を酢酸エチルで2回抽出した。組み合わせた抽出物をNa
2SO
4上で乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させた。残渣をシリカゲルカラムで精製して、所望の生成物(300mg、68.9%)を得た。C
27H
24N
7O
2について計算されたLC-MS:478.2(M+H)
+;実測値:478.3(M+H)
+。
【0360】
工程5.3-(4-アミノ-2-(ピリジン-2-イルメチル)-2H-[1,2,3]トリアゾロ[4,5-c]ピリジン-6-イル)ベンゾニトリル
【化73】
TFA(5mL)中の3-(4-((2,4-ジメトキシベンジル)アミノ)-2-(ピリジン-2-イルメチル)-2H-[1,2,3]トリアゾロ[4,5-c]ピリジン-6-イル)ベンゾニトリル(300.3mg、0.629mmol)の溶液を、100℃で30分間撹拌した。TFAを減圧下で蒸発させ、次いで20mLの飽和NaHCO
3水溶液及び20mLの酢酸エチルを加えた。有機相を分離し、水溶液を酢酸エチルで2回抽出した。組み合わせた抽出物をNa
2SO
4上で乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させた。残渣をシリカゲルカラムで精製して、所望の生成物(175mg、85%)を得た。C
18H
14N
7について計算されたLC-MS:328.1(M+H)
+;実測値:328.2(M+H)
+。
【0361】
工程6.3-(4-アミノ-7-ブロモ-2-(ピリジン-2-イルメチル)-2H-[1,2,3]トリアゾロ[4,5-c]ピリジン-6-イル)ベンゾニトリル
【化74】
THF(10mL)中の3-(4-アミノ-2-(ピリジン-2-イルメチル)-2H-[1,2,3]トリアゾロ[4,5-c]ピリジン-6-イル)ベンゾニトリル(175mg、0.535mmol)及び1-ブロモピロリジン-2,5-ジオン(100mg、0.561mmol)の混合物を0℃で30分間撹拌し、次いで飽和NaHCO
3水溶液でクエンチした。有機層を分離し、Na
2SO
4上で乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させた。生じた残渣をシリカゲルカラムで精製して、所望の生成物(135mg、62.2%)を得た。C
18H
13BrN
7について計算されたLC-MS:406.0(M+H)
+及び408.0(M+H)
+;実測値:406.1(M+H)
+及び408.2(M+H)
+。
【0362】
工程7.3-(4-アミノ-2-(ピリジン-2-イルメチル)-7-(ピリミジン-4-イル)-2H-[1,2,3]トリアゾロ[4,5-c]ピリジン-6-イル)ベンゾニトリル
【化75】
THF(1ml)中の3-(4-アミノ-7-ブロモ-2-(ピリジン-2-イルメチル)-2H-[1,2,3]トリアゾロ[4,5-c]ピリジン-6-イル)ベンゾニトリル(182mg、0.448mmol)、4-(トリブチルスタンニル)ピリミジン(496mg、1.344mmol)、及び塩化銅(I)(53.2mg、0.538mmol)、塩化リチウム(22.79mg、0.538mmol)、及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(51.8mg、0.045mmol)の混合物を最初にN
2でパージし、次いで加熱し、90℃で2時間撹拌した。反応物をメタノールで希釈し、分取LCMS(pH=2)で生成して所望の生成物を得た。C
22H
16N
9について計算されたLC-MS:406.2(M+H)
+;実測値:406.2(M+H)
+。
【0363】
実施例A14.3-(4-アミノ-2-((3-フルオロピリジン-2-イル)メチル)-7-(ピリミジン-4-イル)-2H-[1,2,3]トリアゾロ[4,5-c]ピリジン-6-イル)ベンゾニトリル(化合物14)の合成
【化76】
工程1.6-クロロ-N-(2,4-ジメトキシベンジル)-2-((3-フルオロピリジン-2-イル)メチル)-2H-[1,2,3]トリアゾロ[4,5-c]ピリジン-4-アミン
【化77】
DCM(1.7mL)中の6-クロロ-N-(2,4-ジメトキシベンジル)-3H-[1,2,3]トリアゾロ[4,5-c]ピリジン-4-アミン(実施例A13、工程2、1000mg、3.13mmol)、(3-フルオロピリジン-2-イル)メタノール(477mg、3.75mmol)、及びトリフェニルホスフィン(1641mg、6.25mmol)の混合物に、アゾジカルボン酸ジイソプロピル(739μl、3.75mmol)を0℃で加えた。反応混合物を0℃で1時間撹拌した。シリカゲルカラムでの直接精製により、所望の生成物(433mg、32%)を得た。C
20H
19ClFN
6O
2について計算されたLC-MS:429.1(M+H)
+;実測値:429.3(M+H)
+。
【0364】
工程2.3-(4-((2,4-ジメトキシベンジル)アミノ)-2-((3-フルオロピリジン-2-イル)メチル)-2H-[1,2,3]トリアゾロ[4,5-c]ピリジン-6-イル)ベンゾニトリル
【化78】
1,4-ジオキサン(10.0mL)及び水(1.0mL)中の炭酸セシウム(658mg、2.019mmol)を、6-クロロ-N-(2,4-ジメトキシベンジル)-2-((3-フルオロピリジン-2-イル)メチル)-2H-[1,2,3]トリアゾロ[4,5-c]ピリジン-4-アミン(433mg、1.010mmol)及び(3-シアノフェニル)ボロン酸(297mg、2.019mmol)の混合物に加えた。得られた混合物を2分間N
2でスパージし、(SP-4-4)-[2’-アミノ[1,1’-ビフェニル]-2-イル]クロロ[ジシクロヘキシル[2’,4’,6’-トリス(1-メチルエチル)[1,1’-ビフェニル]-2-イル]ホスフィン]パラジウム(79mg、0.101mmol)を加えた。反応混合物を、マイクロ波照射下、120℃で1.5時間撹拌した。反応を20mLの酢酸エチル及び20mLの水でクエンチした。有機相を分離し、水溶液を酢酸エチルで2回抽出した。組み合わせた抽出物をNa
2SO
4上で乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させた。残渣をシリカゲルカラムで精製して、所望の生成物(357mg、71%)を得た。C
27H
23FN
7O
2について計算されたLC-MS:496.2(M+H)
+;実測値:496.3(M+H)
+。
【0365】
工程3.3-(4-アミノ-2-((3-フルオロピリジン-2-イル)メチル)-2H-[1,2,3]トリアゾロ[4,5-c]ピリジン-6-イル)ベンゾニトリル
【化79】
TFA(5mL)中の3-(4-((2,4-ジメトキシベンジル)アミノ)-2-((3-フルオロピリジン-2-イル)メチル)-2H-[1,2,3]トリアゾロ[4,5-c]ピリジン-6-イル)ベンゾニトリル(357.3mg、0.721mmol)の溶液を、100℃で1時間撹拌した。TFAを減圧下で蒸発させ、次いで20mLの飽和NaHCO
3水溶液及び20mLの酢酸エチルを加えた。有機相を分離し、水溶液を酢酸エチルで2回抽出した。組み合わせた抽出物をNa
2SO
4上で乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させた。残渣をシリカゲルカラムで精製して、所望の生成物(213mg、61%)を得た。C
18H
13FN
7について計算されたLC-MS m/z:346.1(M+H)
+;実測値:346.3(M+H)
+。
【0366】
工程4.3-(4-アミノ-7-ブロモ-2-((3-フルオロピリジン-2-イル)メチル)-2H-[1,2,3]トリアゾロ[4,5-c]ピリジン-6-イル)ベンゾニトリル
【化80】
THF(5mL)中の3-(4-アミノ-2-((3-フルオロピリジン-2-イル)メチル)-2H-[1,2,3]トリアゾロ[4,5-c]ピリジン-6-イル)ベンゾニトリル(213mg、0.617mmol)及び1-ブロモピロリジン-2,5-ジオン(220mg、1.234mmol)の混合物を0℃で1時間撹拌した。シリカゲルでの直接精製により、所望の生成物(175mg、67%)を得た。C
18H
12BrFN
7について計算されたLC-MS:424.0(M+H)
+及び426.0(M+H)
+;実測値:424.3(M+H)
+及び426.3(M+H)
+。
【0367】
工程5.3-(4-アミノ-2-((3-フルオロピリジン-2-イル)メチル)-7-(ピリミジン-4-イル)-2H-[1,2,3]トリアゾロ[4,5-c]ピリジン-6-イル)ベンゾニトリル
【化81】
THF(1ml)中の3-(4-アミノ-7-ブロモ-2-((3-フルオロピリジン-2-イル)メチル)-2H-[1,2,3]トリアゾロ[4,5-c]ピリジン-6-イル)ベンゾニトリル(220mg、0.519mmol)、4-(トリブチルスタンニル)ピリミジン(383mg、1.037mmol)、及び塩化銅(I)(61.6mg、0.622mmol)、塩化リチウム(26.4mg、0.622mmol)、及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(59.9mg、0.052mmol)の混合物を最初にN
2でパージし、次いで加熱し、90℃で2時間撹拌した。反応物をメタノールで希釈し、分取LCMS(pH=2)で生成して所望の生成物を得た。C
22H
15FN
9について計算されたLC-MS:424.1(M+H)
+;実測値:424.3(M+H)
+。
1H NMR(500MHz,DMSO-d
6)ppm 8.98(s,1H),8.77(d,J=5.02Hz,1H),8.38(dd,J
1=4.60Hz,J
2=1.32Hz,1H),7.90-8.30(bs,2H),7.76-7.89(m,3H)、7.66(dd,J
1=5.25Hz,J
2=1.25Hz,1H),7.45-7.58(m,3H)、6.25(s,2H)。
【0368】
実施例A15.3-(4-アミノ-2-((3-フルオロピリジン-2-イル)メチル)-7-(ピリジン-4-イル)-2H-[1,2,3]トリアゾロ[4,5-c]ピリジン-6-イル)ベンゾニトリル(化合物15)の合成
【化82】
1,4-ジオキサン(2mL)及び水(0.2mL)中の炭酸セシウム(46.1mg、0.141mmol)を、3-(4-アミノ-7-ブロモ-2-((3-フルオロピリジン-2-イル)メチル)-2H-[1,2,3]トリアゾロ[4,5-c]ピリジン-6-イル)ベンゾニトリル(30mg、0.071mmol)及びピリジン-4-イルボロン酸(17.38mg、0.141mmol)の混合物に加えた。得られた混合物を2分間N
2でスパージし、クロロ(2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピル-1,1’-ビフェニル)[2-(2’-アミノ-1,1’-ビフェニル)]パラジウム(II)(5.56mg、7.07μmol)を加えた。反応混合物を、マイクロ波照射下、120℃で1.5時間撹拌した。反応混合物をメタノールで希釈した。分取HPLCでの直接精製により、所望の生成物が得られた。C
23H
16FN
8について計算されたLC-MS:423.1(M+H)
+;実測値:423.3(M+H)
+。
【0369】
実施例A16.3-(4-アミノ-7-(1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)-2-(ピリジン-2-イルメチル)-2H-[1,2,3]トリアゾロ[4,5-c]ピリジン-6-イル)-2-フルオロベンゾニトリル(化合物16)の合成
【化83】
工程1.3-(4-アミノ-7-ブロモ-2-(ピリジン-2-イルメチル)-2H-[1,2,3]トリアゾロ[4,5-c]ピリジン-6-イル)-2-フルオロベンゾニトリル
【化84】
この化合物は、実施例A13、工程1~工程6について記載されているものと同様の手順に従い、工程4において(3-シアノフェニル)ボロン酸に代えて(3-シアノ-2-フルオロフェニル)ボロン酸を用いて調製した。C
18H
12BrFN
7について計算されたLC-MS:424.0(M+H)
+及び426.0(M+H)
+;実測値:424.3(M+H)
+及び426.3(M+H)
+。
【0370】
工程2.3-(4-アミノ-7-(1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)-2-(ピリジン-2-イルメチル)-2H-[1,2,3]トリアゾロ[4,5-c]ピリジン-6-イル)-2-フルオロベンゾニトリル;
【化85】
この化合物は、実施例A15と同様の手順に従い、ピリジン-4-イルボロン酸に代えて(1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)ボロン酸を用いて、3-(4-アミノ-7-ブロモ-2-((3-フルオロピリジン-2-イル)メチル)-2H-[1,2,3]トリアゾロ[4,5-c]ピリジン-6-イル)ベンゾニトリルに代えて3-(4-アミノ-7-ブロモ-2-(ピリジン-2-イルメチル)-2H-[1,2,3]トリアゾロ[4,5-c]ピリジン-6-イル)-2-フルオロベンゾニトリルを用いて調製した。C
22H
17FN
9について計算されたLC-MS:426.2(M+H)
+;実測値:426.3(M+H)
+。
【0371】
実施例A17:7-(1-((5-クロロピリジン-3-イル)メチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-3-メチル-9-ペンチル-6,9-ジヒドロ-5H-ピロロ[3,2-d][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-5-オン(化合物17)の合成
【化86】
工程1:3-(ペンチルアミノ)-1H-ピロール-2-カルボン酸エチル
【化87】
3-アミノ-1H-ピロール-2-カルボン酸エチル(5g、32.4mmol)、ペンタナール(3.79ml、35.7mmol)、及びシアノ水素化ホウ素ナトリウム(2.038g、32.4mmol)をメタノール(64.9ml)中で室温で一晩混合した。反応混合物を減圧下で濃縮した。粗残留物をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン中の0から100%EtOAc)によって精製して、所望の生成物(4.4g、61%)を得た。C
12H
21N
2O
2(M+H)に対して計算されたLCMS:225.2。実測値:225.1
【0372】
工程2:3-(3-(エトキシカルボニル)-1-ペンチルチオウレイド)-1H-ピロール-2-カルボン酸エチル
【化88】
バイアルに、3-(ペンチルアミノ)-1H-ピロール-2-カルボン酸エチル(4.4g、19.62mmol)、ジクロロメタン(39.2ml)、及びエトキシカルボニルイソチオシアネート(2.78ml、23.54mmol)を入れた。反応混合物を室温で一晩撹拌した。反応混合物を水(40mL)でクエンチし、相を分離した。水性層をジクロロメタン(3×40mL)で抽出し、組み合わせた有機画分をMgSO
4で乾燥し、濾過し、濃縮した。粗物質をさらに精製することなく次の工程で使用した。C
16H
26N
3O
4S(M+H)に対して計算されたLCMS:356.2。実測値:356.1。
【0373】
工程3:1-ペンチル-2-チオキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-4(5H)-オン
【化89】
マイクロ波バイアルに、3-(3-(エトキシカルボニル)-1-ペンチルチオウレイド)-1H-ピロール-2-カルボキシレート(7.31g、20.57mmol)及びナトリウムエトキシド(21%w/w、8.45ml、22.62mmol)溶液を入れた。バイアルに蓋をして、マイクロ波反応器で摂氏120度で10分間加熱した。1M HCl溶液を加えて反応混合物を中性pHにし、固体生成物を濾過して乾燥させた(3.1g、64%)。C
11H
16N
3OS(M+H)に対して計算されたLCMS:238.1。実測値:238.1。
【0374】
工程4:2-ヒドラゾノ-1-ペンチル-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-4(5H)-オン
【化90】
バイアルに、1-ペンチル-2-チオキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-4(5H)-オン(3.13g、13.19mmol)及びヒドラジン水和物(20mL)を入れた。反応混合物を摂氏100度で一晩撹拌した。形成された固体を濾過し、水で洗浄して、所望の生成物(2.2g、70%)を得た。C
11H
18N
5O(M+H)に対して計算されたLCMS:236.1。実測値:236.1。
【0375】
工程5:3-メチル-9-ペンチル-6,9-ジヒドロ-5H-ピロロ[3,2-d][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-5-オン
【化91】
バイアルに、(E)-2-ヒドラゾノ-1-ペンチル-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-4(5H)-オン(4.8g、20.40mmol)、トリフルオロ酢酸の滴、及びトリエチルオルトアセテート(20mL)を入れた。反応混合物を摂氏110度に3時間加熱した。懸濁液を濾過し、ヘキサンで洗浄し、そして乾燥させた(4.0g、76%)。C
13H
18N
5O(M+H)に対して計算されたLCMS:260.1。実測値:260.2。
【0376】
工程6:3-メチル-9-ペンチル-6-(フェニルスルホニル)-6,9-ジヒドロ-5H-ピロロ[3,2-d][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-5-オン
【化92】
バイアルに、3-メチル-9-ペンチル-6,9-ジヒドロ-5H-ピロロ[3,2-d][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-5-オン(工程1から)(4g、15.43mmol)、ジクロロメタン(40mL)、ジメチルアミノピリジン(0.188g、1.543mmol)、トリエチルアミン(3.23ml、23.14mmol)、及びベンゼンスルホニルクロリド(2.187ml、16.97mmol)を入れた。反応混合物を室温で1時間撹拌した。反応混合物を水でクエンチし、層を分離した。水性層をジクロロメタン(3×40mL)で抽出し、組み合わせた有機画分をMgSO
4で乾燥し、濾過し、濃縮した。粗物質をさらに精製することなく次の工程で使用した(6.1g、定量的)。C
19H
22N
5O
3S(M+H)に対して計算されたLCMS:400.1。実測値:400.1。
【0377】
工程7:7-ブロモ-3-メチル-9-ペンチル-6-(フェニルスルホニル)-6,9-ジヒドロ-5H-ピロロ[3,2-d][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-5-オン
【化93】
バイアルに、3-メチル-9-ペンチル-6-(フェニルスルホニル)-6,9-ジヒドロ-5H-ピロロ[3,2-d][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-5-オン(1g、2.503mmol)、乾燥THF(30mL)を入れ、混合物を-78℃に冷却した。リチウムジイソプロピルアミド溶液(ヘキサン中1M/THF、3.13ml、3.13mmol)を滴下した。反応混合物を-78℃で1.5時間維持した。乾燥THF(3ml)中の1,2-ジブロモ-1,1,2,2-テトラクロロエタン(1.223g、3.75mmol)の溶液を反応混合物に滴下して加え、反応混合物を-78℃にさらに1.5時間維持した。反応混合物を、飽和NH
4Cl溶液(30mL)でクエンチし、ジクロロメタン(30mL)で希釈した。層を分離し、水性層をDCM(3x30ml)で抽出した。組み合わせた有機画分をMgSO
4上で乾燥し、濾過し、濃縮した。粗残留物を自動フラッシュクロマトグラフィー(DCM中の0~100%EtOAc)によって精製して、所望の生成物(0.84g、70%)を得た。C
19H
21BrN
5O
3S(M+H)について計算されたLCMS:478.1。実測値:478.1。
【0378】
工程8:3-クロロ-5-((4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)メチル)ピリジン
【化94】
バイアルに、4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾール(0.5g、2.58mmol)、3-(ブロモメチル)-5を入れた。-クロロピリジン臭化水素酸塩(0.741g、2.58mmol)、炭酸セシウム(2.52g、7.73mmol)、及びDMF(6.44ml)を入れた。反応混合物を摂氏60度で1時間撹拌した。反応混合物を、水(10mL)でクエンチし、ジクロロメタン(10mL)で希釈した。層を分離し、水層をジクロロメタン(3×10mL)で抽出した。組み合わせた有機抽出物をMgSO
4で乾燥させ、濾過し、濃縮した。自動フラッシュクロマトグラフィー(DCM中の0~100%EtOAc)による精製により、生成物(0.548g、67%)が得られた。C
15H
20BClN
3O
2(M+H)に対して計算されたLCMS:320.1、322.1。実測値:320.1、322.1
【0379】
工程9:7-(1-((5-クロロピリジン-3-イル)メチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-3-メチル-9-ペンチル-6,9-ジヒドロ-5H-ピロロ[3,2-d][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-5-オン
バイアルに、7-ブロモ-3-メチル-9-ペンチル-6-(フェニルスルホニル)-6,9-ジヒドロ-5H-ピロロ[3,2-d][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-5-オン(0.01g、0.021mmol)、3-クロロ-5-((4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-トリアゾール-1-イル)メチル)ピリジン(0.013g、0.042mmol)、クロロ(2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’、4’、6’-トリイソプロピル-1,1’-ビフェニル)[2-(2’-アミノ-1,1’-ビフェニル)]パラジウム(II)(5.00mg、0.006mmol)及び三塩基性リン酸カリウム(0.016g、0.074mmol)を入れた。1,4-ジオキサン(0.35ml)及び水(0.07ml)を加え、反応混合物に窒素ガスを5分間散布し、次に90℃で2時間撹拌した。その後、反応混合物を室温に冷却し、水酸化ナトリウム(10mg)を添加した。反応混合物を、40℃で60分間撹拌した。この反応混合物を室温まで冷却し、DMF(5mL)で希釈した。最終物質を分取HPLC(pH2、TFAを有するアセトニトリル/水)によって精製して生成物をTFA塩(2mg、21%)として得た。C22H24ClN8Oについて計算されたLC-MS(M+H)+:451.2;実測値453.2。
【0380】
実施例A18:3-メチル-7-(1-((5-メチルピリジン-3-イル)メチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-9-ペンチル-6,9-ジヒドロ-5H-ピロロ[3,2-d][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-5-オン(化合物18)の合成
【化95】
この化合物は、工程8で3-(ブロモメチル)-5-クロロピリジン臭化水素酸塩の代わりに3-(ブロモメチル)-5-メチルピリジンを使用して、実施例A17に記載されたのと同様の手順を使用して調製した。C
23H
27N
8Oについて計算されたLC-MS(M+H):431.2。実測値:431.3。
【0381】
実施例A19:3-メチル-9-ペンチル-7-(1-(チエノ[3,2-b]ピリジン-6-イルメチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-6,9-ジヒドロ-5H-ピロロ[3,2-d][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-5-オン(化合物19)の合成
【化96】
この化合物は、工程8で3-(ブロモメチル)-5-クロロピリジン臭化水素酸塩の代わりに6-(ブロモメチル)チエノ[3,2-b]ピリジンを使用して、実施例A17に記載されたのと同様の手順を使用して調製した。C
24H
25N
8OSについて計算されたLC-MS(M+H):473.2。実測値:473.3。
【0382】
実施例A20:7-(1-((2-(2-(ジメチルアミノ)アセチル)-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-6-イル)メチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-3-メチル-9-ペンチル-6,9-ジヒドロ-5H-ピロロ[3,2-d][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-5-オン(化合物20)
【化97】
工程1:tert-ブチル6-((4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)メチル)-3,4 -ジヒドロイソキノリン-2(1H)-カルボン酸塩
【化98】
フラスコに、4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾール(.5g、2.58mmol)、tert-ブチル6-(ヒドロキシメチル)-3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-カルボキシレート(0.339g、1.288mmol)、トリフェニルホスフィン(0.743g、2.83mmol)、及びTHF(12ml)を入れた。溶液を0℃に冷却し、DIAD(0.601ml、3.09mmol)を滴下した。反応混合物を室温で一晩攪拌した。反応混合物を冷却し、酢酸エチルで希釈し、その後、水で洗浄し、乾燥させ、濃縮した。生成物を、ヘキサン/EtOAc(最大EtOAc 60%)で溶出するカラムクロマトグラフィーによって精製して、生成物を得た。C
24H
35BN
3O
4(M+H)
+:m/zに対するLCMS計算値440.3;実測値440.3。
【0383】
工程2:7-ブロモ-3-メチル-9-ペンチル-6,9-ジヒドロ-5H-ピロロ[3,2-d][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-5-オン
【化99】
TBAF(THF中1.0M)(2.0ml、2.0mmol)を、THF(4.0ml)中の7-ブロモ-3-メチル-9-ペンチル-6-(フェニルスルホニル)-6,9-ジヒドロ-5H-ピロロ[3,2-d][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-5-オン(0.360g、0.753mmol)の溶液に加え、次に反応物を50℃で1時間撹拌した。溶媒を除去し、生成物を、CH
2Cl
2/MeOH(最大MeOH 10%)で溶出するカラムクロマトグラフィーによって精製した。C
13H
17BrN
5Oについて計算されたLC-MS(M+H)
+:m/z=338.1;実測値338.1。
【0384】
工程3:tert-ブチル6-((4-(3-メチル-5-オキソ-9-ペンチル-6,9-ジヒドロ-5H-ピロロ[3,2-d][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-7-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)メチル)-3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-カルボン酸塩
【化100】
7-ブロモ-3-メチル-9-ペンチル-6,9-ジヒドロ-5H-ピロロ[3,2-d][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-5-オン(実施例A20、工程2から)(0.040g、0.118mmol)、tert-ブチル6-((4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)メチル)-3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-カルボキシレート(0.062g、0.142mmol)、ジクロロ[1,1’-ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)、t-BuOH(1.5ml)/水(0.6ml)中のジクロロメタン付加物(Pd-127)(8.94mg、0.012mmol)及びフッ化セシウム(0.090g、0.591mmol)の混合物を真空にし、N
2に3回置き換えた。次いで反応混合物を105℃で2時間撹拌し、室温に冷却し、酢酸エチルで希釈し、水で洗浄し、乾燥させ、濃縮した。生成物を、CH
2Cl
2/MeOH(最大MeOH 10%)で溶出するカラムによって精製した。C
31H
39N
8O
3について計算されたLC-MS(M+H)
+:m/z=571.3;実測値:571.5。
【0385】
工程4:3-メチル-9-ペンチル-7-(1-((1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-6-イル)メチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-6,9-ジヒドロ-5H-ピロロ[3,2-d][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-5-オン
【化101】
TFA(0.5ml、6.49mmol)を、CH
2Cl
2(0.5ml)中のtert-ブチル6-((4-(3-メチル-5-オキソ-9-ペンチル-6,9-ジヒドロ-5H-ピロロ[3,2-d][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-7-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)メチル)-3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-カルボキシレート(50.0mg、0.088mmol)に加え、次に反応物を室温で30分間撹拌した。次に、溶媒を除去して、粗生成物をTFA塩として得た。C
26H
31N
8Oについて計算されたLC-MS(M+H)
+:m/z=471.3;実測値471.2。
【0386】
工程5:7-(1-((2-(2-(ジメチルアミノ)アセチル)-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-6-イル)メチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-3-メチル-9-ペンチル-6,9-ジヒドロ-5H-ピロロ[3,2-d][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-5-オン
ジメチルグリシノイルクロリド(3.10mg、0.026mmol)を3-メチル-9-ペンチル-7-(1-((1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-6-イル)メチル)-1H-の溶液に加えた。ピラゾール-4-イル)-6,9-ジヒドロ-5H-ピロロ[3,2-d][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-5-オン(6.0mg、0.013mmol)及びトリエチルアミン(8.89μl、0.064mmol)をCH2Cl2(0.8ml)に溶かし、室温で30分間撹拌した。溶媒を除去し、混合物をアセトニトリル/水で希釈し、分取HPLC(pH2、アセトニトリル/TFAを含む水)によって精製して、そのTFA塩として所望の化合物を得た。C30H38N9O2について計算されたLC-MS(M+H)+:m/z=556.3;実測値556.3。
【0387】
実施例A21.3-(2-((5-(1H-ピラゾール-1-イル)-2H-テトラゾール-2-イル)メチル)-5-アミノ-8-(ピリミジン-4-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-c]ピリミジン-7-イル)ベンゾニトリル(化合物21A)及び3-(2-((5-(1H-ピラゾール-1-イル)-1H-テトラゾール-1-イル)メチル)-5-アミノ-8-(ピリミジン-4-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-c]ピリミジン-7-イル)ベンゾニトリル(化合物21B)
【化102】
この化合物は、実施例A3について記載されているものと同様の手順を使用して、2-(1H-テトラゾール-5-イル)ピリジンに代えて5-(1H-ピラゾール-1-イル)-1H-テトラゾールを用いて調製した。化合物21Aを分取LC-MS(pH2、TFAを有するアセトニトリル/水)によって精製して生成物をTFA塩として得た。C
21H
15N
14について計算されたLC-MS(M+H)
+:463.2;実測値463.2。
【0388】
本明細書で説明されるものに加えて、本発明の様々な修正は、前述の説明から当業者には明らかとなろう。そのような修正は、添付の特許請求の範囲の範囲内にあることが意図される。本出願で引用された全ての特許、特許出願、及び刊行物を含む各参考文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
本願は下記の態様も包含する。
[態様1]
対象におけるがんを治療する方法であって、
(i)A2A/A2Bの阻害剤;及び
(ii)PD-1/PD-L1の阻害剤
を前記対象に投与することを含む、方法。
[態様2]
前記A2A/A2Bの阻害剤が、式(I)の化合物、
【化103】
またはその薬学的に許容される塩であって、式中、
Cy
1
は、ハロ及びCNから独立して選択される1または2個の置換基によって置換されるフェニルであり;
Cy
2
は、5~6員ヘテロアリールまたは4~7員ヘテロシクロアルキルであり、式中、前記Cy
2
の5~6員ヘテロアリールまたは4~7員ヘテロシクロアルキルは、それぞれ、C
1-3
アルキル、C
1-3
アルコキシ、NH
2
、NH(C
1-3
アルキル)及びN(C
1-3
アルキル)
2
から独立して選択される1、2、または3個の基でそれぞれ任意選択で置換され;
R
2
は、フェニル-C
1-3
アルキル-、C
3-7
シクロアルキル-C
1-3
アルキル-、(5~7員ヘテロアリール)-C
1-3
アルキル-、(4~7員ヘテロシクロアルキル)-C
1-3
アルキル-、及びOR
a2
から選択され、式中、前記R
2
のフェニル-C
1-3
アルキル-、C
3-7
シクロアルキル-C
1-3
アルキル-、(5~7員ヘテロアリール)-C
1-3
アルキル-、及び(4~7員ヘテロシクロアルキル)-C
1-3
アルキル-は、その各々が、1、2、または3個の独立して選択されるR
C
置換基で任意選択で置換され;
R
a2
は、1または2個の独立して選択されるR
C
置換基で任意選択で置換された(5~7員ヘテロアリール)-C
1-3
アルキル-であり;
各R
C
は、ハロ、C
1-6
アルキル、C
6
アリール、5~7員ヘテロアリール、(4~7員ヘテロシクロアルキル)-C
1-3
アルキル-、OR
a4
、及びNR
c4
R
d4
から独立して選択され;
各R
a4
、R
c4
、及びR
d4
は、H及びC
1-6
アルキルから独立して選択される、態様1に記載の方法。
[態様3]
前記A2A/A2Bの阻害剤が、
3-(5-アミノ-2-(ピリジン-2-イルメチル)-8-(ピリミジン-4-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-c]ピリミジン-7-イル)ベンゾニトリル、またはその薬学的に許容される塩;
3-(5-アミノ-2-((2,6-ジフルオロフェニル)(ヒドロキシ)メチル)-8-(ピリミジン-4-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-c]ピリミジン-7-イル)ベンゾニトリル、またはその薬学的に許容される塩;
3-(5-アミノ-2-((5-(ピリジン-2-イル)-2H-テトラゾール-2-イル)メチル)-8-(ピリミジン-4-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-c]ピリミジン-7-イル)ベンゾニトリル、またはその薬学的に許容される塩;
3-(5-アミノ-2-((5-(ピリジン-2-イル)-1H-テトラゾール-1-イル)メチル)-8-(ピリミジン-4-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-c]ピリミジン-7-イル)ベンゾニトリル、またはその薬学的に許容される塩;
3-(5-アミノ-2-((3-メチルピリジン-2-イル)メトキシ)-8-(ピリミジン-4-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-c]ピリミジン-7-イル)ベンゾニトリル、またはその薬学的に許容される塩;及び
3-(2-((5-(1H-ピラゾール-1-イル)-2H-テトラゾール-2-イル)メチル)-5-アミノ-8-(ピリミジン-4-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-c]ピリミジン-7-イル)ベンゾニトリル、またはその薬学的に許容される塩
から選択される、態様1または2に記載の方法。
[態様4]
前記A2A/A2Bの阻害剤が、式(II)の化合物、
【化104】
またはその薬学的に許容される塩であって、式中、
R
2
は、H及びCNから選択され;
Cy
1
は、ハロ及びCNから独立して選択される1または2個の置換基によって置換されるフェニルであり;
Lは、C
1-3
アルキレンであり、式中、前記アルキレンは、任意選択で、1、2、または3個の独立して選択されるR
8D
置換基で置換され;
Cy
4
は、フェニル、シクロヘキシル、ピリジル、ピロリジノニル、及びイミダゾリルから選択され、式中、フェニル、シクロヘキシル、ピリジル、ピロリジノニル、及びイミダゾリルは、それぞれ、R
8D
及びR
8
から独立して選択される1、2、または3個の置換基で任意選択で置換され;
各R
8
は、独立して、ハロ、C
1-6
アルキル、C
1-6
ハロアルキル、C
2-4
アルケニル、C
2-4
アルキニル、フェニル、C
3-7
シクロアルキル、5~6員ヘテロアリール、4~7員ヘテロシクロアルキル、フェニル-C
1-3
アルキル、C
3-7
シクロアルキル-C
1-3
アルキル、(5~6員ヘテロアリール)-C
1-3
アルキル、及び(4~7員ヘテロシクロアルキル)-C
1-3
アルキルから選択され、式中、前記R
8
のC
1-6
アルキル、C
2-4
アルケニル、C
2-4
アルキニル、フェニル、C
3-7
シクロアルキル、5~6員ヘテロアリール、4~7員ヘテロシクロアルキル、フェニル-C
1-3
アルキル、C
3-7
シクロアルキル-C
1-3
アルキル、(5~6員ヘテロアリール)-C
1-3
アルキル、及び(4~7員ヘテロシクロアルキル)-C
1-3
アルキルはそれぞれ、1、2、または3個の独立して選択されるR
8A
置換基で任意選択で置換され;
各R
8A
が、独立して、ハロ、C
1-6
アルキル、5~6員ヘテロアリール、4~7員ヘテロシクロアルキル、CN、OR
a81
、及びNR
c81
R
d81
から選択され、式中、前記R
8A
のC
1-3
アルキル、5~6員ヘテロアリール、及び4~7員ヘテロシクロアルキルは、それぞれ、1、2、または3個の独立して選択されるR
8B
置換基で任意選択で置換され;
各R
a81
、R
c81
、及びR
d81
が独立して、H、C
1-6
アルキル、及び4~7員ヘテロシクロアルキルから選択され、式中、前記R
a81
、R
c81
、及びR
d81
のC
1-6
アルキル及び4~7員シクロアルキルは、それぞれ、1、2、または3個の独立して選択されるR
8B
置換基で任意選択で置換され;
各R
8B
が、ハロ及びC
1-3
アルキルから独立して選択され;及び
各R
8D
が、OH、CN、ハロ、C
1-6
アルキル、及びC
1-6
ハロアルキルから独立して選択される、態様1に記載の方法。
[態様5]
前記A2A/A2Bの阻害剤が、
3-(5-アミノ-2-(ヒドロキシ(フェニル)メチル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-c]ピリミジン-7-イル)ベンゾニトリル、またはその薬学的に許容される塩;
3-(5-アミノ-2-((2,6-ジフルオロフェニル)(ヒドロキシ)メチル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-c]ピリミジン-7-イル)-2-フルオロベンゾニトリル、またはその薬学的に許容される塩;
5-アミノ-7-(3-シアノ-2-フルオロフェニル)-2-((2,6-ジフルオロフェニル)(ヒドロキシ)メチル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-c]ピリミジン-8-カルボニトリル、またはその薬学的に許容される塩;及び
3-(5-アミノ-2-((2-フルオロ-6-(((1-メチル-2-オキソピロリジン-3-イル)アミノ)メチル)フェニル)(ヒドロキシ)メチル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-c]ピリミジン-7-イル)-2-フルオロベンゾニトリル、またはその薬学的に許容される塩
から選択される、態様1または4に記載の方法。
[態様6]
前記A2A/A2Bの阻害剤が、式(III)の化合物、
【化105】
またはその薬学的に許容される塩であって、式中、
Cy
1
は、ハロ及びCNから独立して選択される1または2個の置換基によって置換されるフェニルであり;
R
2
は、5~6員ヘテロアリール及び4~7員ヘテロシクロアルキルから選択され、式中、前記R
2
の5~6員ヘテロアリール及び4~7員ヘテロシクロアルキルは、それぞれ、任意選択で、1、2、または3個の独立して選択されるR
2A
置換基で置換され;
各R
2A
が、D、ハロ、C
1-6
アルキル、及びC
1-6
ハロアルキルから独立して選択され;
R
4
は、フェニル-C
1-3
アルキル-、C
3-7
シクロアルキル-C
1-3
アルキル-、(5~6員ヘテロアリール)-C
1-3
アルキル-、及び(4~7員ヘテロシクロアルキル)-C
1-3
アルキルから選択され、式中、前記R
4
のフェニル-C
1-3
アルキル-、C
3-7
シクロアルキル-C
1-3
アルキル-、(5~6員ヘテロアリール)-C
1-3
アルキル-、及び(4~7員ヘテロシクロアルキル)-C
1-3
アルキル-は、その各々が、1、2、または3個の独立して選択されるR
4A
置換基で任意選択で置換され;
各R
4A
が、ハロ、C
1-6
アルキル、C
1-6
ハロアルキル、CN、OR
a41
、及びNR
c41
R
d41
から独立して選択され;及び
各R
a41
、R
c41
、及びR
d41
が、H及びC
1-6
アルキルから独立して選択される、態様1に記載の方法。
[態様7]
前記A2A/A2Bの阻害剤が、
3-(8-アミノ-5-(1-メチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリダジン-3-イル)-2-(ピリジン-2-イルメチル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピラジン-6-イル)ベンゾニトリル;
3-(8-アミノ-2-((2,6-ジフルオロフェニル)(ヒドロキシ)メチル)-5-(ピリミジン-4-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピラジン-6-イル)ベンゾニトリル、またはその薬学的に許容される塩;
3-(8-アミノ-2-(アミノ(2,6-ジフルオロフェニル)メチル)-5-(4-メチルオキサゾール-5-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピラジン- 6-イル)ベンゾニトリル、またはその薬学的に許容される塩;及び
3-(8-アミノ-2-((2,6-ジフルオロフェニル)(ヒドロキシ)メチル)-5-(2,6-ジメチルピリジン-4-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピラジン-6-イル)ベンゾニトリル、またはその薬学的に許容される塩
から選択される、態様1または6に記載の方法。
[態様8]
前記A2A/A2Bの阻害剤が、式(IV)の化合物、
【化106】
またはその薬学的に許容される塩であって、式中、
Cy
1
は、ハロ及びCNから独立して選択される1または2個の置換基によって置換されるフェニルであり;
Cy
2
が、5~6員ヘテロアリール及び4~7員ヘテロシクロアルキルから選択され、式中、前記Cy
2
の5~6員ヘテロアリール及び4~7員ヘテロシクロアルキルがそれぞれ、1、2、または3個の独立して選択されるR
6
置換基で任意選択で置換され;
各R
6
が、ハロ、C
1-6
アルキル、及びC
1-6
ハロアルキルから独立して選択され、
R
2
は、フェニル-C
1-3
アルキル-または(5~6員ヘテロアリール)-C
1-3
アルキル-であり、式中、前記R
2
のフェニル-C
1-3
アルキル-及び(5~6員ヘテロアリール)-C
1-3
アルキル-はそれぞれ、1、2、または3個の独立して選択されるR
2A
置換基で任意選択で置換され;
各R
2A
が独立して、ハロ、C
1-6
アルキル、及びC
1-6
ハロアルキルから選択される、またはその薬学的に許容される塩から選択される、態様1に記載の方法。
[態様9]
前記A2A/A2Bの阻害剤が、
3-(4-アミノ-2-(ピリジン-2-イルメチル)-7-(ピリミジン-4-イル)-2H-[1,2,3]トリアゾロ[4,5-c]ピリジン-6-イル)ベンゾニトリル、またはその薬学的に許容される塩;
3-(4-アミノ-2-((3-フルオロピリジン-2-イル)メチル)-7-(ピリミジン-4-イル)-2H-[1,2,3]トリアゾロ[4,5-c]ピリジン-6-イル)ベンゾニトリル、またはその薬学的に許容される塩;
3-(4-アミノ-2-((3-フルオロピリジン-2-イル)メチル)-7-(ピリジン-4-イル)-2H-[1,2,3]トリアゾロ[4,5-c]ピリジン-6-イル)ベンゾニトリル、またはその薬学的に許容される塩;
3-(4-アミノ-7-(1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)-2-(ピリジン-2-イルメチル)-2H-[1,2,3]トリアゾロ[4,5-c]ピリジン-6-イル)-2-フルオロベンゾニトリル、またはその薬学的に許容される塩
から選択される、態様1または8に記載の方法。
[態様10]
前記A2A/A2Bの阻害剤が、3-(8-アミノ-5-(1-メチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリダジン-3-イル)-2-(ピリジン-2-イルメチル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピラジン-6-イル)ベンゾニトリル、またはその薬学的に許容される塩である、態様1に記載の方法。
[態様11]
前記A2A/A2Bの阻害剤が、3-(5-アミノ-2-((5-(ピリジン-2-イル)-2H-テトラゾール-2-イル)メチル)-8-(ピリミジン-4-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-c]ピリミジン-7-イル)ベンゾニトリル、またはその薬学的に許容される塩である、態様1に記載の方法。
[態様12]
前記PD-1/PD-L1の阻害剤が、(R)-1-((7-シアノ-2-(3’-(3-(((R)-3-ヒドロキシピロリジン-1-イル)メチル)-1,7-ナフチリジン-8-イルアミノ)-2,2’-ジメチルビフェニル-3-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-5-イル)メチル)ピロリジン-3-カルボン酸、またはその薬学的に許容される塩である、態様1~11のいずれか1つに記載の方法。
[態様13]
前記PD-1/PD-L1の阻害剤が、ペムブロリズマブである、態様1~11のいずれか1つに記載の方法。
[態様14]
前記PD-1/PD-L1の阻害剤が、アテゾリズマブである、態様1~11のいずれか1つに記載の方法。
[態様15]
前記PD-1/PD-L1の阻害剤が、抗体Xであり、抗体Xが、抗体またはその抗原結合断片であり、可変重(VH)相補性決定領域(CDR)1、VH CDR2、及びVH CDR3を含むVHドメインを含み、式中、
前記VH CDR1がアミノ酸配列SYWMN(配列番号6)を含み、
前記VH CDR2がアミノ酸配列VIHPSDSETWLDQKFKD(配列番号7)を含み、
前記VH CDR3がアミノ酸配列EHYGTSPFAY(配列番号8)を含み、
ここで、前記抗体は、可変軽(VL) CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含むVLドメインを含み、ここで、
前記VL CDR1がアミノ酸配列RASESVDNYGMSFMNW(配列番号9)を含み、
前記VL CDR2がアミノ酸配列AASNQGS(配列番号10)を含み、
前記VL CDR3がアミノ酸配列QQSKEVPYT(配列番号11)を含む、態様1~11のいずれか1つに記載の方法。
[態様16]
抗体Xが、ヒト化抗体である、態様15に記載の方法。
[態様17]
前記A2A/A2Bの阻害剤が、遊離塩基基準で約0.1mgから約1000mgの用量で前記対象に投与される、態様1~16のいずれか1つに記載の方法。
[態様18]
前記A2A/A2B阻害剤が、1日1回、1日おき、または週に1回前記対象に投与される、態様1~17のいずれか1つに記載の方法。
[態様19]
前記A2A/A2Bの阻害剤及びPD-1/PD-L1の阻害剤が、同時に投与される、態様1~18のいずれか1つに記載の方法。
[態様20]
前記A2A/A2Bの阻害剤及びPD-1/PD-L1の阻害剤が、連続して投与される、態様1~18のいずれか1つに記載の方法。
[態様21]
前記がんが、膀胱癌、乳癌、子宮頸癌、結腸癌、直腸癌、肛門癌、子宮内膜癌、腎臓癌、口腔癌、頭頸部癌、肝癌、黒色腫、中皮腫、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、非黒色腫皮膚癌、卵巣癌、膵癌、前立腺癌、肉腫、甲状腺癌、及びメルケル細胞癌から選択される、態様1~20のいずれか1つに記載の方法。
[態様22]
前記がんが、黒色腫、子宮内膜癌、肺癌、腎臓癌、膀胱癌、乳癌、膵臓癌、及び結腸癌から選択される、態様1~20のいずれか1つに記載の方法。
[態様23]
前記がんが、黒色腫である、態様1~20のいずれか1つに記載の方法。
[態様24]
前記がんが、結腸癌である、態様1~20のいずれか1つに記載の方法。
[態様25]
対象における膀胱癌、乳癌、子宮頸癌、結腸癌、直腸癌、肛門癌、子宮内膜癌、腎臓癌、口腔癌、頭頸部癌、肝癌、黒色腫、中皮腫、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、非黒色腫皮膚癌、卵巣癌、膵癌、前立腺癌、肉腫、甲状腺癌、及びメルケル細胞癌から選択されるがんの治療方法であって、
(i)3-(8-アミノ-5-(1-メチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリダジン-3-イル)-2-(ピリジン-2-イルメチル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピラジン-6-イル)ベンゾニトリルであるA2A/A2Bの阻害剤、またはその薬学的に許容される塩;及び
(ii)抗体XであるPD-1/PD-L1の阻害剤
を前記対象に投与することを含み、
式中、前記A2A/A2Bの阻害剤が、遊離塩基基準で約0.1mgから約500mgの用量で前記対象に投与され、前記A2A/A2Bの阻害剤が、1日1回または1日おきに1回投与され、前記抗体Xが、Q4Wで約100mgから約1000mgの用量で前記対象に投与され、
抗体Xが、抗体またはその抗原結合断片であり、可変重(VH)相補性決定領域(CDR)1、VH CDR2、及びVH CDR3を含むVHドメインを含み、式中、
前記VH CDR1がアミノ酸配列SYWMN(配列番号6)を含み、
前記VH CDR2がアミノ酸配列VIHPSDSETWLDQKFKD(配列番号7)を含み、
前記VH CDR3がアミノ酸配列EHYGTSPFAY(配列番号8)を含み、
ここで、前記抗体は、可変軽(VL) CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含むVLドメインを含み、ここで、
前記VL CDR1がアミノ酸配列RASESVDNYGMSFMNW(配列番号9)を含み、
前記VL CDR2がアミノ酸配列AASNQGS(配列番号10)を含み、
前記VL CDR3がアミノ酸配列QQSKEVPYT(配列番号11)を含む、方法。
[態様26]
対象における膀胱癌、乳癌、子宮頸癌、結腸癌、直腸癌、肛門癌、子宮内膜癌、腎臓癌、口腔癌、頭頸部癌、肝癌、黒色腫、中皮腫、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、非黒色腫皮膚癌、卵巣癌、膵癌、前立腺癌、肉腫、甲状腺癌、及びメルケル細胞癌から選択されるがんの治療方法であって、
(i)3-(5-アミノ-2-((5-(ピリジン-2-イル)-2H-テトラゾール-2-イル)メチル)-8-(ピリミジン-4-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-c]ピリミジン-7-イル)ベンゾニトリルであるA2A/A2Bの阻害剤、またはその薬学的に許容される塩;及び
(ii)抗体XであるPD-1/PD-L1の阻害剤
を前記対象に投与することを含み、
式中、前記A2A/A2Bの阻害剤が、遊離塩基基準で約0.1mgから約500mgの用量で前記対象に投与され、前記A2A/A2Bの阻害剤が、1日1回または1日おきに1回投与され、前記抗体Xが、Q4Wで約100mgから約1000mgの用量で前記対象に投与され、
抗体Xが、抗体またはその抗原結合断片であり、可変重(VH)相補性決定領域(CDR)1、VH CDR2、及びVH CDR3を含むVHドメインを含み、式中、
前記VH CDR1がアミノ酸配列SYWMN(配列番号6)を含み、
前記VH CDR2がアミノ酸配列VIHPSDSETWLDQKFKD(配列番号7)を含み、
前記VH CDR3がアミノ酸配列EHYGTSPFAY(配列番号8)を含み、
ここで、前記抗体は、可変軽(VL) CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含むVLドメインを含み、ここで、
前記VL CDR1がアミノ酸配列RASESVDNYGMSFMNW(配列番号9)を含み、
前記VL CDR2がアミノ酸配列AASNQGS(配列番号10)を含み、
前記VL CDR3がアミノ酸配列QQSKEVPYT(配列番号11)を含む、方法。
【配列表】