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特許7657908電磁放射を検出するための検出器、イメージセンサ、および画像情報を検出するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-28
(45)【発行日】2025-04-07
(54)【発明の名称】電磁放射を検出するための検出器、イメージセンサ、および画像情報を検出するための方法
(51)【国際特許分類】
   H10F 39/12 20250101AFI20250331BHJP
   G01J 3/36 20060101ALI20250331BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20250331BHJP
【FI】
H10F39/12 D
G01J3/36
G06T1/00 420G
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2023504047
(86)(22)【出願日】2021-06-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-16
(86)【国際出願番号】 EP2021065808
(87)【国際公開番号】W WO2022017681
(87)【国際公開日】2022-01-27
【審査請求日】2024-04-01
(31)【優先権主張番号】20186876.7
(32)【優先日】2020-07-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】514156563
【氏名又は名称】アイメック・ヴェーゼットウェー
【氏名又は名称原語表記】IMEC VZW
(74)【代理人】
【識別番号】100129791
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 真由美
(74)【代理人】
【識別番号】100184343
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100112911
【弁理士】
【氏名又は名称】中野 晴夫
(72)【発明者】
【氏名】ヘヌー,ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ヘールハール,ローベルト
(72)【発明者】
【氏名】デ グレーフェ,クリスティアーン
【審査官】小山 満
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2006/131889(WO,A2)
【文献】特開2012-151215(JP,A)
【文献】特開2017-028059(JP,A)
【文献】国際公開第2012/099262(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0004212(US,A1)
【文献】特開2014-158062(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10F 39/12
G01J 3/36
G06T 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の波長から第2の波長までの範囲に及ぶ電磁放射を検出するための検出器であって、第1の波長はこの範囲における最短波長であり、第2の波長はこの範囲における最長波長であり、この検出器は(200;300;400)は、
第2の平面から第1の平面に向かって電磁放射を伝播させるための漏斗素子(102)のアレイ(202)であって、漏斗素子(102)の各々が入口端(104)および出口端(106)を含み、漏斗素子(102)のアレイ(202)の入口端(104)は第2の平面を規定し、入口端(104)は、第2の平面で焦点の合った電磁放射を、漏斗素子の入口端で捕捉するために、電磁放射がそこから検出器に入る媒体中の電磁放射の第2の波長の半分より大きいサイズを有し、漏斗素子内で第2の平面で焦点の合った電磁放射を出口端まで伝播させ、第1の平面で焦点の合った電磁放射が漏斗素子を通過して、漏斗素子の影響を受けずに第1の平面に伝播することを可能にし、出口端(106)は、媒体中での電磁放射の第1の波長の半分より小さいサイズを有する漏斗素子(102)のアレイ(202)と、
感光性素子(110)のアレイ(204)に入射する電磁放射を検出するための感光性素子(110)のアレイ(204)であって、第2の平面において焦点が合っている電磁放射に対応する画像情報が感光性素子(110)のアレイ(204)によって検出されるように、各漏斗素子(102)は感光性素子(110)と関連しており、感光性素子(110)のアレイ(204)は第1の平面を規定し、第1の平面において焦点が合った電磁放射に対応する画像情報をさらに補足するために構成された感光性素子(110)のアレイ(204)と、を含む検出器。
【請求項2】
漏斗素子(102)は、入口端(104)から出口端(106)までの漏斗素子(102)の延長線に対して非平行である少なくとも1つの側壁を有する請求項1に記載の検出器。
【請求項3】
導波管(108)の第1のアレイをさらに含み、各導波管(108)は、漏斗素子(102)の出口端(106)から感光性素子(110)に電磁放射を導くように構成される請求項1または2に記載の検出器。
【請求項4】
導波管は、第1の導波管部(424)と第2の導波管部(426)とを含み、第1の導波管部(424)は波長範囲内で電磁放射を案内するように構成され、第2の導波管部(426)は第1の導波管部(424)と平行に延びて、波長範囲のサブ範囲内で電磁放射を選択的に案内するように構成され、そして第2の導波管部(426)は、第1の導波管部(424)に結合され、波長範囲のサブレンジ内で第1の導波管部(424)からの電磁放射をアウトカップリングするように構成された請求項3に記載の検出器。
【請求項5】
漏斗素子のアレイは、漏斗素子(102)の第1のアレイ(202)であり、検出器(200;300;400)は、第3の平面から第1の平面に向かって電磁放射を伝播するための漏斗素子(102)の第2のアレイ(210;310;410)をさらに含み、第2のアレイ(210;310;410)の漏斗素子(102)のそれぞれは、入口端と出口端とを含み、漏斗素子(102)の第2のアレイ(210;310;410)の入口端は、第3の平面を規定し、入口端は、第3の平面で焦点の合う電磁放射を捕捉するために媒体中の電磁放射の第2の波長の半分より大きいサイズを有し、そして出口端は、媒体中の電磁放射の第1の波長の半分より小さいサイズを有している請求項1~4のいずれか1項に記載の検出器。
【請求項6】
中間導波管(222)のアレイ(216)をさらに含み、各中間導波管(222)は、第2のアレイ(210)の漏斗素子(102)の出口端から第1のアレイ(202)の漏斗素子(102)の入口端に電磁放射を導くように構成された請求項5に記載の検出器。
【請求項7】
導波管(322)の第2のアレイ(316)をさらに含み、第2のアレイ(316)の各導波管(322)は、第2のアレイ(310;410)の漏斗素子(102)の出口端から感光性素子(110)に電磁放射を導くように構成された請求項5に記載の検出器。
【請求項8】
感光性素子(110)のアレイ(204)は、異なる平面で焦点が合う電磁放射に対応する画像情報を捕捉するための感光性素子(110)の異なるセットを含む請求項1~7のいずれか1項に記載の検出器。
【請求項9】
漏斗素子(102)は、高屈折率材料によって形成され、低屈折率材料によって囲まれた請求項1~8のいずれか1項に記載の検出器。
【請求項10】
感光性素子(110)は、光活性層(114)上の入射電磁放射の量に対応する信号を生成するための光活性層(114)を含む請求項1~9のいずれか1項に記載の検出器。
【請求項11】
感光性素子(110)は、光活性層(114)から半導体回路に信号を伝達するための相互接続層(116)をさらに含む請求項10に記載の検出器。
【請求項12】
検出器(200;300;400)は、漏斗素子(102)のアレイ(202)および感光性素子(110)のアレイ(204)に向かって入射電磁放射を集束するための単一レンズ(226)を含む請求項1~11のいずれか1項に記載の検出器。
【請求項13】
特定の平面で焦点が合っている電磁放射に対応する画像情報を抽出するためのフィルタをさらに含む請求項1~12のいずれか1項に記載の検出器。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか1項に記載の検出器(200;300;400)を含むイメージセンサであって、イメージセンサ(500)は、少なくとも2つの画像平面において画像情報を同時に取り込むことに基づいて3次元画像情報を検出するように構成されたイメージセンサ。
【請求項15】
画像情報を検出する方法であって、
第1の波長から第2の波長までの範囲に及ぶ電磁放射を捕捉する工程(602)であって、第1の波長はこの範囲における最短波長であり、第2の波長はこの範囲における最長波長であり、電磁放射は、第2の平面から第1の平面に向かって電磁放射を伝播するための漏斗素子(102)のアレイ(202)において捕捉され、各漏斗素子(102)の入口端(104)は、第2の平面で焦点の合った電磁放射を、漏斗素子の入口端で捕捉するために、そこから検出器に電磁放射が入る媒体中の電磁放射の第2の波長の半分より大きいサイズを有し、漏斗素子内で第2の平面で焦点の合った電磁放射を漏斗素子の出口端まで伝播させ、第1の平面で焦点の合った電磁放射が漏斗素子を通過して、漏斗素子の影響を受けずに第1の平面に伝播することを可能にする工程(602)と、
感光性素子(110)のアレイ(204)において、第2の平面で焦点の合う電磁放射に対応する画像情報を検出するために、漏斗素子(102)のアレイ(202)によって捕捉された電磁放射を検出すると同時に、第1の平面で焦点の合う電磁放射に対応する画像情報を検出するために、漏斗素子(102)のアレイ(202)を通過した電磁放射を検出する工程(604)と、を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁放射を検出するための検出器、イメージセンサ、および画像情報を検出するための方法に関する。特に、本発明は、3次元情報の検出に関する。
【背景技術】
【0002】
電磁放射、例えば、紫外線、可視光線または赤外線の波長を含む電磁放射は、多くの異なる用途において情報キャリアとして有用である。そのため、電磁放射を記録し、処理および分析が可能な電気信号に変換するために、様々な検出器が採用されている。
【0003】
イメージデバイスでは、電磁放射を記録して、環境を表す2次元画像を取得することができる。しかしながら、多くの用途において、3次元情報が望まれる場合があり、取得された2次元画像情報に深さ情報を含めることが望まれる。取得された2次元画像の画像処理によって深さ情報を抽出することもできるが、そのような深さ情報は、撮像素子の被写界深度によって制限される場合がある。
【0004】
あるいは、複数の撮像装置を用いるなどで追加情報を記録することにより、深さ情報を取得することも可能である。しかしながら、3次元画像情報の取得が高速に行え、かつ複雑な装置を必要としないような、単一の撮像装置を用いて3次元画像情報の取得を可能にすることが望まれる。
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、比較的簡単な装置で3次元画像情報を高速に取得できるようにすることである。本発明の概念の特に目的は、3次元情報を構成する電磁放射を検出するための検出器を提供することである。
【0006】
本発明の概念のこれらおよび他の目的は、独立請求項に定義される本発明によって少なくとも部分的に満たされる。好ましい実施形態は、従属請求項に記載されている。
【0007】
第1の態様によれば、第1の波長から第2の波長までの範囲に及ぶ電磁放射を検出するための検出器が提供され、第1の波長は範囲内の最短波長であり、第2の波長は範囲内の最長波長であり、この検出器は、第2の平面から第1の平面に向かって電磁放射を伝播させるための漏斗素子のアレイであって、漏斗素子の各々が入口端と出口端とを含み、漏斗素子のアレイの入口端が第2の平面を規定し、入口端は、第2の平面において焦点の合った電磁放射を捕捉するために電磁放射がそこから検出器に入る媒体中の電磁放射の第2の波長の半分より大きいサイズを有し、出口端は、媒体中の電磁放射の第1の波長の半分より小さいサイズを有している、漏斗素子のアレイ、および感光性素子のアレイに入射する電磁放射を検出するための感光性素子のアレイであって、各漏斗素子は、第2の平面において焦点が合っている電磁放射に対応する画像情報が感光性素子のアレイによって検出されるように感光性素子と関連付けられており、感光性素子のアレイは第1の平面を規定するとともに第1の平面において焦点が合っている電磁放射に対応する画像情報をさらに捕捉するために構成された、感光性素子のアレイ、を含む。
【0008】
検出器のおかげで、2つの異なる平面で焦点の合っている電磁放射は、感光性素子の同じアレイで検出され得る。したがって、2つの異なる画像平面に対応する画像情報が、1回の露光で検出され得る。2つの異なる画像平面は、撮像される物体までの2つの異なる距離に対応し、画像情報は、3次元情報を提供する深さ情報を含む。
【0009】
漏斗素子の使用のおかげで、漏斗素子の入口端で焦点の合った電磁放射は、漏斗素子内で出口端まで伝播するように漏斗素子内で捕捉される。このため、第2の平面に結像されたスポットに対応する電磁放射は、漏斗素子内を第1の平面に向かって伝搬する間、空間的な広がりを小さく保つことができる。
【0010】
入射端は検出したい最長波長の半分以上の大きさであるため、第2の平面で焦点の合っている電磁放射は漏斗素子内を伝搬するように捕捉される。一方、第2の平面において焦点が合っていない電磁放射、例えば第1の平面において焦点が合っている電磁放射は、漏斗素子の入口端よりも実質的に大きいスポットサイズを、第2の平面において有してもよく、電磁放射が漏斗入口からの屈折も誘導も観察せずに、漏斗素子が電磁放射に実質的に影響を及ぼさない状態で第1の平面まで影響を受けずに伝播するように、漏斗素子を通過して第1の平面に至ってもよい。したがって、第1の平面に結像されたスポットに対応する電磁放射は、第1の平面において焦点の合った状態で捕捉され得る。また、漏斗素子の出口端が最短波長の半分よりも小さいサイズ、すなわち撮像のための回折限界よりも小さいサイズを有するため、電磁放射は、第2の平面と第1の平面との間の漏斗素子の延長に沿って漏斗素子に捕捉されず、したがって漏斗素子は、第1の平面で焦点が合っている電磁放射の撮像に影響を与えないであろう。
【0011】
上述のように、入口端は、検出されるべき最長波長の半分よりも大きなサイズを有する。しかしながら、入口端のサイズは、検出器による撮像の解像度に影響を与えるので、入口端は、所望の解像度に関連して選択され得る。例えば、最大解像度での撮像を可能にするために、最長波長の半分より大きいサイズを有しながら、入口端は可能な限り小さくてもよい。
【0012】
検出器によって検出される電磁放射は、比較的広い波長範囲に渡ってもよい。例えば、検出器は、紫外線範囲および/または可視範囲および/または赤外線範囲、例えば短波長の赤外線の電磁放射を検出してもよい。実施形態において、検出器は、380~740nmに及ぶ電磁放射、または400~700nmに及ぶ電磁放射、または440~660nmに及ぶ電磁放射などの可視範囲内の電磁放射を検出してもよい。
【0013】
電磁放射の波長は、電磁放射が伝搬する媒体の屈折率に依存する。したがって、スポットサイズは、電磁放射が伝搬する媒体の影響を受けることがある。電磁放射は、そこから電磁放射が検出器に入る媒体中を伝搬して、漏斗素子の入口端に到達してもよい。電磁放射が伝播する媒体によって、漏斗素子の入口端によって捕捉されるスポットサイズは、それゆえに異なる場合がある。したがって、入口端は、電磁放射の第2の波長の半分より大きいサイズを有することが好ましく、第2の波長は、電磁放射が検出器に入る媒体によって定義される。電磁放射が漏斗素子の入口端に入るときに、電磁放射が検出器に入る可能性があることを理解されたい。しかしながら、電磁放射が漏斗素子の入口端に到達する前にそのような層に入ることができるように、漏斗素子と一体化した1つ以上の層が存在してもよい。例えば、以下に説明するように、検出器は、漏斗素子のアレイの上に漏斗素子の追加のアレイを構成してもよい。本明細書で使用されるように、電磁放射がそこから検出器に入る媒体は、電磁放射が漏斗素子のアレイと一体である材料に入る媒体と解釈されるべきである。典型的には、電磁放射は、漏斗素子の入口端に到達する前に、屈折率約1を有する空気中を伝搬する。しかしながら、実施形態によれば、電磁放射が伝搬する異なる屈折率の媒体を提供し、第2の平面において焦点にある電磁放射を依然として捕捉しながら漏斗素子の入口端がより小さくなるように、漏斗素子の入口端は、水または浸油などの他の媒体に浸漬されてもよい。
【0014】
アレイの漏斗素子は、入口端と出口端との間で平行に延びてもよい。
【0015】
漏斗素子の入口端および出口端は、任意の形状を有してよいことを理解されたい。入口端および出口端のサイズは、漏斗素子の対向する側壁の間の入口端および出口端の最大寸法として解釈されるべきである。したがって、長方形の入口端および出口端については、入口端および出口端のサイズは、長方形の幅および高さのうち大きい方に対応するであろう。円形の入口端および出口端については、入口端および出口端のサイズは、円形形状の直径に対応するであろう。実施形態によれば、漏斗素子の入口端および出口端は、正方形状である。
【0016】
漏斗素子の出口端は、第1の平面に配置されてもよいし、第1の平面に近接して配置されてもよい。しかしながら、代替案に従って、各漏斗素子は、導波管の長さに沿って一定またはゆっくりと変化する(例えば、わずかにテーパ状の)断面を有する導波管に移行してもよい。このような場合、導波管の出口端は、第1の平面に配置されてもよく、または第1の平面の近くに配置されてもよい。
【0017】
漏斗素子または導波管は、誘導された電磁放射が漏斗素子または導波管から出るそれぞれの出口端が、感光性素子のアレイ上に、または感光性素子から同じ距離で配置されるように、互いに整列されてもよい。近接場構成を提供し、検出器のさらなる小型化を可能にするように、出口端を感光性素子のできるだけ近くに、または接するように配置することが好ましい。
【0018】
実施形態によれば、漏斗素子は、入口端から出口端までの漏斗素子の延長線に対して非平行である少なくとも1つの側壁を有する。
【0019】
したがって、入口端と出口端との間の漏斗素子の断面の大きさの減少は、少なくとも1つの側壁が漏斗素子の延長に非平行であることによって提供され得る。
【0020】
好ましくは、漏斗素子の全ての側壁は、漏斗素子が入口端および出口端に直交する線を中心に対称であるように、等しく先細りである。
【0021】
実施形態によれば、漏斗素子の断熱テーパは、入口端および出口端の法線に対する側壁の角度が出口端に向かって増加するように提供される。これは、入口端で捕捉された電磁放射が漏斗素子内で出口端まで伝播することを保証する上で有利であり、漏斗素子の急な先細りが使用される場合に重要である。
【0022】
しかしながら、他の実施形態によれば、少なくとも1つの側壁は、入口端と出口端との間の直線に沿って延在してもよい。これは、漏斗素子の形状が単純であることを意味し、特に漏斗素子の長さが電磁放射の波長の大きさよりも大きいかまたははるかに大きい場合、入口端で捕捉された電磁放射を出口端に効果的に伝播する漏斗素子を依然として提供することができる。
【0023】
実施形態によれば、検出器は、導波管の第1のアレイをさらに備え、各導波管は、漏斗素子の出口端から感光性素子に電磁放射を導くように構成される。
【0024】
漏斗素子の入口端で捕捉された電磁放射は、漏斗素子を通って出口端に導かれ、その後、導波管によって出口端から感光性素子に導かれてもよい。このように、電磁放射は、漏斗素子と導波管の両方を通るように導かれてもよい。漏斗素子と導波管は、一体的に形成されていてもよい。このように、漏斗素子と導波管は、1つの部品内で異なるセクションを形成してもよい。
【0025】
セクションの長さに沿った断面の変化は、漏斗素子と導波管とで異なってもよい。したがって、漏斗素子に沿った断面の大きさの変化率は、導波管に沿った断面の大きさの変化率と比較して相対的に大きい場合があるので、漏斗素子は、漏斗素子と呼ばれる場合がある。例えば、導波管は、その長さに沿って一定またはほぼ一定の断面を有することができる。導波管は、代替的に、導波管の側壁と導波管の断面との間の角度が90°未満、例えば、約85°であるように、テーパ状であってもよい。これは、導波管が、エッチング角度を提供するエッチング工程で形成され得るので、検出器の製造に有用であり得る。
【0026】
実施形態によれば、導波管は、第1の導波管部と第2の導波管部とを含み、第1の導波管部は、波長範囲内で電磁放射を導くように構成され、第2の導波管は、第1の導波管部と平行に延び、波長範囲のサブレンジ内で電磁放射を選択的に導くように構成され、第2の導波管部は第1の導波管部と結合し、波長範囲のサブレンジ内で第1の導波管部からの電磁放射をアウトカプリング(out-couple)するよう構成される。
【0027】
サブレンジの電磁放射を第1の導波管部からアウトカップリングすることによって、入射光の色分解が可能になり、これによって検出器の感度向上が可能になる。特に、入射光から異なる波長をフィルタリングするためにカラーフィルタを利用する他の技術との関連で、感度が向上する可能性がある。第1の導波管部からのサブレンジの電磁放射のアウトカップリングを用いることにより、受光素子に到達する波長を制御するためのカラーフィルタを用いることなく、異なる波長を識別することが可能となる。
【0028】
第1の導波管部は、「フルスペクトル」導波管と呼ばれることがあり、これは、第2の導波管部よりも広い波長範囲を導波できる導波管と理解されるべきである。好ましくは、第1の導波管部は、使用中に、可視波長範囲内の電磁放射を伝送し得るという意味で、フルスペクトル導波管である。第1の導波管部は、第1の導波管部によって導波されるべき電磁放射に関連して設計されてもよい。したがって、第1の導波管部の寸法は、電磁放射の単一の特定の波長で使用するために制限される必要はない。むしろ、第1の導波管部は、所望の伝搬特性を提供しながら、所定の波長の範囲で使用することができる。
【0029】
第2の導波管部は、第1の導波管部によって受信された電磁放射の波長範囲のサブ範囲内の電磁放射を結合するその能力を参照して、「色分解」導波管と呼ばれ得る。したがって、第2の導波管部は、例えば赤、緑または青の光に対応する波長範囲のサブ範囲など、入射可視光の特定の色を選別することができる導波管として理解することができる。第1の導波管部と同様に、第2の導波管部は、それゆえ、第2の導波管部によって導かれるべき電磁放射に関連して設計され得る。第2導波管部の寸法は、したがって、電磁放射の特定の波長と共に使用するために制限される必要はなく、所望の伝搬特性を提供しながら、例えば赤色、緑色または青色スペクトルに対応するサブレンジの波長で使用することができる。
【0030】
実施形態によれば、漏斗素子のアレイは第1の漏斗素子のアレイであり、検出器は、第3の平面から第1の平面に向かって電磁放射を伝播するための第2の漏斗素子のアレイをさらに含み、第2の漏斗素子のアレイの各々は、入口端と出口端とを含み、第2の漏斗素子のアレイは、入口端を含む。ここで、第2の漏斗素子のアレイの入口端は、第3の平面を規定し、入口端は、第3の平面で焦点の合う電磁放射を捕捉するために媒体中の電磁放射の第2の波長の半分より大きいサイズを有し、出口端は、媒体中の電磁放射の第1の波長の半分より小さいサイズを有する。
【0031】
第3の平面を規定する第2の漏斗素子のアレイのおかげで、追加の平面(3つの異なる平面)で焦点の合った電磁放射が、感光性素子の同じアレイで検出され得る。したがって、3つの異なる画像平面に対応する画像情報が、1回の露光で検出される可能性がある。このことは、3次元情報を改善するために、さらなる深さ情報が取得されることを意味する。
【0032】
検出器は、さらに他の画像平面からの画像情報が捕捉され得るように、漏斗素子の1つ以上の追加のアレイを含んでもよいことを理解されたい。したがって、漏斗素子の追加のアレイを追加することは、より多くの深さ情報が検出器によって捕捉されることを保証し得る。
【0033】
実施形態によれば、検出器は、中間導波管のアレイをさらに含み、各中間導波管は、漏斗素子の第2のアレイの出口端から漏斗素子の第1のアレイの入口端に電磁放射を導くように構成される。
【0034】
第3の平面において焦点に捕捉された電磁放射は、漏斗素子内、および場合によっては中間導波管内を伝播して、第1のアレイの漏斗素子の入口端に到達することができる。したがって、第3の平面上に撮像されたスポットに対応する電磁放射は、第1のアレイの漏斗素子の入口端によって規定される第2の平面において小さな空間的広がりを維持することになる。したがって、第3の平面で焦点の合っている電磁放射は、第1のアレイの漏斗素子の入口端にも捕捉され、そこで第1の平面に向かってさらに伝播され得る。
【0035】
第2のアレイの漏斗素子と中間導波管は、一体的に形成されてもよい。このように、漏斗素子と中間導波管は、単一の部品内で異なるセクションを形成してもよい。
【0036】
セクションの長さに沿った断面の変化は、漏斗素子と中間導波管とで異なってもよい。したがって、漏斗素子に沿った断面の大きさの変化率は、導波管に沿った断面の大きさの変化率と比較して相対的に大きい場合があるので、漏斗素子は、漏斗素子と呼ばれる場合がある。例えば、中間導波管は、その長さに沿って一定またはほぼ一定の断面を有することができる。中間導波管は、代替的に、中間導波管の側壁と中間導波管の断面との間の角度が90°未満、例えば約85°であるように、テーパ状であってもよい。これは、中間導波管がエッチング角度を提供するエッチング工程で形成され得るので、検出器の製造に有用であり得る。
【0037】
実施形態において、中間導波管のアレイにおけるいくつかの中間導波管は、第3の平面から第2の平面に延び、第2のアレイの漏斗素子に関連付けられない場合がある。これは、漏斗素子に関連しないそのような中間導波管が、第3の平面における電磁放射の追加の捕捉に寄与しないであろうことを意味する。これは、電磁放射の追加的な捕捉が実行されることを可能にしながら、第2の平面で焦点の合っている電磁放射に対応する画像情報の抽出を容易にし得る(そのような画像情報を受け取る全ての感光性素子が、第3の平面で焦点の合っている電磁放射に対応する画像情報を受け取るわけでもないので)。
【0038】
他の実施形態によれば、検出器は、第2のアレイの導波管をさらに含み、第2のアレイの各導波管は、第2のアレイの漏斗素子の出口端から感光性素子に電磁放射を導くように構成される。
【0039】
このことは、電磁放射が第2のアレイの導波管を通って、第3の平面から第2の平面を越えて第1の平面まで案内され得ることを意味する。したがって、第2のアレイの漏斗素子に捕捉された電磁放射は、第1のアレイの漏斗素子によって捕捉されることはない。
【0040】
したがって、第2のアレイの導波管は、第2の平面を通って延び、第2のアレイの各導波管は、第1のアレイの漏斗素子の隣接する入口端の間に配置されてもよい。しかしながら、第2のアレイの導波管の断面は、第2内で比較的小さくてもよく、したがって、第2の平面における電磁放射の捕捉を実質的に妨害しなくてもよい。
【0041】
電磁放射を感光性素子に導く第2のアレイの導波管のおかげで、異なる感光性素子は、第3の平面および第2の平面においてそれぞれ焦点が合っている電磁放射に対応する画像情報を受け取ることができる。これは、個々の感光性素子がより少ない画像平面に関連する情報を捕捉するので、それぞれの画像平面に対応する画像情報の抽出が簡素化され得ることを意味する。
【0042】
実施形態によれば、感光性素子のアレイは、異なる平面で焦点が合っている電磁放射に対応する画像情報を捕捉するための感光性素子の異なる組を備える。
【0043】
特定の感光性素子に転送されるために捕捉されなかった電磁放射は、依然として感光性素子のアレイに到達することを理解されたい。しかし、得られたスポットは、単一の感光性素子における電磁放射の対応する強度が小さくなるように、焦点の合っていない電磁放射に対して大きくなる。このことは、焦点が合って撮影され、専用の受光素子に転送された画像情報は、専用の受光素子において高い強度を持つことを意味し、この点で、異なる組の受光素子は、異なる平面で焦点が合っている電磁放射に関連して、高い強度の電磁放射を検出し得る。
【0044】
異なる平面で焦点にある電磁放射に専用の異なるセットの感光性素子を有することによって、画像内の特定の深さに対応する画像情報が関心のある場合に、特定のセットの感光性素子が選択されて分析され得る。
【0045】
実施形態によれば、漏斗素子は、高屈折率材料によって形成され、低屈折率材料によって囲まれている。
【0046】
本明細書で使用されるように、高屈折率材料は、少なくとも、高屈折率材料を取り囲む低屈折率材料の屈折率よりも大きな屈折率を有する材料として解釈されるべきである。
【0047】
これは、漏斗素子によって捕捉された電磁放射が、漏斗素子における電磁放射の全内部反射のために漏斗素子から周囲の材料に離れることが妨げられることを意味する。
【0048】
漏斗素子が高屈折率材料によって形成されているおかげで、電磁放射の波長は、漏斗素子内で(例えば、空気中の電磁放射の波長と比較して)小さくなるであろう。このことは、漏斗素子の出口端が非常に小さくでき、電磁放射を非常に小さい感光性素子に導くことができることを意味し、この感光性素子は、空気中の電磁放射の波長よりもはるかに小さい可能性がある。これは、感光性素子間のピッチが非常に小さく、異なる感光性素子が、異なる平面で焦点が合っている電磁放射に対応する画像情報を受信するために専用化されていても、高解像度で撮像できることを意味する。
【0049】
実施形態において、高屈折率材料は、窒化ケイ素、Siであり、一方、低屈折率材料は、二酸化ケイ素、Sである。
【0050】
実施形態によれば、感光性素子は、光活性層への入射電磁放射の量に対応する信号を生成するための光活性層を含む。
【0051】
光活性層は、好ましくは、入射電磁放射の吸収を促進するために、非常に短い吸収長を有してもよい。光活性層は、例えば、ペロブスカイト材料、有機材料、量子ドットおよび/またはアモルファスゲルマニウムを含んでもよい。
【0052】
実施形態によれば、感光性素子は、光活性層から半導体回路に信号を伝達するための相互接続層をさらに含む。
【0053】
感光性素子は、可視光などの入射電磁放射を電気信号に変換することができる素子として理解される。感光性素子は、例えば、半導体基板上に配置されたコンタクト層、光活性層、および相互接続層から構成されてもよい。光活性層は、光子を電流に変換するために配置されてもよい。相互接続層は、光活性層と基板との間に配置されてもよい。相互接続層は、光活性層内の電流を電気信号の読み取りおよび処理に適した電気回路およびデバイスに伝導するための電極を含んでもよい。コンタクト層は、感光性素子と光活性層に電磁放射を伝達するための導波管の間に均一な層として延びる、パターン化されていない層であってもよい。光活性層は、例えば導波管の各々に対応する別々の領域にパターン化されてもよいし、導波管の下方に延在する均一な層として形成されてもよい。いくつかの実施形態では、相互接続層は、例えば導波管のそれぞれの1つと整列され得る複数の電極または電極領域にパターニングされてもよい。
【0054】
したがって、相互接続層は、第1の導波管部に関連する第1の電極と、第2の導波管部に関連する第2の電極とを含んでもよい。第1の電極は、第1の導波管部を介して導かれる電磁放射を登録するために第1の導波管部の下方に配置されてもよく、一方、第2の電極は、第2の導波管部を介して導かれる電磁放射を登録するために第2の導波管部の下方に配置されてもよい。
【0055】
さらに、第1および第2の電極、および/または第1および第2の電極とそれぞれの導波管部との間に配置された光活性層の部分は、第1および第2の導波管部によってそれぞれ決定され得る検出されるべき特定の波長範囲に個別に調整された厚さを備えてもよい。それゆえ、第1の導波管部の下の電極および/または光活性層部分は厚く、第2の導波管部の下の電極および/または光活性層部分は厚くてもよく、逆もまた同様である。これにより、感光性素子の全体的な性能を有利に向上させることができる。
【0056】
実施形態によれば、検出器は、漏斗素子のアレイおよび感光性素子のアレイに向けて入射電磁放射を集束するための単一のレンズを含む。
【0057】
したがって、検出器は、単一のレンズを使用して、感光性素子のアレイに対するレンズの移動を提供する必要なしに、3次元情報を提供する深さ情報を含む画像情報のキャプチャを提供し得る。
【0058】
実施形態によれば、検出器は、特定の平面で焦点の合っている電磁放射に対応する画像情報を抽出するためのフィルタをさらに含む。
【0059】
検出器は、3次元情報を提供する深さ情報を含む画像情報の捕捉を可能にする。フィルタは、取り込まれた画像情報から特定の平面に対応する画像情報を抽出するように構成されてもよい。このように、撮影された画像情報から特定の深度における情報を選択的に抽出することができる。
【0060】
フィルタは、処理装置に画像情報を抽出させるためのソフトウェア命令として提供されてもよい。しかしながら、フィルタは、代替的に、捕捉された画像情報を処理するように構成されたハードウェアとして提供されてもよい。
【0061】
第2の態様によれば、第1の態様による検出器を含むイメージセンサが提供され、イメージセンサは、少なくとも2つの画像平面において画像情報を同時に捕捉することに基づいて、3次元画像情報を検出するように構成される。
【0062】
この第2の態様の効果および特徴は、第1の態様に関連して上述したものにほぼ類似している。第1の態様に関連して述べた実施形態は、第2の態様とほぼ互換性がある。
【0063】
イメージセンサは、第1の態様の検出器を用いて、少なくとも2つの異なる画像平面において焦点が合っている電磁放射に対応する画像情報を同時に捕捉してもよい。したがって、イメージセンサは、1回の露光で3次元画像情報を検出してもよい。このことは、イメージセンサが非常に迅速に(1回の露光で)3次元画像情報を捕捉し得ることを意味し、一方、イメージセンサは単純であり、感光性素子の単一のアレイを必要とするだけである。
【0064】
第3の態様によれば、画像情報を検出するための方法が提供され、この方法は、第1の波長から第2の波長までの範囲に及ぶ電磁放射を捕捉する工程であって、第1の波長はこの範囲における最も短い波長であり、第2の波長はこの範囲における最も長い波長であり、電磁放射は、第2の平面から第1の平面に向かって電磁放射を伝播するための漏斗素子のアレイで捕捉され、各漏斗素子の入口端は、第2の平面で焦点の合った電磁放射を捕捉するために、そこを通って電磁放射が検出器に入る媒体中における、電磁放射の第2の波長の半分より大きいサイズを有する工程と;感光性素子のアレイにおいて、第2の平面で焦点が合っている電磁放射に対応する画像情報を検出するために漏斗素子のアレイによって捕捉される電磁放射を検出すると同時に、第1の平面で焦点が合っている電磁放射に対応する画像情報を検出するために漏斗素子のアレイを通過した電磁放射を検出する工程と;を含む。
【0065】
この第3の態様の効果および特徴は、第1および第2の態様に関連して上述したものにほぼ類似している。第1および第2の態様に関連して述べた実施形態は、第3の態様とほぼ両立する。
【0066】
異なる平面で焦点が合っている電磁放射を同時に検出することにより、3次元画像情報の非常に高速な捕捉が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
本発明の概念の上記、ならびに追加の目的、特徴および利点は、添付の図面を参照しながら、以下の例示的かつ非限定的な詳細な説明を通じて、より理解されるであろう。図面では、特に断らない限り、同様の参照数字が同様の要素に使用される。
【0068】
図1】漏斗素子および電磁放射を案内するための導波管を含む構成の概略図であり、電磁放射の捕捉を示す。
図2】第1の実施形態にかかる検出器の概略図である。
図3】一実施形態にかかる感光性素子の概略図である。
図4】第2の実施形態にかかる検出器の概略図である。
図5】異なる距離で焦点の合う光子に関連して感光性素子により検出される強度を示すグラフである。
図6】第3の実施形態にかかる検出器の概略図である。
図7】第4の実施形態にかかる検出器の概略図である。
図8】色分解を実行する可能性を伴って拡張された第4の実施形態にかかる検出器の概略図である。
図9】一実施形態にかかるイメージセンサの概略図である。
図10】一実施形態にかかる方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0069】
図1を参照して、複数の画像平面において焦点が合っている電磁放射の検出について説明する。
【0070】
図1において、電磁放射を案内するための構成100が示されている。構成100は、電磁放射を捕捉するための漏斗素子102を含む。図1に示すように、漏斗素子102は、漏斗素子102の入口端104において焦点が合っている電磁放射を捕捉するように構成されてもよい。したがって、漏斗素子102の入口端104に撮像されるスポットに対応する電磁放射は漏斗素子102内で伝播され、電磁放射が漏斗素子102に関連する感光性素子110に向かって導かれてもよい。これは漏斗素子102が配置される平面に対応する画像情報が、感光性素子110が配置された面においてシャープになるように、漏斗素子102の入口端104で焦点が合っている電磁放射に対応する画像情報を受け取ることができることを意味する。
【0071】
漏斗素子102は、入口端104と出口端106との間でテーパ状であってもよい。入口端104は、電磁放射の波長の半分より大きいサイズを有してもよく、一方、出口端106は、電磁放射の波長の半分より小さいサイズを有してもよい。結果として、入口端104で焦点の合った電磁放射は、その中を伝搬するために漏斗素子102によって捕捉される。しかしながら、漏斗素子102は、電磁放射の波長の約半分より大きいスポットまたはビーム径を有する電磁放射に対して透明であり、これは、漏斗素子102の入口端104で集束されない電磁放射が感光性素子110に向かって影響を受けずに漏斗素子102を通過し得ることを意味する。これは、感光性素子110が、漏斗素子102の入口端104の平面で焦点が合っている電磁放射と、感光性素子110の平面で焦点が合っている電磁放射とを受信してもよいことを意味する。したがって、感光性素子110は、2つの平面、すなわち漏斗素子102の入口端104の平面および感光性素子110の平面で焦点の合っている画像情報を捕捉できる。
【0072】
感光性素子110は、上述の平面で焦点の合っていない電磁放射を受信することもできることを理解されたい。しかしながら、単一の感光性素子110における電磁放射の強度が小さくて、漏斗素子102の入口端104の平面および感光性素子110の平面において焦点が合っている電磁放射のシャープな画像化の可能性に影響しないように、焦点が合っていないスポットサイズは、多くの感光性素子110にしみ込んでいくことになる。
【0073】
感光性素子110を用いて検出されるべき電磁放射は、第1の最も短い波長から第2の最も長い波長までの比較的広い範囲の波長にわたってもよい。例えば、短波長赤外線などの紫外域および/または可視域および/または赤外域の電磁放射を検出してもよい。実施形態では、380~740nmに及ぶ電磁放射、または400~700nmに及ぶ電磁放射、または440~660nmに及ぶ電磁放射などの可視領域の電磁放射が検出されてもよい。
【0074】
電磁放射の波長は、電磁放射が伝搬する媒質の屈折率に依存する。したがって、スポットサイズは、電磁放射が伝搬する媒体の影響を受ける可能性がある。電磁放射は、漏斗素子102の入口端104に到達する前に媒体中を伝搬することがある。したがって、電磁放射が伝播する媒体によって、漏斗素子102の入口端104によって捕捉されるスポットサイズが異なる場合がある。したがって、入口端104は、電磁放射の第2の波長の半分より大きいサイズを有することが好ましく、第2の波長は、漏斗素子102の入口端104に到達する前に電磁放射が伝播する媒体によって定義される。典型的には、電磁放射は、漏斗素子102の入口端104に到達する前に、屈折率約1を有する空気中を伝搬する。しかしながら、実施形態によれば、漏斗素子102の入口端104は、水または浸油などの他の媒体に浸漬されて、電磁放射が伝播する媒体の異なる屈折率を提供し、漏斗素子102の入口端104をより小さくすることを可能にしつつ、漏斗素子102の入口端104で焦点が合う電磁放射を捕捉するようにしてもよい。
【0075】
図1に示されるように、漏斗素子102の入口端104は、レンズと物体との間の距離の範囲に対応する電磁放射を捕捉することができる。図1に示す実施形態では、レンズは6mmの焦点距離を有し、漏斗素子102の入口端104は、レンズの焦点面より3.6μm下の距離、すなわちレンズから6.0036mmの距離に配置される。漏斗素子102は、レンズから約9~11.5mの距離からの電磁放射を捕捉するように構成され、異なる距離からの電磁放射について構成100は光学的に透明である。上に示された電磁放射が捕捉される距離の範囲は、緑色光(波長550nm)に適用される。この範囲は、他の波長、例えば赤色光の場合は9.3~11.2m、青色光の場合は8.3~11.9mと若干異なるが、異なる波長に対しても、ほぼ同じ範囲の距離から電磁放射が依然として捕捉されることを認識されたい。
【0076】
入口端104および出口端106のサイズは、漏斗素子102の対向する側壁の間の入口端および出口端の最大寸法として解釈されるべきである。したがって、入口端104および出口端106のサイズは、正方形形状の辺に対応してもよく、または円形形状の直径に対応してもよい。
【0077】
漏斗素子102は、入口端104および出口端106に直交する線を中心に対称となるようにテーパ状であってもよい。例えば、漏斗素子102が正方形の断面を有する場合、全ての側壁は、入口端104と出口端106の間で等しい角度を有してもよい。
【0078】
漏斗素子102は、入口端104と出口端106との間のサイズの差と比較して、入口端104と出口端106との間に比較的長い距離を有することによって、比較的緩やかなテーパを有してもよい。例えば、図1に示すように、漏斗素子102の側壁と中間導波管の断面との間の角度は、約85°であってもよい。
【0079】
図1に示すように、構成100は、2つのセクションを含み、漏斗素子102は、本明細書では導波管108と呼ばれる第2のセクションに移行しても良い。図1に示すように、漏斗素子102は、テーパ状の断面を有してもよく、一方、導波管108は、一定の断面を有してもよい。構成100の2つのセクションは、断面の大きさの変化率が、漏斗素子102の方が導波管108よりも大きいという点で異なってもよい。しかし、導波管108もテーパ状の断面を有してもよい。例えば、漏斗素子102が急なテーパを有し、その後、緩やかなテーパを有する導波管が続くことがある。これは、漏斗素子102の入口端104が比較的大きい場合に特に有用であろう。
【0080】
漏斗素子102は、断面の大きさの変化率が一定であって、漏斗素子102が平面側壁を構成してもよい。しかしながら、特に急な先細りが使用される場合、漏斗素子102の側壁は、断熱的な先細りを提供するように構成されてもよい。
【0081】
構成100は、必ずしも2つのセクションを含む必要はない。むしろ、構成100は、漏斗素子102の出口端106が構成100の出口端でもあり、構成100が導波管108を構成しないように、漏斗素子102のみから構成されてもよい。
【0082】
構成100は、ガイドされた光が構成100から出ることができる端面(漏斗素子102または導波管108の)が感光性素子110と直接接触するように、感光性素子110上に直接配置されてもよい。しかしながら、代替的に、構成100の端面と感光性素子110との間に小さな距離があってもよいことに気付くべきである。
【0083】
構成100は、高屈折率材料によって形成されてもよく、低屈折率材料によって囲まれてもよい。したがって、漏斗素子102は、全内部反射を使用してその中に電磁放射を伝播させるように構成されてもよい。
【0084】
また、高屈折率材料は、電磁放射の波長が、空気中の電磁放射の波長と比較して漏斗素子102内で小さくなることを意味する場合がある。これは、漏斗素子102の出口端106が非常に小さくてもよく、電磁放射が非常に小さい感光性素子110に導かれることを可能にし、感光性素子110が空気中の電磁放射の波長よりもはるかに小さくてもよいことを意味する。
【0085】
実施形態では、高屈折率材料は窒化ケイ素、Siであり、一方、低屈折率材料は二酸化ケイ素、SiOである。しかしながら、高屈折率を提供する他の材料が使用され得ることを理解されたい。
【0086】
ここで図2を参照して、検出器200が説明される。検出器200は、図1を参照して上述したように、構成100内の漏斗素子102のアレイ202から構成される。検出器200は、感光性素子110のアレイ204をさらに含み、各漏斗素子102は、アレイ204の感光性素子110と関連付けられている。
【0087】
感光性素子110のアレイ204は、第1の平面を規定してもよい。感光性素子110のアレイは、第1の平面で焦点が合う電磁放射に対応する画像情報を検出するように構成されてもよい。
【0088】
アレイ202の漏斗素子102の入口端104は、第2の平面をさらに規定してもよい。漏斗素子102による第2の平面で焦点の合っている電磁放射の捕捉と、漏斗素子102のアレイ202および導波管108のアレイによる感光性素子110に向かう、捕捉された電磁放射の伝播のおかげで、感光性素子110のアレイは、第2の平面で焦点が合う電磁放射に対応する画像情報を検出するように更に構成されても良い。
【0089】
したがって、検出器200は、感光性素子110のアレイ204によって提供される2次元撮像に加えて、深さ情報を提供する検出器200によって画像情報が捕捉され得るように、2つの焦点面を提供してもよい。これは、検出器200が3次元画像情報を捕捉するように構成され、検出器200がさらに、可動部品を必要とせずに、1回の露光で感光性素子110の単一のアレイ204を使用して3次元画像情報を捕捉できることを意味する。
【0090】
ここで図3を参照すると、一実施形態にかかる感光性素子110が開示されている。感光性素子110は、光子に光電的に応答するように構成された光活性層114を含み、それによって、導かれた電磁放射が、測定可能な電気信号を形成することを可能にしてもよい。光活性層114は、例えば、非晶質シリコン、非晶質ゲルマニウム、ペロブスカイト、有機材料、または量子ドットの層であってよい。
【0091】
光活性層114は、光活性層114と構成100との間に配置された、光学的に透明で導電性の層などのコンタクト層112によって覆われてもよい。コンタクト層112は、例えば、インジウムスズ酸化物、ITOを含んでも良い。
【0092】
光活性層114は、例えばシリコン基板118のような、ガイドされた電磁放射によって生成された電気信号を処理するためのトランジスタおよび他のデバイスを含むフロント・エンド・オブ・ライン基板である、基板118の上に設けられてもよい。さらに、光活性層114と基板118との間には、両者の間で信号を伝達するための相互接続層116が配置されてもよい。相互接続層116は、複数の電極を含んでもよく、これらの電極の各々は、ガイドされた電磁放射が構成100によって光活性層114に伝達される位置に対応する位置で光活性層114に接触するように配置されている。好ましくは、電極は、500nm以下など、構成100に可能な限り近接して配置される。
【0093】
ここで図4を参照すると、2つの焦点面を提供するという概念は、さらなる焦点面へと拡張され得ることが理解されるべきである。したがって、焦点の合った電磁放射がさらなるアレイの漏斗素子の入口端によって捕捉され得る、さらなる平面を規定するために、1つまたは複数のさらなる漏斗素子のアレイが存在し得る。
【0094】
図4では、漏斗素子102の第2のアレイ210、漏斗素子102の第3のアレイ212、および漏斗素子102の第4のアレイ214が図示されている。中間導波管222のアレイ216、218、220がさらに存在してもよく、これらは、漏斗素子102の出口端106から、下方の他の漏斗素子102のアレイの入口端104に、電磁放射を導くように構成されてもよい。
【0095】
第2のアレイ210、第3のアレイ212、および第4のアレイ214の漏斗素子102は、アレイ202の漏斗素子102のように、入口端104と出口端106との間でテーパ状であってよい。入口端104は、電磁放射の波長の半分より大きいサイズを有してもよく、一方、出口端106は、電磁放射の波長の半分より小さいサイズを有してもよい。結果として、入口端104で焦点の合った電磁放射は、その中を伝搬するために漏斗素子102によって捕捉される。しかしながら、漏斗素子102は、電磁放射の波長の約半分より大きいスポットまたはビーム径を有する電磁放射に対しては透明であり、これは、漏斗素子102の入口端104で焦点の合わない電磁放射が感光性素子110に向かって影響を受けずに漏斗素子102を通過しうることを意味する。
【0096】
導波管108と同様に、中間導波管222は、漏斗素子102と一体であってもよく、漏斗素子102の入口端104から下方の他の漏斗素子102の入口端104に電磁放射を導くための構成要の第2セクションを形成してもよい。
【0097】
漏斗素子102は、テーパ状の断面を有してもよく、一方、中間導波管222は、一定の断面を有してもよい。構成の2つの断面は、断面の大きさの変化率が、中間導波管222よりも漏斗素子102の方が大きいという点で異なってもよい。ただし、中間導波管222は、テーパ状の断面を有してもよい。例えば、漏斗素子102が急なテーパを有し、その後に緩やかなテーパを有する中間導波管222が続くようにしてもよい。
【0098】
次に図5を参照すると、感光性素子110のアレイ204の上に配置された図4に示すような漏斗素子102の第1のアレイ202、第2のアレイ210および第3のアレイ212を有する検出器200に対して、異なる距離で焦点が合う光子に関連して、感光性素子110によって検出される強度が示されており、漏斗素子102および導波管108または中間導波管222の各成分は2μmの長さを有している。図5から明らかなように、第1、第2または第3のアレイ202、210、212のいずれかにおける漏斗素子102の入口端104で焦点が合っている電磁放射に対応する感光性素子110の強度ピークが存在する。
【0099】
感光性素子110のアレイ204によって検出された画像情報は、特定の深さ情報を抽出するように分析されてもよいことがさらに理解されるべきである。例えば、検出器200は、特定の平面で焦点が合っている電磁放射に対応する特定の画像情報を抽出するためのフィルタをさらに含んでもよい。
【0100】
フィルタは、シリコン基板118に実装されるなど、ハードウェアに実装でき、このハードウェアは、導かれた電磁放射によって生成された電気信号を処理するためのトランジスタおよび他のデバイスを含んでもよい。あるいは、フィルタは、誘導電磁放射によって生成された電気信号を受信し得る処理ユニットに対するコンピュータで実行可能な命令として提供されるように、ソフトウェアにおいて実装されてもよい。
【0101】
例えば、フィルタは、比較的単純なハイパスフィルタとして実装されてもよく、感光性素子110のアレイ204によって取り込まれた画像領域が焦点内であることと焦点外であることの間の差を検出するように構成されてもよい。
【0102】
例示的な実施形態によれば、焦点距離が6mmのレンズを有するコンパクトカメラは、レンズの焦点面の下に配置された6.6μmの感光性素子のアレイ204と一緒に使用される。基本的な薄型レンズの方程式は、対象物の距離(深さ)とこの対象物のシャープな画像表現との間に以下の関係を与える。
【0103】
感光性素子のアレイの上のシャープなイメージの高さ:6.00μm、対象物の深さ:59.79m
感光性素子のアレイの上のシャープなイメージの高さ:5.00μm、対象物の深さ:22.48m
感光性素子のアレイの上のシャープなイメージの高さ:4.00μm、対象物の深さ:13.84m
感光性素子のアレイの上のシャープなイメージの高さ:3.00μm、対象物の深さ:10.00m
感光性素子のアレイの上のシャープなイメージの高さ:2.00μm、対象物の深さ:7.83m
感光性素子のアレイの上のシャープなイメージの高さ:1.00μm、対象物の深さ:6.43m
感光性素子のアレイにおけるシャープなイメージの高さ、対象物の深さ:5.46m
【0104】
このように、感光性素子110のアレイ204の上の6つの高さ、それぞれ1、2、3、4、5、6μmに、電磁放射を補足する漏斗素子を配置することにより、対象物までの距離が大きく異なる深さ情報を検出することができる。
【0105】
次に、図6を参照して、他の実施形態にかかる検出器300を説明する。図4に示す検出器200とは対照的に、検出器300は、導波管322の第2のアレイ316と関連付けられる漏斗素子102の第2のアレイ310を含み、導波管322は、漏斗素子102からの電磁放射を感光性素子110に導くように構成される。それゆえに、導波管322は、第1のアレイ202の漏斗素子102の入口端104によって画定される第2の平面を越えて延在してもよい。
【0106】
第2のアレイ316の導波管322および第1のアレイの導波管108は、したがって、電磁放射を異なるセットの感光性素子110に導くように構成されてもよい。
【0107】
一見すると、この実施形態は、2次元画像の解像度と深さ情報とを交換するように見えるかもしれないが、実際には、これは正確には正しくない。導波管322と、導波管108と、対応する感光性素子110は、特に電磁放射が高屈折率材料を通して導かれることがあるので、光の波長の半分よりはるかに小さくすることができる。漏斗素子102の入口端104だけが、回折限界より大きくなる必要がある。
【0108】
図6に示される実施形態は、いくつかの異なる方法で拡張されてもよいことを理解されたい。例えば、さらなる画像平面で焦点の合った電磁放射が捕捉され、第1のアレイ202および第2のアレイ310の各々の漏斗素子102の入口端104に転送されるように、漏斗素子102の第1のアレイ202および第2のアレイ310の各々の上に中間導波管を備えた漏斗素子102のさらなるアレイが存在してもよい。
【0109】
代替的または追加的に、漏斗素子102からの電磁放射を感光性素子110に導くように構成された導波管を有する漏斗素子102のさらなるアレイが提供されてもよい。それゆえ、電磁放射を異なる感光性素子110に導くための導波管のいくつかの平行アレイが提供され得るように、導波管は、第1のアレイ202の漏斗素子102の入口端104によって規定される第2の平面を越えて延在してもよい。
【0110】
例えば、図7に示すように、検出器400は、異なるアレイ202、410、412、414の漏斗素子102の入口端104が、それぞれ感光性素子110のアレイ204の上の異なる高さに配置された漏斗素子102の4つの異なるアレイ202、410、412、414を備えてもよい。4つの異なるアレイ202、410、412、414は、深さ情報と2次元画像解像度を交換しないように、または少なくともできるだけ高い2次元画像解像度を維持するように、正方形構成で配置されてもよい。
【0111】
次に図8を参照すると、図7に示された実施形態が、異なる範囲の波長の電磁放射の分割導入を行う可能性を伴って拡張されていることが説明される。しかしながら、この分割は、導波管108または導波管322のように、漏斗素子102から感光性素子110に電磁放射を導くように構成された任意の導波管に対して提供されてもよいことを理解されたい。
【0112】
図8に示すように、各導波管422は、漏斗素子102からの入射電磁放射を感光性素子110に向けて導くための第1の導波管部424および第2の導波管部426を含む。
【0113】
第1の導波管部424の各1つは、垂直方向などの第1の方向に延びるように配置されてもよく、さらに、検出器400によって検出されるべき波長範囲内の電磁放射のための単一モード導波管であるように構成されてもよい。以下では、可視光用の検出器に関連して例示的な議論がなされ、したがって、スペクトルの可視部分の波長範囲を有する。しかしながら、例えば赤外線または紫外線のような他の波長範囲も同様に可能である。
【0114】
第1の導波管部424の各1つは、入射光が漏斗素子102の入口端104から感光性素子に向かって導かれるように、漏斗素子102と感光性素子110との間に延在してもよい。
【0115】
第1の導波管部424の長さ方向または垂直方向にわたって切られた第1の導波管部424の断面は、導波管部424の全長に沿って実質的に一定であってよい。しかしながら、例えば、導波管の側壁と導波管の断面との間の角度が約85°などの90°未満となるように、第1の導波管部424の断面が感光性素子110に向かって減少するテーパ形状など、他の構成も採用され得ることが理解される。真っ直ぐな側壁(すなわち、一定の断面)またはテーパ状の側壁の間の選択は、所望の光伝送特性に依存してもよく、それは、導波管の材料の種類、電磁放射の波長、および第2導波管部426への所望の結合によって決定されてもよい。
【0116】
第2の導波管部426の各々は、第1の導波管部424と平行に第1方向に沿って延び、第1の導波管部424内の光の波長範囲のサブ範囲内の光をアウトカップリングするよう構成されてもよい。本実施例では、第2の導波管部426は、感光性素子110のアレイ204でそれらの色を別々に検出できるように、例えば赤、緑または青の光をカップリングアウトするように構成されてもよい。このように、例えば赤色、緑色または青色光に対応するサブレンジをアウトカップリングすることによって、第1の導波管部424と第2の導波管部426とを透過する光の間で信号のコントラストが達成され得る。
【0117】
第2の導波管部426は、第1の導波管部424と同様に、直線状の側壁を有する寸法であってもよいし、1つまたは複数のテーパ状の側壁によって寸法が決められてもよい。断面形状は、アウトカップリングされる波長によって決定されてもよい。
【0118】
導波管部424、426の長さ方向に沿って延びる垂直ギャップによって分離されるように、第2の導波管部426は第1の導波管部424からわずかに離間して配置されてもよい。しかしながら、第1および第2の導波管部424、426が互いに接触して配置され、または一枚から形成される、他の構成も可能である。
【0119】
第1の導波管部424および/または第2の導波管部426と漏斗素子102は、導波管部の材料よりも低い屈折率を有する材料で少なくとも部分的に囲まれるかまたは埋め込まれてもよい。そのような材料/周囲の例としては、上述のように、二酸化ケイ素を挙げることができる。
【0120】
第1および第2の導波管部424、426および漏斗素子102は、例えば窒化ケイ素のようなケイ素を含む材料で形成されてもよい。
【0121】
結合領域、すなわち第1および第2の導波管部424、426の間の界面の寸法に応じて、サブ範囲内の光が第2の導波管部426に結合され、第1および第2の導波管部424、426の下端部分にそれぞれ配置された感光性素子110に向かって導かれてもよい。
【0122】
さらに、複数の第2導波管部426が使用されてもよいことを理解されたい。複数の第2導波管部426、すなわち色分解導波管は、より特定の波長を個別に検出できるようにするために、第1の導波管部424の1つの側面または複数の側面に配置されてもよい。第2の導波管部426をアレイ状に配置し、第2の導波管部426の隣り合うものの間で光を結合させることで、複数の異なる波長サブレンジを区別することが可能となる。
【0123】
したがって、各感光性素子110は、検出器400によって検出される波長域の特定のサブレンジを受信するように構成されてもよい。各感光性素子110からの信号は、このように、特定のサブレンジの電磁放射の強度を表すことができる。
【0124】
次に図9を参照すると、先に説明した実施形態のいずれか1つによる検出器は、イメージセンサ500に統合されてもよい。したがって、イメージセンサ500は、漏斗素子102のアレイ202および感光性素子110のアレイ204に向けて入射電磁放射を集束するためのレンズ226を備える検出器200を含んでもよい。
【0125】
イメージセンサ500は、電磁放射を案内するため、または検出器200によって受信される電磁放射を制御するための追加の光学系を更に含んでもよい。
【0126】
上述したように、感光性素子110のアレイ204は、少なくとも2つの画像平面において画像情報を捕捉するように構成されてもよい。イメージセンサ500は、感光性素子110のアレイ204の感知された信号を複数の画像平面からの画像として直接提示するように構成されてもよいが、代替的に、特定の画像平面の表示のために感光性素子110のアレイ204によって補足された画像情報から特定の画像平面に対応する画像情報を抽出するように構成されてもよい。
【0127】
いくつかの実施形態では、感光性素子110のアレイ204によって補足された画像情報は、補足された画像情報の画像を形成するは必要なく直接分析されてもよいことを更に理解されたい。例えば、補足された画像情報は、特定の画像平面において焦点が合っている電磁放射に対応する特定の深さにおける対象物の存在を決定するために使用されてもよい。これは、対象物までの距離を迅速かつ正確に決定するために使用されてもよく、これは、例えば、自律走行アプリケーションにおいて非常に有用な入力である可能性がある。
【0128】
ここで図10を参照すると、実施形態による画像情報を検出するための方法が説明される。
【0129】
本方法は、第2の平面から第1の平面に向かって電磁放射を伝播させるための漏斗素子のアレイで電磁放射を捕捉する工程602を含む。第2の平面は、アレイの漏斗素子の入口端によって規定される。各漏斗素子の入口端は、第2の平面で焦点の合った電磁放射を捕捉するために、電磁放射の波長の半分より大きいサイズを有する。
【0130】
本方法は、感光性素子のアレイにおいて、第2の平面で焦点が合っている電磁放射に対応する画像情報を検出するために漏斗素子のアレイによって捕捉される電磁放射を検出し、第1の平面で焦点が合っている電磁放射に対応する画像情報を検出するために漏斗素子のアレイを通過した電磁放射を検出する工程604をさらに含む。
【0131】
電磁放射はまた、追加の平面で焦点の合った電磁放射を感光性素子のアレイに向かって伝播させるために、さらなるアレイの漏斗素子の入口端によって規定される1つ以上の追加の平面で捕捉されてもよい。
【0132】
したがって、この方法のおかげで、少なくとも第1の平面および第2の平面において焦点の合っている電磁放射に対応する画像情報が同時に検出され、深さ情報とともに2次元画像情報が感光性素子のアレイにおいて同時に検出され得る。
【0133】
上記において、本発明の概念は、主に、限られた数の例を参照して説明されてきた。しかしながら、当業者によって容易に理解されるように、上記に開示された例以外の例も、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の概念の範囲内で同様に可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10