(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-28
(45)【発行日】2025-04-07
(54)【発明の名称】位置センサのための検出デバイス、及びそのような検出デバイスを備えた検出システム
(51)【国際特許分類】
G01D 5/20 20060101AFI20250331BHJP
G01B 7/30 20060101ALI20250331BHJP
【FI】
G01D5/20 110H
G01B7/30 M
(21)【出願番号】P 2023505873
(86)(22)【出願日】2021-07-30
(86)【国際出願番号】 EP2021071452
(87)【国際公開番号】W WO2022023550
(87)【国際公開日】2022-02-03
【審査請求日】2023-03-24
(31)【優先権主張番号】102020209601.5
(32)【優先日】2020-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】507125295
【氏名又は名称】スミダ・コンポーネンツ・アンド・モジュールズ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】シュトラウビンガー フランツ
(72)【発明者】
【氏名】シモン マルクス
【審査官】藤澤 和浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-135243(JP,A)
【文献】特表2019-506614(JP,A)
【文献】特開2012-233763(JP,A)
【文献】国際公開第2020/137729(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0018328(US,A1)
【文献】特開2007-263981(JP,A)
【文献】特開平08-035857(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第1496339(EP,A2)
【文献】米国特許出願公開第2020/0400465(US,A1)
【文献】特開2005-043140(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 5/00 ~ 5/252
G01B 7/00 ~ 7/34
H02K 24/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一次巻線と、
前記一次巻線に誘導結合された複数の二次巻線を有する二次巻線回路と、を備える、位置センサのための検出デバイスであって、
前記複数の二次巻線は、各々がセンタータップ(M1;M2)を有する2つの正弦波コイル(220;320)として形成されている、検出デバイス。
【請求項2】
前記一次巻線は、平面視で前記複数の二次巻線を取り囲む矩形コイルとして形成されている、請求項1に記載の検出デバイス。
【請求項3】
前記複数の二次巻線は、互いに直列に配置された少なくとも2つの二次巻線の第1のサブセットと、互いに直列に配置された少なくとも2つの二次巻線の第2のサブセットとを含む、請求項1又は2に記載の検出デバイス。
【請求項4】
前記第1のサブセットからの二次巻線と前記第2のサブセットからの二次巻線との間に
電気的に接続された抵抗又はコンデンサをさらに備える、請求項3に記載の検出デバイス。
【請求項5】
前記二次巻線回路は、前記第1のサブセットからの第1の二次巻線(222a,222b;322a,322b)と並列に
電気的に接続された第1の抵抗と、前記第2のサブセットからの第1の二次巻線と並列に
電気的に接続された第2の抵抗とをさらに備える、請求項3又は4に記載の検出デバイス。
【請求項6】
前記一次巻線及び前記二次巻線回路は、プリント回路基板に組み込まれている、請求項1~5のいずれか1項に記載の検出デバイス。
【請求項7】
少なくとも1つの一次巻線(110;402;502;602;702)と、
前記少なくとも1つの一次巻線(110;402;502;602;702)に誘導結合された複数の二次巻線(120a,120b;220;320;504;604;704)を有する二次巻線回路と、を備える、位置センサのための検出デバイス(100;410;510;610;710)であって、
前記複数の二次巻線(120a,120b;220;320;404;504;604;704)が、少なくとも2つの二次巻線の第1のサブセット(222a,222b;322a,322b;404a,404c;504a,504c;604a,604c;704a,704c)と、互いに直列に
電気的に接続された少なくとも2つの二次巻線の第2のサブセット(404b,404d;504b,504d;604b,604d;704b,704d)を含み、
前記二次巻線回路は、第1の抵抗又はコンデンサ(408a~408d)をさらに備え、
前記第1の抵抗又は前記コンデンサ(408a~408d)は、前記第1のサブセットからの二次巻線と前記第2のサブセットからの二次巻線との間に
電気的に接続されるか、又は前記第1のサブセット若しくは前記第2のサブセットからの第1の二次巻線と並列に
電気的に接続され、
前記複数の二次巻線は、センタータップ(M1;M2)を各々が有する2つの正弦波コイル(220;320)として形成されており、
前記一次巻線が1つのみ設けられており、当該一次巻線は矩形コイルとして形成され、平面視で前記二次巻線を囲む、検出デバイス(100;410;510;610;710)。
【請求項8】
前記少なくとも1つの一次巻線及び前記二次巻線回路は、プリント回路基板内に組み込まれている、請求項7に記載の検出デバイス。
【請求項9】
前記一次巻線(502)の数と前記二次巻線(504)の数とが同じであり、前記プリント回路基板(501)において、各前記一次巻線(502)が1つの前記二次巻線(504)に割り当てられている、請求項8に記載の検出デバイス(510)。
【請求項10】
前記二次巻線回路が、2つの他の二次巻線の間に配置された追加の抵抗又は追加のコンデンサをさらに備え、
前記2つの他の二次巻線の一方が前記第1のサブセットからのものであり、他方が前記第2のサブセットからのものである、請求項7~9のいずれか1項に記載の検出デバイス(100;410;510;610;710)。
【請求項11】
前記一次巻線又は前記少なくとも1つの一次巻線に対して、各前記サブセット内の前記二次巻線は、前記検出デバイスの動作中に各前記サブセットから差分信号を提供するように、前記二次巻線回路内に配置され接続される、請求項7~10のいずれか1項に記載の検出デバイス。
【請求項12】
各前記第1及び第2のサブセット中の前記二次巻線は、各前記サブセット内において直列に配置され、互いに逆の巻きの向きを有し、各前記サブセットから差分信号を提供する、請求項3~11のいずれか1項に記載の検出デバイス。
【請求項13】
前記複数の二次巻線は、互いに直列に配置された少なくとも2つの二次巻線の第1のサブセットと、互いに直列に配置された少なくとも2つの二次巻線の第2のサブセットとを含み、
前記二次巻線回路が、第1のコンデンサと第2のコンデンサとをさらに備え、
前記第1のコンデンサが前記第1のサブセットからの第2の二次巻線と並列に配置され、
前記第2のコンデンサが前記第2のサブセットからの第2の二次巻線と並列に配置される、請求項3~12のいずれか1項に記載の検出デバイス(100;410;510;610;710)。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか1項に記載の検出デバイスと、
前記検出デバイスに対して回転可能に配置されたセンサ素子と、を備え、
前記センサ素子が、導電性材料で形成されたセンサ構造を含む、検出システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置センサのための検出デバイス、及びこのような検出デバイスを備えた検出システムに関する。特に、本発明は、検出デバイスに対して回転可能に配置されたセンサ素子と組み合わせて検出デバイスに対するセンサ素子の角度位置を検出するために位置センサにおいて用いられる検出デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
多くの技術分野において、それぞれの用途によって指定された精度で移動物体の位置を決定することが必要とされる。この目的のために、多数のセンサシステムが開発されており、これは、例えば、光学的、電気的、磁気的及び他の相互作用によって、少なくとも2つの要素間の相対的位置を十分に高い精度で測定することができる。特に、例えば高い動作電流によって引き起こされ得る高い動作温度と高磁場の組み合わせのような非常に要求の厳しい環境条件が支配的な技術分野においては、センサ配置がしばしば使用され、この場合、位置依存する渦電流の生成が用いられて部品の位置が決定される。この目的のために、そのような渦電流センサ配置のいくつかの例では、渦電流によって引き起こされる1つ又は複数のコイルの減衰が検出され、この際、1つ又は複数のコイルは静止部品として提供され、移動部品は適切な材料で作られたトラックを有し、これにより、位置依存する渦電流生成、したがって減衰が生じる。したがって、この位置依存する渦電流生成に基づいて、1つ又は複数の静止コイルに対する移動トラックの位置を、生じた減衰とトラックの特定の形状とを相関させることによって決定することができる。
【0003】
この点に関する例示的な用途は、電気機械のロータの位置を決定し、それによって適切な電流及び電圧値を提供するための適切な駆動信号を決定するというものである。例えば、電気機械について大きく可変な回転速度及び適度に広い制御帯域幅が要求される多くの場合において、ロータの位置を比較的正確に決定することができるようにするために、高い時間分解能でセンサシステムから出力電圧信号を取得することが重要である。永久励磁型同期機等の効率的な動作に関しては、例えば、所望の動作が達成されるようステータ巻線に適切に通電するために、角度セクション内での極数に応じたロータの位置を精度良く知る必要がある。非接触コイルベースのセンサ配置がこの目的のためにしばしば使用されるが、これらはコイル及び関連する評価電子機器のための比較的大きな設置スペースを必要とする。電気機械内のセンサ素子とロータとの間の非常に近接した結合がしばしば必要とされ、それによって、大電流、これに対応する高磁場及び比較的高い温度がセンサ素子の近傍で発生し、コイルの出力信号に対する干渉が生じる。この干渉に対する感受性により、最終的にはロータの位置の空間分解能が悪くなる。しかしながら、高磁場に関する所望の干渉耐性に加えて、電気機械についてのセンサ配置に関して、例えば支配的な温度や必要な速度範囲等に関して、電気機械の動作状態にセンサ配置を適合させることも望まれる。
【0004】
上記の側面に加えて、センサシステムの部品の提供及び統合に関して、特定の用途にかかわらず、例えば大量生産におけるセンサ配置の製造において高く一貫した精度に関する要件が存在する。これにより、最終用途における設置中に時間のかかる調整作業を必要とせずにセンサ配置を均一に機能させることが可能となる。
【0005】
米国特許出願公開第2017/0268907号明細書には、2つの正弦波二次コイルを取り囲む矩形一次コイルを備えた位置センサが示されている。これらのコイルは、プリント回路基板内に形成される。さらにここでは位置送信器が位置決定のために設けられており、それにより、直線移動に沿った位置が決定される。
【0006】
国際公開公報第2006/074560号には渦電流センサが示されており、この渦電流センサはベアリング上で距離測定を行うために磁気ベアリング装置に設けられている。
【0007】
米国特許出願公開第2015/0362340号明細書には、一次コイル、複数の二次コイル及びセンサ素子を含む位置センサが記載されている。コイルはプリント回路基板に組み込まれている。
【0008】
知られているロータ位置センサでは、軸の周りの全円にわたって配置が一様でない二次巻線によって出力される信号について、軸の周りにおける二次巻線の必然的に非対称な配置によりオフセットが生じるという問題がある。さらに、特に、内側巻線とは対照的に外側巻線は1つの隣接巻線しか有さないので、巻線が全円の一部のみにわたって配置される場合に、ロータ位置センサにおける個々の巻線は隣接巻線との結合の度合いが異なるという事実によって、ロータ位置センサの位相信号にオフセットが生じる。したがって、純粋にロータ位置センサにおける巻線の配置によって生じる信号におけるこのオフセットは、補償が提供されない限り、ロータ位置センサの精度に負の影響を及ぼす誤差の原因となる。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、上述した従来技術に鑑み、コンパクトな設計にもかかわらず、高精度でかつ干渉の影響を受けにくい検出デバイス、及びそのような検出デバイスを備えた検出システムを提供することを目的とする。
【0010】
上記の目的は独立請求項1及び7の範囲内で対処され、これは、全ての二次巻線が、隣接する二次巻線との結合の度合いが同じではないという事実によって、位置センサのための検出デバイスの二次巻線回路において生じる位相オフセットを補償することによって対処される。解決手段の出発点は、外側の二次巻線が1つの隣接する二次巻線のみを「見る」のに対し、内側の二次巻線は両側の隣接する二次巻線を「見る」ことにより、位相不整合が生じると確認されたということにある。これは、二次巻線が全円ではなく円の1つのセグメントだけにわたって配置され、各二次巻線が隣接する2つの巻線を「見る」ので、二次巻線回路の二次巻線は隣接するコイルとの結合が異なる、ということを意味する。望ましくない位相オフセットを考慮して、技術的教示は独立請求項の範囲内で実現され、これにより、位相オフセットが独立請求項によって1つの問題として解決され、したがってこれにより位相オフセット補償が実現されるので、位相オフセットが経済的な方法で均一に補償される。
【0011】
第1の態様では、ロータ位置センサ、あるいは、一般に、電気機械のロータの位置ではなく、例えばギアボックスを介して電気機械のロータにフランジ付けされた部品又は限られた角度範囲でのみ若しくは連続的に回転する回転部品などの任意の回転部品の位置を検出する位置センサなどの位置センサのための検出デバイスが提供される。第1の態様の例示的な実施形態では、検出デバイスは、少なくとも1つの一次巻線と、二次巻線回路とを含む。
【0012】
この態様では、二次巻線回路は、少なくとも1つの一次巻線に誘導結合された複数の二次巻線を含む。複数の二次巻線は2つの正弦波コイルとして構成され、その各々がセンタータップを有する。この文脈において「正弦波」とは、「余弦波」、又は正弦曲線から任意の位相だけ位相シフトして得られる一般的な形状、又は正弦曲線の連続的な変形によって得られる一般的な形状も意味する。さらに、「正弦曲線」とは、正弦波若しくは余弦曲線の部分的なセクションに単に対応する曲線形状、又はその連続的な変形にも当てはまり得る。
【0013】
正弦波コイルは、シンプルな方法で、検出システムにおいてシンプルなセンサ構造を用いて正弦波測定信号が生成されることを可能にし、用いられるセンサ構造は、例えば、1周にわたりセンサ構造に沿って略一定の幅を有するストリップ形状のセンサ構造であり、但しこのストリップは、センサ構造をスキャンする正弦波コイルが2つの中断の間に重なり領域(すなわち、ストリップ上に投影されるもの、即ち、ストリップ上に投影されるコイルの面積)を有することを確実にする中断を有し、それによって、ストリップがスキャンされるにつれてコイルにおいて単調に増加又は減少する信号が生じる。各正弦波コイルからのセンタータップによって、1つの二次巻線にわたって一度にタッピングするシンプルな手段が提供される。
【0014】
例えば、センタータップは、二次巻線が単層又は複層正弦波平面コイルである場合には、プリント回路基板内の垂直接点として設けることができる。これは、正弦波巻線が正弦波導体トラックのかたちで形成されるか、又は正弦波巻線が1つ若しくは複数の正弦波導体トラックセクションによって形成若しくは構成されることを意味する。この場合、センタータップはプリント回路基板内の垂直接点として形成され、例えば、1つ若しくは複数のビアのかたちで形成され、これは正弦波導体トラックを中央で2つのサブセクションに分割し、又は平面視で正弦波形状を有する2つのサブセクションを基本的に同じ長さの2つのトラックに分割する。ここで、「基本的に」とは、トラックセクションの長さについて最大で40%、好ましくは最大で30%、又は最大で20%、又は最大で10%、さらに好ましくは最大で5%の許容差を示し得る。異なる層が多層巻線のセンタータップにて相互接続されてもよい。
【0015】
この態様の第1の実施形態では、一次巻線は、平面視で複数の二次巻線を取り囲む矩形コイルとして形成されてもよい。
【0016】
これにより、一次巻線と二次巻線との間の有利な結合が提供される。
【0017】
この態様の第2の実施形態では、複数の二次巻線は、互いに直列に配置された少なくとも2つの二次巻線の第1のサブセットと、互いに直列に配置された少なくとも2つの二次巻線の第2のサブセットとを含んでもよい。これにより、各サブセット内の二次巻線の差分回路配置が可能となる。この場合、検出デバイスは、抵抗又はコンデンサをさらに含んでもよい。例えば、抵抗若しくはコンデンサが、第1のサブセットからの二次巻線と第2のサブセットからの二次巻線との間に配置されてもよく、及び/又は、第1のサブセットからの第1の二次巻線と並列に配置されてもよく、場合によっては、第2の抵抗若しくはコンデンサは、第2のサブセットからの第1の二次巻線と並列に配置されてもよい。ここで、一方では、個々のサブセット間の位相バランシングが、第1のサブセットからの二次巻線と第2のサブセットからの二次巻線との間の抵抗又はコンデンサによって達成されてもよく、他方では、オフセットバランシングが、場合により、第1のサブセットからの第1の二次巻線と並列に配置された抵抗又はコンデンサによって、場合により第2のサブセットからの第1の二次巻線と並列に配置された第2の抵抗又はコンデンサによって、達成されてもよい。これによって、さもなければ1つの回路セグメントのみにわたる配置の巻線が隣接するコイル対の巻線と異なる強さで結合することにより常に生じる位相オフセットについても補償が可能となり、及び/又は、非対称コイル配置で生じるオフセットについても補償が可能となる。本明細書におけるより有利な実施形態では、さらに、コンデンサ及び抵抗の組み合わせによって温度安定性を向上させることができる。
【0018】
この態様の第3の実施形態では、少なくとも1つの一次巻線及び二次巻線回路は、プリント回路基板内に共に組み込まれてもよい。これにより、検出デバイスについて非常にコンパクトな設計が提供される。本明細書のいくつかの特定の例示的な実施形態では、一次巻線の数と二次巻線の数は同じであってもよく、一次巻線は、プリント回路基板内で正確に1つの二次巻線に一度に割り当てられるか又はそれと整列されてもよい(すなわち、一対のコイルが形成される)。この場合、一次巻線と二次巻線との間の1:1の割り当てが与えられ、それによって、一次巻線と関連する二次巻線との間の結合が向上する。さらに、一次巻線回路内で複数の一次巻線を使用するということは、一次巻線が占める鉛板内の領域が1つの一次巻線のみが設けられる場合よりも小さいことを意味するので、電磁干渉場に対する感度が低くなる。また、より小さなサイズの一次巻線は、一次巻線回路の設計において空間の節約を可能にし、何故なら、空間が個々の一次巻線に隣接して及びそれらの間で利用可能になるからである。干渉場に対して大きなトラップ面積を提供する大面積の一次巻線の必要性を排除できることに加えて、一次巻線のサイズを関連する二次巻線のサイズにマッチさせることができ、これにより、一次巻線と関連する二次巻線との間の結合を向上させることが可能となるとともに、隣接する二次巻線に関連する一次巻線による二次巻線の干渉を低減することが可能となる。
【0019】
この実施形態の有利な実施形態では、二次巻線は正弦波コイルであってもよい。この場合、正弦波コイルは、検出システムにおいてシンプルなセンサ構造を用いて正弦波測定信号を生成することを可能とし、センサ構造は、例えば、回路にわたってセンサ構造に沿って略一定の幅を有するストリップ形状のセンサ構造であり、但しこのストリップは、センサ構造をスキャンする正弦波コイルが重なり領域(すなわち、ストリップ上に投影されるもの)を有することを確実にする中断を有する。ストリップは、例えば、複数の二次コイルを有することができるが、ストリップは中断を有し、これにより、センサ構造をスキャンする正弦波コイルが2つの中断の間に重なり領域(すなわち、ストリップ上のコイルの投影面積)を有し、その結果、ストリップがスキャンされるにつれてコイル内で単調に増加又は減少する信号が生じる。例えば、複数の二次巻線は、センタータップを各々有する2つの正弦波コイルとして形成することができ、それにより、センタータップを有する正弦波コイルは2つの二次巻線を提供し、これらはセンタータップによって単一の二次巻線にわたって容易にタップされ得る。
【0020】
この態様の第4の実施形態では、二次巻線回路は、さらに、第1のサブセットからの第1の二次巻線と並列に配置された第1の抵抗と、第2のサブセットからの第1の二次巻線と並列に配置された第2の抵抗とを含むことができる。第1の抵抗及び第2の抵抗を用いてオフセットマッチングを達成することができる。二次巻線が軸の周りの全円にわたって一様に配置されない検出デバイスでは、軸の周りの二次巻線の必然的に非対称な配置により、二次巻線によって出力される信号にオフセットが生じる。代替的に、第1の抵抗の代わりにコンデンサが設けられてもよく、及び/又は、第2の抵抗の代わりにコンデンサが設けられてもよい。さらに、オフセットマッチングが1つのサブセット内のみにおいて達成されるように第1の抵抗と第2の抵抗との一方のみを設けてもよく、これに対して、この抵抗の代わりにコンデンサを設けて、オフセットマッチングが1つのサブセット内のみにおいてコンデンサによって達成されるようにしてもよい。
【0021】
この実施形態の有利な一実施形態では、二次巻線回路は、第1のコンデンサ及び第2のコンデンサをさらに含むことができ、第1のコンデンサは第1のサブセットからの第2の二次巻線と並列に配置され、第2のコンデンサは第2のサブセットからの第2の二次巻線と並列に配置される。これは、第1のサブセット内の第1の抵抗と第1のコンデンサの組み合わせと、第2のサブセット内の第2の抵抗と第2のコンデンサの組み合わせの場合に、各サブセット内の温度安定性を向上させることができる。あるいは、1つのサブセットのみにおいて温度安定性が向上するように、第1のコンデンサ及び第2のコンデンサのうちの一方のみが設けられてもよい。
【0022】
第2の態様では、ロータ位置センサ、あるいは、一般に、電気機械のロータの位置ではなく、例えばギアボックスを介して電気機械のロータにフランジ付けされた部品又は限定された角度範囲でのみ若しくは連続的に回転する回転部品などの任意の回転部品の位置を検出する位置センサなどの位置センサのための検出デバイスが提供される。第1の態様の例示的な実施形態では、位置センサのための検出デバイスは、少なくとも1つの一次巻線と、少なくとも1つの一次巻線に誘導結合される複数の二次巻線を含む二次巻線回路とを含み、複数の二次巻線は、互いに直列に配置された少なくとも2つの二次巻線の第1のサブセットと、互いに直列に配置された少なくとも2つの二次巻線の第2のサブセットとを含み、二次巻線回路は、第1のサブセットの二次巻線と第2のサブセットの二次巻線の間に配置されるか、あるいは、第1のサブセット又は第2のサブセットの第1の二次巻線と並列に配置される第1の抵抗又はコンデンサをさらに含む。
【0023】
この態様のいくつかの実施形態では、少なくとも1つの一次巻線と二次巻線回路とがプリント回路基板内に共に組み込まれてもよい。
【0024】
この態様のいくつかの実施形態では、一次巻線の数と二次巻線の数は同じであってもよく、一次巻線は、回路基板内の正確に1つの二次巻線と整列されるか、又はそれに割り当てられてもよい。
【0025】
この態様のいくつかの実施形態では、二次巻線回路は、第1のサブセットからの二次巻線と第2のサブセットからの二次巻線とを含む2つの他の二次巻線の間に配置される後付けの抵抗又はコンデンサをさらに含むことができる。
【0026】
この態様のいくつかの実施形態では、複数の二次巻線はセンタータップを各々有する2つの正弦波コイルとして形成されてもよく、平面視において二次巻線を取り囲む矩形コイルとして形成された1つの一次巻線のみが設けられてもよい。
【0027】
この態様のいくつかの実施形態では、各サブセット内の二次巻線は、二次巻線回路内において、1つ又は複数の一次巻線に対して有線で配置することができ、これにより、検出デバイスの動作中に各サブセットから差分信号が与えられる。
【0028】
この態様のいくつかの実施形態では、二次巻線回路は、第1のコンデンサ及び第2のコンデンサをさらに含むことができ、第1のコンデンサは第1のサブセットからの第2の二次巻線と並列に配置され、第2のコンデンサは第2のサブセットからの第2の二次巻線と並列に配置される。
【0029】
第3の態様では、検出システムが提供される。例示的な実施形態において、検出システムは、第1及び第2の態様のうちの1つによる検出デバイスと、この検出デバイスに対して回転可能に配置されたセンサ素子とを含み、このセンサ素子は導電性材料で形成されたセンサ構造を含む。
【0030】
第3の態様の検出システムでは、センサ素子が検出デバイスに対して移動するときに、検出デバイスとセンサ素子との間の角度位置が有利に検出される。例えば、特定の用途では電気機械のロータであり得るロータの回転運動によるセンサ素子と検出デバイスとの間の相対的な回転運動により、検出デバイスに対するセンサ素子の瞬間的な位置に応じて、二次巻線に誘起される電圧が生成され得る。言い換えると、一次巻線回路によって生成された磁場はセンサ素子によって変調され、変調された磁場は、一次巻線回路に印加されたセンサ素子のセンサ構造によって変調された信号を表す電圧信号を、検出デバイスの二次巻線内に生じさせ、センサ構造は、角度に応じて変化する検出デバイスに対するセンサ素子の回転に沿うセンサ構造の形状又は形態を有する。
【0031】
第1及び/又は第2の態様による検出デバイスにおいて、一次巻線及び二次巻線は空芯コイルとして設けられてもよく、これは、一次巻線及び二次巻線が磁化可能コアなしで設けられることを意味する。この場合、コイル内に磁性コア材料が存在しないので、外部磁場は磁化若しくは飽和に寄与しないか、又は許容範囲内でしか寄与しないので、得られる出力信号は、例えば、電気機械において生じる大きな磁場からの干渉に比較的影響されない。このように、、センサ構造が少なくとも部分的に電気的/磁気的に伝導性の材料から構成される場合、センサ構造の渦電流損失を検出デバイスの出力信号に影響を及ぼすために利用可能であり、結果、第1及び第2の態様による検出デバイスは電磁気の影響に関し干渉の影響を受けない。例えば、空芯コイルが巻かれて、適切な基板又はプリント回路基板又はフレキシブルプリント回路基板などのキャリアに取り付けられる。
【0032】
本発明の上記の態様のさらなる利点及び例示的な実施形態について、添付の図面を参照して以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1a】いくつかの例示的な実施形態によるロータ位置センサの概略平面図である。
【
図1b】
図1aの線1b-1bに沿った断面図である。
【
図2】他の例示的な実施形態によるロータ位置センサの概略切断斜視図である。
【
図3】いくつかの例示的な実施形態による検出デバイスの概略平面図である。
【
図4】いくつかの例示的な実施形態によるセンサ構造に関する二次巻線の配置及び検出デバイスの結果として生じる出力信号を概略的に示す図である。
【
図5】いくつかの例示的な実施形態によるセンサ構造に関する個々の二次巻線の配置を概略的に示す図である。
【
図6】いくつかの例示的な実施形態による一次巻線及び複数の二次巻線の概略上面図である。
【
図7】いくつかの例示的な実施形態によるセンタータップを有する二次巻線の概略上面図である。
【
図8】いくつかの例示的な実施形態による複数のターン及びセンタータップを有する二次巻線の概略上面図である。
【
図9】いくつかの例示的な実施形態による検出システムの概略回路図である。
【
図10】いくつかの例示的な実施形態による検出システムの概略断面図であり、一対のコイルがプリント回路基板内に配置されている。
【
図11】いくつかの他の例示的な実施形態による検出システムの概略回路図である。
【
図12】さらに別の例示的な実施形態による検出システムの概略回路図である。
【
図13】いくつかの例示的な実施形態による複数の一次巻線の概略回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下に説明される種々の例示的な実施形態は、検出デバイスのロータ位置センサにおける適用に関し得る。この点に関し、例示的な実施形態によるロータ位置センサは、通常、検出システムの検出デバイスと検出システムのセンサ素子との間の角度位置を検出するための検出システムを含む。この点に関し、センサ素子は、電気的/磁気的に伝導性の材料で形成されたセンサ構造を有し、このセンサ構造は、1周回転(すなわち、検出デバイスに対する、センサ素子の回転軸の周りの360度回転)にわたって角度的に変化し、それによって検出デバイスとセンサ素子との間の角度位置を検出する。
【0035】
検出デバイスにおける一次巻線回路は、センサ素子のセンサ構造によって変調される磁場を生成する。対応して変調された磁場は、次に、検出デバイスの複数の二次巻線において、対応して変調された電気信号を生じさせる。磁場を発生させる一次巻線回路に印加された電気信号と、それに応答して二次巻線によって出力された電気信号との比較から、センサ素子と検出デバイスとの間の角度位置が推測され得る。
【0036】
図1a、
図1b及び
図2を参照して、検出システムの検出デバイスと検出システムのセンサ素子との間の角度位置を検出する検出システムを有するロータ位置センサの2つの代替実施形態について説明する。
【0037】
図1aは、電気機械のロータ位置センサ1の概略側面図である。ここで、センサ構造3は、電気機械のロータ、例えばロータ2、の軸方向表面に取り付けられ、ロータと共に移動可能である。例示的な例では、電気機械は、角度信号が電気転流のために使用される永久磁気励起機械であってもよい。さらに、センサ構造3と軸方向に対向して配置される検出デバイス4が設けられている。センサ構造3と検出デバイス4とでロータ位置センサ1のための検出システムが形成され、センサ構造3は検出デバイス4に対して回転自在に配置されている。
【0038】
例示的な実施形態では、センサ構造3は適切なキャリア材料7aに設けられるか、又はシャフト2aに着座するロータ2のベース材料に直接取り付けられる。ロータ2のベース材料は、磁石等のような電気機械の部品を保持する材料のような、ロータ2の機能に必要な材料であると理解されるべきである。
【0039】
図1bは
図1aの線1b-1bに沿った断面を示し、この実施形態におけるセンサ構造3は、ロータ2の完全な機械的旋回(すなわち、シャフト2aの周りのロータ2の360度回転)にわたって周期的に延びる単一のトラック3aを有する。しかしながら、これは本発明の限定ではなく、トラック3aは、代わりに、実質的に一定の幅のストリップとして形成される(
図1bに示される周期的に変化する幅を伴わずに、周期的な中断がストリップに設けられる)か、又はロータ2の完全な機械的旋回にわたって単調に変化する幅を有するストリップとして形成されてもよい。いくつかの例示的な実施形態では、センサ構造3は、
図1bに示すトラック3aの代わりに、繰り返し三角形の構造を有してもよい。しかしながら、矩形構造等のような位置に依存するインダクタンス変化をもたらす他の形状も使用することができる。いくつかの例示的な例では、センサ構造3は、例えば、アルミニウム、鉄鋼、銅、プリント回路基板、1つ以上の導電層、又は金属化プラスチックを含んでもよい。通常、センサ構造3は単に導電性であってもよく、特に、センサ構造は非磁性又は磁化可能であってもよく、したがって、非導電性のロータ2の支持材料に埋め込まれるか又は取り付けられる導電性部品を含んでもよい。しかしながら、これは本発明の限定ではなく、センサ構造は、ロータ2の支持材料に埋め込まれるか又は取り付けられる磁性材料又は磁化可能材料から形成されてもよい。
【0040】
図2を参照すると、例示的な実施形態によるロータ位置センサ10の概略切欠斜視図が示されており、この実施形態では、ロータ位置センサ10はモータに取り付けられており、
図1a及び
図1bのロータ位置センサ1の代替の実施形態として構成されている。この場合、ロータ位置センサ10は、検出デバイス12とセンサ構造14とから形成される検出システムを有し、センサ構造14は、検出デバイス12に対してロータ軸Rの周りに回動可能に配置される。センサ構造14は、ここでは例えば電気機械のロータ18等のロータの径方向表面に取り付けられてこれと共に移動可能である。
図2に示すように、モータはステータコイル19を有し、これがモータのステータに巻き付けられている。センサ構造14はセンサ構造3に沿って形成されてもよく、この点に関しては上の説明を参照されたい。
【0041】
図2の実施形態では、検出デバイスは、モータのモータハウジング16の外側にセンサ構造14と径方向に対向して配置され、ステータコイル19がロータ18に対して静止している。
図2においては、モータハウジング16は、検出デバイス12の下に配置されたセンサ構造14を示すために、見やすくするための理由から部分的に切り取られており、これはそうしなければ
図2の斜視図においてセンサ構造14がモータハウジング16によって隠れてしまうためである。
【0042】
いくつかの例示的な実施形態では、検出デバイス12は、複数の巻線(図示せず)と、巻線から出力された信号を処理し、それらを、例えば、電圧振幅、差分電圧、電流振幅、差分電流、周波数、位相角などの電気信号などの位置信号として出力する電子回路(図示せず)とを含んでもよく、電気信号により、検出デバイス12に対するロータ18の角度的回転位置を得ることが可能となる。
【0043】
図3を参照して、検出デバイス20のいくつかの例示的な実施形態について以下により詳細に説明する。検出デバイス20は回路基板22を備え、回路基板22は、回路基板22内に並んで配置された複数の二次巻線24a,24b,24c,24dなどの複数のコイルを有する。さらに、回路基板22には少なくとも1つの一次巻線(図示せず)が形成されてもよい。例えば、単一の一次巻線(図示せず)が設けられてもよく、この一次巻線(図示せず)は、
図3に示す上面図において二次巻線24a~24dを囲んでもよい。代替的に、2つの一次巻線(図示せず)が設けられてもよく、一次巻線(図示せず)の一方が、図示された上面図において2つの隣接する二次巻線24a及び24bを取り囲むとともに、一次巻線(図示せず)の他方が、図示された上面図において2つの隣接する二次巻線24c及び24dを取り囲んでもよい。別の代替的な形態では、4つの一次巻線(図示せず)を設けることができ、これらの一次巻線(図示せず)の各々が、二次巻線24a~24dの各々に実質的に一致して重なることができる。
【0044】
二次巻線24a~24dは、(
図3の破線で示すように)矩形コイルであってもよい。本明細書において矩形との用語は、矩形(台形など)を変形(矩形の少なくとも1つの辺を伸ばす又は縮める)することによって長矩形から生じる形状、又は長矩形であることを表すことが理解されるべきである。この文脈において、線を縮めて点とすることもまた「変形する」との表現に含まれ、したがって矩形が三角形に変形されてもよいことが理解されるべきである。
【0045】
いくつかの例示的な実施形態では、プリント回路基板22を
図1a及び
図1bのロータ位置センサにおいて使用することができ、プリント回路基板22は
図1bの文脈において参照符号4で示される。この場合、矩形との用語は、(上述のように)変形することによって矩形から形成され得る形状を示すことが理解されるべきであり、さらに、
図1bによる軸方向配置における変形された矩形の少なくとも1つの径方向の辺(radiale seite)は、回路基板22における
図1bのシャフト2aの周りの径線上での曲率に実質的に対応する曲率を有してもよい(この点に関しては、
図1bの参照符号4を参照)。換言すれば、対応した湾曲した径方向の辺は、シャフト2aについての径方向の辺の位置において、
図1bのシャフト2aの周りの弧状部分に対応してもよい。
【0046】
他の例示的な実施形態では、プリント回路基板22を
図2のロータ位置センサに挿入することができ、
図2の文脈では、
図2のセンサ構造14に対向する
図2の検出デバイス12の下面によってプリント回路基板22を特定することができる。
図2の検出デバイス12のこの下面は、平面であってもよいし、
図2の検出デバイス12の下面の位置の
図2のロータ軸Rの周りの弧状部分にしたがって形成されてもよい。この場合、矩形との用語はまた、(上述のように)変形することによって矩形から形成され得る形状を示すことは理解されるべきであり、さらに、
図2による径方向配置における変形された矩形の少なくとも1つの径方向の辺は、回路基板22における
図2のロータ軸Rの周りの径線上の曲率に実質的に対応する曲率を有してもよい(この点に関しては、
図2の検出デバイス12の下面を参照)。さらに、
図2の検出デバイス12の要素としての用途において、
図2を参照すると、プリント回路基板22は、
図2の検出デバイス12において、プリント回路基板に垂直な面が
図2のロータ軸Rを中心とする回転についての径方向に平行な向きとなるように向けられてもよい。
【0047】
図3を参照すると、同図に示された実施形態では、二次巻線24a~24dは、二次巻線24a~24dの破線表現によって示されているように、プリント回路基板22の材料に組み込まれている。これにより、厳しい環境条件であっても二次巻線24a~24dの向上した統合性が提供される。この目的のために、二次巻線24a~24dは、キャリア材料を用いて又は用いずに適切な材料でオーバーモールド又はポッティングされてもよく、あるいはハウジング内に設置されてもよく、あるいはプリント回路基板のみが設けられてもよい。二次巻線がオーバーモールド又はポッティングされる場合、二次巻線24a~24dの各々は必ずしもプリント回路基板22の材料に完全に埋め込まれる必要はなく、二次巻線24a~24dの各々の上部導体表面が露出されたままであってもよく、又は二次巻線24a~24dの被覆領域が小さくてもよく、それによってプリント回路基板22の材料の厚さと共にセンサ構造(図示せず)に対する所望のギャップが得られる。あるいは、二次巻線は、回路基板22に取り付けられ、回路基板22の外部接続部(図示せず)を介して回路基板22内の電気リード線(図示せず)に接続されてもよい。
【0048】
図1から
図3を参照すると、図示されたセンサ構造の周方向長さと比較して、図示された検出デバイスの寸法が小さいため、二次巻線及びこれに対応して不図示の(複数の)一次巻線は、ステータの円弧セグメントのみにわたって配置されることに留意されたい。
【0049】
図4を参照して、いくつかの例示的な実施形態によるセンサ構造と二次巻線の関係、及び二次巻線から出力される電気信号について説明する。
【0050】
図4は、複数の二次巻線50に関連するセンサ素子37のセンサ構造36の配置を概略的に示す。複数の二次巻線50は4つの二次巻線34a,34b,34c及び34dによって形成され、これらは図にしたがい矩形巻線として形成され、センサ構造36に対して並んで配置される。ここで、センサ構造36はこれまでの図面を参照して上述したような構造を表し、そのため、ここでは上述の説明のさらなる繰り返しは行わない。特に、センサ構造36は導電性材料で形成された構造を表し、この構造は単一又は複数周期の形態でロータ(図示せず)の回転に沿って形成され、例えば、センサ構造36の少なくとも1つの周期はロータ(図示せず)の1回転を表す。
【0051】
図4を参照すると、二次巻線34a~34dがセンサ構造36の周期に沿って互いにほぼ等距離に配置されるように、二次巻線34a~34dがセンサ構造36に対して並んで配置されている。したがって、二次巻線34a~34dはそれぞれ、センサ構造36のセクションに関連付けることができ、そのため、センサ構造36は、センサ構造36の周期に沿って実質的に等しいサイズの4つのセクションに分割される。換言すれば、二次巻線は、センサ構造の周期に対して、センサ構造36の周期の4分の1だけ互いにオフセットされている。したがって、二次巻線34aと二次巻線34bとは、センサ構造36の周期の4分の1の関係にあり、二次巻線34aと二次巻線34cとは、センサ構造36の周期の2分の1の関係にあり、二次巻線34aと二次巻線34dとは、センサ構造36の周期の4分の3の関係にある。
【0052】
図4の概略図を参照すると、二次巻線34a~34dに接続され、二次巻線34a~34dによって出力された電気信号を受け取り、それらを処理して処理信号30として出力する信号処理回路32がさらに示されている。いくつかの例示的な例では、信号処理回路は、以下でより詳細に論じられるように、フィルタリング、及び/又はオフセットバランシング、及び/又は位相バランシングに影響を及ぼし得る。この点に関し、二次巻線34a及び34cはサブセット35a内で相互接続され、信号処理回路32に電気信号を出力する。さらに、二次巻線34b及び34dはサブセット35b内で相互接続され、信号処理回路32に電気信号を出力する。
【0053】
図4に示される処理信号30は、センサ構造36の周期に正確に対応する時間間隔にわたって例示されている。換言すれば、示されている時間間隔は、複数の二次巻線50がセンサ構造36の全周期を掃引又はスキャンする間隔を表す。ここで、センサ構造36を参照すると、サブセット35aから出力される信号は、処理信号30において「正弦波」として表され、一方、サブセット35bから出力される信号は、処理信号30において「余弦波」として表される。これらの正弦波信号及び余弦波信号により、センサ構造36に対する二次巻線34a~34dの、したがってセンサ構造36に対する二次巻線を含む検出デバイスの、角度位置及び回転方向を、一義的に特定することができる。
【0054】
図5を参照すると、個々の二次巻線64a~64dが、センサ構造の異なるセクション63a~63dに関して同時に示されている。ここで、二次巻線64a及び64bによってスキャンされるセクション63a及び63bの間では、センサ構造の周期について角度位置が180度であることが明らかである。同様に、二次巻線64c及び64dによってスキャンされるセクション63c及び63dの間では、センサ構造の1周期について角度位置が180度である。一方、二次巻線64a及び64cによってスキャンされるセクション63a及び63cの間では、センサ構造の1周期について角度位置が90度であり、二次巻線64b及び64dによってスキャンされるセクション63b及び63dの間では、センサ構造の1周期について角度位置が90度である。
【0055】
図4を参照すると、
図5の二次巻線64a~64dは二次巻線34a~34dで示されてもよく、この場合、セクション63a~63dは、対応する二次巻線34a~34dによって同じ周期でスキャンされるセンサ構造36のセクションを表す。
【0056】
図1から
図5を参照して説明した実施形態において、センサ構造は、センサ素子の上で又はセンサ素子にて正弦波形状に形成することができる。この場合、正弦波形状は有利であり、何故ならこの形状はセンサ構造において正弦波トラックの形態で減衰面を形成することを可能にし、これにより、検出デバイスによって検出される電気信号が正弦波状に影響を受け、したがって容易に評価されることが可能となるからである。しかしながら、これは限定ではなく、原理的には、上述のように他のセンサ構造が使用されてもよい。通常、センサ構造を感知する検出デバイスによって検出された電気信号を、1回転に沿ってセンサ構造に対して、検出デバイスの位置又は角度位置に一義的に割り当てることが可能である限り、センサ構造は必ずしも1回転において複数周期でなくともよい。
【0057】
種々の実施形態についての上記説明によれば、いくつかの例示的な実施形態による検出システムでは、センサ素子によって変調された出力信号が、二次巻線の種々のサブセット(例えば、
図4のサブセット35a及び35b)によって提供され、この際、センサ素子のセンサ構造に対応する出力信号の振幅及び/又は位相及び/又は周波数が、検出デバイスに対するセンサ素子の回転運動の過程で変化する。二次巻線のサブセットは、センサ構造に関して定義することができ、この際、2つのサブセットから出力される電気信号は、センサ構造の周期に関して互いに90度の位相オフセットを有する。これにより、互いに正弦波関係及び余弦波関係を有するサブセットの出力信号を提供することが可能となり、したがって、知られている方法を用いて出力信号を評価することが容易となる。サブセット内において、二次巻線は、センサ構造の1周期について180度の位相オフセット、又はセンサ構造の1周期について360度の位相オフセットのいずれかを有する電気信号を提供するように、互いに対して配置することができる。180度の位相オフセットの場合、サブセット内における二次巻線によって出力される信号は、サブセット内の各二次巻線によって生成される等しいノイズ信号が補償されるようにサブセットの差分出力信号として提供されてもよい。
【0058】
図6から
図8を参照して例示的な実施形態が説明されているが、この実施形態では、二次巻線は正弦波コイルである。正弦波二次巻線の場合、センサ素子のセンサ構造は、360度回転に沿って変化する構造を有する必要はない。周期的に変化するセンサ構造が正弦波二次巻線によってスキャンされる場合、これは、周期的に変化するセンサ構造に対応する修正された正弦波信号である電気出力信号を生じる。例えば、正弦波二次巻線によってスキャンされた正弦波センサ構造はsin
2に比例する電気信号を生じる。
【0059】
図6を参照すると、検出デバイス100が概略的に示されている。検出デバイス100は、一次巻線110と、正弦波コイル120a及び正弦波コイル120bによって提供される複数の二次巻線とを含む。一次巻線は、図示の上面図において、複数の二次巻線を取り囲む矩形コイルを表す。検出デバイス100のプリント回路基板は図示していない。
【0060】
正弦波コイル120a及び120bは、各々、その正弦波形状に対して互いに180度位相がずれた2つの正弦波コイル部分から形成される。したがって、例示的には、正弦波コイル120a及び120bは、各々、∞と同様の形状を有する。具体的な例では、正弦波コイル120a及び正弦波コイル120bは形状が実質的に一致するが、それらの正弦波形状に対して90度だけオフセットされている。これは、対応するコイルを容易に大量生産することができるとともに、正弦波信号の出力が保証されるという、有利な、しかし限定的でない例を示す。
【0061】
正弦波コイル120a及び120bは個々に及び互いに複数回、重なり合うので、正弦波コイル120a及び120bは好ましくは多層コイルとして形成され、個々の層の間の垂直接点Vによって電気的接続が提供される。二次巻線及び一次巻線110に関して、垂直接点は外部接点としても機能する。しかしながら、これは限定ではなく、ブリッジ接点などのオーバーパス及び/又はアンダーパスのみを、交差が生じる点に設けてもよく、この場合、二次巻線はブリッジ接点を除いてプリント回路基板の同じ平面内で延びる。
【0062】
図7を参照すると、
図6に対する代替的な実施形態が示されている。より具体的には、正弦波コイル220は、各々が1つのターン(巻き)を有する2つの二次巻線222a及び222bと共に示されており、二次巻線222a及び222bは直列に配置され、互いに逆方向のターンを有する。垂直接点V1が二次巻線222aの外部接触を表し、垂直接点V7が二次巻線222bの外部接触を表すように、垂直接点V1及びV7が正弦波コイル220に対する外部接触を表す。さらに、垂直接点V2,V3,V4,V5及びV6が、正弦波コイル220の個々の巻線セクションが延在するプリント回路基板(図示せず)の異なる水平層(図示せず)間の垂直接点のために使用される。例えば、垂直接点V1とV2,V3とV1,V5とV6の間に延在するセクションは、第1の層又は平面内にあり、垂直接点V2とV3,V4とV5,V6とV7の間に延在するセクションは、第1の層とは異なる第2の層内にある。V1とM1との間で二次巻線222aにわたって電圧信号をタップでき、M1とV7との間で二次巻線222bにわたって電圧信号をタップできるように、垂直接点V4によってセンタータップM1が実装されている。
【0063】
センタータップM1によって二次巻線222a及び222bのそれぞれを電気部品に接続して、正弦波コイル220によって出力される信号を補正することが可能となる。
【0064】
図8を参照すると、
図7に対する代替的な実施形態が示されている。より具体的には、正弦波コイル320が、各々が複数のターンを有する2つの二次巻線322a及び322bと共に示されており、二次巻線322a及び322bは直列に配置され、互いに逆の巻きの向きを有する。垂直接点は、正弦波コイル320に対する外部接点と、異なる層間の内部接続部とを表し、
図7の上記説明と同様に、正弦波コイル320の個々の巻線セクションが配線される。さらに、二次巻線322aにわたる電圧信号と二次巻線322bにわたる電圧信号とをM2でタップできるようにセンタータップM2が実装されている。
【0065】
図9を参照すると、検出デバイス410及びセンサ素子を含む検出システム400が、
図9のセンサ素子のセンサ構造420を参照して示されている。センサ構造420は正弦波状に変化する構造として示されているが、これは限定ではなく、上で様々に説明したように、代替的なセンサ構造を使用してもよい。
図9には、説明のために矢印DRを使用して、センサ素子が検出デバイス410に対して移動する回転方向が概略的に示されている。
【0066】
図9の実施形態によると、検出デバイス410は、複数の一次巻線402及び複数の二次巻線404を含む。これらの巻線は、様々な例示的な実施形態を参照して上述したように、プリント回路基板(図示せず)の中に組み込むことができる。複数の一次巻線402は4つの一次巻線402a~402bを有しており、複数の二次巻線404は4つの二次巻線404a~404bを有している。二次巻線の数は4つに限定されず、4の倍数の数の二次巻線を設けてもよい。一次巻線の数に関して、4つの一次巻線の代わりに、一次巻線の数が二次巻線の数と1:1で一致するように一次巻線の数を設定してもよい。あるいは、複数の二次巻線からの二次巻線のサブセットが、正確に1つの一次巻線に関連付けられてもよい。例えば、各サブセットが等しい数の二次巻線を有する二次巻線のサブセットに各一次巻線が関連付けられるように、複数の一次巻線の各々からの1つの一次巻線が2つ以上の二次巻線に関連付けられてもよい。
【0067】
図9を参照すると、複数の一次巻線402に電気信号を印加し、複数の二次巻線404によって出力された電気信号を受信する電子回路430が設けられている。例えば、電子回路は、発振回路(
図9には発振端子Osz1及びOsz2のみが示されている)を含むことができ、これにより、複数の一次巻線402に周期的な電気信号が印加される。
【0068】
複数の一次巻線402は、電子回路430の発振器回路によって電力供給される共振器回路403内に接続されてもよい。例えば、複数の一次巻線402は、一次巻線402a~402dの直列接続によって形成されてもよい。しかしながら、これは限定ではなく、一次巻線402a~402dの少なくともいくつかの適切な並列接続が提供されてもよい。
【0069】
複数の二次巻線404の二次巻線404a~404dは、各々が直列に配置された2つの二次巻線のサブセットに分割することができ、これらは別々に電子回路430に接続されてもよい。例えば、二次巻線404a及び404cは互いに直列に配置されて二次巻線の1つのサブセットを形成してもよく、二次巻線404b及び404dは互いに直列に配置されて二次巻線の別のサブセットを形成してもよい。これらのサブセットの各々は電子回路430に電気信号を供給し、これに基づいて、検出システム400において角度位置決定を行うことができる。サブセットによって出力された電圧信号が差分信号となるように、各サブセット内の二次巻線が巻かれ互いに対して相互接続される。これは、サブセットによって出力される電圧信号が、サブセットの個々の巻線において生じる電圧の差に対応することを意味する。各サブセットが差分信号を出力するように構成される種々の実施形態について、以下の
図9,
図11及び
図12を参照してより詳細に説明する。
【0070】
図9を参照して説明した実施形態に関して、これは、全ての一次巻線402a~402dと全ての二次巻線404a~404dとが互いに対して同じ巻きの向きを有するが、二次巻線404a及び404cは、差分信号がこのサブセットからタップされ得るようにサブセット内で相互接続されることを意味する。同様に、二次巻線404b及び404dは、差分信号がこのサブセットからタップされ得るように別のサブセット内で相互接続される。したがって、差分信号を、電子回路430内の二次巻線404a及び404cによって端子「sin+」及び「sin-」を介して提供することができるとともに、差分信号を、電子回路430内の二次巻線404b及び404dによって端子「cos+」及び「cos-」を介して提供することができる。互いを参照すると、一方では二次巻線404a及び404cのサブセットの電気信号、他方では二次巻線404b及び404dのサブセットの電気信号は、例示的な実施形態の上記の議論から理解され得るように、互いに90度位相がずれた周期信号である。
【0071】
(センサ構造の種々の実施形態に関して上述した)図示のセンサ構造420とは異なるセンサ構造420の他の実施形態に関して、二次巻線及び一次巻線については、例えば正弦波コイル又は長矩形コイルのかたちの適切な形状を選択することができる。
【0072】
いくつかの例示的な実施形態では、複数の一次巻線402は、複数の二次巻線404に関して、各一次巻線402aから402dのそれぞれ1つと二次巻線404aから404dのそれぞれ1つとがコイル対に配置され、コイル対におけるこれらの巻線は、そのコイル対からの巻線と異なるコイル対からの巻線との間の誘導結合と比較して最大誘導結合を有するように配置される。例えば、これは特に、一次巻線402aと一次巻線404aが、一次巻線402aと二次巻線404aとの間の誘導結合が、一次巻線402aと二次巻線404b~404dのいずれか1つとの間の誘導結合と比べて、及び二次巻線404aと一次巻線402b~402dのいずれか1つとの間の誘導結合と比べて最大となるように指定されたコイル対(402a、404a)を形成することを意味する。したがって、残りの巻線402b~402d及び404b~404dもまた、一対のコイルに配置されてもよい。これは、1つの一次巻線及び1つの二次巻線がそれぞれ互いに直接対向するか、又は互いに交互に配置される巻線の配置における特定の例示的な(しかし、限定ではない)例にしたがって実現され得る。このようにして、最大の信号強度が各コイル対によって生成され、その結果、コイル対によって生成された信号についての増幅はほとんど、あるいは全く不要である。さらなる例示的な例では、コイル対内の一次巻線及び二次巻線は一致していてもよい。
【0073】
図9に示すように、二次巻線404a~404dは二次回路内で接続されており、2つの二次巻線がそれぞれサブセット内で互いに接続されている。
図9における例に関して、二次巻線404a及び二次巻線404cは複数の二次巻線404のサブセット内で互いに相互接続され、電子回路430に接続されている。例えば、二次巻線404a及び404cは、電子回路430の2極端子、sin+/sin-、の間に直列に配置される。この点に関し、二次巻線404a及び404cが直列接続において互いに逆の巻きの向きを有するように、二次巻線404a及び404cを直列に配置することができる。その結果、差分信号がこのサブセットから電子回路430に出力される。さらに、二次巻線404b及び二次巻線404dは複数の二次巻線404のサブセットを形成し、電子回路430に接続される。例えば、二次巻線404b及び404dは、電子回路430の2極端子、cos+/cos-、の間に直列に配置される。この点に関し、二次巻線404b及び404dが直列接続において互いに対して逆の巻きの向きを有するように、二次巻線404b及び404dを直列に配置することができる。その結果、差分信号がこのサブセットから電子回路430に出力される。この例におけるサブセットは、介在要素なしに直接接続される二次巻線の相互接続を表す。
【0074】
図9の実施形態では、少なくとも1つの抵抗及び/又はコンデンサが検出システム400にさらに設けられて、オフセット及び位相のバランシングが達成される。上述したように、二次巻線が軸の周りに全円にわたって一様に配置されない検出デバイスを備えるロータ位置センサでは、必然的に二次巻線が軸の周りに非対称に配置されるため、二次巻線によって出力される信号にオフセットが生じる。この例では、検出システム400に関して、二次巻線404a~404dが回転軸(図示せず)の周りに非対称に配置される場合、信号にオフセットが生じると仮定することができる。さらに、二次巻線404a~404dが非対称に配置される場合、二次巻線は隣接する巻線と異なる結合度を有するので、二次巻線とサブセットとの間には、位相位置に90度及び180度の位相偏差が生じる。例えば、二次巻線404a及び404dは、各々、1つのみの隣接する二次巻線を有し、一方、二次巻線404b及び404cは、各々、2つの隣接する二次巻線を有する。
【0075】
例示的な実施形態において、二次巻線回路におけるオフセットのバランシングは、対応する二次巻線と並列に配置された抵抗406a~406dによって達成されてもよい。例えば、各サブセットに抵抗が1つのみ設けられてもよい。また、抵抗は全部で1つのみ設けられてもよい。あるいは、それより多くの抵抗が設けられてもよく、例えば、抵抗406a~406dが設けられてもよい。
【0076】
例示的な実施形態では、二次巻線回路における位相のバランシングは抵抗408a~408dによって達成することができ、各抵抗は、一方のサブセットの入力/出力と他方のサブセットの入力/出力との間の電気的接続を確立する。この目的のためには抵抗408a~408dのうちの1つで十分であり得る。必要に応じて抵抗408a~408dのうちの1つをそこから別の抵抗と組み合わせることもできる。
【0077】
なお、抵抗406a~406d及び/又は抵抗408a~408dの少なくとも1つに代えて、コンデンサを設けてもよい。抵抗とコンデンサを組み合わせることで温度安定性を向上させることができる。例えば、二次巻線404a及び404cのサブセット内の抵抗406a及び406cの一方を、そのサブセット内の対応する二次巻線と並列に配置されたコンデンサに置き換えてもよい。これに加えて又はこれに代えて、二次巻線404b及び404dのサブセット内の抵抗406b及び406dの一方を、そのサブセット内の対応する二次巻線と並列に配置されたコンデンサに置き換えてもよい。これに加えて又はこれに代えて、抵抗408a~408dからの抵抗を設け、残りの抵抗408a~408dの1つの代わりにコンデンサを設けてもよい。
【0078】
二次巻線回路内の抵抗及びコンデンサの具体的な値は、主に検出デバイス410又は検出システム400のレイアウトに依存する。位相オフセット及びオフセットを決定するために様々な測定及び/又はシミュレーションを開発の開始時に行うことが可能である。このことから、その後に、二次巻線回路内の適切な抵抗及び/又はコンデンサを使用することによって必要に応じて温度安定性が向上された適切なオフセットマッチング及び/又は位相整合が達成され得るように、適切な抵抗及び/又はコンデンサ(温度安定性用のものを含む)を決定することができる。
【0079】
図11に関して、
図9に対する代替的な実施形態が記載されるが、この実施形態では差分信号を提供するために二次巻線のサブセットが形成される。ここで、
図9と
図11の間の同一の参照符号は同一の特徴を示し、これらの同一の特徴の説明については
図9についての上記の説明を参照されたい。
【0080】
図11は検出システム600を示し、これは検出デバイス610を含む点で
図9の検出システム400と異なる。より具体的には、検出デバイス610は、以下にさらに詳細に説明するように、複数の一次巻線602及び複数の二次巻線604を有する点で、
図9の検出デバイス410と異なる。
【0081】
複数の一次巻線602は、直列に配置された一次巻線602a,602b,602c及び602dを含み、一次巻線602a及び602bは同じ方向に巻かれ、かつ、両方の巻線において一次巻線602aの入力端子に印加された電流が同じ方向に流れるように互いに直列に配置されている。さらに、一次巻線602c及び602dは互いに対して同じ向きで直列に巻かれるとともに、一次巻線602a及び602bに対して逆の向きで直列に巻かれ、それにより、一次巻線602aに印加される電流は、一次巻線602a及び602bに対して逆の向きで、一次巻線602c及び602dに流れることとなる。しかしながら、一次巻線602cの入力端末に印加された電流は、2つの一次巻線602c及び602dを同じ方向に流れる。
【0082】
複数の二次巻線604は、互いに対して同じ巻きの向きとなる配置で配置された二次巻線604a,604b,604c及び604dを含み、それにより、二次巻線604a及び604bは一次巻線602a及び602bに対して同じ方向に巻かれ、二次巻線604c及び604dは一次巻線602c及び604dに対して逆方向に巻かれる。検出デバイス610内の二次巻線604a及び604cと電子回路430との相互接続は、検出デバイスの動作中に一次巻線602aによって生成される磁束密度(図示せず)が、関連する二次巻線604a内に電流を生成し、この電流が二次巻線604aによって二次巻線604cに印加され、二次巻線604a内の電流の流れと同じ向きでそこを流れるように、構成される。しかしながら、一次巻線602c及び二次巻線604cを含むコイル対においては、巻線は互いに逆の巻きの向きを有するので、ここに逆向きに流れる電流が生じ、その結果、検出デバイス610の動作において、二次巻線604a及び604cによって形成されたサブセットの入力端子と出力端子との間に差分信号が生じることになる。したがって、検出デバイス610のサブセット内の二次巻線604b及び604dが電子回路430に接続されると、検出デバイスの動作中に一次巻線602bによって発生する磁束密度(図示せず)が、関連する二次巻線604b内に電流を発生させ、この電流が二次巻線604bから二次巻線604dに印加され、二次巻線604b内の電流の流れと同じ方向にそこを流れる。しかしながら、一次巻線602dと二次巻線604dとからなるコイル対では、巻線が互いに逆の巻きの向きを有しているため、検出デバイス610の動作中に、二次巻線604dにおいて一次巻線602dによって逆方向に流れる電流が生じ、その結果、この二次巻線604b及び604dのサブセットの入力端子と出力端子との間に差分信号が生じる。
【0083】
図11を参照すると、二次巻線に関連する一次巻線のコイル対は、(602a,604a)及び(602b,604b)並びに(602c,604c)及び(602d,604d)で与えられる。コイル対(602a,604a)及び(602b,604b)のみが同じ巻きの向きを有し、一方、コイル対(602c,604c)及び(602d,604d)における巻線は互いに逆方向に巻かれている。さらに、複数の二次巻線604は、2つのサブセット[604a,604c]及び[604b,604d]に分割され、1つのサブセット内の巻線は互いに直列に配置され、サブセットに印加された電流が同じ方向に流れる。
【0084】
図12に関し、
図9及び
図11に対するさらなる代替の実施形態について説明する。この実施形態では、差分信号を提供するために、二次巻線からサブセットが形成される。ここで、
図9,
図11及び
図12の間における同一の参照符号は同一の特徴を示し、これらの同一の特徴の説明については
図9についての上記の説明を参照されたい。
【0085】
図12は検出システム700を示し、これは検出デバイス710を含む点で
図9の検出システム400と異なる。より具体的には、検出デバイス710は、以下にさらに詳細に説明するように、複数の一次巻線702及び複数の二次巻線704を有する点で、
図9の検出デバイス410と異なる。
【0086】
複数の一次巻線702は、直列に配置された一次巻線702a,702b,702c及び702dを含み、一次巻線702a及び702cは同じ巻きの向きで巻かれるとともに、互いに直列に配置され、それにより、一次巻線702aの入力端子に加えられた電流が両方の巻線を同じ方向に流れることとなる。さらに、一次巻線702b及び702dは直列に配置され、互いに同じ向きで巻かれ、一次巻線702a及び702cに対して逆の向きで巻かれ、それにより、一次巻線702aに加えられた電流が、一次巻線702a及び702cに対して逆方向に、一次巻線702b及び702dに流れることとなる。但し、一次巻線702bの入力端子に印加された電流は2つの一次巻線702b及び702dを同じ方向に流れる。一次巻線702a~704dは直列に配置され、この配置において交互の巻線向きを有する。
【0087】
複数の二次巻線704は、一次巻線702a~702dの交互の巻線向きに対応する交互の巻線向きで、互いに対して配置された二次巻線704a,704b,704c及び704dを有し、それにより、二次巻線704a及び704cは一次巻線702a及び702cに対して同じ向きで巻かれ、二次巻線704b及び704dは二次巻線704b及び704dに対して同じ向きで巻かれ、二次巻線704a及び704cは二次巻線704b及び704dに対して逆の向きで巻かれる。検出デバイス710における二次巻線704a及び704cと電子回路430との相互接続は、検出デバイスの動作中に一次巻線702aによって発生する磁束密度(図示せず)が、関連する二次巻線704aに電流を生じさせ、この電流が、二次巻線704aによって二次巻線704cに印加され、二次巻線704a内の電流の流れと同じ方向に二次巻線704cを流れるように構成されている。しかしながら、一次巻線702cは二次巻線704aと比較して逆の巻きの向きを有するので、二次巻線704cに逆向きに流れる電流を生じさせる一次巻線702cによって磁場が発生し、その結果、検出デバイス710の動作中に、二次巻線704a及び704cによって形成されるサブセットの入力端子と出力端子との間に差分信号が生じる。したがって、二次巻線704b及び704dが検出デバイス710のサブセット内で電子回路430と相互接続されると、検出デバイスの動作中に一次巻線702bによって生じる磁束密度(図示せず)が、関連する二次巻線704b内に電流を生じさせ、この電流が二次巻線704bから二次巻線704dに印加され、二次巻線704dを二次巻線704b内の電流の流れと同じ方向に流れる。しかしながら、一次巻線702dと二次巻線704dとからなるコイル対では、巻線が二次巻線704bの巻きの向きと逆の巻きの向きを有するので、ここでは、検出デバイス710の動作中に、一次巻線702bと二次巻線704bのコイル対に対して逆方向に流れる電流が一次巻線702dによって二次巻線704dに生じ、この二次巻線704b及び704dのサブセットの入力端子と出力端子との間に差分信号がここでも生じることとなる。
【0088】
図12を参照すると、一次巻線と関連付けられた二次巻線とからなるコイル対は、(702a,704a)及び(702b,704b)並びに(702c,704c)及び(702d,704d)によって与えられ、コイル対(702a,704a)及び(702c,704c)は互いに対して同じ方向に巻かれ、コイル対(702b,704a)及び(702d,704c)は、コイル対(702a,704a)及び(702c,704c)に対して逆の方向又は逆の巻きの向きで、互いに同じ方向に巻かれた巻線を有する。さらに、複数の二次巻線704は、2つのサブセット[704a,704c]及び[704b,704d]に分割され、1つのサブセット内の巻線は互いに直列に配置され、サブセットに印加された電流が同じ方向に流れる。
【0089】
図11を参照して、さらなる例示的な実施形態が記載され、この実施形態では、巻線702a,704a,702d及び704dによって形成される端部コイル対の対称結合を提供するために、追加のコイル対が検出デバイス710に追加される。これにより、抵抗406a~406d及び/又は対応するコンデンサに対応する追加の電気部品を必要とすることなく、検出デバイス710によって出力される信号におけるオフセットを回避することができる。一方、追加の二次巻線704e及び704fが二次巻線704a及び704dに隣接して設けられ、それにより、二次巻線704a及び704dが、各々、2つの二次巻線(二次巻線704aの場合は704e及び704b、二次巻線704dの場合は704f及び704c)の間に配置される。したがって、要素406a~406dに対応する少なくとも1つの適切に決定された抵抗及び/又はコンデンサを提供する費用は、追加の一次巻線702e及び702fに対する追加の空間要件を犠牲にして回避することができる。二次巻線704e及び704fに関して、これらは、二次巻線回路におけるこれらの要素のアクティブな相互接続が必要とされないよう非接続にすることができるが、非接続の二次巻線704e及び704fは、それぞれ一次巻線702e及び702fに関連付けられており、その結果コイル対が形成される。
【0090】
追加の一次巻線702e及び702fに関して、これらは既存の一次巻線702a~702dと直列に配置されてもよく、それにより、複数の一次巻線702にわたって交互の巻きの向きを有する巻線配置がさらに実現される。
【0091】
図12を参照して説明される追加の巻線は、
図12に示される実施形態に限定されず、上述のように
図9及び
図11に示される実施形態と組み合わせて設けられてもよい。例えば、
図9に関して、この目的のために、
図12のコイル対(702f,704f)のコピーが、
図9のコイル対(402a,404a)の右側に、そして
図9のコイル対(402d,404d)の左側に、
図12に示す実施形態にしたがって形成されてもよい。
図11に関して、
図12のコイル対のコピー(702f,704f)が、この目的のために、
図9のコイル対(602a、604a)の右側に形成されてもよく、一方、
図11のコイル対(602d,604d)に対応するコイル対が、非接続の追加の二次巻線を備えた追加コイル対として、コイル対(602d,604d)の左側に形成されてもよい。
【0092】
図9,
図11及び
図12に関して、種々の実施形態が記載され、これらの実施形態では、一次巻線及び二次巻線がそれぞれ特定の巻きの向き又は巻き方向で結合及び/又は相互接続され、それにより、二次巻線のサブセットに関連付けられた一次巻線のそれぞれに磁場が生じ、これにより、サブセットのそれぞれの関連付けられた二次巻線に電圧が誘起され、電子回路430へのサブセットの端子端部にて、二次巻線において対応して誘起される電圧から、電圧差が生じる。
【0093】
図13を参照すると、いくつかの例示的な実施形態による一次巻線回路801が示されている。一次巻線回路801は、上ですでに説明した電子回路430の端子Oszに接続された複数の一次巻線802及びコンデンサ807を含む。一次巻線回路801は、複数の一次巻線802とコンデンサ807とによって決まる共振周波数を有し、電子回路430によって動作する共振器回路を含むことができる。例えば、電子回路430は、一次巻線回路801に適切に電力供給されるように電源を含むか又は端子Oszに電力供給することができる。
【0094】
図13を参照すると、複数の一次巻線802は、一次巻線802a~802dの並列接続を有する。例えば、一次巻線802a~802cは、端子に接続された一次巻線802dと並列に配置される。
【0095】
一次巻線回路802は、
図9,
図11及び
図12のいずれかの図を参照して上で記載した検出デバイス内に設けることができ、この場合、
図9,
図11及び
図12のいずれかの図を参照して上で記載した複数の一次巻線及びセンサ構造が、
図13の複数の一次巻線802で置き換えられる。あるいは、一次巻線802a~802dのうちの少なくとも1つで、
図9の一次巻線402a~402dのうちの少なくとも1つ、又は
図11の一次巻線602a~602dのうちの少なくとも1つ、又は一次巻線702a~702dのうちの少なくとも1つを置き換えることができ、その結果、
図9,
図11及び
図12のこの少なくとも1つの置き換えられた一次巻線は、もはや直列に配置されず、
図13に示すように並列に配置される。
【0096】
図10を参照すると、いくつかの例示的な実施形態による検出システム500の概略断面図が示されており、これは、ロータ位置センサ、例えば、
図1a,
図1b及び
図2を参照して上で記載したロータ位置センサのうちの1つにおいて使用することができる。検出システムは、回路基板501を有する検出デバイス530と、センサ構造(図示せず)を有するセンサ素子520とを含む。センサ構造520と検出デバイス510は互いに距離dだけ離間している。例えば、dは、0.5mmから5mmの範囲、好ましくは1mmから3mmの範囲、より好ましくは1.5mmから2.5mmの範囲であってもよい。
【0097】
図10に概略的に示すように、回路基板501は一次巻線502及び二次巻線504を含む。オプションで、
図10に示されるように、回路基板501は、オプションのシールド540(例えば、グランドなどの基準電位に接続され得るか、又は非接続もしくは電気的に浮いている状態であり得る導電性材料の箔又は層)によって巻線502及び504から遮断され得る電子回路530をさらに含んでもよい。
【0098】
いくつかの例示的な実施形態では、プリント回路基板501は、巻線502及び504、(随意の)シールド540、並びに電子回路530が互いに上下に異なる層に配置され得るように、多層にされてもよい。あるいは、巻線502及び504が第1プリント回路基板素子に組み込まれ、電子回路530が別個の第2プリント回路基板素子に組み込まれてもよく、ここで、両方のプリント回路基板素子が電気コネクタを介して互いに接続されてもよい。ここで、第1回路基板素子の巻線面に対応する第1回路基板素子の回路基板面に垂直な向きは、第2回路基板素子の面法線に対して略直角であってもよい。この構成は、
図2のロータ位置センサにしたがう用途で使用され得る。
【0099】
いくつかの例示的な実施形態では、電子回路530は複数の層で形成されてもよく、例えば、回路層530a及び530bを有する2つの平面として形成されてもよい。この点に関して、例えば、回路層530aは、上記の
図9,
図11及び/又は
図12の文脈において記載した抵抗及びコンデンサを含む二次巻線回路の一部を実装してもよい。例えば、回路層530bは、
図9,
図11及び
図12の少なくとも1つの電子回路430に対応してもよい。
【0100】
図10に示すように、二次巻線504は、例えば巻線層504-1及び504-2、あるいはそれより多い層を含む複数の層を有していてもよい。巻線層504-1及び504-2は、例えば、0.05mmから0.2mm離間していてもよい。例えば、距離は約100μmであってもよい。
【0101】
一次巻線502は
図10では単層として示されているが、これは限定ではなく、代わりに一次巻線502を複数の層で形成してもよい。個々の層の間の距離は、二次巻線504の個々の巻線層の間の距離に対応して選択することができる。二次巻線504と一次巻線502とは、例えば0.05mmから0.2mm離間していてもよい。例えば、距離は約100μmであってもよい。
【0102】
一次巻線502は、上述した一次巻線に対応して形成することができる。例えば、回路基板501には、一次巻線502で単一の一次巻線のみを形成することができる。あるいは、一次巻線502は、複数の一次巻線の一次巻線であってもよい。例示的な実施形態では、いくつかの例示的な実施形態に関連して上述したように、一次巻線502は二次巻線504とコイル対に配置することができる。例えば、複数対のコイルは、断面図に示される紙面に垂直方向(回路基板501の厚さ方向に対応)に回路基板501内に分散配置されてもよい。
【0103】
一次コイル502と(オプションの)シールド540との間には、約1mmから約2mmの範囲の距離が設けられてもよい。例えば、約1.7mmの距離が存在してもよい。
【0104】
(オプションの)シールド540と電子回路530との間の距離は、約0.05mmから約0.2mmの範囲で選択されてもよい。例えば、距離は約100μmであってもよい。
【0105】
電子回路530の個々の層の間には、約0.05mmから0.2mmの範囲の距離が設けられてもよい。例えば、距離は約100μmであってもよい。
【0106】
上記の種々の例示的な実施形態に関して、巻線は、一次巻線及び二次巻線に関して記載されている。これらの巻線の少なくとも一部は、例えば空芯コイルとして形成することができる。これは、磁化可能なコアが設けられていないことを意味する。
【0107】
いくつかの例示的な実施形態に関して、「正弦波」コイルが上で記載されている。この文脈では、角度φに対する正弦と余弦は、cosφ=sin(φ+90度)のように、90度の位相シフトだけ異なることが知られているので、「正弦波」との用語は、「余弦波」形状も含むと考えられる。
【0108】
「基本的に」とは、機能又は達成されるべき効果にほとんど又は全く影響を及ぼさない偏差及び修正も可能であることを表すことが意図される。この文脈において、50%の範囲、例えば、最大で25%、又は最大で15%、又は最大で10%、又は最大で5%、又は最大で1%の範囲の偏差は許容可能であると考えられる。
【0109】
サブセット内で接続された二次巻線を有する検出デバイスの様々な実施形態に関して、上記説明から、一次巻線及び二次巻線は、一次巻線が二次巻線に接続されるように、それぞれ特定の巻きの向き又は巻線方向にそれぞれ結合及び/又は接続されることが通常推測され得る。通常、特定の二次巻線のサブセットに関連する一次巻線の各々に磁場が発生し、その二次巻線によってその特定のサブセットのそれぞれの関連する二次巻線に電圧が誘導され、その特定のサブセットの電圧差が、その特定のサブセットの個々の二次巻線に誘導される電圧から電子回路430の特定のサブセットの末端に発生するように、一次巻線及び二次巻線が、各々、特定の巻きの向きで結合及び/又は相互接続されてもよいことが、上記説明から理解される。
【0110】
本明細書では、ロータ位置センサ、あるいは、一般に、電気機械のロータの位置ではなく、例えばギアを介して電気機械のロータにフランジ付けされた部品又は限定された角度範囲でのみ若しくは連続的に回転する回転部品などの任意の回転部品の位置を検出する位置センサなどの位置センサのための検出デバイスの様々な実施形態が開示される。
【0111】
これらの例示的な実施形態のいくつかでは、この検出デバイスは、プリント回路基板と、複数の一次巻線と、複数の二次巻線とを含み、複数の一次巻線及び/又は複数の二次巻線は、プリント回路基板に組み込まれるか、又は取り付けられ、1つの一次巻線及び1つの二次巻線は、各コイル対の巻線が、そのコイル対からの巻線と別のコイル対からの巻線との間の誘導結合と比べて最大誘導結合を有するように、それぞれコイル対に配置される。本明細書の例示的な実施例では、二次巻線は、二次巻線回路内のプリント回路基板内で、プリント回路基板内に組み込まれた他の電気及び/又は電子部品と少なくとも部分的に相互接続されてもよく、あるいは、二次巻線は、プリント回路基板内に接続されていない状態で提供されてもよく、その結果、二次巻線の相互接続はプリント回路基板に外部接続された電気及び/又は電子部品を介して行われる。加えて又は代替的に、一次巻線は、プリント回路基板内に組み込まれたさらなる電気及び/又は電子部品と少なくとも部分的に相互接続されてもよく、あるいは、一次巻線は、プリント回路基板内に接続されていない状態で設けられてもよく、その結果、二次巻線の相互接続が、外部からプリント回路基板に接続される電気及び/又は電子部品を介して行われる。この検出デバイスは、コイル対によって大面積のコイル設計が回避されるので、対応する検出デバイスをよりコンパクトに設計することができることから、個々のコイル対によってよりコンパクトに設計することができる。さらに、より小さなコイル領域が提供されるので、より少ない干渉場がここに巻線によってトラップされるので、大面積コイルの回避によって、検出デバイスの電磁場に対する耐性が高まる。さらに、コイル対は、大面積のコイル設計を有するコイルを有する配置と比較して結合が向上しており、そのため、二次巻線に生じる測定信号に対して、ここではより少ない増幅が必要とされ、検出デバイスのコンパクトな設計に寄与する。これは、例えば、検出デバイスに加えてさらなる部品を所与の設置空間に統合することによって、所与の設置空間に検出デバイスをより良く適合させること、及び/又は所与の設置空間を最適に使用することを可能にする。一方、コイル対は、コンパクトな設計によって検出デバイスからの放射をより少なくすることを可能にするので、改善されたEMCを可能にする。
【0112】
さらなるそのような実施形態では、各コイル対からの巻線は、プリント回路基板の厚さ方向に互いに対向して配置されてもよく、コイル対は、厚さ方向に断方向に分布して配置されてもよい。これは、プリント回路基板におけるコイル対の有利な実施形態を表し、一方では各コイル対における巻線間の向上した結合を可能にし、他方ではプリント回路基板のコンパクト化された実施形態を提供するとともにコイル対間の低クロストークを可能にする。
【0113】
さらなるそのような実施形態では、二次巻線は矩形コイルであってもよい。この点に関し、矩形コイルは、小さなコイル領域で非常にシンプルな態様で提供されてもよい。この文脈において、コイル領域とは、巻線軸に平行な巻線の上面図において、巻線のターンによって囲まれた領域を意味する。
【0114】
さらなるそのような実施形態では、二次巻線回路内の二次巻線は、第1のサブセットと第2のサブセットとに分割されてもよく、各サブセット内の二次巻線のみが互いに直列に配置される。二次巻線回路は、第1のサブセットからの第1の二次巻線と並列に配置された第1の抵抗と、第2のサブセットからの第1の二次巻線と並列に配置された第2の抵抗とをさらに含むことができる。第1の抵抗と第2の抵抗により、オフセットマッチングを達成することができる。二次巻線が軸の周りの全円にわたって一様に配置されない検出デバイスでは、軸の周りの二次巻線の必然的に非対称な配置により、二次巻線によって出力される信号にオフセットが生じる。また、第1の抵抗に代えてコンデンサを設けてもよいし、第2の抵抗に代えてコンデンサを設けてもよい。さらに、オフセットマッチングが1つのサブセット内のみにおいて達成されるように第1の抵抗と第2の抵抗との一方のみを設けてもよく、また、この抵抗の代わりにコンデンサを設けてオフセットマッチングが1つのサブセット内のみにおいてコンデンサによって達成されるようにしてもよい。第4の実施形態の特別な例では、少なくとも1つの抵抗及び/又は少なくとも1つのコンデンサを、プリント回路基板内の集積回路に組み込むことができる。
【0115】
さらなるそのような実施形態では、二次巻線回路は第1のコンデンサ及び第2のコンデンサをさらに含むことができ、第1のコンデンサは、第1のサブセットからの第2の二次巻線と並列に配置され、第2のコンデンサは、第2のサブセットからの第2の二次巻線と並列に配置される。これは、第1のサブセット内の第1の抵抗及び第1のコンデンサ、並びに第2のサブセット内の第2の抵抗及び第2のコンデンサの組み合わせの場合に、各サブセット内の温度安定性を向上させることができる。あるいは、1つのサブセットのみにおいて温度安定性が向上するように、第1のコンデンサ及び第2のコンデンサのうちの一方のみが設けられてもよい。第4の実施形態のこの有利な実施形態の1つの特定の例では、少なくとも1つの抵抗及び/又は少なくとも1つのコンデンサを、プリント回路基板内の集積回路に組み込むことができる。
【0116】
さらなるそのような実施形態では、二次巻線回路は、第1のサブセットからの二次巻線と第2のサブセットからの二次巻線との間に配置された追加の抵抗又はコンデンサをさらに含むことができる。これは第5の実施形態の代替的な例(「代替的第5実施形態」)であってもよく、この例では、第1及び/又は第2の抵抗(又はコンデンサ)の代わりに、あるいは両方の抵抗(又はコンデンサ)の代わりに、追加の抵抗又は追加のコンデンサがさらに設けられる。追加の抵抗又は追加のコンデンサによって、個々のサブセット間の位相バランスを達成することができる。これにより、位相オフセットがバランシングされ、これは、巻線が、隣接するコイル対の巻線との異なる強さの結合を有することにより得られるものである。再度、コンデンサ及び抵抗の組み合わせによって温度安定性の向上がさらに達成されてもよく、コンデンサ及び抵抗は各々、第1のサブセットの巻線と第2のサブセットの巻線との間に配置される。第4の実施形態のこの他の有利な実施形態の特定の例では、少なくとも1つの抵抗及び/又は少なくとも1つのコンデンサが、プリント回路基板内の集積回路に組み込まれてもよい。
【0117】
さらなるそのような実施形態では、第1のサブセット及び第2のサブセットは、各々、反対の巻き方向を有する2つの二次巻線を有してもよい。これにより、二次巻線回路内のサブセットについて差分出力信号の出力がもたらされ、その結果、例えば、二次巻線にわたって散在するスプリアス信号を補償することができる。
【0118】
記載された実施形態の文脈において、一次巻線及び少なくとも1つの二次巻線のうちの少なくとも1つは、上述のように、空芯コイルとして形成されてもよい。
【0119】
用途について、ロータ位置センサに関する図を参照して記載したが、これは限定ではない。本発明は、ロータ位置センサの代わりに、電気機械のロータの位置を直接検出するのではなく、例えばギアボックスを介して電気機械のロータにフランジ付けされた部品などの任意の回転部品、又は限定された角度範囲でのみ若しくは連続的に回転する任意の回転アクチュエータなどの回転部品の位置を検出する位置センサに適用することができる。