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特許7657359学習推定システム、学習推定方法、及び学習推定プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-27
(45)【発行日】2025-04-04
(54)【発明の名称】学習推定システム、学習推定方法、及び学習推定プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/04 20230101AFI20250328BHJP
【FI】
G06Q10/04
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2024212156
(22)【出願日】2024-12-05
【審査請求日】2024-12-05
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】501440684
【氏名又は名称】ソフトバンク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】弁理士法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】梅木 宏
(72)【発明者】
【氏名】池上 和輝
(72)【発明者】
【氏名】川西 庸平
(72)【発明者】
【氏名】小林 京一郎
(72)【発明者】
【氏名】下津 拓未
(72)【発明者】
【氏名】張 思捷
(72)【発明者】
【氏名】中尾 達也
(72)【発明者】
【氏名】水町 悠貴
(72)【発明者】
【氏名】山下 滉生
(72)【発明者】
【氏名】劉 コウ
(72)【発明者】
【氏名】白井 勇人
【審査官】佐藤 敬介
(56)【参考文献】
【文献】特開2023-141286(JP,A)
【文献】特開2024-114922(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第116934383(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
店舗の場所を示す店舗位置データと、前記店舗の業態を示す店舗業態データと、前記店舗の日にち毎の売り上げに関連する売上関連データと、を取得する取得部と、
前記取得部が取得したデータに基づいて教師データに変換する変換部と、
少なくとも店舗の場所、店舗の業態に基づいて店舗の売上関連データを推定する機械学習モデルに、前記教師データを学習させる学習部と、
を備え、
前記変換部は、前記取得部が取得した売上関連データを対数変換し、異なる日の売上関連データを対数変換し、対数変換後の両売上関連データの差分を、前記教師データとして変換する学習推定システム。
【請求項2】
前記取得部は、更に、前記日にちにおける気象データを取得し、
前記機械学習モデルは、更に、気象データに基づいて店舗の売上関連データを推定するモデルである
ことを特徴とする請求項1に記載の学習推定システム。
【請求項3】
前記取得部は、更に、前記日にちにおける前記店舗の場所の人流データを取得し、
前記機械学習モデルは、更に、人流データに基づいて店舗の売上関連データを推定するモデルである
ことを特徴とする請求項1に記載の学習推定システム。
【請求項4】
前記取得部は、更に、前記日にちが、カレンダーにおいて、休日か平日か、及び、特定のイベントがあった日であるかを示すカレンダー情報を取得し、
前記機械学習モデルは、更に、カレンダー情報に基づいて店舗の売上関連データを推定するモデルである
ことを特徴とする請求項1に記載の学習推定システム。
【請求項5】
前記取得部は、更に、前記日にちにおける前記店舗の販促に関する販促データを取得し、
前記機械学習モデルは、更に、販促データに基づいて店舗の売上関連データを推定するモデルである
ことを特徴とする請求項1に記載の学習推定システム。
【請求項6】
前記変換部は、前記機械学習モデルを用いて推定する売上関連データが所定日後の売上関連データである場合に、前記取得部が取得した売上関連データを対数変換するとともに、前記取得部が取得した売上関連データの前記所定日前の売上関連データを対数変換し、対数変換後の両売上関連データの差分を、前記教師データとして変換する
ことを特徴とする請求項に記載の学習推定システム。
【請求項7】
前記変換部は、前記両売上関連データの差分を逆対数変換して前記教師データに変換する
ことを特徴とする請求項に記載の学習推定システム。
【請求項8】
前記変換部は、前記機械学習モデルを用いて推定する売上関連データが所定日後の売上関連データである場合に、前記取得部が取得した売上関連データと、当該売上関連データの前記所定日前に取得した売上関連データとの差分に基づく情報を、前記教師データとして変換する
ことを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載の学習推定システム。
【請求項9】
コンピュータが、
店舗の場所を示す店舗位置データと、前記店舗の業態を示す店舗業態データと、前記店舗の日にち毎の売り上げに関連する売上関連データと、を取得する取得ステップと、
前記取得ステップが取得したデータに基づいて教師データに変換する変換ステップと、
少なくとも店舗の場所、店舗の業態に基づいて店舗の売上関連データを推定する機械学習モデルに、前記教師データを学習させる学習ステップと、
を実行し
前記変換ステップは、前記取得ステップが取得した売上関連データを対数変換し、異なる日の売上関連データを対数変換し、対数変換後の両売上関連データの差分を、前記教師データとして変換する学習推定方法。
【請求項10】
コンピュータに、
店舗の場所を示す店舗位置データと、前記店舗の業態を示す店舗業態データと、前記店舗の日にち毎の売り上げに関連する売上関連データと、を取得する取得機能と、
前記取得機能が取得したデータに基づいて教師データに変換する変換機能と、
少なくとも店舗の場所、店舗の業態に基づいて店舗の売上関連データを推定する機械学習モデルに、前記教師データを学習させる学習機能と、
を実現させ、
前記変換機能は、前記取得機能が取得した売上関連データを対数変換し、異なる日の売上関連データを対数変換し、対数変換後の両売上関連データの差分を、前記教師データとして変換する学習推定プログラム。
【請求項11】
売上関連データを推定する店舗の場所と、店舗の業態と、日にちに関する日にちデータの入力を受け付ける受付部と、
店舗の場所を示す店舗位置データと、前記店舗の業態を示す店舗業態データと、前記店舗の日にち毎の売り上げに関連する売上関連データと、を取得する取得部と、
前記取得部が、特定の日にちの売上関連データを取得できない場合に、前記特定の日にちの売上関連データを補填する補填部と
前記受付部が受け付けた日にちデータを、少なくとも店舗の場所、店舗の業態に基づいて店舗の売上関連データを推定する機械学習モデルに入力して、前記店舗における前記日にちデータが示す日にちにおける売上関連データを推定する推定部と、
前記推定部が推定した売上関連データを出力する出力部と、を備え、
前記推定部は、前記補填部が補填した売上関連データに基づいて、前記日にちデータが示す日にちにおける売上関連データを推定する
学習推定システム。
【請求項12】
前記店舗の場所に基づいて前記店舗の場所における気象データを取得するデータ取得部を備え、
前記機械学習モデルは、更に、気象データに基づいて店舗の売上関連データを推定するモデルであり、
前記推定部は、更に、前記データ取得部が取得した気象データを前記機械学習モデルに入力して売上関連データを推定する
ことを特徴とする請求項11に記載の学習推定システム。
【請求項13】
前記店舗の場所に基づいて前記店舗の場所における人流データを取得するデータ取得部を備え、
前記機械学習モデルは、更に、人流データに基づいて店舗の売上関連データを推定するモデルであり、
前記推定部は、更に、前記データ取得部が取得した人流データを前記機械学習モデルに入力して売上関連データを推定する
ことを特徴とする請求項11に記載の学習推定システム。
【請求項14】
前記日にちデータが示す日にちが、カレンダーにおいて、休日か平日か、及び、特定のイベントがあった日であるかを示すカレンダー情報を取得するデータ取得部を備え、
前記機械学習モデルは、更に、カレンダー情報に基づいて店舗の売上関連データを推定するモデルであり、
前記推定部は、更に、前記データ取得部が取得したカレンダー情報を前記機械学習モデルに入力して売上関連データを推定する
ことを特徴とする請求項11に記載の学習推定システム。
【請求項15】
前記日にちデータ示す日にちにおける前記店舗の販促に関する販促データを取得するデータ取得部を備え、
前記機械学習モデルは、更に、販促データに基づいて店舗の売上関連データを推定するモデルであり、
前記推定部は、更に、前記データ取得部が取得した販促データを前記機械学習モデルに入力して売上関連データを推定する
ことを特徴とする請求項11に記載の学習推定システム。
【請求項16】
前記補填部は、前記店舗の過去の売上データであって前記特定の日にちの曜日と同一の曜日の売上関連データを利用して、前記特定の日にちの売上関連データを補填する
ことを特徴とする請求項11に記載の学習推定システム。
【請求項17】
コンピュータが、
売上関連データを推定する店舗の場所と、店舗の業態と、日にちに関する日にちデータの入力を受け付ける受付ステップと、
店舗の場所を示す店舗位置データと、前記店舗の業態を示す店舗業態データと、前記店舗の日にち毎の売り上げに関連する売上関連データと、を取得する取得ステップと、
前記取得ステップが、特定の日にちの売上関連データを取得できない場合に、前記特定の日にちの売上関連データを補填する補填ステップと、
前記受付ステップが受け付けた日にちデータを、少なくとも店舗の場所、店舗の業態に基づいて店舗の売上関連データを推定する機械学習モデルに入力して、前記店舗における前記日にちデータが示す日にちにおける売上関連データを推定する推定ステップと、
前記推定ステップが推定した売上関連データを出力する出力ステップと、を実行し、
前記推定ステップは、前記補填ステップが補填した売上関連データに基づいて、前記日にちデータが示す日にちにおける売上関連データを推定する
学習推定方法。
【請求項18】
コンピュータに、
売上関連データを推定する店舗の場所と、店舗の業態と、日にちに関する日にちデータの入力を受け付ける受付機能と、
店舗の場所を示す店舗位置データと、前記店舗の業態を示す店舗業態データと、前記店舗の日にち毎の売り上げに関連する売上関連データと、を取得する取得機能と、
前記取得機能が、特定の日にちの売上関連データを取得できない場合に、前記特定の日にちの売上関連データを補填する補填機能と、
前記受付機能が受け付けた日にちデータを、少なくとも店舗の場所、店舗の業態に基づいて店舗の売上関連データを推定する機械学習モデルに入力して、前記店舗における前記日にちデータが示す日にちにおける売上関連データを推定する推定機能と、
前記推定機能が推定した売上関連データを出力する出力機能と、を実現させ、
前記推定機能は、前記補填機能が補填した売上関連データに基づいて、前記日にちデータが示す日にちにおける売上関連データを推定する
学習推定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、店舗の売上関連データを推定することができる学習推定システム、学習推定方法及びその学習推定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
店舗における売上は、その日の天候や人流に左右されることは知られている。そこで、特許文献1には、各地点における気象に基づいて、当該地点における需要予測を行う技術が開示されている。また、特許文献2には、小売店や飲食店等における店舗の来客数をベイジアンネットワークを用いて予測する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-087027号公報
【文献】特開2005-228014号公報
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一態様に係る学習推定システムは、店舗の場所を示す店舗位置データと、店舗の業態を示す店舗業態データと、店舗の日にち毎の売り上げに関連する売上関連データと、を取得する取得部と、取得部が取得したデータに基づいて教師データに変換する変換部と、少なくとも店舗の場所、店舗の業態に基づいて店舗の売上関連データを推定する機械学習モデルに、教師データを学習させる学習部と、を備える。
【0005】
また、上記学習推定システムにおいて、取得部は、更に、日にちにおける気象データを取得し、機械学習モデルは、更に、気象データに基づいて店舗の売上関連データを推定するモデルであることとしてもよい。
【0006】
また、上記学習推定システムにおいて、取得部は、更に、日にちにおける店舗の場所の人流データを取得し、機械学習モデルは、更に、人流データに基づいて店舗の売上関連データを推定するモデルであることとしてもよい。
【0007】
また、上記学習推定システムにおいて、取得部は、更に、日にちが、カレンダーにおいて、休日か平日か、及び、特定のイベントがあった日であるかを示すカレンダー情報を取得し、機械学習モデルは、更に、カレンダー情報に基づいて店舗の売上関連データを推定するモデルであることとしてもよい。
【0008】
また、上記学習推定システムにおいて、取得部は、更に、日にちにおける店舗の販促に関する販促データを取得し、機械学習モデルは、更に、販促データに基づいて店舗の売上関連データを推定するモデルであることとしてもよい。
【0009】
また、上記学習推定システムにおいて、変換部は、取得部が取得した売上関連データを対数変換して教師データに変換することとしてもよい。
【0010】
また、上記学習推定システムにおいて、変換部は、取得部が取得した売上関連データを対数変換し、異なる日の売上関連データを対数変換し、対数変換後の両売上関連データの差分を、教師データとして変換することとしてもよい。
【0011】
また、上記学習推定システムにおいて、変換部は、機械学習モデルを用いて推定する売上関連データが所定日後の売上関連データである場合に、取得部が取得した売上関連データを対数変換するとともに、取得部が取得した売上関連データの所定日前の売上関連データを対数変換し、対数変換後の両売上関連データの差分を、教師データとして変換することとしてもよい。
【0012】
また、上記学習推定システムにおいて、変換部は、両売上関連データの差分を逆対数変換して教師データに変換することとしてもよい。
【0013】
また、上記学習推定システムにおいて、変換部は、機械学習モデルを用いて推定する売上関連データが所定日後の売上関連データである場合に、取得部が取得した売上関連データと、当該売上関連データの所定日前に取得した売上関連データとの差分に基づく情報を、教師データとして変換することとしてもよい。
【0014】
また、上記学習推定システムにおいて、売上関連データを推定する店舗の場所と、店舗の業態と、日にちに関する日にちデータの入力を受け付ける受付部と、受付部が受け付けた日にちデータを機械学習モデルに入力して、店舗における日にちデータが示す日にちにおける売上関連データを推定する推定部と、推定部が推定した売上関連データを出力する出力部と、を備えることとしてもよい。
【0015】
また、上記学習推定システムにおいて、店舗の場所に基づいて店舗の場所における気象データを取得するデータ取得部を備え、機械学習モデルは、更に、気象データに基づいて店舗の売上関連データを推定するモデルであり、推定部は、更に、データ取得部が取得した気象データを機械学習モデルに入力して売上関連データを推定することとしてもよい。
【0016】
また、上記学習推定システムにおいて、店舗の場所に基づいて店舗の場所における気象データを取得するデータ取得部を備え、機械学習モデルは、更に、気象データに基づいて店舗の売上関連データを推定するモデルであり、推定部は、更に、データ取得部が取得した気象データを機械学習モデルに入力して売上関連データを推定することとしてもよい。
【0017】
また、上記学習推定システムにおいて、日にちデータが示す日にちが、カレンダーにおいて、休日か平日か、及び、特定のイベントがあった日であるかを示すカレンダー情報を取得するデータ取得部を備え、機械学習モデルは、更に、カレンダー情報に基づいて店舗の売上関連データを推定するモデルであり、推定部は、更に、データ取得部が取得したカレンダー情報を機械学習モデルに入力して売上関連データを推定することとしてもよい。
【0018】
また、上記学習推定システムにおいて、日にちデータ示す日にちにおける店舗の販促に関する販促データを取得するデータ取得部を備え、機械学習モデルは、更に、販促データに基づいて店舗の売上関連データを推定するモデルであり、推定部は、更に、データ取得部が取得した販促データを機械学習モデルに入力して売上関連データを推定することとしてもよい。
【0019】
また、上記学習推定システムにおいて、取得部が、特定の日にちの売上関連データを取得できない場合に、特定の日にちの売上関連データを補填する補填部を備え、推定部は、補填部が補填した売上関連データに基づいて、日にちデータが示す日にちにおける売上関連データを推定することとしてもよい。
【0020】
また、上記学習推定システムにおいて、補填部は、店舗の過去の売上データであって特定の日にちの曜日と同一の曜日の売上関連データを利用して、特定の日にちの売上関連データを補填することとしてもよい。
【0021】
また、上記学習推定システムにおいて、学習部は、補填部が補填した売上関連データを学習することとしてもよい。
【0022】
また、本発明の一態様に係る学習推定方法は、コンピュータが、店舗の場所を示す店舗位置データと、店舗の業態を示す店舗業態データと、店舗の日にち毎の売り上げに関連する売上関連データと、を取得する取得ステップと、取得ステップが取得したデータに基づいて教師データに変換する変換ステップと、少なくとも店舗の場所、店舗の業態に基づいて店舗の売上関連データを推定する機械学習モデルに、教師データを学習させる学習ステップと、を実行する。
【0023】
また、本発明の一態様に係る学習推定プログラムは、コンピュータに、店舗の場所を示す店舗位置データと、店舗の業態を示す店舗業態データと、店舗の日にち毎の売り上げに関連する売上関連データと、を取得する取得機能と、取得機能が取得したデータに基づいて教師データに変換する変換機能と、少なくとも店舗の場所、店舗の業態に基づいて店舗の売上関連データを推定する機械学習モデルに、教師データを学習させる学習機能と、を実現させる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】発明の概要を示す概要図である。
図2】情報処理装置の構成例を示すブロック図である。
図3】店舗端末の構成例を示すブロック図である。
図4】学習時の情報処理装置の動作例を示すフローチャートである。
図5】学習時の店舗端末の動作例を示すフローチャートである。
図6】推定時の情報処理装置の動作例を示すフローチャートである。
図7】推定時の店舗端末の動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明に係る学習推定システムについて図面を参照しながら説明する。
【0026】
<概要>
店舗における売上関連データの予測は重要である。売上関連データとは、店舗への一日の来客数や、一日の総売り上げのことであってよいが、これらに限定するものではない。店舗の売り上げに関連するものであれば、その他の情報であってもよく、期間についても一日に限定するものではない。売上関連データとして来客数を予測することができれば、店舗が飲食店等の場合には、必要な仕入れを推定し、無駄な仕入れを抑制することができる。また、あるいは、売上関連データとして総売り上げを予測することができれば、店舗における改装や新規設備の設営等の計画を立てやすくすることができる。そのような予測は、学習モデルを利用することで実行することができる。
【0027】
ところで、そのような学習モデルにおいては、正確な予測のためには多くの教師データを必要とする。その教師データとしては、店舗における過去の実際の売上関連データを用いることで、当該店舗における予測を正確にすることができる。しかしながら、小規模の店舗等においては、正確な予測ができるほどの教師データを用意できないという問題がある。これは、新規の店舗においても同様である。また、その店舗にとって、学習モデルを用意すること自体が難しい場合もある。
【0028】
そこで、本実施形態においては、店舗が学習モデルを用意することが難しくとも、ある程度正確な予測を行うことができる機械学習モデルを提供可能な学習推定システム、学習推定方法及びその学習推定プログラムを提供することを目的とする。
【0029】
図1は、本実施形態に係る学習推定システム100の処理の概要を示す概要図である。図1は、学習推定システム100を含む通信システムの構成例を示しており、学習推定システム100と店舗端末200a、200b(以下、店舗端末200と総称する。なお、図1では、端末ではなくその代替として店舗を示している)が示されている。学習推定システム100は、少なくとも店舗の場所、店舗の業態に基づいて店舗の売上関連データを推定する機械学習モデルを記憶しており、この機械学習モデルは、店舗の場所及び店舗の業態に加えて、店舗の場所における気象、店舗の場所における人流、休日か平日か、また何らかのイベントが設定されている日であるかのカレンダー情報、店舗における販促データのうちのいずれか又は複数に基づいて、売上関連データを推定するものであってもよい。換言すると、当該機械学習モデルは、店舗の場所や店舗の業態等の店舗に関連する様々な情報と売上関連データとの対応関係を学習したモデルであり、店舗の場所、店舗の業態、店舗付近の気象、店舗付近の人流、カレンダー情報、販促データのいずれか又は複数と、売上関連データとの対応関係を学習したモデルであってよい。学習推定システム100は、様々な場所の様々な業態の店舗の売り上げ関連データを学習していると言える。店舗の業態とは、例えば、飲食店であれば、和食、そば、ラーメン、イタリアン、フレンチ等の提供するサービスのジャンルであったり、キッチンカー、固定店舗、フードコート、立ち食い、完全予約制などの店舗の営業形態のことであったりしてもよい。また、店舗は飲食店に限らず、服飾店であってもよいし、家具屋であってもよく、業態は店舗の内容に応じて変化してよい。
【0030】
ここに、店舗端末200の売上関連データを学習させることで、店舗端末200についての教師データの少なさを補いつつ、店舗端末200の売上関連データのより正確な推定を行うことができる学習推定システム100を提供することができる。以下、詳細に説明する。
【0031】
<構成>
<学習推定システム100の構成>
図2は、学習推定システム100の構成例を示すブロック図である。学習推定システム100は、店舗端末200の売上関連データを教師データに変換して学習するとともに、店舗端末200の売上関連データを推定するコンピュータシステム(情報処理装置)である。学習推定システム100は、PC、サーバ装置などによって実現されてよいが、これらに限定するものではない。また、学習推定システム100の機能は、複数のコンピュータによる並列処理により実現されるものであってもよく、クラウドサーバにより実現されてもよい。学習推定システム100による売上関連データの学習及びその推定は、ウェブサービスとして提供されるものであってもよい。
【0032】
図2に示すように学習推定システム100は、通信部110と、制御部130と、記憶部140と、を備える。また、学習推定システム100は、入力部120と、出力部150と、を備えてもよい。
【0033】
通信部110は、学習推定システム100の外部の装置と通信する機能を有する通信インターフェースである。通信部110は、外部の装置として、店舗端末200と通信する機能を有する。通信部110は、店舗端末200からの売上関連データを受信して制御部130に伝達する。また、通信部110は、店舗端末200から売上関連データを推定する日を示す日にちデータを受信し、制御部130に伝達する。ここで、日にちデータが示す日にちは特定の1日であってもよいし、複数の日を含む所定の期間分(例えば、次週の平日分であったり、次の1ヶ月分であったり、1年後の3ヶ月分であったりしてよいが、これらに限定するものではなく、店舗の店員の任意であってよい)であってもよい。また、通信部110は、制御部130からの指示にしたがって、推定した売上関連データを、推定を要求した店舗端末200に送信する。
【0034】
入力部120は、学習推定システム100のオペレータ等からの入力を受け付けて、その入力内容を制御部130に伝達する機能を有する。入力部120は、例えば、マウスやキーボード、タッチパネル等の入力機器により実現されてよく、音声入力の場合はマイクにより実現されることとしてよい。入力部120は、一例として、店舗端末200の店員等から売上関連データの情報を受け取った学習推定システム100のオペレータが、当該情報の入力を受け付けて制御部130に伝達する。
【0035】
制御部130は、学習推定システム100の各部を制御する機能を有するプロセッサである。制御部130は、シングルコアにより実現されても、マルチコアにより実現されてもよい。制御部130は、記憶部140に記憶されている各種プログラムを実行し、各種データを利用することにより、学習推定システム100としての機能を実現する。
【0036】
制御部130は、店舗端末200から受信した売上関連データを教師データに変換して記憶部140の機械学習モデル141に学習させる。そして、制御部130は、店舗端末200から受信した日にちデータが示す日にちにおける売上関連データを推定して、店舗端末200に通知する。
【0037】
制御部130は、制御部130が実現する機能として、取得部131と、変換部132と、学習部133と、受付部134と、データ取得部135と、推定部136と、を備える。
【0038】
取得部131は、店舗端末200の売上関連データを取得する。取得部131は、店舗端末200から送信され、通信部110が受信した売上関連データを取得する。取得部131は、取得した売上関連データを、変換部132に伝達する。取得部131が取得する売上関連データは、店舗端末200の店舗における1日あるいは所定期間における各日の来客数あるいは売上(売上総額でもよいしSKU(Stock Keeping Unit)単位の売上額でもよい)の情報を含み、その日における店舗の場所における気象、店舗近辺の人流、その日に販促を行っていたかどうかの情報などを含んでもよい。また、売上関連データに気象や人流の情報が含まれていない場合には、取得部131が、店舗端末200の店舗の場所に基づいて、その時の気象情報を提供する気象情報サービスや人流情報を提供する人流サービスから取得してもよい。
【0039】
変換部132は、取得部131から伝達された売上関連データを教師データに変換する。ここで、教師データに変換するとは、取得部131から伝達される売上関連データ及びデータ取得部135から伝達される気象又は人流データから教師データとして必要な情報を抽出し、記憶部140の機械学習モデル141に学習させることができるフォーマットのデータに変換することであってよい。変換部132は、売上関連データを対数変換して教師データに変換することとしてよい。売上関連データは、店舗の場所や規模によってその絶対数が大きく変わり得るため、学習推定システム100は、売上関連データを対数変換することで、その数値を正規化し、様々な店舗に対応した学習を行うことができ、その結果、さまざまな店舗に対してより正確な推定した売上関連データを提供することができる。変換部132は、生成した教師データを学習部133に伝達する。
【0040】
学習部133は、変換部132から伝達された教師データを、機械学習モデル141に学習させる。これにより、機械学習モデル141は、店舗端末200の店舗における実際の売り上げに基づく推定を行うことができるようになるので、当該店舗における推定として、学習を行わない場合よりも、正確な推定を行うことができるようになる。学習部133は、例えば、勾配ブースティング決定木や深層ニューラルネットワーク等により、学習を行うこととしてよいが、これらに限定するものではない。
【0041】
受付部134は、通信部110が受信した店舗端末200から送信された日にちデータを受け付ける。受付部134が受け付ける日にちデータは、店舗端末200における売上関連データを推定(予測する)日にちを示す情報である。受付部134は、受け付けた日にちデータを推定部136に伝達する。また、受付部134は、日にちデータを送信した店舗端末200の店舗に関する情報を、推定部136に伝達する。店舗に関する情報は、記憶部140に記憶されているものを読み出すこととしてもよいし、日にちデータの受信時に店舗に関する情報も当該店舗端末200から受信したものであってもよい。また、受付部134は、当該店舗に関する情報のうち、店舗の位置を示す情報をデータ取得部135に伝達する。
【0042】
データ取得部135は、店舗端末200の位置に基づいて、当該店舗端末200の日にちデータが示す日にちにおける気象又は人流データを取得する。データ取得部135は、気象又は人流データの一方又は両方を取得することとしてよい。データ取得部135は、一例として、毎年の各日にちの気象データを記憶してその情報を提供するサーバにアクセスして、取得することとしてよい。また、データ取得部135は、一例として、毎年の各場所における人流データを記憶してその情報を提供するサーバにアクセスして、取得することとしてよい。ここで、データ取得部135は、売上関連データの推定時には、推定する日にちの、過去の数年分のその場所の気象または人流データの平均値を取得することとしてよい。気象データの平均値とは、例えば、その日の雨か晴れかの情報にもとづく降雨率であってもよい。また、人流データの平均値とは、その店舗の場所における地域メッシュにおいて、過去のその日に存在した人数の平均値であってもよい。また、日にちデータが示す日にちにおける気象又は人流データは、過去の各日における気象または人流を学習した学習済みモデルにより推定したデータであってもよい。データ取得部135は、取得した気象又は人流データを変換部132、推定部136に伝達する。
【0043】
推定部136は、受付部134、データ取得部135から伝達された情報に基づいて、店舗端末200の売上関連データを推定する。推定部136は、受付部134から伝達された(将来の)日にちにおける店舗端末200の売上関連データを推定するものであり、受付部134が受け付けた日にちデータ、店舗端末200の位置を示す情報、店舗端末200の業態を示す情報、店舗端末200における日にちデータが示す日にちにおける予測した気象又は人流データと、を機械学習モデル141に入力することで、伝達された日にちにおける店舗端末200の店舗の売上関連データを推定する。この推定を行う日にちは日にちデータによって指定され、1日であってもよいし、複数日であってもよい。このとき、機械学習モデル141は、売上関連データとして、売り上げそのものの額面を予測するものであってもよいし、来客数を予測するものであってもよいし、その両方を予測するものであってもよい。推定部136は、推定した売上関連データを、通信部110を介して、店舗端末200に送信する。
【0044】
取得部131、変換部132、学習部133、データ取得部135は、店舗端末200の店舗における売上関連データを学習する機能部である。また、受付部134、データ取得部135、推定部136は、機械学習モデル141を用いた推定処理を実行する機能部である。
【0045】
記憶部140は、学習推定システム100が動作上必要とする各種のプログラム及びデータを記憶する機能を有する。記憶部140は、例えば、HDD(Hard Disc Drive)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等により実現することができるが、これらに限定するものではない。記憶部140は、学習推定システム100がアクセス可能なクラウドストレージであってもよい。記憶部140は、学習推定システム100として果たすべき機能を実現するための各種プログラム、各種データを記憶していてよい。記憶部140は、店舗端末200の売上関連データを教師データに変換して機械学習モデル141に学習させるプログラムや、店舗端末200から伝達された日時における当該店舗端末200の店舗における売上関連データを推定して伝達するプログラムを記憶していてよい。また、記憶部140は、気象又は人流に基づいて店舗の売上関連データを推定する機械学習モデル141を記憶する。機械学習モデル141は、売上(売上総額又は来客数又はSKU単位の売上個数あるいはそのうちの複数)のあった日時、店舗の場所、店舗の業態を説明変数とし、売上関連データ(売上総額又は来客数あるいはその両方)を目的変数として、学習した学習モデルである。機械学習モデル141は、更に、店舗の場所の気象情報、人流情報、カレンダー情報、店舗の販促情報なども説明変数として学習していてもよい。店舗の場所は、地図上を所定範囲(例えば、500m四方の範囲であってよいがこれに限定するものではなく、1km四方、5km四方などであってもよい)の単位で区切った場合の所定範囲の単位で管理されてよい。このとき、気象データは、その所定範囲における売上関連データの日に対応する気象の情報であってよく、この気象の情報は、各時間(例えば、1時間単位の時間であってよいが、これに限定するものではなく、30分単位、2時間単位、午前、午後、夜といった単位であってもよい)の気象の情報であってもよい。また、人流データは、その所定範囲における各時間(例えば1時間単位の時間であってよいがこれに限定するものではなく、10分単位、30分単位であってもよいし、1日単位であってもよい)において存在した人の数であってよい。気象情報は、例えば、気象庁のサーバから取得することとしてよいが、これに限定するものではない。また、人流データは、通信キャリアにおける基地局と接続している端末の数から推定された人の数であってよく、通信キャリアから取得することとしてよい。また、カレンダー情報は、学習する売上関連データの日にちが、カレンダー上で平日であるか、休日であるか、あるいは特定のイベント(例えば、バレンタインデーやクリスマスなどであってよいが、これらに限定するものではなく、花火大会やスポーツの試合、合唱コンクールなど開催者によって設定されるイベントであってもよい)のある日であるかを示す情報であってよく、当該情報は、通常のカレンダーデータから取得することができる。また、販促情報は、店舗において、販促を行っているかどうかの情報であってよく、更に、販促の内容を含む情報であってもよい。ここで、販促とは、店舗端末200の店舗における売上の向上を目的として店舗がうった施策のことであってよく、例えば、特定の時間帯だけ安売りしたり、クーポンなどの特典を発行したり、ある商品を購入することでおまけがもらえたりすることなどであってよいが、これらに限定するものではない。また、記憶部140は、学習推定システム100を利用する店舗端末200の店舗に関する情報を記憶していてもよい。店舗に関する情報とは、店舗の名称、店舗の場所、店舗の業態等を示す情報であってよく、その他に、店舗面積、集客可能人数などの情報を含んでもよい。
【0046】
出力部150は、制御部130からの指示にしたがって、指定された情報を出力する機能を有する。出力部150は、一例として、文字情報あるいは画像情報を出力することとしてよく、その場合に、出力部150は、学習推定システム100に設けられた、または、接続されたモニタにより実現される。また、出力部150は、一例として、音声情報を出力することとしてよく、その場合に、出力部150は、学習推定システムに設けられた、または、接続されたスピーカにより実現される。出力部150は、例えば、推定した売上関連データを出力することとしてよい。
【0047】
以上が、学習推定システム100の構成例である。
【0048】
<店舗端末200の構成>
図3は、店舗端末200の構成例を示すブロック図である。店舗端末200は、店舗に関連する端末であって、当該店舗における売上等の情報を管理するコンピュータシステムであってよい。店舗端末200は、PC、タブレット端末、サーバ装置、スマートフォンなどにより実現されてよいが、これらに限定するものではない。店舗端末200は、店舗に関連していれば、店舗内に設置されていなくてもよいし、店舗内に設置されてもよい。
【0049】
図3に示すように店舗端末200は、通信部210と、入力部220と、制御部230と、記憶部240と、出力部250と、を備える。
【0050】
通信部210は、店舗端末200の外部の装置と通信する機能を有する通信インターフェースである。通信部210は、外部の装置として、学習推定システム100と通信する機能を有する。通信部210は、制御部230からの指示にしたがって、店舗の売上関連データを学習推定システム100に送信する。
【0051】
入力部220は、店舗端末200のオペレータ等からの入力を受け付けて、その入力内容を制御部230に伝達する機能を有する。入力部220は、例えば、マウスやキーボード、タッチパネル等の入力機器により実現されてよく、音声入力の場合はマイクにより実現されることとしてよい。入力部220は、一例として、店舗の店員が売上や来客数を予測したい日にちを示す日にちデータの入力を受け付けて、制御部230に伝達する。上述したように日にちデータが示す日にちは特定の1日であってもよいし、複数の日を含む所定の期間分(例えば、次週の平日分であったり、次の1ヶ月分であったり、1年後の3ヶ月分であったりしてよいが、これらに限定するものではなく、店舗の店員の任意であってよい)であってもよい。また、入力部220は、店舗の店員から、売上金額や来客数の情報の入力を受け付けて制御部230に伝達することとしてよい。
【0052】
制御部230は、店舗端末200の各部を制御する機能を有するプロセッサである。制御部230は、シングルコアにより実現されても、マルチコアにより実現されてもよい。制御部230は、記憶部240に記憶されている各種プログラムを実行し、各種データを利用することにより、店舗端末200としての機能を実現する。
【0053】
制御部230は、売上関連データを学習推定システム100に送信し、店舗の店員等により指定された日にちの売上関連データを出力する。また、制御部230は、入力部220から売上関連データを予測したい日にちデータを伝達された場合に、通信部210を介して学習推定システム100に、当該日にちデータを送信してもよい。このとき、当該日にちデータを示す日にちにおいて、販促を行う予定がある場合には、その販促情報を含めて送信することとしてよい。
【0054】
制御部230は、制御部230が果たすべき機能として、売上関連データ送信部231と、表示制御部232と、を備える。
【0055】
売上関連データ送信部231は、店舗端末200の記憶部240に記憶される売上関連データを、通信部210を介して、学習推定システム100に送信する。売上関連データ送信部231は、新たな売上関連データが記憶部240に記憶されるごとに、学習推定システム100に送信することとしてもよいし、所定期間(例えば、1週間ごと、1ヶ月毎等の期間であってよいが、これらに限定するものではない)ごとに纏めて送信することとしてもよい。また、売上関連データ送信部231は、店舗端末200の店舗の店員の指示によって売上関連データを送信することとしてよい。売上関連データ送信部231は、店舗を識別可能な識別情報とともに売上関連データとして少なくとも1日の売り上げ、及び、来客数の情報を、学習推定システム100に送信することとしてよく、その他に、店舗に関連する情報として、店舗の位置を示す情報(経緯度情報や住所など)、店舗の業態を示す情報の他、店舗面積、駐車場台数、レジ台数、店舗座席数、営業開始時間、営業終了時間、営業時間、販促を行っていた場合にはその販促データ等の情報も送信することとしてもよい。学習推定システム100に店舗の情報を登録している場合には、これらの情報は送信しなくてもよい。売上関連データ送信部231は、店舗端末200の店員の指示により、売上関連データを学習推定システム100に送信することとしてもよい。
【0056】
表示制御部232は、学習推定システム100から送信された売上予測データに基づく情報を出力部250に出力させる。
【0057】
記憶部240は、店舗端末200が動作上必要とする各種のプログラム及びデータを記憶する機能を有する。記憶部240は、例えば、HDD(Hard Disc Drive)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等により実現することができるが、これらに限定するものではない。記憶部240は、店舗端末200として果たすべき機能を実現するための各種プログラム、各種データを記憶していてよい。また、記憶部240は、売上関連データ241を記憶していてよい。売上関連データ241は、店舗端末200が対応する店舗における売り上げに関連する情報を含むデータベースである。売り上げに関連する情報としては、1日毎の売上金額、来客数などの情報を含む。また、記憶部240は、店舗の位置を示す情報(経緯度情報や住所など)、店舗の業態を示す情報の他、店舗面積、駐車場台数、レジ台数、店舗座席数、営業開始時間、営業終了時間、営業時間、販促に関する情報等の情報も記憶していてよい。
【0058】
出力部250は、制御部230からの指示にしたがって、指定された情報を出力する機能を有する。出力部250は、一例として、文字情報あるいは画像情報を出力することとしてよく、その場合に、出力部250は、店舗端末200に設けられた、または、接続されたモニタにより実現される。また、出力部250は、一例として、音声情報を出力することとしてよく、その場合に、出力部250は、学習推定システムに設けられた、または、接続されたスピーカにより実現される。出力部250は、推定された売上関連データを示す情報、即ち、未来のある日にちにおける店舗の売上金額あるいは来客数の情報を表示する。
【0059】
以上が、店舗端末200の構成例である。
【0060】
<動作>
ここから、学習推定システム100及び店舗端末200の動作について説明する。
【0061】
図4は、学習推定システム100の店舗端末200の売上関連データを学習する際の動作例を示すフローチャートである。
【0062】
図4に示すように、学習推定システム100の取得部131は、通信部110を介して、店舗端末200から送信された売上関連データを取得する。売上関連データには店舗の来客数や売上の情報が含まれ、販促等を行っている場合には販促情報が含まれてよい。また、取得部131は、店舗の場所を示す店舗位置データと、店舗の業態を示す店舗業態データとを取得する(ステップS401)。取得部131は、通信部110を介して、店舗の場所を示す店舗位置データと、店舗の業態を示す店舗業態データとを、店舗端末200から取得することとしてもよいし、予め店舗の情報が記憶部140に記憶されている場合には、記憶部140から取得することとしてもよい。取得部131は、取得した売上関連データを変換部132に伝達する。
【0063】
変換部132は、取得した各データを、教師データに変換する(ステップS402)。変換部132は、生成した教師データを、学習部133に伝達する。教師データには、店舗の場所を示す情報、店舗の業態を示す情報、店舗の売上関連データが含まれ、店舗の場所における気象情報、店舗の近辺における人流情報、売上関連データの日にちが平日か休日か特定のイベントがある日かのカレンダー情報、売上関連データの日にちにおいて販促を行っていたかを示す販促情報が含まれてよい。
【0064】
学習部133は、変換部132から伝達された教師データを、機械学習モデル141に学習させる(ステップS403)。これにより、機械学習モデル141は、店舗端末200の売上関連データも学習したことになり、当該店舗端末200の売上関連データを予測する場合に、より正確な予測を実現することができるようになる。
【0065】
図5は、店舗端末200の売上関連データを学習推定システム100にアップロードする際の動作例を示すフローチャートである。
【0066】
図5に示すように、店舗端末200の売上関連データ送信部231は、売上関連データの送信タイミングが到来したかどうかを判断する(ステップS501)。送信タイミングは、予め店舗端末200の店員によって設定されていてよく、一例として、その日の24時など特定の時間の到来等であってよいが、これに限定するものではない。売上関連データの送信タイミングが到来するまでは待機する(ステップS501のNO)。
【0067】
売上関連データの送信タイミングが到来した場合には(ステップS501のYES)、売上関連データ送信部231は、未送信の売上関連データを、記憶部240から取得する(ステップS502)。そして、売上関連データ送信部231は、通信部210を介して、取得した売上関連データを、学習推定システム100に送信する(ステップS503)。このとき、売上関連データ送信部231は、店舗に関する情報として、少なくとも店舗を識別する識別情報も送り、店舗の位置を示す情報、店舗の業態を示す情報も送ることとしてもよいが、これらの情報を学習推定システム100が既に記憶していれば、送らなくてもよい。また、送信する売上関連データには、その日にちにおいて販促を行っていた場合には、販促の情報が含まれてよい。
【0068】
店舗端末200が、適宜、売上関連データを学習推定システム100に送信していることにより、学習推定システム100は、その情報を学習し、売上関連データの推定時には、正確な推定を実現できるようになる。
【0069】
図6は、学習推定システム100の店舗の売上関連データを推定する際の動作例を示すフローチャートである。
【0070】
学習推定システム100の受付部134は、店舗の情報と売り上げ又は来客数あるいはその両方を予測したい日にちデータと、を受け付ける(ステップS601)。受付部134は、日にちデータを、通信部110を介して店舗端末200から受け付ける。また、受付部134は、店舗の情報を店舗端末200から受け付けてもよいし、記憶部140から取得することとしてもよい。店舗の情報とは、少なくとも、店舗の位置と、店舗の業態と、を示す情報である。受付部134は、取得した店舗の位置の情報と日にちデータとをデータ取得部135に伝達する。また、受付部134は、取得した店舗の情報及び日にちデータを推定部136に伝達する。受付部134は、日にちデータが示す日にちにおいて店舗において販促が行われる予定がある場合には、その販促情報も店舗端末200から受け付けて、推定部136に伝達することとしてよい。
【0071】
データ取得部135は、伝達された店舗の位置に基づいて、当該店舗の位置における、伝達された日にちデータが示す日にちにおいて予測される気象情報又は人流データやカレンダー情報を取得することとしてもよい(ステップS602)。データ取得部135は、取得した気象情報又は人流データを推定部136に伝達する。売上関連データの推定にあたって気象情報や人流データを用いない場合には、ステップS602を省略することができる。推定部136は、伝達された日時情報が示す日時、店舗の情報として店舗の場所及び店舗の業態、必要に応じて気象情報、人流データ、カレンダー情報、販促情報を、機械学習モデル141に入力して、日時情報が示す日時における売上関連データを推定する(ステップS603)。
【0072】
そして、推定部136は、推定した売上関連データを出力する(ステップS604)。推定部136は、推定した売上関連データを、通信部110を介して、店舗端末200に送信することで出力し、処理を終了する。
【0073】
図7は、店舗端末200が予測した売上関連データを店員に提示する際の動作例を示すフローチャートである。
【0074】
図7に示すように、店舗端末200は、店員から入力部220に、売り上げを予測したい日にちデータを受け付ける(ステップS701)。入力部220は、受け付けた日にちデータを、制御部230に伝達する。
【0075】
制御部230は、日にちデータを受け付けると、受け付けた日にちデータと、店舗を示す情報とを、通信部210を介して、学習推定システム100に送信する(ステップS702)。なお、店舗を示す情報は、店舗の識別情報を含み、店舗の位置及び店舗の業態を示す情報を含んでよい。学習推定システム100が、当該店舗の位置及び業態を示す情報を記憶している場合には、店舗の識別情報のみでよい。
【0076】
店舗端末200の通信部210は、学習推定システム100により推定された売上関連データを受信する(ステップS703)。通信部210は、受信した売上関連データを制御部230に伝達する。
【0077】
制御部230の表示制御部232は、売上関連データを受け付けると、出力部250(モニタ)に、その情報を出力し(ステップS704)、処理を終了する。
【0078】
これにより、店舗端末200の店員は、指定した日にちにおける店舗の売上や来客数を認識することができ、例えば、仕入れ等に役立てることができる。
【0079】
以上が、実施の形態に係る学習推定システム100及び店舗端末200の動作例である。
【0080】
<まとめ>
上述したように、学習推定システム100は、元々様々な店舗それぞれの売上関連データを、売り上げのあった日付、店舗の場所、店舗の業態、そしてその時の気象又は人流に対応付けて学習した機械学習モデル141を記憶している。予め様々な場所の様々な業態に対応して店舗の売上関連データを学習した機械学習モデルを用意しておくことで、教師データの母数を用意することが難しい小規模店舗や新規店舗であっても、ある程度の正確な売上関連データの推定を行うことができる。そして、学習推定システム100は、店舗端末200から送られる売上関連データを、その店舗の場所、業態、その時の気象または人流、カレンダー情報、販促情報等に対応付けて学習するので、当該店舗の売上関連データを推定することができる。店舗の売上関連データを学習すればするほど、学習推定システム100による推定精度を向上させることができる。また、店舗端末200は、売上関連データを学習推定システム100に送るだけで、学習推定システム100が自動的に機械学習モデル141に適したフォーマットの教師データに変換して、学習させるので、店舗端末200の店員等は、大きな手間なく、店舗の指定した日時における売上関連データを、学習推定システム100から取得することができ、店舗の営業に役立てることができる。
【0081】
<変形例>
上記実施形態に係る学習推定システム100や店舗端末200は、上記実施形態に限定されるものではなく、他の手法により実現されてもよいことは言うまでもない。以下、各種変形例について説明する。
【0082】
(1) 上記実施の形態において、学習推定システム100は、学習と推定の双方を実行するコンピュータシステムとして説明したが、学習と推定とは、それぞれ個別の装置が実行するように構成されてよい。
【0083】
(2) 上記実施の形態において、学習推定システム100は、店舗の場所、店舗の業態、気象又は人流に基づいて指定された日にちの売上関連データを推定することを説明したが、学習推定システム100は、店舗端末200の店舗に関する他の情報、即ち、店舗面積、駐車場台数、レジ台数、店舗座席数、営業開始時間、営業終了時間、営業時間等の情報も用いて売上関連データの推定を行うこととしてよい。この場合、機械学習モデル141は、更に、店舗面積、駐車場台数、レジ台数、店舗座席数、営業開始時間、営業終了時間、営業時間等の推定に用いる情報を事前に学習しておく必要がある。これらの情報を更に追加することで、より精度の高い推定が見込める。
【0084】
(3) 上記実施の形態において、学習推定システム100は、店舗端末200から一定期間の売上関連データを受け付けて、その一定期間内に、営業日であるにも関わらず売上関連データがない日にちがあった場合に、当該日にちにおける売上関連データを補填する補填部を備えていてもよい。
【0085】
補填部は、一例として、当該店舗における売上関連データがない日にちの、過去の同日の売上関連データのデータがある年数分あるいは所定年数分の売上関連データの平均値を算出して、算出した平均値を売上関連データとして補填することとしてよい。補填部は、推定部136による推定を行った売上関連データを補填するものであってもよいし、店舗端末200から複数日分の連続する売上関連データを受信した場合であって、その間に売上関連データがない日があった場合にその日の売上関連データを補填することとしてもよい。
【0086】
学習部133は、補填されたデータを、店舗端末200の教師データとして学習してもよいし、しなくてもよい。
【0087】
(4) 上記実施の形態において、学習推定システム100は、店舗の売上関連データを取得して学習を行うことで、店舗の売上関連データの推定精度を向上させることとしている。ここで、学習推定システム100は、店舗の売上関連データなし、即ち、店舗における売上の学習なしで、売上関連データを推定することとしてもよい。この場合、店舗の位置と、業態だけを学習推定システム100に入力して、売上関連データの推定を行う。このような利用の仕方は一例として、新規の店舗を特定の場所に開設したい場合に、その場所での売上関連データを取得することができるので、新規店舗の位置として適切かどうかを判断するための判断材料を得ることができる。
【0088】
(5) 上記実施の形態において学習推定システム100においては、日単位で、売上関連データを収集して学習を行い、推定する態様を示したが、これは、その限りではない。学習推定システム100は、売上関連データの学習及び推定を行いたい単位での学習及び推定を行うものであってもよい。例えば、売上関連データは、1時間単位、午前・午後といった所定時間単位、月単位と、学習推定システム100に求められる推定単位に応じた時間単位で売上関連データの収集、学習及び推定を行うこととしてよい。これにより、学習推定システム100は、様々な時間単位幅での推定を行うことができるようになる。
【0089】
(6) 上記実施の形態において学習推定システム100は、取得部131が取得した売上関連データを対数変換して教師データに変換し、学習部133に学習させる態様を説明したが、これはその限りではない。変換部132は、売上関連データを対数変換した後に、その対数変換後の値と、異なる日の売上関連データを対数変換した対数変換後の値と、の差分を算出し、算出した差分を教師データとするものであってもよい。ここで、異なる日の売上関連データは、機械学習モデル141が推定する売上関連データが、所定日後の売上関連データである場合に、取得した売上関連データの所定日前の売上関連データのことであってよい。また、教師データは、更に、算出した差分を更に逆対数変換した値であってもよい。この場合に、機械学習モデル141の出力は、取得した売上関連データを対数変換した値と、推定した所定日後の売上関連データを対数変換した値との差分を、逆対数変換した値を出力するものであってもよい。
【0090】
また、学習部133は、対数変換していない売上関連データの差分を教師データとして学習するものであってもよい。即ち、学習部133は、機械学習モデル141が所定日後の売上関連データを推定する場合に、取得部131が取得した売上関連データと、当該売上関連データを取得した所定日前の売上関連データと、の差分を教師データとして学習するものであってもよい。また、この差分は、2階差分であってもよい。1階差分の場合には、売上関連データの変化量を学習することになり、2階差分の場合には、売上関連データの変化量の変化を学習することになる。また、学習部133は、双方の差分を学習するものであってもよい。
【0091】
そして、学習部133は、この差分を示す教師データを学習するものであってもよい。学習部133が、差分を学習することによって、時系列データ(時系列に沿った売上関連データ)が定常性を持たせることができる。時系列データが定常性をもつとは、時系列データの統計的特性が変化しにくくなることを意味する。したがって、学習部133が学習して生成した機械学習モデル141は、売上関連データを推定する日における様々な状態に対応した(トレンドに追従した)推定を行うことができる。
【0092】
(7) 上記実施の形態において学習推定システム100の推定部136は、受付部134が受け付けた日にちデータが示す日にちの売上関連データを推定する例を説明したがこれはその限りではない。推定部136は、予め定められた日にちの売上関連データを推定して店舗端末200に送信することとしてよく、例えば、店舗端末200が、ある日の売上関連データを送信してきた場合に、その日から所定期間(例えば、2週間分であってよいが、これに限定するものではない)の売上関連データを推定することとしてもよい。
【0093】
(8) 本開示の学習推定システム100が店舗の売上関連データを教師データに変換して学習し、当該店舗の売上関連データを予測するためのプログラムは、コンピュータに読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態で提供されてもよい。記憶媒体は、「一時的でない有形の媒体」に、プログラムを記憶可能である。記憶媒体は、HDDやSSDなどの任意の適切な記憶媒体、またはこれらの2つ以上の適切な組合せを含むことができる。記憶媒体は、揮発性、不揮発性、または揮発性と不揮発性の組合せでよい。なお、記憶媒体はこれらの例に限られず、プログラムを記憶可能であれば、どのようなデバイスまたは媒体であってもよい。
【0094】
なお、学習推定システム100は、例えば、記憶媒体に記憶されたプログラムを読み出し、読み出したプログラムを実行することによって、各実施形態に示す複数の機能部の機能を実現することができる。また、当該プログラムは、任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して、学習推定システム100に提供されてもよい。学習推定システム100は、例えば、インターネット等を介してダウンロードしたプログラムを実行することにより、各実施形態に示す複数の機能部の機能を実現する。このプログラムは、学習推定システム100等によって実行されるものであってもよい。
【0095】
なお、当該プログラムは、例えば、ActionScript、JavaScript(登録商標)などのスクリプト言語、Objective-C、Java(登録商標)、Python(登録商標)などのオブジェクト指向プログラミング言語、HTML5などのマークアップ言語などを用いて実装できるが、これらに限定するものではない。
【0096】
学習推定システム100における処理の少なくとも一部は、1以上のコンピュータにより構成されるクラウドコンピューティングにより実現されていてもよい。また、学習推定システム100の各機能部は、上記実施形態に示した機能を実現する1または複数の回路によって実現されてもよく、1の回路により複数の機能部の機能が実現されることとしてもよい。
【0097】
(9) 上記実施の形態並びに各変形例は、店舗の売上関連データの教師データを生成して学習し、当該店舗の売上関連データを予測するという目的に沿う範囲で適宜組み合わせることとしてもよい。
【0098】
(10) 以上説明した本開示の各態様によれば、店舗の売上関連データを推定し、店舗の運営の最適化を実行できることにより、持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」の達成に貢献できる。
【符号の説明】
【0099】
100 学習推定システム
110 通信部
120 入力部
130 制御部
131 取得部
132 変換部
133 学習部
134 受付部
135 データ取得部
136 推定部
140 記憶部
150 出力部
200 店舗端末
210 通信部
220 入力部
230 制御部
231 売上関連データ送信部
232 表示制御部
240 記憶部
250 出力部
【要約】      (修正有)
【課題】情報量の少ない店舗であっても、将来の売上を推定する学習推定システムを提供する。
【解決手段】学習推定システム100と店舗端末200a、200bを含む通信システムにおいて、学習推定システムは、店舗の場所を示す店舗位置データと、店舗の業態を示す店舗業態データと、店舗の日にち毎の売り上げに関連する売上関連データと、を取得する取得部と、取得部が取得したデータに基づいて教師データに変換する変換部と、気象又は人流データに基づいて店舗の売上関連データを推定する機械学習モデルに、教師データを学習させる学習部と、を備える。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7