(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-28
(45)【発行日】2025-04-07
(54)【発明の名称】ベビーカー
(51)【国際特許分類】
B62B 3/00 20060101AFI20250331BHJP
B62B 9/00 20060101ALI20250331BHJP
B60L 15/20 20060101ALI20250331BHJP
【FI】
B62B3/00 G
B62B9/00
B60L15/20 J
(21)【出願番号】P 2022502467
(86)(22)【出願日】2020-07-15
(86)【国際出願番号】 EP2020070056
(87)【国際公開番号】W WO2021009262
(87)【国際公開日】2021-01-21
【審査請求日】2023-07-12
(31)【優先権主張番号】202019002989.3
(32)【優先日】2019-07-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】505222381
【氏名又は名称】サイベックス ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スパウアー、ジリ
【審査官】林 政道
(56)【参考文献】
【文献】独国実用新案第202017104166(DE,U1)
【文献】特開平08-282498(JP,A)
【文献】特開2001-106082(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62B 7/00- 9/28
B62B 1/00- 5/08
B60L 1/00- 3/12
B60L 7/00-13/00
B60L 15/00-58/40
A61G 5/02, 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベビーカーまたはベビーカーフレームワークのアシスト駆動のための少なくとも1つのモータ、特に電動モータと、
前記ベビーカーまたはベビーカーフレームワークを押すためのプッシュバーと、
前記プッシュバーに作用する力および/または力成分の方向および/または大きさを検出するため、および/またはこの力または力成分から導出される変数、特にトルクおよび/または前記力または力成分の経時的変化を検出するための少なくとも1つの力センサ装置と、
前記ベビーカーまたはベビーカーフレームワークの速度を決定するための少なくとも1つの速度センサ装置と、
前記
検出された力および/または力成分および/またはそこから導出される前記変数と力閾値との比較に依存してモータアシストが適合されるように構成された少なくとも1つの制御ユニットと
を備え、
前記力閾値は、前記
決定された速度と速度閾値との比較に依存して確立
され、
前記制御ユニットは、現在の速度が前記速度閾値未満であるか、または前記速度閾値以下である場合、力閾値を第1の正の値に設定し、前記ベビーカーの前記現在の速度が前記速度閾値以上であるか、または前記速度閾値より大きい場合、前記力閾値を第2の正の値に設定するように構成され、
前記第1の正の値は、前記第2の正の値と等しくない、ベビーカーまたはベビーカーフレームワーク。
【請求項2】
ベビーカーまたはベビーカーフレームワークのアシスト駆動のための少なくとも1つのモータ、特に電動モータと、
前記ベビーカーまたはベビーカーフレームワークを押すためのプッシュバーと、
前記プッシュバーに作用する力および/または力成分の方向および/または大きさを検出するため、および/またはこの力または力成分から導出される変数、特にトルクおよび/または前記力または力成分の経時的変化を検出するための少なくとも1つの力センサ装置と、
モータアシストが穏やかに起動されるように、特に、境界条件に基づいて計算された全目標電力が即時的に呼び出されるのではなく、場合によっては0または0以上である現在の電力と前記
全目標電力との間の移行が、少なくとも1つの中間ステップまたは複数の中間ステップを介して、または少なくとも一時的に連続して時間間隔で行われるように設定されるように構成された少なくとも1つの制御ユニット、特に請求項1に記載の少なくとも1つの制御ユニットと
を備える、請求項1に記載のベビーカーまたはベビーカーフレームワーク。
【請求項3】
前記第1の正の値は、前記第2の正の値より大きい、
請求項1~2のいずれか1項に記載のベビーカーまたはベビーカーフレームワーク。
【請求項4】
前記力センサ装置は、少なくとも1つのトルクセンサおよび/または少なくとも2つのセンサを備える
、
請求項1~3のいずれか1項に記載のベビーカーまたはベビーカーフレームワーク。
【請求項5】
前記制御ユニットは、現在検出された力が、特に前記現在の速度の関数として関連するそれぞれの力閾値を超過するか、または前記力閾値に到達すると即、
前記モータによるアシストを可能にし、および/または、現在検出された力が、特に前記現在の速度の関数として関連する前記力閾値を超過しないか、または前記力閾値に到達しなければ、前記
モータによるユーザのアシストを可能にしないように構成される
、
請求項1~4のいずれか1項に記載のベビーカーまたはベビーカーフレームワーク。
【請求項6】
前記制御ユニットは、少なくとも1つの車輪が回転している場合のみ、前記
モータによるアシストを可能にするように構成される
、
請求項
5に記載のベビーカーまたはベビーカーフレームワーク。
【請求項7】
前記制御ユニットは、測定値、特に押すために加えられた力に関連する測定値の評価、またはその成分(複数も可)および/またはそこから導出される変数(複数も可)の評価に基づいて、人間のユーザが前記ベビーカーを押していると推定される場合のみ、前記
モータによるアシストを可能にするように構成される
、
請求項
5に記載のベビーカーまたはベビーカーフレームワーク。
【請求項8】
前記制御ユニットは、前記ベビーカーを押すまたは引くために必要な平均加力が、特に少なくとも特定の時間間隔にわたり、過去に確立された力値に常に調整されるように、
前記モータをアシストのために起動するように構成され、前記力値は、好適には前記第1または第2の力閾値であり、特に好適には前記第2の力閾値である
、
請求項1~7のいずれか1項に記載のベビーカーまたはベビーカーフレームワーク。
【請求項9】
前記制御ユニットは、前記移行、特に穏やかな移行が、測定値が記録される度にモータ電力の適合が行われるように設計されるように設計され、前記モータの力は、前記現在の電力と確認された目標電力との差の一部によって適合される、
請求項
2に記載のベビーカーまたはベビーカーフレームワーク。
【請求項10】
前記速度閾値は、4km/h未満、好適には1km/h以上および/または3km/h以下、たとえば約2km/hであり、および/または、
前記力閾値の前記第1の
正の値は、請求項3に記載の前記力閾値の前記第2の
正の値より大きく、
特に好適には、前記第1の
正の値は前記第2の
正の値の150%~250%、たとえば約200%であり、および/または、
請求項3に記載の前記力閾値の前記第1の
正の値は、20N以上、または25N以上、または30N以上であり、および/または、
請求項3に記載の前記力閾値の前記第2の
正の値は、8N~25N、好適には10N~20N、たとえば15Nまたは17Nであり、および/または、
請求項2に記載の前記時間間隔の長さは、2s(2秒)以下、好適には1s以下および/または0.01s以上、好適には0.05s以上である
、
請求項
3に記載のベビーカーまたはベビーカーフレームワーク。
【請求項11】
特に請求項1~10のいずれか1項に記載のベビーカーまたはベビーカーフレームを制御するための方法であって、
プッシュバー(10)に作用する力および/または力成分の方向および/または大きさ、および/またはこの力または力成分から導出される変数、特にトルクおよび/または前記力または力成分の経時的変化が検出され、
前記ベビーカーまたはベビーカーフレームの速度が決定され、
前記
検出された力および/または力成分および/またはそこから導出される前記変数と力閾値との比較に依存してモータアシストが適合され、前記力閾値は、前記
決定された速度と速度閾値との比較に依存して確立される、方法。
【請求項12】
プッシュバー(10)に作用する力および/または力成分の方向および/または大きさ、および/またはこの力または力成分から導出される変数、特にトルクおよび/または前記力または力成分の経時的変化が検出され、
モータアシストが穏やかに起動され、特に、境界条件に基づいて計算された全目標電力が即時的に呼び出されるのではなく、場合によっては0または0以上である現在の電力と前記
全目標電力との間の移行が、少なくとも1つの中間ステップまたは複数の中間ステップを介して、または少なくとも一時的に連続して時間間隔で行われるように設定される、請求項9に記載のベビーカーまたはベビーカーフレームを制御するための方法。
【請求項13】
力閾値は、前記現在の速度が前記速度閾値未満であるか、または前記速度閾値以下である場合、第1の正の値に設定され、前記ベビーカーの前記現在の速度が前記速度閾値以上であるか、または前記速度閾値より大きい場合、第2の正の値に設定され、前記第1の正の値は、前記第2の正の値と等しくなく、好適には前記第2の正の値より大きい
、
請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
現在検出された力が、特に前記現在の速度の関数として関連するそれぞれの力閾値に到達するか、または前記力閾値を超過すると即、
前記モータによるアシストが可能にされ、および/または、現在検出された力が、特に前記現在の速度の関数として関連する前記力閾値に到達しないか、または前記力閾値を超過しなければ、前記
モータによるユーザのアシストは可能にされない
、
請求項11~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記
モータによるアシストは、少なくとも1つの車輪が回転している場合のみ可能にされる、
請求項
5または14に記載の方法。
【請求項16】
前記
モータによるアシストは、測定値、特に押すために加えられた力に関連する測定値の評価、またはその成分(複数も可)および/またはそこから導出される変数(複数も可)の評価に基づいて、人間のユーザが前記ベビーカーを押していると推定される場合のみ可能にされる
、
請求項
5または14に記載の方法。
【請求項17】
前記モータは、前記ベビーカーを押すまたは引くために必要な平均加力が、特に少なくとも特定の時間間隔にわたり、過去に確立された力値に常に調整されるように、アシストのために起動され、前記力値は、好適には前記第1または第2の力閾値であり、特に好適には前記第2の力閾値である
、
請求項
5または14に記載の方法。
【請求項18】
前記制御ユニットは、
移行、特に穏やかな移行が、測定値が記録される度にモータ電力の適合が行われるように設計されるように設計され、前記モータの力は、前記現在の電力と確認された目標電力との差の一部によって適合される、
請求項12~17のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にモータアシスト付きのベビーカーフレームおよび対応するベビーカーに関する。
【背景技術】
【0002】
電動式ベビーカーは、原理的に知られている。これらは、モータの力だけで動くことができるように構成され得る。また、モータアシスト付きのベビーカーが原理的に知られており、これは、ベビーカーを操作する人間の駆動力をアシストするが、操作者が力をかけていない場合はアシストを提供しない。
【発明の概要】
【0003】
本発明の目的は、操作が簡単で、複雑でなく堅牢な、特に電動式のベビーカーフレームと、特に、ベビーカーを操作する人間が簡単、快適、かつ正確にベビーカーを制御することを可能にする、対応するベビーカーとを提案することである。
【0004】
この目的は、特に、(各々がそれ自体で、または組み合わせて)添付の特許請求の範囲の1つに記載のベビーカーまたはベビーカーフレーム、または対応する方法によって実現される。
【0005】
特に、この目的は、ベビーカーまたはベビーカーフレームのアシスト駆動のための少なくとも1つのモータ、特に電動モータと、ベビーカーまたはベビーカーフレームを押すためのプッシュバーと、プッシュバーに作用する力および/または力成分の方向および/または大きさを検出するため、および/またはこの力または力成分から導出される変数、特にトルクおよび/または力または力成分の経時的変化を検出するための少なくとも1つの力センサ装置とを備えるベビーカーまたはベビーカーフレームによって実現される。
【0006】
力センサ装置は、少なくとも1つのトルクセンサおよび/または少なくとも2つの(力)センサを備えてよい。
【0007】
本発明は、一般に、少なくとも1つのプッシュバーと、複数の車輪(好適には3または4つ以上の車輪)と、少なくとも1つのセンサと、駆動装置とを有し得るベビーカーまたはベビーカーフレームに関する。駆動装置はそれぞれ、少なくとも1つの電動モータと、コントローラと、(好適には二次)バッテリとを備える。
【0008】
ベビーカーフレームまたはベビーカーは、追加の要素、たとえば前輪ストラットおよび/または後輪ストラット、および場合によっては幼児受容装置(たとえば着座ユニットまたはクレードル(cradle))、またはそのような装置を取り付けるためのアダプタを備えてよい。
【0009】
少なくとも1つのセンサは、ユーザ(ベビーカーフレームを押す人物)が押すために加える力、またはこの力の成分、および/または力またはその成分から導出される変数(たとえばトルク、経時的変化など)を検出するように設計され得る。
【0010】
少なくとも1つのセンサまたは追加のセンサは、(特にベビーカーフレームの使用中に車輪が接する地面に関して)ベビーカーフレームの現在の速度を検出するように設計され得る。
【0011】
少なくとも1つのセンサは、ここでは(特に力を検出するために設計される場合)、プッシュバーに、特にプッシュバーの横断部または水平部に配置され得る。特に、複数のそのようなセンサ、たとえば2つのそのようなセンサは、それぞれ、プッシュバー(または横断部または水平部)の比較的外側に位置する領域に配置されることにより、ベビーカーフレームの側方近くに配置されてもよい。
【0012】
少なくとも1つのセンサは(特に力を検出するように設計される場合)、その検出方向が少なくとも基本的にプッシュバーからユーザと離れた方向に向くように、場合によっては子供受容装置の方向またはそのような装置を受容するためのアダプタの方向に向くように配置され得る。センサは、好適には、上述した方向からわずかに下向きに、たとえば5°~15°、特に7°~10°傾斜してよい。
【0013】
少なくとも1つのセンサは(特にトルクを検出するように設計される場合)、連結点上または内部に、場合によっては他のフレーム構成要素上のプッシュバーの連結点上または内部に配置され得る。
【0014】
少なくとも1つのセンサは(特に速度を検出するように設計される場合)、車輪または車輪に隣接した周囲部に配置され得る。特に、そのようなセンサは、追加のフレーム部品に対する車輪の回転速度を検出し得るように配置され得る。実施形態によると、そのようなセンサは、たとえば、磁石が少なくとも1つの車輪の回転によって導体ループ内をガイドされることから、少なくとも1つの車輪の1回転を検出することができる。
【0015】
少なくとも1つのセンサは(特に速度を検出するように設計される場合)、特にモータ速度を検出するために、モータ上またはモータ内に配置され得る。
【0016】
少なくとも1つのセンサは、5Hz以上、好適には10Hz以上の周波数で測定値を記録するように設計され得る。少なくとも1つのセンサは更に、最大200Hzまたは最大100Hzの周波数で測定値を記録するように設計され得る。
【0017】
上記目的は更に、好適には、ベビーカーまたはベビーカーフレームのアシスト駆動のための少なくとも1つのモータ、特に電動モータと、ベビーカーまたはベビーカーフレームを押すためのプッシュバーと、プッシュバーに作用する力および/または力成分の方向および/または大きさを検出するため、および/またはこの力または力成分から導出される変数、特にトルクおよび/または力または力成分の経時的変化を検出するための(特に上記で明示または具体化したような少なくとも1つのセンサを備える)少なくとも1つの力センサ装置と、ベビーカーまたはベビーカーフレームの速度を決定するための(特に上記で明示または具体化したような少なくとも1つのセンサを備える)少なくとも1つの速度センサ装置と、測定された力および/または力成分および/またはそこから導出される変数と力閾値との比較に依存してモータアシストが調整されるように構成された少なくとも1つの制御ユニットとを備えるベビーカーまたはベビーカーフレームによって実現され、ここで、力閾値は、測定された速度と速度閾値との比較に依存して確立される。
【0018】
本発明の1つの概念は、プッシュバーに現在作用している力およびベビーカーフレームが動く現在の速度が決定されることに基づく。全ての測定値に関して、好適には、常に正方向がベビーカーフレームの現在の移動方向であるものとし、よって全ての(測定)速度は、定義上、正でなければならない。プッシュバーに現在作用している力は、好適には力閾値と比較され、速度閾値が更に確立される。
【0019】
力閾値は、更に好適には、現在の速度が速度閾値未満(あるいは以下)である場合、第1の正の値に設定される。ベビーカーの現在の速度が速度閾値以上である(あるいは速度閾値を超過する)場合、力閾値は、好適には第2の正の値に設定される。第1の正の値は、好適には第2の正の値と等しくなく、好適には第2の正の値よりも大きい(が、小さくてもよい)。
【0020】
本発明によると、特に、過去に固定的に確立された力閾値が不利になり得ることが認識されている。場合によっては、プッシュバーに作用する力のみに依存する力閾値の確立により、電動駆動装置の融通の利かない応答挙動が定められることがある。これはとりわけ、アシストが役に立たない、または望まれない状況においても、電動駆動装置のアシストがトリガされるという結果をもたらし得る。また、好ましくない境界条件(たとえば低速度での高負荷)下で駆動装置が作動することにもなり得る。
【0021】
本発明によると、改善された方法で、アシストが望まれる状況においてのみ、可能であれば電動駆動装置によるアシストが行われることが確実となる。
【0022】
速度閾値は、4km/h未満であってよい。速度閾値は、好適には1km/h以上および/または3km/h以下、たとえば(約)2km/hである。
【0023】
力閾値に関する第1の値は、好適には、力閾値の第2の値よりも大きい。第1の値は、特に、好適には第2の値の150%~250%、たとえば(約)200%である。
第1の値は、たとえば20N以上、または25N以上、または30N以上であってよい。
第2の値は、8N~25N、好適には10N~20Nであってよい。たとえば、第2の値は15Nまたは17Nであってよい。
【0024】
現在検出された力が(特に現在の速度の関数として関連する)それぞれの力閾値を超えると即時、駆動装置によるユーザのアシストが許可され得る(または、それに応じて制御ユニットが構成され得る)。
【0025】
現在検出された力が(特に現在の速度の関数として関連する)力閾値を超えなければ、駆動装置によるユーザのアシストは許可されない(または、それに応じて制御ユニットが好適に構成される)。この場合、アシストの許可は、必ずしもアシストが実際に行われることを意味するわけではない(が、可能ではある)。これは、場合によっては追加のパラメータに依存し得る(そうではないこともある)。
【0026】
駆動装置によるユーザのアシストは、好適には、1つの車輪が回転する、または複数の車輪が回転する(またはそれに応じて制御ユニットが構成される)ことが(少なくとも)確実である場合にのみ行われる。
【0027】
駆動装置によるユーザのアシストは、好適には、測定値、特に押すために加えられた力(またはその成分および/またはそこから導出された変数)に関する測定値の適切な評価に基づいて、人間のユーザがベビーカーを押していると推定され得る場合にのみ行われる。制御ユニットは、この目的のために適宜構成され得る。
【0028】
実施形態によると、電動駆動装置は、ベビーカーを押し引きするために必要な平均加力が、過去に確立された力値に(少なくとも特定の時間間隔にわたり)常に調整されるように、アシストのために起動される。力値は、好適には第1または第2の力閾値、特に好適には第2の力閾値である。制御ユニットは、この目的のために適宜構成され得る。
【0029】
本発明に係る制御ユニットの構成または本発明に係る方法は、特に第1の力閾値が第2の力閾値に対し上昇した場合、特にたとえばベビーカー内の子供を落ち着かせるためにベビーカーが(ほぼ定位置で)前後に揺らされている場合、電動駆動装置によるアシストの頻繁な不所望のオンオフ切換えが行われることが防がれるので、特に有利であることが証明されている。
【0030】
また、低速度では、電動駆動装置の効果が低くなり得る。したがって、低速度範囲でアシストを頻繁にオンに切り換えることにより、電動駆動装置に給電する(場合によっては二次)バッテリは、電動駆動装置が比較的高効率で動作する速度範囲で主に動作する場合よりも速く放電され得る。
【0031】
加えて、低速度のベビーカーにおいて、その瞬間にユーザが実際に電動駆動装置によるアシストを望んでいるかは不明確になりやすい。
【0032】
追加の実施形態として、ベビーカーの現在の速度の関数としての力閾値の多段階変化(たとえば少なくとも3つまたは4つ)も可能である。
【0033】
また(この概念は、任意選択的に改良として、そのように独立請求項に記載される)、電動駆動装置は、制御ユニットによって穏やかな移行で起動され得る。そうすることで、電動駆動装置によるアシストを急にオンまたはオフに切り換えることが好適に防がれる。
【0034】
本発明に係る独立した(場合によっては改良)解決策は、境界条件に基づいて計算された全電力(目標電力)が即時的に呼び起こされるのではなく、現在の電力(0以上)と目標電力との間の移行が、連続的に、または複数の離散ステップにおいて時間間隔で行われるように、コントローラを設定することである。
【0035】
上記目的は更に、好適には、ベビーカーまたはベビーカーフレームのアシスト駆動のための少なくとも1つのモータ、特に電動モータと、ベビーカーまたはベビーカーフレームを押すためのプッシュバーと、プッシュバーに作用する力および/または力成分の方向および/または大きさを検出するため、および/またはこの力または力成分から導出される変数、特にトルクおよび/または力または力成分の経時的変化を検出するための(特に上記で明示または具体化されたような少なくとも1つのセンサを備える)少なくとも1つのセンサ装置と、ベビーカーまたはベビーカーフレームの速度を決定するための(特に上記で明示または具体化されたような少なくとも1つのセンサを備える)少なくとも1つの速度センサ装置と、測定された力および/または力成分および/またはそこから導出される変数と力閾値との比較に依存してモータアシストが適用されるように構成された少なくとも1つの制御ユニットとを備えるベビーカーまたはベビーカーフレームによって実現され、ここで、力閾値は、測定された速度と速度閾値との比較に依存して確立される。
【0036】
時間間隔の長さは、最大2s(2秒)、好適には最大1sであってよい。追加または代替として、時間間隔の長さは、0.01s以上、好適には0.05s以上であってよい。
【0037】
穏やかな移行は、特に、測定値が制御ユニットによって記録および/または処理される度(したがって、それぞれ、測定値が記録または処理される頻度の逆数である1つの期間後)、現在の電力と確認された目標電力との差の一部によって駆動力が適合されることでモータ電力の適合が行われるように設計され得る。このように穏やかな移行は、差の全てではなく一部のみが均等化されるように実施される。したがって目標電力は、目標電力の確認に関連する境界条件が十分な長期間にわたり変化しない場合のみ、到達される。制御ユニットは、それに応じて構成され得る。
【0038】
一般に、力センサ装置は、所定の頻度で測定値を検出するように設計され得る。追加または代替として、制御ユニットは、所定の頻度で測定値を処理するように設計され得る。
【0039】
動的な駆動状況において、たとえば押し力および/または速度が漸進的に変化する場合、確認された目標電力に到達しないことがある。
具体的には、押し力は、離散ステップで(たとえば20ステップ以上および/または2000ステップ以下、好適には100~1000ステップで)検出され得る。またモータ電力も、離散ステップで(たとえば5ステップ以上および/または1000ステップ以下、好適には50~200ステップで)調整または設定され得る。
【0040】
押し力に関して、特に上述した力閾値の1つ(好適には力閾値の第2の値)に対応する目標値が提供され得る。測定された押し力の押し力目標値からの偏差に依存して、駆動力は、偏差を低減するために所定のステップ数だけ好適に適合される。
【0041】
モータ電力の適合は、偏差に線形従属し得るが、好適には、超線形的に偏差に従属する(たとえば指数関係を含む)。言い換えると、偏差が大きい場合、好適には偏差の高い割合が補償される。
【0042】
1つの典型的な実施形態において、押し力は500ステップ(段階)で検出され、駆動力は100ステップ(段階)で調整される。押し力の目標値は100であり、すなわち、対応する押し力が加えられると、モータ電力は適合されない。しかし、483の押し力が加えられると、モータ電力は32ステップ増加する。330の押し力が加えられると、モータ電力は16ステップ増加する。238の押し力が加えられると、モータ電力は8ステップ増加する。183の押し力が加えられると、モータ電力は4ステップ増加する。150の押し力が加えられると、モータ電力は2ステップ増加する。130の押し力が加えられると、モータ電力は1ステップ増加する。
【0043】
(力検出および/または駆動装置の起動に関する)個々の段階間の全てのステップまたは間隔は、好適には等しい大きさである。
【0044】
上記目的は、更に好適には、特に上述および後述するようなベビーカーまたはベビーカーフレームを制御するための方法であって、プッシュバーに作用する力および/または力成分の方向および/または大きさ、および/またはこの力および力成分から導出される変数、特にトルクおよび/または力または力成分の経時的変化が検出され、ベビーカーまたはベビーカーフレームの速度が決定され、測定された力および/または力成分および/またはそこから導出される変数と力閾値との比較に依存してモータアシストが適合され、測定された速度と速度閾値との比較に依存して力閾値が確立される方法によって実現される。
【0045】
上記目的は、更に好適には、方法、特に上述および後述するようなベビーカーまたはベビーカーフレームを制御するための上記方法であって、プッシュバーに作用する力および/または力成分の方向および/または大きさ、および/またはこの力および力成分から導出される変数、特にトルクおよび/または力または力成分の経時的変化が検出され、モータアシストが穏やかに作動する、特に、境界条件に基づいて計算された全目標電力が即時的に呼び出されるのではなく、場合によっては0または0以上である現在の電力と目標電力との間の移行が、少なくとも1つの中間ステップまたは複数の中間ステップを介して、または少なくとも一時的に連続して時間間隔で行われるように設定される方法によって実現される。
【0046】
本発明の更に好適な方法ステップは、上記および以下で説明される。
追加の実施形態は、従属クレームに由来する。
【0047】
図面の簡単な説明までの以下のセクションにおいて、本発明の追加の好適な特徴が説明される。このセクションにおいて特徴が任意選択として表されない場合、これは、このセクション自体の開示にのみ適用される。特にこれは、上記および特許請求の範囲において特に説明されるように、それぞれの特徴が一般に本発明に不可欠または強制であることを(必ずしも)意味するものではない。以下のベビーカーフレームに関する仕様は、ベビーカーにも適用されるものとする。たとえば、ベビーカーフレームがモータを有することが記載される場合、ベビーカーがモータを有することも開示される。
【0048】
特に、ベビーカーフレームを駆動するための少なくとも1つのモータ、特に電動モータと、ベビーカーフレームを押すための少なくとも1つのプッシュバーと、好適には少なくとも1つのセンサ装置、特に力センサ装置とを備えるベビーカーフレームが提案される。センサ装置、特に力センサ装置は、好適には、プッシュバーに作用する力および/または力成分の方向および/または大きさを検出するため、および/またはこの力または力成分から導出される変数、特に力または力成分の経時的変化を検出するように設計される。
【0049】
1つの態様は、力および/または力成分の方向または大きさのいずれか(またはその両方)(またはこの力または力成分から導出される変数)を検出する力センサ装置が提供されることである。これにより、センサ装置の出力に基づいて、対応する制御が行われ得ることが可能である。センサ装置の出力は、特に、測定値の出力および/または複数の測定値の平均値の出力として理解されるべきである。
【0050】
その後、制御は、内部で(ベビーカーフレームに設けられた制御ユニットによって)、および/または個別の制御ユニット(たとえばモバイル端末、特にスマートフォン)によって外部で行われ得る。ただし、ここでは、力または力に関連する変数に関する対応するデータが生成され得ることが主に重要である。ベビーカーフレーム(または対応するベビーカー)が制御ユニット自体を有することは有利であるが、絶対的に必要ではない。概して、モータアシストを有する、ユーザが使い易く製造が容易なベビーカーフレームが提案される。
【0051】
プッシュバーは、好適には一体に形成される(場合によっては、互いに対して可動の個々の部品を有する)。プッシュバーは、特に水平ハンドルを有してよい。あるいはプッシュバーは、複数の部品(たとえば2つの部品)で形成されてもよく、たとえば互いに独立した複数のハンドルを有する。
【0052】
力センサ装置を用いると、特に少なくとも2つの異なる力方向(たとえば前方と後方および/または上方と下方)が確立され、場合によっては、それらの大きさが決定されてよく、または少なくとも4つの異なる方向(たとえば前方、後方、上方、および下方)が確立され、場合によっては、それらの大きさが決定され得る。場合によっては、少なくとも2つの異なる大きさ(>0)、好適には少なくとも4つの異なる大きさ、たとえば力(または力成分またはそこから導出される変数)の連続した大きさが、力センサ装置を用いて検出され得る。いずれの場合も、そのような力センサ装置によって簡単な方法で情報が提供され、ベビーカーまたはベビーカーフレームを駆動するためにモータを制御するために有利に用いられ得る。
【0053】
ベビーカーフレームまたはベビーカーは、好適には、ベビーカーフレームを駆動するための複数のモータ、特に電動モータを有する。好適には、少なくとも2つまたは丁度2つの車輪(たとえば左右の車輪または第1の側方車輪および第2の側方車輪)の各々にモータが割り当てられる。好適には、モータを個々に起動するために制御ユニットが提供され得る。代替または追加として、ベビーカーフレームの押し力および/または動きを検出するためにセンサ装置が提供され得る。複数の(特に少なくとも2つまたは丁度2つの)モータによって、特にコーナリングの際の押し心地を改善することができ、(たとえば差動装置を有する1つのモータのみの場合に)このために複雑な手段を設ける必要はない。
【0054】
他に示されない場合、押すことまたは押し力は、特に前方および後方の両方に向けられ得る動作または力として理解されるべきである(ただし、後者は引くことまたは牽引力とも称され得る)。
【0055】
(2つの)力が互いに比較され、(2つの)力が等しいまたは異なると記載される場合、これは一般に、「力の方向および/または大きさに関して等しいまたは異なる」の略語として理解されるべきであり、(たとえば「後方への力」の場合のように)方向が指定される関係から生じる結果でない限り、等しいまたは異なる力に関する記載は、力の大きさに関するものとする。
【0056】
少なくとも1つの(力)センサ装置は、プッシュバー、特にプッシュバーのハンドル上および/または内部に配置され、および/またはプッシュバー締結領域内および/またはその付近に配置され得る。プッシュバー締結領域は、特に、プッシュバーがベビーカーフレームの本体に取り付けられる領域として理解されるべきである。プッシュバー締結領域の付近の配置は、特に、プッシュバーから10cm未満、好適には5cm未満の距離における配置として理解されるべきである(相対的に動くプッシュバーの場合、ここでは特に最小距離が意図される)。
【0057】
本発明の1つの任意選択的な態様によると、特に上述した(および後述する)種類のベビーカーフレーム、または上述した(および後述する)種類のベビーカーを制御するための方法が提案され、プッシュバーに作用する力および/または力成分の方向および/または大きさ、および/またはこの力または力成分から導出される変数、特に力または力成分の経時的変化が検出される。ベビーカーフレームまたはベビーカーの追加の機能的特徴が上述および後述される場合、これらは、対応する方法ステップが実行され得るものとして理解されるべきである。対応する装置特徴(たとえば力センサ装置)は、方法に関して絶対的に決定的なものではなく、むしろ方法がそのように進行する(たとえば、力の方向および/または大きさの検出)。当然、上述および後述するような対応する装置特徴(たとえば力センサ装置)も、方法内に存在してよい。
【0058】
好適には、特に少なくとも1つのセンサの出力が少なくとも1つのモータを制御するために用いられるように、少なくとも1つの(力)センサ装置に動作可能に接続された少なくとも1つの制御ユニットが提供される。したがって、力(または他の変数、たとえば現在の動き)の単純かつ信頼性の高い検出が行われ得る。
【0059】
1つの実施形態において、少なくとも1つのセンサ装置は、プッシュバーに作用する力および/または力成分および/またはそこから導出される変数を、少なくとも2つの異なる位置で検出するように設計される。特に、この検出は、プッシュバーの第1の(たとえば左)側および第2の(たとえば右)側、特にハンドルの第1の(たとえば左)側および第2の(たとえば右)側、および/または特に各々が横方向に配置された2つの異なるハンドルで行われ得る。本文および以下で左側または右側に言及する場合、これは特に、ベビーカーフレームまたはベビーカーを操作している人間の視線方向に由来する左側または右側を意味する。
【0060】
1つの具体的な実施形態において、センサ装置は、移動方向および/または移動方向の逆方向(それぞれ水平方向)および/または上向きおよび/または下向き(それぞれ垂直方向)の力成分を決定するように設計される。代替または追加として、対応する時間微分(または経時的変化)の成分が決定され得る。
【0061】
複数の異なる位置で作用力(および/または力成分および/または力由来の変数)が検出される場合、制御ユニットは、たとえば(特に水平方向の)係合力(および/またはその経時的変化)の大きさおよび持続期間に依存して、および/または(特に水平方向の)力(および/またはその経時的変化)が同じ方向を向いているかに依存して、対応する駆動輪(または場合によっては割り当てられたモータ)が作動するように設計され得る。駆動輪(または対応する割り当てられたモータ)は、一方の側に加わる力(および/またはこの力の経時的変化)および/または他方(反対)の側に加わる力(および/またはその経時的変化)に依存して作動し得る。
【0062】
制御ユニットは、好適には、特に少なくとも1つのセンサ装置の出力に依存して、たとえば離散段階的および/または連続的に、少なくとも1つのモータの電力を制御および/または調整するように設計される。
【0063】
また、制御ユニットは、力および/または力成分および/またはそこから導出される変数の第1の閾値を超過した場合、少なくとも1つのモータが始動するように設計され得る。モータの始動は、特に、モータがベビーカーフレームを駆動するための電力を提供することを意味するものと理解されるべきである。この意味では、モータをオンに切り換えること(たとえば、その後アイドル状態(idle)で動作する場合)は、まだ始動ではない。ただし、場合によっては、始動は、モータを最初にオンに切り換えること(電力供給)を意味してもよい。
【0064】
制御ユニットは、力および/または力成分(たとえば上向きまたは下向き成分)および/またはそこから導出される変数の第2の閾値を超過した場合、少なくとも1つのモータが停止され、または一定の電力で維持されるように設計され得る。モータの停止は、特に、ベビーカーフレームを駆動しない状態にモータを設定することと理解されるべきである。モータは、場合によっては、(たとえばアイドル状態で)動作を継続し得る。ただしこれは、最終的にオフに切り換えること(たとえばモータに供給するためのエネルギの中断)と理解されることもある。第2の閾値は、第1の閾値よりも大きい絶対値であってよい。
【0065】
また、制御ユニットは、下向きに作用する力の閾値Fdを超過した場合および/または上向きに作用する力の閾値Fuを超過した場合、および/または、前方に作用する力の閾値Ff2を超過した場合および/または後方に作用する力の閾値Fr2を超過した場合、少なくとも1つのモータが停止され、または一定の電力で維持されるように設計されてよく、ここで、FdよびFuは(絶対値が)等しいまたは異なる可能性があり、Ff2およびFr2は(絶対値が)等しいまたは異なる可能性があり、Ff2および/またはFr2は好適にはFuおよび/またはFdより大きく、特に2倍または5倍または20倍の大きさである。制御ユニットは、好適には、Ff2、Fr2、Fu、またはFdに到達しない(過去に超過した)場合、モータが(再び)始動するように設計される。
【0066】
制御機能は更に、前方に作用する力の閾値Ff1を超過した場合および/または後方に作用する力の閾値Fr1を超過した場合(および/または、場合によっては、下向きに作用する力の閾値を超過した場合および/または上向きに作用する力の閾値を超過した場合)、少なくとも1つのモータが始動するように設計されてよく、ここでFf1およびFr1は(絶対値が)等しいまたは異なっており(下向きに作用する力の閾値および上向きに作用する力の閾値は等しいまたは異なる可能性があり)、好適にはFf1はFf2より(絶対値が)小さく、および/または好適にはFr1はFr2より(絶対値が)小さい。
【0067】
代替または追加として、制御ユニットは、2つの側部の一方への(水平方向の)力が正であり、他方への(水平方向の)力が負である場合(ベビーカーの回転またはコーナリングに対応し得る)、および/または、一方への(水平方向の)力の経時的変化が正であり、他方への(水平方向の)力の経時的変化が負である場合(ベビーカーの回転またはコーナリングをもたらす)、駆動輪(モータ)の1つのみがアシストを提供するように、および/または、アシスト力が所定の値を超過しない、または両方のモータのアシストが(完全に)停止する、または少なくとも大幅に減少するように、駆動輪(または対応する割り当てられたモータ)が作動するように設計され得る。
【0068】
ベビーカーフレームは、好適には、少なくとも1つの速度センサおよび/または少なくとも1つのコーナリングセンサを有する。速度センサは、特に、(地面に対するベビーカーフレームの)現在の速度の大きさ(および場合によっては方向)が確立され得るように設計される。コーナリングセンサは、好適には、(ベビーカーフレームが辿る経路内の)回転またはコーナリングの曲率が確立され得るように設計される。制御ユニットは、場合によっては、決定された速度を超過する場合および/または決定されたコーナリング曲率に到達しない場合、対応するモータのアシストが停止するように設計され得る。このように、ベビーカーの操作中の信頼性および安全性が全体として向上する。
【0069】
制御ユニットは、押し力または(特に水平方向の)押し力成分および少なくとも1つのモータのアシスト力の比率が一定であるように、たとえば1以上または2以上または3以上または1未満であるように、または可変であるように、たとえばアシスト力が、押し力または(特に水平方向の)押し力成分に対する直線的増加より大きくまたは小さく増加するように設計され得る。たとえばアシスト力は、押し力に伴い多項式的または指数関数的または対数関数的に増加し得る。
【0070】
また、制御ユニットは、押し力の経時的変化または(特に水平方向の)押し力成分の経時的変化と、少なくとも1つのモータのアシスト力の経時的変化との比率が一定であるように、たとえば1以上または2以上または3以上または1未満であるように、または可変であるように、たとえばアシスト力の経時的変化が、押し力または押し力成分の経時的変化に対する直線的増加より大きくまたは小さく増加するように設計され得る。たとえばアシスト力の経時的変化は、押し力の経時的変化または押し力成分の経時的変化に伴い多項式的または指数関数的または対数関数的などに増加し得る。
【0071】
特に好適には、アシスト力(またはアシスト力の経時的変化)は、押し力または押し力成分(または押し力の経時的変化または押し力成分の経時的変化)に対する(単なる)直線的増加より大きく増加する。
上述(および後述)の閾値および範囲は、所定の固定値を有してよく、または、たとえば自己学習アルゴリズムによって変更され得る。
【0072】
制御ユニットは、好適には、ブレーキ、特に減速ブレーキ(サービスブレーキ)またはパーキングブレーキが作動すると、少なくとも1つのモータの駆動力が抑制または停止されるように設計される。
【0073】
プッシュバーおよび/またはプッシュバーの一部(特に、少なくとも部分的にセンサ装置を有するプッシュバーの部分)は、好適には、特にロック解除を行う必要なく、好適には復元力に逆らって、動き範囲にわたり自由に可動である。
【0074】
この意味での動きは、特に、操作する人間のサイズにベビーカーフレームを適合させるためにプッシュバーを垂直方向に調整するための動き(だけ)として理解されるべきではなく、特に力測定のために用いられ得る、および/またはモータアシストを引き起こすユーザのためのフィードバックとして用いられ得る(自由な)動きである。ここでは、(ユーザによってそのように認識され得る)モータの動作アシストと同時にプッシュバー(またはプッシュバーの一部)の動きによる「ダブルフィードバック」が提供され得る。このように、特に、力測定が行われ得るのと同時に、同じ動きによってダブルフィードバック機能が実装され得る。たとえば、これを(比較的小型のセンサ装置である)圧電センサと比較すると、本例において、比較的良好なフィードバックがユーザに与えられ、ユーザによってベビーカーの操作が容易になる(ユーザは、比較的小さい可能性があるモータアシストを認識することだけに依存するわけではない)。
【0075】
プッシュバー(またはプッシュバー部)の(自由な)動きは、たとえば2mm以上または10mm以上または20mm以上であってよい。そのような力センサ装置と、たとえば単純な圧電センサとを比較すると、より正確な情報が提供され得ることにより、大幅な改善が実現される。圧電センサは、比較的小さな(1mmをかなり下回る)相対的動きしか確定することができない。
【0076】
並進的な動きの場合、これは特に移動距離を意味し、回転運動または旋回の場合、これは、全ての点のうち最大移動距離を実行する旋回部分の点の移動距離を意味する。1つの実施形態において、プッシュバーまたはプッシュバーの上部(たとえばハンドル)は、締結領域の周囲で旋回可能であってよい。代替(または追加)として、プッシュバーの一部(上部)は、下部に対して並進的に変位可能であってよい。また、プッシュバー全体が(並進的に)変位可能であってよい。
【0077】
少なくとも1つのセンサ装置は、力(または力成分)の(時間)曲線および/またはそこから導出される変数を検出するように設計され得る。したがって、制御は更に改善され得る。たとえば、力(または力成分)および/またはその経時的変化の閾値および時間の閾値を定義することが可能になり、ここで、時間の閾値は、力(または力成分)および/またはその経時的変化の閾値を超える(またはそれに到達しない)、(加えられた)力(または力成分)および/またはその経時的変化の持続期間であってよい。
【0078】
原則として、力(または力成分)の時間微分は、(数学的な意味で)経時的変化として理解され得る。ただし、経時的変化は、(たとえば100ms~1秒の範囲内に有限の非無限小Δtを有する)ΔF/Δtとしても理解され得る。
【0079】
それぞれの制御ユニットは、好適には調整ユニット、特に、少なくとも1つのモータの電力を連続的に(場合によっては直線的に)調整するための調整ユニット、好適にはPID調整ユニットである(ここで、PIDは、比例積分微分を意味する)。
【0080】
好適には、少なくとも1つのブレーキ装置、特に減速ブレーキ装置および/またはパーキングブレーキ装置が提供される。減速ブレーキ装置は、好適には、制動のために(子供が乗っている)ベビーカーフレームまたはベビーカーの運動エネルギを用いるように(特に、それを電気エネルギに変換するように)設計される。代替または追加として、制御ユニットは、(直前の動きの後に)ベビーカーフレームが(完全に)停止してから所定の時間後、好適には3秒~5分(好適には10秒~30秒)後にパーキングブレーキ装置が自動的に作動するように提供および設計され得る。代替または追加として、制御ユニットは、パーキングブレーキ装置が直前の走行の後に停止または比較的低速度に到達した後に自動的に作動するように提供および設計され得る。
【0081】
ブレーキ装置は、特に2段階で、好適には、減速ブレーキ(サービスブレーキ)と(ベビーカーが完全に停止した時の)パーキング位置を固定するためのパーキングブレーキとの両方が提供されるように設計され得る。減速ブレーキは、ベビーカーが(1または複数の車輪における)(運動エネルギが熱に変換される)摩擦によって制動されるように設計され得る。ただし、少なくとも1つのモータは好適には、ベビーカーを制動するための発電機として用いられ得る(運動エネルギが電気エネルギに変換され、1または複数のバッテリに充電するために用いられ得る)。減速ブレーキの場合、たとえば(プッシュバーまたはハンドル上の)手や指で作動可能なレバーまたは他の装置(たとえばツイストグリップまたはフットペダルなど)などの任意の作動装置が提供され得る。また任意選択的に、グラフィックユーザインタフェース(たとえばディスプレイ、特にタッチスクリーン)がベビーカーに接続される、および/または外部装置(たとえば対応するアプリを有するスマートフォン)に接続可能な受信器を有することも可能である。作動装置(または受信器)は、減速ブレーキを作動させるため、すなわちユーザが望む(ゼロ以上であってよく、特に、ゼロより大きい、2つまたは5つより多くの異なる値を想定し得る)制動力を適用するために(適切な手段によって)減速ブレーキに連結され得る。減速ブレーキは、作動装置が作動している間、またはベビーカーが完全に停止するまで作用し、その後、場合によってはパーキングブレーキが作用する。
【0082】
パーキングブレーキは、1または複数の車輪の回転を防止するロックとして設計され得る。たとえばパーキングブレーキは、車輪の側面に設けられたスポーク(spokes)またはキャッチ(catch)装置(たとえば溝)と相互作用するピンを備えてよい。
【0083】
パーキングブレーキは、場合によっては、特に減速ブレーキによってベビーカーフレームまたはベビーカーが停止した直後または所定の時間後に(自動的に)作動し得る。好適には、少なくとも1つのパーキングブレーキは、電気的または電子的に(のみ)作動可能であり、手動で(のみ)解除可能である。
【0084】
パーキングブレーキ装置は、解除状態において、プレテンション(pre-tensioned)されてよく、作動状態において、全くまたはわずかにしかプレテンションされなくてよい。動作時の安全性は、これらの方策によって向上する。
【0085】
パーキングブレーキの作動は、たとえばスライドスイッチまたは圧力スイッチまたはフットペダルなどのスイッチを介してなど、様々な方法で行われ得る。
特に、パーキングブレーキが作動状態においてプレテンションされている場合、パーキングブレーキの解除は手動で(のみ)可能であるが、場合によっては、ブレーキの作動は電子的または電気的に(のみ)可能である。
【0086】
センサ装置、特に力センサ装置が提供されてよく、制御ユニットは、ベビーカーを操作している人間が、たとえば手およびハンドルを介した接点を離した時、少なくとも1つのブレーキ装置、特に減速ブレーキ装置および/またはパーキングブレーキ装置が作動するように設計され得る。減速ブレーキは、好適には上昇した(最大)力により作動し、および/またはパーキングブレーキは、ベビーカーを操作している人間がベビーカーと(もはや)接触していないにもかかわらずベビーカーが動いている時に作動する(緊急制動)。
【0087】
1つの実施形態において、制御ユニットは、力センサ装置が、ベビーカーフレームの現在の移動方向に(少なくとも部分的に)逆らう方向の力を検出すると、ブレーキ装置が作動するように設計される。あるいは、そのような場合、上述したようにモータアシストが行われ得る。モータは好適には、制動時の発電機として用いられる。
【0088】
モータアシストが提供される、または提供され得ることをベビーカーフレームのユーザに通知する少なくとも1つの表示または信号装置が提供され得る。第1の表示または信号装置は、場合によっては、現在モータアシストが提供されていることを示してよく、第2の表示または信号装置は、追加のパラメータ(たとえば最大速度など)に依存して、モータアシストが提供されるか、または(パラメータが対応する場合)提供されないという意味で、モータアシストが提供され得ることを示してよい。
【0089】
概して、本発明のベビーカーまたはベビーカーフレームは、ベビーカーを押す(または引く)時の快適なアシストを可能にし得る。特に、(状況にかかわらず)ユーザが(最大で)用いなければならない力を(基本的に)定義する値Ff1および/またはFr1を設定することが可能である。静止しているベビーカーを始動する場合、ユーザは、押すこと(または引くこと)を開始する。その結果、押し力または牽引力の水平成分は、ゼロより大きくなる。Ff1に到達した時、モータは、ユーザのアシストを(最小パワーで)開始し得る。たとえば、押し力または牽引力の水平成分が更に増加すると(すなわち、ΔFinh/Δt>0)、アシスト力も増加する(すなわち、ΔFs/Δt>0)。したがって力の水平成分は、(少なくともオーバーシュートを考慮しない場合)Ff1で(基本的に)一定に維持され得る。当然、モータアシストを停止するための条件が存在する場合、場合によってはより大きな力が必要である。
【0090】
Fuは、0~25N、好適には5N~15Nであってよい。Fdは、10N~50N、好適には20N~40Nであってよい。Ff1は、0~25N、好適には5N~15Nであってよい。Fr1は、0~25N、好適には5N~15Nであってよい。Ff2および/またはFr2は、25N~500N、好適には50N~200Nであってよい。
Ff1、Fr1、Ff2、および/またはFr2は、場合によっては、たとえばグラフィックユーザインタフェースおよび/またはスマートフォン(またはスマートフォンアプリ)などのインタフェースを介して、ユーザによって指定され得る。場合によっては、安全上の問題を回避するため、および/またはバッテリの使用期間を延長するために(製造者によって)最小値および最大値が指定され得る。
本発明は、以下、図面に基づいて詳しく説明される典型的な実施形態に基づいて説明される。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【
図1】本発明の典型的な実施形態のフローチャートを示す。
【
図3】プッシュバーに外部から作用する力Fを介した電動駆動装置のアシストの適合値Pの図を示す。
【
図4】本発明に係るベビーカーフレームの概略斜視図を示す。
【
図5】
図4に係るベビーカーフレームの側面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0092】
図1は、本発明の典型的な実施形態のフローチャートを示す。ステップS0(任意選択)において、最初に、電動駆動装置(アシスト)によって追加で駆動される車輪(後輪)が少しでも動く(回転する)かが問合せされる。そうである場合、ステップS1において、ベビーカーが動く速度が問合せされる。
たとえば個別の速度センサによって、または車輪(後輪)の物理的寸法および可能な中間変速比と共に現在のモータ速度に基づいて、速度が決定され得る。
【0093】
ステップS1において、決定されたベビーカーの現在の速度に基づいて、力閾値が第1の値(たとえば25Nまたは30N)に設定されるか(ステップS2a)、または力閾値が第2の値(たとえば17N)に設定されるか(ステップS2b)が決定される。ステップS1における速度が(たとえば0.000m/s~0.556m/s以上の)速度閾値を下回る場合、力閾値は第1の値に設定され、そうでない場合、第2の値が用いられる。
【0094】
ステップS3において、プッシュバーに外部から作用する現在の力の測定値が、ステップS2aまたはS2bによる力閾値と比較される。対応する力閾値を超過しない場合、シーケンスはステップS0に戻る。ステップS3において、ステップS2aまたはS2bによる力閾値を超過する場合、ステップS4において、電動駆動装置が起動される(電動駆動装置によるアシストが開始または適用される)。
【0095】
図2において、測定された速度vに対する力が図示される。測定された速度が速度閾値未満である場合、力閾値は第1の値F
th1に設定される。測定された速度vが速度閾値を上回る場合、力閾値は第2の値F
th2に設定される。
【0096】
図3において、穏やかな移行の典型的な実施形態が示される。プッシュバーに外部から作用する力Fを介した電動駆動装置のアシストの適合値Pが示される。また、力閾値が設定され得る高値F
th1および低値F
th2も示される。3つの適合段階P
s1、P
s2、およびP
s3が示される。
【0097】
図4は、本発明に係るベビーカーフレームを概略斜視図で示す。矢印F
dは、ハンドル13(プッシュバー10の水平部)に係合する下向きの力を示す。矢印F
uは、ハンドル13に係合する上向きの力を示す。矢印F
latは、横向きの力を示す。ハンドル13は、プッシュバー10の下部に対し旋回可能に取り付けられる。
【0098】
具体的には、ハンドル13は、ハンドル13の垂直方向の調整を行うために様々な位置に軸支(および係止)され得る。
【0099】
旋回可能ハンドル13とプッシュバー10の下部との間に、(対応する接合部を有する)旋回可能なマウンティング12が設けられる。
【0100】
好適には、プッシュバー10(全体)は、ベビーカーフレームの本体における旋回可能なマウンティング11に旋回可能に(特に、ベビーカーフレームを折り畳むことができるように)取り付けられる。
【0101】
好適には、ハンドル13を運転するユーザの力(特にF
uおよびF
d)を検出するために、旋回可能なマウンティング11および/または旋回可能なマウンティング12にセンサ装置/複数のセンサ装置が設けられる。また(
図5を参照すると)、好適には、そのような1または複数のセンサ装置を用いて前方への力F
fおよび後方への力F
rが検出され得る。モータ(詳細には認識不可能)は、好適には車輪ハブ21に配置され得る。あるいはモータは、車軸22に(特に車輪ハブ21に隣接した車軸の部分に)配置され得る。
【0102】
上述した部品は全て、特に図面に示す細部において、そのように考慮され、任意の組み合わせで、本発明に不可欠であると主張されていることに留意すべきである。これらに対する変更は、当業者にとって日常的なものである。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]
ベビーカーまたはベビーカーフレームワークのアシスト駆動のための少なくとも1つのモータ、特に電動モータと、
前記ベビーカーまたはベビーカーフレームワークを押すためのプッシュバーと、
前記プッシュバーに作用する力および/または力成分の方向および/または大きさを検出するため、および/またはこの力または力成分から導出される変数、特にトルクおよび/または前記力または力成分の経時的変化を検出するための少なくとも1つの力センサ装置と、
前記ベビーカーまたはベビーカーフレームワークの速度を決定するための少なくとも1つの速度センサ装置と、
前記測定された力および/または力成分および/またはそこから導出される前記変数と力閾値との比較に依存してモータアシストが適合されるように構成された少なくとも1つの制御ユニットと
を備え、
前記力閾値は、前記測定された速度と速度閾値との比較に依存して確立される、ベビーカーまたはベビーカーフレームワーク。
[2]
ベビーカーまたはベビーカーフレームワークのアシスト駆動のための少なくとも1つのモータ、特に電動モータと、
前記ベビーカーまたはベビーカーフレームワークを押すためのプッシュバーと、
前記プッシュバーに作用する力および/または力成分の方向および/または大きさを検出するため、および/またはこの力または力成分から導出される変数、特にトルクおよび/または前記力または力成分の経時的変化を検出するための少なくとも1つの力センサ装置と、
モータアシストが穏やかに起動されるように、特に、境界条件に基づいて計算された全目標電力が即時的に呼び出されるのではなく、場合によっては0または0以上である現在の電力と前記目標電力との間の移行が、少なくとも1つの中間ステップまたは複数の中間ステップを介して、または少なくとも一時的に連続して時間間隔で行われるように設定されるように構成された少なくとも1つの制御ユニット、特に[1]に記載の少なくとも1つの制御ユニットと
を備える、[1]に記載のベビーカーまたはベビーカーフレームワーク。
[3]
前記制御ユニットは、現在の速度が前記速度閾値未満であるか、または前記速度閾値以下である場合、力閾値を第1の正の値に設定し、前記ベビーカーの前記現在の速度が前記速度閾値以上であるか、または前記速度閾値より大きい場合、前記力閾値を第2の正の値に設定するように構成され、前記第1の正の値は、前記第2の正の値と等しくなく、好適には前記第2の正の値より大きい
ことを特徴とする、[1]~[2]のいずれか1つに記載のベビーカーまたはベビーカーフレームワーク。
[4]
前記力センサ装置は、少なくとも1つのトルクセンサおよび/または少なくとも2つのセンサを備える
ことを特徴とする、[1]~[3]のいずれか1つに記載のベビーカーまたはベビーカーフレームワーク。
[5]
前記制御ユニットは、現在検出された力が、特に前記現在の速度の関数として関連するそれぞれの力閾値を超過するか、または前記力閾値に到達すると即、駆動装置によるアシストを可能にし、および/または、現在検出された力が、特に前記現在の速度の関数として関連する前記力閾値を超過しないか、または前記力閾値に到達しなければ、前記駆動装置によるユーザのアシストを可能にしないように構成される
ことを特徴とする、[1]~[4]のいずれか1つに記載のベビーカーまたはベビーカーフレームワーク。
[6]
前記制御ユニットは、少なくとも1つの車輪が回転している場合のみ、前記駆動装置によるアシストを可能にするように構成される
ことを特徴とする、[1]~[5]のいずれか1つに記載のベビーカーまたはベビーカーフレームワーク。
[7]
前記制御ユニットは、測定値、特に押すために加えられた力に関連する測定値の評価、またはその成分(複数も可)および/またはそこから導出される変数(複数も可)の評価に基づいて、人間のユーザが前記ベビーカーを押していると推定される場合のみ、前記駆動装置によるアシストを可能にするように構成される
ことを特徴とする、[1]~[6]のいずれか1つに記載のベビーカーまたはベビーカーフレームワーク。
[8]
前記制御ユニットは、前記ベビーカーを押すまたは引くために必要な平均加力が、特に少なくとも特定の時間間隔にわたり、過去に確立された力値に常に調整されるように、前記電動駆動装置をアシストのために起動するように構成され、前記力値は、好適には前記第1または第2の力閾値であり、特に好適には前記第2の力閾値である
ことを特徴とする、[1]~[7]のいずれか1つに記載のベビーカーまたはベビーカーフレームワーク。
[9]
前記制御ユニットは、前記移行、特に穏やかな移行が、測定値が記録される度にモータ電力の適合が行われるように設計されるように設計され、駆動力は、前記現在の電力と確認された目標電力との差の一部によって適合される
ことを特徴とする、[1]~[8]のいずれか1つ、特に[2]~[8]のいずれか1つに記載のベビーカーまたはベビーカーフレームワーク。
[10]
前記速度閾値は、4km/h未満、好適には1km/h以上および/または3km/h以下、たとえば約2km/hであり、および/または、
前記力閾値の前記第1の値は、[3]に記載の前記力閾値の前記第2の値より大きく、
特に好適には、前記第1の値は前記第2の値の150%~250%、たとえば約200%であり、および/または、
[3]に記載の前記力閾値の前記第1の値は、20N以上、または25N以上、または30N以上であり、および/または、
[3]に記載の前記力閾値の前記第2の値は、8N~25N、好適には10N~20N、たとえば15Nまたは17Nであり、および/または、
[2]に記載の前記時間間隔の長さは、2s(2秒)以下、好適には1s以下および/または0.01s以上、好適には0.05s以上である
ことを特徴とする、[1]~[9]のいずれか1つに記載のベビーカーまたはベビーカーフレームワーク。
[11]
特に[1]~[10]のいずれか1つに記載のベビーカーまたはベビーカーフレームを制御するための方法であって、
プッシュバー(10)に作用する力および/または力成分の方向および/または大きさ、および/またはこの力または力成分から導出される変数、特にトルクおよび/または前記力または力成分の経時的変化が検出され、
前記ベビーカーまたはベビーカーフレームの速度が決定され、
前記測定された力および/または力成分および/またはそこから導出される前記変数と力閾値との比較に依存してモータアシストが適合され、前記力閾値は、前記測定された速度と速度閾値との比較に依存して確立される、方法。
[12]
プッシュバー(10)に作用する力および/または力成分の方向および/または大きさ、および/またはこの力または力成分から導出される変数、特にトルクおよび/または前記力または力成分の経時的変化が検出され、
モータアシストが穏やかに起動され、特に、境界条件に基づいて計算された全目標電力が即時的に呼び出されるのではなく、場合によっては0または0以上である現在の電力と前記目標電力との間の移行が、少なくとも1つの中間ステップまたは複数の中間ステップを介して、または少なくとも一時的に連続して時間間隔で行われるように設定される、特に[1]~[10]のいずれか1つに記載のベビーカーまたはベビーカーフレームを制御するための、[11]に記載の方法。
[13]
力閾値は、前記現在の速度が前記速度閾値未満であるか、または前記速度閾値以下である場合、第1の正の値に設定され、前記ベビーカーの前記現在の速度が前記速度閾値以上であるか、または前記速度閾値より大きい場合、第2の正の値に設定され、前記第1の正の値は、前記第2の正の値と等しくなく、好適には前記第2の正の値より大きい
ことを特徴とする、[11]または[12]に記載の方法。
[14]
現在検出された力が、特に前記現在の速度の関数として関連するそれぞれの力閾値に到達するか、または前記力閾値を超過すると即、駆動装置によるアシストが可能にされ、および/または、現在検出された力が、特に前記現在の速度の関数として関連する前記力閾値に到達しないか、または前記力閾値を超過しなければ、前記駆動装置によるユーザのアシストは可能にされない
ことを特徴とする、[11]~[13]のいずれか1つに記載の方法。
[15]
前記駆動装置によるアシストは、少なくとも1つの車輪が回転している場合のみ可能にされる
ことを特徴とする、[11]~[14]のいずれか1項に記載の方法。
[16]
前記駆動装置によるアシストは、測定値、特に押すために加えられた力に関連する測定値の評価、またはその成分(複数も可)および/またはそこから導出される変数(複数も可)の評価に基づいて、人間のユーザが前記ベビーカーを押していると推定される場合のみ可能にされる
ことを特徴とする、[11]~[15]のいずれか1つに記載の方法。
[17]
前記電動駆動装置は、前記ベビーカーを押すまたは引くために必要な平均加力が、特に少なくとも特定の時間間隔にわたり、過去に確立された力値に常に調整されるように、アシストのために起動され、前記力値は、好適には前記第1または第2の力閾値であり、特に好適には前記第2の力閾値である
ことを特徴とする、[11]~[16]のいずれか1つに記載の方法。
[18]
前記制御ユニットは、前記移行、特に穏やかな移行が、測定値が記録される度にモータ電力の適合が行われるように設計されるように設計され、駆動力は、前記現在の電力と確認された目標電力との差の一部によって適合される
ことを特徴とする、[11]~[17]のいずれか1つ、特に[12]~[17]のいずれか1つに記載の方法。
【符号の説明】
【0103】
F ベビーカーのプッシュバーに作用する力
Fth1 力閾値の第1の値
Fth2 力閾値の第2の値
P 可能な最大アシストに対する百分率で示すアシストの適合度
Ps1 適合段階
Ps2 適合段階
Ps3 適合段階
v 現在検出されたベビーカーの速度
S0 ベビーカーの後輪が回転しているかの問合せ
S1 現在速度が低範囲であるかの問合せ
S2a 力閾値の高い値への設定
S2b 力閾値の低い値への設定
S3 力閾値を超過しているかの問合せ
S4 電動駆動装置の起動
10 プッシュバー
11 旋回可能なマウンティング
12 旋回可能なマウンティング
13 ハンドル(プッシュバーの水平部)
21 車輪ハブ
22 車軸