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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-27
(45)【発行日】2025-04-04
(54)【発明の名称】半導体装置および半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/607 20060101AFI20250328BHJP
   H01L 21/52 20060101ALI20250328BHJP
   H01L 21/58 20060101ALI20250328BHJP
   H01L 23/12 20060101ALI20250328BHJP
   H01L 23/36 20060101ALI20250328BHJP
   H01L 25/07 20060101ALI20250328BHJP
   H01L 25/18 20230101ALI20250328BHJP
【FI】
H01L21/607 A
H01L21/52 A
H01L21/58
H01L23/12 J
H01L23/36 C
H01L25/04 C
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2024517622
(86)(22)【出願日】2022-04-25
(86)【国際出願番号】 JP2022018709
(87)【国際公開番号】W WO2023209766
(87)【国際公開日】2023-11-02
【審査請求日】2024-03-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】酒井 康裕
【審査官】安田 雅彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-090030(JP,A)
【文献】特開2004-228352(JP,A)
【文献】特開2016-111111(JP,A)
【文献】特開昭57-160150(JP,A)
【文献】特開2005-039081(JP,A)
【文献】特開平07-183436(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0113107(US,A1)
【文献】特開2007-250571(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/60-21/607
H01L 21/52
H01L 21/58
H01L 23/12-23/15
H01L 23/34-23/473
H01L 23/48-23/50
H01L 25/00-25/18
H05K 1/00- 1/18
H05K 3/30- 3/34
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放熱板と、
絶縁基板と、
接合材と、
半導体素子と、
を備え、
前記絶縁基板は前記放熱板の上面上に前記接合材を介して接合されており、
前記半導体素子は前記絶縁基板の上面上に接合されており、
前記放熱板の厚さは前記放熱板の面内方向位置によって異なり、
前記放熱板の前記上面上の、前記絶縁基板と前記放熱板とが接合されている領域に、複数の支持部が設けられており、
前記複数の支持部のそれぞれは前記絶縁基板に接触しており、
平面視で前記絶縁基板と前記放熱板とが接合されている領域と重なる領域において、前記放熱板の前記上面と前記絶縁基板の前記上面は平行でない、
半導体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置であって、
平面視で前記絶縁基板と前記放熱板とが接合されている領域と重なる領域において、前記放熱板の前記上面と前記絶縁基板の前記上面よりも、前記放熱板の下面と前記絶縁基板の前記上面の方が、平行に近い、
半導体装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の半導体装置であって、
前記放熱板の下面は、前記放熱板の中央部において、前記放熱板の外周部におけるよりも下側に位置する、
半導体装置。
【請求項4】
請求項1に記載の半導体装置であって、
前記放熱板の下面は下凸の曲面である、
半導体装置。
【請求項5】
請求項1に記載の半導体装置であって、
前記放熱板は、前記複数の支持部のうちの第1の支持部が配置されている位置において、前記複数の支持部のうちの第2の支持部が配置されている位置におけるよりも薄く、
前記第1の支持部は前記第2の支持部よりも高い、
半導体装置。
【請求項6】
請求項1に記載の半導体装置であって、
前記複数の支持部のそれぞれは、前記放熱板の前記上面上に前記放熱板の前記上面に接触して設けられたスペーサである、
半導体装置。
【請求項7】
請求項1に記載の半導体装置であって、
前記複数の支持部のそれぞれは、前記放熱板の前記上面上に前記放熱板の前記上面に接触して設けられたスペーサである支持部であるか、もしくは前記放熱板の前記上面上に設けられ前記放熱板と一体の突起と前記突起上に設けられたスペーサとを含む支持部である、
半導体装置。
【請求項8】
請求項7に記載の半導体装置であって、
前記複数の支持部のそれぞれに含まれる前記スペーサは同じ高さである、
半導体装置。
【請求項9】
請求項1に記載の半導体装置であって、
前記複数の支持部のそれぞれは、前記放熱板の前記上面上に設けられ前記放熱板と一体の突起である、
半導体装置。
【請求項10】
請求項1に記載の半導体装置であって、
端子を更に備え、
前記端子は前記絶縁基板の前記上面上に超音波接合されている、
半導体装置。
【請求項11】
請求項1に記載の半導体装置を製造する半導体装置の製造方法であって、
前記半導体装置は端子を更に備え、
前記絶縁基板と前記放熱板とを接合し、その後、前記放熱板を超音波接合装置の定盤に固定して、前記端子を前記絶縁基板の前記上面上に超音波接合する、
半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置および半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1においては、水平に固定されていない半導体素子に対してのテープボンディングにおいて、被接合物の傾きを補正する機構を備えた装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-250571号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術において、放熱板上に絶縁基板が接合されている半導体装置において、放熱板の厚さが面内方向位置によって異なる場合、製造工程において問題があった。例えば、放熱板を超音波接合装置の定盤に固定すると、放熱板の厚さの面内方向位置による異なりを反映して絶縁基板が傾くために、超音波接合装置の定盤に対して垂直方向に押される端子と傾いた絶縁基板とが片当たりし、均一な圧力を加えられないといった問題がある。
【0005】
本開示は上記のような問題を解決するためのものであり、放熱板上に絶縁基板が接合されている半導体装置であって、放熱板の厚さが面内方向位置によって異なることにより起きる問題を軽減できる半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の半導体装置は、放熱板と、絶縁基板と、接合材と、半導体素子と、を備え、絶縁基板は放熱板の上面上に接合材を介して接合されており、半導体素子は絶縁基板の上面上に接合されており、放熱板の厚さは放熱板の面内方向位置によって異なり、放熱板の上面上の、絶縁基板と放熱板とが接合されている領域に、複数の支持部が設けられており、複数の支持部のそれぞれは絶縁基板に接触しており、平面視で絶縁基板と放熱板とが接合されている領域と重なる領域において、放熱板の上面と絶縁基板の上面は平行でない、半導体装置である。
【発明の効果】
【0007】
本開示により、放熱板上に絶縁基板が接合されている半導体装置であって、放熱板の厚さが面内方向位置によって異なることにより起きる問題を軽減できる半導体装置が提供される。
【0008】
また、本願明細書に開示される技術に関連する目的と、特徴と、局面と、利点とは、以下に示される詳細な説明と添付図面とによって、さらに明白となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1の半導体装置を示す図である。
図2】実施の形態1の半導体装置の製造途中の状態を示す図である。
図3図1に示される実施の形態1の半導体装置の一部を拡大して示す図である。
図4】実施の形態2の半導体装置の一部を拡大して示す図である。
図5】実施の形態3の半導体装置の一部を拡大して示す図である。
図6】実施の形態1の半導体装置の製造方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<A.実施の形態1>
<A-1.構成>
図1は実施の形態1の半導体装置10を示す図である。
【0011】
図1に示されるように、半導体装置10は、端子11、絶縁基板21、放熱板31、接合材35、半導体素子41、接合材42、ワイヤ43、および複数の支持部50を備える。
【0012】
絶縁基板21は、絶縁層22と、導体パターン23と、導体パターン24とを備える。
【0013】
導体パターン23は絶縁層22の上面上に設けられている。導体パターン24は絶縁層22の下面上に設けられている。
【0014】
絶縁層22の材料は、例えば、窒化珪素、窒化アルミニウム、またはアルミナである。
【0015】
導体パターン23および導体パターン24の材料はそれぞれ、例えば、銅、アルミニウム、銅合金、またはアルミニウム合金である。
【0016】
絶縁基板21は放熱板31上に接合材35により接合されている。導体パターン24の下面241と放熱板31の上面34とが接合材35により接合されている。接合材35は例えばはんだまたは焼結材である。
【0017】
半導体素子41は接合材42により導体パターン23の上面上に接合されている。接合材42は例えばはんだまたは焼結材である。
【0018】
端子11は導体パターン23上に接合されている。端子11を介して、半導体装置10の外部から半導体素子41に電力が供給される。
【0019】
放熱板31にはねじ穴32が設けられている。ねじ穴32は、放熱板31をフィンまたは定盤等にねじを用いて締結するためのねじ穴である。
【0020】
放熱板31の材料は例えば銅、アルミニウム、銅合金、またはアルミニウム合金である。放熱板31の材料は複合材料でもよい。当該複合材料は例えばAlSiCまたはMgSiCである。
【0021】
放熱板31の厚さは放熱板31の面内方向位置によって異なる。
【0022】
放熱板31の厚さは例えば3mm~8mmである。
【0023】
放熱板31は例えば、平面視における放熱板31の中央において最も厚い。以下、この場合を想定して説明する。
【0024】
放熱板31は例えば、放熱板31の中央から外周方向に向かって100mmあたり0.1mm~0.5mmの割合で薄くなる。
【0025】
放熱板31がフィンまたは定盤等と締結されておらず、放熱板31の下面33が他の要素に押し付けられていない状態(以下、非締結状態と呼ぶ)において、放熱板31の上面34は例えば平面である。
【0026】
非締結状態において、放熱板31の下面33は、例えば、下凸の曲面である。
【0027】
非締結状態において、放熱板31の下面33は、放熱板31の中央部において、放熱板31の外周部におけるよりも下側に位置する。
【0028】
非締結状態において、放熱板31の下面33は、例えば、平面視における放熱板31の中央において最も下側に位置する。
【0029】
非締結状態において、放熱板31の下面33は、例えば、平面視における放熱板31の中央から外周方向に向かって100mmあたり0.1mm~0.5mmの割合で上にずれる。つまり、放熱板31の下面33は、例えば、0.06°~0.3°程度の傾斜を有する。
【0030】
放熱板31の下面33は例えば球面の一部を取り出した形状である。
【0031】
例えばインバータ等の冷却フィンに半導体装置10を取り付ける際に、下凸の曲面である下面33を冷却フィンに押し付けることで放熱板31と冷却フィンとの間のグリースを押し広げることができ、例えばグリースを数十μm程度に薄くできる。グリースの熱伝導度は例えば数W/mK程度と低いため、このようにグリースを薄くすることで、放熱性が改善される。
【0032】
放熱板31の代わりに、平坦な板、つまり面内方向に関して厚さが一定の板、に反りを与えて下面が下凸の曲面であるようにした放熱板を使用することも考えられる。しかし、平坦な板に反りを与えた放熱板を用いた場合よりも放熱板31を用いた場合の方が、グリースをより高い圧力でより薄く押し広げる事が可能であり、また、放熱性をより高くできる。
【0033】
各支持部50は、放熱板31の上面34上のうち、絶縁基板21が接合材35により接合されている領域に配置されている。本実施の形態において、各支持部50は、スペーサ44である。当該スペーサ44は例えばアルミワイヤを材料に用いて形成される。
【0034】
各支持部50は、放熱板31と絶縁基板21とにそれぞれ接触している。そのため、放熱板31に対する絶縁基板21の傾きは各支持部50の高さにより定まる。
【0035】
図3図1に示される半導体装置10の一部を拡大して示す図である。
【0036】
放熱板31の平面視における中央に最も近い位置に設けられている支持部50(以下、支持部50aと呼ぶ)の位置における放熱板31の厚さをT1、支持部50aの高さDとする。残りの支持部50の高さは、例えば、各支持部50の位置の放熱板31の厚さT2とT1の差分をH(H=T1-T2)として、D+Hである。これにより、支持部50それぞれの位置における放熱板31の下面33から支持部50それぞれの上端までの距離が同じになる。それにより、放熱板31の下面33が定盤の載置面に押し当てられ放熱板31が変形して放熱板31の下面33が平坦になった際に、定盤の載置面と絶縁基板21の上面231とが平行になる。ここで、絶縁基板21の上面231は導体パターン23の上面である。
【0037】
支持部50a以外の支持部50の高さは、例えば、各支持部50の位置の放熱板31の厚さT2とT1の差分をH(H=T1-T2)として、D+0.9×H以上D+1.1×H以下である。
【0038】
放熱板31がより薄い位置に配置された支持部50である第1の支持部が、放熱板31がより厚い位置に配置された支持部50である第2の支持部よりも高いことで、放熱板31の厚さの面内方向の位置による違いの影響が緩和される。
【0039】
放熱板31の厚さが面内方向の位置によって異なるため、支持部50が無い場合、放熱板31の下面33と絶縁基板21の上面231とは平行でない。そのため、支持部50が無い場合、放熱板31がフィンまたは定盤等と締結された際、つまり、放熱板31の下面33が平面である台の載置面に押し付けられた際に、絶縁基板21の上面231は当該台の載置面と平行でない。
【0040】
本実施の形態の半導体装置10においては、複数の支持部50が設けられているため、平面視で絶縁基板21と放熱板31とが接合されている領域と重なる領域において、放熱板31の上面34と絶縁基板21の上面231は平行でない。複数の支持部50は、平面視で絶縁基板21と放熱板31とが接合されている領域と重なる領域において、放熱板31の上面34と絶縁基板21の上面231よりも、放熱板31の下面33と絶縁基板21の上面231の方が平行に近いように、設けられる。それにより、平面である台の載置面、例えば定盤の載置面、に放熱板31の下面33を押し付けた際に、複数の支持部50が無い場合と比べ絶縁基板21の上面231が当該平面と平行に近くなる。結果、端子11を絶縁基板21の導体パターン23に接合する際、例えば端子11を絶縁基板21の導体パターン23に超音波接合する際、端子11に加えられる垂直方向の力が端子11と導体パターン23との接触面により均一に伝わり、端子11と導体パターン23の接合の品質が向上する。例えば、端子11の接合面12が全面で強固に絶縁基板21の上面231に接合される。このように、半導体装置10は、放熱板の厚さが面内方向位置によって異なることにより起きる問題を軽減できる半導体装置である。
【0041】
絶縁基板21が傾いている場合に、絶縁基板21の傾きを測定するセンサーを用い、当該傾きに応じて端子11に力を加える方向を補正することも考えられるが、そのような場合、センサーにより測定する箇所に金属粉などの異物が付着した場合に補正機能が正しく働かないという問題が生じうる。本実施の形態の半導体装置を製造する際は、絶縁基板21の傾きを測定するセンサーを用いずとも、絶縁基板21の傾きによる問題を低減できる。ただし、本実施の形態の半導体装置を製造する際に、絶縁基板21の傾きを測定するセンサーを用い、絶縁基板21の傾きの測定に基づく補正を行い、絶縁基板21の傾きによる影響を全体的にさらに低減することも可能である。
【0042】
<A-2.製造方法>
図6は本実施の形態の半導体装置の製造方法を示すフローチャートである。本実施の形態の半導体装置の製造方法は、ステップS1からステップS5を有する。
【0043】
まず、ステップS1において、放熱板31の上面34上に支持部50を設ける。
【0044】
次に、ステップS2において、放熱板31の上面34上に、接合材35により絶縁基板21を接合する。
【0045】
次に、ステップS3において、絶縁基板21上に、半導体素子41を接合材42により接合する。
【0046】
次に、ステップS4において、ワイヤ43による配線を行う(図2を参照)。
【0047】
次に、ステップS5において、図2に示される状態から、絶縁基板21の上面231上に、端子11を超音波接合する。これにより、図1に示される半導体装置10が得られる。ステップS5においては、放熱板31を超音波接合装置の定盤にねじを用いて締結して固定し、放熱板31の下面33が平面である定盤の載置面に押し付けられた状態で、超音波接合を行う。端子11の超音波接合ツール押し当て面13に超音波接合ツールを押し当てることで、超音波接合が行われる。
【0048】
<B.実施の形態2>
図4は本実施の形態の半導体装置10bの一部を拡大して示す図であり、実施の形態1の図3と対応する図である。
【0049】
半導体装置10bにおいては、複数の支持部50のうちの少なくとも一部は、スペーサ44と放熱板31の上面上に放熱板31と一体的に設けられた突起51とにより構成されている。半導体装置10bはその他の点では半導体装置10と同様である。
【0050】
半導体装置10bにおいても、実施の形態1の半導体装置10の場合と同様、複数の支持部50が設けられているため、平面視で絶縁基板21と放熱板31とが接合されている領域と重なる領域において、放熱板31の上面34と絶縁基板21の上面231は平行でない。複数の支持部50は、平面視で絶縁基板21と放熱板31とが接合されている領域と重なる領域において、放熱板31の上面34と絶縁基板21の上面231よりも、放熱板31の下面33と絶縁基板21の上面231の方が平行に近いように、設けられる。
【0051】
放熱板31の平面視における中央に最も近い位置に設けられている支持部50(以下、支持部50aと呼ぶ)は例えば図4に示されるように突起を含まずスペーサ44により構成されているが、支持部50aがスペーサ44と放熱板31の上面上に放熱板31と一体的に設けられた突起51とにより構成されていてもよい。
【0052】
支持部50aの位置における放熱板31の厚さをT1、支持部50aの高さDとする。残りの支持部50の位置には、例えば、各支持部50の位置の放熱板31の厚さT2とT1の差分H(H=T1-T2)の高さの突起51が設けられ、突起51及び突起51上に配置された高さDのスペーサ44により、支持部50が構成される。それにより、例えば、放熱板31の下面33が定盤の載置面に押し当てられ放熱板31が変形して放熱板31の下面33が平坦になった際に、定盤の載置面と絶縁基板21の上面とが平行になる。このように、半導体装置10bにおいては、突起51の高さを支持部50の位置に応じて変えることで、各支持部50において同じ高さのスペーサ44を用いることができ、スペーサ44のコストを低減できる。ここで、各支持部50において同じ高さのスペーサ44が用いられる、とは、複数の支持部50において用いられるスペーサ44のうち最も高いスペーサの高さが最も低いスペーサの高さの1.05倍以下である場合を指す。
【0053】
各支持部50に含まれるスペーサ44の高さはそれぞれ異なっていてもよい。
【0054】
突起51は例えばプレス加工により形成される。
【0055】
<C.実施の形態3>
図5は、本実施の形態の半導体装置10cの一部を拡大して示す図であり、実施の形態1の図3と対応する図である。
【0056】
半導体装置10cにおいては、複数の支持部50はそれぞれ、放熱板31の上面上に放熱板31と一体的に設けられた突起51である。半導体装置10cはその他の点では半導体装置10と同様である。
【0057】
半導体装置10cにおいても、実施の形態1の半導体装置10の場合と同様、複数の支持部50が設けられているため、平面視で絶縁基板21と放熱板31とが接合されている領域と重なる領域において、放熱板31の上面34と絶縁基板21の上面231は平行でない。複数の支持部50は、平面視で絶縁基板21と放熱板31とが接合されている領域と重なる領域において、放熱板31の上面34と絶縁基板21の上面231よりも、放熱板31の下面33と絶縁基板21の上面231の方が平行に近いように、設けられる。
【0058】
半導体装置10cにおいて、複数の支持部50の高さは、例えば以下のように定められる。放熱板31の平面視における中央に最も近い位置に設けられている支持部50(以下、支持部50aと呼ぶ)の位置における放熱板31の厚さをT1、支持部50aの高さDとすると、残りの支持部50の位置には、例えば、各支持部50の位置の放熱板31の厚さT2とT1の差分をH(H=T1-T2)として、D+Hの高さの突起51が支持部50として設けられる。
【0059】
本実施の形態では、スペーサを配置する工程が不要である。
【0060】
なお、各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略したりすることが可能である。
【符号の説明】
【0061】
10,10b,10c 半導体装置、11 端子、12 接合面、13 超音波接合ツール押し当て面、21 絶縁基板、22 絶縁層、23,24 導体パターン、31 放熱板、32 ねじ穴、33,241 下面、34,231 上面、35 接合材、41 半導体素子、42 接合材、43 ワイヤ、44 スペーサ、50 支持部、51 突起。
図1
図2
図3
図4
図5
図6