(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-28
(45)【発行日】2025-04-07
(54)【発明の名称】化粧料組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/37 20060101AFI20250331BHJP
A61K 8/73 20060101ALI20250331BHJP
A61K 8/41 20060101ALI20250331BHJP
A61K 8/86 20060101ALI20250331BHJP
A61Q 5/12 20060101ALI20250331BHJP
A61Q 5/00 20060101ALI20250331BHJP
A61K 8/92 20060101ALI20250331BHJP
A61K 8/06 20060101ALI20250331BHJP
A61K 8/89 20060101ALI20250331BHJP
【FI】
A61K8/37
A61K8/73
A61K8/41
A61K8/86
A61Q5/12
A61Q5/00
A61K8/92
A61K8/06
A61K8/89
(21)【出願番号】P 2020089900
(22)【出願日】2020-05-22
【審査請求日】2023-02-01
(31)【優先権主張番号】P 2020053334
(32)【優先日】2020-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】390011442
【氏名又は名称】株式会社マンダム
(74)【代理人】
【識別番号】110001232
【氏名又は名称】弁理士法人大阪フロント特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤田 範子
(72)【発明者】
【氏名】小林 佳那子
(72)【発明者】
【氏名】ムハンマド イクバル
【審査官】駒木 亮一
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-056926(JP,A)
【文献】特開2016-013984(JP,A)
【文献】国際公開第2019/225180(WO,A1)
【文献】特開2002-234824(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
Japio-GPG/FX
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記成分Aと、下記成分Bと、下記成分Cと、下記成分Dと、下記成分Eとを含み、
前記成分Cが、カチオン界面活性剤及び/又はノニオン界面活性剤を含み、
前記成分Aの含有量が0.05質量%以上、
5.0質量%以下であり、
前記成分Bの含有量が0.05質量%以上、1.0質量%以下であり、
前記成分Cの含有量が
1.0質量%以上、
20.0質量%以下であり、
前記成分Dの含有量が50.0質量%以上、95.0質量%以下であ
り、
前記成分Eの含有量が1.0質量%以上、20.0質量%以下であり、
水中油型の乳化化粧料組成物であり、
毛髪化粧料組成物である、化粧料組成物。
成分A:ダイマー酸エステル及び/又はダイマージオールエステル
成分B:
ポリクオタニウム-67
成分C:界面活性剤
成分D:水
成分E:シリコーン油
【請求項2】
塗布対象に塗布された後、洗い流して用いられる、請求項1に記載の化粧料組成物。
【請求項3】
前記成分Eが、下記成分E1及び下記成分E2からなる群より選ばれるシリコーン油を含む、請求項1又は2に記載の化粧料組成物。
成分E1:25℃における粘度が1万mPa・s以上であるシリコーン油
成分E2:25℃における粘度が1万mPa・s未満であるアミノ変性シリコーン
【請求項4】
さらに、下記成分Fを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の化粧料組成物。
成分F:ポリプロピレングリコールアルキルエーテル
【請求項5】
さらに、下記成分Gを含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の化粧料組成物。
成分G:植物油
【請求項6】
前記成分Cが、カチオン界面活性剤を含む、請求項1~
5のいずれか1項に記載の化粧料組成物。
【請求項7】
ヘアトリートメントである、請求項
1~6のいずれか1項に記載の化粧料組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ヘアオイルやヘアトリートメント等の毛髪化粧料組成物に求められる一般的な特性の一つとして、「毛髪をまとめる」という効果がある。毛髪をまとめる効果を特徴とする毛髪化粧料組成物としては、例えば、植物油及び/又は合成トリグリセリドを含むヘアオイルなどが知られている(特許文献1等)。
【0003】
また、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイル及びダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)等のダイマー酸エステルを、毛髪をまとめる効果を発揮する成分として配合した毛髪化粧料組成物が知られている(特許文献2、3等)。
【0004】
上記ダイマー酸エステルは、毛髪化粧料組成物及び皮膚化粧料組成物において、毛髪及び肌などの塗布された部分に保湿感を与える成分としても用いられている(特許文献4、5等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2019-6719号公報
【文献】特開2014-227357号公報
【文献】特開2018-12667号公報
【文献】特開2013-116860号公報
【文献】特開2017-178892号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
塗布対象に塗布された後、洗い流さずに用いられる化粧料組成物(所謂、リーブオンタイプの化粧料組成物)や、塗布対象に塗布された後、洗い流して用いられる化粧料組成物(所謂、リンスオフタイプの化粧料組成物)が知られている。
【0007】
植物油、合成トリグリセリド又はダイマー酸エステルが配合されたリーブオンタイプの化粧料組成物では、毛髪をまとめる効果を高め、かつ毛髪の柔軟感(毛髪にごわつきがない感触)を良好にすることができるため、毛髪を柔らかくまとめることができる。しかしながら、これらの成分をリンスオフタイプの化粧料組成物の配合成分として用いた場合には、毛髪をまとめる効果を十分に高めることができなかったり、毛髪に柔軟感を良好に付与することができなかったりするという問題がある。このため、従来のリンスオフタイプの化粧料組成物では、毛髪を柔らかくまとめることは困難である。
【0008】
本発明の目的は、毛髪に塗布された後、洗い流して用いられる場合であっても、毛髪を柔らかくまとめる効果を高めることができる化粧料組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、下記成分(A)と、下記成分(B)と、下記成分(C)と、下記成分(D)とを含み、上記成分(A)の含有量が0.05質量%以上、10.0質量%以下であり、上記成分(B)の含有量が0.05質量%以上、1.0質量%以下であり、上記成分(C)の含有量が0.1質量%以上、45.0質量%以下であり、上記成分(D)の含有量が50.0質量%以上、95.0質量%以下である化粧料組成物を提供する。
【0010】
成分(A):ダイマー酸エステル及び/又はダイマージオールエステル
成分(B):炭素数10以上のアルキル基を有するカチオン化セルロース
成分(C):界面活性剤
成分(D):水
【0011】
本発明の化粧料組成物は、塗布対象に塗布された後、洗い流して用いられる化粧料組成物であることが好ましい。
【0012】
本発明の化粧料組成物は、さらに、下記成分(E)を含むことが好ましい。
成分(E):シリコーン油
【0013】
本発明の化粧料組成物では、上記成分(E)が、下記成分(E1)及び下記成分(E2)からなる群より選ばれるシリコーン油を含むことが好ましい。
【0014】
成分(E1):25℃における粘度が1万mPa・s以上であるシリコーン油
成分(E2):25℃における粘度が1万mPa・s未満であるアミノ変性シリコーン
【0015】
本発明の化粧料組成物は、さらに、下記成分(F)を含むことが好ましい。
成分(F):ポリプロピレングリコールアルキルエーテル
【0016】
本発明の化粧料組成物は、さらに、下記成分(G)を含むことが好ましい。
成分(G):植物油
【0017】
本発明の化粧料組成物では、上記成分(B)が、ポリクオタニウム-67であることが好ましい。
【0018】
本発明の化粧料組成物では、上記成分(C)が、カチオン界面活性剤を含むことが好ましい。
【0019】
本発明の化粧料組成物は、毛髪化粧料組成物であることが好ましい。
【0020】
本発明の化粧料組成物は、ヘアトリートメントであることが好ましい。
【発明の効果】
【0021】
本発明の化粧料組成物は、特定の成分(A)と、特定の成分(B)と、特定の成分(C)と、特定の成分(D)とを、特定の含有量で含むので、毛髪をまとめる効果と毛髪に柔軟感を付与する効果との双方を高めることができる。そのため、本発明の化粧料組成物では、毛髪を柔らかくまとめる効果を高めることができる。本発明の化粧料組成物では、毛髪に塗布された後、洗い流して用いられる場合であっても、上記の効果を十分に高めることができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の化粧料組成物は、ダイマー酸エステル及び/又はダイマージオールエステルと、炭素数10以上のアルキル基を有するカチオン化セルロースと、界面活性剤と、水とを含む。
【0023】
本明細書においては、上記「ダイマー酸エステル及び/又はダイマージオールエステル」を「成分(A)」と記載することがある。本明細書においては、上記「炭素数10以上のアルキル基を有するカチオン化セルロース」を「成分(B)」と記載することがある。本明細書においては、上記「界面活性剤」を「成分(C)」と記載することがある。本明細書においては、上記「水」を「成分(D)」と記載することがある。
【0024】
本発明の化粧料組成物は、成分(A)と成分(B)と成分(C)と成分(D)とを少なくとも含む。また、本発明の化粧料組成物は、成分(A)~(D)以外の他の成分を含んでいてもよい。上記の成分、例えば、成分(A)、成分(B)、成分(C)、成分(D)や他の成分は、それぞれ、1種のみが用いられてもよく、2種以上が用いられてもよい。
【0025】
(成分(A))
成分(A)は、ダイマー酸エステル及び/又はダイマージオールエステルである。成分(A)としては、ダイマー酸のエステル、ダイマージオールのエステル、及びダイマー酸とダイマージオールとのエステルが挙げられる。成分(A)により、毛髪のまとまりを良好にすることができる。特に、毛髪全体のまとまりに加えて、毛先のまとまりも良好にすることができる。加えて、成分(A)により、毛髪の柔軟感(毛髪にごわつきがない感触)を良好にすることができる。さらに、成分(A)により、しっとりとした保湿感のある、毛髪のまとまりを付与することができる。本発明の化粧料組成物が、毛髪に塗布された後、洗い流して用いられる毛髪化粧料である場合には、洗い流した後に乾燥後の毛髪のまとまりや柔軟感を良好にすることができるため、毛髪を柔らかくまとめる効果を高めることができる。また、成分(A)により、毛髪又は肌などの塗布された部分に保湿感を与えることができる。成分(A)は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0026】
成分(A)は、モノエステルであってもよく、ポリエステルであってもよい。毛髪をより一層良好にまとめる観点から、成分(A)は、ポリエステルであることが好ましい。
【0027】
成分(A)としては、例えば、ダイマージリノール酸ジ(イソステアリル/フィトステリル)、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイル、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)、ダイマージリノール酸水添ヒマシ油、及びダイマージリノール酸ジグリセリンイソステアレート、ダイマージリノール酸水添ロジン縮合物、及びジイソステアリン酸ダイマージリノレイル等が挙げられる。
【0028】
成分(A)は、上記の中でも、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイル(INCI名:DIMER DILINOLEYL DIMER DILINOLEATE)であることが好ましく、ポリエステルであるダイマージリノール酸ダイマージリノレイルであることがより好ましい。
【0029】
上記ダイマージリノール酸ダイマージリノレイルの市販品としては、日本精化社製、商品名「LUSPLAN DD-DA5」、商品名「LUSPLAN DD-DA7」、商品名「LUSPLAN SR-DM4」、商品名「LUSPLAN DA-R」、商品名「LUSPLAN SR-DC5」、商品名「LUSPLAN SR-DP4」等が挙げられる。
【0030】
成分(A)の重量平均分子量は、特に限定されないが、5000以上が好ましく、10000以上がより好ましく、50000以上がさらに好ましく、100000以下が好ましい。
【0031】
本発明の化粧料組成物100質量%中、成分(A)の含有量は、毛髪のまとまりや柔軟感を良好にする観点及び毛髪又は肌などに良好な保湿感を付与する観点から、0.05質量%以上であり、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上である。本発明の化粧料組成物100質量%中、成分(A)の含有量は、乳化や可溶化の安定性向上の観点及びべたつきを抑制する観点から、10.0質量%以下であり、好ましくは5.0質量%以下、より好ましくは2.0質量%以下である。上記成分(A)の含有量は、本発明の化粧料組成物中の全ての成分(A)の含有量の合計である。
【0032】
(成分(B))
成分(B)は、炭素数10以上のアルキル基を有するカチオン化セルロースである。成分(B)を含まない化粧料組成物では、塗布対象(例えば、毛髪や肌など)に塗布された後、洗い流して用いられる場合に、成分(A)による上記の効果が大きく低下する。これに対して、成分(B)を含む本発明の化粧料組成物では、洗い流して用いられる場合であっても、洗い流した後に成分(A)による上記の効果を十分に発揮することができる。また、成分(B)により、洗い流し時の指どおりを特に良好にすることができる。成分(B)は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0033】
成分(B)のアルキル基の炭素数は、10以上であり、好ましくは24以下、より好ましくは22以下である。
【0034】
成分(B)は、成分(A)の効果をより一層発揮させる観点から、ポリクオタニウム-67であることが好ましい。上記ポリクオタニウム-67は、ヒドロキシエチルセルロースにトリメチルアンモニウム置換エポキシド及びラウリルジメチルアンモニウム置換エポキシドを付加反応させて得られる4級アンモニウム塩の重合体であり、カチオン化ヒドロキシエチルセルロース誘導体である。
【0035】
本発明の化粧料組成物100質量%中、成分(B)の含有量は、成分(A)の効果を十分に発揮させる観点から、0.05質量%以上であり、好ましくは0.1質量%以上である。本発明の化粧料組成物100質量%中、成分(B)の含有量は、かさつきを抑制する観点から、1.0質量%以下であり、好ましくは0.7質量%以下である。上記成分(B)の含有量は、本発明の化粧料組成物中の全ての成分(B)の含有量の合計である。
【0036】
(成分(C))
成分(C)は、界面活性剤である。成分(C)により、油性成分である成分(A)を乳化や可溶化等により水系の組成物中に安定して配合することができる。また、成分(C)は、本発明の化粧料組成物の用途に応じて、トリートメント成分や洗浄成分としての役割も発揮する。成分(C)としては、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤及び両性界面活性剤が挙げられる。成分(C)は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0037】
本発明の化粧料組成物100質量%中、成分(C)の含有量は、成分(A)の乳化や可溶化等の観点から、0.1質量%以上であり、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1.0質量%以上である。本発明の化粧料組成物100質量%中、成分(C)の含有量は、べたつき抑制や製剤安定性向上の観点から、45.0質量%以下であり、好ましくは20.0質量%以下、より好ましくは10.0質量%以下である。上記成分(C)の含有量は、本発明の化粧料組成物中の全ての成分(C)の含有量の合計である。
【0038】
上記カチオン界面活性剤は、洗い流し時や乾燥後の毛髪の指どおりを良好にし、毛髪や肌に柔軟感を与える等の効果を発揮する。成分(C)は、指どおり向上や柔軟感付与の観点から、カチオン界面活性剤を含むことが好ましい。
【0039】
上記カチオン界面活性剤としては、モノアルキル型4級アンモニウム塩、ジアルキル型4級アンモニウム塩、トリアルキル型4級アンモニウム塩、モノアルキルエーテル型4級アンモニウム塩、その他の4級アンモニウム塩、アルキルアミン、及び脂肪酸アミドアミン等が挙げられる。
【0040】
上記モノアルキル型4級アンモニウム塩としては、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化ミリスチルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム(ステアルトリモニウムクロリド、INCI名:Steartrimonium Chloride)、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム(ステアルトリモニウムブロミド)、塩化アルキルトリメチルアンモニウム(ベヘントリモニウムクロリド、INCI名:Behentrimonium Chloride)、塩化セチルトリメチルアンモニウム(セトリモニウムクロリド)、臭化セチルトリメチルアンモニウム(セトリモニウムブロミド)、塩化アルキル(16,18)トリメチルアンモニウム、塩化アルキル(20~22)トリメチルアンモニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ミリスチルジメチルベンジルアンモニウム、塩化トリ(ポリオキシエチレン)ステアリルアンモニウム、及び塩化ジ(ポリオキシエチレン)オレイルメチルアンモニウム等が挙げられる。
【0041】
上記脂肪酸アミドアミンとしては、ミリスチン酸ジメチルアミノエチルアミド、ミリスチン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ミリスチン酸ジエチルアミノエチルアミド、ミリスチン酸ジエチルアミノプロピルアミド、パルミチン酸ジメチルアミノエチルアミド、パルミチン酸ジメチルアミノプロピルアミド、パルミチン酸ジエチルアミノエチルアミド、パルミチン酸ジエチルアミノプロピルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノエチルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド、ステアリン酸ジエチルアミノプロピルアミド、ステアリン酸ジプロピルアミノエチルアミド、ステアリン酸ジプロピルアミノプロピルアミド、ベヘニン酸ジメチルアミノエチルアミド、ベヘニン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ベヘニン酸ジエチルアミノエチルアミド、及びベヘニン酸ジエチルアミノプロピルアミド等が挙げられる。
【0042】
上記脂肪酸アミドアミンは、有機酸又は無機酸により中和されていることが好ましい。上記脂肪酸アミドアミンは脂肪酸アミドアミン塩であることが好ましい。上記有機酸としては、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、及び酢酸等が挙げられる。上記無機酸としては、リン酸、塩酸、及び硫酸等が挙げられる。上記脂肪酸アミドアミンは、乳酸により中和されていることがより好ましい。なお、上記有機酸及び上記無機酸の配合量は、上記脂肪酸アミドアミンを中和できれば特に限定されない。
【0043】
また、上記カチオン界面活性剤としては、例えば、パルミタミドプロピルトリモニウムクロリド(INCI名:Palmitamidopropyltrimonium Chloride)が挙げられる。
【0044】
本発明の化粧料組成物が上記カチオン界面活性剤を含む場合に、本発明の化粧料組成物100質量%中、上記カチオン界面活性剤の含有量は、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、好ましくは10.0質量%以下、より好ましくは7.0質量%以下である。上記カチオン界面活性剤の含有量は、本発明の化粧料組成物中の全てのカチオン界面活性剤の含有量の合計である。
【0045】
上記アニオン界面活性剤は、洗浄効果、泡立ち性付与等の効果を発揮する。
【0046】
上記アニオン界面活性剤としては、ラウリン酸塩、ミリスチン酸塩、パルミチン酸塩、及びステアリン酸塩等の脂肪酸塩;ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ミリスチル硫酸ナトリウム、ステアリル硫酸ナトリウム、オレイル硫酸ナトリウム、及びセチル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸エステル塩;ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、及びポリオキシエチレンミリスチルエーテル硫酸ナトリウム等のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩;テトラデセンスルホン酸ナトリウム等のα-オレフィンスルホン酸塩;ミリストイルメチルタウリンナトリウム、パルミトイルメチルタウリンナトリウム、ステアロイルメチルタウリンナトリウム、オレオイルメチルタウリンナトリウム、及びヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム等のN-アシルメチルタウリン塩;スルホコハク酸ジオクチルナトリウム、及びスルホコハク酸ラウリル二ナトリウム等のスルホコハク酸アルキル塩;スルホコハク酸ポリオキシエチレンラウリル二ナトリウム等のスルホコハク酸ポリオキシエチレンアルキル塩;ラウリルリン酸ナトリウム、セチルリン酸ナトリウム、及びセチルリン酸ジエタノールアミン等のモノアルキルリン酸エステル塩;ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンセチルエーテルリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンオレイルエーテルリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸ナトリウム、及びポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸トリエタノールアミン等のポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩;ラウロイルサルコシンカリウム、ラウロイルサルコシントリエタノールアミン、ミリストイルサルコシンナトリウム、及びヤシ油脂肪酸サルコシンナトリウム等のN-アシルサルコシン塩;ラウロイルメチルアラニンナトリウム、ラウロイルメチルアラニントリエタノールアミン、ミリストイルメチルアラニンナトリウム、及びヤシ油脂肪酸メチルアラニンナトリウム等のN-アシル-N-メチル-β-アラニン塩;ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、ラウロイルグルタミン酸トリエタノールアミン、ミリストイルグルタミン酸ナトリウム、ステアロイルグルタミン酸カリウム、ステアロイルグルタミン酸二ナトリウム、ヤシ油脂肪酸アシルグルタミン酸ナトリウム、及びヤシ油脂肪酸アシルグルタミン酸トリエタノールアミン等のN-アシルグルタミン酸塩;ヤシ油脂肪酸アシルグリシンカリウム、及びヤシ油脂肪酸アシルグリシンナトリウム等のN-アシルグリシン塩;ラウリルグリコール酢酸ナトリウム(ドデカン-1,2-ジオール酢酸ナトリウム)、ラウリルグリコール酢酸カリウム、ミリスチルグリコール酢酸ナトリウム、ミリスチルグリコール酢酸カリウム、パルミチルグリコール酢酸ナトリウム、パルミチルグリコール酢酸カリウム、ステアリルグリコール酢酸ナトリウム、ステアリルグリコール酢酸カリウム、ベヘニルグリコール酢酸ナトリウム、及びベヘニルグリコール酢酸カリウム等のアルキルエーテルグリコール酢酸塩等が挙げられる。
【0047】
本発明の化粧料組成物が上記アニオン界面活性剤を含む場合に、本発明の化粧料組成物100質量%中、上記アニオン界面活性剤の含有量は、好ましくは1.0質量%以上、より好ましくは3.0質量%以上、好ましくは20.0質量%以下、より好ましくは15.0質量%以下である。上記アニオン界面活性剤の含有量は、本発明の化粧料組成物中の全てのアニオン界面活性剤の含有量の合計である。
【0048】
上記両性界面活性剤は、洗浄効果、増粘効果等の効果を発揮する。
【0049】
上記両性界面活性剤としては、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、及びヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン等のアルキルアミドベタイン型両性界面活性剤;アルキルグリシン塩、カルボキシメチルグリシン塩、及びN-アシルアミノエチル-N-2-ヒドロキシエチルグリシン塩等のグリシン型両性界面活性剤;アルキルアミノプロピオン酸塩、及びアルキルイミノジプロピオン酸塩等のアミノプロピオン酸型両性界面活性剤;アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルアミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、及びアルキルジヒドロキシエチルアミノ酢酸ベタイン等のアミノ酢酸ベタイン型両性界面活性剤;アルキルヒドロキシスルホベタイン等のスルホベタイン型両性界面活性剤;アルキルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン等のイミダゾリニウム型両性界面活性剤;N-アルキル-N,N-ジメチルアンモニウム-N-プロピルスルホン酸塩;N-アルキル-N,N-ジメチルアンモニウム-N-(2-ヒドロキシプロピル)スルホン酸塩;N-脂肪酸アミドプロピル-N,N-ジメチルアンモニウム-N-(2-ヒドロキシプロピル)スルホン酸塩等が挙げられる。
【0050】
本発明の化粧料組成物が上記両性界面活性剤を含む場合に、本発明の化粧料組成物100質量%中、上記両性界面活性剤の含有量は、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1.0質量%以上、好ましくは20.0質量%以下、より好ましくは10.0質量%以下である。上記両性界面活性剤の含有量は、本発明の化粧料組成物中の全ての両性界面活性剤の含有量の合計である。
【0051】
上記ノニオン界面活性剤は、乳化効果、可溶化効果等の効果を発揮する。
【0052】
上記ノニオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリグリセリンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン(硬化)ヒマシ油、及び脂肪酸アルキロールアミド等が挙げられる。
【0053】
本発明の化粧料組成物が上記ノニオン界面活性剤を含む場合に、本発明の化粧料組成物100質量%中、上記ノニオン界面活性剤の含有量は、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1.0質量%以上、好ましくは10.0質量%以下、より好ましくは7.0質量%以下である。上記ノニオン界面活性剤の含有量は、本発明の化粧料組成物中の全てのノニオン界面活性剤の含有量の合計である。
【0054】
(成分(D))
成分(D)は、水である。成分(D)は精製水であることが好ましい。本発明の化粧料組成物は、水系の組成物であるため、成分(B)を安定して配合することができる。本発明の化粧料組成物100質量%中、成分(D)の含有量は、50.0質量%以上であり、好ましくは55.0質量%以上、95.0質量%以下であり、好ましくは85.0質量%以下である。
【0055】
(成分(E))
本発明の化粧料組成物は、シリコーン油を含んでいてもよい。本明細書においては、上記「シリコーン油」を「成分(E)」と記載することがある。成分(E)により、乾燥後の毛髪や肌に柔軟感(やわらかな感触)や、さらさら感(指どおりの良さ、すべりの良さ)を良好に付与することができる。成分(E)は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0056】
成分(E)としては、メチルポリシロキサン(ジメチコン)、及び高重合メチルポリシロキサン等のジメチルシリコーン油;メチルフェニルポリシロキサン等のメチルフェニルシリコーン油;メチルシクロポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、及びドデカメチルシクロヘキサシロキサン等の環状シリコーン油;アミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、アミノエチルアミノプロピルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、及びアミノエチルアミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体等のアミノ変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、脂肪酸変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、脂肪族アルコール変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、アルキル変性シリコーンなどの変性シリコーン;メチルハイドロジェンポリシロキサン、ジメチコノール等が挙げられる。
【0057】
成分(E)は、25℃における粘度が1万mPa・s以上であるシリコーン油、及び25℃における粘度が1万mPa・s未満であるアミノ変性シリコーンからなる群より選ばれるシリコーン油(少なくとも1のシリコーン油)を含むことが好ましい。
【0058】
本明細書においては、上記「25℃における粘度が1万mPa・s以上であるシリコーン油」を「成分(E1)」と記載することがある。成分(E1)は、所謂、高重合シリコーンである。
【0059】
本明細書においては、上記「25℃における粘度が1万mPa・s未満であるアミノ変性シリコーン」を「成分(E2)」と記載することがある。
【0060】
したがって、成分(E)は、成分(E1)及び成分(E2)からなる群より選ばれるシリコーン油を含むことが好ましい。なお、成分(E1)には、25℃における粘度が1万mPa・s以上であるアミノ変性シリコーンが含まれる。
【0061】
本発明の化粧料組成物が成分(E1)を含む場合には、乾燥後の毛髪や肌にさらさら感を良好に付与することができる。本発明の化粧料組成物がる成分(E2)を含む場合には、塗布時及び乾燥後の毛髪や肌の柔軟感を高めることができる。
【0062】
成分(E1)の25℃における粘度は、1万mPa・s以上であり、好ましくは6万mPa・s以上、より好ましくは8万mPa・s以上、好ましくは3000万mPa・s以下、より好ましくは150万mPa・s以下、さらに好ましくは100万mPa・s以下である。上記粘度が上記下限以上及び上記上限以下であると、乾燥後の毛髪や肌にさらさら感をより一層良好に付与することができる。
【0063】
本発明の化粧料組成物が成分(E)を含む場合に、本発明の化粧料組成物100質量%中、成分(E)の含有量は、好ましくは1.0質量%以上、より好ましくは3.0質量%以上、好ましくは30.0質量%以下、より好ましくは20.0質量%以下である。上記成分(E)の含有量は、本発明の化粧料組成物中の全ての成分(E)の含有量の合計である。
【0064】
本発明の化粧料組成物が成分(E1)及び成分(E2)からなる群より選ばれるシリコーン油を含む場合に、本発明の化粧料組成物100質量%中、成分(E1)と成分(E2)との合計の含有量は、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、好ましくは10.0質量%以下、より好ましくは5.0質量%以下である。
【0065】
本発明の化粧料組成物が成分(E1)を含む場合に、本発明の化粧料組成物100質量%中、成分(E1)の含有量は、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、好ましくは10.0質量%以下、より好ましくは5.0質量%以下である。上記成分(E1)の含有量は、本発明の化粧料組成物中の全ての成分(E1)の含有量の合計である。
【0066】
本発明の化粧料組成物が成分(E2)を含む場合に、本発明の化粧料組成物100質量%中、成分(E2)の含有量は、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、好ましくは10.0質量%以下、より好ましくは5.0質量%以下である。上記成分(E2)の含有量は、本発明の化粧料組成物中の全ての成分(E2)の含有量の合計である。
【0067】
(成分(F))
本発明の化粧料組成物は、ポリプロピレングリコールアルキルエーテル(ポリオキシプロピレンアルキルエーテル)を含んでいてもよい。本明細書においては、上記「ポリプロピレングリコールアルキルエーテル」を「成分(F)」と記載することがある。成分(F)が成分(A)や成分(E)と併用されることにより、成分(A)や成分(F)が発揮する上記の効果がより一層効果的に発揮される。成分(F)は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0068】
成分(F)としては、PPG-3カプリリルエーテル、及びPPG-5カプリリルエーテル等が挙げられる。中でも、PPG-3カプリリルエーテルが好ましい。
【0069】
本発明の化粧料組成物が成分(F)を含む場合に、本発明の化粧料組成物100質量%中、成分(F)の含有量は、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、好ましくは5.0質量%以下、より好ましくは3.0質量%以下である。上記成分(F)の含有量は、本発明の化粧料組成物中の全ての成分(F)の含有量の合計である。
【0070】
(成分(G))
本発明の化粧料組成物は、植物油を含んでいてもよい。本明細書においては、上記「植物油」を「成分(G)」と記載することがある。成分(G)により、毛髪をまとめる効果がより一層向上する。
【0071】
上記成分(G)としては、例えば、マカデミアナッツ油、ユーカリ油、ヤシ油、アボカド油、サフラワー油、オリーブ油、パーム油、パーム核油、ククイナッツ油、シア脂(シアバター)、カカオバター、アーモンド油、ヒマワリ油、ローズヒップ油、オリーブスクワラン、カメリアオイル、キウイフルーツシード油、ツバキ油、杏仁油、ゴマ油、大豆油、ホホバ油、ヒマシ油、ヘーゼルナッツ油、メドウフォーム油、ハッカ油、アルガンオイル、カロットオイル、ラベンダー油、シュガースクワラン、及びクランベアビシニカ種子油等が挙げられる。
【0072】
本発明の化粧料組成物が成分(G)を含む場合に、本発明の化粧料組成物100質量%中、成分(G)の含有量は、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、好ましくは10.0質量%以下、より好ましくは5.0質量%以下である。上記成分(G)の含有量は、本発明の化粧料組成物中の全ての成分(G)の含有量の合計である。
【0073】
(他の成分)
本発明の化粧料組成物は、上述した成分(A)~(G)以外の他の成分を含んでいてもよい。上記他の成分としては、エタノール等の低級アルコール;多価アルコール;高級アルコール;成分(A)以外のエステル油;炭化水素油;保湿剤;殺菌剤;パール化剤;グリチルリチン酸及びその塩等の抗炎症剤;メントール等の清涼剤;リン酸及びその塩類、クエン酸及びその塩類、乳酸及びその塩類、水酸化ナトリウム、トリエタノールアミン等のpH調整剤;香料;紫外線吸収剤;酸化防止剤;金属イオン封鎖剤(キレート剤);ポリビニルピロリドン等の皮膜形成性高分子化合物;カオリン、シリカ、タルク等の粉体;色素;顔料;ビタミン類;アミノ酸類;収斂剤;美白剤;動植物抽出物;酸;アルカリ等が挙げられる。
【0074】
上記成分(A)以外のエステル油としては、オクタン酸セチル、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ミリスチル、パルミチン酸セチル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、ミリスチン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸プロピレングリコール、2-エチルヘキサン酸セチル、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、イソノナン酸イソノニル、アジピン酸ジイソプロピル、テトラオクタン酸ペンタエリスリチル、テトライソステアリン酸ペンタエリトリット、リンゴ酸ジイソステアリル、トリエチルヘキサン酸エリスリチル、ヒドロキシステアリン酸2-エチルヘキシル、ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル、テトラ(ヒドロキシステアリン酸/イソステアリン酸)ジペンタエリスリチル、ヘキサヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル、(エチルヘキサン酸/ステアリン酸/アジピン酸)グリセリル、トリ(カプリル酸/カプリン酸/ミリスチン酸/ステアリン酸)グリセリル、ヘキサ(ベヘン酸/安息香酸/エチルヘキサン酸)ジペンタエリスリチル、及び安息香酸アルキル(C12-15)等が挙げられる。
【0075】
本発明の化粧料組成物が上記成分(A)以外のエステル油を含む場合に、本発明の化粧料組成物100質量%中、全てのエステル油の含有量は、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1.0質量%以上、好ましくは20.0質量%以下、より好ましくは10.0質量%以下である。上記全てのエステル油の含有量は、本発明の化粧料組成物中の成分(A)の含有量と成分(A)以外のエステル油の含有量との合計である。
【0076】
上記炭化水素油としては、α-オレフィンオリゴマー、軽質イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、スクワラン、合成スクワラン、植物性スクワラン、流動イソパラフィン、及び流動パラフィン等が挙げられる。
【0077】
本発明の化粧料組成物が上記炭化水素油を含む場合に、本発明の化粧料組成物100質量%中、上記炭化水素油の含有量は、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1.0質量%以上、好ましくは10.0質量%以下、より好ましくは7.0質量%以下である。上記炭化水素油の含有量は、本発明の化粧料組成物中の全ての炭化水素油の含有量の合計である。
【0078】
上記高級アルコールとしては、炭素数12~24の脂肪族アルコールが好ましく、例えば、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、セテアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ヘキシルデカノール、2-オクチルドデカノール、オレイルアルコール、デシルテトラデカノール、及びベヘニルアルコール等が挙げられる。
【0079】
本発明の化粧料組成物が上記高級アルコールを含む場合に、本発明の化粧料組成物100質量%中、上記高級アルコールの含有量は、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは3.0質量%以上、さらに好ましくは5.0質量%以上、特に好ましくは6.5質量%以上、好ましくは20.0質量%以下、より好ましくは15.0質量%以下、さらに好ましくは13.0質量%以下である。上記高級アルコールの含有量は、本発明の化粧料組成物中の全ての高級アルコールの含有量の合計である。
【0080】
(本発明の化粧料組成物の他の詳細)
本発明の化粧料組成物は、油性成分が水溶媒に可溶化した可溶化組成物であってもよく、乳化組成物であってもよい。本発明の化粧料組成物は、乳化化粧料組成物であることが好ましく、水中油(O/W)型の乳化化粧料組成物であることがより好ましい。
【0081】
本発明の化粧料組成物は、毛髪化粧料組成物であってもよく、皮膚化粧料組成物であってもよい。上記毛髪化粧料組成物としては、ヘアトリートメント(ヘアリンス、ヘアコンディショナーを含む)、整髪剤、ヘアシャンプー等が挙げられる。上記皮膚化粧料組成物としては、ボディシャンプー、洗顔料及びメイク落とし等の皮膚洗浄剤組成物;ボディクリーム、フェイスクリーム及び乳液等の保湿化粧料;メイク下地、メイクアップ化粧料等が挙げられる。
【0082】
毛髪に塗布することによって本発明の効果がより一層効果的に発揮されることから、本発明の化粧料組成物は、毛髪化粧料組成物であることが好ましく、乳化毛髪化粧料組成物であることがより好ましい。
【0083】
本発明の化粧料組成物は、洗い流して用いられる場合にも、毛髪を柔らかくまとめる効果、毛髪又は肌などの塗布された部分に保湿感を付与する効果が十分に発揮されることから、塗布対象に塗布された後、洗い流して用いられる化粧料組成物であることが好ましい。本発明の化粧料組成物は、毛髪に塗布された後、洗い流して用いられる毛髪化粧料組成物であることがより好ましい。本発明の化粧料組成物は、ヘアトリートメントであることが好ましい。
【0084】
本発明の化粧料組成物の製造方法として、公知の化粧料組成物の製造方法を採用することができる。本発明の化粧料組成物の製造方法としては、各成分をパドルミキサー等で撹拌する方法等が挙げられる。
【0085】
本発明の化粧料組成物は、界面活性剤(成分(C))と水(成分(D))とを含む水系の組成物において、ダイマー酸エステル及び/又はダイマージオールエステル(成分(A))を含む。成分(A)は毛髪に付着することで、高い抱水性によるものと考えられるが、毛髪をまとめる効果や毛髪に柔軟感を付与する効果を発揮する。成分(A)を用いることにより、特に、毛髪にしっとりとしたまとまりを付与し、毛髪全体をまとまりやすくするだけでなく、毛先のまとまりも良好にできる。また、成分(A)が毛髪や肌に付着することで、毛髪や肌が潤っていると感じられる感触(保湿感)を付与することができる。
【0086】
しかしながら、成分(A)を含む化粧料組成物を、毛髪又は肌などの塗布対象に塗布した後に洗い流して用いる場合、すなわち、リンスオフタイプの化粧料組成物として用いる場合には、成分(A)による上記の効果が著しく低下してしまうという問題があった。これは、油性成分である成分(A)が成分(C)とともに洗い流されてしまい、塗布した部分に成分(A)が残存しないためと考えられる。
【0087】
このような課題に対して、本発明においては、成分(A)と成分(C)と成分(D)とに加えて、比較的長鎖のアルキル基を有するカチオン化セルロース(成分(B))を配合することにより、成分(A)を含む化粧料組成物を洗い流して用いる場合であっても、洗い流した後に成分(A)の効果の低下が格段に抑制され、成分(A)の効果が十分に発揮されることを見出した。これは、洗い流し時に、成分(B)が毛髪や肌に4級アンモニウム基部分を介して付着し、さらに成分(B)の長鎖アルキル基部分を介して成分(A)がつなぎとめられるためであると推定される。
【0088】
これにより、本発明の化粧料組成物は、リーブオンタイプの化粧料組成物として用いる場合であっても、リンスオフタイプの化粧料組成物として用いる場合であっても、毛髪のまとまりや柔軟感を良好にする効果や、毛髪又は肌などの塗布された部分に保湿感を与える効果に優れる。そのため、本発明の化粧料組成物は、特にリンスオフタイプの化粧料組成物として優れた効果を発揮する。
【実施例】
【0089】
以下、本発明について、実施例及び比較例を挙げて具体的に説明する。本発明は、以下の実施例のみに限定されない。
【0090】
実施例及び比較例で用いた主な成分は下記のとおりである。
【0091】
(成分(A))
ダイマージリノール酸ダイマージリノレイル(1):商品名「LUSPLAN SR-DM4」、日本精化社製
ダイマージリノール酸ダイマージリノレイル(2):商品名「LUSPLAN DD-DA5」、日本精化社製
ダイマージリノール酸ダイマージリノレイル(3):商品名「LUSPLAN DD-DA7」、日本精化社製
ダイマージリノール酸ダイマージリノレイル(4):商品名「LUSPLAN SR-DC5」、日本精化社製
【0092】
(成分(B))
ポリクオタニウム-67:商品名「SoftCAT Polymer SL-30」、ダウ・ケミカル社製
【0093】
(成分(B)に相当しない成分)
ヒドロキシエチルセルロース:商品名「HECダイセル SE850」、ダイセル社製
ポリクオタニウム-10:商品名「カチナール HC-200」、東邦化学工業社製
【0094】
(成分(C))
ベヘントリモニウムクロリド:商品名「GENAMIN KDMP」、クラリアント社製、ベヘニン酸塩化ジメチルトリメチルアンモニウム
ステアルトリモニウムクロリド:商品名「コータミン86W」、花王社製、ステアリン酸塩化ジメチルトリメチルアンモニウム
パルミタミドプロピルトリモニウムクロリド:商品名「VARISOFT PATC」、エボニックジャパン社製
ジステアリン酸ポリグリセリル-10(1):商品名「サンソフトQ182S-C」、太陽化学社製、HLB値:11
ジステアリン酸ポリグリセリル-10(2):商品名「サンソフトQ182Y-C」、太陽化学社製、HLB値:11.1
トリオレイン酸ポリグリセリル-5:商品名「サンソフトA-173E-C」、太陽化学社製、HLB値:7.1
ジオレイン酸ポリグリセリル-10:商品名「サンソフトQ172Y-C」、太陽化学社製、HLB値:12.3
トリラウリン酸ポリグリセリル-10:商品名「サンソフトQ123Y-C」、太陽化学社製、HLB値:8.3
ペンタステアリン酸ポリグリセリル-10:商品名「サンソフトQ185-S-C」、太陽化学社製、HLB値:7
【0095】
(成分(D))
精製水
【0096】
(成分(E))
高重合ジメチルポリシロキサン(10万mPa・s):商品名「DOWSIL BY11-026」、ダウ・東レ社製、25℃における粘度:約10万mPa・s
高重合ジメチルポリシロキサン(100万mPa・s):商品名「TSF451-100MA」、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製、25℃における粘度:約100万mPa・s
アミノ変性シリコーン:商品名「BELSIL ADM 1650」、旭化成ワッカー社製
ジメチルポリシロキサン:商品名「DOW CORNING TORAY SH 200 C FLUID 20 CS」、ダウ・東レ社製、25℃における粘度:20mPa・s
【0097】
(成分(F))
PPG-3カプリリルエーテル
【0098】
(成分(G))
アルガンオイル
クランベアビシニカ種子油
ホホバ油
【0099】
(実施例1~30及び比較例1~12)
下記の表1~7に示す配合成分を配合(配合単位は質量%)し、化粧料組成物(毛髪化粧料組成物)を調製した。表中の配合量(毛髪化粧料組成物100質量%中の配合量)は、純分量(単位:質量%)で示した。なお、各化粧料組成物中のクエン酸の含有量は0.5質量%以下であって、化粧料組成物のpHを4~5の範囲に調整する量である。
【0100】
(評価)
得られた毛髪化粧料組成物について、以下の評価を行った。評価結果は表中に示した。評価は5名の専門評価員が行った。
【0101】
(試験例1:洗い流し時の指どおり)
毛束(人毛、長さ30cm、重さ10g)を約40℃のぬるま湯に浸漬した。浸漬後の毛束を軽く絞って水分をある程度除去した後、得られた毛髪化粧料組成物2gを手に取り、毛束全体に均一に塗布した。
【0102】
上記毛束を、毛束の根本から毛先方向に指をとおしながら、流水(約40℃のぬるま湯)で約1分間すすぎ、その際の指どおりを、下記の基準で評価した。
【0103】
<洗い流し時の指どおりの評価基準>
○(良好):指を通すときにほとんど抵抗感が感じられない。
△(やや良好):指が引っかかる感触は感じられないが、抵抗感が感じられる。
×(不良):指が引っかかる感触が感じられる。
【0104】
(試験例2:乾燥後の毛髪のまとまり感)
試験例1で評価した後の毛束をドライヤーで乾燥し、乾燥直後の毛束を目視観察し、下記の基準で評価した。
【0105】
<乾燥後の毛髪のまとまり感の評価基準>
○(良好):毛束の毛先が広がっておらず、かつ、毛束全体としても広がっていない。
×(不良):毛束の毛先が広がっている。
【0106】
(試験例3:乾燥後の毛髪の柔軟感)
試験例2で評価した後の毛束の中央部を長手方向に折るように軽く握り、その際の、毛束の柔軟感を下記の基準で評価した。
【0107】
<乾燥後の毛髪の柔軟感の評価基準>
○(良好):毛髪にごわつきが感じられず、しなやかである。
×(不良):毛髪にごわつきが感じられる。
【0108】
(試験例4:乾燥後の毛髪のさらさら感)
試験例3で評価した後の毛束の根本から毛先方向に指を通して感触を確認して、下記の基準で評価した。
【0109】
<乾燥後の毛髪のさらさら感の評価基準>
○(良好):指が引っ掛かるような感触がなく、指どおりが良好である。
×(不良):指が引っ掛かるような感触があり、指どおりが不良である。
【0110】
組成及び結果を下記の表1~7に示す。
【0111】
【0112】
【0113】
【0114】
【0115】
【0116】
【0117】
【0118】
実施例1~30で得られた化粧料組成物で処理した毛束では、毛髪のまとまり感(試験例2)と毛髪の柔軟感(試験例3)との双方の評価結果が良好であり、毛髪が柔らかくまとまっていた。一方、比較例1~12で得られた化粧料組成物で処理した毛束では、毛髪のまとまり感がなかったり、ごわつきが感じられたりして、毛髪が柔らかくまとまっているとは言えなかった。
【0119】
また、試験例4で評価した後の毛束を手で触ったところ、実施例1~30で得られた化粧料組成物で処理した毛束は、全て、しっとりとしていると感じられ、保湿感が良好であった。
【0120】
さらに、実施例22~24で得られた化粧料組成物約5gを手に取り、腕全体に均一に塗布したところ、塗布後の肌の保湿感が良好であった。