(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-27
(45)【発行日】2025-04-04
(54)【発明の名称】情報処理装置、車両、車両制御方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20250328BHJP
【FI】
G08G1/16 F
(21)【出願番号】P 2024531344
(86)(22)【出願日】2023-08-09
(86)【国際出願番号】 JP2023029141
【審査請求日】2024-05-24
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118762
【氏名又は名称】高村 順
(72)【発明者】
【氏名】荒井 美紀
(72)【発明者】
【氏名】朴 東錫
(72)【発明者】
【氏名】橋本 孝康
(72)【発明者】
【氏名】久保田 百合
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 美里
【審査官】西堀 宏之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2021/0348935(US,A1)
【文献】特開2022-171384(JP,A)
【文献】国際公開第2019/065749(WO,A1)
【文献】国際公開第2021/095426(WO,A1)
【文献】特表2020-512616(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に乗車するユーザの状態および前記ユーザの周囲の環境のうち少なくとも一方を検出するセンサによって取得されたセンサ情報を用いて、睡眠中の前記ユーザの睡眠深度を推定する推定部と、
前記推定部によって推定された前記睡眠深度を用いて、前記車両の自動運転による走行の制御に用いられる制御情報を生成する制御情報生成部と、
を備え、
前記推定部は、一定時間先までの前記睡眠深度を推定し、
前記制御情報生成部は、前記推定部により推定された前記一定時間先までの前記睡眠深度を用いて、前記ユーザの眠りが浅いと予測される期間を決定し、決定した前記期間内に駐車場所に到着するように前記車両の経路を決定し、決定した前記経路を示す前記制御情報を生成し、
前記制御情報生成部は、前記車両を前記駐車場所に駐車させる前記制御情報を生成し、前記車両が駐車場所に到着して前記車両が当該駐車場所に駐車した後に、前記車両が当該駐車場所に駐車している間に取得された前記センサ情報に基づいて前記推定部が推定した前記睡眠深度の推定結果を用いて、前記ユーザの眠りが深いと判定した場合に、前記車両を前記駐車場所から出発させ走行を再開させることを示す前記制御情報を生成することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記駐車場所は、サービスエリアおよびパーキングエリアのうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記制御情報生成部は、前記推定部によって推定された前記睡眠深度を用いて、前記ユーザの眠りが浅いと判定した場合、前記車両の走行を、制限のない通常時と比べて穏やかな走行とするための前記制御情報を生成することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記穏やかな走行は、凹凸のある路面の少ない経路の走行を含むことを特徴とする請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記穏やかな走行は、急なカーブの少ない経路の走行を含むことを特徴とする請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記穏やかな走行は、前記車両の加速度、および前記車両の速度のうちの少なくとも一方をしきい値以下とする走行を含むことを特徴とする請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記制御情報生成部は、前記推定部によって推定された前記睡眠深度を用いて、前記ユーザの眠りが浅いと判定した場合、前記車両内の音を低減させる減音装置を動作させることを特徴とする請求項1から6のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記制御情報生成部は、前記推定部によって推定された前記睡眠深度を用いて、前記ユーザの眠りが浅いと判定した場合、前記車両内の光を低減させる減光装置を動作させることを特徴とする請求項1から6のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記推定部は、推定した前記睡眠深度を用いて前記ユーザの起床時刻を予測し、
前記制御情報生成部は、前記推定部によって予測された前記起床時刻から一定時間内に目的地に到着するように前記車両の経路を決定し、決定した前記経路を示す前記制御情報を生成することを特徴とする請求項1から6のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記ユーザを識別する識別部と、
前記ユーザごとの睡眠に関する特性を示す特性情報を取得する特性情報取得部と、
を備え、
前記推定部は、前記識別部による識別結果と、前記特性情報とを用いて、前記起床時刻を予測することを特徴とする請求項9に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記特性情報は、前記ユーザの起床時刻および睡眠時間のうちの少なくとも一方の実績値を含むことを特徴とする請求項10に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記ユーザを識別する識別部と、
前記ユーザごとの睡眠に関する特性を示す特性情報を取得する特性情報取得部と、
を備え、
前記推定部は、前記識別部による識別結果と、前記特性情報とを用いて、前記睡眠深度を推定することを特徴とする請求項1から6のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記ユーザの属性を識別する識別部と、
前記属性ごとの睡眠に関する特性を示す特性情報を取得する特性情報取得部と、
を備え、
前記推定部は、前記識別部によって識別された前記属性と前記特性情報とを用いて、前記睡眠深度を推定することを特徴とする請求項1から6のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項14】
前記特性情報は、前記センサ情報を用いて算出される特徴量と、対応する正解データである睡眠深度とで構成されるデータセットを複数用いて教師あり学習によって生成された学習済モデルであることを特徴とする請求項12に記載の情報処理装置。
【請求項15】
車両に乗車するユーザの状態および前記ユーザの周囲の環境のうち少なくとも一方を検出するセンサによって取得されたセンサ情報を用いて、前記ユーザの睡眠深度を推定する推定部と、
前記推定部によって推定された前記睡眠深度を用いて、前記車両の自動運転による走行の制御に用いられる制御情報を生成する制御情報生成部と、
ユーザが駐車場所で降車するかしないかのいずれを選択するかの選択結果の入力を受付ける入力受付部と、
を備え、
前記推定部は、一定時間先までの前記睡眠深度を推定し、
前記制御情報生成部は、前記推定部により推定された前記一定時間先までの前記睡眠深度を用いて、前記ユーザの眠りが浅いと予測される期間を決定し、決定した前記期間内に前記駐車場所に到着するように前記車両の経路を決定し、決定した前記経路を示す前記制御情報を生成し、
前記制御情報生成部は、前記選択結果が駐車場所で降車することを示す場合、前記車両が前記駐車場所に到着すると前記車両における覚醒促進装置に前記ユーザを覚醒させる制御を行い、前記選択結果が前記駐車場所で降車しないことを示す場合、前記車両が前記駐車場所に到着しても前記覚醒促進装置に前記ユーザを覚醒させる制御を行わないことを特徴とする情報処理装置。
【請求項16】
自動運転による走行が可能な車両であって、
前記車両に乗車するユーザの状態および前記ユーザの周囲の環境のうち少なくとも一方を検出するセンサによって取得されたセンサ情報を用いて、睡眠中の前記ユーザの睡眠深度を推定する推定部と、
前記推定部によって推定された前記睡眠深度を用いて、前記車両の走行の制御に用いられる制御情報を生成する制御情報生成部と、
前記制御情報を用いて前記車両の前記自動運転による走行を制御する走行制御部と、
を備え、
前記推定部は、一定時間先までの前記睡眠深度を推定し、
前記制御情報生成部は、前記推定部により推定された前記一定時間先までの前記睡眠深度を用いて、前記ユーザの眠りが浅いと予測される期間を決定し、決定した前記期間内に駐車場所に到着するように前記車両の経路を決定し、決定した前記経路を示す前記制御情報を生成し、
前記制御情報生成部は、前記車両を前記駐車場所に駐車させる前記制御情報を生成し、前記車両が駐車場所に到着して前記車両が当該駐車場所に駐車した後に、前記車両が当該駐車場所に駐車している間に取得された前記センサ情報に基づいて前記推定部が推定した前記睡眠深度の推定結果を用いて、前記ユーザの眠りが深いと判定した場合に、前記車両を前記駐車場所から出発させ走行を再開させることを示す前記制御情報を生成することを特徴とする車両。
【請求項17】
自動運転による走行が可能な車両を制御する情報処理装置における車両制御方法であって、
前記車両に乗車するユーザの状態および前記ユーザの周囲の環境のうち少なくとも一方を検出するセンサによって取得されたセンサ情報を用いて、一定時間先までの睡眠中の前記ユーザの睡眠深度を推定する推定ステップと、
推定された前記一定時間先までの前記睡眠深度を用いて、前記ユーザの眠りが浅いと予測される期間を決定し、決定した前記期間内に駐車場所に到着するように前記車両の経路を決定し、前記車両の前記自動運転による走行の制御に用いられる制御情報であって前記経路を示す前記制御情報を生成する生成ステップと、
を含み、
前記生成ステップでは、前記車両を前記駐車場所に駐車させる前記制御情報が生成され、前記車両が駐車場所に到着して前記車両が当該駐車場所に駐車した後に、前記車両が当該駐車場所に駐車している間に取得された前記センサ情報に基づいて前記推定ステップで推定された前記睡眠深度の推定結果を用いて、前記ユーザの眠りが深いと判定された場合に、前記車両を前記駐車場所から出発させ走行を再開させることを示す前記制御情報が生成されることを特徴とする車両制御方法。
【請求項18】
自動運転による走行が可能な車両を制御するコンピュータシステムに、
前記車両に乗車するユーザの状態および前記ユーザの周囲の環境のうち少なくとも一方を検出するセンサによって取得されたセンサ情報を用いて、一定時間先までの睡眠中の前記ユーザの睡眠深度を推定する推定ステップと、
推定された前記一定時間先までの前記睡眠深度を用いて、前記ユーザの眠りが浅いと予測される期間を決定し、決定した前記期間内に駐車場所に到着するように前記車両の経路を決定し、前記車両の前記自動運転による走行の制御に用いられる制御情報であって前記経路を示す前記制御情報を生成する生成ステップと、
を実行させ、
前記生成ステップでは、前記車両を前記駐車場所に駐車させる前記制御情報が生成され、前記車両が駐車場所に到着して前記車両が当該駐車場所に駐車した後に、前記車両が当該駐車場所に駐車している間に取得された前記センサ情報に基づいて前記推定ステップで推定された前記睡眠深度の推定結果を用いて、前記ユーザの眠りが深いと判定された場合に、前記車両を前記駐車場所から出発させ走行を再開させることを示す前記制御情報が生成されることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両を制御する情報処理装置、車両、車両制御方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両に乗車するユーザが乗車中に睡眠をとることがある。特許文献1には、シリーズ方式のハイブリッド車両において、車両の乗員の睡眠を妨げることを防ぐための技術が記載されている。特許文献1に記載の車両は、エンジンの動力を用いて電動機による発電を行うことが可能であり、乗員の睡眠開始の前後では発電を禁止する。これにより、特許文献1に記載の車両は、乗員が振動や音の影響で眠りが妨げられやすい睡眠開始の前後で、発電による振動や音の変化が発生することを防いでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術では、乗員の睡眠開始の前後で発電による振動や音の変化が発生することを防いでいるが、睡眠の妨げとなる事象は発電による振動や音の変化に限らず車両の走行自体が乗員であるユーザに影響することもある。このため、ユーザの睡眠に関する状態に応じた走行制御を行うことが望まれる。
【0005】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、ユーザの睡眠に関する状態に応じた車両の走行制御を行うことができる情報処理装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示にかかる情報処理装置は、車両に乗車するユーザの状態およびユーザの周囲の環境のうち少なくとも一方を検出するセンサによって取得されたセンサ情報を用いて、睡眠中のユーザの睡眠深度を推定する推定部と、推定部によって推定された睡眠深度を用いて、車両の自動運転による走行の制御に用いられる制御情報を生成する制御情報生成部と、を備え、推定部は、一定時間先までの睡眠深度を推定し、制御情報生成部は、推定部により推定された一定時間先までの睡眠深度を用いて、ユーザの眠りが浅いと予測される期間を決定し、決定した期間内に駐車場所に到着するように車両の経路を決定し、決定した経路を示す制御情報を生成し、制御情報生成部は、車両を駐車場所に駐車させる制御情報を生成し、車両が駐車場所に到着して車両が当該駐車場所に駐車した後に、車両が当該駐車場所に駐車している間に取得された前記センサ情報に基づいて推定部が推定した睡眠深度の推定結果を用いて、ユーザの眠りが深いと判定した場合に、車両を駐車場所から出発させ走行を再開させることを示す制御情報を生成する。
【発明の効果】
【0007】
本開示にかかる情報処理装置は、ユーザの睡眠に関する状態に応じた車両の走行制御を行うことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図3】実施の形態1の情報処理装置を実現する処理回路の構成例を示す図
【
図4】実施の形態2の情報処理装置における処理手順の一例を示すフローチャート
【
図5】実施の形態2における経路設定の一例を示す概念図
【
図6】ユーザの設定を受付ける場合の実施の形態2の車両の構成例を示す図
【
図7】ユーザの設定を受付ける場合の実施の形態2の情報処理装置における処理手順の一例を示すフローチャート
【
図8】実施の形態3の情報処理装置における処理手順の一例を示すフローチャート
【
図9】ユーザの周囲の環境に影響する車両内の装置を制御する実施の形態3の車両の構成例を示す図
【
図10】実施の形態4の情報処理装置における処理手順の一例を示すフローチャート
【
図11】睡眠情報を用いて起床時刻を推定する実施の形態4の車両の構成例を示す図
【
図12】睡眠情報を用いて起床時刻を予測する実施の形態4の情報処理装置における処理手順の一例を示すフローチャート
【
図13】実施の形態5にかかる車両の構成例を示す図
【
図14】機械学習を用いて推定が行われる場合の実施の形態5の推定部の構成例を示す図
【
図15】ニューラルネットワークの一例を示す模式図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、実施の形態にかかる情報処理装置、車両、車両制御方法およびプログラムを図面に基づいて詳細に説明する。
【0010】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1にかかる車両の構成例を示す図である。本実施の形態の車両1は、自動運転車両であり、センサ2、情報処理装置3および走行機構4を備える。なお、ここでは、車両1が自動運転車両である例を説明するが、車両1は、自動運転と手動運転とを切り替え可能であってもよく、自動運転が可能な車両であればよい。
【0011】
センサ2は、車両1に乗車するユーザの状態およびユーザの周囲の環境のうち少なくとも一方を検出する検出装置であり、検出結果をセンサ情報として情報処理装置3へ送信する。センサ情報は、車両1に乗車するユーザの状態およびユーザの周囲の環境のうち少なくとも一方を示す情報である。センサ2は、例えば、ユーザのバイタルデータを取得するセンサ、ユーザを撮影するカメラ、音を検出するセンサ、ユーザに取り付けられる加速度センサ、車両1の加速度を検出する加速度センサおよび車両1に取り付けられるセンサのうちの少なくとも1つを含むが、これらに限定されない。バイタルデータは、例えば、心拍数、体温、血圧および呼吸数のうちの少なくとも1つを含むが、これらに限定されない。バイタルデータを取得するセンサ2は、ユーザが身に着けてもよいし、車両1に固定された非接触センサなどであってもよいし、これら以外であってもよい。なお、
図1では、センサ2を1台図示しているが、センサ2は複数であってもよく、センサ2の台数は
図1に示した例に限定されない。
【0012】
情報処理装置3は、センサ情報取得部30、推定部31、制御情報生成部32、走行制御部33および情報記憶部34を備える。センサ情報取得部30は、センサ2からセンサ情報を受信することでセンサ情報を取得し、取得したセンサ情報を推定部31へ出力する。推定部31は、センサ情報取得部30から受け取ったセンサ情報、すなわちセンサ2によって取得されたセンサ情報を用いて、ユーザの睡眠深度を推定する。例えば、推定部31は、センサ情報を用いて、ユーザが覚醒しているか睡眠中であるかを推定し、ユーザが睡眠中である場合にはユーザの睡眠深度を推定し、推定した睡眠深度を制御情報生成部32へ通知する。
【0013】
睡眠深度とは、睡眠の深さを示す指標であり、例えば、浅い眠りのレム睡眠とレム睡眠より深い眠りのノンレム睡眠との2段階で示されてもよいし、ノンレム睡眠をさらに3段階または4段階に分け合計で4段階または5段階で示されてもよい。一般に、レム睡眠とノンレム睡眠は交互に現れる。レム睡眠とノンレム睡眠との繰り返しの周期は、睡眠周期とも呼ばれ、睡眠周期は、例えば90分~120分程度である。レム睡眠は、眠りが浅く、急速眼球運動が現れる睡眠段階であり、レム睡眠では、呼吸、脈拍が多く、血圧などがノンレム睡眠の時に比べて高い。ノンレム睡眠は、レム睡眠に比べると深い眠りであり、上述したようにノンレム睡眠も眠りの深さにより3段階または4段階に分類される。例えば、ノンレム睡眠を、ノンレム睡眠のなかで最も眠りの浅い第1段階から、ノンレム睡眠のなかで最も眠りの深い第4段階までの4つの段階に分類すると、一般的に、人の睡眠では、入眠後に、ノンレム睡眠の第1段階、第2段階、第3段階、第4段階と、順に深い段階へ移行する。第4段階のノンレム睡眠の後にレム睡眠が出現する。その後、レム睡眠とノンレム睡眠が繰り返されるが、睡眠の後半では、浅い段階、すなわち第1段階、第2段階のノンレム睡眠が増え、レム睡眠も増加する。
【0014】
推定部31は、例えば、睡眠深度が、レム睡眠とノンレム睡眠の4段階または3段階の各段階とのいずれであるかを、例えば、バイタルデータ、体動を示す指標などのうちの少なくとも1つである睡眠パラメータによって推定することができる。体動を示す指標は、例えば、寝返りの回数、特定の場所が一定量以上動いた回数などであるがこれらに限定されない。体動を示す指標は、例えば、ユーザを撮影するカメラ、ユーザに取り付けられる加速度センサ、車両1に取り付けられるセンサ(加速度センサ、圧力センサなど)などによって検出されるがこれに限定されない。例えば、睡眠深度と睡眠パラメータの数値範囲との対応をテーブル形式で参照情報として保持し、推定部31は、センサ情報と参照情報とを用いて睡眠深度を推定する。または、睡眠パラメータと睡眠深度との関係を機械学習によって学習しておき、推定部31が、学習結果と取得された睡眠パラメータとを用いて睡眠深度を推定してもよい。また、推定部31は、さらに、上述した人の一般的な睡眠におけるレム睡眠とノンレム睡眠の4段階または3段階の各段階との変化の特性(例えば、入眠から起床までの、レム睡眠とノンレム睡眠の4段階または3段階の各段階との繰り返しの標準的なパターン)を元に睡眠深度を推定してもよい。
【0015】
一般に、ノンレム睡眠の第3段階および第4段階は、深い眠りであり、深い眠りの間は、音、振動、光などの外部の刺激の影響を受けにくく、外部の刺激が発生しても睡眠が妨げられる可能性が低いとともに、外部の刺激による睡眠リズムへの影響も少ない。一方、ノンレム睡眠の第1段階および第2段階は、浅い眠りであり、深い眠りに比べて、外部の刺激の影響を受けやすく、外部の刺激により眠りが妨げられたり、睡眠リズムが崩れたりといった事象が発生しやすい。レム睡眠については、目覚めやすい浅い眠りとも言えるものの、外部の刺激の影響は受けにくい状態であるため、レム睡眠を浅い眠りとするか深い眠りとするかは、睡眠深度の用途に応じて適宜設定することができる。なお、深い眠り、浅い眠りの定義はこの例に限定されず、睡眠深度の用途に応じて適宜設定されればよい。
【0016】
なお、ユーザの周囲の環境を示すセンサ情報は、直接ユーザの状態を示しているわけではないが、周囲の環境が睡眠に適した環境であるかの判定に使用できる場合がある。例えば、推定部31は、ユーザの周囲の環境を示すセンサ情報を用いて、睡眠に適さない環境であるかを判定し、判定結果を睡眠深度の推定に用いることができる。例えば、後述するように、睡眠を促進するモード、ユーザが覚醒しているときのモードなどのように睡眠に関する走行のモードが設定され、睡眠を促進するモードでは加速度が制限されるとする。この場合、推定部31は、車両1の加速度を検出する加速度センサであるセンサ2によって取得されたセンサ情報を用いて、睡眠を促進するモードであることが推定でき、これにより、間接的にユーザの睡眠に関する状態を把握することができる。
【0017】
情報記憶部34は、地図情報および経路情報を記憶する。地図情報は、二次元の地図情報であってもよいし、三次元の地図情報であってもよいし、動的な情報も含むダイナミックマップであってもよい。ダイナミックマップの動的情報については、例えば、図示を省略した通信部によって受信されると、受信された動的情報で情報記憶部34に記憶されている動的情報が更新される。経路情報は、車両1の経路を示す情報であり、目的地までの所要時間(または到着予定時刻)、経由地への到着予定時間などを含んでいてもよい。
【0018】
制御情報生成部32は、推定部31によって推定された睡眠深度を用いて、車両1の自動運転による走行の制御に用いられる制御情報を生成し、生成した制御情報を走行制御部33へ出力する。車両1の走行制御とは、車両1の走行自体の制御であり、例えば、移動経路の設定、車両1の速度の制御、車両1の加速度の制御、ハンドリングの制御、車両1の停止の制御などである。制御情報生成部32は、例えば、推定部31によって推定された睡眠深度を用いて、ユーザの睡眠が深いか否かを判断し、睡眠が深くない場合には、外部の刺激を減らすように制御情報を生成してもよい。
【0019】
外部の刺激を減らす方法は、例えば、外部の刺激が少ない経路(走行経路)の選択、急な加速および減速の抑制、速度の抑止、緩やかなハンドリングなどのうちの少なくとも1つを含むがこれらに限定されない。また、例えば、推定部31が、推定した睡眠深度を用いて一定期間の睡眠深度を推定し、すなわち一定期間の睡眠深度を予測し、一定期間の睡眠深度の推定結果を制御情報生成部32へ通知してもよい。この場合、制御情報生成部32は、一定期間の睡眠深度を用いて、ユーザが目覚めるべき地点でなるべく自然に目覚めるような経路を設定してもよい。一定期間は将来の間であり、例えば、現時点からの期間である。ユーザが目覚めるべき地点は、ユーザの目的地であってもよいし、途中で立ち寄る予定の場所であってもよい。
【0020】
また、制御情報生成部32は、一定期間の睡眠深度を用いて、走行のモード(以下、走行モードとも呼ぶ)を切り替えてもよい。例えば、ユーザが睡眠中でなく覚醒している場合には、走行モードを特に制約のない通常走行(通常走行モード)とし、ユーザの睡眠が浅い場合には、走行モードを、穏やかな走行となるように制限を加えた制限走行モードとし、ユーザの睡眠が深い場合には、走行モードを通常走行モードとするといったように走行モードを切り替えてもよい。穏やかな走行は、ユーザに対して外部の刺激を減らすような走行である。走行モードの定義および切り替え方法はこの例に限定されない。なお、制御情報生成部32が、経路に関する制御情報を生成する場合には、制御情報生成部32は、さらに情報記憶部34に記憶されている地図情報を用いて、制御情報を生成してもよい。
【0021】
また、制御情報生成部32は、走行の制御のための制御情報に加えて、車両1内の図示しない装置を制御するための制御情報を生成することで、当該装置を制御してもよい。例えば、制御情報生成部32は、車両1内の、座席、照度を調整する設備、音楽または環境音などの音を発生させる装置、座席に設けられたマッサージ器具などの装置を、睡眠深度に応じて制御してもよい。例えば、睡眠が浅い場合には、座席をユーザの睡眠を促進するように、緩やかに倒すように制御してもよいし、音を発生させる装置の音量を下げるように制御してもよい。また、目的地までの所要時間が長い場合には、ユーザが入眠する前に、ユーザの入眠を促進するように、マッサージ器具を動作させたり、リラックスさせるための音楽を再生したり、といった入眠を促進する制御を行ってもよい。また、入眠を促進するために、制御情報生成部32は、上述した走行モードを制限走行モードに設定してもよい。
【0022】
なお、入眠を促進する制御を行うか否かをユーザが設定可能としてもよい。また、制御情報生成部32は、例えば、ユーザが希望する起床時刻を設定し、設定した起床時刻から逆算し、起床時刻においてレム睡眠、または眠りの浅いノンレム睡眠となるように、入眠するタイミングを決定し、決定したタイミングの前に入眠の促進を開始することで、決定したタイミングまたは決定したタイミングに近い時刻でユーザが入眠しやすくなるようにしてもよい。または、制御情報生成部32は、起床時刻を目的地への予想到着時刻に設定し、目的地の周辺でユーザが起床しやすくなるように、入眠のタイミングを決定し、同様に入眠を促進する制御を行ってもよい。
【0023】
走行制御部33は、車両1の自動運転による走行を制御する。走行制御部33は、障害物を検出するカメラ、LiDAR(Light Detection And Ranging)、ミリ波センサなどの図示を省略したセンサによって取得された情報と、情報記憶部34に記憶されている地図情報と図示を省略した自己位置を推定する自己位置推定装置によって算出された自己位置とに基づいて、走行機構4を制御することで車両1の走行制御を行う。例えば、ユーザ、または他のオペレータなどによって目的地が設定されると、走行制御部33は、目的地と地図情報とを用いて、設定された目的地までの経路を設定し、設定した経路にしたがって走行するように、走行機構4を制御する。走行制御部33は、設定した経路を示す経路情報を情報記憶部34に格納する。走行制御部33は、目的地までの所要時間(または到着予定時刻)、経由地への到着予定時刻も算出し、これらを経路情報に含めてもよい。走行制御部33は、渋滞情報、障害物情報などの道路および交通に関する動的情報を用いて経路を設定してもよい。なお、自動運転の走行制御については、どのような方法で行われてもよく、一般的な方法を用いることができるため詳細な説明を省略する。
【0024】
また、走行制御部33は、制御情報生成部32から制御情報を受け取ると、受け取った制御情報に基づいて、走行機構4を制御する。なお、ここでは、走行制御部33が経路を設定する例を説明するが、制御情報生成部32が経路を設定し、設定した経路を走行制御部33へ制御情報として通知し、走行制御部33が制御情報に基づく経路に従って、走行機構4を制御してもよい。
【0025】
走行機構4は、車両1を走行させるための機構であり、例えば、アクセルペダルなどのアクセルの操作装置、かじ取り装置、ブレーキなどの車両1を走行させる複数の機構を備える。
【0026】
本実施の形態では、情報処理装置3が、ユーザの睡眠深度を推定し、推定した睡眠深度に基づいて、車両1の走行を制御するための制御情報を生成する。これにより、車両1は、ユーザの睡眠に関する状態に応じて車両1の走行制御を行うことができる。したがって、車両1は、車両1の走行の加速、減速、ハンドリング、走行する経路に起因するユーザの環境を、ユーザの睡眠深度に適した環境とすることができる。また、車両1は、ユーザが起床すべき時刻がレム睡眠、または眠りの浅いノンレム睡眠となるように制御することで、ユーザの自然な目覚めを実現することができる。
【0027】
以上で述べた例では、情報処理装置3が車両1内に設けられたが、車両とは別に情報処理装置が設けられてもよい。
図2は、本実施の形態の別の構成例を示す図である。
図2に示した例では、車両システム100は、情報処理装置3aと車両1aとを備える。
図1に示した例と同様の機能を有する構成要素は、
図1と同一の符号を付して重複する説明を省略する。情報処理装置3aは、車両1aとは別に設けられ、
図1に示した情報処理装置3のセンサ情報取得部30の代わりに車両1aと通信を行うことが可能な通信部35が追加される。なお、通信部35も、センサ情報を受信することでセンサ情報を取得するセンサ情報取得部としての機能を有する。また、
図1に示した情報処理装置3内の走行制御部33は、車両1a内に設けられる。
【0028】
車両1aは、
図1に示した車両1から情報処理装置3が削除され、情報処理装置3aと通信を行うことが可能な通信部36が追加される。車両1aと情報処理装置3aとの間の通信回線は、例えば、無線通信回線を含むが、無線通信回線と有線通信回線との組み合わせであってもよい。また、車両1aと情報処理装置3aとの通信は、他の装置を経由して行われてもよい。
【0029】
車両1aの通信部36は、センサ2からセンサ情報を受け取り、受け取ったセンサ情報を情報処理装置3aへ送信する。情報処理装置3aの通信部35は、車両1aからセンサ情報を受信し、受信したセンサ情報を推定部31へ出力する。推定部31および制御情報生成部32の動作は
図1に示した例と同様であるが、制御情報生成部32は、生成した制御情報を通信部35へ出力する。通信部35は、制御情報生成部32から受け取った制御情報を車両1aへ送信する。車両1aの通信部36は、情報処理装置3aから制御情報を受信すると、受信した制御情報を走行制御部33へ出力する。走行制御部33、情報記憶部34および走行機構4は、
図1に示した例と同様である。
【0030】
なお、制御情報生成部32が、経路に関する制御情報を生成する場合には、情報処理装置3aは、さらに、情報記憶部34を備え、情報記憶部34に記憶されている地図情報を用いて、制御情報を生成してもよい。
【0031】
次に、本実施の形態の情報処理装置3のハードウェア構成について説明する。本実施の形態の情報処理装置3は、コンピュータシステム上で、情報処理装置3における処理が記述されたプログラム(コンピュータプログラム)が実行されることにより、コンピュータシステムが情報処理装置3として機能する。コンピュータシステムは、例えば処理回路を含む。
図3は、本実施の形態の情報処理装置3を実現する処理回路の構成例を示す図である。
図3に示すように、処理回路は、プロセッサ101と、メモリ102と、通信部103とを備える。処理回路は、1つの回路であってもよいし複数の回路であってもよい。これらはシステムバスを介して接続されている。また、通信部103は、処理回路とは別に設けられていてもよい。なお、情報処理装置3を実現するコンピュータシステムは、入力を受付けるボタン、キーボードなどの入力部と、ディスプレイ、モニタなどの表示部との少なくとも1つをさらに備えてもよい。
【0032】
図3において、プロセッサ101は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等の制御部であり、本実施の形態の情報処理装置3における処理が記述されたプログラムを実行する。メモリ102は、RAM(Random Access Memory),ROM(Read Only Memory)などの各種メモリおよびハードディスクなどのストレージデバイスを含み、上記プロセッサ101が実行すべきプログラム、処理の過程で得られた必要なデータ、などを記憶する。また、メモリ102は、プログラムの一時的な記憶領域としても使用される。通信部103は、通信処理を実施する受信機および送信機である。
【0033】
ここで、本実施の形態のプログラムが実行可能な状態になるまでのコンピュータシステムの動作例について説明する。上述した構成をとるコンピュータシステムには、たとえば、図示しないCD(Compact Disc)-ROMドライブまたはDVD(Digital Versatile Disc)-ROMドライブにセットされたCD-ROMまたはDVD-ROMから、プログラムがメモリ102にインストールされる。そして、プログラムの実行時に、メモリ102から読み出されたプログラムがメモリ102の主記憶領域に格納される。この状態で、プロセッサ101は、メモリ102に格納されたプログラムに従って、本実施の形態の情報処理装置3としての処理を実行する。
【0034】
なお、上記の説明においては、CD-ROMまたはDVD-ROMを記録媒体として、情報処理装置3における処理を記述したプログラムを提供しているが、これに限らず、コンピュータシステムの構成、提供するプログラムの容量などに応じて、たとえば、通信部103を経由してインターネットなどの伝送媒体により提供されたプログラムを用いることとしてもよい。
【0035】
本実施の形態のプログラムは、例えば、車両1を制御するコンピュータシステムに、センサ2によって取得されたセンサ情報を用いて、ユーザの睡眠深度を推定するステップと、推定された睡眠深度を用いて、車両1の自動運転による走行の制御に用いられる制御情報を生成するステップと、を実行させる。
【0036】
図1に示した推定部31、制御情報生成部32および走行制御部33は、
図3に示したメモリ102に記憶されたプログラムが
図3に示したプロセッサ101により実行されることにより実現される。
図1に示した推定部31、制御情報生成部32および走行制御部33の実現には、
図3に示したメモリ102も用いられる。
図1に示したセンサ情報取得部30は、
図3に示した通信部103により実現される。
図1に示した情報記憶部34は、
図3に示したメモリ102の一部である。
【0037】
同様に、
図2に示した情報処理装置3aも
図3に示した処理回路を含むコンピュータシステムにより実現される。なお、情報処理装置3aを実現するコンピュータシステムは、処理回路に加えて、入力部と、表示部との少なくとも1つをさらに備えてもよい。
図2に示した通信部35は、
図3に示した通信部103により実現される。情報処理装置3aは、複数のコンピュータシステムにより実現されてもよい。例えば、
図2に示した情報処理装置3aは、クラウドシステムにより実現されてもよい。
【0038】
実施の形態2.
実施の形態2では、実施の形態1で述べた情報処理装置3による車両1の走行制御の一例について説明する。本実施の形態の車両1の構成は実施の形態1と同様である。なお、ここでは、実施の形態1の
図1に示したように情報処理装置3が車両1内に設けられる構成を例に挙げて説明するが、実施の形態1の
図2に示した構成例においても、本実施の形態の動作を同様に適用できる。実施の形態1と同様の機能を有する構成要素は、実施の形態1と同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0039】
本実施の形態では、情報処理装置3は、車両1に乗車するユーザの眠りが浅い時間に、SA(サービスエリア)などの駐車場所に到着して駐車した後に走行を再開するように目的地までの経路を設定する。これにより、情報処理装置3は、眠りの浅い時間に車両1の走行によるユーザへの刺激の発生を防ぐことができ、ユーザの深い眠りを促進することができる。
【0040】
図4は、本実施の形態の情報処理装置3における処理手順の一例を示すフローチャートである。
図4に示すように、情報処理装置3は、ユーザが睡眠中であるか否かを判定する(ステップS1)。なお、本実施の形態では、センサ情報取得部30は、センサ2から、例えば定期的にセンサ情報を取得する。
【0041】
ステップS1では、詳細には、推定部31が、センサ情報取得部30から受け取ったセンサ情報を用いて、車両1に乗車しているユーザが睡眠中であるか否かを判定する。ユーザが睡眠中であるか否かの判定は、例えば、センサ2としてカメラを用い、カメラがユーザを撮影することで得られる撮影データを用いて行われる。推定部31は、例えば、センサ情報である撮影データに基づいてユーザの動きを検出し、ユーザの動きに基づいてユーザが睡眠中であるか否かを判定してもよいし、撮影データに基づいてユーザの瞼が閉じているか否かを判定し、瞼が閉じているか否かの判定結果に基づいてユーザが睡眠中であるか否かを判定してもよい。または、センサ2としてユーザが身に着ける加速度センサを用い、推定部31は、加速度センサの検出結果であるセンサ情報に基づいてユーザが睡眠中であるか否かを判定してもよい。または、センサ2としてバイタルデータを取得するセンサを用い、推定部31は、バイタルデータであるセンサ情報に基づいてユーザが睡眠中であるか否かを判定してもよい。または、推定部31は、撮影データとバイタルデータとを組み合わせてユーザが睡眠中であるか否かを判定してもよい。ユーザが睡眠中であるか否かの判定方法はこれらの例に限定されない。
【0042】
ユーザが睡眠中でない場合(ステップS1 No)、ステップS1が繰り返される。ユーザが睡眠中である場合(ステップS1 Yes)、情報処理装置3は、目的地までの睡眠深度を推定する(ステップS2)。詳細には、推定部31が、情報記憶部34に格納されている経路情報から、目的地までの経路と所要時間とを抽出し、抽出した情報を用いて、現在から目的地までに到着する時刻までの各時刻における睡眠深度を推定し、推定した睡眠深度を制御情報生成部32へ出力する。なお、目的地までの経路および所要時間は、実施の形態1で述べたように、例えば、走行制御部33によって算出され、経路情報として情報記憶部34に格納される。また、実施の形態1で述べたように、制御情報生成部32が、目的地と地図情報とを用いて経路を設定し、所要時間を求めてもよく、この場合は、制御情報生成部32が、経路情報を情報記憶部34に格納する。なお、ここでは、推定部31が、目的地までの睡眠深度を推定する例を説明するが、これに限らず、推定部31は、一定時間先までの睡眠深度を推定すればよい。一定期間は上述したように、目的地までの所要時間であってもよいし、目的地までの所要時間の半分などのように、目的地までの所要時間より短い時間であってもよいし、あらかじめ定められた時間であってもよい。
【0043】
次に、情報処理装置3は、眠りの浅い時間に駐車場所に到着する経路を設定する(ステップS3)。詳細には、制御情報生成部32は、推定部31により推定された目的地までの睡眠深度を用いて、ユーザの眠りが浅いと予測される期間を決定し、決定した期間内に駐車場所に到着するように車両1の経路を決定し、決定した経路を示す制御情報を生成する。この制御情報は、走行制御部33へ出力されてもよいし、情報記憶部34に経路情報として記憶されてもよい。
【0044】
例えば、制御情報生成部32は、まず、目的地までの経路と、推定部31から受け取った、目的地までの睡眠深度とを用いて、眠りの浅い時間帯の車両1の位置を算出する。制御情報生成部32は、算出した位置の周辺に駐車場所があれば、その時間帯に当該駐車場所に到着し、駐車場所に駐車するように経路を決定する。駐車場所は、例えば、SAおよびPA(パーキングエリア)のうちの少なくとも1つを含むが、道の駅などの休憩所を含んでいてもよいし、駐車が許可されている駐車場を含んでいてもよい。駐車場は、店舗、公園などの駐車場であってもよい。なお、はじめに設定された経路上に駐車場所があれば、眠りの浅い時間帯に当該駐場所に到着するように、走行速度を決定し、決定した走行速度についても制御情報として走行制御部33へ出力してもよい。はじめに設定された経路上に駐車場所がない場合には、制御情報生成部32は、当該経路の周辺の駐車場所のうち眠りの浅い時間帯に到着する駐車場所を選択し、当該駐車場所を経由する経路を設定する。すなわち、制御情報生成部32は、情報記憶部34に記憶されている経路情報を、当該駐車場所を経由する経路を示す経路情報(制御情報)に更新する。または、制御情報生成部32は、当該駐車場所を経由する経路を示す経路情報を制御情報として走行制御部33へ出力してもよい。また、制御情報生成部32は、車両1を当該駐車場所に駐車させる制御情報を生成し、生成した制御情報を走行制御部33へ出力する。なお、車両1を当該駐車場所に駐車させる指示を経路情報に含めてもよい。これにより、走行制御部33は、更新された経路情報に基づいて車両1の走行を制御し、駐車場所に到着すると、走行機構4を制御して車両1を駐車場所に駐車させる。
【0045】
なお、目的地へ到着するまでの間に眠りの浅い時間が定められた回数以上現れると推定される場合には、駐車場所に一定期間駐車してから走行を再開すると仮定して、眠りの浅い時間のうちの2回以上について、それぞれ対応する駐車場所を決定し、決定した2か所以上の駐車場所を経由する経路を設定してもよい。例えば、目的地までの所要時間が7時間以上の場合、睡眠周期が4~5周期現れることになるが、後半の睡眠周期は覚醒の準備となるため、制御情報生成部32は、前半の2サイクル目までの睡眠周期において深い眠りを促進するように、2か所の駐車場所を経由する経路を設定してもよい。
【0046】
次に、情報処理装置3は、車両1が、駐車場所に到着したか否かを判定する(ステップS4)。詳細には、制御情報生成部32が、走行制御部33から車両1を駐車場所に駐車させたことの通知を受け取ることで駐車場所に到着したと判定してもよいし、走行制御部33から車両1の現在位置を取得し、現地位置が駐車場所内である場合に、駐車場所に到着したと判定してもよい。
【0047】
駐車場所に到着していない場合(ステップS4 No)、ステップS4が繰り返される。駐車場所に到着した場合(ステップS4 Yes)、情報処理装置3は、睡眠深度を推定する(ステップS5)。詳細には、制御情報生成部32が、推定部31に睡眠深度の推定を指示し、推定部31が、センサ情報を用いて現在のユーザの睡眠深度を推定し、推定結果を制御情報生成部32へ出力する。
【0048】
情報処理装置3は、眠りが深いか否かを判定する(ステップS6)。詳細には、制御情報生成部32が、推定部31から受け取った推定結果に基づいて、ユーザの眠りが深いか否かを判定する。
【0049】
眠りが深くない場合(ステップS6 No)、ステップS5からの処理が繰り返される。眠りが深い場合(ステップS6 Yes)、情報処理装置3は、走行を再開させる(ステップS7)。詳細には、制御情報生成部32が、走行を再開することを指示する制御情報を生成し、生成した制御情報を走行制御部33へ出力する。走行制御部33は、制御情報生成部32から受け取った制御情報に基づいて、車両1の走行を再開させるよう走行機構4を制御する。このように、制御情報生成部32は、車両1が駐車場所に到着した後に、推定部31がセンサ情報に基づいて推定した睡眠深度の推定結果を用いて、ユーザの眠りが深いと判定した場合に、車両1を駐車場所から出発させ走行を再開させることを示す制御情報を生成する。
【0050】
情報処理装置3は、走行の再開後、駐車が不要であるか否かを判断する(ステップS8)。詳細には、制御情報生成部32が、経路情報により示される経路において経由する全ての駐車場所に既に駐車した場合には、駐車が不要であると判断する。なお、制御情報生成部32は、経路情報により示される経路において経由する全ての駐車場所のうち、まだ駐車していない駐車場所があった場合でも、当初の予定より走行に時間がかかり目的地への到着が定められた時間以上遅れると予想される場合には、まだ駐車していない駐車場所があっても、ステップS8で駐車不要と判断してもよい。
【0051】
駐車が不要でない場合(ステップS8 No)、ステップS4からの処理が繰り返される。駐車が不要な場合(ステップS8 Yes)、情報処理装置3は、車両1を目的地まで走行させる(ステップS9)。詳細には、ステップS9では、経由する全ての駐車場所に既に駐車した場合には、走行制御部33が経路情報に基づいて、目的地まで車両1を走行させるよう走行機構4を制御する。まだ駐車していない駐車場所があるもののステップS8で駐車不要と判断した場合には、ステップS9では、制御情報生成部32が、経由する予定であった残りの駐車場所(まだ到着していない駐車場所)を経由しない経路を設定する。すなわち、制御情報生成部32は、情報記憶部34に記憶されている経路情報を、残りの駐車場所を経由しない経路を示す経路情報に更新する。これにより、走行制御部33は、更新された経路情報に基づいて車両1の走行を制御することで、車両1を目的地まで走行させる。
【0052】
なお、
図4に示した例では、情報処理装置3は、車両1が駐車場所に駐車した後、ユーザの眠りが深くなってから走行を再開させるようにしたが、これに限らず、駐車場所に定められた時間駐車した後に走行を再開させるようにしてもよい。また、情報処理装置3は、ユーザの眠りが深くなるという条件と、駐車場所に定められた時間駐車したという条件とのうち少なくとも一方の条件を満たした場合に、走行を再開させるようにしてもよい。
【0053】
図5は、本実施の形態における経路設定の一例を示す概念図である。
図5に示した例では、出発地から目的地までの経路201が設定されている。ユーザは、車両1が出発地を出発した後、経路201上の地点202で入眠したとする。
図5に示した例では、情報処理装置3は、ユーザの睡眠深度を予測し、区間203を走行している時間(期間)でユーザの眠りが浅いと判定し、SA301およびSA302を経由するように経路201を設定している。区間204は、ユーザの眠りが深い時間(期間)に対応する区間である。このように、ユーザの眠りが浅い時間にSA301,302などの駐車場所で車両1が駐車するため、ユーザへの車両1の走行による刺激を防ぎ、ユーザの深い眠りを促進することができる。なお、
図5は例示であり、設定される経路、駐車場所の数は、
図5に示した例に限定されない。また、駐車場所もSAに限定されず、上述したようにPAであってもよいし、店舗、公園などの駐車場などであってもよい。
【0054】
以上に述べた例では、駐車場所に駐車することでユーザの深い眠りを促進したが、ユーザが、駐車場所において、トイレ休憩をとったり、買い物をしたり駐車場所での降車を希望する場合も考えられる。このため、駐車場所において深い眠りを促進するか、ユーザを覚醒させるかをユーザが設定できるようにしてもよい。
【0055】
図6は、ユーザの設定を受付ける場合の本実施の形態の車両の構成例を示す図である。
図6に示した車両1bは、覚醒促進装置5が追加され、情報処理装置3の代わりに情報処理装置3bを備える以外は、
図1に示した車両1と同様である。
図1に示した例と同様の機能を有する構成要素は、
図1と同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0056】
図6に示すように、情報処理装置3bは、
図1に示した情報処理装置3に入力受付部37が追加されている。入力受付部37は、ユーザから、ユーザが駐車場所で降車するかしないかのいずれを選択するかの選択結果の入力を受付ける。入力受付部37は、受付けた選択結果を制御情報生成部32へ出力する。選択結果が駐車場所で降車することを示す場合には、制御情報生成部32は、駐車場所における動作のモードを覚醒促進に設定する。駐車場所における動作のモードが覚醒促進に設定されている場合、制御情報生成部32は、駐車場所に到着すると、ユーザを覚醒させることを指示する制御情報を生成し、生成した制御情報を覚醒促進装置5へ出力する。覚醒促進装置5は、制御情報生成部32から制御情報を受け取ると、ユーザの覚醒を促進する動作を行う。ユーザの覚醒を促進する動作は、例えば、駐車場所へ到着した旨を知らせる音声、アラーム音、音楽などの音を発生させる動作であってもよいし、座席を振動させる動作であってもよいし、これら以外であってもよい。選択結果が駐車場所で降車しないことを示す場合、制御情報生成部32は、駐車場所における動作のモードを睡眠促進に設定し、
図4に示した例と同様に、駐車場所に到着してもユーザを覚醒させる制御は行わない。
【0057】
図7は、ユーザの設定を受付ける場合の本実施の形態の情報処理装置3bにおける処理手順の一例を示すフローチャートである。ステップS1~S4は、
図4に示した例と同様である。ステップS4でYesの場合、情報処理装置3bは、覚醒促進の設定であるか否かを判定する(ステップS11)。詳細には、制御情報生成部32が、駐車場所における動作のモードが覚醒促進であるか否かを判定する。覚醒促進の設定でない場合(ステップS11 No)、
図4と同様にステップS5~S9が実施される。
【0058】
覚醒促進の設定である場合(ステップS11 Yes)、情報処理装置3bは、ユーザの覚醒を促進する(ステップS12)。詳細には、制御情報生成部32は、ユーザを覚醒させることを指示する制御情報を生成し、生成した制御情報を覚醒促進装置5へ出力する。これにより、覚醒促進装置5は、制御情報生成部32から制御情報を受け取ると、ユーザの覚醒を促進する動作を行う。
【0059】
次に、情報処理装置3bは、出発指示、すなわち車両1bの出発の指示があったか否かを判定し(ステップS13)、出発指示があった場合(ステップS13 Yes)には、処理をステップS7へ進める。出発指示がない場合(ステップS13 No)、情報処理装置3bは、ステップS13を繰り返す。なお、例えば、車両1bの出発の指示はユーザによって入力される。入力受付部37は、ユーザから車両1bの出発を指示する入力を受付けると、車両1bの出発が指示されたことを示す情報を制御情報生成部32へ出力する。ステップS13では、制御情報生成部32が、入力受付部37から車両1bの出発が指示されたことを示す情報を受け取ったか否かに基づいて、出発指示があったか否かを判定する。
【0060】
図7に示した例では、動作モードが睡眠促進に設定されている場合には、
図4と同様の処理を行うことになり、動作モードが覚醒促進に設定されている場合には、駐車場所に到着するとユーザの覚醒を促進する。駐車場所においてユーザの覚醒の促進を行う場合も、眠りの浅い時間に駐車場所に到着するように経路が設定されているため、ユーザは自然に覚醒しやすくなる。
図7に示した例では、ユーザが動作モードを設定することができるので、情報処理装置3bはユーザの要望に応じた動作を行うことができる。なお、実施の形態1の
図2に示した車両1aに、入力受付部37および覚醒促進装置5が追加され、入力受付部37が受付けた情報が通信部36を介して情報処理装置3aへ送信されることで、情報処理装置3aが
図7に示した処理と同様の処理を行ってもよい。
【0061】
なお、
図6および
図7に示した例では、車両1bが覚醒促進装置5を備えたが、車両1bに覚醒促進装置5を設けなくてもよい。眠りの浅い時間に駐車場所に到着することで、ユーザが到着を自ら感じ取り自然に目覚める可能性があるため、情報処理装置3bは、駐車場所に到着した後に、一定時間ユーザが降車するのを待機してもよい。一定時間たってもユーザが目覚めない場合には、動作モードが睡眠促進に設定されている場合の動作を実施することにしてもよい。
【0062】
図6に示した情報処理装置3bは、例えば、
図3に例示した処理回路と図示しない入力部とにより実現されるが、入力受付部37は入力部により実現される。
【0063】
以上のように、本実施の形態では、眠りの浅い時間に駐車場所に到着するように車両1,1bの経路が設定され、車両1,1bが駐車場所に到着すると駐車場所で停止する。これにより、車両1,1bは、眠りの浅い時間に車両1,1bの走行による刺激を受けて眠りが妨げられることを避けることができ、ユーザの深い眠りを促進することができる。すなわち、ユーザの睡眠に関する状態に応じた走行制御を行うことができる。
【0064】
実施の形態3.
実施の形態3では、実施の形態2と同様に、実施の形態1で述べた情報処理装置3による車両1の走行制御の一例について説明する。本実施の形態の車両1の構成は実施の形態1と同様である。なお、ここでは、実施の形態1の
図1に示したように情報処理装置3が車両1内に設けられる構成を例に挙げて説明するが、実施の形態1の
図2に示した構成例においても、本実施の形態の動作を同様に適用できる。実施の形態1と同様の機能を有する構成要素は、実施の形態1と同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0065】
図8は、本実施の形態の情報処理装置3における処理手順の一例を示すフローチャートである。
図8に示すように、情報処理装置3は、実施の形態2のステップS1と同様に、ユーザが睡眠中であるか否かを判定する。なお、本実施の形態においても、センサ情報取得部30は、センサ2から、例えば定期的にセンサ情報を取得する。
【0066】
ユーザが睡眠中でない場合(ステップS1 No)、情報処理装置3は、車両1の走行を通常走行とすることを決定し(ステップS21)、ステップS1が繰り返される。例えば、車両1の走行モードは、実施の形態1で述べたように、通常走行モードと制限走行モードとの2種類のモードをユーザが設定可能であり、制御情報生成部32は、走行モードを通常走行モードに設定する。なお、すでに、走行モードが通常走行モードに設定されている場合には、走行モードの変更は行われなくてよく、制御情報生成部32は、走行モードをそのまま通常走行モードとする。
【0067】
ユーザが睡眠中である場合(ステップS1 Yes)、情報処理装置3は、睡眠深度を推定する(ステップS22)。詳細には、推定部31が、センサ情報を用いて、ユーザの現在の睡眠深度を推定し、推定結果を制御情報生成部32へ出力する。または、推定部31は、ユーザの現在の睡眠深度の推定結果を用いて、一定時間先までの睡眠深度を予測し、予測結果についても制御情報生成部32へ出力してもよい。
【0068】
次に、情報処理装置3は、眠りが浅いか否かを判定する(ステップS23)。詳細には、制御情報生成部32は、推定部31から受け取った推定結果に基づいて、ユーザの眠りが浅いか否かを判定する。眠りが浅い場合(ステップS23 Yes)、情報処理装置3は、車両1の走行を制限走行とすることを決定し(ステップS24)、ステップS22からの処理を繰り返す。詳細には、ステップS24では、制御情報生成部32は、車両1の走行を、制限のない通常時と比べて穏やかな走行とするための制御情報を生成する。例えば、制御情報生成部32は、走行モードを制限走行モードに設定する。なお、すでに、走行モードが制限走行モードに設定されている場合には、走行モードの変更は行われなくてよく、制御情報生成部32は、走行モードをそのまま制限走行モードとすることを指示する制御情報を生成し、生成した制御情報を走行制御部33へ出力する。制限走行モードでは、実施の形態1で述べたように、穏やかな走行となるような走行制御が行われる。
【0069】
具体的には、制限走行モードでは、速度および加速度のうち少なとも一方をしきい値以下とすることで制限を与えてもよいし、走行経路を、走行が穏やかになるような経路に設定してもよい。走行が穏やかになるような経路は、例えば、急なカーブの少ない経路、路面の凹凸の少ない経路、勾配の緩い経路などであるがこれらに限定されない。なお、例えば、カーブの曲率、路面の凹凸、道路の勾配を示す数値は、地図情報に含まれているとし、制御情報生成部32は、カーブの曲率がしきい値以上の場合に急なカーブと判定し、路面の凹凸を示す数値がしきい値以下の経路を凹凸が少ない経路と判定し、道路の勾配を示す数値がしきい値以下の場合に勾配の緩い経路と判定することができる。なお、制御情報生成部32は、上述したように、一定時間先までの睡眠深度の予測値を推定部31から受け取ってもよく、この場合、予測結果において眠りが浅い期間の走行モードを制限走行モードに設定する。
【0070】
眠りが浅くない場合(ステップS23 No)、情報処理装置3は、車両1の走行を通常走行とすることを決定し(ステップS25)、ステップS22からの処理を繰り返す。詳細には、ステップS25では、例えば、制御情報生成部32は、走行モードを通常走行モードに設定する。なお、すでに、走行モードが通常走行モードに設定されている場合には、走行モードの変更は行われなくてよく、制御情報生成部32は、走行モードをそのまま通常走行モードとする。
【0071】
図8に例示した処理を行うことで、情報処理装置3は、ユーザの眠りの浅い時間に穏やかな走行となるように制御を行うことができる。すなわち、ユーザの睡眠に関する状態に応じた走行制御を行うことができる。なお、上述した例では、ユーザの眠りが浅い時間に車両1の走行を穏やかにすることで、ユーザの眠りを妨げないようにしたが、さらに、ユーザの眠りが浅い時間に、走行以外が要因となるユーザへの外部からの刺激を抑制するようにしてもよい。例えば、ユーザの周囲の環境として、周囲の明るさおよび周囲の音のうちの少なくとも一方を調整することで、外部からの刺激を抑制するようにしてもよい。例えば、上述したステップS24において、制御情報生成部32は、明るい場所を避けた経路を設定してもよいし、騒音の大きな場所を避けた経路を設定してもよい。明るい場所を避けた経路は、例えば、夜間に車両1が走行する際に、店舗の多い地域を避ける経路であるがこれに限定されない。騒音の大きな場所を避けた経路は、例えば、工事現場周辺を避ける経路、人または車の多い場所を避ける経路であるがこれらに限定されない。
【0072】
また、制御情報生成部32は、ユーザの周囲の環境に影響する車両1内の装置を制御することで、ユーザへの外部からの刺激を抑制するようにしてもよい。
図9は、ユーザの周囲の環境に影響する車両1c内の装置を制御する本実施の形態の車両の構成例を示す図である。
図9に示した車両1cは、実施の形態1の車両1に、スピーカ11、減音装置12および減光装置13が追加されている。
【0073】
スピーカ11は、図示しない音声データ出力装置から出力された音声データを音として出力する。音声データ出力装置は、例えば車両1c内で音楽などを再生する装置、放送されるまたは配信される音声データを取得する装置などである。減音装置12は、車両1c内の音を低減させる装置であり、吸音シートと吸音シートの出し入れを制御する装置との組み合わせであってもよいし、車両1c内のノイズを検出し、検出したノイズと逆位相の音を発生させることで電気的な処理によってノイズを打ち消すノイズキャンセリングを行う装置であってもよいし、これら以外であってもよい。減光装置13は、車両1c内の光を低減させる装置であり、例えば、車両1cの後部の窓などに設けられた、光の透過率を調整することが可能な調光フィルムであってもよいし、車両1cの駐車中に光を遮るカーテンなどであってもよいし、これら以外であってもよい。
【0074】
図9に示した例では、制御情報生成部32は、
図8に示したステップS24において、さらに、スピーカ11、減音装置12および減光装置13を動作させるための制御情報を生成し、生成した制御情報をスピーカ11、減音装置12および減光装置13へ出力することで、車両1内の音、光を抑制する。例えば、制御情報生成部32は、スピーカ11の音量を下げるまたはスピーカ11をオフとするための制御情報を生成し、減音装置12に車両1内の音を抑制させるための制御情報を生成し、減光装置13に車両1内の光を抑制させるための制御情報を生成する。これにより、ユーザに対して、走行による刺激だけでなく、走行以外の周囲の環境による刺激が発生することも抑制することができる。なお、
図9に示した例では、車両1cが、スピーカ11、減音装置12および減光装置13を備える例を示したが、これに限らず、スピーカ11、減音装置12および減光装置13のうちの1つまたは2つを車両1cが備えていてもよい。
【0075】
なお、実施の形態1の
図2に示した車両1aに、スピーカ11、減音装置12および減光装置13が追加され、情報処理装置3aが、これらの装置を制御するための制御情報を生成して通信部35を介して車両1aに送信するようにしてもよい。この場合も、スピーカ11、減音装置12および減光装置13のうちの1つまたは2つを車両1aが備えていてもよい。
【0076】
また、情報処理装置3は、実施の形態2の動作と、本実施の形態で述べた動作との両方を実施してもよいし、
図2に示した車両1aおよび情報処理装置3aが、実施の形態2の動作と、本実施の形態で述べた動作との両方を実施してもよい。
【0077】
また、ここでは、走行による刺激とユーザの周囲の環境による刺激との両方を抑制する例を説明したが、車両1cは、ユーザの眠りが浅い場合に、ユーザの周囲の環境による刺激だけを抑制するようにしてもよい。
【0078】
実施の形態4.
実施の形態4では、実施の形態2,3と同様に、実施の形態1で述べた情報処理装置3による車両1の走行制御の一例について説明する。本実施の形態の車両1の構成は実施の形態1と同様である。なお、ここでは、実施の形態1の
図1に示したように情報処理装置3が車両1内に設けられる構成を例に挙げて説明するが、実施の形態1の
図2に示した構成例においても、本実施の形態の動作を同様に適用できる。実施の形態1と同様の機能を有する構成要素は、実施の形態1と同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0079】
図10は、本実施の形態の情報処理装置3における処理手順の一例を示すフローチャートである。ステップS1,S2は、実施の形態2のステップS1,S2と同様である。ステップS2の後、情報処理装置3は、起床時刻を予測する(ステップS31)。詳細には、推定部31が、推定した睡眠深度を用いてユーザの起床時刻を予測する。例えば、推定部31が、睡眠深度の推定結果と実施の形態1で述べた人の標準的な睡眠パターンとを用いて、起床時刻を予測し、予測結果を制御情報生成部32へ出力する。詳細には、例えば、推定部31が、睡眠深度の推定結果を用いて、入眠の時間と睡眠周期とを推定し、目的地への到着予想時刻を含む一定期間内で、レム睡眠が現れる時間帯を算出し、算出した時間帯内の時刻を予想される起床時刻とする。例えば、制御情報生成部32は、レム睡眠が現れる時間帯の中央となる時刻を予想される起床時刻としてもよい。
【0080】
次に、情報処理装置3は、予測される起床時刻から一定時間内に目的地に到着する経路を設定する(ステップS32)。詳細には、制御情報生成部32が、ステップS31で予測した起床時刻から一定時間内に車両1が目的地に到着するように、車両1の目的地までの経路を決定し、決定した経路を示す制御情報である経路情報を生成し、経路情報を情報記憶部34に格納する。または、制御情報生成部32は、決定した経路を示す制御情報を走行制御部33へ出力してもよい。車両1は、この経路情報に基づいて走行することで、予測される起床時刻から一定時間内に目的地に到着することができる。このため、ユーザが目的地の近くで自然に目覚める可能性を高めることができる。このように、本実施の形態においても、ユーザの睡眠に関する状態に応じた走行制御を行うことができる。
【0081】
なお、上述した例では、睡眠深度を用いて起床時刻を予測したが、これに限らず、起床時刻はユーザによって設定されてもよいし、以下に述べるように、ユーザの睡眠の履歴、ユーザの起床時刻の履歴およびユーザの起床予定時刻のうちの少なくとも1つを示す睡眠情報に基づいて推定されてもよい。
【0082】
図11は、睡眠情報を用いて起床時刻を推定する本実施の形態の車両の構成例を示す図である。
図11に示すように、車両1dは、情報処理装置3の代わりに情報処理装置3dを備える。情報処理装置3dは、情報処理装置3に睡眠情報取得部38が追加されている。睡眠情報取得部38は、ユーザの睡眠情報を記憶する情報提供装置6から睡眠情報を受信することで、睡眠情報を取得し、取得した睡眠情報を推定部31へ出力する。なお、
図11では、情報提供装置6がユーザによって携帯されるスマートフォン、タブレット、パーソナルコンピュータなどの携帯端末である例を示しており、車両1d内に情報提供装置6が存在しているが、情報提供装置6は車両1d外に存在していてもよい。また、情報提供装置6は、ユーザによって携帯される携帯端末に限定されず、複数のユーザの睡眠情報を管理するサーバ装置などであってもよい。
【0083】
睡眠情報は、例えば、ユーザの睡眠に関する情報を取得して管理する睡眠アプリ(アプリケーションソフトウェア)によって管理される情報であるが、これに限定されない。例えば、情報提供装置6がアラーム機能を有し、アラーム機能において設定されている起床時刻が睡眠情報として用いられてもよい。また、情報提供装置6がスケジュール管理機能を有し、ユーザが起床時刻をスケジュールに登録している場合には、登録されている起床時刻が睡眠情報として用いられてもよい。
【0084】
睡眠アプリが管理する睡眠情報は、例えば、ユーザの入眠時刻、起床時刻および睡眠周期などを含む。推定部31は、睡眠アプリが管理する睡眠情報を用いて起床時刻を予測する場合、例えば、ユーザの起床時刻の履歴を用いて起床時刻の平均値を算出し、算出した平均値を、起床時刻の予測値としてもよい。または、推定部31は、入眠時刻および起床時刻の履歴を用いて睡眠時間の平均値を算出し、センサ情報を用いてユーザの入眠を推定し、推定した入眠時刻から算出した平均値だけ経過した時刻を起床時刻の予測値としてもよい。
【0085】
また、推定部31は、睡眠情報がアラーム機能において設定されている起床時刻である場合、睡眠情報が示す起床時刻を、起床時刻の予測値としてもよい。また、推定部31は、睡眠情報がスケジュールに登録されている起床時刻である場合、睡眠情報が示す起床時刻を、起床時刻の予測値としてもよい。なお、起床時刻の予測の対象日のスケジュールが登録されている場合には、起床時刻の予測の対象日のスケジュールにおける起床時刻を起床時刻の予測値として用い、起床時刻の予測の対象日のスケジュールが登録されていない場合には、同じ曜日の他の日の登録されている起床時刻を、起床時刻の予測値としてもよいし、登録されている起床時刻のなかで最も多い起床時刻を起床時刻の予測値としてもよい。
【0086】
図11に示した情報処理装置3dは、例えば、
図3に例示した処理回路により実現される。睡眠情報取得部38は、通信部103により実現される。
【0087】
図12は、睡眠情報を用いて起床時刻を予測する本実施の形態の情報処理装置3dにおける処理手順の一例を示すフローチャートである。ステップS1は、
図10に示した例と同様である。ステップS1でYesの場合、情報処理装置3dは、睡眠情報を用いて起床時刻を予測する(ステップS41)。詳細には、推定部31が、睡眠情報取得部38から受け取った睡眠情報を用いて、ユーザの起床時刻を予測し、予測結果を制御情報生成部32へ出力する。ステップS32は、
図10に示した例と同様である。
【0088】
なお、実施の形態1の
図2に示した車両1aまたは情報処理装置3aに、睡眠情報取得部38を追加し、情報処理装置3aが本実施の形態と同様に睡眠情報に基づいてユーザの起床時刻を予測し、予測した起床時刻から一定時間内に目的地に到着する経路を設定するようにしてもよい。
【0089】
また、情報処理装置3dは、実施の形態2の動作および実施の形態3の動作とのうちの少なくとも一方と、本実施の形態で述べた動作とを実施してもよいし、
図2に示した車両1aおよび情報処理装置3aが、実施の形態2の動作および実施の形態3の動作とのうちの少なくとも一方とを実施してもよい。
【0090】
以上のように、本実施の形態では、起床時刻を予測し、予測した起床時刻から一定時間以内に目的地に到着するように経路を設定するようにした。このため、ユーザが目的地の近くで自然に目覚める可能性を高め、ユーザの快適性を向上させることができる。
【0091】
実施の形態5.
図13は、実施の形態5にかかる車両1eの構成例を示す図である。本実施の形態の車両1eは、情報処理装置3の代わりに情報処理装置3eを備える以外は実施の形態1の車両1と同様である。実施の形態1と同様の機能を有する構成要素は、実施の形態1と同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0092】
図13に示すように、情報処理装置3eは、実施の形態1の情報処理装置3に識別部39および特性情報記憶部40が追加されている。なお、ここでは、実施の形態1の
図1に示したように情報処理装置3eが車両1e内に設けられる構成を例に挙げて説明するが、実施の形態1の
図2に示した構成例において情報処理装置3aに識別部39および特性情報記憶部40が追加され、本実施の形態の動作が行われてもよい。
【0093】
本実施の形態では、センサ2は、例えばカメラを含み、センサ情報はカメラによってユーザが撮影されることで取得される撮影データを含む。センサ情報取得部30は、撮影データを識別部39へ出力する。識別部39は、撮影データを用いてユーザを識別し、識別結果(ユーザの識別結果)を、推定部31へ出力する。ユーザの識別は、ユーザ個人の識別であってもよいし、ユーザの属性の識別であってもよい。属性は、例えば、性別および年齢のうちの少なくとも一方を含むが、これに限定されない。
【0094】
ユーザの識別は、例えば、顔認識技術を用いて行われる。識別部39は、ユーザ個人を識別する場合には、ユーザの顔の画像を示す画像データがあらかじめ登録されており、識別部39は登録された画像データと撮影データとを照合することで、ユーザ個人を識別する。なお、年齢は、年齢そのものでなくてよく、乳幼児、子供、大人などの区分で示されてもよいし、10歳未満、10代、20代などのように年代などの区分で示されてもよい。年齢の区分はこれらの例に限定されない。また、
図13に示した例では、識別部39が、撮影データに基づいてユーザを識別するが、センサ情報として取得されるバイタルデータを用いてユーザを識別してもよく、撮影データとバイタルデータとを組み合わせてユーザを識別してもよい。
【0095】
特性情報記憶部40は、ユーザごとのまたは属性ごとの、睡眠に関する特性を示す特性情報を記憶する。特性情報は、例えば、ユーザの睡眠周期、睡眠時間、起床時刻、睡眠深度ごとのバイタルデータの特性、睡眠深度ごとのユーザの体動の特性、睡眠中および覚醒中の体動のバイタルデータの特性、睡眠中および覚醒中の体動の特性などを示す情報のうちの少なくとも1つを含み、推定部31における推定に用いられる。特性情報は、ユーザごとに、各項目のデータが格納されたテーブル形式の情報であってもよいし、後述するように機械学習によって学習された学習済モデルであってもよい。特性情報がテーブル形式の情報である場合、特性情報は、例えば、ユーザごとにまたは属性ごとに、あらかじめ蓄積されたデータを統計処理することによって算出される。また、特性情報は、過去に車両1eにユーザが乗車した際にセンサ2によって取得されたセンサ情報に基づいて算出されてもよい。
【0096】
推定部31は、識別部39から受け取った識別結果と、特性情報記憶部40に記憶されている特性情報とを用いて、睡眠に関する指標を推定する。睡眠に関する指標は、睡眠深度であってもよいし、起床時刻であってもよいし、睡眠中であるか否かの区分であってもよく、これらのうちの2つ以上であってもよい。すなわち、推定部31は、
図4、
図7、
図8、
図10、
図12に示したステップS1の判定において、識別部39から受け取った識別結果と、特性情報記憶部40に記憶されている特性情報とを用いて、ユーザが睡眠中であるか否かを推定してもよい。ユーザが睡眠中であるか否かの推定では、特性情報として、例えば、睡眠中および覚醒中の体動のバイタルデータの特性、睡眠中および覚醒中の体動の特性などを示す情報のうちの少なくとも1つが用いられる。
【0097】
また、推定部31は、
図4、
図7、
図8、
図10における睡眠深度の推定において、識別部39から受け取った識別結果と、特性情報記憶部40に記憶されている特性情報とを用いて、睡眠深度を推定してもよい。ユーザの睡眠深度の推定では、特性情報として、例えば、ユーザの睡眠周期、睡眠深度ごとのバイタルデータの特性および睡眠深度ごとのユーザの体動の特性などを示す情報のうちの少なくとも1つが用いられる。また、推定部31は、実施の形態4で述べた起床時刻を推定する際に、識別部39から受け取った識別結果と、特性情報記憶部40に記憶されている特性情報とを用いて、睡眠深度を推定してもよい。ユーザの起床時刻の推定では、特性情報として、例えば、睡眠時間、起床時刻などを示す情報のうちの少なくとも1つが用いられる。この場合、特性情報は、ユーザの起床時刻および睡眠時間のうちの少なくとも一方の実績値であってもよい。
【0098】
上述したように、特性情報は、学習済モデルであってもよい。
図14は、機械学習を用いて推定が行われる場合の本実施の形態の推定部31の構成例を示す図である。
図14に示した例では、推定部31は、学習部311および推論部312を備える。学習部311は、例えば、特徴量である入力データと、対応する正解データである睡眠に関する指標とで構成されるデータセットを複数用いて、教師あり学習により学習済モデルを生成し、生成した学習済モデルを特性情報として特性情報記憶部40に格納する。例えば、特徴量は、センサ情報から算出される情報を含む。
【0099】
学習済モデルが、睡眠中であるか否かの区分を推論するためのモデルである場合には、例えば、入力データは、睡眠中および覚醒中の体動のバイタルデータの特性、睡眠中および覚醒中の体動の特性などを示す情報のうちの少なくとも1つを含む。学習済モデルが、睡眠深度を推論するためのモデルである場合には、例えば、入力データは、ユーザの睡眠周期、睡眠深度ごとのバイタルデータの特性および睡眠深度ごとのユーザの体動の特性などを示す情報のうちの少なくとも1つを含む。入力データは、過去にセンサ2によって取得されたデータから算出されたものであってもよいし、センサ2とは別の装置によって取得されたデータから算出されたものであってもよいし、これらが混在したものであってもよい。また、入力データは、睡眠アプリなどによって取得されたものであってもよい。なお、正解データについては、例えば、別途脳波を取得して脳波を用いて決定されてもよいし、ユーザに刺激を与えた結果に基づいて決定されてもよいし、これら以外の方法で決定されてもよい。
【0100】
学習部311における学習済モデルの生成に用いられる教師あり学習のアルゴリズムとしては、どのようなものを用いてもよいが、例えば、ニューラルネットワークモデルを用いることもできる。ニューラルネットワークは、複数のニューロンからなる入力層、複数のニューロンからなる中間層(隠れ層)、および複数のニューロンからなる出力層で構成される。中間層は、1層、又は2層以上でもよい。
【0101】
図15は、ニューラルネットワークの一例を示す模式図である。例えば、
図15に示すような3層のニューラルネットワークであれば、複数の入力が入力層(X1-X3)に入力されると、その値に重みW1(w11-w16)を掛けて中間層(Y1-Y2)に入力され、その結果にさらに重みW2(w21-w26)を掛けて出力層(Z1-Z3)から出力される。この出力結果は、重みW1の値と重みW2の値とによって変わる。
【0102】
本実施の形態においては、特徴量が入力されたときの出力層からの出力が正解データである睡眠に関する指標に近づくように、重みW1と重みW2とを調整することで、特徴量と正解データとの関係が学習される。なお、機械学習のアルゴリズムはニューラルネットワークに限定されず、サポートベクターマシンなど他のアルゴリズムであってもよい。また、学習部311における学習済モデルの生成に用いられる機械学習は教師あり学習に限定されず、強化学習などであってもよい。
【0103】
推論部312は、センサ情報取得部30から受け取ったセンサ情報を用いて特徴量を算出し、特徴量を、特性情報記憶部40に記憶されている学習済モデルに入力することで、睡眠に関する指標を推論する。これにより、睡眠に関する指標が推定される。
【0104】
学習済モデルは、ユーザ個人ごとまたは属性ごとに生成されてもよい。例えば、年代ごとに学習済モデルが生成されてもよい。推定部31は、識別結果がユーザ個人の識別結果である場合には、当該ユーザ個人に対応する学習済モデルを用いて、睡眠に関する指標を推論する。また、推定部31は、識別結果がユーザの属性の識別結果である場合には、当該属性に対応する学習済モデルを用いて、睡眠に関する指標を推論する。または、ユーザ個人ごとまたは属性ごとに学習済モデルが生成される代わりに、ユーザ個人の識別情報または属性も特徴量として入力されて学習済モデルが生成され、推論時にも特徴量にユーザ個人の識別情報または属性も特徴量として学習済モデルに入力されてもよい。
【0105】
なお、
図14では、推定部31が学習部311を備える例を示したが、これに限らず、車両1eとは別に学習済モデルを生成する学習装置を備え、学習装置が学習済モデルを生成し、学習装置によって生成された学習済モデルが特性情報記憶部40に格納されてもよい。
【0106】
図13に示した情報処理装置3eは、例えば、
図3に例示した処理回路により実現される。
図13に示した識別部39は、
図3に示したメモリ102に記憶されたプログラムが
図3に示したプロセッサ101により実行されることにより実現される。
図13に示した識別部39の実現には、
図3に示したメモリ102も用いられる。
図13に示した特性情報記憶部40は、
図3に示したメモリ102の一部である。
【0107】
本実施の形態の動作は、実施の形態1から実施の形態4までいずれか、または実施の形態1から実施の形態4のうちの2つ以上の組み合わせにおいて、睡眠に関する指標を推定する際に適用可能である。
【0108】
以上のように、本実施の形態では、ユーザ個人またはユーザの属性を識別し、識別した結果に基づいて、睡眠中であるか否かの区分、睡眠深度、起床時刻などの睡眠に関する指標を推定するようにした。これにより、実施の形態1と同様の効果が得られるとともに、睡眠に関する指標の推定精度を向上させることができる。
【0109】
以上の実施の形態に示した構成は、一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、実施の形態同士を組み合わせることも可能であるし、要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
【符号の説明】
【0110】
1,1a,1b,1c,1d,1e 車両、2 センサ、3,3a,3b,3d,3e 情報処理装置、4 走行機構、5 覚醒促進装置、6 情報提供装置、11 スピーカ、12 減音装置、13 減光装置、30 センサ情報取得部、31 推定部、32 制御情報生成部、33 走行制御部、34 情報記憶部、35,36 通信部、37 入力受付部、38 睡眠情報取得部、39 識別部、40 特性情報記憶部、100 車両システム、311 学習部、312 推論部。
【要約】
本開示にかかる情報処理装置(3)は、車両(1)に乗車するユーザの状態およびユーザの周囲の環境のうち少なくとも一方を検出するセンサ(2)によって取得されたセンサ情報を用いて、ユーザの睡眠深度を推定する推定部(31)と、推定部(31)によって推定された睡眠深度を用いて、車両(1)の自動運転による走行の制御に用いられる制御情報を生成する制御情報生成部(32)と、を備える。