(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-28
(45)【発行日】2025-04-07
(54)【発明の名称】出身地推定システム、出身地推定プログラムおよび出身地推定方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20250331BHJP
【FI】
G06Q50/10
(21)【出願番号】P 2024157971
(22)【出願日】2024-09-12
【審査請求日】2024-10-02
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】317009950
【氏名又は名称】磐田市
(74)【代理人】
【識別番号】100230994
【氏名又は名称】居藤 湖都
(72)【発明者】
【氏名】朝比奈 克至
【審査官】塩屋 雅弘
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2019-0051574(KR,A)
【文献】特開2017-191527(JP,A)
【文献】全 珠美 Joomi Jun,大規模苗字データを用いた民族の分類とその応用,一般社団法人 人工知能学会 第35回全国大会(2021) [online],2021年07月01日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者の出身地に関する情報を推定するための出身地推定システムであって、
少なくとも前記対象者の名を含んで構成される前記対象者の名前を表す名前情報を入力するための名前情報入力手段と、
前記名前情報入力手段を介して入力された前記名前情報に基づいて前記対象者の出身地を推定する出身地推定手段と、
前記出身地推定手段が推定した出身地を出力する出身地出力手段とを備え
、
前記名前情報は、
前記名前において前記対象者の名の部分を表す名情報と、
前記名前において前記対象者の名以外の部分を表す非名情報とから構成されており、
前記出身地推定手段は、
前記名前情報入力手段を介して入力された前記名前情報における前記対象者の名前の前記名の部分と前記名以外の部分とをそれぞれ分離した前記名情報および前記非名情報の両情報に基づいて前記出身地を推定することを特徴とする出身地推定システム。
【請求項2】
請求項1に記載した出身地推定システムにおいて、
前記名前情報は、
前記名前を文字で表記した文字情報であって、
前記名前の正式な表記とは異なる表記で前記名前を表した情報であることを特徴とする出身地推定システム。
【請求項3】
請求項2に記載した出身地推定システムにおいて、
前記名前情報は、
前記出身地推定システムを使用する使用者が認識した前記名前の称呼に基づいて前記名前を文字で表した情報であることを特徴とする出身地推定システム。
【請求項4】
請求項1に記載した出身地推定システムにおいて、
前記出身地推定手段は、
前記対象者の名前とその対象者の出身地との関連性を学習させた機械学習モデルを用いて前記出身地を推定することを特徴とする出身地推定システム。
【請求項5】
請求項
4に記載した出身地推定システムにおいて、
前記機械学習モデルは、
大規模言語モデルであることを特徴とする出身地推定システム。
【請求項6】
請求項1に記載した出身地推定システムにおいて、さらに、
前記出身地推定手段が推定した出身地に基づいて前記対象者が理解可能な言語を推定する言語推定手段と、
前記言語推定手段が推定した言語を出力する推定言語出力手段とを備えることを特徴とする出身地推定システム。
【請求項7】
請求項
6に記載した出身地推定システムにおいて、
前記言語推定手段は、
前記対象者が理解可能な言語として複数の言語を推定することを特徴とする出身地推定システム。
【請求項8】
請求項1に記載した出身地推定システムにおいて、さらに、
前記出身地推定手段が推定した出身地に基づいて前記対象者を応接する際に有用な情報を推定する応接情報推定手段と、
前記応接情報推定手段が推定した情報を出力する応接情報出力手段とを備えることを特徴とする出身地推定システム。
【請求項9】
対象者の出身地に関する情報を推定する処理をコンピュータ装置に実行させる出身地推定プログラムであって、
前記コンピュータ装置に、
少なくとも前記対象者の名を含んで構成される前記対象者の名前を表す名前情報の入力を受け付けるための名前情報入力ステップと、
前記名前情報入力ステップを介して入力された前記名前情報に基づいて前記対象者の出身地を推定する出身地推定ステップと、
前記出身地推定ステップによって推定された出身地を出力する出身地出力ステップとを実行させ
、
前記名前情報は、
前記名前において前記対象者の名の部分を表す名情報と、
前記名前において前記対象者の名以外の部分を表す非名情報とから構成されており、
前記出身地推定ステップは、
前記名前情報入力ステップを介して入力された前記名前情報における前記対象者の名前の前記名の部分と前記名以外の部分とをそれぞれ分離した前記名情報および前記非名情報の両情報に基づいて前記出身地を推定することを特徴とする出身地推定プログラム。
【請求項10】
対象者の出身地に関する情報を推定する出身地推定システムを用いた出身地推定方法であって、
前記出身地推定システムは、
請求項1ないし請求項
8のうちのいずれか1つに記載した出身地推定システムで構成されており、
前記名前情報入力手段に前記名前情報を入力する名前情報入力ステップと、
前記名前情報入力手段に入力された前記名前情報に基づいて前記出身地推定手段に前記対象者の出身地を推定させる出身地推定ステップと、
前記出身地推定手段に推定させた出身地を前記出身地出力手段に出力させる出身地出力ステップとを含
み、
前記名前情報は、
前記名前において前記対象者の名の部分を表す名情報と、
前記名前において前記対象者の名以外の部分を表す非名情報とから構成されており、
前記出身地推定手段は、
前記名前情報入力手段を介して入力された前記名前情報における前記対象者の名前の前記名の部分と前記名以外の部分とをそれぞれ分離した前記名情報および前記非名情報の両情報に基づいて前記出身地を推定することを特徴とする出身地推定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
対象者の名前からその対象者の出身地を推定することができる出身地推定システム、出身地推定プログラムおよび出身地推定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、外国人の音声情報または顔の画像情報から機械学習モデルを用いてその外国人の国籍を推定するための各種システムがある。例えば、下記特許文献1には、外国人の音声情報と国籍との関連性を学習させた機械学習モデルを用いて音声情報に係る外国人の国籍を推定するシステムが開示されている。また、下記特許文献2には、各国出身者の顔画像の特徴量を学習させた学習済みモデルを用いて顔画像に係る外国人の国籍を推定するシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2022-129328号公報
【文献】特開2022-125622号公報
【0004】
しかしながら、上記特許文献1および上記特許文献2に記載された各システムにおいては、少なくとも対象者の国籍を推定できる程度の情報を含む音声データまたは同情報を含む顔の画像データが不可欠であり、対象者の国籍を推定するために必要な情報の入手が煩雑であるという問題があった。
【0005】
本発明は上記問題に対処するためなされたもので、その目的は、対象者の出身地を推定するための情報として入手容易な対象者の名前を表す名前情報を用いることで簡便に対象者の出身地を推定することができる出身地推定システムを提供することにある。
【発明の概要】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の特徴は、対象者の出身地に関する情報を推定するための出身地推定システムであって、少なくとも対象者の名を含んで構成される対象者の名前を表す名前情報を入力するための名前情報入力手段と、名前情報入力手段を介して入力された名前情報に基づいて対象者の出身地を推定する出身地推定手段と、出身地推定手段が推定した出身地を出力する出身地出力手段とを備え、名前情報は、名前において対象者の名の部分を表す名情報と、名前において対象者の名以外の部分を表す非名情報とから構成されており、出身地推定手段は、名前情報入力手段を介して入力された名前情報における対象者の名前の名の部分と名以外の部分とをそれぞれ分離した名情報および非名情報の両情報に基づいて出身地を推定することにある。
【0007】
これによれば、出身地推定システムは、少なくとも対象者の名を含んで構成される対象者の名前を表す名前情報に基づいて同対象者の出身地を推定する出身地推定手段を備えて構成されているため、入手が容易な名前情報に基づいてその対象者の出身地を容易に推定することができる。また、本発明者の実験によれば、対象者の姓を表す情報のみに基づく対象者の出身地の推定精度は50%程度であるが、少なくとも対象者の名を含んで構成される対象者の名前を表す名前情報に基づいて対象者の出身地を推定することで推定精度を60~70%に向上できることを確認した。
【0008】
また、本発明によれば、出身地推定システムは、対象者の名前において同対象者の名の部分を表す名情報および同対象者の名前全体において名以外の部分(以下、「非名部分」ともいう)を表す非名情報に基づいてその対象者の出身地を推定する出身地推定手段を備えて構成されている。ここで、非名情報は、すなわち、対象者の姓および/または第三名称を表す情報である。したがって、出身地推定システムは、対象者の名前を対象者の名の部分と非名部分とにそれぞれ分離して表した名情報および非名情報の両情報に基づいてその対象者の出身地を推定することで推定の精度を向上させることができる。本発明者の実験によれば、名情報と非名情報とに分離する前の名前情報のみに基づいて推定した対象者の出身地の推定精度は60~70%であるが、名前情報を分離した後の名情報および非名情報の両情報に基づいて対象者の出身地を推定することで推定精度を70~80%に向上できることを確認した。
【0009】
ここで、対象者の出身地に関する情報は、少なくとも対象者の出身地を含んで構成されている。ここで、対象者の出身地は、対象者が出生した、育ったまたは現に居住する地、地域、国または国籍を意味する。この場合、出身地は、地名、地域名または国名などの名称またはこれらの名称を表すマーク、イラストまたは国旗などの図形で表すことができる。また、対象者の出身地に関する情報は、対象者の出身地についての文化的、地理的、社会的または歴史的な特徴または背景を表す情報を含んでいてもよい。例えば、対象者の出身地に関する情報は、対象者の出身地についての文化的、地理的、社会的または歴史的な特徴または背景を表す情報として、対象者の母国語、公用語または第一言語などの対象者が理解可能な言語(以下、「理解可能言語」という)、対象者の出身地の文化(学問、芸術、マナー、道徳、慣習、習慣、宗教および政治を含む)または対象者を応接する際に有用な情報などを含んでいてもよい。この対象者の出身地に関する情報のうち、対象者の出身地を除く他の情報を地域関連情報という。
【0010】
対象者を応接する際に有用な情報(以下、「応接情報」という)は、応接時の注意事項または対象者との良好な関係を築くために有用な情報などの対象者の応接を行う者が知っていると役立つ情報を指す。例えば、応接時の注意事項は、対象者の出身地のマナー、道徳、慣習または宗教などの対象者を応接する際に注意を要する情報があげられる。また、対象者との良好な関係を築くために有用な情報としては、例えば、意見をはっきりと相手に伝えることが好ましいとされていることまたはお酒が好まれることなどの対象者の出身地における人々の価値観または嗜好に関する情報があげられる。
【0011】
また、本発明における対象者の名前は、少なくとも対象者の名から構成された対象者の固有名詞である。この対象者の名前は、対象者の名以外に対象者の姓および/または対象者の名および姓を除くその他の名称(以下、「第三名称」という)を備えて構成されている場合がある。具体的には、対象者の名前は、対象者の名および姓の組み合わせ、対象者の名、第三名称および姓の組み合わせ、対象者の姓および名の組み合わせ、対象者の第三名称および名の組み合わせ、対象者の第三名称、名および姓の組み合わせ、または対象者の名および第三名称の組み合わせで構成されている場合がある。
【0012】
例えば、インドネシア、ミャンマー、モンゴルおよびアフガニスタンなどの国々における人名は、主に、名のみで構成されている。また、南北アメリカ州、ハンガリーを除くヨーロッパ州、オセアニア州、中央アジア、イランを除く南アジアおよび北アフリカを除くアフリカ州における人名は、主に、名および姓の組み合わせまたは名、第三名称および姓の組み合わせで構成されている。また、東アジア、ハンガリー、シンガポールおよびベトナムにおける人名は、主に、姓および名の組み合わせで構成されている。また、シンガポールおよびベトナムを除く東南アジアにおける人名は、主に、名のみまたは名および姓の組み合わせで構成されている。
【0013】
また、北アフリカにおける人名は、主に、第三名称および名の組み合わせまたは名および姓の組み合わせで構成されている。また、イランにおける人名は、主に、名および姓の組み合わせまたは第三名称、名および姓の組み合わせで構成されている。また、西アジアおよび北アフリカにおける人名は、主に、名および第三名称および姓の組み合わせまたは名および第三名称の組み合わせで構成されている。すなわち、第三名称は、所謂ミドルネームを含む。
【0014】
この第三名称は、1つまたは複数の名称で構成されている。例えば、第三名称は、対象者の名に加えて対象者にさらに与えられた第二の名、洗礼名、父、母または祖父母などの対象者の先祖の名前(名および第三名称を含む)、父または母の名前(名および第三名称を含む)から作られた名称(所謂、父称または母称)、対象者の愛称または通称、対象者の結婚相手の姓、対象者の旧姓、対象者または対象者の近親者にとって親しい友人の名前(名および第三名称を含む)、対象者が尊敬する人物の名前(名および第三名称を含む)、対象者の身分に対する称号、尊称、出生地名、部族名またはこれらの名称の頭文字などがある。
【0015】
また、本発明の他の特徴は、前記出身地推定システムにおいて、名前情報は、名前を文字で表記した文字情報であって、名前の正式な表記とは異なる表記で名前を表した情報であることにある。
【0016】
これによれば、出身地推定システムは、対象者の名前の正式な文字表記(以下、「正式表記」という)とは異なる文字表記(以下、「非正式表記」という)で対象者の名前を表した名前情報に基づいてその対象者の出身地を推定する出身地推定手段を備えて構成されている。そのため、出身地推定システムは、対象者の名前の正式表記が不明である場合または出身地推定システムに正式表記を入力できない場合であっても非正式表記によって表した対象者の名前に基づいてその対象者の出身地を推定することができる。なお、文字表記とは、対象者の名前を文字で表した表記を意味する。
【0017】
ここで、対象者の名前の正式な文字表記(正式表記)とは、対象者の名前を表す文字の表記として同対象者の出身地の行政機関に公式に登録された表記または対象者本人が自身の名前を表す文字表記として日常生活において最も多く使用している表記をいう。例えば、日本国籍を有する対象者Aの名前の称呼が「ヤマダタロウ」である場合には、対象者Aの名前として戸籍に登録されている「山田太郎」が正式表記にあたる。また、アメリカに住む対象者Bの名前の称呼が「ジェニファー・バン・スチュアート」であって、アメリカの行政機関に「Jennifer Van Stuart」の表記が公式に登録されている場合には「Jennifer Van Stuart」が対象者Bの正式表記にあたる。
【0018】
この場合、フランス、ドイツまたはスペインなどの国では、同一の字形に対して発音を区別するための符号であるダイアクリティカルマーク(diacritical mark)、所謂、発音区別符号を使用する場合がある。この発音区別符号を用いた文字表記が対象者の名前として行政機関に登録されているまたは対象者が最も多く使用している場合には、発音区別符号を用いた表記が対象者の名前の正式表記となる。
【0019】
また、対象者Aおよび対象者Bの例では、略称を含まない名前全体を表すフルネームによって対象者の名前を示した。しかし、地域によってはフルネームの一部を省略したまたはフルネームの一部を愛称で表した通称も人名として慣用されている。
【0020】
例えば、対象者Bの通称としては、フルネームの一部を省略した「Jennifer V. Stuart」、「J. V. Stuart」または「Jennifer Stuart」などがある。また、対象者Bの他の通称としては、フルネームの一部(名の部分)である「Jennifer」を「Jen(ジェン)」または「Jenny(ジェニー)」などの愛称で表した「Jen/Jenn Van Stuart」または「Jenny/Jennie Van Stuart」などがある。
【0021】
この場合、対象者Bが「Jenny Stuart」を自身の名前を表した文字表記として日常生活で最も多く用いている場合には、アメリカの行政機関に登録されている「Jennifer Van Stuart」に加えて「Jenny Stuart」も正式表記に該当する。
【0022】
一方、対象者の名前の正式な文字表記とは異なる文字表記(非正式表記)とは、具体的には、対象者の名前の一部または全部を正式表記とは異なる綴り、文字または記載表現で表した文字表記をいう。例えば、対象者Bの名前の一部を正式表記とは異なる綴りで表した「Jennifer Van Stewart」および「Jennie Stuart」、対象者の名前の全部を異なる文字(片仮名)で表した「ジェニファー・バン・スチュアート」および「ジェニー・スチュアート」または異なる記載表現で表した「ジェニファー・ヴァン・スチュワート」および「Jenn V Stuart」などが非正式表記に該当する。
【0023】
この場合、「Jenn V Stuart」は、対象者Bの名「Jennifer」を愛称である「Jenn(ジェン)」で表記するとともに、対象者Bの第三名称(所謂、ミドルネーム)についてカンマを省略した頭文字で表記しており、対象者Bの正式表記とは異なる記載表現で示している。
【0024】
また、正式表記に発音区別符号が使用されている場合には、発音区別符号が付された文字を代わりの記載表現で表した代替表記が非正式表記に該当する。例えば、英字の「e」に発音区別符号のウムラウト「¨」が付された文字(以下、「イーウムラウト」という)の非正式表記としては、発音区別符号であるウムラウト「¨」を省略した英字「e」またはイーウムラウトを英字と発音区別符号とに区別して英字の後に発音区別符号を並列した文字列の「e¨」などで代替して表す表記が非正式表記に該当する。
【0025】
これらの正式表記および非正式表記において、前記した対象者の名前の正式表記が不明である場合とは、例えば、出身地推定システムを使用する使用者が対象者の名前の正式表記を知らない場合が考えられる。また、対象者の名前の正式表記を入力できない場合とは、例えば、出身地推定システムが正式表記に用いられる文字の入力操作に対応していない場合または使用者が正式表記の文字表記を習得しておらず使用することができない場合などが考えられる。
【0026】
また、本発明の他の特徴は、前記出身地推定システムにおいて、名前情報は、出身地推定システムを使用する使用者が認識した名前の称呼に基づいて名前を文字で表した情報であることにある。
【0027】
これによれば、出身地推定システムは、同装置を使用する使用者が認識した対象者の名前の称呼に基づいてその名前を文字で表した名前情報からその対象者の出身地を推定する出身地推定手段を備えて構成されている。そのため、出身地推定システムは、例えば、使用者が正確に対象者の名前を聞き取るまたは読むことができない場合または出身地推定システムの音声入力手段が対象者の名前の正確な称呼を認識できない場合であっても使用者が認識した対象者の名前の称呼に基づく名前情報からその対象者の出身地を推定することができる。
【0031】
また、本発明の他の特徴は、前記出身地推定システムにおいて、出身地推定手段は、対象者の名前とその対象者の出身地との関連性を学習させた機械学習モデルを用いて出身地を推定することにある。
【0032】
これによれば、出身地推定システムは、対象者の名前とその対象者の出身地との関連性を学習させた機械学習モデルを用いて対象者の出身地を推定するように構成されている。そのため、出身地推定システムは、複数の対象者の名前と各対象者の出身地の候補である候補地とを対応付けたデータベースから対象者の名前情報に基づいて候補地を出力(抽出)する場合と比べてより多様な名前に基づく出身地の推定に対応することができる。ここで、多様な名前とは、例えば、前記データベースに含まれていない人名、限られた民族、地域または宗教などの少人数の集団内で用いられる特殊な人名または複数の地域の特徴を備える人名などが挙げられる。
【0033】
また、本発明の他の特徴は、前記出身地推定システムにおいて、機械学習モデルは、大規模言語モデルであることにある。
【0034】
これによれば、出身地推定システムは、大規模言語モデル(LLM:large language model)を用いて対象者の名前からその対象者の出身地を推定するため、人名の構成および人名に用いられている言葉の意味を踏まえて対象者の出身地を推定することができ推定の精度を向上させることができる。
【0035】
ここで、大規模言語モデルとは、人間が話したり書いたりした単語および文章を含む膨大なテキストデータに基づいて深層学習を行うことで言語のパターンを学習して文章の意味および構造の理解または文章の生成ができるように構成した言語モデルである。この言語モデルとは、テキストデータから人間が使用する自然言語のパターンを抽出して単語の出現確率を分析することで、特定の単語の次に並ぶ単語または句を予測する機械学習モデルである。
【0036】
また、本発明の他の特徴は、前記出身地推定システムにおいて、さらに、出身地推定手段が推定した出身地に基づいて対象者が理解可能な言語を推定する言語推定手段と、言語推定手段が推定した言語を出力する推定言語出力手段とを備えることにある。
【0037】
これによれば、出身地推定システムは、名前情報に基づいて対象者の出身地を推定する出身地推定手段およびこの推定した出身地に基づいて対象者の理解可能言語を推定する言語推定手段をそれぞれ備えて構成されている。このため、出身地推定システムは、入手が容易な名前情報に基づいてその対象者の出身地および理解可能言語を容易に推定することができる。
【0038】
また、本発明の他の特徴は、前記出身地推定システムにおいて、言語推定手段は、対象者が理解可能な言語として複数の言語を推定することにある。
【0039】
これによれば、出身地推定システムは、対象者の理解可能言語として複数の言語を推定する言語推定手段を備えているため、対象者が理解することができる理解可能言語として使用者に複数の言語を示すことができる。
【0040】
また、本発明の他の特徴は、前記出身地推定システムにおいて、さらに、出身地推定手段が推定した出身地に基づいて対象者を応接する際に有用な情報を推定する応接情報推定手段と、応接情報推定手段が推定した情報を出力する応接情報出力手段とを備えることにある。
【0041】
これによれば、出身地推定システムは、出身地推定手段が推定した出身地に基づいて対象者を応接する際に有用な情報(応接情報)を推定する応接情報推定手段を備えている。このため、出身地推定システムは、入手が容易な名前情報に基づいてその対象者の出身地および応接情報を容易に推定することができる。
【0042】
また、本発明は、出身地推定システムの発明として実施できるばかりでなく、出身地推定プログラムまたは出身地推定方法の発明としても実施できるものである。
【0043】
具体的には、出身地推定プログラムは、対象者の出身地に関する情報を推定する処理をコンピュータ装置に実行させる出身地推定プログラムであって、コンピュータ装置に、少なくとも対象者の名を含んで構成される対象者の名前を表す名前情報の入力を受け付けるための名前情報入力ステップと、名前情報入力ステップを介して入力された名前情報に基づいて対象者の出身地を推定する出身地推定ステップと、出身地推定ステップによって推定された出身地を出力する出身地出力ステップとを実行させ、名前情報は、名前において対象者の名の部分を表す名情報と、名前において対象者の名以外の部分を表す非名情報とから構成されており、出身地推定ステップは、名前情報入力ステップを介して入力された名前情報における対象者の名前の名の部分と名以外の部分とをそれぞれ分離した名情報および非名情報の両情報に基づいて出身地を推定するようにするとよい。
【0044】
これによれば、出身地推定プログラムは、上記した出身地推定システムの発明と同様の作用効果を期待することができる。
【0045】
また、出身地推定方法は、対象者の出身地に関する情報を推定する出身地推定システムを用いた出身地推定方法であって、出身地推定システムは、請求項1ないし請求項8のうちのいずれか1つに記載した出身地推定システムで構成されており、名前情報入力手段に名前情報を入力する名前情報入力ステップと、名前情報入力手段に入力された名前情報に基づいて出身地推定手段に対象者の出身地を推定させる出身地推定ステップと、出身地推定手段に推定させた出身地を出身地出力手段に出力させる出身地出力ステップとを含み、名前情報は、名前において対象者の名の部分を表す名情報と、名前において対象者の名以外の部分を表す非名情報とから構成されており、出身地推定手段は、名前情報入力手段を介して入力された名前情報における対象者の名前の名の部分と名以外の部分とをそれぞれ分離した名情報および非名情報の両情報に基づいて出身地を推定するようにするとよい。
【0046】
これによれば、出身地推定方法は、上記した出身地推定システムの発明と同様の作用効果を期待することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【
図1】本発明の実施形態に係る出身地推定システムのシステム構成の概略を模式的に示すブロック図である。
【
図2】更新処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【
図3】出身地推定アプリの処理の流れを示すフローチャートである。
【
図4】
図3に示す出身地推定アプリを実行することで表示画面に表示される初期画面を示す模式図である。
【
図5】
図3に示す出身地推定アプリを実行することで表示画面に表示されるメニュー画面を示す模式図である。
【
図6】機能実現処理の流れを示すフローチャートである。
【
図7】
図6に示す機能実現処理を実行することで表示画面に表示される入力画面を示す模式図である。
【
図8】出身地推定プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【
図9】
図8に示す出身地推定プログラムを実行することで表示画面に表示される推定結果画面の一部を示す模式図である。
【
図10】
図8に示す出身地推定プログラムを実行することで表示画面に表示される推定結果画面の他の一部を示す模式図である。
【
図11】アンケート処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0048】
(出身地推定システム100の構成)
以下、本発明に係る出身地推定システムの一実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る出身地推定システムにおける制御システムの概略を示すブロック図である。
【0049】
この出身地推定システム100は、対象者の名前情報に基づいてその対象者の出身地を推定するための推定装置である。本実施形態においては、出身地推定システム100は、病院または診療所などの医療機関において使用者が対象者を応接する場合に使用される。ここで、名前情報は、少なくとも対象者の名を含んで構成される対象者の名前を表す情報である。具体的には、名前情報は、対象者の名前を正式表記または非正式表記で表した文字情報、対象者の名前の呼称を表す音声情報または対象者の名前を写した画像情報などの各種情報が含まれ得る。
【0050】
ここで、正式表記とは、対象者の名前を表す文字の表記として同対象者の出身地の行政機関に公式に登録された表記または対象者本人が自身の名前を表す文字表記として日常生活において最も多く使用している表記をいう。また、非正式表記は、対象者の名前の一部または全部を正式表記とは異なる綴り、文字または記載表現で表した文字表記をいう。
【0051】
例えば、対象者Cの正式表記が「Jennifer Van Stuart」である場合には、異なる綴りで表した「Jennifer Van Stewart」、異なる文字(片仮名)で表した「ジェニファー・バン・スチュアート」または異なる記載表現で表した「ジェニファ・ヴァン・スチュワート」および「Jenn Stuart」などが非正式表記に該当する。
【0052】
ここで、「ジェニファ・ヴァン・スチュワート」は、対象者Cの名前の称呼を片仮名で表記する場合に表記の揺らぎ(例えば、「ジェニファー」を「ジェニファ」、「ヴァン」を「バン」と表記する場合など)から生じる複数通りの記載表現のうちの1つである。また、「Jenn Stuart(ジェン・スチュアート)」は、対象者Cの名である「Jennifer」を愛称の「Jenn」で表すとともに第三名称(所謂、ミドルネーム)の「Van」を省略して対象者Cの名前を正式表記とは異なる記載表現で表した文字表記である。
【0053】
これらの非正式表記のうち、「ジェニファー・バン・スチュアート」および「ジェニファ・ヴァン・スチュワート」は、対象者Cの名前をその称呼に基づいて文字で表した文字表記である。すなわち、対象者の名前の非正式表記には、対象者の名前をその称呼に基づいて文字で表した文字表記が含まれる。
【0054】
また、使用者とは、出身地推定システム100を使用する者であり、本実施形態においては、医療機関において対象者の応接をする者またはその応接を支援する者である。具体的には、使用者は、医師、看護師または技師などの医療機関の利用者に対して医療行為または医療行為に準ずる行為を行う者または医療事務を行う者などがあげられる。また、対象者とは、使用者が出身地推定システム100を用いて出身地を推定する対象となる者である。本実施形態においては、対象者は、医療機関を利用する利用者であり、具体的には医療機関に訪れる患者、医療機関において健康診断を受ける健康な者または医療機関に入院する者を見舞う訪問者などがあげられる。
【0055】
この出身地推定システム100は、
図1に示すように、主として、使用者端末101、アプリケーションサーバ200(以下、「APサーバ200」という)および生成AIサーバ300をそれぞれ備えて構成されている。使用者端末101は、使用者から対象者の名前情報を受け付けるとともに受け付けた名前情報に基づいて推定した対象者の出身地(以下、「推定出身地」という)を表示する端末装置であり、平板状に形成されている。本実施形態においては、使用者端末101は、使用者が手で持つことができる携帯端末装置、具体的には、公知のタブレット端末装置で構成されている。この使用者端末101は、主として、記憶部110、入力部120、制御部130、出力部140および通信部150をそれぞれ備えて構成されている。
【0056】
記憶部110は、出身地推定アプリケーションプログラム(以下、「出身地推定アプリ」という)、アンケート処理プログラムおよびタブレット端末装置を作動させるためのOS(オペレーティングシステム)などをそれぞれ記憶しておく記憶装置である。例えば、記憶部110は、HDD、SSD、ROMまたはRAMなどで構成されている。
【0057】
また、記憶部110は、使用者端末101が使用者から受け付けた対象者の名前情報およびAPサーバ200から受信した応答情報などの各種情報を記憶する。この場合、出身地推定アプリおよびアンケート処理プログラムは、出身地推定システム100の使用者または管理者によって予め記憶部110にそれぞれ記憶される。
【0058】
ここで、出身地推定アプリは、APサーバ200と連携して出身地推定システム100を実現するためのアプリケーションプログラムである。本実施形態においては、出身地推定アプリは、インターネットを介してWebブラウザ上で動作するWebアプリケーション(以下、「Webアプリ」という)で構成されている。この出身地推定アプリは、対象者の名前情報に基づいてその対象者の出身地を推定する機能(以下、「出身地推定機能」という)および出身地推定機能によって推定した推定結果について使用者の意見を調査する機能(以下、「アンケート機能」という)をそれぞれ備えている。
【0059】
なお、出身地推定アプリは、必ずしもWebアプリで構成されている必要はない。例えば、出身地推定アプリは、端末上で動作するネイティブアプリケーション(以下、「ネイティブアプリ」という)またはWebアプリ用の開発言語を用いて開発された端末上で動作するハイブリッドアプリケーションで構成することもできる。
【0060】
また、アンケート処理プログラムは、出身地推定システム100が推定した推定結果について使用者の意見を調査するアンケートを実行するためのコンピュータプログラムである。具体的には、アンケート処理プログラムは、制御部130の作動を制御してアンケートを出力部140に出力するとともに入力部120を介してアンケートに対する使用者からの回答を受け付ける。また、アンケート処理プログラムは、制御部130の作動を制御して使用者から受け付けた回答を用いてフィードバック情報を生成した後、使用者の回答とフィードバック情報とをアンケート結果情報として通信部150を介してAPサーバ200(記憶部210)に出力する。
【0061】
本実施形態においては、アンケート結果情報は、推定出身地の正誤を評価した出身地正誤情報、推定地域関連情報の正誤を評価した地域関連正誤情報、推定結果に対する対象者のコメントであるコメント情報、対象者の真の出身地を表す本出身地情報、対象者の真の地域関連情報を表す本地域関連情報およびフィードバック情報を含んで構成されている。ここで、フィードバック情報とは、推定結果に対する使用者の評価を出身地推定システム100に反映するために用いられる情報である。具体的には、フィードバック情報は、対象者の名前情報と本出身地情報とを対応付けた名前出身地対照情報および本出身地情報と本地域関連情報とを対応付けた本出身地関連情報などが含まれる。
【0062】
また、応答情報は、制御部130の指示に応じてAPサーバ200が出力した応答についての情報である。本実施形態においては、応答情報は、出身地推定アプリの起動通知に応じてAPサーバ200が出力する初期情報、出身地推定機能の実行指示に応じてAPサーバ200が制御部130に出力する推定出身地の情報(以下、「推定出身地情報」ともいう)および推定された地域関連情報の情報(以下、「推定地域関連情報」という)などが含まれる。
【0063】
この初期情報は、例えば、出身地推定アプリの初期画面に関する初期画面情報、操作項目が一覧で表示されるメニュー画面に関するメニュー画面情報、使用者が対象者の名前情報を入力するための入力画面に関する入力画面情報、推定結果を表示するための推定結果画面に関する推定結果画面情報および使用者に対して使用者に提示するアンケートが表示されたアンケート画面に関するアンケート画面情報などが含まれる。ここで、初期画面は、出身地推定アプリが実行された際に最初に表示される操作画面である。
【0064】
入力部120は、出身地推定システム100に対する使用者からの操作を受け付けるための入力装置であり、使用者からの入力操作に応じた操作情報を制御部130に出力する。本実施形態においては、入力部120はタブレット端末装置を構成するタッチパネル上に表示されて実現されている。入力部120は、制御部130の指示に従って使用者から受け付けた対象者の名前情報を記憶部110に出力する。この場合、入力部120は、対象者の名前において対象者の名の部分を表す名情報と対象者の名以外の部分(具体的には、姓および/または第三名称)を表す非名情報とをそれぞれ独立した2つの情報として対象者の名前情報を受け付ける。この入力部120が、本発明に係る名前情報入力手段に相当する。
【0065】
制御部130は、CPU、ROM、RAMなどからなるマイクロコンピュータによって構成されており、記憶部110に記憶されている出身地推定アプリを実行することで使用者端末101における各部の作動をそれぞれ制御する。具体的には、制御部130は、入力部120からの対象者の名前情報の入力に応じて、対象者の名前情報に基づきその対象者の出身地を推定するようにAPサーバ200に対して指示する。また、制御部130は、前記指示に応じてAPサーバ200が発信した応答情報を出力部140に表示させる。
【0066】
また、制御部130は、記憶部110に記憶されているアンケート処理プログラムを実行することにより、アンケート画面の表示、アンケート結果の取得、フィードバック情報の生成およびアンケート結果情報の生成をそれぞれ実行する。具体的には、制御部130は、アンケート処理プログラムの実行によって作動するアンケート処理部131を備えている。
【0067】
アンケート処理部131は、使用者からの指示に従って、記憶部110に記憶されているアンケート画面情報を出力部140に表示させることで、入力部120を介してアンケートに対する使用者の回答の入力を受け付ける。また、アンケート処理部131は、記憶部110に記憶されている対象者の名前情報および前記使用者の回答を用いてフィードバック情報を生成した後、前記使用者の回答およびフィードバック情報をアンケート結果情報として通信部150を介してAPサーバ200(記憶部210)に出力する。具体的には、アンケート処理部131は、対象者の名前情報と前記使用者の回答に含まれる本出身地情報とを対応付けた名前出身地対照情報および本出身地情報と前記使用者の回答に含まれる本地域関連情報とを対応付けた本出身地関連情報をそれぞれ生成する。
【0068】
出力部140は、制御部130からの指示に従って記憶部110に記憶されている応答情報を出力するための出力装置である。この出力部140は、主として、表示画面141を備えて構成されている。
【0069】
表示画面141は、制御部130からの指示に基づいて応答情報を画像によって表示するための表示装置である。本実施形態においては、表示画面141は、タブレット端末装置を構成するタッチパネル式ディスプレイで構成されている。この出力部140が、本発明に係る出身地出力手段、推定言語出力手段および応接情報出力手段に相当する。
【0070】
通信部150は、APサーバ200との間でネットワークNWを介して情報を送受信する電気回路であり、制御部130によって作動が制御される。本実施形態においては、通信部150は、制御部130からの指示に従って入力部120が使用者から受信した対象者の名前情報およびアンケート処理部131が生成したアンケート結果情報をAPサーバ200(記憶部210)にそれぞれ出力する。また、通信部150は、制御部130の指示に従ってAPサーバ200から受信した応答情報を記憶部110に出力する。
【0071】
また、使用者端末101は、記憶部110、入力部120、制御部130、出力部140および通信部150にそれぞれ電力を供給する図示しない電源部を備えている。本実施形態においては、電源部は、家庭用電源(100V)などの外部電源から電力を蓄えるバッテリ(ニッケル水素電池またはリチウムイオン電池などの充放電可能な二次電池)で構成されている。なお、電源部は、使用者端末101内に電力を供給できればよいため、乾電池などの一次電池または家庭用電源(100V)から直接電力を受けて各部に電力供給するように構成されていてもよい。
【0072】
APサーバ200は、制御部130からの指示に従って生成AIサーバ300と連携して使用者から受け付けた対象者の名前情報に基づきその対象者の出身地を推定するコンピュータ装置である。APサーバ200は、主として、記憶部210、制御部230および通信部250をそれぞれ備えて構成されている。
【0073】
記憶部210は、出身地推定プログラム、更新処理プログラムおよびAPサーバ200を作動させるためのOS(オペレーティングシステム)などをそれぞれ記憶しておく記憶装置である。例えば、記憶部210は、HDD、SSD、ROMまたはRAMなどで構成されている。また、記憶部210は、出身地推定アプリの起動通知に応じて記憶部110に出力する初期情報、アンケート処理プログラムを実行するための各種情報、アンケート結果情報、出身地推定プログラムを実行するための各種情報および更新処理プログラムを実行するための各種情報をそれぞれ記憶している。この場合、出身地推定プログラムおよび更新処理プログラムは、出身地推定システム100の使用者または管理者によって予め記憶部210にそれぞれ記憶される。
【0074】
ここで、アンケート処理プログラムを実行するための各種情報は、例えば、アンケート情報、アンケート画面情報、本出身地情報および本地域関連情報などが含まれる。このアンケート情報は、使用者端末101の表示画面141に表示されるアンケート画面を表すアンケート画面情報を生成するための情報である。ここで、アンケート画面は、出身地推定機能によって推定された推定結果について使用者の意見を調査するためのアンケートが表示された画像である。
【0075】
本実施形態においては、アンケート画面は、推定出身地について正誤を問う質問項目、推定した対象者の理解可能言語について正誤を問う質問項目、推定した応接情報について正誤を問う質問項目、誤った推定出身地に対応する対象者の名前とその対象者の真の出身地とを問う質問項目、誤った推定地域関連情報に対応する対象者の名前とその対象者の真の地域関連情報とを問う質問項目および使用者の意見を自由に受け付けるコメント欄をそれぞれ備えて構成されている。
【0076】
また、出身地推定プログラムは、制御部230の作動を制御して生成AIサーバ300によって対象者の名前に基づきその対象者の出身地を推定するためのコンピュータプログラムである。具体的には、出身地推定プログラムは、制御部230の作動を制御して生成AIサーバ300に対して対象者の出身地の推定を指示する内容の入力文を生成する。また、出身地推定プログラムは、制御部230の作動を制御して生成AIサーバ300から受け付けた前記入力文に対する回答を用いて推定出身地および推定地域関連情報を推定結果として使用者に提示するための推定結果提示情報を生成する。
【0077】
ここで、入力文とは、生成AIサーバ300が備える機械学習モデルに対して入力する文字情報であり、所謂、プロンプトである。この入力文は、主として、主文および付加文をそれぞれ備えて構成されている。主文は、入力文において生成AIサーバ300に対する指示または指示に加えて生成AIサーバ300が出力する回答についての制約条件が示されている部分をいう。また、付加文は、入力文において対象者の名前情報が示されている部分をいう。この場合、入力文は、制御部230によって生成された後、制御部230の指示に従って生成AIサーバ300に出力される。
【0078】
また、出身地推定プログラムを実行するための各種情報は、例えば、対象者の出身地、地域関連情報、制御部130から受け付けた対象者の名前情報、入力文を生成するための入力文生成情報、対象者の名情報および非名情報を用いて生成された対象者の名前全体情報、入力文生成情報に基づいて生成された入力文を表す入力文情報、入力文に応じて生成AIサーバ300が出力した回答を表す回答情報、対象者の出身地と地域関連情報とを対応付けた出身地関連情報および回答情報と出身地関連情報とを用いて生成された推定結果提示情報などの各種情報が含まれる。この場合、対象者の出身地、地域関連情報、入力文生成情報および出身地関連情報は、出身地推定システム100の使用者または管理者によって予め記憶部210に記憶される。
【0079】
本実施形態においては、対象者の出身地は、出身地の名称およびこの名称を表す国旗で表される。また、地域関連情報は、本実施形態においては、理解可能言語を表す理解可能言語情報、応接情報および宗教に関する宗教情報で構成されている。
【0080】
入力文生成情報は、制御部230において入力文を生成する際に入力文のひな型として用いられる文字情報であり、主として、主文生成情報および付加文生成情報をそれぞれ備えて構成されている。この主文生成情報は、入力文における主文を生成する際にひな型として用いられる文字情報であり、本実施形態においては、生成AIサーバ300が生成する回答の出力形式を制限する制約条件を含んで構成されている。具体的には、主文生成情報は、対象者の出身地について指定する複数の候補から選択して回答するように制限する条件を含んで構成されている。また、付加文生成情報は、入力文における付加文を生成する際にひな型として用いられる文字情報である。
【0081】
また、入力文情報は、主として、主文情報で構成されている。この主文情報は、制御部230によって対象者の名前情報および付加文生成情報を用いて生成された付加文情報を主文生成情報に付加して生成される。
【0082】
また、更新処理プログラムは、制御部230の作動を制御して、対象者の名前情報から対象者の出身地を推定する処理を実行する機械学習モデル(以下、「出身地推定モデル」という)のファインチューニングを実行するためのコンピュータプログラムである。ここで、ファインチューニングとは、事前学習により訓練された学習済みモデルに対して新たな追加データを用いて学習済みモデルの一部または全体を再度訓練することによって学習済みモデルを調節する技術を指す。また、更新処理プログラムは、制御部230の作動を制御してアンケート処理部131が生成したアンケート結果情報を用いて出身地推定モデルを再度訓練するための追加データの情報(以下、「追加データ情報」という)および出身地関連情報を更新するためのコンピュータプログラムである。
【0083】
また、更新処理プログラムを実行するための各種情報は、例えば、出身地推定モデルを再度訓練するための追加データの情報(以下、「追加データ情報」という)および追加データ情報の更新の有無に関する更新情報が含まれる。本実施形態においては、追加データ情報は、アンケート結果情報に含まれる正誤情報(出身地正誤情報および地域関連正誤情報)およびフィードバック情報(名前出身地対照情報)で構成されている。
【0084】
これらの更新処理プログラムを実行するための各種情報は、使用者または管理者がAPサーバ200における図示しない入力装置またはネットワークNWを介してAPサーバ200に接続する入力装置を用いて記憶部210に直接入力してもよいし、更新処理プログラムを実行することによってネットワークNWを介して外部の装置から自動的に記憶部210に入力されるように構成してもよい。
【0085】
具体的には、更新処理プログラムは、更新処理プログラムを実行するための各種情報を記憶部210に記憶する処理として、ネットワークNW上からクロールによって定期的に情報を収集して記憶部210に入力するように構成することができる。ここで、クロールとは、ソフトウェアが自動的にインターネットを巡回して様々なWebサイトからWebページの内容(すなわち、Webコンテンツ)を収集および保存する処理をいう。
【0086】
制御部230は、CPU、ROM、RAMなどからなるマイクロコンピュータによって構成されており、記憶部210に記憶されている出身地推定プログラムを実行することにより、入力文の生成および推定結果提示情報の生成をそれぞれ実行する。具体的には、制御部230は、出身地推定プログラムの実行によって作動する入力文生成部231、回答取得部232および提示情報生成部233をそれぞれ備えている。
【0087】
入力文生成部231は、制御部130からの指示に従って対象者の名前情報と予め記憶部210に記憶されている入力文生成情報とを用いて出身地推定モデルに対する指示を記載した入力文を生成する。本実施形態においては、入力文生成部231は、入力文のひな型である入力文生成情報に対象者の名前情報を構成する名情報および非名情報をそれぞれ加えた入力文を生成する。具体的には、入力文生成部231は、付加文生成情報に対象者の名前情報の一部または全部を挿入して付加文情報を生成した後、主文生成情報に前記生成した付加文情報を挿入して入力文を完成させる。
【0088】
回答取得部232は、通信部250を介した生成AIサーバ300からの回答情報の受信に応じて、受け付けた回答情報を記憶部210に記憶する。
【0089】
提示情報生成部233は、記憶部210に記憶されている回答情報および出身地関連情報を用いて推定結果提示情報を生成する。本実施形態においては、提示情報生成部233は、出身地関連情報の中から推定出身地に対応する推定地域関連情報(具体的には、推定した理解可能言語情報および応接情報)を抽出(検索)して推定結果提示情報を生成する。この場合、提示情報生成部233は、出身地関連情報を構成する理解可能言語情報から対象者の理解できる言語として複数の言語を抽出して推定結果提示情報を生成する。
【0090】
また、提示情報生成部233は、記憶部210に記憶されている入力画面情報、回答情報および生成した推定結果提示情報を用いて表示画面141に推定結果を表示するための推定結果画面情報を生成する。この提示情報生成部233が、本発明に係る言語推定手段および応接情報推定手段に相当する。
【0091】
加えて、制御部230は、記憶部210に記憶されている更新処理プログラムを実行することで追加データ情報および出身地関連情報の更新処理および出身地推定モデルのファインチューニングを実行する。具体的には、制御部230は、更新処理プログラムの実行によって作動する更新処理部234を備えている。
【0092】
更新処理部234は、アンケート結果情報に含まれる出身地正誤情報、地域関連正誤情報およびフィードバック情報(具体的には、名前出身地対照情報)のうちの少なくともいずれか1つを用いて追加データ情報を更新した後、追加データ情報が更新されたことを示す更新情報を生成して記憶部210に記憶する。また、更新処理部234は、アンケート結果情報に含まれるフィードバック情報(具体的には、本出身地関連情報)を用いて出身地関連情報を更新して記憶部210に記憶する。また、更新処理部234は、追加データ情報の更新に応じて、最新の追加データ情報を出身地推定モデルに入力して出身地推定モデルのファインチューニングの実行を指示する。
【0093】
通信部250は、使用者端末101および生成AIサーバ300との間でネットワークNWを介して情報を送受信する電気回路であり、制御部230によって作動が制御される。本実施形態においては、通信部250は、制御部230からの指示に従って入力文生成部231が生成した入力文情報を生成AIサーバ300に送信するとともに、入力文情報の回答として生成AIサーバ300が出力した回答情報を受信する。また、通信部250は、制御部230からの指示に従って記憶部210に記憶されている追加データ情報を生成AIサーバ300に送信する。
【0094】
生成AIサーバ300は、使用者端末101からの要求に応じて、人名とその人名を有する者の出身地との関連性を学習させた出身地推定モデルの作動を制御してAPサーバ200から受け付けた対象者の名前情報に基づきその対象者の出身地を推定するコンピュータ装置である。この生成AIサーバ300は、主として、出身地推定モデルを備えて構成されている。この生成AIサーバ300が、本発明に係る出身地推定手段に相当する。
【0095】
出身地推定モデルは、人名とその人名を有する者の出身地との関連性を示す情報を学習データとして用いて学習させることで、入力された特定の人名に基づいてその者の出身地を推定できるように構成した機械学習モデルである。この場合、出身地推定モデルは、自然言語処理(NLP:Natural language processing)用の機械学習モデルであり、具体的には、大規模言語モデル(LLM)で構成されている。ここで、自然言語処理とは、コンピュータ装置に対して人間が扱う自然言語を目的に応じて処理させる技術をいう。
【0096】
本実施形態においては、出身地推定モデルは、OpenAI社が開発したChatGPT(登録商標)を用いている。ただし、出身地推定モデルは、必ずしもChatGPT(登録商標)に限定されず他の大規模言語モデルを用いることができる。例えば、出身地推定モデルは、Google(登録商標)のGemini、Microsoft(登録商標)のCopilot、Anthropic(登録商標)のClaudeまたはPerplexity AI社のPerplexityなどで構成することができる。
【0097】
(出身地推定システム100の作動)
次に、このように構成した出身地推定システム100の作動について説明する。本実施形態においては、出身地推定システム100は、医療機関において来訪者の対応を行う者(使用者)が医療機関を訪れた者(対象者)を応接する際に利用する。この場合、予め、使用者または管理者は、APサーバ200において更新処理プログラムを実行することで生成AIサーバ300が備える出身地推定モデルを事前にファインチューニングしておく。
【0098】
具体的には、使用者または管理者は、まず、APサーバ200における制御部230(更新処理部234)に対して更新処理プログラムの実行を指示する。この指示に応じて、制御部230(更新処理部234)は、
図2に示す更新処理プログラムの実行をステップS100にて開始して、ステップS102にて、新たなアンケート結果情報を取得(記憶)しているか否かを判定する。
【0099】
この場合、制御部230(更新処理部234)は、記憶部210にアンケート結果情報が記憶されている場合には、新たなアンケート結果情報を取得しているものとして「Yes」と判定して、ステップS104に進む。一方、制御部230(更新処理部234)は、記憶部210にアンケート結果情報が記憶されていない場合には、この判定処理にて「No」と判定してステップS106に進む。
【0100】
次に、制御部230(更新処理部234)は、ステップS104にて、前記アンケート結果情報を用いて記憶部210に記憶されている追加データ情報および出身地関連情報をそれぞれ更新した後、アンケート結果情報を記憶部210から削除する。
【0101】
本実施形態においては、制御部230(更新処理部234)は、アンケート結果情報に含まれる正誤情報(出身地正誤情報および地域関連正誤情報)およびフィードバック情報(具体的には、名前出身地対照情報)を用いて追加データ情報を更新する。この場合、制御部230(更新処理部234)は、追加データ情報の更新完了に応じて、追加データ情報が更新されたことを示す更新情報を生成して記憶部210に記憶する。また、制御部230(更新処理部234)は、アンケート結果情報に含まれるフィードバック情報(具体的には、本出身地関連情報)を用いて出身地関連情報を更新する。
【0102】
次に、制御部230(更新処理部234)は、ステップS106にて、追加データ情報が更新されたか否かを判定する。この場合、制御部230(更新処理部234)は、前記ステップS104にて生成した更新情報が「更新あり」を示す場合には追加データ情報が更新されたものとして「Yes」と判定して、ステップS108に進む。ステップS108にて、制御部230(更新処理部234)は、前記更新した追加データ情報を用いた出身地推定モデルのファインチューニングの実行を生成AIサーバ300に指示する。
【0103】
一方、制御部230(更新処理部234)は、更新情報が「更新なし」を示す場合には、前記ステップS106における判定処理において「No」と判定してステップS110に進み、この更新処理プログラムの実行を終了する。すなわち、制御部230(更新処理部234)は、追加データ情報が更新されていなければ、出身地推定モデルのファインチューニング処理は行なわない。
【0104】
次に、使用者は、制御部130に対して出身地推定アプリの起動を指示する。具体的には、使用者は、使用者端末101の表示画面141に出身地推定アプリのショートカットアイコンを表示させた後、そのアイコンをタップする。この指示に応答して、制御部130は、
図3に示す出身地推定アプリの実行をステップS200にて開始する。次に、制御部130は、ステップS202にて、出身地推定アプリの起動通知に応じて制御部230が出力した応答情報(具体的には、初期情報)を記憶部110に記憶する。
【0105】
次に、制御部130は、ステップS204にて、
図4に示すように、制御部230から受信した初期情報に含まれる初期画面情報に基づいて表示画面141に出身地推定アプリの初期画面W141を表示する。本実施形態においては、初期画面W141は、表示画面141の左上部分に表示内容をメニュー画面W142に遷移するためのメニューボタン141aが表示されている。
【0106】
次に、制御部130は、ステップS206にて、終了サブプログラムを実行する。この終了サブプログラムは、使用者の操作に従って起動中の出身地推定アプリを強制終了させるためのコンピュータプログラムである。具体的には、制御部130は、表示画面141に表示されているコンテンツ(出身地推定アプリの実行による表示画像)を指でスワイプして表示画面141外に掃き出す操作によって出身地推定アプリの実行を終了する。この場合、制御部130は、終了サブプログラムを実行することで出身地推定アプリにおける他の処理が行われている最中であっても使用者の操作に従って出身地推定アプリの実行を強制的に終了させることができる。この終了サブプログラムは、出身地推定アプリの実行中において常に実行されている。
【0107】
次に、制御部130は、ステップS208にて、表示画面141に表示されているメニューボタン141aが選択されたか否かを判定する。この場合、制御部130は、使用者によってメニューボタン141aがタップされるまでの間、この判定処理に「No」と判定し続けて使用者によるメニューボタン141aのタップ操作を待つ。そして、制御部130は、使用者がメニューボタン141aをタップした場合にはこの判定処理にて「Yes」と判定してステップS210に進む。ステップS210にて、制御部130は、表示画面141を制御してメニュー画面W142を表示する。
【0108】
本実施形態においては、制御部130は、
図5に示すように、記憶部110に記憶されているメニュー画面情報に基づいて表示画面141に既に表示されている初期画面W141上に重ねた状態でメニュー画面W142を表示する。具体的には、制御部130は、初期画面W141を左右で分割した左側の領域にメニュー画面W142を重ねて表示する。この場合、メニュー画面W142は、出身地推定アプリが備える出身地推定機能およびアンケート機能の実現を指示するための出身地推定ボタン142aおよびアンケートボタン142bがそれぞれ表示されている。
【0109】
次に、制御部130は、ステップS212にて、メニュー画面バックサブプログラムを実行する。このメニュー画面バックサブプログラムは、使用者の操作に従って表示画面141の表示内容をメニュー画面W142(現在表示中の画面)から初期画面W141(1つ前の画面)に戻すためのコンピュータプログラムである。
【0110】
具体的には、制御部130は、メニュー画面バックサブプログラムの実行をステップS212にて開始して、入力部120に対して初期画面W141に戻るための操作が行われたか否かを判定する。この場合、制御部130は、表示画面141においてメニュー画面W142の右側に表示されている初期画面W141の一部(
図5におけるドットハッチングの部分)がタップされた場合には初期画面W141に戻るための操作が行われたものとして「Yes」と判定して、ステップS208に戻る。一方、制御部130は、前記初期画面W141の一部がタップされない場合には、この判定処理にて「No」と判定してステップS214に進む。このメニュー画面バックサブプログラムは、出身地推定アプリの実行中において常に実行されている。
【0111】
次に、制御部130は、ステップS214にて、出身地推定機能およびアンケート機能をそれぞれ実現するための機能実現処理を実行する。具体的には、制御部130は、まず、
図6に示す機能実現処理の実行をステップS300にて開始して、ステップS302にて、メニュー画面W142に表示されている出身地推定ボタン142aが選択されたか否かを判定する。この場合、制御部130は、メニュー画面W142に表示されている出身地推定ボタン142aが使用者によってタップされた場合には出身地推定ボタン142aが選択されたものとして「Yes」と判定して、ステップS304に進む。
【0112】
ステップS302において出身地推定ボタン142aが選択された場合、制御部130は、ステップS304にて、
図7に示すように、記憶部110に記憶されている入力画面情報に基づいて表示画面141に入力画面W143を表示する。本実施形態においては、入力画面W143は、対象者の名前を入力するための名前入力欄143Aおよび推定結果を表示する推定結果表示欄143Bで構成されている。
【0113】
この場合、入力画面W143は、使用者に対して出身地推定機能の使用方法を説明する文言「国籍を知りたい方の名前を入力して下さい」が入力画面W143の上部に表示されているとともに、前記文言の下方に名前入力欄143Aおよび推定結果表示欄143Bがそれぞれ配置されている。また、入力画面W143は、入力画面W143をメニュー画面W142に遷移するための戻るボタン143eが入力画面W143の左側上部に表示されている。
【0114】
この名前入力欄143Aは、名入力欄143aおよび非名入力欄143bで構成されている。名入力欄143aは、対象者の名前全体において対象者の名の部分を入力するための欄である。また、非名入力欄143bは、対象者の名前全体において対象者の名以外の部分(具体的には、姓および/または第三名称)を入力するための欄である。
【0115】
また、推定結果表示欄143Bは、推定出身地欄143cおよび推定地域関連情報欄143dで構成されている。この推定出身地欄143cは、推定結果提示情報を構成する推定出身地を表示するための欄である。この場合、対象者の名前がまだ入力されていない未入力の入力画面W143には、使用者に対して対象者の名前の入力を促す「名前を入力してください。」の文言が推定出身地欄143cに表示されている。また、推定地域関連情報欄143dは、推定結果提示情報を構成する推定地域関連情報を表示するための欄である。この場合、推定地域関連情報欄143dは、対象者の理解可能言語を表示するための言語欄143daおよび応接情報を表示するための応接情報欄143dbをそれぞれ備えて構成されている。
【0116】
次に、制御部130は、ステップS306にて、入力画面バックサブプログラムを実行する。この入力画面バックサブプログラムは、使用者の操作に従って表示画面141の表示内容を未入力の入力画面W143(現在表示中の画面)、入力後の入力画面W143または推定結果画面W144からメニュー画面W142(1つ前の画面)に戻すためのコンピュータプログラムである。
【0117】
具体的には、制御部130は、入力画面バックサブプログラムの実行をステップS306にて開始して、入力部120に対してメニュー画面W142に戻るための操作が行われたか否かを判定する。この場合、制御部130は、入力画面W143に表示されている戻るボタン143eが使用者によってタップされた場合にはメニュー画面W142に戻るための操作が行われたものとして「Yes」と判定して、ステップS302に戻る。一方、制御部130は、戻るボタン143eがタップされない場合には、この判定処理にて「No」と判定してステップS308に進む。この入力画面バックサブプログラムは、機能実現処理の実行中において常に実行されている。
【0118】
次に、制御部130は、ステップS308にて、名前入力欄143Aに対する文字情報の入力の有無を判定する。この場合、制御部130は、使用者が名前入力欄143Aに対して入力操作を開始するまでの間、この判定処理に「No」と判定し続けて使用者が名前入力欄143Aに対して入力操作を開始することを待つ。そして、制御部130は、使用者が名前入力欄143Aに対して入力操作を開始した場合にはこの判定処理にて「Yes」と判定してステップS310に進む。次に、制御部130は、ステップS310にて、使用者の入力操作に応じた文字情報を入力画面W143の名前入力欄143Aに表示する。本実施形態においては、制御部130は、名前入力欄143Aを構成する名入力欄143aおよび非名入力欄143bに対して使用者の入力操作に応じた文字情報を表示する。
【0119】
次に、制御部130は、ステップS312にて、表示画面141に表示されている入力完了ボタンが使用者によって選択されたか否かを判定する。ここで、入力完了ボタンは、使用者が制御部130に対して対象者の名前の入力操作を完了したことを通知するためのボタンであるとともに、制御部130に対して対象者の出身地の推定を指示するためのボタンである。本実施形態においては、入力完了ボタンは、対象者の名前を入力する際に表示画面141に表示されるキーボードのEnterキーで構成されている。
【0120】
この場合、制御部130は、使用者が表示画面141に表示されているEnterキーをタップするまでの間、この判定処理に「No」と判定し続けてステップS308に戻る。これにより、制御部130は、使用者による対象者の名前の入力が完了するまで前記ステップS308~ステップS312の各処理を繰り返し実行する。一方、制御部130は、使用者がEnterキーをタップした場合には、この判定処理にて「Yes」と判定してステップS314に進む。これらのステップS308~S312までにおける対象者の名前情報の入力を受け付けて完了するまでの名前情報入力処理が、本発明に係る名前情報入力ステップに相当する。
【0121】
次に、制御部130は、ステップS314にて、使用者から受け付けた対象者の名前を対象者の名前情報として通信部150を介して記憶部210に記憶する。ここで、本実施形態においては、使用者が、対象者Dの名前「Mariel Raymundo Cruz」(フルネームかつ正式表記)として入力画面W143の名入力欄143aに「マリエル」と入力するとともに、非名入力欄143bに「レイモンド・クルス」と入力した場合を想定して説明する。この場合、使用者が入力した対象者の名情報「マリエル」および非名情報「レイモンド・クルス」は、使用者が認識した対象者Dの名前の称呼に基づいて対象者Dの名前を片仮名および記号(文字)で表した情報である。
【0122】
この場合、制御部130は、「マリエル」を対象者Dの名情報として記憶部210に記憶するとともに、「レイモンド・クルス」を対象者Dの非名情報として名前情報とは別個に記憶部210に記憶する。また、制御部130は、記憶部210に記憶した名情報および非名情報に基づいてその対象者の出身地を推定するように要求する指示(以下、「出身地推定指示」という)を制御部230に送信する。
【0123】
この出身地推定指示に応答して、制御部230は、
図8に示す出身地推定プログラムの実行をステップS400にて開始する。次に、制御部230(入力文生成部231)は、ステップS402にて、制御部130から受信した出身地推定指示に基づいて生成AIサーバ300に入力する入力文を生成する。本実施形態においては、制御部230(入力文生成部231)は、記憶部210に記憶されている対象者Dの名情報「マリエル」および非名情報「レイモンド・クルス」と記憶部210に記憶されている入力文生成情報とを用いて入力文を生成する。
【0124】
まず、制御部230(入力文生成部231)は、入力文を構成する付加文を生成する。具体的には、制御部230(入力文生成部231)は、記憶部210から対象者Dの名情報「マリエル」、対象者Dの非名情報「レイモンド・クルス」および付加文生成情報「対象者の名前において名(ファーストネーム)は<X1>です。名以外の部分(例えば、姓やミドルネームなど)は<X2>です。」を読み出す。次いで、制御部230(入力文生成部231)は、付加文生成情報における「X1」および「X2」の各部分に対象者Dの名情報「マリエル」および非名情報「レイモンド・クルス」をそれぞれ挿入する。
【0125】
これらの処理により、制御部230(入力文生成部231)は、付加文情報「対象者の名前において名(ファーストネーム)は<マリエル>です。名以外の部分(例えば、姓やミドルネームなど)は<レイモンド・クルス>です。」を生成することができる。
【0126】
次いで、制御部230(入力文生成部231)は、記憶部210から主文生成情報「次の名前を持つ対象者の国籍として以下の国籍から最も近いものを推定して挙げてください。回答は国名のみで答えて下さい。また、回答には推定した理由は不要です。<<Y1>> 国籍:日本、欧米、中国、ブラジル、フィリピン、インドネシア、ベトナム、その他」を読み出す。次いで、制御部230(入力文生成部231)は、主文生成情報における「Y1」の部分に前記生成した付加文情報を挿入して主文情報を生成する。そして、制御部230(入力文生成部231)は、生成した主文情報を入力文情報として記憶部210に記憶する。
【0127】
これらの処理により、制御部230(入力文生成部231)は、入力文情報「次の名前を持つ対象者の国籍として以下の国籍から最も近いものを推定して挙げてください。回答は国名のみで答えて下さい。回答として推定した理由は不要です。<<対象者の名前において名(ファーストネーム)は<マリエル>です。名以外の部分(例えば、姓やミドルネームなど)は<レイモンド・クルス>です。>> 国籍:日本、欧米、中国、ブラジル、フィリピン、インドネシア、ベトナム、その他」を生成することができる。
【0128】
次に、制御部230は、ステップS404にて、通信部250を介して前記生成した入力文情報を生成AIサーバ300に送信する。すなわち、制御部230は、対象者の名前を名の部分と非名部分とにそれぞれ分離した名情報および非名情報を含む入力文情報を生成AIサーバ300に送信する。
【0129】
次に、生成AIサーバ300は、制御部230から受信した入力文情報に従って出身地推定モデルを制御して入力文情報に対応する対象者の出身地を推定して回答を生成する。本実施形態においては、出身地推定モデルは、前記入力文情報に含まれる回答についての制約条件に従って前記入力文情報に示された対象者の名情報および非名情報に基づきその対象者の出身地を推定する。この対象者の名情報および非名情報に基づいてその対象者の出身地を推定する処理が、本発明に係る出身地推定ステップに相当する。
【0130】
本実施形態においては、出身地推定モデルは、前記入力文情報において指定された複数の国(日本、欧米、中国、ブラジル、フィリピン、インドネシア、ベトナムまたはその他)の中から対象者の国籍を選択して回答を国名で生成する。具体的には、出身地推定モデルは、対象者Dの名情報「マリエル」および非名情報「レイモンド・クルス」に基づき対象者Dの出身地(国籍)として「フィリピン」を推定して回答を生成する。次いで、生成AIサーバ300は、前記入力文情報に対する回答「フィリピン」を回答情報として制御部230に対して送信する。
【0131】
次に、制御部230(回答取得部232)は、ステップS406にて、回答情報を取得したか否かを判定する。この場合、制御部230(回答取得部232)は、通信部250が生成AIサーバ300から回答情報を受信するまでの間、この判定処理に「No」と判定し続けて通信部250が回答情報を受信するまで待つ。そして、制御部230(回答取得部232)は、通信部250が回答情報を受信した場合には、この判定処理にて「Yes」と判定して、ステップS408にて、回答情報を記憶部210に記憶する。
【0132】
次に、制御部230(提示情報生成部233)は、ステップS410にて、記憶部210に記憶されている回答情報および出身地関連情報を用いて推定結果提示情報を生成する。この場合、制御部230(提示情報生成部233)は、出身地関連情報の中から回答情報に対応する推定地域関連情報を抽出して推定結果提示情報を生成する。本実施形態においては、制御部230(提示情報生成部233)は、出身地関連情報の中からフィリピン(推定出身地)に対応する理解可能言語および応接情報(すなわち、推定地域関連情報)を抽出して推定地域関連情報を生成する。
【0133】
次に、制御部230(提示情報生成部233)は、ステップS412にて、記憶部210に記憶されている入力画面情報、出身地推定モデルが生成した回答情報および推定結果提示情報を用いて推定結果画面情報を生成する。本実施形態においては、制御部230(提示情報生成部233)は、入力画面情報の推定結果表示欄143Bに推定結果提示情報を挿入して推定結果画面情報を生成する。
【0134】
次に、制御部230は、ステップS414にて、通信部250を介して前記生成した推定結果画面情報を制御部130に送信する。その後、制御部230は、ステップS416にて、出身地推定プログラムの実行を終了して、機能実現処理におけるステップS316に進む。
【0135】
次に、制御部130は、ステップS316にて、推定結果画面情報を取得したか否かを判定する。この場合、制御部130は、通信部150が制御部230から推定結果画面情報を受信するまでの間、この判定処理に「No」と判定し続けてステップS308に戻る。これにより、制御部130は、通信部150を介して制御部230から推定結果画面情報を取得するまで前記ステップS308~ステップS316の各処理を繰り返し実行する。一方、制御部130は、通信部150が制御部230から推定結果画面情報を受信した場合には、この判定処理にて「Yes」と判定してステップS318に進む。
【0136】
次に、制御部130は、ステップS318にて、
図9および
図10にそれぞれ示すように、制御部230から受け付けた推定結果画面情報に基づいて表示画面141に推定結果画面W144を表示する。本実施形態においては、推定結果画面W144は、入力画面W143と同様に、名前入力欄143Aおよび推定結果表示欄143Bで構成されている。
【0137】
この場合、名前入力欄143Aには、ステップS310において使用者の入力操作に応じて名入力欄143aおよび非名入力欄143bのそれぞれに表示した名前情報が示されている。また、推定結果表示欄143Bは、推定出身地欄143cに推定した国籍の名称として「フィリピン」が表示されており、言語欄143daにはフィリピンの国旗、「タガログ語、英語」および「タガログ語および英語が通じる可能性があります。」が表示されている。
【0138】
また、応接情報欄143dbには、対象者Dを接遇する際の注意点として「1.直接的な指差し:人を直接指で指し示す行動は、フィリピン文化において失礼とされています。2.手のひらを下にして手を振る:人を呼び寄せるときに手のひらを下にして手を振るジェスチャは、フィリピンでは動物を呼ぶ時の動作として解釈されることがあり、人に対して行うことは不適切とされています。3.声を高くして呼びかける:大声で人を呼ぶ行為は、フィリピンでは他の多くの文化圏と同様に失礼とされています。」が表示されている。この出身地推定プログラムの実行によって推定された推定結果を使用者端末101の表示画面141に表示する処理が、本発明に係る出身地出力ステップに相当する。
【0139】
そして、制御部130は、ステップS318の実行後、ステップS308に戻る。一方、制御部130は、上記したステップS302にて、使用者がメニュー画面W142に表示されている出身地推定ボタン142aをタップしない場合には出身地推定ボタン142aが選択されていないものとして「No」と判定して、ステップS320に進む。
【0140】
この場合、制御部130は、ステップS320にて、アンケート処理プログラムを実行する。具体的には、制御部130(アンケート処理部131)は、まず、
図11に示すアンケート処理プログラムの実行をステップS500にて開始して、ステップS502にて、メニュー画面W142に表示されているアンケートボタン142bが選択されたか否かを判定する。
【0141】
この場合、制御部130(アンケート処理部131)は、メニュー画面W142に表示されているアンケートボタン142bがタップされた場合にはアンケートボタン142bが選択されたものとして「Yes」と判定して、ステップS504に進む。
【0142】
次に、制御部130(アンケート処理部131)は、ステップS504にて、初期情報に含まれるアンケート画面情報に基づいて表示画面141にアンケート画面を表示する。本実施形態においては、アンケート画面は、出身地推定機能によって推定された推定結果の推定精度について使用者の意見を調査するための画面である。この場合、アンケート画面には、使用者がアンケートに対する回答を入力するための回答入力欄、使用者がアンケートの回答を確定させるための回答終了ボタンおよび表示画面141の表示内容をアンケート画面からメニュー画面W142に遷移するための戻るボタンがそれぞれ表示されている。
【0143】
次に、制御部130(アンケート処理部131)は、ステップS506にて、アンケート画面バックサブプログラムを実行する。このアンケート画面バックサブプログラムは、使用者の操作に従って表示画面141の表示内容を未回答のアンケート画面(現在表示中の画面)からメニュー画面W142(1つ前の画面)に戻すためのコンピュータプログラムである。
【0144】
具体的には、制御部130(アンケート処理部131)は、アンケート画面バックサブプログラムの実行をステップS506にて開始して、入力部120に対してメニュー画面W142に戻るための操作が行われたか否かを判定する。この場合、制御部130(アンケート処理部131)は、アンケート画面に表示されている戻るボタンがタップされた場合にはメニュー画面W142に戻るための操作が行われたものとして「Yes」と判定し、ステップS502に戻る。一方、制御部130(アンケート処理部131)は、戻るボタンがタップされない場合にはメニュー画面W142に戻るための操作が行われていないものとして「No」と判定して、ステップS508に進む。このアンケート画面バックサブプログラムは、アンケート処理プログラムの実行中において常に実行されている。
【0145】
次に、制御部130(アンケート処理部131)は、ステップS508にて、アンケート画面の回答入力欄に対する入力の有無を判定する。この場合、制御部130(アンケート処理部131)は、使用者が回答入力欄に対して入力操作を開始するまでの間、この判定処理に「No」と判定し続けて回答入力欄に対する入力の開始を待つ。そして、制御部130(アンケート処理部131)は、使用者が回答入力欄に対して入力操作を開始した場合にはこの判定処理にて「Yes」と判定してステップS510に進む。ステップS510にて、制御部130(アンケート処理部131)は、使用者の入力操作に応じた回答内容を回答入力欄に表示する。
【0146】
次に、制御部130(アンケート処理部131)は、ステップS512にて、表示画面141に表示されている回答終了ボタンが使用者によって選択されたか否かを判定する。ここで、回答終了ボタンは、使用者が制御部130(アンケート処理部131)に対してアンケートに対する回答の入力操作を完了したことを通知するためのボタンである。
【0147】
この場合、制御部130(アンケート処理部131)は、使用者が表示画面141に表示されている回答終了ボタンをタップするまでの間、この判定処理に「No」と判定し続けてステップS508に戻る。これにより、制御部130(アンケート処理部131)は、使用者のアンケートに対する回答の入力が完了するまで前記ステップS508~ステップS512の各処理を繰り返し実行する。一方、制御部130(アンケート処理部131)は、使用者が回答終了ボタンをタップした場合には、この判定処理にて「Yes」と判定してステップS514に進む。
【0148】
次に、制御部130(アンケート処理部131)は、ステップS514にて、入力部120を介して使用者から受け付けたアンケートに対する回答をアンケート結果情報として通信部150を介して記憶部210に記憶する。
【0149】
そして、制御部130(アンケート処理部131)は、ステップS514の実行後、ステップS508に戻る。一方、制御部130(アンケート処理部131)は、上記したステップS502にて、アンケート画面に表示されているアンケートボタン142bがタップされない場合にはアンケートボタン142bが選択されていないものとして「No」と判定して、ステップS516に進む。ステップS516にて、制御部130(アンケート処理部131)は、アンケート処理プログラムの実行を終了して、機能実現処理におけるステップS322に進む。
【0150】
次に、制御部130は、ステップS322にて、表示画面141の表示内容をメニュー画面W142から初期画面W141に遷移させるための操作が行われたか否かを判定する判定処理を実行する。このステップS322における判定処理は、出身地推定アプリの前記ステップS212におけるメニュー画面バックサブプログラムと類似の処理を実行することで行われる。そのため、ステップS322の判定処理において前記メニュー画面バックサブプログラムと共通する部分については説明を適宜省略する。
【0151】
この場合、制御部130は、表示画面141においてメニュー画面W142の右側に表示されている初期画面W141の一部がタップされた場合には「Yes」と判定して、ステップS302に戻る。一方、制御部130は、前記初期画面W141の一部がタップされない場合には、この判定処理にて「No」と判定してステップS324に進み、機能実現処理の実行を終了する。
【0152】
そして、制御部130は、ステップS324の実行後、出身地推定アプリにおけるステップS204に戻る。この出身地推定アプリは、使用者が前記ステップS206における終了サブプログラムを実行するまで繰り返し実行される。
【0153】
この場合、使用者は、対象者に対する応接を終えた後、出力部140の表示画面141に表示されているコンテンツ(出身地推定アプリの実行による表示画像)を指でスワイプすることで前記終了サブプログラムを実行する。これによれば、制御部130は、ステップS216にて、出身地推定システム100の実行を終了する。そして、使用者は、タブレット端末装置の電源をOFFにすることによって、使用者端末101の作動を停止(電源OFF)させる。
【0154】
上記作動説明からも理解できるように、上記実施形態によれば、出身地推定システム100は、少なくとも対象者の名を含んで構成される対象者の名前を表す名前情報に基づいて同対象者の出身地を推定する出身地推定手段を備えて構成されているため、入手が容易な名前情報に基づいて対象者の出身地を容易に推定することができる。
【0155】
さらに、本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。なお、各変形例の説明においては、上記実施形態と同様の部分については同じ符号を付して重複する説明は省略する。
【0156】
例えば、上記実施形態においては、出身地推定システム100は、対象者の名前情報を分離した名情報および非名情報の両情報に基づいてその対象者の出身地を推定する出身地推定手段を備えて構成した。これによれば、出身地推定システム100は、対象者の名を表す名情報と対象者の姓および/または第三名称を表す非名情報とに基づいてその対象者の出身地を推定することで推定の精度を向上させることができる。
【0157】
しかし、対象者の出身地によっては、対象者の名前全体(フルネーム)が名のみで構成されている場合がある。したがって、出身地推定システム100は、少なくとも対象者の名情報に基づいてその対象者の出身地を推定する出身地推定手段を備えて構成されていればよい。これによれば、出身地推定システム100は、対象者の名前が対象者の名のみで構成されている場合などの多様な名前に基づいた出身地の推定に対応することができる。また、出身地推定システム100は、少なくとも対象者の名情報に基づいてその対象者の出身地を推定することができるため、対象者の名前全体(フルネール)の情報に比べてより入手が容易な対象者の名情報に基づいてその対象者の出身地をより簡便に推定することができる。
【0158】
また、上記実施形態においては、出身地推定システム100は、入力部120を介して使用者からの対象者の名情報および非名情報の入力をそれぞれ別々の入力欄で受け付けるように構成した。これによれば、出身地推定システム100は、使用者から入力された情報に基づいてその対象者の名情報と非名情報とを明確に特定することができる。しかし、出身地推定システム100は、対象者の名情報と非名情報とが分離されていない状態で入力部120を介して使用者から入力を受け付けるように構成することができる。
【0159】
具体的には、出身地推定システム100は、入力部120を介して使用者からの対象者の名情報および非名情報の入力を同一の入力欄で受け付けるように構成することができる。この場合、出身地推定システム100は、名情報と非名情報とを区別可能な形式で入力することを使用者に対して求めるように構成してもよいし、名情報と非名情報とを一連に表した区別することができない形式で名前情報を受け付けるように構成してもよい。ここで、名情報と非名情報とを区別可能な形式とは、例えば、名情報または非名情報のうちのいずれか一方を括弧で括った形式または名情報と非名情報との間に空白(分かち書き)、中点、スラッシュハイフンまたはダブルハイフンなどの記号を記載した形式などがある。
【0160】
この場合、出身地推定システム100は、入力部120を介して受け付けた対象者の名前情報が名情報と非名情報とを区別可能な形式で入力されている場合には、その形式に基づいて対象者の名前情報を分離するように構成してもよい。また、出身地推定システム100は、対象者の名前情報が名情報と非名情報とを区別することができない形式で入力されている場合には、名前情報に基づいて対象者の名前の構成要素(具体的には、名、第三名称または姓)を推定して名前情報をそれぞれに分離するように構成してもよい。
【0161】
また、上記実施形態においては、出身地推定システム100は、使用者からの対象者の名情報の入力を名入力欄143aで受け付けるとともに、非名情報の入力を非名入力欄143bで受け付けるように構成した。しかし、出身地推定システム100は、対象者の名および第三名称の入力を名入力欄143aで受け付けるとともに、対象者の姓の入力を非名入力欄143bで受け付けるように構成することができる。これによれば、出身地推定システム100は、使用者から入力された情報に基づいて対象者の姓の情報を明確に特定することができる。この場合、出身地推定システム100は、対象者の名前情報を対象者の名および/または対象者の第三名称を含む情報と対象者の姓を表す情報とで構成することができる。
【0162】
また、上記実施形態においては、出身地推定システム100は、名前入力欄143Aを対象者の名情報を入力するための名入力欄143aおよび対象者の非名情報を入力するための非名入力欄143bで構成した。これによれば、出身地推定システム100は、対象者の名を入力する箇所(名入力欄143a)と対象者の非名部分を入力する箇所(非名入力欄143b)が明確になり対象者の名前情報の入力作業を容易にすることができる。しかし、出身地推定システム100は、名前入力欄143Aを対象者の名情報を入力するための欄、対象者の第三名称を入力するための欄および対象者の姓を入力するための欄で構成することができる。これによれば、出身地推定システム100は、使用者から入力された情報に基づいて対象者の名、第三名称および姓をそれぞれ明確に特定することができる。
【0163】
また、上記実施形態においては、出身地推定システム100は、名前情報入力手段(入力部120)をタブレット端末装置が備えるタッチパネルで構成した。しかし、名前情報入力手段は、上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、上記実施形態のタッチパネルに代えてまたは加えて、据置型タッチパネル、キーボード、マウス、カメラ、イメージスキャナまたはマイクなどで構成することができる。
【0164】
この場合、名前情報入力手段をカメラまたはイメージスキャナで構成した場合には、OCR(Optical Character Recognition/Reader:光学式文字認識)によって取り込んだ画像から対象者の名前を文字情報として抽出して出身地推定システム100に入力することができる。また、名前情報入力手段をマイクで構成した場合には、音声認識技術(SR:Speech Recognition)によって対象者の名前を出身地推定システム100に入力することができる。
【0165】
また、上記実施形態においては、出身地推定システム100は、名前情報入力手段を使用者端末101が一体的に備える入力部120で構成した。しかし、名前情報入力手段は、出身地推定システム100に対して対象者の名前情報を入力することができる装置であればよく、使用者端末101に対して非一体的に構成されていてもよい。例えば、名前情報入力手段は、対象者の名前情報を記憶したSDカード、USBメモリまたはボイスレコーダなどの記憶媒体またはネットワークNWを介して出身地推定システム100に接続する外部の入力装置または記憶装置で構成することができる。
【0166】
また、上記実施形態においては、出身地推定システム100は、出身地出力手段(表示画面141)をタブレット端末装置が備えるタッチパネル式ディスプレイで構成した。しかし、出身地出力手段は、上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、上記実施形態のタッチパネル式ディスプレイに代えてまたは加えて、据置型ディスプレイまたはスピーカなどで構成することができる。この場合、スピーカは、耳にあてたり、被せたりまたは差し込んだりして音を聞くことができる機器(例えば、イヤホンまたはヘッドホンなど)を含む。
【0167】
また、前記したマイクまたはスピーカは、必ずしも空気伝搬を利用して音を伝える機器である必要はなく、例えば、骨伝導または皮膚伝導などの頭部または頚部の振動によって音を伝える機器であってもよい。これによれば、出身地推定システム100は、使用者(例えば、難聴者または高齢者など)の聴覚能力が十分でない場合または使用場所が騒音環境である場合であっても、対象者の名前情報の入力を音声で受け付けることまたは推定結果を音声で出力することができる。
【0168】
また、上記実施形態においては、出身地推定システム100は、出身地出力手段を使用者端末101が一体的に備える表示画面141で構成した。しかし、出身地出力手段は、推定出身地を出力することができる装置であればよく、使用者端末101に対して非一体的に構成されていてもよい。例えば、出身地出力手段は、対象者の名前情報を記憶することができるSDカード、USBメモリまたはボイスレコーダなどの記憶媒体またはネットワークNWを介して出身地推定システム100に接続する外部の出力装置または記憶装置で構成することができる。
【0169】
また、上記実施形態においては、出身地推定システム100は、制御部230(入力文生成部231)が付加文生成情報に対象者の名情報および非名情報をそれぞれ挿入して付加文を生成するように構成した。しかし、出身地推定システム100は、制御部230(入力文生成部231)が付加文生成情報に対象者の名情報、非名情報および名情報と非名情報とを組み合わせて生成した対象者の名前全体を表す名前全体情報をそれぞれ挿入して付加文を生成するように構成してもよい。
【0170】
具体的には、制御部230(入力文生成部231)は、記憶部210から対象者Dの名情報「マリエル」、対象者Dの非名情報「レイモンド・クルス」および付加文生成情報「対象者の名前は<X1>です。この名前において名の部分は<X2>です。名以外の部分(例えば、姓やミドルネームなど)は<X3>です。」を読み出す。次いで、制御部230(入力文生成部231)は、付加文生成情報における「X2」および「X3」の各部分に対象者Dの名情報「マリエル」および非名情報「レイモンド・クルス」をそれぞれ挿入する。
【0171】
また、制御部230(入力文生成部231)は、対象者Dの名情報「マリエル」および非名情報「レイモンド・クルス」を組み合わせて対象者Dの名前全体を表す名前全体情報を「非名情報,名情報」の形式で生成する。次いで、制御部230(入力文生成部231)は、付加文生成情報における「X1」の部分に生成した名前全体情報を挿入して付加文情報を生成する。
【0172】
これらの処理により、制御部230(入力文生成部231)は、付加文情報「名前は<レイモンド・クルス,マリエル>です。この名前のうちの名の部分は<マリエル>です。名以外の部分(例えば、姓やミドルネームなど)は<レイモンド・クルス>です。」を生成することができる。また、制御部230(入力文生成部231)は、この生成した付加文生成情報を主文生成情報に挿入することで主文、すなわち、入力文を生成することができる。
【0173】
また、上記実施形態においては、入力文は、生成AIサーバ300に対する指示または指示に加えて生成AIサーバ300が出力する回答についての制約条件が示される主文と入力文において対象者の名前情報が示される付加文とで構成した。しかし、入力文は、対象者の名前情報と前記対象者の名前情報に基づいて同対象者の出身地の推定を生成AIサーバ300に対して求める指示が含まれていればよい。したがって、入力文は、入力文の内容を主文および付加文に分離せず、生成AIサーバ300に対する指示、制約条件および対象者の名前情報を含む1つの文章として構成することができる。
【0174】
また、上記実施形態においては、入力文は、出身地推定モデルが出力する回答の形式を制限する制約条件を含んで構成されている。これによれば、出身地推定システム100は、制約条件によって出身地推定モデルに対して回答の出力形式を制限することで出身地推定モデルに特定の範囲に絞って推定処理を行わせることができ回答の精度を向上させることができる。しかし、入力文は、制約条件を省略して構成することができる。
【0175】
また、上記実施形態においては、入力文は、出身地推定モデルに対する指示を文章で記載して構成した。しかし、入力文は、出身地推定モデルに対して指示を伝えることができる表現方法で少なくとも対象者の出身地の推定を求める指示が示されている情報であればよく、上記実施形態に限られるものではない。例えば、入力文は、箇条書きまたは表などの文字情報、音声情報または画像情報で構成することもできる。
【0176】
また、上記実施形態においては、出身地推定システム100は、対象者の名前情報および入力文生成情報を用いて入力文を生成する入力文生成部231を備えて構成した。しかし、出身地推定システム100は、正誤情報、コメント情報またはフィードバック情報などのアンケート結果情報に基づいて出身地推定モデルが生成した入力文生成情報を用いて入力文生成部231が入力文を生成するように構成してもよい。これによれば、出身地推定システム100は、推定結果に対する使用者の評価(アンケート結果情報)を反映した入力文に基づいてその対象者の出身地を推定することができ出身地推定モデルが出力する回答を使用者の期待する内容に近づけることができる。
【0177】
また、上記実施形態においては、出身地推定システム100は、出身地推定モデルが対象者の名前情報に基づいてその対象者の出身地として最も確率の高い出身地を1つ推定して出力するように構成した。しかし、出身地推定システム100は、出身地推定モデルが対象者の名前情報に基づいて複数の出身地を推定するように構成してもよい。これによれば、出身地推定システム100は、使用者に対して対象者の出身地の候補として複数の出身地を提示することができる。この場合、出身地推定システム100は、対象者の出身地として推定した複数の候補地を対象者の出身地として確率の高い候補地から順番に表示画面141に表示するように構成してもよい。
【0178】
また、上記実施形態においては、出身地推定システム100は、出身地推定モデルに対して対象者の名前情報に基づきその対象者の出身地のみを出力するように指示した。これによれば、出身地推定システム100は、出身地推定モデルを対象者の出身地の推定に特化させることで効率的に推定処理を実行させることができる。しかし、出身地推定システム100は、出身地推定モデルに対して対象者の名前情報に基づきその対象者の出身地および地域関連情報を推定するように構成することができる。
【0179】
これによれば、出身地推定システム100は、出身地推定モデルに対して対象者の出身地と地域関連情報との関連性を学習させることができ出身地推定モデルの回答の精度を向上させることができる。また、出身地推定システム100は、出身地推定モデルに対象者の出身地および地域関連情報を推定させるため、対象者の出身地および地域関連情報についてそれぞれの関係性を考慮した一貫した回答を得ることができるとともに、一度の入力で使用者に対して迅速に推定結果を提示することができる。
【0180】
また、上記実施形態においては、出身地推定システム100は、対象者の理解可能言語として複数の言語を推定する言語推定手段を備えて構成した。これによれば、出身地推定システム100は、対象者が理解することができる理解可能言語として使用者に複数の言語を示すことができる。しかし、出身地推定システム100は、対象者の理解可能言語として少なくとも一つの言語を推定することができるように構成されていればよい。
【0181】
また、上記実施形態においては、出身地推定システム100は、出身地関連情報から推定出身地に対応する推定地域関連情報を選択することで対象者の名前情報に基づいて対象者の地域関連情報(本実施形態においては、理解可能言語情報および応接情報)を推定する提示情報生成部233を備えて構成した。これによれば、出身地推定システム100は、入手が容易な名前情報に基づいて対象者の出身地、対象者の理解可能言語および応接情報を容易に推定することができる。
【0182】
しかし、出身地推定システム100は、対象者の名前情報に基づいて少なくとも対象者の出身地を推定する出身地推定手段を備えて構成されていればよい。したがって、出身地推定システム100は、提示情報生成部233が入力画面情報および回答情報を用いて表示画面141に推定出身地を表示するための推定結果画面情報のみを生成するように構成することができる。すなわち、出身地推定システム100は、言語推定手段、推定言語出力手段、応接情報推定手段および応接情報出力手段をそれぞれ省略して構成することができる。
【0183】
また、上記実施形態においては、出身地推定システム100は、使用者が認識した称呼に基づき対象者Dの名前を片仮名で表した非正式表記の名情報「マリエル」および非正式表記の非名情報「レイモンド・クルス」に基づいて対象者Dの出身地を推定した。これによれば、出身地推定システム100は、対象者Dの名前の正式表記「Mariel Raymundo Cruz」が不明である場合であっても前記対象者Dの非正式表記に基づいて対象者Dの出身地を推定することができる。
【0184】
また、出身地推定システム100は、使用者が正確に対象者Dの名前を聞き取るまたは読むことができない場合であっても使用者が認識した対象者Dの名前の称呼に基づく名前情報から対象者Dの出身地を推定することができる。しかし、出身地推定システム100は、入力部120を介して対象者から入力された対象者の正式表記を名前情報として受け付けて、対象者の正式表記に基づきその対象者の出身地を推定するように構成することができる。
【0185】
また、上記実施形態においては、出身地推定システム100は、出身地推定モデルを大規模言語モデルで構成した。これによれば、出身地推定システム100は、人名の構成および人名に用いられている言葉の意味を踏まえて対象者の出身地を推定することができ推定の精度を向上させることができる。しかし、出身地推定システム100は、機械学習モデルを用いることなく対象者の名前情報に基づいてその対象者の出身地を推定するように構成することができる。
【0186】
具体的には、出身地推定システム100は、複数の対象者の名前と各対象者の出身地の候補である候補地とを対応付けたデータベースを用いて対象者の出身地を推定することができる。このデータベースは、対象者のそれぞれの名前に対して1つの候補地が紐づけられた情報および/または対象者のそれぞれの名前に対して複数の候補地が紐づけられた情報で構成することができる。この場合、対象者の名前は、少なくとも対象者の名を含んで構成されていればよい。そして、このようなデータベースを備えたまたは接続されたコンピュータ装置は、使用者によって入力される名前情報に基づいてデータベースから1つまたは複数の候補地を選択(推定)して出力するように構成することができる。
【0187】
また、上記実施形態においては、出身地推定システム100は、出身地推定モデルを大規模言語モデルで構成した。しかし、出身地推定モデルの種類は、大規模言語モデルに限られるものではない。したがって、出身地推定システム100は、大規模言語モデル以外の機械学習モデルを用いて対象者の名前情報に基づきその対象者の出身地を推定するように構成することができる。
【0188】
具体的には、対象者の出身地の推定に適用可能な機械学習モデルとしては、決定木モデル、ランダムフォレスト、サポートベクタマシン(SVM:Support Vector Machine)、DNN(Deep Neural Network)、畳み込みニューラルネットワーク(CNN:Convolution Neural Network)、再帰型ニューラルネットワーク(RNN:Recurrent Neural Network)またはLSTM(Long Short-Term Memory)などのニューラルネットワーク(NN)またはk-近傍方などの機械学習アルゴリズムによって対象者の名前情報に基づきその対象者の出身地を推定できるように構成された機械学習モデルがあげられる。
【0189】
これによれば、出身地推定システム100は、対象者の名前と対象者の出身地の候補地とを対応付けた前記データベースを用いる場合と比べてより多様な名前に基づく出身地の推定に対応することができる。ここで、多様な名前とは、例えば、前記データベースに含まれていない人名、限られた民族、地域または宗教などの少人数の集団内で用いられる特殊な人名または複数の地域の特徴を備える人名などが挙げられる。
【0190】
この場合、出身地推定システム100は、これらの機械学習モデルによって名情報および非名情報に基づきその対象者の出身地を推定することができる。ここで、名情報および非名情報に基づく推定方法とは、例えば、名情報および非名情報の2つの情報に基づいてその対象者の出身地を推定する方法または名情報および非名情報の各々に基づいてその対象者の出身地を推定したのち各推定結果に重複する出身地を推定出身地とする方法などが考えられる。
【0191】
ここで、出身地推定システム100は、名情報および非名情報の各々に基づいて出身地を推定する場合には、出身地を推定する際に基づいた情報(名情報または非名情報)ごとに各々の推定結果を分けて出力するように構成してもよい。具体的には、出身地推定システム100は、対象者Dの推定結果として「名情報に基づく場合には出身地として欧米、フィピリンまたはブラジルが考えられる。非名情報に基づく場合には出身地としてフィピリンまたは欧米が考えられる。」のように名情報と非名情報とで各々の推定結果を分けて出力することができる。
【0192】
また、名情報および非名情報に基づく推定方法には、名情報に基づいて推定した複数の出身地を母集団としてその中から非名情報に基づいて推定出身地を推定する方法または非名情報に基づいて推定した複数の出身地を母集団としてその中から名情報に基づいて推定出身地を推定する方法も考えられる。
【0193】
また、上記実施形態においては、出身地推定システム100は、アンケート結果情報(正誤情報およびフィードバック情報)を追加データ情報として出身地推定モデルのファインチューニングを実行する更新処理部234を備えて構成した。一般的に、インターネット上の情報または書籍の情報はインターネット上のコンテンツを作成した時点または書籍を執筆した時点より前の情報に基づいている。一方で、出身地推定システム100は、アンケート結果情報を用いて出身地推定モデルのファインチューニングを行うため、現在の状況における(最新の)人名とその人名を有する者の出身地との関係性を出身地推定モデルに反映することができる。
【0194】
しかし、出身地推定システム100は、アンケート結果情報以外の情報を追加データ情報として出身地推定モデルのファインチューニングを実行するように構成してもよい。アンケート結果情報以外の情報は、例えば、同一の人名を種々の表記で表した表記のバリエーションに関する情報、各出身地において人名として人気のある名称を特定のカテゴリごとにランキングした情報または特定の地域に対して流入する移民の傾向と移民の名前の変化とを対応付けた情報などがある。ここで、表記のバリエーションに関する情報は、例えば、同一の人名を異なる綴り、文字または記載表現で表した情報である。また、特定のカテゴリは、例えば、年代、教育水準(学歴の差など)、職業または宗教などである。
【0195】
また、上記実施形態においては、出身地推定システム100は、更新処理プログラムが追加データ情報を出身地推定モデルに入力して出身地推定モデルのファインチューニングを実行する処理を備えるように構成した。これによれば、出身地推定システム100は、追加データ情報を入力して出身地推定モデルを繰り返し訓練することができ、出身地推定モデルが出力する回答の精度を継続して維持または向上させることができる。しかし、出身地推定システム100は、更新処理プログラムにおけるファインチューニングの実行処理を省略して構成することができる。
【0196】
また、上記実施形態においては、出身地推定システム100は、更新処理プログラムがフィードバック情報に含まれる本出身地関連情報を用いて出身地関連情報を更新する処理を備えるように構成した。これによれば、出身地推定システム100は、推定地域関連情報の生成に用いられる出身地関連情報を新しい情報に更新することができ、推定地域関連情報の精度を継続して維持または向上させることができる。しかし、出身地推定システム100は、更新処理プログラムにおける出身地関連情報の更新処理を省略して構成することができる。すなわち、出身地推定システム100は、ファインチューニングの実行処理および出身地関連情報の更新処理からなる更新処理プログラムを省略して構成することができるとともに、更新処理部234を省略して構成することができる。
【0197】
また、上記実施形態においては、出身地推定システム100は、出身地推定機能によって推定された推定結果について使用者の意見を調査するためのアンケートを実施するアンケート処理部131を備えて構成した。これによれば、出身地推定システム100は、出身地推定機能によって推定された推定結果について使用者の意見を調査するアンケートを簡便な出身地推定アプリ内の機能として提供することができる。しかし、出身地推定システム100は、アンケート処理部131およびアンケート処理部131の作動を制御するアンケート処理プログラムを省略して構成することができる。
【0198】
また、上記実施形態においては、出身地推定システム100は、生成AIサーバ300に出身地推定モデルを格納して構成した。しかし、出身地推定システム100は、出身地推定モデルの全部または一部を使用者端末101の記憶部110またはAPサーバ200の記憶部210に格納して構成することもできる。
【0199】
また、上記実施形態においては、出身地推定システム100は、APサーバ200に記憶部210を備えて構成した。しかし、出身地推定システム100は、APサーバ200における記憶部210を省略して、記憶部210の代わりにAPサーバ200にネットワークNWを介して接続する記憶装置で構成することができる。これは、使用者端末101を構成する記憶部110においても同様である。
【0200】
また、上記実施形態においては、出身地推定プログラムを単一のプログラムで構成した。しかし、出身地推定プログラムは、複数のプログラムを組み合わせて構成することもできる。また、上記実施形態においては、出身地推定プログラムは、APサーバ200における制御部230のみが実行するように構成した。しかし、出身地推定プログラムを実行する装置は、上記実施形態に限定されるものではなく、複数の制御装置によって分担して実行するように構成することもできる。
【0201】
また、上記実施形態においては、出身地推定アプリは、終了サブプログラム(ステップS206)を備えて構成した。しかし、出身地推定アプリは、使用者端末101が出身地推定アプリの実行を終了するための指示を受け付ける操作手段(例えば、スイッチ)を別に備える場合には、この終了サブプログラム(ステップS206)を省略して構成することができる。
【0202】
また、上記実施形態においては、出身地推定アプリは、メニュー画面バックサブプログラム(ステップS212)、入力画面バックサブプログラム(ステップS306)およびアンケート画面バックサブプログラム(ステップS506)をそれぞれ備えて構成した。しかし、出身地推定アプリは、使用者端末101が表示画面141を1つ前の画面に戻す指示を受け付ける操作手段(例えば、スイッチ)を別に備える場合には、これらのメニュー画面バックサブプログラム(ステップS212)、入力画面バックサブプログラム(ステップS306)およびアンケート画面バックサブプログラム(ステップS506)を省略して構成することができる。
【符号の説明】
【0203】
A~D…対象者、NW…ネットワーク、W141…初期画面、W142…メニュー画面、
W143…入力画面、W144…推定結果画面、
100…出身地推定システム、101…使用者端末、110…記憶部、120…入力部、
130…制御部、131…アンケート処理部、140…出力部、141…表示画面、
141a…メニューボタン、142a…出身地推定ボタン、142b…アンケートボタン、143A…名前入力欄、143a…名入力欄、143b…非名入力欄、
143e…戻るボタン、143B…推定結果表示欄、143c…推定出身地欄、
143d…推定地域関連情報欄、143da…言語欄、143db…応接情報欄、
150…通信部、200…APサーバ、210…記憶部、230…制御部、231…入力文生成部、232…回答取得部、233…提示情報生成部、234…更新処理部、250…通信部、300…生成AIサーバ。
【要約】 (修正有)
【課題】対象者の出身地を推定するための情報として入手容易な対象者の名前を表す名前情報を用いることで簡便に対象者の出身地を推定する出身地推定システムを提供する。
【解決手段】出身地推定システム100は、使用者からの対象者の名前情報の入力を受け付ける名前情報入力手段(使用者端末の入力部)と、前記名前情報に基づいて対象者の出身地を推定する出身地推定手段(AIサーバ)と、推定した出身地を出力する出身地出力手段(使用者端末の表示画面)と、を備える。また、出身地推定システムは、これらの各手段を構成する使用者端末、APサーバ及び生成AIサーバを夫々備えている。使用者端末における制御部、APサーバにおける制御部および生成AIサーバ300は、それぞれ出身地推定アプリ、出身地推定プログラム、出身地推定モデルを実行することで出身地推定システムを実現する。
【選択図】
図1