(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-28
(45)【発行日】2025-04-07
(54)【発明の名称】車両用灯具、及びレンズ体
(51)【国際特許分類】
G02B 5/04 20060101AFI20250331BHJP
G02B 3/08 20060101ALI20250331BHJP
G02B 17/08 20060101ALI20250331BHJP
F21S 43/236 20180101ALI20250331BHJP
F21S 43/249 20180101ALI20250331BHJP
F21S 43/245 20180101ALI20250331BHJP
F21W 103/20 20180101ALN20250331BHJP
F21W 103/55 20180101ALN20250331BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20250331BHJP
【FI】
G02B5/04 A
G02B3/08
G02B17/08
F21S43/236
F21S43/249
F21S43/245
F21W103:20
F21W103:55
F21Y115:10
(21)【出願番号】P 2021021688
(22)【出願日】2021-02-15
【審査請求日】2024-01-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 浩二
【審査官】吉川 陽吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-064994(JP,A)
【文献】国際公開第2018/043663(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第104748034(CN,A)
【文献】特開2010-212039(JP,A)
【文献】特開2013-062074(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0240610(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/04
G02B 3/08
G02B 17/08
F21S 43/236
F21S 43/249
F21S 43/245
F21W 103/20
F21W 103/55
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズ体と、第1光源と、第2光源と、を備えた車両用灯具であって、
前記レンズ体は、第1入光面、全反射部、第1導光部、第2導光部、及び出光面を含み、
前記第1入光面は、前記第1光源が発光する第1の光が入光する入光面であり、
前記全反射部は、少なくとも2つの第1全反射面及び入光部を含み、
前記第1導光部は、前記第1入光面から入光した前記第1の光が前記第1全反射面に入射するように、前記第1入光面から入光した前記第1の光を前記全反射部まで導光する導光部であり、
前記第1全反射面は、前記第1導光部により導光され当該第1全反射面に入射する前記第1の光を全反射する全反射面であり、
前記入光部は、前記第2光源が発光する第2の光が入光する入光部であり、
前記第2導光部は、前記第1全反射面により全反射された前記第1の光及び前記入光部から入光した前記第2の光が前記出光面から出光するように、前記第1全反射面により全反射された前記第1の光及び前記入光部から入光した前記第2の光を前記出光面まで導光する導光部であり、
前記出光面は、前記第2導光部により導光される前記第1の光及び前記第2の光が出光する出光面であり、
前記少なくとも2つの第1全反射面は、同一面に含まれる車両用灯具。
【請求項2】
前記第1全反射面は、複数の細幅の全反射面であり、
前記入光部は、複数の細幅の入光部であり、
前記細幅の全反射面及び前記細幅の入光部は、並列かつ交互に配置されている請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記第2光源が発光する前記第2の光が入光する第2入光面と、
前記第2入光面から入光した前記第2の光が前記入光部から入光するように、前記第2入光面から入光した前記第2の光を前記入光部まで導光する第3導光部と、をさらに備える請求項2に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記第3導光部は、第4導光部、第2全反射面、第5導光部を含み、
前記第4導光部は、前記第2入光面から入光した前記第2の光が前記第2全反射面に入射するように、前記第2入光面から入光した前記第2の光を前記第2入光面まで導光する導光部であり、
前記第2全反射面は、前記第4導光部により導光され当該第2全反射面に入射する前記第2の光を全反射する全反射面であり、
前記第5導光部は、前記第2全反射面により全反射された前記第2の光が前記入光部から入光するように、前記第2全反射面により全反射された前記第2の光を前記入光部まで導光する導光部である請求項3に記載の車両用灯具。
【請求項5】
前記レンズ体は、前記第2入光面及び前記第3導光部をさらに含み、
前記細幅の全反射面及び前記細幅の入光部は、前記レンズ体に断続溝部を形成することにより構成されている請求項3又は4に記載の車両用灯具。
【請求項6】
前記断続溝部は、前記第3導光部により導光される前記第2の光の主光線に対して交差する方向に断続的に延びる断続V溝であり、
前記細幅の全反射面は、前記断続V溝を構成する2つの面のうち一方の面であり、
前記細幅の入光部は、互いに隣接する前記断続V溝間の部分である請求項5に記載の車両用灯具。
【請求項7】
前記細幅の入光部は、前記第2入光面から拡散光として入光した前記第2の光の傾きに応じて傾いた状態で形成されている請求項6に記載の車両用灯具。
【請求項8】
互いに隣接する前記断続V溝間のピッチは、1mm以下である請求項6又は7に記載の車両用灯具。
【請求項9】
前記第1光源を点灯し、前記第2光源を消灯した場合の前記出光面の明るさと前記第1光源を消灯し、前記第2光源を点灯した場合の前記出光
面の明るさとが略同一となるように、互いに隣接する前記断続V溝間のピッチ又は前記断続V溝の幅が調整されている請求項6から8のいずれか1項に記載の車両用灯具。
【請求項10】
前記第1光源を点灯し、前記第2光源を消灯した場合の前記出光面の明るさと前記第1光源を消灯し、前記第2光源を点灯した場合の前記出光
面の明るさとが互いに相違するように、互いに隣接する前記断続V溝間のピッチ又は前記断続V溝の幅が調整されている請求項6から8のいずれか1項に記載の車両用灯具。
【請求項11】
前記第1光源の発光色及び前記第2光源の発光色は、互いに相違する請求項9に記載の車両用灯具。
【請求項12】
前記第1光源の発光色及び前記第2光源の発光色は、互いに同一である請求項10に記載の車両用灯具。
【請求項13】
前記レンズ体とは別体の他のレンズ体をさらに備え、
前記他のレンズ体は、前記第2入光面及び前記第3導光部を含む請求項3又は4に記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用灯具に関し、特に、レンズ体の小型化、ひいては当該レンズ体を用いた車両用灯具の小型化を実現することができる車両用灯具、及びレンズ体に関する。
【背景技術】
【0002】
レンズ体と、第1光源と、第2光源と、を備えた車両用灯具が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、第1光源が発光する光を全反射する反射部(全反射面)と第2光源が発光する光が入光する透過部(入光面)とが交互に階段状に配置されたレンズ面を含むレンズ体が記載されている(特に、特許文献1の
図4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1においては、各々の反射部(全反射面)が同一面に含まれた状態で配置されておらず、各々の透過部の長さ分、レンズ体の長さ(特許文献1の
図4中、上下方向の長さ)が長くなり、レンズ体の小型化、ひいては当該レンズ体を用いた車両用灯具の小型化を実現するのが難しいという問題がある。
【0005】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、レンズ体の小型化、ひいては当該レンズ体を用いた車両用灯具の小型化を実現することができる車両用灯具、及びレンズ体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明にかかる車両用灯具は、レンズ体と、第1光源と、第2光源と、を備えた車両用灯具であって、前記レンズ体は、第1入光面、全反射部、第1導光部、第2導光部、及び出光面を含み、前記第1入光面は、前記第1光源が発光する第1の光が入光する入光面であり、前記全反射部は、少なくとも2つの第1全反射面及び入光部を含み、前記第1導光部は、前記第1入光面から入光した前記第1の光が前記第1全反射面に入射するように、前記第1入光面から入光した前記第1の光を前記全反射部まで導光する導光部であり、前記第1全反射面は、前記第1導光部により導光され当該第1全反射面に入射する前記第1の光を全反射する全反射面であり、前記入光部は、前記第2光源が発光する第2の光が入光する入光部であり、前記第2導光部は、前記第1全反射面により全反射された前記第1の光及び前記入光部から入光した前記第2の光が前記出光面から出光するように、前記第1全反射面により全反射された前記第1の光及び前記入光部から入光した前記第2の光を前記出光面まで導光する導光部であり、前記出光面は、前記第2導光部により導光される前記第1の光及び前記第2の光が出光する出光面であり、前記少なくとも2つの第1全反射面は、同一面に含まれる。
【0007】
このような構成により、レンズ体の小型化、ひいては当該レンズ体を用いた車両用灯具の小型化を実現することができる。
【0008】
これは、各々の第1全反射面が同一面に含まれた状態で配置されていることによるものである。
【0009】
また、上記車両用灯具において、前記第1全反射面は、複数の細幅の全反射面であり、前記入光部は、複数の細幅の入光部であり、前記細幅の全反射面及び前記細幅の入光部は、並列かつ交互に配置されていてもよい。
【0010】
また、上記車両用灯具において、前記第2光源が発光する前記第2の光が入光する第2入光面と、前記第2入光面から入光した前記第2の光が前記入光部から入光するように、前記第2入光面から入光した前記第2の光を前記入光部まで導光する第3導光部と、をさらに備えていてもよい。
【0011】
また、上記車両用灯具において、前記第3導光部は、第4導光部、第2全反射面、第5導光部を含み、前記第4導光部は、前記第2入光面から入光した前記第2の光が前記第2全反射面に入射するように、前記第2入光面から入光した前記第2の光を前記第2入光面まで導光する導光部であり、前記第2全反射面は、前記第4導光部により導光され当該第2全反射面に入射する前記第2の光を全反射する全反射面であり、前記第5導光部は、前記第2全反射面により全反射された前記第2の光が前記入光部から入光するように、前記第2全反射面により全反射された前記第2の光を前記入光部まで導光する導光部であってもよい。
【0012】
また、上記車両用灯具において、前記レンズ体は、前記第2入光面及び前記第3導光部をさらに含み、前記細幅の全反射面及び前記細幅の入光部は、前記レンズ体に断続溝部を形成することにより構成されていてもよい。
【0013】
また、上記車両用灯具において、前記断続溝部は、前記第3導光部により導光される前記第2の光の主光線に対して交差する方向に断続的に延びる断続V溝であり、前記細幅の全反射面は、前記断続V溝を構成する2つの面のうち一方の面であり、前記細幅の入光部は、互いに隣接する前記断続V溝間の部分であってもよい。
【0014】
また、上記車両用灯具において、前記細幅の入光部は、前記第2入光面から拡散光として入光した前記第2の光の傾きに応じて傾いた状態で形成されていてもよい。
【0015】
また、上記車両用灯具において、互いに隣接する前記断続V溝間のピッチは、1mm以下であってもよい。
【0016】
また、上記車両用灯具において、前記第1光源を点灯し、前記第2光源を消灯した場合の前記出光面の明るさと前記第1光源を消灯し、前記第2光源を点灯した場合の前記出光部の明るさとが略同一となるように、互いに隣接する前記断続V溝間のピッチ又は前記断続V溝の幅が調整されていてもよい。
【0017】
また、上記車両用灯具において、前記第1光源を点灯し、前記第2光源を消灯した場合の前記出光面の明るさと前記第1光源を消灯し、前記第2光源を点灯した場合の前記出光部の明るさとが互いに相違するように、互いに隣接する前記断続V溝間のピッチ又は前記断続V溝の幅が調整されていてもよい。
【0018】
また、上記車両用灯具において、前記第1光源の発光色及び前記第2光源の発光色は、互いに相違していてもよい。
【0019】
また、上記車両用灯具において、前記第1光源の発光色及び前記第2光源の発光色は、互いに同一であってもよい。
【0020】
また、上記車両用灯具において、前記レンズ体とは別体の他のレンズ体をさらに備え、前記他のレンズ体は、前記第2入光面及び前記第3導光部を含んでもよい。
【0021】
本発明にかかるレンズ体は、第1入光面、全反射部、第1導光部、第2導光部、及び出光面を含み、前記第1入光面は、第1の光が入光する入光面であり、前記全反射部は、少なくとも2つの第1全反射面及び入光部を含み、前記第1導光部は、前記第1入光面から入光した前記第1の光が前記第1全反射面に入射するように、前記第1入光面から入光した前記第1の光を前記全反射部まで導光する導光部であり、前記第1全反射面は、前記第1導光部により導光され当該第1全反射面に入射する前記第1の光を全反射する全反射面であり、前記入光部は、第2の光が入光する入光部であり、前記第2導光部は、前記第1全反射面により全反射された前記第1の光及び前記入光部から入光した前記第2の光が前記出光面から出光するように、前記第1全反射面により全反射された前記第1の光及び前記入光部から入光した前記第2の光を前記出光面まで導光する導光部であり、前記出光面は、前記第2導光部により導光される前記第1の光及び前記第2の光が出光する出光面であり、前記少なくとも2つの第1全反射面は、同一面に含まれる。
【発明の効果】
【0022】
本発明により、レンズ体の小型化、ひいては当該レンズ体を用いた車両用灯具の小型化を実現することができる車両用灯具、及びレンズ体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】車両用灯具10の斜視図である(第1光源30A、第2光源30B省略)。
【
図2】
図1の縦断面図(XZ平面に対して平行な平面による断面図)である。
【
図4】(a)
図1中のA1方向から見た矢視図、(b)
図4(a)中の矩形B1内の拡大図、(c)
図4(b)中のA-A断面図、(d)
図4(b)中のB-B断面図である。
【
図5】第1の光Ray
30A及び第2の光Ray
30Bの光路を表す図である。
【
図7】細幅の第1全反射面23a(傾斜面G1)と第2の光Ray
30Bが入光する面(例えば、YZ平面に対して平行な平面G2)とを交互に配置した例である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態である車両用灯具10について添付図面を参照しながら説明する。各図において対応する構成要素には同一の符号が付され、重複する説明は省略される。
【0025】
本実施形態の車両用灯具10は、ターンランプ及びDRLランプとして機能する車両用信号灯具で、自動車等の車両(図示せず)の前端部の左右両側にそれぞれ搭載される。
【0026】
図1は、車両用灯具10の斜視図である(第1光源30A、第2光源30B省略)。
図2は、
図1の縦断面図(XZ平面に対して平行な平面による断面図)である。
【0027】
図1、
図2に示すように、車両用灯具10は、レンズ体20、第1光源30A、第2光源30Bを備えている。以下、説明の便宜のため、
図1等に示すように、XYZ軸を定義する。X軸は、車両前後方向に延びている。Y軸は、車幅方向に延びている。Z軸は、鉛直方向に延びている。
【0028】
レンズ体20は、アクリルやポリカーボネイト等の透明樹脂製で、第1入光面21、第2入光面22、全反射部23、第1導光部24、第2導光部25、第3導光部26、及び出光面27を含む。レンズ体20は、例えば、射出成形又は削り出しにより一体物として製造することができる。
【0029】
第1入光面21は、第1光源30Aが発光する光(以下、第1の光Ray
30Aと呼ぶ。
図2参照)が入光する入光面である。第1入光面21は、円柱軸がY方向に延びた円柱状(シリンドリカル状)のレンズ面である。第1入光面21は、第1光源30Aが発光する第1の光Ray
30Aが入光するように、第1光源30Aが対向した状態で配置されている。なお、第1入光面21は、第1光源30Aが発光する第1の光Ray
30Aをコリメートするレンズ面であってもよい。
【0030】
第2入光面22は、第2光源30Bが発光する光(以下、第2の光Ray
30Bと呼ぶ。
図2参照)が入光する入光面である。第2入光面22は、円柱軸がY方向に延びた円柱状(シリンドリカル状)のレンズ面である。第2入光面22は、第2光源30Bが発光する第2の光Ray
30Bが入光するように、第2光源30Bが対向した状態で配置されている。なお、第2入光面22は、第2光源30Bが発光する第2の光Ray
30Bをコリメートするレンズ面であってもよい。
【0031】
図3は、全反射部23近傍の斜視図である。
図4(a)は
図1中のA1方向から見た矢視図、
図4(b)は
図4(a)中の矩形B1内の拡大図、
図4(c)は
図4(b)中のA-A断面図、
図4(d)は
図4(b)中のB-B断面図である。
【0032】
図3、
図4(b)に示すように、全反射部23は、複数の細幅の第1全反射面23a(本発明の第1全反射面の一例)、複数の細幅の入光部23b(本発明の入光部の一例)を含む。細幅の第1全反射面23a及び細幅の入光部23bは、Y方向に並列かつ交互に形成(配置)されている。細幅の第1全反射面23a(複数)は、同一面P(平面。
図3参照)に含まれている。同一面P上における細幅の第1全反射面23aの長さL
23a及び細幅の入光部23bの長さL
23bは互いに同一である(
図3参照)。
【0033】
図4(c)に示すように、細幅の第1全反射面23aは、第1導光部24により導光され当該第1全反射面23aに入射する第1の光Ray
30Aを全反射する全反射面である。第1全反射面23aは、例えば、平面反射面で、YZ平面に対して角度θ1(
図2参照。例えば、θ1=45°)傾斜した姿勢で配置されている。
図4(d)に示すように、細幅の入光部23bは、第2光源30Bが発光する第2の光Ray
30Bが入光(透過)する入光部(素通部)である。
【0034】
細幅の第1全反射面23a、細幅の入光部23bは、レンズ体20に断続溝部G(
図3参照)を形成することにより構成されている。
【0035】
断続溝部Gは、第3導光部26により導光される第2の光Ray
30B(主光線。
図4(d)参照)に対して交差する方向(例えば、直交するY方向)に断続的に延びるV溝である。以下、断続V溝Gと呼ぶ。断続V溝G間のピッチp(
図3参照)は、1mm以下である。
【0036】
図4(c)に示すように、断続V溝Gは、YZ平面に対して角度θ1傾斜した傾斜面G1及びYZ平面に対して平行な平面G2により構成される上方に向かって開いたV溝である。細幅の入光部23bは、互いに隣接する断続V溝G間の部分である(
図3参照)。
【0037】
細幅の入光部23bは、第2の光Ray30Bの傾きに応じて傾いた状態で形成されている。以下、この点について説明する。
【0038】
図3中、符号R0は第2の光Ray
30Bの主光線(光軸)を表し、符号R1は主光線R0に対して第1角度傾いた光線を表し、符号R2は主光線R0に対して第2角度(第2角度>第1角度)傾いた光線を表す。また、符号23b1は光線R1が入光する細幅の入光部23bを表し、符号23b2は光線R2が入光する細幅の入光部23bを表す。
図3を参照すると、第2入光面22から入光した第2の光Ray
30B(光線R1)が細幅の入光部23b1から入光するように(細幅の入光部23b1を透過するように)、細幅の入光部23b1は、第2の光Ray
30B(光線R1)の傾きに応じて傾いた状態で形成されている。同様に、第2入光面22から入光した第2の光Ray
30B(光線R2)が細幅の入光部23b2から入光するように(細幅の入光部23b2を透過するように)、細幅の入光部23b2は、第2の光Ray
30B(光線R2)の傾きに応じて傾いた状態で形成されている。他の細幅の入光部23bについても同様である。
【0039】
このように、細幅の入光部23bを第2の光Ray30Bの傾きに応じて傾いた状態で形成することにより、第3導光部26により導光される第2の光Ray30B(Y方向の拡散光)を、細幅の入光部23b(複数)から入光(細幅の入光部23b(複数)を透過)させることができる。
【0040】
図2に示すように、第1導光部24は、第1入光面21から入光した第1の光Ray
30Aが全反射部23(細幅の第1全反射面23a(複数))に入射するように、第1入光面21から入光した第1の光Ray
30Aを全反射部23まで導光する導光部である。
【0041】
第1導光部24は、X方向に関し互いに対向する一対の主面24a、24b(
図2参照)とY方向に関し互いに対向する一対の側面24c、24d(
図1参照)とを含み、一対の側面24c、24dが上方に向かってV字状に開いた逆台形板状のレンズ部である(
図1参照)。
【0042】
第3導光部26は、第2入光面22から入光した第2の光Ray30Bが細幅の入光部23b(複数)から入光するように、第2入光面22から入光した第2の光Ray30Bを全反射部23(細幅の入光部23b(複数))まで導光する導光部である。
【0043】
第3導光部26についてさらに具体的に説明する。
【0044】
図1、
図2に示すように、第3導光部26は、第4導光部26a、第2全反射面26b、第5導光部26cを含む。
【0045】
第4導光部26aは、第2入光面22から入光した第2の光Ray30Bが第2全反射面26bに入射するように、第2入光面22から入光した第2の光Ray30Bを第2全反射面26bまで導光する導光部である。
【0046】
第4導光部26aは、X方向に関し互いに対向する一対の主面26a1、26a2(
図2参照)とY方向に関し互いに対向する一対の側面26a3、26a4(
図1参照)とを含み、一対の側面26a3、26a4が上方に向かってV字状に開いた逆台形板状のレンズ部である(
図1参照)。
【0047】
第2全反射面26bは、第4導光部26aにより導光され当該第2全反射面26bに入射する第2の光Ray
30Bを全反射する全反射面である。第2全反射面26bは、例えば、平面反射面で、YZ平面に対して角度θ2(
図2参照。例えば、θ2=45°)傾斜した姿勢で配置されている。
【0048】
第5導光部26cは、第2全反射面26bにより全反射された第2の光Ray30Bが細幅の入光部23b(複数)から入光するように、第2全反射面26bにより全反射された第2の光Ray30Bを全反射部23(細幅の入光部23b(複数))まで導光する導光部である。
【0049】
第2導光部25は、細幅の第1全反射面23a(複数)により全反射された第1の光Ray30A及び細幅の入光部23b(複数)から入光した第2の光Ray30Bが出光面27から出光するように、細幅の第1全反射面23a(複数)により全反射された第1の光Ray30A及び細幅の入光部23b(複数)から入光した第2の光Ray30Bを出光面27まで導光する導光部である。
【0050】
第2導光部25についてさらに具体的に説明する。
【0051】
図1、
図2に示すように、第2導光部25は、第6導光部25a、第3全反射面25b、第7導光部25c、第4全反射面25d、第8導光部25eを含む。
【0052】
第6導光部25aは、細幅の第1全反射面23a(複数)により全反射された第1の光Ray30A及び細幅の入光部23b(複数)から入光した第2の光Ray30Bが第3全反射面25bに入射するように、細幅の第1全反射面23a(複数)により全反射された第1の光Ray30A及び細幅の入光部23b(複数)から入光した第2の光Ray30Bを第3全反射面25bまで導光する導光部である。
【0053】
第3全反射面25bは、第6導光部25aにより導光され当該第3全反射面25bに入射する第1の光Ray30A及び第2の光Ray30Bを全反射する全反射面である。
【0054】
第7導光部25cは、第3全反射面25bにより全反射された第1の光Ray30A及び第2の光Ray30Bが第4全反射面25dに入射するように、第3全反射面25bにより全反射された第1の光Ray30A及び第2の光Ray30Bを第4全反射面25dまで導光する導光部である。
【0055】
第4全反射面25dは、第7導光部25cにより導光され当該第4全反射面25dに入射する第1の光Ray30A及び第2の光Ray30Bを全反射する全反射面である。
【0056】
第8導光部25eは、第4全反射面25dにより全反射された第1の光Ray30A及び第2の光Ray30Bが出光面27から出光するように、第4全反射面25dにより全反射された第1の光Ray30A及び第2の光Ray30Bを出光面27まで導光する導光部である。
【0057】
出光面27は、上記のように第2導光部25により導光される第1の光Ray
30A及び第2の光Ray
30Bが出光する出光面である。例えば、出光面27は、外形がY方向に長くZ方向に短い矩形の平面である(
図1参照)。なお、出光面27は、これに限らず、車両デザイン、灯具デザインに応じて様々な形態の出光面27を用いてもよい。
【0058】
第1光源30Aは、アンバー光を発光するLED等の半導体発光素子である。第1光源30Aは、発光面(例えば、1mm角の矩形の発光面)を備える。第1光源30Aは、発光面が上向きかつ第1入光面21に対向した状態で基板(図示せず)に実装されている。第1入光面21の光軸AX
21と第1光源30Aの光軸AX
30Aは、一致(略一致)している(
図2参照)。
【0059】
第2光源30Bは、白色光を発光するLED等の半導体発光素子である。第2光源30Bは、発光面(例えば、1mm角の矩形の発光面)を備える。第2光源30Bは、発光面が上向きかつ第2入光面22に対向した状態で基板(図示せず)に実装されている。第2入光面22の光軸AX
22と第2光源30Bの光軸AX
30Bは、一致(略一致)している(
図2参照)。
【0060】
上記構成の車両用灯具10においては、第1光源30Aを点灯し、第2光源30Bを消灯することで、ターンランプを実現することができる。
【0061】
図5は、第1の光Ray
30A及び第2の光Ray
30Bの光路を表す図である。
【0062】
第1光源30Aが点灯され、第2光源30Bが消灯されると、
図5等に示すように、第1光源30Aが発光した第1の光Ray
30Aは、第1入光面21から入光する。その際、第1入光面21は円柱軸がY方向に延びた円柱状(シリンドリカル状)のレンズ面であるため、第1の光Ray
30Aは、X方向に関し集光し、Y方向に関し拡散した光として入光する。
【0063】
第1入光面21から入光した第1の光Ray30Aは、第1導光部24により導光され、全反射部23(細幅の第1全反射面23a(複数))に入射し、当該全反射部23(細幅の第1全反射面23a(複数))により全反射される。この全反射部23(細幅の第1全反射面23a(複数))により全反射された第1の光Ray30Aは、第2導光部25により最終的に出光面27まで導光され当該出光面27から出光する。この出光面27から出光する第1の光Ray30Aにより、ターンランプが実現される。その際、細幅の第1全反射面23a(複数)がレンズ体20のY方向の幅全域に配置されており、第1の光Ray30Aがレンズ体20(第2導光部25)の肉厚全体に広がるため、出光面27全域が発光する(第1発光部)。
【0064】
一方、第1光源30Aが消灯され、第2光源30Bが点灯されると、
図5等に示すように、第2光源30Bが発光した第2の光Ray
30Bは、第2入光面22から入光する。その際、第2入光面22は円柱軸がY方向に延びた円柱状(シリンドリカル状)のレンズ面であるため、第2の光Ray
30Bは、X方向に関し集光し、Y方向に関し拡散した光として入光する。第2入光面22から入光した第2の光Ray
30Bは、第4導光部26aにより導光され、第2全反射面26bに入射し、当該第2全反射面26bにより全反射され、さらに、第5導光部26cにより導光され、細幅の入光部23b(複数)から入光する。
【0065】
その際、細幅の入光部23b(複数)は第2の光Ray
30B(光線)の傾きに応じて傾いた状態で形成されている(
図3参照)ため、第3導光部26により導光される第2の光Ray
30B(Y方向の拡散光)は、細幅の入光部23b(複数)から入光する(細幅の入光部23b(複数)を透過する)。
【0066】
この細幅の入光部23b(複数)から入光した第2の光Ray30Bは、第2導光部25により最終的に出光面27まで導光され当該出光面27から出光する。この出光面27から出光する第2の光Ray30Bにより、DRLランプが実現される。その際、細幅の入光部23b(複数)がレンズ体20のY方向の幅全域に配置されており、第2の光Ray30Bがレンズ体20(第2導光部25)の肉厚全体に広がるため、出光面27全域が発光する(第2発光部)。
【0067】
なお、第1光源30Aが第2光源30Bに比べ暗く、第1光源30Aを点灯し、第2光源30Bを消灯した場合の出光面27(第1発光部)の明るさ(輝度)が第1光源30Aを消灯し、第2光源30Bを点灯した場合の出光面27(第2発光部)の明るさ(輝度)に比べ暗くなる場合、第1発光部と第2発光部の明るさ(輝度)が同一(略同一)となるように、互いに隣接する断続V溝G間のピッチp(
図3参照)又は断続V溝GのY方向の幅等を調整してもよい。
【0068】
次に、比較例について説明する。
【0069】
【0070】
図6に示すように、比較例のレンズ体40においては、全反射部23に代えて、第2全反射面26bと同様の全反射面23Aを用いている。それ以外、比較例のレンズ体40は、上記実施形態のレンズ体20と同様の構成である。
【0071】
比較例のレンズ体40においては、全反射面23A及び第2全反射面26bがZ方向の異なる位置に配置されており、Z方向の肉厚がL1となる(
図6参照)のに対して、上記実施形態のレンズ体20においては、全反射部23及び第2全反射面26bがZ方向の同一位置に配置されおり、Z方向の肉厚がL2となる(
図2参照。L2<L1)。すなわち、上記実施形態によれば、比較例のレンズ体40と比べ、レンズ体20の肉厚を薄くすることができるという利点がある。また、上記実施形態のレンズ体20においては、X方向に関し、第2入光面22の長さL3(
図2参照)を長くできるため、第2光源30Bが発光する第2の光Ray
30Bの取り込み効率が向上するという利点もある。
【0072】
以上説明したように、本実施形態によれば、レンズ体20の小型化、ひいては当該レンズ体20を用いた車両用灯具10の小型化を実現することができる。
【0073】
これは、各々の第1全反射面23aが同一面P(
図3参照)に含まれた状態で配置されていることによるものである。
【0074】
また、本実施形態によれば、全反射部23により、第1の光Ray
30A及び第2の光Ray
30Bがレンズ体20(第2導光部25)の肉厚の全体に広がりながら出光面27に向かって導光されるため、出光面27での輝度が均一(略均一)になり点灯フィーリングが向上する。特に、断続V溝G間のピッチp(
図3参照)を1mm以下にすることで、第1光源30Aを点灯し、第2光源30Bを消灯した場合の細幅の入光部23b間の暗部を目立たなくすることができる。また、第1光源30Aを消灯し、第2光源30Bを点灯した場合の細幅の第1全反射面23a間の暗部を目立たなくすることができる。なお、ピッチpは1mm以上であってもよい。
【0075】
また、本実施形態によれば、比較例のレンズ体20Aと比べ、レンズ体20の肉厚を薄くすることができ、これにより、レンズ体20の軽量化が可能となる。
【0076】
また、本実施形態によれば、互いに隣接する断続V溝G間のピッチp(
図3参照)又は断続V溝GのY方向の幅を調整することにより、出光面27での明るさ(輝度、光量等)を調整することができる。
【0077】
次に、変形例について説明する。
【0078】
上記実施形態では、第1光源30Aとしてアンバー光を発光する光源を用い、第2光源30Bとして白色光を発光する光源を用いた例について説明したが、これに限らない。例えば、反対に、第1光源30Aとして白色光を発光する光源を用い、第2光源30Bとしてアンバー色光を発光する光源を用いてもよい。また例えば、第1光源30Aとしてアンバー光を発光する光源を用い、第2光源30Bとして赤色光を発光する光源を用いてもよい(ターンランプ及びテールランプとして機能させる場合)。また例えば、第1光源30Aとして赤光を発光する光源を用い、第2光源30Bとしてより濃い赤色光を発光する光源を用いてもよい(テールランプ及びストップランプとして機能させる場合)。また例えば、第1光源30Aとして白色を発光する光源を用い、第2光源30Bとして白色光を発光する光源を用いてもよい(ポジションランプ及びDRLランプとして機能させる場合)。なお、ポジションランプ及びDRLランプとして機能させる場合、第1発光部と第2発光部の明るさ(輝度)が互いに相違するように、互いに隣接する断続V溝G間のピッチp(
図3参照)又は断続V溝GのY方向の幅等を調整してもよい。なお、第1光源30A及び第2光源30Bとして発光色が同じ光源を用い、同時に点灯させてもよい。
【0079】
また、上記実施形態では、断続V溝Gが、YZ平面に対して角度θ1傾斜した傾斜面G1及びYZ平面に対して平行な平面G2により構成される上方に向かって開いたV溝である例(
図4(c)参照)について説明したが、これに限らない。
【0080】
例えば、
図7に示すように、細幅の第1全反射面23a(傾斜面G1)は、第5導光部26cにより導光され、当該第5導光部26cの端面(平面G2)から出光する第2の光Ray
30Bが入光する面G3(例えば、YZ平面に対して平行な平面)を含んでいてもよい。
図7は、第1全反射面23a(傾斜面G1)と第2の光Ray
30Bが入光する面G3とを縦方向(Z方向)に交互に配置した例である。なお、第2の光Ray
30Bが入光する面G3は、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。
【0081】
また、上記実施形態では、第2入光面22及び第3導光部26を含む1つのレンズ体20を用いる例について説明したが、これに限らない。例えば、レンズ体20を
図4(c)中の一点鎖線C1及び
図4(d)中の一点鎖線C2を含むYZ面に対して平行な平面で切断した2つのレンズ体20A、20B(
図8(a)、
図8(b)参照)を用いてもよい。
図8(a)、
図8(b)は、レンズ体20の変形例である。
【0082】
また、
図8(c)に示すように、レンズ体20Bを省略し、レンズ体20Aのみを用い、第2光源30Bが発光する第2の光Ray
30Bを、細幅の入光部23b(複数)から導光部を介することなく直接入光させてもよい。
図8(c)は、レンズ体20の変形例である。
【0083】
また、上記実施形態では、第2導光部25として、第6導光部25a、第3全反射面25b、第7導光部25c、第4全反射面25d、第8導光部25eを含む導光部を用いた例について説明したが、これに限らない。すなわち、第2導光部25は、細幅の第1全反射面23a(複数)により全反射された第1の光Ray30A及び細幅の入光部23b(複数)から入光した第2の光Ray30Bを出光面27まで導光する導光部であれば、どのような構成であってもよい。
【0084】
また、上記実施形態では、第3導光部26として、第4導光部26a、第2全反射面26b、第5導光部26cを含む導光部を用いた例について説明したが、これに限らない。すなわち、第3導光部26は、第2入光面22から入光した第2の光Ray30Bを全反射部23(細幅の入光部23b(複数))まで導光する導光部であれば、どのような構成であってもよい。
【0085】
また上記実施形態では、本発明の車両用灯具をターンランプ及びDRLランプとして機能する車両用信号灯具に適用した例について説明したが、これに限らない。例えば、ターンランプ及びテールランプとして機能する信号用灯具、テールランプ及びストップランプとして機能する信号用灯具、ポジションランプ及びDRLランプとして機能する信号用灯具その他の車両用信号灯具に本発明の車両用灯具、レンズ体を適用してもよい。また、車両用信号灯具だけでなく、アクセサリランプ(車載用アクセサリランプ)、一般照明にも本発明の車両用灯具、レンズ体を適用してもよい。
【0086】
上記各実施形態で示した各数値は全て例示であり、これと異なる適宜の数値を用いることができるのは無論である。
【0087】
上記各実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎない。上記各実施形態の記載によって本発明は限定的に解釈されるものではない。本発明はその精神または主要な特徴から逸脱することなく他の様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0088】
10…車両用灯具、20、20A、20B…レンズ体、21…第1入光面、22…第2入光面、23…全反射部、23A…全反射面、23a…第1全反射面、23b…入光部、23b1…入光部、23b2…入光部、24…第1導光部、24a、24b…主面、24c、24d…側面、25…第2導光部、25a…第6導光部、25b…第3全反射面、25c…第7導光部、25d…第4全反射面、25e…第8導光部、26…第3導光部、26a…第4導光部、26a1、26a2…主面、26a3、26a4…側面、26b…第2全反射面、26c…第5導光部、27…出光面、30A…第1光源、30B…第2光源、40…レンズ体、AX21、AX22、AX30A、AX30B…光軸、G…断続溝部(断続V溝)、G1…傾斜面、G2…平面、P…同一面、R0…主光線、R1、R2…光線、Ray30A…第1の光、Ray30B…第2の光、p…ピッチ、θ1、θ2…角度