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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-28
(45)【発行日】2025-04-07
(54)【発明の名称】二次電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/28 20060101AFI20250331BHJP
   H01M 4/24 20060101ALI20250331BHJP
   H01M 12/08 20060101ALI20250331BHJP
【FI】
H01M10/28 Z
H01M4/24 H
H01M12/08 K
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020138557
(22)【出願日】2020-08-19
(65)【公開番号】P2021114458
(43)【公開日】2021-08-05
【審査請求日】2023-05-30
(31)【優先権主張番号】P 2019169734
(32)【優先日】2019-09-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2020008838
(32)【優先日】2020-01-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成28年度、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「革新型蓄電池実用化促進基盤技術開発」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005810
【氏名又は名称】マクセル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078064
【弁理士】
【氏名又は名称】三輪 鐵雄
(74)【代理人】
【識別番号】100115901
【弁理士】
【氏名又は名称】三輪 英樹
(72)【発明者】
【氏名】岸見 光浩
【審査官】松嶋 秀忠
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/209100(WO,A1)
【文献】特表2016-519388(JP,A)
【文献】特開昭48-036640(JP,A)
【文献】特開2015-170400(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/24-34
H01M 12/06-08
H01M 4/24-62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化亜鉛を含む負極、正極およびアルカリ電解液を有する二次電池であって、
酸化亜鉛または水酸化亜鉛を含有する層状の亜鉛酸イオン供給体を、前記負極と前記正極との間に備え、
前記亜鉛酸イオン供給体が、前記負極および前記正極のいずれとも導電接続されていないことを特徴とする二次電池。
【請求項2】
前記亜鉛酸イオン供給体と前記正極との間に、セパレータを有する請求項に記載の二次電池。
【請求項3】
前記亜鉛酸イオン供給体と前記負極との間に、目付けが50g/m以上である不織布または絶縁性粒子を含有する多孔質層を有する請求項またはに記載の二次電池。
【請求項4】
前記亜鉛酸イオン供給体中の酸化亜鉛および水酸化亜鉛の単位面積当たりの含有総量が、前記負極中の酸化亜鉛の単位面積当たりの含有量の10~300質量%である請求項1~のいずれかに記載の二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸化亜鉛を含有する負極を有し、充放電サイクル特性に優れた二次電池に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、高容量・高エネルギー密度の二次電池を構成するにあたり、金属や合金、金属間化合物を用いた負極を適用することが検討されている。しかしながら、このような負極を用いた二次電池においては、負極におけるデンドライトの発生やシェイプチェンジ(材料の凝集)、ガス発生、不働態化などの問題があり、それに起因する充放電サイクル寿命の課題がある。
【0003】
前記のような負極のうち、亜鉛、または亜鉛合金、酸化亜鉛などの亜鉛化合物を用いた亜鉛極は、アルカリ性の水溶液からなる電解液を使用したアルカリ一次電池として広く一般に使用されているが、このようなアルカリ電池を二次電池として利用することも検討されている。
【0004】
亜鉛極を有するアルカリ二次電池においても、デンドライトの発生などの、前記と同様の問題による充放電サイクル特性の低下が課題となっている。そこで、セパレータの材料および構造などの改良(特許文献1)や、特定の金属を含有させたセパレータの使用(特許文献2)、導電層を有するセパレータの使用(特許文献3)、添加剤の使用(特許文献4および5)、亜鉛極と正極とを含む電極積層体の構造の改良(特許文献6)などによって、デンドライトの発生を抑制する試みがなされている。
【0005】
また、特許文献7には、負極の電位よりも貴な電位となる粒子状活物質をセパレータの面に沿って配置することで、電極面内における電流密度の均一化を図って、二次電池の充放電の繰り返しによるデンドライトの発生を抑える技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】米国特許第3539396号明細書
【文献】特開2006-74541号公報
【文献】特開2016-146263号公報
【文献】特開2009-93983号公報
【文献】特表2008-537302号公報
【文献】国際公開第2017/110285号
【文献】特開2014-222570号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記のうち、亜鉛極への添加剤としてカルシウム亜鉛酸塩を用いる特許文献5に開示の技術では、前記化合物から電解液にカルシウムイオンが供給されることにより、デンドライトの発生が抑制される。しかし、絶縁性の材料を亜鉛極に含有させることにより、亜鉛極の電導性が損なわれ、充放電サイクル特性を十分に改善させるには至らない。
【0008】
負極の活物質として作用する材料によってデンドライトの発生を抑制する特許文献7に開示の技術では、一定の効果を奏し得るものの、この材料が負極よりも貴な電位であることから、水素ガスを発生させてしまい、電池特性の低下を引き起こす虞がある。また、特許文献1に記載のセパレータにおいても、その一部である非酸化性膜の構成材料として挙げられているニッケル、鉄などの低水素過電圧材料も、水素を発生させ、電池特性を損なう虞がある。
【0009】
このようなことから、亜鉛極を有する二次電池においては、充放電の繰り返しに伴うデンドライトの発生と共に、水素の発生も抑制することが求められる。
【0010】
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、酸化亜鉛を含有する負極を有し、充放電サイクル特性に優れた二次電池を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の二次電池は、酸化亜鉛を含む負極、正極およびアルカリ電解液を有してなり、酸化亜鉛または水酸化亜鉛を含有する亜鉛酸イオン供給体を備え、前記亜鉛酸イオン供給体が、前記負極および前記正極のいずれとも導電接続されていないことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、酸化亜鉛を含有する負極を有し、充放電サイクル特性に優れた二次電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施例1で作製した負極、絶縁層および亜鉛酸イオン供給体を積層した積層体を模式的に表す一部断面図である。
図2】実施例6の二次電池における負極と亜鉛酸イオン供給体との配置を説明するための図面である。
図3】実施例7の二次電池における負極と亜鉛酸イオン供給体との配置を説明するための図面である。
図4】実施例1~3および比較例1~2の二次電池の40℃における充放電サイクル特性の評価結果を表すグラフである。
図5】実施例1の二次電池の充放電60サイクル後に実施したX線CT測定で得られた断面像である。
図6】比較例1の二次電池の充放電60サイクル後に実施したX線CT測定で得られた断面像である。
図7】実施例5~6および比較例1の二次電池の40℃における充放電サイクル特性の評価結果を表すグラフである。
図8】実施例7および比較例1の二次電池の40℃における充放電サイクル特性の評価結果を表すグラフである。
図9】実施例1および比較例3の二次電池の25℃における充放電サイクル特性の評価結果を表すグラフである。
図10】実施例4および比較例1の二次電池の40℃における充放電サイクル特性の評価結果を表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の二次電池は、酸化亜鉛または水酸化亜鉛を含有する亜鉛酸イオン供給体を備えている。これにより、本発明の二次電池においては、負極活物質のシェイプチェンジや不働態化などの問題の発生を抑制することができるため、充放電を繰り返したときの急激な容量低下を抑えることが可能となる。
【0015】
また、前記亜鉛酸イオン供給体は、負極および正極のいずれとも導電接続されていないため、充放電時に酸化や還元を受け難く、水素発生などの問題が生じない。
【0016】
本発明において、前記の効果が確保できる理由は定かではないが、以下の機構によるものではないかと推測している。
【0017】
負極の活物質となる酸化亜鉛(亜鉛)は、充放電サイクルにおいて、負極から電解液に溶出して亜鉛酸イオンを生成する反応と、負極で析出して亜鉛を生成する反応を繰り返す。従来の二次電池では、生成した亜鉛酸イオンが移動することにより、負極における亜鉛の析出が不均一に生じるため、負極内の亜鉛分布の均一性が崩れ、負極の形態変化(シェイプチェンジ)が容易に生じていた。また、前記形態変化により、孤立したり肥大化したりすることによって放電に寄与しなくなる亜鉛も生じ、負極の一部が不働態化して内部抵抗が上昇するため、容量が低下して電池のサイクル寿命を低下させる一因となっていた。
【0018】
一方、本発明の二次電池では、亜鉛酸イオン供給体から、アルカリ電解液中に継続的に亜鉛酸イオン([Zn(OH)2-)を供給することができる。このため、負極における亜鉛の析出が均一化され、負極の形態変化が抑制され、負極の不働態化や内部抵抗の上昇を防ぐことができ、充放電サイクル特性を向上させることができる。
【0019】
さらに、電池の充放電の繰り返しに伴って負極で亜鉛の粒子が大きく成長し、放電できない亜鉛のデンドライトが正極に向けて成長したとしても、負極(負極合剤層)と正極(正極合剤層)との間に、前記亜鉛酸イオン供給体が備えられている場合には、前記デンドライトは、亜鉛酸イオン供給体に到達した瞬間に酸化亜鉛または水酸化亜鉛の電位に曝される。そのため、デンドライト先端の微小な金属部分は、瞬時に亜鉛酸イオンとなって電解液中に溶解する。仮に、電池の充電によって亜鉛酸イオン供給体内で金属析出が生じたとしても、周囲に大量の酸化亜鉛が存在するため、その電気量は酸化亜鉛の充電に使用されることとなって拡散し、デンドライトの成長が妨げられる。このように、本発明では、負極と正極との間に亜鉛酸イオン供給体を配置することにより、前記の亜鉛酸イオンの供給による作用に加え、充放電時において、デンドライトの成長抑制および発生したデンドライトの拡散といった水素発生を伴わないメカニズムでデンドライトによる短絡を防止する作用が働くため、二次電池の充放電サイクル特性がより一層向上するものと推測される。
【0020】
本発明の二次電池に係る負極には、例えば酸化亜鉛を含有する負極合剤層を、集電体上に形成した構造のものが使用できる。
【0021】
負極において活物質となる酸化亜鉛は、その数平均粒子径が、0.01μm以上であることが好ましく、0.05μm以上であることがより好ましく、10μm以下であることが好ましく、1μm以下であることがより好ましい。
【0022】
酸化亜鉛の数平均粒子径は、例えば、レーザー散乱粒度分布計(例えば、HORIBA社製「LA-950V2」)を用い、酸化亜鉛を溶解しない媒体に、酸化亜鉛を分散させて測定することができる(後述する実施例に記載の値は、この方法で測定したものである)。
【0023】
負極合剤層中の酸化亜鉛の含有量は、85~99質量%であることが好ましい。
【0024】
負極合剤層には、通常、バインダを含有させる。負極合剤層のバインダとしては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などのフッ素樹脂;スチレンブタジエンゴム(SBR);などが挙げられ、フッ素樹脂が好ましく、PTFEがより好ましい。
【0025】
負極合剤層中のバインダの含有量は、0.1~2質量%であることが好ましい。特にバインダとしてフッ素樹脂を使用した場合、その含有量が多すぎると、負極合剤層や負極合剤層を形成するための組成物(後記の負極合剤組成物)の撥水性が強くなり、生産性の低下や電池反応の不均一化が起こる虞がある。
【0026】
負極合剤層には、導電助剤を含有させることができる。導電助剤としては、アセチレンブラック;ケッチェンブラック;チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカーボンブラック類;炭素繊維;黒鉛;などの炭素材料、スズ、ビスマス、銀、銅などの金属の粉体や繊維状物などが挙げられる。
【0027】
負極合剤層中の導電助剤の含有量は、0.01~5質量%であることが好ましい。
【0028】
負極合剤層は、例えば、酸化亜鉛、並びに必要に応じて添加されるバインダおよび導電助剤などを、溶媒に分散させて負極合剤組成物(ペーストなど)を調製し、これをロール圧延するなどしてシート状(負極合剤シート)に成形することで形成できる。これにより、例えば厚みが1mm以上の負極合剤層を容易に形成することができる。厚い負極合剤層を有する負極を使用することで、より高容量・高エネルギー密度の二次電池を得ることが可能となる。
【0029】
前記の負極合剤層(負極合剤シート)を用いて負極を得るに当たっては、負極合剤層を、例えば負極集電体と貼り合わせればよい。
【0030】
また、前記よりも薄い負極合剤層を有する負極の場合には、例えば、より固形分濃度が小さい負極合剤組成物(スラリーなど)を調製し、これを集電体上に塗布し、乾燥した後、必要に応じてプレス処理する工程を経て製造することができる。
【0031】
負極合剤組成物の溶媒には、通常、水が使用されるが、酸化亜鉛を均一に分散させたり、バインダを均一に溶解または分散させたり、界面張力を制御したりするなどの目的で、アルコール類(メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、エチレングリコールなど)などの、水以外の溶媒を適宜加えることもできる。また、負極合剤組成物の溶媒として、電池の電解液として使用される電解質塩を含む水溶液を使用してもよい。
【0032】
負極合剤組成物の固形分濃度(溶媒以外の全成分の合計含有量)は、75~95質量%であることが好ましい。
【0033】
なお、特に厚い負極合剤層を形成する場合、負極合剤組成物には水溶性高分子材料を添加して、増粘させておくことが好ましい。
【0034】
負極合剤組成物に使用可能な水溶性高分子材料としては、CMC(カルボキシメチルセルロース);PVA(ポリビニルアルコール);PVP(ポリビニルピロリドン);PAA(ポリアクリル酸);ポリカルボン酸アンモニウム塩;レシチン;サポニンなどの配糖体やキサンタンガムなどの多糖類などで例示される糖類;PEO(ポリエチレンオキシド)、スクロースポリエーテルポリオール、ポリオキシプロピレンソルビトールエーテル、トリメチロールプロパンポリエーテルポリオール、ペンタエリスリトールポリエーテルポリオールなどのポリエーテルポリオール;などが挙げられる。負極合剤組成物は、水溶性高分子材料を2種以上含有していてもよい。
【0035】
前記水溶性高分子材料の中でも、カルボキシメチルセルロースおよびポリエーテルポリオールのうちの少なくとも一方を使用することが好ましく、カルボキシメチルセルロースおよびポリエーテルポリオールの両方を使用することがより好ましい。
【0036】
負極合剤組成物における水溶性高分子材料の含有量は、負極合剤組成物を良好に増粘させて、厚い負極合剤層をより容易に形成できるようにする観点から、溶媒を除く全成分(以下、「固形分」という)中の量で、0.02質量%以上であることが好ましく、0.05質量%以上であることがより好ましい。ただし、水溶性高分子材料は、形成後の負極合剤層内において抵抗成分として作用するため、負極合剤組成物中の水溶性高分子材料の量が多すぎると、二次電池の特性(容量など)を損なう虞がある。よって、負極合剤組成物における水溶性高分子材料の含有量は、固形分中の量で、0.2質量%以下であることが好ましく、0.15質量%以下であることがより好ましい。
【0037】
負極合剤組成物の調製方法については、特に制限はなく、酸化亜鉛、バインダおよび導電助剤を合剤組成物中に均一に分散でき、また、水溶性高分子材料を使用する場合には、水溶性高分子材料を合剤組成物中に均一に溶解させ得る方法を採用すればよい。
【0038】
負極合剤層の厚みは、0.1mm以上とすることができるが、二次電池のエネルギー密度を高める観点から、1mm以上であることが好ましく、1.5mm以上であることがより好ましい。また、負極合剤層の厚みの上限値は、例えば10mmであることが好ましい。
【0039】
負極の集電体としては、ニッケル、銅、ステンレス鋼などの金属の網、箔、エキスパンドメタル、パンチングメタル、発泡金属;カーボンのシート、網;などが挙げられ、錫や鉛、インジウムなどの水素過電圧の高い材料で、めっきなどの被覆がされていることが好ましい。負極の集電体の厚みは、5~300μmであることが好ましい。
【0040】
また、本発明の二次電池においては、後述するように、シート状外装体を適用することができるが、このシート状外装体の内面となることが予定されている面(負極合剤層となるシートと接する面)にカーボンペーストを塗布して負極の集電体としたり、シート状外装体を構成する金属層(後述する)を負極の集電体としたりすることもできる。
【0041】
負極には、常法に従って、二次電池を適用する機器と電気的に接続するための外部端子を設けることができる。
【0042】
負極は、負極合剤層の面積当たりの容量が、150mAh/cm以上であることが好ましく、300mAh/cm以上であることがより好ましい。このような容量の負極を用いることで、高エネルギー密度の二次電池を得ることができる。
【0043】
負極合剤層の厚みが例えば1mm以上と厚い負極や、負極合剤層の面積当たりの容量が前記のように大きい負極を用いた二次電池の場合は、負極合剤層が薄い負極や、負極合剤層の面積当たりの容量が小さい負極を用いた二次電池に比べて、同じ放電レートとしても面積当たりの電流値が大きくなるためか、デンドライトがより生じやすいが、本発明の二次電池においては、亜鉛酸イオン供給体を負極(負極合剤層)と正極(正極合剤層)の間に配置した場合には、亜鉛酸イオン供給体の作用によって、デンドライトによる問題の発生を良好に抑制できる。よって、本発明の二次電池においては、負極合剤層の厚みが例えば1mm以上と厚い負極や、負極合剤層の面積当たりの容量が前記のように大きい負極を用いて高容量化を図った場合に、亜鉛酸イオン供給体を負極と正極の間に配置することにより、その効果が特に顕著に奏される。
【0044】
負極合剤層の面積当たりの容量は、負極合剤層の厚みおよび充填密度の調整(それに伴う負極合剤層の単位面積当たりの負極活物質の量の調整)によって、前記の値に制御することができる。負極活物質については、その種類毎に固有の容量を有することが知られており、その値も公表されているため、負極合剤層の単位面積当たりの容量の算出に際しては、この値を使用する。
【0045】
なお、負極合剤層の充填密度は、1.8~2.8g/cmがよく、2.1~2.4g/cmが好ましい。充填密度を大きくしすぎると、負極合剤層の空隙率が低くなりすぎて、負極合剤層中に電解質が浸透し難くなり、却って電池の特性が低下する虞がある。
【0046】
亜鉛酸イオン供給体は、酸化亜鉛または水酸化亜鉛を含有していれば、その構成について特に限定はされず、例えば、負極の負極合剤層と同じ構成(成分組成および充電密度)とすることができる。ただし、亜鉛酸イオン供給体には導電助剤を含有させないことが好ましい。
【0047】
また、亜鉛酸イオン供給体の形状についても、アルカリ電解液中に継続的に亜鉛酸イオンを供給することができれば、特に限定はされないが、負極と正極の間に配置する場合には層状(板状)に形成することが好ましい。
【0048】
層状(板状)に形成する場合の亜鉛酸イオン供給体の厚みは、デンドライトに起因する短絡の発生をより良好に抑えて、二次電池の充放電サイクル特性をより高める観点から、0.1mm以上であることが好ましく、0.25mm以上であることがより好ましい。ただし、亜鉛酸イオン供給体を厚くしても、効果が飽和するばかりか、厚すぎると電池特性(容量など)が低下してしまう虞があることから、2.4mm以下であることが好ましく、1.2mm以下であることがより好ましい。
【0049】
亜鉛酸イオン供給体を負極と正極の間に配置する場合に、デンドライトに起因する問題の抑制効果をより良好に確保する観点からは、亜鉛酸イオン供給体の平面視での面積が、負極合剤層の平面視での面積と同じが、それより大きいことが好ましく、負極合剤層の平面視での面積よりも大きいことがより好ましい。
【0050】
また、デンドライトに起因する問題の抑制効果をより良好に確保する観点から、亜鉛酸イオン供給体における酸化亜鉛および水酸化亜鉛の単位面積当たりの含有総量が、負極における酸化亜鉛の単位面積当たりの含有量の、10質量%以上であることが好ましく、25質量%以上であることがより好ましい。また、電池の充放電反応に関与しない亜鉛酸イオン供給体の電池内での体積比を抑えて、電池の容量低下を可及的に抑制する観点から、亜鉛酸イオン供給体における酸化亜鉛および水酸化亜鉛の単位面積当たりの含有総量は、負極における酸化亜鉛の単位面積当たりの含有量の、300質量%以下であることが好ましく、250質量%以下であることがより好ましい。
【0051】
なお、充電により負極の酸化亜鉛は金属の亜鉛に変化するが、負極における酸化亜鉛の単位面積当たりの含有量は、金属状態の亜鉛を酸化亜鉛に換算して求めればよい。
【0052】
亜鉛酸イオン供給体を正極および負極と導電接続させないためには、亜鉛酸イオン供給体と負極との間には、絶縁層を介在させて、両者を接触させないようにすることが好ましい。
【0053】
亜鉛酸イオン供給体と負極との間に介在させる絶縁層は、負極合剤層における電気化学反応に必要な電解液の輸送と、亜鉛酸イオン供給体との絶縁とを保ち得るものであればよく、例えば、一般的な絶縁体、すなわち1,000,000Ωm以上の高い抵抗を有し、かつ電池内で安定な材質で構成されており、電解液を浸透可能な空隙を有する形態(多孔質層)であればよい。絶縁層としては、より具体的には、亜鉛酸イオン供給体との絶縁が可能な、樹脂からなる不織布や微多孔膜;無機物からなる織布やフィルターのようなシート状のもの;樹脂や無機物の粒子、繊維、その複合体などの絶縁性粒子を含有する多孔質層;などが挙げられる。中でも、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などのポリオレフィンなどで構成された不織布;酸化物(酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化ケイ素など)や窒化物(窒化チタン、窒化ケイ素など)などの無機物の粒子を含有する多孔質層;であることがより好ましい。
【0054】
絶縁性粒子を含有する多孔質層は、例えば、絶縁性粒子と、バインダ、増粘剤、分散剤など必要に応じて添加される成分とを溶媒に分散させて合剤組成物を構成し、前記組成物をロール圧延などによりシート状に成形して作製することができる。
【0055】
また、前記合剤組成物の固形分濃度を調整して塗布用の組成物を構成し、これを不織布などの絶縁性基材に塗布し、塗膜を前記基材に保持させることにより、多孔質層の形状維持性を向上させることもできる。
【0056】
さらに、塗布用の組成物を負極上に塗布することにより、負極の表面に多孔質層を形成してもよい。
【0057】
絶縁層として不織布を用いる場合は、負極と亜鉛酸イオン供給体とを良好に隔離して、これらの間での導電接続をより良好に防止する観点から、その目付けが、40g/m以上であることが好ましく、50g/m以上であることがより好ましい。ただし、絶縁層は、二次電池内において抵抗層として作用することから、目付けが大きすぎると、二次電池の電池特性を損なう虞がある。よって、二次電池の電池特性をより良好にする観点から、絶縁層となる不織布の目付けは、500g/m以下であることが好ましく、300g/m以下であることがより好ましい。
【0058】
絶縁層として多孔質層を用いる場合には、負極と亜鉛酸イオン供給体とを良好に隔離して、これらの間での導電接続をより良好に防止する観点から、多孔質層の空隙率は70%以下であることが好ましく、一方、イオン伝導性を阻害せず電池特性を良好にするために、多孔質層の空隙率は30%以上であることが好ましい。
【0059】
また、亜鉛酸イオン供給体と正極との間には、セパレータを介在させて両者を接触させないようにすればよい(セパレータの詳細については後述する)。
【0060】
本発明の二次電池は、前記の負極および亜鉛酸イオン供給体を有していればよく、正極、セパレータおよびアルカリ電解液などの構成については、特に限定はされず、アルカリ二次電池や空気二次電池などで用いられている汎用の正極、セパレータおよびアルカリ電解液などを使用することができる。
【0061】
二次電池がアルカリ二次電池の場合、その正極には、例えば、正極活物質、導電助剤およびバインダを含有する正極合剤層を集電体の片面または両面に有する構造のものが使用できる。
【0062】
二次電池がアルカリ二次電池の場合に使用可能な正極活物質としては、酸化銀(酸化第一銀、酸化第二銀など);二酸化マンガンなどのマンガン酸化物;オキシ水酸化ニッケル;銀とコバルト、ニッケルまたはビスマスとの複合酸化物;などが挙げられる。
【0063】
正極合剤層に係る導電助剤には、例えば、アセチレンブラック;ケッチェンブラック;チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカーボンブラック類;炭素繊維;などの炭素材料の他、金属繊維などの導電性繊維類;フッ化カーボン;銅、ニッケルなどの金属粒子類;ポリフェニレン誘導体などの有機導電性材料;などを用いることができる。
【0064】
正極合剤層に係るバインダとしては、例えば、フッ素樹脂(PVDF、PTFEなど)、SBR、CMC、ポリビニルピロリドン(PVP)などが挙げられる。
【0065】
正極合剤層中の組成としては、正極活物質の量が80~98質量%であることが好ましく、導電助剤の含有量が1.5~10質量%であることが好ましく、バインダの含有量が0.5~10質量%であることが好ましい。また、正極合剤層の厚み(集電体の片面あたりの厚み)は、1~20mmであることが好ましい。
【0066】
正極合剤層を有する正極は、例えば、正極活物質、導電助剤およびバインダなどを水またはN-メチル-2-ピロリドン(NMP)などの有機溶媒に分散させて正極合剤含有組成物(スラリー、ペーストなど)を調製し(バインダは溶媒に溶解していてもよい)、これを集電体上に塗布した後、乾燥し、必要に応じてカレンダ処理などのプレス処理を施す工程を経て製造することができる。
【0067】
また、二次電池が空気二次電池の場合の正極には、触媒層を有するもの、例えば、触媒層と集電体とを積層した構造のものを使用することができる。
【0068】
触媒層には、触媒やバインダなどを含有させることができる。
【0069】
触媒層に係る触媒としては、例えば、銀、白金族金属またはその合金、遷移金属、Pt/IrOなどの白金/金属酸化物、La1-xCaCoOなどのペロブスカイト酸化物、CaFe、CaFeCoOなどのブラウンミラーライト型遷移金属酸化物、WCなどの炭化物、MnNなどの窒化物、二酸化マンガンなどのマンガン酸化物、カーボン〔黒鉛、カーボンブラック(アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなど)、木炭、活性炭など〕など公知の材料が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上が使用される。
【0070】
なお、触媒層は、電解液の成分を除く重金属の含有量が、1質量%以下であることが好ましい。重金属の含有量が前記のように少ない触媒層を有する正極の場合、特別な処理などを経ずに廃棄しても環境負荷が小さい電池とすることができる。
【0071】
本明細書でいう触媒層中の重金属の含有量は、蛍光X線分析により測定することができる。例えば、リガク社製「ZSX100e」を用い、励起源:Rh50kV、分析面積:φ10mmの条件で測定することができる。
【0072】
よって、触媒層に係る触媒には、重金属を含有していないものが推奨され、前記の各種カーボンを使用することがより好ましい。
【0073】
触媒層に係るバインダとしては、PVDF、PTFE、フッ化ビニリデンの共重合体やテトラフルオロエチレンの共重合体〔フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体(PVDF-HFP)、フッ化ビニリデン-クロロトリフルオロエチレン共重合体(PVDF-CTFE)、フッ化ビニリデン-テトラフルオロエチレン共重合体(PVDF-TFE)、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン-テトラフルオロエチレン共重合体(PVDF-HFP-TFE)など〕などのフッ素樹脂バインダなどが挙げられる。これらの中でも、テトラフルオロエチレンの重合体(PTFE)または共重合体が好ましく、PTFEがより好ましい。
【0074】
触媒層を有する正極の場合、例えば、前記触媒、バインダなどを水と混合してロールで圧延し、集電体と密着させることにより製造することができる。また前記の触媒や必要に応じて使用するバインダなどを、水や有機溶媒に分散させて調製した触媒層形成用組成物(スラリー、ペーストなど)を、集電体の表面に塗布し乾燥した後に、必要に応じてカレンダ処理などのプレス処理を施す工程を経て製造することもできる。
【0075】
正極合剤層を有する正極や触媒層を有する正極に係る集電体には、例えば、チタン、ニッケル、ステンレス鋼、銅などの金属の網、箔、エキスパンドメタル、パンチングメタル;カーボンの網、シート;などを用いることができる。
【0076】
また、本発明の二次電池においては、後述するように、シート状外装体を適用することができるが、このシート状外装体の内面となることが予定されている面にカーボンペーストを塗布して正極の集電体としたり、シート状外装体を構成する金属層(後述する)を正極の集電体としたりすることもできる。
【0077】
正極には、常法に従って、二次電池を適用する機器と電気的に接続するための外部端子を設けることができる。
【0078】
二次電池のセパレータとしては、樹脂製の多孔質膜(微多孔膜、不織布など)や、セロファンフィルムに代表される半透膜などの、各種電池で一般的に採用されているセパレータが挙げられる。なお、特に二次電池が空気二次電池の場合には、短絡防止および負荷特性を向上させる観点からは、アニオン伝導膜や半透膜をセパレータに使用することが好ましい。
【0079】
樹脂製の多孔質膜からなるセパレータを構成する樹脂としては、例えば、PE、PP、エチレン-プロピレン共重合体などのポリオレフィンなどが挙げられる。
【0080】
樹脂製のセパレータの場合、空孔率は30~80%であることが好ましく、また、厚みは10~100μmであることが好ましいが、複数枚重ねてもよい。
【0081】
また、セロファンフィルムなどの半透膜をセパレータに使用する場合、半透膜のみでセパレータを構成してもよい。しかしながら、半透膜は強度が小さいため、電池組み立て時の破損などの問題が発生しやすい。よって、例えば、幹ポリマーであるポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレンなど)に(メタ)アクリル酸またはその誘導体が、グラフト重合した形態の重合体で構成されるグラフトフィルムと、半透膜とを積層した積層体でセパレータを構成することも推奨される。なお、前記の「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸とメタクリル酸とを纏めて表現したものである。
【0082】
セロファンフィルムのみで構成されるセパレータの場合、その厚みは、例えば、15μm以上であることが好ましく、また、40μm以下であることが好ましく、30μm以下であることがより好ましい。
【0083】
更に、グラフトフィルムとセロファンフィルムとの積層体で構成されるセパレータの場合、グラフトフィルムとセロファンフィルムとの合計厚みで、例えば、30μm以上であることが好ましく、40μm以上であることがより好ましく、また、70μm以下であることが好ましく、60μm以下であることがより好ましい。
【0084】
更に、グラフトフィルムとセロファンフィルムの積層体で構成されるセパレータの場合、グラフトフィルムの厚みは、例えば、15μm以上であることが好ましく、25μm以上であることがより好ましく、また、30μm以下であることが好ましい。
【0085】
セパレータを構成するためのグラフトフィルムとセロファンフィルムとの積層体としては、例えば、株式会社ユアサメンブレンシステムから「YG9132」や「YG9122」、「YG2152」の名称で市販されているものが挙げられる。
【0086】
また、セロファンフィルムや、セロファンフィルムおよびグラフトフィルムと、ビニロン-レーヨン混抄紙のような吸液層(電解液保持層)とを組み合わせてセパレータを構成してもよい。このような吸液層の厚みは20~500μmであることが好ましい。
【0087】
二次電池のアルカリ電解液には、イオン伝導性の点から強アルカリである高pH(例えばpH14以上)のアルカリ水溶液が好ましく用いられるが、より低いpH、例えば12程度のpHを有する電解液を使用することもできる。
【0088】
前記水溶液における電解質塩としては、アルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムなど)が挙げられ、前記水溶液は、これらの電解質塩のうちの1種または2種以上を含有していればよい。
【0089】
前記水溶液における電解質塩の濃度は、例えば、前記水溶液の導電率を80~700mS/cm程度に調整できる濃度であればよく、通常は、5~50質量%である。
【0090】
また、前記水溶液には、インジウム化合物が溶解していることが好ましい。前記水溶液中にインジウム化合物が溶解している場合には、電池内での水素ガスの発生を良好に抑制することができる。
【0091】
前記水溶液に溶解させるインジウム化合物としては、水酸化インジウム、酸化インジウム、硫酸インジウム、硫化インジウム、硝酸インジウム、臭化インジウム、塩化インジウムなどが挙げられる。
【0092】
インジウム化合物の前記水溶液中の濃度は、質量基準で、0.005%以上であることが好ましく、0.01%以上であることがより好ましく、0.05%以上であることが特に好ましく、また、1%以下であることが好ましく、0.5%以下であることがより好ま
しく、0.1%以下であることが特に好ましい。
【0093】
前記水溶液には、前記の各成分の他に、必要に応じて公知の各種添加剤を添加してもよい。
【0094】
二次電池の形態については特に制限はなく、外装缶と封口板とをガスケットを介してカシメ封口したり、外装缶と封口板とを溶接して封口したりする電池ケースを有する扁平形(コイン形、ボタン形を含む);樹脂フィルム製のシート状外装体を有するシート形;有底筒形の外装缶と封口板とをガスケットを介してカシメ封口したり、外装缶と封口板とを溶接して封口したりする電池ケースを有する筒形〔円筒形、角形(角筒形)〕;など、いずれの形態とすることもできる。
【0095】
シート状外装体を構成する樹脂フィルムとしては、ナイロンフィルム(ナイロン66フィルムなど)、ポリエステルフィルム〔ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムなど〕などが挙げられる。樹脂フィルムの厚みは、20~100μmであることが好ましい。
【0096】
なお、シート状外装体の封止は、シート状外装体の上側の樹脂フィルムの端部と下側の樹脂フィルムの端部との熱融着によって行うことが一般的であるが、この熱融着をより容易にする目的で、前記例示の樹脂フィルムに熱融着樹脂層を積層してシート状外装体に用いてもよい。熱融着樹脂層を構成する熱融着樹脂としては、変性ポリオレフィンフィルム(変性ポリオレフィンアイオノマーフィルムなど)、ポリプロピレンおよびその共重合体などが挙げられる。熱融着樹脂層の厚みが20~100μmであることが好ましい。
【0097】
また、樹脂フィルムには金属層を積層してもよい。金属層は、アルミニウムフィルム(アルミニウム箔。アルミニウム合金箔を含む。)、ステンレス鋼フィルム(ステンレス鋼箔。)などにより構成することができる。金属層の厚みが10~150μmであることが好ましい。
【0098】
また、シート状外装体を構成する樹脂フィルムは、前記の熱融着樹脂層と前記の金属層とが積層された構成のフィルムであってもよい。
【0099】
シート状外装体の形状は、平面視で多角形(三角形、四角形、五角形、六角形、七角形、八角形)であってもよく、平面視で円形や楕円形であってもよい。なお、平面視で多角形のシート状外装体の場合、正極外部端子および負極外部端子は、同一辺から外部へ引き出してもよく、それぞれを異なる辺から外部へ引き出しても構わない。
【0100】
また、カシメ封口を行う形態の外装体を使用する場合、外装缶と封口板との間に介在させるガスケットの素材には、ポリプロピレン、ナイロンなどを使用できるほか、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルコキシエチレン共重合体(PFA)などのフッ素樹脂、ポリフェニレンエーテル(PEE)、ポリスルフォン(PSF)、ポリアリレート(PAR)、ポリエーテルスルフォン(PES)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などを使用することもできる。また、封口にはガラスハーメチックシールを利用することもできる。
【0101】
二次電池が空気二次電池の場合、外装体には正極(空気極)へ空気を取り込むための空気孔を形成する。空気孔の数については特に制限はなく、空気電池が良好に放電できる程度の空気を取り込み得るような数とすればよい。また、空気孔の形状についても特に制限はなく、平面視で円形の他、楕円形や多角形(三角形、四角形など)としてもよい。
【0102】
また、二次電池が空気二次電池の場合、空気孔から電池内部への水分の浸入を防止するために、正極(空気極)と外装体との間に撥水膜を配置することが好ましい。撥水膜には撥水性がある一方で空気を透過できる膜が使用され、具体的には、例えば、PTFEなどのフッ素樹脂;PP、PEなどのポリオレフィン;などの樹脂で構成された膜を用いることができる。撥水膜の厚みは、50~250μmであることが好ましい。
【0103】
また、二次電池が空気二次電池の場合には、外装体と撥水膜との間に、外装体内に取り込んだ空気を正極に供給するための空気拡散膜を配置してもよい。空気拡散膜には、セルロース、ポリビニルアルコール、PP、ナイロンなどの樹脂で構成された不織布を用いることができる。空気拡散膜の厚みは、100~250μmであることが好ましい。
【0104】
本発明の二次電池は、汎用のアルカリ二次電池や空気二次電池などと同じ用途に適用することができる。
【実施例
【0105】
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に述べる。ただし、下記実施例は本発明を制限するものではない。
【0106】
実施例1
<負極、絶縁層および亜鉛酸イオン供給体の積層体の作製>
酸化亜鉛(数平均粒子径が0.6μm):93.5質量%、PTFE:1.5質量%およびアセチレンブラック:5質量%を水と混合して、固形分濃度が78.2質量%の負極合剤組成物を調製した。この負極合剤組成物を、自公転ミキサーにて、2000rpmで5分間混合して得られた塊状合剤について、ロールプレス機にて複数回、厚み:0.6mmの隙間を通して延伸し、塊状にすることを繰り返した後、ロールプレスの間隙を調整して、厚み:0.6mmのシート状に調整し、これを切断して20mm×20mmの四角形の負極合剤シートを得た。
【0107】
前記の負極合剤シートを2枚用意し、絶縁層である21mm×21mmにカットした厚み:125μm、目付け:54g/mのポリプロピレン製不織布を中心に挟み、さらに集電体として、20mm×23mmに切断した100メッシュの網目を有する銅製の金網を片側に配して、ロールプレス機にて、1.2mmの間隙を通して成形した。次に、2枚の負極合剤シートからはみ出た集電体の露出部に厚み:100μm、幅:3mmの銅製のリードを溶接して電流取り出し部を形成した。さらに前記金網が露出した部分にポリプロピレンのシートを熱溶着することにより、負極合剤シートからなる層(A)、絶縁層および負極合剤シートからなる層(B)の3層が集電体の片側に積層された積層体を得た。前記積層体において、負極合剤シートからなる層(A)、絶縁層および負極合剤シートからなる層(B)の合計厚みは、1.3mmであった。
【0108】
前記積層体を模式的に表す一部断面図を図1に示す。前記積層体1において、集電体22側の負極合剤シートからなる層(A)21は、集電体22と接することで導電接続されていて、負極合剤層(負極活物質を含有する負極合剤層)となり、この負極合剤シートからなる層(A)(負極合剤層)21と集電体22とで負極2を構成している。また、集電体側の負極合剤シートからなる層(A)21と絶縁層4を介して積層している負極合剤シートからなる層(B)3は、負極2〔負極合剤シートからなる層(A)21および集電体22〕とは導電接続されておらず、亜鉛酸イオン供給体である。なお、亜鉛酸イオン供給体中の酸化亜鉛の単位面積当たりの含有量は、負極中の酸化亜鉛の単位面積当たりの含有量と同じ値(100質量%)に設計されている。
【0109】
<正極の作製>
水酸化ニッケル:89.8質量%、CMC:0.2質量%、一酸化コバルト:5質量%および、四酸化三コバルト:5質量%を水と混合して、固形分濃度が75質量%の正極合剤組成物を調製した。この正極合剤組成物を、自公転ミキサーにて、2000rpmで5分間混合した後、水酸化ニッケル:100質量部に対し、PTFEを0.9質量部の割合で追加して、2000rpmで30秒間混合した。得られた合剤を、一部に未塗布部が形成されるよう、厚み:2mmの発泡ニッケルに充填し、80℃で1時間乾燥した後、ロールプレスにて厚みを1mmとした。これを切断し、25mm×25mmの四角形の正極合剤層形成部と、3mmの幅の集電体(発泡ニッケル)露出部とを持った電極とした。この電極を2枚重ねてロールプレスにより一体化し、集電体の露出部に厚み:100μm、幅:3mmのニッケルリードを溶接して電流取り出し部を形成することにより、厚みが2mmの正極を得た。
【0110】
<電解液の調製>
市販の8M水酸化カリウム水溶液に市販の酸化亜鉛を過剰に溶解し、室温で12時間以上攪拌した後、溶け残った酸化亜鉛を濾過することで、飽和濃度で酸化亜鉛を溶解させたアルカリ電解液を調製した。
【0111】
<アルカリ二次電池の組み立て>
作製した負極、前記の正極と、前記の電解液とを用いてアルカリ二次電池(モデルセル)を組み立てた。
【0112】
セパレータに、30μmのグラフトフィルムを2枚と120μmのポリプロピレン不織布とを合わせて用い、負極、絶縁層およびデンドライト抑制層の積層体と前記正極とを、このセパレータを挟んで重ね合わせて電極体を形成した。電極体において、前記積層体は、亜鉛酸イオン供給体がセパレータと接するように配置した。電極体がちょうど納まるように35mm×60mmに成形した2枚のポリプロピレンのシートを重ね、袋状に3辺を溶着して外装体を形成し、ここに電極体を挿入した後、50mm×50mm×8mmのアクリル板で両側から挟み込んで四隅をネジ止めした。そして、外装体内に前記電解液:3.5mlを注入して真空含浸させた後、外装体の残りの1辺を封止して、モデルセルを完成させた。
【0113】
実施例2
負極合剤シートからなる層(B)の厚みを1.2mmとし、亜鉛酸イオン供給体中の酸化亜鉛の単位面積当たりの含有量を、負極中の酸化亜鉛の単位面積当たりの含有量の2倍(200質量%)とした以外は、実施例1と同様にしてアルカリ二次電池(モデルセル)を組み立てた。
【0114】
実施例3
<絶縁層の作製>
二次凝集体の数平均粒子径が50μmである酸化アルミニウム:83.7質量部、PTFE:15.5質量部、カルボキシメチルセルロース:0.4質量部およびポリカルボン酸アンモニウム:0.4質量部を水と混合して、固形分濃度が61質量%の合剤組成物を調製した。この組成物を、自公転ミキサーにて2000rpmで5分間混合した後、ロールプレス機を用いて厚み:1.0mmのシート状に成形し、これを切断して20mm×20mmの酸化アルミニウムを含有する四角形の多孔質シートを得た。
【0115】
ポリプロピレン製不織布に代えて、絶縁層として前記多孔質シートを用いた以外は実施例1と同様にして、アルカリ二次電池(モデルセル)を組み立てた。
【0116】
実施例4
負極合剤シートからなる層(B)の厚みを0.15mmとし、亜鉛酸イオン供給体中の酸化亜鉛の単位面積当たりの含有量を、負極中の酸化亜鉛の単位面積当たりの含有量の1/4倍(25質量%)とした以外は、実施例1と同様にしてアルカリ二次電池(モデルセル)を組み立てた。
【0117】
実施例5
実施例1と同様にして、厚み:0.6mmで20mm×20mmに切断された負極合剤シートを2枚作製した。次に、厚み125μm、目付54g/mのポリプロピレン製不織布2枚を袋状にし、前記負極合剤シートのうちの1枚をその中に入れて開口部を熱溶着し、ポリプロピレン製不織布よりなる絶縁層の中に封入された亜鉛酸イオン供給体を作製した。
【0118】
さらに、集電体となる実施例1で用いたものと同じ100メッシュの網目を有する銅製の金網(20mm×23mm)の片面に、前記負極合剤シートの残り1枚をロールプレス機にて圧着し、集電体の端部の露出部に厚み:100μm、幅:3mmの銅製のリードを溶接して電流取り出し部を形成し、負極合剤層と集電体が一体化した負極を作製した。
【0119】
前記負極、絶縁層で被覆された亜鉛酸イオン供給体、実施例1で用いたのと同じセパレータおよび正極を順に積層し電極体を形成した以外は、実施例1と同様にしてアルカリ二次電池(モデルセル)を組み立てた。
【0120】
実施例6
ロールプレス機の隙間を1.2mmに変更した以外は実施例1と同様にして、厚み:1.2mmで20mm×20mmに切断された負極合剤シートを作製した。次に、前記負極合剤シートを半分に切断して、10mm×20mmの大きさの2枚のシートにし、一方を、集電体となる実施例1で用いたものと同じ100メッシュの網目を有する銅製の金網(20mm×23mm)の片面にロールプレス機にて圧着した。図2に示すように、負極合剤シート(21)は、20mmの辺の両側に、幅3mmと、幅10mmの集電体22の露出部が形成されるように配置し、幅3mmの集電体22の露出部〔図2中、負極合剤シート(21)の上側〕には、厚み:100μm、幅:3mmの銅製のリードを溶接して電流取り出し部23を形成し、10mm×20mmの負極合剤層21と集電体22が一体化した、実施例5と同じ容量の負極を作製した。
【0121】
厚み125μm、目付54g/mのポリプロピレン製不織布2枚を袋状にし、前記負極合剤シートのもう一方をその中に入れて開口部を熱溶着し、ポリプロピレン製不織布よりなる絶縁層の中に封入された亜鉛酸イオン供給体を作製した。
【0122】
前記負極合剤層21と並ぶように、前記負極の幅10mmの集電体22の露出部〔図2中負極合剤シート(21)の下側〕の上に絶縁層で被覆された亜鉛酸イオン供給体3を積層し、さらに、実施例1で用いたものと同じセパレータおよび正極を、これらの上に順に積層し電極体を形成した以外は、実施例1と同様にしてアルカリ二次電池(モデルセル)を組み立てた。
【0123】
実施例7
図3に示すように、幅3mmの集電体22の露出部〔図3中、負極合剤シート(21)の上側〕の長さ方向に、10mm×20mmの負極合剤層21と幅10mmの集電体22の露出部〔図3中、負極合剤シート(21)の右側〕とが並んで形成されるように負極を作製し、前記幅10mmの集電体22の露出部に亜鉛酸イオン供給体3を配置した以外は、実施例6と同様にしてアルカリ二次電池(モデルセル)を組み立てた。
【0124】
比較例1
厚みを1.2mmに変更した以外は実施例1と同様にして負極合剤シートを作製し、この負極合剤シートを20mm×23mmに切断した100メッシュの網目を有する銅製の金網の片側に配し、ロールプレス機にて成形した以外は、実施例1と同様にして、厚みが1.3mmの負極合剤層を集電体の片側に有する負極(亜鉛酸イオン供給体および絶縁層を積層していない負極)を得た。そして、この負極を、負極、絶縁層および亜鉛酸イオン供給体の積層体に代えて使用した以外は、実施例1と同様にしてアルカリ二次電池(モデルセル)を組み立てた。
【0125】
比較例2
2枚の負極合剤シートの間に絶縁層を配置しなかった以外は、実施例1と同様にして積層体(負極および亜鉛酸イオン供給体の積層体)を作製し、この積層体を用いた以外は実施例1と同様にしてアルカリ二次電池(モデルセル)を組み立てた。
【0126】
比較例3
実施例1において正極の作製に用いた、厚みが1mmの電極の正極合剤層形成部を切断し、正極合剤組成物と集電体で構成された20mm×20mmの四角形の正極合剤シートを作製した。
【0127】
負極合剤シートからなる層(B)に代えて、前記正極合剤シートを用いた以外は実施例1と同様にして、アルカリ二次電池(モデルセル)を組み立てた。
【0128】
実施例1~3、実施例5~6および比較例1~2の二次電池の充放電サイクル特性を、40℃の雰囲気下で、以下の方法によって評価した。
【0129】
実施例1~3、実施例5~6および比較例1~2の各二次電池について、64mAの電流値で、
(1)充電電気量が、320mAhに達する。
(2)充電中の電池電圧が2.2Vに達する。
(3)充電中の電池電圧が、極大値から50mV低下する(-ΔV=50mV)。
のいずれかに該当するまで充電を行い、次いで、64mAの電流値で、
(4)放電中の電池電圧が1.0Vに達する。
(5)放電電気量が、320mAhに達する。
のいずれかに該当するまで放電を行う充放電サイクルを繰り返し、1サイクル目(初度)と、以後10サイクル経過する毎に放電容量を測定して充放電サイクル特性を評価した。
【0130】
測定された実施例1~3および比較例1~2の各電池の放電容量について、それぞれの電池の初度の放電容量を100としたときの相対値で表した結果を図4に示す。
【0131】
また、実施例1および比較例1の電池について、充放電を60サイクル繰り返した後に、X線CT装置により非破壊でセルの断面観察を行った。そのときに得られた断面像を図5および図6に示す。
【0132】
X線CT観察については、ブルカー社製「skyscan1173(商品名)」を用いて、130kV、61μAの条件で撮像した。そして、得られた撮像データを付属のアプリケーションにて再構成し、断面データを取り出してグレースケールで表示した。集電体の銅や成長した亜鉛金属、正極の発泡ニッケルなどの、吸収係数が高く密度の高いものは、明度が高く白く表示され、酸化亜鉛や水酸化ニッケルなどの酸化物は、吸収係数や密度が低く、暗くグレーに表示されている。セパレータや電解液、空気など、吸収係数や密度が極端に低いものは黒く表示されている。
【0133】
図5に示す通り、実施例1の二次電池では、充放電を60サイクル繰り返した後にも、亜鉛酸イオン供給体3によって、負極の形態変化が抑制されるとともに、負極合剤層から金属亜鉛のデンドライト100が一定以上成長するのを防ぐことができ、デンドライトの正極5への侵入が防止されていた。そのため、負極の不働態化や内部短絡を生じ難くなり、図4に示す通り、実施例1の二次電池では、充放電を80サイクル繰り返しても、大きな容量を十分に維持できていた。
【0134】
また、亜鉛酸イオン供給体中の酸化亜鉛の単位面積当たりの含有量を実施例1よりも多くした実施例2の二次電池、および酸化アルミニウムを含有する多孔質シートを絶縁層として用いた実施例3の二次電池は、図4に示す通り、実施例1の二次電池よりもさらに充放電サイクル特性を向上させることができた。
【0135】
これに対し、亜鉛酸イオン供給体を有しない比較例1の電池では、図4に示す通り、充放電を40サイクル程度繰り返した時点で容量が急激に低下した。図6に示す通り、比較例1の電池では、充放電を60サイクル繰り返した時点で負極の形態変化が大きくなり、さらに、負極合剤層から成長した金属亜鉛のデンドライトが正極にまで到達していたため、負極の不働態化や内部短絡によって前記のような容量低下が生じたと考えられる。
【0136】
比較例2の電池では、2枚の負極合剤シートの間に絶縁層を配置せず、互いに接していたため、正極側に配置された負極合剤シートも充電され負極として機能し、比較例1と同様にして負極の不働態化や内部短絡を生じたことにより、充放電を40サイクル程度繰り返した時点で容量が急激に低下したと考えられる。
【0137】
また、測定された実施例5~6および比較例1の各電池の放電容量について、それぞれの電池の初度の放電容量を100としたときの相対値で表した結果を図7に示す。
【0138】
さらに、実施例7および比較例1の電池に対し、電流値を128mAに変更した以外は前記と同様の条件で充放電サイクルを繰り返し、サイクル毎の放電容量を測定して充放電サイクル特性を評価した。各電池の放電容量について、それぞれの電池の初度の放電容量を100としたときの相対値で表した結果を図8に示す。
【0139】
実施例6および7の電池では、負極合剤層と正極合剤層の間に亜鉛酸イオン供給体が配置されていないが、亜鉛酸イオン供給体からアルカリ電解液中に継続的に亜鉛酸イオンが供給されたことにより、負極合剤層と正極合剤層の間に亜鉛酸イオン供給体を配置した実施例5の電池と同様に、比較例1の二次電池よりも充放電サイクル特性を向上させることができた。
【0140】
また、実施例1および比較例3の二次電池について、25℃の雰囲気下において、前記と同様の条件で充放電サイクルを繰り返し、充放電サイクル特性を評価した。
【0141】
なお、それぞれの電池の放電容量をサイクルごとに測定し、初度の放電容量を100としたときの相対値で表した結果を図9に示す。
【0142】
酸化亜鉛を用いて亜鉛酸イオン供給体を構成した実施例1の二次電池は、亜鉛酸イオン供給体からの水素発生などがなく、安定して充放電を行うことができた。
【0143】
一方、酸化亜鉛よりも貴な電位をもつ水酸化ニッケルを用いた正極合剤シートを、負極合剤シート(B)(亜鉛酸イオン供給体)の代わりに配置した比較例3の二次電池では、成長して正極合剤シートに達した金属亜鉛のデンドライトが正極合剤シートの電位を水素発生電位まで下げたために、正極合剤シートから水素ガスが発生してしまい、安定して充放電を行うことができなかった。
【0144】
また、前記充放電サイクル試験とは別に、実施例4および比較例1の二次電池について、(1)の充電電気量および(5)の放電電気量をそれぞれ480mAhに変更し、加速試験とした以外は前記と同様の条件で試験を行い、充放電サイクル特性を評価した。
【0145】
測定されたそれぞれの電池の放電容量について、初度の放電容量を100としたときの相対値で表した結果を図10に示す。
【0146】
図10に示す通り、亜鉛酸イオン供給体中の酸化亜鉛の単位面積当たりの含有量を実施例1の二次電池の1/4に減らした実施例4の二次電池においても、負極の不働態化やデンドライト形成による短絡発生を抑制することができ、充放電サイクル特性を向上させることができた。
【符号の説明】
【0147】
1 負極、絶縁層および亜鉛酸イオン供給体の積層体
2 負極
21 負極合剤層〔負極合剤シートからなる層(A)〕
22 集電体
23 電流取り出し部
3 亜鉛酸イオン供給体〔負極合剤シートからなる層(B)〕
4 絶縁層
5 正極
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10