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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-27
(45)【発行日】2025-04-04
(54)【発明の名称】通信システム、及び、通信装置
(51)【国際特許分類】
   H04B 3/54 20060101AFI20250328BHJP
   H04L 27/26 20060101ALI20250328BHJP
【FI】
H04B3/54
H04L27/26 100
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2024524116
(86)(22)【出願日】2022-06-02
(86)【国際出願番号】 JP2022022516
(87)【国際公開番号】W WO2023233632
(87)【国際公開日】2023-12-07
【審査請求日】2024-07-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100131152
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100148149
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100181618
【弁理士】
【氏名又は名称】宮脇 良平
(74)【代理人】
【識別番号】100174388
【弁理士】
【氏名又は名称】龍竹 史朗
(72)【発明者】
【氏名】那谷 和輝
(72)【発明者】
【氏名】小泉 吉秋
【審査官】鴨川 学
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-249387(JP,A)
【文献】特開2021-67375(JP,A)
【文献】国際公開第2008/007687(WO,A1)
【文献】特開平7-332746(JP,A)
【文献】特開2009-52871(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 3/54
H04L 27/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力線を介して外部電源に接続される第1通信装置と、電源線と共用線と信号線とを介して前記第1通信装置に接続される第2通信装置と、を備える通信システムであって、
前記第1通信装置は、前記電力線を介して前記外部電源から供給される電力を前記電源線と前記共用線とを介して前記第2通信装置に供給し、前記信号線と前記共用線とを介して前記第2通信装置との間でマルチキャリア伝送方式のアナログ信号を送受信し、
前記第2通信装置は、前記電源線と前記共用線とを介して前記第1通信装置から供給される前記電力で動作し、前記信号線と前記共用線とを介して前記第1通信装置との間で前記アナログ信号を送受信
前記第1通信装置と前記第2通信装置とのうち少なくとも一方の装置は、漏洩電流が流れる漏洩経路上において、前記電源線と前記共用線との間に接続される負荷回路に対して直列に接続されるインダクタを備え、
前記漏洩経路は、前記電源線と前記共用線とを含み、前記信号線と前記共用線とを含む通信用の電流が流れる通信経路と前記共用線を共有する経路である、
通信システム。
【請求項2】
前記第1通信装置は、
前記第1通信装置と前記第2通信装置との間で送受信される送受信データを生成又は解析する第1制御手段と、
前記第1制御手段が扱う前記送受信データを示すデジタル信号と前記アナログ信号とを相互に変換する第1通信制御手段と、
前記第1通信制御手段を前記信号線と前記共用線との間に接続し、前記アナログ信号を送受信する第1結合手段と、を備え、
前記第2通信装置は、
前記送受信データを生成又は解析する第2制御手段と、
前記第2制御手段が扱う前記送受信データを示す前記デジタル信号と前記アナログ信号とを相互に変換する第2通信制御手段と、
前記第2通信制御手段を前記信号線と前記共用線との間に接続し、前記アナログ信号を送受信する第2結合手段と、を備える、
請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記第1通信装置は、前記電力線を介して前記外部電源から供給される前記電力から、前記第1制御手段と前記第1通信制御手段とを駆動するための駆動電力を生成する第1駆動電力生成手段を更に備え、
前記第2通信装置は、前記電源線と前記共用線とを介して前記第1通信装置から供給される前記電力から、前記第2制御手段と前記第2通信制御手段とを駆動するための駆動電力を生成する第2駆動電力生成手段を更に備える、
請求項2に記載の通信システム。
【請求項4】
前記第1通信装置は、前記電力線を介して前記外部電源から供給される前記電力から、前記第1制御手段と前記第1通信制御手段と前記第2制御手段と前記第2通信制御手段とを駆動するための駆動電力を生成する第1駆動電力生成手段を更に備え、
前記第1通信装置は、前記第1駆動電力生成手段が生成した前記駆動電力を前記信号線と前記共用線とを介して前記第2通信装置に供給し、
前記第2制御手段と前記第2通信制御手段とは、前記信号線と前記共用線とを介して前記第1通信装置から供給された前記駆動電力により駆動する、
請求項2に記載の通信システム。
【請求項5】
前記電源線と前記共用線と前記信号線とは、互いに絶縁されて、1本のケーブルに纏められている、
請求項1から4の何れか1項に記載の通信システム。
【請求項6】
前記マルチキャリア伝送方式は、10kHz以上の周波数帯域の搬送波を使用するOFDM伝送方式である、
請求項1からの何れか1項に記載の通信システム。
【請求項7】
前記第1通信装置と前記外部電源とは、第1電力線と第2電力線とで接続されており、
前記負荷回路は、前記第1通信装置の内部において、前記第1電力線と前記電源線とを接続する第1経路上における第1接続点と、前記第2電力線と前記共用線とを接続する第2経路上における第2接続点とに接続されており、
前記インダクタは、前記第1経路上における前記第1接続点よりも前記電源線寄りの部分、又は、前記第2経路上における前記第2接続点よりも前記共用線寄りの部分に設けられている、
請求項1から4の何れか1項に記載の通信システム。
【請求項8】
前記第1通信装置と前記外部電源とは、第1電力線と第2電力線とで接続されており、
前記負荷回路は、前記第1通信装置の内部において、前記第1電力線と前記電源線とを接続する第1経路上における第1接続点と、前記第2電力線と前記共用線とを接続する第2経路上における第2接続点とに接続されており、
前記インダクタは、前記負荷回路と前記第1接続点との間、又は、前記負荷回路と前記第2接続点との間に設けられている、
請求項1から4の何れか1項に記載の通信システム。
【請求項9】
前記負荷回路は、前記第2通信装置の内部において、前記電源線と前記共用線とを接続する第3経路上に設けられており、
前記インダクタは、前記第3経路上における前記負荷回路と前記電源線との間、又は、前記第3経路上における前記負荷回路と前記共用線との間に設けられている、
請求項1から4の何れか1項に記載の通信システム。
【請求項10】
前記第1通信装置は、第1室外機と第1室内機とを含む第1ユニットと第2室外機と第2室内機とを含む第2ユニットとを備える空気調和システムにおける前記第1室外機であり、
前記第2通信装置は、前記空気調和システムにおける前記第1室内機であり、
前記第1室外機と前記第2室外機とは、高速のベースバンド通信が可能な伝送路で相互に接続されており、
前記第1室外機と前記第1室内機とは、前記信号線と前記共用線とを介して、マルチキャリア伝送方式のアナログ信号を送受信する、
請求項1からの何れか1項に記載の通信システム。
【請求項11】
電力線を介して外部電源に接続され、電源線と共用線と信号線とを介して他の通信装置に接続される通信装置であって、
前記電力線を介して前記外部電源から供給される電力を前記電源線と前記共用線とを介して前記他の通信装置に供給し、前記信号線と前記共用線とを介して前記他の通信装置との間で、マルチキャリア伝送方式のアナログ信号を送受信
漏洩電流が流れる漏洩経路上において、前記電源線と前記共用線との間に接続される負荷回路に対して直列に接続されるインダクタを備え、
前記漏洩経路は、前記電源線と前記共用線とを含み、前記信号線と前記共用線とを含む通信用の電流が流れる通信経路と前記共用線を共有する経路である、
通信装置。
【請求項12】
前記電力線を介して前記外部電源から供給される前記電力から、前記通信装置と前記他の通信装置との通信に用いる駆動電力を生成する第1駆動電力生成手段を更に備え、
前記第1駆動電力生成手段が生成した前記駆動電力を用いて前記他の通信装置と通信し、
前記第1駆動電力生成手段が生成した前記駆動電力を前記信号線と前記共用線とを介して前記他の通信装置に供給する、
請求項11に記載の通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、通信システム、及び、通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、それぞれが室外機と少なくとも1つの室内機とを含む複数のユニットを備える空気調和システムが知られている。各ユニットでは、室外機と少なくとも1つの室内機とは、内外伝送路を介して相互に接続され、内外伝送路を介して通信する。また、各ユニットが備える室外機は、各種の伝送路を介して相互に接続され、各種の伝送路を介して通信する。
【0003】
特許文献1には、このような空気調和システムが記載されている。特許文献1には、各ユニットにおいて、室外機と複数の室内機とが内外伝送路を介してデータ伝送可能に接続されることが記載されている。また、特許文献1には、各ユニットが備える室外機が、集中伝送路を介してデータ伝送可能に接続されることが記載されている。集中伝送路は、イーサネット(登録商標)に対応した伝送路であり、高速なデータ伝送が可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2008-20092号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、一般的に、室外機と複数の室内機との通信の通信速度は高速でないことが多く、特許文献1に記載された空気調和システムにおいても、室外機と複数の室内機との通信の通信速度は高速でないと考えられる。このため、特許文献1に記載された空気調和システムでは、システム全体としての通信速度を高めることが困難である。そこで、システム全体として高速なデータ伝送を実現する技術が望まれている。
【0006】
本開示は、上記問題に鑑みてなされたものであり、システム全体として高速なデータ伝送を実現する通信システム、及び、通信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本開示に係る通信システムは、
電力線を介して外部電源に接続される第1通信装置と、電源線と共用線と信号線とを介して前記第1通信装置に接続される第2通信装置と、を備える通信システムであって、
前記第1通信装置は、前記電力線を介して前記外部電源から供給される電力を前記電源線と前記共用線とを介して前記第2通信装置に供給し、前記信号線と前記共用線とを介して前記第2通信装置との間でマルチキャリア伝送方式のアナログ信号を送受信し、
前記第2通信装置は、前記電源線と前記共用線とを介して前記第1通信装置から供給される前記電力で動作し、前記信号線と前記共用線とを介して前記第1通信装置との間で前記アナログ信号を送受信
前記第1通信装置と前記第2通信装置とのうち少なくとも一方の装置は、漏洩電流が流れる漏洩経路上において、前記電源線と前記共用線との間に接続される負荷回路に対して直列に接続されるインダクタを備え、
前記漏洩経路は、前記電源線と前記共用線とを含み、前記信号線と前記共用線とを含む通信用の電流が流れる通信経路と前記共用線を共有する経路である
【発明の効果】
【0008】
本開示では、第1通信装置と第2通信装置とがマルチキャリア伝送方式のアナログ信号を送受信する。従って、本開示によれば、システム全体として高速なデータ伝送を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1に係る空気調和システムの構成図
図2】実施の形態1に係る室外機の構成図
図3】実施の形態1に係る空気調和ユニット内の機器間の接続の説明図
図4】実施の形態1に係る空気調和ユニットの構成図
図5】実施の形態1に係る空気調和ユニットが実行する起動時処理を示すフローチャート
図6】実施の形態2に係る空気調和ユニットの構成図
図7】実施の形態2に係る空気調和ユニットが実行する起動時処理を示すフローチャート
図8】実施の形態3に係る空気調和ユニットの構成図
図9】実施の形態4に係る空気調和ユニットの構成図
図10】実施の形態5に係る空気調和ユニットの構成図
図11】実施の形態6に係る空気調和ユニットの構成図
図12】実施の形態7に係る空気調和ユニットの構成図
図13】実施の形態8に係る空気調和ユニットの構成図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一又は相当部分には同一符号を付す。
【0011】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係る空気調和システム2000の構成を示す図である。空気調和システム2000は、ビル、マンション、アパート、工場等の内部の空気を調和するためのシステムである。空気調和システム2000は、複数の空気調和ユニット1000と、複数の空気調和ユニット1000を相互に接続する伝送路40とを備える。空気調和システム2000が備える空気調和ユニット1000の個数は、適宜、調整することができる。本実施の形態では、空気調和システム2000は、少なくとも、空気調和ユニット1000Aと空気調和ユニット1000Bとの2つの空気調和ユニット1000を備える。なお、空気調和ユニット1000Aと空気調和ユニット1000Bとを総称して、適宜、空気調和ユニット1000という。
【0012】
伝送路40は、高速のベースバンド通信が可能な伝送路であり、例えば、イーサネット(登録商標)に対応した伝送路である。伝送路40は、複数の空気調和ユニット1000が備える室外機100を相互に接続する。伝送路40を用いたベースバンド通信の通信速度は、システム全体として高速なデータ伝送が実現されるように、なるべく速いこと(例えば、1Mbps以上)が好適である。伝送路40を用いたベースバンド通信の通信速度は、例えば、100Mbpsである。伝送路40により、LAN(Local Area Network)が構築される。
【0013】
空気調和ユニット1000は、室内の空気を調和するユニットである。空気調和ユニット1000は、室外機100と、少なくとも1つの室内機200と、室外機100と少なくとも1つの室内機200とを相互に接続する伝送路30とを備える。室内機200の個数は、適宜、調整することができる。本実施の形態では、空気調和ユニット1000Aは、室外機100Aと、室内機200AAと、室内機200ABと、室内機200ACと、伝送路30Aとを備える。また、空気調和ユニット1000Bは、室外機100Bと、室内機200BAと、室内機200BBと、室内機200BCと、伝送路30Bとを備える。
【0014】
空気調和ユニット1000は、通信システムの一例である。空気調和ユニット1000Aは、第1ユニットの一例である。空気調和ユニット1000Bは、第2ユニットの一例である。室外機100Aは、第1室外機の一例である。室外機100Bは、第2室外機の一例である。室内機200AAと室内機200ABと室内機200ACとは、第1室内機の一例である。室内機200BAと室内機200BBと室内機200BCとは、第2室内機の一例である。
【0015】
室外機100Aと室外機100Bとを総称して、適宜、室外機100という。室内機200AAと室内機200ABと室内機200ACと室内機200BAと室内機200BBと室内機200BCとを総称して、適宜、室内機200という。伝送路30Aと伝送路30Bとを総称して、適宜、伝送路30という。
【0016】
室外機100は、室内の空気を調和する設備機器のうち室外に設置される設備機器である。室内の空気を調和することは、室内の空気の温度、湿度、空気清浄度等を調整することである。室外機100は、伝送路30を介して、少なくとも1つの室内機200と通信する。室外機100は、冷媒配管(図示せず)を介して、少なくとも1つの室内機200との間で冷媒を循環させる。室外機100は、第1通信装置の一例である。
【0017】
図2を参照して、室外機100の構成について説明する。なお、図2には、室外機100が備える構成のうち、主に、通信に関する構成のみを示している。図2に示すように、室外機100は、制御部11と、記憶部12と、第1通信部13と、第2通信部14とを備える。
【0018】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、RTC(Real Time Clock)等を備える。CPUは、中央処理装置、中央演算装置、プロセッサ、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、DSP(Digital Signal Processor)等とも呼び、室外機100の制御に係る処理及び演算を実行する中央演算処理部として機能する。制御部11において、CPUは、ROMに格納されているプログラム及びデータを読み出し、RAMをワークエリアとして用いて、室外機100を統括制御する。RTCは、例えば、計時機能を有する集積回路である。なお、CPUは、RTCから読み出される時刻情報から現在日時を特定可能である。
【0019】
記憶部12は、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)等の不揮発性の半導体メモリを備えており、いわゆる補助記憶装置としての役割を担う。記憶部12は、制御部11が各種処理を実行するために使用するプログラム及びデータを記憶する。また、記憶部12は、制御部11が各種処理を実行することにより生成又は取得するデータを記憶する。
【0020】
第1通信部13は、制御部11による制御に従って、伝送路40を介して他の室外機100と通信する。第1通信部13は、伝送路40に接続するための通信インターフェースを備える。第1通信部13は、例えば、イーサネット(登録商標)に対応したLANカードを備える。
【0021】
第2通信部14は、制御部11による制御に従って、伝送路30を介して、少なくとも1つの室内機200と通信する。第2通信部14は、マルチキャリア伝送方式で室内機200と通信する。マルチキャリア伝送方式は、互いに干渉しない複数の周波数スペクトルを有するサブキャリアに信号を重畳する伝送方式である。本実施の形態では、第2通信部14は、10kHz以上の周波数帯域の搬送波を使用するOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)方式で室内機200と通信する。第2通信部14は、伝送路30に接続するための通信インターフェースを備える。第2通信部14は、例えば、OFDM方式に対応した通信インターフェースを備える。
【0022】
室内機200は、室内の空気を調和する設備機器のうち室内に設置される設備機器である。室内機200は、調和空気を室内に吹き出す。調和空気は、室内の空気を調和するための空気であり、基本的に、暖房空気又は冷房空気である。暖房空気は、室内を暖房するための空気であり、室内の空気の温度よりも高い温度を有する空気である。冷房空気は、室内を冷房するための空気であり、室内の空気の温度よりも低い温度を有する空気である。
【0023】
室内機200は、制御部(図示せず)と、記憶部(図示せず)と、通信部(図示せず)とを備える。制御部は、基本的に、制御部11と同様の構成である。記憶部は、基本的に、記憶部12と同様の構成である。通信部は、基本的に、第2通信部14と同様の構成である。室内機200は、第2通信装置の一例である。
【0024】
伝送路30は、1つの空気調和ユニット1000内において、室外機100と少なくとも1つの室内機200とを相互に接続する伝送路である。伝送路30は、給電と通信との双方に用いられる。つまり、伝送路30は、室外機100が室内機200に給電するための給電線と、室外機100と室内機200とが通信するための通信線とを備える。空気調和ユニット1000が複数の室内機200を備える場合、伝送路30は、室外機100に対して複数の室内機200を並列に接続する。伝送路30は、内外伝送路の一例である。以下、図3を参照して、空気調和ユニット1000内の機器間の接続について、空気調和ユニット1000Aを例にして説明する。
【0025】
室外機100Aは、端子111と端子112と端子121と端子122と端子123とを備える。室内機200AAは、端子221Aと端子222Aと端子223Aとを備える。室内機200ABは、端子221Bと端子222Bと端子223Bとを備える。室内機200ACは、端子221Cと端子222Cと端子223Cとを備える。端子221Aと端子221Bと端子221Cとを総称して、適宜、端子221という。端子222Aと端子222Bと端子222Cとを総称して、適宜、端子222という。端子223Aと端子223Bと端子223Cとを総称して、適宜、端子223という。
【0026】
電源300は、室外機100Aに電力を供給する電源である。電源300は、交流又は直流で室外機100Aに電力を供給する。本実施の形態では、電源300は、単相200Vの交流電力を供給する商用電源である。電源300の一端と端子111とは電力線20Aで接続される。電源300の他端と端子112とは電力線20Bで接続される。電力線20Aと電力線20Bとを総称して、適宜、電力線20という。電源300は、電力線20を介して、室外機100Aに電力を供給する。電源300は、外部電源の一例である。
【0027】
端子121と端子221Aとは電源線31Aで接続される。端子122と端子222Aとは共用線32Aで接続される。端子123と端子223Aとは信号線33Aで接続される。端子221Aと端子221Bとは電源線31Bで接続される。端子222Aと端子222Bとは共用線32Bで接続される。端子223Aと端子223Bとは信号線33Bで接続される。端子221Bと端子221Cとは電源線31Cで接続される。端子222Bと端子222Cとは共用線32Cで接続される。端子223Bと端子223Cとは信号線33Cで接続される。
【0028】
電源線31Aと電源線31Bと電源線31Cとを総称して、適宜、電源線31という。共用線32Aと共用線32Bと共用線32Cとを総称して、適宜、共用線32という。信号線33Aと信号線33Bと信号線33Cとを総称して、適宜、信号線33という。電源線31は、給電に用いられる電線である。共用線32は、給電と通信とに用いられる電線である。信号線33は、通信に用いられる電線である。電源線31と共用線32とは給電線である。信号線33と共用線32とは通信線である。
【0029】
伝送路30は、電源線31と共用線32と信号線33とを含む。電源線31と共用線32と信号線33とは、互いに絶縁されて、1本のケーブルに纏められる。このようなケーブルとしては、VVF(Vinyl insulated Vinyl sheathed Flat-type)ケーブル、キャブタイヤケーブル等がある。本実施の形態では、ケーブルは、芯線の本数が3本であるVVFケーブルである。このように、室外機100Aと3つの室内機200とは、電源線31と共用線32と信号線33とを含むケーブルにより順に接続される。
【0030】
次に、図4を参照して、空気調和ユニット1000の構成について説明する。なお、空気調和ユニット1000が複数の室内機200を備える場合、複数の室内機200の構成は基本的に同様である。従って、図4において、空気調和ユニット1000が備える少なくとも1つの室内機200のうち1つの室内機200以外の室内機200の図示を省略している。
【0031】
室外機100は、電力線20を介して電源300に接続される。室外機100は、電力線20を介して電源300から供給される電力を電源線31と共用線32とを介して室内機200に供給する。室外機100は、信号線33と共用線32とを介して室内機200との間で、マルチキャリア伝送方式のアナログ信号を送受信する。図4に示すように、室外機100は、端子台110と、端子台120と、制御回路130と、通信制御回路140と、結合回路150と、駆動電力生成回路160とを備える。
【0032】
端子台110は、電力線20を接続するための端子台である。端子台110は、端子111と端子112とを備える。端子台120は、伝送路30を接続するための端子台である。端子台120は、端子121と端子122と端子123とを備える。
【0033】
制御回路130は、室外機100と室内機200との間で送受信される送受信データを生成又は解析する。より詳細には、制御回路130は、室外機100から室内機200に送信するデータを生成し、生成したデータを示すデジタル信号を通信制御回路140に供給する。また、制御回路130は、通信制御回路140から供給されたデジタル信号を解析し、室外機100が室内機200から受信したデータを取得する。制御回路130は、例えば、各種のIC(Integrated Circuit)を備える。制御回路130は、第1制御手段の一例である。
【0034】
通信制御回路140は、制御回路130が扱う送受信データを示すデジタル信号とマルチキャリア伝送方式のアナログ信号とを相互に変換する。より詳細には、通信制御回路140は、制御回路130から供給されたデジタル信号をマルチキャリア伝送方式のアナログ信号に変換し、変換により得られたマルチキャリア伝送方式のアナログ信号を結合回路150に供給する。また、通信制御回路140は、結合回路150から供給されたマルチキャリア伝送方式のアナログ信号をデジタル信号に変換し、変換により得られたデジタル信号を制御回路130に供給する。通信制御回路140は、例えば、発振回路、変調回路、復調回路等を備える。通信制御回路140は、第1通信制御手段の一例である。
【0035】
結合回路150は、通信制御回路140を信号線33と共用線32との間に接続し、マルチキャリア伝送方式のアナログ信号を送受信する。より詳細には、結合回路150は、通信制御回路140から供給されたマルチキャリア伝送方式のアナログ信号を信号線33と共用線32との間に重畳し、マルチキャリア伝送方式のアナログ信号を室内機200に送信する。また、結合回路150は、室内機200により信号線33と共用線32との間に重畳されたマルチキャリア伝送方式のアナログ信号を取得し、取得したマルチキャリア伝送方式のアナログ信号を通信制御回路140に供給する。結合回路150は、例えば、信号線33と共用線32との間に接続されたコイルと、通信制御回路140に接続されたコイルとを備えるトランスを備える。結合回路150は、第1結合手段の一例である。
【0036】
駆動電力生成回路160は、電力線20を介して電源300から供給される電力から、制御回路130と通信制御回路140とを駆動するための駆動電力を生成する。駆動電力生成回路160が生成する駆動電力は、通信に用いる回路を駆動するための駆動電力であり、直流電圧で供給される電力である。つまり、駆動電力を生成することは、駆動電圧を生成することに対応する。図4において、駆動電力生成回路160が生成した駆動電圧を「DC」として示している。
【0037】
駆動電力生成回路160は、例えば、電源300から供給された交流電圧を予め定められた直流電圧に変換するAC/DC(Alternating Current / Direct Current)コンバータを備える。駆動電力生成回路160は、第1駆動電力生成手段の一例である。駆動電力生成回路160は、電源300から供給された交流電力で動作する交流負荷の一例である。なお、室外機100は、駆動電力生成回路160以外の交流負荷として、圧縮機(図示せず)、ファン(図示せず)等を駆動するためのモータ(図示せず)を備える。
【0038】
室内機200は、電源線31と共用線32と信号線33とを介して室外機100に接続される。室内機200は、電源線31と共用線32とを介して室外機100から供給される電力で動作する。室内機200は、信号線33と共用線32とを介して室外機100との間で、アナログ信号を送受信する。図4に示すように、室内機200は、端子台220と、制御回路230と、通信制御回路240と、結合回路250と、駆動電力生成回路260とを備える。
【0039】
端子台220は、伝送路30を接続するための端子台である。端子台220は、端子221と端子222と端子223とを備える。
【0040】
制御回路230は、室外機100と室内機200との間で送受信される送受信データを生成又は解析する。より詳細には、制御回路230は、室内機200から室外機100に送信するデータを生成し、生成したデータを示すデジタル信号を通信制御回路240に供給する。また、制御回路230は、通信制御回路240から供給されたデジタル信号を解析し、室内機200が室外機100から受信したデータを取得する。制御回路230は、例えば、各種のICを備える。制御回路230は、第2制御手段の一例である。
【0041】
通信制御回路240は、制御回路230が扱う送受信データを示すデジタル信号とマルチキャリア伝送方式のアナログ信号とを相互に変換する。より詳細には、通信制御回路240は、制御回路230から供給されたデジタル信号をマルチキャリア伝送方式のアナログ信号に変換し、変換により得られたマルチキャリア伝送方式のアナログ信号を結合回路250に供給する。また、通信制御回路240は、結合回路250から供給されたマルチキャリア伝送方式のアナログ信号をデジタル信号に変換し、変換により得られたデジタル信号を制御回路230に供給する。通信制御回路240は、例えば、発振回路、変調回路、復調回路等を備える。通信制御回路240は、第2通信制御手段の一例である。
【0042】
結合回路250は、通信制御回路240を信号線33と共用線32との間に接続し、マルチキャリア伝送方式のアナログ信号を送受信する。より詳細には、結合回路250は、通信制御回路240から供給されたマルチキャリア伝送方式のアナログ信号を信号線33と共用線32との間に重畳し、マルチキャリア伝送方式のアナログ信号を室外機100に送信する。また、結合回路250は、室外機100により信号線33と共用線32との間に重畳されたマルチキャリア伝送方式のアナログ信号を取得し、取得したマルチキャリア伝送方式のアナログ信号を通信制御回路240に供給する。結合回路250は、例えば、信号線33と共用線32との間に接続されたコイルと、通信制御回路240に接続されたコイルとを備えるトランスを備える。結合回路250は、第2結合手段の一例である。
【0043】
駆動電力生成回路260は、電源線31と共用線32とを介して室外機100から供給される電力から、制御回路230と通信制御回路240とを駆動するための駆動電力を生成する。駆動電力生成回路260が生成する駆動電力は、通信に用いる回路を駆動するための駆動電力であり、直流電圧で供給される電力である。つまり、駆動電力を生成することは、駆動電圧を生成することに対応する。図4において、駆動電力生成回路260が生成した駆動電圧を「DC」として示している。
【0044】
駆動電力生成回路260は、例えば、室外機100から供給された交流電圧を予め定められた直流電圧に変換するAC/DCコンバータを備える。駆動電力生成回路260は、第2駆動電力生成手段の一例である。駆動電力生成回路260は、室外機100から供給された交流電力で動作する交流負荷の一例である。室内機200は、駆動電力生成回路260以外の交流負荷として、ファン(図示せず)を駆動するためのモータ(図示せず)を備える。
【0045】
なお、室外機100が備える第2通信部14は、制御回路130と通信制御回路140と結合回路150とを備える。また、室内機が備える通信部(図示せず)は、制御回路230と通信制御回路240と結合回路250とを備える。
【0046】
次に、図5のフローチャートを参照して、空気調和ユニット1000が実行する起動時処理について説明する。空気調和ユニット1000は、例えば、電源300から室外機100に電力が供給されたことに応答して、起動時処理の実行を開始する。
【0047】
まず、室外機100が室内機200に交流電力を供給する(ステップS101)。本実施の形態では、室外機100は、室内機200への給電の制御を実行しない。つまり、本実施の形態では、電力線20Aに接続される端子111と電源線31に接続される端子121とが直接接続され、電力線20Bに接続される端子112と共用線32に接続される端子122とが直接接続されている。そして、室外機100は、電力線20Aと電力線20Bとを介して電源300から供給された交流電力を、電源線31と共用線32とを介してそのまま室内機200に供給する。なお、室外機100が室内機200に給電を開始すると、室内機200は室外機100から受電を開始する。
【0048】
室外機100は、ステップS101の処理が完了すると、交流電力から駆動電力を生成する(ステップS102)。具体的には、駆動電力生成回路160は、電力線20Aと電力線20Bとを介して電源300から供給された交流電力を直流の駆動電力に変換する。駆動電力生成回路160は、生成した駆動電力を制御回路130と通信制御回路140とに供給する。なお、ステップS102の処理は、ステップS101の処理よりも前に実行されてもよく、ステップS101の処理と同時に実行されてもよい。
【0049】
室内機200は、ステップS102の処理が完了すると、交流電力から駆動電力を生成する(ステップS103)。具体的には、駆動電力生成回路260は、電源線31と共用線32とを介して室外機100から供給された交流電力を直流の駆動電力に変換する。駆動電力生成回路260は、生成した駆動電力を制御回路230と通信制御回路240とに供給する。なお、ステップS103の処理は、ステップS102の処理よりも前に実行されてもよく、ステップS102の処理と同時に実行されてもよい。
【0050】
室外機100と室内機200とは、ステップS103の処理が完了すると、室外機100と室内機200との通信リンクを確立する(ステップS104)。具体的には、室外機100と室内機200とは、信号線33と共用線32とを介して、マルチキャリア伝送方式のアナログ信号を送受信して、互いの通信リンクを確立する。通信リンクの確立を開始するトリガは、適宜、調整することができる。
【0051】
例えば、室外機100が、電力線20を介して電源300から交流電力を供給された後にビーコンフレームを周期的に発信する場合、室内機200が室外機100からこのビーコンフレームを受信したことをトリガとして、通信リンクの確立が開始されてもよい。又は、例えば、室内機200が、電源線31と共用線32とを介して室外機100から交流電力を供給された後に室外機100に信号を送信する場合、この信号をトリガとして、通信リンクの確立が開始されてもよい。
【0052】
なお、空気調和ユニット1000が複数の室内機200を備える場合、室外機100と複数の室内機200のそれぞれとの間で通信リンクが確立されてもよいし、室外機100と複数の室内機200とのそれぞれの間で通信リンクが確立されてもよい。また、本実施の形態では、OFDM伝送方式のマルチキャリア伝送方式を想定しているが、搬送波が使用する周波数帯域は、適宜、調整することができる。搬送波が使用する周波数帯域は、狭帯域(例えば、10kHz~450kHz)であってもよいし、広帯域(2MHz~30MHz)であってもよい。広帯域の場合、狭帯域の場合に比べて、通信速度が速いが、通信距離が短い。各種の条件を考慮して、搬送波が使用する周波数帯域が選択されることが好適である。
【0053】
ステップS104の処理が完了すると、起動時処理が完了する。起動時処理が完了すると、室外機100と室内機200と間で、マルチキャリア伝送方式による通信が可能となる。
【0054】
本実施の形態では、室外機100と室内機200とがマルチキャリア伝送方式のアナログ信号を送受信する。マルチキャリア伝送方式の通信の通信速度は速い。また、本実施の形態では、各室外機100は高速のベースバンド通信で互いに通信する。従って、本実施の形態によれば、システム全体として高速なデータ伝送を実現することができる。
【0055】
また、本実施の形態では、共用線32が給電と通信との双方に共用されるため、使用される電線の本数が少ない。従って、本実施の形態によれば、電線のコストと施工時における配線の手間とを減らすことができる。
【0056】
また、本実施の形態では、交流電力が通う電源線31と共用線32との間ではなく、信号線33と共用線32との間で、マルチキャリア伝送方式のアナログ信号が送受信される。従って、本実施の形態によれば、アナログ信号の伝搬経路が室外機100と室内機200との間で閉ざされ、電力線20に接続された他の機器の影響による通信障害の発生と通信トラフィックの増加とが抑制される。より詳細には、電力線20に接続された他の機器による、インピーダンス変動、ノイズ放射等の影響に伴う通信障害の発生が抑制される。また、電力線20を伝送路として使用する他の通信機器の通信の影響に伴う通信トラフィックの増加が抑制される。
【0057】
また、本実施の形態では、室内機200は、電源線31と共用線32とを介して室外機100から供給される電力から、制御回路230と通信制御回路240とを駆動するための駆動電力を生成する。従って、本実施の形態によれば、上記駆動電力を室外機100から室内機200に供給せずに済む。
【0058】
また、本実施の形態では、電源線31と共用線32と信号線33とが1本のケーブルに纏められている。従って、本実施の形態によれば、室内機200を設置する際に、各電線を個別に配線する煩わしさが解消され、室内機200を設置する際の配線作業が容易である。
【0059】
また、本実施の形態では、室外機100と室内機200との間の通信で用いるマルチキャリア伝送方式は、10kHz以上の周波数帯域の搬送波を使用するOFDM伝送方式である。OFDM伝送方式では、各搬送波の周波数帯域が重複するため、多数の周波数帯域でのデータ伝送が可能である。従って、本実施の形態によれば、高い周波数帯域で周波数を高効率で利用でき、室外機100と室内機200との間でより高速な伝送が実現可能である。
【0060】
(実施の形態2)
実施の形態1では、制御回路230と通信制御回路240とを駆動するための駆動電力を室内機200が生成する例について説明した。本実施の形態では、制御回路230と通信制御回路240とを駆動するための駆動電力を室外機101が生成する例について説明する。以下、実施の形態1と同様の構成及び機能については、適宜、説明を省略又は簡略化する。
【0061】
図6に示すように、本実施の形態に係る空気調和ユニット1001は、室外機101と少なくとも1つの室内機201とを備える。なお、図6において、空気調和ユニット1001が備える少なくとも1つの室内機201のうち1つの室内機201以外の室内機201の図示を省略している。なお、空気調和ユニット1001が室外機101と複数の室内機201とを備える場合、複数の室内機201は伝送路30により室外機101に対して並列に接続される。
【0062】
室外機101は、端子台110と、端子台120と、制御回路130と、通信制御回路140と、結合回路150と、駆動電力生成回路160とを備える。また、室内機201は、端子台220と、制御回路230と、通信制御回路240と、結合回路250とを備え、駆動電力生成回路260を備えない。
【0063】
本実施の形態では、駆動電力生成回路160は、制御回路130と通信制御回路140と制御回路230と通信制御回路240とを駆動するための駆動電力を生成する。駆動電力生成回路160は、生成した駆動電力を信号線33と共用線32とを介して室内機201に供給する。具体的には、駆動電力生成回路160は、生成した駆動電圧であるDCを信号線33に印加し、共用線32をGNDに接続する。
【0064】
結合回路150は、駆動電圧が印加された信号線33と共用線32との間に、マルチキャリア伝送方式のアナログ信号を重畳し、マルチキャリア伝送方式のアナログ信号を室内機201に送信する。また、結合回路150は、駆動電圧が印加された信号線33と共用線32との間に重畳されたマルチキャリア伝送方式のアナログ信号を取得し、取得したマルチキャリア伝送方式のアナログ信号を通信制御回路140に供給する。
【0065】
本実施の形態では、室内機201は、信号線33と共用線32とを介して室外機101から供給された駆動電力を取得する。そして、制御回路230と通信制御回路240とは、信号線33と共用線32とを介して室外機101から供給された駆動電力で駆動する。つまり、制御回路230と通信制御回路240とは、共用線32をGNDとして、信号線33に印加された駆動電圧であるDCにより動作する。
【0066】
結合回路250は、駆動電圧が印加された信号線33と共用線32との間に、マルチキャリア伝送方式のアナログ信号を重畳し、マルチキャリア伝送方式のアナログ信号を室外機101に送信する。また、結合回路250は、駆動電圧が印加された信号線33と共用線32との間に重畳されたマルチキャリア伝送方式のアナログ信号を取得し、取得したマルチキャリア伝送方式のアナログ信号を通信制御回路240に供給する。
【0067】
次に、図7のフローチャートを参照して、空気調和ユニット1001が実行する起動時処理について説明する。空気調和ユニット1001は、例えば、電源300から室外機101に電力が供給されたことに応答して、起動時処理の実行を開始する。
【0068】
まず、室外機101が室内機201に交流電力を供給する(ステップS201)。一方、室外機101が室内機201に給電を開始すると、室内機201は室外機101から受電を開始する。室外機101は、ステップS201の処理が完了すると、交流電力から駆動電力を生成する(ステップS202)。
【0069】
室外機101は、ステップS202の処理が完了すると、室内機201に駆動電力を供給する(ステップS203)。つまり、駆動電力生成回路160は、生成した駆動電圧を信号線33と共用線32との間に印加する。室外機101と室内機201とは、ステップS203の処理が完了すると、室外機101と室内機201との通信リンクを確立する(ステップS204)。ステップS204の処理が完了すると、起動時処理が完了する。起動時処理が完了すると、室外機101と室内機201と間で、マルチキャリア伝送方式による通信が可能となる。
【0070】
本実施の形態では、制御回路230と通信制御回路240とを駆動するために必要な駆動電力を室外機101が室内機201に供給する。従って、本実施の形態によれば、室内機201が駆動電力を生成する必要がなく、室内機201のコストを低減することができる。
【0071】
また、本実施の形態では、室外機101から室内機201に交流電力が供給されないときでも、室内機201は、室外機101から供給された駆動電力で室外機101と通信することができる。
【0072】
(実施の形態3)
実施の形態1では、電源線31と共用線32との間のインピーダンスを特に考慮しない例について説明した。本実施の形態では、電源線31と共用線32との間のインピーダンスを高める例について説明する。以下、実施の形態1,2と同様の構成及び機能については、適宜、説明を省略又は簡略化する。
【0073】
図8に示すように、本実施の形態に係る空気調和ユニット1002は、室外機102と少なくとも1つの室内機202とを備える。なお、図8において、空気調和ユニット1002が備える少なくとも1つの室内機202のうち1つの室内機202以外の室内機202の図示を省略している。室外機102は、端子台110と、端子台120と、制御回路130と、通信制御回路140と、結合回路150と、駆動電力生成回路160と、インダクタ171と、インダクタ172とを備える。また、室内機202は、端子台220と、制御回路230と、通信制御回路240と、結合回路250と、駆動電力生成回路260とを備える。
【0074】
電源線31と共用線32との間のインピーダンスを高めるためには、例えば、室外機102と室内機202とのうち少なくとも一方の装置が、漏洩電流が流れる漏洩経路上において、電源線31と共用線32との間に接続される負荷回路に対して直列に接続されるインダクタを備えることが好適である。漏洩経路は、電源線31と共用線32とを含み、通信経路と共用線32を共有する経路である。通信経路は、信号線33と共用線32とを含む、通信用の電流が流れる経路である。
【0075】
図8において、通信経路は、破線191で示す経路であり、結合回路150と端子123と信号線33と端子223と結合回路250と接続点184と端子222と共用線32と端子122と接続点183と結合回路150とを順に結ぶ経路である。また、図8において、漏洩経路は、例えば、破線192で示す経路であり、接続点184と駆動電力生成回路260と端子221と電源線31と端子121とインダクタ171と接続点181と駆動電力生成回路160と接続点182とインダクタ172と接続点183と端子122と共用線32と端子222と接続点184とを順に結ぶ経路である。破線192で示す漏洩経路は、後述する内部漏洩電流と後述する外部漏洩電流とが流れる内部漏洩経路である。図示を省略するが、後述する外部漏洩電流が流れる外部漏洩経路も漏洩経路である。
【0076】
本実施の形態では、室外機102と電源300とは、電力線20Aと電力線20Bとで接続されている。また、本実施の形態では、負荷回路は、室外機102の内部において、電力線20Aと電源線31とを接続する第1経路上における接続点181と、電力線20Bと共用線32とを接続する第2経路上における接続点182とに接続された駆動電力生成回路160である。
【0077】
本実施の形態では、インダクタ171は、第1経路上における接続点181よりも電源線31寄りの部分に設けられている。また、インダクタ172は、第2経路上における、接続点182よりも共用線32寄り、且つ、接続点183よりも電力線20B寄りの部分に設けられている。なお、接続点183は、第2経路上における結合回路150が接続される点である。また、接続点184は、結合回路250と駆動電力生成回路260とが接続される点であり、通信経路と漏洩経路とが分岐する点である。電力線20Aは、第1電力線の一例である。電力線20Bは、第2電力線の一例である。接続点181は、第1接続点の一例である。接続点182は、第2接続点の一例である。
【0078】
インダクタ171及びインダクタ172を挿入する目的は、電源線31と共用線32との間のインピーダンスを高め、以下の2点を実現することにある。1点目は、漏洩経路上の機器又は回路が発するノイズの拾得を抑制することにより、通信障害の発生を抑制することである。2点目は、漏洩電流を減少させて信号電流の減少を抑制することにより、通信障害の発生を抑制することである。以下、図8を参照して、インダクタ171及びインダクタ172の挿入により、通信障害の発生が抑制される理由について説明する。
【0079】
まず、結合回路150がマルチキャリア伝送方式のアナログ信号を送信するときに結合回路150から出力される出力電流をIとする。Iの大きさは、基本的に、通信制御回路140の出力電力の大きさにより決定される。出力電流は、通信経路を流れ、接続点184において、信号電流であるIと漏洩電流であるIとに分岐する。なお、I=I+Iである。従って、漏洩電流が大きいほど、信号電流が小さく、通信障害が発生しやすい。
【0080】
信号電流は、アナログ信号の送受信に用いられる電流であり、通信経路を流れる電流である。漏洩電流は、通信経路から漏れる電流であり、漏洩経路を流れる電流である。Iの大きさとIの大きさとは、電源線31と電力線20Aとを結ぶ経路と共用線32と電力線20Bとを結ぶ経路との間のインピーダンスと信号線33と共用線32との間のインピーダンスとの比で決定される。
【0081】
信号電流は、共用線32を流れ、結合回路150に帰還する。漏洩電流は、漏洩経路を流れ、接続点181において、内部漏洩電流であるILAと外部漏洩電流であるILPとに分岐する。ここで、I=ILA+ILPである。内部漏洩電流は、漏洩電流のうち室外機102の内部において電源線31と共用線32との間に流れる電流である。外部漏洩電流は、漏洩電流のうち室外機102の外部において電力線20Aと電力線20Bとの間に流れる電流である。
【0082】
LAの大きさとILPの大きさとは、室外機102の内部において電源線31と共用線32との間に接続された負荷のインピーダンスと室外機102の外部において電力線20Aと電力線20Bとの間に接続された負荷のインピーダンスとの比で決定される。なお、通信に用いられるアナログ信号は、交流信号であるため、出力電流、信号電流、漏洩電流、内部漏洩電流、及び、外部漏洩電流が流れる向きは、周期的に切り替わる。
【0083】
内部漏洩電流と外部漏洩電流とは、いずれも、インダクタ171とインダクタ172とを流れる。従って、インダクタ171とインダクタ172とにより、内部漏洩電流と外部漏洩電流とが低減する。なお、インダクタ171及びインダクタ172に要求される定格電流は、室外機102に接続される全ての室内機202に流れる合計負荷電流以上である。従って、インダクタ171及びインダクタ172の定格電流は、大きい必要がある。
【0084】
また、インダクタ171及びインダクタ172のインダクタンス値は、OFDM伝送方式の通信で使用する搬送波の周波数帯域で高いインピーダンスになる値に設定される。つまり、上記周波数帯域のノイズ又は信号が上記漏洩経路を流れるときに、ノイズ又は信号が十分に減衰するように、インダクタ171及びインダクタ172のインダクタンス値が設定されることが好適である。
【0085】
本実施の形態では、漏洩経路上において負荷回路に対して直列にインダクタが設けられ、電源線31と共用線32との間のインピーダンスが高い。従って、本実施の形態によれば、アナログ信号の伝搬経路が室外機102と室内機202との間で固く閉ざされ、電力線20に接続された他の機器の影響による通信障害の発生と通信トラフィックの増加とが大幅に抑制される。より詳細には、電力線20に接続された他の機器による、インピーダンス変動、ノイズ放射等の影響に伴う通信障害の発生が大幅に抑制される。また、電力線20を伝送路として使用する他の通信機器の通信の影響に伴う通信トラフィックの増加が大幅に抑制される。
【0086】
また、本実施の形態では、インダクタ171とインダクタ172とにより、内部漏洩電流と外部漏洩電流とが低減する。従って、本実施の形態によれば、少ない個数のインダクタで、漏洩電流を大幅に低減して通信障害の発生を抑制することができる。
【0087】
(実施の形態4)
実施の形態3では、内部漏洩電流と外部漏洩電流とが流れる経路上にインダクタが設けられる例について説明した。本実施の形態では、内部漏洩電流が流れる経路上にインダクタが設けられる例について説明する。以下、実施の形態1-3と同様の構成及び機能については、適宜、説明を省略又は簡略化する。
【0088】
図9に示すように、本実施の形態に係る空気調和ユニット1003は、室外機103と少なくとも1つの室内機203とを備える。なお、図9において、空気調和ユニット1003が備える少なくとも1つの室内機203のうち1つの室内機203以外の室内機203の図示を省略している。室外機103は、端子台110と、端子台120と、制御回路130と、通信制御回路140と、結合回路150と、駆動電力生成回路160と、インダクタ173と、インダクタ174とを備える。また、室内機203は、端子台220と、制御回路230と、通信制御回路240と、結合回路250と、駆動電力生成回路260とを備える。
【0089】
図9において、通信経路は、破線191で示す経路であり、結合回路150と端子123と信号線33と端子223と結合回路250と接続点184と端子222と共用線32と端子122と接続点183と結合回路150とを順に結ぶ経路である。また、図9において、漏洩経路は、例えば、破線192で示す経路であり、接続点184と駆動電力生成回路260と端子221と電源線31と端子121と接続点181とインダクタ173と駆動電力生成回路160とインダクタ174と接続点182と接続点183と端子122と共用線32と端子222と接続点184とを順に結ぶ経路である。
【0090】
本実施の形態では、インダクタ173は、駆動電力生成回路160と接続点181との間に設けられ、インダクタ174は、駆動電力生成回路160と接続点182との間に設けられている。つまり、本実施の形態では、インダクタ173とインダクタ174とは、駆動電力生成回路160の両端に設けられている。
【0091】
本実施の形態では、内部漏洩電流は、インダクタ173とインダクタ174とを流れる。従って、インダクタ173とインダクタ174とにより、内部漏洩電流が低減する。なお、インダクタ173及びインダクタ174に要求される定格電流は、室外機103の内部において、負荷回路である駆動電力生成回路160に流れる負荷電流以上である。従って、インダクタ173及びインダクタ174の定格電流はそれほど大きくなくてもよい。
【0092】
インダクタ173及びインダクタ174のインダクタンス値は、OFDM伝送方式の通信で使用する搬送波の周波数帯域で高いインピーダンスになる値に設定される。つまり、上記周波数帯域のノイズ又は信号が上記漏洩経路を流れるときに、ノイズ又は信号が十分に減衰するように、インダクタ173及びインダクタ174のインダクタンス値が設定されることが好適である。
【0093】
本実施の形態では、インダクタ173とインダクタ174とにより、内部漏洩電流が低減する。従って、本実施の形態によれば、定格電流が小さい少ない個数のインダクタで、漏洩電流を低減して通信障害の発生を抑制することができる。
【0094】
(実施の形態5)
実施の形態3,4では、室外機の内部にインダクタが設けられる例について説明した。本実施の形態では、室内機の内部にインダクタが設けられる例について説明する。以下、実施の形態1-4と同様の構成及び機能については、適宜、説明を省略又は簡略化する。
【0095】
図10に示すように、本実施の形態に係る空気調和ユニット1004は、室外機104と少なくとも1つの室内機204とを備える。なお、図10において、空気調和ユニット1004が備える少なくとも1つの室内機204のうち1つの室内機204以外の室内機204の図示を省略している。室外機104は、端子台110と、端子台120と、制御回路130と、通信制御回路140と、結合回路150と、駆動電力生成回路160とを備える。また、室内機204は、端子台220と、制御回路230と、通信制御回路240と、結合回路250と、駆動電力生成回路260と、インダクタ271と、インダクタ272とを備える。
【0096】
図10において、通信経路は、破線191で示す経路であり、結合回路150と端子123と信号線33と端子223と結合回路250と接続点184と端子222と共用線32と端子122と接続点183と結合回路150とを順に結ぶ経路である。また、図10において、漏洩経路は、例えば、破線192で示す経路であり、接続点184とインダクタ272と駆動電力生成回路260とインダクタ271と端子221と電源線31と端子121と接続点181と駆動電力生成回路160と接続点182と接続点183と端子122と共用線32と端子222と接続点184とを順に結ぶ経路である。
【0097】
本実施の形態では、負荷回路は、室内機204の内部において、電源線31と共用線32とを接続する第3経路上に設けられた駆動電力生成回路260である。そして、インダクタ271は、第3経路上における駆動電力生成回路260と端子221との間に設けられ、インダクタ272は、第3経路上における駆動電力生成回路260と接続点184との間に設けられている。つまり、本実施の形態では、インダクタ271とインダクタ272とは、駆動電力生成回路260の両端に設けられている。
【0098】
本実施の形態では、内部漏洩電流と外部漏洩電流とは、インダクタ271とインダクタ272とを流れる。従って、インダクタ271とインダクタ272とにより、内部漏洩電流と外部漏洩電流とが低減する。なお、インダクタ271及びインダクタ272に要求される定格電流は、室内機204の内部において、負荷回路である駆動電力生成回路260に流れる負荷電流以上である。従って、インダクタ271及びインダクタ272の定格電流はそれほど大きくなくてもよい。
【0099】
インダクタ271及びインダクタ272のインダクタンス値は、OFDM伝送方式の通信で使用する搬送波の周波数帯域で高いインピーダンスになる値に設定される。つまり、上記周波数帯域のノイズ又は信号が上記漏洩経路を流れるときに、ノイズ又は信号が十分に減衰するように、インダクタ271及びインダクタ272のインダクタンス値が設定されることが好適である。なお、本実施の形態では、インダクタ271及びインダクタ272は、各室内機204の内部において駆動電力生成回路260の両端に設けられる。従って、インダクタ271及びインダクタ272は、室内機204の個数分だけ必要である。
【0100】
本実施の形態では、インダクタ271とインダクタ272とにより、内部漏洩電流と外部漏洩電流とが低減する。従って、本実施の形態によれば、定格電流が小さいインダクタで、漏洩電流を大幅に低減して通信障害の発生を抑制することができる。
【0101】
(実施の形態6)
実施の形態2では、室外機101から室内機201への給電が制御されない例について説明した。本実施の形態では、上記給電が制御される例について説明する。以下、実施の形態1-5と同様の構成及び機能については、適宜、説明を省略又は簡略化する。
【0102】
図11に示すように、本実施の形態に係る空気調和ユニット1005は、室外機105と少なくとも1つの室内機205とを備える。なお、図11において、空気調和ユニット1005が備える少なくとも1つの室内機205のうち1つの室内機205以外の室内機205の図示を省略している。室外機105は、端子台110と、端子台120と、制御回路130と、通信制御回路140と、結合回路150と、駆動電力生成回路160と、給電切替回路165とを備える。また、室内機205は、端子台220と、制御回路230と、通信制御回路240と、結合回路250とを備え、駆動電力生成回路260を備えない。
【0103】
給電切替回路165は、室外機105から室内機205への給電を制御する。例えば、給電切替回路165は、制御回路130による制御に従って、室外機105から室内機205への給電を開始したり、室外機105から室内機205への給電を停止したりする。給電切替回路165は、スイッチ166とスイッチ167とを備える。スイッチ166は、室外機105の内部において電力線20Aと電源線31とを結ぶ第1経路上に設けられる。スイッチ167は、室外機105の内部において電力線20Bと共用線32とを結ぶ第2経路上に設けられる。
【0104】
スイッチ166とスイッチ167とが短絡状態であるときに、電源300から室外機105に供給された交流電力が室内機205に供給される。スイッチ166とスイッチ167とが開放状態であるときに、電源300から室外機105に供給された交流電力が室内機205に供給されない。なお、駆動電力生成回路160は、生成した駆動電圧であるDCを信号線33に印加し、共用線32をGNDに接続する。
【0105】
本実施の形態では、室外機105から室内機205への給電が制御可能である。また、本実施の形態では、信号線33と共用線32とを介して室外機105から室内機205に駆動電力が供給される。従って、本実施の形態では、室内機205は室外機105から交流電力の供給を受けずに、室外機105と通信することができる。
【0106】
(実施の形態7)
実施の形態1では、電源300から室外機100に供給される電力がそのまま室内機200に供給される例について説明した。本実施の形態では、電源300から室外機106に供給される電力が変換されて室内機206に供給される例について説明する。以下、実施の形態1-6と同様の構成及び機能については、適宜、説明を省略又は簡略化する。
【0107】
図12に示すように、本実施の形態に係る空気調和ユニット1006は、室外機106と少なくとも1つの室内機206とを備える。なお、図12において、空気調和ユニット1006が備える少なくとも1つの室内機206のうち1つの室内機206以外の室内機206の図示を省略している。室外機106は、端子台110と、端子台120と、制御回路130と、通信制御回路140と、結合回路150と、駆動電力生成回路160と、電力変換回路168とを備える。また、室内機206は、端子台220と、制御回路230と、通信制御回路240と、結合回路250と、駆動電力生成回路260とを備える。
【0108】
電力変換回路168は、電力線20Aと電力線20Bとを介して電源300から室外機106に供給された交流電力を、各種の形態の電力に変換する。電力変換回路168は、変換により得られた電力を、電源線31と共用線32とを介して、室内機206に供給する。電力変換回路168が実行する電力変換は、適宜、調整することができる。例えば、電力変換回路168は、AC/AC変換により、電源300から供給された交流電力の電圧を変化させてもよい。また、電力変換回路168は、AC/DC変換により、電源300から供給された交流電力を予め定められた直流電圧を有する直流電力に変換してもよい。
【0109】
本実施の形態では、室外機106は、電源300から供給される電力を各種の電力に変換して、室内機206に供給する。従って、本実施の形態によれば、例えば、電源300から供給される電力を直接室内機206が使用できない場合において、室内機206の内部に電力変換を実行する回路を設けずに済む。
【0110】
(実施の形態8)
実施の形態1では、室内機200が室外機100を介して電源300から電力の供給を受ける例について説明した。本実施の形態では、室内機207が室外機107を介さずに電源300から電力の供給を受ける例について説明する。以下、実施の形態1-7と同様の構成及び機能については、適宜、説明を省略又は簡略化する。
【0111】
図13に示すように、本実施の形態に係る空気調和ユニット1007は、室外機107と少なくとも1つの室内機207とを備える。なお、図13において、空気調和ユニット1007が備える少なくとも1つの室内機207のうち1つの室内機207以外の室内機207の図示を省略している。また、図示を省略するが、本実施の形態に係る空気調和システムは、実施の形態1に係る空気調和システム2000と同様に、複数の空気調和ユニット1007を備え、各空気調和ユニット1007が伝送路40を介して相互に接続される。また、各空気調和ユニット1007において、室外機107と少なくとも1つの室内機207とは、信号線34と信号線35とを含む伝送路30により相互に接続される。信号線34と信号線35とは、互いに絶縁されて、1本のケーブルに纏められている。
【0112】
室外機107は、端子台110と、端子台120Aと、制御回路130と、通信制御回路140と、結合回路150と、駆動電力生成回路160とを備える。また、室内機207は、端子台210と、端子台220Aと、制御回路230と、通信制御回路240と、結合回路250と、駆動電力生成回路260とを備える。端子台120Aは、端子122と端子123とを備える。端子台210は、端子211と端子212とを備える。端子台220Aは、端子222と端子223とを備える。
【0113】
駆動電力生成回路160は、端子111と端子112とに接続される。結合回路150は、端子122と端子123とに接続される。端子211は、電力線20Cを介して電源300に接続される。端子212は、電力線20Dを介して電源300に接続される。駆動電力生成回路260は、端子211と端子212とに接続される。結合回路250は、端子222と端子223とに接続される。端子122と端子222とは信号線35を介して接続される。端子123と端子223とは信号線34を介して接続される。
【0114】
駆動電力生成回路160は、電力線20Aと電力線20Bとを介して電源300から供給された交流電力から、制御回路130と通信制御回路140とを駆動するための駆動電力を生成する。通信制御回路140は、結合回路150にマルチキャリア伝送方式のアナログ信号を供給し、信号線34と信号線35との間にマルチキャリア伝送方式のアナログ信号を重畳する。また、通信制御回路140は、信号線34と信号線35との間に重畳されたマルチキャリア伝送方式のアナログ信号を結合回路150から取得する。通信制御回路140は、取得したアナログ信号をデジタル信号に変換し、デジタル信号を制御回路130に供給する。
【0115】
駆動電力生成回路260は、電力線20Cと電力線20Dとを介して電源300から供給された交流電力から、制御回路230と通信制御回路240とを駆動するための駆動電力を生成する。通信制御回路240は、結合回路250にマルチキャリア伝送方式のアナログ信号を供給し、信号線34と信号線35との間にマルチキャリア伝送方式のアナログ信号を重畳する。また、通信制御回路240は、信号線34と信号線35との間に重畳されたマルチキャリア伝送方式のアナログ信号を結合回路250から取得する。通信制御回路240は、取得したアナログ信号をデジタル信号に変換し、デジタル信号を制御回路230に供給する。
【0116】
このように、本実施の形態では、室外機107と室内機207とが信号線34と信号線35とを含む伝送路30を介して、マルチキャリア伝送方式のアナログ信号を送受信する。また、本実施の形態では、各空気調和ユニット1007が備える室外機107は、伝送路40を介して、高速のベースバンド通信で通信する。この高速のベースバンド通信は、例えば、イーサネット(登録商標)に対応したベースバンド通信である。
【0117】
本実施の形態では、各空気調和ユニット1007が備える室外機107が伝送路40を介して高速のベースバンド通信で通信し、各空気調和ユニット1007において室外機107と室内機207とが伝送路30を介してマルチキャリア伝送方式のアナログ信号を送受信する。高速のベースバンド通信の通信速度とマルチキャリア伝送方式の通信の通信速度とは、いずれも高速である。従って、本実施の形態によれば、システム全体として高速なデータ伝送を実現することができる。
【0118】
(変形例)
以上、本開示の実施の形態を説明したが、本開示を実施するにあたっては、種々の形態による変形及び応用が可能である。本開示において、上記実施の形態において説明した構成、機能、動作のどの部分を採用するのかは任意である。また、本開示において、上述した構成、機能、動作のほか、更なる構成、機能、動作が採用されてもよい。また、上記実施の形態において説明した構成、機能、動作は、自由に組み合わせることができる。
【0119】
実施の形態1では、室外機100が電源300から受電し、室内機200が室外機100から受電する例について説明した。つまり、実施の形態1では、室外機100が第1通信装置であり、室内機200が第2通信装置である例について説明した。室外機100が室内機200から受電し、室内機200が電源300から受電してもよい。つまり、室外機100が第2通信装置であり、室内機200が第1通信装置であってもよい。
【0120】
実施の形態1では、室外機100と複数の室内機200とが、電源線31と共用線32と信号線33とにより順に接続される例について説明した。複数の室内機200が室外機100に対して並列に接続されるのであれば、どのような接続でもよい。例えば、室外機100と複数の室内機200のそれぞれとが、電源線31と共用線32と信号線33とにより接続されてもよい。
【0121】
実施の形態1では、マルチキャリア伝送方式として、OFDM伝送方式を採用する例について説明した。OFDM伝送方式以外のマルチキャリア伝送方式が採用されてもよい。例えば、各搬送波の周波数帯域が重複しないマルチキャリア伝送方式が採用されてもよい。
【0122】
実施の形態3-5では、漏洩経路に2つのインダクタが設けられる例について説明した。漏洩経路に1つのインダクタが設けられていてもよいし、漏洩経路に3つ以上のインダクタが設けられてもよい。例えば、実施の形態3において、漏洩経路にインダクタ171とインダクタ172との何れか一方のみが設けられてもよいし、漏洩経路にインダクタ171とインダクタ172とに加えて他のインダクタが設けられてもよい。
【0123】
また、実施の形態4において、漏洩経路にインダクタ173とインダクタ174との何れか一方のみが設けられてもよいし、漏洩経路にインダクタ173とインダクタ174とに加えて他のインダクタが設けられてもよい。また、実施の形態5において、漏洩経路にインダクタ271とインダクタ272との何れか一方のみが設けられてもよいし、漏洩経路にインダクタ271とインダクタ272とに加えて他のインダクタが設けられてもよい。
【0124】
なお、漏洩経路に設けられるインダクタのインダクタンス値の合計値は、OFDM伝送方式の通信で使用する搬送波の周波数帯域で高いインピーダンスになる値であることが好適である。従って、漏洩経路に設けられるインダクタの個数が多いほど、1個当たりのインダクタンス値が小さいインダクタを用いることができる。
【0125】
なお、基本的に、定格電流が大きいインダクタほど、サイズが大きく、コストが高い。また、漏洩経路に設けられるインダクタの個数が少ないほど、1個当たりのインダクタに要求される定格電流が大きい。従って、トータルコスト、サイズ等を考慮して、インダクタの配置及び個数を決定することが好適である。
【0126】
実施の形態1では、室外機100が伝送路40に直接接続される例について説明した。室外機100は、伝送方式の変換装置(例えば、ゲートウェイ、通信アダプタ。)を介して伝送路40に接続されてもよい。この場合、変換装置と室外機100との間の伝送方式は、ベースバンド通信に限られない。
【0127】
実施の形態1では、室外機100が、端子111と端子112とを備える端子台110と、端子121と端子122と端子123とを備える端子台120とを備える例について説明した。実施の形態1のように、室外機100から室内機200への給電が制御されない場合、端子111と端子121とが共通化され、端子112と端子122とが共通化されてもよい。例えば、室外機100は、端子台110を備えず、端子111と共通化された端子121と、端子112と共通化された端子122と、端子123とを備える端子台120を備えてもよい。
【0128】
各部で扱われる電力の形態は、各実施の形態で示した形態に限定されない。例えば、電源300が供給する電力は、直流電力でもよい。また、駆動電力生成回路160が生成する駆動電力は、交流電力でもよい。また、電源300は、三相の交流電力を供給してもよい。この場合、室外機100から室内機200に三相の交流電力を供給するための3本の電線のうち、1本の電線が共用線32として通信に用いられる。
【0129】
実施の形態1では、通信システムが室外機100と室内機200とを備える空気調和ユニット1000である例について説明した。通信システムは、空気調和ユニット1000に限定されず、複数の機器が通信する各種のシステムであってもよい。
【0130】
本開示は、本開示の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、この開示を説明するためのものであり、本開示の範囲を限定するものではない。すなわち、本開示の範囲は、実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして特許請求の範囲内及びそれと同等の開示の意義の範囲内で施される様々な変形が、この開示の範囲内とみなされる。
【産業上の利用可能性】
【0131】
本開示は、室外機と室内機とを備える空気調和システムに適用可能である。
【符号の説明】
【0132】
11 制御部、12 記憶部、13 第1通信部、14 第2通信部、20,20A,20B,20C,20D 電力線、30,30A,30B,40 伝送路、31,31A,31B,31C 電源線、32,32A,32B,32C 共用線、33,33A,33B,33C,34,35 信号線、100,100A,100B,101,102,103,104,105,106,107 室外機、110,120,120A,210,220,220A 端子台、111,112,121,122,123,211,212,221,221A,221B,221C,222,222A,222B,222C,223,223A,223B,223C 端子、130,230 制御回路、140,240 通信制御回路、150,250 結合回路、160,260 駆動電力生成回路、165 給電切替回路、166,167 スイッチ、168 電力変換回路、171,172,173,174,271,272 インダクタ、181,182,183,184 接続点、191,192 破線、200,200AA,200AB,200AC,200BA,200BB,200BC,201,202,203,204,205,206,207 室内機、300 電源、1000,1000A,1000B,1001,1002,1003,1004,1005,1006,1007 空気調和ユニット、2000 空気調和システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13