(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-27
(45)【発行日】2025-04-04
(54)【発明の名称】ディスクブレーキ
(51)【国際特許分類】
F16D 65/00 20060101AFI20250328BHJP
F16D 65/02 20060101ALI20250328BHJP
【FI】
F16D65/00 A
F16D65/02 A
(21)【出願番号】P 2023562121
(86)(22)【出願日】2022-06-24
(86)【国際出願番号】 JP2022025373
(87)【国際公開番号】W WO2023089860
(87)【国際公開日】2023-05-25
【審査請求日】2023-12-08
(31)【優先権主張番号】P 2021188546
(32)【優先日】2021-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】509186579
【氏名又は名称】日立Astemo株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宇野 みゆき
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 伸二
【審査官】藤原 弘
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2021/125052(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0063522(US,A1)
【文献】特開2021-173312(JP,A)
【文献】特開2009-243682(JP,A)
【文献】特表平08-511081(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D 65/00
F16D 65/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリパと、前記キャリパに取り付けられるカバー部材と、を備えたディスクブレーキであって、
前記キャリパが、
摩擦パッドを押圧するピストンと、
前記ピストンが収容されるシリンダ孔を有するシリンダ部と、
前記シリンダ部からディスクの外周側を跨いで設けられるブリッジ部と、
前記ブリッジ部から前記シリンダ孔の軸方向において前記シリンダ部と対向して設けられる爪部と、
前記爪部に前記シリンダ孔と対向して設けられるリセス部と、
を有し、
前記カバー部材が、
前記リセス部を前記シリンダ孔の軸方向から覆うプレート部と、
前記プレート部が前記リセス部の軸線に対して回転方向に移動することを規制する係止部と、
を有し、
前記係止部が前記リセス部に当接することで、前記プレート部が前記リセス部の軸線に対して回転方向に移動することを規制し、
前記係止部が前記プレート部に対して2つ以上設けられており、
前記係止部は前記リセス部の内面のディスク径方向内側の両端部に対向配置される一対の端側面部にそれぞれ当接し、
前記係止部は前記プレート部の厚さ方向において、前記プレート部から離れる程互いに近づく
ディスクブレーキ。
【請求項2】
キャリパと、前記キャリパに取り付けられるカバー部材と、を備えたディスクブレーキであって、
前記キャリパが、
摩擦パッドを押圧するピストンと、
前記ピストンが収容されるシリンダ孔を有するシリンダ部と、
前記シリンダ部からディスクの外周側を跨いで設けられるブリッジ部と、
前記ブリッジ部から前記シリンダ孔の軸方向において前記シリンダ部と対向して設けられる爪部と、
前記爪部に前記シリンダ孔と対向して設けられるリセス部と、
を有し、
前記カバー部材が、
前記リセス部を前記シリンダ孔の軸方向から覆うプレート部と、
前記プレート部が前記リセス部の軸線に対して回転方向に移動することを規制する係止部と、
を有し、
前記係止部が前記リセス部に当接することで、前記プレート部が前記リセス部の軸線に対して回転方向に移動することを規制し、
前記係止部が前記プレート部に対して2つ以上設けられており、
前記係止部は前記リセス部の内面のディスク径方向内側の両端部に対向配置される一対の端側面部にそれぞれ当接し、
前記係止部は外側根元板部、中間板部および先端板部を有し、前記先端板部は前記カバー部材から離れるほど互いの間隔が狭まる形状をなして
おり、
前記端側面部は、前記リセス部の軸線に沿った平面であり、
前記中間板部と前記先端板部との間の境界部が前記端側面部に当接する
ディスクブレーキ。
【請求項3】
キャリパと、前記キャリパに取り付けられるカバー部材と、を備えたディスクブレーキであって、
前記キャリパが、
摩擦パッドを押圧するピストンと、
前記ピストンが収容されるシリンダ孔を有するシリンダ部と、
前記シリンダ部からディスクの外周側を跨いで設けられるブリッジ部と、
前記ブリッジ部から前記シリンダ孔の軸方向において前記シリンダ部と対向して設けられる爪部と、
前記爪部に前記シリンダ孔と対向して設けられるリセス部と、
を有し、
前記カバー部材が、
前記リセス部を前記シリンダ孔の軸方向から覆うプレート部と、
前記プレート部が前記リセス部の軸線に対して回転方向に移動することを規制する係止部と、
を有し、
前記係止部は前記爪部のディスク径方向内方の端部に当接する
ディスクブレーキ。
【請求項4】
前記プレート部と、前記係止部とが、一体の部品である、請求項1から
3のいずれか一項に記載のディスクブレーキ。
【請求項5】
前記プレート部と、前記係止部とが、別体の部品である、請求項1から
3のいずれか一項に記載のディスクブレーキ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスクブレーキおよびプレートに関する。
本願は、2021年11月19日に、日本国に出願された特願2021-188546号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
ディスクブレーキのキャリパにおいて、組み付け部品の脱着性を向上させるために、組み付け部品に爪部を設けてキャリパに係止させる技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、デザイン性を向上させること等を目的として、キャリパにカバー部材を設けることがある。このような場合に、カバー部材をキャリパに対して適正な状態に維持することが望まれる。
【0005】
本発明の目的は、カバー部材をキャリパに対して適正な状態に維持することができるディスクブレーキおよびプレートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、以下の態様を採用する。
すなわち、本発明に係る第1の態様は、キャリパと、前記キャリパに取り付けられるカバー部材と、を備えたディスクブレーキであって、前記キャリパが、摩擦パッドを押圧するピストンと、前記ピストンが収容されるシリンダ孔を有するシリンダ部と、前記シリンダ部からディスクの外周側を跨いで設けられるブリッジ部と、前記ブリッジ部から前記シリンダ孔の軸方向において前記シリンダ部と対向して設けられる爪部と、前記爪部に前記シリンダ孔と対向して設けられるリセス部と、を有し、前記カバー部材が、前記リセス部を前記シリンダ孔の軸方向から覆うプレート部と、前記プレート部が前記リセス部の軸線に対して回転方向に移動することを規制する係止部と、を有する。
【0007】
本発明に係る第2の態様は、摩擦パッドを押圧するピストンと、前記ピストンが収容されるシリンダ孔を有するシリンダ部と、前記シリンダ部からディスクの外周側を跨いで設けられるブリッジ部と、前記ブリッジ部から前記シリンダ孔の軸方向において前記シリンダ部と対向して設けられる爪部と、前記爪部に前記シリンダ孔と対向して設けられるリセス部と、を有するキャリパに設けられるプレートであって、前記リセス部を前記シリンダ孔の軸方向から覆うプレート部と、前記プレート部が前記リセス部の軸線に対して回転方向に移動することを規制する係止部と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
上記各態様によれば、カバー部材をキャリパに対して適正な状態に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態のディスクブレーキを示す斜視図である。
【
図2】第1実施形態のディスクブレーキを示す正面図である。
【
図3】第1実施形態のディスクブレーキの一部を示す図であって、
図2のIII-III断面図である。
【
図4】第1実施形態のディスクブレーキのキャリパボディの爪部およびプレートを示す正面図である。
【
図5】第1実施形態のディスクブレーキのキャリパボディの一部およびカバー部材を示す斜視図である。
【
図6】第1実施形態のディスクブレーキのカバー部材を示す斜視図である。
【
図7】第2実施形態のディスクブレーキのキャリパボディの一部およびカバー部材を示す斜視図である。
【
図8】第2実施形態のディスクブレーキのキャリパボディの爪部およびプレートを示す正面図である。
【
図9】第2実施形態のディスクブレーキのカバー部材を示す斜視図である。
【
図10】第3実施形態のディスクブレーキのキャリパボディの一部およびカバー部材を示す斜視図である。
【
図11】第3実施形態のディスクブレーキのキャリパボディの爪部およびプレートを示す正面図である。
【
図12】第3実施形態のディスクブレーキのカバー部材を示す斜視図である。
【
図13】第4実施形態のディスクブレーキのキャリパボディの一部およびカバー部材を示す斜視図である。
【
図14】第4実施形態のディスクブレーキのキャリパボディの爪部およびプレートを示す正面図である。
【
図15】第4実施形態のディスクブレーキのカバー部材を示す斜視図である。
【
図16】第5実施形態のディスクブレーキのキャリパボディの一部およびカバー部材を示す斜視図である。
【
図17】第5実施形態のディスクブレーキのキャリパボディの爪部およびプレートを示す正面図である。
【
図18】第5実施形態のディスクブレーキのカバー部材を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[第1実施形態]
第1実施形態について、
図1から
図6を参照しつつ以下に説明する。
図1から
図3に示す第1実施形態のディスクブレーキ10は、自動車等の車両用であって車両に制動力を付与するものである。ディスクブレーキ10は、具体的には四輪自動車の制動用のものである。ディスクブレーキ10は、図示略の車輪と共に回転する円板状のディスク11の回転を止めることで車両を制動する。
図1に示すように、ディスクブレーキ10は、取付部材12と、キャリパ13と、カバー部材14と、一対のブーツ16と、一対の摩擦パッド17および摩擦パッド18と、を備えている。
【0011】
以下、ディスク11の中心軸線をディスク軸線と称す。また、ディスク軸線の延びる方向すなわちディスク11の軸方向をディスク軸方向と称す。また、ディスクブレーキ10内におけるディスク11の径方向をディスク径方向と称す。また、ディスクブレーキ10内におけるディスク11の周方向つまり回転方向をディスク周方向と称す。また、ディスク径方向におけるディスク11の中心側をディスク径方向内側と称す。また、ディスク径方向におけるディスク11の中心とは反対側をディスク径方向外側と称す。また、ディスク周方向における中央側をディスク周方向内側と称す。また、ディスク周方向における中央とは反対側をディスク周方向外側と称す。また、ディスク軸線と、ディスクブレーキ10のディスク周方向の中央とを通ってディスク径方向に沿う線を径方向基準線と称す。この径方向基準線はディスク軸線に直交する。また、ディスクブレーキ10が取り付けられた車両の車幅方向における外側をアウタ側と称す。また、ディスクブレーキ10が取り付けられた車両の車幅方向における内側をインナ側と称す。
【0012】
取付部材12は、
図2に示すように、一対のインナ側パッド支持部22、一対のアウタ側パッド支持部23およびアウタビーム部24を有している。また、取付部材12は、
図1に示すように、一対のピン挿嵌部25を有している。また、取付部材12は、図示略のインナビーム部を有している。取付部材12は、鋳造により一体成形された鋳物である。取付部材12は、径方向基準線およびディスク軸線の両方を含む平面を基準とする鏡面対称の形状となっている。
【0013】
図2に示すように、一対のインナ側パッド支持部22は、一方のインナ側パッド支持部22が、ディスク周方向の一側に配置されており、他方のインナ側パッド支持部22が、ディスク周方向の他側に配置されている。一対のインナ側パッド支持部22は、いずれもディスク径方向に延びている。一対のインナ側パッド支持部22は、
図1に示すようにディスク11に対して、ディスク軸方向の一側、具体的にはインナ側に配置されている。
図示略のインナビーム部は、一対のインナ側パッド支持部22のディスク径方向内側の端部同士を連結している。インナビーム部は、ディスク周方向に延びている。インナビーム部は、ディスク11に対しディスク軸方向のインナ側に配置されて車両の非回転部に固定される。これにより、取付部材12が、車両の非回転部分に固定される。
【0014】
図1に示す一対のピン挿嵌部25は、一方のピン挿嵌部25が、ディスク周方向一側のインナ側パッド支持部22のディスク径方向外側の端部から延出している。また、一対のピン挿嵌部25は、他方のピン挿嵌部25が、
図2に示すディスク周方向他側のインナ側パッド支持部22のディスク径方向外側の端部から延出している。
図1に示すように、一対のピン挿嵌部25は、ディスク周方向に離れて配置されている。一対のピン挿嵌部25は、いずれもディスク軸方向に延びている。一対のピン挿嵌部25は、いずれもディスク11の外周側を跨いでいる。一対のピン挿嵌部25は、いずれもディスク11に対しディスク軸方向のインナ側からアウタ側に延びている。
【0015】
一対のアウタ側パッド支持部23は、ディスク周方向一側のアウタ側パッド支持部23が、ディスク周方向一側のピン挿嵌部25のアウタ側の端部から延出している。一対のアウタ側パッド支持部23は、ディスク周方向他側のアウタ側パッド支持部23が、ディスク周方向他側のピン挿嵌部25のアウタ側の端部から延出している。一対のアウタ側パッド支持部23は、いずれもピン挿嵌部25からディスク径方向内方に延びている。一対のアウタ側パッド支持部23は、ディスク11に対しアウタ側に配置されている。
アウタビーム部24は、一対のアウタ側パッド支持部23のディスク径方向内側の端部同士を連結する。アウタビーム部24は、ディスク周方向に延びている。アウタビーム部24は、一対のアウタ側パッド支持部23と同様、ディスク11に対しアウタ側に配置されている。
【0016】
以上により、取付部材12は、ディスク11の外周側を跨いで設けられて車両の非回転部分に固定される。図示略のインナビーム部および一対のインナ側パッド支持部22は、取付部材12において、車両の非回転部分への取り付け側となるインナ側に配置されている。一対のアウタ側パッド支持部23およびアウタビーム部24は、取付部材12において、インナ側とは反対となるアウタ側に配置されている。
【0017】
図2に示すように、一対のアウタ側パッド支持部23には、パッドガイド部31がそれぞれの相互対向側に形成されている。これらのパッドガイド部31は、ディスク周方向に沿って互いに離れる方向に凹む形状をなしている。図示は略すが、一対のインナ側パッド支持部22にも、同様のパッドガイド部が形成されている。
【0018】
図1に示す摩擦パッド17および摩擦パッド18は共通部品である。摩擦パッド17,18は、裏板41と、ライニング42と、を有している。裏板41は、支持板部43と、
図2に示す一対の耳部44と、を有している。一対の耳部44は、裏板41のディスク周方向外側の両端部にそれぞれ設けられている。
図1に示す支持板部43は、
図2に示す一対の耳部44の間に設けられている。
図1に示すように、ライニング42は、裏板41の支持板部43の厚さ方向一側の面に貼り付けられている。これにより、ライニング42は支持板部43に支持されている。
【0019】
摩擦パッド17,18のうちのアウタ側に配置される摩擦パッド18は、
図2に示すように、ディスク周方向外側の両端の耳部44が、一対のアウタ側パッド支持部23のそれぞれのパッドガイド部31に係合する。アウタ側の摩擦パッド18は、取付部材12の一対のアウタ側パッド支持部23にディスク軸方向に移動可能に支持される。
図1に示す摩擦パッド17,18のうち、インナ側に配置される摩擦パッド17は、ディスク周方向外側の両端の耳部(図示略)が、
図2に示す一対のインナ側パッド支持部22のそれぞれの図示略のパッドガイド部に係合する。
図1に示すインナ側の摩擦パッド17は、取付部材12の
図2に示す一対のインナ側パッド支持部22にディスク軸方向に移動可能に支持される。
【0020】
図1に示すように、インナ側の摩擦パッド17は、ディスク11のディスク軸方向における一側であるインナ側の面と対向して配置される。アウタ側の摩擦パッド18は、ディスク11のディスク軸方向における他側であるアウタ側の面と対向して配置される。摩擦パッド17,18は、いずれもライニング42においてディスク11に対向する。よって、摩擦パッド17,18は、いずれもライニング42がディスク11に接触することになる。取付部材12に支持された一対の摩擦パッド17,18は、キャリパ13によってディスク11へ向けて押圧される。
【0021】
取付部材12には、ディスク周方向両側の一対のピン挿嵌部25のそれぞれに、ディスク軸方向に延びる図示略のピン挿入穴がインナ側から形成されている。これらのピン挿入穴に、キャリパ13のディスク周方向両側の一対のスライドピン47が摺動可能に嵌合する。これにより、取付部材12は、その一対のピン挿嵌部25において、キャリパ13をディスク軸方向に摺動可能に支持する。言い換えれば、キャリパ13は、ディスク周方向両側に設けられた一対のスライドピン47が、それぞれ、取付部材12の一対のピン挿嵌部25の図示略のピン挿入穴に摺動可能に嵌合される。これにより、キャリパ13は、取付部材12にディスク軸方向に移動可能となるように支持される。一対のブーツ16は、それぞれ、スライドピン47のピン挿嵌部25から突出する部分を被覆する。
【0022】
キャリパ13は、キャリパボディ51と、一対のスライドピン47と、一対のピン取付ボルト52と、ブリーダプラグ53とを有している。キャリパ13は、ブリーダプラグ53に関連する構成以外は、径方向基準線およびディスク軸線の両方を含む平面を基準とする鏡面対称の形状となっている。
キャリパボディ51は、鋳造により一体成形されている。キャリパボディ51は、シリンダ部55と、ブリッジ部56と、
図3から
図5に示す爪部57とを有している。言い換えれば、キャリパボディ51を含むキャリパ13は、
図1に示すシリンダ部55およびブリッジ部56と、
図3から
図5に示す爪部57とを有している。
【0023】
図1に示すシリンダ部55は、ディスク11に対しディスク軸方向のインナ側に配置されている。ブリッジ部56は、シリンダ部55のディスク径方向外側の部分からディスク軸方向に沿ってアウタ側に延出している。言い換えれば、ブリッジ部56は、シリンダ部55からディスク11の外周側を跨いで設けられている。
図3に示す爪部57は、ブリッジ部56のディスク軸方向における
図1に示すシリンダ部55とは反対側から
図3に示すようにディスク径方向内側に延出している。これにより、爪部57は、ディスク11に対しディスク軸方向のアウタ側に配置されている。
【0024】
図1に示すように、キャリパボディ51は、シリンダ部55からディスク周方向の両側に延出する一対のピン取付部65を有している。一対のピン取付部65のうちの一方のピン取付部65に、一方のスライドピン47が一方のピン取付ボルト52によって取り付けられている。一対のピン取付部65のうちの他方のピン取付部65に、他方のスライドピン47が他方のピン取付ボルト52によって取り付けられている。
【0025】
シリンダ部55には、
図2に示すように、シリンダ孔71が形成されている。シリンダ孔71は、
図3に示す爪部57側に向けて一端が開口しディスク軸方向の爪部57とは反対側に向けて凹む形状である。
図2に示すシリンダ孔71は、ディスク軸方向に沿っている。キャリパ13は、シリンダ孔71を1箇所有する、いわゆるシングルボアキャリパである。
シリンダ孔71には、ピストン72がディスク軸方向に移動可能となるように配置される。言い換えれば、
図1に示すシリンダ部55は、
図2に示すピストン72が収容されるシリンダ孔71を有している。キャリパ13は、キャリパボディ51に対してディスク軸方向に移動可能となるピストン72を有している。
図3に示す爪部57は、ブリッジ部56から
図2に示すシリンダ孔71の軸方向において
図1に示すシリンダ部55と対向して設けられている。
図3に示す爪部57は、
図2に示すシリンダ孔71の径方向において
図1に示すシリンダ部55と位置を重ね合わせている。
【0026】
図2に示すように、アウタ側の摩擦パッド18は、取付部材12に支持されて、
図3に示すように爪部57とディスク11との間に配置されている。また、
図1に示すインナ側の摩擦パッド17は、取付部材12に支持されて、シリンダ部55およびシリンダ部55に設けられた
図2に示すピストン72と、ディスク11との間に配置されている。ピストン72は、
図1に示すインナ側の摩擦パッド17にディスク軸方向において対向している。
図2に示すピストン72は、
図1に示す摩擦パッド17を押圧する。
【0027】
図5に示すように、爪部57は、根元部60と、一対の爪本体部61と、を有している。根元部60は、爪部57において最もブリッジ部56側にある。言い換えれば、根元部60は、爪部57において最もディスク径方向外側にある。一対の爪本体部61は、ブリッジ部56のディスク周方向両側の部分からディスク径方向内側に延出している。すなわち、一対の爪本体部61のうちの一方の爪本体部61は、ブリッジ部56のディスク周方向一側の部分からディスク径方向内側に延出している。また、一対の爪本体部61のうちの他方の爪本体部61は、ブリッジ部56のディスク周方向他側の部分からディスク径方向内側に延出している。根元部60および一対の爪本体部61は、いずれも、ブリッジ部56のディスク軸方向の
図1に示すシリンダ部55とは反対側にある。
図3に示すように、根元部60および一対の爪本体部61は、いずれも、ブリッジ部56からディスク径方向内側に延出してディスク11に対しディスク軸方向のアウタ側に位置している。
【0028】
図5に示すように、一対の爪本体部61は、ディスク周方向に離間して配置されている。これにより、爪部57は、一対の爪本体部61の間が、ディスク軸方向に貫通しディスク径方向内方に抜ける形状のリセス部81となっている。言い換えれば、リセス部81は、一対の爪本体部61の間に設けられており、爪部57のディスク径方向内側の端部からディスク径方向外側に向けて凹む形状をなしている。さらに言い換えれば、リセス部81は、ディスク径方向内側の端部が開口している。
【0029】
爪部57には、リセス部81が1つ設けられている。キャリパボディ51には、リセス部81が、
図2に示すシリンダ孔71に対向して形成されている。
図3から
図5に示すリセス部81は、
図2に示すシリンダ孔71とディスク周方向およびディスク径方向の位置を重ね合わせてディスク軸方向に対向している。言い換えれば、
図3から
図5に示す爪部57には、
図2に示すシリンダ孔71と対向して、
図3から
図5に示すリセス部81が設けられている。このリセス部81は、対向する
図2に示すシリンダ孔71内を加工する工具が挿通される部分である。キャリパボディ51には、シリンダ孔71の数と同数である一つ、
図3から
図5に示すリセス部81が設けられている。
【0030】
図3に示すように、リセス部81の内面91は、主面部92と、段差面部93と、外側面取り部94と、を有している。
図4に示すように、主面部92は、円筒面状である。
図3に示すように、主面部92は、内面91におけるディスク軸方向の中間部分に形成されている。主面部92は、
図2に示すシリンダ孔71の中心軸線と同軸の円筒面となっている。言い換えれば、
図4に示す主面部92は、ディスク軸方向に沿う円筒面となっている。円筒面状の主面部92の中心軸線をリセス部81の軸線とする。主面部92は、円筒面の半分よりも円周方向に長い。言い換えれば、主面部92は、中心角が180°を超えている。
【0031】
図3に示すように段差面部93は、主面部92のディスク軸方向のシリンダ部55側(
図3における右側)の端縁部から主面部92の径方向の内方に広がる平面状である。段差面部93は、リセス部81の軸線に直交する平面となっている。
外側面取り部94は、主面部92のディスク軸方向の段差面部93とは反対側の端縁部から段差面部93とは反対側に広がるように形成されている。外側面取り部94は、ディスク軸方向において段差面部93とは反対側ほど内径が大径となるテーパ面となっている。外側面取り部94は、主面部92と同軸のテーパ面となっている。
【0032】
リセス部81の内面91は、背側面部96と、
図4に示す一対の端側面部97と、
図5に示す内側面取り部99と、を有している。
図3に示すように、背側面部96は、段差面部93よりもリセス部81の軸方向における主面部92とは反対側にある。背側面部96は、
図4に示すように、略円筒面状をなしている。主面部92は、背側面部96からその径方向外側に向かって凹んでいる。背側面部96は、主面部92と同軸の略円筒面状となっている。
一対の端側面部97は、それぞれが、主面部92のディスク径方向内側の端縁部からディスク径方向内側に広がっている。一対の端側面部97は、いずれも略平面状をなしている。一対の端側面部97は、いずれもリセス部81の軸線に沿っている。言い換えれば、一対の端側面部97は、いずれもディスク軸方向に沿っている。一対の端側面部97は、互いに対向しており、ディスク径方向内側ほど互いの間隔が若干広くなる。主面部92は、一対の端側面部97よりもディスク周方向の両外方まで凹んでいる。
【0033】
図3に示すように、内側面取り部99は、リセス部81の軸方向における背側面部96の主面部92とは反対側の端縁部から爪部57を主面部92とは反対側に抜けて形成されている。内側面取り部99は、背側面部96からリセス部81の軸線方向において主面部92とは反対側に延びる部分が、リセス部81の軸線方向において背側面部96から離れるほど内径が大径となるテーパ面となっている。内側面取り部99は、この部分が主面部92と同軸のテーパ面となっている。
【0034】
リセス部81の内面91は、リセス部81の軸方向における主面部92の中間部から主面部92の径方向における外方に凹む溝101を有している。言い換えれば、リセス部81は、内面91に溝101を有している。溝101は、主面部92に沿っており、全体が弧状をなしている。溝101は、主面部92と同心の円弧状である。言い換えれば、溝101は、リセス部81の軸線を中心とする円弧状である。溝101は、主面部92の円周方向の全体にわたって形成されており、その円周方向における両端が、円周方向の位置を、
図5に示すように一対の端側面部97と重ね合わせている。言い換えれば、溝101は、円周方向の中間部が主面部92の円周方向の全体にわたって形成されており、円周方向の両端部が主面部92よりも一対の端側面部97側に入り込んでいる。溝101も、主面部92と同様に、中心角が180°を超えている。
【0035】
図3に示すように、溝101は、溝底面102と、一対の壁面103,104とを有している。一対の壁面103,104のうちの壁面103は、リセス部81の軸線方向において外側面取り部94側にある。一対の壁面103,104のうちの壁面104は、リセス部81の軸線方向において内側面取り部99側にある。溝底面102は、主面部92と同軸の円筒面状である。言い換えれば、溝底面102は、リセス部81の軸線を中心とする円筒面状である。溝底面102も、中心角が180°を超えている。一対の壁面103,104は、リセス部81の軸線方向における溝底面102の両端縁部から溝底面102の径方向における内方に広がる平面状である。一対の壁面103,104は、いずれも、溝底面102の中心軸線に直交して広がる平面状である。言い換えれば、一対の壁面103,104は、いずれも、主面部92の中心軸線に直交して広がる平面状である。壁面103の主面部92側、言い換えれば壁面103の径方向における内側の端縁部105は、円弧状となっている。端縁部105も、中心角が180°を超えている。溝101は、溝底面102のブリッジ部56とは反対側にある端部同士の間隔が、溝底面102の直径よりも小さくなっている。
【0036】
ここで、
図4に示す外側面取り部94、背側面部96および一対の端側面部97と、
図5に示す内側面取り部99とは、キャリパボディ51の鋳造時に鋳出しされる鋳肌面とすることができる。これに対し、
図3に示す主面部92と、段差面部93と、溝101の溝底面102および一対の壁面103,104とは、鋳造後の切削加工によりキャリパボディ51に形成される切削加工面である。
【0037】
カバー部材14は、
図1から
図3および
図5に示すように、キャリパ13に取り付けられる。カバー部材14は、
図3および
図5に示すように、キャリパボディ51の爪部57に取り付けられる。
図3、
図5および
図6に示すように、カバー部材14は、カバー本体部材111と、プレート112と、を有している。カバー本体部材111とプレート112とは別部品である。
カバー本体部材111は、例えば、アルミニウム合金等の金属製の一体成形品である。カバー本体部材111は、鏡面対称形状をなしている。カバー本体部材111は、主板部121と、突出部124と、を有している。なお、カバー本体部材111は、アルミニウム合金等の金属製に限定されることはなく、合成樹脂等の材料を用いて一体成形しても良い。
【0038】
図6に示すように、主板部121は、略長方形の板状であり、外周部に、長辺縁部131と、長辺縁部132と、一対の短辺縁部133と、を有している。一方の長辺縁部131は、全体的に主板部121の広がる方向において外側に向けて膨らむ円弧状をなしている。また、他方の長辺縁部132は、同一直線上に配置される一対の直線状の端側縁部136と、これらの間にあって主板部121の内側に向けて凹む円弧状の中間縁部137とを有している。主板部121の一対の短辺縁部133は、直線状であり、長辺縁部131と長辺縁部132とを繋いでいる。一対の短辺縁部133は、互いに平行となっている。主板部121は、一定厚さの平板状となっている。
【0039】
突出部124は、主板部121から主板部121に対して垂直に突出している。突出部124は、一対の短辺縁部133からの距離が同等の位置に配置されている。突出部124は、長辺縁部131と長辺縁部132との間の中間位置に配置されている。
突出部124は、外周面150が三つの側面151を有する正三角柱状である。突出部124は、一つの側面151が端側縁部136と平行をなして端側縁部136とは反対に向いている。突出部124は、残り二つの側面151の間の角部が長辺縁部132に指向している。なお、突出部124は、一つの側面151が端側縁部136と平行をなして端側縁部136側にあり、残り二つの側面151の間の角部が長辺縁部131に指向するように形成されていても良い。
【0040】
プレート112は、一枚のバネ鋼板からプレス成形により成形されている。プレート112は、鏡面対称形状をなしている。
図4に示すように、プレート112は、プレート部161と、一対の内側折曲係止片162と、一対の内側折曲係止片163と、一対の外側折曲係止片164と、複数(具体的には3つ)のガイド片165と、複数(具体的には3つ)の固定片166と、延出部167と、突出部168と、を有している。プレート112は、プレート部161と、一対の内側折曲係止片162と、一対の内側折曲係止片163と、一対の外側折曲係止片164と、3つのガイド片165と、3つの固定片166と、延出部167と、突出部168とが、継ぎ目なく成形される一体の部品である。
【0041】
突出部168は、一定厚さの平板状である。
プレート部161は、一定厚さの有孔の平板状である。突出部168は、プレート部161と同一平面状に配置されて、プレート部161からプレート部161の広がる方向において外方に突出する。
プレート部161は、外周部に、一対のいずれも弧状の弧状縁部173と、一対のいずれも直線状の直線状縁部175と、一対のいずれも直線状の直線状縁部176と、直線状の直線状縁部177と、を有している。
【0042】
一対の弧状縁部173は、鏡面対称状であり、互いに反対向きに膨出する形状をなしている。一対の弧状縁部173は、同一の円の一部をそれぞれが構成する。突出部168は、一対の弧状縁部173の相互近接側の端部から一対の弧状縁部173の径方向における外側に向けて突出している。
一対の直線状縁部175は、一対の弧状縁部173の突出部168とは反対側の両端部から突出部168とは反対方向に延出している。一対の直線状縁部175は、鏡面対称状であり、突出部168から離れるほど互いの間隔が広くなる。
一対の直線状縁部176は、一対の直線状縁部175の一対の弧状縁部173とは反対側の両端部から一対の弧状縁部173とは反対方向に延出している。一対の直線状縁部176は、鏡面対称状であり、互いに平行になっている。
直線状縁部177は、一対の直線状縁部176の一対の直線状縁部175とは反対側の端部同士を結んでいる。
【0043】
プレート部161は、内周縁部178が略円形状をなしている。
ガイド片165は、
図5に示すカバー本体部材111の三角柱状の突出部124の外周側の角部と同じ3つ設けられている。
図4に示すように、3つのガイド片165は、プレート部161の内周縁部178からその径方向の内方に突出している。3つのガイド片165は、同形状である。3つのガイド片165は、いずれも、プレート部161の厚さ方向に見て内周縁部178のなす円の中心に向かう形状をなしている。3つのガイド片165は、内周縁部178の円周方向に等間隔で配置されている。言い換えれば、3つのガイド片165は、内周縁部178に120°間隔で配置されている。
【0044】
3つのガイド片165のうちの1つのガイド片165が、内周縁部178のなす円の中心と直線状縁部177の長さ方向の中央とを結ぶ線上に配置されている。このガイド片165は、内周縁部178における直線状縁部177に最も近い位置に配置されている。このガイド片165は、突出部168から最も離れた位置に配置されている。3つのガイド片165のうちの残りの2つのガイド片165は、直線状縁部177から等距離の位置に配置されている。これら2つのガイド片165は、突出部168からも等距離の位置に配置されている。
【0045】
3つのガイド片165は、それぞれ、内側根元板部181と、ガイド板部182と、を有している。
図6に示すように、内側根元板部181は、平板状であり、プレート部161の内周縁部178からプレート部161と同一平面状をなして内周縁部178の径方向における内方に突出している。
ガイド板部182は、平板状であり、隣接する内側根元板部181の突出先端側の端縁部からプレート部161および内側根元板部181に対し傾斜しつつ内周縁部178の径方向における内方に延出している。ガイド板部182は、隣接する内側根元板部181から延出するほど、プレート部161からプレート部161の厚さ方向に離れるように傾斜している。ガイド板部182は、略三角形状をなしている。なお、ガイド板部182は、突出部124と点接触、あるいは線接触となる形状であれば、略三角形状でなくても良い。
図4に示すように、3つのガイド板部182は、いずれも頂点が内周縁部178のなす円の中心に向かう形状をなしている。3つのガイド板部182のそれぞれの突出先端側の頂部は、内周縁部178のなす円の中心を中心とする正三角形の各角位置に配置されている。3つのガイド板部182の頂部の位置関係は、カバー本体部材111の三角柱状の突出部124の外周側の3つの角部の位置関係と同等になっている。
【0046】
プレート部161には、固定片166が、突出部124の側面151と同じ3つ設けられている。
3つの固定片166は、プレート部161の内周縁部178からその径方向の内方に突出している。3つの固定片166は、同形状である。3つの固定片166は、いずれも、プレート部161の厚さ方向に見て内周縁部178のなす円の中心に向かう形状をなしている。3つの固定片166は、3つのガイド片165と、内周縁部178の円周方向に1つずつ交互に配置されている。3つの固定片166は、内周縁部178の円周方向に等間隔で配置されている。言い換えれば、3つの固定片166は、内周縁部178に120°間隔で配置されている。3つの固定片166は、それぞれが内周縁部178の周方向両側にある2つのガイド片165に対し等距離の位置に配置されている。3つの固定片166と3つのガイド片165とは、固定片166およびガイド片165の一つずつが内周縁部178の径方向において対向している。
【0047】
3つの固定片166のうちの1つの固定片166が、プレート部161の内周縁部178のなす円の中心と突出部168の中央とを結ぶ線上に配置されている。この固定片166は、内周縁部178における直線状縁部177から最も離れた位置に配置されている。この固定片166は、内周縁部178における突出部168に最も近い位置に配置されている。3つの固定片166のうちの残り2つの固定片166は、直線状縁部177から等距離の位置に配置されている。これら2つの固定片166は、突出部168からも等距離の位置に配置されている。
【0048】
3つの固定片166は、それぞれ、内側根元板部185と、固定板部186と、を有している。
図6に示すように、内側根元板部185は、平板状であり、プレート部161の内周縁部178からプレート部161と同一平面状をなして内周縁部178の径方向における内方に突出している。
固定板部186は、平板状であり、隣接する内側根元板部185の突出先端側の端縁部からプレート部161および内側根元板部185に対し傾斜しつつ内周縁部178の径方向における内方に延出している。固定板部186は、隣接する内側根元板部185から延出するほど、プレート部161からプレート部161の厚さ方向に離れるように傾斜している。固定板部186は、プレート部161に対して、プレート部161の厚さ方向においてガイド片165のガイド板部182と同側に延出している。固定板部186は、略四角形状をなしている。固定板部186の、隣接する内側根元板部185とは反対側の先端縁部187は、プレート部161と平行な直線状をなしている。
【0049】
3つの固定片166は、プレート部161に対し、その厚さ方向における同側に延出している。3つの固定片166の3つの先端縁部187は、正三角形の各辺をなすように配置されている。3つの先端縁部187により形成される正三角形は、突出部124の3つの側面151のなす正三角形よりも、締め代分、小さくなっている。
以上の形状のプレート部161において、内周縁部178のなす円の中心がその中央部となる。3つの固定片166および3つのガイド片165は、プレート部161の中央側に設けられている。
【0050】
上記したように、プレート112には、一対の内側折曲係止片162、一対の内側折曲係止片163および一対の外側折曲係止片164が設けられている。一対の内側折曲係止片162および一対の内側折曲係止片163は、全て同形状である。一対の外側折曲係止片164は同形状である。一対の外側折曲係止片164は、内側折曲係止片162,163とは異なる形状である。一対の内側折曲係止片162、一対の内側折曲係止片163および一対の外側折曲係止片164は、プレート部161からプレート部161の厚さ方向において、ガイド板部182および固定板部186と同側に延出している。
【0051】
プレート112には、同形状の内側折曲係止片が、1つ以上設けられることになる。プレート112には、具体的には、一対の内側折曲係止片163および一対の外側折曲係止片164の合計4つの同形状の内側折曲係止片が設けられている。プレート112には、同形状の外側折曲係止片が、1つ以上設けられることになる。プレート112には、具体的には、一対の外側折曲係止片164の合計2つの外側折曲係止片が設けられている。プレート112には、係止片が、2つ以上設けられることになる。プレート112には、具体的には、一対の内側折曲係止片162、一対の内側折曲係止片163および一対の外側折曲係止片164の合計6つの係止片が設けられている。
【0052】
一対の内側折曲係止片162のうちの一方の内側折曲係止片162と、一対の内側折曲係止片163のうちの一方の内側折曲係止片163と、一対の外側折曲係止片164のうちの一方の外側折曲係止片164とが、プレート部161の一対の弧状縁部173のうちの一方の弧状縁部173に設けられている。一対の内側折曲係止片162のうちの他方の内側折曲係止片162と、一対の内側折曲係止片163のうちの他方の内側折曲係止片163と、一対の外側折曲係止片164のうちの他方の外側折曲係止片164とが、プレート部161の一対の弧状縁部173のうちの他方の弧状縁部173に設けられている。
【0053】
一対の内側折曲係止片162は、鏡面対称状に配置されている。一対の内側折曲係止片163は、鏡面対称状に配置されている。一対の外側折曲係止片164は、鏡面対称状に配置されている。
図4に示すように、一対の内側折曲係止片162は、プレート部161の内周縁部178のなす円の中心を通り、直線状縁部177に平行な線よりも直線状縁部177側に配置されている。一対の外側折曲係止片164は、プレート部161の内周縁部178のなす円の中心を通り、直線状縁部177に平行な線よりも突出部168側に配置されている。一対の内側折曲係止片163は、一対の外側折曲係止片164よりも、さらに突出部168側に配置されている。
【0054】
一対の外側折曲係止片164は、プレート部161の内周縁部178の円周方向において、一対の内側折曲係止片162と一対の内側折曲係止片163との間に配置されている。そして、一対の外側折曲係止片164と一対の内側折曲係止片162との間隔は、一対の外側折曲係止片164と一対の内側折曲係止片163との間隔と同等になっている。
【0055】
図6に示すように、内側折曲係止片162,163は、それぞれ、外側根元板部191と、中間板部192と、先端板部193と、を有している。
内側折曲係止片162,163のそれぞれの外側根元板部191は、平板状であり、プレート部161と同一平面状に配置されている。同じ一つの弧状縁部173に設けられた内側折曲係止片162,163は、それぞれの外側根元板部191が、この弧状縁部173から、この弧状縁部173の径方向における外方に延出している。
【0056】
内側折曲係止片162,163のそれぞれの中間板部192は、平板状である。それぞれの中間板部192は、隣接する外側根元板部191の延出先端側の端縁部からプレート部161の厚さ方向における一側に延出している。同じ一つの弧状縁部173に設けられた内側折曲係止片162,163のそれぞれの中間板部192は、プレート部161の厚さ方向においてプレート部161から離れるほど、この弧状縁部173の径方向において外側に位置するように傾斜している。
全ての内側折曲係止片162,163は、全ての中間板部192が全体として、プレート部161の厚さ方向においてプレート部161から離れるほど拡径する形状をなしている。中間板部192は、隣接する外側根元板部191とのなす角の角度が鈍角であり、90°より大きく135°より小さい角度となっている。
【0057】
内側折曲係止片162,163のそれぞれの先端板部193は、平板状である。それぞれの先端板部193は、隣接する中間板部192の、これに隣接する外側根元板部191とは反対側の端縁部からプレート部161の厚さ方向においてプレート部161とは反対側に延出している。同じ一つの弧状縁部173に設けられた内側折曲係止片162,163のそれぞれの先端板部193は、プレート部161の厚さ方向においてプレート部161から離れるほど、この弧状縁部173の径方向における内側に位置するように傾斜している。
全ての内側折曲係止片162,163は、全ての先端板部193が全体として、プレート部161の厚さ方向においてプレート部161から離れるほど縮径する形状をなしている。隣接する先端板部193と中間板部192とのなす角は、鈍角となっている。
【0058】
内側折曲係止片162,163は、それぞれ、中間板部192の隣接する先端板部193側の部分と、この先端板部193とが、先端係合部194を構成している。先端係合部194は、プレート部161の広がる方向においてプレート部161側に折り曲げられた形状をなしている。
【0059】
内側折曲係止片162,163は、それぞれの中間板部192と、これと隣接する先端板部193との間の凸側の境界部195が直線状となっている。境界部195は、先端係合部194に設けられている。全ての内側折曲係止片162,163の全ての境界部195は、同一円に対する接線となるように配置されている。全ての内側折曲係止片162,163の全ての境界部195は、それぞれの延在方向の両端部が、全て同一円上に配置されるようになっている。この円の中心は、内周縁部178のなす円の中心軸線上に配置されている。全ての内側折曲係止片162,163の全ての境界部195の両端部を通る円の直径は、
図3に示すリセス部81の溝101の端縁部105の直径よりも大径となっている。言い換えれば、
図6に示す全ての内側折曲係止片162,163の全ての境界部195の両端部を通る円の直径は、
図3および
図4に示す主面部92の直径よりも大径となっている。また、
図6に示す全ての内側折曲係止片162,163の全ての先端板部193の延出先端の縁部は、同一円に対する接線となるように配置されている。
【0060】
外側折曲係止片164は、外側根元板部201と、中間板部202と、先端板部203とを有している。
外側折曲係止片164の外側根元板部201は、平板状であり、プレート部161と同一平面状に配置されている。外側折曲係止片164は、その外側根元板部201が、この外側折曲係止片164が設けられた弧状縁部173から、この弧状縁部173の径方向における外方に延出している。
【0061】
外側折曲係止片164の中間板部202は、平板状である。中間板部202は、隣接する外側根元板部201の延出先端側の端縁部からプレート部161の厚さ方向における一側に延出している。外側折曲係止片164の中間板部202は、プレート部161の厚さ方向においてプレート部161から離れるほど、この外側折曲係止片164が設けられた弧状縁部173の径方向における外側に位置するように傾斜している。
全ての外側折曲係止片164は、全ての中間板部202が全体として、プレート部161の厚さ方向においてプレート部161から離れるほど拡径する形状をなしている。外側折曲係止片164の中間板部202は、隣接する外側根元板部201とのなす角の角度が、鈍角である。外側折曲係止片164の中間板部202は、隣接する外側根元板部201とのなす角の角度が、内側折曲係止片162,163のそれぞれの中間板部192が隣接する外側根元板部191とのなす角の角度よりも小さくなっている。
【0062】
外側折曲係止片164の先端板部203は、平板状である。外側折曲係止片164の先端板部203は、隣接する中間板部202の、これに隣接する外側根元板部201とは反対側の端縁部から、この外側折曲係止片164が設けられた弧状縁部173の径方向における外側、かつ、プレート部161の厚さ方向におけるプレート部161側に延出している。
外側折曲係止片164の先端板部203は、プレート部161の厚さ方向においてプレート部161に近づくほど、この外側折曲係止片164が設けられた弧状縁部173の径方向における外側に位置するように傾斜している。
全ての外側折曲係止片164は、全ての先端板部203が全体として、プレート部161の厚さ方向においてプレート部161に近づくほど拡径する形状をなしている。隣接する先端板部203と中間板部202とのなす角は、鋭角となっている。
【0063】
外側折曲係止片164は、中間板部202の、これと隣接する先端板部203側の部分と、この先端板部203とが先端係合部204を構成している。先端係合部204は、プレート部161の広がる方向においてプレート部161とは反対側に折り曲げられた形状をなしている。
外側折曲係止片164は、先端板部203の、隣接する中間板部202とは反対側の先端縁部205が直線状となっている。先端縁部205は、先端係合部204に設けられている。全ての外側折曲係止片164の全ての先端縁部205は、同一円に対する接線となるように配置されている。この円の中心は、内周縁部178のなす円の中心軸線上に配置されている。全ての外側折曲係止片164の全ての先端縁部205の両端部が通る円の直径は、
図3に示すリセス部81の溝101の端縁部105の直径よりも大径となっている。言い換えれば、
図6に示す全ての外側折曲係止片164の全ての先端縁部205の両端部が通る円の直径は、
図3および
図4に示す主面部92の直径よりも大径となっている。
【0064】
図6に示すように、延出部167は、ガード板部211と、一対の係止部212と、を有している。よって、係止部212は、1つのプレート部161に対して2つ設けられている。
延出部167は、プレート部161の直線状縁部177に設けられている。延出部167は、そのガード板部211が、プレート部161の直線状縁部177から延出している。ガード板部211は、略矩形の平板状である。ガード板部211は、プレート部161の直線状縁部177に沿って広がっている。ガード板部211は、直線状縁部177からプレート部161に対して垂直に広がっている。ガード板部211は、プレート部161からプレート部161の厚さ方向において、一対の内側折曲係止片162、一対の内側折曲係止片163および一対の外側折曲係止片164と同側に延出している。
【0065】
一対の係止部212は同形状である。一対の係止部212は、直線状縁部177の延びる方向におけるガード板部211の両端縁部に設けられている。一対の係止部212は、プレート部161の厚さ方向においてガード板部211のプレート部161とは反対側の部分に設けられている。一対の係止部212は、いずれも矩形の平板状である。一対の係止部212は、鏡面対称状に配置されている。一対の係止部212は、ガード板部211の厚さ方向において、ガード板部211から内側折曲係止片162,163および外側折曲係止片164の側に延出している。
【0066】
一対の係止部212は、それぞれのプレート部161との境界線が、プレート部161の厚さ方向においてプレート部161から離れるほど、直線状縁部177の延びる方向において近づくようになっている。
また、一対の係止部212は、ガード板部211の厚さ方向においてガード板部211から離れるほど、互いに直線状縁部177の延びる方向の距離が大きくなる。言い換えれば、一対の係止部212は、それぞれが、ガード板部211に対して同等の鈍角をなしている。
【0067】
プレート112が
図4等に示すキャリパボディ51に組み付けられる前の状態では、一対の係止部212は、
図6に示すプレート部161の厚さ方向においてプレート部161から最も離れた位置の最大間隔が、
図4に示すキャリパボディ51の一対の端側面部97の最小距離よりも小さい。これにより、一対の係止部212は、プレート部161から最も離れた位置を先頭とした一対の端側面部97間への挿入が容易となる。なお、一対の係止部212は、一対の端側面部97間への挿入後には、
図4に示すように一対の端側面部97に当接する。その際に、一対の係止部212は互いに近づく方向に弾性変形する。
【0068】
図6に示すように、カバー本体部材111の突出部124に、プレート112が嵌合される。これにより、カバー本体部材111にプレート112が固定されてカバー部材14となる。すなわち、プレート112は、プレート部161が嵌合方向の先頭となる姿勢とされて、3つの固定片166を弾性変形させながら突出部124に嵌合される。その際に、プレート112は、突出部168が、カバー本体部材111の長辺縁部131および長辺縁部132のうちの長辺縁部131側に向いて配置されると共に、直線状縁部177が、長辺縁部131および長辺縁部132のうちの長辺縁部132側に配置される姿勢とされる。また、その際に、プレート112は、直線状縁部177およびガード板部211が、長辺縁部132の端側縁部136と平行になる姿勢とされる。また、その際に、プレート112は、3つの固定片166が、それぞれの先端縁部187を、突出部124の3つの側面151のうちの対応する1つに線接触で接触させる。それと共に、プレート112は、3つのガイド片165が、3つのガイド板部182で、突出部124の外周面150の3つの角部に案内されて移動する。そして、プレート112は、プレート部161を主板部121に当接させるまで突出部124に嵌合される。すると、プレート112は、3つの先端縁部187が、それぞれ、一方の突出部124の3つの側面151のうちの対応する1つに締め代をもって線接触で当接することになる。これにより、プレート112は、3つの固定片166の弾性力により、カバー本体部材111に係止されて固定される。よって、プレート112は、プレート部161を主板部121に面接触させた状態でカバー本体部材111に固定される。
【0069】
このようにして、カバー本体部材111にプレート112が固定されてカバー部材14となる。この状態で、プレート112は、一対の内側折曲係止片162、一対の内側折曲係止片163、一対の外側折曲係止片164および延出部167が、カバー本体部材111の主板部121から突出部124と同側に延出する。
【0070】
そして、このカバー部材14が、
図1から
図3および
図5に示すように、キャリパ13に組み付けられる。具体的には、カバー部材14は、
図3および
図5に示すように、キャリパボディ51の爪部57に組み付けられる。その際に、カバー部材14は、爪部57に、リセス部81の軸線方向に沿って、
図1に示すシリンダ部55とは反対側から組み付けられる。
爪部57に組み付けられる際に、カバー部材14は、
図6に示すプレート112の一対の内側折曲係止片162、一対の内側折曲係止片163、一対の外側折曲係止片164および延出部167を組み付け方向の先頭にし、カバー本体部材111の主板部121を組み付け方向の後部にする姿勢とされる。それと共に、カバー部材14は、プレート112の内周縁部178の中心が、ほぼリセス部81の軸線上に位置し、かつ、プレート112において延出部167が、根元部60から最も離れた位置に位置する姿勢とされる。
【0071】
この状態で、カバー部材14がリセス部81の軸線方向に沿ってリセス部81側に移動させられる。すると、カバー部材14は、まず、プレート112の延出部167の一対の係止部212が、リセス部81に挿入される。一対の係止部212は、カバー部材14のリセス部81側への移動が進むと、一対の端側面部97のシリンダ部55とは反対側の端縁部に当接する。一対の係止部212は、カバー部材14のリセス部81側への移動がさらに進むと、それぞれの傾斜により相互近接側に弾性変形しながら、リセス部81の一対の端側面部97に乗り上げることになる。これにより、一対の係止部212は、リセス部81の一対の端側面部97に締め代をもって当接する。
【0072】
上記のように一対の係止部212のリセス部81への挿入が開始された後、カバー部材14のリセス部81側への移動が進むと、プレート112は、一対の内側折曲係止片162および一対の内側折曲係止片163が、それぞれ先端板部193においてリセス部81の外側面取り部94に当接する。それと共に、プレート112は、一対の外側折曲係止片164が、それぞれ先端板部203において、リセス部81の外側面取り部94に当接する。
【0073】
カバー部材14のリセス部81側への移動がさらに進むと、プレート112は、一対の内側折曲係止片162および一対の内側折曲係止片163が、それぞれ外側面取り部94の傾斜および先端板部193の傾斜により突出部124側に弾性変形しながら、境界部195においてリセス部81の主面部92に乗り上げることになる。それと共に、プレート112は、一対の外側折曲係止片164が、それぞれ外側面取り部94の傾斜および先端板部203の傾斜により突出部124側に弾性変形しながら、先端縁部205において、このリセス部81の主面部92に乗り上げることになる。
【0074】
カバー部材14のリセス部81側への移動がさらに進むと、プレート112は、一対の内側折曲係止片162および一対の内側折曲係止片163のそれぞれの境界部195が、リセス部81の溝101の位置に至ることになる。すると、一対の内側折曲係止片162および一対の内側折曲係止片163がそれぞれ弾性変形を少し戻すことになる。これにより、一対の内側折曲係止片162および一対の内側折曲係止片163は、それぞれの先端係合部194が中間板部192において、この溝101の壁面103の主面部92側の端縁部105に当接する。このとき、これら一対の内側折曲係止片162および一対の内側折曲係止片163は、それぞれ境界部195が、この壁面103と、この壁面103の径方向における位置を重ね合わせる。また、このとき、これら一対の内側折曲係止片162および一対の内側折曲係止片163のそれぞれの弾性力によって、それぞれの先端係合部194が中間板部192において、リセス部81の溝101の端縁部105に押し付けられて当接する。
【0075】
上記と並行して、このプレート112は、一対の外側折曲係止片164のそれぞれの先端縁部205が、リセス部81の溝101の位置に至ることになり、よって、これら一対の外側折曲係止片164が弾性変形を少し戻すことになる。すると、一対の外側折曲係止片164のそれぞれの先端縁部205が、この溝101内に入り込んで、この溝101の壁面103にディスク軸方向に対向し当接する。言い換えれば、これら一対の外側折曲係止片164は、それぞれの先端縁部205が、この壁面103と、この壁面103の径方向における位置を重ね合わせる。また、このとき、これら外側折曲係止片164のそれぞれの弾性力によって、それぞれの先端縁部205が、リセス部81の溝101の溝底面102に押し付けられて当接する。
【0076】
ここで、プレート112の一対の外側折曲係止片164の先端縁部205が溝101内に入り込んで壁面103に当接するのと同時に、カバー本体部材111が、主板部121においてキャリパ13のブリッジ部56および爪部57に当接して停止する。このようにして、カバー部材14がキャリパ13に取り付けられる。このようにキャリパ13に組み付けられた組付状態で、カバー部材14は、一対の係止部212がリセス部81の一対の端側面部97に締め代をもって当接する。
【0077】
組付状態のカバー部材14は、
図5に示すように、カバー本体部材111がリセス部81を、ディスク軸方向のシリンダ部55とは反対の外側から覆うことになる。すなわち、カバー本体部材111は、リセス部81に対して、主板部121がディスク周方向およびディスク径方向の位置を重ね合わせることになる。また、この組付状態で、カバー部材14は、プレート112のプレート部161が、リセス部81をリセス部81の軸方向、言い換えればシリンダ孔71の軸方向から覆うことになる。その際に、プレート部161は、リセス部81をディスク軸方向のシリンダ部55とは反対側で覆うことになる。すなわち、プレート112は、リセス部81に対して、プレート部161がディスク周方向およびディスク径方向の位置を重ね合わせることになる。この組付状態で、カバー部材14は、プレート112が、カバー本体部材111をキャリパ13に固定する。
【0078】
組付状態のカバー部材14は、一対の内側折曲係止片162および一対の内側折曲係止片163が、弾性力により、それぞれの先端係合部194において、境界部195を溝101内に入り込ませ、中間板部192を溝101の端縁部105に当接させた状態に維持する。
ここで、組付状態のカバー部材14は、プレート112の一対の内側折曲係止片162および一対の内側折曲係止片163の全ての中間板部192が全体として、主板部121から離れるほど大径となるように傾斜している。このため、一対の内側折曲係止片162および一対の内側折曲係止片163の弾性力が、主板部121をブリッジ部56および爪部57に当接させる方向の成分を発生させることになる。その結果、組付状態のカバー部材14は、プレート112が、カバー本体部材111の主板部121をブリッジ部56および爪部57に弾性力をもって当接、言い換えれば密着させる。
【0079】
組付状態のカバー部材14は、プレート112の一対の外側折曲係止片164が、爪部57からシリンダ部55とは反対に離れる方向の移動を、爪部57の係合先の溝101の壁面103に当接して規制する。
組付状態のカバー部材14のプレート112は、プレート部161から内側折曲係止片162,163が、シリンダ孔71の軸方向において、シリンダ孔71に近づくように延出している。組付状態のカバー部材14のプレート112は、内側折曲係止片162,163の先端係合部194が、シリンダ孔71の径方向における内側に折り曲げられている。組付状態のカバー部材14のプレート112は、内側折曲係止片162,163の先端係合部194が、中間板部192において、溝101の端縁部105に当接する。
【0080】
組付状態のカバー部材14のプレート112は、プレート部161から外側折曲係止片164が、シリンダ孔71の軸方向に、シリンダ孔71に近づくように延出している。組付状態のカバー部材14のプレート112は、外側折曲係止片164の先端係合部204が、シリンダ孔71の径方向における外側に折り曲げられている。組付状態のカバー部材14のプレート112は、外側折曲係止片164の先端係合部204が、先端縁部205において、溝101の壁面103に当接する。
【0081】
組付状態のカバー部材14において、プレート部161の内周縁部178の中心を通り径方向基準線に沿う軸線を第1軸線とし、この第1軸線に直交し、内周縁部178の中心を通る軸線であってディスク軸線に直交する方向に延びる軸線を第2軸線とする。すると、組付状態のカバー部材14のプレート112は、ディスク軸方向から見て、一対の内側折曲係止片162が、互いに第1軸線を挟んで配置され、かつ第2軸線の方向から見て互いに重なるように配置されている。また、組付状態のカバー部材14のプレート112は、ディスク軸方向から見て、一対の内側折曲係止片163が、互いに第1軸線を挟んで配置され、かつ第2軸線の方向から見て互いに重なるように配置されている。また、組付状態のカバー部材14のプレート112は、ディスク軸方向から見て、一対の外側折曲係止片164が、互いに第1軸線を挟んで配置され、かつ第2軸線の方向から見て互いに重なるように配置されている。
【0082】
また、組付状態のカバー部材14のプレート112は、ディスク軸方向から見て、一対の内側折曲係止片162が、第1軸線の方向において、プレート部161の内周縁部178の中心よりブリッジ部56とは反対側に配置されている。また、組付状態のカバー部材14のプレート112は、ディスク軸方向から見て、一対の内側折曲係止片163が、第1軸線の方向において、プレート部161の内周縁部178の中心よりブリッジ部56の側に配置されている。また、組付状態のカバー部材14のプレート112は、ディスク軸方向から見て、一対の外側折曲係止片164が、第1軸線の方向において、そのプレート部161の内周縁部178の中心よりブリッジ部56の側に配置されている。
【0083】
また、組付状態のカバー部材14のカバー本体部材111は、主板部121からシリンダ孔71の軸方向にシリンダ孔71に近づくように延出する突出部124を備えている。組付状態のカバー部材14のプレート112は、そのプレート部161の中央側に、突出部124の外周面150に当接する複数のガイド片165および複数の固定片166が設けられている。
また、組付状態のカバー部材14は、プレート112の複数の内側折曲係止片162,163および外側折曲係止片164が、プレート部161からシリンダ孔71の軸方向、言い換えれば、ピストン72の移動方向に対して傾いた方向に延出する。
【0084】
また、組付状態で、カバー部材14は、プレート112の内側折曲係止片162,163および外側折曲係止片164が、リセス部81の内面91に弾性力をもって当接する。
また、組付状態で、カバー部材14は、プレート112の内側折曲係止片162,163および外側折曲係止片164が、リセス部81の溝101に当接する。
また、組付状態のカバー部材14は、カバー本体部材111が、少なくとも、プレート112が固定される突出部124よりもディスク径方向外方でブリッジ部56に当接する。
【0085】
また、組付状態で、カバー部材14は、プレート112の一対の係止部212が、プレート部161がリセス部81の軸線に対して回転方向に移動することを規制する。すなわち、プレート112は、一対の係止部212のうちの一方の係止部212がリセス部81の一対の端側面部97のうちの一方の端側面部97に当接する。これにより、プレート112は、プレート部161がリセス部81の軸線に対して回転方向一側に移動することを規制する。それと共に、プレート112は、一対の係止部212のうちの他方の係止部212がリセス部81の一対の端側面部97のうちの他方の端側面部97に当接する。これにより、プレート112は、プレート部161がリセス部81の軸線に対して回転方向他側に移動することを規制する。このようにして、プレート112の一対の係止部212が、プレート部161がリセス部81の軸線に対して回転方向に移動することを規制する。言い換えれば、一対の係止部212は、リセス部81の一対の端側面部97に当接することで、プレート部161がリセス部81の軸線に対して回転方向に移動することを規制する。さらに言い換えれば、一対の係止部212は、リセス部81の一対の端側面部97に当接することで、リセス部81の軸線を中心としたプレート112の回転、ひいてはカバー部材14の回転を規制する。
また、組付状態で、カバー部材14は、ガード板部211が、リセス部80をディスク径方向内方から覆う。
【0086】
ディスクブレーキ10には、図示略のブレーキ配管を介して、キャリパ13のシリンダ部55のシリンダ孔71にブレーキ液が導入される。すると、シリンダ孔71において、ピストン72にブレーキ液圧が作用する。その結果、ピストン72が、ディスク11側に前進する。すると、ピストン72は、摩擦パッド17,18のうち、ピストン72とディスク11との間に配置されたインナ側の摩擦パッド17をディスク11に向かって押圧する。これにより、この摩擦パッド17が、ディスク軸方向に移動してディスク11のインナ側の面に接触する。言い換えれば、シリンダ部55のシリンダ孔71には、摩擦パッド17,18のうちのインナ側の摩擦パッド17を移動させるピストン72が配置されている。
【0087】
また、この押圧の反力で、キャリパボディ51が取付部材12に対しスライドピン47をスライドさせてディスク軸方向に移動する。すると、キャリパボディ51の爪部57が、摩擦パッド17,18のうち、爪部57とディスク11との間に配置されたアウタ側の摩擦パッド18をディスク11に向かって押圧する。これにより、この摩擦パッド18が、ディスク軸方向に移動してディスク11のアウタ側の面に接触する。
【0088】
このようにして、キャリパ13は、ピストン72の作動により、ピストン72と爪部57とで摩擦パッド17,18を両側から挟持してディスク11の両面に押圧する。その結果、キャリパ13は、ディスク11に摩擦抵抗を付与して、制動力を発生させる。キャリパ13は、フローティング型キャリパであり、フィスト型キャリパである。
【0089】
上記特許文献1に記載のディスクブレーキは、キャリパにおいて、組み付け部品の脱着性を向上させるために、組み付け部品に爪部を設けてキャリパに係止させる構造になっている。このディスクブレーキでは、シムを、爪部を用いてアウタパッドの裏板に組み付けることで、シムの回転方向の移動を規制するようになっている。ところで、デザイン性を向上させること等を目的として、キャリパにカバー部材を設けることがある。このような場合に、カバー部材をキャリパに対して適正な状態に維持することが望まれる。
【0090】
第1実施形態のディスクブレーキ10は、リセス部81をシリンダ孔71の軸方向から覆うプレート部161と、プレート部161がリセス部81の軸線に対して回転方向に移動することを規制する係止部212と、を有するカバー部材14を備える。また、第1実施形態のプレート112は、リセス部81をシリンダ孔71の軸方向から覆うプレート部161と、プレート部161がリセス部81の軸線に対して回転方向に移動することを規制する係止部212と、を有する。よって、ディスクブレーキ10およびプレート112は、カバー部材14がリセス部81の軸線に対して回転方向に移動することを規制することができる。したがって、ディスクブレーキ10およびプレート112は、カバー部材14を適正な状態に維持することができる。
【0091】
また、ディスクブレーキ10は、係止部212が、リセス部81に当接することで、プレート部161がリセス部81の軸線に対して回転方向に移動することを規制する。よって、ディスクブレーキ10は、プレート部161および係止部212を含むプレート112を小型化することが可能になる。
また、ディスクブレーキ10は、プレート部161と係止部212とが一体の部品である。よって、ディスクブレーキ10は、部品点数の増大およびコストの増大を抑制することができる。
また、ディスクブレーキ10は、係止部212が、1つのプレート部161に対して2つ設けられている。よって、ディスクブレーキ10は、各係止部212で荷重を分担して受けることができ、係止部212の耐久性を向上させることができる。
【0092】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態を、主に
図7から
図9に基づいて第1実施形態との相違部分を中心に説明する。なお、第1実施形態と共通する部位については、同一称呼、同一の符号で表す。
【0093】
図7に示すように、第2実施形態のディスクブレーキ10Aは、カバー部材14とは一部異なるカバー部材14Aを、カバー部材14に代えて有している。
カバー部材14Aは、プレート112とは一部異なるプレート112Aを、プレート112に代えて有している。
【0094】
プレート112Aも、一枚のバネ鋼板からプレス成形により成形されている。プレート112Aも、鏡面対称形状をなしている。プレート112Aは、プレート部161とは一部異なるプレート部161Aを有している。
【0095】
図8に示すように、プレート部161Aは、一対の直線状縁部175および一対の直線状縁部176に代えて一対の直線状縁部175Aを有している。
一対の直線状縁部175Aは、一対の弧状縁部173の突出部168とは反対側の両端部から突出部168とは反対方向に延出している。一対の直線状縁部175Aは、鏡面対称状であり、互いに平行になっている。
図9に示すように、プレート112Aは、延出部167に代えてガード板部211Aを有している。ガード板部211Aは、直線状縁部177に設けられており、ガード板部211と同様の形状である。
【0096】
プレート112Aは、一対の係止部212Aを有している。一対の係止部212Aは同形状である。一対の係止部212Aは、プレート部161Aから、一対の内側折曲係止片162、一対の内側折曲係止片163および一対の外側折曲係止片164と同側に延出している。
図8に示すように、一対の係止部212Aのうちの一方の係止部212Aは、一対の直線状縁部175Aのうちの一方の直線状縁部175Aに設けられている。一対の係止部212Aのうちの他方の係止部212Aは、一対の直線状縁部175Aのうちの他方の直線状縁部175Aに設けられている。一対の係止部212Aは、プレート112Aにおいてガード板部211Aとは離れた位置に設けられている。
一対の係止部212Aは、鏡面対称状に配置されている。
図9に示すように、一対の係止部212Aは、一対の内側折曲係止片162とガード板部211Aとの間に配置されている。
【0097】
係止部212Aは、外側根元板部231Aと、中間板部232Aと、先端板部233Aと、を有している。外側根元板部231Aは、平板状であり、プレート部161Aと同一平面状に配置されている。外側根元板部231Aは、これが設けられた直線状縁部175Aから、直線状縁部175Aに垂直をなして、プレート部161Aの広がる方向において外側に延出している。
【0098】
係止部212Aの中間板部232Aは、平板状である。中間板部232Aは、隣接する外側根元板部231Aの延出先端側の端縁部からプレート部161Aの厚さ方向における一側に延出している。中間板部232Aは、プレート部161Aの厚さ方向においてプレート部161Aから離れるほど、プレート部161Aの広がる方向においてプレート部161Aとは反対側に位置するように傾斜している。一対の係止部212Aは、それぞれの中間板部232A同士が、プレート部161Aの厚さ方向においてプレート部161Aから離れるほど間隔が広がる形状をなしている。中間板部232Aは、隣接する外側根元板部231Aとのなす角の角度が鈍角となっている。
【0099】
係止部212Aの先端板部233Aは、平板状である。先端板部233Aは、隣接する中間板部232Aの、これに隣接する外側根元板部231Aとは反対側の端縁部からプレート部161Aの厚さ方向においてプレート部161Aとは反対側に延出している。先端板部233Aは、プレート部161Aの厚さ方向においてプレート部161Aから離れるほど、プレート部161Aの広がる方向においてプレート部161A側に位置するように傾斜している。一対の係止部212Aは、それぞれの先端板部233A同士が、プレート部161Aの厚さ方向においてプレート部161Aから離れるほど間隔が狭まる形状をなしている。先端板部233Aは、隣接する中間板部232Aとのなす角の角度が鈍角となっている。
【0100】
係止部212Aは、中間板部232Aと、これと隣接する先端板部233Aとの間の凸側の境界部235Aが直線状となっている。一対の係止部212Aのそれぞれの境界部235Aは、互いに平行であり、直線状縁部175Aに平行である。
プレート112Aは、プレート部161Aと、一対の内側折曲係止片162と、一対の内側折曲係止片163と、一対の外側折曲係止片164と、3つのガイド片165と、3つの固定片166と、突出部168と、ガード板部211Aと、一対の係止部212Aとが、継ぎ目なく成形される一体の部品である。
【0101】
プレート112Aが、
図7に示すキャリパボディ51に組み付けられる前の状態では、一対の係止部212Aは、
図9に示す直線状縁部177の延びる方向における先端板部233Aの外側同士の最小間隔が、
図8に示すキャリパボディ51の一対の端側面部97間の最小距離よりも小さい。これにより、一対の係止部212Aは、プレート部161Aからプレート部161Aの厚さ方向における最も離れた位置を先頭とした一対の端側面部97間への挿入が容易となる。なお、一対の係止部212Aは、一対の端側面部97間への挿入後には、
図7に示すように、一対の端側面部97に当接する。その際に、一対の係止部212Aは、互いに近づく方向に弾性変形する。
【0102】
図9に示すように、カバー本体部材111の突出部124に、プレート112Aが、第1実施形態と同様に3つの固定片166および3つのガイド片165で嵌合される。これにより、カバー本体部材111にプレート112Aが固定されてカバー部材14Aとなる。この状態で、プレート112Aは、一対の内側折曲係止片162、一対の内側折曲係止片163、一対の外側折曲係止片164、ガード板部211Aおよび一対の係止部212Aが、カバー本体部材111の主板部121から突出部124と同側に延出する。
【0103】
そして、このカバー部材14Aが、
図7に示すように、キャリパボディ51の爪部57に組み付けられる。その際に、カバー部材14Aは、爪部57に、リセス部81の軸線方向に沿って、シリンダ部55(
図1参照)とは反対側から組み付けられる。
爪部57に組み付けられる際に、カバー部材14Aは、プレート112Aの一対の内側折曲係止片162、一対の内側折曲係止片163、一対の外側折曲係止片164および一対の係止部212Aを組み付け方向の先頭にし、カバー本体部材111の主板部121を組み付け方向の後部にする姿勢とされる。それと共に、カバー部材14Aは、プレート112Aの内周縁部178の中心が、ほぼリセス部81の軸線上に位置し、かつ、プレート112Aにおいてガード板部211Aが、根元部60から最も離れた位置に位置する姿勢とされる。
【0104】
この状態で、カバー部材14Aがリセス部81の軸線方向に沿ってリセス部81側に移動させられる。すると、カバー部材14Aは、まず、プレート112Aの一対の係止部212Aが、先端板部233Aにおいてリセス部81に挿入される。一対の係止部212Aは、カバー部材14Aのリセス部81側への移動が進むと、それぞれの先端板部233Aにおいて一対の端側面部97のシリンダ部55(
図1参照)とは反対側の端縁部に当接する。一対の係止部212Aは、カバー部材14Aのリセス部81側への移動がさらに進むと、先端板部233Aのそれぞれの傾斜により相互近接側に弾性変形しながら、リセス部81の一対の端側面部97に乗り上げることになる。これにより、一対の係止部212Aは、
図8に示すように、それぞれの境界部235Aがリセス部81の一対の端側面部97に締め代をもって当接する。
【0105】
上記のように一対の係止部212Aのリセス部81への挿入が開始された後、カバー部材14Aのリセス部81側への移動が進むと、プレート112Aは、一対の内側折曲係止片162、一対の内側折曲係止片163および一対の外側折曲係止片164が、第1実施形態と同様にして、リセス部81の
図7に示す溝101に係合する。それと共に、カバー本体部材111が、主板部121においてキャリパ13のブリッジ部56および爪部57に当接して停止する。
【0106】
このようにして、カバー部材14Aがキャリパ13に取り付けられる。このようにキャリパ13に組み付けられた組付状態で、カバー部材14Aは、一対の係止部212Aがリセス部81の一対の端側面部97に締め代をもって当接する。すなわち、一対の係止部212Aのうちの一方の係止部212Aが、一対の端側面部97のうちの一方の端側面部97に締め代をもって当接する。それと共に、一対の係止部212Aのうちの他方の係止部212Aが、一対の端側面部97のうちの他方の端側面部97に締め代をもって当接する。
【0107】
組付状態で、カバー部材14Aは、プレート112Aの一対の係止部212Aが、プレート部161Aがリセス部81の軸線に対して回転方向に移動することを規制する。すなわち、プレート112Aは、一対の係止部212Aのうちの一方の係止部212Aがリセス部81の一対の端側面部97のうちの一方の端側面部97に当接する。これにより、プレート部161Aがリセス部81の軸線に対して回転方向一側に移動することを規制する。それと共に、プレート112Aは、一対の係止部212Aのうちの他方の係止部212Aがリセス部81の一対の端側面部97のうちの他方の端側面部97に当接する。これにより、プレート部161Aがリセス部81の軸線に対して回転方向他側に移動することを規制する。このようにして、プレート112Aの一対の係止部212Aが、プレート部161Aがリセス部81の軸線に対して回転方向に移動することを規制する。言い換えれば、一対の係止部212Aは、リセス部81の一対の端側面部97に当接することで、プレート部161Aがリセス部81の軸線に対して回転方向に移動することを規制する。さらに言い換えれば、一対の係止部212Aは、リセス部81の一対の端側面部97に当接することで、リセス部81の軸線を中心としたプレート112Aの回転、ひいてはカバー部材14Aの回転を規制する。
【0108】
第2実施形態のディスクブレーキ10Aは、リセス部81をシリンダ孔71(
図2参照)の軸方向から覆うプレート部161Aと、プレート部161Aがリセス部81の軸線に対して回転方向に移動することを規制する係止部212Aと、を有するカバー部材14Aを備える。また、第2実施形態のプレート112Aは、リセス部81をシリンダ孔71(
図2参照)の軸方向から覆うプレート部161Aと、プレート部161Aがリセス部81の軸線に対して回転方向に移動することを規制する係止部212Aと、を有する。よって、ディスクブレーキ10Aおよびプレート112Aは、カバー部材14Aがリセス部81の軸線に対して回転方向に移動することを規制することができる。したがって、ディスクブレーキ10Aおよびプレート112Aは、カバー部材14Aを適正な状態に維持することができる。
【0109】
また、ディスクブレーキ10Aは、係止部212Aが、リセス部81に当接することで、プレート部161Aがリセス部81の軸線に対して回転方向に移動することを規制する。よって、ディスクブレーキ10Aは、プレート部161Aおよび係止部212Aを含むプレート112Aを小型化することが可能になる。
また、ディスクブレーキ10Aは、プレート部161Aと係止部212Aとが一体の部品である。よって、ディスクブレーキ10Aは、部品点数の増大およびコストの増大を抑制することができる。
また、ディスクブレーキ10Aは、係止部212Aが、1つのプレート部161Aに対して2つ設けられている。よって、ディスクブレーキ10Aは、各係止部212Aで荷重を分担して受けることができ、係止部212Aの耐久性を向上させることができる。
【0110】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態を、主に
図10から
図12に基づいて第1実施形態との相違部分を中心に説明する。なお、第1実施形態と共通する部位については、同一称呼、同一の符号で表す。
【0111】
図10に示す第3実施形態のディスクブレーキ10Bは、キャリパ13とは一部異なるキャリパ13Bを、キャリパ13に代えて有している。
キャリパ13Bは、キャリパボディ51とは一部異なるキャリパボディ51Bを、キャリパボディ51に代えて有している。
キャリパボディ51Bは、爪部57Bが爪部57とは一部異なっている。爪部57Bは、
図11に示すように、根元部60Bが根元部60とは一部異なっている。爪部57Bは、リセス部81Bがリセス部81とは一部異なっている。
【0112】
根元部60Bおよびリセス部81Bには、最も根元部60B側の位置に係止溝251Bが形成されている。これにより、リセス部81Bは、内面91に対して係止溝251Bが形成された点が異なる内面91Bを有している。内面91Bは、主面部92に対して係止溝251Bが形成された点が異なる主面部92Bを有している。内面91Bは、外側面取り部94に対して係止溝251Bが形成された点が異なる外側面取り部94Bを有している。係止溝251Bは、主面部92Bから主面部92Bの径方向における外方へ凹んでいる。係止溝251Bは、一対の端側面部97を結ぶ方向の中央位置に設けられている。言い換えれば、係止溝251Bは、主面部92において一対の端側面部97から最も離れた位置に設けられている。さらに言い換えれば、係止溝251Bは、径方向基準線上に設けられている。係止溝251Bは、リセス部81Bの軸線の方向において、外側面取り部94Bを貫通して
図10に示す溝101まで延びている。
【0113】
第3実施形態のディスクブレーキ10Bは、カバー部材14とは一部異なるカバー部材14Bを、カバー部材14に代えて有している。
カバー部材14Bは、プレート112とは一部異なるプレート112Bを、プレート112に代えて有している。
【0114】
プレート112Bも、一枚のバネ鋼板からプレス成形により成形されている。
図11に示すように、プレート112Bも、鏡面対称形状をなしている。プレート112Bは、プレート部161とは一部異なるプレート部161Bを有している。
【0115】
プレート部161Bには、突出部168に代えて延出部167Bが設けられている。プレート112Bは、プレート部161Bと、一対の内側折曲係止片162と、一対の内側折曲係止片163と、一対の外側折曲係止片164と、3つのガイド片165と、3つの固定片166と、延出部167Bとが、継ぎ目なく成形される一体の部品である。
プレート部161Bは、延出部167が設けられておらず、一対の直線状縁部175、一対の直線状縁部176および直線状縁部177に代えて弧状縁部255Bを有している。弧状縁部255Bは、一対の弧状縁部173の延出部167Bとは反対側の端部同士を結ぶように延びている。一対の弧状縁部173と、弧状縁部255Bとは、同心の円の一部をそれぞれが構成する。
【0116】
図12に示すように、延出部167Bは、外側根元板部261Bと、係止部212Bと、を有している。
外側根元板部261Bは、平板状であり、プレート部161Bと同一平面状に配置されている。外側根元板部261Bは、一対の弧状縁部173の弧状縁部255Bとは反対側の間位置から、一対の弧状縁部173の径方向における外方に延出している。
係止部212Bは平板状である。係止部212Bは、外側根元板部261Bの延出先端側の端縁部からプレート部161Bの厚さ方向における一側に延出している。係止部212Bは、プレート部161Bの厚さ方向において、一対の内側折曲係止片162、一対の内側折曲係止片163および一対の外側折曲係止片164と同側に延出している。係止部212Bは、プレート部161Bの厚さ方向においてプレート部161Bから離れるほど、一対の弧状縁部173の径方向における内方に位置するように傾斜している。係止部212Bは、外側根元板部261Bとのなす角の角度が鋭角となっている。
延出部167Bは、プレート112Bの鏡面対称の基準となる線上に設けられている。
【0117】
カバー本体部材111の突出部124に、プレート112Bが、第1実施形態と同様に3つの固定片166および3つのガイド片165で嵌合される。これにより、カバー本体部材111にプレート112Bが固定されてカバー部材14Bとなる。この状態で、プレート112Bは、一対の内側折曲係止片162、一対の内側折曲係止片163、一対の外側折曲係止片164および延出部167Bが、カバー本体部材111の主板部121から突出部124と同側に延出する。
【0118】
そして、このカバー部材14Bが、
図10に示すように、キャリパボディ51Bの爪部57Bに組み付けられる。その際に、カバー部材14Bは、爪部57Bに、リセス部81Bの軸線方向に沿って、シリンダ部55(
図1参照)とは反対側から組み付けられる。
爪部57Bに組み付けられる際に、カバー部材14Bは、プレート112Bの一対の内側折曲係止片162、一対の内側折曲係止片163、一対の外側折曲係止片164および延出部167Bを組み付け方向の先頭にし、カバー本体部材111の主板部121を組み付け方向の後部にする姿勢とされる。それと共に、カバー部材14Bは、プレート112Bの内周縁部178の中心が、ほぼリセス部81Bの軸線上に位置し、かつ、プレート112Bにおいて延出部167Bが、係止溝251Bとリセス部81Bの軸線回りの位相を合わせる姿勢とされる。
【0119】
この状態で、カバー部材14Bがリセス部81Bの軸線方向に沿ってリセス部81B側に移動させられる。すると、プレート112Bは、一対の内側折曲係止片162、一対の内側折曲係止片163および一対の外側折曲係止片164が、第1実施形態と同様にして、リセス部81Bの溝101に係合する。それと共に、カバー本体部材111が、主板部121においてキャリパ13Bのブリッジ部56および爪部57Bに当接して停止する。
その途中で、カバー部材14Bは、プレート112Bの係止部212Bが、係止溝251Bに挿入される。
【0120】
このようにキャリパ13Bに組み付けられた組付状態で、カバー部材14Bは、プレート112Bの係止部212Bが、プレート部161Bがリセス部81Bの軸線に対して回転方向に移動することを規制する。すなわち、プレート112Bは、
図11に示すように、係止部212Bがリセス部81Bの係止溝251Bに嵌合する。これにより、プレート112Bの係止部212Bが、プレート部161Bがリセス部81Bの軸線に対して回転方向両側に移動することを規制する。言い換えれば、係止部212Bは、リセス部81Bの係止溝251Bに当接することで、プレート部161Bがリセス部81Bの軸線に対して回転方向両側に移動することを規制する。さらに言い換えれば、係止部212Bは、リセス部81Bの係止溝251Bに当接することで、リセス部81Bの軸線を中心としたプレート112Bの回転、ひいてはカバー部材14Bの回転を規制する。
【0121】
第3実施形態のディスクブレーキ10Bは、リセス部81Bをシリンダ孔71(
図2参照)の軸方向から覆うプレート部161Bと、プレート部161Bがリセス部81Bの軸線に対して回転方向に移動することを規制する係止部212Bと、を有するカバー部材14Bを備える。また、第3実施形態のプレート112Bは、リセス部81Bをシリンダ孔71(
図2参照)の軸方向から覆うプレート部161Bと、プレート部161Bがリセス部81Bの軸線に対して回転方向に移動することを規制する係止部212Bと、を有する。よって、ディスクブレーキ10Bおよびプレート112Bは、カバー部材14Bがリセス部81Bの軸線に対して回転方向に移動することを規制することができる。したがって、ディスクブレーキ10Bおよびプレート112Bは、カバー部材14Bを適正な状態に維持することができる。
【0122】
また、ディスクブレーキ10Bは、係止部212Bが、リセス部81Bに当接することで、プレート部161Bがリセス部81Bの軸線に対して回転方向に移動することを規制する。よって、ディスクブレーキ10Bは、プレート部161Bおよび係止部212Bを含むプレート112Bを小型化することが可能になる。
また、ディスクブレーキ10Bは、プレート部161Bと係止部212Bとが一体の部品である。よって、ディスクブレーキ10Bは、部品点数の増大およびコストの増大を抑制することができる。
また、ディスクブレーキ10Bは、係止部212Bが、プレート部161Bに対して1つ設けられている。よって、ディスクブレーキ10Bは、プレート112Bを軽量化することができる。
【0123】
[第4実施形態]
次に、第4実施形態を、主に
図13から
図15に基づいて第1実施形態との相違部分を中心に説明する。なお、第1実施形態と共通する部位については、同一称呼、同一の符号で表す。
【0124】
図13に示すように、第4実施形態のディスクブレーキ10Cは、キャリパ13とは一部異なるキャリパ13Cを、キャリパ13に代えて有している。
キャリパ13Cは、キャリパボディ51とは一部異なるキャリパボディ51Cを、キャリパボディ51に代えて有している。
キャリパボディ51Cは、爪部57Cが爪部57とは一部異なっている。爪部57Cは、一対の爪本体部61Cが一対の爪本体部61とは一部異なっている。爪部57Cは、リセス部81Cがリセス部81とは一部異なっている。
【0125】
図14に示すように、一対の爪本体部61Cおよびリセス部81Cには、一対の端側面部97に代えて一対の端側面部97Cが設けられている。よって、リセス部81Cは、内面91に対して一対の端側面部97Cが設けられた点が異なる内面91Cを有している。一対の端側面部97Cは、それぞれが、主面部92の根元部60とは反対側、すなわちディスク径方向内側の端縁部から、ディスク径方向内側かつディスク周方向外側に広がっている。一対の端側面部97Cは、いずれも円筒面の一部の形状をなしている。端側面部97Cは、湾曲の中心軸線が、リセス部81Cの軸線に沿っている。端側面部97Cは、湾曲の中心軸線が、この端側面部97Cが形成された爪本体部61C内に配置されている。端側面部97Cは、R面取りの形状である。
【0126】
図13に示すように、第4実施形態のディスクブレーキ10Cは、カバー部材14とは一部異なるカバー部材14Cを、カバー部材14に代えて有している。
カバー部材14Cは、プレート112とは一部異なるプレート112Cを、プレート112に代えて有している。
【0127】
プレート112Cも、一枚のバネ鋼板からプレス成形により成形されている。プレート112Cも、
図14に示すように、鏡面対称形状をなしている。プレート112Cは、延出部167とは一部異なる延出部167Cを有している。プレート112Cは、プレート部161と、一対の内側折曲係止片162と、一対の内側折曲係止片163と、一対の外側折曲係止片164と、3つのガイド片165と、3つの固定片166と、延出部167Cと、突出部168とが、継ぎ目なく成形される一体の部品である。
図15に示すように、延出部167Cは、ガード板部211Cと、一対の係止部212Cと、を有している。よって、係止部212Cは、1つのプレート部161に対して2つ設けられている。
ガード板部211Cは、ガード板部211とほぼ同様であり、直線状縁部177の延びる方向において、その長さが、ガード板部211の長さよりも長くなっている。
【0128】
一対の係止部212Cは同形状である。一対の係止部212Cは、一対の係止部212と同様の形状であり、ガード板部211Cとのなす角の角度が、一対の係止部212のガード板部211とのなす角の角度とは異なっている。すなわち、一対の係止部212Cは、
図15に示すように、ガード板部211Cの厚さ方向においてガード板部211Cから離れるほど、互いに直線状縁部177の延びる方向の距離が小さくなる。言い換えれば、一対の係止部212Cは、
図15に示すように、それぞれが、ガード板部211Cに対して同等の鋭角をなしている。
【0129】
カバー本体部材111の突出部124に、プレート112Cが、第1実施形態と同様に3つの固定片166および3つのガイド片165で嵌合される。これにより、カバー本体部材111にプレート112Cが固定されてカバー部材14Cとなる。この状態で、プレート112Cは、一対の内側折曲係止片162、一対の内側折曲係止片163、一対の外側折曲係止片164および延出部167Cが、カバー本体部材111の主板部121から突出部124と同側に延出する。
【0130】
そして、このカバー部材14Cが、
図13に示すように、キャリパボディ51Cの爪部57Cに組み付けられる。その際に、カバー部材14Cは、爪部57Cに、リセス部81Cの軸線方向に沿って、シリンダ部55(
図1参照)とは反対側から組み付けられる。
爪部57Cに組み付けられる際に、カバー部材14Cは、プレート112Cの一対の内側折曲係止片162、一対の内側折曲係止片163、一対の外側折曲係止片164および延出部167Cを組み付け方向の先頭にし、カバー本体部材111の主板部121を組み付け方向の後部にする姿勢とされる。それと共に、カバー部材14Cは、プレート112Cの内周縁部178の中心が、ほぼリセス部81Cの軸線上に位置し、かつ、プレート112Cにおいて延出部167Cが、根元部60から最も離れた位置に位置する姿勢とされる。
【0131】
この状態で、カバー部材14Cがリセス部81Cの軸線方向に沿ってリセス部81C側に移動させられる。すると、カバー部材14Cは、まず、プレート112Cの延出部167Cの一対の係止部212Cが、リセス部81Cに挿入される。一対の係止部212Cは、カバー部材14Cのリセス部81C側への移動が進むと、一対の端側面部97Cのシリンダ部55(
図1参照)とは反対側の端縁部に当接する。一対の係止部212Cは、カバー部材14Cのリセス部81C側への移動がさらに進むと、それぞれの傾斜により相互近接側に弾性変形しながら、リセス部81Cの一対の端側面部97Cに乗り上げることになる。これにより、一対の係止部212Cは、リセス部81Cの一対の端側面部97Cに締め代をもって当接する。
【0132】
上記のように一対の係止部212Cのリセス部81Cへの挿入が開始された後、カバー部材14Cのリセス部81C側への移動が進むと、プレート112Cは、一対の内側折曲係止片162、一対の内側折曲係止片163および一対の外側折曲係止片164が、第1実施形態と同様にして、リセス部81の溝101に係合する。それと共に、カバー本体部材111が、主板部121においてキャリパ13のブリッジ部56および爪部57Cに当接して停止する。
【0133】
このようにして、カバー部材14Cがキャリパ13Cに取り付けられる。このようにキャリパ13Cに組み付けられた組付状態で、カバー部材14Cは、一対の係止部212Cがリセス部81Cの一対の端側面部97Cに締め代をもって当接する。すなわち、一対の係止部212Cのうちの一方の係止部212Cが、一対の端側面部97Cのうちの一方の端側面部97Cに締め代をもって当接する。それと共に、一対の係止部212Cのうちの他方の係止部212Cが、一対の端側面部97Cのうちの他方の端側面部97Cに締め代をもって当接する。
【0134】
組付状態で、カバー部材14Cは、プレート112Cの一対の係止部212Cが、プレート部161がリセス部81Cの軸線に対して回転方向に移動することを規制する。すなわち、プレート112Cは、一対の係止部212Cのうちの一方の係止部212Cがリセス部81Cの一対の端側面部97Cのうちの一方の端側面部97Cに当接する。これにより、プレート112Cは、プレート部161がリセス部81Cの軸線に対して回転方向一側に移動することを規制する。それと共に、プレート112Cは、一対の係止部212Cのうちの他方の係止部212Cがリセス部81Cの一対の端側面部97Cのうちの他方の端側面部97Cに当接する。これにより、プレート112Cは、プレート部161がリセス部81Cの軸線に対して回転方向他側に移動することを規制する。このようにして、プレート112Cの一対の係止部212Cが、プレート部161がリセス部81Cの軸線に対して回転方向に移動することを規制する。言い換えれば、一対の係止部212Cは、リセス部81Cの一対の端側面部97Cに当接することで、プレート部161がリセス部81Cの軸線に対して回転方向に移動することを規制する。さらに言い換えれば、一対の係止部212Cは、リセス部81Cの一対の端側面部97Cに当接することで、リセス部81Cの軸線を中心としたプレート112Cの回転、ひいてはカバー部材14Cの回転を規制する。
【0135】
第4実施形態のディスクブレーキ10Cは、リセス部81Cをシリンダ孔71(
図2参照)の軸方向から覆うプレート部161と、プレート部161がリセス部81Cの軸線に対して回転方向に移動することを規制する係止部212Cと、を有するカバー部材14Cを備える。また、第4実施形態のプレート112Cは、リセス部81Cをシリンダ孔71(
図2参照)の軸方向から覆うプレート部161と、プレート部161がリセス部81Cの軸線に対して回転方向に移動することを規制する係止部212Cと、を有する。よって、ディスクブレーキ10Cおよびプレート112Cは、カバー部材14Cがリセス部81Cの軸線に対して回転方向に移動することを規制することができる。したがって、ディスクブレーキ10Cおよびプレート112Cは、カバー部材14Cを適正な状態に維持することができる。
【0136】
また、ディスクブレーキ10Cは、係止部212Cが、リセス部81Cに当接することで、プレート部161がリセス部81Cの軸線に対して回転方向に移動することを規制する。よって、ディスクブレーキ10Cは、プレート部161および係止部212Cを含むプレート112Cを小型化することが可能になる。
また、ディスクブレーキ10Cは、プレート部161と係止部212Cとが一体の部品である。よって、ディスクブレーキ10Cは、部品点数の増大およびコストの増大を抑制することができる。
また、ディスクブレーキ10Cは、係止部212Cが、1つのプレート部161に対して2つ設けられている。よって、ディスクブレーキ10Cは、各係止部212Cで荷重を分担して受けることができ、係止部212Cの耐久性を向上させることができる。
【0137】
[第5実施形態]
次に、第5実施形態を、主に
図16から
図18に基づいて第4実施形態との相違部分を中心に説明する。なお、第4実施形態と共通する部位については、同一称呼、同一の符号で表す。
【0138】
図16に示す第5実施形態のディスクブレーキ10Dは、カバー部材14Cとは一部異なるカバー部材14Dを、カバー部材14Cに代えて有している。
カバー部材14Dは、カバー部材14Cのプレート112Cとは一部異なるプレート112Dを、プレート112Cに代えて有している。
【0139】
プレート112Dも、一枚のバネ鋼板からプレス成形により成形されている。プレート112Dも、
図17に示すように、鏡面対称形状をなしている。プレート112Dは、延出部167Cとは一部異なる延出部167Dを有している。プレート112Dは、プレート部161と、一対の内側折曲係止片162と、一対の内側折曲係止片163と、一対の外側折曲係止片164と、3つのガイド片165と、3つの固定片166と、延出部167Dと、突出部168とが、継ぎ目なく成形される一体の部品である。
図18に示すように、延出部167Dは、ガード板部211Dと、一対の係止部212Dと、を有している。よって、係止部212Dは、1つのプレート部161に対して2つ設けられている。
ガード板部211Dは、延出部167Cのガード板部211Cと同様の平板状である。
【0140】
一対の係止部212Dは、同形状である。一対の係止部212Dは、直線状縁部177の延びる方向におけるガード板部211Dの両側に、直線状縁部177の延びる方向に沿ってガード板部211Dから離れる方向に延出している。一対の係止部212Dは、ガード板部211Dと同一平面状に広がっている。一対の係止部212Dおよびガード板部211Dは全体として一つの平板状をなす。
【0141】
カバー本体部材111の突出部124に、プレート112Dが、第4実施形態と同様に、3つの固定片166および3つのガイド片165で嵌合される。これにより、カバー本体部材111にプレート112Dが固定されてカバー部材14Dとなる。この状態で、プレート112Dは、一対の内側折曲係止片162、一対の内側折曲係止片163、一対の外側折曲係止片164および延出部167Dが、カバー本体部材111の主板部121から突出部124と同側に延出する。
【0142】
そして、このカバー部材14Dが、
図16に示すように、キャリパボディ51Cの爪部57Cに組み付けられる。その際に、カバー部材14Dは、爪部57Cに、リセス部81Cの軸線方向に沿って、シリンダ部55(
図1参照)とは反対側から組み付けられる。
爪部57Cに組み付けられる際に、カバー部材14Dは、プレート112Dの一対の内側折曲係止片162、一対の内側折曲係止片163、一対の外側折曲係止片164および延出部167Dを組み付け方向の先頭にし、カバー本体部材111の主板部121を組み付け方向の後部にする姿勢とされる。それと共に、カバー部材14Dは、プレート112Dの内周縁部178の中心が、ほぼリセス部81Cの軸線上に位置し、かつ、プレート112Dにおいて延出部167Dが、根元部60から最も離れた位置に位置する姿勢とされる。
【0143】
この状態で、カバー部材14Dがリセス部81Cの軸線方向に沿ってリセス部81C側に移動させられる。すると、カバー部材14Dは、まず、プレート112Dの延出部167Dの一対の係止部212Dが、一対の爪本体部61Cの根元部60とは反対側の端部に当接する。すなわち、カバー部材14Dは、一対の係止部212Dのうちの一方の係止部212Dが、一対の爪本体部61Cのうちの一方の爪本体部61Cの根元部60とは反対側の端部に当接する。それと共に、カバー部材14Dは、一対の係止部212Dのうちの他方の係止部212Dが、一対の爪本体部61Cのうちの他方の爪本体部61Cの根元部60とは反対側の端部に当接する。言い換えれば、カバー部材14Dは、プレート112Dの延出部167Dの一対の係止部212Dが、一対の爪本体部61Cのディスク径方向内側の端部とディスク軸線方向の位置およびディスク周方向の位置を共に重ね合わせる。
【0144】
その後、カバー部材14Dのリセス部81C側への移動が進むと、プレート112Dは、一対の内側折曲係止片162、一対の内側折曲係止片163および一対の外側折曲係止片164が、第1実施形態と同様にして、リセス部81の溝101に係合する。それと共に、カバー本体部材111が、主板部121においてキャリパ13のブリッジ部56および爪部57Cに当接して停止する。
【0145】
このようにして、カバー部材14Dがキャリパ13Cに取り付けられる。このようにキャリパ13Cに組み付けられた組付状態で、カバー部材14Dは、一対の係止部212Dが一対の爪本体部61Cの根元部60とは反対側の端部に当接する。言い換えれば、組付状態で、カバー部材14Dのプレート112Dは、一対の係止部212Dが爪部57Cのディスク径方向内方の端部に当接する。
【0146】
組付状態で、カバー部材14Dは、プレート112Dの一対の係止部212Dが、プレート部161がリセス部81Cの軸線に対して回転方向に移動することを規制する。すなわち、プレート112Dは、一対の係止部212Dのうちの一方の係止部212Dが、一対の爪本体部61Cのうちの一方の爪本体部61Cの根元部60とは反対側の端部に当接する。これにより、プレート112Dは、プレート部161がリセス部81Cの軸線に対して回転方向一側に移動することを規制する。それと共に、プレート112Dは、一対の係止部212Dのうちの他方の係止部212Dが、一対の爪本体部61Cのうちの他方の爪本体部61Cの根元部60とは反対側の端部に当接する。これにより、プレート112Dは、プレート部161がリセス部81Cの軸線に対して回転方向他側に移動することを規制する。このようにして、プレート112Dの一対の係止部212Dが、プレート部161がリセス部81Cの軸線に対して回転方向に移動することを規制する。言い換えれば、一対の係止部212Dは、一対の爪本体部61Cの根元部60とは反対側の端部に当接することで、プレート部161がリセス部81Cの軸線に対して回転方向に移動することを規制する。さらに言い換えれば、一対の係止部212Dは、一対の爪本体部61Cの根元部60とは反対側の端部に当接することで、リセス部81Cの軸線を中心としたプレート112Dの回転、ひいてはカバー部材14Dの回転を規制する。
【0147】
第5実施形態のディスクブレーキ10Dは、リセス部81Cをシリンダ孔71(
図2参照)の軸方向から覆うプレート部161と、プレート部161がリセス部81Cの軸線に対して回転方向に移動することを規制する係止部212Dと、を有するカバー部材14Dを備える。また、第5実施形態のプレート112Dは、リセス部81Cをシリンダ孔71(
図2参照)の軸方向から覆うプレート部161と、プレート部161がリセス部81Cの軸線に対して回転方向に移動することを規制する係止部212Dと、を有する。よって、ディスクブレーキ10Dおよびプレート112Dは、カバー部材14Dがリセス部81Cの軸線に対して回転方向に移動することを規制することができる。したがって、ディスクブレーキ10Dおよびプレート112Dは、カバー部材14Dを適正な状態に維持することができる。
【0148】
また、ディスクブレーキ10Dは、係止部212Dが、爪部57Cのディスク径方向内方の端部に当接することで、プレート部161がリセス部81Cの軸線に対して回転方向に移動することを規制する。よって、ディスクブレーキ10Dは、係止部212Dを含む延出部167Dの形状を簡素化することができる。
また、ディスクブレーキ10Dは、プレート部161と係止部212Dとが一体の部品である。よって、ディスクブレーキ10Dは、部品点数の増大およびコストの増大を抑制することができる。
また、ディスクブレーキ10Dは、係止部212Dが、1つのプレート部161に対して2つ設けられている。よって、ディスクブレーキ10Dは、各係止部212Dで荷重を分担して受けることができ、係止部212Dの耐久性を向上させることができる。
【0149】
なお、第5実施形態のプレート112Dを含むカバー部材14Dを、第1実施形態のキャリパ13に対してカバー部材14に代えて設けても良い。このように構成すると、一対の係止部212Dが一対の爪本体部61の根元部60とは反対側の端部に当接することになる。
【0150】
また、第1,第2,第4,第5実施形態に対して第3実施形態を組み合わせることも可能である。例えば、第3実施形態のキャリパ13Bに対して、第3実施形態の延出部167Bと、第1実施形態の延出部167または第2実施形態の一対の係止部212Aまたは第5実施形態の一対の係止部212Dとを有するプレートを用いることも可能である。すなわち、係止部212Bと、一対の係止部212と、の合計3つの係止部を有するプレートを用いる。あるいは、係止部212Bと、一対の係止部212Aと、の合計3つの係止部を有するプレートを用いる。あるいは、係止部212Bと、一対の係止部212Dと、の合計3つの係止部を有するプレートを用いる。これらの場合、1つのプレート部に対して、リセス部の軸線回りのプレート部の回転を規制する係止部が、2つ以上である3つ設けられることになる。勿論、1つのプレート部に対して、リセス部の軸線回りのプレート部の回転を規制する係止部を3つ以上設けても良い。
【0151】
また、第1実施形態ではプレート部161と係止部212とが一体の部品であり、第2実施形態ではプレート部161Aと係止部212Aとが一体の部品であり、第3実施形態ではプレート部161Bと係止部212Bとが一体の部品であり、第4実施形態ではプレート部161と係止部212Cとが一体の部品であり、第5実施形態ではプレート部161と係止部212Dとが一体の部品である場合を、それぞれ例にとり説明した。これらに対して、第1実施形態においてプレート部161と係止部212とを別体の部品としたり、第2実施形態においてプレート部161Aと係止部212Aとを別体の部品としたり、第3実施形態においてプレート部161Bと係止部212Bとを別体の部品としたり、第4実施形態においてプレート部161と係止部212Cとを別体の部品としたり、第5実施形態においてプレート部161と係止部212Dとを別体の部品としたりすることも可能である。これらのように構成すれば、プレート部を共通部品とし、キャリパの形状に応じて係止部を変更してプレートとすることが可能となる。その結果、種々の形状のキャリパに対してプレート部を共通部品とすることが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0152】
上記各態様によれば、カバー部材をキャリパに対して適正な状態に維持することができるディスクブレーキおよびプレートを提供できる。よって、産業上の利用可能性は大である。
【符号の説明】
【0153】
10,10A~10D…ディスクブレーキ、11…ディスク、13,13B…キャリパ、14,14A~14D…カバー部材、17,18…摩擦パッド、55…シリンダ部、56…ブリッジ部、57,57B,57D…爪部、71…シリンダ孔、72…ピストン、81,81B,81C…リセス部、112,112A~112D…プレート、161,161A,161B…プレート部、212,212A~212D…係止部。