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特許7657319エアロゾル発生装置及び媒質収容ロッド{AEROSOL-GENERATING DEVICE AND MEDIUM RECEIVING ROD}
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-27
(45)【発行日】2025-04-04
(54)【発明の名称】エアロゾル発生装置及び媒質収容ロッド{AEROSOL-GENERATING DEVICE AND MEDIUM RECEIVING ROD}
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/30 20200101AFI20250328BHJP
   A24F 40/42 20200101ALI20250328BHJP
   A24D 1/20 20200101ALI20250328BHJP
   A24D 3/17 20200101ALI20250328BHJP
   A24D 3/04 20060101ALI20250328BHJP
   A24B 15/16 20200101ALI20250328BHJP
   A24F 40/46 20200101ALI20250328BHJP
【FI】
A24F40/30
A24F40/42
A24D1/20
A24D3/17
A24D3/04
A24B15/16
A24F40/46
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2023564253
(86)(22)【出願日】2022-10-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-17
(86)【国際出願番号】 KR2022015153
(87)【国際公開番号】W WO2023059138
(87)【国際公開日】2023-04-13
【審査請求日】2023-10-19
(31)【優先権主張番号】10-2021-0132906
(32)【優先日】2021-10-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】519217032
【氏名又は名称】ケーティー アンド ジー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パク、インス
(72)【発明者】
【氏名】クウォン、チャン ミン
(72)【発明者】
【氏名】リ、ミ チョン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ミン キュ
【審査官】土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】特表2020-511998(JP,A)
【文献】特開2018-201514(JP,A)
【文献】国際公開第2020/256341(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/30
A24F 40/42
A24D 1/20
A24D 3/17
A24D 3/04
A24B 15/16
A24F 40/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生装置と媒質収容ロッドを含む組み合わせであって、
前記エアロゾル発生装置は、
媒質収容ロッドを収容する収容部と、
エアロゾルを生成させる霧化部と、
前記霧化部を加熱するのに必要な電力を伝達する電源部と、
を含み、
前記エアロゾル発生装置の前記霧化部から生成されたエアロゾルが前記媒質収容ロッドを通過して媒質が移行し、前記収容部に収容される媒質収容ロッドが入れ替えられて使用され
前記媒質収容ロッドは、
前記媒質収容ロッドの最上流に配置される第1のフィルタセグメントと、
前記第1のフィルタセグメントよりも下流に配置される第2のフィルタセグメントと、
前記第1のフィルタセグメント及び前記第2のフィルタセグメントの間に配置されるキャビティセグメントと、
前記媒質収容ロッドの最下流に配置されるフィルタロッドと、
を含み、
前記キャビティセグメントには塩基性pH調整剤を含む媒質顆粒が充填され、
前記キャビティセグメント内には前記媒質顆粒を除いた空き空間が存在し、前記媒質顆粒の密度が1.2g/cm 以下である、
組み合わせ
【請求項2】
前記フィルタロッドは冷却セグメント及びマウスピースセグメントを含む、
請求項1に記載の組み合わせ
【請求項3】
前記媒質収容ロッドはタバコ顆粒を含む、
請求項1又は請求項2に記載の組み合わせ
【請求項4】
前記媒質収容ロッドは使い捨てシガレットを含む、
請求項1又は請求項2に記載の組み合わせ
【請求項5】
前記霧化部は、
エアロゾルを発生させる液状組成物質を貯蔵する液状貯蔵槽と、
前記液状組成物質の移送を促進する液状伝達手段と、
前記液状組成物質を加熱するヒーターと、
を含む、
請求項1又は請求項2に記載の組み合わせ
【請求項6】
前記霧化部の前記液状組成物質は、
さらに香味剤を含む、
請求項5に記載の組み合わせ
【請求項7】
前記ヒーターの加熱温度は270℃以下である、
請求項5に記載の組み合わせ
【請求項8】
エアロゾル発生装置と共に使用される媒質収容ロッドであって、
前記媒質収容ロッドの最上流に配置される第1のフィルタセグメントと、
前記第1のフィルタセグメントよりも下流に配置される第2のフィルタセグメントと、
前記第1のフィルタセグメント及び前記第2のフィルタセグメントの間に配置されるキャビティセグメントと、
を含み、
前記キャビティセグメントには媒質顆粒が充填され、pH調整剤が配置され
前記pH調整剤は塩基性塩を含み、
前記キャビティセグメント内には前記媒質顆粒を除いた空き空間が存在し、前記媒質顆粒の密度が1.2g/cm 以下である、
媒質収容ロッド。
【請求項9】
前記媒質収容ロッドの最下流に配置されるフィルタロッドをさらに含み、
前記フィルタロッドは冷却セグメント及びマウスピースセグメントを含む、
請求項8に記載の媒質収容ロッド。
【請求項10】
前記マウスピースセグメントは香味剤カプセルを含む、
請求項9に記載の媒質収容ロッド。
【請求項11】
前記第1のフィルタセグメント及び前記第2のフィルタセグメントは紙物質を含む、
請求項8に記載の媒質収容ロッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下、実施例は、エアロゾル発生装置及び媒質収容ロッドに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、伝統的なシガレットの短所を克服する代替物品に関する需要が高まっている。例えば、シガレットスティックを電気的に加熱することによってエアロゾルを発生させる装置(e.g.シガレット型電子タバコ)に関する需要が高まっている。これにより、電気加熱式エアロゾル発生装置とそれに適用されるシガレットスティック(又はエアロゾル発生物品)に関する研究が活発に進められている。例えば、公開特許公報第10-2017-0132823号は、非燃焼型香味吸引器、香喫味源ユニット及び霧化ユニットを開示する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一実施例に係る目的は、エアロゾルによる媒質の間接加熱によってニコチンを移行させるエアロゾル発生装置及び媒質収容ロッドを提供することである。
【0004】
一実施例に係る目的は、使い捨てスティックを用いた間接加熱式(非加熱式)電子タバコを構成して衛生性を向上させ、ニコチン移行時に均一な風味を提供するエアロゾル発生装置及び媒質収容ロッドを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施例に係るエアロゾル発生装置は、媒質収容ロッドを収容する収容部と、エアロゾルを生成させる霧化部と、前記霧化部を加熱するのに必要な電力を伝達する電源部と、を含み、前記エアロゾル発生装置の前記霧化部から生成されたエアロゾルが前記媒質収容ロッドを通過して媒質が移行し、前記収容部に収容される媒質収容ロッドが入れ替えられて使用されることができる。
【0006】
前記媒質収容ロッドは塩基性pH調整剤を含むことができる。
【0007】
前記媒質収容ロッドは、前記媒質収容ロッドの最上流に配置される第1のフィルタセグメントと、前記第1のフィルタセグメントよりも下流に配置される第2のフィルタセグメントと、前記第1のフィルタセグメント及び前記第2のフィルタセグメントの間に配置されるキャビティセグメントと、前記媒質収容ロッドの最下流に配置されるフィルタロッドと、を含み、前記フィルタロッドは冷却セグメント及びマウスピースセグメントを含み、前記キャビティセグメントには媒質顆粒が充填されることができる。
【0008】
前記媒質収容ロッドはタバコ顆粒を含むことができる。
【0009】
前記タバコ顆粒は圧着式工程によって製造されることができる。
【0010】
前記媒質収容ロッドは使い捨てシガレットを含むことができる。
【0011】
前記霧化部は、エアロゾルを発生させる液状組成物質を貯蔵する液状貯蔵槽と、前記液状組成物質の移送を促進する液状伝達手段と、前記液状組成物質を加熱するヒーターと、を含むことができる。
【0012】
前記霧化部の前記液状組成物質は、さらに香味剤を含むことができる。
【0013】
前記ヒーターの加熱温度は270℃以下であることができる。
【0014】
一実施例に係るエアロゾル発生装置と共に使用される媒質収容ロッドは、前記媒質収容ロッドの最上流に配置される第1のフィルタセグメントと、前記第1のフィルタセグメントよりも下流に配置される第2のフィルタセグメントと、前記第1のフィルタセグメント及び前記第2のフィルタセグメントの間に配置されるキャビティセグメントと、を含み、前記キャビティセグメントには媒質顆粒が充填されることができ、pH調整剤が配置されることができる。
【0015】
前記媒質収容ロッドの前記キャビティセグメントは、さらにpH調整剤を含むことができる。
【0016】
前記媒質収容ロッドの最下流に配置されるフィルタロッドをさらに含み、前記フィルタロッドは冷却セグメント及びマウスピースセグメントを含むことができる。
【0017】
前記マウスピースセグメントは香味剤カプセルを含むことができる。
【0018】
前記第1のフィルタセグメント及び前記第2のフィルタセグメントは紙物質を含むことができる。
【発明の効果】
【0019】
一実施例に係るエアロゾル発生装置及び媒質収容ロッドは、エアロゾルによる媒質の間接加熱によってニコチンを移行させることができる。
【0020】
一実施例に係るエアロゾル発生装置及び媒質収容ロッドは、使い捨てスティックを用いた間接加熱式(非加熱式)電子タバコを構成して衛生性を向上させ、ニコチン移行時に均一な風味を提供することができる。
【0021】
一実施例に係るエアロゾル発生装置及び媒質収容ロッドの効果は、以上で言及されたものに限定されず、言及されていない他の効果は、以下の記載から通常の技術者に明確に理解できるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1A】一実施例に係るエアロゾル発生装置を概略的に示す図である。
図1B】他の実施例に係るエアロゾル発生装置を概略的に示す図である。
図2A】一実施例に係るエアロゾル発生装置に媒質収容ロッドが収容されたエアロゾル発生システムを概略的に示す図である。
図2B】他の実施例に係るエアロゾル発生装置に媒質収容ロッドが収容されたエアロゾル発生システムを概略的に示す図である。
図3A】一実施例に係る媒質収容ロッドの構造を概略的に示す図である。
図3B】他の実施例に係る媒質収容ロッドの構造を概略的に示す図である。
図4】一実施例に係る媒質収容ロッドから渦気流が発生する原理と条件を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付図面を参照して実施例を詳細に説明する。しかし、実施例には様々な変更が加えられるので、特許出願の権利範囲はこれらの実施例によって制限又は限定されない。実施例に対する全ての変更、均等物ないし代替物が権利範囲に含まれると理解されるべきである。
【0024】
実施例で使用した用語は単に説明を目的として使用されたものであり、限定しようとする意図として解釈されるべきではない。単数の表現は、文脈上明白に別段の意味を持たない限り、複数の表現を含む。本明細書において「含む」又は「有する」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数、ステップ、動作、構成要素、部品、又はそれらの組み合わせが存在することを指定するものであり、1つ又はそれ以上の他の特徴や数、ステップ、動作、構成要素、部品、又はそれらの組み合わせの存在又は付加可能性を予め排除するものではないと理解されるべきである。
【0025】
別途の定義がない限り、技術的又は科学的用語を含めて、ここで使用される全ての用語は、実施例が属する技術分野における通常の知識を有する者によって一般的に理解されるものと同一の意味を有している。一般的に使用される辞書に定義されているなどの用語は、関連技術の文脈上有している意味と一致するものと解釈されるべきであり、本出願において明白に定義しない限り、理想的又は過度に形式的な意味として解釈されない。
【0026】
なお、添付図面を参照して説明するにあたって、図面符号にかかわらず、同一の構成要素には同一の参照符号を付し、これについての重複する説明は省略する。実施例を説明するにあたって関連する公知技術についての具体的な説明が実施例の要旨を不要に濁す恐れがあると判断される場合、その詳細な説明は省略する。
【0027】
さらに、実施例の構成要素を説明するにあたって、第1、第2、A、B、(a)、(b)などの用語を使用することができる。これらの用語は、その構成要素を他の構成要素と区別するためのものであり、その用語によって該当構成要素の本質や順番又は順序などが限定されない。ある構成要素が他の構成要素に「連結」、「結合」又は「接続」されると記載された場合、その構成要素は他の構成要素に直接的に連結又は接続されるが、各構成要素の間に他の構成要素が「連結」、「結合」又は「接続」されるとも理解されるべきである。
【0028】
いずれかの実施例に含まれた構成要素と、共通的な機能を含む構成要素は、他の実施例において同一の名称を使用して説明する。反対の記載がない限り、いずれかの実施例に記載の説明は他の実施例にも適用でき、重複する範囲で具体的な説明は省略する。
【0029】
以下の実施例において「保湿剤」は、可視的な煙(smoke)及び/又はエアロゾル(aerosol)の形成を容易にし得る物質を意味することができる。保湿剤の例としては、グリセリン(GLY)、プロピレングリコール(PG)、エチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール及びオレイルアルコールが挙げられ、これらに限定されない。当該技術分野において、保湿剤は、エアロゾル形成剤、湿潤剤などの用語と混用されて使用できる。
【0030】
以下の実施例において「エアロゾル形成基材」は、エアロゾルを形成し得る物質を意味することができる。エアロゾルは揮発性化合物を含むことができる。エアロゾル形成基材は固体又は液状であることができる。
【0031】
例えば、固体のエアロゾル形成基材は、板状葉タバコ、刻草、再構成タバコなどのタバコ原料に基づく固体物質を含むことができ、液状のエアロゾル形成基材は、ニコチン、タバコ抽出物及び/又は様々な香味剤に基づく液状組成物質を含むことができる。しかし、本開示の範囲はこれらの例示に限定されない。
【0032】
以下の実施例において「エアロゾル発生装置」は、ユーザの口を通じてユーザの肺に直接的に吸入可能なエアロゾルを発生させるためにエアロゾル形成基材を用いてエアロゾルを発生させる装置を意味することができる。
【0033】
以下の実施例において「媒質収容ロッド」は、媒質を収容する物品を意味することができる。媒質収容ロッドの代表的な例としてはシガレットが挙げられるが、本開示の範囲はこれに限定されない。
【0034】
以下の実施例において「上流」(upstream)又は「上流方向」は、ユーザ(喫煙者)の口部から離れる方向を意味し、「下流」(downstream)又は「下流方向」は、ユーザの口部から近づく方向を意味することができる。上流及び下流という用語は、媒質収容ロッドを構成する要素の相対的位置を説明するために用いられる。例えば、図3Aに示す媒質収容ロッド100において、キャビティロッド120は、フィルタロッド140の上流又は上流方向に位置し、フィルタロッド140は、キャビティロッド120の下流又は下流方向に位置する。
【0035】
以下の実施例において「パフ(puff)」とは、ユーザの吸入(inhalation)を意味し、吸入とは、ユーザの口や鼻を通じてユーザの口腔内、鼻腔内又は肺に引き寄せる状況を意味する。
【0036】
以下では、添付の図面による様々な実施例について説明する。
【0037】
図1A及び図1Bは、いくつかの実施例に係るエアロゾル発生装置を概略的に示す図である。図1Aは、カートリッジ220及びヒーター230が一列に配置されたことを示し、図1Bは、カートリッジ220及びヒーター230が並列に配置されたことを示している。
【0038】
図1A及び図1Bを参照すると、本実施例に係るエアロゾル発生装置200は、ハウジング、収容部210、カートリッジ220、ヒーター230及び電源部240を含むことができる。ここで、霧化部は、カートリッジ220及びヒーター230を含むことができ、霧化部はエアロゾルを生成することができる。ただし、図1A及び図1Bには、本実施例に関する構成要素のみ示されており、本開示が属する技術分野における通常の技術者であれば、図1A及び図1Bに示す構成要素に加えて他の汎用的な構成要素がさらに含まれることが分かる。例えば、エアロゾル発生装置200は、ユーザから命令などを入力されるための入力モジュール及び装置の状態、喫煙情報などの情報を出力するための出力モジュールをさらに含むことができる。以下、エアロゾル発生装置200の各構成要素について説明する。
【0039】
ハウジングは、エアロゾル発生装置200の外観を形成することができる。さらに、ハウジングは、媒質収容ロッド100を収容するための収容部210を形成することができる。ハウジングは、内部の構成要素を保護することができる素材で実現されるのが好ましいことがある。
【0040】
次に、収容部210は、媒質収容ロッド100を収容し得る空間であることができる。収容部210に媒質収容ロッド100が収容されたとき、媒質収容ロッドが抜けずにしっかり結合されるようにするために、収容部210は結合構造を含むことができる。結合構造は、例えば、抑止嵌合を用いた結合構造、磁性物質を用いた結合構造、電磁気力性物質を用いた結合構造などを含むことができる。また、収容部210に収容される媒質収容ロッド100は、後述するように1回使用後に入れ替えられるスティック又はシガレットの形態であることができる。
【0041】
次に、霧化部は、液状貯蔵槽、液状伝達手段及びヒーターをさらに含むことができる。しかし、これらに限定されることなく、霧化部は他の構成要素をさらに含むこともできる。また、カートリッジ220は、ヒーター230から脱着可能に作製されてもよく、ヒーター230と一体として作製されてもよい。
【0042】
液状貯蔵槽は液状組成物質を貯蔵することができる。液状組成物質は、タバコ含有物質又はニコチン含有物質を含む液体であってもよく、非タバコ物質を含む液体であってもよい。例えば、液状組成物質は、水、ソルベント、エタノール、植物抽出物(例えば、タバコ抽出物)、香料、エアロゾル形成剤、香味剤又はビタミン混合物を含むことができる。香料は、メンソール、ペパーミント、スペアミントオイル、各種果物香成分などを含むことができるが、これらに制限されない。香味剤は、ユーザに様々な香味又は風味を提供し得る成分を含むことができる。ビタミン混合物は、ビタミンA、ビタミンB、ビタミンC及びビタミンEのうち少なくとも1つが混合されることができるが、これらに制限されない。液状組成物質は保湿剤をさらに含むことができる。保湿剤は、グリセリン(VG)、ポリプロピレングリコール(PG)、ソルビトール又はそれらの混合物であることができるが、これらに制限されない。
【0043】
液状伝達手段は液状貯蔵槽に貯蔵された液状組成物質をヒーター230に伝達することができる。例えば、液状伝達手段は、綿繊維、セラミック繊維、ガラス繊維、多孔性セラミックなどのウィック(wick)要素であり得るが、これらに限定されない。
【0044】
次に、ヒーター230は、カートリッジ220に貯蔵された液状組成物質を加熱してエアロゾルを形成させることができる。例えば、ヒーター230は、液状伝達手段によって伝達された液状組成物質を加熱してエアロゾルを形成させることができる。形成されたエアロゾルは、媒質収容ロッド100を通過してユーザに伝達されることができる。すなわち、ヒーター230の加熱によって形成されたエアロゾルは、媒質収容ロッド100の空気流路に沿って移動することができ、空気流路は、カートリッジに貯蔵された液状組成物質によって形成されたエアロゾルが媒質収容ロッド100を通過してユーザに伝達できるように構成され得る。ヒーター230は、例えば、コイル、セラミック、金属メッシュ及び伝導性フィラメントなどで構成されるが、これらに限定されない。また、ヒーター230の加熱温度は、270℃以下であってもよく、好ましくは240℃以下であってもよく、さらに好ましくは200℃以下であってもよい。後述するように、媒質顆粒PがpH調整剤を含む場合、ニコチンが移行できる最小温度が低くなり、ヒーター230の加熱温度が低くなることができ、これによってより良い電気効率を有するエアロゾル発生システムを構成することができる。
【0045】
参考までに、当該技術分野におけるカートリッジ220及びヒーター230は、カトマイザー(catomizer)、アトマイザー(atomizer)、蒸気化器(vaporizer)などの用語と称することもできる。
【0046】
次に、電源部240は、エアロゾル発生装置200が動作するのに用いられる電力を供給することができる。例えば、電源部240は、ヒーター230が媒質収容ロッド100を加熱するように電力を供給することができる。また、電源部240は、エアロゾル発生装置200に設置されたディスプレイ(図示せず)、センサ(図示せず)、モータ(図示せず)などの電気的構成要素が動作するのに必要な電力を供給することができる。
【0047】
以下では、図2A及び図2Bを参照して、いくつかの実施例に係る媒質収容ロッド100について説明する。
【0048】
図2A及び図2Bは、いくつかの実施例に係る媒質収容ロッド100の構造を概略的に示す図である。
【0049】
図2A及び図2Bに示すように、媒質収容ロッド100は、キャビティロッド120及びフィルタロッド140を含むことができる。媒質収容ロッド100は、ロッドをラッピングしているラッパーをさらに含むこともできる。ただし、図2A及び図2Bには、本開示の実施例に関する構成要素のみが示されており、本開示が属する技術分野における通常の技術者であれば、図2A又は図2Bに示す構成要素に加えて他の汎用的な構成要素がさらに含まれることが分かる。以下で、媒質収容ロッド100の各構成要素について説明する。
【0050】
キャビティロッド120は、キャビティ又はキャビティセグメント126を含むロッドであって、加熱されることによって、ニコチンなどのタバコ成分又は喫味成分を供給することができる。図示されるように、キャビティロッド120は、第1のフィルタセグメント122、第2のフィルタセグメント124及び第1のフィルタセグメント122と第2のフィルタセグメント124との間に配置できるキャビティセグメント126を含むことができる。
【0051】
第1のフィルタセグメント122は、媒質収容ロッド100の最上流に配置されることができる。第1のフィルタセグメント122は、媒質顆粒Pの脱落防止機能を行うことができ、媒質収容ロッド100がエアロゾル発生装置200に挿入される場合、キャビティセグメント126がエアロゾル発生装置200内の適切な位置に配置されるようにすることができる。また、第1のフィルタセグメント122は、喫煙中に液状化されたエアロゾルがエアロゾル発生装置200に流れ込むのを防止することができる。さらに、第1のフィルタセグメント122は紙フィルタを含むことができ、円滑な空気流路の確保のために紙物質は長手方向に配置されることが好ましいが、これに限定されない。
【0052】
第2のフィルタセグメント124は、第1のフィルタセグメント122の下流に配置されることができ、特に、キャビティセグメント126の下流に配置されることができる。第2のフィルタセグメント124は、第1のフィルタセグメント122と共にキャビティを形成する機能の他にもエアロゾルに対する濾過、冷却機能などをさらに行うことができる。また、第2のフィルタセグメント124は、紙フィルタを含むことができ、円滑な空気流路の確保のために紙物質は長手方向に配置されることが好ましいが、これに限定されない。
【0053】
キャビティセグメント126は、キャビティを備えたセグメントであって、第1のフィルタセグメント122と第2のフィルタセグメント124との間に位置することができる。また、キャビティセグメント126には媒質が充填されることができる。充填される媒質の形態は、顆粒P、再構成タバコ、一般刻草などの形態であることができ、好ましくは顆粒型媒質Pの形態であることができる。媒質顆粒Pはタバコ顆粒又はニコチン顆粒であることができるが、これらに限定されない。さらに、キャビティセグメント126はpH調整剤を含むことができる。pH調整剤は、好ましくは塩基性塩であることができ、例えば、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、酸化カルシウムなどであることができるが、これらに限定されない。また、パフ時に否定的な香りが最も少なく発生するpH調整剤が選択されて使用できる。pH調整剤がキャビティセグメント126に含まれると、キャビティセグメント126に含まれたタバコ顆粒PのpHが上昇し、これによって相対的に低い温度に媒質が加熱される場合にもタバコ顆粒Pからニコチンが十分に移行することができる。したがって、結果としてキャビティセグメント126を直接加熱せずに、エアロゾル発生装置200のヒーター230がカートリッジ220を加熱して生成された熱いエアロゾルが媒質収容ロッド100に空気流路に沿って流れながらタバコ顆粒Pに伝達される熱だけでもニコチンが移行することができる。pH調整剤は、媒質顆粒Pの製造時に一緒に混合されて顆粒自体に含まれることもでき、媒質顆粒Pとは別の位置に別に配置されることもできる。
【0054】
媒質顆粒P、特にタバコ顆粒Pは、圧着式工程によって製造されることができる。圧着式顆粒化工程は湿式工程に該当し、相対的に流動層顆粒化工程に比べて生成されるタバコ顆粒Pのニコチン移行率が高い。したがって、顆粒Pが加熱される温度が相対的に低い場合、流動層顆粒化工程によって製造されるタバコ顆粒Pよりも圧着式顆粒化工程によって製造されるタバコ顆粒Pを含むことがニコチンの移行にさらに有利であり得る。
【0055】
フィルタロッド140は、キャビティロッド120の下流に位置してエアロゾルに対する濾過機能を行うことができる。このために、フィルタロッド140は、紙、セルロースアセテート繊維などのフィルタ物質を含むことができる。フィルタロッド140は、フィルタ物質を包んでいるラッパーをさらに含むことができる。
【0056】
フィルタロッド140は、冷却セグメント142及びマウスピースセグメント144を含むことができる。冷却セグメント142は、エアロゾルに対する冷却機能を行うことができ、マウスピースセグメント144は、エアロゾルに対する濾過機能を行うことができる。
【0057】
また、フィルタロッド140は香味が発生するように作製されることができる。例えば、フィルタロッド140に加香液が噴射されることができ、加香液が塗布された別途の繊維がフィルタロッド140の内部に挿入されることもでき、図2Bを参照すると、マウスピースセグメント144は香味剤カプセル(C)を含むこともできる。場合によっては、フィルタロッド140は他の機能を行う少なくとも1つのセグメントをさらに含むことができる。
【0058】
このような媒質収容ロッド100は、エアロゾル発生装置200に収容されて1回使用後に廃棄される使い捨てシガレットであることができる。媒質収容ロッド100が使い捨てで構成される場合、約50回~100回ほどパフィングされる多回用カートリッジ形態と比較して喫味の均一性及び持続性が高い可能性がある。また、使い捨てで構成される場合、多回用で構成される場合に比べて衛生性が向上することができる。
【0059】
図3A及び図3Bは、いくつかの実施例に係るエアロゾル発生システム10を示すものであって、媒質収容ロッド100がエアロゾル発生装置200に収容された状態を例示する。図1Aは、カートリッジ220及びヒーター230が一列に配置されたエアロゾル発生システム10を示し、図1Bは、カートリッジ220及びヒーター230が並列に配置されたエアロゾル発生システム10を示している。
【0060】
図3A及び図3Bに示すように、本開示によるエアロゾル発生システム10は、エアロゾル発生装置200のヒーター230がカートリッジ220内部の液状組成物質を加熱してエアロゾルを発生させ、発生したエアロゾルが媒質収容ロッド100を通過し、媒質顆粒P、特にタバコ顆粒Pがエアロゾルによって間接的に加熱されながらニコチンが生成されることができる。上述したように、キャビティセグメント126に含まれたpH調整剤によってニコチンの最小移行可能温度が低くなる効果が発生し、タバコ葉を燃焼してニコチンが移行する場合よりも相対的に低い温度がタバコ顆粒Pに伝達される場合にもニコチンが移行することができる。このように生成されたニコチンは、エアロゾルと共に空気流路(図3A及び図3Bの矢印の方向参照)に沿ってユーザに伝達されることができる。
【0061】
図4は、一実施例に係る媒質収容ロッド100から渦気流が発生する状態を示す図である。特定の条件が満たされる場合、パフ(puff)時にキャビティセグメント126内で渦気流が発生し、発生した渦気流によって多数の媒質顆粒P、特にタバコ顆粒Pが混合しながら均一に加熱される現象が現れることができる。パフによって流入した気流がパフによって下流方向に移動する多数のタバコ顆粒Pと合って不規則な気流が形成され、これによって渦気流が発生することができる。また、発生した渦気流によって多数のタバコ顆粒Pがよく混合して均一に加熱されることができる。この場合、喫煙時に焦げ味は減少し、喫味は向上することができる。
【0062】
渦気流の発生条件として、キャビティセグメント126内の顆粒を除いた空き空間が十分に存在しなければならず、実験結果によるとタバコ顆粒Pの密度が約1.2g/cm以下の場合に渦気流の発生確率が相対的に高く、タバコ顆粒Pの直径が約1.2mm以下の場合に渦気流の発生確率が相対的に高いことが確認された。
【0063】
以上のように、実施例がたとえ限られた図面によって説明されたが、該当技術分野における通常の知識を有する者であれば、上記に基づいて様々な技術的修正及び変形を適用することができる。例えば、説明された技術が説明された方法とは異なる順序で行われるか、及び/又は説明されたシステム、構造、装置、回路などの構成要素が説明された方法とは異なる形態で結合又は組み合わせられるか、他の構成要素又は均等物によって代替又は置換されても、適切な結果を達成することができる。
【0064】
したがって、他の実施形態、他の実施例、及び特許請求の範囲と均等なものも後述する特許請求の範囲に属する。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図4