(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-28
(45)【発行日】2025-04-07
(54)【発明の名称】IREのための電極として固体導電性スパインを有するバスケットカテーテル
(51)【国際特許分類】
A61B 18/14 20060101AFI20250331BHJP
【FI】
A61B18/14
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021064609
(22)【出願日】2021-04-06
【審査請求日】2024-02-28
(32)【優先日】2020-04-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】アサフ・ゴバリ
(72)【発明者】
【氏名】アンドレス・クラウディオ・アルトマン
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー・トーマス・ビークラー
【審査官】木村 立人
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2021/113463(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/195933(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/171921(WO,A2)
【文献】米国特許出願公開第2018/0214202(US,A1)
【文献】国際公開第2019/226640(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/12―18/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療装置であって、
プローブであって、
患者の体腔への挿入用に構成された挿入チューブと、
前記挿入チューブに遠位で接続され、前記体内の組織と接触するように構成されている複数の導電性スパインを含むバスケットアセンブリと、を含む、プローブと、
前記
複数の導電性スパインの
内の第1の導電性スパインと第2の導電性スパインとの間に、前記
第1の導電性スパイン
および前記第2の導電性スパインが接触する前記組織内に不可逆的エレクトロポレーション(IRE)を引き起こすのに十分な振幅を有する双極性パルスを印加するように構成された電気信号発生器と、を備え
、
前記双極性パルスが前記第1の導電性スパインと前記第2の導電性スパインとの間に印加された場合に、電流が前記第1の導電性スパインの全長と前記第2の導電性スパインの全長との間に流れる、医療装置。
【請求項2】
前記
導電性スパインがそれぞれの近位先端及び遠位先端を有し、前記
導電性スパインの前記近位先端は、前記バスケットアセンブリの近位端で機械的に接合され、前記
導電性スパインの前記遠位先端は、前記バスケットアセンブリの遠位端で機械的に接合され、前記バスケットアセンブリが前記体腔内で展開されると、前記
導電性スパインは、半径方向外向きに撓み、それによって前記体腔内の前記組織と接触する、請求項1に記載の
医療装置。
【請求項3】
前記バスケットアセンブリが安定した折り畳み状態を有し、前記
医療装置は、前記バスケットアセンブリの前記遠位端に取り付けられ、前記挿入チューブ内に摺動可能に配置された牽引具を備え、前記挿入チューブを通して近位方向に前記牽引具を引くことに応答して、前記
導電性スパインが半径方向外向きに撓むようになっている、請求項2に記載の
医療装置。
【請求項4】
前記牽引具が、強化ポリマーチューブを含む、請求項3に記載の
医療装置。
【請求項5】
前記挿入チューブが、前記患者の心室への挿入用に構成されたカテーテルを含み、前記
導電性スパインが、前記心室内の心筋組織と接触し、前記心筋組織に
電気信号を印加するように構成されている、請求項1に記載の
医療装置。
【請求項6】
前記
導電性スパインが引き抜き加工の金属リボンを含む、請求項1に記載の
医療装置。
【請求項7】
前記金属リボンがニッケル-チタン合金を含む、請求項6に記載の
医療装置。
【請求項8】
前記
導電性スパインが、構造部材に結合されたフレキシブルプリント回路基板を含む、請求項1に記載の
医療装置。
【請求項9】
前記電気信号発生器によって印加される前記双極性パルスが、少なくとも200Vの振幅を有する双極性パルスのシーケンスを含み、前記双極性パルスのそれぞれの持続時間が20μs未満である、請求項1に記載の
医療装置。
【請求項10】
前記双極性パルスの前記シーケンスがパルスの対を含み、それぞれの対は正のパルス及び負のパルスを含む、請求項9に記載の
医療装置。
【請求項11】
前記電気信号発生器は、前記
導電性スパインの第1のセットと第2のセットとの間に前記双極性パルスを印加するように構成され、
前記第1のセット
および前記第2のセットのうちの少なくとも1つは、前記
導電性スパインのうちの2つ以上を含む、請求項1に記載の
医療装置。
【請求項12】
制御信号を前記電気信号発生器に送信するように構成されたコントローラを備え、前記電気信号発生器は、
パルス発生アセンブリであって、前記コントローラから前記制御信号を受信し、前記制御信号に応答する振幅及び持続時間を有する双極性パルスのシーケンスを送信するように構成された、パルス発生アセンブリと、
パルスルーティングアセンブリであって、前記コントローラから前記制御信号を受信し、前記パルス発生アセンブリから前記双極性パルスのシーケンスを受信し、受信した前記制御信号に応答して前記
導電性スパインのセットを選択するように構成されている、スイッチの構成可能なネットワークを含み、それぞれのセットは、前記
導電性スパインのうちの1つ以上を含み、選択した前記セットを介して前記双極性パルスのシーケンスを送信するようになっている、パルスルーティングアセンブリと、を備える、請求項1に記載の
医療装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に医療機器に関し、特に、体内の組織をアブレーションするための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
不可逆的エレクトロポレーション(IRE)は、強い電界の短パルスを印加して細胞膜内に永久的、それゆえ致死的なナノ細孔を形成し、それにより細胞恒常性(内部の物理的条件及び化学的条件)を崩壊させる軟組織アブレーション技術である。IRE後の細胞死は、アポトーシス(プログラムされた細胞死)に起因し、他の熱及び放射線ベースのアブレーション技術におけるような壊死(細胞自体の酵素の作用を通じて細胞の破壊をもたらす細胞傷害)に起因しない。IREは普通、精度、並びに細胞外マトリックス、血流、及び神経の保全が重要な領域における腫瘍のアブレーションで使用される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
下に記載される本発明の実施形態は、体内の組織をアブレーションするための改良されたシステム及び方法を提供する。
【0004】
したがって、本発明の実施形態に従って、プローブを含む医療装置を提供する。プローブは、患者の体腔に挿入するように構成された挿入チューブと、挿入チューブに遠位で接続されたバスケットアセンブリと、体内の組織と接触するように構成された複数の弾性的な導電性スパインと、を含む。本装置は、スパインの1つ以上の対の間に、スパインが接触する組織内に不可逆的エレクトロポレーション(IRE)を引き起こすのに十分な振幅を有する双極性パルスを印加するように構成された電気信号発生器を更に含む。
【0005】
開示される実施形態では、スパインはそれぞれの近位先端及び遠位先端を有し、スパインの近位先端は、バスケットアセンブリの近位端で機械的に接合され、スパインの遠位先端は、バスケットアセンブリの遠位端で機械的に接合され、バスケットアセンブリが体腔内で展開されると、スパインは、半径方向外向きに撓み、それによって体腔内の組織と接触する。
【0006】
更に開示される実施形態では、バスケットアセンブリは、安定した折り畳み状態を有し、装置は、バスケットアセンブリの遠位端に取り付けられ、挿入チューブ内に摺動可能に配置された牽引具を備え、挿入チューブを通して牽引具を近位方向に引くことに応答して、スパインが半径方向外向きに撓むようになっている。追加的に又は代替的に、牽引具は、強化ポリマーチューブを含む。
【0007】
いくつかの実施形態では、挿入チューブは、患者の心室への挿入用に構成された可撓性カテーテルを含み、スパインは、心室内の心筋組織と接触し、心筋組織に電気信号を印加するように構成されている。
【0008】
更なる実施形態では、スパインは、ニッケル-チタン合金から製造され得る、引き抜き加工の金属リボンを含む。追加的に又は代替的に、スパインは、構造部材に結合されたフレキシブルプリント回路基板を含む。
【0009】
開示される実施形態では、電気信号発生器によって印加される双極性パルスは、少なくとも200Vの振幅を有する双極性パルスのシーケンスを含み、双極性パルスのそれぞれの持続時間は20μs未満である。追加的に又は代替的に、双極性パルスのシーケンスは、パルスの対を含み、それぞれの対は正のパルス及び負のパルスを含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、電気信号発生器は、スパインの第1のセットと第2のセットとの間に双極性パルスを印加するように構成され、セットのうちの少なくとも1つは、スパインのうちの2つ以上を含む。
【0011】
更なる実施形態では、装置は、制御信号を電気信号発生器に送信するように構成されたコントローラを含み、電気信号発生器は、コントローラから制御信号を受信し、制御信号に応答した振幅及び持続時間を有する双極性パルスのシーケンスを送信するように構成されたパルス発生アセンブリを含む。電気信号発生器は、パルスルーティングアセンブリを含み、パルスルーティングアセンブリは、コントローラから制御信号を受信し、パルス発生アセンブリから双極性パルスのシーケンスを受信し、受信した制御信号に応答するようにスパインのセットを選択するように構成されたスイッチの構成可能なネットワークを含み、それぞれのセットはスパインのうちの1つ以上を含み、選択したセットを介して双極性パルスのシーケンスを送信するようになっている。
【0012】
本発明の一実施形態によれば、医学的治療のための方法が更に提供され、この方法は、スパインが体腔内の組織と接触するように、患者の体腔内に複数の弾性的な導電性スパインを含むバスケットアセンブリを挿入することと、スパインの2つ以上のセット間に、スパインが接触する組織に不可逆的エレクトロポレーション(IRE)を引き起こすのに十分な振幅を有する双極性パルスを印加することであって、それぞれのセットは、スパインのうちの1つ以上を含む、ことと、を含む。
【0013】
本発明は、以下の「発明を実施するための形態」を図面と併せて考慮することで、より完全に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施形態による、IREアブレーション処置で使用されるシステムの概略的な絵図である。
【
図2a】本発明の一実施形態による、バスケットアセンブリの概略側面図である。
【
図2b】本発明の2つの実施形態による、バスケットアセンブリ内のスパインの概略断面図である。
【
図2c】本発明の2つの実施形態による、バスケットアセンブリ内のスパインの概略断面図である。
【
図3a】本発明の代替の実施形態による、それぞれ折り畳み状態及び拡張状態にあるバスケットアセンブリの概略側面図である。
【
図3b】本発明の代替の実施形態による、それぞれ折り畳み状態及び拡張状態にあるバスケットアセンブリの概略側面図である。
【
図4】本発明の一実施形態による、双極性IREパルスの概略図である。
【
図5】本発明の一実施形態による、双極性パルスのバーストの概略図である。
【
図6】本発明の一実施形態による、IREモジュールを概略的に示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
概論
IREは、主に非熱プロセスであり、組織温度を数ミリ秒間、高くても数度上昇させる。したがって、IREは、組織温度を20~70℃上昇させ、加熱により細胞を破壊するRF(高周波)アブレーションとは異なる。IREは、DC電圧による筋収縮を回避するために、双極性パルス、すなわち、正のパルス及び負のパルスの組み合わせを利用する。パルスは、例えば、カテーテルの2つの双極電極間に印加される。典型的には、電極は、組織内の局所的なIREを達成するために、比較的小さい。しかしながら、小さい電極の使用は、電気穿孔される領域のサイズを減少させる。
【0016】
本明細書に記載される本発明の実施形態は、心臓内の心筋組織などの体腔内の組織と接触する導電性スパインを有するバスケット型カテーテルを提供することによって、エレクトロポレーションの領域を増加させるという問題に対処する。それぞれのスパインは電極として作用し、電気信号発生器は、スパインの1つ以上の対の間に、スパインが接触する組織にIREを引き起こすのに十分な振幅を有する双極性パルスを印加する。パルスが印加されるスパインの対は、電気穿孔される領域に応じて選択される。このように一式のスパインを電極として使用することにより、比較的大きい領域を同時に電気穿孔することが可能になる。
【0017】
追加的に又は代替的に、複数のスパインのセットは、より大きい「仮想電極」を作製するように、一緒に電気的に接続されてもよい。IRE信号は、これらの「仮想電極」又はセットの1つ以上の対の間に印加されてもよい。
【0018】
本発明の実施形態による拡張可能なバスケットアセンブリを有するカテーテルは、典型的には、バスケットアセンブリを折り畳み状態にして狭いシースを通して心臓内に挿入される。体腔内で展開するために、バスケットアセンブリはシースから出て、その動作状態へと拡張する。いくつかの実施形態では、スパインは弾性材料で作製され、シースから解放されたときにバスケットの形態へと外向きに湾曲するように製造される。カテーテルは、カテーテルの挿入チューブ内にプッシャチューブを含んでもよい。このプッシャチューブは、スパインを真っ直ぐにし、それによりバスケットアセンブリを折り畳んで、シース内に引き戻すことができるようにし、それにより被検者からカテーテルを除去することを容易にするため、アブレーション処置の終了時に遠位方向に押され得る。
【0019】
他の実施形態では、スパインは、バスケットアセンブリが拡張状態ではなく、折り畳み状態で安定するように製造される。挿入チューブを通過する牽引具は、バスケットアセンブリの遠位端に接続される。バスケットアセンブリが体腔内でシースから出た後、牽引具を引くことによって、アセンブリがその安定した折り畳み状態から拡張状態に拡張し、それにより展開が可能になる。牽引具を解放することによって、バスケットアセンブリは、その折り畳み状態に戻り、被検者からカテーテルを抜き取るために挿入チューブに引き戻されることが可能になる。この構成は、牽引具が典型的にはプッシャチューブよりも薄く、可撓性が高く、ゆえに、カテーテルをより薄く、可撓性をより高くすることができる点で有利である。牽引具は、例えば、単純なワイヤ、又は代替的に、その伸長を最小限に抑えるために編組又は埋め込みワイヤを有するポリマーチューブなどのより複雑なアセンブリのいずれかを含んでもよい。
【0020】
システムの説明
図1は、本発明の実施形態による、IREアブレーション処置で使用されるシステム20の概略的な絵図である(以下の説明では、IREアブレーション処置は、「IREアブレーション」又は「IRE処置」とも呼ばれる)。描かれた実施形態では、医師22は、システム20を使用して、被検者24の心臓23にてIREアブレーション処置を行っている。医師22は、長手方向軸27を有する挿入チューブ28を含むアブレーションカテーテル26を使用して処置を実施しており、挿入チューブの遠位端29は、複数の導電性スパイン30を含むバスケットアセンブリ31に接続されている(
図2a、
図2b、及び
図2cにより詳細に示される)。
【0021】
IREシステム20は、プロセッサ32及びIREモジュール34を備える。IREモジュール34は、IRE発生器36及びIREコントローラ38を含み、IRE発生器は、以下で更に説明するように、専用のパルス発生器を含む。IRE発生器36は、IREコントローラ38の制御下で、IRE信号を発生させ、これは双極性電気パルスの列を含むIRE信号を発生させる。パルスは、IRE処置を実行するための電極として機能する選択されたスパイン30を対象とする。プロセッサ32は、IREシステム20と医師22との間の入力及び出力インターフェース、並びにIREコントローラ38への通信を処理する。双極性電気パルス及びIREモジュール34は、
図4及び
図5を参照して以下に更に説明される。
【0022】
プロセッサ32及びIREコントローラ38はそれぞれ、典型的には、プログラマブルプロセッサを含み、プログラマブルプロセッサは、本明細書に記載される機能を実行するために、ソフトウェア及び/又はファームウェアでプログラムされている。代替的に又は追加的に、それらのそれぞれ、これらの機能の少なくとも一部を実行する、ハードワイヤード及び/又はプログラム可能なハードウェア論理回路を含んでもよい。IRE発生器36は、スパイン30に向けられたIRE信号を発生させるためのアナログ及びデジタル構成要素及びアセンブリを備える。プロセッサ32、IRE発生器36、及びIREコントローラ38は、簡略化のために、別個のモノリシックな機能ブロックとして図に示されているが、実際には、これらの機能の一部は単一の処理及び制御ユニット内で組み合わされてもよい。
【0023】
プロセッサ32及びIREモジュール34は典型的には、コンソール40内に常駐する。コンソール40は、キーボード及びマウスなどの入力装置42を含む。ディスプレイスクリーン44は、コンソール40に近接して(又はそれと一体で)位置する。ディスプレイスクリーン44は、任意選択的にタッチスクリーンを含んでもよく、それにより別の入力装置を提供することができる。
【0024】
IREシステム20は、システム20内の好適なインターフェース及びデバイスに接続された、以下のモジュール(典型的には、コンソール40内に常駐する)のうちの1つ又は双方を更に含んでもよい。
・心電図(electrocardiogram、ECG)モジュール46は、被験者24に取り付けられたECG電極50に、ケーブル48を介して結合されている。ECGモジュール46は、心臓23の電気活動を測定するように構成されている。
・追跡モジュール52は、挿入チューブ28の遠位端、及び場合によってはバスケットアセンブリ31内の1つ以上の電磁位置センサ54に連結される。1つ以上の磁場発生器56によって発生された外部磁場の存在下で、電磁位置センサ54は、センサの位置と共に変化する信号を出力する。これらの信号に基づいて、追跡モジュール52は、心臓23内のスパイン30の位置を追跡する。
【0025】
上記のモジュール46及び52は、典型的には、アナログ構成要素及びデジタル構成要素の両方を含み、アナログ信号を受信し、デジタル信号を送信するように構成されている。各モジュールは、モジュールの機能の少なくとも一部を実行する、ハードワイヤード及び/又はプログラム可能なハードウェア論理回路を更に含んでもよい。
【0026】
カテーテル26は、ポート又はソケットなどの電気的インターフェース58を介してコンソール40に連結されている。したがって、IRE信号は、IRE発生器36から、インターフェース58と、バスケットアセンブリ31内のスパイン30への挿入チューブ28の内部の配線とを介して伝達される。同様に、遠位端28の位置及び向きを追跡するための信号は、インターフェース58を介して追跡モジュール52によって受信されてもよい。
【0027】
外部電極60、すなわち「リターンパッチ」は、被検者24、典型的には被検者の胴体の皮膚上と、IREモジュール34との間の外部に追加的に結合されてもよい。外部電極60は、スパイン30のうちの1つと外部電極との間のIRE信号を結合するために使用されてもよく、したがって、組織62内でより深く局所化されたエレクトロポレーションを達成するために使用され得る。
【0028】
プロセッサ32は、IRE処置の前、及び/又は処置中に、医師22から(又は別のユーザーから)、処置のためのセットアップパラメータ66を受信する。1つ以上の好適な入力装置42を使用して、医師22は、セットアップパラメータ66を設定し、1つ以上の対のスパイン30と、活性化のための電極(IRE信号を受信するため)及び電極が活性化される順序とを選択し、IRE信号の特性(タイミング及び振幅)を定める。更に、プロセッサ32は、ディスプレイスクリーン26上にセットアップパラメータ66を表示することができる。本明細書で使用するとき、スパインの対は、隣接するスパインに限定されるものではなく、(a)2つの別個の電極として作用する2つの単一スパインの間、又は(b)複数のスパインの2つの群の間の二相エネルギーの送達を可能にする、全ての可能な構成にある。ケース(a)では、(a)にある電極「対」として作用する2つの単一スパインの一例は、スパイン30bと隣接する
図2のスパイン30aであり、二相電圧がこれらのスパイン30a及び30bに送達されるときに「電極の対」を定める。あるいは、スパイン30aは、「別の対」として、隣接していないスパイン30cと対にすることができ、スパイン30aは、隣接していないスパイン30dを更に別の「対」にすることができ、スパイン30aは、遠位スパイン30fを更なる「対」にすることができ、スパイン30bは、遠位スパイン30dを更に「対」にすることができる。更なる変形例では、スパイン30a及び30cは、1つの「電極対」として通電されてもよく、スパイン30b及び30dは、異なる「電極対」として通電されるなど、様々な置き換えが可能である。「電極対」に到達する別の電極として作用する異なるスパインの別の群と協働して1つの電極として作用するスパインの群に関するケース(b)の場合、2つ以上のスパイン(例えば、30a及び30b)は、1つの電極として作用して、別の電極として一緒に群化された2つ以上のスパイン(30c及び30d)と共に動作して、二相エネルギーを電極に送達するための電極「対」を定めることができる(すなわち、スパイン30a及び30bを1つの電極として、スパイン30c及び30dを他方の電極として、「電極対」を定める)。一対の電極として作用する単一のスパインの様々な置き換えは、電極対として作用するスパインの群と組み合わせることができ、利用することができ、本発明の範囲内であると考えられる。例えば、
図2に示されるスパインは、2つの電極対を定めるために利用することができる。スパイン30a及び30bは1つの電極対を定め、スパイン群30c+30d(1つの電極)及び別のスパイン群30e+30f(別の電極として)は、
図2の第2の電極対を定める(すなわち、第1の電極対として30a+30b、第2の電極対として、30c及び30d+30e及び30f)。
【0029】
いくつかの実施形態では、プロセッサ32は、追跡モジュール60から受信した信号に基づいて、例えば、バスケットアセンブリ31の現在の位置及び向きを示すように注釈付けされた、被検者の解剖学的構造の関連画像68、例えば心臓23の心室のマップをディスプレイ44上に表示する。代替的に又は追加的に、ECGモジュール46から受信した信号に基づいて、プロセッサ32は、ディスプレイスクリーン44上に、心臓23の電気活動を表示してもよい。
【0030】
処置を開始するために、医師22は、例えば被検者の血管系を介してカテーテル26を被検者24に挿入し、次いで、挿入チューブ28を、制御ハンドル70を用いて、心臓23の内部又は外部の適切な部位までナビゲートする。挿入及びナビゲーション段階において、バスケットアセンブリ31は、被検者24への容易な挿入を提供するために、一般にシース(図示せず)の内側に折り畳まれた形態である。
【0031】
挿入チューブ28が心臓23内の必要な領域に配置されると、バスケットアセンブリ31は、拡張した形態を想定して、シースから前進される。バスケットアセンブリ31の更なる詳細な説明を、以下の
図2に示す。インセット71に概略的に示されるように、ここで、医師22は、バスケットアセンブリ31を、心筋又は心外膜組織などの心臓23の組織62と接触させる。次に、IREコントローラ38の制御下のIRE発生器36は、パルスの列を含むIRE信号を発生させる(
図5に詳細に示す)。IRE信号は、カテーテル26を介して、異なる対応する電気導体(図示せず)を介してスパイン30の対に伝達され、各対のスパイン間をIRE信号によって生成される電流72が流れるようにし(双極アブレーション)、またスパイン間の拡張領域にわたる組織62の所望の不可逆的エレクトロポレーションを実行する。
【0032】
図2aは、本発明の一実施形態による、バスケットアセンブリ31の概略側面図である。バスケットアセンブリ31は、
図2において、30a、30b、30c、30d、30e、及び30fとして個別に表記されたスパイン30を備える。スパイン30a~30fは、導電性であるか、又は導電性コーティング又は導電性部材が取り付けられている弾性材料の長いセグメントを含む。例えば、スパイン30a~30fは、ニチノールとして知られるニッケル-チタン合金を含んでもよい。
【0033】
スパイン30a~30fの近位先端74は、バスケットアセンブリ31の近位端76で機械的に接合され、スパインの遠位先端78は、バスケットアセンブリの遠位端80で機械的に接合される(しかしながら、スパイン30a~30fの近位先端74及び遠位先端78はそれぞれ、スパインが別個の電極として機能することができるように、互いに電気的に絶縁される)。スパイン30a~30fは、バスケットアセンブリ31がその安定状態として拡張状態を有するように作製される。したがって、スパイン30a~30fは、バスケットアセンブリが体腔内に配置されたときに半径方向外向きに弓状に曲がり、それによって体腔内の組織62と接触する。スパイン30a~30fは、IREアブレーション信号を受信するためカテーテル26内の導体を介してIRE発生器36(
図1)に電気的に結合される。
【0034】
IRE発生器36から受信したIRE信号は、例えば、スパイン30aと30bとの間に結合され、エレクトロポレーションをこれら2つのスパイン間で発生させる。印加されたIRE信号に起因して、電流72(
図1)は、スパイン30aと30bとの間の全長に沿って流れ、したがって、組織62内の大きな領域にわたってエレクトロポレーションを引き起こす。例えば、バスケットアセンブリ31を肺静脈アブレーションに適用することにより、肺静脈の周囲の6~12mm幅のリング上にエレクトロポレーションを引き起こすことになる。
【0035】
IRE信号は、任意の対のスパイン30a~30fの間に結合されてもよいが、典型的には、信号は、隣接するスパインの対の間に印加される。追加的に又は代替的に、信号は、スパインのいくつかの対の間で同時に、又は交互に印加されてもよい。バスケットアセンブリ31は6つのスパインを含むように
図2に示されているが、他の数(6よりも多い及び少ないの両方)のスパインを使用してもよい。追加的に又は代替的に、複数のスパイン30のセットは、複数のスパインを含む、より大きい「仮想電極」を形成するように、一緒に電気的に接続されてもよい。IRE信号は、これらの「仮想電極」又はセットの1つ以上の対の間に印加されてもよい。
【0036】
図2b及び
図2cは、本発明の2つの実施形態によるスパイン30の概略断面図である。
【0037】
図2bは、スパイン30の概略断面図であり、スパインは、引き抜き加工のニチノールリボン33を含む。ニチノールリボン33は、スパイン30の構造部材として、及び電流72用の電気導体(
図1)として機能する。引き抜き加工によってニチノールリボン33を形成することは、結果として得られるリボンの縁部35が丸みを帯び(ニチノールのシートから切断されたリボンに形成される鋭い縁部とは対照的に)、したがって、スパイン30によって接触される組織62への損傷を回避するという点で有利である。
【0038】
図2cは、代替の実施形態におけるスパイン30の概略断面図であり、スパイン30は、構造部材37と導電性部材39との複合体を含む。構造部材37は、例えば、
図2bのように、引き抜き加工のニチノールリボンを含む。導電性部材39は、金などの導電性フィルムを含み、この導電性フィルムは、フレキシブルプリント回路基板(PCB)41上に配置され、次に、生体適合性エポキシ又は他の接着剤などの好適な結合及び絶縁部材43で構造部材37に結合される。したがって、構造部材37は組織62から絶縁され、電流72は、組織に露出された導電性部材39によって組織に伝導される。
【0039】
あるいは、スパイン30は、導電性コーティング(図示せず)を有する導電性又は非導電性構造部材を含んでもよい。
【0040】
図3a及び
図3bは、本発明の代替の実施形態による、それぞれ折り畳み状態及び拡張状態にあるバスケットアセンブリ90の概略側面図である。
図1及び
図2と同じ数字ラベルが、
図3a及び
図3bの類似の項目に使用されている。
図2a、
図3a、及び
図3bのように、スパイン30は、導電性であるか、又は導電性コーティングを有するか、又は導電性部材が取り付けられている弾性材料の長いセグメントを含む。
【0041】
図3aは、スパイン30が真っ直ぐであり、長手方向軸27に平行に整列されている、折り畳み状態のバスケットアセンブリ90を示す。これは、バスケットアセンブリ90の安定状態であり、アセンブリ90は、シースから押し出されるとき、強制的に拡張状態にされない限り、折り畳み状態に留まる。アブレーションカテーテル26は、挿入チューブ28を通って延在し、挿入チューブ28内で長手方向に移動することができる牽引具92を含む。牽引具92は、バスケットアセンブリ90の遠位端80に取り付けられた遠位端94と、制御ハンドル70に取り付けられた近位端(図示せず)と、を有する。スパイン30の近位端74は、挿入チューブ28に固定されているため、牽引具92をその近位端から引くと、スパイン30のそれぞれの遠位端78と近位端74との間の距離が短くなり、それによって、
図3bに示されるように、スパインは展開するように外向きに撓む。牽引具92を解放すると、スパイン30の弾性により、バスケットアセンブリ90が元の安定状態に折り畳まれて(
図3a)、被検者24からカテーテル26を抜き取ることが可能になる。
【0042】
牽引具92は、十分な引張強度及び曲げ可撓性を有する任意の好適な細長い構成要素を含んでもよい。例えば、牽引具92は、単純なワイヤを含んでもよい。あるいは、牽引具92は、その伸長を最小限に抑えるために編組又は埋め込みワイヤの形態の補強を有するポリマーチューブなどの、より複雑な構造を含んでもよい。
【0043】
図5は、本発明の一実施形態による、双極性IREパルス100の概略図である。
【0044】
曲線102は、IREアブレーション処置における時間tの関数としての双極性IREパルス100の電圧Vを示す。双極性IREパルス100は、正のパルス104及び負のパルス106を含むが、用語「正」及び「負」は、双極性パルスが印加される2つのスパイン30の任意に選択された極性を指す。正のパルス104の振幅はV+と表記され、パルスの時間幅は、t+と表記される。同様に、負のパルス106の振幅はV-と表記され、パルスの時間幅は、t-と表記される。正のパルス104と負のパルス106との間の時間間隔は、t間隔と表記される。双極性パルス100のパラメータの典型的な値を、以下の表1に示す。
【0045】
図5は、本発明の一実施形態による、双極性パルスのバースト200の概略図である。
【0046】
IRE処置では、IRE信号は、曲線202によって示される1つ以上のバースト200としてスパイン30に送達される。バースト200は、各列がNP個の双極性パルス100を含む、NT個のパルス列204を含む。パルス列204の長さはtTと表記される。パルス列204内の双極性パルス100の周期はtPPと表記され、連続する列間の間隔はΔTと表記され、その間、信号は印加されない。バースト200のパラメータの典型的な値を、以下の表1に示す。
【0047】
【0048】
図6は、本発明の一実施形態による、IREモジュール34の詳細を概略的に示すブロック図である。上で
図1を参照して説明したように、IREモジュール34は、IRE発生器36及びIREコントローラ38を含む。IRE発生器36は、パルス発生アセンブリ406及びパルスルーティングアセンブリ408を備える。パルス発生アセンブリ406は、IREコントローラ38から(以下に記載されるように)制御信号を受信し、制御信号に応答する振幅及び持続時間を有する双極性パルスのシーケンスを送信するように構成される。パルスルーティングアセンブリ408は、スイッチの構成可能なネットワークを備え、これは、IREコントローラ38から制御信号を受信して、パルス発生アセンブリ405から双極性パルスのシーケンスを受信し、受信した制御信号に応答するようスパイン30の対を選択して、選択された対を介して双極性パルスのシーケンスを送信するようになっている。
【0049】
IREコントローラ38は、双方向信号410を介してプロセッサ32と通信し、プロセッサは、セットアップパラメータ66を反映するコマンドをIREコントローラに伝達する。IREコントローラ38は、上記の
図4に示されるものなどのIREパルスを発生させるために、IRE発生器36に命令するセットアップパラメータ66から導出されたデジタルコマンド信号418をパルス発生アセンブリ406に更に伝達する。これらのIREパルスは、IREコントローラ38によって導かれるアナログパルス信号420としてパルスルーティングアセンブリ408に送られる。
【0050】
パルスルーティングアセンブリ408は、出力チャネル422を介してスパイン30に、並びに(任意選択に)接続部424を介してリターンパッチ60に結合されている。例えば、パルスルーティングアセンブリ408がバスケットアセンブリ31の6つのスパイン30a~30fに連結されると(
図2)、出力チャネル422の6つがスパインに連結される。パルスルーティングアセンブリ408は、IREコントローラ38によって駆動され、セットアップパラメータ66によって定められるように、IREパルスをスパイン30に結合する。具体的には、IREコントローラ38は、パルスルーティングアセンブリ408を駆動して、IREパルスを1つ又はそれ以上の選択された対のスパイン30に連結する。ルーティングアセンブリ408はまた、複数のスパイン30を共に電気的に結合して、「仮想電極」として機能することができるセットを形成してもよい。したがって、IREコントローラ38は、スパイン30へのIREパルスの生成及びルーティングの両方を制御する。
【0051】
図6は、10個のチャネル422を示しているが、IRE発生器36は代替的に、例えば、8個、16個、若しくは20個のチャネル、又は任意の他の好適な数のチャネルなどの異なる数のチャネルを含んでもよい。
【0052】
上に記載される実施形態は例として挙げたものであり、本発明は本明細書において上に具体的に図示及び記載されるものに限定されない点が理解されよう。むしろ、本発明の範囲は、本明細書において上に記載される様々な特徴の組み合わせ及び部分的組み合わせの両方、並びに前述の記載を読むと当業者に着想されるであろう、先行技術に開示されていないその変形及び修正を含む。
【0053】
〔実施の態様〕
(1) 医療装置であって、
プローブであって、
患者の体腔への挿入用に構成された挿入チューブと、
前記挿入チューブに遠位で接続され、前記体内の組織と接触するように構成されている複数の導電性スパインを含むバスケットアセンブリと、を含む、プローブと、
前記スパインの1つ以上の対の間に、前記スパインが接触する前記組織内に不可逆的エレクトロポレーション(IRE)を引き起こすのに十分な振幅を有する双極性パルスを印加するように構成された電気信号発生器と、を備える、医療装置。
(2) 前記スパインがそれぞれの近位先端及び遠位先端を有し、前記スパインの前記近位先端は、前記バスケットアセンブリの近位端で機械的に接合され、前記スパインの前記遠位先端は、前記バスケットアセンブリの遠位端で機械的に接合され、前記バスケットアセンブリが前記体腔内で展開されると、前記スパインは、半径方向外向きに撓み、それによって前記体腔内の前記組織と接触する、実施態様1に記載の装置。
(3) 前記バスケットアセンブリが安定した折り畳み状態を有し、前記装置は、前記バスケットアセンブリの前記遠位端に取り付けられ、前記挿入チューブ内に摺動可能に配置された牽引具を備え、前記挿入チューブを通して近位方向に前記牽引具を引くことに応答して、前記スパインが半径方向外向きに撓むようになっている、実施態様2に記載の装置。
(4) 前記牽引具が、強化ポリマーチューブを含む、実施態様3に記載の装置。
(5) 前記挿入チューブが、前記患者の心室への挿入用に構成されたカテーテルを含み、前記スパインが、前記心室内の心筋組織と接触し、前記心筋組織に前記電気信号を印加するように構成されている、実施態様1に記載の装置。
【0054】
(6) 前記スパインが引き抜き加工の金属リボンを含む、実施態様1に記載の装置。
(7) 前記金属リボンがニッケル-チタン合金を含む、実施態様6に記載の装置。
(8) 前記スパインが、構造部材に結合されたフレキシブルプリント回路基板を含む、実施態様1に記載の装置。
(9) 前記電気信号発生器によって印加される前記双極性パルスが、少なくとも200Vの振幅を有する双極性パルスのシーケンスを含み、前記双極性パルスのそれぞれの持続時間が20μs未満である、実施態様1に記載の装置。
(10) 前記双極性パルスの前記シーケンスがパルスの対を含み、それぞれの対は正のパルス及び負のパルスを含む、実施態様9に記載の装置。
【0055】
(11) 前記電気信号発生器は、前記スパインの第1のセットと第2のセットとの間に前記双極性パルスを印加するように構成され、前記セットのうちの少なくとも1つは、前記スパインのうちの2つ以上を含む、実施態様1に記載の装置。
(12) 制御信号を前記電気信号発生器に送信するように構成されたコントローラを備え、前記電気信号発生器は、
パルス発生アセンブリであって、前記コントローラから前記制御信号を受信し、前記制御信号に応答する振幅及び持続時間を有する双極性パルスのシーケンスを送信するように構成された、パルス発生アセンブリと、
パルスルーティングアセンブリであって、前記コントローラから前記制御信号を受信し、前記パルス発生アセンブリから前記双極性パルスのシーケンスを受信し、受信した前記制御信号に応答して前記スパインのセットを選択するように構成されている、スイッチの構成可能なネットワークを含み、それぞれのセットは、前記スパインのうちの1つ以上を含み、選択した前記セットを介して前記双極性パルスのシーケンスを送信するようになっている、パルスルーティングアセンブリと、を備える、実施態様1に記載の装置。
(13) 医学的治療の方法であって、
複数の導電性スパインを含むバスケットアセンブリを患者の体腔に挿入し、前記スパインが前記体腔内の組織と接触するようにすることと、
前記スパインの2つ以上のセットの間に、前記スパインが接触する前記組織内に不可逆的エレクトロポレーション(IRE)を引き起こすのに十分な振幅を有する双極性パルスを印加することであって、それぞれのセットは、前記スパインのうちの1つ以上を含む、ことと、を含む、方法。
(14) 前記スパインの前記セットのうちの少なくとも1つは複数のスパインを含む、実施態様13に記載の方法。
(15) 前記スパインがそれぞれの近位先端及び遠位先端を有し、前記スパインの前記近位先端は、前記バスケットアセンブリの近位端で機械的に接合され、前記スパインの前記遠位先端は、前記バスケットアセンブリの遠位端で機械的に接合され、前記バスケットアセンブリが前記体腔内で展開されると、前記スパインは、半径方向外向きに撓み、それによって前記体腔内の前記組織と接触する、実施態様13に記載の方法。
【0056】
(16) 前記バスケットアセンブリが安定した折り畳み状態を有し、前記バスケットアセンブリを挿入することは、前記バスケットアセンブリの前記遠位端に取り付けられた牽引具を近位方向に引き、前記スパインが半径方向外向きに撓むようにすることを含む、実施態様15に記載の方法。
(17) 前記バスケットアセンブリを挿入することは、カテーテルを、前記バスケットアセンブリが前記カテーテルの遠位端に接続された状態で、前記患者の心室に挿入することを含み、それによって前記スパインは、前記心室内の心筋組織に接触し、前記心筋組織に前記電気信号を印加する、実施態様13に記載の方法。
(18) 前記スパインがニッケル-チタン合金を含む、実施態様13に記載の方法。
(19) 前記双極性パルスを印加することが、少なくとも200Vの振幅を有する双極性パルスのシーケンスを印加することを含み、前記双極性パルスのそれぞれの持続時間は、20μs未満である、実施態様13に記載の方法。
(20) 前記双極性パルスのシーケンスを印加することが、パルスの対を印加することを含み、それぞれの対は、正のパルス及び負のパルスを含む、実施態様19に記載の方法。
【0057】
(21) 前記双極性パルスを印加することが、
特定の振幅及び持続時間を有する双極性パルスのシーケンスを生成することと、
前記スパインの前記セットを選択することと、
選択した前記セットを介して前記双極性パルスのシーケンスを送信することと、を含む、実施態様13に記載の方法。