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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-28
(45)【発行日】2025-04-07
(54)【発明の名称】半導体装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H10D 1/47 20250101AFI20250331BHJP
   H10D 89/10 20250101ALI20250331BHJP
   H01L 21/3205 20060101ALI20250331BHJP
   H01L 21/768 20060101ALI20250331BHJP
   H01L 23/522 20060101ALI20250331BHJP
   H01L 23/532 20060101ALI20250331BHJP
【FI】
H10D1/47 101
H10D89/10 Z
H01L21/88 Z
H01L21/88 M
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021167860
(22)【出願日】2021-10-13
(65)【公開番号】P2023058091
(43)【公開日】2023-04-25
【審査請求日】2024-03-06
(73)【特許権者】
【識別番号】302062931
【氏名又は名称】ルネサスエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】白石 信仁
【審査官】石川 雄太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-147380(JP,A)
【文献】特開2004-281966(JP,A)
【文献】特開2008-042109(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0036036(US,A1)
【文献】特開2007-324517(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0279272(US,A1)
【文献】特開2007-165622(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107104134(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3205
H01L 21/768
H01L 23/522
H01L 23/532
H10D 1/47
H10D 89/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
層間絶縁層と、
各々が前記層間絶縁層の上面に接して配置されており、かつ第1方向に互いに間隔を空けて配置されている複数の抵抗層と、
平面視において前記複数の抵抗層と重畳するように、前記複数の抵抗層の上方及び下方の少なくともいずれかに配置されている配線層とを備え、
前記複数の抵抗層は、第1抵抗層と、前記第1抵抗層よりも前記第1方向の幅が狭い第2抵抗層とを含み、
前記第1抵抗層は、平面視において前記配線層と重畳する第1重畳領域を含み、
前記第2抵抗層は、平面視において前記配線層と重畳する第2重畳領域を含み、
前記第2重畳領域の全面積を前記第2抵抗層の前記第1方向の幅で除した値が、前記第1重畳領域の全面積を前記第1抵抗層の前記第1方向の幅で除した値よりも小さく、
前記配線層は、互いに並走する第1配線部と第2配線部とを有し、
前記第1配線部は、前記第1抵抗層及び前記第2抵抗層と平面視において重畳し、
前記第2配線部は、前記第1抵抗層と平面視において重畳し、前記第2抵抗層と平面視において重畳しない、半導体装置。
【請求項2】
平面視において、前記第1抵抗層は、前記第2抵抗層よりも前記複数の抵抗層の平面配置領域の内側に配置されている、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1重畳領域の前記第1方向と直交する第2方向の幅は、前記第2重畳領域の前記第2方向の幅よりも広い、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記配線層は、前記複数の抵抗層の下方に形成されている、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記配線層は、前記複数の抵抗層の上方に形成されている、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記配線層は、前記複数の抵抗層の上方及び下方の双方に形成されている、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第1抵抗層及び前記第2抵抗層の各々は、金属を含む材質よりなっている、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第1抵抗層及び前記第2抵抗層の各々を構成する材料は、シリコンクロム(SiCr)、炭素が導入されたシリコンクロム(SiCrC)、ニッケルクロム(NiCr)、窒化チタン(TiN)、及び窒化タンタル(TaN)から成る群から選択される少なくとも1つを含む、請求項に記載の半導体装置。
【請求項9】
層間絶縁層を形成する工程と、
前記層間絶縁層の上面に接して配置されており、かつ第1方向に互いに間隔を空けて配置されている複数の抵抗層を形成する工程と、
平面視において前記複数の抵抗層と重畳するように、前記複数の抵抗層の上方及び下方の少なくともいずれかに配線層を形成する工程とを備え、
前記複数の抵抗層を形成する工程では、第1抵抗層と、前記第1抵抗層よりも前記第1方向の幅が狭い第2抵抗層とが形成され、
平面視において前記配線層と前記第1抵抗層とが重畳する第1重畳領域の面積の合計値を前記第1抵抗層の前記第1方向の幅で除した値に対して、平面視において前記配線層と前記第2抵抗層とが重畳する第2重畳領域の面積の合計値を前記第2抵抗層の前記第1方向の幅で除した値が小さく、
前記配線層は、互いに並走する第1配線部と第2配線部とを有し、
前記第1配線部は、前記第1抵抗層及び前記第2抵抗層と平面視において重畳し、
前記第2配線部は、前記第1抵抗層と平面視において重畳し、前記第2抵抗層と平面視において重畳しない、半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の抵抗素子を備える半導体装置において、配線等のパターンが密に形成されている領域と、当該パターンが疎に形成されている領域とが存在する場合には、パターンが疎に形成された領域の配線の幅がパターンが密に形成された領域の配線の幅よりも細くなる。これは、マイクロローディング効果として知られている。マイクロローディング効果は、各抵抗素子の抵抗値にばらつきを生じさせる。
【0003】
特開平9-311432号公報(特許文献1)には、回路を構成するパターン(実パターン)が形成されていない外周部に実パターンと同程度のパターン幅を有するダミーパターンが形成されている半導体装置が開示されている。該半導体装置では、ダミーパターンが形成されていない半導体装置と比べて、パターンの疎密の差が低減されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平9-311432号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
高精度アナログ回路を備える半導体装置では、当該高精度アナログ回路を構成する複数の抵抗素子の各々の抵抗値のばらつきのさらなる低減が求められている。例えば、デジタルアナログ変換器(DAC)を備える半導体装置では、複数の抵抗素子の各々の抵抗値のばらつきが中心値に対して0.2%未満であることが求められている。
【0006】
本発明者らは、上記特許文献1に記載の半導体装置では、ダミーパターンが形成されており回路に使用されない外周部を十分に広く設けなければ、実パターン中の複数の抵抗素子の各々の抵抗値のばらつきがその中心値に対して0.2%よりも大きくなることを確認した。
【0007】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係る半導体装置は、層間絶縁層と、各々が前記層間絶縁層の上面に接して配置されている複数の抵抗層と、平面視において複数の抵抗層と重畳するように複数の抵抗層の上方及び下方の少なくともいずれかに配置されている配線層とを備える。複数の抵抗層は、第1抵抗層と、第1抵抗層よりも第1方向の幅が狭い第2抵抗層とを含む。配線層は、平面視において第1抵抗層と重畳する第1重畳領域と、平面視において第2抵抗層と重畳する第2重畳領域とを含む。第2重畳領域の面積の合計値を第2抵抗層の第1方向の幅で除した値が、第1重畳領域の面積の合計値を第1抵抗層の第1方向の幅で除した値よりも小さい。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、回路に使用されない外周部を削減しながらも、複数の抵抗素子の各々の抵抗値のばらつきが低減されている半導体装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態1に係る半導体装置の第1領域及び第2領域を示す平面図である。
図2】実施の形態1に係る半導体装置の複数の抵抗層及び配線層を示す平面図である。
図3図2中の矢印III-IIIから視た断面図である。
図4図2中の矢印IV-IVから視た断面図である。
図5図2中の矢印V-Vから視た断面図である。
図6図2中の矢印VI-VIから視た断面図である。
図7】実施の形態1に係る半導体装置の製造方法のフローチャートである。
図8】実施の形態1に係る半導体装置の製造方法において、第1の工程を説明するための断面図である。
図9】実施の形態1に係る半導体装置の製造方法において、図8に示される第1の工程後の第2の工程を説明するための断面図である。
図10】実施の形態1に係る半導体装置の製造方法において、図9に示される第2の工程後の第3の工程を説明するための断面図である。
図11】実施の形態1に係る半導体装置の製造方法において、図10に示される第3の工程後の第4の工程を説明するための断面図である。
図12】実施の形態1に係る半導体装置の製造方法において、図11に示される第4の工程後の第5の工程を説明するための断面図である。
図13】比較例1に係る半導体装置の複数の抵抗層及び配線層を示す平面図である。
図14】比較例1に係る半導体装置において、抵抗層の抵抗値の変動率を説明するための図である。
図15】互いに並走しておりかつ各々の第2方向Yの幅及び各々の第2方向Yの間隔が第1方向Xにおいて一定である第1配線部及び第2配線部の各々と平面視において重畳する抵抗層の抵抗値が、第1配線部及び第2配線部の第2方向Yの間隔に応じて変動することを示すグラフである。
図16】実施の形態1に係る半導体装置において、抵抗層の抵抗値の変動率を説明するための図である。
図17】実施の形態2に係る半導体装置の複数の抵抗層及び配線層を示す平面図である。
図18図17中の矢印XVIII-XVIIIから視た断面図である。
図19図17中の矢印XIX-XIXから視た断面図である。
図20】比較例2に係る半導体装置の複数の抵抗層及び配線層を示す平面図である。
図21】実施の形態3に係る半導体装置の複数の抵抗層及び配線層を示す平面図である。
図22図21中の矢印XXII-XXIIから視た断面図である。
図23図21中の矢印XXIII-XXIIIから視た断面図である。
図24】実施の形態3に係る半導体装置の製造方法のフローチャートである。
図25】実施の形態4に係る半導体装置の複数の抵抗層及び配線層を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、実施の形態について説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付し、その説明は繰返さない。
【0012】
(実施の形態1)
<半導体装置の構成>
実施の形態1に係る半導体装置MCP1は、梯子型抵抗回路網を含むデジタルアナログ変換器である。半導体装置MCP1には、梯子型抵抗回路網に入力された電圧を分圧するための複数の抵抗素子が形成されている。複数の抵抗素子の各々は、アレイ状に配置されている。
【0013】
図1に示されるように、平面視において、半導体装置MCP1は、第1方向X及び第1方向Xと直交する第2方向Yに沿って延びている。半導体装置MCP1は、第1領域R1と第2領域R2とを有している。第1領域R1は、第1方向Xにおいて第2領域R2よりも内側に配置されている。第1領域R1は、第1方向Xにおいて第2領域R2と連なっている。第2領域R2は、例えば、半導体装置MCP1において梯子型抵抗回路網を構成する実パターンが形成されている領域の中で、第1方向Xの最外周に位置している。半導体装置MCP1は、例えばダミーパターンが形成されているダミー領域を有していない。
【0014】
図1及び図2に示されるように、複数の抵抗素子の各々は、第1領域R1及び第2領域R2の各々に形成されている。第2領域R2に形成されている複数の抵抗素子は、第1領域R1に形成されている複数の抵抗素子と基本的に同等の構造を有している。複数の抵抗素子の各々の抵抗値は、互いに等しい。ここで、複数の抵抗素子の各々の抵抗値が互いに等しいとは、各抵抗素子の抵抗値のばらつきが設計値に対して0.2%以内であることを意味する。第2領域R2に形成されている複数の抵抗素子の各々の抵抗値は、互いに等しく、かつ第1領域R1に形成されている複数の抵抗素子の各々の抵抗値と等しい。言い換えると、第1領域R1に形成されている複数の抵抗素子の各々の抵抗値を基準として、第2領域R2に形成されている複数の抵抗素子の各々の抵抗値のばらつきは、0.2%以内である。
【0015】
図2図4に示されるように、半導体装置MCP1は、例えば、半導体基板SUB、層間絶縁層INI0、配線層LM1、下層配線層LM10、層間絶縁層INI1、複数の抵抗層LR、層間絶縁層INI2、上層配線層LM20、及びパッシベーション膜PVを備えている。配線層LM1、下層配線層LM10、層間絶縁層INI1、複数の抵抗層LR、層間絶縁層INI2、上層配線層LM20、及びパッシベーション膜PVの各々の一部は、第1領域R1上に形成されている。配線層LM1、下層配線層LM10、層間絶縁層INI1、複数の抵抗層LR、層間絶縁層INI2、上層配線層LM20、及びパッシベーション膜PVの各々の他の一部は、第2領域R2上に形成されている。
【0016】
層間絶縁層INI0は、半導体基板SUBの上面上に形成されている。配線層LM1及び1対の下層配線層LM10は、層間絶縁層INI0の上面に接して配置されている。配線層LM1及び1対の下層配線層LM10は、層間絶縁層INI1に埋め込まれている。層間絶縁層INI1は、層間絶縁層INI0の上面に接して配置されている。第1領域R1及び第2領域R2の各々上に形成されている層間絶縁層INI1の上面は平坦化されている。複数の抵抗層LRは、層間絶縁層INI1の上面に接して配置されている。抵抗層LRは、層間絶縁層INI2に埋め込まれている。層間絶縁層INI2は、層間絶縁層INI1の上面に接して配置されている。上層配線層LM20は、層間絶縁層INI2の上面に接して配置されている。上層配線層LM20は、例えばパッシベーション膜PVに埋め込まれている。
【0017】
第1領域R1及び第2領域R2の各々において、複数の抵抗素子の各々は、半導体基板SUBとパッシベーション膜PVとの間に形成されている。複数の抵抗素子の各々は、抵抗層LRと、1対の下層配線層LM10と、1対の上層配線層LM20と、配線層LM1とを含む。
【0018】
複数の抵抗層LRの各々は、層間絶縁層INI1の上面に接して配置されている。複数の抵抗素子の各々の抵抗層LRは、第1方向Xに互いに間隔を空けて配置されており、かつ第1方向Xと直交する第2方向Yに沿って延びている。複数の抵抗素子の各々の抵抗層LRは、同一の層に形成されている。異なる観点から言えば、複数の抵抗素子の各々の抵抗層LRは半導体装置の製造方法において同一工程で形成されており、半導体基板SUBの主面(上面)からの各抵抗層LRの高さは互いに等しい。
【0019】
複数の抵抗層LRの各々の厚みは、例えば1nm以上20nm以下である。好ましくは、複数の抵抗層LRの各々の厚みは、10nm以下である。複数の抵抗層LRの各々は、金属を含む材質によりなっている。言い換えると、複数の抵抗層LRの各々は、薄膜金属抵抗である。複数の抵抗層LRの各々を構成する材料は、シリコンクロム(SiCr)、炭素が導入されたシリコンクロム(SiCrC)、ニッケルクロム(NiCr)、窒化チタン(TiN)、及び窒化タンタル(TaN)から成る群から選択される少なくとも1つを含む。
【0020】
1対の下層配線層LM10の各々は、抵抗層LRの第2方向Yの両端部の各々とビアVA1を介して電気的に接続されている。1対の上層配線層LM20の各々は、1対の下層配線層LM10の各々とビアVA2を介して電気的に接続されている。
【0021】
半導体基板SUBを構成する材料は、任意の半導体材料であればよいが、例えばケイ素(Si)を含む。層間絶縁層INI0,INI1,INI2の各々を構成する材料は、電気的絶縁性を有する任意の材料であればよいが、例えば酸化ケイ素(SiO2)又は窒化ケイ素(Si34)を含む。パッシベーション膜PVを構成する材料は、電気的絶縁性を有する任意の材料であればよいが、例えば窒化ケイ素(Si34)又はポリイミドを含む。半導体基板SUBを構成する材料の熱膨張係数は、層間絶縁層INI1を構成する材料の熱膨張係数よりも小さい。下層配線層LM10及び上層配線層LM20の各々を構成する材料は、導電性を有する任意の材料であればよいが、例えばアルミニウム(Al)を含む。
【0022】
第1領域R1に形成されている複数の抵抗素子と第2領域R2に形成されている複数の抵抗素子とは、各抵抗層LRの第1方向Xの幅及び第1方向Xの間隔が相違する。
【0023】
図2に示されるように、第1領域R1に形成されている複数の抵抗素子の各々は、抵抗層として第1抵抗層LR1を有している。第2領域R2に形成されている複数の抵抗素子の各々は、抵抗層として第2抵抗層LR2を有している。複数の第1抵抗層LR1は、複数の第2抵抗層LR2よりも第1方向Xの内側に配置されている。
【0024】
各第1抵抗層LR1の第1方向Xの幅W1は、互いに等しい。各第1抵抗層LR1の第1方向Xの間隔D1は、互いに等しい。各第1抵抗層LR1の幅W1及び間隔D1が等しいとは、隣り合う2つの第1抵抗層LR1のうち一方の第1抵抗層LR1の寸法に対する2つの第1抵抗層LR1の寸法差が0.2%以内であることを意味する。
【0025】
各第2抵抗層LR2の第1方向Xの幅は、第1方向Xにおいて外側に向かうにつれて徐々に狭くなっている。つまり、第1方向Xにおいて隣り合う2つの第2抵抗層LR2の各々の第1方向Xの幅の差分は、一方の第2抵抗層LR2の上記幅の0.2%よりも大きい。各第2抵抗層LR2の第1方向Xの間隔は、第1方向Xにおいて外側に向かうにつれて徐々に広くなっている。
【0026】
第1方向Xにおいて第1抵抗層LR1と隣り合っている第2抵抗層LR21の第1方向Xの幅W21は、第1抵抗層LR1の第1方向Xの幅W1よりも狭い。第1方向Xにおいて第2抵抗層LR21と隣り合っている第2抵抗層LR22の第1方向Xの幅W22は、第2抵抗層LR21の第1方向Xの幅W21よりも狭い。第1方向Xにおいて第2抵抗層LR22と隣り合っている第2抵抗層LR23の第1方向Xの幅W23は、第2抵抗層LR22の第1方向Xの幅W22よりも狭い。
【0027】
第2抵抗層LR21と第2抵抗層LR22との間の第1方向Xの間隔D21は、第1抵抗層LR1と第2抵抗層LR21との間の第1方向Xの間隔D20よりも広い。第2抵抗層LR22と第2抵抗層LR23との間の第1方向Xの間隔D22は、第2抵抗層LR21と第2抵抗層LR22との間の第1方向Xの間隔D21よりも広い。なお、間隔D20~D22及び幅W21~W23が変動しているとは、比較される2つの第2抵抗層LR2について、一方の第2抵抗層LR2の寸法に対する両第2抵抗層LR2の寸法差が0.1%よりも大きいことを意味する。
【0028】
第1領域R1では、複数の第1抵抗層LR1が比較的密に配置されている。第2領域R2では、複数の第2抵抗層LR2が比較的疎に配置されている。第2領域R2の単位面積当たりに複数の第2抵抗層LR2が占有する面積の合計値は、第1領域R1の単位面積当たりに複数の第1抵抗層LR1が占有する面積の合計値よりも小さい。
【0029】
図2図6に示されるように、配線層LM1は、平面視において複数の抵抗層LRと重畳するように、複数の抵抗層LRの下方に配置されている。配線層LM1は、層間絶縁層INI0の上面に接して配置されている。配線層LM1の厚みは、抵抗層LRの厚みよりも厚い。配線層LM1は、例えば下層配線層LM10と同一の層に形成されている。異なる観点から言えば、配線層LM1と下層配線層LM10とは、半導体装置の製造方法において同一工程で形成されており、半導体基板SUBの主面(上面)からの高さが互いに等しい。
【0030】
配線層LM1は、例えば、第1配線部LM11、第2配線部LM12、第3配線部LM13、及び第4配線部LM14を含む。第1配線部LM11、第2配線部LM12、第3配線部LM13、及び第4配線部LM14の各々は、第1方向Xに沿って延びており、かつ第2方向Yに間隔を空けて配置されている。言い換えると、第1配線部LM11、第2配線部LM12、第3配線部LM13、及び第4配線部LM14の各々は、互いに並走している。第1配線部LM11、第2配線部LM12、第3配線部LM13、及び第4配線部LM14の各々の第2方向Yの幅W3は、例えば互いに等しい。
【0031】
第1配線部LM11、第3配線部LM13、第4配線部LM14、及び第2配線部LM12は、例えば第2方向Yにおいて上記記載順に並んで配置されている。第1配線部LM11と第3配線部LM13との間の第2方向Yの間隔、第3配線部LM13と第4配線部LM14との間の第2方向Yの間隔、及び第4配線部LM14と第2配線部LM12との間の第2方向Yの間隔は、互いに等しい。上記間隔は、例えば上記幅W3と等しい。
【0032】
配線層LM1は、例えば、第1配線部LM11、第2配線部LM12、第3配線部LM13、及び第4配線部LM14から成る1組の配線パターンを、複数組含む。複数組の配線パターンは、第2方向Yに並んで配置されている。配線層LM1は、例えば2組の上記配線パターンと、1つの第1配線部LM11とを含む。
【0033】
第1配線部LM11は、複数の第1抵抗層LR1及び複数の第2抵抗層LR21,LR22,LR23の各々と平面視において重畳している。第1配線部LM11は、平面視において複数の第1抵抗層LR1の各々と重畳する複数の第3重畳領域、平面視において第2抵抗層LR21と重畳する第4重畳領域、平面視において第2抵抗層LR22と重畳する第5重畳領域、及び平面視において第2抵抗層LR23と重畳する第6重畳領域を含む。
【0034】
第2配線部LM12は、複数の第1抵抗層LR1の各々と平面視において重畳している。第2配線部LM12は、平面視において複数の第1抵抗層LR1のいずれかと重畳する複数の第3重畳領域を含む。第2配線部LM12は、複数の第2抵抗層LR21,LR22,LR23の各々とは平面視において重畳していない。第2配線部LM12は、平面視において複数の第2抵抗層LR21,LR22,LR23の各々と重畳する領域を含まない。
【0035】
第3配線部LM13は、複数の第1抵抗層LR1、第2抵抗層LR21、及び第2抵抗層LR22の各々と平面視において重畳している。第3配線部LM13は、平面視において複数の第1抵抗層LR1のいずれかと重畳する複数の第3重畳領域、平面視において第2抵抗層LR21と重畳する第4重畳領域、及び平面視において第2抵抗層LR22と重畳する第5重畳領域を含む。第3配線部LM13は、第2抵抗層LR23とは平面視において重畳していない。第3配線部LM13は、平面視において第2抵抗層LR23と重畳する領域を含まない。
【0036】
第4配線部LM14は、複数の第1抵抗層LR1及び第2抵抗層LR21の各々と平面視において重畳している。第4配線部LM14は、平面視において複数の第1抵抗層LR1のいずれかと重畳する複数の第3重畳領域と、平面視において第2抵抗層LR21と重畳する第4重畳領域とを含む。第4配線部LM14は、第2抵抗層LR22及び第2抵抗層LR23の各々とは平面視において重畳していない。第4配線部LM14は、平面視において第2抵抗層LR22及び第2抵抗層LR23の各々と重畳する領域を含まない。
【0037】
異なる観点から言えば、複数の第1抵抗層LR1の各々は、平面視において第1配線部LM11、第2配線部LM12、第3配線部LM13、及び第4配線部LM14の各々の上記第3重畳領域と重畳する複数の第1重畳領域OVL1を有している。1つの第1重畳領域OVL1は、平面視において1つの上記第3重畳領域と重畳する。各第1重畳領域OVL1の第1方向Xの幅は、各第1抵抗層LR1の第1方向Xの幅と等しい。各第1重畳領域OVL1の第2方向Yの幅は、第1配線部LM11、第2配線部LM12、第3配線部LM13、及び第4配線部LM14の各々の第2方向Yの幅と等しい。各第1重畳領域OVL1の第2方向Yの間隔は、第1配線部LM11と第3配線部LM13との間、第3配線部LM13と第4配線部LM14との間、第4配線部LM14と第2配線部LM12との間、及び第2配線部LM12と第1配線部LM11との間、の各々の第2方向Yの間隔と等しい。
【0038】
第2抵抗層LR21は、平面視において第1配線部LM11、第3配線部LM13及び第4配線部LM14の各々の上記第4重畳領域と重畳する複数の第2重畳領域OVL21を有している。1つの第2重畳領域OVL21は、平面視において1つの上記第4重畳領域と重畳する。第2抵抗層LR21は、平面視において第2配線部LM12と重畳する領域を有していない。各第2重畳領域OVL21の第1方向Xの幅は、第2抵抗層LR21の第1方向Xの幅と等しい。各第2重畳領域OVL21の第2方向Yの幅は、第1配線部LM11、第2配線部LM12、及び第3配線部LM13の各々の第2方向Yの幅と等しい。
【0039】
各第2重畳領域OVL21の第2方向Yの間隔の最大値L1(第2重畳領域OVL21間に位置し平面視において配線層LM1と重畳していない非重畳領域の第2方向Yの最大長さ)は、各第1重畳領域OVL1の第2方向Yの間隔L0よりも長い。上記最大値L1は、第2配線部LM12を挟むように配置された第4配線部LM14と第1配線部LM11との間の第2方向Yの距離に等しい。各第2重畳領域OVL21の第2方向Yの間隔の最小値は、第1配線部LM11と第3配線部LM13との間、第3配線部LM13と第4配線部LM14との間、第4配線部LM14と第2配線部LM12との間、及び第2配線部LM12と第1配線部LM11との間、の各々の第2方向Yの間隔と等しい。
【0040】
第2抵抗層LR22は、平面視において第1配線部LM11及び第3配線部LM13の各々の上記第5重畳領域と重畳する第2重畳領域OVL22を有している。1つの第2重畳領域OVL22は、平面視において1つの上記第5重畳領域と重畳する。第2抵抗層LR22は、平面視において第2配線部LM12及び第4配線部LM14の各々と重畳する領域を有していない。各第2重畳領域OVL22の第1方向Xの幅は、第2抵抗層LR22の第1方向Xの幅と等しい。各第2重畳領域OVL22の第2方向Yの幅は、第1配線部LM11及び第2配線部LM12の各々の第2方向Yの幅と等しい。
【0041】
各第2重畳領域OVL22の第2方向Yの間隔の最大値L2(第2重畳領域OVL22間に位置し平面視において配線層LM1と重畳していない非重畳領域の第2方向Yの最大長さ)は、上記最大値L1よりも長い。上記最大値L2は、第2配線部LM12及び第4配線部LM14を挟むように配置された第3配線部LM13と第1配線部LM11との間の第2方向Yの距離に等しい。各第2重畳領域OVL22の第2方向Yの間隔の最小値は、第1配線部LM11と第3配線部LM13との間、第3配線部LM13と第4配線部LM14との間、第4配線部LM14と第2配線部LM12との間、及び第2配線部LM12と第1配線部LM11との間、の各々の第2方向Yの間隔と等しい。
【0042】
第2抵抗層LR23は、平面視において第1配線部LM11の上記第6重畳領域と重畳する第2重畳領域OVL23を有している。第2抵抗層LR23は、平面視において第2配線部LM12、第3配線部LM13、及び第4配線部LM14の各々と重畳する領域を有していない。
【0043】
各第2重畳領域OVL23の第1方向Xの幅は、第2抵抗層LR23の第1方向Xの幅と等しい。各第2重畳領域OVL23の第2方向Yの幅は、第1配線部LM11の第2方向Yの幅W3と等しい。各第2重畳領域OVL23の第2方向Yの間隔の最大値L3(第2重畳領域OVL23間に位置し平面視において配線層LM1と重畳していない非重畳領域の第2方向Yの最大長さ)は、上記最大値L2よりも長い。上記最大値L3は、第2配線部LM12、第3配線部、及び第4配線部LM14を挟むように配置された第1配線部LM11と第1配線部LM11との間の第2方向Yの距離に等しい。各第2重畳領域OVL23の第2方向Yの間隔の最小値は、第1配線部LM11と第3配線部LM13との間、第3配線部LM13と第4配線部LM14との間、第4配線部LM14と第2配線部LM12との間、及び第2配線部LM12と第1配線部LM11との間、の各々の第2方向Yの間隔と等しい。
【0044】
各第2抵抗層LR2の複数の第2重畳領域の各面積の合計値は、各第1抵抗層LR1の複数の第1重畳領域OVL1の各面積の合計値よりも小さい。各第2抵抗層LR2の複数の第2重畳領域の各面積の合計値は、当該第2抵抗層LR2の第1方向Xの位置に応じて異なっている。第1方向Xにおいて相対的に外側に位置する第2抵抗層LR2の複数の第2重畳領域の各面積の合計値は、第1方向Xにおいて相対的に内側に位置する第2抵抗層LR2の複数の第2重畳領域の各面積の合計値より小さい。第1方向Xの最も外側に配置されている第2抵抗層LR2上の第2重畳領域の面積の合計値は、各第2抵抗層LR2上の第2重畳領域の面積の合計値のうち最小である。
【0045】
各第2抵抗層LR2の複数の第2重畳領域の各面積の合計値を該第2抵抗層LR2の第1方向Xの幅で除した値は、各第1抵抗層LR1の複数の第1重畳領域OVL1の各面積の合計値を該第1抵抗層LR1の第1方向Xの幅で除した値よりも小さい。第1方向Xにおいて相対的に外側に位置する第2抵抗層LR2の複数の第2重畳領域の各面積の合計値を当該第2抵抗層LR2の第1方向Xの幅で除した値は、第1方向Xにおいて相対的に内側に位置する第2抵抗層LR2の複数の第2重畳領域の各面積の合計値を当該第2抵抗層LR2の第1方向Xの幅で除した値より小さい。第1方向Xの最も外側に配置されている第2抵抗層LR2上の第2重畳領域の面積の合計値を当該第2抵抗層LR2の第1方向Xの幅で除した値は、各第2抵抗層LR2上の第2重畳領域の面積の合計値を当該第2抵抗層LR2の第1方向Xの幅で除した値のうち最小である。
【0046】
各第2抵抗層LR2の複数の第2重畳領域の各々が単位面積に占める比率(データ率)は、各第1抵抗層LR1の複数の第1重畳領域OVL1の各々が単位面積に占める比率よりも低い。第1方向Xにおいて相対的に外側に位置する第2抵抗層LR2の複数の第2重畳領域の各々が単位面積に占める比率は、第1方向Xにおいて相対的に内側に位置する第2抵抗層LR2の複数の第2重畳領域OVL2の各々が単位面積に占める比率よりも低い。第1方向Xの最も外側に配置されている第2抵抗層LR2上の第2重畳領域の各々が単位面積に占める比率は、各第2抵抗層LR2上の第2重畳領域の各々が単位面積に占める比率のうち最小である。
【0047】
第2抵抗層LR21の複数の第2重畳領域OVL21の各面積の合計値(全面積)は、1つの第1抵抗層LR1の複数の第1重畳領域OVL1の各面積の合計値よりも小さい。第2抵抗層LR21の複数の第2重畳領域OVL21の面積の合計値を第2抵抗層LR21の第1方向Xの幅W21で除した値(第2の値)は、第1抵抗層LR1の複数の第1重畳領域OVL1の面積の合計値を第1抵抗層LR1の第1方向Xの幅W1で除した値(第1の値)よりも小さい。
【0048】
第2抵抗層LR22の複数の第2重畳領域OVL22の各面積の合計値は、第2抵抗層LR21の複数の第2重畳領域OVL21の各面積の合計値よりも小さい。第2抵抗層LR22の複数の第2重畳領域OVL22の各面積の合計値を第2抵抗層LR22の第1方向Xの幅W22で除した値(第3の値)は、上記第1の値及び上記第2の値の各々よりも小さい。
【0049】
第2抵抗層LR23の複数の第2重畳領域OVL23の各面積の合計値は、第2抵抗層LR22の複数の第2重畳領域OVL22の各面積の合計値よりも小さい。第2抵抗層LR23の複数の第2重畳領域OVL23の面積の合計値を第2抵抗層LR22の第1方向Xの幅W22で除した値(第4の値)は、上記第1の値、上記第2の値、及び上記第3の値の各々よりも小さい。
【0050】
<半導体装置の製造方法>
図7に示されるように、半導体装置MCP1の製造方法は、第1に、半導体基板SUBが準備される(工程(S10))。工程(S10)では、層間絶縁層INI0が上面上に形成されている半導体基板SUBが準備される。
【0051】
第2に、半導体基板SUB上に配線層LM1及び下層配線層LM10が形成される(工程(S20))。工程(S20)では、第1に、金属膜が層間絶縁層INI0の上面上に成膜される。第2に、金属膜が写真製版によりパターニングされる。これにより、図8に示されるように、配線層LM1及び下層配線層LM10の各々が金属膜から形成される。なお、図8図12では、半導体基板SUB及び層間絶縁層INI0の図示が省略されている。
【0052】
第3に、配線層LM1及び下層配線層LM10上に層間絶縁層INI1及びビアVA1が形成される(工程(S30))。工程(S30)では、第1に、層間絶縁膜が層間絶縁層INI0、配線層LM1、及び下層配線層LM10上に成膜される。第2に、層間絶縁膜に対して平坦化処理が行われる。平坦化処理は、例えば化学機械研磨(chemical mechanical polishing:CMP)である。第3に、層間絶縁膜内にコンタクトホールが形成される。コンタクトホールは、下層配線層LM10の一部を開口するように形成される。第4に、導電膜がコンタクトホールの内部を埋め込むように成膜される。導電膜を構成する材料は、例えばタングステン(W)を含む。第5に、導電膜の一部及び層間絶縁膜の一部がCMPにより除去される。このようにして、図9に示されるように、層間絶縁層INI1が層間絶縁膜から形成され、かつビアVA1が導電膜から形成される。本工程(S30)での配線層LM1の寸法は、工程(40)において見込まれる抵抗層LRの寸法ばらつきの推測値に基づいて、設定される。抵抗層LRの寸法ばらつきの推測値は、予備実験等から求められる。
【0053】
第4に、層間絶縁層INI1及びビアVA1上に抵抗層LRが形成される(工程(S40))。工程(S40)では、第1に、金属抵抗薄膜が層間絶縁層INI1及びビアVA1上に成膜される。第2に、金属抵抗薄膜が写真製版によりパターニングされる。具体的には、光学マスク(レチクル)を用いて感光性薄膜を露光・現像することにより、抵抗層をパターニングするためのマスクパターンを形成する。次に、当該マスクパターンをエッチングマスクとして、マスクパターンの開口部に露出している金属薄膜抵抗が除去される。
【0054】
光学マスクにおいて、複数の抵抗層LRを形成するためのパターンの寸法は互いに等しい。他方、感光性薄膜の厚みは、第1方向Xにおいて外側に向かうにつれて厚くなる。この感光性薄膜の厚みが第1方向Xにおいて微小に変動することに起因して、マスクパターンの各開口部の面積比率は第1方向Xにおいて外側に向かうにつれて低くなる。そのため、第2領域R2上での抵抗層のエッチング速度が第1領域R1上での抵抗層のエッチング速度より上昇し、さらに第2領域R2上での抵抗層のエッチング速度は第1方向Xにおいて外側に向かうにつれて上昇する(マイクロローディング効果)。
【0055】
これにより、図10に示されるように、金属抵抗薄膜から複数の第1抵抗層LR1及び複数の第2抵抗層LR2が形成される。上述した各第2抵抗層LR2の第1方向Xの幅及び間隔の変動は、上記マイクロローディング効果により生じている。
【0056】
第5に、抵抗層LR上に層間絶縁層INI2及びビアVA2が形成される(工程(S50))。工程(S50)では、第1に、層間絶縁膜が層間絶縁層INI1及び複数の第1抵抗層LR1及び複数の第2抵抗層LR2上に成膜される。第2に、層間絶縁膜に対して平坦化処理が行われる。平坦化処理は、例えば化学機械研磨(chemical mechanical polishing:CMP)である。第3に、層間絶縁膜内にコンタクトホールが形成される。コンタクトホールは、下層配線層LM10の他の一部を開口するように形成される。第4に、導電膜がコンタクトホールの内部を埋め込むように成膜される。導電膜を構成する材料は、例えばタングステン(W)を含む。第5に、導電膜の一部及び層間絶縁膜の一部がCMPにより除去される。このようにして、図11に示されるように、層間絶縁層INI2が層間絶縁膜から形成され、かつビアVA2が導電膜から形成される。
【0057】
第6に、層間絶縁層INI2及びビアVA2上に上層配線層LM20が形成される(工程(S60))。工程(S60)では、第1に、金属膜が層間絶縁層INI2及びビアVA2の上面上に成膜される。第2に、金属膜が写真製版によりパターニングされる。これにより、上層配線層LM20が金属膜から形成される。
【0058】
第7に、上層配線層LM20上にパッシベーション膜PVが形成される(工程(S70))。工程(S70)では、第1に、パッシベーション膜PVが層間絶縁層INI2及び上層配線層LM20の上面上に成膜される。このようにして、図12に示されるように、複数の抵抗素子が半導体基板とパッシベーション膜PVとの間に形成される。
【0059】
<半導体装置の効果>
半導体装置MCP1の効果を、図13に示される比較例1に係る半導体装置との対比に基づいて説明する。
【0060】
図13に示される比較例1に係る半導体装置では、半導体装置MCP1と同様に、マイクロローディング効果により各第2抵抗層LR2の第1方向Xの幅は各第1抵抗層LR1の第1方向Xの幅よりも狭く、各第2抵抗層LR2の複数の第2重畳領域の各面積の合計値が各第1抵抗層LR1の複数の第1重畳領域OVL1の各面積の合計値よりも小さくなる。他方、比較例1に係る半導体装置は、各第2抵抗層LR2の複数の第2重畳領域の各面積の合計値を該第2抵抗層LR2の第1方向Xの幅で除した値が、各第1抵抗層LR1の複数の第1重畳領域OVL1の各面積の合計値を該第1抵抗層LR1の第1方向の幅で除した値と等しい点で、半導体装置MCP1とは異なる。
【0061】
図13に示される比較例1では、マイクロローディング効果に起因して、第2抵抗層LR2の抵抗値は第1抵抗層LR1の抵抗値よりも高くなり、その上昇率は0.2%よりも大きくなる(図14参照)。そのため、各抵抗素子の抵抗値の変動率の許容値が0.2%以内である半導体装置では、第1領域を広げて抵抗値の変動率が0.2%以内に収まっている抵抗素子数を確保するとともに第2領域R2をダミー領域とする必要があり、半導体装置の平面寸法を小さくすることは困難である。
【0062】
本発明者らは、抵抗層と配線層との重畳領域の面積の合計値を該抵抗層の幅で除した値が小さいほど該抵抗層の抵抗値が減少することを実験的に確認した。
【0063】
図15は、複数の配線層LM1の第2方向Yの間隔のみが互いに異なる抵抗素子1~4を比較したときに、抵抗素子1~4中の1つの抵抗層LRの抵抗値が複数の配線層LM1の第2方向Yの間隔に応じて変動していたことを示すグラフである。図15の横軸は複数の配線層LM1の第2方向Yの間隔(単位:μm)を示し、図15の縦軸は抵抗素子1の抵抗値を基準としたときの抵抗素子1~4中の抵抗値の変動率(単位%)を示す。各抵抗素子の複数の配線層LM1の各々の第2方向Yの幅は、0.5μmとした。各抵抗素子の複数の配線層LM1の各々の第1方向Xの長さは5μm以上とした。各抵抗素子の抵抗層LRの各々の第1方向Xの幅は5μm、抵抗層LRの第2方向Yの長さは25μmとした。抵抗素子1の複数の配線層LM1の第2方向Yの間隔は0.5μm、抵抗素子2の上記間隔は1.0μm、抵抗素子3の上記間隔は2.0μm、抵抗素子4の上記間隔は4.0μmとした。抵抗素子1のデータ率は50%、抵抗素子2のデータ率は33%、抵抗素子3のデータ率は20%、抵抗素子4のデータ率は11%とした。抵抗素子1~4では、複数の配線層LM1の第2方向Yの間隔が長いほど、抵抗層LRと配線層LM1との重畳領域間の距離が長くなり、抵抗層LRと配線層LM1との重畳領域の面積の合計値を該抵抗層LRの幅で除した値が小さくなる。図15に示されるように、複数の配線層LM1の第2方向Yの間隔が長くなり、抵抗層LRと配線層LM1との重畳領域の面積の合計値を該抵抗層LRの幅で除した値が小さくなるほど、抵抗値は減少した。
【0064】
上記結果は、以下のように説明される。薄膜金属抵抗である抵抗層LRの抵抗値は、抵抗層LRに加えられる応力が大きいほど、減少する。抵抗層LRに加えられる応力は、例えば半導体基板SUB上に層間絶縁層INI2又はパッシベーション膜PVを成膜する工程等において、半導体基板SUBと層間絶縁層INI2又はパッシベーション膜PVとの熱膨張係数の差に起因して発生する。平面視において抵抗層LRと重畳するように配置されている配線層LM1は、層間絶縁層INI1を介して抵抗層LRに加えられる応力を緩衝する。そのため、抵抗層LRと配線層LM1との重畳領域の面積の合計値を該抵抗層LRの幅で除した値が小さくなるほど、該抵抗層LRに加えられる応力は大きくなり、抵抗層LRの抵抗値が減少しやすくなる。
【0065】
以上に基づいて、半導体装置MCP1では、各第2抵抗層LR2の複数の第2重畳領域の各面積の合計値を該第2抵抗層LR2の第1方向Xの幅で除した値は、各第1抵抗層LR1の複数の第1重畳領域OVL1の各面積の合計値を該第1抵抗層LR1の第1方向Xの幅で除した値よりも小さくされている。これにより、半導体装置MCP1では、相対的に幅が狭い第2抵抗層LR2に加えられる応力は、相対的に幅が広い第1抵抗層LR1よりも大きくなる。その結果、当該応力に起因した第2抵抗層LR2の抵抗値の減少率は第1抵抗層LR1の抵抗値の減少率と比べて大きくなり、第1抵抗層LR1と第2抵抗層LR2との間で第1方向Xの幅の相違に起因した抵抗値のばらつきが低減され得る。つまり、半導体装置MCP1では、回路に使用されない外周部(ダミー領域)を設けることなく、第1領域R1及び第2領域R2の各々において抵抗層LRの抵抗値のばらつきが比較例1に係る半導体装置と比べて低減され得る。
【0066】
さらに本発明者らは、複数の配線層LM1の第2方向Yの間隔を数百nmのオーダーで調整する(上記データ率を10%程度のオーダーで調整する)ことにより、抵抗層LRの抵抗値の減少率を1%程度の範囲内において0.2%程度のオーダーで調整し得ることを確認した(図15参照)。マイクロローディング効果に起因した抵抗層の抵抗値の上昇率は0.2%以上0.6%以下程度である。つまり、半導体装置MCP1では、マイクロローディング効果に起因した抵抗値の上昇率を相殺するように、抵抗層LRの抵抗値の減少率が容易に調整され得る。
【0067】
また、半導体装置MCP1では、各抵抗層LRの抵抗値の減少率の調整精度が、各抵抗層LRの第1方向Xの幅及び間隔の大きさに依存しない。例えば各抵抗層LRの第1方向Xの幅及び間隔が100nm未満とされた場合にも、上記データ率を10%程度のオーダーで調整することは比較的容易である。抵抗素子の微細化が進められているが、半導体装置MCP1はさらに微細化された抵抗素子についてもその抵抗値のばらつきを低減し得る。
【0068】
また、半導体装置MCP1では、複数の第2抵抗層LR2の各々が複数の第1抵抗層LR1の各々よりも外側に配置されており、かつ第1方向Xにおいて相対的に外側に位置する第2抵抗層LR2の複数の第2重畳領域の各面積の合計値は、第1方向Xにおいて相対的に内側に位置する第2抵抗層LR2の複数の第2重畳領域の各面積の合計値より小さい。そのため、図16の直線Cで示されるように、半導体装置MCP1では、配線層LM1による抵抗層LRへの応力を緩衝する効果に起因した抵抗値の減少傾向Bが、マイクロローディング効果に起因した抵抗値の上昇傾向Aをより効果的に打ち消し得る。
【0069】
半導体装置MCP1では、配線層LM1が第1配線部LM11、第2配線部LM12、第3配線部LM13、及び第4配線部LM14を有している。半導体装置MCP1では、第1重畳領域及び第2重畳領域の各々の面積の合計値は、各配線部の第1方向Xの長さ及び第2方向Yの間隔によって調整され得る。各配線部の第1方向Xの長さについては、各配線部が各第2抵抗層LR2と重畳するか否かを調整すれば十分であるため、第2抵抗層LR2の第1方向Xの間隔と同程度の数百nmのオーダーで調整すれば足りる。また、上述のように、半導体装置MCP1では各配線部の第2方向Yの間隔を数百nmのオーダーで調整することにより、各抵抗層の抵抗値を0.1%のオーダーで調整し得る。そのため、半導体装置MCP1では、第1領域R1及び第2領域R2の各々において抵抗層LRの抵抗値のばらつきが比較的容易に低減され得る。
【0070】
半導体装置MCP1では、配線層LM1が複数の抵抗層LRの下方に形成されている。この場合、配線層LM1は、下層配線層LM10を形成する工程において下層配線層LM10と同時に形成され得る。つまり、半導体装置MCP1は、下層配線層を備える従来の半導体装置に対して工数の増大を伴うことなく製造され得る。
【0071】
第1抵抗層LR1及び第2抵抗層LR2は薄膜金属抵抗であるため、応力が加えられることによりその抵抗値が減少する。第1抵抗層LR1及び第2抵抗層LR2の各々を構成する材料は、シリコンクロム(SiCr)、炭素が導入されたシリコンクロム(SiCrC)、ニッケルクロム(NiCr)、窒化チタン(TiN)、及び窒化タンタル(TaN)から成る群から選択される少なくとも1つを含む。上記材料は、比較的容易に加工され得る。
【0072】
半導体装置MCP1の製造方法によれば、各配線部の第1方向Xの長さ及び第2方向Yの間隔を数百nmのオーダーで調整することにより、半導体装置MCP1を容易に製造できる。
【0073】
(実施の形態2)
図17図19に示されるように、実施の形態2に係る半導体装置MCP2は、実施の形態1に係る半導体装置MCP1と基本的に同様の構成を備えるが、第1重畳領域OVL1の第2方向Yの幅W4が第2重畳領域OVL21の第2方向Yの幅W5よりも広い点で、半導体装置MCP1とは異なる。以下では、半導体装置MCP2が半導体装置MCP1とは異なる点を主に説明する。なお、図18及び図19では、半導体基板SUB及び層間絶縁層INI0の図示が省略されている。
【0074】
配線層LM1は、例えば複数の第5配線部LM15を含む。第5配線部LM15の第2方向Yの幅は、第1方向Xにおいて外側に向かうにつれて段階的に狭くなっている。
【0075】
複数の第5配線部LM15の各々は、例えば、第1部分LM151、第2部分LM152、第3部分LM153、および第4部分LM154を有している。第1部分LM151は、平面視において複数の第1抵抗層LR1と重畳している。第2部分LM152は、平面視において第2抵抗層LR21と重畳している。第3部分LM153は、平面視において第2抵抗層LR22と重畳している。第4部分LM154は、平面視において第2抵抗層LR23と重畳している。複数の第5配線部LM15の各々において、第1部分LM151、第2部分LM152、第3部分LM153、および第4部分LM154の各々の第1方向Xの幅は、上記記載順に狭くなっている。
【0076】
複数の第1抵抗層LR1の各々は、平面視において各第5配線部LM15の第1部分LM151と重畳する第1重畳領域OVL1を含む。第2抵抗層LR21は、平面視において各第5配線部LM15の第2部分LM152と重畳する複数の第2重畳領域OVL21を含む。第2抵抗層LR22は、平面視において第5配線部LM15の第3部分LM153と重畳する第2重畳領域OVL22を含む。第2抵抗層LR23は、平面視において第5配線部LM15の第4部分LM154と重畳する第2重畳領域OVL23を含む。
【0077】
各第1重畳領域OVL1の第2方向Yの幅W4は、複数の第5配線部LM15の各第1部分LM151の第2方向Yの幅と等しい。各第2重畳領域OVL21の第2方向Yの幅W5は、複数の第5配線部LM15の各第2部分LM152の第2方向の幅と等しい。各第2重畳領域OVL22の第2方向Yの幅W6は、複数の第5配線部LM15の各第2部分LM152の第2方向の幅と等しい。
【0078】
各第2重畳領域OVL21の第2方向Yの間隔L5は、各第1重畳領域OVL1の第2方向Yの間隔L4よりも長い。各第2重畳領域OVL22の第2方向Yの間隔L6は、各第2重畳領域OVL21の第2方向Yの間隔L5よりも長い。各第2重畳領域OVL23の第2方向Yの間隔L7は、各第2重畳領域OVL22の第2方向Yの間隔L6よりも長い。
【0079】
複数の第5配線部LM15の各第1部分LM151の第1方向Xの幅W4は、例えば互いに等しい。複数の第5配線部LM15の各第2部分LM152の第1方向Xの幅W5は、例えば互いに等しい。複数の第5配線部LM15の各第3部分LM153の第1方向Xの幅W6は、例えば互いに等しい。複数の第5配線部LM15の各第4部分LM154の第1方向Xの幅W7は、例えば互いに等しい。なお、複数の第5配線部LM15の各々の上記幅は、互いに異なっていてもよい。
【0080】
半導体装置MCP2においても、各第2抵抗層LR2の複数の第2重畳領域の各面積の合計値を該第2抵抗層LR2の第1方向Xの幅で除した値は、各第1抵抗層LR1の複数の第1重畳領域OVL1の各面積の合計値を該第1抵抗層LR1の第1方向Xの幅で除した値よりも小さい。第1方向Xにおいて相対的に外側に位置する第2抵抗層LR2の複数の第2重畳領域の各面積の合計値を当該第2抵抗層LR2の第1方向Xの幅で除した値は、第1方向Xにおいて相対的に内側に位置する第2抵抗層LR2の複数の第2重畳領域の各面積の合計値を当該第2抵抗層LR2の第1方向Xの幅で除した値より小さい。第1方向Xの最も外側に配置されている第2抵抗層LR2上の第2重畳領域の面積の合計値を当該第2抵抗層LR2の第1方向Xの幅で除した値は、各第2抵抗層LR2上の第2重畳領域の面積の合計値を当該第2抵抗層LR2の第1方向Xの幅で除した値のうち最小である。
【0081】
半導体装置MCP2においても、各第2抵抗層LR2の複数の第2重畳領域の各々が単位面積に占める比率(データ率)は、各第1抵抗層LR1の複数の第1重畳領域OVL1の各々が単位面積に占める比率よりも低い。第1方向Xにおいて相対的に外側に位置する第2抵抗層LR2の複数の第2重畳領域の各々が単位面積に占める比率は、第1方向Xにおいて相対的に内側に位置する第2抵抗層LR2の複数の第2重畳領域OVL2の各々が単位面積に占める比率よりも低い。第1方向Xの最も外側に配置されている第2抵抗層LR2上の第2重畳領域の各々が単位面積に占める比率は、各第2抵抗層LR2上の第2重畳領域の各々が単位面積に占める比率のうち最小である。
【0082】
そのため、半導体装置MCP2においても、半導体装置MCP1と同様に、抵抗層LRと配線層LM1との重畳領域の面積の合計値を該抵抗層LRの幅で除した値が小さくなるほど、該抵抗層LRに加えられる応力は大きくなり、抵抗層LRの抵抗値が減少しやすくなる。つまり、半導体装置MCP2においても、半導体装置MCP1と同様の効果が奏される。
【0083】
例えば、半導体装置MCP2では、回路に使用されないダミー領域を設けることなく、第1領域R1及び第2領域R2の各々において抵抗層LRの抵抗値のばらつきが図20に示される比較例2に係る半導体装置と比べて低減され得る。
【0084】
図20に示される比較例2に係る半導体装置では、半導体装置MCP2と同様に、マイクロローディング効果により各第2抵抗層LR2の第1方向Xの幅は各第1抵抗層LR1の第1方向Xの幅よりも狭く、各第2抵抗層LR2の複数の第2重畳領域の各面積の合計値が各第1抵抗層LR1の複数の第1重畳領域OVL1の各面積の合計値よりも小さくなる。他方、比較例2に係る半導体装置は、各第2抵抗層LR2の複数の第2重畳領域の各面積の合計値を該第2抵抗層LR2の第1方向Xの幅で除した値が、各第1抵抗層LR1の複数の第1重畳領域OVL1の各面積の合計値を該第1抵抗層LR1の第1方向の幅で除した値と等しい点で、半導体装置MCP2とは異なる。
【0085】
比較例2においても、マイクロローディング効果に起因して、第2抵抗層LR2の抵抗値は第1抵抗層LR1の抵抗値よりも高くなり、その上昇率は0.2%よりも大きくなる。そのため、各抵抗素子の抵抗値の変動率の許容値が0.2%以内である半導体装置では、第1領域を広げて抵抗値の変動率が0.2%以内に収まっている抵抗素子数を確保するとともに第2領域R2をダミー領域とする必要があり、半導体装置の平面寸法を小さくすることは困難である。
【0086】
これに対し、半導体装置MCP2では、半導体装置MCP1と同様に、相対的に幅が狭い第2抵抗層LR2に加えられる応力は、相対的に幅が広い第1抵抗層LR1よりも大きい。その結果、当該応力に起因した第2抵抗層LR2の抵抗値の減少率は第1抵抗層LR1の抵抗値の減少率と比べて大きくなり、第1抵抗層LR1と第2抵抗層LR2との間で第1方向Xの幅の相違に起因した抵抗値のばらつきが低減され得る。
【0087】
また、半導体装置MCP2では、配線層LM1の第2方向Yの幅を調整することで、各抵抗層LRの抵抗値を調整できる。そのため、半導体装置MCP2においても、各抵抗層LRの抵抗値は高精度に調整され得る。
【0088】
半導体装置MCP2は、半導体装置MCP1と同様の方法に製造され得る。
(実施の形態3)
図21図23に示されるように、実施の形態3に係る半導体装置MCP3は、実施の形態1に係る半導体装置MCP1と基本的に同様の構成を備えるが、配線層LM1に代えて、複数の抵抗層LRの上方に配置されておりかつ平面視において複数の抵抗層LRと重畳するように設けられている配線層LM2を備える点で、半導体装置MCP1とは異なる。以下では、半導体装置MCP3が半導体装置MCP1とは異なる点を主に説明する。なお、図22及び図24では、半導体基板SUB及び層間絶縁層INI0の図示が省略されている。
【0089】
半導体装置MCP3の配線層LM2は、半導体装置MCP1の配線層LM1と基本的に同様の構成を備えており、複数の抵抗層LRの上方に配置されている点でのみ、配線層LM1とは異なっている。
【0090】
配線層LM2は、層間絶縁層INI1の上面に接して配置されている。配線層LM2は、例えば上層配線層LM20と同一の層に形成されている。異なる観点から言えば、配線層LM2と上層配線層LM20とは、半導体装置の製造方法において同一工程で形成されており、半導体基板SUBの主面(上面)からの高さが互いに等しい。
【0091】
半導体装置MCP3においても、半導体装置MCP1と同様に、抵抗層LRと配線層LM1との重畳領域の面積の合計値を該抵抗層LRの幅で除した値が小さくなるほど、該抵抗層LRに加えられる応力は大きくなり、抵抗層LRの抵抗値が減少しやすくなる。つまり、半導体装置MCP3においても、半導体装置MCP1と同様の効果が奏される。
【0092】
図24に示されるように、半導体装置MCP3の製造方法は、配線層LM1及び下層配線層LM10を形成する工程(S20)に代えて下層配線層LM10を形成する工程(S21)を備え、かつ上層配線層LM20を形成する工程(S60)に代えて配線層LM2及び上層配線層LM20を形成する工程(S61)を備える点でのみ、半導体装置MCP1の製造方法とは異なる。半導体装置MCP3の製造方法によれば、各配線部の第1方向Xの長さ及び第2方向Yの間隔を数百nmのオーダーで調整することにより、半導体装置MCP3を容易に製造できる。
【0093】
なお、半導体装置MCP3は、複数の抵抗層LRの上方に配置されている配線層LM2が平面視において複数の抵抗層LRと重畳するように設けられている点を除き、半導体装置MCP2と同様の構成を備えていてもよい。
【0094】
(実施の形態4)
図25に示されるように、実施の形態4に係る半導体装置MCP4は、実施の形態1に係る半導体装置MCP1と基本的に同様の構成を備えるが、配線層LM1に加えて、複数の抵抗層LRの上方に配置されておりかつ平面視において複数の抵抗層LRと重畳するように設けられている配線層LM2をさらに備える点で、半導体装置MCP1とは異なる。
【0095】
第1重畳領域は、平面視において配線層LM1及び配線層LM2の少なくともいずれかと重畳する第1抵抗層LR1の一部領域である。第2重畳領域は、平面視において配線層LM1及び配線層LM2の少なくともいずれかと重畳する第2抵抗層LR2の一部領域である。
【0096】
半導体装置MCP4においても、各第2抵抗層LR2の複数の第2重畳領域の各面積の合計値を該第2抵抗層LR2の第1方向Xの幅で除した値は、各第1抵抗層LR1の複数の第1重畳領域の各面積の合計値を該第1抵抗層LR1の第1方向Xの幅で除した値よりも小さい。半導体装置MCP4においても、半導体装置MCP1と同様の効果が奏される。
【0097】
なお、半導体装置MCP4は、配線層LM1に加えて配線層LM2をさらに備える点を除き、半導体装置MCP2と同様の構成を備えていてもよい。
【0098】
<変形例>
半導体装置MCP1~103において、複数の第2抵抗層LR2は、第2抵抗層LR23よりも外側に1つ以上の他の第2抵抗層LR2をさらに含んでいてもよい。この場合、配線層LM1は、第1配線部LM11、第2配線部LM12、第3配線部LM13、および第4配線部LM14に加えて、平面視において上記他の第2抵抗層LR2と重畳する領域を有する1つ以上の他の配線部をさらに含んでいてもよい。
【0099】
半導体装置MCP1~103において、配線層LM1中の配線部の数は特に制限されない。
【0100】
半導体装置MCP1~103では、配線層LM1が第1方向Xに連なっているが、これに限られるものではない。配線層LM1の少なくとも一部は、第1方向Xに断続的に形成されていてもよい。この場合、配線層LM1は、平面視において第1方向Xに隣り合う2つの抵抗層LR間に配置されている一対の端部を有している。
【0101】
半導体装置MCP1,103では、配線層LM1が第1方向Xの長さが互いに異なる第1配線部LM11、第2配線部LM12、第3配線部LM13、および第4配線部LM14を含んでいるが、これに限られるものではない。同様に、半導体装置MCP3,103では、配線層LM2が第1方向Xの長さが互いに異なる第6配線部LM21、第7配線部LM22、第8配線部LM23、および第9配線部LM24を含んでいるが、これに限られるものではない。配線層LM1及び配線層LM2の各々は、第1方向Xの長さが互いに異なる少なくとも2つの配線部を含んでいればよい。
【0102】
半導体装置MCP2,103では、複数の第5配線部LM15の各々の第2方向Yの幅が互いに異なっていてもよい。
【0103】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0104】
MCP1,MCP2,MCP3,MCP4 半導体装置、INI0,INI1,INI2 層間絶縁層、LM1,LM2 配線層、LM10 下層配線層、LM11 第1配線部、LM12 第2配線部、LM13 第3配線部、LM14 第4配線部、LM15 第5配線部、LM151 第1部分、LM152 第2部分、LM153 第3部分、LM154 第4部分、LM20 上層配線層、LM21 第6配線部、LM22 第7配線部、LM23 第8配線部、LM24 第9配線部、LR 抵抗層、LR1 第1抵抗層、LR2,LR21,LR22,LR23 第2抵抗層、OVL1 第1重畳領域、OVL2,OVL21,OVL21,OVL22,OVL23 第2重畳領域、PV パッシベーション膜、R1 第1領域、R2 第2領域、SUB 半導体基板、VA1,VA2 ビア。
図1
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