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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-28
(45)【発行日】2025-04-07
(54)【発明の名称】殺菌洗浄剤組成物
(51)【国際特許分類】
   C11D 1/62 20060101AFI20250331BHJP
   B08B 3/08 20060101ALI20250331BHJP
   C11D 1/68 20060101ALI20250331BHJP
   C11D 1/72 20060101ALI20250331BHJP
   C11D 1/75 20060101ALI20250331BHJP
【FI】
C11D1/62
B08B3/08 Z
C11D1/68
C11D1/72
C11D1/75
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018201407
(22)【出願日】2018-10-26
(65)【公開番号】P2019081891
(43)【公開日】2019-05-30
【審査請求日】2021-09-10
【審判番号】
【審判請求日】2023-07-10
(31)【優先権主張番号】P 2017209703
(32)【優先日】2017-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100203242
【弁理士】
【氏名又は名称】河戸 春樹
(72)【発明者】
【氏名】土屋 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 圭吾
【合議体】
【審判長】村守 宏文
【審判官】瀬下 浩一
【審判官】渡辺 陽子
(56)【参考文献】
【文献】特表平11-510539号公報(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0224047(US,A1)
【文献】米国特許第6140289(US,A)
【文献】特開2013-57026(JP,A)
【文献】特開2016-216543号公報(JP,A)
【文献】特開平07-133493号公報(JP,A)
【文献】特開昭50-72908(JP,A)
【文献】特開2004-149678号公報(JP,A)
【文献】特開2007-106920号公報(JP,A)
【文献】特開2012-197335号公報(JP,A)
【文献】特開2014-210739号公報(JP,A)
【文献】特開2016-169378号公報(JP,A)
【文献】特開2017-57345(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D 1/00-19/00
A61K 8/00-8/99
A61Q 1/00-90/00
B08B 3/00-3/14
D06L 1/00-4/75
A01N 1/00-65/48
A01P 1/00-23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カチオン性殺菌剤[以下(a)成分という]を、殺菌洗浄剤組成物中、1質量%以上7質量%以下、
炭素数9以上12以下の炭化水素基を1つ有するアミンオキシド型界面活性剤[以下(b)成分という]を、殺菌洗浄剤組成物中、0.5質量%以上5質量%以下、
炭素数13又は14の炭化水素基を1つ有するアミンオキシド型界面活性剤[以下(c)成分という]を、殺菌洗浄剤組成物中、0.5質量%以上5質量%以下、
非イオン界面活性剤[以下(d)成分という]を、殺菌洗浄剤組成物中、5質量%以上15質量%以下、及び
水を含有し、
(a)成分が下記一般式(a1)で表されるカチオン性殺菌剤であり、
(b)成分が下記一般式(b1)で表されるアミンオキシド型界面活性剤であり、
(c)成分が下記一般式(c1)で表されるアミンオキシド型界面活性剤であり、
(d)成分がアルキルグリコシド型非イオン界面活性剤及びアルコキシレート型非イオン界面活性剤から選ばれる1種以上であり、
前記アルキルグリコシド型非イオン界面活性剤が、下記一般式(d1)で表されるアルキルグリコシド型界面活性剤であり、
前記アルコキシレート型非イオン界面活性剤が、オキシエチレン基を含み、前記オキシエチレン基の平均付加モル数が2以上18以下であり、炭素数が10以上18以下であるアルキル基又はアルケニル基を有するポリオキシアルキレンアルキル又はアルケニルエーテルであり、
[(a)成分の含有量]/[(b)成分の含有量+(c)成分の含有量]の質量比が0.4以上以下であり、
[(b)成分の含有量]/[(c)成分の含有量]の質量比が0.4以上2.3以下であり、
20℃でのpHが6.0以上7.9以下であり、
液体組成物である、
硬質表面用殺菌洗浄剤組成物。
【化1】

〔式中、R1a、R2a、R3a、R4aのいずれか1つ又は2つが炭素数8以上16以下のアルキル基を示し、残りは同一もしくは異なって、炭素数1以上3以下のアルキル基又はベンジル基を示し、Xは対イオンを示す。〕
【化2】

〔式中、R1bは炭素数9以上12以下のアルキル基又はアルケニル基である。pは0の数である。R3b、R4bは、それぞれ、炭素数1以上3以下のアルキル基又は炭素数1以上3以下のヒドロキシアルキル基である。〕
【化3】

〔式中、R1cは炭素数13又は14のアルキル基又はアルケニル基である。qは0の数である。R3c、R4cは、それぞれ、炭素数1以上3以下のアルキル基又は炭素数1以上3以下のヒドロキシアルキル基である。〕
1d -(O-R 2d (d1)
〔式中、R 1d は炭素数12以上16以下の直鎖アルキル基であり、R 2d は炭素数2以上4以下のアルキレン基である。Gは還元糖に由来する基を示す。nは平均付加モル数であり、0以上5以下の数を示し、mは平均縮合度であり、1以上3以下の数を示す。〕
【請求項2】
殺菌洗浄剤組成物中の陰イオン界面活性剤の割合が、殺菌洗浄剤組成物中の(a)成分の含有量に対して、50質量%以下である、請求項1記載の殺菌洗浄剤組成物。
【請求項3】
[(a)成分の含有量+(b)成分の含有量+(c)成分の含有量]/[(d)成分の含有量]の質量比が0.3以上3以下である、請求項1又は2記載の殺菌洗浄剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、殺菌洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、殺菌、衛生を意識した洗浄技術が多く研究されており、特に食品加工工場や飲料工場、レストラン等の厨房など食品や飲料を扱う工場では、製造設備などを食中毒の危険性を極力排除し徹底的に衛生管理するために、高度な殺菌効果と洗浄効果が両立した洗浄剤の開発が求められている。そのような洗浄剤において、界面活性剤を組み合わせることが種々提案されている。
【0003】
特許文献1には、(a)ノニオン性界面活性剤及び両性界面活性剤から選ばれる1種以上の界面活性剤、(b)殺菌性を有するカチオン性界面活性剤、(c)特定の高分子化合物、並びに水を含有する、硬質表面用液体洗浄剤組成物が記載されている。また、アミンオキシドとカチオン界面活性剤を併用する技術が、特許文献2、3に開示されている。更に特許文献4には、ミリスチルジメチルアミンオキシド、発泡成分、更にカチオン系抗菌物質を含有する水系防カビ剤が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-168428号公報
【文献】特開2016-216543号公報
【文献】特表2014-520137号公報
【文献】特開2014-210739号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、油汚れなどの汚れに対する洗浄力と殺菌力の両方に優れた殺菌洗浄剤組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、カチオン性殺菌剤[以下(a)成分という]、炭素数9以上12以下の炭化水素基を1つ有するアミンオキシド型界面活性剤[以下(b)成分という]、及び炭素数13又は14の炭化水素基を1つ有するアミンオキシド型界面活性剤[以下(c)成分という]を含有し、
[(a)成分の含有量]/[(b)成分の含有量+(c)成分の含有量]の質量比が0.2以上5以下である、
殺菌洗浄剤組成物に関する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、油汚れなどの汚れに対する洗浄力と殺菌力の両方に優れた殺菌洗浄剤組成物が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0008】
〔殺菌洗浄剤組成物〕
<(a)成分>
(a)成分のカチオン性殺菌剤としては、4級アンモニウム型界面活性剤が好ましい。(a)成分としては、下記一般式(a1)で表されるカチオン性殺菌剤及び下記一般式(a2)で表されるカチオン性殺菌剤から選ばれる1種以上のカチオン性殺菌剤が挙げられる。
【0009】
【化1】
【0010】
〔式中、R1a、R2a、R3a、R4aのいずれか1つ又は2つが炭素数8以上16以下のアルキル基もしくはアルケニル基、又は次式
【0011】
【化2】
【0012】
で表される基を示し、残りは同一もしくは異なって、炭素数1以上3以下のアルキル基、ベンジル基、又は式-(CHCHO)H(mは平均付加モル数であり、2以上20以下の数を示す)で表される基を示し、R5aは炭素数12以上18以下のアルキル基又はアルケニル基を示し、Xは対イオンを示す。〕
【0013】
一般式(a1)中、R1a、R2a、R3a、R4aのいずれか1つ又は2つが炭素数8以上12以下のアルキル基であり、残りが同一又は異なってメチル基、エチル基、又はベンジル基から選ばれる基であることが好ましい。一般式(a1)中、R1a、R2a、R3a、R4aのいずれか1つが炭素数8以上12以下のアルキル基であり、残りが同一又は異なってメチル基、エチル基、又はベンジル基であることがより好ましい。
一般式(a2)中、R5aは、炭素数8以上、更に14以上、そして、18以下のアルキル基、なかでもセチル基が好ましい。
一般式(a1)、(a2)中、Xは、対イオンであり、ハロゲンイオン、硫酸イオン、アルキル硫酸エステルイオン、カルボキシレートイオンなどが挙げられる。Xは、クロロイオン、炭素数1以上3以下のモノアルキル硫酸エステルイオンが好ましい。
【0014】
(a)成分としては、具体的には、ジアルキルジメチルアンモニウムハライド、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム又はこれらの対イオンが他のアニオンに変換されたカチオン界面活性剤系の殺菌剤、クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジン等のビグアナイド系殺菌剤、アルキルジアミノエチルグリシン、アルキルポリアミノエチルグリシン等のアミノ酸系殺菌剤が挙げられる。
【0015】
(a)成分としては、より好ましくはアルキル基の炭素数が8以上10以下のジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキル基の炭素数が8以上12以下のアルキルジメチルベンジルアンモニウム塩であり、より更に好ましくはアルキル基の炭素数が8以上12以下のアルキルジメチルベンジルアンモニウムクロリドである。
【0016】
<(b)成分>
(b)成分の炭素数9以上12以下の炭化水素基は、アルキル基又はアルケニル基が好ましく、アルキル基がより好ましい。(b)成分の炭素数9以上12以下の炭化水素基を1つ有するアミンオキシド型界面活性剤としては、下記一般式(b1)で表されるアミンオキシド型界面活性剤が挙げられる。
【0017】
【化3】
【0018】
〔式中、R1bは炭素数9以上12以下のアルキル基又はアルケニル基である。Xは-COO-、-CONH-、-OCO-、及び-NHCO-から選ばれる基であり、R2bは炭素数1以上6以下のアルキレン基であり、pは0又は1の数である。R3b、R4bは、それぞれ、炭素数1以上3以下のアルキル基又は炭素数1以上3以下のヒドロキシアルキル基である。〕
【0019】
一般式(b1)において、R1bは炭素数9以上12以下のアルキル基又はアルケニル基であり、好ましくは炭素数12のアルキル基である。
一般式(b1)中、pが0の場合は、R1bは、炭素数12のアルキル基が好ましい。
一般式(b1)中、pが1の場合は、R1bは、ラウリン酸からカルボキシル基を除いた残基(炭素数11のアルキル基)が好ましい。
は、好ましくは-COO-又は-CONH-であり、より好ましくは-CONH-である。
2bの炭素数は、好ましくは2又は3である。
3b、R4bは、それぞれ、好ましくはメチル基である。
pは、0が好ましい。
【0020】
(b)成分としては、好ましくはN-ラウリル-N,N-ジメチルアミン-N-オキシド、及びN-(3-ラウロイルアミノプロピル)-N,N-ジメチルアミン-N-オキシドから選ばれる1種又は2種以上のアミンオキシド型界面活性剤であり、より好ましくはN-ラウリル-N,N-ジメチルアミン-N-オキシドである。
【0021】
<(c)成分>
(c)成分の炭素数13又は14の炭化水素基は、アルキル基又はアルケニル基が好ましく、アルキル基がより好ましい。(c)成分の炭素数13又は14炭化水素基を1つ有するアミンオキシド型界面活性剤としては、下記一般式(c1)で表されるアミンオキシド型界面活性剤が挙げられる。
【0022】
【化4】
【0023】
〔式中、R1cは炭素数13又は14のアルキル基又はアルケニル基である。Xは-COO-、-CONH-、-OCO-、及び-NHCO-から選ばれる基であり、R2cは炭素数1以上6以下のアルキレン基であり、qは0又は1の数である。R3c、R4cは、それぞれ、炭素数1以上3以下のアルキル基又は炭素数1以上3以下のヒドロキシアルキル基である。〕
【0024】
一般式(c1)において、R1cは炭素数13又は14のアルキル基又はアルケニル基であり、好ましくは炭素数14のアルキル基である。
一般式(c1)中、qが0の場合は、R1cは、炭素数14のアルキル基が好ましい。
一般式(c1)中、qが1の場合は、R1cは、ミリスチン酸からカルボキシル基を除いた残基(炭素数13のアルキル基)が好ましい。
は、好ましくは-COO-又は-CONH-であり、より好ましくは-CONH-である。
2cの炭素数は、好ましくは2又は3である。
3c、R4cは、それぞれ、好ましくはメチル基である。
qは、0が好ましい。
【0025】
(c)成分としては、好ましくはN-ミリスチル-N,N-ジメチルアミン-N-オキシド、及びN-(3-ミリスチロイルアミノプロピル)-N,N-ジメチルアミン-N-オキシドから選ばれる1種又は2種以上のアミンオキシド型界面活性剤であり、より好ましくはN-ミリスチル-N,N-ジメチルアミン-N-オキシドである。
【0026】
本発明の殺菌洗浄剤組成物は、(b)成分及び(c)成分以外のアミンオキシド型界面活性剤[以下(c’)成分という]を含有することできる。ただし、(c’)成分は、本発明の効果を減じる恐れがあるため、注意が必要である。中でも炭素数15以上の炭化水素基を1つ有するアミンオキシド型界面活性剤、更に一般式(c1)においてR1cが炭素数15以上のアルキル基又はアルケニル基であるアミンオキシド型界面活性剤は、本発明の殺菌効果を減じる傾向があるため、その含有量が少ないことが好ましい。本発明の殺菌洗浄剤組成物において、(c’)成分、炭素数15以上の炭化水素基を1つ有するアミンオキシド型界面活性剤、更に一般式(c1)においてR1cが炭素数15以上のアルキル基又はアルケニル基であるアミンオキシド型界面活性剤の割合は、(b)成分及び(c)成分の合計含有量に対して、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更に好ましくは5質量%以下、より更に好ましくは1質量%以下である。
【0027】
<殺菌洗浄剤組成物の組成、任意成分等>
通常(a)成分は殺菌剤として知られているが、洗浄剤に用いた場合には、とりわけ油汚れの存在下では期待された殺菌効果が得られないばかりか、油汚れなどの洗浄効果を損なう場合があることが判明した。本発明では、(b)成分、(c)成分の炭化水素基の鎖長が異なる2種のアミンオキシド化合物を併用することにより、(a)成分を用いる洗浄剤の殺菌効果を増強し、油汚れ洗浄力を相乗的に高めることができるという、驚くべき効果が得られる。このメカニズムは明らかではないが、(b)成分、(c)成分という鎖長が異なる2種のアミンオキシド化合物の併用は、(b)成分、(c)成分などの界面活性剤の汚れへの浸透性を高め洗浄効果を向上させるとともに、(a)成分の汚れへの浸透性をも向上させることができるため、油汚れの存在下でも(a)成分が菌に作用しやすくなり、本発明の効果が得られるものと推察される。
【0028】
本発明の殺菌洗浄剤組成物は、洗浄力と殺菌力の観点から、[(a)成分の含有量]/[(b)成分の含有量+(c)成分の含有量]の質量比が、0.2以上、好ましくは0.3以上、より好ましくは0.4以上、更に好ましくは0.5以上、更に好ましくは0.6以上、そして、5以下、好ましくは4以下、より好ましくは2.5以下、更に好ましくは2以下、更に好ましくは1以下である。
【0029】
本発明の殺菌洗浄剤組成物は、洗浄力と殺菌力の観点から、[(b)成分の含有量]/[(c)成分の含有量]の質量比が、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.4以上、更に好ましくは0.8以上、そして、好ましくは10以下、より好ましくは5以下、更に好ましくは3以下である。
【0030】
本発明の殺菌洗浄剤組成物は、(a)成分を、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは1質量%以上、そして、好ましくは10質量%以下、より好ましくは7質量%以下、更に好ましくは5質量%以下含有する。
【0031】
本発明の殺菌洗浄剤組成物は、(b)成分を、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは1質量%以上、更に好ましくは2質量%以上、そして、好ましくは10質量%以下、より好ましくは7質量%以下、更に好ましくは5質量%以下、更に好ましくは4質量%以下含有する。
【0032】
本発明の殺菌洗浄剤組成物は、(c)成分を、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは0.8質量%以上、更に好ましくは1質量%以上、そして、好ましくは10質量%以下、より好ましくは7質量%以下、更に好ましくは5質量%以下、更に好ましくは3質量%以下含有する。
【0033】
本発明の殺菌洗浄剤組成物は、更に、(d)成分として、(a)成分、(b)成分及び(c)成分以外の界面活性剤を含有することが好ましい。(d)成分は、非イオン界面活性剤が好ましい。すなわち、本発明の殺菌洗浄剤組成物は、(d)成分として、非イオン界面活性剤を含有することが好ましい。非イオン界面活性剤としては、アルキルグリコシド型非イオン界面活性剤及びアルコキシレート型非イオン界面活性剤から選ばれる1種以上の非イオン界面活性剤が挙げられる。非イオン界面活性剤は、洗浄力及び殺菌力の観点からアルキルグリコシド型非イオン界面活性剤が好ましい。
【0034】
アルキルグリコシド型界面活性剤としては、下記一般式(d1)で表されるアルキルグリコシド型界面活性剤が挙げられる。
【0035】
1d-(O-R2d (d1)
〔式中、R1dは炭素数8以上16以下の直鎖アルキル基であり、R2dは炭素数2以上4以下のアルキレン基である。Gは還元糖に由来する基を示す。nは平均付加モル数であり、0以上5以下の数を示し、mは平均縮合度であり、1以上3以下の数を示す。〕
【0036】
一般式(1)においてR1dは炭素数12以上14以下の直鎖アルキル基が好適である。また、nは0以上であり、そして、好ましくは3以下、より好ましくは2以下、更に好ましくは0である。R2dはエチレン基が好ましい。また、Gは還元糖に由来する基であり、より具体的にはグリコシド基が挙げられる。原料の還元糖としては、アルドースとケトースの何れであっても良く、また、炭素数が3個以上6個以下のトリオース、テトロース、ペントース、ヘキソースを挙げることができる。アルドースとして具体的にはアピオース、アラビノース、ガラクトース、グルコース、リキソース、マンノース、ガロース、アルドース、イドース、タロース、キシロースを挙げることができ、ケトースとしてはフラクトースを挙げることができる。本発明ではこれらの中でも炭素数5又は6のアルドペントースあるいはアルドヘキソースが好ましく、中でもグルコースがより好ましい。
一般式(d1)中、mは糖の平均縮合度を示し、1以上の数であり、そして、好ましくは2以下、更に好ましくは1.5以下の数である。
一般式(d1)の化合物は、上記糖とR1d-(O-R2d-OHとを酸触媒を用いてアセタール化反応又はケタール化反応することで容易に合成することができる。また、アセタール化反応の場合、ヘミアセタール構造であっても良く、通常のアセタール構造であっても良い。
【0037】
アルコキシレート型非イオン界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアルキル又はアルケニルエーテルが挙げられる。ポリオキシアルキレンアルキル又はアルケニルエーテルが有するオキシアルキレン基は、オキシエチレン基、及びオキシプロピレン基から選ばれるオキシアルキレン基が好ましく、オキシエチレン基を含むことが好ましい。オキシアルキレン基の平均付加モル数は、好ましくは2以上、より好ましくは3以上、そして、好ましくは20以下、より好ましくは18以下である。ポリオキシアルキレンアルキル又はアルケニルエーテルが有するアルキル基又はアルケニル基の炭素数は、好ましくは8以上、より好ましくは10以上、そして、好ましくは20以下、好ましくは18以下である。
【0038】
本発明では(d)成分として陰イオン界面活性剤を用いることも可能であるが、殺菌効果を減じる恐れがあるため、用いる場合には注意が必要である。本発明の殺菌洗浄剤組成物において、陰イオン界面活性剤の割合は、陰イオン界面活性剤を含めた(d)成分の含有量に対して、好ましくは50質量%以下、より好ましくは20質量%以下である。また、本発明の殺菌洗浄剤組成物において、陰イオン界面活性剤の割合は、(a)成分の含有量に対して、好ましくは50質量%以下、より好ましくは20質量%以下である。
【0039】
本発明の殺菌洗浄剤組成物が(d)成分を含有する場合、[(a)成分の含有量+(b)成分の含有量+(c)成分の含有量]/[(d)成分の含有量]の質量比は、好ましくは0.3以上、より好ましくは0.5以上、そして、好ましくは3以下、より好ましくは2以下、更に好ましくは1.5以下である。
【0040】
本発明の殺菌洗浄剤組成物が(d)成分を含有する場合、組成物中の(d)成分の含有量は、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上、そして、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下である。
【0041】
本発明の殺菌洗浄剤組成物は、水を含有することが好ましい。本発明の殺菌洗浄剤組成物は、液体組成物であることが好ましい。
【0042】
本発明の殺菌洗浄剤組成物のpH(ガラス電極法により測定)は、20℃で、好ましくは6.0以上、より好ましくは6.5以上、そして、好ましくは7.9以下、より好ましくは7.8以下である。
【0043】
本発明の殺菌洗浄剤組成物は、硬質表面用であることが好ましい。具体的には、硬質表面を有する物品用が好ましい。硬質表面を有する物品の材質は、プラスチック(シリコーン樹脂などを含む)、金属、陶器、木、及びそれらの組み合わせが挙げられる。硬質表面を有する物品としては、食品加工設備、調理器具、台所周りの硬質物品、食器等が挙げられる。本発明の殺菌洗浄剤組成物は、食品加工設備用又は調理器具用であることがより好ましい。本発明の対象となる食品加工設備は、食肉スライサー、製麺機、フライヤー、米飯製造機等の大型機器が挙げられる。また、本発明の対象となる調理器具は、まな板、包丁、ザル等が挙げられる。
【0044】
本発明は、本発明の殺菌洗浄剤組成物を含有する処理液を、硬質表面を有する物品、好ましくは食品加工設備及び/又は調理器具設備に接触させる、硬質表面を有する物品、好ましくは食品加工設備及び/又は調理器具の殺菌洗浄方法を提供する。この殺菌洗浄方法には、本発明の殺菌洗浄剤組成物で述べた事項を適宜適用することができる。
【0045】
前記処理液は、(a)成分を、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.005質量%以上、更に好ましくは0.01質量%以上、更に好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは1質量%以上、そして、好ましくは10質量%以下、より好ましくは7質量%以下、更に好ましくは5質量%以下、更に好ましくは3質量%以下含有する。また、前記処理液は、(b)成分を、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.005質量%以上、更に好ましくは0.01質量%以上、更に好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは1質量%以上、更に好ましくは2質量%以上、そして、好ましくは10質量%以下、より好ましくは7質量%以下、更に好ましくは5質量%以下、更に好ましくは3質量%以下含有する。また、前記処理液は、(c)成分を、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.005質量%以上、更に好ましくは0.01質量%以上、更に好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは0.8質量%以上、更に好ましくは1質量%以上、そして、好ましくは10質量%以下、より好ましくは7質量%以下、更に好ましくは5質量%以下、更に好ましくは3質量%以下含有する。また、前記処理液は(d)成分を含有することができる。前記処理液が(d)成分を含有する場合、該処理液は、(d)成分を、好ましくは0.002質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上、更に好ましくは0.02質量%以上、更に好ましくは1質量%以上、そして、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、更に好ましくは5質量%以下、更に好ましくは3質量%以下、更に好ましくは2質量%以下含有する。これらの含有量になっていれば、本発明の殺菌洗浄剤組成物をそのまま用いることができる。すなわち、本発明の殺菌洗浄剤組成物が前記処理液であってもよい。また、本発明の殺菌洗浄剤組成物を、水で希釈して前記処理液とすることができる。希釈倍率としては、殺菌洗浄剤組成物の経済性、保存容易性及び保存安定性の観点から、好ましくは100倍以下、より好ましくは50倍以下、更に好ましくは10倍以下である。
【0046】
前記処理液の温度は、好ましくは5℃以上60℃以下である。前記処理液の接触時間は、好ましくは1分以上120分以下である。
【0047】
前記処理液のpH(ガラス電極法により測定)は、好ましくは6.0以上、より好ましくは6.5以上、そして、好ましくは7.9以下、より好ましくは7.8以下である。このpHは、洗浄温度でのpHであってよい。また、20℃でのpHであってよい。
【0048】
前記処理液を、硬質表面を有する物品、好ましくは食品加工設備及び/又は調理器具に接触させる方法としては、スプレー、塗布、浸漬などの方法が挙げられる。接触中に、スポンジなどの多孔質の軟質物品を用いて擦り洗いしてもよい。
【0049】
なお、前記処理液における、[(a)成分の含有量]/[(b)成分の含有量+(c)成分の含有量]の質量比、[(b)成分の含有量]/[(c)成分の含有量]の質量比、及び[(a)成分の含有量+(b)成分の含有量+(c)成分の含有量]/[(d)成分の含有量]の質量比は、それぞれ、本発明の殺菌洗浄剤組成物と同じ数値を選択できる。
【0050】
本発明は、本発明の殺菌洗浄剤組成物の製造方法であって、前記殺菌洗浄剤組成物における[(a)成分の含有量]/[(b)成分の含有量+(c)成分の含有量]の質量比が0.2以上5以下となるように、(a)成分、(b)成分、及び(c)成分を混合する、殺菌洗浄剤組成物の製造方法を提供する。すなわち、(a)成分、(b)成分、及び(c)成分を、[(a)成分の含有量]/[(b)成分の含有量+(c)成分の含有量]の質量比が0.2以上5以下となるように混合する、殺菌洗浄剤組成物の製造方法を提供する。この製造方法には、本発明の殺菌洗浄剤組成物で述べた事項を適宜適用することができる。
【0051】
本発明は、(a)成分、(b)成分、及び(c)成分を含有し、[(a)成分の含有量]/[(b)成分の含有量+(c)成分の含有量]の質量比が0.2以上5以下である組成物の、殺菌洗浄剤組成物としての用途ないし使用を提供する。この用途ないし使用には、本発明の殺菌洗浄剤組成物で述べた事項を適宜適用することができる。
【0052】
本発明の態様を以下に示す。これらの態様には、本発明の殺菌洗浄剤組成物で述べた事項を、相互に適宜適用することができる。
【0053】
<1>
カチオン性殺菌剤[以下(a)成分という]、炭素数9以上12以下の炭化水素基を1つ有するアミンオキシド型界面活性剤[以下(b)成分という]、及び炭素数13又は14の炭化水素基を1つ有するアミンオキシド型界面活性剤[以下(c)成分という]を含有し、
[(a)成分の含有量]/[(b)成分の含有量+(c)成分の含有量]の質量比が0.2以上5以下である、
殺菌洗浄剤組成物。
【0054】
<2>
(a)成分が4級アンモニウム型界面活性剤である、<1>記載の殺菌洗浄剤組成物。
【0055】
<3>
(a)成分が、ジアルキルジメチルアンモニウムハライド、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム又はこれらの対イオンが他のアニオンに変換されたカチオン界面活性剤系の殺菌剤、クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジン等のビグアナイド系殺菌剤、アルキルジアミノエチルグリシン、アルキルポリアミノエチルグリシン等のアミノ酸系殺菌剤から選ばれるカチオン性殺菌剤である、<1>記載の殺菌洗浄剤組成物。
【0056】
<4>
(b)成分が、N-ラウリル-N,N-ジメチルアミン-N-オキシド、及びN-(3-ラウロイルアミノプロピル)-N,N-ジメチルアミン-N-オキシドから選ばれる1種又は2種以上のアミンオキシド型界面活性剤である、好ましくはN-ラウリル-N,N-ジメチルアミン-N-オキシドである、<1>~<3>の何れか1項に記載の殺菌洗浄剤組成物。
【0057】
<5>
(c)成分が、N-ミリスチル-N,N-ジメチルアミン-N-オキシド、及びN-(3-ミリスチロイルアミノプロピル)-N,N-ジメチルアミン-N-オキシドから選ばれる1種又は2種以上のアミンオキシド型界面活性剤である、好ましくはN-ミリスチル-N,N-ジメチルアミン-N-オキシドである、<1>~<4>の何れか1項に記載の殺菌洗浄剤組成物。
【0058】
<6>
[(a)成分の含有量]/[(b)成分の含有量+(c)成分の含有量]の質量比が、0.2以上、好ましくは0.3以上、より好ましくは0.4以上、更に好ましくは0.5以上、更に好ましくは0.6以上、そして、5以下、好ましくは4以下、より好ましくは2.5以下、更に好ましくは2以下、更に好ましくは1以下である、<1>~<5>の何れか1項に記載の殺菌洗浄剤組成物。
【0059】
<7>
[(b)成分の含有量]/[(c)成分の含有量]の質量比が、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.4以上、更に好ましくは0.8以上、そして、好ましくは10以下、より好ましくは5以下、更に好ましくは3以下である、<1>~<6>の何れか1項に記載の殺菌洗浄剤組成物。
【0060】
<8>
(a)成分を、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは1質量%以上、そして、好ましくは10質量%以下、より好ましくは7質量%以下、更に好ましくは5質量%以下含有する、<1>~<7>の何れか1項に記載の殺菌洗浄剤組成物。
【0061】
<9>
(b)成分を、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは1質量%以上、更に好ましくは2質量%以上、そして、好ましくは10質量%以下、より好ましくは7質量%以下、更に好ましくは5質量%以下、更に好ましくは4質量%以下含有する、<1>~<8>の何れか1項に記載の殺菌洗浄剤組成物。
【0062】
<10>
(c)成分を、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは0.8質量%以上、更に好ましくは1質量%以上、そして、好ましくは10質量%以下、より好ましくは7質量%以下、更に好ましくは5質量%以下、更に好ましくは3質量%以下含有する、<1>~<9>の何れか1項に記載の殺菌洗浄剤組成物。
【0063】
<11>
更に、(d)成分として、(a)成分、(b)成分及び(c)成分以外の界面活性剤を含有する、<1>~<10>の何れか1項に記載の殺菌洗浄剤組成物。
【0064】
<12>
(d)成分として、非イオン界面活性剤を含有する、<11>に記載の殺菌洗浄剤組成物。
【0065】
<13>
非イオン界面活性剤が、アルキルグリコシド型非イオン界面活性剤及びアルコキシレート型非イオン界面活性剤から選ばれる1種以上の非イオン界面活性剤である、好ましくはアルキルグリコシド型非イオン界面活性剤である、<12>に記載の殺菌洗浄剤組成物。
【0066】
<14>
アルキルグリコシド型界面活性剤が、下記一般式(d1)で表されるアルキルグリコシド型界面活性剤である、<13>に記載の殺菌洗浄剤組成物。
1d-(O-R2d (d1)
〔式中、R1dは炭素数8以上16以下の直鎖アルキル基であり、R2dは炭素数2以上4以下のアルキレン基である。Gは還元糖に由来する基を示す。nは平均付加モル数であり、0以上5以下の数を示し、mは平均縮合度であり、1以上3以下の数を示す。〕
【0067】
<15>
アルコキシレート型非イオン界面活性剤が、
ポリオキシアルキレンアルキル又はアルケニルエーテルである、
更に、オキシエチレン基、及びオキシプロピレン基から選ばれるオキシアルキレン基、中でもオキシエチレン基を含むポリオキシアルキレンアルキル又はアルケニルエーテルである、
更に、前記ポリオキシアルキレンアルキル又はアルケニルエーテルであって、前記オキシアルキレン基の平均付加モル数が、好ましくは2以上、より好ましくは3以上、そして、好ましくは20以下、より好ましくは18以下のポリオキシアルキレンアルキル又はアルケニルエーテルである、
更に、前記ポリオキシアルキレンアルキル又はアルケニルエーテルであって、アルキル基又はアルケニル基の炭素数が、好ましくは8以上、より好ましくは10以上、そして、好ましくは20以下、好ましくは18以下である、ポリオキシアルキレンアルキル又はアルケニルエーテル
である、<13>に記載の殺菌洗浄剤組成物。
【0068】
<16>
[(a)成分の含有量+(b)成分の含有量+(c)成分の含有量]/[(d)成分の含有量]の質量比が、好ましくは0.3以上、より好ましくは0.5以上、そして、好ましくは3以下、より好ましくは2以下、更に好ましくは1.5以下である、<11>~<15>の何れか1項に記載の殺菌洗浄剤組成物。
【0069】
<17>
組成物中の(d)成分の含有量が、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上、そして、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下である、<11>~<16>の何れか1項に記載の殺菌洗浄剤組成物。
【0070】
<18>
硬質表面用である、更に硬質表面を有する物品用である、更に食品加工設備、調理器具、台所周りの硬質物品及び食器から選ばれる硬質表面を有する物質用である、<1>~<17>の何れか1項に記載の殺菌洗浄剤組成物。
【0071】
<19>
<1>~<18>の何れか1項記載の殺菌洗浄剤組成物を含有する処理液を、硬質表面を有する物品、好ましくは食品加工設備及び/又は調理器具に接触させる、硬質表面を有する物品、好ましくは食品加工設備及び/又は調理器具の殺菌洗浄方法。
【0072】
<20>
前記処理液が、(a)成分を、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.005質量%以上、更に好ましくは0.01質量%以上、更に好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは1質量%以上、そして、好ましくは10質量%以下、より好ましくは7質量%以下、更に好ましくは5質量%以下、更に好ましくは3質量%以下含有する、<19>に記載の殺菌洗浄方法。
【0073】
<21>
前記処理液が、(b)成分を、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.005質量%以上、更に好ましくは0.01質量%以上、更に好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは1質量%以上、更に好ましくは2質量%以上、そして、好ましくは10質量%以下、より好ましくは7質量%以下、更に好ましくは5質量%以下、更に好ましくは3質量%以下含有する、<19>又は<20>に記載の殺菌洗浄方法。
【0074】
<22>
前記処理液が、(c)成分を、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.005質量%以上、更に好ましくは0.01質量%以上、更に好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは0.8質量%以上、更に好ましくは1質量%以上、そして、好ましくは10質量%以下、より好ましくは7質量%以下、更に好ましくは5質量%以下、更に好ましくは3質量%以下含有する、<19>~<21>の何れか1項に記載の殺菌洗浄方法。
【0075】
<23>
前記処理液が、(d)成分を、好ましくは0.002質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上、更に好ましくは0.02質量%以上、更に好ましくは1質量%以上、そして、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、更に好ましくは5質量%以下、更に好ましくは3質量%以下、更に好ましくは2質量%以下含有する、<19>~<22>の何れか1項に記載の殺菌洗浄方法。
【0076】
<24>
カチオン性殺菌剤[以下(a)成分という]、炭素数9以上12以下の炭化水素基を1つ有するアミンオキシド型界面活性剤[以下(b)成分という]、及び炭素数13又は14の炭化水素基を1つ有するアミンオキシド型界面活性剤[以下(c)成分という]を、[(a)成分の含有量]/[(b)成分の含有量+(c)成分の含有量]の質量比が0.2以上5以下となるように混合する、殺菌洗浄剤組成物の製造方法。
【0077】
<25>
<1>~<18>の何れかに記載の殺菌洗浄剤組成物の製造方法である、<24>の製造方法。
【0078】
<26>
カチオン性殺菌剤[以下(a)成分という]、炭素数9以上12以下の炭化水素基を1つ有するアミンオキシド型界面活性剤[以下(b)成分という]、及び炭素数13又は14の炭化水素基を1つ有するアミンオキシド型界面活性剤[以下(c)成分という]を含有し、
[(a)成分の含有量]/[(b)成分の含有量+(c)成分の含有量]の質量比が0.2以上5以下である、
組成物の、殺菌洗浄剤組成物としての使用。
【0079】
<27>
<1>~<18>の何れかに記載の組成物の、殺菌洗浄剤組成物としての使用。
【実施例
【0080】
表1の殺菌洗浄剤組成物を調製し、以下の評価を行った。結果を表1に示す。
【0081】
〔洗浄力の評価〕
ナタネ油(和光純薬工業(株)製)を、予め下4桁の電子天秤を用いて秤量したテストピース(エンジニアリングテストサービス社製、SUS304、1mm×25mm×70mm)(質量x)に約1mg/cm塗布した後、下4桁天秤を用いて秤量した(質量y)。
油塗布後の各テストピースに殺菌洗浄剤組成物をポンプフォーマー(ビオレハンドウォッシュ用、花王(株)製)を用いて泡状で2ml噴霧し20分間平置きで静置した。20分間洗浄後のテストピースを、リーナッツ試験器を用いて、25℃の水道水にて1分間すすいだ(水量700ml、回転翼の回転数は300rpm)。すすぎ後、温度20℃/湿度40%の環境下で一昼夜風乾し、洗浄後のテストピース質量を下4桁の電子天秤にて秤量した(質量z)。
質量x、y、zを用いて、以下の式で洗浄率を求めた。ナタネ油を塗布した場合の洗浄率の結果を表1に示す。この評価では、洗浄率は、75%以上であることが好ましく、数値が大きい方がより好ましい。
洗浄率(%)={(y)-(z)}/{(y)-(x)}×100
【0082】
〔殺菌力の評価〕
(1)組織培養フラスコにLB培地を10mL入れて、シャーレに培養した菌(黄色ブドウ球菌、大腸菌)を白金耳にて取り出し、LB培地に入れた。
(2)上記フラスコを200rpm、37℃で16時間培養した。
(3)上記LB培地を50mL遠沈管に移し、4000rpm、15℃、10分遠心分離した。
(4)上澄みのLB培地を廃棄し、10mLの生理食塩水を添加して、再度(3)と同じ条件で遠心分離した。
(5)上澄みの生理食塩水を廃棄し、生理食塩水を添加してOD1の菌液を作製した。
(6)(5)で作製した液を用いてBSA0.5%、OD0.001の菌液を作製した。
(7)8cm×3cm×0.1cmのSUS304の板の上に(6)で作製した菌液を0.3mL添加して均一に塗り広げた。
(8)(7)の板に殺菌洗浄剤組成物を0.3mL添加して、均一に塗り広げて30分間静置した。
(9)LP停止液を1mL封入した拭き取り棒に、板上に残存している液を流し込み、拭き取り棒にて板上をスワブしてふき取った。
(10)拭き取り棒から液を取り出し、それを10倍おきに段階希釈した。
(11)段階希釈した液を標準寒天培地に0.1mL添加して、コンラージ棒にて塗り広げた。
(12)(11)で作製した培地を37℃、24時間培養してコロニー数をカウントして生菌数(cfu/mL)とした。表には、Log(cfu/mL)に換算した値を示した。この評価では、Log(cfu/mL)が、黄色ブドウ球菌と大腸菌の両方について、2以下であることが好ましく、それぞれ、数値が小さい方がより好ましい。
【0083】
【表1】
【0084】
表中の成分は以下のものである。
・塩化ベンザルコニウム:サニゾールB-50(花王株式会社)
・N-ラウリル-N,N-ジメチルアミン-N-オキシド:アンヒトール20N(花王株式会社)
・N-ミリスチル-N,N-ジメチルアミン-N-オキシド:アンヒトール40N(花王株式会社)
・アルキルグリコシド:AG-124(花王株式会社)、アルキル(炭素数12~16)ポリグルコース(平均糖縮合度1~2)
・ポリオキシエチレンラウリルエーテル:エマルゲン105(花王株式会社)