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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-31
(45)【発行日】2025-04-08
(54)【発明の名称】操作検出装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20250401BHJP
   H03K 17/96 20060101ALI20250401BHJP
   H03K 17/955 20060101ALI20250401BHJP
【FI】
G06F3/041 522
G06F3/041 512
H03K17/96 B
H03K17/96 H
H03K17/955 G
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2023510670
(86)(22)【出願日】2022-02-25
(86)【国際出願番号】 JP2022007784
(87)【国際公開番号】W WO2022209477
(87)【国際公開日】2022-10-06
【審査請求日】2023-09-06
(31)【優先権主張番号】P 2021063104
(32)【優先日】2021-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 友哉
(72)【発明者】
【氏名】朝倉 祥太郎
【審査官】桐山 愛世
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-154836(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0194225(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0052558(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/041
H03K 17/96
H03K 17/955
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電センサと、
前記静電センサに対する操作者の操作を検出するために前記静電センサに駆動信号を出力する駆動回路と、
前記静電センサの出力値に基づき前記操作の有無を判断するとともに、前記駆動信号の駆動波形を制御する制御部と
を含み、
前記制御部は、前記操作の検出を行う検出期間と、前記操作の検出を行わない非検出期間とを含む所定期間を周期として前記駆動波形を制御し、
前記駆動波形は前記周期の全体にわたって一定のパターンを繰り返す周期関数に基づく形状であり、
前記制御部は、前記静電センサの出力値に基づいて生成する検出値の前記検出期間における変化がノイズによる変化であると判別可能なレベルの変化になるように、前記周期毎に前記非検出期間における前記駆動波形の特性を制御して前記駆動信号の周波数をランダムに変化させることで、前記検出期間における前記駆動信号の位相をランダムに変更する、操作検出装置。
【請求項2】
前記ノイズによる変化であると判別可能なレベルの変化は、人間の操作によって実現不能な速度での前記検出値の変化である、請求項に記載の操作検出装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記静電センサの出力値が所定条件を満たした場合に、前記非検出期間における前記駆動信号の周波数を変化させる、請求項1又は2に記載の操作検出装置。
【請求項4】
前記制御部は前記非検出期間における前記駆動信号の周波数を変化させる期間を調整する、請求項に記載の操作検出装置。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、複数のゲート線と、画像表示およびタッチ検出に共用される複数の共通電極とを備える表示装置を制御する制御装置であって、回避すべき特定周波数を取得する第1取得部と、前記複数のゲート線に供給されるゲート信号の駆動周波数を取得する第2取得部と、取得された前記特定周波数と前記駆動周波数が変更条件を満たす場合、前記駆動周波数を変更する変更部と、を備えることを特徴とする制御装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2020-158524号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来の制御装置については、どのような期間に駆動周波数を変更するのかについては記載されていない。タッチ検出のように静電容量に基づいて操作の有無を検出する期間に駆動周波数を変更すると、検出回路の特性が変化する事で検出精度が低下するおそれがある。
【0005】
また、静電容量に基づいて操作の有無を検出する装置では、駆動周波数と比較的近い回避すべき周波数のノイズがある場合、かつ回避すべき周波数の検知についても操作有無の判断と同様に検出装置で実現するためには、このようなノイズの影響を低減することが必要になる。しかし、ノイズに基づく検出値と、タッチに基づく検出値とが類似している場合には、検出装置はノイズを拾ったときにタッチが行われたと誤判定してしまう可能性がある。
【0006】
そこで、ノイズの影響を低減し、検出精度の高い操作検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態の操作検出装置は、静電センサと、前記静電センサに対する操作者の操作を検出するために前記静電センサに駆動信号を出力する駆動回路と、前記静電センサの出力値に基づき前記操作の有無を判断するとともに、前記駆動信号の駆動波形を制御する制御部とを含み、前記制御部は、前記操作の検出を行う検出期間と、前記操作の検出を行わない非検出期間とを含む所定期間を周期として前記駆動波形を制御し、前記駆動波形は前記周期の全体にわたって一定のパターンを繰り返す周期関数に基づく形状であり、前記制御部は、前記非検出期間における前記駆動波形の特性を制御することで前記検出期間における前記駆動信号の位相を変更する。
【発明の効果】
【0008】
ノイズの影響を低減し、検出精度の高い操作検出装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態の操作検出装置100の一例を示す図である。
図2】操作検出装置100の構成の一例を示す図である。
図3】センシング周期の一例を示す図である。
図4】センシング期間における検出回路121の出力波形と、制御部130の検出値との一例を示す図である。
図5】操作者が操作を行っていなくてノイズがある状態における検出値の変化分ΔADの時間変化の一例を示す図である。
図6】静電センサの駆動信号と駆動信号の周波数に近い周波数のノイズとを重畳した合成波の一例を示す図である。
図7図6に示す合成波によって得られる検出値の一例を示す図である。
図8】駆動信号の駆動周波数に近い周波数を有するノイズを見分ける方法の一例を説明する図である。
図9】駆動信号とノイズの合成波によって得られる検出値の一例を示す図である。
図10】駆動信号及びノイズの位相差と合成波との関係の一例を説明する図である。
図11】ノイズの位相差をずらす方法の一例を説明する図である。
図12】センシング周期における周波数ホッピングを行う期間(周波数変更期間)の一例を説明する図である。
図13】周波数ホッピングによって駆動信号とノイズの位相差をランダムに変化させた効果の一例を説明する図である。
図14】変形例による位相差の調整方法の一例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の操作検出装置を適用した実施形態について説明する。
【0011】
<実施形態>
図1は、実施形態の操作検出装置100の一例を示す図である。図1に示すように、操作検出装置100は、一例として車両に搭載され、内部に静電センサ110が実装されている。操作検出装置100は、一例として運転者の手Hが静電センサ110に触れているかどうかを検出する。運転者の手Hが静電センサ110に触れているかどうかを判定することは、運転者による操作検出装置100の操作の有無を判定することである。
【0012】
以下、一般化するために、車両の運転者を操作検出装置100の操作者と称す。操作検出装置100は、車両に組み込まれる用途に限定されない。以下では、静電センサ110が設けられた物体に操作者が触れているかどうかを判別可能な操作検出装置100について説明する。静電センサ110が設けられた物体に操作者が触れることを操作者の操作と称す。
【0013】
図2は、操作検出装置100の構成の一例を示す図である。操作検出装置100は、静電センサ110、回路部120、及び制御部130を含む。
【0014】
静電センサ110は、センサ電極とGND電位との間にコンデンサCsを有する。図2には、操作者が手Hで操作を行っている状態を示すため、静電センサ110に手Hに相当するコンデンサC1が接続されている。静電センサ110は回路部120の検出回路121に接続されている。
【0015】
回路部120は、検出回路121と駆動回路122とを有する。検出回路121は、静電センサ110の静電容量を検出し、フィルタリングや増幅を行って制御部130に出力する。駆動回路122は、所定期間を周期とする区間において正弦波や矩形波などの周期の全体にわたって一定のパターンを繰り返す周期関数に基づく形状を有する駆動波形を静電センサ110に出力する。一例として正弦波状の交流波形を出力し、静電センサ110を介して得られた電気信号に対して検出回路121においてフィルタリングや増幅を行う。
【0016】
制御部130は、一例としてマイクロコンピュータによって実現される。マイクロコンピュータは、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、入出力インターフェース、及び内部バス等を含むコンピュータによって実現される。
【0017】
制御部130は、AD(Analog to Digital)変換部131とカウンタ132を有する。AD変換部131とカウンタ132は、制御部130が実行するプログラムの機能(ファンクション)を機能ブロックとして示したものである。
【0018】
AD変換部131は、検出回路121の出力をデジタル値に変換する。AD変換部131の出力は、静電センサ110の静電容量の検出値である。カウンタ132は、AD変換部131の出力の変化分ΔADをカウントし、検出値の変化分ΔADとして出力する。なお、回路部120と制御部130は、一例としてIC(Integrated Circuit)チップで実現される。
【0019】
図3は、センシング周期の一例を示す図である。センシング周期は、操作検出装置100が静電センサ110の静電容量を検出する周期であり、非センシング期間とセンシング期間とで構成される。非センシング期間は非検出期間の一例であり、センシング期間は検出期間の一例である。センシング周期の1周期の期間は、検出期間と非検出期間とを含む所定期間の一例である。非センシング期間は、一例としてセンシング期間中に検出した検出値の処理などを行う期間である。
【0020】
一例として、センシング周期の1周期は10ミリ秒(msec)であり、非センシング期間は、周期開始からの所定の期間であり、センシング期間は非センシング期間が終わった後の残りの期間である。操作検出装置100は、センシング期間に静電センサ110の静電容量を検出し、非センシング期間には静電容量を検出しない。
【0021】
図4は、センシング期間における検出回路121の出力波形と、制御部130の検出値との一例を示す図である。図4に示す出力波形と検出値は、操作者が操作を行っていない状態(操作検出装置100が操作者の手H等を検出していない状態)で、ノイズも無い状態におけるものである。
【0022】
図4に示すように、連続する複数のセンシング期間における検出回路121の出力波形は等しく、制御部130がAD変換して生成する検出値も一定になる。ノイズがない状態では、このように一定の検出値が得られる。操作者が操作を行うと、静電IC120の出力波形が変化し、検出値も変化する。
【0023】
図5は、操作者が操作を行っていなくてノイズがある状態における検出値の変化分ΔADの時間変化の一例を示す図である。図5において横軸は時間(秒)であり、一例として4秒間にわたる特性を示す。変化分ΔADを示す縦軸には制御部130が操作の有無の判定に用いる閾値を示す。変化分ΔADが閾値以上になると操作が行われていると判定される。図5に示す特性は、操作検出装置100ではなく比較用の操作検出装置において得られるものとして説明する。比較用の操作検出装置は操作検出装置100と同様に静電センサ110及び回路部120を有する。
【0024】
ここでは、比較用の操作検出装置の近くにノイズ源があり、駆動回路122の駆動信号の駆動周波数とノイズの周波数は、静電センサ110及び検出回路121における静電容量の検出に影響を与えるほど非常に近い。
【0025】
操作者が操作を行っていなくてもノイズがある場合には、静電センサ110でノイズが拾われるため、検出値の変化分ΔADは変動する。操作者が操作を行っていなくてノイズが存在しない状態では、検出値の変化分ΔADはゼロになる。また、ノイズの周波数が駆動信号の駆動周波数に近いと、検出値の変化分ΔADは、図5に示すように1秒間に2~3回程度のペースでゆっくりと変化する。このように、1秒間に2~3回程度の変化があると、ノイズが無い状態で操作者が操作を行った状態に類似した特性になるため、操作が行われたと誤検出するおそれがある。
【0026】
図6は、駆動信号とノイズを重畳した合成波を示す図である。図6(A)に示す駆動信号と、図6(B)に示すノイズとを重ねて示すと図6(C)の通りであり、合成波は図6(D)に示すようにAM(Amplitude Modulation)変調を行ったような波形になる。
【0027】
図7は、図6に示す合成波によって得られる検出値の一例を示す図である。合成波は、検出回路121の出力波形として得られる。図7に示すように、駆動信号とノイズの合成波から得られる検出値は、時間の経過に伴って正弦波状に変化する。操作者が操作を行っていなくてもノイズがある場合には、静電センサ110でノイズが拾われるため、検出値の変化分ΔADは、例えば図7に示すように変動する。このように、比較的大きな時間間隔で検出値の変化分ΔADが変動する場合には、操作が行われたと誤検出するおそれがある。
【0028】
回路部120の内部等で駆動信号とノイズとを区別してフィルタ等で除去できればよいが、駆動回路122の駆動信号の駆動周波数に近い周波数を有するノイズが存在する場合には、ノイズを取り除くことは難しい。
【0029】
そこで、実施形態の操作検出装置100では、駆動信号の駆動周波数に近い周波数を有するノイズが生じた場合には、センシング周期のうちのセンシング期間において得られる検出値が、人間の操作では生じ得ないパターンで変化するようにすることにより、人間の操作のみに基づく検出値と、駆動信号の駆動周波数に近い周波数を有するノイズを含む合成波とを区別可能とする。
【0030】
図8は、駆動信号の駆動周波数に近い周波数を有するノイズを見分ける方法の一例を説明する図である。図8(A)には、図7に示す検出値の変化分ΔADの時間変化と同一の波形を示す。図8(A)に示す検出値の変化分ΔADの時間変化は、操作者が操作を行っていない状態で、駆動信号の駆動周波数に非常に近い周波数のノイズが存在するときに得られるものである。
【0031】
実施形態の操作検出装置100では、駆動信号の駆動周波数に近い周波数を有するノイズが生じた場合には、一例として図8(B)に示すように検出値の変化分ΔADがランダムに変化するようにする。図8(B)では、横軸は時間(ミリ秒)であり、10ミリ秒毎に変化分ΔADがランダムに変化する。
【0032】
このように、10ミリ秒毎にランダムに変化する変化分ΔADは、人間の操作では実現することができない。人間は手を素早く動かしても、1秒間に数回程度が限界である。このため、実施形態の操作検出装置100は、人間の操作によって有り得る変化分ΔADの変化であるかどうかを判定することによって、ノイズによる変化分ΔADの変化を人間の操作による変化分ΔADの変化と見分ける。
【0033】
図9は、駆動信号とノイズの合成波によって得られる検出値の一例を示す図である。合成波は、検出回路121の出力波形として得られる。検出値は図8(B)と等しい。図9に示すように駆動信号とノイズの合成波から得られる検出値が時間の経過に伴って変化する場合に、検出値の変化分ΔADは、ランダムに変動する。このように、数10ミリ秒以下のような周期でランダムに変動する変化分ΔADは、人間の操作によっては実現することができないため、ノイズによる変化分ΔADの変化であることを見分けることができる。
【0034】
図10は、駆動信号及びノイズの位相差と合成波との関係の一例を説明する図である。図10に示す合成波は、図9に示す合成波と等しい。図10では上側に合成波を示し、下側に駆動信号及びノイズの波形と位相差を示す。
【0035】
駆動信号に対するノイズの位相差は、一例として10ミリ秒毎に、135度、-160度、-15度、-180度、-160度、120度、-180度、15度、135度、-160度、20度となっている。このように、駆動信号に対するノイズの位相差をランダムにずらすことができれば、駆動信号とノイズの合成波をセンシング期間ごとにランダムに異なるものとすることができ、変化分ΔADをランダムに変化させることができる。
【0036】
図11は、駆動信号に対するノイズの位相差をずらす方法の一例を説明する図である。図11には、操作検出装置100の回路部120が出力する駆動信号とノイズの波形の一例を示す。ここでは周波数ホッピングにより駆動信号の駆動周波数を一時的に変化させる。
【0037】
駆動信号の駆動周波数を周波数ホッピングによって一時的に異なる周波数に変更する。ここでは分かり易くするために、周波数ホッピングを行う直前の時刻t1において、駆動信号とノイズの位相が揃っていることとする。時刻t1から期間T1にわたって周波数ホッピングによって駆動信号の駆動周波数を異なる周波数に変更する。ノイズの周波数は変化しない。期間T1が終了する時刻t2では駆動信号とノイズの位相がずれている。時刻t2以降は駆動信号の駆動周波数を元の周波数に戻している。
【0038】
駆動回路122を制御することにより、このように駆動信号の駆動周波数を変化させることができる。駆動回路122は、振幅を変えずに周波数のみを変えることができるため、歪になりづらく、周波数を変化させる際の放射ノイズ悪化の影響は軽微である。時刻t1、t2では駆動信号の波形の連続性を保ちながら周波数を変化させることができる。
【0039】
なお、周波数ホッピングを行う前の駆動信号の駆動周波数、及び、ノイズの周波数と異なる周波数にホッピングさせればよいため、どのような周波数でも同様の効果が得られる。
【0040】
図12は、センシング周期における周波数ホッピングを行う期間(周波数変更期間)の一例を説明する図である。制御部130は、センシング周期のうちのセンシング期間において検出回路121の出力をAD変換し、検出値の変化分ΔADを算出する。このため、センシング期間において駆動信号とノイズの位相差がずれるようにすればよい。センシング期間は変化分ΔADを算出する期間であるため、周波数ホッピングをセンシング期間内に行うのは好ましくない。
【0041】
このため、図12に示すように、非センシング期間内に周波数ホッピングを行う。このようにすれば、センシング期間における駆動信号とノイズの位相差をずらすことができるとともに、センシング期間内の駆動信号の波形には変更がないため、駆動周波数を変更する事によって検出値の変化分ΔADに影響が生じることはない。
【0042】
このような考え方に基づき、操作検出装置100は、一例としてセンシング周期毎に非センシング期間内で周波数ホッピングを行い、センシング周期毎にセンシング期間内で駆動信号とノイズの位相差がランダムに変化するようにする。
【0043】
このようにすれば、駆動信号の駆動周波数に近い周波数のノイズが生じた場合に、図10に示すように駆動信号とノイズの位相差をランダムに変更することができ、人間の操作では実現できないように検出値ΔADを素早くランダムに変化させることができる。
【0044】
このような検出値ΔADの変化を検出することにより、ノイズによる変化分ΔADの変化を人間の操作による変化分ΔADの変化と見分けることができる。
【0045】
なお、非センシング期間内において周波数ホッピングにおいて周波数を変更する周波数変更期間は、次のように設定すればよい。周波数ホッピングの行う直前の図11における時刻t1における駆動信号とノイズの位相差を0度から360度の範囲内でずらすことのできる範囲で調整すればよい。
【0046】
なお、周波数変更期間が終了する時点と、センシング期間が開始する時点との間に期間がある場合には、周波数変更期間が終了する時点における駆動信号及びノイズの位相差と、センシング期間が開始する時点における駆動信号及びノイズの位相差とは厳密には異なるが、駆動信号とノイズの周波数の差はごく僅かであるため、無視できる程度である。
【0047】
図13は、周波数ホッピングによって駆動信号とノイズの位相差をランダムに変化させた効果の一例を説明する図である。図13(A)には比較用に駆動信号の周波数ホッピングを行わない場合の検出値の変化分ΔADを示す。変化分ΔADはカウント値で±1500である。
【0048】
図13(B)には駆動信号の周波数ホッピングを行った場合の検出値の変化分ΔADを示す。変化分ΔADがランダムかつ頻繁に変化していることが分かる。人間の操作ではこのように素早くランダムな変化は実現できないため、ノイズによって変化分ΔADが変化したことを判別することができる。なお、変化分ΔADはカウント値で±1500である。
【0049】
以上のように、非センシング期間において周波数ホッピングによって駆動信号の駆動周波数を変化させることにより、非センシング期間に続くセンシング期間において駆動信号とノイズの位相差を数10ミリ秒以下のペースでランダムに変化させることができる。このように素早くランダムな変化は人間の操作では実現できないレベルである。また、人間の操作によって検出値の変化分ΔADが変化した場合には、変化の回数は1秒間に多くても数回程度であり、変化分ΔADの変化が素早くランダムになることはない。このため、検出値の変化分ΔADの変化に基づいて、ノイズによる変化分ΔADの変化と人間の操作による変化分ΔADの変化とを判別して検出することができる。結果、ノイズによる変化分ΔADが発生したと判別した際には、駆動信号の駆動周波数を全期間において変更(周波数ホッピング)することで、ノイズの影響を低減することが可能となる。
【0050】
したがって、ノイズの影響を低減し、検出精度の高い操作検出装置100を提供することができる。
【0051】
また、制御部130は、非センシング期間における駆動信号の駆動波形の周波数を変化させるので、センシング期間における駆動信号とノイズとの位相差を変化させることができる。また、非センシング期間において周波数を変化させる周波数ホッピングを行うので、センシング期間では駆動信号の周波数は一定であり、センシング期間内の駆動信号の波形には変更がないため、検出値の変化分ΔADに影響が生じることはない。
【0052】
また、制御部130は、センシング周期毎に非センシング期間における駆動信号の周波数をランダムに変化させるので、検出値の変化分ΔADがランダムに変化し、人間の操作による検出値の変化分ΔADの変化と見分けやすくなる。この結果、ノイズの影響を低減し、検出精度のより高い操作検出装置100を提供することができる。
【0053】
また、制御部130は、静電センサ110の出力値に基づいて操作の有無を判断するために生成する検出値の変化分ΔADのセンシング期間における変化がノイズによる変化であると判別可能なレベルの変化になるように、非センシング期間における駆動信号の駆動周波数を変化させるので、ノイズによる検出値の変化分ΔADの変化と、人間の操作による検出値の変化分ΔADの変化とを確実に見分けることができる。この結果、ノイズの影響を低減し、検出精度のさらに高い操作検出装置100を提供することができる。
【0054】
また、ノイズによる検出値の変化分ΔADの変化であると判別可能なレベルの変化は、人間の操作によって実現不能な速度での検出値の変化分ΔADの変化であるので、ノイズによる検出値の変化分ΔADの変化をより確実に見分けることができる。この結果、ノイズの影響を低減し、検出精度の非常に高い操作検出装置100を提供することができる。
【0055】
また、制御部130は、センシング期間の始点における駆動信号とノイズとの位相差を0度から360度の範囲内で調整するので、センシング期間の始点における駆動信号とノイズとの位相差を確実に調整することができる。
【0056】
なお、周波数ホッピングを行うための条件(所定条件)を静電センサ110の出力値に設けてもよい。例えば、ノイズが常に発生している訳ではなく、連続的なノイズの発生前に非常に大きなレベルの断続的なノイズを発生する場合には、静電センサ110の出力値が非常に大きなレベルの断続的なノイズを表すことを制御部130が検出した場合に、周波数ホッピングを行って、センシング期間に備えてもよい。静電センサ110の出力値が周波数ホッピングを行うための所定条件を満たした場合に、ノイズと駆動信号の位相差を調整することができ、ノイズによる検出値の変化分ΔADの変化と、人間の操作による検出値の変化分ΔADの変化とをより効率的かつ確実に見分けることができる。
【0057】
また、以上では、静電センサ110に駆動信号を常に印加する形態について説明したが、このような形態に限られるものではない。静電センサ110に駆動信号を印加するのは、例えば断続的であってもよい。
【0058】
また、以上では、非センシング期間に周波数ホッピングを行うことによって、センシング期間内における駆動信号とノイズの位相差を調整する形態について説明したが、図14に示すようにして位相差を調整してもよい。図14は、変形例による位相差の調整方法の一例を説明する図である。
【0059】
図14では、一例としてセンシング周期は10ミリ秒であり、非センシング期間は、周期開始からの所定の期間であり、センシング期間は非センシング期間が終わった後の残りの期間である。ここでは駆動信号はセンシング期間においてのみ駆動する。
【0060】
非センシング期間からセンシング期間に切り替わってから駆動信号の駆動を開始する。センシング期間の最初にタイミング調整期間を設けて、駆動信号の駆動を開始するタイミングを調整することにより、ノイズと駆動信号の位相差を調整することができる。例えば、センシング周期毎にタイミング調整期間の長さを変えることにより、ノイズを検出した場合に、検出値の変化分ΔADを素早くランダムに変化させることができる。これにより、ノイズによる検出値の変化分ΔADの変化と、人間の操作による検出値の変化分ΔADの変化と確実に見分けることができる。この結果、ノイズの影響を低減し、検出精度の高い操作検出装置100を提供することができる。
【0061】
以上、本発明の例示的な実施形態の操作検出装置について説明したが、本発明は、具体的に開示された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
【0062】
なお、本国際出願は、2021年4月1日に出願した日本国特許出願2021-063104に基づく優先権を主張するものであり、その全内容は本国際出願にここでの参照により援用されるものとする。
【符号の説明】
【0063】
100 操作検出装置
110 静電センサ
120 回路部
121 検出回路
122 駆動回路
130 制御部
図1
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