(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-27
(45)【発行日】2025-04-04
(54)【発明の名称】防水パッキンおよび操作パネル
(51)【国際特許分類】
F16J 15/10 20060101AFI20250328BHJP
F16J 15/06 20060101ALI20250328BHJP
H05K 5/02 20060101ALI20250328BHJP
【FI】
F16J15/10 A
F16J15/10 U
F16J15/06 P
H05K5/02 L
(21)【出願番号】P 2024565337
(86)(22)【出願日】2024-06-06
(86)【国際出願番号】 JP2024020748
【審査請求日】2024-11-06
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118762
【氏名又は名称】高村 順
(72)【発明者】
【氏名】加藤 貴久
【審査官】山田 康孝
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-364752(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0364762(US,A1)
【文献】国際公開第2020/162124(WO,A1)
【文献】国際公開第2005/080835(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16J 15/00-15/14
H05K 5/02
H05K 5/06
B23Q 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠形状を有し、前記枠形状において高さ方向に延びる辺が分割部により複数の分割片に分割された防水パッキンであって、
前記防水パッキンの奥行方向に沿った面であって前記高さ方向において対向する2つの前記分割片の分割面である接合領域のうち、前記高さ方向において下側に位置する前記分割片における前記接合領域が、
前記高さ方向において前記接合領域の高さが切り替わる領域である接続領域と、
前記接続領域を境にして前記枠形状の外側の領域である外側接合領域と、
前記接続領域を境にして前記枠形状の内側の領域である内側接合領域と、
を有し、
前記高さ方向において前記接続領域の位置が前記外側接合領域における前記防水パッキンの外側の端部である外側接合辺の位置よりも高い、または、前記高さ方向において前記内側接合領域における前記防水パッキンの内側の端部である内側接合辺の位置が前記外側接合辺の位置よりも高いこと、
を特徴とする防水パッキン。
【請求項2】
前記枠形状は、1つの前記高さ方向に延びる辺において2つの前記分割部を有し、
前記2つの分割部は、前記高さ方向において上下反転した形状を有し、
前記外側接合領域と、前記内側接合領域との各々が1つの傾斜面であり、
前記接続領域は、前記防水パッキンの幅方向において前記分割片の中心位置よりも前記枠形状の外側に位置し、
前記防水パッキンの面内方向において、前記防水パッキンの高さ方向に垂直な仮想面に対する前記外側接合領域の傾斜の角度と、前記仮想面に対する前記内側接合領域の傾斜の角度とが同じ角度であること、
を特徴とする請求項1に記載の防水パッキン。
【請求項3】
前記枠形状は、1つの前記高さ方向に延びる辺において2つの前記分割部を有し、
前記2つの分割部は、前記高さ方向において上下反転した形状を有し、
前記外側接合領域と、前記内側接合領域との各々が1つの傾斜面であり、
前記防水パッキンの面内方向において、前記防水パッキンの高さ方向に垂直な仮想面に対する前記内側接合領域の傾斜の角度が、前記仮想面に対する前記外側接合領域の傾斜の角度よりも大きく、前記高さ方向において前記内側接合領域における前記防水パッキンの内側の端部である前記内側接合辺の位置が前記外側接合辺の位置よりも高いこと、
を特徴とする請求項1に記載の防水パッキン。
【請求項4】
前記防水パッキンの高さ方向において対向する2つの前記分割片において、一方の前記分割片の前記接合領域が矩形形状の凸形状を有する凹凸形状を有し、他方の前記分割片の前記接合領域が前記凸形状が嵌め込まれる矩形形状の凹形状を有する凹凸形状を有すること、
を特徴とする請求項1に記載の防水パッキン。
【請求項5】
前記枠形状が、長方形状であること、
を特徴とする請求項
1に記載の防水パッキン。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1つに記載の防水パッキンと、
正面に開口部が形成された筐体と、
表示部または操作部が配置されて前記筐体の開口部を正面側から塞ぐ操作パネル本体と、
を備え、
前記防水パッキンが、前記正面における前記開口部に隣接する領域である開口部外縁領域において、前記筐体と前記操作パネル本体との間で挟持されていること、
を特徴とする操作パネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、液体の浸入を防ぐ防水パッキンおよび操作パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、機器の気密構造あるいは防水構造を実現するために、シールを用いて複数の部品を組み立てる場合がある。特許文献1には、換気装置のケーシングの気密構造を実現するシール部材の接合構造が記載されている。特許文献1に記載されたシール部材の接合構造は、2本以上の角柱状のシール部材が接合された状態で用いられ、一方のシール部材の接合部が凹状構造とされ、他方のシール部材の接合部が凹状構造に嵌合する凸状構造とされて、一方のシール部材の接合部と他方のシール部材の接合部とが嵌め合わされる構造を有する。
【0003】
切削機などの工作機械には、ユーザが工作機械を操作するための操作パネルが設けられている。操作パネルには、表示器、ユーザが操作を行うためのボタンおよびスイッチなどが組み付けられた操作パネル本体が、防水パッキンを挟んで筐体に取り付けられた構造を有するものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載のシール部材の接合構造を、上記の操作パネルに適用した場合、一方のシール部材と他方のシール部材との接合部が重力方向における上面に露出しているため、接合部に隙間が生じると、重力の影響によりシール部材の外部からシール部材の内部に液体が浸入する、という問題があった。
【0006】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、複数に分割された分割片を有し、重力の影響による液体の浸入を防止できる防水パッキンを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示にかかる防水パッキンは、枠形状を有し、枠形状において高さ方向に延びる辺が分割部により複数の分割片に分割された防水パッキンである。防水パッキンは、防水パッキンの奥行方向に沿った面であって高さ方向において対向する2つの分割片の分割面である接合領域のうち、高さ方向において下側に位置する分割片における接合領域が、高さ方向において接合領域の高さが切り替わる領域である接続領域と、接続領域を境にして枠形状の外側の領域である外側接合領域と、接続領域を境にして枠形状の内側の領域である内側接合領域と、を有する。高さ方向において接続領域の位置が外側接合領域における防水パッキンの外側の端部である外側接合辺の位置よりも高い、または、高さ方向において内側接合領域における防水パッキンの内側の端部である内側接合辺の位置が外側接合辺の位置よりも高い。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、複数に分割された分割片を有し、重力の影響による液体の浸入を防止できる防水パッキンが得られる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態1にかかる工作機械の一例を示す斜視図
【
図2】
図1に示す工作機械が備える操作パネルを正面側から見た正面図
【
図3】実施の形態1にかかる操作パネルの一例を正面側から見た斜視図
【
図4】実施の形態1にかかる操作パネルの一例を正面側から見た分解斜視図
【
図5】実施の形態1にかかる操作パネルが備える操作パネル本体に防水パッキンが接着された状態を正面側から見た斜視図
【
図6】実施の形態1にかかる操作パネルが備える操作パネル本体に防水パッキンが接着された状態を背面側から見た斜視図
【
図7】実施の形態1にかかる操作パネルが備える防水パッキンを正面側から見た斜視図
【
図8】
図7に示す防水パッキンにおける第1分割部を拡大して示す拡大斜視図
【
図9】
図7に示す防水パッキンにおける第1分割部を拡大して示す拡大正面図
【
図10】
図7に示す防水パッキンにおける第2分割部を拡大して示す拡大斜視図
【
図11】
図7に示す防水パッキンにおける第2分割部を拡大して示す拡大正面図
【
図12】
図7に示す防水パッキンにおける第2分割部の第2分割形状の設定方法の一例を説明する図
【
図13】
図7に示す防水パッキンにおける第2分割部の第2分割形状の設定方法の他の例を説明する図
【
図14】実施の形態1にかかる操作パネルが備える防水パッキンを正面側から見た斜視図
【
図15】
図14に示す防水パッキンにおける第1分割部を拡大して示す拡大正面図
【
図16】
図14に示す防水パッキンにおける第2分割部を拡大して示す拡大正面図
【
図17】実施の形態1にかかる操作パネルが備える防水パッキンの変形例を示す斜視図
【
図18】実施の形態1にかかる操作パネルが備える防水パッキンの変形例を示す正面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、実施の形態にかかる防水パッキンおよび操作パネルを図面に基づいて詳細に説明する。
【0011】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1にかかる工作機械100の一例を示す斜視図である。
図2は、
図1に示す工作機械100が備える操作パネル110を正面側から見た正面図である。
図3は、実施の形態1にかかる操作パネル110の一例を正面側から見た斜視図である。
図4は、実施の形態1にかかる操作パネル110の一例を正面側から見た分解斜視図である。
図5は、実施の形態1にかかる操作パネル110が備える操作パネル本体1に防水パッキン3が接着された状態を正面側から見た斜視図である。
図6は、実施の形態1にかかる操作パネル110が備える操作パネル本体1に防水パッキン3が接着された状態を背面側から見た斜視図である。以下、
図3に示す操作パネル110が備える防水パッキン3について説明する。
【0012】
実施の形態1にかかる操作パネル110は、
図3および
図4に示すように、操作パネル本体1と、筐体2と、枠形状の防水パッキン3と、を備える。
【0013】
操作パネル110の幅方向は、操作パネル本体1と筐体2と防水パッキン3との幅方向に対応し、
図3から
図6におけるX軸方向に対応する。操作パネル110の奥行方向は、操作パネル本体1と筐体2と防水パッキン3との奥行方向に対応し、
図3から
図6におけるY軸方向に対応する。操作パネル110の高さ方向は、操作パネル本体1と筐体2と防水パッキン3との高さ方向に対応し、
図3から
図6におけるZ軸方向に対応する。Y軸方向において、操作パネル本体1が配置された側が正面側である。Y軸方向において、筐体2が配置された側が背面側である。
【0014】
操作パネル110は、工作機械100において、操作パネル110の幅方向が水平方向と平行な方向とされて配置される。すなわち、操作パネル本体1と筐体2と防水パッキン3とは、工作機械100において、幅方向が水平方向と平行な方向とされ、X軸方向が水平方向と平行な方向とされて配置される。
【0015】
操作パネル本体1は、操作パネル本体1の正面である本体正面1aに表示部または工作機械100を操作するための操作部である各種の操作ボタンが配置され、開口部1cが操作パネル本体1の背面である本体背面1bの中央領域に形成された箱体である。
【0016】
筐体2は、筐体2の正面である筐体正面2aに開口部2bが形成された箱体である。開口部2bは、正面側から筐体2に操作パネル本体1が取り付けられることにより、操作パネル本体1によって正面側から覆われている。筐体正面2aにおける開口部2bに隣接する領域である開口部外縁領域2cは、防水パッキン3と接触する。
【0017】
防水パッキン3は、操作パネル110の奥行方向において、すなわちY軸方向において、操作パネル本体1と筐体2との間に挟み込まれている。防水パッキン3は、本体背面1bにおける当該本体背面1bの外周に隣接する領域である不図示の本体背面外縁領域と、筐体2の開口部外縁領域2cとに密着した状態で、本体背面外縁領域と開口部外縁領域2cとに挟み込まれている。すなわち、防水パッキン3は、筐体正面2aにおける開口部2bに隣接する領域である開口部外縁領域2cにおいて、筐体2と操作パネル本体1との間で挟持されている。
【0018】
なお、防水パッキン3は、本体背面1bの本体背面外縁領域と、筐体2の開口部外縁領域2cとのいずれか一方に不図示の両面テープによって接着される。したがって、防水パッキン3は、両面テープを介して本体背面1bの本体背面外縁領域と接着され、あるいは両面テープを介して筐体2の開口部外縁領域2cと接着されている。
【0019】
図7は、実施の形態1にかかる操作パネル110が備える防水パッキン3を正面側から見た斜視図である。
図8は、
図7に示す防水パッキン3における第1分割部3aを拡大して示す拡大斜視図である。
図9は、
図7に示す防水パッキン3における第1分割部3aを拡大して示す拡大正面図である。
図10は、
図7に示す防水パッキン3における第2分割部3bを拡大して示す拡大斜視図である。
図11は、
図7に示す防水パッキン3における第2分割部3bを拡大して示す拡大正面図である。
【0020】
防水パッキン3は、枠形状を有する。すなわち、防水パッキン3は、当該防水パッキン3の面内方向において枠形状の外形形状を有する。防水パッキン3の面内方向は、正面視において見える面の面内方向であり、操作パネル本体1の本体正面1aの面内方向および筐体2の筐体正面2aの面内方向と平行な方向である。すなわち、防水パッキン3は、操作パネル本体1の本体正面1aの面内方向および筐体2の筐体正面2aの面内方向において、枠形状を有する。実施の形態1において、防水パッキン3は、長方形状の枠形状とされている。なお、防水パッキン3の枠形状は、長方形状に限定されない。枠形状は、角部が丸みを有していてもよい。すなわち、枠形状は、本体背面1bにおける本体背面外縁領域の形状および筐体2の開口部外縁領域2cの形状に合わせた枠形状であればどのような形状であってもかまわない。
【0021】
防水パッキン3は、防水パッキン3の面内方向における枠形状の内側の領域である内部領域200と、防水パッキン3の面内方向における枠形状の外側の領域である外部領域201とを隔てる。これにより、枠形状の防水パッキン3は、枠形状の外側の外部領域201から枠形状の内側の内部領域200への液体の浸入を防止する。
【0022】
防水パッキン3は、枠形状を有し、枠形状における高さ方向に延在して対向する辺が複数の分割片に分割されている。
【0023】
防水パッキン3は、当該防水パッキン3の高さ方向において2つ以上の分割片31に分割されている。防水パッキン3の高さ方向は、枠形状の高さ方向と換言できる。
図7では、防水パッキン3は、防水パッキン3の高さ方向において3分割されている。すなわち、防水パッキン3は、第1分割部3a、第2分割部3b、第3分割部3cおよび第4分割部3dの4か所の分割部で分割されて、4つの分割片31である第1分割片311と、第2分割片312と、第3分割片313と、第4分割片314と、に分割されている。
【0024】
第1分割部3aと第2分割部3bとは、防水パッキン3の高さ方向において上下反転した形状を有する。また、第3分割部3cと第4分割部3dとは、防水パッキン3の高さ方向において上下反転した形状を有する。このため、防水パッキン3では、左右の2つの分割片31、すなわち防水パッキン3の幅方向において対向する2つの分割片31である第2分割片312と第4分割片314とが左右対称の形状となる。これにより、例えば右辺の分割片31である第4分割片314を防水パッキン3の高さ方向に延びる中心軸を回転軸として180度回転させると左辺の分割片31である第2分割片312の形状となるため、分割片31の部品の種類を少なくすることが可能となる。
【0025】
分割部は、枠形状において防水パッキン3の高さ方向において延在する対向する2辺に設けられている。枠形状において防水パッキン3の高さ方向において延在する対向する2辺を縦方向辺51とし、枠形状において2つの縦方向辺51を繋ぐ対向する2辺を横方向辺52とする。縦方向辺51は、枠形状において高さ方向に延びる辺である。横方向辺52は、枠形状において幅方向に延びる辺である。したがって、防水パッキン3の枠形状は、枠形状において高さ方向に延びる辺である1つの縦方向辺51において2つの分割部を有する。分割部は、対向する2つの縦方向辺51にのみ設けられ、防水パッキン3の高さ方向において上側に位置する横方向辺52には設けられない。
【0026】
枠形状の防水パッキン3が分割された分割部の分割面を、防水パッキン3の高さ方向において対向する分割片31同士が接合される接合領域32とする。すなわち、防水パッキン3が分割された分割片31における分割面を、接合領域32とする。接合領域32は、防水パッキン3の奥行方向に平行な面、すなわちY軸方向に平行な面である。すなわち、各分割片31における分割面は、防水パッキン3の奥行方向に沿った面、すなわちY軸方向に沿った面である。
【0027】
分割片31において、防水パッキン3の高さ方向において対向する2つの分割片31の接合領域32は、例えば防水パッキン3の高さ方向において平行移動した形状を有する。例えば、
図8においては、防水パッキン3の高さ方向において対向する第1分割片311の接合領域32と、第2分割片312の接合領域32とは、防水パッキン3の高さ方向において平行移動した形状を有する。なお、第1分割片311の接合領域32と第2分割片312の接合領域32とは、防水パッキン3の高さ方向において平行移動した形状である必要はない。すなわち、防水パッキン3の高さ方向において対向する2つの分割片31の接合領域32は、防水パッキン3の高さ方向において平行移動した形状である必要はない。
【0028】
接合領域32は、外側接合領域321と、内側接合領域322と、接続領域33と、を有する。
【0029】
接続領域33は、接合領域32において外側接合領域321と内側接合領域322とが接続される領域であり、接合領域32において高さが切り替わる領域である。また、接続領域33は、接合領域32における最下部あるいは最上部である。接続領域33は、線状あるいは面状を呈する。
図7においては、接続領域33は、防水パッキン3の面内方向において屈曲した屈曲部とされているが、屈曲部の角部が滑らかにされた形状であってもよい。
【0030】
接合領域32において、接続領域33を境にして、防水パッキン3の外側の領域である外部領域201側の領域を、第1接合領域である外側接合領域321とする。外側接合領域321における防水パッキン3の外側の端部を、外側接合辺3211とする。外側接合辺3211は、防水パッキン3の奥行方向に延びる辺、すなわちY軸方向に延びる辺である。
【0031】
接合領域32において、接続領域33を境にして、防水パッキン3の内側の領域である内部領域200側の領域を、第2接合領域である内側接合領域322とする。内側接合領域322における防水パッキン3の内側の端部を、内側接合辺3221とする。内側接合辺3221は、防水パッキン3の奥行方向に延びる辺、すなわちY軸方向に延びる辺である。
【0032】
図7に示す防水パッキン3では、接続領域33は、外側接合領域321における防水パッキン3の内側の端部辺であり、且つ内側接合領域322における防水パッキン3の外側の端部辺である。
【0033】
外側接合領域321と内側接合領域322と接続領域33とを有する接合領域32は、外側接合領域321における外側接合辺3211と、内側接合領域322における内側接合辺3221とが、防水パッキン3の高さ方向において高低差を有する形状とされている。
【0034】
以下、防水パッキン3の分割部における分割形状について説明する。
図7に示すように、防水パッキン3における第1分割部3aと第3分割部3cとは、第1分割形状で分割された第1形状部である。第1分割部3aと第3分割部3cとは、防水パッキン3の幅方向における中心を通るYZ平面に対して対称な形状を有する。
図7に示すように、防水パッキン3における第2分割部3bと第4分割部3dとは、第2分割形状で分割された第2形状部である。第2分割部3bと第4分割部3dとは、防水パッキン3の幅方向における中心を通るYZ平面に対して対称な形状を有する。
【0035】
まず、第1分割部3aを例に、第1分割形状について説明する。第1分割形状は、「防水パッキン3の高さ方向において、接続領域33の位置が、外側接合領域321における防水パッキン3の外側の端部である外側接合辺3211の位置よりも高い」という第1条件を満たす。
【0036】
言い換えると、第1分割形状は、「防水パッキン3の高さ方向における外側接合領域321の傾斜が、防水パッキン3の外側の領域である外部領域201側から、防水パッキン3の内側の領域である内部領域200側に向かって、高くなる」という条件を満たす。すなわち、外側接合領域321は、防水パッキン3の高さ方向において、外部領域201側から内部領域200側に向かって高くなる上向きの傾斜面とされている。
【0037】
第1分割部3aの分割形状が第1条件を満たす場合、防水パッキン3の高さ方向における内側接合領域322の傾斜は、防水パッキン3の外側の領域である外部領域201側から、防水パッキン3の内側の領域である内部領域200側に向かって、低くなる。言い換えると、分割部の分割形状が第1条件を満たす場合、防水パッキン3の高さ方向において、内側接合領域322における内側接合辺3221の位置が、接続領域33の位置よりも低くなる。
【0038】
第1分割形状は、第1条件を満たせば、防水パッキン3の高さ方向において、外側接合領域321における外側接合辺3211と、内側接合領域322における内側接合辺3221との位置関係は問わない。
【0039】
第1分割部3aは、上述した第1分割形状を有するため、重力の影響によって当該第1分割部3aに液体が浸入することができない。液体は、重力の影響で重力方向の上から下に向かってしか流れず、上向きの傾斜面を上がることがない。すなわち、重力の影響により防水パッキン3の外周を伝って上方から第1分割部3aに垂れてきた液体は、重力の影響により上向きの傾斜面である第1分割部3aの外側接合領域321を上方へ上がることができず、第1分割部3aの内部へ浸入することができず、防水パッキン3の外側の領域である外部領域201側から防水パッキン3の内側の領域である内部領域200側に向かって浸入することができない。これにより、第1分割部3aでは、重力の影響による防水パッキン3の外部領域201側から防水パッキン3の内部領域200側への液体の浸入を防止することができる。
【0040】
また、防水パッキン3の幅方向における中心を通るYZ平面に対して第1分割部3aと対称な形状を有する第3分割部3cにおいても、第1分割部3aと同様の効果が得られる。
【0041】
つぎに、第2分割部3bを例に、第2分割形状について説明する。第2分割形状は、「防水パッキン3の高さ方向において、内側接合領域322における防水パッキン3の内側の端部である内側接合辺3221の位置が、外側接合領域321における防水パッキン3の外側の端部である外側接合辺3211の位置よりも高い」という第2条件を満たす。
【0042】
第2分割部3bの分割形状が第2条件を満たす場合、防水パッキン3の高さ方向における内側接合領域322の傾斜は、防水パッキン3の外側の領域である外部領域201側から、防水パッキン3の内側の領域である内部領域200側に向かって、高くなる。また、防水パッキン3の高さ方向における外側接合領域321の傾斜は、防水パッキン3の外側の領域である外部領域201側から、防水パッキン3の内側の領域である内部領域200側に向かって、低くなる。
【0043】
このように、第2分割部3bの第2分割形状では、防水パッキン3の高さ方向における外側接合領域321の傾斜が、防水パッキン3の外側の領域である外部領域201側から、防水パッキン3の内側の領域である内部領域200側に向かって低くなっているため、重力の影響により防水パッキン3の外周を伝って上方から第2分割部3bに垂れてきた液体は、重力の影響により外側接合領域321に浸入できる。
【0044】
しかしながら、第2分割部3bの第2分割形状が第2条件を満たすことにより、外側接合領域321に浸入した液体は、防水パッキン3の内側の領域である内部領域200に浸入することができない。第2分割部3bの第2分割形状では、防水パッキン3の高さ方向において、接続領域33の位置が外側接合領域321の位置よりも低い。このため、内側接合領域322では、防水パッキン3の高さ方向において外側接合領域321と高さが等しいA点までは液体が浸入する。
【0045】
しかしながら、内側接合領域322は、A点から内部領域200側に向かって上方へ向かう傾斜面となっている。このため、液体は、重力の影響によりA点よりも上方へ上がることができない。これにより、第2分割部3bでは、重力の影響による防水パッキン3の外部領域201側から防水パッキン3の内部領域200側への液体の浸入を防止することができる。
【0046】
また、防水パッキン3の幅方向における中心を通るYZ平面に対して第2分割部3bと対称な形状を有する第4分割部3dにおいても、第2分割部3bと同様の効果が得られる。
【0047】
つぎに、上述した第2分割部3bの第2分割形状において、第2条件を満たすように、外側接合領域321の外側接合辺3211の位置と、内側接合領域322の内側接合辺3221の位置とに防水パッキン3の高さ方向において高低差を設ける方法について説明する。
図12は、
図7に示す防水パッキン3における第2分割部3bの第2分割形状の設定方法の一例を説明する図である。
【0048】
図12に示すように、防水パッキン3の面内方向において、接続領域33から外側接合領域321における防水パッキン3の外側の端部である外側接合辺3211に向かう傾斜の、水平方向に対する角度を、角度Bとする。すなわち、防水パッキン3の面内方向における、防水パッキン3の高さ方向に垂直な仮想面41に対する、外側接合領域321の傾斜角度を、角度Bとする。
【0049】
また、
図12に示すように、防水パッキン3の面内方向において、接続領域33から内側接合領域322における防水パッキン3の内側の端部である内側接合辺3221に向かう傾斜の、水平方向に対する角度を、角度Cとする。すなわち、防水パッキン3の面内方向における、防水パッキン3の高さ方向に垂直な仮想面41に対する、内側接合領域322の傾斜角度を、角度Cとする。
【0050】
ここで、角度Bと、角度Cとが、同じ角度に設定される。そして、防水パッキン3の幅方向における接続領域33の位置を、防水パッキン3の幅方向において、防水パッキン3の幅方向における第2分割片312の中心位置αと異なる位置にずらして設定する。ここで、接続領域33の位置は、防水パッキン3の幅方向において、防水パッキン3の幅方向における第2分割片312の中心位置αよりも外部領域201側の位置にずらして設定される。すなわち、接続領域33は、防水パッキン3の幅方向において、第2分割片312の中心位置αよりも防水パッキン3の枠形状の外側に位置する。これにより、第2分割部3bの第2分割形状において、第2条件を満たすように、外側接合領域321の外側接合辺3211の位置と、内側接合領域322の内側接合辺3221の位置とに、防水パッキン3の高さ方向において高低差を設定することができる。
【0051】
すなわち、角度Bと角度Cとを同じ角度に設定し、防水パッキン3の幅方向における接続領域33の位置を、防水パッキン3の幅方向における第2分割片312の中心位置αと異なる位置にずらして設定することにより、第2分割部3bの分割形状を、第2条件を満たす第2分割形状に設定することができる。
【0052】
防水パッキン3の幅方向における第2分割片312の中心位置αは、防水パッキン3の幅方向における、外側接合領域321の外側接合辺3211の位置と、内側接合領域322の内側接合辺3221の位置との、中心位置である。
【0053】
図7に示す枠形状において1つの高さ方向に延びる辺である1つの縦方向辺51が第1分割部3aと
図12に示す第2分割部3bとの2つの分割部を有する場合には、2つの分割部は、防水パッキン3の高さ方向において上下反転した形状を有する。そして、第2分割部3bは、外側接合領域321と、内側接合領域322との各々が1つの傾斜面であり、接続領域33は、防水パッキン3の幅方向において、第2分割片312の中心位置αよりも防水パッキン3の枠形状の外側に位置し、防水パッキン3の面内方向において、防水パッキン3の高さ方向に垂直な仮想面41に対する外側接合領域321の傾斜の角度と、仮想面41に対する内側接合領域322の傾斜の角度とが同じ角度である分割形状とされている。
【0054】
つぎに、上述した第2分割部3bの第2分割形状において、第2条件を満たすように、外側接合領域321の外側接合辺3211の位置と、内側接合領域322の内側接合辺3221の位置とに防水パッキン3の高さ方向において高低差を設ける方法の他の例について説明する。
図13は、
図7に示す防水パッキン3における第2分割部3bの第2分割形状の設定方法の他の例を説明する図である。
【0055】
図13に示すように、防水パッキン3の面内方向において、接続領域33から内側接合領域322における防水パッキン3の内側の端部である内側接合辺3221に向かう傾斜の、水平方向に対する角度を、角度Dとする。すなわち、防水パッキン3の面内方向における、防水パッキン3の高さ方向に垂直な仮想面41に対する、内側接合領域322の傾斜角度を、角度Dとする。
【0056】
また、
図13に示すように、防水パッキン3の面内方向において、接続領域33から外側接合領域321における防水パッキン3の外側の端部である外側接合辺3211に向かう傾斜の、水平方向に対する角度を、角度Eとする。すなわち、防水パッキン3の面内方向における、防水パッキン3の高さ方向に垂直な仮想面41に対する、外側接合領域321の傾斜角度を、角度Eとする。
【0057】
ここで、角度Dと角度Eとが、角度Dが角度Eよりも大きくなるように、すなわち角度E<角度Dとして、異なる角度に設定される。この場合、防水パッキン3の高さ方向における、内側接合領域322における防水パッキン3の内側の端部である内側接合辺3221の位置と、外側接合領域321における防水パッキン3の外側の端部である外側接合辺3211の位置とは、角度Dおよび角度Eの大きさと、防水パッキン3の幅方向における接続領域33の位置とによって変化する。このため、防水パッキン3の高さ方向において、内側接合辺3221の位置が外側接合辺3211の位置よりも高くなるように、防水パッキン3の幅方向における接続領域33の位置が調整される。これにより、第2分割部3bの第2分割形状において、第2条件を満たすように、外側接合領域321の外側接合辺3211の位置と、内側接合領域322の内側接合辺3221の位置とに、防水パッキン3の高さ方向において高低差を設定することができる。
【0058】
図13においては、接続領域33が防水パッキン3の幅方向における第2分割片312の中心位置αにある場合について示しているが、防水パッキン3の幅方向における接続領域33の位置は、これに限定されない。防水パッキン3の幅方向における接続領域33の位置は、角度E<角度Dの条件を満たす角度Dと角度Eとの組み合わせに対して、内側接合辺3221の位置が外側接合辺3211の位置よりも高くなるように設定されればよい。これにより、第2分割部3bの第2分割形状が第2条件を満たすように外側接合領域321の外側接合辺3211の位置と、内側接合領域322の内側接合辺3221の位置とに、防水パッキン3の高さ方向において高低差を設定することができる。
【0059】
図7に示す枠形状において1つの高さ方向に延びる辺である1つの縦方向辺51が第1分割部3aと
図13に示す第2分割部3bとの2つの分割部を有する場合には、2つの分割部は、防水パッキン3の高さ方向において上下反転した形状を有する。そして、第2分割部3bは、外側接合領域321と、内側接合領域322との各々が1つの傾斜面であり、防水パッキン3の面内方向において、防水パッキン3の高さ方向に垂直な仮想面41に対する内側接合領域322の傾斜の角度が、仮想面41に対する外側接合領域321の傾斜の角度よりも大きい分割形状とされて、防水パッキン3の高さ方向において内側接合辺3221の位置が外側接合辺3211の位置よりも高くされている。
【0060】
つぎに、防水パッキンの第3分割形状および第4分割形状について説明する。
図14は、実施の形態1にかかる操作パネル110が備える防水パッキン35を正面側から見た斜視図である。枠形状を有する防水パッキン35は、上述した防水パッキン3の変形例であり、第1分割部3a、第2分割部3b、第3分割部3cおよび第4分割部3dの代わりに、第1分割部3e、第2分割部3f、第3分割部3gおよび第4分割部3hを有することが、上述した防水パッキン3と異なる。なお、
図14から
図16においては、理解の容易のため、防水パッキン3と同様の構成については防水パッキン3と同様の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0061】
防水パッキン35は、第1分割部3e、第2分割部3f、第3分割部3gおよび第4分割部3hの4か所の分割部で分割されて、4つの分割片31である第1分割片311と、第2分割片312と、第3分割片313と、第4分割片314と、に分割されている。
【0062】
第1分割部3eと第2分割部3fとは、防水パッキン35の高さ方向において上下反転した形状を有する。また、第3分割部3gと第4分割部3hとは、防水パッキン3の高さ方向において上下反転した形状を有する。このため、防水パッキン35では、左右の2つの分割片31、すなわち防水パッキン35の幅方向において対向する2つの分割片31である第2分割片312と第4分割片314とが左右対称の形状となる。これにより、例えば右辺の分割片31である第4分割片314を防水パッキン35の高さ方向に延びる中心軸を回転軸として180度回転させると左辺の分割片31である第2分割片312の形状となるため、分割片31の部品の種類を少なくすることが可能となる。
【0063】
図14に示すように、防水パッキン35における第1分割部3eと第3分割部3gとは、第3分割形状で分割された第3形状部である。第1分割部3eと第3分割部3gとは、防水パッキン35の幅方向における中心を通るYZ平面に対して対称な形状を有する。
図14に示すように、防水パッキン35における第2分割部3fと第4分割部3hとは、第4分割形状で分割された第4形状部である。第2分割部3fと第4分割部3hとは、防水パッキン35の幅方向における中心を通るYZ平面に対して対称な形状を有する。
【0064】
まず、第1分割部3eを例に、第3分割形状について説明する。第3分割形状は、第1分割形状の変形例である。
図15は、
図14に示す防水パッキン35における第1分割部3eを拡大して示す拡大正面図である。
図15において、距離Fは、防水パッキン35の高さ方向における、外側接合領域321における防水パッキン35の外側の端部である外側接合辺3211の位置と、接続領域33の位置との高低差である。
【0065】
図15に示すように、第1分割部3eの第3分割形状においては、第2分割片312の接合領域32が、防水パッキン35の面内方向において矩形形状の凸形状とされている。また、
図15に示すように、第1分割部3eの第3分割形状においては、第1分割片311の接合領域32が、防水パッキン35の面内方向において矩形形状の凹形状とされている。そして、第2分割片312の接合領域32の凸形状と第1分割片311の接合領域32の凹形状とは、防水パッキン
35の高さ方向において平行移動した形状とされている。なお、第2分割片312の接合領域32の凸形状と第1分割片311の接合領域32の凹形状とは、防水パッキン
35の高さ方向において平行移動した形状である必要はない。すなわち、防水パッキン
35の高さ方向において対向する2つの分割片31の接合領域32は、防水パッキン
35の高さ方向において平行移動した形状である必要はない。
【0066】
図15に示すように、第1分割部3eの第3分割形状においては、第2分割片312における外側接合領域321は、防水パッキン35の内側の領域である内部領域200側が立ち上がった、直角のL形状とされている。また、第2分割片312における内側接合領域322は、防水パッキン35の外側の領域である外部領域201側が立ち上がった、直角のL形状とされている。
【0067】
また、
図15に示すように、第1分割部3eの第3分割形状においては、第1分割片311における外側接合領域321は、防水パッキン35の内側の領域である内部領域200側が立ち上がった、直角のL形状とされている。また、第1分割片311における内側接合領域322は、防水パッキン35の外側の領域である外部領域201側が立ち上がった、直角のL形状とされている。
【0068】
また、第1分割片311の接続領域33および第2分割片312の接続領域33は、防水パッキン35の高さ方向に垂直な面に平行な面とされている。
【0069】
したがって、第1分割部3eの第3分割形状は、防水パッキン35の高さ方向において下側に位置する第2分割片312の分割面である接合領域32が矩形形状の凸形状を有する凹凸形状を有し、防水パッキン35の高さ方向において上側に位置する第1分割片311の分割面である接合領域32が矩形形状の凹形状を有する凹凸形状を有し、凸形状と凹形状とが、防水パッキン35の高さ方向において平行移動した形状とされている。第1分割部3eの第3分割形状では、第2分割片312と第1分割片311とを密着させる際に、第1分割片311の接合領域32の凹形状に第2分割片312の接合領域32の凸形状が嵌め込まれる。
【0070】
そして、第1分割部3eの第3分割形状は、「距離F>0」の条件を満たす。すなわち、第3分割形状は、「防水パッキン35の高さ方向において、接続領域33の位置が、外側接合領域321における防水パッキン35の外側の端部である外側接合辺3211の位置よりも、高い」という第3条件を満たす。第1分割部3eの第3分割形状は、距離F>0とされることで、防水パッキン35の高さ方向において接続領域33の位置が外側接合辺3211の位置よりも高くなるため、重力の影響により第1分割部3eへの液体の浸入を防ぐことができる。
【0071】
例えば、重力の影響により防水パッキン35の外周を伝って上方から第1分割部3eに垂れてきた液体が外側接合領域321に浸入したとしても、液体は重力の影響により外側接合領域321から接続領域33へ上がることができず、外側接合領域321よりも内部領域200側に浸入することができない。これにより、第1分割部3eでは、重力の影響による防水パッキン35の内部領域200への液体の浸入を防止することができる。
【0072】
また、防水パッキン35の幅方向における中心を通るYZ平面に対して第1分割部3eと対称な形状を有する第3分割部3gにおいても、第1分割部3eと同様の効果が得られる。
【0073】
つぎに、第2分割部3fを例に、第4分割形状について説明する。第4分割形状は、第2分割形状の変形例である。
図16は、
図14に示す防水パッキン35における第2分割部3fを拡大して示す拡大正面図である。
図16において、距離Gは、防水パッキン35の高さ方向における、外側接合領域321における防水パッキン35の外側の端部である外側接合辺3211の位置と、接続領域33の位置との高低差である。距離Hは、防水パッキン35の高さ方向における、内側接合領域322における防水パッキン35の内側の端部である内側接合辺3221の位置と、接続領域33の位置との高低差である。
【0074】
図16に示すように、第2分割部3fの第4分割形状においては、第3分割片313の分割面である接合領域32が、防水パッキン35の面内方向において矩形形状の凹形状とされている。また、
図16に示すように、第2分割部3fの第4分割形状においては、第2分割片312の分割面である接合領域32が、防水パッキン35の面内方向において矩形形状の凸形状とされている。そして、第3分割片313の接続領域33の
凹形状と第2分割片312の接続領域33の
凸形状とは、防水パッキン35の高さ方向において平行移動した形状とされている。
【0075】
図16に示すように、第2分割部3fの第4分割形状においては、第3分割片313における外側接合領域321は、防水パッキン35の内側の領域である内部領域200側が立ち下がった、直角のL形状とされている。また、第3分割片313における内側接合領域322は、防水パッキン35の外側の領域である外部領域201側が立ち下がった、直角のL形状とされている。
【0076】
また、
図16に示すように、第2分割部3fの第4分割形状においては、第2分割片312における外側接合領域321は、防水パッキン35の内側の領域である内部領域200側が立ち下がった、直角のL形状とされている。また、第2分割片312における内側接合領域322は、防水パッキン35の外側の領域である外部領域201側が立ち下がった、直角のL形状とされている。
【0077】
また、第2分割片312の接続領域33および第3分割片313の接続領域33は、防水パッキン35の高さ方向に垂直な面に平行な面とされている。
【0078】
したがって、第2分割部3fの第4分割形状は、防水パッキン35の高さ方向において下側に位置する第3分割片313の分割面である接合領域32が矩形形状の凹形状を有する凹凸形状を有し、防水パッキン35の高さ方向において上側に位置する第2分割片312の分割面である接合領域32が矩形形状の凸形状を有する凹凸形状を有し、凸形状と凹形状とが、防水パッキン35の高さ方向において平行移動した形状とされている。第2分割部3fの第4分割形状では、第3分割片313と第2分割片312とを密着させる際に、第3分割片313の接合領域32の凹形状に第2分割片312の接合領域32の凸形状が嵌め込まれる。
【0079】
そして、第2分割部3fの第4分割形状は、「H>G」の条件を満たす。すなわち、第4分割形状は、「防水パッキン35の高さ方向において、内側接合領域322における防水パッキン35の内側の端部である内側接合辺3221の位置と接続領域33の位置との高低差が、外側接合領域321における防水パッキン35の外側の端部である外側接合辺3211の位置と接続領域33の位置との高低差よりも、大きい」という第4条件を満たす。第2分割部3fの第4分割形状は、距離H>距離Gとされることで、防水パッキン35の高さ方向において内側接合辺3221の位置が外側接合領域321の位置よりも高くなるため、重力の影響により外側接合領域321より内部領域200側への液体の浸入を防止することができる。
【0080】
例えば、重力の影響により防水パッキン35の外周を伝って上方から第2分割部3fに垂れてきた液体が外側接合領域321から接続領域33に浸入したとしても、液体は重力の影響により、防水パッキン35の高さ方向において外側接合辺3211と高さが等しいJ点から上の内側接合領域322へ上がることができず、J点よりも内部領域200側に浸入することができない。これにより、第2分割部3fでは、重力の影響による防水パッキン35の内部領域200への液体の浸入を防止することができる。
【0081】
そして、
図15および
図16に示す分割形状は、防水パッキン35の高さ方向において対向する2つの分割片31において、一方の分割片31の接合領域32が矩形形状の凸形状を有する凹凸形状を有し、他方の分割片31の接合領域32が、凸形状が嵌め込まれる矩形形状の凹形状を有する凹凸形状とされている。
【0082】
また、防水パッキン35の幅方向における中心を通るYZ平面に対して第2分割部3fと対称な形状を有する第4分割部3hにおいても、第2分割部3fと同様の効果が得られる。
【0083】
また、
図15および
図16に示す分割部の形状では、防水パッキン35の幅方向において接合領域32の凹形状の幅が、接合領域32の凸形状の幅よりも広く、凹形状の側壁と凸形状の側壁との間に隙間があってもよい。
【0084】
図17は、実施の形態1にかかる操作パネル110が備える防水パッキン3の変形例を示す斜視図である。
図17に示す変形例の防水パッキン36は、
図7に示した防水パッキン3における第1分割部3aおよび第4分割部3dの2か所の分割部で分割されて、2つに分割されている。防水パッキン36においても、上述した防水パッキン3と同様の効果が得られる。すなわち、分割部は、枠形状における対向する2つの縦方向辺51のそれぞれにおいて、少なくとも1つずつ設けられればよい。また、縦方向辺51における分割部の位置は限定されない。
【0085】
防水パッキン3は、分割片31を大きな素材シートから切り出すことにより作成することができる。この場合、防水パッキン3全体の外形を素材シートから切り出すのではなく、分割片31ごとに素材シートから切り出される。このため、防水パッキン3の面内方向における分割片31の外形形状は、防水パッキン3の面内方向における分割片31の短手方向における出っ張りが少ないほうが好ましい。これにより、素材シートから分割片31を切り出す際のロス材を低減することができ、分割片31の製造時の歩留まりを向上させることができ、防水パッキン3の製造時の歩留まりを向上させることができる。
【0086】
したがって、防水パッキン3の面内方向における分割片31の外形形状は、帯状の形状であることが好ましく、分割片31の短手方向における出っ張りが少ないことがより好ましい。一方、防水パッキン3の面内方向における分割片31の外形形状がL形状である場合には、分割片31の製造時の歩留まりが低くなり、防水パッキン3の製造時の歩留まりが低くなる。
【0087】
図18は、実施の形態1にかかる操作パネル110が備える防水パッキン3の変形例を示す正面図である。なお、
図18においては、理解の容易のため、防水パッキン3と同様の構成については防水パッキン3と同様の符号を付して詳細な説明を省略する。
図18に示す変形例の防水パッキン37は、分割部が、防水パッキン37の面内方向における第1分割片311の短手方向の範囲に収まっている。これにより、第1分割片311を素材シートから切り出す際のロス材をより低減することができる。
【0088】
なお、防水パッキン3は、基本的には防水パッキン3の分割片31同士が防水パッキン3の高さ方向において密着した状態で使用されるが、当該防水パッキン3の効果が得られる範囲で防水パッキン3の分割片31同士が防水パッキン3の高さ方向において離れた状態で使用されてもよい。この場合も、上述した防水パッキン3の効果を得ることができる。
【0089】
防水パッキン3の高さ方向が鉛直方向に平行な状態あるいは防水パッキン3の高さ方向が鉛直方向から90度未満の範囲で傾いた状態で使用されることにより、操作パネル110は、上述した防水パッキン3の効果を得ることができる。
【0090】
上述した実施の形態1によれば、枠形状を有し、枠形状において高さ方向に延びる辺が分割部により複数の分割片に分割された防水パッキンであって、防水パッキンの奥行方向に沿った面であって高さ方向において対向する2つの分割片の分割面である接合領域のうち、高さ方向において下側に位置する分割片における接合領域が、高さ方向において接合領域の高さが切り替わる領域である接続領域と、接続領域を境にして枠形状の外側の領域である外側接合領域と、接続領域を境にして枠形状の内側の領域である内側接合領域と、を有し、高さ方向において接続領域の位置が外側接合領域における防水パッキンの外側の端部である外側接合辺の位置よりも高い、または、高さ方向において内側接合領域における枠形状の内側の端部である内側接合辺の位置が外側接合辺の位置よりも高い防水パッキンが、実現されている。
【0091】
上述したように、実施の形態1にかかる防水パッキン3によれば、防水パッキン3の高さ方向において接続領域33の位置が外側接合領域321における防水パッキン3の外側の端部である外側接合辺3211の位置よりも高い、または、防水パッキン3の高さ方向において内側接合領域322における防水パッキン3の内側の端部である内側接合辺3221の位置が外側接合辺3211の位置よりも高い、という条件を満たすため、重力の影響による防水パッキン3の外部領域201側から防水パッキン3の内部領域200側への液体の浸入を防止することができる。
【0092】
また、実施の形態1にかかる防水パッキン3によれば、防水パッキン3の高さ方向において対向する分割片31同士に一定の隙間が生じても液体の浸入を防ぐことができる。
【0093】
また、実施の形態1にかかる防水パッキン3によれば、枠状の形状を複数の分割片31に分割することで、防水パッキン3全体の外形を素材シートから切り出すのではなく、分割片31ごとに素材シートから切り出すことができる。これにより、素材シートから分割片31を切り出す際のロス材を低減することができ、分割片31の製造時の歩留まりを向上させることができ、防水パッキン3の製造時の歩留まりを向上させることができる。また、分割片31の両端の形状を反転形状とすることで部品種の削減が可能となる。
【0094】
以上の実施の形態に示した構成は、一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
【符号の説明】
【0095】
1 操作パネル本体、1a 本体正面、1b 本体背面、1c 開口部、2 筐体、2a 筐体正面、2b 開口部、2c 開口部外縁領域、3,35,36,37 防水パッキン、3a,3e 第1分割部、3b,3f 第2分割部、3c,3g 第3分割部、3d,3h 第4分割部、31 分割片、32 接合領域、33 接続領域、41 仮想面、51 縦方向辺、52 横方向辺、100 工作機械、110 操作パネル、200 内部領域、201 外部領域、311 第1分割片、312 第2分割片、313 第3分割片、314 第4分割片、321 外側接合領域、322 内側接合領域、3211 外側接合辺、3221 内側接合辺、α 中心位置。
【要約】
防水パッキン(3)は、枠形状を有し、枠形状において高さ方向に延びる辺が分割部により複数の分割片(31)に分割された防水パッキン(3)である。防水パッキン(3)は、防水パッキン(3)の奥行方向に沿った面であって高さ方向において対向する2つの分割片(31)の分割面である接合領域のうち、高さ方向において下側に位置する分割片(31)における接合領域が、高さ方向において接合領域の高さが切り替わる領域である接続領域と、接続領域を境にして枠形状の外側の領域である外側接合領域と、接続領域を境にして枠形状の内側の領域である内側接合領域と、を有する。高さ方向において接続領域の位置が外側接合領域における防水パッキン(3)の外側の端部である外側接合辺の位置よりも高い、または、高さ方向において内側接合領域における防水パッキン(3)の内側の端部である内側接合辺の位置が外側接合辺の位置よりも高い。