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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-28
(45)【発行日】2025-04-07
(54)【発明の名称】局所創傷処置用の医薬組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/4015 20060101AFI20250331BHJP
   A61K 38/46 20060101ALI20250331BHJP
   A61P 17/02 20060101ALI20250331BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20250331BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20250331BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20250331BHJP
   A61K 47/14 20170101ALI20250331BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20250331BHJP
   A61K 47/18 20170101ALI20250331BHJP
   A61K 47/20 20060101ALI20250331BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20250331BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20250331BHJP
   A61K 9/10 20060101ALI20250331BHJP
   A61K 45/00 20060101ALN20250331BHJP
【FI】
A61K31/4015
A61K38/46
A61P17/02
A61P43/00 121
A61K47/12
A61K47/26
A61K47/14
A61K47/10
A61K47/18
A61K47/20
A61K47/38
A61K47/02
A61K9/10
A61K45/00
【請求項の数】 33
(21)【出願番号】P 2022515092
(86)(22)【出願日】2020-09-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-01
(86)【国際出願番号】 US2020049318
(87)【国際公開番号】W WO2021046290
(87)【国際公開日】2021-03-11
【審査請求日】2023-08-31
(31)【優先権主張番号】62/896,784
(32)【優先日】2019-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519456538
【氏名又は名称】コンセホ、ナシオナル、デ、インベスティガシオネス、シエンティフィカス、イェ、テクニカス
【氏名又は名称原語表記】CONSEJO NACIONAL DE INVESTIGACIONES CIENTIFICAS Y TECNICAS
(73)【特許権者】
【識別番号】522087637
【氏名又は名称】ウニベルシダド ナシオナル デ ツクマン
(73)【特許権者】
【識別番号】522085839
【氏名又は名称】アンテック インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100135943
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 規樹
(72)【発明者】
【氏名】ベルニエリ,アルベルト ラモス
(72)【発明者】
【氏名】デ ロス エンジェレス ラザルテ,マリア
(72)【発明者】
【氏名】チャベス ジャラ,ロミナ マベル
(72)【発明者】
【氏名】セルシコ,ニコラス アベル
【審査官】六笠 紀子
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-503685(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0243164(US,A1)
【文献】特表2014-522403(JP,A)
【文献】国際公開第2019/077335(WO,A1)
【文献】特表2019-508463(JP,A)
【文献】特表2018-501795(JP,A)
【文献】Pharmaceutical Biology,2015年,53(3),pp.350-358
【文献】Chem.Biol.Drug Des.,2012年,79,pp.137-142
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/33-33/44
A61K 38/00-38/58
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エトスクシミドと、
DNase Iと、
酸と
を含む、局所創傷処置用の医薬組成物。
【請求項2】
前記DNase Iが、組換えヒトドルナーゼアルファ、ウシ膵臓DNase I、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
約0.5mg/mL~約50mg/mLのエトスクシミドと、
約0.5μg/mL~約4000μg/mLのDNase Iと、
約1mg/mL~約15mg/mLの酸と
を含む、請求項1または2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
ポリソルベート20、ポリソルベート80、ポリソルベート60、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノステアレート、オクトキシノール-9、ノノキシノール-9、およびそれらの混合物からなる群から選択される1つまたは複数の張力活性剤をさらに含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項5】
約5mg/mL以下の前記張力活性剤を含む、請求項に記載の医薬組成物。
【請求項6】
エチレングリコール四酢酸、エチレンジアミン四酢酸、ジメルカプトコハク酸、2,3-ジメルカプト-1-プロパンスルホン酸、リポ酸(1,2-ジチオラン-3-吉草酸)、シュウ酸、およびそれらの混合物からなる群から選択される1つまたは複数の錯体形成酸をさらに含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項7】
約1mg/mL以下の前記錯体形成酸を含む、請求項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
尿酸、アスコルビン酸、リポ酸、およびそれらの混合物からなる群から選択される1つまたは複数の親水性還元性酸をさらに含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項9】
約3mg/mL以下の前記親水性還元性酸を含む、請求項に記載の医薬組成物。
【請求項10】
セルロース、ナノ結晶セルロース、細菌セルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルソール、微結晶セルロース、カルボメチルセルロース、カルボポール、およびそれらの混合物からなる群から選択される1つまたは複数のゲル化剤をさらに含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項11】
約25mg/mL以下の前記ゲル化剤の1つを含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項12】
酢酸0.2M/酢酸ナトリウム0.2M:比率2.78~0.66%(v/v)、pH=4.2~4.8;酢酸0.10M/酢酸ナトリウム0.01M:比率1.05~10.05%(v/v)、pH=5.6;一塩基性リン酸カリウム0.05M、pH=4.5;一塩基性リン酸カリウム0.36M/リン酸二ナトリウム0.07M:比率4.92~0.98%(w/v)、pH=5.7;一塩基性リン酸カリウム0.36M/リン酸二ナトリウム0.10M:比率4.92~1.49%(w/v)、pH=6.0;クエン酸0.31M/リン酸二ナトリウム0.20M:比率2.99~1.42%(w/v)、pH=5.8;クエン酸0.10M/クエン酸ナトリウム0.03M:比率1.92~0.77%(w/v)、pH=5.8;セーレンセンリン酸バッファー:一塩基性リン酸ナトリウム0.2M/リン酸二ナトリウム2.3M:比率1.2~16.33%(w/v)、pH=5.8;ハンクス平衡塩溶液(HBSS):塩化ナトリウム0.14M(0.800%)、塩化カリウム5mM(0.040%)、塩化カルシウム1mM(0.014%)、硫酸マグネシウム七水和物0.4mM(0.010%)、塩化マグネシウム六水和物0.5mM(0.010%)、リン酸二ナトリウム二水和物0.3mM(0.006%)、一塩基性リン酸カリウム0.4mM(0.006%)、グルコース6mM(0.100%)、重炭酸ナトリウム4mM(0.035%):pH=5.7;4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸(HEPES)1M(pH=6.5);2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸ナトリウム塩、4-モルホリンエタンスルホン酸(MESナトリウム塩)0.5M(pH=5.5~6.7);N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-2-アミノエタンスルホン酸ナトリウム塩(BES)0.5M(pH=6.0);N-(2-アセトアミド)-2-アミノエタンスルホン酸(ACES)0.5M(pH=6.0);2,2’-[(2-アミノ-2-オキソエチル)イミノ]二酢酸(ADA)0.2M(pH=6.0);ピペラジン-N,N’-ビス(2-エタンスルホン酸)(PIPES)0.5M(pH=6.0~6.8);3-モルホリノ-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸(MOPSO)0.2M(pH=6.0);生理食塩水(0.9%)/MgCL2(5mM)、pH5.5;1M NaHCO3溶液、およびそれらの組合せからなる群から選択される溶液をさらに含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項13】
DNase Iが、組換えヒトドルナーゼアルファを含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項14】
1つまたは複数の親水性還元性酸と、
1つまたは複数の張力活性剤と、
1つまたは複数の錯体形成酸と、
1つまたは複数のゲル化剤と、
溶液と
をさらに含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項15】
DNase Iが、組換えヒトドルナーゼアルファを含み、
前記医薬組成物が、
アスコルビン酸と、
ポリソルベート80と、
エチレンジアミン四酢酸と、
ヒドロキシエチルセルロースと、
生理食塩水0.9%およびMgCl 5mMを含むpH5.5の溶液と
をさらに含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項16】
4.5から6.8の間のpHを有する、請求項1~15のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項17】
約0.5mg/mL~約30mg/mLのエトスクシミド、
約1μg/mL~約4μg/mLの組換えヒトドルナーゼアルファ、および
約1mg/mL~約9mg/mLの乳酸
の水溶液を含み、
約2.5mg/mL以下のアスコルビン酸と、
約3mg/mL以下のポリソルベート80と、
約0.75mg/mL以下のエチレンジアミン四酢酸と、
約17mg/mL以下のヒドロキシエチルセルロースと
をさらに含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項18】
約0.5mg/mL~約3mg/mLのエトスクシミドと、
約0.97μg/mL~約3.9μg/mLの組換えヒトドルナーゼアルファと、
約1.6mg/mL~約8.7mg/mLの乳酸と
を含み、
約2.5mg/mL以下のアスコルビン酸と、
約3mg/mL以下のポリソルベート80と、
約0.75mg/mL以下のエチレンジアミン四酢酸と、
約17mg/mL以下のヒドロキシエチルセルロースと
をさらに含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項19】
医薬組成物を得るために使用前に混合する第1の組成物および第2の組成物を含む局所創傷処置用の医薬製剤キットであって、
a.前記第1の組成物が固体であり、DNase Iおよびゲル化剤粉末を含み、
b.前記第2の組成物が、エトスクシミド、および酸を含む水性液体であり、
c.前記第2の組成物が、4.5から6.8の間のpHを有する、医薬製剤キット。
【請求項20】
医薬組成物を得るために使用前に混合する第1の組成物、第2の組成物および第3の組成物を含む局所創傷処置用の医薬製剤キットであって、
a.前記第1の組成物が固体であり、ゲル化剤粉末を含み、
b.前記第2の組成物が固体であり、DNase Iを含み、
c.前記第3の組成物が、エトスクシミド、および酸を含む水性液体であり、
d.前記第3の組成物が、4.5から6.8の間のpHを有する、医薬製剤キット。
【請求項21】
前記第1の組成物および前記第2の組成物のそれぞれが、密封個別容器に含まれている、請求項19に記載の医薬製剤キット。
【請求項22】
前記第1の組成物、前記第2の組成物および前記第3の組成物のそれぞれが、密封個別容器に含まれている、請求項2に記載の医薬製剤キット
【請求項23】
請求項19に記載の医薬組成物を調製する方法であって、
a.前記第1の組成物を前記第2の組成物に接触させるステップ、ならびに
b.混合および振盪して、前記医薬組成物を得るステップ
を含む方法。
【請求項24】
使用前に混合される第1の組成物、第2の組成物および第3の組成物を含む医薬製剤から請求項1に記載の医薬組成物を調製する方法であって、前記第1の組成物が固体であり、ゲル化剤粉末を含み、前記第2の組成物が固体であり、DNase Iを含み、前記第3の組成物が、エトスクシミド、および酸を含む水性液体であり、前記第3の組成物が、4.5から6.8の間のpHを有し、前記方法が、
a.前記第3の組成物を前記第2の組成物に接触させるステップ、
b.前記第3の組成物と前記第2の組成物を混合および振盪して、混合物(b)を形成するステップ、
c.前記第1の組成物を前記混合物(b)に接触させて、混合物(c)を形成するステップ、
d.混合および振盪して、前記医薬組成物を得るステップ
を含む方法。
【請求項25】
傷に少なくとも1日1回適用される、請求項1~18のいずれか一項に記載の医薬組成物
【請求項26】
組成物が創傷に少なくとも1日1回適用される、請求項19~22のいずれか一項に記載の医薬製剤キット
【請求項27】
前記創傷が、糖尿病性足潰瘍、静脈性潰瘍、動脈性潰瘍、褥瘡、バイオフィルム形成細菌による重複感染を特徴とする機械的創傷、バイオフィルム形成細菌による重複感染を特徴とする術後創傷、およびそれらの組合せからなる群から選択される創傷である、請求項2に記載の医薬組成物
【請求項28】
前記創傷が、糖尿病性足潰瘍、静脈性潰瘍、動脈性潰瘍、褥瘡、バイオフィルム形成細菌による重複感染を特徴とする機械的創傷、バイオフィルム形成細菌による重複感染を特徴とする術後創傷、およびそれらの組合せからなる群から選択される創傷である、請求項2に記載の医薬製剤キット
【請求項29】
請求項19に記載の医薬製剤キットを含むデバイスであって、
第1の組成物を含む第1の容器と、
第2の組成物を含む第2の容器と
を含み、
前記第1の容器と前記第2の容器が、前記第1の組成物と前記第2の組成物を離隔することが可能な崩壊性膜によって分離されている、デバイス。
【請求項30】
請求項2に記載の医薬製剤キットを含むデバイスであって、
第1の組成物を含む第1の容器と、
第2の組成物を含む第2の容器と、
第3の組成物を含む第3の容器と
を含み、
前記第1の容器と前記第2の容器が、前記第1の組成物と前記第2の組成物を離隔することが可能な第1の崩壊性膜によって分離されており、
前記第2の容器と前記第3の容器が、前記第2の組成物と前記第3の組成物を離隔することが可能な第2の崩壊性膜によって分離されている、デバイス。
【請求項31】
請求項1に記載の医薬組成物を製造する方法であって、
a.エトスクシミドと、DNase Iと、酸を溶液中で混合し、それによって混合物を形成するステップ、
b.前記混合物のpHが4.50から6.50の間になるまでアルカリ溶液を前記混合物に滴加し、それによってpHが調整された混合物を形成するステップ、および
c.前記pHが調整された混合物を滅菌するステップ
を含む方法。
【請求項32】
d.ゲル化剤を添加するステップをさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項33】
e.錯体形成酸、張力活性剤および親水性還元性酸を添加するステップをさらに含む、請求項3に記載の方法。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、創傷を処置するための局所用医薬組成物に関する。また、本発明は、慢性創傷の処置に有用な局所用医薬組成物および製剤の分野にも関する。
【背景技術】
【0002】
一連の順序立てられた段階および予測可能な時間で治癒しないものとして理解される慢性創傷、例えば、静脈性潰瘍、糖尿病性足潰瘍、床擦れ、褥瘡、虚血性潰瘍および非定型病変等は、治癒しない傷害である(1)。それらは、世界人口の約2%を侵し(2)、医療制度に対する大きな経済的問題になっている(3)。慢性創傷は、治癒を回避する慢性炎症状態に維持されるが(4)、治癒しないことには多数の要因がある(5)。慢性創傷は、治療的解決策を提供しようとする科学者によって盛んに研究されて、多くの製品がもたらされた。しかし、今日まで、これらの種類の創傷に対する包括的かつ有効な処置は存在しない。
【0003】
慢性創傷に対する多くの製品が市販されている。医師は、通常、創傷感染、創傷清拭および創傷ケアに対する治療の組合せを使用する(6)。これらの種類の製品は、治癒を保証するものでなく、医師は、代用皮膚(7)、陰圧閉鎖(8)、成長因子(9)および高圧治療(10)をも使用することをしばしば繰り返さざるをえない。しかし、それらは、いずれも同時に全ての治療要件を満たすことができないため、治療効力も限定的である(11)。
【0004】
創傷感染において言及され得る製品の中で、1)銀は、広範な活性を有し、多くの形態で利用可溶である。しかし、効力を維持するのに十分な高濃度で銀を持続的に放出する必要がある。例えば、硝酸銀は、適正に作用するために、1日12回投与されなければならない(12)。また、最近の調査でも、スルファジアジン銀は、実務者の間で汎用されているにもかかわらず、全般的に創傷治癒に対する効果を有するという説得力ある証拠が見出されなかった(13)。2)ヨウ素含有化合物(すなわち、マイクロビーズ状に形成されたデンプン格子内のカデキソマーヨウ素)は、長年にわたって創傷治癒に使用されてきたが、特に大きな創傷部でヨウ素含有化合物の毒性が懸念されている(14、15)。3)創傷部位に適用する抗生物質の局所用製剤も開発された。しかし、抗生物質軟膏の日常的投与に関する最近の調査では、より良好な成果がなく、しばしば患者の不快感をもたらすとともに、抗生物質耐性および接触性皮膚炎の可能性があることが示された(16~18)。
【0005】
慢性創傷における病原体の大部分は、互いに密着してバイオフィルムになり、ポリマーマトリックスを取り囲む密集した塊になって、抗生物質および免疫系による破壊を回避することができる。これにより、創傷治癒に対する物理的障壁のみならず、炎症段階の正常な解消を長引かせ得ることが発生し、バイオフィルムに対処することが、創傷治癒における大きな課題になっている。しかし、慢性創傷についての細菌的広範性を備えた抗バイオフィルム製品が存在しない。実際、慢性創傷に効果的であるために、製品は、静菌、殺菌、バイオフィルム阻害およびバイオフィルム崩壊特性を同時に示すものと考えられる。
【0006】
創傷清拭(19)は、感染のための燃料としてしか機能せず、創傷治癒を妨げる壊死片を維持するのでなく、上皮細胞移動を介して創傷床を増殖および密集させることが可能である健康で良好にかん流された組織を露出させるために成長不能組織物質を除去することを含む。外科的創傷清拭は、創傷ケアの重要な要素であるが、それには、感染、疼痛、費用および患者の不快感のような外科的処置が有するあらゆる不都合がある。自己分解創傷清拭は、湿潤創傷環境で発生し、いくつかの種類の創傷包帯で見られるフィブリン分解に関与する内因性酵素の自己活性を指す。しかし、失活組織を全く除去することができないため、外科的創傷清拭の十分な代用として機能できないことである。したがって、侵襲的処置および患者の不快感を伴わない的確な創傷清拭を可能にする製品が存在しない。
【0007】
創傷ケア包帯(20)は、それらに伴う病的状態を考慮すると慢性創傷の処置に非常に重要である。しかし、全ての創傷ケア包帯が、活発な製品でなく(治癒過程を促進することができず)、治癒過程が進んでいる間だけ創傷を保護するのに役立つ。また、それらのいずれもが、以下の問題により、慢性創傷の種類を問わず使用できるわけではない。1)創傷上に保持されている限定的な量の滲出液が、順当な創傷治癒をさらに促進するように機能する自己分解創傷清拭を可能にさせる。従来の乾燥ガーゼ創傷包帯(すなわち、Curity、Vaselineガーゼ、Xeroform)は、除くとさらなる傷害を引き起こす一方で、この過程を低下させる恐れがある。2)低粘着性の包帯および半透過性のフィルム(すなわち、Bioclusive、Blisterfilm、Cutifilm、Flexigrid、OpSite、Tegaderm)は、液体および微生物の浸透を抑制することを目的とした基本的タイプの創傷包帯であるが、空気および水蒸気を透過させる。したがって、それらは、中でも非主流である非滲出性創傷にしか使用できない。3)親水コロイド(すなわち、Aquacel、Comfeel、DuoDERM、Granuflex、Tegasorb)は、一定量の滲出液を吸収して、湿潤環境を維持することができる。しかし、不透過性であるため、空気交換を防止するので、滲出性創傷に使用されるべきではない。また、交換に長時間を要する。4)ヒドロゲル(すなわち、Carrasyn、Curagel、Nu-Gel、Purilon、Restore、SAF-gel、XCell)を追加的に使用して、そうでなければ乾燥創傷における加湿を促進するのに役立てることができる。それらは、容易に除去および交換されるが、水分過剰を生じさせるため、治癒を遅らせる恐れがある。5)アルギン酸塩包帯(すなわち、Algisite、Kaltostat、Sorbsan、Tegagen)は、大量の流体を吸収できるため、一般には高度に滲出性の創傷に向けられる海藻由来の不織布繊維である。そのため、アルギン酸塩の包帯が巻かれた乾燥創傷には悪影響が見られる。例えば、それらは止血効果を有し得る(21)。6)アルギン酸塩包帯と同様の特性および悪影響を有するハイドロファイバー(すなわちAquacel Hydrofiber)。7)フォーム(すなわち、3M Adhesive Foam、Allevyn、Lyofoam、Tielle)は、包帯交換時の外傷を最小限にとどめるが、吸収容量が限定的であり、適度に滲出性の創傷にしか使用できない。8)銀、ベタイン、キチンまたはポリヘキサメチレンビグアニドなどの抗微生物化合物を含むフォームまたはヒドロゲルなどの従来の創傷包帯(Kendall AMD)の組合せが存在する。これらの材料は、創傷治癒に対する広範な適用に適さないが、特にバイオフィルムの形成を伴う、感染が問題になり得る慢性下腿潰瘍に適すると考えられる。しかし、それらは、バイオフィルムの形成を阻害できるものの、真の治療要件であるバイオフィルム崩壊をもたらすことができない。9)コラーゲン製品:難治性創傷および慢性潰瘍に対して使用されてきた。遊離ラジカルおよびプロテアーゼなどの負のエフェクタを激減させながら、創傷治癒に不可欠な細胞型を引きつける環境を促進するのに役立つと考えられる(22)。しかし、このコラーゲンは、(ウシおよびブタコラーゲンを含む多数の供給源に由来し得るため)創傷組織におけるコラーゲンの新たな生成の直接的な代用になることはない。また、それらは、感染創傷に有用でない。
【0008】
代用皮膚(7)は、一般には、生体由来物質と、創傷上でその代用を可能にする材料との組合せからなる。全体的に、これらの包帯は、極めて高価であるため、広範に採用されるのは相当に困難である。また、それらは、感染および抗原性の危険性が高い。いくつかの代用皮膚が市販されている。1)多くの代用皮膚は、ブタコラーゲンまたはポリペプチド(BiobraneおよびTransCyte)でコーティングされたメッシュ素材に集中しているが、そのうちの後者は、新生線維芽細胞またはブタ異種移植片(EZ Derm)をも含む。しかし、それらは、顔面火傷にのみコスト効果があり、一般用途にはコスト効果がない。2)Dermagraftは、新生包皮組織、細胞外基質および生体吸収性ポリグラクチンメッシュに由来する線維芽細胞を使用して開発された材料である。しかし、拒絶および過敏の高い危険性を示した(微量のウシ血清が製剤に含まれていると考えられる)。3)培養線維芽細胞およびウシI型コラーゲンの皮層を培養角化細胞の表皮層と組み合わせた同種異系の二層の培養皮膚同等物であるApligraft。しかし、これは費用が高く、直径7.5cmの円板に対してApligraftを1回適用するのに1000米国ドル以上の費用がかかり、難治性、慢性および非治癒性創傷に対してのみコスト効果を有し得るため、これらの製品全般の利用可能性がある程度制限される。4)Omnigraftは、コラーゲン、グリコサミノグリカンおよびコンドロイチン-6-硫酸塩からなる無細胞二層基質であり、バリヤ機能のためにシリコーンの層を備える。しかし、Omnigraftは、ウシコラーゲンまたはコンドロイチン物質に対して感受性を有することが既知である患者に使用されるべきではなく、臨床診断された感染創傷に絶対使用されるべきではない。
【0009】
湿潤環境を維持し、血流を最適化し、滲出液を除去し、加圧して創傷閉鎖を促進することによる陰圧閉鎖(VAC)(8)。これらのデバイスは、慢性創傷で生じる恐れのある多くの因子の不足を緩和することが可能である。しかし、陰圧包帯を、露出した血管、骨または神経に直接接触させると危険であり得る。また、骨髄炎が存在している、または患者がアクリル接着剤にアレルギーまたは感受性がある場合は禁忌である。
【0010】
成長因子(9)。慢性創傷は、成長因子およびサイトカインに非常に多くの混乱を含むため、これらの問題のいくつかに対処することが有益であると考えられる。しかし、非常に多くの因子が不足し、不規則になっている環境において、単に1つを取り換えるだけでは、慢性創傷表現型を修復することは不可能である。実際、二重盲検ランダム化制御試験にて治癒を向上させることが示された唯一の当該治療は、血小板由来成長因子(PDGF)(レグラネクスベカプレルミン)であり、その結果は、かなり劣るものであった。
【0011】
創傷酸素供給は、慢性創傷に対する最も重要な治療標的の1つであるにもかかわらず、in situの血管内皮成長因子(VEGF)を増加させることにより血管形成を増加させる製品は存在しない。
【0012】
高圧酸素(10)は、それが、線維芽細胞の増殖を促進し、免疫機能を増強し、血管新生を刺激する等の機能を有することができるという原理に基づいて、創傷治癒に使用されてきた。しかし、これらの理想は、実践において必ずしも証明されず、その使用についてある程度論争がもたらされてきた。重要なことは、酸素の局所送達が、有効であることが証明されておらず、近眼、発作をもたらす脳内の酸素中毒、および気胸を含む深刻な副作用を生じさせる可能性がある中で、高圧酸素室でこの治療を患者に適用することである。
【0013】
その発明者の一部が本発明の発明者と同じである、特定の手法が教示されたアルゼンチン特許第093779号などのいくつかの発明特許を見出すことが可能である。この出願には、慢性創傷の処置において有効であるとして提案されるラクトバチルス(Lactobacillus)酵素の上清が教示されている(23~25)。この文献では、上記上清は、「LAPS」と呼ばれる。この上清の技術的問題は、発酵上清であるため、不確定で、製造条件に応じて変動する組成物を含むことである。また、経時安定性が限定されていて、その治療機能が60日を超えないという証拠がある。
【0014】
欧州特許第0848951号明細書には、糖尿病性足潰瘍および褥瘡からなる群から選択される慢性創傷を処置または予防するための組成物を調製するためのN-アセチルシステイン(NAC)の使用であって、該組成物が、慢性潰瘍に対する局所投与用の軟膏の形態であり、該軟膏が、1)0.01~1%w/wのNAC、または薬学的に許容される塩もしくはその誘導体と、2)担体:セルロースを含むヒドロゲル(すなわちヒドロキシエチルセルロース)、ポリアクリル酸のヒドロゲル(すなわちカルボポール)、または医薬製剤に使用されるクリーム/軟膏(すなわちセトマクロゴール)とを含む、使用が示されている。上記担体は、増粘剤または刺激剤としてのアルギン酸塩、防腐剤(すなわちベンジルアルコール)、pH制御緩衝剤(すなわちNa2HPO4/NaH2PO4)、モル浸透圧濃度を調整する薬剤(すなわちNaCl)、および安定剤(すなわちEDTA)を含んでいてもよい。請求の範囲に記載されている、NACに基づく慢性創傷の処置用の組成物は、MMPを阻害することにより治癒促進作用を示す。しかし、それらの手順1において、NACが、細胞間接着分子-1(ICAM-1)の発現の濃度依存的阻害を示すことを証明している。これは、ICAM-1が存在しなければ創傷治癒が遅れることが既に証明されたため、慢性創傷処置にとって望ましいものではない(26)。
【0015】
米国特許第9,211,305号明細書(B2)には、糖尿病性足潰瘍の処置用のグリコサミノグリカンの組成物が教示されており、この特許は、慢性潰瘍、特に糖尿病性足潰瘍の処置、より特には慢性潰瘍、特に糖尿病性足潰瘍および褥瘡の処置用の医薬製品の製造における低分子量ヘパリン(LMWH)および極低分子量ヘパリン(VLMWH)に関する。特に、この特許は、慢性創傷を処置する方法を請求の範囲に含めているが、この処置は、抗微生物特性(静菌性、殺菌性および抗バイオフィルム性)も、抗酸化特性または血管新生特性も与えない。したがって、それを他の製品と併用しなければならない。
【0016】
米国特許第10,285,938号の抗微生物性ペプチドは、免疫系経路では比較的新しい発見である。合成により作製された抗微生物ペプチドの最近の設計では、効能および効力/耐性の増加、特異性の増強および相対的な毒性の低下が実証された。1つの当該ペプチド、XYLENTRA(登録商標)は、多数の病原体に対する有意なin vitro試験から有意な有望性を示した。さらに、広範な動物試験により、XYLENTRA(登録商標)は、多数の病原体に対する抗微生物性ペプチドであることが示された。XYLENTRA(登録商標)ペプチドは、耐溶質性をも有する。ペプチドXYLENTRA(登録商標)は、試験生物である黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)MTCC96および緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)MTCC741に対する有意な抗菌活性を示す。その出願に詳述されているプロトコールを使用してペプチドで処置された動物において、微生物集団のレベルの実質的な低下が観察された。具体的には、前記抗微生物性ペプチドを使用する創傷処置方法が、請求の範囲に記載されている。しかし、この方法は、抗酸化、MMP阻害および血管新生等のような治癒促進特性を想定していない。また、それらの抗微生物特性に関して、バイオフィルムに対する効果(阻害および/または崩壊)を実証していない。したがって、それを他の製品と併用しなければならない。
【0017】
国際公開第2019/193333号パンフレットは、慢性創傷、特に糖尿病性足潰瘍の処置に使用する、トリクロサン(2,4,4-トリクロロヒドロキシジフェニルエーテル)および増粘剤を含む医薬組成物に関する。具体的には、トリクロサンに関連する抗微生物特性を含む局所用組成物に関する。有効前治療成分:ヒマシ油、ホホバ油、アロエベラ10:1、有効抗微生物成分:トリクロサン、乳化剤:ステアリン酸、GMSSE、パルミチン酸セチル、シリコーン液200 100 CS、重質流動パラフィン、モノプロピレングリコール。ゲル化剤:カルボポール980 5%、トリエタノールアミン、任意選択的な防腐剤:Nipastat。しかし、この組成物は、抗酸化、MMP阻害および血管新生等のような治癒促進特性を想定していない。また、それらの抗微生物特性に関して、バイオフィルムに対する効果(阻害および/または崩壊)を実証していない。したがって、それを他の製品と併用しなければならない。
【0018】
酸化的ストレスを標的とすることが、低下した創傷治癒の処置における重要な因子であることを確信する著者が多く存在する(27~29)。この点において、in vivoで適用可能な2種類の抗酸化剤、すなわち抗酸化酵素(例えば、SOD、カタラーゼ、ペルオキシダーゼおよびグルタチオンペルオキシダーゼ)ならびに非酵素性抗酸化剤(例えば、ビタミンC、窒素酸化物および金属結合タンパク質等)が存在する(27)。しかし、抗酸化剤を用いた大抵の臨床試験は、経口投与に限定されていた。例えば、経口補給されたアスコルビン酸の治癒に対する影響が研究された(28、29)。他方で、慢性創傷の処置のために、植物抽出物からの抗酸化剤またはヒドロゲルにおける酵素性抗酸化剤を局所的に適用することが提案されている(27)。非酵素性抗酸化剤を慢性創傷に局所的に適用した、唯一の報告された臨床試験が、5%DMSO、強力な反応性酸素種(ROS)捕捉剤を含むクリームを用いて実施され、この処置は潰瘍の発生を低減することができなかった(31)。また、踵および踝の傷害の発生に対する有害な影響が認められた。著者は、この予想外の結果を説明するためにいくつかの仮説を提案し、特に、DMSOの前酸化活性の可能性に言及した(31)。生理的濃度において、DMSOおよびアスコルビン酸は、血漿における強力な遊離ラジカル捕捉剤であり、ROSによって引き起こされる酸化的損傷から細胞を保護する(32)。
【0019】
Ajwee DMら(2021年)は、エトスクシミドおよびフェノバルビタールが、膠原化を増強することにより創傷治癒を促進することを教示している(33)。彼らは、アルビノラットモデルにおける切除創傷にエトスクシミド(Etho)を適用した。彼らは、軟質パラフィン中の10%w/w(80mg/mL)のエトスクシミド含有軟膏が、膠原化を増強することにより創傷治癒を有意に促進することを実証している。彼らは、1日当たり150mgの軟膏を適用した。それは1日当たり15mgのEthoを意味する。アルビノラットは、体重が140~180gであり、これらの動物の標準血液量が50mL毎キログラムであることを考慮すると、これらのラットは、およその血液量が10mLであった。1日に適用されたEthoの100%が血流に移行したとすると、1日目の処置Ethoは、血漿濃度が15mg/10mLになる。それは、1.5mg/mLまたは1500ug/mLを意味する。ヒトにおいて、許容される治療レベルは、40~100μg/mLである(Zarontin prospect FDA参照)。この濃度を超えると、肝臓毒性、白血球減少症、血小板減少症、鎮静状態および吐き気が見られる。また、この組成物は、抗微生物特性(静菌性、殺菌性および抗バイオフィルム性)を示さなかった。したがって、それを創傷処置用の他の製品と併用しなければならない。
【0020】
Goldberg SRらは、彼らの調査(2020年)の中で、創傷が慢性になる5つの要点が存在することを示唆している(34)。
1)虚血。虚血は、組織傷害、壊死、および細菌が急速に定着する解放創傷の発生をもたらす。
2)感染。感染は、慢性かつ無制御の炎症の土台を作る。大抵の慢性創傷は、本質的に多菌性であり、主としてブドウ球菌(Staphylococcus)およびシュードモナス菌(pseudomonas)種を含む。
3)バイオフィルム形成。炎症促進反応は、細菌および炎症潰瘍部位を防護および保護するバイオフィルムの形成によって持続される。バイオフィルムは、抗微生物治療に直接的に抗し、慢性炎症を刺激しながら、宿主免疫反応を刺激する。
4)慢性炎症および組織損傷。宿主の炎症細胞が損傷組織を除去しようとすると、反応性酸素種、およびMMPのようなプロテアーゼが放出され、さらなる組織損傷を引き起こす。MMPの過剰生成は、細胞外基質の損傷を引き起こし、慢性の治癒しない創傷の基礎をなす病態を誘導する。MMPの過剰生成は、また、創傷治癒に必要な血小板由来成長因子および形質転換成長因子-bなどの重要な成長因子を破壊する。
5)マイトジェン活性の低下。炎症環境の乱れにより、残留結合組織細胞は、マイトジェン活性が低下し、老化する。
【0021】
Goldbergらは、炎症および組織破壊のこの悪循環は、積極的な臨床手法を使用して、細菌、ならびに損傷および壊死組織を除去し、炎症を低減するまで持続すると示唆している。彼らは、現状の技術において、患者の創傷を制御する最良のアプローチは、DIME支援製品およびサービスの創傷ケアガイドラインであることをも示唆している(35)。このガイドラインは、創傷を評価し、治療有効性を高めるために同時に使用することが必要である全ての製品およびサービスを認識するための包括的なアプローチからなる。このガイドラインに見られるように、Goldbergによって示唆された5つの要点を同時に満たす能力を有する製品は、市販されていない(35)。
【0022】
それ故に、現行の処置には、通常、創傷感染、創傷清拭および創傷ケアに対する治療の組合せが使用されているのである。これらの種類の製品は、治癒を保証するものではなく、医師は、代用皮膚、陰圧閉鎖、成長因子および高圧治療をも使用することをしばしば繰り返さざるをえない。しかし、それらは、いずれも同時に全ての上記治療要件を満たすことができず、したがってやはり相対的な治療効力しか示さない。
【0023】
専門家は、治療が以下の治療要件の全てを同時に含むと、治療効果が向上することを示唆している(36)。
a)感染の制御およびバイオフィルムの排除(37、38)、
b)滲出液の量および組成の制御(39)、
c)特定の成長因子の再構築(9)、
d)炎症(4)、ならびに基質メタロプロテイナーゼ(40)および酸化的ストレス(29)の蓄積のようなその悪影響の制御、ならびに
e)疼痛管理(41)。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明は、血管新生、広範な細菌の静菌性、殺菌性、バイオフィルム阻害およびバイオフィルム崩壊(慢性創傷において最も分離される細菌である黄色ブドウ球菌(S. aureus)および緑膿菌(P. aeruginosa)を含む)、(その酸性化およびキレート特性による)基質メタロプロテイナーゼ(MMP)の阻害、創傷床におけるコラーゲンおよびアルファアクチン形成、ならびに治癒促進特性を同時にもたらす慢性創傷処置用の組成物を提供することによって、現行技術に示される問題を解決する。
【0025】
また、本発明は、意外にも、その成分を組み合わせることによりもたらされる機能的相乗効果を示す慢性創傷処置用の組成物を提供する。
【0026】
本発明は、組み合わせることにより、慢性創傷の治療的処置の問題に対する解決策を構成する、薬理学的に使用される成分を含む組成物および製剤を提供する。現行技術において提起される問題を解決する。
【0027】
本発明は、創傷の処置用の組成物を提供することを目的とする。
【0028】
本発明は、また、慢性創傷の処置用の組成物を提供することを目的とする。
【0029】
本発明は、また、静脈性潰瘍、動脈性潰瘍、褥瘡(床擦れ)、糖尿病性足潰瘍、およびバイオフィルム形成細菌による重複感染によって慢性化した機械的または術後創傷を含む慢性創傷の処置用の組成物を提供することを目的とする。
【0030】
本発明は、また、in situ調製のための局所送達用の製剤を提供することを目的とする。
【0031】
本発明は、また、創傷の処置用のin situ調製ゲル製剤を提供することを目的とする。
【0032】
本発明は、また、前記組成物を作製する方法を提供することを目的とする。
【0033】
本発明は、また、創傷の処置用のin situ調製ゲル製剤を使用可能にするデバイスを提供することを目的とする。
【0034】
本発明は、また、静脈性潰瘍、動脈性潰瘍、褥瘡(床擦れ)、糖尿病性足潰瘍、およびバイオフィルム形成細菌による重複感染によって慢性化した機械的または術後創傷を有する哺乳動物を処置する方法を提供することを目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】本発明の製剤を含むデバイスを示した図である。各組成物の離隔を可能にする2つの崩壊製膜によって分離された3つの容器を示す。膜が破断すると、容器の組成物が混合される。
図2】組成物M0およびM13ならびに言及した組成物に存在する濃度での個々の分子で引き起こされる、緑膿菌(P. aeruginosa)に対して試験した抗病原体特性、すなわち静菌活性、バイオフィルム(BF)形成の阻害および予め形成されたバイオフィルムの崩壊のパーセンテージを示した図である。Etho=エトスクシミド、AA=アスコルビン酸、LA=乳酸、PS80=ポリソルベート80、D1=DNAse1、MS=混合溶媒、LAPS=ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)上清、M=混合物。
図3】組成物M0およびM13ならびに言及した組成物に存在する濃度での個々の分子を使用した24時間の処置後の緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)の生存細菌(CFU/mL)に発現した殺菌効果を示した図である。Etho=エトスクシミド、AA=アスコルビン酸、LA=乳酸、PS80=ポリソルベート80、D1=DNAse1、LAPS=ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)上清、M=混合物、MS=混合溶媒。
図4】組成物M15および言及した組成物に存在する濃度での個々の分子で引き起こされる異なる抗病原体効果、すなわち緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)に対する静菌活性、バイオフィルム(BF)形成の阻害、および予め形成されたバイオフィルムの崩壊のパーセンテージを示した図である。Etho=エトスクシミド、AA=アスコルビン酸、LA=乳酸、PS80=ポリソルベート80、D1=DNAse1、LAPS=ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)上清、M=混合物、MS=混合溶媒。
図5】組成物M15および言及した組成物に存在する濃度での個々の分子を使用した24時間の処置後の緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)の生存細菌(CFU/mL)に発現した殺菌効果を示した図である。Etho=エトスクシミド、AA=アスコルビン酸、LA=乳酸、PS80=ポリソルベート80、D1=DNAse1、LAPS=ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)上清、M=混合物、MS=混合溶媒。
図6】組成物M16および言及した組成物に存在する濃度での個々の分子で引き起こされる異なる抗病原体効果、すなわち緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)に対する静菌活性、バイオフィルム(BF)形成の阻害、および予め形成されたバイオフィルムの崩壊のパーセンテージを示した図である。Etho=エトスクシミド、AA=アスコルビン酸、LA=乳酸、PS80=ポリソルベート80、D1=DNAse1、LAPS=ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)上清、M=混合物、MS=混合溶媒。
図7】組成物M16および言及した組成物に存在する濃度での個々の分子を使用した24時間の処置後の緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)の生存細菌(CFU/mL)に発現した殺菌効果を示した図である。Etho=エトスクシミド、AA=アスコルビン酸、LA=乳酸、PS80=ポリソルベート80、D1=DNAse1、LAPS=ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)上清、M=混合物、MS=混合溶媒。
図8】組成物M0およびM13ならびに言及した組成物に存在する濃度での個々の分子で引き起こされる、黄色ブドウ球菌(S. aureus)に対して試験した抗病原体特性、すなわち静菌活性、バイオフィルム(BF)形成の阻害および予め形成されたバイオフィルムの崩壊のパーセンテージを示した図である。Etho=エトスクシミド、AA=アスコルビン酸、LA=乳酸、PS80=ポリソルベート80、D1=DNAse1、LAPS=ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)上清、M=混合物、MS=混合溶媒。
図9】組成物M0およびM13ならびに言及した組成物に存在する濃度での個々の分子を使用した24時間の処置後の黄色ブドウ球菌(S. aureus)の生存細菌(CFU/mL)に発現した殺菌効果を示した図である。Etho=エトスクシミド、AA=アスコルビン酸、LA=乳酸、PS80=ポリソルベート80、D1=DNAse1、LAPS=ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)上清、M=混合物、MS=混合溶媒。
図10】組成物M15および言及した組成物に存在する濃度での個々の分子で引き起こされる異なる抗病原体効果、すなわち黄色ブドウ球菌(S. aureus)に対する静菌活性、バイオフィルム(BF)形成の阻害、および予め形成されたバイオフィルムの崩壊のパーセンテージを示した図である。Etho=エトスクシミド、AA=アスコルビン酸、LA=乳酸、PS80=ポリソルベート80、D1=DNAse1、LAPS=ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)上清、M=混合物、MS=混合溶媒。
図11】組成物M15および言及した組成物に存在する濃度での個々の分子を使用した24時間の処置後の黄色ブドウ球菌(S. aureus)の生存細菌(CFU/mL)に発現した殺菌効果を示した図である。Etho=エトスクシミド、AA=アスコルビン酸、LA=乳酸、PS80=ポリソルベート80、D1=DNAse1、LAPS=ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)上清、M=混合物、MS=混合溶媒。
図12】組成物M16および言及した組成物に存在する濃度での個々の分子で引き起こされる異なる抗病原体効果、すなわち黄色ブドウ球菌(S. aureus)に対する静菌活性、バイオフィルム(BF)形成の阻害、および予め形成されたバイオフィルムの崩壊のパーセンテージを示した図である。Etho=エトスクシミド、AA=アスコルビン酸、LA=乳酸、PS80=ポリソルベート80、D1=DNAse1、LAPS=ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)上清、M=混合物、MS=混合溶媒。
図13】組成物M16および言及した組成物に存在する濃度での個々の分子を使用した24時間の処置後の黄色ブドウ球菌(S. aureus)の生存細菌(CFU/mL)に発現した殺菌効果を示した図である。Etho=エトスクシミド、AA=アスコルビン酸、LA=乳酸、PS80=ポリソルベート80、D1=DNAse1、LAPS=ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)上清、M=混合物、MS=混合溶媒。
図14】MS、LAPS、AA(0.5mg/mLおよび2.5mg/mL)、M15およびM16が示すトロロクス(%AAR)に対する抗酸化活性のパーセンテージを示した図である。MS=混合溶媒、AA=アスコルビン酸、LAPS=ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)上清、M=混合物。
図15】混合溶媒(MS)、混合溶媒中EDTAの溶液(0.25、0.50および0.75mg/mL)、M0、M13、M15およびM16が示すpH7.0でのカルシウムおよび亜鉛のキレート化のパーセンテージを示した図である。MS=混合溶媒。
図16】酵素活性の維持を評価するために、異なる試験試料について異なる時間にDNAse寒天において測定されたDNAse活性ハロ(mm)を示した図である。
図17】、DNAse寒天において測定されたLAPS、0.97μg/mLのドルナーゼアルファ、(それぞれ0.97μg/mLのドルナーゼアルファを含む)M0およびM13、M15およびM16(それぞれ3.90μg/mLのドルナーゼアルファを含む)のDNAse活性のハロ(mm)を示した図である。LAPS=ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)上清、M=混合物。
図18】鶏漿尿膜における血管形成の増加のパーセンテージを示した図である。Etho=エトスクシミド、LAPS=ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)上清、M=混合物。
図19】24時間処置された、マクロファージJ774および角化細胞HaCaTにおけるGAPDHレベルに対して正規化されたVEGFレベルに対するエトスクシミドの効果を示した図である。遺伝子発現は、Log2スケールで変化する。Y軸は、対照群に対する各エトスクシミド処置における遺伝子発現のLog2倍率変化である。GAPDHは、cDNAの入力に対して補正するためのハウスキーピング遺伝子として機能した。
図20】異なる処置動物群での処置適用24時間における創傷閉鎖のパーセンテージを示した図である。
図21】モノクローナル抗体(マウス抗α-SMA-クローンαsm-1)を使用してアルファ平滑筋アクチン(α-SMA)を検出するための処置創傷からの組織切片に対する免疫組織化学技法を示し、ストレプタビジンペルオキシダーゼ系との反応を明らかにする図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
簡単な説明
本発明の一態様において、イミド基を有する原子数5または6の少なくとも1つの含窒素複素環式化合物と、4.5から6.5の間の活性pHを有する1つまたは複数のデオキシリボヌクレアーゼ酵素と、1つまたは複数のカルボン酸とを含む局所創傷処置用の医薬組成物が本明細書で提供される。イミド基を有する原子数5または6の含窒素複素環式化合物は、エトスクシミド、バルビツール酸、フェノバルビタール、5,5-ジエチルバルビツール酸、5-エチル-5-(1-メチルブチル)バルビツール酸、ペントバルビトン、ペントバルビタール、ネンブタール、5-エチル-5-(1-メチルプロピル)バルビツール酸、ブトバルビタール、ブチゾール、5-アリル-5-(1-メチルブチル)-バルビツール酸、セコバルビタール、セコナール、フェニトイン、ヒダントイン、およびそれらの混合物からなる群から選択される、イミド基を有する原子数5または6の含窒素複素環式化合物を含み、好ましくは、イミド基を有する原子数5または6の含窒素複素環式化合物は、エトスクシミドである。デオキシリボヌクレアーゼ酵素は、DNase、rh-ドルナーゼアルファ、ウシ膵臓DNase I、DNase II、原核細胞DNase IIまたは真核細胞DNase II、DNase IIアルファ、DNase IIベータ、ブタ脾臓DNase II、およびそれらの混合物からなる群から選択されるデオキシリボヌクレアーゼ酵素を含み、好ましくは、デオキシリボヌクレアーゼ酵素は、組換えヒトドルナーゼ-アルファである。カルボン酸は、クエン酸、乳酸、酢酸、ギ酸、リンゴ酸、酒石酸、サリチル酸、シュウ酸、安息香酸、プロピオン酸、およびそれらの組合せからなる群から選択されるカルボン酸を含み、好ましくは、カルボン酸は乳酸である。
【0037】
本発明の別の実施形態において、前記医薬組成物は、ポリソルベート20、ポリソルベート80、ポリソルベート60、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノステアレート、オクトキシノール-9、ノノキシノール-9、およびそれらの混合物からなる群から選択される1つまたは複数の張力活性剤をさらに含み、好ましくは、張力活性剤はポリソルベート80である。
【0038】
本発明の別の実施形態において、前記医薬組成物は、エチレングリコール四酢酸、エチレンジアミン四酢酸、ジメルカプトコハク酸、2,3-ジメルカプト-1-プロパンスルホン酸、リポ酸(1,2-ジチオラン-3-吉草酸)、シュウ酸、およびそれらの混合物からなる群から選択される1つまたは複数の錯体形成酸をさらに含み、好ましくは、錯体形成酸はエチレンジアミン四酢酸である。
【0039】
本発明の別の実施形態において、前記医薬組成物は、尿酸、アスコルビン酸、リポ酸、およびそれらの混合物からなる群から選択される1つまたは複数の親水性還元性酸をさらに含み、好ましくは、親水性還元性酸はアスコルビン酸である。
【0040】
本発明の別の実施形態において、前記医薬組成物は、セルロース、ナノ結晶セルロース、細菌セルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、微結晶セルロース、カルボメチルセルロース、カルボポール、およびそれらの混合物からなる群から選択される1つまたは複数のゲル化剤をさらに含み、好ましくは、ゲル化剤はヒドロキシエチルセルロースである。
【0041】
本発明の別の実施形態において、前記医薬組成物は、酢酸0.2M/酢酸ナトリウム0.2M:比率2.78~0.66%(v/v)、pH=4.2~4.8;酢酸0.10M/酢酸ナトリウム0.01M:比率1.05~10.05%(v/v)、pH=5.6;一塩基性リン酸カリウム0.05M、pH=4.5;一塩基性リン酸カリウム0.36M/リン酸二ナトリウム0.07M:比率4.92~0.98%(w/v)、pH=5.7;一塩基性リン酸カリウム0.36M/リン酸二ナトリウム0.10M:比率4.92~1.49%(w/v)、pH=6.0;クエン酸0.31M/リン酸二ナトリウム0.20M:比率2.99~1.42%(w/v)、pH=5.8;クエン酸0.10M/クエン酸ナトリウム0.03M:比率1.92~0.77%(w/v)、pH=5.8;セーレンセンリン酸バッファー:一塩基性リン酸ナトリウム0.2M/リン酸二ナトリウム2.3M:比率1.2~16.33%(w/v)、pH=5.8;ハンクス平衡塩溶液(HBSS):塩化ナトリウム0.14M(0.800%)、塩化カリウム5mM(0.040%)、塩化カルシウム1mM(0.014%)、硫酸マグネシウム七水和物0.4mM(0.010%)、塩化マグネシウム六水和物0.5mM(0.010%)、リン酸二ナトリウム二水和物0.3mM(0.006%)、一塩基性リン酸カリウム0.4mM(0.006%)、グルコース6mM(0.100%)、重炭酸ナトリウム4mM(0.035%):pH=5.7;4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸(HEPES)1M(pH=6.5);2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸ナトリウム塩、4-モルホリンエタンスルホン酸(MESナトリウム塩)0.5M(pH=5.5~6.7);N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-2-アミノエタンスルホン酸ナトリウム塩(BES)0.5M(pH=6.0);N-(2-アセトアミド)-2-アミノエタンスルホン酸(ACES)0.5M(pH=6.0);2,2’-[(2-アミノ-2-オキソエチル)イミノ]二酢酸(ADA)0.2M(pH=6.0);ピペラジン-N,N’-ビス(2-エタンスルホン酸)(PIPES)0.5M(pH=6.0~6.8);3-モルホリノ-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸(MOPSO)0.2M(pH=6.0);生理食塩水(0.9%)/MgCL2(5mM)、pH5.5;1M NaHCO3溶液、およびそれらの組合せからなる群から選択される溶液をさらに含む。
【0042】
本発明の別の実施形態において、前記医薬組成物は、約4.5から約6.8の間のpHを含む。
【0043】
本発明の別の実施形態において、前記医薬組成物は、イミド基を有する原子数5または6の約0.5mg/mL~約50mg/mL、好ましくは約0.5mg/mL~約30mg/mL、より好ましくは約0.5mg/mL~約3mg/mLの1つまたは複数の含窒素複素環式化合物を含む。
【0044】
本発明の別の実施形態において、前記医薬組成物は、約0.5μg/mL~約4000μg/mL、より好ましくは約1μg/mL~約1000μg/mL、より好ましくは約1μg/mL~約4μg/mL、より好ましくは約0.97μg/mL~約3.9μg/mLの1つまたは複数のデオキシリボヌクレアーゼ酵素を含む。
【0045】
本発明の別の実施形態において、前記医薬組成物は、約1mg/mL~約15mg/mL、より好ましくは約1mg/mL~約9mg/mL、より好ましくは約1.6mg/mL~約9mg/mLの1つまたは複数のカルボン酸を含む。
【0046】
本発明の別の実施形態において、前記医薬組成物は、約5mg/mL以下、より好ましくは約3mg/mL以下の1つまたは複数の張力活性剤を含む。
【0047】
本発明の別の実施形態において、前記医薬組成物は、約1mg/mL以下、より好ましくは約0.75mg/mL以下の1つまたは複数の錯体形成酸を含む。
【0048】
本発明の別の実施形態において、前記医薬組成物は、約3mg/mL以下、より好ましくは約2.5mg/mL以下の1つまたは複数の親水性還元性酸を含む。
【0049】
本発明の別の実施形態において、前記医薬組成物は、約25mg/mL以下、より好ましくは約17mg/mL以下の1つまたは複数のゲル化剤を含む。
【0050】
本発明の特に好ましい実施形態において、医薬組成物は、溶液中にエトスクシミド、組換えヒトドルナーゼ-アルファおよび乳酸を含む。
【0051】
本発明の特に好ましい実施形態において、医薬組成物は、エトスクシミド、組換えヒトドルナーゼ-アルファ、乳酸、親水性還元性酸、ポリソルベート80、アスコルビン酸、エチレンジアミン四酢酸、ヒドロキシエチルセルロース、ならびにpH5.5で生理食塩水0.9%およびMgCl 5mMを含む溶液を含む。
【0052】
本発明の特に好ましい実施形態において、医薬組成物は、約0.5mg/mL~約30mg/mLのエトスクシミド、約1μg/mL~約4μg/mLの組換えヒトドルナーゼアルファ、約1mg/mL~約9mg/mLの乳酸、約2.5mg/mL以下のアスコルビン酸、約3mg/mL以下のポリソルベート80、約0.75mg/mL以下のエチレンジアミン四酢酸、および約17mg/mL以下のヒドロキシエチルセルロースの水溶液を含む。
【0053】
本発明の特に好ましい実施形態において、医薬組成物は、約0.5mg/mL~約3mg/mLのエトスクシミド、約0.97μg/mL~約3.9μg/mLの組換えヒトドルナーゼアルファ、約1.6mg/mL~約8.7mg/mLの乳酸、約2.5mg/mL以下のアスコルビン酸、約3mg/mL以下のポリソルベート80、約0.75mg/mL以下のエチレンジアミン四酢酸、および約17mg/mL以下のヒドロキシエチルセルロースの水溶液を含む。
【0054】
本発明の特に好ましい実施形態において、局所創傷処置用の医薬製剤キットは、本発明の組成物を得るために使用前に混合する第1の組成物および第2の組成物を含み、第1の組成物が固体であり、デオキシリボヌクレアーゼ酵素およびゲル化剤粉末を含み、第2の組成物が、イミド基を有する原子数5または6の少なくとも1つの含窒素複素環式化合物、および少なくとも1つのカルボン酸を含む水性液体であり、第2の組成物が、4.5から6.8の間のpHを有する。
【0055】
本発明の特に好ましい実施形態において、局所創傷処置用の医薬製剤キットは、使用前に混合する第1の組成物、第2の組成物および第3の組成物を含み、第1の組成物が固体であり、ゲル化剤粉末を含み、第2の組成物が固体であり、デオキシリボヌクレアーゼ酵素を含み、第3の組成物が、イミド基を有する原子数5または6の少なくとも1つの含窒素複素環式化合物、および少なくとも1つのカルボン酸を含む水性液体であり、第3の組成物が、4.5から6.8の間のpHを有する。
【0056】
本発明の別の実施形態において、医薬製剤キットは、それぞれが密封個別容器に含まれている第1の組成物、第2の組成物および第3の組成物を含む。
【0057】
本発明の別の目的は、前記医薬製剤を調製する方法であって、
a.第1の組成物を第2の組成物に接触させるステップ、ならびに
b.混合および振盪して、ゲル状医薬組成物を得るステップ
を含む方法である。
【0058】
本発明の別の目的は、使用前に混合される第1の組成物、第2の組成物および第3の組成物を含む本発明の医薬製剤から本発明の組成物を調製する方法であって、第1の組成物が固体であり、ゲル化剤粉末を含み、第2の組成物が固体であり、デオキシリボヌクレアーゼ酵素を含み、第3の組成物が、イミド基を有する原子数5または6の少なくとも1つの含窒素複素環式化合物、および少なくとも1つのカルボン酸を含む水性液体であり、第3の組成物が、4.5から6.8の間のpHを有し、方法が、
a.第3の組成物を第2の組成物に接触させるステップ、
b.第3の組成物と第2の組成物を混合および振盪するステップ、
c.第1の組成物を、ステップb.で得た混合物に接触させるステップ、ならびに
d.混合および振盪して、ゲル状医薬組成物を得るステップを含む方法である。
【0059】
本発明の別の目的は、哺乳動物の創傷を処置する方法であって、本発明の医薬組成物を創傷に少なくとも1日1回適用するステップを含む方法である。
【0060】
本発明の別の実施形態において、前記創傷は、糖尿病性足潰瘍、静脈性潰瘍、動脈性潰瘍、褥瘡、バイオフィルム形成細菌による重複感染を特徴とする機械的創傷、バイオフィルム形成細菌による重複感染を特徴とする術後創傷、およびそれらの組合せからなる群から選択される創傷である。
【0061】
本発明の別の実施形態は、本発明の医薬製剤を含むデバイスであって、
第1の組成物を含む第1の容器と、
第2の組成物を含む第2の容器と
を含み、
第1の容器と第2の容器が、第1の組成物と第2の組成物を離隔することが可能な崩壊性膜によって分離されている、デバイスである。
【0062】
本発明の別の実施形態は、本発明の医薬製剤を含むデバイスであって、
第1の組成物を含む第1の容器と、
第2の組成物を含む第2の容器と、
第3の組成物を含む第3の容器と
を含み、
第1の容器と第2の容器が、第1の組成物と第2の組成物を離隔することが可能な第1の崩壊性膜によって分離されており、
第2の容器と第3の容器が、第2の組成物と第3の組成物を離隔することが可能な第2の崩壊性膜によって分離されている、デバイスである。
【0063】
本発明の別の実施形態は、本発明の医薬組成物を製造する方法であって、
a.イミド基を有する原子数5または6の含窒素複素環式化合物と、デオキシリボヌクレアーゼ酵素と、カルボン酸を溶液中で混合し、それによって混合物を形成するステップ

b.前記混合物のpHが4.50から6.50の間になるまでアルカリ溶液を前記混合物に滴加し、それによってpHが調整された混合物を形成するステップ、および
c.前記pHが調整された混合物を滅菌するステップ
を含む方法である。
【0064】
d.ゲル化剤を添加するステップをさらに含む。
【0065】
e.錯体形成酸、張力活性剤および親水性還元性酸を添加するステップをさらに含む。
【0066】
詳細な説明
本発明は、多くの技術的効果、主として治療効果を達成する創傷の局所処置用の医薬組成物および製剤、ならびにキットを提供する。
【0067】
本発明により処置しやすい創傷は、従来の治癒処置では効果がない慢性潰瘍、例えば、静脈性潰瘍、動脈性潰瘍、褥瘡(床擦れ)、糖尿病性足潰瘍、およびバイオフィルム形成細菌による重複感染によって慢性化した機械的または術後創傷である。
【0068】
本書で用いられている「イミド基を有する原子数5または6の含窒素複素環式化合物」という用語は、それらの原子のほぼ1つが、「N」であり、イミド基の一部である、原子数5または6の化学環を有する薬学的に許容される任意の化学的化合物を指す。イミド基は-CO-NH-CO-である。本開示のいくつかの実施形態のイミド基を有する原子数5または6の含窒素複素環式化合物の例は、限定することなく、エトスクシミド、バルビツール酸、フェノバルビタール、5,5-ジエチルバルビツール酸(バルビタールまたはベロナール)、5-エチル-5-(1-メチルブチル)バルビツール酸(ペントバルビトン、ペントバルビタールまたはネンブタール)、5-エチル-5-(1-メチルプロピル)バルビツール酸(ブタバルビタール、ブチゾール)、5-アリル-5-(1-メチルブチル)-バルビツール酸(セコバルビタールまたはセコナール)、フェニトイン、ヒダントイン、およびそれらの組合せである。エトクスシミドを本発明の例に使用したが、以上に列記した、イミド基を有する原子数5または6の任意の薬学的に許容される含窒素複素環式化合物も同等物であると考えられる。
【0069】
本書で用いられている「カルボン酸」という用語は、薬学的に許容される任意のカルボン酸を指す。本開示のいくつかの実施形態のカルボン酸の例は、限定することなく、クエン酸、乳酸、酢酸、ギ酸、リンゴ酸、酒石酸、サリチル酸、シュウ酸、安息香酸、プロピオン酸、およびそれらの組合せである。乳酸を本発明の例に使用したが、以上に列記した任意の薬学的に許容されるカルボン酸も同等物であると考えられる。
【0070】
本書で用いられている「デオキシリボヌクレアーゼ酵素」という用語は、4.5から6.5の間の活性pHを有する任意の薬学的に許容されるデオキシリボヌクレアーゼ酵素を指す。本開示のいくつかの実施形態のデオキシリボヌクレアーゼ酵素の例は、限定することなく、原核細胞DNase Iまたは真核細胞DNase Iなどの任意の起源のDNase Iである。例えば、組換えヒトDNaseまたはrh-ドルナーゼアルファおよびウシ膵臓DNase I、ならびに原核細胞DNase IIまたは真核細胞DNase IIなどの任意の起源のDNase II。例えば、DNase IIアルファ、DNase IIベータおよびブタ脾臓DNase II、ならびにそれらの組合せ。rh-ドルナーゼアルファを本発明の例に使用したが、以上に列記した任意の薬学的に許容されるデオキシリボヌクレアーゼ酵素も同等物であると考えられる。
【0071】
本書で用いられている「親水性還元性酸」という用語は、薬学的に許容される任意の親水性還元性酸を指す。本開示のいくつかの実施形態の親水性還元性酸の例は、限定することなく、尿酸、アスコルビン酸、リポ酸、およびそれらの組合せである。アスコルビン酸を本発明の例に使用したが、以上に列記した任意の薬学的に許容される親水性還元性酸も同等物であると考えられる。
【0072】
本書で用いられている「錯体形成酸」という用語は、薬学的に許容される任意の錯体形成酸を指す。本開示のいくつかの実施形態の錯体形成酸の例は、限定することなく、エチレングリコール四酢酸(EGTA)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジメルカプトコハク酸(DMSA)、2,3-ジメルカプト-1-プロパンスルホン酸(DMPS)、リポ酸(1,2-ジチオラン-3-吉草酸)、シュウ酸、およびそれらの組合せである。EDTAを本発明の例に使用したが、以上に列記した任意の薬学的に許容される錯体形成酸も同等物であると考えられる。
【0073】
本書で用いられている「張力活性剤」という用語は、薬学的に許容される任意の界面活性剤を指す。本開示のいくつかの実施形態の張力活性剤の例は、限定することなく、ポリソルベート20、ポリソルベート80、ポリソルベート60、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノステアレート、オクトキシノール-9、40モルのエチレンオキシドによるエトキシル化ヒマシ油であるノノキシノール-9、7~10モルのエトキシル化ラウリンアルコール、クレモフォールコリフォール、リポコールオキソ650、ソルトールHS15、エマルギンB1 PH、ラネッテ20PH、ポリソルベート、ポリソルベート20、ポリソルベート60、ポリソルベート80、カプリアルコール、デシルアルコール、ラウリルアルコール、イソトリデシルアルコール、ミリスチルアルコール、エチルアルコール、パルモレイル、ステアリル、オレイル、エライジル、ペトロセリニル、リノリルアルコール、リノレン、エラオステアリルアルコール、エイコシル、アラキル、ガドレイル、ベヘニルアルコール、エルシルアルコールおよびブラシジルに由来する(6から30モルのエチレンオキシドによる)エトキシル化脂肪アルコール、ならびにそれらの組合せである。ポリソルベート80を本発明の例に使用したが、以上に列記した任意の薬学的に許容される張力活性剤も同等物であると考えられる。
【0074】
本書で用いられている「ゲル化剤」という用語は、コロイド混合物として液相に溶解すると、弱凝集の内部構造を形成する任意の薬学的に許容されるゲル形成剤を指す。本開示のいくつかの実施形態の医薬として許容し得るゲル化剤の例は、限定することなく、セルロース、ナノ結晶セルロース、細菌セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、微結晶セルロース、カルボポール、セルロース誘導体、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、グアーガム、アラビアゴム、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、キサンタンガム、キトサン、アルギン酸塩、ゼラチン、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、アルギン酸、ペクチン、およびそれらの組合せである。ヒドロキシエチルセルロースを本発明の例に使用したが、以上に列記した任意の薬学的に許容されるゲル化剤も同等物であると考えられる。
【0075】
本発明は、少なくとも3つの成分を溶液中に含む局所創傷処置用の医薬組成物である。前記成分の濃度は、前記溶液1mL当たりの成分のmgを意味するmg/mLの単位、および前記溶液の単位体積当たりの成分の重量%を意味する%w/vの単位である。
【0076】
本書で区別なく用いられている「溶液」または「MS」または「混合溶媒」という用語は、任意の薬学的に許容される水性溶媒を指す。本開示のいくつかの実施形態の薬学的に許容される水性溶媒の例は、限定することなく、酢酸0.2M/酢酸ナトリウム0.2M:比率2.78~0.66%(v/v)、pH=4.2~4.8;酢酸0.10M/酢酸ナトリウム0.01M:比率1.05~10.05%(v/v)、pH=5.6;一塩基性リン酸カリウム0.05M、pH=4.5;一塩基性リン酸カリウム0.36M/リン酸二ナトリウム0.07M:比率4.92~0.98%(w/v)、pH=5.7;一塩基性リン酸カリウム0.36M/リン酸二ナトリウム0.10M:比率4.92~1.49%(w/v)、pH=6.0;クエン酸0.31M/リン酸二ナトリウム0.20M:比率2.99~1.42%(w/v)、pH=5.8;クエン酸0.10M/クエン酸ナトリウム0.03M:比率1.92~0.77%(w/v)、pH=5.8;セーレンセンリン酸バッファー:一塩基性リン酸ナトリウム0.2M/リン酸二ナトリウム2.3M:比率1.2~16.33%(w/v)、pH=5.8;ハンクス平衡塩溶液(HBSS):塩化ナトリウム0.14M(0.800%)、塩化カリウム5mM(0.040%)、塩化カルシウム1mM(0.014%)、硫酸マグネシウム七水和物0.4mM(0.010%)、塩化マグネシウム六水和物0.5mM(0.010%)、リン酸二ナトリウム二水和物0.3mM(0.006%)、一塩基性リン酸カリウム0.4mM(0.006%)、グルコース6mM(0.100%)、重炭酸ナトリウム4mM(0.035%):pH=5.7;4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸(HEPES)1M(pH=6.5);2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸ナトリウム塩、4-モルホリンエタンスルホン酸(MESナトリウム塩)0.5M(pH=5.5~6.7);N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-2-アミノエタンスルホン酸ナトリウム塩(BES)0.5M(pH=6.0);N-(2-アセトアミド)-2-アミノエタンスルホン酸(ACES)0.5M(pH=6.0);2,2’-[(2-アミノ-2-オキソエチル)イミノ]二酢酸(ADA)0.2M(pH=6.0);ピペラジン-N,N’-ビス(2-エタンスルホン酸)(PIPES)0.5M(pH=6.0~6.8);3-モルホリノ-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸(MOPSO)0.2M(pH=6.0);生理食塩水(0.9%)/MgCL2(5mM)、pH5.5;1M NaHCO3溶液、およびそれらの組合せである。生理食塩水(0.9%)/MgCL2(5mM)、pH5.5を本発明の例に使用したが、以上に列記した任意の薬学的に許容される溶液またはMSも同等物であると考えられる。本発明の例に使用された溶液、すなわち混合溶媒(MS)は、生理食塩水(0.9%)および5mMのMgCl、pH5.5である。
【0077】
本発明の組成物は、殺菌剤であるが、ベンジルアルコール、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸メチル、ヒドロキシ安息香酸プロピル、塩化ベンゾアルコニウム、クロロクレゾール、硝酸フェニル水銀、クロロブタノール、デヒドロ酢酸ナトリウム、チメロサール、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、およびそれらの組合せからなる群から選択される薬学的に許容される防腐剤と調合され得る。
【0078】
本発明の組成物は、リドカイン、プラモキシン、ベンゾカリン等、およびそれらの組合せからなる群から選択される薬学的に許容される麻酔薬と調合され得る。
【0079】
本発明により達成される技術的効果の中で、以下の効果を詳述することができる。
【0080】
静菌および殺菌効果:市販されている既存の製品は、小さな範囲の活性しか有さないのに対して、本発明の組成物は、慢性創傷から分離される浮遊菌株の99%を除去することが可能である。この効果は、現行技術の製品のいずれによっても達成されないため、現行では、2種以上の製品を使用しなければならない。
【0081】
細菌バイオフィルムの形成の阻害効果:既存の阻害剤製品は、一度に1種の菌株しか阻害しないのに対して、本発明の組成物は、慢性創傷から分離される菌株の99%のバイオフィルムの形成を阻害する。
【0082】
予め形成された細菌バイオフィルムの崩壊効果:市販されている細菌バイオフィルム崩壊製品は、一度に単一種のみのバイオフィルムの崩壊をもたらすのに対して、本発明の組成物は、混合バイオフィルム(in vivoのように2種以上によって形成された)混合バイオフィルムを含む、慢性創傷の大抵の分離された菌株の95%のバイオフィルム崩壊をもたらし、それに相当する製品は市販されていない。
【0083】
創傷清拭効果:本発明の組成物は、フィブリン/バイオフィルム/壊死組織層を創傷面から除去する
【0084】
創傷拡大の阻害効果:この効果は、本発明の組成物をもたらすMMPおよび遊離ラジカルの阻害により達成される。それは、滲出液を吸収する医薬形態を通じて行われる。このような目的の製品は市販されていない。
【0085】
酸素化効果:本発明の酸素化力は、血管新生を刺激する血管内皮成長因子(VEGF)の発現の誘発により達成される。好気性病原性フローラを除去することによっても、創傷におけるpOが増加する。
【0086】
コラーゲン化効果:本発明は、潰瘍床におけるコラーゲンの形成および堆積を刺激する。
【0087】
本発明の組成物は、少なくとも6カ月間活性であることが実証されているため、現行技術と比較して長期的な安定性を示す。
【0088】
本発明の製剤を収容するためのデバイスは、本発明の別の目的である。前記デバイスは、一実施形態において、第1の組成物を収容する第1の容器、第2の組成物を収容する第2の容器、および第3の組成物を収容する第3の容器の3つの容器を含む。第1の組成物は、固体であり、ゲル化剤粉末を含み、第2の組成物は、固体であり、デオキシリボヌクレアーゼ酵素を含み、第3の組成物は、イミド基を有する原子数5または6の少なくとも1つの含窒素複素環式化合物、および少なくとも1つのカルボン酸を含む水溶液であり、第3の組成物は、4.5から6.8の間のpHを有する。第3の組成物は、1つまたは複数の親水性還元性酸、1つまたは複数の張力活性剤、および1つまたは複数の錯体形成酸をさらに含むことが可能である。
【0089】
本発明の一実施形態は、3つの容器のデバイスであって、第1の容器と第2の容器が、第1の組成物と第2の組成物を離隔することが可能な第1の崩壊性膜によって分離されており、第2の容器と第3の容器が、第2の組成物と第3の組成物を離隔することが可能な第2の崩壊性膜によって分離されている、デバイスを提供する。
【0090】
本書で用いられている「崩壊性膜」という用語は、前記容器を分離するように、崩壊可能、破断可能、破壊可能、引き裂き可能または除去可能である剛性または柔軟性の材料から作製された任意の膜またはフィルムを指す。これらの崩壊性膜は、例えば、ポリマー、アルミニウムまたはシリコンなどの当該技術分野で公知の任意の材料から作製されている。隣接する容器を分離している崩壊製膜が破断すると、前記容器内の組成物が接触する。
【0091】
本書で用いられている「容器」という用語は、雰囲気および他の組成物から離隔された組成物を含む任意の容器を指す。この容器は、崩壊性膜を別の容器と共用し、この膜が破断すると、それらの容器に含まれる前記組成物が接触する。本発明の容器は、独立し、離隔された容器、または図1に見られるように、それらの間で崩壊製膜を共用する2つまたは3つの容器を有する単一のデバイスの一部であり得る。
【0092】
本発明のデバイスは、カートリッジまたはディスペンサである。
【0093】
一実施形態は、着脱可能なキャップを含み得るノズル付きディスペンサデバイスを提供する。
【0094】
例示的なデバイスを図1に示す。この多要素デバイスは、剛性材料の円筒状カートリッジである。本明細書に開示されている、このデバイスを作製するのに有用な材料としては、水分および酸素への暴露を防止するための抗バリヤ性ポリプロピレン、アルミニウムおよびガラス等が挙げられる。2つの崩壊性膜が、この例示的なデバイスを3つの容器に分割している。この崩壊性膜は、圧力、または当該技術分野で公知の、フィルムを破断するための任意のシステムによって破断され得る。
【0095】
本発明の別の目的は、本発明の医薬組成物を、創傷処置に使用する前にin situで調製する方法である。この方法は、
a.第2の崩壊製膜を破断して、第3の組成物を第2の組成物に接触させるステップ、
b.第3の組成物を第2の組成物と混合および振盪するステップ、
c.第1の崩壊製膜を破断して、第1の組成物をステップb.で得られた混合物に接触させるステップ、ならびに
d.混合および振盪して、本発明のゲル状医薬組成物を得るステップ
を含む。
【0096】
ステップa.では、完璧な混合物が可能である。第2の容器内の第2の組成物の酵素は、第3の容器の第3の液体水性組成物と振盪されると、その体積全体に分布する。ステップa.によるこの混合物が、ステップc.において、第1の容器内の第1の組成物のゲル化剤と混合され、振盪されて、本発明の均質なゲル組成物が得られる。
【0097】
一実施形態は、本発明の製剤を収容するためのデバイスを提供する。前記デバイスは、第1の組成物を収容する第1の容器、および第2の組成物を収容する第2の容器の2つの容器を含む。第1の組成物は、固体であり、ゲル化剤粉末およびデオキシリボヌクレアーゼ酵素を含み、第2の組成物は、イミド基を有する原子数5または6の少なくとも1つの含窒素複素環式化合物、および少なくとも1つのカルボン酸を含む水溶液であり、第3の組成物は、4.5から6.8の間のpHを有する。第3の組成物は、1つまたは複数の親水性還元性酸、1つまたは複数の張力活性剤、および1つまたは複数の錯体形成酸をさらに含むことが可能である。
【0098】
適用の前にin situで調製される本発明の製剤は、使用される酵素と同様の消費期限を示す。
【0099】
2つまたは3つの容器を有する本発明のデバイスに含まれる本発明の製剤の経時安定性は、約2年である。それは、溶液と接触することなく、離隔された容器または区画に凍結乾燥粉末の形態で存在するため、この安定性は、使用される酵素の安定性である。したがって、本発明のそのデバイスにおける本発明の製剤は、現行技術と比較して、長期の安定性を示す。そして、製剤を調製し、第1の組成物を第2の組成物に接触させ、(デバイスが3つの容器を与える場合は)第3の組成物に接触させ、振盪して全ての組成物を混合すると、調製されたゲルは、約6カ月以上の安定性を示す。
【実施例
【0100】
[実施例1]
成分溶液調製
本発明の組成物の異なる成分の溶液を調製した。
【0101】
混合溶媒(MS):生理食塩水溶液(0.9%)/MgCL(5mM).pH5.5
1リットルの溶液は、9.0000gの塩化ナトリウムおよび1.0106gの塩化マグネシウム六水和物(MgCL.6HO)を秤量し、それらを蒸留水に溶解して調製される。
【0102】
アルカリ溶液:1M NaHC0溶液。メスフラスコ中、100mLの溶液が、8.4gの重炭酸ナトリウムを蒸留水に溶解して調製される。重炭酸ナトリウムを完全に溶媒とビーカー中で溶解してフラスコ中のマークまで調合する前に過飽和を回避することが重要である。アルカリ溶液の最終pHは、およそ8.6である。
【0103】
混合溶媒中の乳酸溶液(LA)。LAは、言及した混合溶媒中に希釈され、次に数分間混合される。最終pH=5.5が、アルカリ溶液で達成される。調製された濃度は、LA 1.63mg/mL、LA 6.50mg/mL、LA 8.67mg/mLであった。
【0104】
混合溶媒中のポリソルベート80溶液(PS80)。PS80は、希釈され、次に均質化が達成されるまで数分間混合される。最終pH=5.5が、アルカリ溶液を使用して達成される。調製された濃度は、PS80 2.0mg/mL、PS80 3.0mg/mLであった。
【0105】
混合溶媒中のEDTA溶液:EDTAは、言及した混合溶媒中に溶解され、次に数分間混合される。最終pH=5.5が、アルカリ溶液を使用して達成される。調製された濃度は、EDTA 0.25mg/mL、EDTA 0.50mg/mL、EDTA 0.75mg/mLであった。
【0106】
混合溶媒中のアスコルビン酸溶液(AA)。AAは、言及した溶媒混合物中に溶解され、次に数分間混合される。最終pH=5.50が、アルカリ溶液を使用して達成される。調製された濃度は、AA 0.5mg/mL、AA 1.0mg/mL、AA 2.50mg/mLであった。
【0107】
混合溶媒中のエトスクシミド溶液(Etho)。Ethoは、混合溶媒中に溶解され、次に数分間混合される。最終pH=5.5が、アルカリ溶液を使用して達成される。調製された濃度は、Etho 0.50mg/mL、Etho 3.00mg/mL、Etho 30.00mg/mLであった。
【0108】
混合溶媒中のrh-ドルナーゼアルファ溶液(D1)。D1は、混合物溶媒中に溶解され、次に数分間混合される。最終pH=5.5が、アルカリ溶液で達成される。調製された濃度は、D1 250μg/mL、D1 125μg/mL、D1 62.5μg/mL、D1 31.2μg/mL、D1 15.6μg/mL、D1 7.8μg/mL、D1 3.9μg/mL、D1 1.9μg/mL、D1 0.97μg/mL、D1 0.5μg/mLであった。
【0109】
24時間(LAPS 24h)対照のラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)上清:L.プランタルム(L. plantarum)ATCC10241を、de Man Rogosa Sharpe (MRS)(Britania. Argentina)において37℃で12時間成長させた。上清(LAPS)を、15分、8000rpmの遠心分離によって得て、0.22μmのMilliporeフィルターで濾過した。次に調製物を、2~8℃で24時間貯蔵した。医薬形態をゲルで得るために、ヒドロキシエチルセルロース1.7%を添加した。
【0110】
6月(LAPS 6m)対照のラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)上清:LAPS 24hの調製物を、使用される前に2~8℃で6月貯蔵した。
【0111】
[実施例2]
本発明の組成物。研究室での混合物番号0(MO)の調製
本発明の組成物は:
a. 6.50mg/mL乳酸(85%~90%純度)
b. 3.00mg/mLエトスクシミド
c. DNase(rh-ドルナーゼアルファ)0.97μg/mLから構成される
【0112】
溶液:混合物が製剤化される(a+b+c)
50mLの混合溶媒中に、150mgのエトスクシミド、318μLの乳酸および50μgのrh-ドルナーゼアルファ酵素が添加される。
【0113】
調製モード
1. 150mgのエトスクシミドは、時計皿上で化学天秤Radwag AS 220 R2(Radwag LLC、Radom、Poland)で秤量される。
2. 混合溶媒の助けで、この物質は、時計皿中のいかなる粒子も取り残さないようにガラスビーカーに溶出される。
3. 50mLの溶媒混合物の残りをビーカーに添加後、調製物は、固体粒子が部分的に溶解されるまで5分NUMAK GL-3250Aマグネチックスターラ(Numak Technology LLC、Dubai、UAE)に配置される。
4. 次に、318μLの乳酸が調製物に添加される。
5. これらの物質が添加されたら、混合物は、追加の5分間撹拌させておく。
6. 溶液は最終pHの5.5とされ、50mLの溶液が100mLビーカーに配置され、予め較正されたLutron PH-206 pHメータ電極(Lutron Electronics Co. Inc.、Pennsylvania、USA)がそれに浸される。
7. 集合物は撹拌機に低回転数で配置され、アルカリ溶液はpH5.5が達成されるまで滴加されるが、その凝集によって生成される発泡に注意する。
8. 調製物は、オートクレーブ Arcano LS-B75Lで120℃、1気圧超過圧力で10分滅菌される。
9. 滅菌プロセス終了後、50mLの調製物はコニカルチューブに配置され、50μgのrh-ドルナーゼアルファ酵素(Roche、Basel、Switzerland)が無菌条件下で添加されて、最終濃度の0.97μg/mLが達成される。このステップは、生物学的安全キャビネットで行われる。
10. チューブは、密封され、ボルテックスで1分間混合される。
11. 調製物は、アルミ箔を使用して光から遮断され、次に4℃~25℃で貯蔵される。
【0114】
[実施例3]
本発明の組成物。研究室での混合物番号13(M13)の調製
本発明の組成物は:
a. 3.00mg/mLポリソルベート80
b. 1.00mg/mLアスコルビン酸
c. 6.50mg/mL乳酸(85%~90%純度)
d. 0.50mg/mL EDTA
e. 3.00mg/mLエトスクシミド
f. 0.97μg/mL DNaseを含む
【0115】
溶液:混合物が製剤化される(a+b+c+d+e+f)
50mLの混合溶媒中に、50mgのアスコルビン酸、25mgのEDTA、150mgのエトスクシミド、50μgのrh-ドルナーゼアルファ、141μLのポリソルベート80および318μLの乳酸が添加される。
【0116】
調製モード:
1. 50mgのアスコルビン酸および25mgのEDTAは、時計皿上で化学天秤Radwag AS 220 R2 (Radwag LLC、Radom、Poland)で秤量される。
2. 混合溶媒の助けで、この物質は、時計皿中のいかなる粒子も取り残さないようにガラスビーカーに溶出される。
3. 50mLの溶媒混合物の残りをビーカーに添加後、調製物は、固体粒子が部分的に溶解されるまで5分NUMAK GL-3250Aマグネチックスターラ(Numak Technology LLC、Dubai、UAE)に配置される。撹拌の間に、141μLのポリソルベート80が、200μLチップで、その先端を切断して、添加される。
4. 次に、318μLの乳酸が調製物に添加される。
5. 150mgのエトスクシミドが添加される。
6. これらの物質が添加されたら、混合物は、追加の5分間撹拌させておく。
7. 前記混合物は最終pHの5.5とされ、50mLの混合物が100mLビーカーに配置され、予め較正されたLutron PH-206 pHメータ電極(Lutron Electronics Co. Inc.、Pennsylvania、USA)がそれに浸される。
8. ステップ7の混合物は撹拌機に低回転数で配置され、アルカリ溶液はpH5.5が達成されるまで滴加されるが、その凝集によって生成される発泡に注意する。
9. ステップ8の混合物は、オートクレーブ Arcano LS-B75Lで120℃、1気圧超過圧力で10分滅菌される。
10. 滅菌プロセス終了後、50mLの混合物は50mLコニカルチューブに配置され、50μgのrh-ドルナーゼアルファ酵素(Roche、Basel、Switzerland)が無菌条件下で添加されて、最終濃度の0.97μg/mLが達成される。このステップは、生物学的安全キャビネットで行われる。
11. チューブは、密封され、ボルテックスで1分間混合される。
12. ステップ11の本発明の組成物は、アルミ箔を使用して光から遮断され、次に4℃~25℃で貯蔵される。
【0117】
[実施例4]
本発明の組成物。研究室での混合物番号15(M15)の調製
本発明の組成物は:
a. 2.00mg/mLポリソルベート80
b. 0.50mg/mLアスコルビン酸
c. 1.63mg/mL乳酸(85%~90%純度)
d. 0.25mg/mL EDTA
e. 0.50mg/mLエトスクシミド
f. 3.90μg/mL DNaseを含む
【0118】
混合物が製剤化される(a+b+c+d+e+f)
50mLの混合物溶媒中に、25.00mgのアスコルビン酸、12.50mgのEDTA、25mgのエトスクシミド、200μgのrh-ドルナーゼアルファ、94μLのポリソルベート80および80μLの乳酸が添加される。
【0119】
調製モード:
1. 25mgのアスコルビン酸および12.50mgのEDTAは、時計皿上で化学天秤Radwag AS 220 R2 (Radwag LLC、Radom、Poland)で秤量される。
2. 混合溶媒の助けで、この物質は、時計皿中のいかなる粒子も取り残さないようにガラスビーカーに溶出される。
3. 50mLの溶媒混合物の残りをビーカーに添加後、調製物は、固体粒子が部分的に溶解されるまで5分NUMAK GL-3250Aマグネチックスターラ(Numak Technology LLC、Dubai、UAE)に配置される。
撹拌の間に、94μLのポリソルベート80が、200μLチップで、その先端を切断して、添加される。
4. 次に、80μLの乳酸が調製物に添加される。
5. 25mgのエトスクシミドが添加される。
6. これらの物質が添加されたら、混合物は、追加の5分間撹拌させておく。
7. 前記混合物は最終pHの5.5とされ、50mLの混合物が100mLビーカーに配置され、予め較正されたLutron PH-206 pHメータ電極(Lutron Electronics Co. Inc.、Pennsylvania、USA)がそれに浸される。
8. ステップ7の混合物は撹拌機に低回転数で配置され、アルカリ溶液はpH5.5が達成されるまで滴加されるが、その凝集によって生成される発泡に注意する。
9. 調製物は、オートクレーブ Arcano LS-B75Lで120℃、1気圧超過圧力で10分滅菌される。
10. 9.滅菌プロセス終了後、50mLの調製溶液は50mLコニカルチューブに配置され、200μgのrh-ドルナーゼアルファ酵素(Roche、Basel、Switzerland)が無菌条件下で添加されて、最終濃度の3.90μg/mLが達成される。このステップは、生物学的安全キャビネットで行われる。
11. チューブは、密封され、ボルテックスで1分間混合される。
12. ステップ11の本発明の組成物は、アルミ箔を使用して光から遮断され、次に4℃~25℃で貯蔵される。
【0120】
[実施例5]
本発明の組成物
研究室での混合物番号16(M16)の調製
本発明の組成物は:
a. 3.00mg/mLポリソルベート80
b. 2.50mg/mLアスコルビン酸
c. 8.67mg/mL乳酸(85%~90%純度)
d. 0.75mg/mL EDTA
e. 30.00mg/mLエトスクシミド
f. 3.90μg/mL DNaseを含む
【0121】
混合物が製剤化される(a+b+c+d+e+f)
50mLの混合溶媒中に、125mgのアスコルビン酸、37.5mgのEDTA、1500mgのエトスクシミド、200μgのrh-ドルナーゼアルファ、141μLのポリソルベート80および424μLの乳酸が添加される。
【0122】
調製モード:
1. 125mgのアスコルビン酸および37.5mgのEDTAは、時計皿上で化学天秤Radwag AS 220 R2 (Radwag LLC、Radom、Poland)で秤量される。
2. 混合溶媒の助けで、この物質は、時計皿中のいかなる粒子も取り残さないようにガラスビーカーに溶出される。
3. 50mLの溶媒混合物の残りをビーカーに添加後、調製物は、固体粒子が部分的に溶解されるまで5分NUMAK GL-3250Aマグネチックスターラ(Numak Technology LLC、Dubai、UAE)に配置される。撹拌の間に、141μLのポリソルベート80が、200μLチップで、その先端を切断して、添加される。
4. 次に、424μLの乳酸が調製物に添加される。
5. 1500mgのエトスクシミドが添加される。
6. これらの物質が添加されたら、混合物は、追加の5分間撹拌させておく。
7. Lutron PH-206 pHメータ電極が、較正され(Lutron Electronics Co. Inc.、Pennsylvania、USA)、調製物のpHが測定される。
8. 溶液は最終pHの5.5とされ、50mLの溶液が低回転数の撹拌機上の100mLビーカーにpHメータとともに配置され、アルカリ溶液はpHレベルが達成されるまで滴加されるが、その凝集によって生成される発泡に注意する。
9. 調製物は、オートクレーブ Arcano LS-B75Lで120℃、1気圧超過圧力で10分滅菌される。
10. 滅菌プロセス終了後、50mLの調製溶液は50mLコニカルチューブに配置され、200μgのrh-ドルナーゼアルファ酵素(Roche、Basel、Switzerland)が無菌条件下で添加されて、最終濃度の3.90μg/mLが達成される。このステップは、生物学的安全キャビネットで行われる。
11. チューブは、密封され、ボルテックスで1分間混合される。
12. ステップ11の本発明の組成物は、アルミ箔を使用して光から遮断され、次に4℃~25℃で貯蔵される。
【0123】
[実施例6]
本発明の組成物。研究室での混合物番号0(MO)のゲル調製
本発明の組成物は:
a. 6.50mg/mL乳酸(85%~90%純度)
b. 3.00mg/mLエトスクシミド
c. DNase 0.97μg/mL
d. 17mg/mL ヒドロキシエチルセルロースから構成される
【0124】
溶液:混合物が製剤化される(a+b+c)
50mLの混合溶媒中に、150.0mgのエトスクシミド、318μLの乳酸および50μgのrh-ドルナーゼアルファ酵素が添加される。
【0125】
調製モード
1. 150.0mgのエトスクシミドは、時計皿上で化学天秤Radwag AS 220 R2(Radwag LLC、Radom、Poland)で秤量される。
2. 混合溶媒の助けで、この物質は、時計皿中のいかなる粒子も取り残さないようにガラスビーカーに溶出される。
3. 50mLの溶媒混合物の残りをビーカーに添加後、調製物は、固体粒子が部分的に溶解されるまで5分NUMAK GL-3250Aマグネチックスターラ(Numak Technology LLC、Dubai、UAE)に配置される。
4. 次に、318μLの乳酸が調製物に添加される。
5. これらの物質が添加されたら、混合物は、追加の5分間撹拌させておく。
6. 溶液は最終pHの5.5とされ、50mLの溶液が100mLビーカーに配置され、予め較正されたLutron PH-206 pHメータ電極(Lutron Electronics Co. Inc.、Pennsylvania、USA)がそれに浸される。
7. 集合物は撹拌機に低回転数で配置され、アルカリ溶液はpH5.5が達成されるまで滴加されるが、その凝集によって生成される発泡に注意する。
8. 調製物は、オートクレーブ Arcano LS-B75Lで120℃、1気圧超過圧力で10分滅菌される。
9. 滅菌プロセス終了後、50mLの調製物はコニカルチューブに配置され、50μgのrh-ドルナーゼアルファ酵素(Roche、Basel、Switzerland)が無菌条件下で添加されて、最終濃度の0.97μg/mLが達成される。このステップは、生物学的安全キャビネットで行われる。
10. チューブは、密封され、ボルテックスで1分間混合される。
【0126】
ゲル:混合物が製剤化される(溶液+g)
11. 0.85gのヒドロキシエチルセルロースを調製された混合物に添加。
12. 均質になるまで穏やかに混合。
13. 調製物は、アルミ箔を使用して光から遮断され、次に4~25℃で遮蔽して貯蔵される。気泡が消えるまで、6から8時間の間で放置しておくべきである。
【0127】
[実施例7]
本発明の組成物。研究室での混合物番号13(M13)のゲル調製
本発明の組成物は:
a. 3.00mg/mLポリソルベート80
b. 1.00mg/mLアスコルビン酸
c. 6.50mg/mL乳酸(85%~90%純度)
d. 0.50mg/mL EDTA
e. 3.00mg/mLエトスクシミド
f. 0.97μg/mL DNase
g. 17mg/mLヒドロキシエチルセルロースを含む
【0128】
溶液:混合物が製剤化される(a+b+c+d+e+f)
50mLの混合溶媒中に、50mgのアスコルビン酸、25mgのEDTA、150mgのエトスクシミド、50μgのrh-ドルナーゼアルファ、141μLのポリソルベート80および318μLの乳酸が添加される。
【0129】
調製モード:
1. 50mgのアスコルビン酸および25mgのEDTAは、時計皿上で化学天秤Radwag AS 220 R2 (Radwag LLC、Radom、Poland)で秤量される。
2. 混合溶媒の助けで、この物質は、時計皿中のいかなる粒子も取り残さないようにガラスビーカーに溶出される。
3. 50mLの溶媒混合物の残りをビーカーに添加後、調製物は、固体粒子が部分的に溶解されるまで5分NUMAK GL-3250Aマグネチックスターラ(Numak Technology LLC、Dubai、UAE)に配置される。撹拌の間に、141μLのポリソルベート80が、200μLチップで、その先端を切断して、添加される。
4. 次に、318μLの乳酸が調製物に添加される。
5. 150mgのエトスクシミドが添加される。
6. これらの物質が添加されたら、混合物は、追加の5分間撹拌させておく。
7. 前記混合物は最終pHの5.5とされ、50mLの混合物が100mLビーカーに配置され、予め較正されたLutron PH-206 pHメータ電極(Lutron Electronics Co. Inc.、Pennsylvania、USA)がそれに浸される。
8. ステップ7の混合物は撹拌機に低回転数で配置され、アルカリ溶液はpH5.5が達成されるまで滴加されるが、その凝集によって生成される発泡に注意する。
9. ステップ8の混合物は、オートクレーブ Arcano LS-B75Lで120℃、1気圧超過圧力で10分滅菌される。
10. 滅菌プロセス終了後、50mLの混合物は50mLコニカルチューブに配置され、50μgのrh-ドルナーゼアルファ酵素(Roche、Basel、Switzerland)が無菌条件下で添加されて、最終濃度の0.97μg/mLが達成される。このステップは、生物学的安全キャビネットで行われる。
11. チューブは、密封され、ボルテックスで1分間混合される。
【0130】
ゲルの取得:混合物が製剤化される(溶液+g)
12. 0.85のヒドロキシエチルセルロースを調製された混合物に添加。
13. 均質になるまで穏やかに混合。
14. 調製物は、アルミ箔を使用して光から遮断され、次に4~25℃で遮蔽して貯蔵される。気泡が消えるまで、6から8時間の間で放置しておくべきである。
【0131】
[実施例8]
本発明の組成物。研究室での混合物番号15(M15)のゲル調製
本発明の組成物は:
a. 2.00mg/mLポリソルベート80
b. 0.50mg/mLアスコルビン酸
c. 1.63mg/mL乳酸(85%~90%純度)
d. 0.25mg/mL EDTA
e. 0.50mg/mLエトスクシミド
f. 3.90μg/mL DNase
g. 17mg/mLヒドロキシエチルセルロースを含む
【0132】
混合物が製剤化される(a+b+c+d+e+f)
50mLの混合物溶媒中に、25.00mgのアスコルビン酸、12.50mgのEDTA、25mgのエトスクシミド、200μgのrh-ドルナーゼアルファ、94μLのポリソルベート80および80μLの乳酸が添加される。
【0133】
調製モード:
1. 25mgのアスコルビン酸および12.5mgのEDTAは、時計皿上で化学天秤Radwag AS 220 R2 (Radwag LLC、Radom、Poland)で秤量される。
2. 混合溶媒の助けで、この物質は、時計皿中のいかなる粒子も取り残さないようにガラスビーカーに溶出される。
3. 50mLの溶媒混合物の残りをビーカーに添加後、調製物は、固体粒子が部分的に溶解されるまで5分NUMAK GL-3250Aマグネチックスターラ(Numak Technology LLC、Dubai、UAE)に配置される。
撹拌の間に、94μLのポリソルベート80が、200μLチップで、その先端を切断して、添加される。
4. 次に、80μLの乳酸が調製物に添加される。
5. 25mgのエトスクシミドが添加される。
6. これらの物質が添加されたら、混合物は、追加の5分間撹拌させておく。
7. 前記混合物は最終pHの5.5とされ、50mLの混合物が100mLビーカーに配置され、予め較正されたLutron PH-206 pHメータ電極(Lutron Electronics Co. Inc.、Pennsylvania、USA)がそれに浸される。
8. ステップ7の混合物は撹拌機に低回転数で配置され、アルカリ溶液はpH5.5が達成されるまで滴加されるが、その凝集によって生成される発泡に注意する。
9. 調製物は、オートクレーブ Arcano LS-B75Lで120℃、1気圧超過圧力で10分滅菌される。
10. 滅菌プロセス終了後、50mLの調製溶液は50mLコニカルチューブに配置され、200μgのrh-ドルナーゼアルファ酵素(Roche、Basel、Switzerland)が無菌条件下で添加されて、最終濃度の3.90μg/mLが達成される。このステップは、生物学的安全キャビネットで行われる。
11. チューブは、密封され、ボルテックスで1分間混合される。
【0134】
ゲルの取得:混合物が製剤化される(溶液+g)
12. 0.85gのヒドロキシエチルセルロースを調製された混合物に添加。
13. 均質になるまで穏やかに混合。
14. 調製物は、アルミ箔を使用して光から遮断され、次に4~25℃で遮蔽して貯蔵される。気泡が消えるまで、6から8時間の間で放置しておくべきである。
【0135】
[実施例9]
本発明の組成物。研究室での混合物番号16(M16)のゲル調製
本発明の組成物は:
a. 3.00mg/mLポリソルベート80
b. 2.50mg/mLアスコルビン酸
c. 8.67mg/mL乳酸(85%~90%純度)
d. 0.75mg/mL EDTA
e. 30.00mg/mLエトスクシミド
f. 3.90μg/mL DNase
g. 17mg/mLヒドロキシエチルセルロースを含む
【0136】
混合物が製剤化される(a+b+c+d+e+f)
50mLの混合溶媒中に、125mgのアスコルビン酸、37.5mgのEDTA、1500mgのエトスクシミド、200μgのrh-ドルナーゼアルファ、141μLのポリソルベート80および424μLの乳酸が添加される。
【0137】
調製モード:
1. 125mgのアスコルビン酸および37.5mgのEDTAは、時計皿上で化学天秤Radwag AS 220 R2 (Radwag LLC、Radom、Poland)で秤量される。
2. 混合溶媒の助けで、この物質は、時計皿中のいかなる粒子も取り残さないようにガラスビーカーに溶出される。
3. 50mLの溶媒混合物の残りをビーカーに添加後、調製物は、固体粒子が部分的に溶解されるまで5分NUMAK GL-3250Aマグネチックスターラ(Numak Technology LLC、Dubai、UAE)に配置される。撹拌の間に、141μLのポリソルベート80が、200μLチップで、その先端を切断して、添加される。
4. 次に、424μLの乳酸が調製物に添加される。
5. 1500mgのエトスクシミドが添加される。
6. これらの物質が添加されたら、混合物は、追加の5分間撹拌させておく。
7. Lutron PH-206 pHメータ電極が、較正され(Lutron Electronics Co. Inc.、Pennsylvania、USA)、調製物のpHが測定される。
8. 溶液は最終pHの5.5とされ、50mLの溶液が低回転数の撹拌機上の100mLビーカーにpHメータとともに配置され、アルカリ溶液はpHレベルが達成されるまで滴加されるが、その凝集によって生成される発泡に注意する。
9. 調製物は、オートクレーブ Arcano LS-B75Lで120℃、1気圧超過圧力で10分滅菌される。
10. 滅菌プロセス終了後、50mLの調製溶液は50mLコニカルチューブに配置され、200μgのrh-ドルナーゼアルファ酵素(Roche、Basel、Switzerland)が無菌条件下で添加されて、最終濃度の3.90μg/mLが達成される。このステップは、生物学的安全キャビネットで行われる。
11. チューブは、密封され、ボルテックスで1分間混合される。
【0138】
ゲルの取得:混合物が製剤化される(溶液+g)
12. 0.85gのヒドロキシエチルセルロースを調製された混合物に添加。
13. 均質になるまで穏やかに混合。
14. 調製物は、アルミ箔を使用して光から遮断され、次に4~25℃で遮蔽して貯蔵される。気泡が消えるまで、6から8時間の間で放置しておくべきである。
【0139】
[実施例10]
本発明の組成物。好ましい医薬製剤での混合物番号0(MO)の調製。
本発明の組成物は:
a. 6.5mg/mL乳酸(85%~90%純度)
b. 3.00mg/mLエトスクシミド
c. 0.97μg/mL DNAse
d. 17mg/mLヒドロキシエチルセルロースから構成される
【0140】
溶液:混合物が製剤化される(a+b)
50mLの混合溶媒中に、150.0mgのエトスクシミドおよび318μLの乳酸が添加される。
【0141】
調製モード
1. 150.0mgのエトスクシミドは、時計皿上で化学天秤Radwag AS 220 R2(Radwag LLC、Radom、Poland)で秤量される。
2. 全混合溶媒の助けで、この物質は、時計皿中のいかなる粒子も取り残さないようにガラスビーカーに溶出される。
3. 調製物を有するビーカーは、固体粒子が部分的に溶解されるまで5分NUMAK GL-3250Aマグネチックスターラ(Numak Technology LLC、Dubai、UAE)に配置される。
4. 次に、318μLの乳酸が調製物に添加される。
5. これらの物質が添加されたら、混合物は、追加の5分間撹拌させておく。
6. Lutron PH-206 pHメータ電極が、較正され(Lutron Electronics Co. Inc.、Pennsylvania、USA)、調製物のpHが測定される。
7. 溶液は最終pHの5.5とされ、50mLの溶液が低回転数の撹拌機上の100mLビーカーに較正されたpHメータ Lutron PH-206とともに配置され、アルカリ溶液はpHレベルが達成されるまで滴加されるが、その凝集によって生成される発泡に注意する。
8. 調製物は、オートクレーブ Arcano LS-B75Lで120℃、1気圧超過圧力で10分滅菌され、4~25℃で密閉して貯蔵され、光源から守られる。
【0142】
医薬製剤:本発明の好ましい医薬形態はゲルである。ゲルは、二段階プロセス後に得られる。適用装置は、2つの崩壊性膜によって分離された3つの容器を含む。本発明の製剤は、以下を含む:
容器1:この容器は、0.85gの凍結乾燥されたヒドロキシエチルセルロースが十分量充填されて、期待される流体力学的な特性を有するゲルが得られる。
容器2:この容器中に、50μgの凍結乾燥されたrh-ドルナーゼアルファが十分量配置されて、0.97μg/mLの最終溶液が得られる。
容器3:この容器中に、ステップ8の50mLの調製物が配置される。
【0143】
第一の混合段階では、膜番号2が破壊されて、容器2および3の内容物の混合を可能とする。混合は、均質化を改善する。
【0144】
第二の混合段階では、膜番号1が破壊されて、容器1の内容物とのホモジネートの混合を可能とする。この容器は賦形剤を有し、したがって、この段階で、ゲルの最終的な医薬形態が達成される。混合は、全ての成分の均質化を改善する。
【0145】
[実施例11]
本発明の組成物。好ましい医薬製剤での混合物番号13(M13)の調製。
本発明の組成物は:
a. 3.00mg/mLポリソルベート80
b. 1.00mg/mLアスコルビン酸
c. 6.50mg/mL乳酸(85%~90%純度)
d. 0.50mg/mL EDTA
e. 3.00mg/mLエトスクシミド
f. 0.97μg/mL DNase
g. 17mg/mLヒドロキシエチルセルロースを含む
【0146】
溶液:混合物が製剤化される(a+b+c+d+e)
50mLの混合溶媒中に、50mgのアスコルビン酸、25mgのEDTA、150mgのエトスクシミド、141μLのポリソルベート80および318μLの乳酸が添加される。
【0147】
調製モード:
1. 50mgのアスコルビン酸および25mgのEDTAは、時計皿上で秤量される。
2. 混合溶媒は、時計皿中のいかなる粒子も取り残さないようにガラスビーカーに溶出される。
3. 50mLの溶媒混合物の残りをビーカーに添加後、調製物は、固体粒子が部分的に溶解されるまで5分NUMAK GL-3250Aマグネチックスターラ(Numak Technology LLC、Dubai、UAE)に配置される。
撹拌の間に、141μLのポリソルベート80が、200μLチップで、その先端を切断して、添加される。
4. 次に、容量318μLの乳酸が調製物に添加される。
5. 150mgのエトスクシミドが添加される。
6. これらの物質が添加されたら、混合物は、追加の5分間撹拌させておく。
7. 溶液は最終pHの5.5とされ、50mLの溶液が低回転数の撹拌機上の100mLビーカーに較正されたpHメータ Lutron PH-206とともに配置され、アルカリ溶液はpHレベルが達成されるまで滴加されるが、その凝集によって生成される発泡に注意する。
8. 調製物は、オートクレーブ Arcano LS-B75Lで120℃、1気圧超過圧力で10分滅菌され、4~25℃で密閉して貯蔵され、光源から守られる。
【0148】
医薬製剤:本発明の好ましい医薬形態はゲルである。ゲルは、二段階プロセス後に得られる。適用装置は、2つの崩壊性膜によって分離された3つの容器を含む。本発明の製剤は、以下を含む:
容器1:この容器は、0.85gの凍結乾燥されたヒドロキシエチルセルロースが十分量充填されて、期待される流体力学的な特性を有するゲルが得られる。
容器2:この容器中に、50μgの凍結乾燥されたrh-ドルナーゼアルファが十分量配置されて、0.97μg/mLの溶液が得られる。
容器3:この容器中に、ステップ8の50mLの調製物が配置される。
【0149】
第一の混合段階では、膜番号2が破壊されて、容器2および3の内容物の混合を可能とする。混合は、均質化を改善する。
【0150】
第二の混合段階では、膜番号1が破壊されて、容器1の内容物とのホモジネートの混合を可能とする。この容器は賦形剤を有し、したがって、この段階で、ゲルの最終的な医薬形態が達成される。混合は、全ての成分の均質化を改善する。
【0151】
[実施例12]
本発明の組成物
好ましい医薬製剤での混合物番号15(M15)の調製。
本発明の組成物は:
a. 2.00mg/mLポリソルベート80
b. 0.50mg/mLアスコルビン酸
c. 1.63mg/mL乳酸(85%~90%純度)
d. 0.25mg/mL EDTA
e. 0.50mg/mLエトスクシミド
f. 3.90μg/mL DNase
g. 17mg/mLヒドロキシエチルセルロースを含む
【0152】
溶液:混合物が製剤化される(a+b+c+d+e)
50mLの混合溶媒中に、25mgのアスコルビン酸、12mgのEDTA、25mgのエトスクシミド、94μLのポリソルベート80および80μLの乳酸が添加される。
【0153】
調製モード:
1. 25mgのアスコルビン酸および12.5mgのEDTAは、時計皿上で秤量される。
2. 混合溶媒の助けで、この物質は、時計皿中のいかなる粒子も取り残さないようにガラスビーカーに溶出される。
3. 50mLの溶媒混合物の残りをビーカーに添加後、調製物は、固体粒子が部分的に溶解されるまで5分NUMAK GL-3250Aマグネチックスターラ(Numak Technology LLC、Dubai、UAE)に配置される。
撹拌の間に、94μLのポリソルベート80が、200μLチップで、その先端を切断して、添加される。
4. 次に、容量80μLの乳酸が調製物に添加される。
5. 25mgのエトスクシミドが添加される。
6. これらの物質が添加されたら、混合物は、追加の5分間撹拌させておく。
7. 溶液は最終pHの5.5とされ、50mLの溶液が低回転数の撹拌機上の100mLビーカーにpHメータとともに配置され、アルカリ溶液はpHレベルが達成されるまで滴加されるが、その凝集によって生成される発泡に注意する。
8. 調製物は、オートクレーブ Arcano LS-B75Lで120℃、1気圧超過圧力で10分滅菌され、4~25℃で密閉して貯蔵され、光源から守られる。
【0154】
医薬製剤:本発明の好ましい医薬形態はゲルである。ゲルは、二段階プロセス後に得られる。適用装置は、2つの崩壊性膜によって分離された3つの容器を含む。本発明の製剤は、以下を含む:
容器1:この容器は、0.85gの凍結乾燥されたヒドロキシエチルセルロースが十分量充填されて、期待される流体力学的な特性を有するゲルが得られる。
容器2:この容器中に、200μgの凍結乾燥されたrh-ドルナーゼアルファが十分量配置されて、3.90μg/mLの溶液が得られる。
容器3:この容器中に、ステップ8の50mLの調製物が配置される。
【0155】
第一の混合段階では、膜番号2が破壊されて、容器2および3の内容物の混合を可能とする。混合は、均質化を改善する。
【0156】
第二の混合段階では、膜番号1が破壊されて、容器1の内容物とのホモジネートの混合を可能とする。この容器は賦形剤を有し、したがって、この段階で、ゲルの最終的な医薬形態が達成される。混合は、全ての成分の均質化を改善する。
【0157】
[実施例13]
本発明の組成物
好ましい医薬製剤での混合物番号16(M16)の調製。
本発明の組成物は:
a. 3.00mg/mLポリソルベート80
b. 2.50mg/mLアスコルビン酸
c. 8.67mg/mL乳酸(85%~90%純度)
d. 0.75mg/mL EDTA
e. 30.00mg/mLエトスクシミド
f. 3.90μg/mL DNase
g. 17mg/mLヒドロキシエチルセルロースを含む
【0158】
溶液:混合物が製剤化される(a+b+c+d+e)
50mLの混合溶媒中に、125mgのアスコルビン酸、37.5mgのEDTA、1500mgのエトスクシミド、141μLのポリソルベート80および424μLの乳酸が添加される。
【0159】
調製モード:
1. 125mgのアスコルビン酸および37.5mgのEDTAは、時計皿上で化学天秤Radwag AS 220 R2 (Radwag LLC、Radom、Poland)で秤量される。
2. 溶媒混合物の助けで、この物質は、時計皿中のいかなる粒子も取り残さないようにガラスビーカーに溶出される。
3. 50mLの混合溶媒の残りをビーカーに添加後、調製物は、固体粒子が部分的に溶解されるまで5分NUMAK GL-3250Aマグネチックスターラ(Numak Technology LLC、Dubai、UAE)に配置される。
撹拌の間に、141μLのポリソルベート80が、200μLチップで、その先端を切断して、添加される。
4. 次に、容量424μLの乳酸が調製物に添加される。
5. 1500mgのエトスクシミドが添加される。
6. これらの物質が添加されたら、混合物は、追加の5分間撹拌させておく。
7. ステップ6の混合物は最終pHの5.5とされ、50mLの溶液が低回転数の撹拌機上の100mLビーカーにpHメータ Lutron PH-206電極とともに配置され、アルカリ溶液はpHレベルが達成されるまで滴加されるが、その凝集によって生成される発泡に注意する。
8. 調製物は、オートクレーブ Arcano LS-B75Lで120℃、1気圧超過圧力で10分滅菌され、このステップ後、4~25℃で密閉して貯蔵され、光源から守られる。
【0160】
医薬製剤:本発明の好ましい医薬形態はゲルである。ゲルは、二段階プロセス後に得られる。適用装置は、2つの崩壊性膜によって分離された3つの容器を含む。本発明の製剤は、以下を含む:
容器1:この容器は、0.85gの凍結乾燥されたヒドロキシエチルセルロースが十分量充填されて、期待される流体力学的な特性を有するゲルが得られる。
容器2:この容器中に、200μgの凍結乾燥されたrh-ドルナーゼアルファが十分量配置されて、3.90μg/mLの溶液が得られる。
容器3:この容器中に、ステップ8の50mLの調製物が配置される。
【0161】
第一の混合段階では、膜番号2が破壊されて、容器2および3の内容物の混合を可能とする。混合は、均質化を改善する。
【0162】
第二の混合段階では、膜番号1が破壊されて、容器1の内容物とのホモジネートの混合を可能とする。この容器は賦形剤を有し、したがって、この段階で、ゲルの最終的な医薬形態が達成される。混合は、全ての成分の均質化を改善する。
【0163】
[実施例14]
本発明の組成物。好ましい医薬製剤での混合物番号0(MO)の調製。
本発明の組成物は:
a. 6.50mg/mL乳酸(85%~90%純度)
b. 3.00mg/mLエトスクシミド
c. 0.97μg/mL DNase
d. 17mg/mLヒドロキシエチルセルロースを含む
【0164】
溶液:混合物が製剤化される(a+b)
50mLの混合溶媒中に、150mgのエトスクシミドおよび318μLの乳酸が添加される。
【0165】
調製モード:
1. 150.0mgのエトスクシミドは、時計皿上で化学天秤Radwag AS 220 R2(Radwag LLC、Radom、Poland)で秤量される。
2. 全混合溶媒の助けで、この物質は、時計皿中のいかなる粒子も取り残さないようにガラスビーカーに溶出される。
3. 調製物を有するビーカーは、固体粒子が部分的に溶解されるまで5分NUMAK GL-3250Aマグネチックスターラ(Numak Technology LLC、Dubai、UAE)に配置される。
4. 次に、318μLの乳酸が調製物に添加される。
5. これらの物質が添加されたら、混合物は、追加の5分間撹拌させておく。
6. 溶液は最終pHの5.50とされ、50mLの溶液が低回転数の撹拌機上の100mLビーカーに較正されたLutron PH-206 pHメータ電極とともに配置され、アルカリ溶液はpHレベルが達成されるまで滴加されるが、その凝集によって生成される発泡に注意する。
7. 調製物は、オートクレーブ Arcano LS-B75Lで120℃、1気圧超過圧力で10分滅菌され、4~25℃で密閉して貯蔵され、光源から守られる。
【0166】
医薬形態:本発明の好ましい医薬形態はゲルである。ゲルは、一段階プロセス後に得られる。適用装置は、1つの崩壊性膜によって分離された2つの容器を含む。本発明の製剤は、以下を含む:
容器1:この容器中に、ステップ7の50mLの調製物が配置される。
容器2:この容器中に、50μgの凍結乾燥されたrh-ドルナーゼアルファが十分量配置されて、0.97μg/mLの溶液が得られ、0.85gの凍結乾燥されたヒドロキシエチルセルロースが十分量配置されて、期待される流体力学的な特性を有するゲルが得られる。
【0167】
混合プロセスでは、崩壊性膜が破壊されて、容器1および2の内容物の混合を可能とする。混合は、最終的な医薬形態を達成することを可能とし、全ての成分の均質化を改善する。
【0168】
[実施例15]
本発明の組成物
好ましい医薬製剤での混合物番号13(M13)の調製。
本発明の組成物は:
a. 3.00mg/mLポリソルベート80
b. 1mg/mLアスコルビン酸
c. 6.50mg/mL乳酸(85%~90%純度)
d. 0.50mg/mL EDTA
e. 3.00mg/mLエトスクシミド
f. 0.97μg/mL DNase
g. 17mg/mLヒドロキシエチルセルロースから構成される
【0169】
溶液:混合物が製剤化される(a+b+c+d+e)
50mLの混合溶媒中に、50mgのアスコルビン酸、25mgのEDTA、150mgのエトスクシミド、141μLのポリソルベート80および318μLの乳酸が添加される。
【0170】
調製モード:
1. 50mgのアスコルビン酸および25mgのEDTAは、時計皿上で化学天秤Radwag AS 220 R2 (Radwag LLC、Radom、Poland)で秤量される。
2. 混合溶媒の助けで、この物質は、時計皿中のいかなる粒子も取り残さないようにガラスビーカーに溶出される。
3. 50mLの溶媒混合物の残りをビーカーに添加後、調製物は、固体粒子が部分的に溶解されるまで5分NUMAK GL-3250Aマグネチックスターラ(Numak Technology LLC、Dubai、UAE)に配置される。
撹拌の間に、141μLのポリソルベート80が、200μLチップで、その先端を切断して、添加される。
4. 次に、容量318μLの乳酸が調製物に添加される。
5. 150mgのエトスクシミドが添加される。
6. これらの物質が添加されたら、混合物は、追加の5分間撹拌させておく。
7. 溶液は最終pHの5.5とされ、50mLの溶液が低回転数の撹拌機上の100mLビーカーに較正されたpHメータ Lutron PH-206とともに配置され、アルカリ溶液はpHレベルが達成されるまで滴加されるが、その凝集によって生成される発泡に注意する。
8. 調製物は、オートクレーブ Arcano LS-B75Lで120℃、1気圧超過圧力で10分滅菌され、4~25℃で密閉して貯蔵され、光源から守られる。
【0171】
医薬形態:本発明の好ましい医薬形態はゲルである。ゲルは、一段階プロセス後に得られる。適用装置は、1つの崩壊性膜によって分離された2つの容器を含む。本発明の製剤は、以下を含む:
容器1:この容器中に、ステップ8の50mLの調製物が配置される。
容器2:この容器中に、50μgの凍結乾燥されたrh-ドルナーゼアルファが十分量配置されて、0.97μg/mLの溶液が得られ、0.85gの凍結乾燥されたヒドロキシエチルセルロースが十分量配置されて、期待される流体力学的な特性を有するゲルが得られる。
【0172】
混合プロセスでは、崩壊性膜が破壊されて、容器1および2の内容物の混合を可能とする。混合は、最終的な医薬形態を達成することを可能とし、全ての成分の均質化を改善する。
【0173】
[実施例16]
本発明の組成物
好ましい医薬製剤での混合物番号15(M15)の調製。
本発明の組成物は:
a. 2.00mg/mLポリソルベート80
b. 0.50mg/mLアスコルビン酸
c. 1.63mg/mL乳酸(85%~90%純度)
d. 0.25mg/mL EDTA
e. 0.50mg/mLエトスクシミド
f. 3.90μg/mL DNase
g. 17mg/mLヒドロキシエチルセルロースを含む
【0174】
溶液:混合物が製剤化される(a+b+c+d+e)
50mLの混合溶媒中に、25mgのアスコルビン酸、12.5mgのEDTA、25mgのエトスクシミド、94μLのポリソルベート80および80μLの乳酸が添加される。
【0175】
調製モード:
1. 25mgのアスコルビン酸および12.5mgのEDTAは、時計皿上で化学天秤Radwag AS 220 R2 (Radwag LLC、Radom、Poland)で秤量される。
2. 混合溶媒の助けで、この物質は、時計皿中のいかなる粒子も取り残さないようにガラスビーカーに溶出される。
3. 50mLの溶媒混合物の残りをビーカーに添加後、調製物は、固体粒子が部分的に溶解されるまで5分NUMAK GL-3250Aマグネチックスターラ(Numak Technology LLC、Dubai、UAE)に配置される。
撹拌の間に、94μLのポリソルベート80が、200μLチップで、その先端を切断して、添加される。
4. 次に、容量80μLの乳酸が調製物に添加される。
5. 25mgのエトスクシミドが添加される。
6. これらの物質が添加されたら、混合物は、追加の5分間撹拌させておく。
7. 溶液は最終pHの5.5とされ、50mLの溶液が低回転数の撹拌機上の100mLビーカーに較正されたpHメータ Lutron PH-206とともに配置され、アルカリ溶液はpHレベルが達成されるまで滴加されるが、その凝集によって生成される発泡に注意する。
8. 調製物は、オートクレーブ Arcano LS-B75Lで120℃、1気圧超過圧力で10分滅菌され、4~25℃で密閉して貯蔵され、光源から守られる。
【0176】
医薬形態:本発明の好ましい医薬形態はゲルである。ゲルは、一段階プロセス後に得られる。適用装置は、1つの崩壊性膜によって分離された2つの容器を含む。本発明の製剤は、以下を含む:
容器1:この容器中に、ステップ8の50mLの調製物が配置される。
容器2:この容器中に、200μgの凍結乾燥されたrh-ドルナーゼアルファが十分量配置されて、3.90μg/mLの溶液が得られ、0.85gの凍結乾燥されたヒドロキシエチルセルロースが十分量配置されて、期待される流体力学的な特性を有するゲルが得られる。
【0177】
混合プロセスでは、崩壊性膜が破壊されて、容器1および2の内容物の混合を可能とする。混合は、最終的な医薬形態を達成することを可能とし、全ての成分の均質化を改善する。
【0178】
[実施例17]
本発明の組成物
好ましい医薬製剤での混合物番号16(M16)の調製。
本発明の組成物は:
a. 3.00mg/mLポリソルベート80
b. 2.50mg/mLアスコルビン酸
c. 8.67mg/mL乳酸(85%~90%純度)
d. 0.75mg/mL EDTA
e. 30.00mg/mLエトスクシミド
f. 3.90mg/mL DNAse
g. 17mg/mLヒドロキシエチルセルロースから構成される
【0179】
溶液:混合物が製剤化される(a+b+c+d+e)
50mLの混合溶媒中に、125mgのアスコルビン酸、37.5mgのEDTA、1500mgのエトスクシミド、141μLのポリソルベート80および424μLの乳酸が添加される。
【0180】
調製モード:
1. 125mgのアスコルビン酸および37.5mgのEDTAは、時計皿上で化学天秤Radwag AS 220 R2 (Radwag LLC、Radom、Poland)で秤量される。
2. 混合溶媒の助けで、この物質は、時計皿中のいかなる粒子も取り残さないようにガラスビーカーに溶出される。
3. 50mLの溶媒混合物の残りをビーカーに添加後、調製物は、固体粒子が部分的に溶解されるまで5分NUMAK GL-3250Aマグネチックスターラ(Numak Technology LLC、Dubai、UAE)に配置される。
撹拌の間に、141μLのポリソルベート80が、200μLチップで、その先端を切断して、添加される。
4. 次に、容量424μLの乳酸が調製物に添加される。
5. 1500mgのエトスクシミドが添加される。
6. これらの物質が添加されたら、混合物は、追加の5分間撹拌させておく。
7. 溶液は最終pHの5.5とされ、50mLの溶液が低回転数の撹拌機上の100mLビーカーに較正されたpHメータ Lutron PH-206とともに配置され、アルカリ溶液はpHレベルが達成されるまで滴加されるが、その凝集によって生成される発泡に注意する。
8. 調製物は、オートクレーブ Arcano LS-B75Lで120℃、1気圧超過圧力で10分滅菌され、4~25℃で密閉して貯蔵され、光源から守られる。
【0181】
医薬形態:本発明の好ましい医薬形態はゲルである。ゲルは、一段階プロセス後に得られる。適用装置は、1つの崩壊性膜によって分離された2つの容器を含む。本発明の製剤は、以下を含む:
容器1:この容器中に、ステップ8の50mLの調製物が配置される。
容器2:この容器中に、200μgの凍結乾燥されたrh-ドルナーゼアルファが十分量配置されて、3.90μg/mLの溶液が得られ、0.85gの凍結乾燥されたヒドロキシエチルセルロースが十分量配置されて、期待される流体力学的な特性を有するゲルが得られる。
【0182】
混合プロセスでは、崩壊性膜が破壊されて、容器1および2の内容物の混合を可能とする。混合は、最終的な医薬形態を達成することを可能とし、全ての成分の均質化を改善する。
【0183】
[実施例18]
本発明の組成物。
研究室での混合物番号0(MO)の調製
本発明の組成物は:
a. 6.50mg/mL乳酸(85%~90%純度)
b. 3.00mg/mLエトスクシミド
c. 0.97μg/mL DNAseを含む
【0184】
溶液:混合物が製剤化される(a+b+c)
50mLの混合溶媒中に、150mgのエトスクシミド、50μgのrh-ドルナーゼアルファ、および318μLの乳酸が添加される。
【0185】
調製モード:
1. 150.0mgのエトスクシミドは、時計皿上で化学天秤Radwag AS 220 R2(Radwag LLC、Radom、Poland)で秤量される。
2. 全混合溶媒の助けで、この物質は、時計皿中のいかなる粒子も取り残さないようにガラスビーカーに溶出される。
3. 調製物を有するビーカーは、固体粒子が部分的に溶解されるまで5分NUMAK GL-3250Aマグネチックスターラ(Numak Technology LLC、Dubai、UAE)に配置される。
4. 次に、318μLの乳酸が調製物に添加される。
5. これらの物質が添加されたら、混合物は、追加の5分間撹拌させておく。
6. 溶液は最終pHの5.5とされ、50mLの溶液が低回転数の撹拌機上の100mLビーカーに較正されたpHメータ Lutron PH-206とともに配置され、アルカリ溶液はpHレベルが達成されるまで滴加されるが、その凝集によって生成される発泡に注意する。
7. 調製物は、オートクレーブ Arcano LS-B75Lで120℃、1気圧超過圧力で10分滅菌される。
8. ステップ7の50mLの調製物はコニカルチューブ(50mL)に配置され、0.05mLのドルナーゼアルファ1mg/mL酵素Pulmozyme(Roche、Basel、Switzerland)が無菌条件下で添加されて、最終濃度の0.97μg/mLが達成される。このステップは、生物学的安全キャビネットで行われる。
9. 密封されたら、チューブは、ボルテックスで10秒間混合される。
10. 調製物は、アルミ箔を使用して光から遮断され、次に4℃~25℃で貯蔵される。
【0186】
[実施例19]
本発明の組成物。
研究室での混合物番号13(M13)の調製
本発明の組成物は:
a. 3.00mg/mLポリソルベート80
b. 1mg/mLアスコルビン酸
c. 6.50mg/mL乳酸(85%~90%純度)
d. 0.50mg/mL EDTA
e. 3.00mg/mLエトスクシミド
f. 0.97μg/mL DNaseを含む
【0187】
溶液:混合物が製剤化される(a+b+c+d+e+f)
50mLの混合溶媒中に、50mgのアスコルビン酸、25mgのEDTA、150mgのエトスクシミド、50μgのrh-ドルナーゼアルファ、141μLのポリソルベート80および318μLの乳酸が添加される。
【0188】
調製モード:
1. 50mgのアスコルビン酸および25mgのEDTAは、時計皿上で化学天秤Radwag AS 220 R2 (Radwag LLC、Radom、Poland)で秤量される。
2. 混合溶媒の助けで、この物質は、時計皿中のいかなる粒子も取り残さないようにガラスビーカーに溶出される。
3. 50mLの溶媒混合物の残りをビーカーに添加後、調製物は、固体粒子が部分的に溶解されるまで5分NUMAK GL-3250Aマグネチックスターラ(Numak Technology LLC、Dubai、UAE)に配置される。
撹拌の間に、141μLのポリソルベート80が、200μLチップで、その先端を切断して、添加される。
4. 次に、容量318μLの乳酸が調製物に添加される。
5. 150mgのエトスクシミドが添加される。
6. これらの物質が添加されたら、混合物は、追加の5分間撹拌させておく。
7. 溶液は最終pHの5.5とされ、50mLの溶液が低回転数の撹拌機上の100mLビーカーに較正されたpHメータ Lutron PH-206とともに配置され、アルカリ溶液はpHレベルが達成されるまで滴加されるが、その凝集によって生成される発泡に注意する。
8. 調製物は、オートクレーブ Arcano LS-B75Lで120℃、1気圧超過圧力で10分滅菌される。
9. ステップ8の50mLの調製物はコニカルチューブ(50mL)に配置され、0.05mLのドルナーゼアルファ1mg/mL酵素Pulmozyme(Roche、Basel、Switzerland)が無菌条件下で添加されて、最終濃度の0.97μg/mLが達成される。このステップは、生物学的安全キャビネットで行われる。
10. 密封されたら、チューブは、ボルテックスで10秒間混合される。
11. 調製物は、アルミ箔を使用して光から遮断され、次に4℃~25℃で貯蔵される。
【0189】
[実施例20]
本発明の組成物
研究室での混合物番号15(M15)の調製
本発明の組成物は:
a. 2.00mg/mLポリソルベート80
b. 0.50mg/mLアスコルビン酸
c. 1.63mg/mL乳酸(85%~90%純度)
d. 0.25mg/mL EDTA
e. 0.50mg/mLエトスクシミド
f. 3.90μg/mL DNaseから構成される
【0190】
溶液:混合物が製剤化される(a+b+c+d+e+f)
50mLの混合溶媒中に、25mgのアスコルビン酸、12.5mgのEDTA、25mgのエトスクシミド、200μgのrh-ドルナーゼアルファ、94μLのポリソルベート80および80μLの乳酸が添加される。
【0191】
調製モード:
1. 25mgのアスコルビン酸および12.5mgのEDTAは、時計皿上で化学天秤Radwag AS 220 R2 (Radwag LLC、Radom、Poland)で秤量される。
2. 混合溶媒の助けで、この物質は、時計皿中のいかなる粒子も取り残さないようにガラスビーカーに溶出される。
3. 50mLの溶媒混合物の残りをビーカーに添加後、調製物は、固体粒子が部分的に溶解されるまで5分NUMAK GL-3250Aマグネチックスターラ(Numak Technology LLC、Dubai、UAE)に配置される。
撹拌の間に、94μLのポリソルベート80が、200μLチップで、その先端を切断して、添加される。
4. 次に、容量80μLの乳酸が調製物に添加される。
5. 25mgのエトスクシミドが添加される。
6. これらの物質が添加されたら、混合物は、追加の5分間撹拌させておく。
7. 溶液は最終pHの5.5とされ、50mLの溶液が低回転数の撹拌機上の100mLビーカーに較正されたpHメータ Lutron PH-206とともに配置され、アルカリ溶液はpHレベルが達成されるまで滴加されるが、その凝集によって生成される発泡に注意する。
8. 調製物は、オートクレーブ Arcano LS-B75Lで120℃、1気圧超過圧力で10分滅菌される。
9. ステップ8の50mLの調製物はコニカルチューブ(50mL)に配置され、0.20mLのドルナーゼアルファ1mg/mL酵素Pulmozyme(Roche、Basel、Switzerland)が無菌条件下で添加されて、最終濃度の3.90μg/mLが達成される。このステップは、生物学的安全キャビネットで行われる。
10. 密封されたら、チューブは、ボルテックスで10秒間混合される。
11. 調製物は、アルミ箔を使用して光から遮断され、次に4℃~25℃で貯蔵される。
【0192】
[実施例21]
本発明の組成物
研究室での混合物番号16(M16)の調製
本発明の組成物は:
a. 3.00mg/mLポリソルベート80
b. 2.50mg/mLアスコルビン酸
c. 8.67mg/mL乳酸(85%~90%純度)
d. 0.75mg/mL EDTA
e. 30.00mg/mLエトスクシミド
f. 3.90μg/mL DNaseを含む
【0193】
溶液:混合物が製剤化される(a+b+c+d+e+f)
50mLの混合溶媒中に、125mgのアスコルビン酸、37.5mgのEDTA、1500mgのエトスクシミド、200μgのrh-ドルナーゼアルファ、141μLのポリソルベート80および424μLの乳酸が添加される。
【0194】
調製モード:
1. 125mgのアスコルビン酸および37.50mgのEDTAは、時計皿上で化学天秤Radwag AS 220 R2 (Radwag LLC、Radom、Poland)で秤量される。
2. 混合溶媒の助けで、この物質は、時計皿中のいかなる粒子も取り残さないようにガラスビーカーに溶出される。
3. 50mLの溶媒混合物の残りをビーカーに添加後、調製物は、固体粒子が部分的に溶解されるまで5分NUMAK GL-3250Aマグネチックスターラ(Numak Technology LLC、Dubai、UAE)に配置される。
撹拌の間に、141μLのポリソルベート80が、200μLチップで、その先端を切断して、添加される。
4. 次に、容量424μLの乳酸が調製物に添加される。
5. 1500mgのエトスクシミドが添加される。
6. これらの物質が添加されたら、混合物は、追加の5分間撹拌させておく。
7. 溶液は最終pHの5.5とされ、50mLの溶液が低回転数の撹拌機上の100mLビーカーに較正されたpHメータ Lutron PH-206とともに配置され、アルカリ溶液はpHレベルが達成されるまで滴加されるが、その凝集によって生成される発泡に注意する。
8. 調製物は、オートクレーブ Arcano LS-B75Lで120℃、1気圧超過圧力で10分滅菌される。
9. ステップ8の50mLの調製物はコニカルチューブ(50mL)に配置され、0.20mLのドルナーゼアルファ1mg/mL酵素Pulmozyme(Roche、Basel、Switzerland)が無菌条件下で添加されて、最終濃度の3.90μg/mLが達成される。このステップは、生物学的安全キャビネットで行われる。
10. 密封されたら、チューブは、ボルテックスで10秒間混合される。
11. 調製物は、アルミ箔を使用して光から遮断され、次に4℃~25℃で貯蔵される。
【0195】
[実施例22]
本発明のゲル組成物。研究室での混合物番号0(MO)の調製
本発明の組成物は:
a. 6.50mg/mL乳酸(85%~90%純度)
b. 3.00mg/mLエトスクシミド
c. 0.97μg/mL DNase
d. 17mg/mLヒドロキシエチルセルロースを含む
【0196】
溶液:混合物が製剤化される(a+b+c)
50mLの混合溶媒中に、150mgのエトスクシミド、50μgのrh-ドルナーゼアルファ、および318μLの乳酸が添加される。
【0197】
調製モード:
1. 150.0mgのエトスクシミドは、時計皿上で化学天秤Radwag AS 220 R2(Radwag LLC、Radom、Poland)で秤量される。
2. 全混合溶媒の助けで、この物質は、時計皿中のいかなる粒子も取り残さないようにガラスビーカーに溶出される。
3. 調製物を有するビーカーは、固体粒子が部分的に溶解されるまで5分NUMAK GL-3250Aマグネチックスターラ(Numak Technology LLC、Dubai、UAE)に配置される。
4. 次に、318μLの乳酸が調製物に添加される。
5. これらの物質が添加されたら、混合物は、追加の5分間撹拌させておく。
6. 溶液は最終pHの5.5とされ、50mLの溶液が低回転数の撹拌機上の100mLビーカーに較正されたpHメータ Lutron PH-206とともに配置され、アルカリ溶液はpHレベルが達成されるまで滴加されるが、その凝集によって生成される発泡に注意する。
7. 調製物は、オートクレーブ Arcano LS-B75Lで120℃、1気圧超過圧力で10分滅菌される。
8. ステップ7の50mLの調製物はコニカルチューブ(50mL)に配置され、0.05mLのドルナーゼアルファ1mg/mL酵素Pulmozyme(Roche、Basel、Switzerland)が無菌条件下で添加されて、最終濃度の0.97μg/mLが達成される。このステップは、生物学的安全キャビネットで行われる。
9. 密封されたら、チューブは、ボルテックスで10秒間混合される。
ゲルの取得:混合物が製剤化される(溶液+g)
10. 0.85gのヒドロキシエチルセルロースを調製された混合物に添加。
11. 均質になるまで穏やかに混合。
12. 調製物は、アルミ箔を使用して光から遮断され、次に4~25℃で遮蔽して貯蔵される。気泡が消えるまで、6から8時間の間で放置しておくべきである。
【0198】
[実施例23]
本発明のゲル組成物。研究室での混合物番号13(M13)の調製
本発明の組成物は:
a. 3.00mg/mLポリソルベート80
b. 1mg/mLアスコルビン酸
c. 6.50mg/mL乳酸(85%~90%純度)
d. 0.50mg/mL EDTA
e. 3.00mg/mLエトスクシミド
f. 0.97μg/mL DNase
g. 17mg/mLヒドロキシエチルセルロースを含む
【0199】
溶液:混合物が製剤化される(a+b+c+d+e+f)
50mLの混合溶媒中に、50mgのアスコルビン酸、25mgのEDTA、150mgのエトスクシミド、50μgのrh-ドルナーゼアルファ、141μLのポリソルベート80および318μLの乳酸が添加される。
【0200】
調製モード:
1. 50mgのアスコルビン酸および25mgのEDTAは、時計皿上で化学天秤Radwag AS 220 R2 (Radwag LLC、Radom、Poland)で秤量される。
2. 混合溶媒の助けで、この物質は、時計皿中のいかなる粒子も取り残さないようにガラスビーカーに溶出される。
3. 50mLの溶媒混合物の残りをビーカーに添加後、調製物は、固体粒子が部分的に溶解されるまで5分NUMAK GL-3250Aマグネチックスターラ(Numak Technology LLC、Dubai、UAE)に配置される。
撹拌の間に、141μLのポリソルベート80が、200μLチップで、その先端を切断して、添加される。
4. 次に、容量318μLの乳酸が調製物に添加される。
5. 150mgのエトスクシミドが添加される。
6. これらの物質が添加されたら、混合物は、追加の5分間撹拌させておく。
7. 溶液は最終pHの5.5とされ、50mLの溶液が低回転数の撹拌機上の100mLビーカーに較正されたpHメータ Lutron PH-206とともに配置され、アルカリ溶液はpHレベルが達成されるまで滴加されるが、その凝集によって生成される発泡に注意する。
8. 調製物は、オートクレーブ Arcano LS-B75Lで120℃、1気圧超過圧力で10分滅菌される。
9. ステップ8の50mLの調製物はコニカルチューブ(50mL)に配置され、0.05mLのドルナーゼアルファ1mg/mL酵素Pulmozyme(Roche、Basel、Switzerland)が無菌条件下で添加されて、最終濃度の1.00μg/mLが達成される。このステップは、生物学的安全キャビネットで行われる。
10. 密封されたら、チューブは、ボルテックスで10秒間混合される。
ゲルの取得:混合物が製剤化される(溶液+g)
12. 0.85gのヒドロキシエチルセルロースを調製された混合物に添加。
13. 均質になるまで穏やかに混合。
14. 調製物は、アルミ箔を使用して光から遮断され、次に4~25℃で遮蔽して貯蔵される。気泡が消えるまで、6から8時間の間で放置しておくべきである。
【0201】
[実施例24]
本発明のゲル組成物
研究室での混合物番号15(M15)の調製
本発明の組成物は:
a. 2.00mg/mLポリソルベート80
b. 0.50mg/mLアスコルビン酸
c. 1.63mg/mL乳酸(85%~90%純度)
d. 0.25mg/mL EDTA
e. 0.50mg/mLエトスクシミド
f. 3.90μg/mL DNase
g. 17mg/mLヒドロキシエチルセルロースから構成される
【0202】
溶液:混合物が製剤化される(a+b+c+d+e+f)
50mLの混合溶媒中に、25mgのアスコルビン酸、12.5mgのEDTA、25mgのエトスクシミド、200μgのrh-ドルナーゼアルファ、94μLのポリソルベート80および80μLの乳酸が添加される。
【0203】
調製モード:
1. 25mgのアスコルビン酸および12.5mgのEDTAは、時計皿上で化学天秤Radwag AS 220 R2 (Radwag LLC、Radom、Poland)で秤量される。
2. 混合溶媒の助けで、この物質は、時計皿中のいかなる粒子も取り残さないようにガラスビーカーに溶出される。
3. 50mLの溶媒混合物の残りをビーカーに添加後、調製物は、固体粒子が部分的に溶解されるまで5分NUMAK GL-3250Aマグネチックスターラ(Numak Technology LLC、Dubai、UAE)に配置される。
撹拌の間に、94μLのポリソルベート80が、200μLチップで、その先端を切断して、添加される。
4. 次に、容量80μLの乳酸が調製物に添加される。
5. 25mgのエトスクシミドが添加される。
6. これらの物質が添加されたら、混合物は、追加の5分間撹拌させておく。
7. 溶液は最終pHの5.5とされ、50mLの溶液が低回転数の撹拌機上の100mLビーカーに較正されたpHメータ Lutron PH-206とともに配置され、アルカリ溶液はpHレベルが達成されるまで滴加されるが、その凝集によって生成される発泡に注意する。
8. 調製物は、オートクレーブ Arcano LS-B75Lで120℃、1気圧超過圧力で10分滅菌される。
9. ステップ8の50mLの調製物はコニカルチューブ(50mL)に配置され、0.20mLのドルナーゼアルファ1mg/mL酵素Pulmozyme(Roche、Basel、Switzerland)が無菌条件下で添加されて、最終濃度の3.90μg/mLが達成される。このステップは、生物学的安全キャビネットで行われる。
10. 密封されたら、チューブは、ボルテックスで10秒間混合される。
ゲルの取得:混合物が製剤化される(溶液+g)
11. 0.85gのヒドロキシエチルセルロースを調製された混合物に添加。
12. 均質になるまで穏やかに混合。
13. 調製物は、アルミ箔を使用して光から遮断され、次に4~25℃で遮蔽して貯蔵される。気泡が消えるまで、6から8時間の間で放置しておくべきである。
【0204】
[実施例25]
本発明のゲル組成物
研究室での混合物番号16(M16)の調製
本発明の組成物は:
a. 3.00mg/mLポリソルベート80
b. 2.50mg/mLアスコルビン酸
c. 8.67mg/mL乳酸(85%~90%純度)
d. 0.75mg/mL EDTA
e. 30.00mg/mLエトスクシミド
f. 3.90μg/mL DNase
g. 17mg/mLヒドロキシエチルセルロースを含む
【0205】
溶液:混合物が製剤化される(a+b+c+d+e+f)
50mLの混合溶媒中に、125mgのアスコルビン酸、37.50mgのEDTA、1500mgのエトスクシミド、200μgのrh-ドルナーゼアルファ、141μLのポリソルベート80および424μLの乳酸が添加される。
【0206】
調製モード:
1. 125mgのアスコルビン酸および37.50mgのEDTAは、時計皿上で化学天秤Radwag AS 220 R2 (Radwag LLC、Radom、Poland)で秤量される。
2. 混合溶媒の助けで、この物質は、時計皿中のいかなる粒子も取り残さないようにガラスビーカーに溶出される。
3. 50mLの溶媒混合物の残りをビーカーに添加後、調製物は、固体粒子が部分的に溶解されるまで5分NUMAK GL-3250Aマグネチックスターラ(Numak Technology LLC、Dubai、UAE)に配置される。
撹拌の間に、141μLのポリソルベート80が、200μLチップで、その先端を切断して、添加される。
4. 次に、容量424μLの乳酸が調製物に添加される。
5. 1500mgのエトスクシミドが添加される。
6. これらの物質が添加されたら、混合物は、追加の5分間撹拌させておく。
7. 溶液は最終pHの5.5とされ、50mLの溶液が低回転数の撹拌機上の100mLビーカーに較正されたpHメータ Lutron PH-206とともに配置され、アルカリ溶液はpHレベルが達成されるまで滴加されるが、その凝集によって生成される発泡に注意する。
8. 調製物は、オートクレーブ Arcano LS-B75Lで120℃、1気圧超過圧力で10分滅菌される。
9. ステップ8の50mLの調製物はコニカルチューブ(50mL)に配置され、0.20mLのドルナーゼアルファ1mg/mL酵素Pulmozyme(Roche、Basel、Switzerland)が無菌条件下で添加されて、最終濃度の3.90μg/mLが達成される。このステップは、生物学的安全キャビネットで行われる。
10. 密封されたら、チューブは、ボルテックスで10秒間混合される。
ゲルの取得:混合物が製剤化される(溶液+g)
11. 0.85gのヒドロキシエチルセルロースを調製された混合物に添加。
12. 均質になるまで穏やかに混合。
13. 調製物は、アルミ箔を使用して光から遮断され、次に4~25℃で遮蔽して貯蔵される。気泡が消えるまで、6から8時間の間で放置しておくべきである。
【0207】
本発明の組成物での試験に関する実施例
本発明の様々な組成物が製剤化され、それらの技術的な効果を実証するために試験された。
【0208】
本発明を評価するために使用された本発明の一部の組成物の概要は、以下の表中に見ることができる:
【0209】
【表1】
【0210】
個々の分子の溶液も、(それを実施例1に見ることができるように調製して)試験して、本発明の組成物の相乗的な特性が実証された。試験された溶液は、以下であった:
1. 混合溶媒中の乳酸(LA):1.63mg/mL、6.50mg/mL、8.67mg/mL。全溶液の最終pH:5.5
2. 混合溶媒中のポリソルベート80(PS80):2.0mg/mL、3.0mg/mL。全溶液の最終pH:5.5
3. 混合溶媒中のEDTA:0.25mg/mL、0.50mg/mL、0.75mg/mL。
全溶液の最終pH:5.5
4. 混合溶媒中のアスコルビン酸(AA):0.5mg/mL、1.0mg/mL、2.5mg/mL。全溶液の最終pH:5.5
5. 混合溶媒中のエトスクシミド(Etho):0.50mg/mL、3.00mg/mL、30.00mg/mL。全溶液の最終pH:5.5
6. 混合溶媒中のドルナーゼアルファ(D1):250μg/mL 、125μg/mL、62.5μg/mL、31.2μg/mL,15.6μg/mL、7.8μg/mL、3.9μg/mL、1.9μg/mL、0.97μg/mL、0.5μg/mL。全溶液の最終pH:5.5。
【0211】
[実施例26]
抗病原性効果
細菌株:
1)ムコイド緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)(内部コードLEF037):6月超の進展した慢性静脈潰瘍からの臨床単離体。
2)メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)(内部コードLEF006)。6月超の進展した慢性静脈下腿潰瘍からの臨床単離体。
【0212】
細菌懸濁液:緑膿菌(P. aeruginosa)LEF037を、 Luria-Bertani(LB)培養培地において37℃で12時間成長させた。この培養から、懸濁液(OD600nm=0.120)を、LB中に調製した。黄色ブドウ球菌(S. aureus)LEF006を、脳心臓浸出物(BHI)培養培地中、37℃で12時間成長させた。この培養から、懸濁液(OD600nm=0.120)を、BHI中に調製した。
【0213】
対照:行われたアッセイでは、以下の対照が使用されている:
a. 緑膿菌(P. aeruginosa)に関する通常の成長対照:Luria Bertani培地(LB)(pH7.2)
a. 黄色ブドウ球菌(S. aureus)に関する通常の成長対照:脳心臓浸出物(BHI)培地(pH7.2)
c. 希釈効果対照:混合溶媒(MS)(pH5.50)。
d. 新しく得られたLAPS効果の対照:24時間、4℃(pH5.22)で貯蔵されたLAPS(LAPS 24h)。
e. LAPS活性維持対照:6月、4℃(pH6.05)で貯蔵されたLAPS(LAPS6m)。
【0214】
ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)上清(LAPS):LAPS対照を実施例1の詳細にしたがって調製した。L.プランタルム(L. plantarum)ATCC10241を、de Man Rogosa Sharpe(MRS)(Britania. Argentina)、37℃で12時間成長させた。上清(LAPS)を、15分、8000rpmの遠心分離によって得て、0.22μmのMilliporeフィルターで濾過した。この上清は、特許出願第AR093779号に対応し、慢性の創傷処置に対する最良の治療効果の公知の産物として取られる。この産物は、本発明が解決することを意図する一部の問題を提起する。一方では、以下に提起された試験から、その効率性が長期にわたり失われることが観察された。規制上の問題も提起され、その理由は、絶対的に定義された組成物を有していないからであり、その理由は、発酵プロセスに依存するからである。本発明は、長期にわたり延長された高い安定性を達成し、絶対的に定義された成分から構成され、ヒトの治療的使用のために承認される。
【0215】
個々の分子の溶液:全溶液を、実施例1にしたがって最終pHの5.5を有する混合溶媒中に調製した。調製された溶液は:1. 乳酸(LA)(1.63、6.50および8.67mg/mL);2. ポリソルベート80(PS80)(2.0および3.0mg/mL);3. EDTA(0.25、0.50および0.75mg/mL);4. アスコルビン酸(AA)(0.5、1.0および2.5mg/mL);5. エトスクシミド(Etho)(0.50、3.00および30.00mg/mL);6. rh-ドルナーゼアルファ(D1)(0.97および3.9μg/mL)。
【0216】
M0、M13、M15およびM16(表1を参照されたい)。本発明の組成物を、実施例18から21にしたがって仕上げられた。
【0217】
静菌効果の決定のための試験:静菌アッセイに関して、96ウェルプレート(Deltalab. Argentina)(200μL収容量)を使用した。全アッセイを、それぞれ緑膿菌(P. aeruginosa)または黄色ブドウ球菌(S. aureus)の50μL の細菌懸濁液を有する100μLのLB培養培地またはBHI培養培地を使用してトリプリケートで行った。次に、以下の試料を配置した:
a) 50μLの対照(対照を参照されたい)
b) 個々の分子の50μL溶液(個々の分子の溶液を参照されたい)
c) 分子の50μL混合物。
【0218】
その後、マイクロプレートを、以下のリーディングプログラムを使用するマイクロプレートリーダー(Multiskan Go.Thermo Scientific. Germany)に配置した:a) インキュベーション、37℃;b) 軽微な撹拌(3秒間の持続時間)、58分間ごと、c) 600nmでの吸光リーディングサイクル、一時間当たり一回、24時間。全ウェルに対して初期光学密度(OD)は0.100であった。データを、Microsoft Excel(登録商標)で平均を計算することで分析した。結果は、24時間での静菌効果のパーセンテージとしてカラムに示される。
【0219】
殺菌効果の決定のための試験:静菌効果の決定のための試験から、10μLアリコートを各ウェルから取り、連続希釈をし、各希釈の1つのアリコートを細菌株に応じてLBまたはBHI寒天に播種した。コロニー形成単位(CFU)の初期の数を、処置の24時間後に得られたCFUの最終数と比較してカウントした。生存している細菌の数を計算した(処置後に得られたCFU数/mLに応じてカラム中にそれらを表す)。
【0220】
バイオフィルム阻害効果の決定のための試験:成長阻害試験の24時間後、ウェルの内容物を廃棄し、空のウェルを無菌生理食塩水溶液で三回洗浄した。プレートを、室温で15分間乾燥させた(下向、吸収紙上)。各ウェルに、200μLの0.1%クリスタルバイオレットを添加し、プレートをボルテックス(Labnet)で穏やかに定常的に撹拌して15分室温でインキュベートしてウェルの壁に付着したバイオフィルムを染色した。それの後、ウェルの内容物を廃棄し、無菌生理食塩水溶液で三回洗浄し、室温で15分間乾燥させた(下向、吸収紙上)。その後、バイオフィルムに付着したクリスタルバイオレットを溶解するために、200μLの96°エタノールを各ウェルに添加し、プレートをボルテックス(Labnet)で穏やかに定常的に撹拌して10分間室温でインキュベートした。クリスタルバイオレットの量は、形成されたバイオフィルムの量に直接的に比例する。この様式で、各ウェル中の溶液を得た、その色強度は形成されたバイオフィルムの量に直接的に比例される。吸光リーディングを、Multiskan Goマイクロプレートリーダー(Thermo Scientific)においてに540nm、37℃で正確に行った。データは、Microsoft Excel(登録商標)で処理され、平均が計算され、結果がバイオフィルム形成の阻害のパーセンテージとしてカラムに示される。
【0221】
バイオフィルム崩壊効果の決定のための試験:96ウェルプレート(Deltalab)中に、150μLの培養培地+50μLの細菌懸濁液を配置した。プレートを、バイオフィルム形成まで湿潤チャンバー(humid chamber)中、37℃で24時間インキュベートした。それの後、ウェルの内容物を慎重に廃棄し、無菌生理食塩水溶液で穏やかに三回洗浄し、壁に付着したバイオフィルムの欠損を回避した。プレートを、20分、室温で生物学的安全キャビネットにおいて乾燥させた。その後、150μLの培養培地は、それぞれ:50μLの対照、個々の分子の50μL溶液および分子の50μL混合物を添加された。全てのトライアルを、トリプリケートで行った。プレートを、湿潤チャンバー中、37℃で24時間インキュベートした。それの後、ウェルの内容物を廃棄し、無菌生理食塩水で三回洗浄した。プレートを、室温で15分間乾燥させた(吸収紙上で下向)。ウェルを、200μL/ウェルの0.1%クリスタルバイオレットで、ボルテックス(Labnet)で穏やかに定常的に撹拌して15分間室温で染色した。ウェルの内容物を廃棄し、無菌生理食塩水で三回洗浄し、プレートを室温で15分間乾燥させた(吸収紙上で下向)。最終的に、200μL/ウェルの96°エタノールを添加して、バイオフィルムに付着したクリスタルバイオレットを溶解した。プレートをボルテックス(Labnet)で穏やかに定常的に撹拌して10分間室温でインキュベートした。生じた溶液の吸光度を、Multiskan Goマイクロプレートリーダー(Thermo Scientific)においてに540nm(37℃)で測定した。データは、Microsoft Excel(登録商標)で処理され、平均が計算され、結果がバイオフィルム崩壊のパーセンテージとしてカラムに示される。
【0222】
結果および考察
図2は:組成物MOおよびM13ならびに言及した組成物に存在する濃度での個々の分子で引き起こされる、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)に対する静菌活性、バイオフィルム(BF)形成の阻害および予め形成されたバイオフィルムの崩壊の異なる抗病原性効果のパーセンテージを示す。図はまた、これらの特性をLAPS 24時間、LAPS 6月および混合溶媒(MS)に関して示す。
【0223】
個々の分子は、各特性に関して一部の活性を呈した。それにもかかわらず、MOおよびM13は、全ての活性に関して相乗的な能力を示す。LAPS 24hは、高い静菌性および阻害BF効果を有していたが、バイオフィルムに対する、その崩壊効果は組成物よりも低かった。加えて、6月後、LAPSは、それらの抗病原性効果を劇的に失った。
【0224】
図3は、組成物MOおよびM13ならびに言及した組成物に存在する濃度での個々の分子を使用する、処置の24時間後の緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)の生存している細菌(CFU/mL)で表現される殺菌効果を示す。
【0225】
図が示す通り、個々の分子のいずれも殺菌効果を引き起こさなかった、その理由は、生存細菌レベルが対照(無処置)と類似していたからである。LAPSは重要な殺菌効果を示したが、それは時間とともに失われた。MOは著しい殺菌効果を示したが、M13は細菌の完全な排除を引き起こした。
【0226】
図4は:組成物M15および言及した組成物に存在する濃度での個々の分子で引き起こされる、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)に対する静菌活性、バイオフィルム(BF)形成の阻害および予め形成されたバイオフィルムの崩壊の異なる抗病原性効果のパーセンテージを示す。図はまた、これらの特性をLAPS24時間、LAPS6月および混合溶媒(MS)に関して示す。個々の分子は、各特性に関して一部の活性を呈した。それにもかかわらず、M15は、全ての活性に関して相乗的な能力を示す。LAPS 24hは、高い静菌性および阻害BF効果を有していたが、バイオフィルムに対する、その崩壊効果は組成物M15よりも低かった。加えて、6月後、LAPSは、それらの抗病原性効果を劇的に失った。
【0227】
図5は、組成物M15および言及した組成物に存在する濃度での異なる個々の分子を使用する、処置の24時間後の緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)の生存している細菌(CFU/mL)で表現される殺菌効果を示す。図が示す通り、個々の分子のいずれも殺菌効果を引き起こさなかった、その理由は、生存細菌レベルが対照(無処置)と類似していたからである。LAPSは重要な殺菌効果を有していたが、それは時間とともに失われた。M15は細菌の高排除を引き起こした。
【0228】
図6は、組成物M16および言及した組成物に存在する濃度での個々の分子で引き起こされる、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)に対する静菌活性、バイオフィルム(BF)形成の阻害および予め形成されたバイオフィルムの崩壊の異なる抗病原性効果のパーセンテージを示す。図はまた、これらの特性を24時間LAPS、6月LAPSおよび混合溶媒(MS)に関して示す。個々の分子は、各特性に関して一部の活性を呈した。それにもかかわらず、M16は、全ての活性に関して著しい相乗的な能力を示す。LAPS 24hは、高い静菌性および阻害BF効果を有していたが、バイオフィルムに対する、その崩壊効果は製剤よりも低かった。加えて、6月後、LAPSは、それらの抗病原性効果を劇的に失った。
【0229】
図7は、組成物M16および言及した組成物に存在する濃度での異なる個々の分子を使用する、処置の24時間後の緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)の生存している細菌(CFU/mL)で表現される殺菌効果を示す。図が示す通り、個々の分子の一部が低い殺菌効果を引き起こし、その理由は、生存細菌レベルが対照(無処置)と類似していたからである。LAPSは重要な殺菌効果を有していたが、それは時間とともに失われ、一方でM16は細菌の完全な排除を引き起こした。
【0230】
図8は、組成物MOおよびM13ならびに言及した組成物に存在する濃度での個々の分子で引き起こされる、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)に対する静菌活性、バイオフィルム(BF)形成の阻害および予め形成されたバイオフィルムの崩壊の異なる抗病原性効果のパーセンテージを示す。図はまた、これらの特性を24時間、6月LAPSおよび混合溶媒(MS)に関して示す。
【0231】
個々の分子は、各特性に関して一部の活性を呈した。それにもかかわらず、M13は、全ての活性に関して相乗的な能力を示す。MOは、バイオフィルム(BF)形成の阻害および行ったバイオフィルム崩壊に関する相乗作用を呈した。LAPS 24hは、高い静菌性および阻害BF効果を有していたが、バイオフィルムに対する、その崩壊効果は製剤よりも低かった。加えて、6月後、LAPSは、それらの抗病原性効果を劇的に失った。
【0232】
図9は、組成物MOおよびM13ならびに言及した組成物に存在する濃度での異なる個々の分子を使用する、処置の24時間後の黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)の生存している細菌(CFU/mL)で表現される殺菌効果を示す。
【0233】
図が示す通り、個々の分子の大部分は殺菌効果を引き起こさなかった、その理由は、生存細菌レベルが対照(無処置)と類似していたからである。LAPSは重要な殺菌効果を有していたが、それは時間とともに失われた。MOは著しい殺菌効果を示したが、M13による細菌排除は、より高かった。
【0234】
図10は、組成物M15および言及した組成物に存在する濃度での個々の分子で引き起こされる、黄色ブドウ球菌(S. aureus)に対する静菌活性、バイオフィルム(BF)形成の阻害および予め形成されたバイオフィルムの崩壊の異なる抗病原性効果のパーセンテージを示す。図はまた、これらの特性を24時間、6月LAPSおよび混合溶媒(MS)に関して示す。
【0235】
個々の分子は、各特性に関して一部の活性を呈した。それにもかかわらず、M15は、全ての活性に関して相乗的な能力を示す。LAPS 24hは、高い静菌性および阻害BF効果を有していたが、バイオフィルムに対する、その崩壊効果は製剤よりも低かった。加えて、6月後、LAPSは、それらの抗病原性効果を劇的に失った。
【0236】
図11は、組成物M15および言及した組成物に存在する濃度での異なる個々の分子を使用する、処置の24時間後の黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)の生存している細菌(CFU/mL)で表現される殺菌効果を示す。
【0237】
図が示す通り、個々の分子の大部分は殺菌効果を引き起こさなかった、その理由は、生存細菌レベルが対照(無処置)と類似していたからである。LAPSは一部の殺菌効果を有していたが、それは時間とともに失われた。最終的に、M15は細菌の高排除を引き起こした。
【0238】
図12は、組成物M16および個々の分子の言及した製剤に存在する濃度で引き起こされる、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)に対する静菌活性、バイオフィルム(BF)形成の阻害および予め形成されたバイオフィルムの崩壊の異なる抗病原性効果のパーセンテージを示す。図はまた、これらの特性を24時間、6月LAPSおよび混合溶媒(MS)に関して示す。
【0239】
個々の分子は、各特性に関して一部の活性を呈した。それにもかかわらず、M16は、全ての活性に関して著しい相乗的な能力を示す。LAPS 24hは、高い静菌性および阻害BF効果を有していたが、バイオフィルムに対する、その崩壊効果は製剤よりも低かった。加えて、6月後、LAPSは、それらの抗病原性効果を劇的に失った。
【0240】
図13は、組成物M16および言及した組成物に存在する濃度での異なる個々の分子を使用する、処置の24時間後の黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)の生存している細菌(CFU/mL)で表現される殺菌効果を示す。
【0241】
図が示す通り、個々の分子の一部が低い殺菌効果を引き起こし、その理由は、生存細菌レベルが対照(無処置)と類似していたからである。LAPSは重要な殺菌効果を有していたが、それは時間とともに失われ、一方でM16は細菌の最大の排除を引き起こした。
【0242】
バイオフィルム崩壊能力は、慢性の創傷処置に最も求められている特性の1つであり、というのも、患者はバイオフィルムが創傷に既に形成されているときにドクターを訪問するからである。従来の抗微生物剤が、特にin vivoで相対的効力を有する、バイオフィルム崩壊を引き起こす能力がないことが公知であり、これは以下に起因する:
・各種は、そのバイオフィルムのマトリックスに異なる化学的組成物を有する。
・感染は、混合性バイオフィルムの形成をもたらす複数菌性である。
・既存の処置は、特定の化学的組成物に向けたものである。
【0243】
それが既存の処置が混合性バイオフィルムを常に取り残す理由であり、それが新しい感染源となり、感染を慢性化する。良好な崩壊処置は、混合性バイオフィルムおよび異なる種のバイオフィルムを攻撃し、100%近くの崩壊を生じさせるべきである。
【0244】
結論
驚くべきことに、本発明の成分は、慢性創傷において最も一般的に同定される細菌(P. aeruginosaおよびS. aureus)において相乗的な静菌、殺菌、バイオフィルム阻害および崩壊特性を示す。本発明はまた、緑膿菌(P. aeruginosa)および黄色ブドウ球菌(S. aureus)で研究された特性においてLAPSに対する優れた効果を示す。
【0245】
[実施例27]
本発明の組成物の抗酸化能力
抗酸化活性を決定する方法は、フリーラジカルを捕獲する2,2-ジフェニル-1-ピクリルヒドラジル(DPPH)の能力に基づく(プロトン供与物質が抗酸化物質である)。DPPHラジカルは、抗酸化物質からのプロトンを受容し、DPPHとなる。この様式では、抗酸化効果は、DPPH減少に比例する。DPPHは、その最大吸光を517nmに有し、DPPHが形成されるときに紫色から黄色に変化する。したがって、抗酸化効果は、分光光度法によって吸光度が517nmに降下された後に測定することができた。次に、試料の吸光度の初期および最終値により、阻害係数50(IC50)が計算される。IC50は、50%のDPPHを低減させるため必要とされる抗酸化物質の最小濃度を表す。IC50を得るために、2つの濃度増加曲線の作成を行った:第一は試験された試料を使用および第二は参照標準(Trolox)を使用。最終的に、相対抗酸化活性のパーセンテージ(%AAR)は、Sharmaら(42)の推奨にしたがって計算される。
【0246】
DPPHラジカルのストック溶液(SS)およびワーキング溶液(WS)の調製:無水メタノール中のおよそ100ppmのDPPHの溶液が調製される。溶液は、室温で暗所に少なくとも30分間置かれなければならない。WSは、次にマイクロプレート(波長517nm)で0.800±0.100の吸光度が得られるまで、SSから無水メタノールで調製される。
【0247】
標準Trolox溶液の調製物:SS=500ppmを調製。10mLの容量を得るために、5mgのTroloxが10mLの無水メタノールに溶解されるべきである。六つのWSを、25、50、100、150、200および250ppmの濃度で調製した。
【0248】
試料:1)混合溶媒(MS)、2)それぞれ0.5および2.5mg/mLのアスコルビン酸を混合溶媒中に含有している溶液を、実施例1に示されるように調製した、3)M15(実施例20にしたがって仕上げた本発明の組成物)、4)M16(実施例21にしたがって仕上げた本発明の組成物)、および5)LAPS(実施例1の詳細にしたがって調製)。
【0249】
分光光度法:吸光度(Abs)リーディングを、UV-Visに適切なマイクロプレートを使用して分光光度計517nmでトリプリケートで行った。
a. ウェルに以下を配置:試料ブランク(12.5μLの試料またはWS 25ppm);
試料(12.5μLの試料またはWS 25から250ppm);初期DPPH値(12.5μLの無水メタノール)
b. 無水メタノールでゼロの吸光度を達成する。
c. 250μLの無水メタノールを試料ブランクウェルに添加する。
d. 250μLのDPPH WSをDPPHベースラインおよび試料ウェルに添加する。
e. 吸光度を517nmで記録する(初期DPPHAbs)。
f. 30分間置いて保つ(暗所かつ室温)。
g. 吸光度を517nmで記録する(最終DPPHAbs)。
h. 吸光度リーディングを記録する(試料のブランクAbs)。
i. 試料およびTroloxに関する捕獲パーセンテージの計算
【0250】
参照標準(Trolox)および分析した試料による曲線:縦軸(y)に捕獲%および横軸(x)にTroloxまたは分析した試料(それぞれTEACまたは試料のppm)の濃度の自然対数(Ln)をプロットする二曲線を仕上げた。各グラフの(y)軸に値50を代入し、グラフの直線回帰によって得られた式を使用してIC50を計算する。次に、%AARが、それぞれのIC50値を使用して計算される。
【0251】
結果
図14では、混合溶媒が、抗酸化活性を呈さないことを見ることができた。LAPSはアスコルビン酸を有していないが、その%AARに関して示された値はそのフェノール化合物の内容物に起因する。驚くべきことに、組成物M15およびM16は、それらの当量のアスコルビン酸濃度溶液(AA 0.5および2.5mg/mL)よりも良好な抗酸化活性を有していた。
【0252】
結論
本発明の組成物は、アスコルビン酸の抗酸化特性を増強する。
【0253】
[実施例28]
組成物のキレート能力
以下の溶液を、混合溶媒(MS)中pH7.0で調製した。全ての溶液は、ZnCl(1ppm)、CaCl(100ppm)およびMgCL(25ppm)を補充された。ここで使用したZn、CaおよびMgの濃度は、慢性創傷からの浸出物に典型的に見出されるものに近い。反応のために選択されたpH(7.0)は、本発明の組成物(pH5.5)と慢性創傷からの浸出物(pH8.5)の組合せからもたらされるものであろう。調製された溶液は:実施例1に示されるようなEDTA(0.25、0.50および0.75mg/mL)であった;M0、M13、M15およびM16を実施例18から21にしたがって仕上げ、LAPSを除タンパクした:実施例1にしたがって得られたLAPS 24h試料に対して、除タンパクプロセスを用いられた市販のキットの試薬および指示を使用して行った。
【0254】
調製した溶液中に残存しているカルシウム(未キレート)の測定:市販のカルシウム測定キット(Wiener Lab)を使用した。これはカルシウムとo-クレゾールフタレインコンプレクソン(o-CPC)をアルカリpHで反応させることに基づく比色法であり、570nmで光学比色法で測定可能なマゼンタ複合体を生じる。
【0255】
調製した溶液中に残存している亜鉛(未キレート)の測定:市販の亜鉛測定キット(Randox Lab)を使用した。これは亜鉛とジメチルグリオキシムおよびサリチルアルドキシムをアルカリpHで反応させることに基づく比色法であり、560nmで光学比色法で測定可能な有色複合体を生じる。
【0256】
LAPSにおける亜鉛の決定のために、以前の除タンパクステップが必要であった。したがって、等量のLAPSおよび除タンパク試薬(トリクロロ酢酸370mmol/L)を、コニカルチューブ中に混合し、ホモジナイズし、10分、10,000xgで遠心分離した。上清を試験のため使用した。
【0257】
結果
図15は、亜鉛、カルシウムおよびマグネシウムの組合せを使用しても、EDTAが、試験した全ての濃度で亜鉛を完全にキレートできたことを示す。亜鉛、カルシウムおよびマグネシウムの組合せを使用しても、EDTAは、0.50、0.75および1.00mg/mLの濃度でカルシウムを完全にキレートする能力もある。しかしながら、EDTA 0.25mg/mLは、全ての利用可能なカルシウムをキレートできなかった。M0はEDTAを有していないが、それでもカルシウムおよび亜鉛の両方に対してキレート活性を示す。0.25mg/mLのEDTAを含有しているM15は、そのEDTA単独の当量濃度と比較してカルシウムキレート能力を失った(亜鉛キレート能力ではない)。対照的に、それぞれ0.50mg/mLおよび0.75mg/mLのEDTAを含有しているM13およびM16は、それらのEDTA当量単独よりも最大のキレート能力を保持していた。全ての混合物はLAPSと比較して優れたキレート能力を示し、これも亜鉛キレート能力を有していなかった。
【0258】
結論
組成物は、EDTAとは独立したキレート能力を有する。驚くべきことに、組成物の成分は、EDTAのキレート能力を改善する。
【0259】
[実施例29]
組成物からのDNAse活性の経時的な増加および維持
DNAse寒天は、高度に重合したDNAおよび寒天を固化剤として含有する培養培地である。DNAは、DNAを加水分解するデオキシリボヌクレアーゼ酵素(DNAse)の基質である。この培地は、異なる試料および微生物におけるDNAse活性を検出することを可能とする。酵素の存在は、1N塩酸を添加して可視化することができた。加水分解されたデオキシリボ核酸は透明であるが、重合したデオキシリボ核酸は沈殿を生成し、培養培地に混濁を生じる。
【0260】
プレート調製:DNAse寒天プレートを、製造業者(Britania、CABA、Argentina)の推奨にしたがって調製した。容量20mLの溶融した培地を用いて、プレート中に寒天の高さ2mmを達成した。5mm o直径のウェルを無菌パンチを使用して寒天に作った。したがって、各ウェル中の播種容量は、πxrxh=πx(2.5mm)x2mm=40mm=40μLであった。
【0261】
較正曲線:rh-ドルナーゼアルファ溶液(Roche.Basel、Switzerland)を、以下の濃度で混合溶媒中に希釈して用いた:C1(0.1μg/mL);C2(0.97μg/mL);C3(2.0μg/mL);4(3.90μg/mL);C5(8.0μg/mL);C6(10.0μg/mL);C7(100.0μg/mL)γ C8(1000μg/mL)。
【0262】
分析した試料:LAPS、M0、M13、M15、M16(全てヒドロキシエチルセルロースでゲル化)を25℃および4℃で貯蔵した。DNAse活性を、週一回6月の間に測定した。LAPSを実施例1に示されるように調製し、本発明の組成物を実施例22から25にしたがって仕上げた。
【0263】
DNAse寒天プレートへの播種:較正曲線のポイント、異なるゲル化試料を二連で6月播種した。
【0264】
インキュベーション:24時間、32℃(通常のヒトでの皮膚温)
【0265】
呈示:プレートを、十分なHCl(1M)を添加することによって満たしてプレートの表面全体を遮蔽した。次に、プレートを放置し、HCIを添加した後に5分間以下まで観察した。DNase活性を測定し、定植ゾーンの周辺の透明性の消失を分析し、ハロ直径のミリメータを記録した。
【0266】
結果
図16は、本発明の組成物におけるDNAse活性が6月まで保持されたが、LAPSはこの酵素活性を2月未満で失ったことを示す。
【0267】
図17が示す通り、本発明の組成物は、それらのDNAseのみの当量溶液よりも高い酵素活性を有する。例えば、0.97μg/mLのDNAse濃度を有するMOおよびM13は13~15mmのハロを示したが、0.97μg/mLのDNAse濃度単独(C2)は8~10mmのハロを示した。加えて、3.90μg/mLのDNAse濃度を有するM15およびM16は17~20mmのハロを示したが、3.90μg/mLのDNAse濃度単独(C4)は13~15mmのハロを示した。これにより、本発明の組成物におけるドルナーゼアルファに関してDNAse活性の増幅が実証された。
【0268】
結論
組成物の成分は、ドルナーゼアルファのDNAse活性を改善し、酵素活性を経時的に延長することを可能とする。
【0269】
[実施例30]
組成物の血管新生能力
血管新生は複雑な生物学的プロセスであり、既存の脈管構造からの新しい血管の生成が関与する。そのプロセスには、いくつかの異なる細胞タイプの協力が関与し、特に活性化した内皮細胞による増殖、生存、および組織浸潤が関与する。血管新生の大部分の調査には、少なくとも1つのin vivo研究が含まれる。ニワトリ漿尿膜アッセイ(CAM)は、種々の適用に適切である。このアッセイでは、エトスクシミドおよび乳酸および混合物の異なる濃度の血管新生特性を試験した。
【0270】
材料および方法
30~90gの間の重量を有する市販の系統の卵を使用した。オボスコープを使用することによって、漿尿膜の生存度を決定して、受精し、生存可能な卵のみを選択した。
【0271】
手順:卵をインキュベーターに配置する前、それらをポビドンヨード消毒し、インキュベーションの6から9日に孵化卵をオボスコープで観察して、生存度および対照の齢(control age)を決定した。それの後、気室を特定し、卵殻を慎重に破壊し、トリミングして、内殻膜の曝露を促進した。膜を、2mLのNaCl(0.9%)で37℃で湿らせた。その後、生理食塩水溶液を捨て、基礎をなす漿尿膜にアクセスするために、鉗子で殻膜を慎重に除去した。漿尿膜に損傷(出血または任意の他の傷害の存在)をうけた卵を廃棄した。
【0272】
次に、300μLの以下の溶液を漿尿膜に徐々に配置した:エトスクシミド3.0mg/mL;エトスクシミド0.5mg/mL;M0;M13;M15;LAPS;陰性対照(PBS)。各溶液を、トリプリケートで評価した。
【0273】
エトスクシミド溶液およびLAPSを、実施例1に示されるように得た。一方、本発明の組成物を、実施例18から21にしたがって仕上げた。
【0274】
卵を透明なフィルムで遮蔽し、写真を適用後5分間、24、48および72時間に撮った。
【0275】
血管新生試験:デジタルイメージ分析を、ソフトウェアイメージJプラスを使用して行った。CAM領域(cm)当たりの血管形成の長さ(cm)を、溶液添加前(基底)ならびに24および48時間後に評価した。次に、血管形成の増加のパーセンテージを計算した。
【0276】
結果
図18は、LAPSならびにエトスクシミド、M0、M13およびM15の異なる溶液の存在における血管形成の動態を示す。認められるように、LAPSは、血管新生効果を示さなかった。エトスクシミドは血管新生特性を示したが、それは3.0mg/mLよりも0.5mg/mLでより良かった。混合物M0、M13およびM15は、同じ濃度のエトスクシミドを有する溶液と比較して増加した血管新生効果を示した。
【0277】
結論
驚くべきことに、本発明の組成物は、エトスクシミドの血管新生力を増幅する。
【0278】
[実施例31]
エトスクシミドでの血管内皮成長因子(VEGF)発現の制御
材料および方法
細胞株を、最小必須培地(MEM)、ウシ胎児血清(FBS)、L-グルタミンを使用してAmerican Type Culture Collection(ATCC、Rockville、MD、USA)のプロトコールにしたがって成長および維持した。
【0279】
VEGF遺伝子の発現を評価するために、以下の細胞株を使用した:
a. マウスマクロファージ細胞株J774(ATCC)、大腸菌(E. coli)(L-8274、Sigma)からの25ng/mLのリポ多糖(LPS)で刺激。
b. 成人ヒト皮膚角化細胞の細胞株HaCaT(ATCC)。
細胞を24時間エトスクシミドで異なる濃度でプレートして、遺伝子発現におけるそれらの効果を評価した。
【0280】
単層のJ774マクロファージ細胞株およびHaCaT角化細胞を集密的な細胞が得られるまでを使用し、これを実施例1に示されるように、エトスクシミド0.5および3.0mg/mLで12-ウェルプレート中、最終容量300μL/ウェルで刺激した。J774マクロファージ株に関して、全ての処置にLPS(25ng/mL)を補充し、対照としてLPS(25ng/mL)を有するMEM 1X(対照+LPS)を使用した。HaCaT角化細胞を、10%FBSを有するMEM中で複数の濃度(concentrations)のエトスクシミドで処置し、1X MEMを対照として使用した。
【0281】
プレートを、5%CO2を有する湿潤雰囲気において、37℃で24時間インキュベートした。各細胞株に関して3つの二連プレートで各実験を行った。
【0282】
VEGFおよびGAPDH mRNAのレベルを、StepOnePlus Real-Time PCR Systems(Applied Biosystems)およびPower Up SYBR Green Master Mix(ROCHE)キットを使用して、各試料に関してトリプリケートで測定した。VEGFおよびGAPDHに関するプライマー配列は、以下であった:VEGFに関して5’-ACCTCCACCATGCCAAGT-3’(センス)および5’-TTGGTCTGCATTCACATCTG-3’(アンチセンス)およびGAPDHに関して5’-CGACCACTTTGTCAAGCTCA-3’(センス)および5’-CCCTGTTGCTGTAGCCAAAT-3’(アンチセンス)。VEGFに関する平均値を、各試料の平均GAPDH値に対して標準化した。群平均を決定し、各実験に関してMEM群に対して標準化した。
【0283】
結果および考察
結果として、VEGF発現レベルを、マクロファージおよび角化細胞の両方で誘導した。VEGF発現の誘導のレベルは、マクロファージでエトスクシミド0.5mg/mL(図19)および角化細胞で3.0mg/mLで起こる(図19)。
【0284】
通常の治癒プロセスの増殖相の間に、血管新生が起こり、血管新生成長因子、例えば、VEGF(血管内皮成長因子)の制御下で傷害領域中の新しい血管の修復を可能とする(43、44)。慢性創傷では、VEGFは、レベルの減少または非存在を示す傾向がある(45)、創傷の不十分な血管形成のもっともらしい原因であり、これは低い活性に起因する(46)。VEGFは、VEGFR-1によるマクロファージのアポトーシス細胞の取り込みを刺激する(46、47)。このことが治癒の間に起こる場合には、マクロファージにおけるVEGFの増加した発現が炎症の消散を助け(46)、治癒の増殖期に向け継代を支持する。
【0285】
角化細胞も、創傷治癒の間のVEGFの主な供給源の1つである(46、48)。上皮角化細胞によって産生されるVEGFは、基礎をなす真皮内の血管における内皮細胞を制御することによって働く(46)。したがって、角化細胞におけるVEGFの増加した発現は、血管新生を刺激する。
【0286】
結論:エトスクシミドにより引き起こされるマクロファージおよび角化細胞のVEGFの発現の増加が存在する。
【0287】
[実施例32]
組成物の創傷治癒効果(49)
動物:Wistar/Cmedc系の42の雄性ラット(8~10週齢)を、各6動物(A、B、C、D、E、FおよびG群)の7実験群に分け、使用した。
【0288】
切除創傷モデル(50):手術を、動物を麻酔することによって開始し、外科領域を調製した。このため、剪毛した背部皮膚を洗浄し、ポビドンヨードおよび70°エタノール溶液で消毒した。その後、無菌の5mm直径バイオプシーパンチを使用して、皮膚と肉を円錐花序型に切開して、2つの創傷を、背側胸郭(動物の左側に対応する創傷1および動物の右側に対応する創傷2)に作った。それの後、接着剤シアノアクリレート(Tegaderm(登録商標)3M)を、各シリコーン環に配置し、皮膚に接着し、環の内側を切開部とともに隔てる。接着剤が皮膚およびシリコーン環を固定したところで、5つの単純な縫合を皮膚に施し、その外部のシリコーン環を貫通させ、その位置をポリプロピレン縫合糸を使用して保護した。手術後、動物が回復したら、動物がシリコーン環をはずすことを防止するために、エリザベスカラーを配置した。
【0289】
創傷ベッド中の細菌コロニー形成の評価:全ての意図されない細菌負荷を推定するために、創傷1で各実験群から一個体の動物のスワブを行った。得られた試料を10mLの無菌1XPBSを含有しているチューブに配置し、総細菌負荷を連続希釈で決定し、プレートカウントのため寒天(APC)にプレーティングした。37℃でのインキュベーションの24時間後、CFU/創傷を計算した。
【0290】
慢性創傷の状態を模倣する黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)ATCC29213での感染:両方の創傷を、全ての実験群の動物に局所的に接種した。接種物は10μLの黄色ブドウ球菌(S. aureus)ATCC29213の細菌懸濁液であり、無菌1XPBS(1.5x10 CFU/mLと同等)中にMcFarlandの0.5スケールに調整した。結果的に、各創傷で得られた最終的な細菌濃度は、1.5x10総CFUであった。
【0291】
処置:各群の全動物の両方の創傷は、以下のヒドロキシエチルセルロースゲル化組成物で局所的に処置された:群A(M0)、群B(M13)、群C(M15)、群D(M16)、群E(LAPS)、群F(混合溶媒)および群G(処置なしの対照)。第一の投与を感染後48時間で施し、次に毎日の適用をトライアルの終わりまで施した。対応する試験物質の適用の前に、動物の創傷をスワブおよび無菌の生理溶液を使用して洗浄した。7日まで、20μLの各試験物質の組成物を各創傷に投与し、8日から用量を10μLに低減した。
【0292】
本発明の組成物(M0、M13、M15およびM16)を、実施例22から25にしたがって仕上げた。
【0293】
動物の観察およびモニタリング:動物の臨床徴候、行動および重量の変化を、毎日評価した。加えて、3から5日ごとにOlympus Stylus SZ-15デジタルカメラを使用して創傷の写真を撮影し、それらの領域を、Image ProPlus 6.0プログラムを使用して定量した。
【0294】
剖検:全ての実験群の動物1、3および5を、未処置対照群の創傷が40%治癒を達成したとき(手術後6日当たり)に屠殺した。全ての実験群の動物2、4および6を、未処置対照群の創傷がおよそ80%治癒を達成したとき(術後10日当たり)に屠殺した。エンドポイントで、対照群の動物を安楽死させた。
【0295】
組織病理学:各群の動物2、4および6の皮膚試料で、上皮化およびコラーゲン形成を、マッソントリクロームで染色した組織イメージのデジタル分析によって決定した。
【0296】
免疫組織化学:免疫組織化学技術を、組織切片に行ってアルファ平滑筋アクチン(α-SMA)を検出した。モノクローナル抗体(マウス抗-α-SMA-Clone asm-1 Novocastra、NCL-SMA)を使用し、クエン酸バッファーpH6を使用してマイクロ波中で抗原性の回復を行い、反応をストレプトアビジンペルオキシダーゼシステムで明らかにした。
【0297】
結果
図20は、処置された動物の異なる群に適用された処置の24時間での創傷閉鎖のパーセンテージを示す。組成物(MO、M13、M15およびM16)を、感染後24時間で試験した。創傷領域閉鎖のパーセンテージを、ソフトウェアImage ProPlus 6.0を使用して写真を分析することによって測定した。M0およびM13(エトスクシミド3.00mg/mLを有する)、M15(エトスクシミド0.5mg/mLを有する)ならびにM16(エトスクシミド30.0mg/mLを有する)で処置した動物は、無処置対照を基準にしてより高いパーセンテージの治癒を示した。
【0298】
【表2】
【0299】
コラーゲンの存在を、全ての実験群(無処置対照、MS、LAPS、M0、M13、M15およびM16)の動物においてマッソントリクロームで評価した。膠原化を推定するのに使用される組織病理学的な分類は、Nisbet et al.、(2010)から適合されるAbramovスコアリングシステムであり、ここで、コラーゲンの量は、0=コラーゲンの非存在、1=少量、2=中程度および3=大量と分類される。各動物の両方の創傷を、表皮から真皮を検討する5高拡大視野(400X)で研究した(Nisbet et al.、2010. Effect of three types of honey on cutaneous wound healing. Wounds 22:11;275-283)。
【0300】
Ajweeら(2012)Ajwee DM et al. (2012). Ethosuximide and phenobarbital promote wound healing via enhancing collagenization. Chemical Biology & Drug Design、79(1)、137-142は、エトスクシミド(Etho)をアルビノラットモデルの切除創傷に適用した。彼らは、軟パラフィン中のエトスクシミド含有軟膏10% w/w(80mg/mL)が、膠原化を増強することによって創傷治癒を有意に促進することを実証した。この特許の発明者らはまた、黄色ブドウ球菌(S. aureus)を感染させた切除創傷モデルのWistarラットに、エトスクシミドを他の成分と組み合わせて適用した(M0、M13、M15およびM16)。本発明の組成物は、感染した創傷において類似するまたはより良好な膠原化結果を、微量のエトスクシミド(0.5から30mg/mL)で得ることを可能とする。両アッセイからの結果は、以下の表に見ることができる。Ajweeらのカラム中のデータを彼の論文から抽出し、10% w/wのエトスクシミド濃度を軟パラフィン密度値を使用することによって80mg/mLに変換した。
【0301】
【表3】
【0302】
アルファ平滑筋アクチン(α-SMA)発現を、治癒プロセスに関連する血管および筋線維芽細胞の筋肉層の特異的なマーカーとして研究した。筋線維芽細胞は、創傷閉鎖および組織拘縮にとって不可欠な特殊な収縮性線維芽細胞である。α-SMAの発現は、写真(図21)中に褐色の着色部として見られる。褐色の高量および強度は、より高いα-SMA発現を意味する。術後7日(トライアルの第一のエンドポイント)に、無処置対照(図21G)および混合溶媒(MS)ゲルのみで処置した群(図21F)が血管にα-SMA発現を示した。LAPSは、筋線維芽細胞におけるα-SMA発現をわずかに増加させた(図21E)。他方、組成物処置創傷は、その成分の濃度に直接的に比例するα-SMA発現を示した。例えば、MOおよびM15は中等度の発現(図21C)を示し、M13は高い発現(図21B)を示し、M16は非常に高い発現(図21D)を示した。
【0303】
結論:発明の組成物は治癒プロセスを促進し、その間、コラーゲンおよびアルファ平滑筋アクチン産生を刺激し、同時に殺菌効果を達成する。
【0304】
参考文献一覧
【0305】
【表4-1】
【0306】
【表4-2】
【0307】
【表4-3】
【0308】
【表4-4】
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21