(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-28
(45)【発行日】2025-04-07
(54)【発明の名称】スパウトおよびスパウト付きパウチ容器
(51)【国際特許分類】
B65D 33/38 20060101AFI20250331BHJP
B29C 49/42 20060101ALI20250331BHJP
B29C 49/04 20060101ALI20250331BHJP
【FI】
B65D33/38
B29C49/42
B29C49/04
(21)【出願番号】P 2021008009
(22)【出願日】2021-01-21
【審査請求日】2024-01-15
(73)【特許権者】
【識別番号】313004403
【氏名又は名称】株式会社フジシール
(73)【特許権者】
【識別番号】521031718
【氏名又は名称】大興化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100086380
【氏名又は名称】吉田 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100103078
【氏名又は名称】田中 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100130650
【氏名又は名称】鈴木 泰光
(74)【代理人】
【識別番号】100168099
【氏名又は名称】鈴木 伸太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100168044
【氏名又は名称】小淵 景太
(74)【代理人】
【識別番号】100200609
【氏名又は名称】齊藤 智和
(72)【発明者】
【氏名】畑 哲雄
(72)【発明者】
【氏名】三井 仁
(72)【発明者】
【氏名】高見 賢一
(72)【発明者】
【氏名】原田 賢治
【審査官】森本 哲也
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-076696(JP,A)
【文献】特開2013-060218(JP,A)
【文献】特開2013-086867(JP,A)
【文献】特開2009-292492(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 33/38
B29C 49/42
B29C 49/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に延びる軸心を有し、且つ前記第1方向の一方側に位置する注出口を有する、筒状の第1部と、
前記第1方向に延びる軸心を有し、且つ前記第1部に連通する、第2部と、
前記第2部に連通し、且つ前記第1方向において前記注出口とは反対側の他方側に位置する流入口を有する、第3部と、
を備え、
前記第2部が、パウチ容器に溶着され、
前記第2部は、前記第1部に対して前記第1方向の前記他方側に位置し、
前記第3部は、前記第2部に対して前記第1方向の前記他方側に位置し、
前記第1方向と直交するいずれの方向においても、前記流入口の寸法は、前記第2部の寸法よりも小さく、
前記第3部は、前記第2部と前記流入口との間に位置し且つ前記第1方向と直交する方向の寸法が前記第1方向の前記一方側から前記他方側に向かうほど小となる連結部を含
み、
前記第3部は、前記流入口を有する筒状部を含み、
前記第3部は、前記連結部の内部に設けられた凸部を含み、前記凸部は、前記連結部の前記第1方向における前記流入口側の端部から、前記第1部に向かって突出する、スパウト。
【請求項2】
請求項
1に記載のスパウトと、
前記第2部に溶着されたパウチ容器と、
を備える、スパウト付きパウチ容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スパウトおよびスパウト付きパウチ容器に関する。
【背景技術】
【0002】
スパウト付きパウチ容器は、たとえばスポーツドリンク等の飲料、アイスクリームおよびゼリー等の食品、各種トイレタリー製品の詰め替え用の容器として広く使用されている。スパウトは、パウチ容器に内容物を充填する際や、内容物を注出する際に用いられる。同文献に開示されたスパウトは、筒状の第1部と、この第1部に連通する第2部とを有する。第2部がパウチ容器の一部に溶着されることにより、スパウトがパウチ容器に固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
同文献に開示されたスパウトの第2部は、軸心と直交する断面の形状が略一定であり、下方に大きく開口している。このため、第2部にパウチ容器を溶着する際に、第2部が変形してしまい、溶着が適切に行えないという問題があった。
【0005】
本発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、パウチ容器との溶着をより適切に行うことが可能なスパウト、スパウト付きパウチ容器およびスパウトの製造方法を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の側面によって提供されるスパウトは、第1方向に延びる軸心を有し、且つ注出口を有する、筒状の第1部と、前記第1方向に延びる軸心を有し、且つ前記第1部に連通する、第2部と、前記第2部に連通し、且つ前記第1方向において前記注出口とは反対側に位置する流入口を有する、第3部と、を備え、前記第2部が、パウチ容器に溶着され、前記第1方向と直交するいずれの方向においても、前記流入口の寸法は、前記第2部の寸法よりも小さい。
【0007】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記第3部は、前記流入口を有する筒状部と、前記筒状部と前記第2部との間に介在する連結部と、を含む。
【0008】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記第3部は、前記連結部の内部に設けられた凸部を含み、前記凸部は、前記連結部の前記第1方向における前記流入口側の端部から、前記第1部に向かって突出する。
【0009】
本発明の第2の側面によって提供されるスパウト付きパウチ容器は、本発明の第1の側面によって提供されるスパウトと、前記第2部に溶着されたパウチ容器と、を備える。
【0010】
本発明の第3の側面によって提供されるスパウトの製造方法は、第1方向に延びる軸心を有し、且つ第1開口を有する、第1室と、前記第1方向に延びる軸心を有し、且つ前記第1室に連通する、第2室と、前記第2室に連通し、且つ前記第1方向において前記第1開口とは反対側に位置する第2開口を有する、第3室と、を含むキャビティを有する、金型を用意する工程と、チューブ型樹脂材料を、前記第1開口および前記第2開口のそれぞれから延出するように、前記キャビティに配置する工程と、前記チューブ型樹脂材料を前記第1開口側から第1封止体によって封止する工程と、前記チューブ型樹脂材料を前記第2開口側から第2封止体によって封止する工程と、前記第1開口側および前記第2開口側の少なくともいずれかから前記チューブ型樹脂材料内に気体を吹き込む工程と、を備え、前記第1方向と直交するいずれの方向においても、前記第2開口の寸法は、前記第2室の寸法よりも小さい。
【0011】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記第1封止体によって封止する工程において、前記第1封止体を前記チューブ型樹脂材料に挿入し、且つ前記第1封止体を前記金型に押し付けることにより、前記チューブ型樹脂材料を切断し、前記第2封止体によって封止する工程において、前記第2封止体を前記チューブ型樹脂材料に挿入し、且つ前記第2封止体を前記金型に押し付けることにより、前記チューブ型樹脂材料を切断する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、スパウトとパウチ容器との溶着をより適切に行うことができる。
【0013】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るスパウトを示す斜視図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係るスパウトを示す斜視図である。
【
図3】本発明の第1実施形態に係るスパウトを示す、(a)は平面図であり、(b)は正面図であり、(c)は側面図であり、(d)は底面図である。
【
図4】
図3(a)のIV-IV線に沿う断面図および要部拡大断面図である。
【
図6】
図3(b)のVI-VI線に沿う断面図である。
【
図7】
図3(b)のVII-VII線に沿う断面図である。
【
図8】本発明の第1実施形態に係るスパウト付きパウチ容器を示す斜視図である。
【
図9】本発明の第1実施形態に係るスパウト付きパウチ容器を示す要部断面図である。
【
図11】本発明の第1実施形態に係るスパウトの製造方法の一工程を示す断面図である。
【
図12】本発明の第1実施形態に係るスパウトの製造方法の一工程を示す断面図および要部拡大断面図である。
【
図13】本発明の第1実施形態に係るスパウトの製造方法の一工程を示す断面図である。
【
図14】本発明の第1実施形態に係るスパウトの製造方法の一工程を示す断面図である。
【
図15】本発明の第1実施形態に係るスパウトの製造方法の一工程を示す断面図である。
【
図16】本発明の第1実施形態に係るスパウトの第1変形例を示す断面図である。
【
図17】本発明の第2実施形態に係るスパウトを示す断面図である。
【
図18】本発明の第3実施形態に係るスパウトを示す断面図である。
【
図19】本発明の第4実施形態に係るスパウトの製造方法の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の好ましい実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
【0016】
本開示における「第1」、「第2」、「第3」等の用語は、単に構成要素の識別のために用いたものであり、必ずしもそれらの対象物に順列を付することを意図していない。
【0017】
<第1実施形態>
図1~
図7は、本発明の第1実施形態に係るスパウトを示している。本実施形態のスパウトA1は、第1部1、第2部2、第3部3および第4部4を備えている。スパウトA1は、たとえば、
図8~
図10に示すように、パウチ容器8に取り付けられて用いられるものであり、スパウト付きパウチ容器B1の構成要素である。なお、これらの図において、z方向は、本発明の第1方向に相当する。x方向およびy方向は、いずれもがz方向に直交する方向であって、互いに直交する方向である。
【0018】
スパウトA1の材質は特に限定されず、成形の便宜および内容物89を汚染しにくいこと等を考慮して、たとえば樹脂が用いられる。スパウトA1が樹脂からなる場合、スパウトA1は、単一の樹脂によって形成されていてもよいし、複数種類の樹脂が組み合わされた構成であってもよい。本実施形態においては、
図4の要部拡大断面図に示すように、スパウトA1は、全体に渡って複数種類の樹脂が積層された構造とされており、外層101、内層102、バリア層103、接合層104および接合層105を有する。
【0019】
外層101は、スパウトA1の最も外側に位置する層である。外層101は、パウチ容器8と熱溶着可能な樹脂材料からなる。外層101を構成する樹脂の具体例としては、たとえば、HDPE(High Density Polyethylene:高密度ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)等が挙げられる。
【0020】
内層102は、スパウトA1の最も内側に位置する層である。内層102は、たとえば内容物89が飲料等である場合に、内容物89に容易には溶け出さないものや、内容物89を変質させるおそれが少ないもの、等が適宜選択される。内層102を構成する樹脂の具体例としては、たとえば、HDPE(High Density Polyethylene:高密度ポリエチレン)、LLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)等が挙げられる。
【0021】
バリア層103は、外層101および内層102等よりも、酸素等の気体の透過率が低く、これらをより遮断する機能が高い樹脂材料からなる。本実施形態においては、バリア層103は、外層101と内層102との間に位置する。バリア層103を構成する樹脂材料としては、たとえば、塩化ビニリデン(PVDC)、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリビニルアルコール(PVA)等の樹脂材料が挙げられる。
【0022】
接合層104は、外層101とバリア層103とを接合する層である。接合層104を構成する樹脂の具体例としては、たとえば、変性ポリオレフィン(三井化学株式会社:アドマー(登録商標)、三菱ケミカル株式会社:モディック(登録商標))が挙げられる。
【0023】
接合層105は、内層102とバリア層103とを接合する層である。接合層105を構成する樹脂の具体例としては、たとえば、接合層104で挙げた変性ポリオレフィンが挙げられる。
【0024】
外層101、内層102、バリア層103、接合層104および接合層105のそれぞれの厚さは、何ら限定されない。
【0025】
〔第1部1〕
第1部1は、
図1~
図5に示すように、全体としてz方向に延びる軸心Nを有する筒状の部位である。ここで、筒状の形状には、円筒形状、楕円筒形状、角筒形状等が含まれる。本実施形態においては、第1部1は、円筒形状である。第1部1は、注出口10、本体部11、雄ねじ部12および環状突起13を有する。なお、各図においては、説明の便宜上、軸心Nを一点鎖線または点によって示しているが、あくまで仮想的な線または点を表すものである。
【0026】
本体部11は、
図1~
図5に示すように、上述の円筒形状をなす部位である。注出口10は、第1部1(本体部11)のz方向端部に位置しており、z方向の一方側に開口している。注出口10は、スパウト付きパウチ容器B1において、内容物89を外部に注出するために用いられる。また、たとえば、注出口10は、スパウト付きパウチ容器B1に内容物89を充填するための充填口として用いられる。ただし、スパウト付きパウチ容器B1への内容物89の充填は、注出口10を用いて行うことに限定されず、たとえば、パウチ容器8の未シール部分を充填口として用いてもよい。注出口10の形状は何ら限定されず、本実施形態においては本体部11が円筒形状であることから、円形である。図示された本体部11は、内径が一定の円筒形状であるが、z方向において内径が一定ではないテーパ形状等であってもよい。
【0027】
雄ねじ部12は、後述のキャップ7を螺合により第1部1に取り付けるための部位である。雄ねじ部12は、
図1~
図3に示すように、本体部11の外周面から突出する螺旋状の突起である。環状突起13は、本体部11の外周面から突出する円環状の突起であり、z方向において雄ねじ部12に対して注出口10とは反対側に位置している。スパウトA1が、後述のブロー成形を用いた製造方法によって製造される場合、雄ねじ部12および環状突起13は、
図4および
図5に示すように、隣接する部位と厚さが大きく異なっておらず、雄ねじ部12および環状突起13の内側が外側に向かって凹んだ形状となっている。ただし、本体部11の厚さや雄ねじ部12および環状突起13の突出サイズ等によっては、雄ねじ部12および環状突起13の内側が、明瞭に凹んだ形状とはならない場合がある。
【0028】
〔第2部2〕
第2部2は、
図1~
図5に示すように、軸心Nを有しており、第1部1に連通する部位である。第2部2は、
図8~
図10に示すように、スパウト付きパウチ容器B1において、パウチ容器8に熱溶着される。具体的には、第2部2の外面が、パウチ容器8の内面に熱溶着される。第2部2の形状は何ら限定されず、パウチ容器8に熱溶着可能な形状であればよい。パウチ容器8との熱溶着をより適切に行う観点からは、第2部2は、z方向において略一定の形状であることが好ましい。本実施形態の第2部2は、xy平面に沿った断面形状が略一定の形状である。
【0029】
図1~
図7に示すように、本実施形態の第2部2は、一対の湾曲面部21を有する。
図6および
図7に示すように、一対の湾曲面部21は、y方向に対向して配置されている。湾曲面部21は、y方向の外側に緩やかに膨出した形状であり、z方向に視て緩やかに湾曲した面を構成している。第2部2が一対の湾曲面部21を有することにより、第2部2は、z方向に視てy方向の寸法がx方向の中央で最大であり、x方向の両端に向かうに従って小さくなる形状である。
【0030】
また、第2部2には、複数の溝部22が形成されている。複数の溝部22は、各々が第2部2の外表面から内方にわずかに凹んだ形状であり、互いにz方向に離れて配置されている。各溝部22は、z方向に直交しており、軸心Nを取り囲む環状とされている。図示された例においては、複数の溝部22は、第2部2のz方向における図中上側(第1部1が位置する側)に偏って配置されている。複数の溝部22は、たとえば、その深さが0.1~0.3mmである。複数の溝部22により、第2部2がパウチ容器8に熱溶着される際のエア溜まりの発生が抑制される。なお、複数の溝部22は、第2部の外表面から内方に凹んだ形状により形成されていてもよいし、第2部2の外表面から外方に突出した複数列の凸形状部分により形成されていてもよい。
【0031】
〔第3部3〕
第3部3は、
図1~
図5に示すように、第2部2に連通しており、z方向において第2部2を挟んで第1部1とは反対側に位置している。また、第3部3は、第2部2に繋がっている。第3部3は、流入口30を有する。流入口30は、第3部3のz方向端部に位置しており、注出口10とは反対側のz方向の他方側に開口している。流入口30の形状は何ら限定されず、本実施形態においては円形である。流入口30は、スパウト付きパウチ容器B1において、パウチ容器8内に位置し、内容物89を注出口10から外部に注出する際に、内容物89がスパウトA1内に流入する部位である。
【0032】
本実施形態の第3部3は、筒状部31および連結部32を有する。筒状部31は、軸心Nを有する筒状の部位であり、流入口30を有している。本実施形態においては、筒状部31は、z方向と直角である断面の形状および大きさが一定である部位であり、注出口10と同様に、筒状部31の形状には、円筒形状、楕円筒形状、角筒形状等が含まれる。図示された例においては、筒状部31は、直径が一定である円筒形状である。また、流入口30の形状は何ら限定されず、本実施形態においては筒状部31が円筒形状であることから、円形である。
【0033】
連結部32は、筒状部31と第2部2との間に介在する部位であり、筒状部31および第2部2の双方に繋がっている。
図4によく表れているように、連結部32のzx平面に沿った断面形状は、z方向において第2部2側から筒状部31側に向かうほど、x方向の寸法が小となるテーパ形状である。一方、
図5によく表れているように、連結部32のyz平面に沿った断面形状は、z方向において第2部2側に位置する部分のx方向寸法が略一定であり、z方向において筒状部31側に位置する部分のx方向寸法が、筒状部31に近づくほど小となっている。
【0034】
なお、第3部3の具体的な形状は、何ら限定されず、筒状部31および連結部32が上述した形状とは異なる形状であってもよいし、筒状部31および連結部32のそれぞれの部位が特定されない形状であってもよい。
【0035】
また、
図3(d)、
図4および
図5に示すように、本実施形態の第3部3は、凸部33を有する。凸部33は、連結部32の内部に設けられている。凸部33は、連結部32のz方向における流入口30側の端部から第1部1に向かって突出している。言い換えると、凸部33と連結部32のz方向下方部分とによって、円環状の溝部分が形成されている。本実施形態においては、凸部33は、筒状部31と連結部32との境界部分に位置している。また、凸部33は、筒状部31のz方向における流入口30とは反対側の端部から第1部1に向かって突出しているともいえる。凸部33の断面形状は何ら限定されず、図示された円形状の他、多角形状等であってもよい。また、本実施形態においては、凸部33は、
図7によく表れているように、軸心Nを取り囲む円環形状をなしており、全周に渡って形成されているが、これに限定されない。凸部33は、
図3(d)において、周方向の一部にのみ形成されていてもよい。本実施形態においては、凸部33は、筒状部31とともに筒状部分をなす形状を呈している。また、凸部33の内面と筒状部31の内面とは、互いに滑らかに繋がっている。
【0036】
ここで、流入口30と第2部2との寸法関係について説明する。z方向と直交するいずれの方向においても、流入口30の寸法は、第2部2の寸法よりも小さい。具体的には、
図4および
図7に示すように、z方向と直交する方向であるx方向において、流入口30の寸法Dx3は、第2部2の寸法Dx2よりも小さい。また、
図5および
図7に示すように、z方向と直交する方向であるy方向において、流入口30の寸法Dy3は、第2部2の寸法Dy2よりも小さい。さらに、
図7から理解されるように、x方向およびy方向以外の方向であって、z方向と直交するいずれの方向においても、流入口30の寸法は、第2部2の寸法よりも小さい。ここで、流入口30および第2部2の寸法として、それぞれの内寸(内径)を採用しているが、それぞれの寸法としては、互いの大小関係を示しうる寸法を適宜用いてもよい。たとえば、流入口30および第2部2の外寸(外径)同士を比較してもよいし、それぞれの肉厚の中心の距離を寸法として採用してもよい。また、本実施形態においては、筒状部31の寸法が、第2部2の寸法よりも小さい。また、z方向と直交するいずれの方向においても、筒状部31の内寸および外寸は、それぞれ第2部2の内寸および外寸よりも小さい。
【0037】
流入口30と第2部2との寸法関係が上述した関係であることにより、流入口30を有し、且つ第2部2に繋がる第3部3の形状は、全体として、第2部2から流入口30に向かうほど、z方向と直交する断面の大きさが縮小する形状となる。ただし、第3部3のz方向と直交する断面の大きさが、z方向において流入口30に向かうほど単調減少する構成に限定されない。たとえば、第3部3は、z方向において流入口30に向かうほど断面の大きさが大きくなる部分を有する構成であってもよい。
【0038】
また、注出口10と第2部2との寸法関係について説明する。本実施形態においては、z方向と直交するいずれの方向においても、注出口10の寸法は、第2部2の寸法よりも小さい。具体的には、
図4および
図6に示すように、z方向と直交する方向であるx方向において、注出口10の寸法Dx1は、第2部2の寸法Dx2よりも小さい。また、
図5および
図6に示すように、z方向と直交する方向であるy方向において、注出口10の寸法Dy1は、第2部2の寸法Dy2よりも小さい。さらに、
図6から理解されるように、x方向およびy方向以外の方向であって、z方向と直交するいずれの方向においても、注出口10の寸法は、第2部2の寸法よりも小さい。ここで、注出口10および第2部2の寸法として、それぞれの内寸(内径)を採用しているが、それぞれの寸法としては、互いの大小関係を示しうる寸法を適宜用いてもよい。たとえば、注出口10および第2部2の外寸(外径)同士を比較してもよいし、それぞれの肉厚の中心の距離を寸法として採用してもよい。また、本実施形態においては、z方向と直交するいずれの方向においても、第1部1(本体部11)の寸法が、第2部2の寸法よりも小さい。
【0039】
〔第4部4〕
第4部4は、
図1~
図5に示すように、第1部1と第2部2との間に介在しており、第1部1および第2部2の双方に繋がっている。第4部4は、全体としてz方向と直交する板状の部位とされている。また、本実施形態においては、
図6によく表れているように、第4部4の外寸は、第2部2の外寸と同じか、第2部2の外寸よりも大きい。すなわち、第4部4のx方向における外寸およびy方向における外寸は、第2部2のx方向における外寸およびy方向における外寸と同じであり、第4部4のx方向およびy方向以外の方向の外寸は、第2部2のx方向およびy方向以外の外寸よりも大きい。
【0040】
スパウトA1の各部の大きさは、上述の寸法関係を満たす範囲において何ら限定されない。スパウトA1の各部の大きさの一例を挙げると、寸法Dx1,Dy1が、6~10mm程度、寸法Dx3,Dy3が6~10mm程度、寸法Dx2が16~25mm程度、寸法Dy2が10~15mm程度である。また、スパウトA1のz方向の寸法が、35~50mm程度である。注出口10の寸法Dx1は、流入口30の寸法Dx3と略同じであり、注出口10の寸法Dy1は、流入口30の寸法Dy3と略同じである。
【0041】
<スパウト付きパウチ容器B1>
スパウト付きパウチ容器B1は、
図8~
図10に示すように、スパウトA1と、パウチ容器8とを備える。パウチ容器8は、スパウトA1の第2部2に溶着されている。
【0042】
〔パウチ容器8〕
パウチ容器8は、一対の主面部81、天シール部82、一対のサイドシール部83および底シール部84を有している。また、パウチ容器8は、収容空間88を構成している。収容空間88には、たとえば、スポーツドリンク等の飲料、または、アイスクリームおよびゼリー等の食品等の内容物89が収容されている。
【0043】
一対の主面部81は、y方向において互いに対面している。主面部81の形状は何ら限定されず、たとえばy方向に視て略矩形状である。天シール部82は、一対の主面部81のz方向の上部同士が熱溶着された部分を含む。また、天シール部82は、一対の主面部81と第2部2の一対の湾曲面部21とが、熱溶着された部分を含む。一対のサイドシール部83は、一対の主面部81のx方向両端部分同士が熱溶着された部分である。底シール部84は、一対の主面部81のz方向の下部と樹脂フィルムからなる底面部(図示略)とが熱溶着された部分である。なお、パウチ容器8の具体的構成は、以上に述べた構成に限定されない。パウチ容器8は、第2部2が熱溶着されることにより、スパウト付きパウチ容器B1を構成可能な種々の構成を適宜採用可能である。
【0044】
主面部81は、通常、樹脂フィルムから構成される。該樹脂フィルムには、耐衝撃性、耐磨耗性、及び耐熱性等、包装体としての基本的な性能を備えることが要求される。また、上記各シール部は、通常、熱溶着により形成されるので、シートには熱溶着性も要求される。シートとしては、ベースフィルム層と、熱溶着性を付与するシーラント層とを有する複層シートが好適であり、高いガスバリア性や遮光性が要求される場合には、ベースフィルム層とシーラント層との間にバリア層を設けることが好適である。なお、ベースフィルム層そのものにバリア性を付与してもよい。この場合は、バリア層をベースフィルム層として用い、バリア層とシーラント層とを有する複層シートとなる。
【0045】
ここで、ベースフィルム層、シーラント層、及びガスバリア層の構成材料を例示する。なお、これら各層の積層は、慣用のラミネート法、例えば、共押出しラミネーション、接着剤によるドライラミネーション、熱接着性層を挟んで熱により接着させる熱ラミネーション等により行うことができる。
【0046】
ベースフィルム層を構成するフィルムしては、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレ-ト(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等)、ポリオレフィン(ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等)、ポリアミド(ナイロン-6、ナイロン-66等)等から構成される一層または二層以上の延伸または未延伸フィルムが例示でき、二軸延伸フィルムが好ましい。
【0047】
シーラント層としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、エチレン-プロピレン共重合体(EP)、未延伸ポリプロピレン(CPP)、エチレン-オレフィン共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン-メタクリル酸共重合体(EMAA)及びエチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)等から構成される一層または二層以上の延伸または未延伸フィルムや押出し樹脂層が例示でき、実質的に未延伸のフィルムが好ましい。
【0048】
ガスバリア層としては、アルミニウム等の金属箔、又は塩化ビニリデン(PVDC)、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)等の樹脂フィルム、或いは任意の合成樹脂フィルム(例えば、ベースフィルム層であってもよい)に、アルミニウム、酸化アルミニウムやシリカ等の無機酸化物等を蒸着(又はスパッタリング)したフィルムが例示できる。
【0049】
主面部81には、内容物の商品名や原材料および使用上の注意事項等の商品説明、その他各種デザイン等を表示するための印刷層(図示せず)を設けることができる。たとえば、印刷層は、グラビア印刷やフレキソ印刷等の公知の方法により、ベースフィルム層の外面または内側の面に形成できる。
【0050】
〔キャップ7〕
キャップ7は、スパウトA1の第1部1の雄ねじ部12と螺合することにより、スパウトA1の注出口10を封緘するためのものである。本実施形態のキャップ7は、スパウトA1に脱着可能である。このため、スパウト付きパウチ容器B1から内容物89の一部を注出した後に、スパウトA1の注出口10をキャップ7によって再封緘することができる。なお、キャップ7は、スパウトA1を再封緘可能な構成に限定されない。たとえば、キャップ7がスパウトA1と一体的に形成された構成であってもよい。この場合、キャップ7を本体部11に対して折り曲げる等の操作により、キャップ7を取り除く。これにより、スパウトA1が開封される。なお、未開封の状態であっても、スパウトA1には、キャップ7によって封緘された状態の注出口10が存在している。
【0051】
<スパウトA1の製造方法>
次に、スパウトA1の製造方法について、
図11~
図15を参照しつつ説明する。本実施形態の製造方法は、ブロー成形によってスパウトA1を製造する方法である。ただし、スパウトA1の製造方法としては、上述した構成のスパウトA1を形成可能な方法であれば、種々の方法を採用可能である。
【0052】
まず、
図11に示すように、金型9を用意する。金型9は、左右2つ割の金型であり、キャビティ90を有する。キャビティ90は、第1室91、第2室92、第3室93、第1導入部94および第2導入部95を有する。
【0053】
第1室91は、z方向に延びる軸心Nを有しており、スパウトA1の第1部1を成形するための部位である。第1室91は、第1開口910を有する。第1開口910は、第1室91のz方向の一方側(図中上側)の開口端である。第1室91の形状は何ら限定されず、後述のチューブ型樹脂材料Cをz方向に挿通させる形状であればよい。本実施形態においては、第1室91は、円柱形状である。また、第1室91は、溝部911および溝部912を有する。溝部911は、螺旋状の溝であり、スパウトA1の第1部1の雄ねじ部12を成形するための部位である。溝部912は、軸心Nを取り囲む環状の溝であり、スパウトA1の第1部1の環状突起13を成形するための部位である。
【0054】
第2室92は、軸心Nを有しており、第1室91に連通する。第2室92は、スパウトA1の第2部2および第4部4を成形するための部位である。第2室92の形状は何ら限定されず、後述のチューブ型樹脂材料Cをz方向に挿通させる形状であればよい。第2室92は、複数の凸部921を有する。複数の凸部921は、各々がz方向と直角である方向において内側に突出しており、z方向に互いに離れて配置されている。複数の凸部921は、スパウトA1の第2部2の複数の溝部22を成形するための部位である。
【0055】
第3室93は、第2室92に連通しており、スパウトA1の第3部3を成形するための部位である。第3室93の形状は何ら限定されず、後述のチューブ型樹脂材料Cをz方向に挿通させる形状であればよい。本実施形態の第3室93は、円柱部931およびテーパ部932を有する。円柱部931は、軸心Nを有する円柱形状であり、スパウトA1の筒状部31を成形するため部位である。テーパ部932は、円柱部931と第2室92とに繋がっており、スパウトA1の連結部32を成形するための部位である。第3室93は、第2開口930を有する。第2開口930は、z方向において第1開口910とは反対側に位置しており、第3室93のz方向の他方側(図中下側)の開口端である。
【0056】
z方向と直交するいずれの方向においても、第2開口930の寸法は、第2室92の寸法よりも小さい。第2開口930と第2室92との寸法関係は、上述したスパウトA1における流入口30と第2部2との寸法関係と同様である。また、z方向と直交するいずれの方向においても、第1開口910の寸法は、第2室92の寸法よりも小さい。第1開口910と第2室92との寸法関係は、上述したスパウトA1における注出口10と第2部2との寸法関係と同様である。
【0057】
第1導入部94は、第1室91に連通しており、z方向において第1室91に対して第2室92とは反対側に位置している。第1導入部94は、z方向と直交する平面における大きさが、z方向において第1室91から離れるほど大きくなるテーパ形状である。本実施形態においては、第1開口910は、第1室91と第1導入部94との境界にあたる。
【0058】
第2導入部95は、第3室93に連通しており、z方向において第3室93に対して第2室92とは反対側に位置している。第2導入部95は、z方向と直交する平面における大きさが、z方向において第3室93から離れるほど大きくなるテーパ形状である。本実施形態においては、第2開口930は、第3室93と第2導入部95との境界にあたる。
【0059】
次に、
図12に示すように、チューブ型樹脂材料Cを用意する。チューブ型樹脂材料Cは、スパウトA1を製造するための樹脂材料であり、軸心Nを有する筒状である。チューブ型樹脂材料Cの材質等は何ら限定されず、本実施形態においては、
図12の要部拡大断面図に示すように外層101’、内層102’、バリア層103’、接合層104’および接合層105’が積層された構成である。外層101’、内層102’、バリア層103’、接合層104’および接合層105’は、スパウトA1における外層101、内層102、バリア層103、接合層104および接合層105にそれぞれが対応する層である。チューブ型樹脂材料Cは、ブロー成形が可能な可撓性を有しており、溶融状態からチューブ状に押し出された軟化状態のチューブである。
【0060】
次に、軟化状態のチューブ型樹脂材料Cをz方向に沿った姿勢とし、2つ割の金型9でチューブ型樹脂材料Cをたとえばx方向の両側から挟む。そして、金型9のz方向上方でチューブ型樹脂材料Cを切断することにより、
図12に示す状態とする。チューブ型樹脂材料Cを、第1開口910および第2開口930から延出するように金型9のキャビティ90に配置する。チューブ型樹脂材料Cが第1開口910および第2開口930から延出するとは、チューブ型樹脂材料Cの一方側の部分が第1開口910からz方向に突出しており、チューブ型樹脂材料Cの他方側の部分が第2開口930からz方向に突出している状態をいう。また、本実施形態においては、チューブ型樹脂材料Cは、第1導入部94および第2導入部95から延出する状態で、キャビティ90に配置されている。
【0061】
次いで、チューブ型樹脂材料Cを封止する。チューブ型樹脂材料Cの封止は、第1封止体98および第2封止体99を用いて行う。第1封止体98は、軸心Nと一致する軸心を有する柱状である。第1封止体98のz方向下端の大きさは、z方向と直交する方向において第1開口910の大きさよりも小さい。第1封止体98は、段差部981を有する。段差部981は、z方向と直交する方向において第1開口910よりも大きな部位である。また、第1封止体98は、吹き込み孔982を有する。吹き込み孔982は、チューブ型樹脂材料Cに気体を吹き込むための経路であり、たとえば図示しないポンプまたはタンク等の気体供給源に接続されている。なお、吹き込み孔982から吹き込まれる気体は何ら限定されず、空気、窒素、二酸化炭素等、種々の気体を採用可能である。本実施形態においては、空気を吹き込む場合を例に説明する。第2封止体99は、軸心Nと一致する軸心を有する柱状である。第2封止体99のz方向上端の大きさは、z方向と直交する方向において第2開口930の大きさよりも小さい。第2封止体99は、段差部991を有する。段差部991は、z方向と直交する方向において第2開口930よりも大きな部位である。
【0062】
第1封止体98をz方向に下降させることにより、
図14に示すように、チューブ型樹脂材料Cを第1開口910側から第1封止体98によって封止する。また、第2封止体99をz方向に上昇させることにより、
図13および
図14に示すように、チューブ型樹脂材料Cを第2開口930側から第2封止体99によって封止する。第1封止体98による封止および第2封止体99による封止は、いずれが先でいずれが後であってもよいし、同時に行ってもよい。本実施形態においては、第2封止体99による第2開口930側からの封止を先に完了した後に、第1封止体98による第1開口910側からの封止を完了する。
【0063】
図13に示すように、第2封止体99の上昇を先行させることにより、チューブ型樹脂材料Cを第2封止体99によって封止する。第2封止体99によってチューブ型樹脂材料Cを封止する工程においては、第2封止体99をチューブ型樹脂材料Cに挿入し、且つ第2封止体99を金型9に押し付けることにより、チューブ型樹脂材料Cを切断する。具体的には、チューブ型樹脂材料Cの図中下端から第2封止体99を挿入し、z方向に上昇させると、第2封止体99の段差部991が第2導入部95に押し付けられる。この際、段差部991と第2導入部95との間にチューブ型樹脂材料Cが挟まれるため、チューブ型樹脂材料Cが切断される。なお、本実施形態においては、段差部991の大きさは、第2開口930よりも若干大きい程度である。このため、段差部991は、第2導入部95のうち第2開口930にごく近い部分に押し付けられる。
【0064】
図12および
図13に示すように、本実施形態においては、第1封止体98によってチューブ型樹脂材料Cを第1開口910側から封止するために第1封止体98をz方向に下降させる際に、吹き込み孔982から気体を吐出している。
図13においては、第2封止体99による封止が完了した時点で、第1封止体98の先端がチューブ型樹脂材料Cに挿入されているが、第1封止体98によってチューブ型樹脂材料Cを完全に封止するには至っていない。この状態であっても吹き込み孔982から気体を吐出しているため、チューブ型樹脂材料C内に第1開口910側から気体を吹き込む工程が開始していると言える。このため、軟化した状態のチューブ型樹脂材料Cは、一部または全部が、気体が吹き込まれることに伴う内圧の上昇によって、金型9のキャビティ90に押し付けられるように変形しうる。
【0065】
さらに、第1封止体98を下降させると、
図14に示すように、チューブ型樹脂材料Cを第1開口910側から第1封止体98によって封止する工程が完了する。本実施形態においては、第1封止体98によって封止する工程において、第1封止体98をチューブ型樹脂材料Cに挿入し、且つ第1封止体98を金型9に押し付けることにより、チューブ型樹脂材料Cを切断する。具体的には、チューブ型樹脂材料Cの図中上端から第1封止体98を挿入し、z方向に下降させると、第1封止体98の段差部981が第1導入部94に押し付けられる。この際、段差部981と第1導入部94との間にチューブ型樹脂材料Cが挟まれるため、チューブ型樹脂材料Cが切断される。なお、本実施形態においては、段差部981の大きさは、第1開口910よりも若干大きい程度である。このため、段差部981は、第1導入部94のうち第1開口910にごく近い部分に押し付けられる。
【0066】
図14に示す第1封止体98によって封止する工程が完了すると、チューブ型樹脂材料Cは、第1開口910側および第2開口930側の双方から封止された状態となる。第1封止体98によって封止する工程が完了する前後においても、吹き込み孔982から気体が吹き込まれ続けている。第1封止体98によって封止する工程が完了した後は、吹き込み孔982からの吹き込みによってチューブ型樹脂材料Cの内圧が確実に所定の圧力まで上昇する。その結果、チューブ型樹脂材料Cが金型9のキャビティ90に完全に押し付けられ、チューブ型樹脂材料Cがキャビティ90の形状に沿った形状に変形する。
【0067】
なお、スパウトA1の第3部3の凸部33は、第3部3の内部に位置するため、スパウトA1の製造時に、金型9のキャビティ90には接触することなく形成された部分である。凸部33は、第2封止体99によってチューブ型樹脂材料Cを封止する工程の開始以降、チューブ型樹脂材料C内に気体を吹き込む工程が完了するまでの間に、チューブ型樹脂材料Cが局所的に変形することによって形成されていると考えられる。たとえば、
図13に示すように、第2封止体99が上昇して第2導入部95に押し付けられるときには、第2封止体99によってチューブ型樹脂材料Cの下方部分が押し上げられる。一方、
図13および
図14に示す状態では、第1封止体98が下降しつつ、吹き込み孔982から気体が吹き込まれている。このため、チューブ型樹脂材料Cの下方部分は、第2封止体99によって第3室93の円柱部931からテーパ部932内に持ち上げられる力と、気体吹き込みの圧力によってテーパ部932に押し付けられる力とが作用する。これらの力のバランスによって、チューブ型樹脂材料Cの一部が、テーパ部932の下端付近からz方向の上側(第1室91側)に向かって突出し、凸部33が形成されると考えられる。
【0068】
次いで、
図15に示すように、第1封止体98および第2封止体99を金型9から離脱させる。この際、チューブ型樹脂材料Cのうち第1封止体98による切断箇所よりもz方向上方の部分が切断片c1となり、第2封止体99による切断箇所よりもz方向下方の部分が切断片c2となる。そして、チューブ型樹脂材料Cのうちキャビティ90の第1室91、第2室92および第3室93に沿って変形した部分が残存する。この残存部分を適宜冷却等することにより、上述したスパウトA1が得られる。
【0069】
次に、スパウトA1、スパウト付きパウチ容器B1およびスパウトA1の製造方法の作用について説明する。
【0070】
本実施形態によれば、
図4、
図5および
図7に示すように、z方向と直交するいずれの方向においても、第3部3の流入口30の寸法は、第2部2の寸法よりも小さい。このため、第3部3は、全体として、第2部2から流入口30に向かうほど、z方向と直交する断面の大きさが縮小する形状となる。このため、第2部2は、剛性の向上が図られた第3部3が繋げられた構成となる。これにより、スパウトA1の第2部2にパウチ容器8を熱溶着する際に、第2部2が変形することを抑制可能である。したがって、第2部2とパウチ容器8との熱溶着をより適切に行うことができる。特に、第2部2にパウチ容器8が熱溶着される際には、第2部2をy方向の両側から挟む力が作用する。流入口30のy方向の寸法である寸法Dy3が第2部2のy方向の寸法である寸法Dy2よりも小さい。これにより、y方向両側から力が作用した場合の第2部2の変形をより抑制することが可能であり、パウチ容器8と第2部2との接合強度を高めることができる。
【0071】
第3部3は、
図4および
図5に示すように、筒状部31および連結部32を有する。筒状部31は、流入口30を有する部位であり、その全長にわたって連結部32よりも寸法が小さい。このような筒状部31は、第3部3の剛性を向上させる部位として機能する。したがって、スパウトA1の第2部2にパウチ容器8を熱溶着する際に、一対の湾曲面部21の外面側から熱圧着されても、第2部2が変形することを抑制するのに適している。特に、筒状部31が円筒形であると、第2部2が変形しにくく、好ましい。また、スパウトA1がブロー成形で形成される場合、筒状部31は、チューブ型樹脂材料Cと略同じ厚さを有する。一方、連結部32や第2部2は、チューブ型樹脂材料Cの一部が内圧によって膨張することにより形成されており、チューブ型樹脂材料Cよりも厚さが薄くなる。このように、筒状部31が相対的に厚肉の部分として形成されることは、第3部3の剛性向上に好ましい。また、一対の湾曲面部21は、外側に緩やかに膨出した形状を有しており、ブロー成形により厚さが薄く延ばされた部位である。このため、一対の湾曲面部21は、加熱圧着によるわずかな変形にも対応し、熱溶着性を向上することができる。
【0072】
第3部3は、内部に凸部33を有する。凸部33は、連結部32の端部において第3部3の剛性を向上させる機能を果たす。また、凸部33は、第3部3(スパウトA1)の外部には突出していない。このため、スパウトA1を所望の外形に仕上げつつ、スパウトA1の剛性向上を図ることができる。
【0073】
第2部2は、複数の溝部22を有する。
図8および
図9に示すように、スパウト付きパウチ容器B1においてスパウトA1にパウチ容器8が熱溶着された領域は、複数の溝部22を含む。このため、パウチ容器8を熱溶着する際に、パウチ容器8と第2部2との間に存在する空気が、パウチ容器8と第2部2との間から外部に完全に押し出されなかったとしても、この空気を溝部22に滞留させることが可能である。したがって、パウチ容器8と第2部2(特に、湾曲面部21の外表面)との間に空気が残存し、意図しない空気溜まりが生じてしまうことを回避することができる。
【0074】
図11~
図15に示したように、本実施形態のスパウトA1の製造方法は、ブロー成形によって行う。ブロー成形は、チューブ型樹脂材料Cを金型9のキャビティ90に配置し、チューブ型樹脂材料C内に気体を吹き込むことにより、チューブ型樹脂材料Cをキャビティ90に沿った形に変形させる。このため、チューブ型樹脂材料Cの全長にわたってバリア層103’を設けておくことにより、本製造方法によって製造されるスパウトA1の全長にわたってバリア層103を設けることができる。これにより、スパウト付きパウチ容器B1においては、スパウトA1を透して酸素等の気体がパウチ容器8の収容空間88に入り込み、内容物89を変質させてしまうこと等を抑制することができる。
【0075】
チューブ型樹脂材料Cを第1開口910側と第2開口930側との双方から、第1封止体98および第2封止体99を挿入して封止することにより、スパウトA1に注出口10と流入口30とを形成することができる。注出口10と流入口30とは、チューブ型樹脂材料Cがほとんど膨張しない部分である。一方、第2部2は、チューブ型樹脂材料Cの一部が内圧によって膨張し、キャビティ90の第2室92に沿った形状とされた部分である。このため、流入口30の大きさを小さいものとしつつ、第2部2を、パウチ容器8に溶着するのに適した形状および大きさとすることができる。
【0076】
図13~
図15に示すように、第1封止体98および第2封止体99によって封止する工程においては、第1封止体98および第2封止体99を金型9に押し付けることにより、チューブ型樹脂材料Cを切断する。このため、チューブ型樹脂材料C内に気体を吹き込む工程を終えて、
図15に示すように、第1封止体98および第2封止体99を金型9から離脱させると、切断片c1,c2が自ずと取り除かれ、スパウトA1の形状が完成する。したがって、チューブ型樹脂材料Cを切断する工程を、単独の工程として設定する必要がなく、製造効率を高めることができる。
【0077】
図16~
図19は、本発明の変形例および他の実施形態を示している。なお、これらの図において、上記実施形態と同一または類似の要素には、上記実施形態と同一の符号を付している。
【0078】
<第1実施形態 第1変形例>
図16は、スパウトA1の第1変形例を示している。本例のスパウトA11は、凸部33の構成が、上述したスパウトA1と異なっている。スパウトA11の凸部33は、軸心Nを全方位から取り囲む完全な環状の形状ではなく、連結部32の下端の一部から突出する形状である。すなわち、図示された例においては、連結部32の下端のx方向における図中右端には凸部33が形成されているが、x方向の図中左端には凸部33が形成されていない。
【0079】
本例によっても、スパウトA11とパウチ容器との熱溶着をより適切に行うことができる。また、本例から理解されるように、凸部33の形成が、金型9によって型取りされたものではなく、製造時のバランスによって形成されるものであると考えられるため、凸部33の形状や大きさは種々に存在しうる。ただし、凸部33が形成されている度合いに応じて、上述した剛性向上の効果が期待できる。
【0080】
<第2実施形態>
図17は、本発明の第2実施形態に係るスパウトを示している。本実施形態のスパウトA2は、第3部3の構成が上述した実施形態と異なっている。本実施形態の第3部3は、凸部33を有していない。すなわち、スパウトA2を製造する際のバランスによって、明瞭な凸部33が形成されなかった場合に相当する。
【0081】
本実施形態によっても、スパウトA2とパウチ容器との熱溶着をより適切に行うことができる。また、凸部33を有していない構成であっても、第3部3を備えることにより、上述した剛性向上の効果が期待できる。
【0082】
<第3実施形態>
図18は、本発明の第3実施形態に係るスパウトを示している。本実施形態のスパウトA3は、第3部3の構成が、上述した実施形態と異なっている。本実施形態の第3部3は、z方向において第2部2から下方に向かうほどz方向と直角である断面の大きさが小さくなるテーパ形状とされている。このような第3部3は、たとえば、スパウトA1の製造に用いた金型の第3室93の形状を適宜変更することや、切断箇所を適宜設定することによって製造可能である。なお、製造方法においてチューブ型樹脂材料Cに負荷される力のバランスによって、スパウトA3は、凸部33を有さない場合と、凸部33を有する場合とがありうる。
【0083】
本実施形態によっても、スパウトA3とパウチ容器との熱溶着をより適切に行うことができる。また、第3部3が筒状部31を有さない構成であっても、第2部2よりも小さい流入口30を有することにより、剛性向上の効果が気体できる。
【0084】
<第4実施形態>
図19は、本発明の第4実施形態に係るスパウトの製造方法を示している。本実施形態においては、チューブ型樹脂材料C内に気体を吹き込む工程において、第2封止体99によって第2開口930側から気体を吹き込んでいる。具体的には、第2封止体99が吹き込み孔992を有しており、吹き込み孔992から気体が吹き込まれている。本実施形態においては、たとえば、第1封止体98によってチューブ型樹脂材料Cを封止する工程を完了された後に、第2封止体99によってチューブ型樹脂材料Cを封止する工程を完了させる。また、第2封止体99によってチューブ型樹脂材料Cを封止する工程の完了の前後において、吹き込み孔992から気体を吹き込むことにより、チューブ型樹脂材料C内に気体を吹き込む工程を行ってもよい。
【0085】
本実施形態によっても、スパウトとパウチ容器との熱溶着をより適切に行うことができる。また、本実施形態から理解されるように、チューブ型樹脂材料C内に気体を吹き込む工程は、第1開口910側から気体を吹き込んでもよいし、第2開口930側から気体を吹き込んでもよい。さらに、第1開口910側と第2開口930側との両側から気体を吹き込んでもよい。
【0086】
本発明に係るスパウト、スパウト付きパウチ容器およびスパウトの製造方法は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係るスパウト、スパウト付きパウチ容器およびスパウトの製造方法の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【符号の説明】
【0087】
A1,A11,A2,A3,B1:スパウト付きパウチ容器
1 :第1部
2 :第2部
3 :第3部
4 :第4部
7 :キャップ
8 :パウチ容器
9 :金型
10 :注出口
11 :本体部
12 :雄ねじ部
13 :環状突起
21 :湾曲面部
22 :溝部
30 :流入口
31 :筒状部
32 :連結部
33 :凸部
81 :主面部
82 :天シール部
83 :サイドシール部
84 :底シール部
88 :収容空間
89 :内容物
90 :キャビティ
91 :第1室
92 :第2室
93 :第3室
94 :第1導入部
95 :第2導入部
98 :第1封止体
99 :第2封止体
101,101’:外層
102,102’:内層
103,103’:バリア層
104,104’,105,105’:接合層
910 :第1開口
911,912:溝部
921 :凸部
930 :第2開口
931 :円柱部
932 :テーパ部
981 :段差部
982 :吹き込み孔
991 :段差部
992 :吹き込み孔
C :チューブ型樹脂材料
c1,c2:切断片
Dx1,Dx2,Dx3,Dy1,Dy2,Dy3 :寸法
N :軸心