IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社NTTドコモの特許一覧

<>
  • 特許-ユーザ端末 図1
  • 特許-ユーザ端末 図2
  • 特許-ユーザ端末 図3
  • 特許-ユーザ端末 図4
  • 特許-ユーザ端末 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-28
(45)【発行日】2025-04-07
(54)【発明の名称】ユーザ端末
(51)【国際特許分類】
   G06F 11/34 20060101AFI20250331BHJP
   G06F 3/0485 20220101ALI20250331BHJP
   G06F 3/14 20060101ALI20250331BHJP
   G06F 9/451 20180101ALI20250331BHJP
   G06F 11/30 20060101ALI20250331BHJP
【FI】
G06F11/34 119
G06F3/0485
G06F3/14 360D
G06F9/451
G06F11/30 140T
G06F11/30 155
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2023551590
(86)(22)【出願日】2022-09-28
(86)【国際出願番号】 JP2022036127
(87)【国際公開番号】W WO2023054454
(87)【国際公開日】2023-04-06
【審査請求日】2024-02-13
(31)【優先権主張番号】P 2021157541
(32)【優先日】2021-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】392026693
【氏名又は名称】株式会社NTTドコモ
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121980
【弁理士】
【氏名又は名称】沖山 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100128107
【弁理士】
【氏名又は名称】深石 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100183081
【弁理士】
【氏名又は名称】岡▲崎▼ 大志
(72)【発明者】
【氏名】山本 直樹
(72)【発明者】
【氏名】濱谷 尚志
【審査官】山本 俊介
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/132404(WO,A1)
【文献】特開2014-205978(JP,A)
【文献】特表2019-505035(JP,A)
【文献】梶並 知記ほか,文字入力や閲覧待機を強制することによるスマートフォンの使用意欲減少手法に関する基礎的検討,情報処理学会 論文誌(ジャーナル),日本,情報処理学会,2016年12月15日,Vol.57 No.12,pp.2811-2818
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 11/30-11/3698
G06F 3/0485
G06F 3/14
G06F 9/451
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザによって操作されるユーザ端末であって、
所定期間における前記ユーザによる前記ユーザ端末の利用量を示す情報を取得する利用量取得部と、
前記利用量が予め定められた閾値を超えた場合に、前記ユーザ端末の操作性を低下させる制御部と、
を備え
前記制御部は、前記利用量が前記閾値を超えた後に前記ユーザ端末の画面をスクロールさせるユーザ操作が行われた場合のスクロール幅及びスクロール速度の少なくとも一方に関する第1スクロール操作性を、前記利用量が前記閾値を超える前に前記画面をスクロールさせるユーザ操作が行われた場合のスクロール幅及びスクロール速度の少なくとも一方に関する第2スクロール操作性よりも低下させることにより、前記ユーザ端末の操作性を低下させる、ユーザ端末。
【請求項2】
前記制御部は、前記利用量の前記閾値に対する超過度合いが大きい程、前記第2スクロール操作性に対して前記第1スクロール操作性を低下させる度合いを大きくする、
請求項に記載のユーザ端末。
【請求項3】
ユーザによって操作されるユーザ端末であって、
所定期間における前記ユーザによる前記ユーザ端末の利用量を示す情報を取得する利用量取得部と、
前記利用量が予め定められた閾値を超えた場合に、前記ユーザ端末の操作性を低下させる制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記利用量が前記閾値を超えた後に所定の処理の実行を指示するユーザ操作が行われた場合に前記所定の処理が実行されるまでの第1期間を、前記利用量が前記閾値を超える前に前記所定の処理の実行を指示するユーザ操作が行われた場合に前記所定の処理が実行されるまでの第2期間よりも長くすることにより、前記ユーザ端末の操作性を低下させる、ユーザ端末。
【請求項4】
前記制御部は、前記利用量の前記閾値に対する超過度合いが大きい程、前記第2期間に対して前記第1期間を長くする度合いを大きくする、
請求項に記載のユーザ端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一側面は、ユーザ端末に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ユーザ端末(情報端末装置)にインストールされたアプリケーション毎に利用制限時間を設定し、アプリケーションの利用時間が利用制限時間に到達する前に、警告メッセージを画面に表示する仕組みが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-57845号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
昨今、ユーザ端末の長時間利用(使いすぎ)による身体的又は精神的な健康障害の発生が問題となっている。具体的には、近年、ユーザ端末の長時間利用によって、目が疲れたり、肩が凝ったりするVDT(Visual Display Terminals)症候群に罹患する人が増えている。このため、ユーザ端末の長時間利用を効果的に抑制できる仕組みが求められている。
【0005】
特許文献1に開示された仕組みによれば、警告メッセージを表示することにより、アプリケーションの利用の中断をユーザに促すことができる。しかし、警告メッセージを通知するだけの場合(すなわち、利用制限時間を超過してもアプリケーションの利用を継続可能に構成されている場合)、ユーザは警告メッセージを無視してアプリケーションの利用を継続することが可能であるため、ユーザ端末の長時間利用を抑制する効果が不十分となる。一方、利用制限を厳しくして、アプリケーションの利用時間が利用制限時間に到達した際に当該アプリケーションを強制終了するようにした場合、ユーザが利用制限時間を超過してアプリケーションを利用せざるを得ない特別な事情があったとしてもアプリケーションが強制終了されてしまうため、ユーザの作業に大きな支障が生じる場合がある。
【0006】
そこで、本発明の一側面は、ユーザの作業に大きな支障を生じさせることなく、ユーザ端末の長時間利用を効果的に抑制することが可能なユーザ端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面に係るユーザ端末は、ユーザによって操作されるユーザ端末であって、所定期間におけるユーザによるユーザ端末の利用量を示す情報を取得する利用量取得部と、利用量が予め定められた閾値を超えた場合に、ユーザ端末の操作性を低下させる制御部と、を備える。
【0008】
本発明の一側面に係るユーザ端末においては、ユーザ端末の利用量が閾値を超えた場合に、ユーザ端末の操作性が低下するように制御される。このように、利用量が閾値を超えたことに対するペナルティとして、ユーザ端末の使い勝手をあえて低下させることにより、ユーザ端末の利用を中断することをユーザに促すことができる。一方、利用量が閾値を超えた後も、ユーザ端末の操作性が低下するものの、ユーザ端末を利用すること自体は強制的には禁止されない。従って、ユーザは、利用量が閾値を超過した後もユーザ端末を利用せざるを得ない特別な事情がある場合には、ユーザ端末の利用を継続することができる。以上により、上記ユーザ端末によれば、ユーザの作業に大きな支障を生じさせることなく、ユーザ端末の長時間利用を効果的に抑制することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一側面によれば、ユーザの作業に大きな支障を生じさせることなく、ユーザ端末の長時間利用を効果的に抑制することが可能なユーザ端末を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施形態に係るユーザ端末の機能構成の一例を示す図である。
図2】操作制御の第1例を示す図である。
図3】操作制御の第2例を示す図である。
図4】ユーザ端末の動作の一例を示すフローチャートである。
図5】ユーザ端末のハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本発明の一実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0012】
図1は、一実施形態に係るユーザ端末10の機能構成の一例を示す図である。ユーザ端末10は、ユーザによって利用(操作)される端末装置である。本実施形態では、ユーザ端末10は、画面表示を行うディスプレイ(出力装置1006)を少なくとも備えている。
【0013】
ユーザ端末10の例としては、携帯電話機、スマートフォン、タブレット等の携帯端末が挙げられる。ただし、ユーザ端末10は、上記例に限られない。例えば、ユーザ端末10は、ラップトップPC等の可搬型のPCであってもよいし、デスクトップPC等の据置型のPCであってもよい。また、ユーザ端末10は、ヘッドマウントディスプレイ、スマートウォッチ等のようにユーザの身体の一部に装着されるウェアラブル端末であってもよい。
【0014】
ユーザ端末10は、ユーザによるユーザ端末10の長時間利用(使いすぎ)を抑制するための機能を有している。より具体的には、ユーザ端末10は、所定期間におけるユーザ端末10の利用量が予め定められた閾値を超えた場合に、ユーザ端末10の操作性を低下させるように構成されている。本実施形態では一例として、所定期間は、1日(0:00-24:00の24時間)である。ただし、所定期間は上記に限られない。例えば、ユーザによるユーザ端末10の連続利用を抑制したい場合には、上記所定期間は、「ユーザがユーザ端末10を連続して利用し続けている期間」と定義されてもよい。
【0015】
図1に示されるように、ユーザ端末10は、記憶部11と、利用量取得部12と、制御部13と、を有する。
【0016】
記憶部11は、ユーザによるユーザ端末10の利用履歴(操作履歴)を蓄積する。例えば、記憶部11には、所定期間においてユーザがユーザ端末10を利用した利用時間を示す情報が記憶され得る。ユーザ端末10の利用時間の例としては、ユーザ端末10の画面表示がONになっていた期間、一定期間以上の間を空けることなくユーザ端末10に対する何らかのユーザ操作が継続的に入力されていた期間、予め定められたアプリケーションを利用した期間等が挙げられる。また、記憶部11には、所定期間においてユーザがユーザ端末10を利用した利用回数を示す情報が記憶され得る。ユーザ端末10の利用回数の例としては、予め定められた所定操作(例えば、SNSのメッセージ投稿等)を行った回数、アプリケーションの起動回数等が挙げられる。
【0017】
利用量取得部12は、所定期間におけるユーザによるユーザ端末10の利用量を示す情報を取得する。ユーザ端末10の利用量は、例えば、上述したユーザ端末10の利用時間、利用回数等である。利用量取得部12は、例えば、記憶部11にアクセスすることにより、記憶部11に記憶された情報(利用時間を示す情報、又は、利用回数を示す情報)を取得する。利用量取得部12は、例えば、記憶部11に記憶された所定期間におけるユーザ端末10の利用時間を、所定期間におけるユーザ端末10の利用量として取得してもよい。また、利用量取得部12は、記憶部11に記憶された所定期間におけるユーザ端末10の利用回数を、所定期間におけるユーザ端末10の利用量として取得してもよい。或いは、利用量取得部12は、所定期間におけるユーザ端末10の利用時間及び利用回数の両方に基づく指標値を、所定期間におけるユーザ端末10の利用量として取得(算出)してもよい。
【0018】
ただし、ユーザ端末10の利用量は、上記に限られない。例えば、ユーザ端末10上で動作する各アプリケーションに、アプリケーション毎の重みが設定されてもよい。利用量取得部12は、所定期間におけるユーザによる各アプリーションの利用量(例えば、利用時間又は利用回数)に各アプリケーションの重みを乗じた値を所定期間における各アプリケーションの利用量として算出してもよい。そして、利用量取得部12は、所定期間における各アプリケーションの利用量の総和を、所定期間におけるユーザ端末10の利用量として取得(算出)してもよい。
【0019】
制御部13は、利用量取得部12により取得された利用量が予め定められた閾値を超えた場合に、ユーザ端末10の操作性を低下させる。以下、ユーザ端末10の操作性を低下させるための操作制御の第1例及び第2例について説明する。
【0020】
(操作制御の第1例)
制御部13は、利用量が閾値を超えた後にユーザ端末10の画面をスクロールさせるユーザ操作が行われた場合のスクロール幅及びスクロール速度の少なくとも一方に関する第1スクロール操作性を、利用量が閾値を超える前にユーザ端末10の画面をスクロールさせるユーザ操作が行われた場合のスクロール幅及びスクロール速度の少なくとも一方に関する第2スクロール操作性よりも低下させることにより、ユーザ端末10の操作性を低下させる。
【0021】
ユーザ端末10がスマートフォン等のタッチパネルディスプレイを備える端末である場合、画面をスクロールさせるユーザ操作は、例えば、画面上に接触させた指をスライドさせる操作である。ユーザ端末10がデスクトップPC等のタッチパネルディスプレイを備えない端末である場合、画面をスクロールさせるユーザ操作は、例えば、マウス、トラックパッド、トラックボール等のポインティングデバイスによって画面をスクロールさせる操作、キーボードの方向キー(上下方向のキー)を押下することによって画面をスクロールさせる操作等である。
【0022】
ユーザ端末10がタッチパネルディスプレイを備える端末である場合を例として、具体的な制御例について説明する。一例として、複数のコンテンツ(アプリケーション)のアイコンが格子状に配列されたトップ画面で画面を上下にスクロールさせる操作に着目する。例えば、利用量が閾値を超える前(通常時)のスクロール幅(第2スクロール操作性)が、「画面上で指を上方向又は下方向に3cmスクロール(スライド)させたときに、画面が上方向又は下方向に10行分スクロールする」ように設定されているとする。この場合、制御部13は、利用量が閾値を超えた後のスクロール幅(第1スクロール操作性)を、例えば「画面上で指を上方向又は下方向に3cmスクロール(スライド)させたときに、画面が上方向又は下方向に5行分スクロールする」ように変更してもよい。この例では、利用量が閾値を超えた後のスクロール幅が、利用量が閾値を超える前のスクロール幅の半分となるように制御されている。
【0023】
或いは、制御部13は、スクロール幅の代わりに、スクロール速度を変更してもよい。例えば、利用量が閾値を超える前(通常時)のスクロール速度(第2スクロール操作性)が、「画面上で指を上方向又は下方向に3cmスクロール(スライド)させたときに、指のスライド操作の速度と同じ速度で、画面が上方向又は下方向に10行分スクロールする」ように設定されているとする。この場合、制御部13は、利用量が閾値を超えた後のスクロール速度(第1スクロール操作性)を、例えば「画面上で指を上方向又は下方向に3cmスクロール(スライド)させたときに、指のスライド操作の速度の半分の速度で、画面が上方向又は下方向に10行分スクロールする」ように変更してもよい。この例では、利用量が閾値を超えた後のスクロール速度が、利用量が閾値を超える前のスクロール速度の半分となるように制御されている。
【0024】
或いは、制御部13は、スクロール幅及びスクロール速度の両方を変更してもよい。例えば、制御部13は、利用量が閾値を超えた場合に、スクロール幅及びスクロール速度の両方を半分にしてもよい。
【0025】
上記のように、利用量が閾値を超えた場合に、スクロール操作性(スクロール幅及びスクロール速度の少なくとも一方)を低下させることにより、ユーザ端末10の操作性を低下させ、ユーザ端末10の円滑な利用を阻害することができる。その結果、利用量が閾値を超えた後に、ユーザ端末10の利用の中断を効果的にユーザに促すことができ、ユーザ端末10の長時間利用を効果的に抑制することができる。
【0026】
また、例えば図2に示されるように、制御部13は、利用量の閾値dに対する超過度合いが大きい程、第2スクロール操作性に対して第1スクロール操作性を低下させる度合いを大きくしてもよい。例えば、制御部13は、図2の第1パターンに示されるように、利用量の閾値dに対する超過度合い(すなわち、「利用量-閾値d」)が大きくなるにつれて、スクロール幅を線形に徐々に減少させてもよい。或いは、制御部13は、図2の第2パターンに示されるように、利用量の閾値dに対する超過度合いが大きくなるにつれて、スクロール幅を非線形に徐々に減少させてもよい。また、制御部13は、利用量が閾値を超えた後のスクロール幅をW1と表し、利用量が閾値を超える前のスクロール幅(すなわち、設定値)をW2と表し、利用量の閾値dに対する超過度合いをXと表した場合、下記式(1)に基づいて、W1を設定してもよい。
式(1):W1=W2/(X+1)
【0027】
上記のように、利用量の閾値dに対する超過度合いが大きくなるにつれて、スクロールの操作性の低下幅を大きくすることにより、利用量が閾値を超過した後もユーザ端末10の利用を継続するユーザに対して、ユーザ端末10を中断することを効果的に促すことができる。
【0028】
(操作制御の第2例)
制御部13は、利用量が閾値を超えた後に所定の処理の実行を指示するユーザ操作が行われた場合に当該所定の処理が実行されるまでの第1期間を、利用量が閾値を超える前に当該所定の処理の実行を指示するユーザ操作が行われた場合に当該所定の処理が実行されるまでの第2期間よりも長くすることにより、ユーザ端末10の操作性を低下させる。
【0029】
所定の処理の例としては、画面上に表示されたコンテンツのアイコンを選択(タップ)する操作が実行された後に当該アイコンに対応するコンテンツを起動する処理、ユーザによる文字入力操作がされた場合に入力された文字を画面上に反映させる処理、ウェブブラウザによってWebページ閲覧中に他のWebページへのリンクがクリックされた場合に当該他のWebページの情報を画面上に表示する処理等が挙げられる。すなわち、操作制御の第2例において、制御部13は、ユーザ操作が行われてから当該ユーザ操作に応じた所定の処理が実行(反映)されるまでの応答速度(レスポンス)を、利用量が閾値を超える前の応答速度よりも低下させる。
【0030】
例えば、図3に示されるように、制御部13は、ユーザ端末10の画面上に表示されたコンテンツのアイコンがタップされた場合に当該コンテンツの起動が完了するまでの時間を、利用量が閾値を超える前後で異ならせてもよい。図3の例では、利用量が閾値を超える前には、コンテンツのアイコンがタップされた時点t1から期間T(第2期間)が経過した時点t2において、コンテンツの起動が完了する。一方、利用量が閾値を超えた後には、制御部13は、コンテンツが選択されてから当該コンテンツの起動が完了するまでの時間を、期間ΔTだけあえて遅くする。その結果、利用量が閾値を超えた後には、コンテンツのアイコンがタップされた時点t1から期間T+ΔT(第1期間)が経過した時点t3において、コンテンツの起動が完了することになる。
【0031】
上記のように、利用量が閾値を超えた場合に、所定の処理(上記例ではコンテンツの起動処理)の応答速度(レスポンス)を低下させることにより、ユーザ端末10の操作性を低下させ、ユーザ端末10の円滑な利用を阻害することができる。その結果、利用量が閾値を超えた後に、ユーザ端末10の利用の中断を効果的にユーザに促すことができ、ユーザ端末10の長時間利用を効果的に抑制することができる。
【0032】
また、制御部13は、利用量の閾値に対する超過度合い(すなわち、「利用量-閾値」)が大きい程、第2期間(図3の例では「T」)に対して第1期間(図3の例では「T+ΔT」)を長くする度合いを大きくしてもよい。例えば、制御部13は、利用量の閾値に対する超過度合いが大きくなるにつれて、利用量が閾値を超えた場合のペナルティ期間であるΔTを徐々に大きくしてもよい。例えば、制御部13は、下記式(2)に基づいてΔTを決定してもよい。下記式(2)において、「X」は、利用量の閾値に対する超過度合いを表しており、「a」及び「k」は任意の正数を表している。
式(2):ΔT=aX+k
【0033】
上記のように、利用量の閾値に対する超過度合いが大きくなるにつれて、所定の処理の応答性能の低下幅を大きくすることにより、利用量が閾値を超過した後もユーザ端末10の利用を継続するユーザに対して、ユーザ端末10を中断することを効果的に促すことができる。
【0034】
次に、図4を参照して、ユーザ端末10の動作の一例(実施形態に係る情報処理方法を含む)について説明する。
【0035】
ステップS1において、利用量取得部12は、例えば、記憶部11にアクセスすることにより、所定期間におけるユーザによるユーザ端末10の利用量を示す情報(例えば、利用時間、利用回数等)を取得する。
【0036】
ステップS2において、制御部13は、制御対象のユーザ操作(例えば、スクロール操作、コンテンツのアイコンを選択してコンテンツを起動させる操作等)が実行されたか否かを判定する。制御対象のユーザ操作が実行された場合(ステップS2:YES)、制御部13は、ステップS3の処理に進む。一方、制御対象のユーザ操作が実行されていない場合(ステップS2:NO)、制御対象のユーザ操作が実行されるまでステップS3の処理は実行されない。
【0037】
ステップS3において、制御部13は、利用量が閾値を超えているか否かを判定する。利用量が閾値を超えている場合(ステップS3:YES)、制御部13は、ステップS4の処理を実行する。一方、利用量が閾値を超えていない場合(ステップS3:NO)、制御部13は、ステップS5の処理を実行する。
【0038】
ステップS4において、制御部13は、制御対象操作を通常よりも低い操作性で実行する。例えば、制御対象操作として画面をスクロールさせるスクロール操作が実行された場合、制御部13は、上述した操作制御の第1例を実行してもよい。すなわち、制御部13は、スクロール操作性(スクロール幅及びスクロール速度の少なくとも一方)を、利用量が閾値を超える前のスクロール操作性よりも低下させてもよい。また、制御対象操作としてコンテンツのアイコンを選択してコンテンツを起動させる操作が実行された場合、制御部13は、上述した操作制御の第2例を実行してもよい。すなわち、制御部13は、コンテンツのアイコンが選択されてから当該コンテンツの起動が完了するまでの起動時間を、利用量が閾値を超える前の起動時間よりも長くしてもよい。
【0039】
ステップS5において、制御部13は、制御対象操作を通常の操作性で実行する。すなわち、制御部13は、ステップS4のような操作性をあえて低下させる制御を実行することなく、制御対象操作を実行する。
【0040】
以上説明したユーザ端末10においては、ユーザ端末10の利用量が閾値を超えた場合に、ユーザ端末10の操作性が低下するように制御される。このように、利用量が閾値を超えたことに対するペナルティとして、ユーザ端末10の使い勝手をあえて低下させることにより、ユーザ端末10の利用を中断することをユーザに促すことができる。一方、利用量が閾値を超えた後も、ユーザ端末10の操作性が低下するものの、ユーザ端末10を利用すること自体は強制的には禁止されない。従って、ユーザは、利用量が閾値を超過した後もユーザ端末10を利用せざるを得ない特別な事情がある場合には、ユーザ端末10の利用を継続することができる。以上により、ユーザ端末10によれば、ユーザの作業に大きな支障を生じさせることなく、ユーザ端末10の長時間利用を効果的に抑制することができる。
【0041】
なお、上記実施形態の説明に用いたブロック図は、機能単位のブロックを示している。これらの機能ブロック(構成部)は、ハードウェア及びソフトウェアの少なくとも一方の任意の組み合わせによって実現される。また、各機能ブロックの実現方法は特に限定されない。すなわち、各機能ブロックは、物理的又は論理的に結合した1つの装置を用いて実現されてもよいし、物理的又は論理的に分離した2つ以上の装置を直接的又は間接的に(例えば、有線、無線などを用いて)接続し、これら複数の装置を用いて実現されてもよい。機能ブロックは、上記1つの装置又は上記複数の装置にソフトウェアを組み合わせて実現されてもよい。
【0042】
機能には、判断、決定、判定、計算、算出、処理、導出、調査、探索、確認、受信、送信、出力、アクセス、解決、選択、選定、確立、比較、想定、期待、見做し、報知(broadcasting)、通知(notifying)、通信(communicating)、転送(forwarding)、構成(configuring)、再構成(reconfiguring)、割り当て(allocating、mapping)、割り振り(assigning)などがあるが、これらに限られない。
【0043】
例えば、本開示の一実施の形態におけるユーザ端末10は、本開示の情報処理方法を行うコンピュータとして機能してもよい。図5は、本開示の一実施の形態に係るユーザ端末10のハードウェア構成の一例を示す図である。ユーザ端末10は、物理的には、プロセッサ1001、メモリ1002、ストレージ1003、通信装置1004、入力装置1005、出力装置1006、バス1007などを含むコンピュータ装置として構成されてもよい。
【0044】
なお、以下の説明では、「装置」という文言は、回路、デバイス、ユニットなどに読み替えることができる。ユーザ端末10のハードウェア構成は、図5に示した各装置を1つ又は複数含むように構成されてもよいし、一部の装置を含まずに構成されてもよい。
【0045】
ユーザ端末10における各機能は、プロセッサ1001、メモリ1002などのハードウェア上に所定のソフトウェア(プログラム)を読み込ませることによって、プロセッサ1001が演算を行い、通信装置1004による通信を制御したり、メモリ1002及びストレージ1003におけるデータの読み出し及び書き込みの少なくとも一方を制御したりすることによって実現される。
【0046】
プロセッサ1001は、例えば、オペレーティングシステムを動作させてコンピュータ全体を制御する。プロセッサ1001は、周辺装置とのインターフェース、制御装置、演算装置、レジスタなどを含む中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)によって構成されてもよい。
【0047】
また、プロセッサ1001は、プログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュール、データなどを、ストレージ1003及び通信装置1004の少なくとも一方からメモリ1002に読み出し、これらに従って各種の処理を実行する。プログラムとしては、上述の実施の形態において説明した動作の少なくとも一部をコンピュータに実行させるプログラムが用いられる。例えば、ユーザ端末10の各機能部(例えば、制御部13等)は、メモリ1002に格納され、プロセッサ1001において動作する制御プログラムによって実現されてもよく、他の機能ブロックについても同様に実現されてもよい。上述の各種処理は、1つのプロセッサ1001によって実行される旨を説明してきたが、2以上のプロセッサ1001により同時又は逐次に実行されてもよい。プロセッサ1001は、1以上のチップによって実装されてもよい。なお、プログラムは、電気通信回線を介してネットワークから送信されても良い。
【0048】
メモリ1002は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、RAM(Random Access Memory)などの少なくとも1つによって構成されてもよい。メモリ1002は、レジスタ、キャッシュ、メインメモリ(主記憶装置)などと呼ばれてもよい。メモリ1002は、本開示の一実施の形態に係る情報処理方法を実施するために実行可能なプログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュールなどを保存することができる。
【0049】
ストレージ1003は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、CD-ROM(Compact Disc ROM)などの光ディスク、ハードディスクドライブ、フレキシブルディスク、光磁気ディスク(例えば、コンパクトディスク、デジタル多用途ディスク、Blu-ray(登録商標)ディスク)、スマートカード、フラッシュメモリ(例えば、カード、スティック、キードライブ)、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気ストリップなどの少なくとも1つによって構成されてもよい。ストレージ1003は、補助記憶装置と呼ばれてもよい。上述の記憶媒体は、例えば、メモリ1002及びストレージ1003の少なくとも一方を含むデータベース、サーバその他の適切な媒体であってもよい。
【0050】
通信装置1004は、有線ネットワーク及び無線ネットワークの少なくとも一方を介してコンピュータ間の通信を行うためのハードウェア(送受信デバイス)であり、例えばネットワークデバイス、ネットワークコントローラ、ネットワークカード、通信モジュールなどともいう。
【0051】
入力装置1005は、外部からの入力を受け付ける入力デバイス(例えば、キーボード、マウス、マイクロフォン、スイッチ、ボタン、センサなど)である。出力装置1006は、外部への出力を実施する出力デバイス(例えば、ディスプレイ、スピーカ、LEDランプなど)である。なお、入力装置1005及び出力装置1006は、一体となった構成(例えば、タッチパネル)であってもよい。
【0052】
また、プロセッサ1001、メモリ1002などの各装置は、情報を通信するためのバス1007によって接続される。バス1007は、単一のバスを用いて構成されてもよいし、装置間ごとに異なるバスを用いて構成されてもよい。
【0053】
また、ユーザ端末10は、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP:Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などのハードウェアを含んで構成されてもよく、当該ハードウェアにより、各機能ブロックの一部又は全てが実現されてもよい。例えば、プロセッサ1001は、これらのハードウェアの少なくとも1つを用いて実装されてもよい。
【0054】
以上、本実施形態について詳細に説明したが、当業者にとっては、本実施形態が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本実施形態は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本実施形態に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【0055】
本開示において説明した各態様/実施形態の処理手順、シーケンス、フローチャートなどは、矛盾の無い限り、順序を入れ替えてもよい。例えば、本開示において説明した方法については、例示的な順序を用いて様々なステップの要素を提示しており、提示した特定の順序に限定されない。
【0056】
入出力された情報等は特定の場所(例えば、メモリ)に保存されてもよいし、管理テーブルを用いて管理してもよい。入出力される情報等は、上書き、更新、又は追記され得る。出力された情報等は削除されてもよい。入力された情報等は他の装置へ送信されてもよい。
【0057】
判定は、1ビットで表される値(0か1か)によって行われてもよいし、真偽値(Boolean:true又はfalse)によって行われてもよいし、数値の比較(例えば、所定の値との比較)によって行われてもよい。
【0058】
本開示において説明した各態様/実施形態は単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよいし、実行に伴って切り替えて用いてもよい。また、所定の情報の通知(例えば、「Xであること」の通知)は、明示的に行うものに限られず、暗黙的(例えば、当該所定の情報の通知を行わない)ことによって行われてもよい。
【0059】
ソフトウェアは、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、ハードウェア記述言語と呼ばれるか、他の名称で呼ばれるかを問わず、命令、命令セット、コード、コードセグメント、プログラムコード、プログラム、サブプログラム、ソフトウェアモジュール、アプリケーション、ソフトウェアアプリケーション、ソフトウェアパッケージ、ルーチン、サブルーチン、オブジェクト、実行可能ファイル、実行スレッド、手順、機能などを意味するよう広く解釈されるべきである。
【0060】
また、ソフトウェア、命令、情報などは、伝送媒体を介して送受信されてもよい。例えば、ソフトウェアが、有線技術(同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア、デジタル加入者回線(DSL:Digital Subscriber Line)など)及び無線技術(赤外線、マイクロ波など)の少なくとも一方を使用してウェブサイト、サーバ、又は他のリモートソースから送信される場合、これらの有線技術及び無線技術の少なくとも一方は、伝送媒体の定義内に含まれる。
【0061】
本開示において説明した情報、信号などは、様々な異なる技術のいずれかを使用して表されてもよい。例えば、上記の説明全体に渡って言及され得るデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、シンボル、チップなどは、電圧、電流、電磁波、磁界若しくは磁性粒子、光場若しくは光子、又はこれらの任意の組み合わせによって表されてもよい。
【0062】
また、本開示において説明した情報、パラメータなどは、絶対値を用いて表されてもよいし、所定の値からの相対値を用いて表されてもよいし、対応する別の情報を用いて表されてもよい。
【0063】
上述したパラメータに使用する名称はいかなる点においても限定的な名称ではない。さらに、これらのパラメータを使用する数式等は、本開示で明示的に開示したものと異なる場合もある。様々な情報要素は、あらゆる好適な名称によって識別できるので、これらの様々な情報要素に割り当てている様々な名称は、いかなる点においても限定的な名称ではない。
【0064】
本開示において使用する「に基づいて」という記載は、別段に明記されていない限り、「のみに基づいて」を意味しない。言い換えれば、「に基づいて」という記載は、「のみに基づいて」と「に少なくとも基づいて」の両方を意味する。
【0065】
本開示において使用する「第1の」、「第2の」などの呼称を使用した要素へのいかなる参照も、それらの要素の量又は順序を全般的に限定しない。これらの呼称は、2つ以上の要素間を区別する便利な方法として本開示において使用され得る。したがって、第1及び第2の要素への参照は、2つの要素のみが採用され得ること、又は何らかの形で第1の要素が第2の要素に先行しなければならないことを意味しない。
【0066】
本開示において、「含む(include)」、「含んでいる(including)」及びそれらの変形が使用されている場合、これらの用語は、用語「備える(comprising)」と同様に、包括的であることが意図される。さらに、本開示において使用されている用語「又は(or)」は、排他的論理和ではないことが意図される。
【0067】
本開示において、例えば、英語でのa, an及びtheのように、翻訳により冠詞が追加された場合、本開示は、これらの冠詞の後に続く名詞が複数形であることを含んでもよい。
【0068】
本開示において、「AとBが異なる」という用語は、「AとBが互いに異なる」ことを意味してもよい。なお、当該用語は、「AとBがそれぞれCと異なる」ことを意味してもよい。「離れる」、「結合される」などの用語も、「異なる」と同様に解釈されてもよい。
【符号の説明】
【0069】
10…ユーザ端末、11…記憶部、12…利用量取得部、13…制御部。
図1
図2
図3
図4
図5