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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-27
(45)【発行日】2025-04-04
(54)【発明の名称】画像生成装置、及び選別システム
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/00 20170101AFI20250328BHJP
   G06T 5/60 20240101ALI20250328BHJP
【FI】
G06T7/00 350B
G06T5/60
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2024025711
(22)【出願日】2024-02-22
【審査請求日】2024-11-27
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】501370370
【氏名又は名称】三菱重工環境・化学エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】池田 孝
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 俊也
(72)【発明者】
【氏名】西宮 立享
【審査官】小池 正彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-067194(JP,A)
【文献】国際公開第2022/065273(WO,A1)
【文献】特開2022-160796(JP,A)
【文献】特開2017-109161(JP,A)
【文献】特開2018-169672(JP,A)
【文献】特開2020-203249(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/00
G06T 5/60
G06T 7/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
不燃物処理施設における特定の除去対象物に関する生成画像を生成する画像生成装置であって、
入力された前記除去対象物の名称を受け付ける名称取得部と、
前記名称を検索キーワードとしてインターネット上を検索することで、前記除去対象物に関する既存の画像データを取得する基礎画像取得部と、
前記画像データに基づいて機械学習を行うことで、少なくとも色彩、姿勢、及び状態の異なる前記除去対象物についての複数種類の生成画像を含む学習データを生成する画像生成部と、
を備える画像生成装置。
【請求項2】
前記画像生成部は、生成済みの前記学習データに対して、新規の前記除去対象物に関する前記画像データに基づいて新規の前記生成画像を機械学習させることで、前記学習データを強化することが可能である請求項1に記載の画像生成装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の画像生成装置を備える選別システムであって、
前記不燃物処理施設は、
不燃物を貯留する貯留部と、
該貯留部から前記不燃物を搬送する搬送部と、
搬送されている前記不燃物から前記除去対象物を取り除く除去部と、
を有し、
前記選別システムは、
該画像生成装置が生成した前記学習データに基づいて、前記除去部の動作を制御する駆動部をさらに備える選別システム。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の画像生成装置と、
該画像生成装置が生成した前記学習データに基づいて、前記不燃物処理施設における前記除去対象物の位置を作業者に知らせる通報装置と、
を備える選別システム。
【請求項5】
前記通報装置は、
作業者の視野を覆うとともに、実際の作業現場の光景を透過表示するディスプレイ部と、
前記光景に対して、前記除去対象物の存在を光によって重ねて表示する拡張現実生成部と、
を有する請求項4に記載の選別システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像生成装置、及び選別システムに関する。
【背景技術】
【0002】
廃棄処理施設では、不燃物を破砕処理するに先立って、プラットフォームと呼ばれる容器内に不燃物を貯留する。貯留された不燃物には、リチウムイオン電池を内蔵した機器やガスボンベ等、破砕によって発火や発熱を生じるもの(除去対象物)が含まれていることがある。これら除去対象物を取り除くための装置として、下記特許文献1に記載されたものが知られている。
【0003】
下記特許文献1に係る装置は、廃棄物を廃棄物処理装置に供給すべきものとそうでないものに選別して貯留するものであって、廃棄物を貯留する貯留部と、貯留部に貯留された廃棄物を種類別に選別する選別装置と、種類の違いによって選別された廃棄物を種類ごとに貯留する選別廃棄物貯留区画とを備える。選別装置は、廃棄物特性情報を検知する廃棄物特性検知手段と、廃棄物特性情報が検知された廃棄物を選別廃棄物貯留区画における廃棄物の種類に対応する区画に移動するロボットアームと、廃棄物特性情報から廃棄物の種類を特定してロボットアームを制御する制御部とを備えている。制御部は、予め入力された廃棄物特定情報に基づいて機械学習を行い、廃棄物の選別に関する学習データを生成するとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2020-203249号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、廃棄物に含まれる不燃物には、日々市場に投入される新製品や派生商品など、既存の製品群とは異なる幅広いものが含まれている。このため、新規な製品が登場するごとに迅速に学習データを生成又は強化していく必要がある。
【0006】
本開示は上記課題を解決するためになされたものであって、新規な製品を含む除去対象物に関する種々の生成画像を迅速かつ精緻に生成することが可能な画像生成装置、及び選別システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本開示に係る画像生成装置は、不燃物処理施設における特定の除去対象物に関する生成画像を生成する画像生成装置であって、入力された前記除去対象物の名称を受け付ける名称取得部と、前記名称を検索キーワードとしてインターネット上を検索することで、前記除去対象物に関する既存の画像データを取得する基礎画像取得部と、前記画像データに基づいて機械学習を行うことで、少なくとも色彩、姿勢、及び状態の異なる前記除去対象物についての複数種類の生成画像を含む学習データを生成する画像生成部と、を備える。
【0008】
本開示に係る選別システムは、の画像生成装置と、該画像生成装置が生成した前記学習データに基づいて、実際の不燃物処理施設における前記除去対象物の有無を作業者に知らせる通報装置と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、新規な製品を含む除去対象物に関する種々の生成画像を迅速かつ精緻に生成することが可能な画像生成装置、及び選別システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の第一実施形態に係る選別システムの構成を示す模式図である。
図2】本開示の第一実施形態に係る画像生成装置の機能ブロック図である。
図3】本開示の第一実施形態に係る画像生成装置の処理フローを示すフローチャートである。
図4】本開示の第一実施形態に係る選別システムの処理の流れを示す説明図である。
図5】本開示の第一実施形態に係る選別システムの機能ブロック図である。
図6】本開示の第一実施形態に係る選別システムの処理フローを示すフローチャートである。
図7】本開示の第二実施形態に係る通報装置の構成を示す模式図である。
図8】本開示の各実施形態に係るコンピュータの構成を示すハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<第一実施形態>
以下、本開示の第一実施形態に係る選別システム1、及び画像生成装置21について、図1から図6を参照して説明する。この選別システム1、及び画像生成装置21は、例えば不燃物を破砕処理する施設(不燃物処理施設)に併設される。主として、不燃物の中に含まれる特定の除去対象物100を選別/除去するために用いられる。ここで言う「特定の除去対象物100」とは、例えばリチウムイオン電池を内蔵した電子機器や、卓上で用いられるガスボンベのように、物理的な衝撃等が加わると発火/発熱する可能性のある物品である。この他、不燃物としての処理が不適な物品が特定の除去対象物100として取り扱われる。
【0012】
(選別システム1の構成)
図1に示すように、選別システム1は、選別装置10と、制御装置20と、を備える。選別システム1は、貯留部11と、搬送部12と、除去部13と、第一仕分部14と、第二仕分部15と、カメラ部16と、を有する。
【0013】
貯留部11は、不燃物を貯留する容器である。搬送部12は、例えばベルトコンベアであり、貯留部11に貯留された不燃物を順次外部へ送り出す。除去部13は、搬送部12の下流側に接続された他のベルトコンベアである。除去部13は、水平方向に回動可能に床面上で支持されている。
【0014】
通常時(つまり、不燃物に除去対象物100が含まれていない状態)には、搬送部12と直列に接続されており、その下流側の端部には、仕分済みの不燃物を貯留する第一仕分部14に接続されている。他方で、後述する制御装置20によって、搬送中の不燃物に除去対象物100が含まれていると判断された場合、除去部13が回動する。これにより、除去部13は、第一仕分部14と隣接する第二仕分部15に除去対象物100を投入する。このようにして、除去対象物100と、残余の不燃物とが選別される。
【0015】
カメラ部16は、上記の搬送部12上を搬送される不燃物の群を可視光やX線、又は赤外線によって撮像する。カメラ部16が取得した画像又は動画は、電気信号として制御装置20に送られる。制御装置20は、この画像又は動画に基づいて、除去対象物100の有無を特定し、除去部13の駆動をコントロールする。
【0016】
(制御装置20の構成)
図1に示すように、制御装置20は、画像生成装置21と、検知装置22と、を有する。画像生成装置21は、除去対象物100を特定するための生成画像(後述)を生成する。検知装置22は、この生成画像に基づいて、カメラから得られた画像又は動画との対比結果に基づいて、除去対象物100の有無を検知する。
【0017】
(画像生成装置21の構成)
図2に示すように、画像生成装置21は、名称取得部31と、基礎画像取得部32と、画像生成部33と、記憶部34と、を有する。
【0018】
名称取得部31は、作業者が入力したテキストとしての除去対象物100の名称を受け付ける。ここで言う「名称」とは、例えば市場に出回っているスマートフォンやスマートウォッチななどを含む電子機器のモデル名やメーカー名、又は型番、通称や略称等、除去対象物100を特定するに当たってのキーワードとなる語句である。
【0019】
基礎画像取得部32は、名称取得部31が取得した名称を検索キーワードとして、インターネット上の検索エンジンを用いて当該名称に該当する物品の画像データ(基礎画像と呼ぶ。)を取得する。基礎画像は多ければ多いほどよく、例えばメーカーの商品紹介画像や、口コミサイト、通信販売サイト等で掲載されている画像が好適に用いられる。つまり、基礎画像は、当該物品の正常時又は未使用時の外観を示す画像であると言える。
【0020】
画像生成部33は、上記の複数の基礎画像に基づいて、AIの機械学習によって生成画像を生成する。ここで言う「生成画像」とは、除去対象物100となる物品の様々な色、姿勢、角度、又は状態が異なる複数種類の画像を指す。より具体的には、当該物品の色違いのモデルの画像や、劣化して一部が破損した状態の画像、又は他の物品に埋もれて一部のみ視認できる状態の画像、さらには拡大縮小,変形回転させる演算処理を施した画像等、生成画像の種類は多岐にわたることが望ましい。例えば、基礎画像として正面、及び斜め前方から撮影した物品の画像データが得られた場合、画像生成部33は、これら2つの画像同士の間を補完するように、あらゆる角度から見た物品の生成画像を生成する。
【0021】
このような生成画像を得るための手法の一例としては、以下のものが挙げられる。画像生成部33は、例えば、敵対的生成ネットワーク(GANs)を実行することにより所定の画像を生成する。具体例として、画像生成部33は、敵対的生成ネットワーク(GANs)を用いてラスター形式の第1画像を生成する。例えば、GANsは、以下の手法のいずれかを用いることが可能である。
(1)pix2pix
条件画像と画像のペアから画像同士の関係を学習することで、1枚の画像から学習したペ
アの画像関係を補完した画像が生成される。
(2)CycleGAN
2組の画像を使い、一方の画像から他方の画像を生成し、他方の画像から一方の画像に戻
した時に(サイクルした時に)精度が高くなるように学習させる。
(3)CGAN((Conditional GAN)
条件付きGANと呼ばれ、生成器と識別器に画像データに加えて追加の情報を与えること
で、条件付けができるように訓練を行う。
(4)DCGAN(Deep Convolutional GAN)
DCGANは広い意味でCGANの一種であり、オリジナルGANとの大きな違いは、生
成器(generator)と識別器(Discriminator)それぞれのネットワークに全結合層ではな
く、畳み込み層と転置畳み込み層を使用し、画像が生成される。
(5)PGGAN(Progressive Growing GAN)
PGGANとDCGANとは異なり、段階的に学習データの解像度を上げて行き、これに
合わせて生成器と識別器のネットワークもその対象構造を保ったまま層を追加して解像度
を上げていくことで、画像が生成される。
(6)BigGAN
生成器に直行正規化を用い、最大で512x512ピクセルの高解像度画像を条件付きで
生成するモデルを用いて、画像が生成される。
(7)StyleGAN
低解像度の学習から初めて、モデルに徐々に高い解像度に対応した層を加えながら学習を
進めるprogressive growingを用いることで、画像が生成される。
(8)StackGAN
GANを多段構成にすることによって、最初のステージのGANで大枠をとらえた低解像
度な画像が生成され、以降のステージのGANでより高解像度な画像が生成される。
(9)AttnGAN
画像のキャプションのようなテキストによる描写の個々の単語に注意を払うことにより、
画像のさまざまなサブ領域で詳細を合成することが、画像が生成される。
上述した手法はGANsの一例であり、その他のGANsの手法が用いられてもよい。
【0022】
以上により取得された生成画像は、記憶部34に格納される。
【0023】
(画像生成装置21の処理フロー)
図3に示すように、画像生成装置21では、名称取得部31が作業者から入力された名称を受け付ける(ステップS1)。次いで、基礎画像取得部32が、名称に基づくインターネット検索によって基礎画像を取得する(ステップS2,S3)。最後に、画像生成部33が生成画像を生成する(ステップS4)。
【0024】
(検知装置22の構成)
図5に示すように、検知装置22は、カメラ画像取得部41と、生成画像取得部42と、対比部43と、駆動部44と、第二記憶部45と、を有する。
【0025】
カメラ画像取得部41は、上述したカメラ部16から不燃物を被写体とする画像又は動画を取得する。生成画像取得部42は、上記の画像生成装置21によって生成された生成画像を取得する。対比部43は、カメラ画像と生成画像とを対比して、カメラ画像中に除去対象物100が含まれているか否かを判定する。例えば、生成画像に含まれる除去対象物100の特徴点が、カメラ画像中に存在するか否かに基づいてこの判定が行われる。この判定も、画像生成と同様にAIによって実現されていることが望ましい。駆動部44は、対比部43の判定結果に基づいて、除去部13の動作をコントロールする。
【0026】
(検知装置22の処理フロー)
検知装置22では、まずカメラ画像取得部41がカメラ画像を取得する(ステップS11)。次に、生成画像取得部42が、生成画像を取得する(ステップS12)。ステップS13で、対比部43がカメラ画像と生成画像とを対比する(ステップS13)。次いで、ステップS14で、除去対象物100がカメラ画像に含まれていると判定された場合(ステップS14:Yes)、駆動部44が除去部13を回動させて、当該除去対象物100を第二仕分部15に搬送する。除去対象物100の搬送が完了すると、駆動部44は除去部13を初期の位置・姿勢に復帰させる(ステップS15)。ステップS14でNoと判定された場合は、ステップS11に戻って処理を行う。
【0027】
以上のような選別システム1におけるデータと各構成要素の関係は、図4に示す通りとなっている。なお、同図中、画像判定機とは、生成画像の適否を判定する装置であり、画像生成部33の一部として備えられている。即ち、画像判定機は、記憶部34に格納された既存のデータとの類似性を評価して、対比部43が用いる生成画像として適正であるか否かを判断する。また、同図中における検知AIは対比部43の機能として備わっている。
【0028】
(作用効果)
ここで、貯留部11に貯留された不燃物には、リチウムイオン電池を内蔵した機器やガスボンベ等、破砕によって発火や発熱を生じるもの(除去対象物100)が含まれていることがある。また、このような除去対象物100には、日々市場に投入される新製品や派生商品など、既存の製品群とは異なる幅広いものが含まれている。このため、新規な製品が登場するごとに迅速に機械学習の学習データを生成又は強化していく必要がある。ところが、従来は、一度学習データを生成してしまうと、その後の自律的な強化学習等が行えず、生成画像が陳腐化してしまうという課題があった。この課題を解決するために、本実施形態では上述の各構成を採用している。
【0029】
上記構成によれば、特定の除去対象物100の名称を検索キーワードとしてインターネット上を検索することで、当該除去対象物100の既存の画像データを取得する。画像生成部33は、当該画像データに基づいて機械学習を行うことで、色彩や、姿勢、状態が異なる除去対象物100のあらゆる種類の生成画像を生成する。これにより、例えば市場に新規な製品が投入された際にも、名称を入力することのみによって、当該製品(除去対象物100)の様々な状態、角度、姿勢、又は色彩を伴う生成画像や、当該製品が他の廃棄物に埋もれている状態の生成画像を直ちに得ることができる。その結果、不燃物処理施設における当該除去対象物100の特定と除去を高い精度のもとで迅速に行うことが可能となる。したがって、不燃物処理施設を従来よりも安定的かつ円滑に運用し続けることができる。
【0030】
上記構成によれば、新規の除去対象物100に関する画像データを都度インターネット上から取得した上で、既存の学習データを都度更新し、強化することができる。これにより、学習データを常に最新の状態で維持し続けることが可能となる。したがって、市場に新規な製品が投入され、当該製品が不燃物として廃棄された際に除去対象物100に該当する場合には、直ちに当該製品に係る生成画像を生成することができる。その結果、不燃物処理施設における当該除去対象物100の特定と除去を高い精度のもとで迅速に行うことが可能となる。したがって、不燃物処理施設を従来よりも安定的かつ円滑に運用し続けることができる。
【0031】
上記構成によれば、画像生成装置21が生成した学習データに基づいて、実際の不燃物の画像と対比することで、特定の除去対象物100を不燃物群の中で特定することができる。さらに、除去部13を随時動作させることによって、除去対象物100のみを群の中から直ちに除去することができる。これにより、不燃物処理施設における当該除去対象物100の特定と除去を高い精度のもとで迅速に行うことが可能となる。したがって、不燃物処理施設を従来よりも安定的かつ円滑に運用し続けることができる。
【0032】
以上、本開示の第一実施形態について説明した。なお、本開示の要旨を逸脱しない限りにおいて、上記の構成に種々の変更や改修を施すことが可能である。
【0033】
例えば、上述の除去部13の構成は一例であって、コンベア以外にもロボットアームを除去部13として用いることが可能である。この場合、コンベアよりも精緻かつ的確に除去対象物100を捕捉/除去できる点で有利である。
【0034】
<第二実施形態>
次に、本開示の第二実施形態について、図7を参照して説明する。なお、上記第一実施形態と同様の構成については同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0035】
本実施形態では、上述の画像生成装置21、及び検知装置22に加えて、通報装置50をさらに備えている。通報装置50は、生成画像に基づいて、実際の貯留部11内で作業を行う作業者に、除去対象物100の有無、及びその位置を知らせるための装置である。
【0036】
図7に示すように、通報装置50は、ディスプレイ部51と、拡張現実生成部52と、を有する。ディスプレイ部51は、ヘッドマウントディスプレイや、眼鏡状のディスプレイであり、作業者の視野を覆うとともに、実際の作業現場の光景を透過表示することが可能である。拡張現実生成部52は、ディスプレイ部51上で透過表示された実際の光景に対して、検知装置22で特定された除去対象物100の存在を光によって重ねて表示する。具体的には、当該除去対象物100の輪郭を光で強調表示したり、周囲と異なる色彩で表示したりすることによって、除去対象物100の存在を周囲と区別して作業者に知覚させることが可能である。また、音による通報を併用してもよい。
【0037】
(作用効果)
上記構成によれば、画像生成装置21が生成した学習データに基づいて、実際の処理施設における除去対象物100の位置を通報装置50が作業者に知らせる。これにより、作業者は当該除去対象物100の位置を容易に特定し、これを除去する作業を行うことが可能となる。
【0038】
上記構成によれば、ディスプレイ部51を作業者が装着した状態で、自身の視野に対して、拡張現実としての除去対象物100の存在位置を光によって表示させることができる。これにより、作業者はハンズフリーの状態で作業を継続することができるため、作業の効率性や安全性をさらに向上させることが可能となる。
【0039】
(その他の実施形態)
以上、本開示の実施の形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0040】
なお、本開示の実施形態における制御装置20は、適切な処理が行われる範囲において、処理の順番が入れ替わってもよい。
【0041】
本開示の実施形態における記憶部34、及び第二記憶部45、その他の記憶装置のそれぞれは、適切な情報の送受信が行われる範囲においてどこに備えられていてもよい。また、記憶部34、その他の記憶装置のそれぞれは、適切な情報の送受信が行われる範囲において複数存在しデータを分散して記憶していてもよい。
【0042】
上述した制御装置20による処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ200が読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータ200が読み出して実行することによって、上記処理が行われる。コンピュータ200の具体例を以下に示す。
【0043】
図8に示すように、コンピュータ200は、CPU201と、メインメモリ202と、ストレージ203と、インターフェース204と、を備える。
例えば、上述の制御装置20はコンピュータ200に実装される。そして、上述した各処理部の動作は、プログラムの形式でストレージ203に記憶されている。CPU201は、プログラムをストレージ203から読み出してメインメモリ202に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、CPU201は、プログラムに従って、上述した記憶部34に対応する記憶領域をメインメモリ202に確保する。
【0044】
ストレージ203の例としては、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、半導体メモリ等が挙げられる。ストレージ203は、コンピュータ200のバスに直接接続された内部メディアであってもよいし、インターフェース204または通信回線を介してコンピュータ200に接続される外部メディアであってもよい。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ200に配信される場合、配信を受けたコンピュータ200が当該プログラムをメインメモリ202に展開し、上記処理を実行してもよい。なお、ストレージ203は、一時的でない有形の記憶媒体である。
【0045】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現してもよい。さらに、上記プログラムは、前述した機能をコンピュータ200にすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるファイル、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0046】
なお、上記構成に加えて、または上記構成に代えてPLD(Programmable Logic Device)などのカスタムLSI(Large Scale Integrated Circuit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、GPU(Graphics Processing Unit)、及びこれらに類する処理装置を備えてもよい。PLDの例としては、PAL(Programmable Array Logic)、GAL(Generic Array Logic)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)が挙げられる。この場合、プロセッサによって実現される機能の一部または全部が当該集積回路によって実現されてよい。
【0047】
<付記>
各実施形態に記載の画像生成装置21、及び選別システム1は、例えば以下のように把握される。
【0048】
(1)第1の態様に係る画像生成装置21は、不燃物処理施設における特定の除去対象物100に関する生成画像を生成する画像生成装置21であって、入力された前記除去対象物100の名称を受け付ける名称取得部31と、前記名称を検索キーワードとしてインターネット上を検索することで、前記除去対象物100に関する既存の画像データを取得する基礎画像取得部32と、前記画像データに基づいて機械学習を行うことで、少なくとも色彩、姿勢、及び状態の異なる前記除去対象物100についての複数種類の生成画像を含む学習データを生成する画像生成部33と、を備える。
【0049】
上記構成によれば、例えば市場に新規な製品が投入された際にも、名称を入力することのみによって、当該製品(除去対象物100)の様々な状態、角度、姿勢、又は色彩を伴う生成画像や、当該製品が他の廃棄物に埋もれている状態の生成画像を直ちに得ることができる。
【0050】
(2)第2の態様に係る画像生成装置21は、(1)の画像生成装置21であって、前記画像生成部33は、生成済みの前記学習データに対して、新規の前記除去対象物100に関する前記画像データに基づいて新規の前記生成画像を機械学習させることで、前記学習データを強化することが可能である。
【0051】
上記構成によれば、学習データを常に最新の状態で維持し続けることが可能となる。
【0052】
(3)第3の態様に係る選別システム1は、(1)又は(2)の画像生成装置21を備える選別システム1であって、前記不燃物処理施設は、不燃物を貯留する貯留部11と、該貯留部11から前記不燃物を搬送する搬送部12と、搬送されている前記不燃物から前記除去対象物100を取り除く除去部13と、を有し、前記選別システム1は、該画像生成装置21が生成した前記学習データに基づいて、前記除去部13の動作を制御する駆動部44をさらに備える。
【0053】
上記構成によれば、除去部13を随時動作させることによって、除去対象物100のみを群の中から直ちに除去することができる。
【0054】
(4)第4の態様に係る選別システム1は、(1)又は(2)の画像生成装置21と、該画像生成装置21が生成した前記学習データに基づいて、前記不燃物処理施設における前記除去対象物100の位置を作業者に知らせる通報装置50と、を備える。
【0055】
上記構成によれば、作業者は当該除去対象物100の位置を容易に特定し、これを除去する作業を行うことが可能となる。
【0056】
(5)第5の態様に係る選別システム1は、(4)の選別システム1であって、前記通報装置50は、作業者の視野を覆うとともに、実際の作業現場の光景を透過表示するディスプレイ部51と、前記光景に対して、前記除去対象物100の存在を光によって重ねて表示する拡張現実生成部52と、を有する。
【0057】
上記構成によれば、作業の効率性や安全性をさらに向上させることが可能となる。
【符号の説明】
【0058】
1…選別システム 10…選別装置 11…貯留部 12…搬送部 13…除去部 14…第一仕分部 15…第二仕分部 16…カメラ部 20…制御装置 21…画像生成装置 22…検知装置 31…名称取得部 32…基礎画像取得部 33…画像生成部 34…記憶部 41…カメラ画像取得部 42…生成画像取得部 43…対比部 44…駆動部 45…第二記憶部 50…通報装置 51…ディスプレイ部 52…拡張現実生成部 100…除去対象物 200…コンピュータ 201…CPU 202…メインメモリ 203…ストレージ 204…インターフェース
【要約】
【課題】新規な製品を含む除去対象物に関する種々の生成画像を迅速かつ精緻に生成することが可能な画像生成装置、及び選別システムを提供する。
【解決手段】画像生成装置は、入力された前記除去対象物の名称を受け付ける名称取得部と、名称を検索キーワードとしてインターネット上を検索することで、除去対象物に関する既存の画像データを取得する基礎画像取得部と、画像データに基づいて機械学習を行うことで、少なくとも色彩、姿勢、及び状態の異なる除去対象物についての複数種類の生成画像を含む学習データを生成する画像生成部と、を備える。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8