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特許7657358吸気ケーシング、この吸気ケーシングを備える軸流圧縮機、この軸流圧縮機を備えるガスタービン
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  • 特許-吸気ケーシング、この吸気ケーシングを備える軸流圧縮機、この軸流圧縮機を備えるガスタービン 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-27
(45)【発行日】2025-04-04
(54)【発明の名称】吸気ケーシング、この吸気ケーシングを備える軸流圧縮機、この軸流圧縮機を備えるガスタービン
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/54 20060101AFI20250328BHJP
   F02C 7/04 20060101ALI20250328BHJP
【FI】
F04D29/54 C
F02C7/04
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2024186192
(22)【出願日】2024-10-22
【審査請求日】2024-10-22
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】下条 健悟
(72)【発明者】
【氏名】奥井 英貴
(72)【発明者】
【氏名】森田 大輔
【審査官】石黒 雄一
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-207619(JP,A)
【文献】特開2006-037877(JP,A)
【文献】実開昭57-053077(JP,U)
【文献】独国特許出願公開第04326800(DE,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0243586(US,A1)
【文献】特開2009-174331(JP,A)
【文献】国際公開第2008/075747(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0111458(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 1/00-35/00
F02C 1/00- 9/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線周りに回転可能な圧縮機ロータを覆う圧縮機ケーシング内に空気を導入可能な吸気ケーシングにおいて、
前記軸線周りに環状の導入環状流路と、前記導入環状流路の外周側から前記導入環状流路内に空気を導入可能な導入流路と、が形成されている吸気室ケーシングと、
前記軸線周りに環状で、前記導入環状流路から空気を前記圧縮機ケーシング内に導入可能な吸気流路が形成されているベルマウスと、
前記導入環状流路内であって、前記軸線を基準にして前記導入流路とは反対側の領域内に配置されている仕切板と、
前記吸気流路内に、前記軸線に対する周方向に並んで配置されている複数のストラットと、
を備え、
前記ベルマウスは、前記吸気室ケーシングに対して、前記軸線が延びる軸線方向における軸線上流側と軸線下流側のとのうちの前記軸線下流側に配置され、前記吸気流路と前記導入環状流路とが連通可能に、前記吸気室ケーシングに接続され、
前記仕切板は、環状の前記導入環状流路の外周縁から前記軸線に対する径方向内側に延びて、前記導入環状流路内を前記周方向の一方側と他方側とに仕切り、
前記複数のストラットは、それぞれ、環状の前記吸気流路の内周縁から前記吸気流路の外周縁まで前記軸線に対する径方向外側に延び、
前記複数のストラットのうち、一のストラットの前記周方向の位置は、前記仕切板の前記周方向の位置に対して、前記周方向に±2.5°以内の位置であり、
前記複数のストラットのいずれもが、前記仕切板に接続されておらず、前記仕切板とは別体である、
吸気ケーシング。
【請求項2】
軸線周りに回転可能な圧縮機ロータを覆う圧縮機ケーシング内に空気を導入可能な吸気ケーシングにおいて、
前記軸線周りに環状の導入環状流路と、前記導入環状流路の外周側から前記導入環状流路内に空気を導入可能な導入流路と、が形成されている吸気室ケーシングと、
前記軸線周りに環状で、前記導入環状流路から空気を前記圧縮機ケーシング内に導入可能な吸気流路が形成されているベルマウスと、
前記導入環状流路内であって、前記軸線を基準にして前記導入流路とは反対側の領域内に配置されている仕切板と、
前記吸気流路内に、前記軸線に対する周方向に並んで配置されている複数のストラットと、
を備え、
前記ベルマウスは、前記吸気室ケーシングに対して、前記軸線が延びる軸線方向における軸線上流側と軸線下流側のとのうちの前記軸線下流側に配置され、前記吸気流路と前記導入環状流路とが連通可能に、前記吸気室ケーシングに接続され、
前記仕切板は、環状の前記導入環状流路の外周縁から前記軸線に対する径方向内側に延びて、前記導入環状流路内を前記周方向の一方側と他方側とに仕切り、
前記複数のストラットは、それぞれ、環状の前記吸気流路の内周縁から前記吸気流路の外周縁まで前記軸線に対する径方向外側に延び、
前記複数のストラットのうち、一のストラットの前記周方向における存在領域の少なくとも一部は、前記仕切板の前記周方向における存在領域と前記周方向で重なっており、
前記複数のストラットのいずれもが、前記仕切板に接続されておらず、前記仕切板とは別体である、
吸気ケーシング。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の吸気ケーシングにおいて
前記導入環状流路の前記外周縁は、前記ベルマウスの前記吸気室ケーシングとの接続位置における前記吸気流路の前記外周縁よりも前記径方向外側に位置し、
前記仕切板は、前記導入環状流路の前記外周縁から、前記接続位置における前記吸気流路の前記外周縁の位置以内の位置まで、前記径方向内側に延びている、
吸気ケーシング。
【請求項4】
請求項1又は2のいずれか一項に記載の吸気ケーシングにおいて
前記仕切板の剛性は、前記複数のストラットのそれぞれの剛性よりも低い、
吸気ケーシング。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の吸気ケーシングと、
前記圧縮機ロータと、
前記圧縮機ケーシングと、
を有する、
軸流圧縮機。
【請求項6】
請求項5に記載の軸流圧縮機と、
前記軸流圧縮機で圧縮された空気中で燃料を燃焼させて燃焼ガスを生成可能な燃焼器と、
前記燃焼ガスで駆動可能なタービンと、
を備えるガスタービン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、吸気ケーシング、この吸気ケーシングを備える軸流圧縮機、この軸流圧縮機を備えるガスタービンに関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンは、空気を圧縮して圧縮空気を生成可能な軸流圧縮機と、圧縮空気中で燃料を燃焼させて燃焼ガスを生成可能な燃焼器と、燃焼ガスで駆動可能なタービンと、吸気ケーシングと、中間ケーシングと、を有する。
【0003】
軸流圧縮機は、軸線を中心として回転可能な圧縮機ロータと、圧縮機ロータを覆う圧縮機ケーシングと、圧縮機ケーシング内に空気を導く吸気ケーシングと、を有する。タービンは、圧縮機に対して軸線下流側に配置されている。このタービンは、軸線を中心として回転可能なタービンロータと、タービンロータを覆うタービンケーシングと、を有する。タービンロータは、圧縮機ロータに接続されている。
【0004】
吸気ケーシングは、圧縮機ケーシング内に空気を導けるよう、圧縮機ケーシングの軸線上流側の端に接続されている。中間ケーシングは、軸線方向における圧縮機ケーシングとタービンケーシングとの間に配置されている。燃焼器は、軸流圧縮機から中間ケーシング内に吐出された圧縮空気が流入可能に、中間ケーシングに取り付けられている。
【0005】
以下の特許文献1には、軸流圧縮機の吸気ケーシングについて記載されている。この吸気ケーシングは、吸気室ケーシングと、仕切板と、を有する。吸気室ケーシングには、軸線周りに環状の導入環状流路と、導入環状流路の外周側から導入環状流路内に空気を導入可能な導入流路と、が形成されている。仕切板は、導入環状流路内であって、軸線を基準にして導入流路とは反対側の領域内に配置されている。この仕切板は、環状の導入環状流路の外周縁から軸線に対する径方向内側に延びて、導入環状流路内を周方向の一方側と他方側とに仕切る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2012-207619号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
吸気ケーシングには、吸気抵抗を抑えて空気を軸流圧縮機の本体ケーシング内に効率的に導くことが要求される。
【0008】
そこで、本開示は、吸気抵抗を抑えることができる吸気ケーシング、この吸気ケーシングを備える軸流圧縮機、この軸流圧縮機を備えるガスタービンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するための一態様としての吸気ケーシングは、軸線周りに回転可能な圧縮機ロータを覆う圧縮機ケーシング内に空気を導入可能な吸気ケーシングである。
この吸気ケーシングは、前記軸線周りに環状の導入環状流路と、前記導入環状流路の外周側から前記導入環状流路内に空気を導入可能な導入流路と、が形成されている吸気室ケーシングと、前記軸線周りに環状で、前記導入環状流路から空気を前記圧縮機ケーシング内に導入可能な吸気流路が形成されているベルマウスと、前記導入環状流路内であって、前記軸線を基準にして前記導入流路とは反対側の領域内に配置されている仕切板と、前記吸気流路内に、前記軸線に対する周方向に並んで配置されている複数のストラットと、を備える。前記ベルマウスは、前記吸気室ケーシングに対して、前記軸線が延びる軸線方向における軸線上流側と軸線下流側のとのうちの前記軸線下流側に配置され、前記吸気流路と前記導入環状流路とが連通可能に、前記吸気室ケーシングに接続されている。前記仕切板は、環状の前記導入環状流路の外周縁から前記軸線に対する径方向内側に延びて、前記導入環状流路内を前記周方向の一方側と他方側とに仕切る。前記複数のストラットは、それぞれ、環状の前記吸気流路の内周縁から前記吸気流路の外周縁まで前記軸線に対する径方向外側に延びている。前記複数のストラットのうち、一のストラットの前記周方向の位置は、前記仕切板の前記周方向の位置に対して、前記周方向に±2.5°以内の位置である。前記複数のストラットのいずれもが、前記仕切板に接続されておらず、前記仕切板とは別体である。
【0010】
前記目的を達成するための他の態様としての吸気ケーシングは、軸線周りに回転可能な圧縮機ロータを覆う圧縮機ケーシング内に空気を導入可能な吸気ケーシングである。
この吸気ケーシングは、前記軸線周りに環状の導入環状流路と、前記導入環状流路の外周側から前記導入環状流路内に空気を導入可能な導入流路と、が形成されている吸気室ケーシングと、前記軸線周りに環状で、前記導入環状流路から空気を前記圧縮機ケーシング内に導入可能な吸気流路が形成されているベルマウスと、前記導入環状流路内であって、前記軸線を基準にして前記導入流路とは反対側の領域内に配置されている仕切板と、前記吸気流路内に、前記軸線に対する周方向に並んで配置されている複数のストラットと、を備える。前記ベルマウスは、前記吸気室ケーシングに対して、前記軸線が延びる軸線方向における軸線上流側と軸線下流側のとのうちの前記軸線下流側に配置され、前記吸気流路と前記導入環状流路とが連通可能に、前記吸気室ケーシングに接続されている。前記仕切板は、環状の前記導入環状流路の外周縁から前記軸線に対する径方向内側に延びて、前記導入環状流路内を前記周方向の一方側と他方側とに仕切る。前記複数のストラットは、それぞれ、環状の前記吸気流路の内周縁から前記吸気流路の外周縁まで前記軸線に対する径方向外側に延びている。前記複数のストラットのうち、一のストラットの前記周方向における存在領域の少なくとも一部は、前記仕切板の前記周方向における存在領域と前記周方向で重なっている。前記複数のストラットのいずれもが、前記仕切板に接続されておらず、前記仕切板とは別体である。
【0011】
前記一態様、及び前記他の本態様では、導入流路から導入環状流路に流入した空気のうち、仕切板の近くにまで至った空気が、径方向内側で且つ軸線下流側に向かう過程、つまり吸気流路に流入する過程で、吸気流路内のストラットがこの空気の流れの障害にほとんどならない。このため、仕切板の近くにまで至った空気が吸気流路に流入する過程で、この空気の渦流れがほとんど生じない。つまり、前記一態様、及び前記他の本態様おける吸気ケーシングでは、空気が吸気室ケーシング内からベルマウス内にスムーズに流入する。よって、前記一態様、及び前記他の本態様における吸気ケーシングでは、吸気抵抗を抑えて空気を圧縮機の圧縮機ケーシング内に効率的に導くことができる。
【0012】
前記目的を達成するための一態様としての軸流圧縮機は、
前記一態様又は前記他の態様における吸気ケーシングと、前記圧縮機ロータと、前記圧縮機ケーシングと、を有する。
【0013】
前記目的を達成するための一態様としてのガスタービンは、
前記一態様としての軸流圧縮機と、前記軸流圧縮機で圧縮された空気中で燃料を燃焼させて燃焼ガスを生成可能な燃焼器と、前記燃焼ガスで駆動可能なタービンと、を備える。
【発明の効果】
【0014】
本開示の一態様では、吸気抵抗を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本開示に係る一実施形態におけるガスタービンの模式的断面図である。
図2】本開示に係る一実施形態における吸気ケーシングの断面図である。
図3図2におけるIII-III線断面図である。
図4】比較例における吸気ケーシングの断面図である。
図5図4におけるV-V線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本開示に係る、吸気ケーシング、この吸気ケーシングを備える軸流圧縮機、この軸流圧縮機を備えるガスタービンの実施形態について、図面を参照して説明する。
【0017】
「軸流圧縮機及びこの軸流圧縮機を備えるガスタービンの実施形態」
以下、本実施形態におけるガスタービンの実施形態について、図1を参照して説明する。
【0018】
本実施形態におけるガスタービンは、空気Aを圧縮して圧縮空気Acomを生成可能な軸流圧縮機(以下、単に圧縮機とする。)30と、圧縮空気Acom中で燃料Fを燃焼させて燃焼ガスGを生成する複数の燃焼器10と、高温高圧の燃焼ガスGにより駆動するタービン20と、中間ケーシング5と、前軸受け2fと、後軸受け2bと、を備える。
【0019】
圧縮機30は、軸線Arを中心として回転可能な圧縮機ロータ31と、圧縮機ロータ31を覆う圧縮機ケーシング32と、複数の圧縮機静翼列33と、吸気量調節機34と、吸気ケーシング40と、を有する。タービン20は、軸線Arを中心として回転可能なタービンロータ21と、タービンロータ21を覆うタービンケーシング22と、複数のタービン静翼列23と、排気ケーシング25と、を有する。
【0020】
なお、以下では、軸線Arが延びる方向を軸線方向Da、軸線方向Daにおける一方側を軸線上流側Dau、軸線方向Daにおける他方側を軸線下流側Dadとする。また、軸線Arを中心とした周方向を単に周方向Dcとする。また、軸線Arに対して垂直な方向を径方向Drとし、径方向Drで軸線Arに近づく側を径方向内側Dri、その反対側を径方向外側Droとする。
【0021】
圧縮機30は、タービン20に対して軸線上流側Dauに配置されている。圧縮機ロータ31は、軸線Arを中心として軸線方向Daに延びる圧縮機ロータ軸31sと、この圧縮機ロータ軸31sに取り付けられている複数の圧縮機動翼列31bと、を有する。複数の圧縮機動翼列31bは、軸線方向Daに並んでいる。各圧縮機動翼列31bは、いずれも、周方向Dcに並んでいる複数の動翼で構成されている。複数の圧縮機動翼列31bの各軸線下流側Dadには、複数の圧縮機静翼列33のうちのいずれか一つの圧縮機静翼列33が配置されている。各圧縮機静翼列33は、圧縮機ケーシング32の内側に取り付けられている。各圧縮機静翼列33は、いずれも、周方向Dcに並んでいる複数の静翼で構成されている。吸気量調節機34は、複数の入口案内翼34vと、各入口案内翼34vの向きを変更できる駆動器34dと、を有する。複数の入口案内翼34vは、複数の圧縮機動翼列31bよりも軸線上流側Dauに配置されている。複数の入口案内翼34vは、周方向Dcに並んで配置されている。
【0022】
吸気ケーシング40は、圧縮機ケーシング32の軸線上流側Dauに配置され、この圧縮機ケーシング32の軸線上流側Dauの端に接続されている。この吸気ケーシング40は、外部からの空気Aを圧縮機ケーシング32内に導けるよう構成されている。
【0023】
タービンロータ21は、軸線Arを中心として軸線方向Daに延びるタービンロータ軸21sと、このタービンロータ軸21sに取り付けられている複数のタービン動翼列21bと、を有する。複数のタービン動翼列21bは、軸線方向Daに並んでいる。各タービン動翼列21bは、いずれも、周方向Dcに並んでいる複数の動翼で構成されている。複数のタービン動翼列21bの各軸線上流側Dauには、複数のタービン静翼列23のうちのいずれか一つのタービン静翼列23が配置されている。各タービン静翼列23は、タービンケーシング22の内側に取り付けられている。各タービン静翼列23は、いずれも、周方向Dcに並んでいる複数の静翼で構成されている。
【0024】
排気ケーシング25は、タービンケーシング22の軸線上流側Dauの端に接続されている。排気ケーシング25は、排気内側ケーシング25iと、排気外側ケーシング25oと、複数の排気ストラット26と、を有する。排気内側ケーシング25iは、軸線Arを中心として筒状を成し、タービンロータ軸21s中で、複数のタービン動翼列21bより軸線下流側Dadの部分を覆う。排気外側ケーシング25oは、軸線Arを中心として筒状を成し、排気内側ケーシング25iに対して径方向外側Droに間隔をあけて配置されている。排気外側ケーシング25oの軸線上流側Dauの端は、タービンケーシング22の軸線下流側Dadの端に接続されている。径方向Drで排気内側ケーシング25iと排気外側ケーシング25oとの間の空間が、タービンケーシング22から排気された燃焼ガスGである排気ガスが流れる排気通路を形成する。複数の排気ストラット26は、排気内側ケーシング25iと排気外側ケーシング25oとの間で周方向Dcに並んでいる。排気ストラット26の径方向内側Driの端は、排気内側ケーシング25iに接続されている。排気ストラット26の径方向外側Droの端は、排気外側ケーシング25oに接続されている。
【0025】
中間ケーシング5は、軸線方向Daで、圧縮機30の圧縮機ケーシング32とタービンケーシング22との間に配置されている。中間ケーシング5の軸線上流側Dauの端は、圧縮機ケーシング32の軸線下流側Dadの端に接続されている。中間ケーシング5の軸線下流側Dadの端は、タービンケーシング22の軸線上流側Dauの端に接続されている。複数の燃焼器10は、周方向Dcに並んで中間ケーシング5に取り付けられている。
【0026】
圧縮機ロータ31とタービンロータ21とは、同一軸線Ar上に位置し、互いに接続されてガスタービンロータ1を成す。このガスタービンロータ1には、例えば、発電機GENのロータが接続される。ガスタービンロータ1の軸線上流側Dauの部分は、前軸受け2fにより回転可能に支持されている。ガスタービンロータ1の軸線下流側Dadの部分は、後軸受け2bにより回転可能に支持されている。前軸受け2fは、軸線方向Daで、吸気ケーシング40が存在する位置に配置されている。後軸受け2bは、軸線方向Daで、複数の排気ストラット26が存在する位置に配置されている。この後軸受け2bは、排気内側ケーシング25iを介して、複数の排気ストラット26により支持されている。
【0027】
圧縮機30は、空気Aを吸込んで、この空気Aを圧縮する。圧縮された空気A、つまり圧縮空気Acomは、圧縮機30から中間ケーシング5内に流入する。この圧縮空気Acomは、中間ケーシング5に取り付けられている複数の燃焼器10内に流入する。また、複数の燃焼器10内には、外部から燃料Fが供給される。複数の燃焼器10内では、圧縮空気Acom中で燃料Fが燃焼して、高温高圧の燃焼ガスGが生成される。この燃焼ガスGは、タービンケーシング22内に流入する。タービンロータ21は、タービンケーシング22内に流入した燃焼ガスGにより回転する。タービンケーシング22から排気された燃焼ガスGは、排気ケーシング25を介して、排気ガスとして外部に排気される。
【0028】
「吸気ケーシングの実施形態」
以下、以上で説明した吸気ケーシング40について、図2図5を参照して、詳細に説明する。
【0029】
図2及び図3に示すように、本実施形態における吸気ケーシング40は、外部からの空気Aが流入可能な吸気室ケーシング41と、吸気室ケーシング41からの空気Aを圧縮機ケーシング32内に導入可能なベルマウス51と、吸気ケーシング40内に配置されている仕切板47と、ベルマウス51内に配置されている複数の吸気ストラット(以下、単にストラットとする。)56と、を備える。
【0030】
吸気室ケーシング41には、軸線Ar周りに環状の導入環状流路43と、導入環状流路43の外周側から導入環状流路43内に空気Aを導入可能な導入流路42と、が形成されている。この導入流路42は、導入環状流路43の外周側であって、この導入環状流路43の上側に位置して、鉛直方向に延びている。よって、この導入流路42は、軸線Arの鉛直方向上側に配置されている。この導入流路42の鉛直方向上側の縁は、外部からの空気Aが流入する吸気口42iを成す。
【0031】
吸気室ケーシング41は、導入流路42及び導入環状流路43における軸線上流側Dauの縁を画定する前板44と、導入流路42における軸線下流側Dadの縁を画定する後板45と、導入流路42及び導入環状流路43における側周の縁を画定する側周板46と、を有する。前板44と後板45とは、軸線方向Daで間隔をあけて配置されている。側周板46は、前板44の側周縁と後板45の側周縁とを接続する。前述の吸気口42iは、前板44の上縁、後板45の上縁、及び側周板46の上縁で画定される。前板44には、軸線Arを中心として円形の開口44oが形成されている。また、後板45にも、軸線Arを中心とした円形の開口45oが形成されている。この後板45の円形の開口45oの半径は、前板44の円形の開口44oの半径よりも大きい。
【0032】
ベルマウス51には、軸線Ar周りに環状で、導入環状流路43から空気Aを圧縮機ケーシング32内に導くことが可能な吸気流路52が形成されている。このベルマウス51は、吸気室ケーシング41の軸線下流側Dadに配置され、吸気流路52と吸気室ケーシング41内の導入環状流路43とが連通可能に、吸気室ケーシング41に接続されている。
【0033】
ベルマウス51は、環状の吸気流路52の内周縁52iを画定する内側ベルマウス54と、環状の吸気流路52の外周縁52oを画定する外側ベルマウス55と、を有する。内側ベルマウス54は、軸線Arを中心として筒状を成し、圧縮機ロータ軸31s中で、入口案内翼34vより軸線上流側Dauの部分を覆う。この内側ベルマウス54は、軸線上流側Dauに向かうに連れて次第に径方向外側Droに向かうよう形成されている。内側ベルマウス54の軸線上流側Dauの縁は、前板44の開口44oの縁に接続されている。外側ベルマウス55は、軸線Arを中心として筒状を成し、内側ベルマウス54に対して径方向外側Droに間隔をあけて配置されている。この外側ベルマウス55も、軸線上流側Dauに向かうに連れて次第に径方向外側Droに向かうよう形成されている。外側ベルマウス55の軸線上流側Dauの縁は、後板45の開口45oの縁に接続されている。また、外側ベルマウス55の軸線下流側Dadの縁は、圧縮機ケーシング32の軸線上流側Dauの縁に接続されている。導入環状流路43の外周縁43oは、ベルマウス51の吸気室ケーシング41との接続位置における吸気流路52の外周縁52oよりも径方向外側Droに位置する。つまり、導入環状流路43の外周縁43oは、外側ベルマウス55の軸線上流側Dauの縁よりも径方向外側Droに位置する。
【0034】
複数のストラット56は、吸気流路52内に、軸線Arに対する周方向Dcに並んで配置されている。各ストラット56における径方向内側Driの縁は、内側ベルマウス54に接続されている。また、各ストラット56における径方向外側Droの縁は、外側ベルマウス55に接続されている。すなわち、複数のベルマウス51は、それぞれ、環状の吸気流路52の内周縁52iからこの吸気流路52の外周縁52oまで径方向外側Droに延びている。
【0035】
前述の前軸受け2fは、内側ベルマウス54の内周側に配置され、この内側ベルマウス54に取り付けられている。この前軸受け2fは、内側ベルマウス54を介して、複数のストラット56により支持されている。
【0036】
仕切板47は、導入環状流路43内であって、軸線Arを基準にして導入流路42とは反対側の領域内に配置されている。本実施形態における仕切板47は、軸線Arの鉛直方向下側に配置されている。この仕切板47は、環状の導入環状流路43の外周縁43oから、吸気流路52の外周縁52oの位置以内の位置まで、径方向内側Driに延びて、導入環状流路43内を周方向Dcの一方側と他方側とに仕切る。このため、仕切板47の径方向内側Driの縁47i、つまり仕切板47の上側の縁は、径方向Drで、外側ベルマウス55の軸線下流側Dadの縁の位置に存在する、又は、外側ベルマウス55の軸線下流側Dadの縁の位置よりも径方向外側Droに存在する。仕切板47の軸線上流側Dauの縁47uは、前板44に接続されている。仕切板47の径方向外側Droの縁47o、つまり仕切板47の下側の縁は、側周板46に接続されている。仕切板47の軸線下流側Dadの縁47dは、後板45に接続されている。仕切板47の径方向内側Driの縁47i、つまり仕切板47の上側の縁は、いずれの部材にも接続されていない。
【0037】
仕切板47の最大厚さ、つまり仕切板47の周方向Dcの最大厚さは、各ストラット56の最大厚さ、つまり各ストラット56の周方向Dcの最大幅より、薄い。このため、仕切板47の剛性は、各ストラット56の剛性よりも低い。この仕切板47で、周方向Dcを向く面には、補強ビーム48が設けられている。補強ビーム48は、仕切板47の軸線下流側Dadで且つ径方向外側Droの位置から、仕切板47の軸線上流側Dauで且つ径方向内側Driの位置まで延びている。
【0038】
複数のストラット56のうち、一のストラット56aの周方向Dcの位置は、図3に示すように、仕切板47の周方向Dcの位置に対して、周方向Dcに所定の角度αの範囲内である。この所定の角度は、±2.5°である。また、この一のストラット56aの周方向Dcにおける存在領域の少なくとも一部は、仕切板47の周方向Dcにおける存在領域と周方向Dcで重なる重なり領域57である。
【0039】
次に、図4及び図5に示す比較例における吸気ケーシング40Cについて説明しつつ、本実施形態における吸気ケーシング40の効果について説明する。
【0040】
比較例における吸気ケーシング40Cも、本実施形態における吸気ケーシング40と同様、吸気室ケーシング41と、ベルマウス51と、仕切板47と、複数のストラット56と、を備える。但し、仕切板47に対して、複数のストラット56のうちの一のストラット56の周方向Dcの相対位置が、本実施形態における吸気ケーシング40に対して比較例における吸気ケーシング40Cでは異なる。さらに、この仕切板47の径方向内側Driの縁47iの位置、つまり仕切板47の上側の縁の位置も、本実施形態における吸気ケーシング40に対して比較例における吸気ケーシング40Cでは異なる。
【0041】
比較例における吸気ケーシング40Cでは、複数のストラット56のうち、一のストラット56の周方向Dcの位置が、仕切板47の周方向Dcの位置に対して、周方向Dcに所定の角度αの範囲外である。また、この一のストラット56の周方向Dcにおける存在領域は、仕切板47の周方向Dcにおける存在領域と周方向Dcで、一切重ならない。
【0042】
比較例における吸気ケーシング40Cでは、図5に示すように、導入流路42から導入環状流路43に流入した空気Aのうち、仕切板47の近くにまで至った空気Aが、径方向内側Driで且つ軸線下流側Dadに向かう過程、つまり吸気流路52に流入する過程で、吸気流路52内のストラット56がこの空気Aの流れの障害になる。このため、仕切板47の近くにまで至った空気Aが吸気流路52に流入する過程で、この空気Aの渦流れが生じる。このため、比較例における吸気ケーシング40Cでは、この渦流れにより、吸気抵抗を増えてしまう。
【0043】
一方、本実施形態における吸気ケーシング40では、図3に示すように、導入流路42から導入環状流路43に流入した空気Aのうち、仕切板47の近くにまで至った空気Aが、径方向内側Driで且つ軸線下流側Dadに向かう過程、つまり吸気流路52に流入する過程で、吸気流路52内のストラット56がこの空気Aの流れの障害にほとんどならない。このため、仕切板47の近くにまで至った空気Aが吸気流路52に流入する過程で、この空気Aの渦流れがほとんど生じない。つまり、本実施形態における吸気ケーシング40では、空気Aが吸気室ケーシング41内からベルマウス51内にスムーズに流入する。よって、本実施形態における吸気ケーシング40では、吸気抵抗を抑えて空気Aを圧縮機30の圧縮機ケーシング32内に効率的に導くことができる。
【0044】
比較例における仕切板47は、環状の導入環状流路43の外周縁43oから、吸気流路52の外周縁52oの位置よりも径方向内側Driの位置まで延びている。このため、比較例における仕切板47の径方向内側Driの縁47i、つまり仕切板47の上側の縁は、外側ベルマウス55の軸線下流側Dadの縁の位置よりも径方向内側Driに存在する。
【0045】
よって、側周板46に接続されている仕切板47の径方向外側Droの縁47o、つまり仕切板47の下側の縁から、いずれの部材にも接続されていない仕切板47の径方向内側Driの縁47i、つまり仕切板47の上側の縁までの距離は、比較例における仕切板47よりも、本実施形態における仕切板47の方が短い。このため、側周板46に接続されている仕切板47の径方向外側Droの縁47o、つまり仕切板47の下側の縁を基点として、仕切板47の径方向内側Driの縁47i、つまり仕切板47の上側の縁にかかるモーメントは、比較例における仕切板47よりも、本実施形態における仕切板47の方が小さい。このため、本実施形態における仕切板47では、仕切板47の径方向内側Driの縁47i、つまり仕切板47の上側の縁の損傷を抑えることができる。さらに、本実施形態における仕切板47では、前板44と仕切板47の軸線上流側Dauの縁47uとの接続部分のうちで、径方向内側Driの部分の損傷、及び、後板45と仕切板47の軸線下流側Dadの縁47dとの接続部分のうちで、径方向内側Driの部分の損傷を抑えることができる。
【0046】
「変形例」
以上の実施形態では、軸線Arの真下に、仕切板47が配置されている。しかしながら、仕切板47は、軸線Arを基準にして導入流路42とは反対側の領域内に配置されていれば、軸線Arの真下に配置されていなくてもよい。
【0047】
以上の実施形態では、導入流路42が、導入環状流路43の外周側であって、この導入環状流路43の上側に位置して、鉛直方向に延びている。しかしながら、導入流路42は、導入環状流路43の外周側であって、この導入環状流路43の側方向に位置して、側方向に延びていてもよい。
【0048】
また、本開示は、以上で説明した各実施形態に限定されるものではない。特許請求の範囲に規定された内容及びその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲において、種々の追加、変更、置き換え、部分的削除等が可能である。
【0049】
「付記」
以上の各実施形態における吸気ケーシング40は、例えば、以下のように把握される。
(1)第一態様における吸気ケーシング40は、軸線Ar周りに回転可能な圧縮機ロータ31を覆う圧縮機ケーシング32内に空気Aを導入可能な吸気ケーシングである。
この吸気ケーシング40は、前記軸線Ar周りに環状の導入環状流路43と、前記導入環状流路43の外周側から前記導入環状流路43内に空気Aを導入可能な導入流路42と、が形成されている吸気室ケーシング41と、前記軸線Ar周りに環状で、前記導入環状流路43から空気Aを前記圧縮機ケーシング32内に導入可能な吸気流路52が形成されているベルマウス51と、前記導入環状流路43内であって、前記軸線Arを基準にして前記導入流路42とは反対側の領域内に配置されている仕切板47と、前記吸気流路52内に、前記軸線Arに対する周方向Dcに並んで配置されている複数のストラット56と、を備える。前記ベルマウス51は、前記吸気室ケーシング41に対して、前記軸線Arが延びる軸線方向Daにおける軸線上流側Dauと軸線下流側Dadのとのうちの前記軸線下流側Dadに配置され、前記吸気流路52と前記導入環状流路43とが連通可能に、前記吸気室ケーシング41に接続されている。前記仕切板47は、環状の前記導入環状流路43の外周縁43oから前記軸線Arに対する径方向内側Driに延びて、前記導入環状流路43内を前記周方向Dcの一方側と他方側とに仕切る。前記複数のストラット56は、それぞれ、環状の前記吸気流路52の内周縁52iから前記吸気流路52の外周縁52oまで前記軸線Arに対する径方向外側Droに延びている。前記複数のストラット56のうち、一のストラット56aの前記周方向Dcの位置は、前記仕切板47の前記周方向Dcの位置に対して、前記周方向Dcに±2.5°以内の位置である。
【0050】
本態様では、導入流路42から導入環状流路43に流入した空気Aのうち、仕切板47の近くにまで至った空気Aが、径方向内側Driで且つ軸線下流側Dadに向かう過程、つまり吸気流路52に流入する過程で、吸気流路52内のストラット56aがこの空気Aの流れの障害にほとんどならない。このため、仕切板47の近くにまで至った空気Aが吸気流路52に流入する過程で、この空気Aの渦流れがほとんど生じない。つまり、本態様における吸気ケーシング40では、空気Aが吸気室ケーシング41内からベルマウス51内にスムーズに流入する。よって、本態様における吸気ケーシング40では、吸気抵抗を抑えて空気Aを圧縮機30の圧縮機ケーシング32内に効率的に導くことができる。
【0051】
(2)第二態様における吸気ケーシング40は、軸線Ar周りに回転可能な圧縮機ロータ31を覆う圧縮機ケーシング32内に空気Aを導入可能な吸気ケーシングである。
この吸気ケーシング40は、前記軸線Ar周りに環状の導入環状流路43と、前記導入環状流路43の外周側から前記導入環状流路43内に空気Aを導入可能な導入流路42と、が形成されている吸気室ケーシング41と、前記軸線Ar周りに環状で、前記導入環状流路43から空気Aを前記圧縮機ケーシング32内に導入可能な吸気流路52が形成されているベルマウス51と、前記導入環状流路43内であって、前記軸線Arを基準にして前記導入流路42とは反対側の領域内に配置されている仕切板47と、前記吸気流路52内に、前記軸線Arに対する周方向Dcに並んで配置されている複数のストラット56と、を備える。前記ベルマウス51は、前記吸気室ケーシング41に対して、前記軸線Arが延びる軸線方向Daにおける軸線上流側Dauと軸線下流側Dadのとのうちの前記軸線下流側Dadに配置され、前記吸気流路52と前記導入環状流路43とが連通可能に、前記吸気室ケーシング41に接続されている。前記仕切板47は、環状の前記導入環状流路43の外周縁43oから前記軸線Arに対する径方向内側Driに延びて、前記導入環状流路43内を前記周方向Dcの一方側と他方側とに仕切る。前記複数のストラット56は、それぞれ、環状の前記吸気流路52の内周縁52iから前記吸気流路52の外周縁52oまで前記軸線Arに対する径方向外側Droに延びている。前記複数のストラット56のうち、一のストラット56aの前記周方向Dcにおける存在領域の少なくとも一部は、前記仕切板47の前記周方向Dcにおける存在領域と前記周方向Dcで重なっている。
【0052】
本態様では、導入流路42から導入環状流路43に流入した空気Aのうち、仕切板47の近くにまで至った空気Aが、径方向内側Driで且つ軸線下流側Dadに向かう過程、つまり吸気流路52に流入する過程で、吸気流路52内のストラット56がこの空気Aの流れの障害にほとんどならない。このため、仕切板47の近くにまで至った空気Aが吸気流路52に流入する過程で、この空気Aの渦流れがほとんど生じない。つまり、本態様における吸気ケーシング40では、空気Aが吸気室ケーシング41内からベルマウス51内にスムーズに流入する。よって、本態様における吸気ケーシング40では、吸気抵抗を抑えて空気Aを圧縮機30の圧縮機ケーシング32内に効率的に導くことができる。
【0053】
(3)第三態様における吸気ケーシング40は、
前記第一態様又は前記第二態様における吸気ケーシング40において、前記導入環状流路43の前記外周縁43oは、前記ベルマウス51の前記吸気室ケーシング41との接続位置における前記吸気流路52の前記外周縁52oよりも前記径方向外側Droに位置する。前記仕切板47は、前記導入環状流路43の前記外周縁43oから、前記接続位置における前記吸気流路52の前記外周縁52oの位置以内の位置まで、前記径方向内側Driに延びている。
【0054】
ここで、仕切板47が、導入環状流路43の外周縁43oから、吸気流路52の外周縁52oの位置よりも径方向内側Driに延びている例を、比較例とする。本態様では、比較例よりも、仕切板47の径方向外側Droの縁47oを基点として、仕切板47の径方向内側Driの縁47iにかかるモーメントが小さくなる。このため、本態様では、仕切板47の径方向内側Driの縁47i周りの損傷を抑えることができる。
【0055】
(4)第四態様における吸気ケーシング40は、
前記第一態様から前記第三態様のうちのいずれか一態様における吸気ケーシング40において、前記仕切板47の剛性は、前記複数のストラット56のそれぞれの剛性よりも低い。
【0056】
以上の各実施形態における軸流圧縮機30は、例えば、以下のように把握される。
(5)第五態様における軸流圧縮機30は、
前記第一態様から前記第四態様のうちのいずれか一態様における吸気ケーシング40と、前記圧縮機ロータ31と、前記圧縮機ケーシング32と、を有する。
【0057】
以上の各実施形態におけるガスタービンは、例えば、以下のように把握される。
(6)第六態様におけるガスタービンは、
前記第五態様における軸流圧縮機30と、前記軸流圧縮機30で圧縮された空気中で燃料Fを燃焼させて燃焼ガスGを生成可能な燃焼器10と、前記燃焼ガスGで駆動可能なタービン20と、を備える。
【符号の説明】
【0058】
1:ガスタービンロータ
2f:前軸受け
2b:後軸受け
5:中間ケーシング
10:燃焼器
20:タービン
21:タービンロータ
21s:タービンロータ軸
21b:タービン動翼列
22:タービンケーシング
23:タービン静翼列
25:排気ケーシング
25i:排気内側ケーシング
25o:排気外側ケーシング
26:排気ストラット
30:軸流圧縮機(又は、単に圧縮機)
31:圧縮機ロータ
31s:圧縮機ロータ軸
31b:圧縮機動翼列
32:圧縮機ケーシング
33:圧縮機静翼列
34:吸気量調節機
34v:入口案内翼
34d:駆動器
40,40C:吸気ケーシング
41:吸気室ケーシング
42:導入流路
42i:吸気口
43:導入環状流路
43o:(導入環状流路の)外周縁
44:前板
44o:開口
45:後板
45o:開口
46:側周板
47:仕切板
47i:(仕切板の径方向内側の)縁
47o:(仕切板の径方向外側の)縁
47u:(仕切板の軸線上流側の)縁
47d:(仕切板の軸線下流側の)縁
48:補強ビーム
51:ベルマウス
52:吸気流路
52i:吸気流路の内周縁
52o:吸気流路の外周縁

54:内側ベルマウス
55:外側ベルマウス
56,56a:吸気ストラット(又は、単にストラット)
57:重なり領域
A:空気
Acom:圧縮空気
F:燃料
G:燃焼ガス
Ar:軸線
Da:軸線方向
Dau:軸線上流側
Dad:軸線下流側
Dc:周方向
Dr:径方向
Dri:径方向内側
Dro:径方向外側
【要約】
【課題】吸気抵抗を抑える。
【解決手段】吸気ケーシングは、環状の導入環状流路と、前記導入環状流路の外周側から前記導入環状流路内に空気を導入可能な導入流路と、が形成されている吸気室ケーシングと、前記導入環状流路から空気を圧縮機ケーシング内に導入可能な環状の吸気流路が形成されているベルマウスと、前記導入環状流路内に配置されている仕切板と、前記吸気流路内に、前記軸線に対する周方向に並んで配置されている複数のストラットと、を備える。仕切板は、前記導入環状流路の外周縁から径方向内側に延びて、前記導入環状流路内を周方向の一方側と他方側とに仕切る。前記複数のストラットは、前記吸気流路の内周縁から前記吸気流路の外周縁まで径方向外側に延びている。前記複数のストラットのうち、一のストラットの周方向の位置は前記仕切板の周方向の位置に対して、周方向に±2.5°以内の位置である。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4
図5