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特許7657242車両のためのセンサ装置及び多系統ブレーキシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-27
(45)【発行日】2025-04-04
(54)【発明の名称】車両のためのセンサ装置及び多系統ブレーキシステム
(51)【国際特許分類】
   B60T 17/18 20060101AFI20250328BHJP
   B60W 50/023 20120101ALI20250328BHJP
   B60T 8/171 20060101ALI20250328BHJP
   B60T 8/96 20060101ALI20250328BHJP
   B60W 40/105 20120101ALI20250328BHJP
【FI】
B60T17/18
B60W50/023
B60T8/171 A
B60T8/96
B60W40/105
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022572583
(86)(22)【出願日】2021-05-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-04
(86)【国際出願番号】 EP2021063851
(87)【国際公開番号】W WO2021239706
(87)【国際公開日】2021-12-02
【審査請求日】2023-01-25
(31)【優先権主張番号】102020206566.7
(32)【優先日】2020-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】フェイ シー
【審査官】後藤 健志
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/071345(WO,A1)
【文献】特表2006-521948(JP,A)
【文献】特表2018-518412(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102018204615(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60T 17/18-17/22
B60W 50/023
B60T 8/171
B60T 8/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のためのセンサ装置(1)であって、
当該センサ装置(1)は、
それぞれ少なくとも1つの評価・制御ユニット(10,10A,10B,10C,10D)を含む少なくとも2つの制御装置(ECU1,ECU2)と、
複数のセンサ要素(DF1,DF2,DF3,DF4)と、
を有し、
前記複数のセンサ要素(DF1,DF2,DF3,DF4)は、
それぞれ1つの制動可能な車輪(R1,R2,R3,R4)と、前記制御装置(ECU1,ECU2)の前記評価・制御ユニット(10A,10B,10C,10D)のうちの1つとに対応付けられており、
対応する前記車輪(R1,R2,R3,R4)の少なくとも1つの物理量を検出して、対応する前記評価・制御ユニット(10A,10B,10C,10D)に出力信号(AS1,AS2,AS3,AS4)として直接的に出力するように構成されており、
前記制御装置(ECU1,ECU2)は、前記車輪(R1,R2,R3,R4)の検出された前記物理量に基づいて、前記車両(1)の少なくとも1つの制動機能を実施するようにそれぞれ構成されており、
個々の前記評価・制御ユニット(10A,10B,10C,10D)は、受信した前記出力信号(AS1,AS2,AS3,AS4)を、それぞれ他の前記制御装置(ECU1,ECU2)の少なくとも1つの評価・制御ユニット(10A,10B,10C,10D)に出力するように構成されており、
これにより、個々の前記評価・制御ユニット(10A,10B,10C,10D)は、複数の異なる制御装置(ECU1,ECU2)の評価・制御ユニット(10A,10B,10C,10D)に対応付けられた少なくとも2つのセンサ要素(DF1,DF2,DF3,DF4)の前記出力信号(AS1,AS2,AS3,AS4)をそれぞれ受信して、評価のために処理し、
前記少なくとも2つの制御装置(ECU1,ECU2)のうちの第1の制御装置(ECU1)と、前記少なくとも2つの制御装置(ECU1,ECU2)のうちの第2の制御装置(ECU2)とは、それぞれ2つの評価・制御ユニット(10A,10B,10C,10D)を含み、
2つの前記制御装置(ECU1,ECU2)のそれぞれ1つの第1の評価・制御ユニット(10A,10D)は、第1の車軸(VA)の前記車輪(R1,R4)に対応付けられており、
2つの前記制御装置(ECU1,ECU2)のそれぞれ1つの第2の評価・制御ユニット(10B,10C)は、第2の車軸(HA)の前記車輪(R2,R3)に対応付けられており、
前記第1の車軸(VA)の前記車輪(R1,R4)に対応付けられた、2つの前記制御装置(ECU1,ECU2)の前記第1の評価・制御ユニット(10A,10D)と、前記第2の車軸(HA)の前記車輪(R2,R4)に対応付けられた、2つの前記制御装置(ECU1,ECU2)の前記第2の評価・制御ユニット(10B,10C)とは、それぞれ対応する前記センサ要素(DF1,DF2,DF3,DF4)の受信した前記出力信号(AS1,AS3;AS2,AS4)を相互に交換する、
センサ装置(1)。
【請求項2】
前記制御装置(ECU1,ECU2)は、それぞれ少なくとも1つの計算ユニット(3,3A,3B)を含み、
個々の前記評価・制御ユニット(10A,10B,10C,10D)は、処理済みの出力信号(AAS1,AAS2,AAS3,AAS4)を、対応する前記制御装置(ECU1,ECU2)の前記少なくとも1つの計算ユニット(3,3A,3B)に伝送するようにさらに構成されており、
個々の前記計算ユニット(3A,3B)は、前記車両の対応する少なくとも1つの制動機能を実施するために、前記処理済みの出力信号(AAS1,AAS2,AAS3,AAS4)を評価するように構成されている、
請求項1に記載のセンサ装置(1)。
【請求項3】
前記少なくとも1つの物理量は、対応する前記車輪(R1,R2,R3,R4)の運動依存性の測定量及び/又は他の測定量を表す、
請求項1又は2に記載のセンサ装置(1)。
【請求項4】
前記少なくとも1つの運動依存性の測定量は、回転数及び/又は回転速度及び/又は回転方向を表す、
請求項3に記載のセンサ装置(1)。
【請求項5】
前記計算ユニット(3,3A,3B)は、前記処理済みの出力信号(AAS1,AAS2,AAS3,AAS4)に基づいて、それぞれ個々の前記車輪(R1,R2,R3,R4)の測定データを生成して、前記車両内において分配するためのデータバス(5)に供給する、
請求項2に記載のセンサ装置(1)。
【請求項6】
個々の前記センサ要素(DF1,DF2,DF3,DF4)は、それぞれ標準的な回転数検出器として構成されている、
請求項1乃至5のいずれか一項に記載のセンサ装置(1)。
【請求項7】
2つの前記制御装置(ECU1,ECU2)の前記評価・制御ユニット(10A,10B,10C,10D)は、対応する前記センサ要素(DF1,DF2,DF3,DF4)の受信した前記出力信号(AS1,AS3;AS2,AS4)を、それぞれ少なくとも1つのさらなる制御装置に伝送する、
請求項1乃至6のいずれか一項に記載のセンサ装置(1)。
【請求項8】
前記制御装置(ECU1,ECU2)は、それぞれ1つの冗長的なエネルギ給電部を有する、
請求項1乃至7のいずれか一項に記載のセンサ装置(1)。
【請求項9】
前記第1の制御装置(ECU1)は、一次制御装置(PSG)として構成されており、ESPシステム、又は、真空非依存性の電気液圧式のブレーキブースタを有するESPシステムを駆動する、
請求項1乃至8のいずれか一項に記載のセンサ装置(1)。
【請求項10】
前記第2の制御装置(ECU2)は、二次制御装置(SSG)として構成されており、真空非依存性の電気液圧式のブレーキブースタ、又は、冗長的なブレーキユニットを駆動する、
請求項1乃至9のいずれか一項に記載のセンサ装置(1)。
【請求項11】
前記少なくとも1つのさらなる制御装置は、前記車両(1)の電気駆動部のインバータを駆動するように構成された駆動部制御装置であり、又は、運動軌道を計算するように構成された中央制御装置である、
請求項に記載のセンサ装置(1)。
【請求項12】
特に高度自動化車両又は自律車両のための多系統ブレーキシステムであって、
それぞれ車輪(R1,R2,R3,R4)に配置されている複数のホイールブレーキと、
前記車輪(R1,R2,R3,R4)の少なくとも1つの物理量を検出するセンサ装置(1)と、
前記車輪(R1,R2,R3,R4)の検出された前記少なくとも1つの物理量に基づいて前記車両の少なくとも1つの制動機能を実施する一次制御装置(PSG)と、
前記車輪(R1,R2,R3,R4)の検出された前記少なくとも1つの物理量に基づいて前記車両の少なくとも1つの制動機能を実施する二次制御装置(SSG)と、
を有する多系統ブレーキシステムにおいて、
前記センサ装置(1)は、請求項1乃至11のいずれか一項に記載のセンサ装置(1)のように構成されている
ことを特徴とする多系統ブレーキシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のためのセンサ装置であって、当該センサ装置は、それぞれ少なくとも1つの評価・制御ユニットを含む少なくとも2つの制御装置と、複数のセンサ要素とを有し、複数のセンサ要素は、それぞれ1つの制動可能な車輪に対応付けられており、対応する車輪の少なくとも1つの物理量を検出して、出力信号として出力するように構成されている、センサ装置に関する。制御装置は、車輪の検出された物理量に基づいて、車両の少なくとも1つの制動機能を実施するようにそれぞれ構成されている。このようなセンサ装置を有する対応する多系統ブレーキシステムも、本発明の対象である。
【背景技術】
【0002】
高度自動化運転又は自律運転のために、及び、部分自動化運転機能又は部分自律運転機能のために、典型的には、多くのエラーケースにおいてもセンサ及び機能の可用性が保証されるように冗長性が要求される。したがって、典型的には車両の一次安定化及び二次安定化を有するブレーキシステムが使用される。具体的には、制動のために、典型的には2つの独立したブレーキ装置又はブレーキ制御システムが使用される。両方とも理想的には、それぞれ1つの車輪に対応付けられた回転数センサの回転数情報を、高い可用性をもって取得することが求められる。今日の解決手段においては、回転数センサは、一次制御装置にポイント・ツー・ポイントで直接的に接続される。2ボックス型のシステムアプローチを使用する場合、例えば、一次システムとしてのESPシステムと、二次システムとしての電気機械式若しくは他の電気式のブレーキブースタとのような、又は、一次システムとしての統合ブレーキシステム(IPB)と、二次システムとしての冗長的なブレーキシステムRBU(Redundant Brake Unit)とのような、2ボックス型のシステムアプローチを使用する場合には、追加的な労力及びコストが必要とされるし、また、全てのエラーケースを担保するものではないが、回転数センサのセンサ信号が一次制御装置を介して二次制御装置へとループスルーされ、又は、回転数センサが、故障時にスイッチング装置を介して一次制御装置と二次制御装置との間でスイッチングされる。他の公知の解決手段は、8つの回転数センサを企図しており、そのうちのそれぞれ4つの回転数センサが一次制御装置に直接的に接続されていて、それぞれ4つの回転数センサが二次制御装置に直接的に接続されている。このような分割により、システムが車両を冗長的に安定化させることができるように、それぞれの車輪に2つの回転数センサが取り付けられる。このことはつまり、車両一台当たり合計8つの回転数センサが使用され、これに伴ってセンサ及び配線のために2倍のコストが使用されるということを意味する。
【0003】
独国特許出願公開第102015209565号明細書から、自動車を運転するための方法及び装置が公知である。同装置は、それぞれ1つの外部の回転数センサのための入力部と、第1の制御装置と、それぞれの回転数センサのための回転数検出装置を備える第2の制御装置と、ホイール回転数を検出可能な計算装置とを含む。この場合、回転数検出装置の回転数信号は、第1の制御装置と装置の出力部とに供給可能であり、それぞれの回転数検出装置は、互いに機能的に分離されており、第2の制御装置は、第1の制御装置及び計算装置から機能的に分離されている。このようにして、回転数検出システムのそれぞれ個々の伝達経路が冗長性を備え、起動可能に構成されている。装置に欠陥がある場合にも、例えば二次ブレーキシステムを駆動するために、装置の出力部に接続可能な他の制御装置にホイール回転数を依然として供給することができる。このことは、回転数検出装置が、回転数信号を複数のユーザに分配する一種のスプリッタとして機能することによって達成される。
【0004】
独国特許出願公開第102015110965号明細書から、自律的な車両制御サブシステムが公知であり、この自律的な車両制御サブシステムは、互いに通信可能にかつ電気的に接続されている第1のブレーキ制御モジュール及び第2のブレーキ制御モジュールと、複数のホイール回転数センサとを含む。この場合、複数のホイール回転数センサのうちの少なくとも1つの第1のホイール回転数センサが含まれているホイール回転数センサの第1の部分集合は、第1のブレーキ制御モジュールに通信可能に接続されているが、第2のブレーキ制御モジュールには接続されておらず、複数のホイール回転数センサのうちの少なくとも1つの第2のホイール回転数センサが含まれているホイール回転数センサの第2の部分集合は、第2のブレーキ制御モジュールに通信可能に接続されているが、第1のブレーキ制御モジュールには接続されていない。車両及び自律的な車両制御サブシステムの典型的な動作中には、複数の異なるセンサのホイール回転数データを供給するために、これらのブレーキ制御モジュール同士が互いに通信し、これにより、これらのブレーキ制御モジュールの各々が、車両の制動を制御するためのオペレーションを実施することが可能となっている。しかしながら、ブレーキ制御モジュールのうちの1つにおいてエラー、例えばエネルギ損失が発生した場合には、他方のブレーキ制御モジュールが、少なくとも、いくつかのホイール回転数データ、即ち、少なくとも1つのホイール回転数センサのホイール回転数データを使用する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】独国特許出願公開第102015209565号明細書
【文献】独国特許出願公開第102015110965号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の開示
独立請求項1の特徴を有する車両のためのセンサ装置と、対応する多系統ブレーキシステムとは、好ましくは回転数検出器として構成された標準的なセンサ要素を用いて、かつ、スイッチング装置を用いることなく、冗長的なセンサ要素コンセプトを実現することが可能であって、この際に、二重の回転数検出器及び配線のためのコストを節約することが可能であるという利点をそれぞれ有する。さらに、2つの制御装置において回路部品を節約することができる。4つの回転数検出器と、2つの制御装置に分配された4つの評価・制御ユニットとを有するセンサ装置の好ましい実施形態においては、エラーケースにおいて、追加的なスイッチング装置を用いることなく、かつ、遅延時間なしで、2つの制御装置の間でのセンサ要素の引き渡し又は引き継ぎを有利に実現することが可能である。なぜなら、2つの制御装置は、4つの回転数検出器の出力信号を同時に受信及び評価することができるからである。
【0007】
本発明の実施形態によれば、車両のためのセンサ装置であって、当該センサ装置は、それぞれ少なくとも1つの評価・制御ユニットを含む少なくとも2つの制御装置と、複数のセンサ要素とを有し、複数のセンサ要素は、それぞれ1つの制動可能な車輪と、制御装置の評価・制御ユニットのうちの1つとに対応付けられており、対応する車輪の少なくとも1つの物理量を検出して、対応する評価・制御ユニットに出力信号として直接的に出力するように構成されている、センサ装置が提供される。制御装置は、車輪の検出された物理量に基づいて、車両の少なくとも1つの制動機能を実施するようにそれぞれ構成されている。個々の評価・制御ユニットは、受信した出力信号を、それぞれ他の制御装置の少なくとも1つの評価・制御ユニットに出力するように構成されており、これにより、個々の評価・制御ユニットは、複数の異なる制御装置の評価・制御ユニットに対応付けられた少なくとも2つのセンサ要素の出力信号をそれぞれ受信して、評価のために処理する。
【0008】
さらに、特に高度自動化車両又は自律車両のための多系統ブレーキシステムであって、それぞれ車輪に配置されている複数のホイールブレーキと、車輪の少なくとも1つの物理量を検出するそのようなセンサ装置と、車輪の検出された少なくとも1つの物理量に基づいて車両の少なくとも1つの制動機能を実施する一次制御装置と、車輪の検出された少なくとも1つの物理量に基づいて車両の少なくとも1つの制動機能を実施する二次制御装置とを有する多系統ブレーキシステムが提案される。
【0009】
本明細書における制御装置又は一次制御装置若しくは二次制御装置とは、検出されたセンサ信号を加工又は評価する電気的な装置であると理解することができる。このために、制御装置は、電気的な出力信号を受信及び処理若しくは加工するための少なくとも1つの評価・制御ユニット、処理済みの出力信号を評価するための少なくとも1つの計算ユニット、信号若しくはデータを保存するための少なくとも1つのメモリユニット、出力信号を読み出すためのセンサ要素との少なくとも1つのインタフェース、又は、アクチュエータに制御信号を出力するためのアクチュエータとの少なくとも1つのインタフェース、及び/又は、通信プロトコルに埋め込まれたデータを読み出す若しくは出力するための少なくとも1つの通信インタフェースを有し得る。本明細書におけるアクチュエータは、例えば、制御装置によって相応に駆動することができる電磁弁又は圧力発生器として構成されている。少なくとも1つのインタフェースは、ハードウェア及び/又はソフトウェアの形態で構成可能である。ハードウェアの形態で構成されている場合には、インタフェースは、例えば、制御装置の複数の異なる機能を含むいわゆるシステム回路の一部であるものとしてよい。このようなシステム回路は、好ましくは特定用途向け集積回路(ASIC)として構成可能である。したがって、例えば、少なくとも1つの評価・制御ユニットは、ASICとして構成可能である。しかしながら、インタフェースは、独自の集積回路であるものとしてもよく、又は、少なくとも部分的にディスクリート部品からなるものとしてもよい。ソフトウェアの形態で構成されている場合には、インタフェースは、例えばマイクロコントローラ上で他のソフトウェアモジュールと共に実現されているソフトウェアモジュールであるものとしてよい。計算ユニットは、例えば、信号プロセッサ、マイクロコントローラ等であるものとしてよく、メモリユニットは、フラッシュメモリ、EEPROM又は磁気的なメモリユニットであるものとしてよい。半導体メモリ、ハードディスク又は光学メモリのような機械可読担体上に保存することができるプログラムコードを備えたコンピュータプログラム製品であって、特に計算ユニット上で実施された場合に、評価を実施するために使用されるコンピュータプログラム製品も、有利である。2つの制御装置は、一次アクチュエータ又は二次アクチュエータに接続されて、例えば、ABS(アンチロックブレーキシステム)機能、ESP(横滑り防止装置)機能、ASR(アンチスリップレギュレーション)機能、及び/又は、坂道発進補助機能のような種々の制動機能を実施することができる。この場合、2つの制御装置は、通常動作中に種々の制動機能を実施することができる。2つの制御装置のうちの一方が故障した場合には、他方の制御装置が、故障した方の制御装置の制動機能を少なくとも部分的に引き継ぎ、これによって対応するフォールバックレベルを構成することが可能である。
【0010】
本明細書における一次アクチュエータ又は二次アクチュエータとは、ホイールブレーキにおける増圧又は減圧のためのブレーキシステムにおいて、ABS(アンチロックブレーキシステム)機能若しくはASR(アンチスリップレギュレーション)機能若しくは横滑り防止装置(ESP)のための又は自動駐車機能のための、対応する制御プロセス及び/又は調整プロセスを実施することができる液圧式及び/又は電気機械式のアセンブリであると理解することができる。制御プロセス及び/又は調整プロセスを実施するために、一次アクチュエータ又は二次アクチュエータは、少なくとも1つの制動圧力発生器と、電磁弁を有する液圧弁ユニットとを含み、この電磁弁は、互いに反対に作用する「磁力」、「ばね力」及び「液圧力」という力に基づいて一義的な位置に保持可能であることが多い。対応して、「常時開」及び「常時閉」という電磁弁の種類が存在する。さらに、「常時開」状態と「常時閉」状態との間で切り替えることができる双安定電磁弁も使用され、このような双安定電磁弁は、次のスイッチング信号までその時々の動作状態に持続的に留まる。制動圧力発生器は、特に、筋力、補助力、及び/又は、外力によって操作可能である。「補助力」とは、ブレーキブースタによって支援された筋力による操作を意味する。駐車制動機能を実施するために、少なくとも1つの車軸、好ましくは後車軸の車輪に、それぞれ1つの電気機械式のアクチュエータを配置することができ、このアクチュエータを、対応する駆動信号を介して動作又は停止させることができる。
【0011】
本明細書におけるセンサ要素とは、対応する車輪の領域において物理量又は物理量の変化を直接的又は間接的に検出して、好ましくは電気的な出力信号に変換する電気的な構成部品であると理解することができる。好ましくは、このようなセンサ要素は、回転数検出器として構成可能であり、対応する回転数情報は、好ましくは、磁気エンコーダ又は強磁性歯車の走査によって特定可能である。磁気エンコーダは、例えば、周面にわたって均等に分配配置された複数の磁石要素、特に永久磁石を有する測定値発生器リングとして構成されており、これらの磁石は、それぞれ交互の磁気配向を有していて、かつ、磁極対を形成している。回転数センサによって、測定値発生器リングの回転時にこれらの磁石要素の磁界が検出され、評価・制御ユニットのそれぞれの検出された磁界の磁束に依存して、電流インタフェースによって出力電流が、回転数情報としてさらに使用するために供給される。回転数検出器は、例えば、ホールセンサ、GMR(Giant Magnetoresistance即ち巨大磁気抵抗)センサ要素、AMR(Anisotrope Magnetoresistance即ち異方性磁気抵抗)センサ要素、又は、TMR(Tunnel Magnetoresistance即ちトンネル磁気抵抗)センサ要素を含み得る。この場合、それぞれの回転数検出器は、自身の出力信号を、例えばAKプロトコル又はIプロトコルのようなデータプロトコルとして、電流インタフェースを介して対応する評価・制御ユニットに伝送することができる。回転数情報を特定するために、回転数検出器は、例えば磁極対のゼロ交差を検出し、それぞれの磁極対のゼロ交差時に、即ち、検出された磁界強度の符号変化時に、本来の回転数情報を表すいわゆる「スピードパルス」が形成される。AKプロトコルは、回転数情報としての「スピードパルス」と、複数のプロトコルビットを有するデータワードとしての少なくとも1つの追加的な回転数情報とを含む。プロトコルビットは、少なくとも1つの追加的な回転数情報のデータ内容を定義する。少なくとも1つの追加的な回転数情報は、例えば、回転方向情報、空隙情報、温度情報、圧力情報等に関する。
【0012】
本明細書における評価・制御ユニットとは、センサ要素の出力信号を受信及び出力して又は処理若しくは加工して、処理済みの出力信号として出力する電気回路、好ましくは特定用途向け集積回路(ASIC)であると理解することができる。したがって、それぞれのセンサ要素を通って流れるセンサ電流を、検出された測定量に関する情報によって変調し、対応する評価・制御ユニットに伝送し、そこで、対応する測定情報を表す電圧信号に変換することができる。さらに、個々の評価・制御ユニットは、例えば、本来の測定情報を表す「スピードパルス」を電圧信号として、それぞれ少なくとも1つの評価・制御ユニットのポイント・ツー・ポイント接続を介して他の制御装置にリアルタイムで供給することができる。評価・制御ユニットは、評価・制御ユニットの一部として構成された複数のインタフェースを有し得る。しかしながら、インタフェースは、独自の集積回路であるものとしてもよいし、又は、少なくとも部分的にディスクリート部品からなるものとしてもよい。
【0013】
従属請求項に記載されている手段及び発展形態により、独立請求項1に記載されている車両のためのセンサ装置を有利に改善することが可能である。
【0014】
特に有利には、制御装置は、それぞれ少なくとも1つの計算ユニットを含み得る。この場合、個々の評価・制御ユニットは、処理済みの出力信号を、対応する制御装置の少なくとも1つの計算ユニットに伝送することができる。さらに、処理済みの出力信号は、例えば、回転方向情報、空隙情報、温度情報、圧力情報等のような追加的な測定情報を含み得るものであり、個々の評価・制御ユニットから対応する計算ユニットに伝送可能である。個々の計算ユニットは、車両の対応する少なくとも1つの制動機能を実施するために、処理済みの出力信号を評価することができる。
【0015】
センサ装置の有利な実施形態においては、少なくとも1つの物理量は、対応する車輪の運動依存性の測定量及び/又は他の測定量を表すことができる。運動依存性の測定量は、回転数及び/又は回転速度及び/又は回転方向を表すことができる。対応する車輪の少なくとも1つの他の測定量は、例えば、温度及び/又はタイヤ圧力を表すことができる。
【0016】
センサ装置のさらなる有利な実施形態においては、計算ユニットは、処理済みの出力信号に基づいて、それぞれ個々の車輪の測定データを生成して、車両内において分配するためのデータバスに供給することができる。データバスは、例えば、CANバスシステム又はイーサネット又はFlexrayであるものとしてよい。もちろん、測定データを分配するために、他の適当なネットワーク又は上述した車内ネットワークの組合せを使用するものとしてもよい。
【0017】
センサ装置のさらなる有利な実施形態においては、個々のセンサ要素を、それぞれ標準的な回転数検出器として構成することができる。これにより、本発明に係るセンサ装置を特に低コストに実装することが可能となる。
【0018】
センサ装置のさらなる有利な実施形態においては、少なくとも2つの制御装置のうちの第1の制御装置と、少なくとも2つの制御装置のうちの第2の制御装置とは、それぞれ2つの評価・制御ユニットを含み得る。この場合、2つの制御装置のそれぞれ1つの第1の評価・制御ユニットを、第1の車軸の車輪に対応付けることができる。さらに、2つの制御装置のそれぞれ1つの第2の評価・制御ユニットを、第2の車軸の車輪に対応付けることができる。さらに、第1の車軸の車輪に対応付けられた、2つの制御装置の第1の評価・制御ユニットと、第2の車軸の車輪に対応付けられた、2つの制御装置の第2の評価・制御ユニットとは、それぞれ対応するセンサ要素の受信した出力信号を相互に交換することができる。
【0019】
センサ装置のさらなる有利な実施形態においては、2つの制御装置の評価・制御ユニットは、対応するセンサ要素の受信した出力信号を、それぞれ少なくとも1つのさらなる制御装置に伝送することができる。
【0020】
センサ装置のさらなる有利な実施形態においては、制御装置は、それぞれ1つの冗長的なエネルギ給電部を有し得る。これにより、複数のエネルギ給電部のうちの1つが故障した場合にも、出力信号の評価及び伝送と、対応する車両機能とを実施することができる。
【0021】
センサ装置のさらなる好適な実施形態においては、第1の制御装置は、一次制御装置として構成可能であり、ESPシステム、又は、真空非依存性の電気液圧式のブレーキブースタを有するESPシステムを駆動することができる。第2の制御装置は、二次制御装置として構成可能であり、真空非依存性の電気液圧式のブレーキブースタ、又は、冗長的なブレーキユニットを駆動することができる。少なくとも1つのさらなる制御装置は、車両の電気駆動部のインバータを駆動するように構成された駆動部制御装置であるものとしてよく、又は、運動軌道を計算するように構成された中央制御装置であるものとしてよい。
【0022】
センサ装置の実施形態と、このようなセンサ装置を有する多系統ブレーキシステムの実施形態とにおいて、評価・制御ユニットのうちの1つが故障したエラーケースでは、3つのセンサ要素の出力信号と処理済みの出力信号とを、依然として2つの制御装置において評価のために利用することができる。制御装置のうちの1つにおける計算ユニットのうちの1つが故障した場合には、4つのセンサ要素の出力信号と処理済みの出力信号とを、依然として2つの制御装置のうちの他方の制御装置において評価のために利用することができる。4つのセンサ要素のうちの1つのセンサ要素が故障した場合には、残余の3つのセンサ要素の出力信号と処理済みの出力信号とを、依然として2つの制御装置において評価のために利用することができる。
【0023】
本発明の実施例を図面に示し、以下の記載において、より詳細に説明する。図面においては、同一の参照符号は、同一の又は類似の機能を実施するコンポーネント又は要素を指す。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明に係る、車両のためのセンサ装置の1つの実施例の概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
発明の実施形態
図1から見て取れるように、本発明に係る、車両のためのセンサ装置1の図示の実施例は、それぞれ少なくとも1つの評価・制御ユニット10,10A,10B,10C,10Dを含む少なくとも2つの制御装置ECU1,ECU2と、複数のセンサ要素DF1,DF2,DF3,DF4とを含み、これらの複数のセンサ要素DF1,DF2,DF3,DF4は、それぞれ1つの制動可能な車輪R1,R2,R3,R4と、制御装置ECU1,ECU2の評価・制御ユニット10A,10B,10C,10Dのうちの1つとに対応付けられており、対応する車輪R1,R2,R3,R4の少なくとも1つの物理量を検出して、対応する評価・制御ユニット10A,10B,10C,10Dに出力信号AS1,AS2,AS3,AS4として直接的に出力するように構成されている。制御装置ECU1,ECU2は、車輪R1,R2,R3,R4の検出された運動依存性の物理量に基づいて、車両1の少なくとも1つの制動機能を実施する。個々の評価・制御ユニット10A,10B,10C,10Dは、受信した出力信号AS1,AS2,AS3,AS4を、それぞれ他の制御装置ECU1,ECU2の少なくとも1つの評価・制御ユニット10A,10B,10C,10Dに出力し、これにより、個々の評価・制御ユニット10A,10B,10C,10Dは、複数の異なる制御装置ECU1,ECU2の評価・制御ユニット10A,10B,10C,10Dに対応付けられた少なくとも2つのセンサ要素DF1,DF2,DF3,DF4の出力信号AS1,AS2,AS3,AS4をそれぞれ受信して、評価のために処理する。
【0026】
図1からさらに見て取れるように、センサ装置1は、図示の実施例においては、2つの制御装置ECU1,ECU2と、標準的な回転数検出器として構成された4つのセンサ要素DF1,DF2,DF3,DF4とを含む。この場合、第1のセンサ要素DF1は、本実施例においては前車軸である第1の車軸VAの第1の車輪R1と、第1の制御装置ECU1の第1の評価・制御ユニット10Aとに対応付けられている。第2のセンサ要素DF2は、本実施例においては後車軸である第2の車軸HAの第1の車輪R2と、第1の制御装置ECU1の第2の評価・制御ユニット10Bとに対応付けられている。第3のセンサ要素DF3は、第2の車軸HAの第2の車輪R3と、第2の制御装置ECU2の第2の評価・制御ユニット10Cとに対応付けられている。第4のセンサ要素DF4は、第1の車軸VAの第2の車輪R4と、第2の制御装置ECU2の第1の評価・制御ユニット10Dとに対応付けられている。したがって、図示の実施例においては、2つの制御装置ECU1,ECU2の第1の評価・制御ユニット10A,10Dは、第1の車軸VAの車輪R1,R4に対応付けられており、2つの制御装置ECU1,ECU2の第2の評価・制御ユニット10B,10Cは、第2の車軸HAの車輪R2,R3に対応付けられている。
【0027】
図1からさらに見て取れるように、2つの制御装置ECU1,ECU2は、図示の実施例においては、それぞれ1つの計算ユニット3,3A,3Bを含み、第1の制御装置ECU1は、第1の計算ユニット3Aを含み、第2の制御装置ECU2は、第2の計算ユニット3Bを含む。さらに、2つの制御装置ECU1,ECU2は、それぞれ1つの図示されていない冗長的なエネルギ給電部を有する。
【0028】
図1からさらに見て取れるように、第1の制御装置ECU1の第1の評価・制御ユニット10Aは、第1のセンサ要素DF1の受信した出力信号AS1を、第2の制御装置ECU2の第1の評価・制御ユニット10Dに伝送し、第2の制御装置ECU2の第1の評価・制御ユニット10Dは、第4のセンサ要素DF4の受信した出力信号AS4を、第1の制御装置ECU1の第1の評価・制御ユニット10Aに伝送する。したがって、2つの制御装置ECU1,ECU2の第1の評価・制御ユニット10A,10Dは、第1の車軸VAの車輪R1,R4に対応付けられた第1のセンサ要素DF1及び第4のセンサ要素DF4の出力信号AS1,AS4をそれぞれ受信する。さらに、2つの評価・制御ユニット10A,10Dは、第1のセンサ要素DF1及び第4のセンサ要素DF4の出力信号AS1,AS4を処理し、第1の制御装置ECU1の第1の評価・制御ユニット10Aは、処理済みの出力信号AAS1,AAS4を、第1の制御装置ECU1の第1の計算ユニット3Aに評価のために伝送する。第2の制御装置ECU2の第1の評価・制御ユニット10Dは、処理済みの出力信号AAS1,AAS4を、第2の制御装置ECU2の第2の計算ユニット3Bに評価のために伝送する。
【0029】
図1からさらに見て取れるように、第1の制御装置ECU1の第2の評価・制御ユニット10Bは、第2のセンサ要素DF2の受信した出力信号AS2を、第2の制御装置ECU2の第2の評価・制御ユニット10Cに伝送し、第2の制御装置ECU2の第2の評価・制御ユニット10Cは、第3のセンサ要素DF3の受信した出力信号AS3を、第1の制御装置ECU1の第2の評価・制御ユニット10Bに伝送する。したがって、2つの制御装置ECU1,ECU2の第2の評価・制御ユニット10B,10Cは、第2の車軸HAの車輪R2,R3に対応付けられた第2のセンサ要素DF2及び第3のセンサ要素DF3の出力信号AS2,AS3をそれぞれ受信する。さらに、2つの評価・制御ユニット10B,10Cは、第2のセンサ要素DF2及び第3のセンサ要素DF3の出力信号AS2,AS3を処理し、第1の制御装置ECU1の第2の評価・制御ユニット10Bは、処理済みの出力信号AAS2,AAS3を、第1の制御装置ECU1の第1の計算ユニット3Aに評価のために伝送する。第2の制御装置ECU2の第2の評価・制御ユニット10Cは、処理済みの出力信号AAS2,AAS3を、第2の制御装置ECU2の第2の計算ユニット3Bに評価のために伝送する。2つの計算ユニット3A,3Bは、車両の対応する少なくとも1つの制動機能を実施するために、処理済みの出力信号AAS1,AAS2,AAS3,AAS4を評価する。
【0030】
もちろん、対応するセンサ要素DF1,DF2,DF3,DF4の受信した出力信号AS1,AS3;AS2,AS4の図示の交換とは異なる交換も可能である。さらに、センサ装置1の図示されていない代替的な実施例においては、対応するセンサ要素DF1,DF2,DF3,DF4の受信した出力信号AS1,AS3;AS2,AS4を、図示されていない少なくとも1つのさらなる制御装置に追加的に伝送することもできる。少なくとも1つのさらなる制御装置は、例えば、車両1の電気駆動部のインバータを駆動するように構成された駆動部制御装置であり、又は、運動軌道を計算するように構成された中央制御装置である。
【0031】
センサ要素DF1,DF2,DF3,DF4は、対応する車輪R1,R2,R3,R4の運動依存性の測定量及び/又は他の測定量を表す少なくとも1つの物理量をそれぞれ検出する。図示の実施例においては、少なくとも1つの運動依存性の測定量は、回転数及び回転方向を表す。もちろん、検出される物理量は、例えば回転速度のような他の運動依存性の測定量を表すこともできる。対応する車輪R1,R2,R3,R4の少なくとも1つの他の測定量は、図示の実施例においては、センサ要素DF1,DF2,DF3,DF4の周囲の温度を表す。もちろん、検出される物理量は、例えばタイヤ圧力又は空隙情報のような他の測定量を表すこともできる。
【0032】
センサ装置1の図示の実施例においては、計算ユニット3A,3Bは、処理済みの出力信号AAS1,AAS2,AAS3,AAS4に基づいて、それぞれ個々の車輪R1,R2,R3,R4の測定データを生成して、車両内において分配するためのデータバス5に供給する。
【0033】
車輪R1,R2,R3,R4の少なくとも1つの物理量を検出する、本発明に係る、車両のためのセンサ装置1の上述した実施例は、好ましくは、特に高度自動化車両又は自律車両のための多系統ブレーキシステムにおいて使用される。このような多系統ブレーキシステムは、それぞれ車輪R1,R2,R3,R4に配置されている図示されていない複数のホイールブレーキと、車輪R1,R2,R3,R4の検出された少なくとも1つの物理量に基づいて車両の少なくとも1つの制動機能を実施する一次制御装置PSGと、車輪R1,R2,R3,R4の検出された少なくとも1つの物理量に基づいて車両の少なくとも1つの制動機能を実施する二次制御装置SSGとを含む。この場合、第1の制御装置ECU1は、一次制御装置PSGとして構成されており、第2の制御装置ECU2は、二次制御装置SSGとして構成されている。
【0034】
この場合、一次制御装置PSGは、ESPシステム、若しくは、真空非依存性の電気液圧式のブレーキブースタを有するESPシステム、又は、統合ブレーキシステム(IPB)を駆動することができる。二次制御装置SSGは、真空非依存性の電気液圧式のブレーキブースタ、又は、冗長的なブレーキユニットを駆動することができる。
【0035】
一次制御装置PSG及び二次制御装置SSGは、対応するセンサ要素DF1,DF2,DF3,DF4の出力信号AS1,AS3;AS2,AS4を、さらなる評価のために及び対応する制動機能を実施するために、又は、車両の一次安定化、若しくは、一次安定化が故障した緊急時には車両の二次安定化を実施するために、リアルタイムで受信する。対応する制動機能と、車両の一次安定化とを実施するために、一次制御装置PSGは、詳細には図示されていない対応する公知の一次アクチュエータを駆動し、この一次アクチュエータを介して、ブレーキシステムにおいて、ホイールブレーキでの増圧又は減圧を実施し、対応する制御プロセス及び/又は調整プロセスを実施することができる。対応する制動機能と、車両の二次安定化とを実施するために、二次制御装置SSGは、詳細には図示されていない対応する公知の二次アクチュエータを駆動し、この二次アクチュエータを介して、ブレーキシステムにおいて、ホイールブレーキでの増圧又は減圧を実施し、対応する制御プロセス及び/又は調整プロセスを実施することができる。駐車制動機能を実施するために、2つの制御装置ECU1,ECU2のうちの少なくとも一方は、電気式の駐車ブレーキの詳細には図示されていない対応するアクチュエータに、電気的な接続部を介して電気的に接続されている。好ましくは、駐車制動機能のアクチュエータは、第2の車軸HA又は後車軸の車輪R2,R3に配置されている。センサ装置1の図示されていない代替的な実施例においては、電気式の駐車ブレーキのアクチュエータは、追加的に又は代替的に、第1の車軸VA又は前車軸の車輪R1,R4に配置されている。
図1