(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-27
(45)【発行日】2025-04-04
(54)【発明の名称】ガスクロマトグラフィー分析法
(51)【国際特許分類】
G01N 30/12 20060101AFI20250328BHJP
G01N 30/88 20060101ALI20250328BHJP
C07D 317/38 20060101ALN20250328BHJP
【FI】
G01N30/12 D
G01N30/88 C
G01N30/12 L
C07D317/38
(21)【出願番号】P 2023527521
(86)(22)【出願日】2022-03-16
(86)【国際出願番号】 JP2022011980
(87)【国際公開番号】W WO2022259681
(87)【国際公開日】2022-12-15
【審査請求日】2023-11-08
(31)【優先権主張番号】P 2021096700
(32)【優先日】2021-06-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000033
【氏名又は名称】旭化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】横山 雅子
【審査官】高田 亜希
(56)【参考文献】
【文献】特表平11-501725(JP,A)
【文献】山下健太 ほか,クリスタルバイオレットラクトン及び炭酸エステル(炭酸ビニレン, 炭酸フルオロエチレン, 炭酸エチルメチル,炭酸プロピレン及び炭酸ジエチル)の分析方法の検討,関税中央分析所報,日本,2020年,第59号,P113-118
【文献】分析機器用 部品と消耗品 スプリットレスライナ,アジレント・テクノロジー株式会社 [オンライン],2019年12月20日,https://www.chem-agilent.com/contents.php?id=1005953,[検索日:2022.5.20]
【文献】ADAMS Scott,How to Choose a GC Inlet Liner: Simplify Selection Based on Injection Type,RESTEK[オンライン],2014年,P1-4,https://www.bgb-info.com/files/master/Restek/SKY%20Liner/How%20to%20choose%20a%20GC%20Inlet%20Liner.pdf,[検索日:2022.05.20]
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 30/00 -30/96
B01J 20/281-20/292
C07D 317/38
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エチレンカーボネートのスプリット注入法によるガスクロマトグラフィー分析法であって、
分析対象のエチレンカーボネートをガスクロマトグラフィー分析装置内に注入すること、
注入された前記エチレンカーボネートを、ウールが充填されていないシングルテーパのライナー内で気化させること、
気化された前記エチレンカーボネートの一部を、不活性ガスを流したキャピラリーカラムに導入し通過させること、
前記キャピラリーカラムを通過した前記エチレンカーボネートを、検出器により検知すること、
を含む、ガスクロマトグラフィー分析法。
【請求項2】
エチレンカーボネートのスプリット注入法によるガスクロマトグラフィー分析法であって、
分析対象の溶融状態のエチレンカーボネートをガスクロマトグラフィー分析装置内に注入すること、
注入された前記エチレンカーボネートを、ライナー内で気化させること、
気化された前記エチレンカーボネートの一部を、不活性ガスを流したキャピラリーカラムに導入し通過させること、
前記キャピラリーカラムを通過した前記エチレンカーボネートを、検出器により検知すること、
を含む、ガスクロマトグラフィー分析法。
【請求項3】
前記ライナーが、ウールが充填されていないシングルテーパのライナーである、請求項2に記載のガスクロマトグラフィー分析法。
【請求項4】
分析対象の前記エチレンカーボネートの水分量が、100ppm以下である、請求項1~3のいずれか一項に記載のガスクロマトグラフィー分析法。
【請求項5】
分析対象の前記エチレンカーボネートの純度が、99.5質量%以上である、請求項1~4のいずれか一項に記載のガスクロマトグラフィー分析法。
【請求項6】
分析対象の前記エチレンカーボネートを前記ガスクロマトグラフィー分析装置内に注入する時のキャリアガス圧力を、通常圧力の1.5~30倍とし、注入後、前記キャリアガス圧力を通常圧力とする、請求項1~5のいずれか一項に記載のガスクロマトグラフィー分析法。
【請求項7】
分析対象の前記エチレンカーボネートを、乾燥不活性ガス下で、ガスクロマトグラフの注入用のシリンジに採取することを更に含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のガスクロマトグラフィー分析法。
【請求項8】
分析対象の前記エチレンカーボネートを、乾燥不活性ガス下で、ガスクロマトグラフのオートインジェクタ用のバイアル瓶に入れて閉栓することを更に含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のガスクロマトグラフィー分析法。
【請求項9】
分析対象の前記エチレンカーボネートを、乾燥空気下、乾燥不活性ガス下、又は真空下で、サンプリングすることを更に含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のガスクロマトグラフィー分析法。
【請求項10】
前記キャピラリーカラム内の液相が、シアノプロピル及びフェニルで置換されたポリシロキサン、シアノプロピル及びメチルで置換されたポリシロキサン、トリフルオロプロピルで置換されたポリシロキサン、フェニルで置換されたポリシロキサン、並びにポリエチレングリコールからなる群から選択される少なくとも1種の成分を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のガスクロマトグラフィー分析法。
【請求項11】
前記ガスクロマトグラフィー分析装置の注入口温度が250~290℃である、請求項1~10のいずれか一項に記載のガスクロマトグラフィー分析法。
【請求項12】
前記ガスクロマトグラフィー分析装置の検出器温度が240~300℃である、請求項1~11のいずれか一項に記載のガスクロマトグラフィー分析法。
【請求項13】
前記キャピラリーカラム内に流通させる不活性ガスが、窒素又はヘリウムである、請求項1~12のいずれか一項に記載のガスクロマトグラフィー分析法。
【請求項14】
スプリット比(キャピラリーカラム外に排出される不活性ガス流量:キャピラリーカラム内に導入される不活性ガス流量)が5:1~50:1である、請求項1~13のいずれか一項に記載のガスクロマトグラフィー分析法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスクロマトグラフィー分析法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、省エネ又は省資源など地球環境負荷低減に貢献するとして、リチウムイオン二次電池(LiB)への注目が一段と高まっている。最近のLiBは、スマートフォンやタブレット等のモバイル機器用電池のみならず、ハイブリッドカー(HEV)や電気自動車(EV)等の車載用電池、更には電力貯蔵用電池にまで利用範囲が拡大し続けている。LiBとは、正極と負極の間をリチウムイオンが移動することで充電や放電を行う二次電池であり、正極、負極、セパレータ及び電解液の4つの主要材料から構成される。高極性のエチレンカーボネートは、リチウム塩を高濃度に溶解し、解離させることに加え、炭素材料の負極表面にナノメートルオーダーの被膜を形成し、負極の炭素材料を安定させるという特長(利点)があることから、代表的な電解液溶媒となっている。しかしながら、エチレンカーボネートの不純物は、電池の充放電サイクルにおいて、電池性能に影響を与える懸念があるため、電解液用途には、高純度エチレンカーボネートが使用される。
【0003】
リチウムイオン電池製造分野に関し、特にリチウムイオン電池電解液中のエチレンカーボネート中のヘテロアルコール含有量の測定方法が種々提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
高純度のエチレンカーボネートの純度の分析においては、ガスクロマトグラフィー分析装置内でのエチレンカーボネートの分解により、エチレンオキサイド(EO)、エチレングリコール(EG)、ジエチレングリコール(DEG)等の不純物が、測定結果の精度として無視できない量で生成することが明らかとなった。そのため、より高い精度のエチレンカーボネートの分析方法が求められる。
【0006】
すなわち、本発明は、ガスクロマトグラフィー分析で、高い純度のエチレンカーボネートの純度を精度よく分析できる、ガスクロマトグラフィー分析法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、前述の課題を解決するために鋭意検討した結果、スプリット法のガスクロマトグラフィー分析法において、ウールが充填されていないシングルテーパのライナーを用いてキャピラリーカラムに試料を導入することによって、高い純度のエチレンカーボネートの純度を、精度よく分析することができることを見い出し、本発明に至った。
【0008】
また、本発明者は、前述の課題を解決するために鋭意検討した結果、スプリット法のガスクロマトグラフィー分析法において、溶融状態のエチレンカーボネートをガスクロマトグラフィー分析装置内に注入することで、高い純度のエチレンカーボネートの純度を、精度よく分析することができることを見い出し、本発明に至った。
【0009】
すなわち本発明は、下記のとおりである。
[1]
エチレンカーボネートのスプリット注入法によるガスクロマトグラフィー分析法であって、
分析対象のエチレンカーボネートをガスクロマトグラフィー分析装置内に注入すること、
注入された前記エチレンカーボネートを、ウールが充填されていないシングルテーパのライナー内で気化させること、
気化された前記エチレンカーボネートの一部を、不活性ガスを流したキャピラリーカラムに導入し通過させること、
前記キャピラリーカラムを通過した前記エチレンカーボネートを、検出器により検知すること、
を含む、ガスクロマトグラフィー分析法。
[2]
エチレンカーボネートのスプリット注入法によるガスクロマトグラフィー分析法であって、
分析対象の溶融状態のエチレンカーボネートをガスクロマトグラフィー分析装置内に注入すること、
注入された前記エチレンカーボネートを、ライナー内で気化させること、
気化された前記エチレンカーボネートの一部を、不活性ガスを流したキャピラリーカラムに導入し通過させること、
前記キャピラリーカラムを通過した前記エチレンカーボネートを、検出器により検知すること、
を含む、ガスクロマトグラフィー分析法。
[3]
前記ライナーが、ウールが充填されていないシングルテーパのライナーである、[2]に記載のガスクロマトグラフィー分析法。
[4]
分析対象の前記エチレンカーボネートの水分量が、100ppm以下である、[1]~[3]のいずれかに記載のガスクロマトグラフィー分析法。
[5]
分析対象の前記エチレンカーボネートの純度が、99.5質量%以上である、[1]~[4]のいずれかに記載のガスクロマトグラフィー分析法。
[6]
分析対象の前記エチレンカーボネートを前記ガスクロマトグラフィー分析装置内に注入する時のキャリアガス圧力を、通常圧力の1.5~30倍とし、注入後、前記キャリアガス圧力を通常圧力とする、[1]~[5]のいずれかに記載のガスクロマトグラフィー分析法。
[7]
分析対象の前記エチレンカーボネートを、乾燥不活性ガス下で、ガスクロマトグラフの注入用のシリンジに採取することを更に含む、[1]~[6]のいずれかに記載のガスクロマトグラフィー分析法。
[8]
分析対象の前記エチレンカーボネートを、乾燥不活性ガス下で、ガスクロマトグラフのオートインジェクタ用のバイアル瓶に入れて閉栓することを更に含む、[1]~[6]のいずれかに記載のガスクロマトグラフィー分析法。
[9]
分析対象の前記エチレンカーボネートを、乾燥空気下、乾燥不活性ガス下、又は真空下で、サンプリングすることを更に含む、[1]~[8]のいずれかに記載のガスクロマトグラフィー分析法。
[10]
前記キャピラリーカラム内の液相が、シアノプロピル及びフェニルで置換されたポリシロキサン、シアノプロピル及びメチルで置換されたポリシロキサン、トリフルオロプロピルで置換されたポリシロキサン、フェニルで置換されたポリシロキサン、並びにポリエチレングリコールからなる群から選択される少なくとも1種の成分を含む、[1]~[9]のいずれかに記載のガスクロマトグラフィー分析法。
[11]
前記ガスクロマトグラフィー分析装置の注入口温度が250~290℃である、[1]~[10]のいずれかに記載のガスクロマトグラフィー分析法。
[12]
前記ガスクロマトグラフィー分析装置の検出器温度が240~300℃である、[1]~[11]のいずれかに記載のガスクロマトグラフィー分析法。
[13]
前記キャピラリーカラム内に流通させる不活性ガスが、窒素又はヘリウムである、[1]~[12]のいずれかに記載のガスクロマトグラフィー分析法。
[14]
スプリット比(キャピラリーカラム外に排出される不活性ガス流量:キャピラリーカラム内に導入される不活性ガス流量)が5:1~50:1である、[1]~[13]のいずれかに記載のガスクロマトグラフィー分析法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ガスクロマトグラフィー分析で、高い純度のエチレンカーボネートの純度を精度よく分析できる、ガスクロマトグラフィー分析法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、ガスクロマトグラフィー分析装置1の概略構成図を示す。
【
図2】
図2は、シングルテーパライナーの一例を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」ともいう。)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の本実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
【0013】
本実施形態に係るガスクロマトグラフィー分析法は、
エチレンカーボネートのスプリット注入法によるガスクロマトグラフィー分析法であって、
分析対象のエチレンカーボネートをガスクロマトグラフィー分析装置内に注入すること、
注入された前記エチレンカーボネートを、ウールが充填されていないシングルテーパのライナー内で気化させること、
気化された前記エチレンカーボネートの一部を、不活性ガスを流したキャピラリーカラムに導入し通過させること、
前記キャピラリーカラムを通過した前記エチレンカーボネートを、検出器により検知すること、
を含む。
【0014】
上述の構成を含むことで、本実施形態によれば、ガスクロマトグラフィー分析で、高い純度のエチレンカーボネートの純度を精度よく分析できる。
【0015】
ガスクロマトグラフィー分析においては、キャピラリーカラムで分離する場合、注入試料を気化させた後、全量をキャピラリーカラムに導入せず、キャピラリーカラムの保持容量に合わせた適切な試料量のみをキャピラリーカラムに導入し、残りは、不活性ガスといっしょにベントから排気する、スプリット法を適用するのが一般的である。スプリット法では、ウールが充填されたライナーが用いられるのが常套手段である。これは、試料を効率よく気化し、再現性良く分析できる利点があるためである。そこで、本発明者も、最初、電解液用途の高純度エチレンカーボネートのガスクロマトグラフィー分析で、スプリット法分析用の、ウールが充填されたライナーを用いたが、純度および不純物濃度に測定精度が得られなかった。さらに、その他のスプリット法分析用のライナー、スプリットレス法分析用のウールが充填されたライナーを試したが、純度および不純物濃度に再現性が得られなかった。本発明者は、ウールが充填されていないスプリットレスライナーでは再現性が悪くなりやすいため、スプリット法分析では使用しないのが定説となっているが、気化を効率よく行わせる目的のウールの表面で、エチレンカーボネートの熱分解もしくは加水分解が起きやすくなっているのではないかと考えた。そこで、ウールが充填されていないライナーを検討し、分析値の再現性が良いライナー形状として、スプリットレス分析用のシングルテーパのライナーを見出した。スプリット法分析でありながら、スプリットレス法のライナーを選択することは、常識的には、分析の再現性を悪化させる方向であり、驚くべきことである。本発明の一実施形態は、高純度エチレンカーボネートのガスクロマトフィー分析において、ウールが充填されていないシングルテーパのライナーを用いることを特長とする。
【0016】
本実施形態に係るガスクロマトグラフィー分析法は、
エチレンカーボネートのスプリット注入法によるガスクロマトグラフィー分析法であって、
分析対象の溶融状態のエチレンカーボネートをガスクロマトグラフィー分析装置内に注入すること、
注入された前記エチレンカーボネートを、ライナー内で気化させること、
気化された前記エチレンカーボネートの一部を、不活性ガスを流したキャピラリーカラムに導入し通過させること、
前記キャピラリーカラム通過した前記エチレンカーボネートを、検出器により検知すること、
を含む。
【0017】
上述の構成を含むことで、本実施形態によれば、ガスクロマトグラフィー分析で、高い純度のエチレンカーボネートの純度を精度よく分析できる。
【0018】
本実施形態に係るガスクロマトグラフィー分析は、気化されたエチレンカーボネートの一部を、不活性ガスを流したキャピラリーカラムに導入し通過させることを含む。つまり、本実施形態に係るガスクロマトグラフィー分析は、スプリット注入法による分析である。スプリット注入法は、分析試料が、ライナー内で試料の成分濃度比のままで気化して、その一部がキャピラリーカラムに導入されることで、再現性がある分析になる。試料の液がライナー内で、沸点差がある成分も同時に気化することができ、試料の成分濃度比のままキャピラリーカラムに導入される。
【0019】
ところが、室温で固体のエチレンカーボネートでは、この通りになっていない。エチレンカーボネートをガスクロマトグラフに注入後、溶融、及び気化などの相転移があるが、この際融解エンタルピーによる吸熱現象により、気化が阻害され、気化よりも熱分解や加水分解のほうが起きやすくなっているのではないかと本発明者は疑った。そこで、本発明者は、溶融状態のエチレンカーボネートをガスクロマトグラフィー分析装置内に導入することで、ライナー内で沸点差がある成分も同時に気化させることができ、熱分解や、加水分解を防ぐことができ、ガスクロマトグラフィー分析法の精度を高めることができた。
【0020】
上述の実施形態において、溶融状態のエチレンカーボネートをガスクロマトグラフィー分析装置内に注入すること、且つ、前記エチレンカーボネートをウールが充填されていないシングルテーパの注入用ライナー内で気化させること、を同時に行うことが好適である。これらを同時に行うことで、溶融状態のエチレンカーボネートを導入することによってライナー内での気化が容易となる上に、ライナー内のウールへの付着が無く、さらにライナー内での気化が円滑に行われる。そのため、当該分析方法によれば、上述の特徴による相乗効果を発揮し、更に優れたガスクロマトグラフィー分析法の精度が得られる。
【0021】
以下、本実施形態で使用するガスクロマトグラフィー分析装置1について説明する。
図1は、ガスクロマトグラフィー分析装置1の概略構成図を示す。ガスクロマトグラフィー分析装置1は、注入部11と、ライナー12と、インジェクション筐体14と、キャピラリーカラム20と、検出器30とを備える。
【0022】
注入部11には、図示しないが、セプタムが備えられており、セプタムを介してマイクロシリンジにより試料を注入可能に構成される。
【0023】
ライナー12は、ウールが充填されていないシングルテーパの注入用ライナーであることが好ましい。当該ライナーを用いることで、高い純度のエチレンカーボネートの純度を精度よく分析できる。ライナー12として具体的には
図2に示されるシングルテーパライナーが用いられることが好ましい。ライナーの材質は、不活化処理されていれば、石英、ガラスのいずれでもよい。石英、ガラス以外の材質でも、不活化処理することで、電解液用途の高純度エチレンカーボネートおよび含有する不純物がライナー内で活性化して反応することがなければ使用できる。
【0024】
ウールとは、グラスウールなどのガスクロマトグラフィー分析に用いられるウールである。
【0025】
シングルテーパとは、テーパ構造が一つ設けられた構成を有することを意味する。
【0026】
インジェクション筐体14は、オーリング141を介してライナー12を内部に固定する。インジェクション筐体14には、不活性ガス導入部142が設けられる。不活性ガス導入部142から導入される不活性ガスは、ライナー12内を通過し、一部はキャピラリーカラム内に導入され、その他はインジェクション筐体14に設けられた不活性ガス導出部143から排気される。
【0027】
キャピラリーカラム20は、極性を有する液相を有するキャピラリーカラムが好ましい。キャピラリーカラム20内の液相は、エチレンカーボネートに含有される不純物の分離能を高める観点から、シアノプロピル及びフェニルで置換されたポリシロキサン、シアノプロピル及びメチルで置換されたポリシロキサン、トリフルオロプロピルで置換されたポリシロキサン、フェニルで置換されたポリシロキサン、並びにポリエチレングリコールからなる群から選ばれる少なくとも1種の成分を含むことが好ましい。これらの中でも、シアノプロピル及びフェニルで置換されたポリシロキサン、並びにジメチルシロキサンの組合せが好ましい。
【0028】
カラム長、カラム孔径、液相の厚みは、実際のクロマトグラムのピークの分離性および定量性を確認できれば、カラム長、カラム孔径、液相の厚みは、販売されているラインナップから選択することができる。
【0029】
検出器30は、ガスクロマトグラフィー分析に用いられる検出器であれば特に限定されないが、水素炎イオン化検出器(FID)、質量分析計(MS)、マイクロ熱伝導度検出器(μTCD)等が挙げられる。
【0030】
続いて、ガスクロマトグラフィー分析装置1を用いた例により、本実施形態に係るガスクロマトグラフィー分析法について説明する。
【0031】
エチレンカーボネートをガスクロマトグラフィー分析装置1内に注入する。エチレンカーボネートは、注入部11から注入される。続いて、注入されたエチレンカーボネートは、ライナー12に導入され、ライナー12内で気化される。気化されたエチレンカーボネートは、その一部が、不活性ガスを流したキャピラリーカラム20に導入され、通過させられる。エチレンカーボネートは、キャピラリーカラム20通過後、検出器30により検知される。
【0032】
ガスクロマトグラフィー分析装置1内に注入するエチレンカーボネートは、溶融状態であることが好ましい。溶融状態のエチレンカーボネートを注入することで、ライナー内で沸点差がある成分も同時に気化させることができ、熱分解や、加水分解を防ぐことができ、ガスクロマトグラフィー分析法の精度を高めることができる。
【0033】
溶融状態のエチレンカーボネートの温度としては、好ましくは40℃~80℃であり、より好ましくは40℃~70℃であり、更に好ましくは40℃~60℃である。
【0034】
溶融状態のエチレンカーボネートの温度を調整するため、加温設備を用いてもよい、加温設備の温度は、好ましくは50℃~90℃であり、より好ましくは50℃~80℃であり、さらに好ましくは50℃~70℃である。加温設備としては、直接貼り付けたり、巻いたりできるヒーターでも良いが、ガスクロマトグラフのオートインジェクタの作動性、シリンジの取り扱い作業性を考慮すると、温風を当てる設備が好ましい。
【0035】
本実施形態に係る分析法で使用するエチレンカーボネートの純度は、好ましくは99.5質量%以上であり、より好ましくは99.90質量%以上であり、更に好ましくは99.95質量%以上である。本実施形態の分析法によれば、99.95質量%以上の高純度のエチレンカーボネートであっても、精度よく分析結果を得ることができる。高純度のエチレンカーボネートでは、分析時の熱分解、加水分解などにより、正確な純度を求めることは従来困難であったが、本実施形態の分析法により、精度の高い分析が可能となる。なお、当該エチレンカーボネートの純度は、例えば、本実施形態に係る分析方法により得られた測定結果から、面積比に基づいて算出される値である。
【0036】
本実施形態に係る分析法で使用するエチレンカーボネートの水分量は、好ましくは100ppm以下であり、より好ましくは60ppm以下であり、更に好ましくは50ppm以下である。当該範囲の水分量のエチレンカーボネートを用いることで、ガスクロマトグラフィー装置に導入後、エチレンカーボネートの加水分解を抑制することができ、より精度の高い分析が可能となる。水分量は、カールフィッシャー法にて測定可能である。
【0037】
ガスクロマトグラフィー分析装置1に注入する前の試料については、吸湿を抑える操作を行うことで、より確実に安定した分析値を得ることができる。
【0038】
分析対象のエチレンカーボネートのサンプリングは、例えば、エチレンカーボネートの製造装置における精製塔などから少量のエチレンカーボネートを採取することで行われる。
【0039】
エチレンカーボネートのサンプリングは、溶融状態とするため40℃以上とすることが好ましいが、短時間であることから、サンプリング環境は、乾燥窒素及び乾燥アルゴンなどの乾燥不活性ガス、乾燥空気、不活性ガス、空気、真空のいずれであってもよい。これらの中でも、乾燥不活性ガス、乾燥空気、又は真空が好ましく、乾燥窒素がより好ましい。ここで、乾燥不活性ガス及び乾燥空気における「乾燥」とは、露点が-20℃以下であることを意味する。
【0040】
サンプリングした分析試料は、温風循環式オーブン内で溶融させる。温風循環式オーブン内の温度は、好ましくは50~80℃、より好ましくは50~70℃、さらに好ましくは、55~65℃である。この温度範囲であれば、エチレンカーボネートを熱分解の影響を考慮したうえで、効率よく溶融させることができる。溶融の状態を確認する際は、容器のキャップを閉めたまま容器を振ってみて分析試料が溶融したかどうかを確認するべきである。キャップを開けなければ、温風循環式オーブン内の環境は、空気、不活性ガス、乾燥空気、乾燥不活性ガスのいずれでもよい。温風循環式オーブン内の分析試料が溶融したかどうかを確認する際に、容器のキャップの開け閉めすると、溶融状態のエチレンカーボネートは、容易に吸湿し、分解、加水分解する。サンプリングされた分析試料を溶融状態で不用意にキャップを開けるべきではない。
【0041】
ガスクロマトグラフのオートインジェクタ機能を使用する場合は、溶融したエチレンカーボネート試料をスポイドで採取し、バイアル瓶に注入する必要がある。この操作を行う環境も、短時間で行えば、空気、不活性ガス、乾燥空気、乾燥不活性ガス、又は真空のいずれでもよい。これらの中でも、乾燥不活性ガス、乾燥空気、又は真空が好ましく、乾燥窒素がより好ましい。
【0042】
ガスクロマトグラフにシリンジを使用してハンドでエチレンカーボネートを注入する場合は、予め、上記温風循環式オーブン等の中に入れてシリンジを温めておき、例えば乾燥不活性ガス(好ましくは乾燥窒素)下でサンプルが入った容器のキャップを開けて採取し、シリンジ内のエチレンカーボネートを溶融させておく。
【0043】
エチレンカーボネートをガスクロマトグラフィー分析装置1内に注入する前に、有機溶媒をガスクロマトグラフィー分析装置1内に注入し、カラム内を洗浄することが好ましい。ここで用いる有機溶媒としては、例えば、テトラヒドロフランが挙げられる。洗浄は、エチレンカーボネートをガスクロマトグラフィー分析装置1で分析する条件と同様の条件で、気化された有機溶媒の一部を、不活性ガスを流したキャピラリーカラムに導入し通過させてもよい。当該洗浄は、例えば3回以上繰り返してもよい。
【0044】
ガスクロマトグラフの設置環境は、空調された屋内環境(例えば、15~35℃)であってもよい。この環境温度では、エチレンカーボネートは、固体になってしまうので、前述のとおり、予め溶融させておくことに加えて、ガスクロマトグラフに注入する前の試料を確実に溶融させておき、実際に溶融していることを確認しなければならない。
【0045】
ガスクロマトグラフィー分析装置1の注入口温度は、好ましくは240~300℃であり、より好ましくは250~290℃であり、さらに好ましくは260~280℃である。
【0046】
ガスクロマトグラフィー分析装置1の検出器温度は、好ましくは240~300℃であり、より好ましくは250~290℃であり、さらに好ましくは260~280℃である。
【0047】
キャピラリーカラム内に流通させる不活性ガス(以下、「キャリアガス」ともいう)は、窒素であっても、ヘリウムであってもよいが、好ましくは窒素である。
【0048】
本実施形態に係るガスクロマトグラフィー分析は、気化されたエチレンカーボネートの一部を、不活性ガスを流したキャピラリーカラムに導入し通過させることを含むが、不活性ガスのうちキャピラリーカラム外に排出される不活性ガス流量と、キャピラリーカラム内に導入される不活性ガス流量との比(以下「スプリット比」ともいう)により調整する。スプリット比(キャピラリーカラム外に排出される不活性ガス流量:キャピラリーカラム内に導入される不活性ガス流量)は、好ましくは5:1~50:1であり、より好ましくは10:1~40:1であり、さらに好ましくは15:1~30:1である。
【0049】
ガスクロマトグラフィー分析法では、分析対象の前記エチレンカーボネートをガスクロマトグラフィー分析装置内に注入する時のキャリアガス圧力を、通常圧力の1.5~30倍とし、注入後、キャリアガス圧力を通常圧力とすることが好ましい。通常圧力とは、測定条件における定常的なキャリアガスの流量、且つ、注入時の温度条件である場合のキャリアガスの圧力である。これに対して、注入時の圧力を1.5~30倍とすることで、ライナー内での気化が促進され、測定精度をより高めることができる。
【実施例】
【0050】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0051】
[水分量]
105℃の乾燥機で乾燥後、デシケータで保管しておいた針付きシリンジに溶融状態のエチレンカーボネートを約3g採取し、針の先端をシリコーンキャップし、重量を正確に測定後、下記条件のカールフィッシャー装置にエチレンカーボネートを注入し、再度、針の先端にシリコーンキャップした後、重量を測定した。カールフィッシャーに表示されたクーロン量を正確に測定した重量から求めたエチレンカーボネート量で割り、水分量を求めた。
【0052】
<測定条件>
カールフィッシャー装置:三菱ケミカル(株) CA-310
陽極液:アクアミクロンAX
陰極液:アクアミクロンCXU
注入試料量:約3g
【0053】
以下の実施例、比較例で行ったガスクロマトグラフィー分析条件を示す。
装置:Agilent GC-7820A
注入口温度:270℃
注入量:0.4μL
カラム:DB-1701(30m長×孔径(内径)0.53mm×0.5μm厚)
カラム温度:100℃で保持0min、10℃/min(100~120℃)、
20℃/min(120~220℃)、220℃で保持6min
キャリアガス:窒素 1.0ml/min
注入時の温度条件での通常圧力:1.0181psi
注入方法:スプリット法(スプリット比 20:1)
注入口ライナー:実施例、比較例に記載のとおり
検出器:水素炎イオン化検出器(FID) 270℃
濃度計算:面積百分率(ガスクロマトグラフの全検出成分による)
【0054】
[実施例1]
乾燥空気(露点:-20℃以下)下、溶融状態でサンプリングされた電解液用途の高純度エチレンカーボネートが入った2本のポリプロピレンボトルを、キャップしたまま60℃の温風循環式オーブンに入れた。エチレンカーボネート全体が溶融したことを確認した。1本のポリプロピレンボトルの試料にて水分量を測定した。もう1本のポリプロピレンボトルの試料を用いて乾燥窒素(純度99.99%、露点:-80℃以下)下、溶融状態でガスクロマトグラフのオートインジェクタ用バイアル瓶に分析の必要量を入れ、キャップした。ガスクロマトグラフのオートインジェクタにバイアル瓶をセットし、バイアル瓶中のエチレンカーボネートが、固化しないよう、バイアル瓶の周囲が60℃程度になるように温風を送った。ガスクロマトグラフには、ウールが充填されていないシングルテーパのライナー(Agilent 5190-2292)をセットし、ガスクロマトグラフィー分析を行った。
【0055】
[比較例1]
乾燥窒素(純度99.99%、露点:-80℃以下)下、溶融状態でサンプリングされた電解液用途の高純度エチレンカーボネートが入った2本のポリプロピレンボトルをキャップしたまま60℃の温風循環式オーブンに入れた。エチレンカーボネート全体が溶融したことを確認した。1本のポリプロピレンボトルの試料にて水分量を測定した。もう1本のポリプロピレンボトルの試料を用いて乾燥窒素(純度99.99%、露点:-40℃以下)下、溶融状態でガスクロマトグラフのオートインジェクタ用バイアル瓶に分析の必要量を入れ、キャップする。ガスクロマトグラフのオートインジェクタにバイアル瓶をセットし、バイアル瓶中のエチレンカーボネートが、固化しないよう、バイアル瓶の周囲が60℃程度になるように温風を送った。ガスクロマトグラフには、ウールが充填されたフォーカスライナー(Agilent 5190-2295)をセットし、ガスクロマトグラフィー分析を行った。
【0056】
[実施例2]
乾燥空気(露点:-20℃以下)下、溶融状態でサンプリングされた電解液用途の高純度エチレンカーボネートが入った2本のポリプロピレンボトルをキャップしたまま60℃の温風循環式オーブンに入れた。エチレンカーボネート全体が溶融したことを確認した。1本のポリプロピレンボトルの試料にて水分量を測定した。もう1本のポリプロピレンボトルの試料を用いてガスクロマトグラフ設置環境の空気下、溶融状態でガスクロマトグラフのオートインジェクタ用バイアル瓶に分析の必要量を入れ、キャップした。ガスクロマトグラフのオートインジェクタにバイアル瓶をセットし、バイアル瓶中のエチレンカーボネートが、固化しないよう、バイアル瓶の周囲が60℃程度になるように温風を送った。ガスクロマトグラフには、ウールが充填されていないシングルテーパのライナー(Agilent 5190-2292)をセットし、ガスクロマトグラフィー分析を行った。
【0057】
[実施例3]
空気下、溶融状態でサンプリングされた電解液用途の高純度エチレンカーボネートが入った2本のポリプロピレンボトルをキャップしたまま60℃の温風循環式オーブンに入れた。エチレンカーボネート全体が溶融したことを確認した。1本のポリプロピレンボトルの試料にて水分量を測定した。もう1本のポリプロピレンボトルの試料を用いて乾燥窒素(純度99.99%、露点:-80℃以下)下、溶融状態でガスクロマトグラフのオートインジェクタ用バイアル瓶に分析の必要量を入れ、キャップした。ガスクロマトグラフのオートインジェクタにバイアル瓶をセットし、バイアル瓶中のエチレンカーボネートが、固化しないよう、バイアル瓶の周囲が60℃程度になるように温風を送った。ガスクロマトグラフには、ウールが充填されていないシングルテーパのライナー(Agilent 5190-2292)をセットし、ガスクロマトグラフィー分析を行った。
【0058】
[実施例4]
乾燥窒素(純度99.99%、露点:-40℃以下)下、溶融状態でサンプリングされた電解液用途の高純度エチレンカーボネートが入った2本のポリプロピレンボトルをキャップしたまま60℃の温風循環式オーブンに入れた。エチレンカーボネート全体が溶融したことを確認した。1本のポリプロピレンボトルの試料にて水分量を測定した。もう1本のポリプロピレンボトルの試料を用いて乾燥窒素(純度99.99%、露点:-80℃以下)下、溶融状態でガスクロマトグラフのオートインジェクタ用バイアル瓶に分析の必要量を入れ、キャップした。ガスクロマトグラフのオートインジェクタにバイアル瓶をセットし、バイアル瓶中のエチレンカーボネートが、固化しないよう、バイアル瓶の周囲が60℃程度になるように温風を送った。ガスクロマトグラフには、ウールが充填されていないシングルテーパのライナー(Agilent 5190-2292)をセットし、ガスクロマトグラフィー分析を行った。
【0059】
[実施例5]
乾燥窒素(純度99.99%、露点:-80℃以下)下、溶融状態でサンプリングされた電解液用途の高純度エチレンカーボネートが入った2本のポリプロピレンボトルをキャップしたまま60℃の温風循環式オーブンに入れた。エチレンカーボネート全体が溶融したことを確認した。1本のポリプロピレンボトルの試料にて水分量を測定した。もう1本のポリプロピレンボトルの試料を用いて乾燥窒素(純度99.99%、露点:-80℃以下)下、溶融状態でガスクロマトグラフのオートインジェクタ用バイアル瓶に分析の必要量を入れ、キャップする。ガスクロマトグラフのオートインジェクタにバイアル瓶をセットし、バイアル瓶中のエチレンカーボネートが、固化しないよう、バイアル瓶の周囲が60℃程度になるように温風を送った。ガスクロマトグラフには、ウールが充填されていないシングルテーパのライナー(Agilent 5190-2292)をセットし、ガスクロマトグラフの加圧注入機能を用い(加圧注入条件:分析開始前圧力2psi)、ガスクロマトグラフィー分析を行った。
【0060】
【0061】
表1中の略語の意味は以下のとおりである。
EO:エチレンオキサイド、EG:エチレングリコール、DEG:ジエチレングリコール、EC:エチレンカーボネート、TEG:トリエチレングリコール
【産業上の利用可能性】
【0062】
LiBの利用拡大に合わせて、電解液用途の高純度エチレンカーボネートは、今後、ますます需要が高まると予想される。高純度エチレンカーボネートを純度および不純物を正しく評価することは、高品質の電解液溶媒を提供できることにつながり、電池性能の向上に貢献できる。
【0063】
本出願は、日本特許出願2021-096700に基づく優先権を主張する。前記日本特許出願の全ての内容は、参照により本明細書に援用される。
【符号の説明】
【0064】
1…ガスクロマトグラフィー分析装置
11…注入部
12…ライナー
14…インジェクション筐体
20…キャピラリーカラム
30…検出器
141…オーリング
142…不活性ガス導入部
143…不活性ガス導出部