(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-28
(45)【発行日】2025-04-07
(54)【発明の名称】電力増幅装置
(51)【国際特許分類】
H03F 3/68 20060101AFI20250331BHJP
H03F 1/34 20060101ALI20250331BHJP
H03F 3/20 20060101ALI20250331BHJP
【FI】
H03F3/68 210
H03F1/34
H03F3/20
(21)【出願番号】P 2021154124
(22)【出願日】2021-09-22
【審査請求日】2023-09-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】山内 明
【審査官】福田 正悟
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-130183(JP,A)
【文献】特開平06-338738(JP,A)
【文献】特開2020-088530(JP,A)
【文献】特開2007-068131(JP,A)
【文献】特開平06-318830(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03F 3/68
H03F 1/34
H03F 3/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の入力端子に複数の電圧が印加され、第1出力信号を出力する第1アンプと、
複数の入力端子に複数の電圧が印加され、第2出力信号を出力する第2アンプと、
前記第1出力信号の電圧値の大きさ
に基づいて、第3電圧に基づく前記第1出力信号の第1最大電圧値、または前記第1最大電圧値よりも小さい前記第1出力信号を、第3信号
として出力し、前記第2出力信号の電圧値の大きさ
に基づいて、前記第3電圧に基づく前記第2出力信号の第2最大電圧値、または前記第2最大電圧値よりも小さい前記第2出力信号を、第4信号
として出力する第1回路と、
前記第3信号の電圧値と前記第4信号の電圧値との平均値を、第1フィードバック電圧として前記第1アンプ及び前記第2アンプに送信する第2回路と
を備え、
前記第1アンプの前記複数の入力端子のうち、
第1非反転入力端子には、第1入力信号に対応する第1電圧が印加され、
第1反転入力端子には、第2入力信号に対応する第2電圧が印加され、
第2非反転入力端子には、第1基準電圧が印加され、
第2反転入力端子には、前記第1フィードバック電圧が印加され、
前記第2アンプの前記複数の入力端子のうち、
第3反転入力端子には、前記第1電圧が印加され、
第3非反転入力端子には、前記第2電圧が印加され、
第4非反転入力端子には、前記第1基準電圧が印加され、
第4反転入力端子には、前記第1フィードバック電圧が印加され、
前記第3信
号は、前記第1基準電圧よりも高い
前記第3電圧に基づいて
前記第1出力信号の電圧値の大きさが制限された信号であ
り、前記第4信号は、前記第3電圧に基づいて前記第2出力信号の電圧値の大きさが制限された信号である、
電力増幅装置。
【請求項2】
複数の入力端子に複数の電圧が印加され、第1出力信号を出力する第1アンプと、
複数の入力端子に複数の電圧が印加され、第2出力信号を出力する第2アンプと、
前記第1出力信号の電圧値の大きさ
に基づいて、第3電圧に基づく前記第1出力信号の第1最小電圧値、または前記第1最小電圧値よりも大きい前記第1出力信号を、第3信号
として出力し、前記第2出力信号の電圧値の大きさ
に基づいて、前記第3電圧に基づく前記第2出力信号の第2最小電圧値、または前記第2最小電圧値よりも大きい前記第2出力信号を、第4信号
として出力する第1回路と、
前記第3信号の電圧値と前記第4信号の電圧値との平均値を、第1フィードバック電圧として前記第1アンプ及び前記第2アンプに送信する第2回路と
を備え、
前記第1アンプの前記複数の入力端子のうち、
第1非反転入力端子には、第1入力信号に対応する第1電圧が印加され、
第1反転入力端子には、第2入力信号に対応する第2電圧が印加され、
第2非反転入力端子には、第1基準電圧が印加され、
第2反転入力端子には、前記第1フィードバック電圧が印加され、
前記第2アンプの前記複数の入力端子のうち、
第3反転入力端子には、前記第1電圧が印加され、
第3非反転入力端子には、前記第2電圧が印加され、
第4非反転入力端子には、前記第1基準電圧が印加され、
第4反転入力端子には、前記第1フィードバック電圧が印加され、
前記第3信
号は、前記第1基準電圧よりも低い
前記第3電圧に基づいて
前記第1出力信号の電圧値の大きさが制限された信号であ
り、前記第4信号は、前記第3電圧に基づいて前記第2出力信号の電圧値の大きさが制限された信号である、
電力増幅装置。
【請求項3】
前記第1回路は、前記第1出力信号
の前記第1最大電圧値及び前記第2出力信号の
前記第2最大電圧値を制限する、
請求項1記載の電力増幅装置。
【請求項4】
前記第1アンプは、前記第1電圧と前記第2電圧とに基づく第1電流と、前記第1基準電圧と前記第1フィードバック電圧とに基づく第2電流とに基づいて、前記第1出力信号を生成する、
請求項1乃至3のいずれか1項記載の電力増幅装置。
【請求項5】
前記第1アンプは、前記第1電圧と前記第2電圧との電圧差と、前記第1基準電圧と前記第1フィードバック電圧との電圧差とに基づいて、前記第1出力信号を生成する、
請求項1乃至3のいずれか1項記載の電力増幅装置。
【請求項6】
前記第1回路は、第1トランジスタと、第2トランジスタとを含み、
前記第1トランジスタの一端には、前記第1出力信号が入力され、他端は前記第2回路に接続され、ゲートには前記第3電圧が印加され、
前記第2トランジスタの一端には、前記第2出力信号が入力され、他端は前記第2回路に接続され、ゲートには前記第3電圧が印加される、
請求項1乃至5のいずれか1項記載の電力増幅装置。
【請求項7】
前記第2回路は、第1抵抗素子と、第2抵抗素子とを含み、
前記第1抵抗素子の一端は、前記第1回路に接続され、他端は前記第1アンプ及び前記第2アンプに接続され、
前記第2抵抗素子の一端は、前記第1アンプ及び前記第2アンプに接続され、他端は前記第1回路に接続される、
請求項1乃至6のいずれか1項記載の電力増幅装置。
【請求項8】
前記第1抵抗素子の抵抗値は、前記第2抵抗素子の抵抗値と等しい、
請求項7記載の電力増幅装置。
【請求項9】
複数の入力端子に複数の電圧が印加され、第3出力信号を出力する第3アンプと、
複数の入力端子に複数の電圧が印加され、第4出力信号を出力する第4アンプと、
前記第3出力信号の電圧値の大きさを制限した第5信号、及び前記第4出力信号の電圧値の大きさを制限した第6信号を出力する第3回路と、
前記第5信号の電圧値と前記第6信号の電圧値との平均値を、第2フィードバック電圧として前記第3アンプ及び前記第4アンプに送信する第4回路と
を備える、
請求項1乃至8のいずれか1項記載の電力増幅装置。
【請求項10】
前記第3アンプの前記複数の入力端子のうち、
第5非反転入力端子には、第3入力信号に対応する第4電圧が印加され、
第5反転入力端子には、第4入力信号に対応する第5電圧が印加され、
第6非反転入力端子には、第2基準電圧が印加され、
第6反転入力端子には、前記第2フィードバック電圧が印加され、
前記第4アンプの前記複数の入力端子のうち、
第7反転入力端子には、前記第4電圧が印加され、
第7非反転入力端子には、前記第5電圧が印加され、
第8非反転入力端子には、前記第2基準電圧が印加され、
第8反転入力端子には、前記第2フィードバック電圧が印加される、
請求項9記載の電力増幅装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電力増幅装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電力増幅装置の1つとして、BTL(Balanced Transformer Less、Bridge-Tied Load、またはBridged Transformer Less)アンプが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平11-284450号公報
【文献】特開2013-38538号公報
【文献】特開2013-157664号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
動作信頼性を向上できる電力増幅装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る電力増幅装置は、複数の入力端子に複数の電圧が印加され、第1出力信号を出力する第1アンプと、複数の入力端子に複数の電圧が印加され、第2出力信号を出力する第2アンプと、第1出力信号の電圧値の大きさに基づいて、第3電圧に基づく第1出力信号の第1最大電圧値、または第1最大電圧値よりも小さい第1出力信号を、第3信号として出力し、第2出力信号の電圧値の大きさに基づいて、第3電圧に基づく第2出力信号の第2最大電圧値、または第2最大電圧値よりも小さい第2出力信号を、第4信号として出力する第1回路と、第3信号の電圧値と第4信号の電圧値との平均値を、第1フィードバック電圧として第1アンプ及び第2アンプに送信する第2回路とを備える。第1アンプの複数の入力端子のうち、第1非反転入力端子には、第1入力信号に対応する第1電圧が印加され、第1反転入力端子には、第2入力信号に対応する第2電圧が印加され、第2非反転入力端子には、第1基準電圧が印加され、第2反転入力端子には、第1フィードバック電圧が印加される。第2アンプの複数の入力端子のうち、第3反転入力端子には、第1電圧が印加され、第3非反転入力端子には、第2電圧が印加され、第4非反転入力端子には、第1基準電圧が印加され、第4反転入力端子には、第1フィードバック電圧が印加される。第3信号は、第1基準電圧よりも高い第3電圧に基づいて第1出力信号の電圧値の大きさが制限された信号であり、第4信号は、第3電圧に基づいて第2出力信号の電圧値の大きさが制限された信号である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る電力増幅装置の一例を示す回路図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係る電力増幅装置に含まれるオペアンプの一例を示す回路図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係る電力増幅装置に含まれるリミッタ回路の一例を示す回路図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態に係る電力増幅装置に含まれる中間電圧生成回路の一例を示す回路図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態に係る電力増幅装置の動作を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、第1実施形態に係る電力増幅装置の効果を説明する図である。
【
図7】
図7は、第1実施形態の第1変形例に係る電力増幅装置に含まれるオペアンプの一例を示す回路図である。
【
図8】
図8は、第1実施形態の第2変形例に係る電力増幅装置に含まれるリミッタ回路の一例を示す回路図である。
【
図9】
図9は、第2実施形態に係る電力増幅装置の一例を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に実施形態が図面を参照して記述される。以下の記述において、略同一の機能及び構成を有する構成要素は同一符号を付され、繰り返しの説明は省略される場合がある。また、ある実施形態についての記述は全て、明示的にまたは自明的に排除されない限り、別の実施形態の記述としても当てはまる。
【0008】
1.第1実施形態
第1実施形態に係る電力増幅装置について説明する。本実施形態では、電力増幅装置としてBTLアンプを例に挙げて説明する。
【0009】
1.1 構成
1.1.1 電力増幅装置の回路構成
本実施形態に係る電力増幅装置の回路構成について、
図1を用いて説明する。
図1は、電力増幅装置の一例を示す回路図である。
【0010】
電力増幅装置1は、電源電圧配線2、接地電圧配線3、電源電圧端子T1、接地電圧端子T2、入力端子Tinp1及びTinm1、出力端子Toutp1及びToutm1、抵抗素子Rs1及びRs2、第1オペアンプA1、第2オペアンプA2、抵抗素子Rf1及びRf2、リミッタ回路LIM1、並びに中間電圧生成回路CMFB1を含む。
【0011】
電源電圧端子T1には、電源電圧配線2が接続され、外部から電源電圧VCCが印加される。
【0012】
接地電圧端子T2には、接地電圧配線3が接続され、外部から接地電圧VSSが印加される。
【0013】
入力端子Tinp1には、外部から信号INP1が入力される。
【0014】
入力端子Tinm1には、外部から信号INM1が入力される。信号INM1は、信号NP1の位相を反転させた信号である。
【0015】
抵抗素子Rs1の一端は、入力端子Tinp1に接続され、他端はノードND1に接続される。
【0016】
抵抗素子Rs2の一端は、入力端子Tinm1に接続され、他端はノードND2に接続される。
【0017】
第1オペアンプA1の第1電源電圧端子は、電源電圧配線2に接続され、第2電源電圧端子は接地電圧配線3に接続される。第1オペアンプA1は、第1非反転入力端子(以下、「TDFBp1端子」とも表記する)、第2非反転入力端子(以下、「TCFBp1端子」とも表記する)、第1反転入力端子(以下、「TDFBm1端子」とも表記する)、及び第2反転入力端子(以下、「TCFBm1端子」とも表記する)を有する。第1オペアンプA1のTDFBp1端子は、ノードND1に接続され、TCFBp1端子は、ノードND3に接続され、TDFBm1端子は、ノードND2に接続され、TCFBm1端子は、ノードND4に接続される。ノードND3には、基準電圧VCMREF1が印加される。基準電圧VCMREF1は、例えば電圧VCC/2であるが、電圧VCC/2に限定されない。第1オペアンプA1の出力端子は、出力端子Toutp1に接続される。
【0018】
第1オペアンプA1は、TDFBp1端子に印加されるノードND1の電圧Vinp1、TDFBm1端子に印加されるノードND2の電圧Vinm1、TCFBp1端子に印加されるノードND3の電圧(基準電圧VCMREF1)、及びTCFBm1端子に印加されるノードND4の電圧(後述するフィードバック電圧VCMFB1)に基づく電圧を増幅する。そして、第1オペアンプA1は、増幅した電圧を信号OUTP1として出力する。信号OUTP1は、出力端子Toutp1から出力される。第1オペアンプA1の構成の詳細については、後述する。
【0019】
第2オペアンプA2の第1電源電圧端子は、電源電圧配線2に接続され、第2電源電圧端子は接地電圧配線3に接続される。第2オペアンプA2は、第1非反転入力端子(以下、「TDFBp2端子」とも表記する)、第2非反転入力端子(以下、「TCFBp2端子」とも表記する)、第1反転入力端子(以下、「TDFBm2端子」とも表記する)、及び第2反転入力端子(以下、「TCFBm2端子」とも表記する)を有する。第2オペアンプA2の第1非反転入力端子は、ノードND2に接続され、第2非反転入力端子は、ノードND3に接続され、第1反転入力端子は、ノードND1に接続され、第2反転入力端子は、ノードND4に接続される。第2オペアンプA2の出力端子は、出力端子Toutm1に接続される。
【0020】
第2オペアンプA2は、TDFBp2端子に印加されるノードND2の電圧Vinm1、TDFBm2端子に印加されるノードND1の電圧Vinp1、TCFBp2端子に印加されるノードND3の電圧(基準電圧VCMREF1)、及びTCFBm2端子に印加されるノードND4の電圧(後述するフィードバック電圧VCMFB1)に基づく電圧を増幅する。そして、第2オペアンプA2は、増幅した電圧を信号OUTM1として出力する。信号OUTM1は、出力端子Toutm1から出力される。第2オペアンプA2の構成の詳細については、後述する。
【0021】
抵抗素子Rf1の一端は、出力端子Toutp1に接続され、他端はノードND2に接続される。信号OUTP1は、抵抗素子Rf1を介して第1オペアンプA1のTDFBm1端子にフィードバックされる。
【0022】
抵抗素子Rf2の一端は、出力端子Toutm1に接続され、他端はノードND1に接続される。信号OUTM1は、抵抗素子Rf2を介して第2オペアンプA2のTDFBm2端子にフィードバックされる。
【0023】
以下では、抵抗素子Rf1及びRf2を介したフィードバック動作を、「第1フィードバック動作」と表記する。
【0024】
リミッタ回路LIM1には、電圧VLIM1が印加される。リミッタ回路LIM1は、出力端子Toutp1及びToutm1に接続される。リミッタ回路LIM1は、第1オペアンプA1から信号OUTP1を受信し、第2オペアンプA2から信号OUTM1を受信する。また、リミッタ回路LIM1は、中間電圧生成回路CMFB1に接続される。リミッタ回路LIM1は、信号OUTP1に基づく信号OUTPLIM1、及び信号OUTM1に基づく信号OUTMLIM1を中間電圧生成回路CMFB1に送信する。また、リミッタ回路LIM1は、電圧VLIM1に基づいて、信号OUTP1及びOUTM1の電圧値の大きさ(信号OUTP1及びOUTM1の最大電圧値または最小電圧値)を制限する。電圧VLIM1は、信号OUTP1及びOUTM1の最大電圧値または最小電圧値を決めるための電圧である。リミッタ回路LIM1の構成の詳細については、後述する。
【0025】
例えば、信号OUTP1及びOUTM1の最大電圧値を制限する場合、リミッタ回路LIM1は、電圧VLIM1に基づいて、信号OUTP1及びOUTM1の最大電圧値Vmaxを決める。信号OUTP1及びOUTM1が最大電圧値Vmaxよりも小さい場合、リミッタ回路LIM1は、信号OUTP1及びOUTM1を、信号OUTPLIM1及びOUTMLIM1として中間電圧生成回路CMFB1に送信する。他方で、信号OUTP1及びOUTM1が最大電圧値Vmax以上である場合、リミッタ回路LIM1は、最大電圧値Vmaxを、信号OUTPLIM1及びOUTMLIM1として中間電圧生成回路CMFB1に送信する。
【0026】
信号OUTP1及びOUTM1の最小電圧値を制限する場合、リミッタ回路LIM1は、電圧VLIM1に基づいて、信号OUTP1及びOUTM1の最小電圧値Vminを決める。信号OUTP1及びOUTM1が最小電圧値Vminよりも大きい場合、リミッタ回路LIM1は、信号OUTP1及びOUTM1を、信号OUTPLIM1及びOUTMLIM1として中間電圧生成回路CMFB1に送信する。他方で、信号OUTP1及びOUTM1が最小電圧値Vmin以下である場合、リミッタ回路LIM1は、最小電圧値Vminを、信号OUTP1及びOUTM1として中間電圧生成回路CMFB1に送信する。
【0027】
中間電圧生成回路CMFB1は、ノードND4に接続される。中間電圧生成回路CMFB1は、リミッタ回路LIM1から受信した信号OUTPLIM1と信号OUTMLIM1との平均値を生成する。そして、中間電圧生成回路CMFB1は、生成した平均値をフィードバック電圧VCMFB1としてノードND4に送信する。換言すると、電圧VCMFB1は、中間電圧生成回路CMFB1から、第1オペアンプA1のTCFBm1端子、及び第2オペアンプA2のTCFBm2端子にフィードバックされる。中間電圧生成回路CMFB1の構成の詳細については、後述する。
【0028】
以下では、リミッタ回路LIM1、及び中間電圧生成回路CMFB1を介したフィードバック動作を、「第2フィードバック動作」と表記する。
【0029】
1.1.2 第1オペアンプの構成
第1オペアンプA1の回路構成について、
図2を用いて説明する。
図2は、第1オペアンプA1の一例を示す回路図である。なお、第2オペアンプA2は、第1オペアンプA1と同様の構成を有する。以下の説明では、トランジスタのソース及びドレインを限定しない場合、トランジスタのソースまたはドレインのいずれか一方を「トランジスタの一端」と表記し、トランジスタのソースまたはドレインのいずれか他方を「トランジスタの他端」と表記する。
【0030】
第1オペアンプA1は、第1トランスコンダクタンス回路Gm_DFB、第2トランスコンダクタンス回路Gm_CFB、抵抗素子R1、ドライバステージ回路DS、pチャネルMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)(以下、「PMOSトランジスタ」とも表記する)P1、及びnチャネルMOSFET(以下、「NMOSトランジスタ」とも表記する)N1を含む。
【0031】
第1トランスコンダクタンス回路Gm_DFBの非反転入力端子は、第1オペアンプA1のTDFBp1端子に接続され、反転入力端子は、第1オペアンプA1のTDFBm1端子に接続される。第1トランスコンダクタンス回路Gm_DFBの出力端子は、ノードND5に接続される。第1トランスコンダクタンス回路Gm_DFBは、ノードND1から非反転入力端子に印加される電圧Vinp1と、ノードND2から反転入力端子に印加される電圧Vinm1との電圧差に基づく電流Idfbを出力する。なお、第1トランスコンダクタンス回路Gm_DFBのトランスコンダクタンスgmは、任意の値に設定される。電圧Vinp1と電圧Vinm1との電圧差がない場合、電流Idfbは0となる。
【0032】
第2トランスコンダクタンス回路Gm_CFBの非反転入力端子は、第1オペアンプA1のTCFBp1端子に接続され、反転入力端子は、第1オペアンプA1のTCFBm1端子に接続される。第2トランスコンダクタンス回路Gm_CFBの出力端子は、ノードND5に接続される。第2トランスコンダクタンス回路Gm_CFBは、ノードND3から非反転入力端子に印加される基準電圧VCMREF1と、ノードND4から反転入力端子に印加されるフィードバック電圧VCMFB1との電圧差に基づく電流Icfbを出力する。なお、第2トランスコンダクタンス回路Gm_CFBのトランスコンダクタンスgmは、任意の値に設定される。基準電圧VCMREF1とフィードバック電圧VCMFB1との電圧差がない場合、電流Icfbは0となる。
【0033】
抵抗素子R1の一端は、ノードND5に接続され、他端は接地される。抵抗素子R1には、電流Idfbと電流Icfbとを合成した電流Irが流れる。電流Irは、電圧Vrに変換される。
【0034】
ドライバステージ回路DSの図示せぬ第1電源電圧端子には、電圧VCCが印加され、図示せぬ第2電源電圧端子には、電圧VSSが印加される。ドライバステージ回路DSの入力端子は、ノードND5に接続され、出力端子はノードND6及びND7に接続される。ドライバステージ回路DSには、電圧Vrが印加される。ドライバステージ回路DSは、電圧Vrを増幅し、増幅した電圧を出力してプッシュプル構成であるPMOSトランジスタP1及びNMOSトランジスタN1を駆動する。
【0035】
PMOSトランジスタP1の一端には、電圧VCCが印加され、他端はノードND8に接続され、ゲートはノードND6に接続される。PMOSトランジスタP1は、ノードND6の電圧と電圧VCCとの間の電圧差がPMOSトランジスタP1の閾値電圧を超えたときにオン状態とされ、ノードND6の電圧と電圧VCCとの電圧差に応じた電流をノードND8に出力する。
【0036】
NMOSトランジスタN1の一端は、ノードND8に接続され、他端には電圧VSSが印加され、ゲートはノードND7に接続される。NMOSトランジスタN1は、ノードND7と接地電圧VSSとの間の電圧差がNMOSトランジスタN1の閾値電圧を超えたときにオン状態とされ、ノードND7の電圧と電圧VSSとの電圧差に応じた電流をノードND8に出力する。
【0037】
PMOSトランジスタP1またはNMOSトランジスタN1から電流が出力されると、PMOSトランジスタP1またはNMOSトランジスタN1から出力された電流の値に応じてノードND8の電圧が制御される。すなわち、信号OUTP1が決定される。
【0038】
例えば、電圧Vrが正の場合、PMOSトランジスタP1の電流が増加する。このとき、第1オペアンプA1は、電圧Vrを正側に増幅した電圧を信号OUTP1として出力する。
【0039】
他方で、電圧Vrが負の場合、NMOSトランジスタN1の電流が増加する。このとき、第1オペアンプA1は、電圧Vrを負側に増幅した電圧を信号OUTP1として出力する。
【0040】
1.1.3 リミッタ回路の構成
リミッタ回路LIM1の回路構成について、
図3を用いて説明する。
図3は、リミッタ回路LIM1の一例として、ローサイドアンプ用のリミッタ回路を示す回路図である。
【0041】
リミッタ回路LIM1は、NMOSトランジスタN2及びN3を含む。
【0042】
NMOSトランジスタN2の一端は、出力端子Toutp1に接続され、他端は中間電圧生成回路CMFB1に接続され、ゲートには電圧VLIM1が印加される。電圧VLIM1は、例えば基準電圧VCMREF1よりも高く、NMOSトランジスタN2をオン状態とさせる電圧である。電圧VLIM1に基づいて、信号OUTP1の最大電圧値Vmaxpが決まる。信号OUTP1が最大電圧値Vmaxpよりも小さい場合、信号OUTPLIM1の電圧値は、信号OUTP1の電圧値となる。換言すると、リミッタ回路LIM1は、信号OUTP1を信号OUTPLIM1として中間電圧生成回路CMFB1に送信する。他方で、信号OUTP1が最大電圧値Vmaxp以上である場合、信号OUTPLIM1の電圧値は、最大電圧値Vmaxpとなる。換言すると、リミッタ回路LIM1は、最大電圧値Vmaxpを信号OUTPLIM1として中間電圧生成回路CMFB1に送信する。
【0043】
NMOSトランジスタN3の一端は、出力端子Toutm1に接続され、他端は中間電圧生成回路CMFB1に接続され、ゲートには電圧VLIM1が印加される。電圧VLIM1は、例えば基準電圧VCMREF1よりも高く、NMOSトランジスタN3をオン状態とさせる電圧である。電圧VLIM1に基づいて、信号OUTM1の最大電圧値Vmaxmが決まる。信号OUTM1が最大電圧値Vmaxmよりも小さい場合、信号OUTMLIM1の電圧値は、信号OUTM1の電圧値となる。換言すると、リミッタ回路LIM1は、信号OUTM1を信号OUTMLIM1として中間電圧生成回路CMFB1に送信する。他方で、信号OUTM1が最大電圧値Vmaxm以上である場合、信号OUTMLIM1の電圧値は、最大電圧値Vmaxmとなる。換言すると、リミッタ回路LIM1は、最大電圧値Vmaxmを信号OUTMLIM1として中間電圧生成回路CMFB1に送信する。
【0044】
1.1.4 中間電圧生成回路の構成
中間電圧生成回路CMFB1の回路構成について、
図4を用いて説明する。
図4は、中間電圧生成回路CMFB1の一例を示す回路図である。
【0045】
中間電圧生成回路CMFB1は、抵抗素子R2及びR3を含む。なお、抵抗素子R2及びR3の抵抗値は同じである。
【0046】
抵抗素子R2の一端は、リミッタ回路LIM1に接続され、他端はノードND4に接続される。
【0047】
抵抗素子R3の一端は、ノードND4に接続され、他端はリミッタ回路LIM1に接続される。
【0048】
抵抗素子R2及びR3の抵抗値が同じであるため、中間電圧生成回路CMFB1は、信号OUTPLIM1の電圧値と信号OUTMLIM1の電圧値との平均値を、フィードバック電圧VCMFB1としてノードND4に送信する。
【0049】
1.2 フィードバック動作
本実施形態に係る電力増幅装置1のフィードバック動作について、
図5を用いて説明する。
図5は、電力増幅装置1のフィードバック動作を示すフローチャートである。以下では、第1フィードバック動作及び第2フィードバック動作のうち、第2フィードバック動作について説明する。
【0050】
リミッタ回路LIM1は、電圧VLIM1と信号OUTP1とに基づいて、信号OUTPLIM1を生成し、電圧VLIM1と信号OUTM1とに基づいて、信号OUTMLIM1を生成する(S10)。
【0051】
次に、中間電圧生成回路CMFB1は、信号OUTPLIM1の電圧値と信号OUTMLIM1の電圧値との平均値を生成する(S11)。
【0052】
次に、中間電圧生成回路CMFB1は、S11で生成した平均値を、フィードバック電圧VCMFB1として第1オペアンプA1のTCFBm1端子、及び第2オペアンプA2のTCFBm2端子に送信する(S12)。
【0053】
1.3 効果
本実施形態に係る構成であれば、電力増幅装置の動作信頼性を向上できる。以下、本効果につき、
図6を用いて説明する。
図6は、本実施形態に係る電力増幅装置1の効果を説明する図である。
【0054】
図6は、信号OUTP1、信号OUTM1、及び信号OUTP1と信号OUTM1との差分(OUTP1-OUTM1)の信号の波形を示している。なお、
図6の例では、基準電圧VCMREF1を電圧VCC/2よりも低く、電圧VSSよりも高い電圧に設定している。
【0055】
信号OUTP1及びOUTM1の振幅が小さい場合([1]の領域)では、信号OUTP1及びOUTM1のクリップは発生しない(ノンクリップ)。ノンクリップ時、信号OUTP1及びOUTM1の振幅は上下対称に振れ、フィードバック電圧VCMFB1は基準電圧VCMREF1に等しい一定値に維持される。
【0056】
他方で、信号OUTP1及びOUTM1の振幅が大きい場合([2]の領域)では、信号OUTP1及びOUTM1は、電圧VSS側でクリップが発生する。このとき、第1フィードバック動作によって、クリップしていない信号OUTP1またはOUTM1の振幅が増加するため、信号OUTP1及びOUTM1は上下対称ではなくなる。
【0057】
本実施形態では、第2フィードバック動作として、以下の動作が行われる。リミッタ回路LIM1は、電圧VLIM1に基づいて、信号OUTP1及びOUTM1の最大電圧値Vmaxを制限する。このため、信号OUTPLIM1及びOUTMLIM1の電圧値は、電圧VLIM1に基づいて決められる最大電圧値Vmax以下となる。リミッタ回路LIM1は、信号OUTPLIM1及びOUTMLIM1を中間電圧生成回路CMFB1に送信する。中間電圧生成回路CMFB1は、信号OUTPLIM1の電圧値と信号OUTMLIM1の電圧値との平均値を生成し、平均値をフィードバック電圧VCMFB1として第1オペアンプA1及び第2オペアンプA2に送信する。信号OUTPLIM1及びOUTMLIM1の電圧値が最大電圧値Vmax以下に制限されるため、信号OUTP1及びOUTM1の振幅が大きい場合も、フィードバック電圧VCMFB1は、基準電圧VCMREF1に等しい一定値に維持される。すなわち、本実施形態に係る構成によれば、信号OUTP1及びOUTM1の中点電位のばらつきが小さくなる。
【0058】
また、ノンクリップ時及びクリップ時に、第1オペアンプA1の利得は一定値Rf1/Rs1であり、第2オペアンプA2の利得は一定値Rf2/Rs2である。このため、信号OUTP1、信号OUTM1、及びOUTP1-OUTM1の信号の歪の悪化を抑制できる。
【0059】
従って、本実施形態によれば、電力増幅装置の動作信頼性を向上できる。
【0060】
1.4 第1変形例
第1実施形態の第1変形例に係る電力増幅装置1について説明する。本変形例に係る電力増幅装置1では、第1オペアンプA1及び第2オペアンプA2の構成が第1実施形態と異なる。以下では、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0061】
1.4.1 第1オペアンプの構成
第1オペアンプA1の回路構成について、
図7を用いて説明する。
図7は、第1オペアンプA1の一例を示す回路図である。なお、第2オペアンプA2は、第1オペアンプA1と同様の構成を有する。
【0062】
第1オペアンプA1において、第1トランスコンダクタンス回路Gm_DFB、第2トランスコンダクタンス回路Gm_CFB、及び抵抗素子R1は、廃されている。第1オペアンプA1は、第1電圧制御電圧源A_DFB、及び第2電圧制御電圧源A_CFBをさらに含む。
【0063】
第1電圧制御電圧源A_DFBの第1電源電圧端子は、ノードND5に接続され、第2電源電圧端子はノードND9に接続される。第1電圧制御電圧源A_DFBの非反転入力端子は、第1オペアンプA1のTDFBp1端子に接続され、反転入力端子は、第1オペアンプA1のTDFBm1端子に接続される。第1電圧制御電圧源A_DFBは、ノードND1から非反転入力端子に印加される電圧Vinp1と、ノードND2から反転入力端子に印加される電圧Vinm1との電圧差dVdfbを出力する。なお、第1電圧制御電圧源A_DFBの増幅率は、任意の値に設定される。
【0064】
第2電圧制御電圧源A_CFBの第1電源電圧端子は、ノードND9に接続され、第2電源電圧端子は接地される。第2電圧制御電圧源A_CFBは、ノードND3から非反転入力端子に印加される基準電圧VCMREF1と、ノードND4から反転入力端子に印加されるフィードバック電圧VCMFB1との電圧差dVcfbを出力する。なお、第2電圧制御電圧源A_CFBの増幅率は、任意の値に設定される。
【0065】
第1オペアンプA1の他の構成は、第1実施形態の
図2と同様である。
【0066】
ドライバステージ回路DSには、電圧差dVdfbと電圧差dVcfbとが合成された電圧Vdが印加される。ドライバステージ回路DSは、電圧Vdを増幅し、増幅した電圧を出力してプッシュプル構成であるPMOSトランジスタP1及びNMOSトランジスタN1を駆動する。
【0067】
1.4.2 効果
本変形例に係る構成によれば、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0068】
1.5 第2変形例
第1実施形態の第2変形例に係る電力増幅装置1について説明する。本変形例に係る電力増幅装置1では、リミッタ回路LIM1の構成が第1実施形態と異なる。以下では、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0069】
1.5.1 リミッタ回路の構成
リミッタ回路LIM1の回路構成について、
図8を用いて説明する。
図8は、リミッタ回路LIM1の一例として、ハイサイドアンプ用のリミッタ回路を示す回路図である。
【0070】
リミッタ回路LIM1は、PMOSトランジスタP2及びP3を含む。
【0071】
PMOSトランジスタP2の一端は、出力端子Toutp1に接続され、他端は中間電圧生成回路CMFB1に接続され、ゲートには電圧VLIM1が印加される。電圧VLIM1は、例えば基準電圧VCMREF1よりも低く、PMOSトランジスタP2をオン状態とさせる電圧である。電圧VLIM1に基づいて、信号OUTP1の最小電圧値Vminpが決まる。信号OUTP1が最小電圧値Vminよりも大きい場合、信号OUTPLIM1の電圧値は、信号OUTP1の電圧値となる。換言すると、リミッタ回路LIM1は、信号OUTP1を信号OUTPLIM1として中間電圧生成回路CMFB1に送信する。他方で、信号OUTP1が最小電圧値Vminp以下である場合、信号OUTPLIM1の電圧値は、最小電圧値Vminpとなる。換言すると、リミッタ回路LIM1は、最小電圧値Vminpを信号OUTPLIM1として中間電圧生成回路CMFB1に送信する。
【0072】
PMOSトランジスタP3の一端は、出力端子Toutm1に接続され、他端は中間電圧生成回路CMFB1に接続され、ゲートには電圧VLIM1が印加される。電圧VLIM1は、例えば基準電圧VCMREF1よりも低く、PMOSトランジスタP3をオン状態とさせる電圧である。電圧VLIM1に基づいて、信号OUTM1の最小電圧値Vminmが決まる。信号OUTM1が最小電圧値Vminmよりも大きい場合、信号OUTMLIM1の電圧値は、信号OUTM1の電圧値となる。換言すると、リミッタ回路LIM1は、信号OUTM1を信号OUTMLIM1として中間電圧生成回路CMFB1に送信する。他方で、信号OUTM1が最小電圧値Vminm以下である場合、信号OUTMLIM1の電圧値は、最小電圧値Vminmとなる。換言すると、リミッタ回路LIM1は、最小電圧値Vminmを信号OUTMLIM1として中間電圧生成回路CMFB1に送信する。
【0073】
1.5.2 フィードバック動作
本変形例に係る電力増幅装置1のフィードバック動作について説明する。本変形例に係る電力増幅装置1の第2フィードバック動作を示すフローチャートは、第1実施形態の
図5と同様である。
【0074】
1.5.3 効果
本変形例では、第2フィードバック動作として、リミッタ回路LIM1は、電圧VLIM1に基づいて、信号OUTP1及びOUTM1の最小電圧値Vminを制限する。このため、信号OUTPLIM1及びOUTMLIM1の電圧値は、電圧VLIM1に基づいて決められる最小電圧値Vmin以上となる。例えば、基準電圧VCMREF1を電圧VCC/2よりも高く、電圧VCCよりも低い電圧に設定した場合、信号OUTP1及びOUTM1の振幅が大きくなると、信号OUTP1及びOUTM1は、電圧VCC側でクリップが発生する。しかし、信号OUTPLIM1及びOUTMLIM1の電圧値が最小電圧値Vmin以上に制限されるため、本変形例に係る構成によれば、第1実施形態と同様に、信号OUTP1及びOUTM1の中点電位のばらつきが小さくなる。
【0075】
また、本変形例に係る構成によれば、第1実施形態と同様に、信号OUTP1、信号OUTM1、及びOUTP1-OUTM1の信号の歪の悪化を抑制できる。
【0076】
2.第2実施形態
第2実施形態に係る電力増幅装置1について説明する。本実施形態に係る電力増幅装置1は、第3オペアンプA3及び第4オペアンプA4を含むBTLアンプ(以下、「ハイサイドアンプHS」とも表記する)を含む点で第1実施形態と異なる。第1実施形態は、1ch(1チャンネル)の電力増幅装置に対して、第2実施形態は2ch(2チャンネル)の電力増幅装置となる。第1実施形態の電力増幅装置を2点備える電力増幅装置と比較して、第2実施形態では、ハイサイドアンプHSで消費した電力をローサイドアンプLSで共有することで高効率動作が可能となる。以下では、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0077】
2.1 電力増幅装置の回路構成
本実施形態に係る電力増幅装置1の回路構成について、
図9を用いて説明する。
図9は電力増幅装置1の一例を示す回路図である。
【0078】
電力増幅装置1は、バッファ回路BUF、第1電圧配線4、及び第1電圧端子T3をさらに含む。
【0079】
バッファ回路BUFは、電源電圧配線2と接地電圧配線3との間の電圧の分圧として電圧VCC/2を生成する。
【0080】
第1電圧端子T3には、第1電圧配線4が接続され、バッファ回路BUFから電圧VCC/2が供給される。
【0081】
第1オペアンプA1及び第2オペアンプA2を含むBTLアンプ(以下、「ローサイドアンプLS」とも表記する)は、スイッチSW1及びSW2をさらに含む。
【0082】
スイッチSW1は、第1オペアンプA1の第1電源電圧端子に接続され、第1オペアンプA1の第1電源電圧端子と電源電圧配線2との接続、及び第1オペアンプA1の第1電源電圧端子と第1電圧配線4との接続を切り替える。
【0083】
スイッチSW2は、第2オペアンプA2の第1電源電圧端子に接続され、第2オペアンプA2の第1電源電圧端子と電源電圧配線2との接続、及び第2オペアンプA2の第1電源電圧端子と第1電圧配線4との接続を切り替える。
【0084】
例えば、信号OUTP1及びOUTM1の振幅が小さい(例えば、信号OUTP1及びOUTM1の電圧値(電圧VCCに対する電圧値)が電圧VCC/2未満)場合、スイッチSW1及びSW2は、第1電圧配線4に接続される。これにより、第1オペアンプA1及び第2オペアンプA2には、電圧VCC/2及び電圧VSSが印加される。
【0085】
他方で、信号OUTP1及びOUTM1の振幅が大きい(例えば、信号OUTP1またはOUTM1の電圧値(電圧VCCに対する電圧値)が電圧VCC/2以上)場合、スイッチSW1及びSW2は、電源電圧配線2に接続される。これにより、第1オペアンプA1及び第2オペアンプA2には、電圧VCC及び電圧VSSが印加される。
【0086】
ローサイドアンプLSにおいて、基準電圧VCMREF1は、例えば電圧VCC/4である。
【0087】
ハイサイドアンプHSは、入力端子Tinp2及びTinm2、出力端子Toutp2及びToutm2、抵抗素子Rs3及びRs4、第3オペアンプA3、第4オペアンプA4、抵抗素子Rf3及びRf4、スイッチSW3及びSW4、リミッタ回路LIM2、並びに中間電圧生成回路CMFB2を含む。
【0088】
入力端子Tinp2及びTinm2は、ローサイドアンプLSの入力端子Tinp1及びTinm1にそれぞれ対応する。
【0089】
出力端子Toutp2及びToutm2は、ローサイドアンプLSの出力端子Toutp1及びToutm1にそれぞれ対応する。
【0090】
抵抗素子Rs3及びRs4は、ローサイドアンプLSの抵抗素子Rs1及びRs2にそれぞれ対応する。
【0091】
第3オペアンプA3のTDFBp3端子、TCFBp3端子、TDFBm3端子、及びTCFBm3端子は、ローサイドアンプLSの第1オペアンプA1のTDFBp1端子、TCFBp1端子、TDFBm1端子、及びTCFBm1端子にそれぞれ対応する。第3オペアンプA3は、第1オペアンプA1と同様の構成を有する。
【0092】
第4オペアンプA4のTDFBp4端子、TCFBp4端子、TDFBm4端子、及びTCFBm4端子は、ローサイドアンプLSの第2オペアンプA2のTDFBp2端子、TCFBp2端子、TDFBm2端子、及びTCFBm2端子にそれぞれ対応する。第4オペアンプA4は、第2オペアンプA2と同様の構成を有する。
【0093】
抵抗素子Rf3及びRf4は、ローサイドアンプLSの抵抗素子Rf1及びRf2にそれぞれ対応する。
【0094】
スイッチSW3は、第3オペアンプA3の第2電源電圧端子に接続され、第3オペアンプA3の第2電源電圧端子と接地電圧配線3との接続、及び第3オペアンプA3の第2電源電圧端子と第1電圧配線4との接続を切り替える。スイッチSW3は、ローサイドアンプLSのスイッチSW1に対応する。
【0095】
スイッチSW4は、第4オペアンプA4の第2電源電圧端子に接続され、第4オペアンプA4の第2電源電圧端子と接地電圧配線3との接続、及び第4オペアンプA4の第2電源電圧端子と第1電圧配線4との接続を切り替える。スイッチSW4は、ローサイドアンプLSのスイッチSW2に対応する。
【0096】
例えば、信号OUTP2及びOUTM2の振幅が小さい(例えば、信号OUTP2及びOUTM2の電圧値(電圧VSSに対する電圧値)が電圧VCC/2以上)場合、スイッチSW3及びSW4は、第1電圧配線4に接続される。これにより、第3オペアンプA3及び第4オペアンプA4には、電圧VCC及び電圧VCC/2が印加される。
【0097】
他方で、信号OUTP2及びOUTM2の振幅が大きい(例えば、信号OUTP2またはOUTM2の電圧値(電圧VSSに対する電圧値)が電圧VCC/2未満)場合、スイッチSW3及びSW4は、接地電圧配線3に接続される。これにより、第3オペアンプA3及び第4オペアンプA4には、電圧VCC及び電圧VSSが印加される。
【0098】
リミッタ回路LIM2は、ローサイドアンプLSのリミッタ回路LIM1に対応する。リミッタ回路LIM2は、第1実施形態の第2変形例のリミッタ回路LIM1と同様の構成を有する。
【0099】
中間電圧生成回路CMFB2は、ローサイドアンプLSの中間電圧生成回路CMFB1に対応する。中間電圧生成回路CMFB2は、中間電圧生成回路CMFB1と同様の構成を有する。
【0100】
信号INP2及びINM2は、ローサイドアンプLSの信号INP1及びINM1にそれぞれ対応する。
【0101】
ノードND11及びND12は、ローサイドアンプLSのノードND1及びND2にそれぞれ対応する。
【0102】
電圧Vinp2及びVinm2は、ローサイドアンプLSの電圧Vinp1及びVinm1にそれぞれ対応する。
【0103】
基準電圧VCMREF2及びフィードバック電圧VCMFB2は、ローサイドアンプLSの基準電圧VCMREF1及びフィードバック電圧VCMFB1にそれぞれ対応する。基準電圧VCMREF2は、例えば電圧3VCC/4である。
【0104】
ノードND13及びND14は、ローサイドアンプLSのノードND3及びND4にそれぞれ対応する。
【0105】
信号OUTP2及びOUTM2は、ローサイドアンプLSの信号OUTP1及びOUTM1にそれぞれ対応する。
【0106】
電圧VLIM2、並びに信号OUTPLIM2及びOUTMLIM2は、ローサイドアンプLSの電圧VLIM1、並びに信号OUTPLIM1及びOUTMLIM1にそれぞれ対応する。
【0107】
2.2 フィードバック動作
本実施形態に係る電力増幅装置1のフィードバック動作について説明する。本実施形態に係る電力増幅装置1のローサイドアンプLS、及びハイサイドアンプHSにおける第2フィードバック動作を示すフローチャートは、第1実施形態の
図5と同様である。
【0108】
2.3 効果
本実施形態に係る構成によれば、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0109】
また、第1実施形態と同様に、信号OUTP1及びOUTM1の中点電位のばらつき、並びに信号OUTP2及びOUTM2の中点電位のばらつきが小さくなる。このため、電力増幅装置1の高効率範囲が最大化される。さらに、中点電位のばらつきが小さくなることにより、第2実施形態の電力増幅装置を2点以上備える電力増幅装置において、ローサイドアンプLS同士の出力端子と、ハイサイドアンプHS同士の出力端子とを誤接続したとしても、誤接続した出力端子間の電位差が小さいため、流れる短絡電流値が小さくなる。このため、他チャンネルとの短絡を保護するための回路を設けなくてもよい。
【0110】
もちろん、本実施形態は、第1実施形態の第1変形例に適用することもできる。
【0111】
3.変形例等
上記のように、実施形態に係る電力増幅装置(1)は、複数の入力端子に複数の電圧が印加され、第1出力信号(OUTP1)を出力する第1アンプ(A1)と、複数の入力端子に複数の電圧が印加され、第2出力信号(OUTM1)を出力する第2アンプ(A2)と、第1出力信号(OUTP1)の電圧値の大きさを制限した第3信号(OUTPLIM1)、及び第2出力信号(OUTM1)の電圧値の大きさを制限した第4信号(OUTMLIM1)を出力する第1回路(LIM1)と、第3信号(OUTPLIM1)の電圧値と第4信号(OUTMLIM1)の電圧値との平均値を、第1フィードバック電圧(VCMFB1)として第1アンプ(A1)及び第2アンプ(A2)に送信する第2回路(CMFB1)とを備える。
【0112】
なお、実施形態は上記説明した形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。
【0113】
上記実施形態で説明したフローチャートは、その処理の順番を可能な限り入れ替えることができる。
【0114】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0115】
1…電力増幅装置、2…電源電圧配線、3…接地電圧配線、A1…第1オペアンプ、A2…第2オペアンプ、A3…第3オペアンプ、A4…第4オペアンプ、LIM1、LIM2…リミッタ回路、CMFB1、CMFB2…中間電圧生成回路、Rs1、Rs2、Rf1、Rf2、R1~R3…抵抗素子、Gm_DFB…第1トランスコンダクタンス回路、Gm_CFB…第2トランスコンダクタンス回路、DS…ドライバステージ回路、N1~N3、P1~P3…トランジスタ、A_DFB…第1電圧制御電圧源、A_CFB…第2電圧制御電圧源