特許 7657926 測定装置

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】特許公報(B2)

(11)【特許番号】

(24)【登録日】2025-03-28

(45)【発行日】2025-04-07

(54)【発明の名称】測定装置

(51)【国際特許分類】

   H05K 13/08 20060101AFI20250331BHJP

【ＦＩ】

H05K13/08 L

【請求項の数】 9

(21)【出願番号】P 2023529171

(86)(22)【出願日】2021-06-14

(86)【国際出願番号】 JP2021022528

(87)【国際公開番号】W WO2022264213

(87)【国際公開日】2022-12-22

【審査請求日】2024-05-01

(73)【特許権者】

【識別番号】000237271

【氏名又は名称】株式会社ＦＵＪＩ

(74)【代理人】

【識別番号】110000969

【氏名又は名称】弁理士法人中部国際特許事務所

(72)【発明者】

【氏名】澤田 利幸

【審査官】内田 茉李

(56)【参考文献】

【文献】特開昭５５－０８８３８８（ＪＰ，Ａ）

【文献】実開昭５５－１１２２６３（ＪＰ，Ｕ）

【文献】国際公開第２０１７／０５６３００（ＷＯ，Ａ１）

(58)【調査した分野】(Int.Cl.，ＤＢ名)

Ｈ０５Ｋ １３／０８

(57)【特許請求の範囲】

【請求項1】

部品供給装置によって供給された部品を回路基板に装着する装着機に搭載され、接近・離間可能な一対の測定子を含み、前記一対の測定子が前記部品を把持して、前記部品の電気的特性を測定し、前記一対の測定子が離間して前記部品を収容する回収箱に連通する回収通路へ前記部品を落下させる測定装置であって、
前記一対の測定子のうちの少なくとも一方の前記部品を把持する部分にそれぞれ凹部が形成され、
前記凹部は、電気的特性を測定される前記部品の前記凹部に収容された部分を下方から支持し、
前記凹部の深さが、０より大きく、かつ、前記部品の長さの１／２未満とされた測定装置。

【請求項2】

当該測定装置が、前記部品が載置される載置台を含み、
前記一対の測定子が、前記載置台に載置された前記部品を、概して水平方向に接近して把持するものである請求項１に記載の測定装置。

【請求項3】

前記載置台に、前記接近・離間する方向である接近・離間方向に延び、前記部品が載置される溝部が形成され、
前記凹部が、前記溝部に対向して開口するものであり、前記開口の幅方向の長さが、前記溝部の底部の幅に対応する長さである請求項２に記載の測定装置。

【請求項4】

部品供給装置によって供給された部品を回路基板に装着する装着機に搭載され、接近・離間可能な一対の測定子を含み、前記一対の測定子が前記部品を把持して、前記部品の電気的特性を測定する測定装置であって、
当該測定装置が、前記部品が載置される載置台を含み、
前記載置台に、前記接近・離間する方向である接近・離間方向に延び、前記部品が載置される溝部が形成され、
前記一対の測定子が、前記載置台に載置された前記部品を、概して水平方向に接近して把持するものであり、
前記一対の測定子のうちの少なくとも一方の前記部品を把持する部分にそれぞれ凹部が形成され、
前記凹部が、前記溝部に対向して開口するものであり、前記開口の幅方向の長さが、前記溝部の底部の幅に対応する長さである測定装置。

【請求項5】

前記凹部の深さが、０より大きく、かつ、前記部品の長さの１／２未満とされた請求項４に記載の測定装置。

【請求項6】

前記溝部が、一対の側面が傾斜した上溝部と、前記上溝部の下部に設けられ、断面が概して四角形を成す下溝部とを含む請求項３なし５のいずれか１つに記載の測定装置。

【請求項7】

前記一対の測定子のうちの前記少なくとも一方が、それぞれ、本体部と、少なくとも前記凹部が形成された部分を有する凹部形成部とを含み、前記凹部形成部が前記本体部に対して着脱可能に設けられた請求項１ないし６のいずれか１つに記載の測定装置。

【請求項8】

前記一対の測定子が、固定子と、前記固定子に対して接近・離間可能に設けられた可動子とを含み、
前記凹部が、前記固定子の前記可動子に対向する部分に形成された請求項１ないし７のいずれか１つに記載の測定装置。

【請求項9】

当該測定装置が、前記部品が載置される溝部を備えた載置台を含み、
前記溝部が、前記接近・離間する方向である接近・離間方向に延びたものであり、
前記一対の測定子が、固定子と、前記固定子に対して接近・離間可能に設けられた可動子とを含み、
前記可動子の前部が、前記溝部の一部に係合可能な形状および大きさを成し、
当該測定装置が、前記可動子と前記載置台との相対位置関係を調節する調節機構を含む請求項１ないし８のいずれか１つに記載の測定装置。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本開示は、回路基板に装着される部品の電気的特性の測定を行う測定装置に関するものである。

【背景技術】

【0002】

特許文献１には、部品供給装置によって供給された部品を回路基板に装着する装着機に搭載され、部品の電気的特性を測定する測定装置であって、部品が載せられる載置台と、互いに接近・離間可能に設けられた一対の測定子とを含む測定装置が記載されている。特許文献１に記載の測定装置において、載置台に載せられた部品が、一対の測定子により挟まれることによって部品の電気的特性が測定される。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0003】

【文献】国際公開第２０１７／９９８７号パンフレット

【概要】

【0004】

【課題】

【0005】

本開示の課題は、測定装置の改良であり、例えば、部品が小さくても、電気的特性を安定的に測定可能とすることである。

【課題を解決するための手段、作用および効果】

【0006】

本開示に係る測定装置においては、部品を把持する一対の測定子のうちの少なくとも一方に、部品の少なくとも一部を収容可能な凹部が設けられる。このように、凹部に部品の少なくとも一部が収容されるため、部品を一対の測定子により良好に把持することが可能となること、一対の測定子により部品の決まった位置で把持することが可能となることとの少なくとも一方が得られる。その結果、部品の電気的特性を安定的に測定することが可能となる。

【図面の簡単な説明】

【0007】

【図1】本開示の一実施形態である測定装置を含む装着機の斜視図である。

【図2】上記測定装置の斜視図である。

【図3】上記測定装置の側面図である。

【図4】上記測定装置の平面図である。

【図5】上記測定装置の背面図である。

【図6】(6A)上記測定装置の載置台の溝部の断面図である。(6B)上記測定装置の可動子の正面図である。(6C)上記測定装置の載置台の溝部に可動子が進入した状態を示す図である。

【図7】上記測定装置の要部の斜視図である。

【図8】上記測定装置の要部の側面図（一部断面図）である。

【図9】上記測定装置に含まれるエア回路図である。

【図10】上記測定装置の制御装置の周辺を概念的に表すブロック図である。

【図11】上記測定装置の作動図である。(11A)初期状態を示す図である。(11B)クランプ状態を示す図である。(11C)測定状態を示す図である。(11D)廃棄状態を示す図である。

【図12】上記載置台に設けられた別の溝部の断面図である。

【図13】従来の測定装置の要部を示す図である。

【実施形態】

【0008】

以下、本開示の一実施形態である測定装置を含む装着機について図面に基づいて詳細に説明する。

【実施例】

【0009】

図１に示す装着機は、部品を回路基板に装着するものであり、本体２，回路基板搬送保持装置４，部品供給装置６，ヘッド移動装置８等を含む。
回路基板搬送保持装置４は、回路基板Ｐ（以下、基板Ｐと略称する）を水平な姿勢で搬送して保持するものであり、図１において、基板Ｐの搬送方向をｘ方向、基板Ｐの幅方向をｙ方向、基板Ｐの厚み方向をｚ方向とする。ｙ方向は装着機の前後方向であり、ｚ方向は上下方向である。これら、ｘ方向、ｙ方向、ｚ方向は互いに直交する。部品供給装置６は、基板Ｐに装着される電子部品（以下、部品と略称する）ｓを供給するものであり、複数のテープフィーダ１４等を含む。ヘッド移動装置８は、装着ヘッド１６を保持してｘ、ｙ、ｚ方向へ移動させるものであり、装着ヘッド１６は、部品ｓを吸着して保持する吸着ノズル１８を有する。

【0010】

符号２２は測定装置を示す。測定装置２２は、部品ｓの電気的特性を測定するものである。部品ｓの電気的特性としては、Ｌ（インダクタンス）、Ｃ（キャパシタンス）、Ｒ（レジスタンス）、Ｚ′（インピーダンス）等が該当し、測定装置２２によってこれらのうちの１つ以上が測定される。

【0011】

測定装置２２は、回収箱２６を介して回路基板搬送保持装置４の本体に設けられる。回収箱２６と測定装置２２との間に回収通路２８が設けられ、電気的特性が測定された部品ｓが、回収通路２８を経て回収箱２６に収容される。

【0012】

測定装置２２は、図２－６に示すように、(i)本体３０、(ii)部品ｓが載せられる載置台３２、(iii)固定子３４および可動子３６から成る一対の測定子３７、(iv)載置台３２を移動させる載置台移動装置４０、(v)可動子３６を固定子３４に対して接近・離間させる可動子移動装置４１、(vi)電気的特性取得部としての電気的特性測定部４２(図１０参照)等を含む。本実施例において、部品ｓは、両端部に電極を有し、一対の測定子３７によって把持可能なものであり、例えば、角チップとすることができる。本体３０には、回収通路２８と連通可能な貫通穴３１が設けられる。また、本体３０はアースされている。

【0013】

測定装置２２は、例えば、可動子３６の固定子３４に対する接近・離間方向がｙ方向、接近・離間方向に直交する方向がｘ方向となるように、回路基板搬送保持装置４の本体に取り付けることができる。ｙ方向は、概して水平方向であり、可動子３６は水平方向の移動により、固定子３４に対して接近・離間させられる。以下、ｙ方向を、接近・離間方向、可動子３６や後述する載置台３２に形成された溝部４６の長手方向と称する場合がある。また、可動子３６が固定子３４に接近する方向の動きを前進と称し、可動子３６が固定子３４から離間する方向の動きを後退と称する場合がある。載置台３２の動きについても同様とする。さらに、ｘ方向を、可動子３６または溝部４６の幅方向と称する場合がある。

【0014】

載置台３２は、部品載置部４４と、部品載置部４４を保持する載置部保持体４５とを含む。部品載置部４４は、載置部保持体４５に、一体的に移動可能に保持され、載置部保持体４５は、本体３０に、ｙ方向（接近・離間方向）に移動可能に設けられる。

【0015】

部品載置部４４には接近・離間方向に延びた溝部４６が形成される。溝部４６は、概してＶ字形を成すものであり、図６Ａに示すように、一対の側面が傾斜した上溝部４６ａと、上溝部４６ａの下部に設けられ、断面が概して四角形を成す下溝部４６ｂとを含む。上溝部４６ａは、一対の傾斜面４８ａ、４８ｂを含み、下溝部４６ｂは、平坦面である底面５０と、底面５０の両側の一対の壁面５１ａ、５１ｂとを含む。

【0016】

部品載置部４４に載置される部品ｓは、下溝部４６ｂの底面５０の上に載置される場合や、上溝部４６ａの一対の傾斜面４８ａ、４８ｂに保持されて、載置される場合等がある。

【0017】

なお、載置台３２には接近・離間方向に延びたカバー部５２が取り付けられる。カバー部５２は、載置台３２の溝部４６の両側に位置する一対の側板５２ａ，５２ｂを含む。一対の側板５２ａ，５２ｂは、載置台３２と一体的に移動する。

【0018】

固定子３４、可動子３６は、それぞれ、互いに対向する対向面３４ｆ、３６ｆを有し、これら一対の対向面３４ｆ、３６ｆによって部品ｓが把持される。固定子３４は固定子保持体５５を介して本体３０に固定される。可動子３６は可動子保持体５６に一体的に移動可能に保持され、可動子保持体５６が本体３０に、ｙ方向（接近・離間方向）に移動可能に設けられる。固定子保持体５５、可動子保持体５６は、接近・離間方向において、載置部保持体４５の両側に位置する。なお、固定子３４と可動子３６とはそれぞれ銅線を介して電気的特性測定部４２に接続される。

【0019】

また、固定子３４は、本実施例においては、本体部３４ｈと、本体部３４ｈに対して着脱可能に設けられた凹部形成部としての当接部３４ａとを含む。当接部３４ａは、本体部３４ｈに固定装置としてのボルト３４ｂによって着脱可能に取り付けられる。本実施例において、当接部３４ａの可動子３６に対向する面が対向面３４ｆとされる。

【0020】

図７，８に示すように、当接部３４ａには、接近・離間方向において部品載置部４４の溝部４６に対向して開口する凹部５４が設けられる。凹部５４の底面５４ｂは平坦面であり、接近・離間方向に対して直交する方向に延びた面である。本実施例において、対向面３４ｆは凹部の底面５４ｂを含む。また、凹部５４の開口のｘ方向（溝部４６の幅方向）の長さＬａは、溝部４６の底面５０の幅（底部の幅に対応）の長さＷａに対応する。すなわち、凹部５４の開口の幅Ｌａは、底面５０の幅Ｗａとほぼ同じである（Ｌａ≒Ｗａ）。

【0021】

凹部５４の深さ（開口から底面５４ｂまでの接近・離間方向の長さ）Ｌｄは、部品ｓの長さＬｐの１／２未満（Ｌｄ＜Ｌｐ／２）とされている。部品ｓとは、部品ｓの幅Ｗｐが溝部４６の底面５０の幅Ｗａより小さい（Ｗｐ＜Ｗａ）部品ｓであり、幅Ｗｐが底面５０の幅Ｗａより小さい部品ｓが複数種類ある場合には、複数種類の部品ｓのうちの最も小さい部品ｓをいう。このように、深さＬｄを部品ｓの長さＬｐの１／２未満とすることにより、部品ｓの電気的特性の測定後、部品ｓを凹部５４から良好に落下させることができる。

【0022】

可動子３６は、概して直方体状を成した本体部３６ａと、本体部３６ａの前部において下方に突出した突出部３６ｂとを含む。可動子３６は、本体部３６ａの後部において可動子保持体５６に保持され、前部を構成する突出部３６ｂと本体部３６ａとが部品載置部４４の溝部４６に進入する。本実施例において、可動子３６の突出部３６ｂの前端面、または、突出部３６ｂの前端面と本体部３６ａの前端面（の一部）とが対向面３６ｆとされる。

【0023】

本体部３６ａは、直方体の長手方向が接近・離間方向に延びた姿勢で設けられる。
突出部３６ｂは、図６Ｂ，図６Ｃに示すように、溝部４６に係合可能な大きさ、形状を成す。突出部３６ｂは、下溝部４６ｂに係合する下溝係合部５７と、上溝部４６ａの一部に係合する上溝係合部５８とを含む。上溝係合部５８は、溝部４６の一対の傾斜面４８ａ、４８ｂの一部に対向する一対の傾斜面５８ａ、５８ｂを有する。下溝係合部５７は、それぞれ、下溝部４６ｂの底面５０、一対の壁面５１a、５１ｂに対向する下端面５７ｄ、一対の側面５７ａ，５７ｂを有する。本体部３６aは、溝部４６の一対の傾斜面４８ａ、４８ｂから離間している。

【0024】

載置台移動装置４０、可動子移動装置４１は、それぞれ、図３に示すように、駆動源としてのエアシリンダ６０，６２、本体３０に設けられた一対のガイドレール６４，６６、ガイドレール６４，６６に移動可能に係合させられた一対の載置台スライダ６８，６９および一対の可動子スライダ７０，７１、電磁弁装置７４，７６（図９，１０参照）、エア源７７等を含む。

【0025】

一対のガイドレール６４，６６は、ｙ方向（接近・離間方向）に延びた姿勢で、ｘ方向（可動子３６の幅方向）に隔てて、本体３０に固定される。また、載置台スライダ６８，６９には載置部保持体４５が固定される。可動子スライダ７０，７１には可動子保持体５６がそれぞれ固定される。さらに、載置部保持体４５には、エアシリンダ６０のピストンロッド６０ｒ（図９参照）が取り付けられ、可動子保持体５６には、エアシリンダ６２のピストンロッド６２ｒが取り付けられる。エアシリンダ６０，６２は、ピストンロッド６０ｒ、６２ｒが接近・離間方向に延びた姿勢で設けられる。

【0026】

一方、固定子側の部材｛例えば、固定子３４の上部、固定子保持体５５等｝には、エア通路９２が設けられる。エア通路９２は、固定子側の部材の、可動子３６の対向面３６ｆに対向する部分に開口する開口９３を有する。また、エア通路９２にはイオナイザ９４が接続される。イオナイザ９４は、コロナ放電を生起させてエアをイオン化するものである。

【0027】

エアシリンダ６０の２つのエア室６０ａ，６０ｂ、エア源７７、エア通路９２、フィルタ（大気）の間に電磁弁装置７４が設けられる。電磁弁装置７４の制御により載置台３２の移動等が制御される。

【0028】

エアシリンダ６２のエア室６２ａ，６２ｂには、電磁弁装置７６を介して、エア源７７、エア通路９２、フィルタ（大気）が選択的に接続される。電磁弁装置７６の制御により、可動子保持体５６（可動子３６）の移動等が制御される。また、載置台３２の前進時、可動子３６の後退時には、エアシリンダ６０，６２からエア通路９２にエアが供給され、開口９３からエアが流出させられる。

【0029】

本実施例においては、エア通路９２、エア源７７、エアシリンダ６０，６２等によりエア供給装置９６が構成される。エア供給装置９６は、可動子移動装置４１、載置台移動装置４０と共通の構成要素を有する。

【0030】

本実施例において、可動子３６は、可動子保持体５６に、可動子３６の本体３０に対する、ｚ方向である上下方向の位置である高さと、ｘ方向である可動子３６の幅方向の位置と、ｘ方向に延びた軸線Ｘの周りの傾きとが調節可能に保持される。
本実施例において、可動子３６の前部が、溝部４６に係合可能な形状、大きさを成す。また、可動子３６は、溝部４６との隙間が非常に小さくなる状態で可動子保持体５６に組み付けられる。そのため、たとえ、部品ｓが小さく、溝部４６の底面５０に載置された場合であっても、可動子３６の対向面３６ｆと固定子３４の対向面３４ｆとによって把持され、電気的特性が測定され得る。

【0031】

しかし、可動子３６の可動子保持体５６に対する組付け誤差等に起因して、可動子３６が溝部４６に進入した場合に、図１３に示すように、可動子３６と溝部４６との間に隙間、例えば、可動子３６の下端面５７ｄと溝部４６の底面５０との間等に隙間が生じる場合がある。そのため、一対の対向面３４ｆ、３６ｆによって、底面５０に載置された部品ｓを把持することができず、電気的特性を測定することができなかったり、部品ｓを良好に把持することができず、電気的特性を精度よく測定することができなかったりする。

【0032】

そこで、本実施例においては、可動子３６の、本体３０に対する上下方向の位置、可動子３６の幅方向の位置、軸線Ｘの周りの傾きを調節可能とすることにより、可動子３６と部品載置部４４の溝部４６との相対位置関係を調節可能としたのである。

【0033】

図２－５に示すように、可動子保持体５６は、一対の可動子スライダ７０，７１に固定された保持体本体７８と、保持体本体７８に２つのボルトＤ１，Ｄ２によって取り付けられた幅方向可動部材８０と、幅方向可動部材８０にボルトＥ１，Ｅ２によって取り付けられた回動部材８２と、回動部材８２にボルトＦ１，Ｆ２によって取り付けられた上下方向可動部材８４とを含む。可動子３６は、ボルトＮによって上下方向可動部材８４に一体的に移動可能に取り付けられる。

【0034】

ボルトＤ１，Ｄ２は、上下方向に延び、幅方向可動部材８０を貫通して、保持体本体７８において螺合し、ボルトＥ１，Ｅ２は、可動子３６の幅方向に延び、回動部材８２を貫通して幅方向可動部材８０において螺合し、ボルトＦ１，Ｆ２は、接近・離間方向に延び、回動部材８２を貫通して上下方向可動部材８４において螺合した状態で設けられる。なお、これらボルトが締められ、２つの部材が相対移動不能な状態を、固定された状態と称する。

【0035】

ボルトＥ１，Ｅ２によって回動部材８２が幅方向可動部材８０に固定され、ボルトＦ１，Ｆ２によって上下方向可動部材８４が回動部材８２に固定された状態で、ボルトＤ１，Ｄ２を緩める。幅方向可動部材８０、回動部材８２、上下方向可動部材８４および可動子３６は、一体的に、可動子３６の幅方向に移動可能となる。幅方向可動部材８０と保持体本体７８とはｘ方向において隙間Ｒ１１を隔てて設けられるため、幅方向可動部材８０の保持体本体７８に対するｘ方向の移動が許容される。

【0036】

幅方向可動部材８０等を保持体本体７８の上面に沿って可動子３６の幅方向に移動させることにより、可動子３６の幅方向の位置を調節し、ボルトＤ１，Ｄ２を締める。ボルトＤ１，Ｄ２と幅方向可動部材８０の貫通穴との隙間の範囲内において、可動子３６の幅方向の位置を調節することができる。なお、ボルトＤ２の操作は、上下方向可動部材８４に設けられた上下方向に貫通した貫通穴８６を利用して行われる。貫通穴８６から治具を通してボルトＤ２の頭部に係合し、ボルトＤ２を緩めたり締めたりする。

【0037】

ボルトＤ１，Ｄ２によって幅方向可動部材８０が保持体本体７８に固定され、ボルトＥ１，Ｅ２によって回動部材８２が幅方向可動部材８０に固定された状態で、ボルトＦ１，Ｆ２を緩める。それにより、上下方向可動部材８４および可動子３６が、幅方向可動部材８０、回動部材８２に対して上下方向に移動可能とされる。上下方向可動部材８４と幅方向可動部材８０、回動部材８２との上下方向の隙間Ｒ１２により、上下方向可動部材８４の上下方向の移動が許容される。また、図５に示すように、上下方向可動部材８４の段面８４ａと幅方向可動部材８０の内側面８０ａとが当接しているため、上下方向可動部材８４のｘ方向の移動が制限される。

【0038】

上下方向可動部材８４等を、幅方向可動部材８０に沿って上下方向に移動させ、可動子３６の上下方向の位置である高さを調節して、ボルトＦ１，Ｆ２を締める。ボルトＦ１，Ｆ２と回動部材８２の貫通穴との隙間の範囲内において、可動子３６の上下方向の位置を調節することができる。

【0039】

ボルトＤ１，Ｄ２によって幅方向可動部材８０が保持体本体７８に固定され、ボルトＦ１，Ｆ２によって上下方向可動部材８４が回動部材８２に固定された状態で、ボルトＥ１，Ｅ２が緩められる。それにより、回動部材８２、上下方向可動部材８４および可動子３６が幅方向可動部材８０に対して軸線Ｘの周りに回動可能とされる。回動部材８２と保持体本体７８との間の上下方向における隙間Ｒ１３、回動部材８２と幅方向可動部材８０との間の上下方向における隙間Ｒ１２等により、回動部材８２の軸線Ｘ周りの回動が許容される。また、回動部材８２の内側面８２ａと幅方向可動部材８０の外側面８０ｂとが当接しているため、回動部材８２のｘ方向の移動が制限される。

【0040】

回動部材８２（および上下方向可動部材８４、可動子３６）を軸線Ｘの周りに回動させることにより可動子３６のＸ軸の周りの傾きを調節してボルトＥ１，Ｅ２を締める。それにより、可動子３６のＸ軸の周りの傾きを調節することができる。

【0041】

なお、上下方向可動部材８４には可動子３６がボルトＮによって固定されているが、図２，４に示すように、上下方向可動部材８４に設けられた上下方向に延びた凹部８４ｒに、可動子３６の側面に設けられた上下方向に延びた凸部３６ｓが嵌合されている。そのため、ボルトＮが緩められた状態で、上下方向可動部材８４に対して可動子３６が上下方向に相対移動可能とされる。この上下方向可動部材８４に対する可動子３６の上下方向の移動によっても、可動子３６の上下方向の位置を調節することができる。

【0042】

これら作業は、例えば、可動子３６を載置台３２の溝部４６に進入させた状態で、その可動子３６と溝部４６との隙間をダイヤルゲージ、歪ゲージ等の治具を用いて測定し、これらが小さくなるように、作業者によって行われるようにすることができる。

【0043】

本実施例においては、幅方向可動部材８０、回動部材８２、上下方向可動部材８４、ボルトＮ、ボルトＤ１，Ｄ２、ボルトＥ１，Ｅ２、ボルトＦ１，Ｆ２、可動子３６に設けられた凸部３６ｓ、上下方向可動部材８４に設けられた凹部８４ｒ等により調節機構８８が構成される。

【0044】

当該装着機は制御装置２００を含む。制御装置２００は、図１０に示すように、コンピュータを主体とするコントローラ２０２と、複数の駆動回路２０４とを含む。コントローラ２０２には、回路基板搬送保持装置４、部品供給装置６、ヘッド移動装置８が、それぞれ、駆動回路２０４を介して接続されるとともに、載置台移動装置４０、可動子移動装置４１の電磁弁装置７４，７６等が接続される。また、カメラ２０、電気的特性測定部４２、ディスプレイ２１６、載置台位置センサ２１８、可動子位置センサ２２０等が接続される。電磁弁装置７４，７６は、載置台位置センサ２１８、可動子位置センサ２２０の出力信号等に基づいて制御される。また、部品ｓの電気的特性の測定結果は、ディスプレイ２１６に表示されるようにすることができる。

【0045】

以上のように構成された測定装置２２において、部品ｓの電気的特性が測定される場合の作動について説明する。
測定装置２２は、常には、図１１Ａに示す初期状態にある。可動子３６は後退端位置にあり、載置台３２は前進端位置にある。部品ｓの電気的特性の測定指令が出されると、装着ヘッド１６が移動させられる。吸着ノズル１８によって部品ｓが保持され、移動させられ、溝部４６に載置させられる。

【0046】

電磁弁装置７６の制御により可動子３６が前進させられ、図１１Ｂに示すように、可動子３６と固定子３４とにより部品ｓがクランプされる。次に、図１１Ｃに示すように、電磁弁装置７４の制御により載置台３２が後退させられる。載置台３２は、部品ｓおよび一対の測定子３７から離間した位置、換言すると、可動子３６の突出部３６ｂが、溝部４６から離間した位置に後退させられる。

【0047】

一方、部品ｓが溝部４６に載せられた時から、設定時間である除電時間が経過した後に、部品ｓの電気的特性が測定される。除電時間は、部品ｓに帯電していた静電気が除去される時間であり、予め決められている。部品ｓの電気的特性の測定が終了した後に、可動子３６が後退させられ、可動子３６と固定子３４との間に把持されていた部品ｓが開放される。また、可動子３６の後退に伴って、エアが開口９３から可動子３６の対向面３６ｆに斜め上方から供給される。

【0048】

次に、図１１Ｄが示すように、可動子３６がさらに後退させられ、載置台３２が後退させられる。可動子３６と固定子３４との間の空間は、回収通路２８に連通させられるため、部品ｓを回収箱２６へ回収することができる。その後、載置台３２が前進させられ、一対の対向面３４ｆ、３６ｆの間に位置する。溝部４６の上方が空間とされ、部品ｓが載置可能とされ、測定装置２２が図１１Ａに示す初期状態に戻される。また、載置台３２の前進に伴って、イオンを含むエアが可動子３６の対向面３６ｆに供給されるため、対向面３６ｆの除電を図ることもできる。

【0049】

本実施例においては、固定子３４に、溝部４６の端部に対向して開口した凹部５４が設けられる。溝部４６の底面５０に載置された部品ｓは、可動子３６の前進により、底面５０に沿って移動させられ、凹部５４の底面５４ｂに当接する。部品ｓは、可動子３６の対向面３６ｆと固定子３４の対向面３４ｆ（凹部５４の底面５４ｂ）とによって把持される。そのため、部品ｓが小さくても、一対の対向面３４ｆ、３６ｆにより部品ｓを良好に把持することが可能となり、部品ｓの電気的特性を安定して測定することができ、

【0050】

また、部品ｓは凹部５４に収容されて、底面５４ｂに当接した状態で、電気的特性が測定される。このように、電気的特性の測定の際に、部品ｓの姿勢をほぼ同じすることができ、部品ｓの位置をほぼ同じにすることができる。部品ｓを、決まった姿勢で、位置決めした状態で電気的特性を測定することができるのである。その結果、部品ｓの電気的特性をより一層安定して測定することができ、測定精度を向上させることができる。

【0051】

さらに、凹部５４の深さが部品ｓの長さの１／２未満とされているため、一対の対向面３４ｆ、３６ｆが離間した場合に、部品ｓを良好に落下させることができる。
また、一対の対向面３４ｆ、３６ｆが離間した状態で、カバー部５２は、一対の対向面３４ｆと対向面３６ｆとの間の両側に位置する。そのため、可動子３６の後退に伴って開口９３からエアが噴出し、カバー部５２の内部において循環する。それにより、凹部５４に収容された部品ｓを、良好に落下させることができる。

【0052】

さらに、可動子３６の本体３０に対する相対位置関係が調節可能とされているため、可動子３６の部品載置部４４の溝部４６に対する相対位置関係が調節可能とされ、可動子３６の突出部３６ｂと溝部４６との隙間を小さくまたは０に近づけることができる。その結果、より一層、部品ｓを一対の対向面３４ｆ、３６ｆにより良好に把持することができ、部品ｓの電気的特性を安定的に測定することができる。

【0053】

さらに、部品載置部４４は、載置部保持体４５、ガイドレール６４，６６を介して本体３０に電気的に導通された状態にあり、可動子３６は、可動子保持体５６、ガイドレール６４，６６を介して本体３０に電気的に導通された状態にある。そのため、部品ｓの除電、載置台３２、可動子３６等の除電が良好に行われる。特に、載置台３２、可動子３６の除電を、これら載置台３２、可動子３６(可動子保持体５６)が停止状態にあっても移動状態にあっても行うことが可能となる。そのため、部品ｓの電気的特性を安定的に測定することができる。インピーダンスが小さい部品ｓであっても、その部品ｓのインピーダンスを精度よく測定することができるのである。

【0054】

なお、上記実施例においては、一対の測定子が水平方向に移動させられて、接近・離間させられるようにされていたが、一対の測定子は、上下方向に移動させられることにより、接近・離間可能なものとすることができる。
また、上記実施例において、可動子３６の本体３０に対する相対位置関係が調節されることにより前記可動子３６と部品載置部４４との相対位置関係が調節されるようにされていたが、部品載置部４４と本体３０との相対位置関係が調節されることにより、可動子３６と部品載置部４４との相対位置関係が調節されるようにすることができる。

【0055】

さらに、溝部４６の形状は問わない。例えば、図１２に示すように、溝部１４６を、平坦な底面１５０と一対の傾斜面１５２ａ、１５２ｂとを備えた形状を成すものとすることができる。この場合には、固定子３４の当接部３４ａに設けられた凹部５４の開口の幅は、底面１５０の幅（底部の幅に対応）とほぼ同じとすることができる。

【0056】

また、凹部５４の深さＬｄは、幅Ｗｐが溝部４６の底面５０または溝部１４６の底面１５０の幅より小さい複数種類の部品ｓがある場合に、複数種類の部品ｓのうちの長さが中間のものの長さＬｐの１／２未満としたり、最大のものの長さＬｐの１／２未満としたりすること等ができる。

【0057】

以上、実施形態に記載の態様の他、本開示は、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した形態で実施することができる。

【符号の説明】

【0058】

２２：測定装置 ３０：本体 ３２：載置台 ３４：固定子 ３６：可動子 ３６ｓ：凸部 ４２：電気的特性測定部 ４６：溝部 ５６：可動子保持体 ８０：幅方向可動部材 ８２：回動部材 ８４：上下方向可動部材 ８４ｒ：凹部 ８６：貫通穴 Ｄ１，Ｄ２，Ｅ１，Ｅ２，Ｆ１，Ｆ２，Ｎ：ボルト

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】