(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-28
(45)【発行日】2025-04-07
(54)【発明の名称】支持具、保管装置及び補助体
(51)【国際特許分類】
A61G 17/08 20060101AFI20250331BHJP
E04H 13/00 20060101ALI20250331BHJP
【FI】
A61G17/08 L
E04H13/00 F
(21)【出願番号】P 2024024024
(22)【出願日】2024-02-20
(62)【分割の表示】P 2020038057の分割
【原出願日】2020-03-05
【審査請求日】2024-02-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000201582
【氏名又は名称】前澤化成工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【氏名又は名称】山田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】野口 大輝
(72)【発明者】
【氏名】椎名 理一
【審査官】望月 寛
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-221670(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61G 17/08
E04H 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地中内の保管空間に保管される
複数の遺骨類収納容器を
当該複数の遺骨類収納容器が上下方向に並ぶように支持可能な支持体
に対して着脱可能で、かつ、前記支持体を前記保管空間に対して出し入れする際に利用される補助体であって、
前記支持体の複数の棒状部材の上端部がそれぞれ下方から差し込まれる複数の筒状部と、
前記筒状部同士を連結する複数の棒状部と
を備えることを特徴とする補助体。
【請求項2】
地中内の保管空間に保管される複数の遺骨類収納容器を当該複数の遺骨類収納容器が上下方向に並ぶように支持可能な支持体に対して着脱可能で、かつ、前記支持体を前記保管空間に対して出し入れする際に利用される平面視で二等辺三角形状の補助体であって、
前記支持体の3本の棒状部材の上端部がそれぞれ下方から差し込まれる3つの筒状部と、
前記筒状部同士を連結する3本の棒状部とを備え、
前記3本の棒状部のうち中央側の棒状部は、他の同じ長さの2本の棒状部よりも長く、かつ、平面視で前記支持体の底板の中心点を通る仮想中央線と一致する
ことを特徴とする補助体。
【請求項3】
3本の棒状部のうち中央側の棒状部の長手方向中央部には、支持体を昇降させるための昇降装置の係合部が引っ掛けられる
ことを特徴とする請求項2記載の補助体。
【請求項4】
補助体が支持体の3本の棒状部材の上端部に取り付けられた場合において、前記3本の棒状部材が前記補助体によって位置決め固定されて鉛直姿勢に維持されたときには、前記3本の棒状部材のうち中央側の棒状部の両端側に連結された2本の棒状部材間の離間距離が遺骨類収納容器の外径寸法よりも大きく、その遺骨類収納容器を側方への水平移動により前記支持体から取り出すことが可能である
ことを特徴とする請求項2又は3記載の補助体。
【請求項5】
地中内の保管空間に保管される複数の遺骨類収納容器を当該複数の遺骨類収納容器が上下方向に並ぶように支持可能な支持体に対して着脱可能で、かつ、前記支持体を前記保管空間に対して出し入れする際に利用される平面視でT字状の補助体であって、
前記支持体の3本の棒状部材の上端部がそれぞれ下方から差し込まれる3つの筒状部と、
前記3つの筒状部のうち2つの筒状部同士を連結する中央側の棒状部と、
前記中央側の棒状部よりも短く、かつ、前記3つの筒状部のうち残りの1つの筒状部と前記中央側の棒状部の長手方向中央部とを連結する棒状部と
を備えることを特徴とする補助体。
【請求項6】
支持体を昇降させるための昇降装置の係合部が引っ掛けられる環状部を備え、
前記環状部は、中央側の棒状部の長手方向中央部に設けられている
ことを特徴とする請求項5記載の補助体。
【請求項7】
地中内で保管される遺骨類収納容器を支持する支持具であって、
地中内の保管空間に保管される
複数の遺骨類収納容器を
当該複数の遺骨類収納容器が上下方向に並ぶように支持可能な支持体と、
前記支持体に対して着脱可能で、かつ、前記支持体を前記保管空間に対して出し入れする際に利用される請求項1ないし6のいずれか一記載の補助体と
を備えることを特徴とする支持具。
【請求項8】
地中内で遺骨類収納容器を保管する保管装置であって、
地中内に埋設される埋設筒と、
前記埋設筒内の保管空間に遺骨類収納容器とともに保管される請求項7記載の支持具と、
前記埋設筒の上面開口部を開閉する開閉蓋と
を具備することを特徴とする保管装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遺骨類収納容器を支持する支持具並びにこれを用いる保管装置及び補助体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば下記の特許文献1に記載された樹林葬用容器が知られている。この樹林葬用容器は、遺骨を入れるための開口を有して内部に遺骨を収容可能な内容器本体と、前記開口を開閉可能に閉塞する上蓋とを有する内容器を2以上備えるとともに、垂直方向に起立する筒状の周壁と、当該周壁によって囲まれる収納空間の底面部を閉塞する底板と、前記収納空間の天面部を開閉可能に閉塞する外蓋とを有して、前記2以上の内容器を垂直方向に重ねて前記収納空間に収納できるようにした外容器を備えた構成である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の構成では、地中内に保管された状態で、外容器と内容器とのクリアランスが小さいこと、深度が深ければ手が届かないおそれがあることや、内容器が重いこと等から、外容器内に上下方向に重なった状態で収納された内容器(骨壷等)を取り出すことができないおそれがある。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、地中内で保管されていた遺骨類収納容器を取り出すことができる支持具、保管装置及び補助体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る補助体は、保管空間に保管される遺骨類収納容器を支持可能な支持体を、前記保管空間に対して出し入れする際に利用される補助体であって、前記支持体に対して着脱可能であるものである。
【0007】
また、本発明に係る支持具は、地中内で保管される遺骨類収納容器を支持する支持具であって、地中内の保管空間に保管される遺骨類収納容器を支持可能な支持体と、前記支持体を前記保管空間に対して出し入れする際に利用される前記補助体とを備えるものである。
【0008】
さらに、本発明に係る保管装置は、地中内で遺骨類収納容器を保管する保管装置であって、地中内に埋設される埋設筒と、前記埋設筒内の保管空間に遺骨類収納容器とともに保管される前記支持具と、前記埋設筒の上面開口部を開閉する開閉蓋とを具備するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、地中内で保管されていた遺骨類収納容器を取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施の形態に係る保管装置の一部切欠き斜視図である。
【
図2】同上保管装置(補助体の取付状態)の断面図である。
【
図3】(a)及び(b)は骨壷(3個の例)の保管状態を示す図である。
【
図5】(a)ないし(f)は骨壷を収納(保管)する場合の説明図である。
【
図6】(a)ないし(g)は骨壷を取り出す場合の説明図である。
【
図7】(a)及び(b)は底板の変形例を示す図である。
【
図8】(a)及び(b)はスペーサの変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
【0012】
図1ないし
図3において、1は樹木葬用の保管装置で、この保管装置1は、樹木葬の墓地においてその地中内で遺骨類収納容器である骨壷2を所定の保管期間(例えば最大で20年間)、保管するためのものである。
【0013】
この図示した例では、遺骨類収納容器は、死んだ人やペットの遺骨(図示せず)を収納する陶器製又は磁器製の骨壷2である。この骨壷2は、有底円筒状の壷本体3と、この壷本体3の上面開口部5を開閉する壷蓋4とを有している。壷蓋4の上面は、上方に向かって凸の球冠状に形成されている。
【0014】
保管装置1による保管対象の骨壷2の大きさは、例えば7寸と8寸であるが、図示したものは3個とも8寸である。図示しないが、7寸の骨壷2が3個の場合もあり、7寸の骨壷2と8寸の骨壷2が混在する場合もある。
【0015】
保管装置1で保管される骨壷2の個数は、例えば最大で3個である。そして、例えば下段(1個目)の骨壷2が最初に保管され、次いで中段(2個目)の骨壷2及び上段(3個目)の骨壷2が順次保管された後、例えば契約期間満了した場合、3個の骨壷2が地中内から取り出され、別の場所に移される。
【0016】
保管装置1は、樹木葬の墓地の地中内に埋設される上下面開口状で円筒状をなす埋設筒7と、この埋設筒7内に位置する地中内の保管空間10に骨壷2とともに保管されて当該骨壷2を支持する支持具8と、埋設筒7の上面開口部7aを開閉する開閉蓋9とを具備している。
【0017】
支持具8は、
図4にも示すように、樹木葬の墓地に形成された地中内の空間、すなわち例えば地中内に埋設された埋設筒7内に位置する地中内の保管空間10に対して出し入れ可能(収納及び取り出しが可能)で、かつ、複数の骨壷2をこれら複数の骨壷2が互いに近接した状態(例えば互いに接触しない非接触状態)で上下方向に並ぶように支持可能な支持体11と、この支持体11を当該支持体11にて支持された骨壷2とともに埋設筒7内の保管空間10に対して出し入れする際にのみ利用(使用)される補助体(リフト治具)12とを備えている。
【0018】
そして、補助体(着脱体)12は、支持体11に対して着脱可能なもので、支持体11の保管空間10に対する出し入れ時である使用時にのみ当該支持体11に取り付けられ、その取付状態が複数本(例えば3本)の抜止め手段である抜止めピン13によって維持される(
図2参照)。
【0019】
なお、樹木葬の墓地では所定範囲において地中内に多数(例えば100以上)の保管装置1が互いに間隔をおいて設置されるが、一の保管装置1の支持具8の補助体12及び抜止めピン13は、残りの他のすべての保管装置1でも同様に使用可能であるため、少なくとも1組あればよい。そして、共用部品である補助体12及び抜止めピン13は、湿気が多い保管空間10には保管されず、腐食防止が図られる。
【0020】
ここで、支持体11は、骨壷2を下方から支持する円板状の支持板である底板21と、この底板21に下端側が着脱可能に連結された複数本(例えば3本)の棒状部材であるシャフト(連結棒)22と、このシャフト22の上下方向中間部に着脱可能に取り付けられ、上下方向に互いに隣り合う両骨壷2間に位置して当該両骨壷2同士を非接触状態に維持する変形可能な円板状(例えばドーナツ状)の緩衝用のスペーサ(緩衝体)23とを有している。
【0021】
底板21は、7寸の骨壷(一の遺骨類収納容器)2の底部と嵌合する下側の第1嵌合凹部(嵌合凹部)26と、この第1嵌合凹部26よりも一回り大きく形成され、8寸の骨壷(一の遺骨類収納容器とは大きさが異なる他の遺骨類収納容器)2の底部と嵌合する上側の第2嵌合凹部(嵌合凹部)27とを有している。つまり、底板21の上面部には、互いに大きさが異なる2種類以上の骨壷2に対応できるように複数、すなわち例えば2つの嵌合凹部26,27が形成されている。
【0022】
底板21の外周部には、シャフト22の下端部と嵌合する長孔状の複数、すなわち例えば3つの切欠孔部28(28a,28b,28c)が周方向に間隔をおいて形成されている。3つの切欠孔部28a,28b,28cのうち2つの切欠孔部28a,28bは、底板21の中心部を中心とした対称位置に形成され、かつ、残りの1つの切欠孔部28cは、当該2つの切欠孔部28a,28bから等しい距離の位置に形成されている(
図4参照)。なお、シャフト22の下端部は、切欠孔部28から側方へ抜き出すことが可能である。
【0023】
底板21の外径寸法(直径寸法)は、埋設筒7の内径寸法よりも若干小さく、それゆえ、底板21は埋設筒7内に対して挿入出可能である。そして、この底板21によって埋設筒7の下面開口部7bの一部が閉鎖される。
【0024】
シャフト22は、上端部にピン用孔部31を有し、このピン用孔部31には補助体12の使用時に抜止めピン13が着脱可能に取り付けられる。また、シャフト22は、底板21の下面のうち切欠孔部28の周辺に位置する部分と当接する膨出状の当接部である短脚部32を下端部に有している。この当接部32は切欠孔部28を通過しないように膨出状に形成されている。そして、この短脚部(載置部)32は、地中のコンクリート板(慣らしコン)33の水抜き用孔部(水溜り対策のための孔部)34に位置するように敷設された砕石部35の上面(水平状の被載置面)に載置される(
図3参照)。
【0025】
なお、埋設筒7内において生じる水溜りは、底板21の切欠孔部28を通って底板21の下面と砕石部35の上面との間の空間部36に流れ込み、その後、砕石部35における砕石間の隙間を通って土中に浸透する。例えば図示しないが、底板21の中央部に水抜き用の孔部を形成してもよい。また
図3に示すように、地中内に埋設された保管装置1の上方の地面には、地中の保管装置1を特定するための目印用の石(例えば名前等の文字が表面に刻印された石)37が置かれる。
【0026】
スペーサ23は、骨壷2の上面の中央部(壷蓋4の一部)が入り込む円形状の中央孔部41を中央部に有し、かつ、シャフト22の中間部と嵌合する長孔状の複数、すなわち例えば3つの切欠孔部42(42a,42b,42c)を外周部に有している。
【0027】
スペーサ23の3つの切欠孔部42a,42b,42cは、底板21のものと同様、それらのうち2つの切欠孔部42a,42bは、スペーサ23の中心部を中心とした対称位置に形成され、かつ、残りの1つの切欠孔部42cは、当該2つの切欠孔部42a,42bから等しい距離の位置に形成されている。そして、シャフト22の中間部は、切欠孔部42から側方へ抜き出すことが可能である。また、スペーサ23は変形可能(例えば弾性変形可能)であるため、補助体12の使用時に当該補助体12によって3本のシャフト22が所定位置に位置決め固定された場合であっても、スペーサ23を側方へ取り出す(引き抜く)ことが可能であり、スペーサ23を側方からシャフト22に取り付けることも可能である。
【0028】
スペーサ23の外径寸法(直径寸法)は、底板21の外径寸法と同じで、埋設筒7の内径寸法よりも若干小さく、それゆえ、スペーサ23は埋設筒7内に対して挿入出可能である。そして、この緩衝手段としてのスペーサ23は、支持体11で骨壷2を2個以上支持する場合に上下に隣り合う両骨壷2間に設置されて使用されるもので、2個のときは1枚使用され、3個のときは2枚使用される。そしてスペーサ23が互いに隣り合う両骨壷2間にそれらに挟持されて位置することで、上下に隣接する骨壷2同士は互いに直接接触せず、非接触状態が維持される。
【0029】
補助体12は、例えば平面視で二等辺三角形状をなす三角状に形成されたもので、3つの円筒状の筒状部51と、これら筒状部51同士を連結する3本の丸棒状の棒状部52とを有している。3本の棒状部52のうち中央側の棒状部52は、他の同じ長さの2本の棒状部52よりも長く、平面視で底板21の中心点を通る仮想中央線と一致する。
【0030】
そして、補助体12の使用時には、筒状部51内にシャフト22が下方から挿通され、このシャフト22の上端部のピン用孔部31に抜止めピン13が差し込まれる。こうして、補助体12は支持体11の3本のシャフト22に取り付けられて一体化し、その後、中央側の棒状部52の長手方向中央部(被係合部)には、支持具8を昇降させるための昇降装置55のフック(係合部)56が引っ掛けられる。昇降装置55は、例えば駆動式又は手動式のウインチ等である。
【0031】
なお、補助体12が3本のシャフト22の上端部に取り付けられた場合には、3本のシャフト22は補助体12によって位置決め固定されて鉛直姿勢を維持するが、これら3本のシャフト22のうち中央側の棒状部52の両端側に連結された2本のシャフト22間の離間距離は、骨壷2の外径寸法よりも大きい。このため、骨壷2を側方への水平移動により支持体11から取り出すことができる。
【0032】
また一方、埋設筒7は、例えばPVC等の合成樹脂製のパイプ(VU300)によって構成されている。補助体12及び抜止めピン13は、例えばSUS等の金属製である。底板21、シャフト22及び開閉蓋9は、例えばPVC等の合成樹脂製である。スペーサ23は、例えば発泡ポリエチレン等の発泡材料(緩衝機能を有する材料)からなるものである。
【0033】
なお、スペーサ23は、弾性変形可能なものが好ましく、例えば比較的柔軟なゴム製のものや、ウレタンチップからなるもの等でもよい。また、補助体12及び抜止めピン13をPVC等の合成樹脂で形成して支持体11と一緒に地中の保管空間10に収納するようにしてもよい。
【0034】
次に、
図5を参照しつつ、骨壷2を保管空間10に収納(保管)する場合について説明する。
【0035】
樹木葬の墓地の地中には、開閉蓋9を装着した埋設筒7が埋設されることにより、予め多くの保管空間10が形成されている。
【0036】
そして、まず
図5(a)の如く保管すべき納骨場所の保管空間10の上方にあった石37をずらした後、
図5(b)の如く開閉蓋9の周囲を掘って穴60を形成し、その後、
図5(c)の如く開閉蓋9を埋設筒7から取り外す。
【0037】
次いで、
図5(d)に示すように、遺骨(遺骨類)を収納した骨壷2を支持具8の支持体11の底板21上に嵌合載置することにより、当該骨壷2を支持体11によって支持する。また、支持具8の補助体12を支持体11のシャフト22の上端部に抜止めピン13で抜け出ないようにして装着する。
【0038】
次いで、
図5(e)に示すように、フック56を補助体12の中央側の棒状部52に引っ掛けた後、昇降装置55の作動により、骨壷2を支持した支持体11を持ち上げて保管空間10の上方位置まで移動させ、続いて、当該支持体11を下降させて埋設筒7内に挿入し、3本のシャフト22の下端部の短脚部32を砕石部35の上面である被載置面に載置する。
【0039】
そして、補助体12を支持体11のシャフト22の上端部から取り外してから、開閉蓋9を埋設筒7の上端部に取り付けた後、当該開閉蓋9の周囲を埋め戻す。こうして、1個の骨壷2がこれを支持した支持体11とともに埋設筒7内の保管空間10に収納されて保管される。
【0040】
なお、例えば骨壷2を2個保管する場合には、
図5(f)に示すように、スペーサ23をシャフト22の所定位置に取り付けて1個目の骨壷2上に載置した後、当該スペーサ23上に2個目の骨壷2を載置すればよい。また、3個の場合も同様で、スペーサ23をもう一枚用意してシャフト22の所定位置に取り付けて2個目の骨壷2上に載置した後、当該スペーサ23上に3個目の骨壷2を載置すればよく、これら3個の骨壷2を地中内の保管空間10に保管した状態が
図3の状態である。
【0041】
次に、
図6を参照しつつ、当該
図3の如く地中内で3個保管されている骨壷2を保管空間10から取り出す場合(例えば契約期間が満了した際)について説明する。
【0042】
まず、
図6(a)に示すように、対象の保管空間10の上方にあった石37をずらした後、開閉蓋9の周囲を掘って穴60を形成し、開閉蓋9を埋設筒7から取り外す。
【0043】
次いで、
図6(b)に示すように、支持具8の補助体12を支持体11のシャフト22の上端部に抜止めピン13で抜け出ないようにして装着し、この装着した補助体12の中央側の棒状部に昇降装置55のフック56を引っ掛ける。
【0044】
次いで、
図6(c)に示すように、昇降装置55の作動により、骨壷2を3個支持した支持体11(例えば合計の重さが約30kg)を鉛直上方へ上昇させ、上段の骨壷2の下面が地面と一致(略一致を含む。以下でも同様)した状態で停止させる。
【0045】
この停止状態で、作業者は、上段の骨壷2を手で持って水平移動させることにより、当該骨壷2を支持体11のスペーサ23上から側方へ取り出す。続いて作業者は、
図6(d)に示すように、同様に中段の骨壷2上にあったスペーサ23をシャフト22から取り外す。
【0046】
次いで、
図6(e)に示すように、昇降装置55の作動により、骨壷2を2個支持した支持体11を鉛直上方へ上昇させ、中段の骨壷2の下面が地面と一致した状態で停止させる。
【0047】
この停止状態で、作業者は、中段の骨壷2を手で持って水平移動させることにより、当該骨壷2を支持体11のスペーサ23上から側方へ取り出す。続いて作業者は、
図6(f)に示すように、下段の骨壷2上にあったスペーサ23をシャフト22から取り外す。
【0048】
次いで、
図6(g)に示すように、昇降装置55の作動により、骨壷2を1個支持した支持体11を鉛直上方へ上昇させ、下段の骨壷2の下面が地面と一致した状態で停止させる。
【0049】
この停止状態で、作業者は、下段の骨壷2を手で持って水平移動させることにより、当該骨壷2を支持体11の底板21上から側方へ取り出す。
【0050】
こうして、地中内の保管空間10に保管されていた3個の骨壷2の取り出し作業が完了する。なおこの図示した方法以外に、例えば昇降装置55の作動により、3個の骨壷2を支持した支持体11を下段の骨壷2の下面が地面と一致する状態まで一気に上昇させてから骨壷2の取り出しを行うことも可能である。また、例えば昇降装置(移送装置)55を用いて骨壷2を支持した支持具8を持ち上げて所定位置まで移送するようにしてもよい。なお、この保管装置1では骨壷2を3個まで保管可能であるため、最大で3回、支持体11を持ち上げる場合がある。
【0051】
そして、上述した保管装置1によれば、従来の構成とは異なり、樹木葬の墓地の地中内の保管空間10に保管されていた骨壷2をその保管空間10から容易に取り出すことができる。特に、この保管装置1の支持具8では、骨壷2の水平移動(横移動)によって当該骨壷2を支持体11から出すことができるため、骨壷2をより一層容易に取り出すことができ、また支持体11への骨壷2のセットも容易である。
【0052】
また、支持体11は、骨壷2の底部と嵌合する嵌合凹部26,27が形成された底板21を有するため、骨壷2の位置ずれを防止でき、よって例えば地震時等における骨壷2の損傷防止を図ることができる。
【0053】
さらに、支持体11は、上下方向に互いに隣り合う両骨壷2間に設置されて両骨壷2を非接触状態に維持するスペーサ23を有するため、骨壷2の損傷防止をより効果的に図ることができる。
【0054】
つまり、従来の構成では外容器内に上下方向に重なった状態で収納された内容器(骨壷等)が互いに接触しているため、地震時等に内容器(骨壷等)が損傷するおそれがあるが、本実施形態の構成ではスペーサ23を用いることで、骨壷2の損傷防止を図ることができる。
【0055】
なお、支持体11の底板21は、PVC等の合成樹脂のみで一体に形成されたものには限定されず、例えば
図7(a)及び(b)に示すように、熱可塑性樹脂等の樹脂材料からなる下面部(硬質部)21aと、この下面部21aの上面側に接着又は一体成形等で設けられた発泡スチロールや発泡ポリエチレン等の発泡材料(緩衝機能を有する材料)からなる上面部(軟質部)21bとで構成されたものでもよい。そして、上面部21bには、互いに大きさが異なる複数の骨壷2に対応できるように複数の嵌合凹部26,27が形成されている。なお、底板21の材質については、金属等を使用してもよく、例えば錆に強いステンレス等を使用してもよい。
【0056】
また、支持体11のスペーサ23は、例えば
図8(a)及び(b)に示すように、骨壷2の底部と嵌合する嵌合凹部61を上面側に有するものでもよい。また、このスペーサ23の下面23aは、上方に向かって凸の球冠状をなす壷蓋4の上面と密着する曲面形状に形成されている。ただし、壷蓋4の形状等によっては、上面側と同様、骨壷2の上部と嵌合する嵌合凹部を下面側に形成してもよい。なお、例えばスペーサの上面部及び下面部の少なくともいずれか一方に互いに大きさが異なる複数の骨壷に対応できるように複数の嵌合凹部を形成してもよい。また、例えば底板と下段の骨壷との間にスペーサを設置したり、上段の骨壷上にスペーサを設置したりしてもよい。
【0057】
さらに、支持体11は、例えば
図9に示すように、側方に向かって開口状の切欠孔部28,42の代わりに、シャフト22が挿通される丸孔状の挿通孔部66,67が形成された底板21及びスペーサ23を有するものでもよい。この底板21の3つの挿通孔部66a,66b,66cの位置関係は切欠孔部28a,28b,28cと同じであり、このスペーサ23の3つの挿通孔部67a,67b,67cの位置関係は切欠孔部42a,42b,42cと同じである。なお、例えば持ち上げ時の吊りバランスが良好となるように、切欠孔部や挿通孔部等の複数の孔部を周方向に等間隔(例えば3つの孔部の場合は120度間隔、例えば4つの孔部の場合は90度間隔)に並ぶように形成してもよい。
【0058】
また、例えば
図10に示すように、支持体11を水平状の被載置面(地面や砕石部35の上面等)に載置した際に当該支持体11の姿勢(底板21の水平姿勢)が維持されるように、シャフト22の下端部の短脚部32と同形状をなす短脚部(姿勢維持部)70を底板21の下面に突設してもよい。そして、4つの短脚部32,32,32,70は、底板21の下面の外周側において周方向に等間隔(90度間隔)で並んでおり、その結果、被載置面への支持体11の載置時に底板21の水平姿勢が一定に維持される。また、この底板21では90度間隔の4箇所に均等に応力分散されるため、荷重による変位を抑制でき、耐久性が良好であり、例えば20年間という長期間にわたって骨壷を安定して支持できる。なお、底板21に追加した姿勢維持部としての短脚部70は、他の短脚部32と同形状である必要はなく、同じ高さ寸法であれば、例えば円柱状や角柱状等、異なる形状でもよい。
【0059】
さらに、補助体12は、平面視で三角状をなすものには限定されず、例えば
図11に示すように、平面視でT字状をなすものでもよい。この
図11に示す補助体12は、中央側の長い棒状部52(52a)と、これよりも短い棒状部52(52b)と、3つの円筒状の筒状部51と、中央側の長い棒状部52(52a)の長手方向中央部に設けられた円環状の環状部(被係合部)71とを有している。そして、補助体12の使用時には、
図11の如く昇降装置55のフック56が環状部71に引っ掛けられる。このため、吊り下げ部材であるフック56の係合位置(取付位置)が分かりやすく、また、吊り下げ時に重心がとりやすく、吊り下げ状態での移送(輸送)が容易になる。
【0060】
また一方、保管装置1で保管される遺骨類収納容器は、遺骨を収納する骨壷2には限定されず、遺骨類を収納可能な容器であれば任意であり、例えば遺骨類として死んだ人やペットの遺品(思い出の品物等)を収納する容器等でもよい。また、容器の材質は、陶器製や磁器製以外に、損傷しにくい樹脂製等でもよい。
【0061】
また、保管装置1で保管可能な遺骨類収納容器の最大数は、3個には限定されず、例えば2個でもよく、4個以上でよい。
【0062】
さらに、補助体(リフト治具)は、支持体に対して着脱可能な構成には限定されず、例えば補助体が支持体に一体に設けられた構成等でもよい。
【0063】
また、遺骨類収納容器の大きさや重さ等によっては保管装置を小型にして、作業者が補助体を把持して人力で支持具を昇降できるような構成としてもよい。
【0064】
さらに、埋設筒は、上下面が開口した円筒状には限定されず、例えば水抜き用の孔部(水抜き穴)が形成された底部を有した有底円筒状等でもよい。
【0065】
また、例えば埋設筒を用いることなく、地中内に形成した所定形状の保管空間(掘削穴)に対して支持体を出し入れ可能(挿入出可能)な構成としてもよい。
【0066】
さらに、補助体の筒状部がシャフトから上方に抜け出るのを防止する抜止め手段は、ピン以外でもよく、例えばシャフトの外周面に着脱可能に装着されるバンドやホルダー等、任意である。
【0067】
また、補助体の筒状部がシャフトに沿って自重でずり落ちるのを防止する落下防止手段をシャフトに着脱可能に設けてもよい。例えば
図5(d)に示す補助体が自重でずり落ちないように、シャフトにおける当該補助体の筒状部の下方近傍位置に落下防止手段を着脱可能に設けてもよい。なお、落下防止手段は、抜止め手段と同様、例えばピン、バンド、ホルダー等、任意である。
【0068】
さらに、骨壷(遺骨類収納容器)を支持した支持体が強風や人・物との衝突等で傾いた場合でも骨壷が取出開口(短脚部70側)から滑落しないように、骨壷の重心を取出開口側とは反対側(切欠孔部28c,42cに挿入したシャフト22側)に寄せるようにしてもよい。すなわち例えばスペーサの取出開口側の部分に上方突出部を設けることや、スペーサの取出開口側の厚さ寸法を反対側よりも大きくすること等により、骨壷を取出開口側とは反対側に傾けた状態で支持するようにしてよい。
【符号の説明】
【0069】
1 保管装置
2 遺骨類収納容器である骨壷
7 埋設筒
8 支持具
10 保管空間
11 支持体
12 補助体
21 底板
22 棒状部材であるシャフト
23 スペーサ
26 嵌合凹部である第1嵌合凹部
27 嵌合凹部である第2嵌合凹部