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7657391光通信システム、制御回路、記憶媒体および光通信方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-27
(45)【発行日】2025-04-04
(54)【発明の名称】光通信システム、制御回路、記憶媒体および光通信方法
(51)【国際特許分類】
   H04B 10/03 20130101AFI20250328BHJP
   H04J 14/08 20060101ALN20250328BHJP
【FI】
H04B10/03
H04J14/08
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2024573676
(86)(22)【出願日】2023-04-12
(86)【国際出願番号】 JP2023014908
(87)【国際公開番号】W WO2024214223
(87)【国際公開日】2024-10-17
【審査請求日】2024-12-13
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118762
【弁理士】
【氏名又は名称】高村 順
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 彩乃
(72)【発明者】
【氏名】名倉 健一
【審査官】後澤 瑞征
(56)【参考文献】
【文献】特許第7254250(JP,B1)
【文献】特開2015-228541(JP,A)
【文献】特開平5-183469(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 10/03
H04J 14/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光送信器を備える送信装置と複数の光受信器を備える受信装置との間で光通信を行う光通信システムであって、
複数の前記光送信器から送信されるパケット信号の送信タイミングを制御し、複数の前記光送信器から送信され冗長化された前記パケット信号ごとの受信予定時刻を複数の前記光受信器ごとに算出し、前記受信装置に提供する制御部と、
前記受信装置において、前記受信予定時刻で示される受信予定の前記パケット信号を示す受信データ情報を提供する送信情報保持部と、
前記受信データ情報に基づいて、複数の前記光受信器で受信された前記パケット信号が格納される複数のメモリのうち前記受信データ情報で示される前記パケット信号が格納される前記メモリを示すメモリ先情報、および前記受信データ情報で示される前記パケット信号の出力先を示す出力先情報を出力する選択制御管理部と、
前記メモリ先情報に基づいて複数の前記メモリから参照先の2つのメモリを選択し、2つの前記メモリのうち1つの前記メモリから前記パケット信号を取得し、前記出力先情報で示される前記出力先に出力するパケット選択部と、
を備えることを特徴とする光通信システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記パケット信号の前記送信タイミングと、前記パケット信号が冗長化された現用系のパケット信号の経路の伝送距離および予備系のパケット信号の経路の伝送距離と、に基づいて前記受信予定時刻を算出する、
ことを特徴とする請求項1に記載の光通信システム。
【請求項3】
前記制御部は、前記受信予定時刻の情報を、前記送信情報保持部に提供し、
前記送信情報保持部は、前記制御部から提供された前記受信予定時刻の情報を保持および監視し、前記パケット信号が規定されたタイムスロットの単位で送信される場合において、次のタイムスロットで受信する前記パケット信号についての前記受信データ情報を前記選択制御管理部に提供する、
ことを特徴とする請求項1に記載の光通信システム。
【請求項4】
前記選択制御管理部は、前記パケット信号ごとに、使用する前記パケット選択部の情報、2つの前記メモリを示す前記メモリ先情報、および前記パケット信号の前記出力先を示す前記出力先情報を管理し、前記送信情報保持部から提供された前記受信データ情報に基づいて、使用する前記パケット選択部に対して、前記メモリ先情報および前記出力先情報を提供する、
ことを特徴とする請求項1に記載の光通信システム。
【請求項5】
前記パケット選択部は、
前記メモリ先情報に基づいて複数の前記メモリから参照先の2つの前記メモリを選択し、2つの前記メモリに格納されている前記パケット信号を参照し、一方の前記メモリから前記パケット信号を取得し、他方の前記メモリの前記パケット信号を破棄することを決定する比較部、
を備えることを特徴とする請求項1から4のいずれか1つに記載の光通信システム。
【請求項6】
前記パケット選択部は、
前記比較部の決定に従って、一方の前記メモリから前記パケット信号を取得し、他方の前記メモリから前記パケット信号を取得しないように制御し、一方の前記メモリから取得した前記パケット信号を前記出力先に出力する経路選択部、
を備えることを特徴とする請求項5に記載の光通信システム。
【請求項7】
前記比較部の決定に従って、一方の前記メモリから前記パケット信号を読出して前記経路選択部に出力する読出し制御部、
を備えることを特徴とする請求項6に記載の光通信システム。
【請求項8】
複数の光送信器を備える送信装置と複数の光受信器を備える受信装置との間で光通信を行う光通信システムを制御するための制御回路であって、
複数の前記光送信器から送信されるパケット信号の送信タイミングを制御し、複数の前記光送信器から送信され冗長化された前記パケット信号ごとの受信予定時刻を複数の前記光受信器ごとに算出し、前記受信装置に提供、
前記受信装置において、前記受信予定時刻で示される受信予定の前記パケット信号を示す受信データ情報を提供、
前記受信データ情報に基づいて、複数の前記光受信器で受信された前記パケット信号が格納される複数のメモリのうち前記受信データ情報で示される前記パケット信号が格納される前記メモリを示すメモリ先情報、および前記受信データ情報で示される前記パケット信号の出力先を示す出力先情報を出力、
前記メモリ先情報に基づいて複数の前記メモリから参照先の2つのメモリを選択し、2つの前記メモリのうち1つの前記メモリから前記パケット信号を取得し、前記出力先情報で示される前記出力先に出力、
を前記光通信システムに実施させることを特徴とする制御回路。
【請求項9】
複数の光送信器を備える送信装置と複数の光受信器を備える受信装置との間で光通信を行う光通信システムを制御するためのプログラムが記憶された記憶媒体であって、
前記プログラムは、
複数の前記光送信器から送信されるパケット信号の送信タイミングを制御し、複数の前記光送信器から送信され冗長化された前記パケット信号ごとの受信予定時刻を複数の前記光受信器ごとに算出し、前記受信装置に提供、
前記受信装置において、前記受信予定時刻で示される受信予定の前記パケット信号を示す受信データ情報を提供、
前記受信データ情報に基づいて、複数の前記光受信器で受信された前記パケット信号が格納される複数のメモリのうち前記受信データ情報で示される前記パケット信号が格納される前記メモリを示すメモリ先情報、および前記受信データ情報で示される前記パケット信号の出力先を示す出力先情報を出力、
前記メモリ先情報に基づいて複数の前記メモリから参照先の2つのメモリを選択し、2つの前記メモリのうち1つの前記メモリから前記パケット信号を取得し、前記出力先情報で示される前記出力先に出力、
を前記光通信システムに実施させることを特徴とする記憶媒体。
【請求項10】
複数の光送信器を備える送信装置と複数の光受信器を備える受信装置との間で光通信を行う光通信システムの光通信方法であって、
制御部が、複数の前記光送信器から送信されるパケット信号の送信タイミングを制御し、複数の前記光送信器から送信され冗長化された前記パケット信号ごとの受信予定時刻を複数の前記光受信器ごとに算出し、前記受信装置に提供する第1のステップと、
送信情報保持部が、前記受信装置において、前記受信予定時刻で示される受信予定の前記パケット信号を示す受信データ情報を提供する第2のステップと、
選択制御管理部が、前記受信データ情報に基づいて、複数の前記光受信器で受信された前記パケット信号が格納される複数のメモリのうち前記受信データ情報で示される前記パケット信号が格納される前記メモリを示すメモリ先情報、および前記受信データ情報で示される前記パケット信号の出力先を示す出力先情報を出力する第3のステップと、
パケット選択部が、前記メモリ先情報に基づいて複数の前記メモリから参照先の2つのメモリを選択し、2つの前記メモリのうち1つの前記メモリから前記パケット信号を取得し、前記出力先情報で示される前記出力先に出力する第4のステップと、
を含むことを特徴とする光通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光通信を行う光通信システム、制御回路、記憶媒体および光通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パケットを転送することで通信を行うネットワークでは、障害発生時のパケット損失を防ぐため、無瞬断機能が検討されている。例えば、特許文献1には、送信部が、同一データのパケットを0系および1系の2経路で送信し、受信部が、0系および1系の2経路で受信したパケットを比較し、一方のパケットを選択し、他方のパケットを破棄することで、冗長化されたパケット通信を行う技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-178665号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
TDM(Time Division Multiplexing)を用いて冗長化を複数段にわたって実現する光通信システムに上記従来の技術の無瞬断機能を適用した場合、受信装置では、通信対象の送信器ごとにパケット選択部が必要になる。そのため、受信装置は、システムの拡張などで通信対象の送信器の数が増えるほど、送信器の数に応じて回路規模も大きくなる、という問題があった。
【0005】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、システム拡張時の回路規模の増大を抑制可能な光通信システムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示は、複数の光送信器を備える送信装置と複数の光受信器を備える受信装置との間で光通信を行う光通信システムである。光通信システムは、複数の光送信器から送信されるパケット信号の送信タイミングを制御し、複数の光送信器から送信され冗長化されたパケット信号ごとの受信予定時刻を複数の光受信器ごとに算出し、受信装置に提供する制御部と、受信装置において、受信予定時刻で示される受信予定のパケット信号を示す受信データ情報を提供する送信情報保持部と、受信データ情報に基づいて、複数の光受信器で受信されたパケット信号が格納される複数のメモリのうち受信データ情報で示されるパケット信号が格納されるメモリを示すメモリ先情報、および受信データ情報で示されるパケット信号の出力先を示す出力先情報を出力する選択制御管理部と、メモリ先情報に基づいて複数のメモリから参照先の2つのメモリを選択し、2つのメモリのうち1つのメモリからパケット信号を取得し、出力先情報で示される出力先に出力するパケット選択部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係る光通信システムは、システム拡張時の回路規模の増大を抑制可能である、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1に係る光通信システムの構成例を示す図
図2】実施の形態1に係る光通信システムにおける光送信器がパケット信号を送信する送信タイミング、および光受信器がパケット信号を受信する受信タイミングを示す図
図3】実施の形態1に係る光通信システムの制御部がパケット信号ごとの受信予定時刻を光受信器ごとに算出して管理するときに使用する管理テーブルの例を示す図
図4】実施の形態1に係る光通信システムの受信装置においてパケット信号に応じて使用するパケット選択部、参照するメモリ、およびパケット選択部からの出力先を管理するときに使用する管理テーブルの例を示す図
図5】実施の形態1に係る光通信システムの動作を示すフローチャート
図6】実施の形態1に係る光通信システムを実現する処理回路をプロセッサおよびメモリで構成する場合の処理回路の構成例を示す図
図7】実施の形態1に係る光通信システムを実現する処理回路を専用のハードウェアで構成する場合の処理回路の例を示す図
図8】実施の形態2に係る光通信システムの構成例を示す第1の図
図9】実施の形態2に係る光通信システムにおける光送信器がパケット信号を送信する送信タイミング、および光受信器がパケット信号を受信する受信タイミングを示す第1の図
図10】実施の形態2に係る光通信システムの構成例を示す第2の図
図11】実施の形態2に係る光通信システムにおける光送信器がパケット信号を送信する送信タイミング、および光受信器がパケット信号を受信する受信タイミングを示す第2の図
図12】実施の形態2に係る光通信システムの制御部がパケット信号ごとの受信予定時刻を光受信器ごとに算出して管理するときに使用する管理テーブルの例を示す図
図13】実施の形態2に係る光通信システムの受信装置においてパケット信号に応じて使用するパケット選択部、参照するメモリ、およびパケット選択部からの出力先を管理するときに使用する管理テーブルの例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本開示の実施の形態に係る光通信システム、制御回路、記憶媒体および光通信方法を図面に基づいて詳細に説明する。
【0010】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る光通信システム40の構成例を示す図である。光通信システム40は、制御部10と、送信装置20と、受信装置30と、第1光カプラ3-1~3-Mと、第2光カプラ4-1~4-M+1と、を備える。光通信システム40は、複数段にわたって直列接続が可能であり、図1の例では次段の光通信システム40の送信装置20も示しているが、各段の光通信システム40の動作は同様のため、以降では、図1に示す範囲で説明を行う。送信装置20は、光送信器1-1~1-Mを備える。受信装置30は、光受信器2-1~2-M+1と、メモリ5-1~5-M+1と、パケット選択部6-1と、読出し制御部7-1と、送信情報保持部8と、選択制御管理部9と、を備える。パケット選択部6-1は、比較部11-1と、経路選択部12-1と、を備える。
【0011】
以降の説明において、光送信器1-1~1-Mを区別しない場合は光送信器1と称し、光受信器2-1~2-M+1を区別しない場合は光受信器2と称し、第1光カプラ3-1~3-Mを区別しない場合は第1光カプラ3と称し、第2光カプラ4-1~4-M+1を区別しない場合は第2光カプラ4と称し、メモリ5-1~5-M+1を区別しない場合はメモリ5と称することがある。なお、実施の形態1では、Mは2以上の正の整数とする。光通信システム40は、複数の光送信器1を備える送信装置20と複数の光受信器2を備える受信装置30との間で光通信を行う通信システムである。
【0012】
第1光カプラ3-1~3-Mは、それぞれ、伝送路13-1~13-Mを介して、光送信器1-1~1-Mに対応して設けられている。第1光カプラ3は、対応する光送信器1から送信される光信号を現用系および予備系の2経路に分岐し、分岐後の光信号を異なる2つの第2光カプラ4に出力する。第1光カプラ3-1~3-Mは、例えば、パワースプリッタである。
【0013】
第2光カプラ4-1~4-M+1は、それぞれ、伝送路15-1~15-M+1を介して、光受信器2-1~2-M+1に対応して設けられている。第2光カプラ4は、異なる2つの第1光カプラ3から出力された2つの光信号を合流させて、対応する光受信器2に出力する。第1光カプラ3-1~3-Mと第2光カプラ4-1~4-M+1とは、伝送路14-1a~14-Mbのうちの1つまたは2つによって接続されている。なお、第2光カプラ4-1および第2光カプラ4-M+1については、光通信システム40内での配置の関係から、1つの第1光カプラ3からの光信号のみを取得する。そのため、光通信システム40は、第2光カプラ4-1および第2光カプラ4-M+1については備えない構成にすることも可能である。第2光カプラ4-1~4-M+1は、例えば、パワースプリッタである。
【0014】
光送信器1-1~1-Mは、送信要求のあるデータ信号を取得する。光送信器1-1~1-Mは、送信要求のあるデータ信号について、図示しないM個の信号生成部から取得してもよいし、前段の光通信システム40の受信装置30から取得してもよい。また、光送信器1-1~1-Mは、制御部10から、制御部10で生成された基準クロックおよび送信タイミング信号の2種類の制御信号を取得する。光送信器1-1~1-Mは、取得したデータ信号を一度バッファし、送信タイミング信号に合わせてパケット信号として出力する。本実施の形態では、制御部10は、ある光送信器1からパケット信号が送信されている間は他の光送信器1からパケット信号が送信されないように、送信タイミング信号を制御する。また、光送信器1-1~1-Mから送信されるパケット信号のビットレートは、制御部10で生成された基準クロックによって決定される。
【0015】
例えば、光送信器1-1~1-Mの全てにおいて同サイズのパケット信号送信要求があった場合、図2に示すように、光送信器1-1はタイムスロット1の区間にパケット信号を送信し、他の光送信器1-2~1-Mはタイムスロット1の区間にパケット信号を送信しない。図2は、実施の形態1に係る光通信システム40における光送信器1-1~1-Mがパケット信号を送信する送信タイミング、および光受信器2-1~2-M+1がパケット信号を受信する受信タイミングを示す図である。図2は、光送信器1-1~1-Mと光受信器2-1~2-M+1との間で送受信されるパケット信号とタイムスロットとの関係を示している。なお、図2では、パケット信号をデータ1からデータMで表記している。また、図2では、横軸の時間でタイムスロットを表している。以降についても同様とする。制御部10は、M個の信号生成部から同時に信号送信要求が無い場合、ある時間区間における合計タイムスロット数を送信要求数に応じて減らすような制御を行ってもよい。また、各タイムスロットの幅は、同一であってもよいし、同一でなくてもよい。
【0016】
また、制御部10は、各光送信器1-1~1-Mに与えた送信タイミング信号および送信装置20と受信装置30との間の伝送路情報に基づいて、パケット信号ごとの受信予定時刻を光受信器2ごとに算出して管理する。制御部10は、例えば、図3に示すような管理テーブルを用いて管理する。図3は、実施の形態1に係る光通信システム40の制御部10がパケット信号ごとの受信予定時刻を光受信器2ごとに算出して管理するときに使用する管理テーブルの例を示す図である。図3は、データごと、すなわちパケット信号ごとに、各光受信器2での受信予定時刻を表している。
【0017】
例えば、図1に示す光通信システム40の構成において、光送信器1-1から送信されたパケット信号は、伝送路13-1を通過後、第1光カプラ3-1によって現用系および予備系の2経路に分岐される。現用系のパケット信号は、伝送路14-1a、第2光カプラ4-1、および伝送路15-1を通過して光受信器2-1で受信される。予備系のパケット信号は、伝送路14-1b、第2光カプラ4-2、および伝送路15-2を通過して光受信器2-2で受信される。制御部10は、現用系のパケット信号の経路の伝送距離および予備系のパケット信号の経路の伝送距離が同一であった場合、図3に示すように、光受信器2-1で受信される現用系のパケット信号の受信予定時刻、および光受信器2-2で受信される予備系のパケット信号の受信予定時刻は同時刻と算出する。なお、現用系のパケット信号の経路および予備系のパケット信号の経路の伝送距離は同一である必要はなく、また、現用系のパケット信号の受信予定時刻、および予備系のパケット信号の受信予定時刻は同時刻である必要はない。
【0018】
制御部10は、パケット信号ごとに算出した光受信器2ごとの受信予定時刻の情報を、受信装置30の送信情報保持部8に提供する。このように、制御部10は、複数の光送信器1から送信されるパケット信号の送信タイミングを制御し、複数の光送信器1から送信され冗長化されたパケット信号ごとの受信予定時刻を複数の光受信器2ごとに算出し、受信装置30に提供する。また、制御部10は、パケット信号の送信タイミングと、パケット信号が冗長化された現用系のパケット信号の経路の伝送距離および予備系のパケット信号の経路の伝送距離と、に基づいて受信予定時刻を算出する。
【0019】
受信装置30において、送信情報保持部8は、制御部10から提供されたパケット信号ごとに算出された光受信器2ごとの受信予定時刻の情報を管理する。このとき、送信情報保持部8は、制御部10と同様に、図3に示すような管理テーブルで管理してもよい。また、送信情報保持部8は、次に受信するパケット信号のタイムスロットである受信予定時刻を監視し、受信予定時刻になると、選択制御管理部9に対して、受信するパケット信号についての受信データ情報を提供する。受信データ情報には、データ1などのパケット信号の種別、受信予定時刻などが含まれる。このように、送信情報保持部8は、受信予定時刻で示される受信予定のパケット信号を示す受信データ情報を選択制御管理部9に提供する。詳細には、送信情報保持部8は、制御部10から提供された受信予定時刻の情報を保持および監視し、パケット信号が規定されたタイムスロットの単位で送信される場合において、次のタイムスロットで受信するパケット信号についての受信データ情報を選択制御管理部9に提供する。
【0020】
選択制御管理部9は、受信データ情報に応じて使用するパケット選択部6-1の情報、パケット選択部6-1で参照するメモリ5を示すメモリ先情報、パケット選択部6-1からの出力先を管理する。選択制御管理部9は、例えば、図4に示すような管理テーブルを用いて管理する。図4は、実施の形態1に係る光通信システム40の受信装置30においてパケット信号に応じて使用するパケット選択部6-1、参照するメモリ5、およびパケット選択部6-1からの出力先を管理するときに使用する管理テーブルの例を示す図である。図4は、データごと、すなわちパケット信号ごとに、使用するパケット選択部6-1、参照するメモリ5、およびパケット選択部6-1からの出力先を表している。選択制御管理部9は、送信情報保持部8から提供された受信データ情報に基づいて、受信データ情報に対応する対象のパケット選択部6-1に対して、参照するメモリ先情報、および出力先情報を提供する。なお、実施の形態1では、受信装置30が備えるパケット選択部6-1は1つであるが、受信装置が複数のパケット選択部を備える場合については、後述する実施の形態2で説明する。
【0021】
このように、選択制御管理部9は、受信データ情報に基づいて、複数の光受信器2で受信されたパケット信号が格納される複数のメモリ5のうち受信データ情報で示されるパケット信号が格納されるメモリ5を示すメモリ先情報、および受信データ情報で示されるパケット信号の出力先を示す出力先情報を出力する。選択制御管理部9は、パケット信号ごとに、使用するパケット選択部6-1の情報、2つのメモリ5を示すメモリ先情報、およびパケット信号の出力先を示す出力先情報を管理し、送信情報保持部8から提供された受信データ情報に基づいて、使用するパケット選択部6-1に対して、メモリ先情報および出力先情報を提供する。
【0022】
パケット選択部6-1は、前述のように、比較部11-1と、経路選択部12-1と、を備える。比較部11-1は、選択制御管理部9から提供されたメモリ先情報で示されるメモリ5に格納されている現用系のパケット信号および予備系のパケット信号について、格納されたパケット信号の中で最も時間的に古いパケット信号を比較し、現用系のパケット信号および予備系のパケット信号のどちらか一方を取得し、他方を破棄することを決定する。比較部11-1は、例えば、メモリ5に格納された時刻の古い方のパケット信号を取得し、メモリ5に格納された時刻の新しい方のパケット信号を破棄する。なお、比較部11-1は、メモリ5に格納された時刻の新しい方のパケット信号を取得し、メモリ5に格納された時刻の古い方のパケット信号を破棄することも可能である。比較部11-1は、取得するパケット信号が格納されているメモリ5、および破棄するパケットが格納されているメモリ5についての情報を、読出し制御部7-1および経路選択部12-1に提供する。
【0023】
受信装置30は、パケット選択部6-1について、同一タイムスロット区間に存在するデータの数、すなわちパケット信号の数と同数を備える必要がある。本実施の形態では、同一タイムスロット区間に存在するデータの数、すなわちパケット信号の数は1つである。そのため、受信装置30は、送信装置20が備える光送信器1の数によらずパケット選択部6-1が1つあればよい。
【0024】
経路選択部12-1は、選択制御管理部9から提供された出力先情報に基づいて、パケット信号の出力先の光送信器1を選択する。また、経路選択部12-1は、比較部11-1から提供された情報に従って、取得対象のメモリ5からのパケット信号のみを選択するようにパケット信号の取得経路を選択する。経路選択部12-1は、パケット選択部6-1において、マルチプレクサのように機能する。
【0025】
このように、パケット選択部6-1は、メモリ先情報に基づいて複数のメモリ5から参照先の2つのメモリ5を選択し、2つのメモリ5のうち1つのメモリ5からパケット信号を取得し、出力先情報で示される出力先に出力する。また、パケット選択部6-1は、メモリ先情報に基づいて複数のメモリ5から参照先の2つのメモリ5を選択し、2つのメモリ5に格納されているパケット信号を参照し、一方のメモリ5からパケット信号を取得し、他方のメモリ5のパケット信号を破棄することを決定する比較部11-1を備える。また、パケット選択部6-1は、比較部11-1の決定に従って、一方のメモリ5からパケット信号を取得し、他方のメモリ5からパケット信号を取得しないように制御し、一方のメモリ5から取得したパケット信号を出力先に出力する経路選択部12-1を備える。
【0026】
読出し制御部7-1は、比較部11-1から提供された情報に従って、取得対象のメモリ5からパケット信号の読出しを行う。このとき、読出し制御部7-1は、破棄するパケット信号については、メモリ5から読出さなくてもよいし、読出した後に破棄してもよい。読出し制御部7-1がメモリ5からパケット信号を読出さない場合については、メモリ5において当該パケット信号が格納されていた領域が上書きされることで、実質的に破棄された場合と同じ結果になる。また、読出し制御部7-1は、読出してパケット信号を破棄する場合、経路選択部12-1に渡す前に破棄してもよいし、経路選択部12-1が取得しないようにしてもよい。このように、読出し制御部7-1は、比較部11-1の決定に従って、一方のメモリ5からパケット信号を読出して経路選択部12-1に出力する。
【0027】
なお、図1の例では、受信装置30において、読出し制御部7-1、比較部11-1、および経路選択部12-1は、メモリ5-1,5-2に接続されているが、点線で示すように他のメモリ5、例えば、メモリ5-3などにも接続可能である。
【0028】
つづいて、光通信システム40の具体例な動作について説明する。送信装置20については、光送信器1-1~1-Mが制御部10からの制御信号に従ってパケット信号を送信するタイミングを制御しているが、その他の動作は一般的な送信装置と同様の動作のため、詳細な説明については省略する。以下では、受信装置30の動作について、まず、タイムスロット1の区間で送信装置20から送信されるデータ1のパケット信号を受信する場合を例にして説明する。
【0029】
受信装置30において、送信情報保持部8は、タイムスロット1の区間の受信予定時刻を監視する。送信情報保持部8は、例えば、管理する情報が図3に示す管理テーブルの場合、次に受信するタイムスロット1の区間の受信予定時刻を監視し、受信予定時刻(00.00.30)になると、選択制御管理部9に対してデータ1のパケット信号についての受信データ情報を提供する。
【0030】
選択制御管理部9は、送信情報保持部8から提供された受信データ情報に基づいて、対象のパケット選択部6-1に対して、参照するメモリ先情報を提供する。選択制御管理部9は、例えば、図4に示すような管理テーブルを持ち、送信情報保持部8からデータ1のパケット信号についての受信データ情報が提供された場合、比較部11-1に対して参照するメモリ先情報としてメモリ5-1,5-2を選択するように通知する。また、選択制御管理部9は、経路選択部12-1に対して、出力先情報として、光送信器1-1を出力先として選択するように通知する。
【0031】
比較部11-1は、メモリ先情報として通知されたメモリ5-1,5-2に格納されているデータ1のパケット信号の中で最も時間的に古いデータ1のパケット信号を比較し、どちらのメモリ5からデータ1のパケット信号を取得し、どちらのメモリ5に格納されているデータ1のパケット信号を破棄するのかを決定する。比較部11-1は、データ1のパケット信号を読出すメモリ5、およびデータ1のパケット信号を破棄するメモリ5についての情報を、読出し制御部7-1および経路選択部12-1に提供する。
【0032】
読出し制御部7-1は、比較部11-1から提供された情報に従って、取得対象のメモリ5からデータ1のパケット信号の読出しを行う。読出し制御部7-1は、例えば、メモリ5-1に格納されているデータ1のパケット信号を取得し、メモリ5-2に格納されているデータ1のパケット信号を破棄するように比較部11-1から通知された場合、メモリ5-1からデータ1のパケット信号を読出し、メモリ5-2に格納されているデータ1のパケット信号を破棄する。読出し制御部7-1は、メモリ5-1から読出したデータ1のパケット信号を、メモリ5-1から経路選択部12-1に出力する。
【0033】
経路選択部12-1は、例えば、メモリ5-1に格納されているデータ1のパケット信号を取得し、メモリ5-2に格納されているデータ1のパケット信号を破棄するように比較部11-1から通知された場合、メモリ5-1からの経路のデータ1のパケット信号のみを選択し、メモリ5-2からの経路のデータ1のパケット信号は選択しないように制御する。経路選択部12-1は、メモリ5-1からのデータ1のパケット信号を光送信器1-1に転送するように制御する。
【0034】
受信装置30は、上記の動作によって、光送信器1-1からタイムスロット1の区間で送信されるデータ1の現用系のパケット信号および予備系のパケット信号について、パケット選択部6-1を使用して選択および破棄を決定することが可能となる。
【0035】
次に、受信装置30の動作について、タイムスロット2の区間で送信装置20から送信されるデータ2のパケット信号を受信する場合を例にして説明する。
【0036】
送信情報保持部8は、次に受信するタイムスロット2の区間の受信予定時刻を監視し、受信予定時刻(00.00.75)になると、選択制御管理部9に対してデータ2のパケット信号についての受信データ情報を提供する。
【0037】
選択制御管理部9は、送信情報保持部8から提供された受信データ情報に基づいて、対象のパケット選択部6-1に対して、参照するメモリ先情報を提供する。選択制御管理部9は、比較部11-1に対して参照するメモリ先情報としてメモリ5-2,5-3を選択するように通知する。また、選択制御管理部9は、経路選択部12-1に対して、出力先情報として、光送信器1-2を出力先として選択するように通知する。
【0038】
比較部11-1は、メモリ先情報として通知されたメモリ5-2,5-3に格納されているデータ2のパケット信号の中で最も時間的に古いデータ2のパケット信号を比較し、どちらのメモリ5からデータ2のパケット信号を取得し、どちらのメモリ5に格納されているデータ2のパケット信号を破棄するのかを決定する。比較部11-1は、データ2のパケット信号を読出すメモリ5、およびデータ2のパケット信号を破棄するメモリ5についての情報を、読出し制御部7-1および経路選択部12-1に提供する。
【0039】
読出し制御部7-1は、比較部11-1から提供された情報に従って、取得対象のメモリ5からデータ2のパケット信号の読出しを行う。読出し制御部7-1は、例えば、メモリ5-3に格納されているデータ2のパケット信号を取得し、メモリ5-2に格納されているデータ2のパケット信号を破棄するように比較部11-1から通知された場合、メモリ5-3からデータ2のパケット信号を読出し、メモリ5-2に格納されているデータ2のパケット信号は破棄する。読出し制御部7-1は、メモリ5-3から読出したデータ2のパケット信号を、メモリ5-3から経路選択部12-1に出力する。
【0040】
経路選択部12-1は、例えば、メモリ5-3に格納されているデータ2のパケット信号を取得し、メモリ5-2に格納されているデータ2のパケット信号を破棄するように比較部11-1から通知された場合、メモリ5-3からの経路のデータ2のパケット信号のみを選択し、メモリ5-2からの経路のデータ2のパケット信号は選択しないように制御する。経路選択部12-1は、メモリ5-3からのデータ2のパケット信号を光送信器1-2に転送するように制御する。
【0041】
受信装置30は、上記の動作によって、光送信器1-2からタイムスロット2の区間で送信されるデータ2の現用系のパケット信号および予備系のパケット信号について、パケット選択部6-1を使用して選択および破棄を決定することが可能となる。
【0042】
図5は、実施の形態1に係る光通信システム40の動作を示すフローチャートである。光通信システム40において、制御部10は、複数の光送信器1から送信され冗長化されたパケット信号ごとの受信予定時刻を複数の光受信器2ごとに算出し、受信予定時刻の情報を受信装置30の送信情報保持部8に提供する(ステップS1)。送信情報保持部8は、受信予定時刻で示される受信予定のパケット信号を示す受信データ情報を選択制御管理部9に提供する(ステップS2)。選択制御管理部9は、受信データ情報に基づいて、複数の光受信器2で受信されたパケット信号が格納される複数のメモリ5のうち受信データ情報で示されるパケット信号が格納されるメモリ5を示すメモリ先情報、および受信データ情報で示されるパケット信号の出力先を示す出力先情報を出力する(ステップS3)。パケット選択部6-1は、メモリ先情報に基づいて複数のメモリ5から参照先の2つのメモリ5を選択し、2つのメモリ5のうち1つのメモリ5からパケット信号を取得し、出力先情報で示される出力先の光送信器1に出力する(ステップS4)。
【0043】
つづいて、光通信システム40のハードウェア構成について説明する。光通信システム40において、光送信器1は光信号を送信可能な通信器である。光受信器2は光信号を受信可能な通信器である。第1光カプラ3および第2光カプラ4はパワースプリッタである。メモリ5はバッファなどの記憶装置である。パケット選択部6-1、読出し制御部7-1、送信情報保持部8、選択制御管理部9、および制御部10は、処理回路により実現される。処理回路は、メモリに格納されるプログラムを実行するプロセッサおよびメモリであってもよいし、専用のハードウェアであってもよい。処理回路は制御回路とも呼ばれる。
【0044】
図6は、実施の形態1に係る光通信システム40を実現する処理回路をプロセッサ91およびメモリ92で構成する場合の処理回路90の構成例を示す図である。図6に示す処理回路90は制御回路であり、プロセッサ91およびメモリ92を備える。処理回路90がプロセッサ91およびメモリ92で構成される場合、処理回路90の各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。ソフトウェアまたはファームウェアはプログラムとして記述され、メモリ92に格納される。処理回路90では、メモリ92に記憶されたプログラムをプロセッサ91が読出して実行することにより、各機能を実現する。すなわち、処理回路90は、光通信システム40の処理が結果的に実行されることになるプログラムを格納するためのメモリ92を備える。このプログラムは、処理回路90により実現される各機能を光通信システム40に実行させるためのプログラムであるともいえる。このプログラムは、プログラムが記憶された記憶媒体により提供されてもよいし、通信媒体など他の手段により提供されてもよい。
【0045】
上記プログラムは、制御部10が、複数の光送信器1から送信されるパケット信号の送信タイミングを制御し、複数の光送信器1から送信され冗長化されたパケット信号ごとの受信予定時刻を複数の光受信器2ごとに算出し、受信装置30に提供する第1のステップと、送信情報保持部8が、受信装置30において、受信予定時刻で示される受信予定のパケット信号を示す受信データ情報を提供する第2のステップと、選択制御管理部9が、受信データ情報に基づいて、複数の光受信器2で受信されたパケット信号が格納される複数のメモリ5のうち受信データ情報で示されるパケット信号が格納されるメモリ5を示すメモリ先情報、および受信データ情報で示されるパケット信号の出力先を示す出力先情報を出力する第3のステップと、パケット選択部6-1が、メモリ先情報に基づいて複数のメモリ5から参照先の2つのメモリ5を選択し、2つのメモリ5のうち1つのメモリ5からパケット信号を取得し、出力先情報で示される出力先に出力する第4のステップと、を光通信システム40に実行さるプログラムであるとも言える。
【0046】
ここで、プロセッサ91は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、またはDSP(Digital Signal Processor)などである。また、メモリ92は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(登録商標)(Electrically EPROM)などの、不揮発性または揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、またはDVD(Digital Versatile Disc)などが該当する。
【0047】
図7は、実施の形態1に係る光通信システム40を実現する処理回路を専用のハードウェアで構成する場合の処理回路93の例を示す図である。図7に示す処理回路93は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、またはこれらを組み合わせたものが該当する。処理回路については、一部を専用のハードウェアで実現し、一部をソフトウェアまたはファームウェアで実現するようにしてもよい。このように、処理回路は、専用のハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせによって、上述の各機能を実現することができる。
【0048】
以上説明したように、本実施の形態によれば、光通信システム40の受信装置30は、1個のパケット選択部6-1を、M個の光送信器1-1~1-Mに対して共有して使用することとした。パケット選択部6-1は、現用系のパケット信号が格納されているメモリ5、および予備系のパケット信号が格納されているメモリ5を参照する際、制御部10から提供される受信予定時刻に基づいて、タイムスロットごとに参照するメモリ5を選択する。これにより、受信装置30は、TDMを用いて冗長化を複数段にわたって実現する光通信システム40に前述の特許文献1の無瞬断機能を適用した場合ではM個必要だったパケット選択部6-1の数および読出し制御部7-1の数を、1/Mに削減することが可能となる。そのため、光通信システム40は、システム拡張時の回路規模の増大を抑制し、回路規模を大幅に削減することができる。
【0049】
実施の形態2.
実施の形態2では、受信装置が、パケット選択部および読出し制御部を、送信装置20が備える光送信器1の数であるM個よりも少ないN個備える場合について説明する。なお、実施の形態2では、Nは2以上の正の整数であり、MはN<Mとなる正の整数である。
【0050】
図8は、実施の形態2に係る光通信システム40aの構成例を示す第1の図である。光通信システム40aは、制御部10と、送信装置20と、受信装置30aと、第1光カプラ3-1~3-Mと、第2光カプラ4-1~4-M+1と、を備える。光通信システム40aは、複数段にわたって直列接続が可能であり、図8の例では次段の光通信システム40aの送信装置20も示しているが、各段の光通信システム40aの動作は同様のため、以降では、図8に示す範囲で説明を行う。送信装置20は、光送信器1-1~1-Mを備える。受信装置30aは、光受信器2-1~2-M+1と、メモリ5-1~5-M+1と、パケット選択部6-1~6-Nと、読出し制御部7-1~7-Nと、送信情報保持部8と、選択制御管理部9と、を備える。パケット選択部6-1は、比較部11-1と、経路選択部12-1と、を備える。パケット選択部6-Nは、比較部11-Nと、経路選択部12-Nと、を備える。また、図示は省略しているが、パケット選択部6-2~6-(N-1)も、それぞれ比較部および経路選択部を備えている。すなわち、受信装置30aは、比較部11-1~11-Nと、経路選択部12-1~12-Nと、を備える。
【0051】
以降の説明において、パケット選択部6-1~6-Nを区別しない場合はパケット選択部6と称し、読出し制御部7-1~7-Nを区別しない場合は読出し制御部7と称し、比較部11-1~11-Nを区別しない場合は比較部11と称し、経路選択部12-1~12-Nを区別しない場合は経路選択部12と称することがある。
【0052】
光送信器1-1~1-Mは、送信要求のあるデータ信号を取得する。光送信器1-1~1-Mは、送信要求のあるデータ信号について、図示しないM個の信号生成部から取得してもよいし、前段の光通信システム40aの受信装置30aから取得してもよい。また、光送信器1-1~1-Mは、制御部10から、制御部10で生成された基準クロックおよび送信タイミング信号の2種類の制御信号を取得する。光送信器1-1~1-Mは、取得したデータ信号を一度バッファし、送信タイミング信号に合わせてパケット信号として出力する。本実施の形態では、制御部10は、同一の第2光カプラ4にパケット信号を送信する経路を持つ光送信器1同士が同じタイミングでパケット信号を送信しないように送信タイミング信号を制御する。
【0053】
例えば、光送信器1-1~1-Mの全てにおいて同サイズのパケット信号送信要求があった場合を想定する。第2光カプラ4-2にパケット信号を送信する経路を持つ光送信器1は光送信器1-1,1-2であるので、制御部10は、図9に示すように、光送信器1-1はタイムスロット1の区間にパケット信号を送信し、光送信器1-2はタイムスロット1の区間にパケット信号を送信しない、といった送信制御を行う。次のタイムスロット2の区間では、制御部10は、図9に示すように、光送信器1-2はタイムスロット2の区間にパケット信号を送信し、光送信器1-1はタイムスロット2の区間にパケット信号を送信しない、といった送信制御を行う。図9は、実施の形態2に係る光通信システム40aにおける光送信器1-1~1-Mがパケット信号を送信する送信タイミング、および光受信器2-1~2-M+1がパケット信号を受信する受信タイミングを示す第1の図である。
【0054】
また、第2光カプラ4-3にパケット信号を送信する経路を持つ光送信器1は光送信器1-2,1-3であるので、制御部10は、図9に示すように、光送信器1-3はタイムスロット1の区間にパケット信号を送信し、光送信器1-2はタイムスロット1の区間にパケット信号を送信しない、といった送信制御を行う。次のタイムスロット2の区間では、制御部10は、図9に示すように、光送信器1-2はタイムスロット2の区間にパケット信号を送信し、光送信器1-3はタイムスロット2の区間にパケット信号を送信しない、といった送信制御を行う。なお、光通信システム40aにおいて、同一の第2光カプラ4にパケット信号を送信しない光送信器1の送信タイミングについては、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0055】
送信情報保持部8は、次に受信するパケット信号のタイムスロットである受信予定時刻を監視し、受信予定時刻になると、選択制御管理部9に対して、受信する複数のパケット信号についての受信データ情報を提供する。
【0056】
選択制御管理部9は、送信情報保持部8から提供された複数の受信データ情報に基づいて、受信データ情報に対応する対象のパケット選択部6に対して、参照するメモリ先情報、および出力先情報を提供する。
【0057】
受信装置30aは、パケット選択部6について、同一タイムスロット区間に存在するデータの数、すなわちパケット信号の数と同数を備える必要がある。本実施の形態では、同一タイムスロット区間に存在するデータの数、すなわちパケット信号の数はNである。そのため、受信装置30aは、送信装置20が備える光送信器1の数によらずパケット選択部6がN個あればよい。
【0058】
つづいて、光通信システム40aの具体例な動作として、M=4の場合について説明する。送信装置20については、光送信器1-1~1-Mが制御部10からの制御信号に従ってパケット信号を送信するタイミングを制御しているが、その他の動作は一般的な送信装置と同様の動作のため、詳細な説明については省略する。以下では、受信装置30aの動作について、まず、タイムスロット1の区間で送信装置20から送信されるデータ1のパケット信号およびデータ3のパケット信号を受信する場合を例にして説明する。図10は、実施の形態2に係る光通信システム40aの構成例を示す第2の図である。図11は、実施の形態2に係る光通信システム40aにおける光送信器1-1~1-Mがパケット信号を送信する送信タイミング、および光受信器2-1~2-M+1がパケット信号を受信する受信タイミングを示す第2の図である。
【0059】
受信装置30aにおいてタイムスロット1の区間で送信されるデータ1のパケット信号およびデータ3のパケット信号を受信する場合、送信情報保持部8は、タイムスロット1の区間の受信予定時刻を監視する。送信情報保持部8は、例えば、管理する情報が図12に示す管理テーブルの場合、受信予定時刻(00.00.30)になると、選択制御管理部9に対してデータ1のパケット信号およびデータ3のパケット信号についての受信データ情報を提供する。図12は、実施の形態2に係る光通信システム40aの制御部10がパケット信号ごとの受信予定時刻を光受信器2ごとに算出して管理するときに使用する管理テーブルの例を示す図である。
【0060】
選択制御管理部9は、送信情報保持部8から提供された受信データ情報に基づいて、対象のパケット選択部6に対して、参照するメモリ先情報を提供する。選択制御管理部9は、例えば、図13に示すような管理テーブルを持ち、送信情報保持部8からデータ1のパケット信号およびデータ3のパケット信号についての受信データ情報が提供された場合、比較部11-1に対して参照するメモリ先情報としてメモリ5-1,5-2を選択するように通知し、比較部11-2に対して参照するメモリ先情報としてメモリ5-3,5-4を選択するように通知する。また、選択制御管理部9は、経路選択部12-1に対して、出力先情報として、光送信器1-1を出力先として選択するように通知し、経路選択部12-2に対して、出力先情報として、光送信器1-3を出力先として選択するように通知する。図13は、実施の形態2に係る光通信システム40aの受信装置30aにおいてパケット信号に応じて使用するパケット選択部6、参照するメモリ5、およびパケット選択部6からの出力先を管理するときに使用する管理テーブルの例を示す図である。
【0061】
比較部11-1は、メモリ先情報として通知されたメモリ5-1,5-2に格納されているデータ1のパケット信号の中で最も時間的に古いデータ1のパケット信号を比較し、どちらのメモリ5からデータ1のパケット信号を取得し、どちらのメモリ5に格納されているデータ1のパケット信号を破棄するのかを決定する。比較部11-1は、データ1のパケット信号を読出すメモリ5、およびデータ1のパケット信号を破棄するメモリ5についての情報を、読出し制御部7-1および経路選択部12-1に提供する。
【0062】
また、比較部11-2は、メモリ先情報として通知されたメモリ5-3,5-4に格納されているデータ3のパケット信号の中で最も時間的に古いデータ3のパケット信号を比較し、どちらのメモリ5からデータ3のパケット信号を取得し、どちらのメモリ5に格納されているデータ3のパケット信号を破棄するのかを決定する。比較部11-2は、データ3のパケット信号を読出すメモリ5、およびデータ3のパケット信号を破棄するメモリ5についての情報を、読出し制御部7-2および経路選択部12-2に提供する。
【0063】
読出し制御部7-1は、比較部11-1から提供された情報に従って、取得対象のメモリ5からデータ1のパケット信号を読出し、破棄対象のメモリ5に格納されているデータ1のパケット信号を破棄する。また、読出し制御部7-2は、比較部11-2から提供された情報に従って、取得対象のメモリ5からデータ3のパケット信号を読出し、破棄対象のメモリ5に格納されているデータ3のパケット信号を破棄する。
【0064】
経路選択部12-1は、比較部11-1から提供された情報に従って、取得対象のメモリ5からのデータ1のパケット信号のみを後段の光送信器1-1に転送するように制御する。例えば、経路選択部12-1は、メモリ5-1からのデータ1のパケット信号を光送信器1-1に転送するように制御する。また、経路選択部12-2は、比較部11-2から提供された情報に従って、取得対象のメモリ5からのデータ3のパケット信号のみを後段の光送信器1-3に転送するように制御する。例えば、経路選択部12-2は、メモリ5-3からのデータ3のパケット信号を光送信器1-3に転送するように制御する。
【0065】
受信装置30aは、上記の動作によって、光送信器1-1からタイムスロット1の区間で送信されるデータ1の現用系のパケット信号および予備系のパケット信号、および光送信器1-3からタイムスロット1の区間で送信されるデータ3の現用系のパケット信号および予備系のパケット信号について、パケット選択部6-1,6-2を使用して選択および破棄を決定することが可能となる。
【0066】
次に、受信装置30aの動作について、タイムスロット2の区間で送信装置20から送信されるデータ2のパケット信号およびデータ4のパケット信号を受信する場合を例にして説明する。
【0067】
受信装置30aにおいてタイムスロット2の区間で送信されるデータ2のパケット信号およびデータ4のパケット信号を受信する場合、送信情報保持部8は、タイムスロット2の区間の受信予定時刻を監視する。送信情報保持部8は、受信予定時刻(00.00.75)になると、選択制御管理部9に対してデータ2のパケット信号およびデータ4のパケット信号についての受信データ情報を提供する。
【0068】
選択制御管理部9は、送信情報保持部8から提供された受信データ情報に基づいて、対象のパケット選択部6に対して、参照するメモリ先情報を提供する。選択制御管理部9は、比較部11-1に対して参照するメモリ先情報としてメモリ5-2,5-3を選択するように通知し、比較部11-2に対して参照するメモリ先情報としてメモリ5-4,5-5を選択するように通知する。また、選択制御管理部9は、経路選択部12-1に対して、出力先情報として、光送信器1-2を出力先として選択するように通知し、経路選択部12-2に対して、出力先情報として、光送信器1-4を出力先として選択するように通知する。
【0069】
比較部11-1は、メモリ先情報として通知されたメモリ5-2,5-3に格納されているデータ2のパケット信号の中で最も時間的に古いデータ2のパケット信号を比較し、どちらのメモリ5からデータ2のパケット信号を取得し、どちらのメモリ5に格納されているデータ2のパケット信号を破棄するのかを決定する。比較部11-1は、データ2のパケット信号を読出すメモリ5、およびデータ2のパケット信号を破棄するメモリ5についての情報を、読出し制御部7-1および経路選択部12-1に提供する。
【0070】
また、比較部11-2は、メモリ先情報として通知されたメモリ5-4,5-5に格納されているデータ4のパケット信号の中で最も時間的に古いデータ4のパケット信号を比較し、どちらのメモリ5からデータ4のパケット信号を取得し、どちらのメモリ5に格納されているデータ4のパケット信号を破棄するのかを決定する。比較部11-2は、データ4のパケット信号を読出すメモリ5、およびデータ4のパケット信号を破棄するメモリ5についての情報を、読出し制御部7-2および経路選択部12-2に提供する。
【0071】
読出し制御部7-1は、比較部11-1から提供された情報に従って、取得対象のメモリ5からデータ2のパケット信号を読出し、破棄対象のメモリ5に格納されているデータ2のパケット信号を破棄する。また、読出し制御部7-2は、比較部11-2から提供された情報に従って、取得対象のメモリ5からデータ4のパケット信号を読出し、破棄対象のメモリ5に格納されているデータ4のパケット信号を破棄する。
【0072】
経路選択部12-1は、比較部11-1から提供された情報に従って、取得対象のメモリ5からのデータ2のパケット信号のみを後段の光送信器1-2に転送するように制御する。例えば、経路選択部12-1は、メモリ5-2からのデータ2のパケット信号を光送信器1-2に転送するように制御する。また、経路選択部12-2は、比較部11-2から提供された情報に従って、取得対象のメモリ5からのデータ4のパケット信号のみを後段の光送信器1-4に転送するように制御する。例えば、経路選択部12-2は、メモリ5-5からのデータ4のパケット信号を光送信器1-4に転送するように制御する。
【0073】
受信装置30aは、上記の動作によって、光送信器1-2からタイムスロット2の区間で送信されるデータ2の現用系のパケット信号および予備系のパケット信号、および光送信器1-4からタイムスロット2の区間で送信されるデータ4の現用系のパケット信号および予備系のパケット信号について、パケット選択部6-1,6-2を使用して選択および破棄を決定することが可能となる。
【0074】
以上説明したように、本実施の形態によれば、光通信システム40aの受信装置30aは、N個のパケット選択部6、すなわちパケット選択部6-1~6-Nを、M個の光送信器1-1~1-Mに対して共有して使用することとした。パケット選択部6-1~6-Nは、現用系のパケット信号が格納されているメモリ5、および予備系のパケット信号が格納されているメモリ5を参照する際、制御部10から提供される受信予定時刻に基づいて、タイムスロットごとに参照するメモリ5を切り替える。これにより、受信装置30aは、TDMを用いて冗長化を複数段にわたって実現する光通信システム40aに前述の特許文献1の無瞬断機能を適用した場合ではM個必要だったパケット選択部6の数および読出し制御部7の数を、N/Mに削減することが可能となる。そのため、光通信システム40aは、システム拡張時の回路規模の増大を抑制し、回路規模を大幅に削減することができる。
【0075】
以上の実施の形態に示した構成は、一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、実施の形態同士を組み合わせることも可能であるし、要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
【符号の説明】
【0076】
1-1~1-M 光送信器、2-1~2-M+1 光受信器、3-1~3-M 第1光カプラ、4-1~4-M+1 第2光カプラ、5-1~5-M+1,92 メモリ、6-1~6-N パケット選択部、7-1~7-N 読出し制御部、8 送信情報保持部、9 選択制御管理部、10 制御部、11-1~11-N 比較部、12-1~12-N 経路選択部、13-1~13-M,14-1a~14-Mb,15-1~15-M+1 伝送路、20 送信装置、30,30a 受信装置、40,40a 光通信システム、90,93 処理回路、91 プロセッサ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13