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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-31
(45)【発行日】2025-04-08
(54)【発明の名称】ゲームシステム
(51)【国際特許分類】
   A63F 13/65 20140101AFI20250401BHJP
   A63F 13/216 20140101ALI20250401BHJP
   A63F 13/69 20140101ALI20250401BHJP
   A63F 13/79 20140101ALI20250401BHJP
   A63F 13/80 20140101ALI20250401BHJP
   A63F 13/35 20140101ALI20250401BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20250401BHJP
【FI】
A63F13/65
A63F13/216
A63F13/69
A63F13/79
A63F13/80 Z
A63F13/35
G06Q50/10
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021206284
(22)【出願日】2021-12-20
(65)【公開番号】P2023091506
(43)【公開日】2023-06-30
【審査請求日】2024-03-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126561
【弁理士】
【氏名又は名称】原嶋 成時郎
(72)【発明者】
【氏名】伊木 惇
【審査官】鶴岡 直樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-228952(JP,A)
【文献】特開2006-178563(JP,A)
【文献】特開2019-201959(JP,A)
【文献】特開2018-108172(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0098953(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 9/24
A63F 13/00-13/98
G06Q 50/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが獲得した電柱に応じてポイントを付与するゲームシステムであって、
前記ゲームシステムは、電柱に設けられた電柱情報記録手段と、前記ユーザの携帯通信端末と、前記携帯通信端末と通信可能なサーバと、を備え、
前記携帯通信端末は、
前記電柱情報記録手段から電柱に関する電柱情報を取得し、
取得した前記電柱情報と、前記ユーザのユーザ識別情報と、を含む電柱獲得情報を前記サーバへ送信する電柱獲得手段を備え、
前記サーバは、
前記携帯通信端末から前記電柱獲得情報を受信し、
受信した前記電柱情報に基づいて、前記ユーザが獲得した電柱を特定し、
受信した前記ユーザ識別情報に基づいて、獲得した電柱に応じたポイントを前記ユーザに付与するポイント付与手段を備える、
ことを特徴とするゲームシステム。
【請求項2】
前記ポイント付与手段は、前記ユーザが獲得した複数の電柱間を線で結んだ閉空間の面積である獲得領域を特定し、前記獲得領域の広さに応じたポイントを前記ユーザに付与する、
ことを特徴とする請求項1に記載のゲームシステム。
【請求項3】
前記ポイント付与手段は、ゲームに参加している複数のユーザのうち、第1のユーザにより獲得された電柱が、前記第1のユーザとは異なる第2のユーザによって獲得された場合に、前記第1のユーザに付与されたポイントを取り消して前記第2のユーザへ付与する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載のゲームシステム。
【請求項4】
前記ポイント付与手段は、ゲームに参加している複数のユーザのうち、第1のユーザにより獲得された電柱が、前記第1のユーザとは異なる第2のユーザによって獲得された場合に、前記第1のユーザの獲得領域と前記第2のユーザの獲得領域とを再特定し、再特定された前記獲得領域の広さに応じて、前記第1のユーザのポイントと前記第2のユーザのポイントとを調整する、
ことを特徴とする請求項2に記載のゲームシステム。
【請求項5】
前記サーバは、獲得された電柱に関する獲得済み電柱情報をゲームに参加している全てのユーザの前記携帯通信端末へ送信する獲得済み電柱情報送信手段を備える、
ことを特徴とする請求項3または4に記載のゲームシステム。
【請求項6】
前記携帯通信端末は、ゲームに参加している他のユーザに対し、罠電柱を設定する罠電柱設定手段を備え、
前記サーバは、前記罠電柱を獲得したユーザにペナルティを課すペナルティ付与手段を備える、
ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載のゲームシステム。
【請求項7】
前記携帯通信端末は、
電柱に特定事象が発生している場合に、当該電柱の前記電柱情報記録手段から取得した電柱情報と、特定事象に関する画像またはコメントと、前記ユーザ識別情報と、を含む報告情報を前記サーバへ送信する報告手段を備え、
前記サーバは、
前記報告情報を受信し、
電力事業者の配電設備に関する管理システムにアクセスし、前記報告情報に含まれる特定事象が電力事業者によって確認済みであるか否かを確認することで、前記報告情報に含まれる特定事象の発生についての真偽を判定し、
前記特定事象が発生していると判定された場合に、前記報告情報を送信したユーザにゲームに関する特典を付与する特定事象判定手段を備える、
ことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載のゲームシステム。
【請求項8】
前記サーバは、他のゲームシステムあるいは他のポイントシステムと連携し、
前記ユーザに、前記他のゲームシステムあるいは前記他のポイントシステムのポイントを付与し、
あるいは、前記ユーザのポイントと、前記他のゲームシステムあるいは前記他のポイントシステムのポイントとを交換する、
ことを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載のゲームシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ゲーミフィケーションの手法を利用したゲームシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
電柱広告は、公道などに多数設置されている電柱に、看板などを取り付けることで宣伝・広告を行うものであり、多くの人目につきやすく、有効な広告手段の一つとして広く認識されている。このような電柱広告によって、より効果的な宣伝・広告効果を得るには、電柱広告あるいは電柱自体に歩行者などの関心を集める必要がある。
【0003】
ところで、ユーザの意識を転換させる手法の1つとして、ゲーミフィケーションという手法が知られている。ゲーミフィケーションとは、ゲームの要素をゲーム以外の分野に取り込むことで、ユーザが楽しみながら当該分野へ取り組めるようにする手法である。例えば、特許文献1には、プレーヤの移動位置に応じてゲームのイベントを発生させるようにしたゲームシステムが開示されており、イベントが発生されるイベント発生位置の1つとして、電柱が用いられている。特許文献1に記載の発明は、ゲーミフィケーションに関するものではないが、電柱をイベント発生位置とすることで、ユーザを電柱の近くまで誘導することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-108172号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のゲームシステムは、イベント発生位置の周囲に直径10m以上の検出範囲を設定し、ユーザがこの検出範囲内に入った場合に、ユーザがイベント発生位置に移動したものと判定している。すなわち、特許文献1に記載の発明では、電柱はユーザの検出範囲の基点として用いられているだけであるため、電柱に対するユーザの関心を高めることはできない。
【0006】
そこでこの発明は、ゲーミフィケーションの手法を利用して、電柱に対するユーザの関心を高めることが可能なゲームシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、ユーザが獲得した電柱に応じてポイントを付与するゲームシステムであって、前記ゲームシステムは、電柱に設けられた電柱情報記録手段と、前記ユーザの携帯通信端末と、前記携帯通信端末と通信可能なサーバと、を備え、前記携帯通信端末は、前記電柱情報記録手段から電柱に関する電柱情報を取得し、取得した前記電柱情報と、前記ユーザのユーザ識別情報と、を含む電柱獲得情報を前記サーバへ送信する電柱獲得手段を備え、前記サーバは、前記携帯通信端末から前記電柱獲得情報を受信し、受信した前記電柱情報に基づいて、前記ユーザが獲得した電柱を特定し、受信した前記ユーザ識別情報に基づいて、獲得した電柱に応じたポイントを前記ユーザに付与するポイント付与手段を備える、ことを特徴とする。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載のゲームシステムにおいて、前記ポイント付与手段は、前記ユーザが獲得した複数の電柱間を線で結んだ閉空間の面積である獲得領域を特定し、前記獲得領域の広さに応じたポイントを前記ユーザに付与する、ことを特徴とする。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1または2に記載のゲームシステムにおいて、前記ポイント付与手段は、ゲームに参加している複数のユーザのうち、第1のユーザにより獲得された電柱が、前記第1のユーザとは異なる第2のユーザによって獲得された場合に、前記第1のユーザに付与されたポイントを取り消して前記第2のユーザへ付与する、ことを特徴とする。
【0010】
請求項4の発明は、請求項2に記載のゲームシステムにおいて、前記ポイント付与手段は、ゲームに参加している複数のユーザのうち、第1のユーザにより獲得された電柱が、前記第1のユーザとは異なる第2のユーザによって獲得された場合に、前記第1のユーザの獲得領域と前記第2のユーザの獲得領域とを再特定し、再特定された前記獲得領域の広さに応じて、前記第1のユーザのポイントと前記第2のユーザのポイントとを調整する、ことを特徴とする。
【0011】
請求項5の発明は、請求項3または4に記載のゲームシステムにおいて、前記サーバは、獲得された電柱に関する獲得済み電柱情報をゲームに参加している全てのユーザの前記携帯通信端末へ送信する獲得済み電柱情報送信手段を備える、ことを特徴とする。
【0012】
請求項6の発明は、請求項1ないし5のいずれか1項に記載のゲームシステムにおいて、前記携帯通信端末は、ゲームに参加している他のユーザに対し、罠電柱を設定する罠電柱設定手段を備え、前記サーバは、前記罠電柱を獲得したユーザにペナルティを課すペナルティ付与手段を備える、ことを特徴とする。
【0013】
請求項7の発明は、請求項1ないし6のいずれか1項に記載のゲームシステムにおいて、前記携帯通信端末は、電柱に特定事象が発生している場合に、当該電柱の前記電柱情報記録手段から取得した電柱情報と、特定事象に関する画像またはコメントと、前記ユーザ識別情報と、を含む報告情報を前記サーバへ送信する報告手段を備え、前記サーバは、前記報告情報を受信し、電力事業者の配電設備に関する管理システムにアクセスし、前記報告情報に含まれる特定事象が電力事業者によって確認済みであるか否かを確認することで、前記報告情報に含まれる特定事象の発生についての真偽を判定し、前記特定事象が発生していると判定された場合に、前記報告情報を送信したユーザにゲームに関する特典を付与する特定事象判定手段を備える、ことを特徴とする。
【0014】
請求項8の発明は、請求項1ないし7のいずれか1項に記載のゲームシステムにおいて、前記サーバは、他のゲームシステムあるいは他のポイントシステムと連携し、前記ユーザに、前記他のゲームシステムあるいは前記他のポイントシステムのポイントを付与し、あるいは、前記ユーザのポイントと、前記他のゲームシステムあるいは前記他のポイントシステムのポイントとを交換する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の発明によれば、電柱に設けられた電柱情報記録手段から電柱情報を取得し、取得した電柱情報を含む電柱獲得情報をサーバへ送信し、サーバは電柱獲得情報を送信したユーザにポイントを付与するので、ユーザは電柱情報を取得するために電柱をよく観察するようになり、電柱や電柱に取り付けられた電柱広告に対するユーザの関心を高めることが可能である。
【0016】
また、請求項2の発明によれば、ユーザが獲得した獲得領域の広さに応じたポイントを付与するので、ユーザは単に電柱を獲得するだけでなく、できるだけ獲得領域が広くなるように電柱を獲得するので、ゲームの興趣がより高まり、電柱および電柱広告への関心を高めることができる。
【0017】
さらに、請求項3の発明によれば、複数のユーザ間で電柱の奪い合いが行われた場合に、電柱の本数の変動に応じてポイントが変化するので、ゲームの興趣がより高まり、電柱および電柱広告への関心を高めることができる。
【0018】
また、請求項4の発明によれば、複数のユーザ間で電柱の奪い合いが行われて獲得領域が変化した場合に、獲得領域の変動に応じてポイントが変化するので、ゲームの興趣がより高まり、電柱および電柱広告への関心を高めることができる。
【0019】
さらに、請求項5の発明によれば、獲得された電柱に関する情報をゲームに参加している全てのユーザへ送信するので、他のユーザから電柱を奪って獲得領域を狭くするなどの作戦を立てることができ、ゲームの興趣がより高まり、電柱および電柱広告への関心を高めることができる。
【0020】
また、請求項6の発明によれば、ゲームに参加している他のユーザに罠電柱を設定し、罠電柱を獲得したユーザにペナルティを課すことができるので、単に電柱の奪い合いを行うだけのゲームよりも興趣がより高まり、電柱および電柱広告への関心を高めることができる。
【0021】
さらに、請求項7の発明によれば、電柱に特定事象が発生している場合に、この特定事象を報告し、特定事象が発生していると判定された場合に特典を得ることができるので、単に電柱の奪い合いを行うだけのゲームよりも興趣がより高まり、電柱および電柱広告への関心を高めることができる。また、特定事象を早期に発見して対応することができるので、電柱や電柱広告を適切な状態に維持することが可能である。
【0022】
また、請求項8の発明によれば、他のゲームシステムなどと連携し、ユーザに他のゲームシステムなどのポイントを付与し、あるいはユーザのポイントを他のゲームシステムなどのポイントとを交換することができるので、獲得したポイントを有効に活用することができ、ゲームの興趣がより高まり、電柱および電柱広告への関心を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】この発明の実施の形態に係るゲームシステムの概略構成図である。
図2】ゲームシステムによって開催される電柱獲得ゲームの概要を示す図である。
図3】携帯通信端末の概略構成を示す機能ブロック図である。
図4】特定事象の報告画面の一例を示す図である。
図5】ゲームサーバの概略構成を示す機能ブロック図である。
図6】電柱情報データベースのデータ構成を示す図である。
図7】ユーザ情報データベースのデータ構成を示す図である。
図8】ポイント情報データベースのデータ構成を示す図である。
図9】ユーザ間で電柱の奪い合いが発生した場合の獲得領域を示す図である。
図10】罠電柱を設定し、罠電柱が他のユーザに獲得された場合の獲得領域を示す図である。
図11】電柱獲得ゲームの進行手順を示すフローチャートである。
図12】ゲームサーバを他のゲームシステムと連携させた状態を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、この発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。
【0025】
図1は、この発明の実施の形態に係るゲームシステム1の概略構成図である。本実施形態のゲームシステム1は、ゲーミフィケーションの手法を利用して、電柱および電柱広告に対するユーザの関心を高めることが可能なゲームシステムである。ゲームシステム1は、ゲームに参加したユーザが屋外を歩いて電柱を獲得(取得)し、獲得した電柱の本数などに応じてユーザにポイントを付与する、という電柱獲得ゲームを通じて、ユーザの電柱および電柱広告に対する関心を高める。
【0026】
ゲームシステム1は、例えば、電柱の設置、および電柱広告の提供を業務内容とする電力事業者Dにより運営されている。ゲームシステム1は、電柱2の外周面に設けられた電柱情報記録パネル(電柱情報記録手段)3と、ゲームに参加する複数のユーザU(U1~Un)の携帯通信端末4(41~4n)と、携帯通信端末4と通信可能なゲームサーバ5と、を備えている。携帯通信端末4は、通信回線網NWを介してゲームサーバ5と通信を行う。通信回線網NWは、例えば、携帯電話通信網やインターネットなどの公衆通信網である。
【0027】
電柱2は、例えば、電力事業者Dにより設置された電柱であり、その外周面には、電力事業者Dが広告主からの依頼を受けて作成した電柱広告21が取り付けられている。電柱広告には、電柱2の側方に突き出すように設置される袖広告と、電柱2の外周面に巻き付けられるようにして設置される巻き広告とがあり、電柱広告21は巻き広告を示している。
【0028】
電柱情報記録パネル3は、電柱2に関する電柱情報が2次元コード(例えば、QRコード(登録商標))によって示されたパネルであり、電力事業者Dによって設置される。2次元コードにより示される電柱情報には、例えば、電柱番号と、電柱位置情報(緯度、経度)とが含まれる。電柱情報記録パネル3は、巻き広告タイプの電柱広告21に比べてサイズが小さいため、接着剤や両面テープなどを利用して電柱2の外周面に貼り付けられる。
【0029】
電柱情報記録パネル3は、歩行者からの関心を高めたい電柱に取り付けられる。関心を高めたい電柱とは、電柱広告21が取り付けられている電柱や、特定事象が多く発生する電柱である。ここで、特定事象とは、電柱広告21の破損や、野鳥の営巣、蔓性植物の巻き付きなど、電柱広告21や電柱2に対するメンテナンス作業が必要となるような事象をいう。このような電柱2に電柱情報記録パネル3を取り付けることにより、電柱獲得ゲームに参加したユーザUは、電柱広告21や電柱2自体に関心を向けることになるので、電柱広告21の宣伝・広告効果が向上する。また、本実施形態に係る電柱獲得ゲームでは、ゲームに参加したユーザUは、電柱2に発生している特定事象を報告することができるので、特定事象の早期発見および対応が可能となる。
【0030】
携帯通信端末4は、いわゆるスマートフォンであり、本実施形態のゲームシステム1を構成する電柱獲得ゲームアプリケーションプログラム421(図3参照)がインストールされている。ユーザUは、電柱獲得ゲームアプリケーションプログラム(以下、電柱獲得ゲームアプリあるいはゲームアプリともいう)421を起動してゲームサーバ5にアクセスし、ゲームサーバ5が開催する電柱獲得ゲームに参加する。
【0031】
ゲームサーバ5は、いわゆるサーバタイプのコンピュータ装置であり、本実施形態のゲームシステム1を構成する電柱獲得ゲーム管理プログラム531(図5参照)がインストールされている。ゲームサーバ5は、電柱獲得ゲーム管理プログラム(以下、管理プログラムともいう)531の処理により、複数人のユーザUが参加可能な電柱獲得ゲームを計画・開催し、開催したゲームの進行を管理する。
【0032】
図2は、ゲームシステム1において開催される電柱獲得ゲームの概要を示している。ゲームサーバ5は、所定エリア内に存在する所定人数以上のユーザUの携帯通信端末4から参加要求情報を受信すると、ゲーム開催時刻を決定し、参加人数に応じたゲームエリア、ゲーム時間などを設定して、電柱獲得ゲームを開催する。
【0033】
電柱獲得ゲームに参加したユーザUは、ゲームサーバ5により計画されたゲームエリア内を歩いて移動し、ゲームアプリ421によって、電柱情報記録パネル3から電柱情報を取得する。具体的には、ゲームアプリ421は、携帯通信端末4が標準的に備えているカメラを利用して電柱情報記録パネル3を撮影し、撮影画像の2次元コードから電柱情報を読み取る。読み取られた電柱情報と、ユーザUのユーザID(ユーザ識別情報)とを含む電柱獲得情報は、携帯通信端末4からゲームサーバ5へ送信される。
【0034】
ゲームサーバ5は、携帯通信端末4から送信された電柱獲得情報を受信し、電柱獲得情報に含まれる電柱情報に基づいて、ユーザUが獲得した電柱2を特定する。また、ゲームサーバ5は、電柱獲得情報に含まれるユーザIDに基づいて、獲得された電柱2に応じたポイントをユーザUに付与する。また、ゲームサーバ5は、ユーザUが獲得した複数の電柱間を線で結んだ閉空間の面積である獲得領域を特定し、獲得領域の広さに応じたポイントをユーザUに付与する。
【0035】
図2の符号6は、電柱獲得ゲームに参加しているユーザU1の携帯通信端末41に表示されるゲーム画面の一例を示している。ユーザU1は、ゲームの進行状況が表示されるゲーム画面6を確認しながらゲームをプレイする。ゲーム画面6は、地図表示部61と、地図表示部61の左側下部に配されたゲーム状況表示部62と、地図表示部61の右側下部に配された操作部63と、地図表示部61の上部に配された電柱情報表示部64と、を備えている。
【0036】
地図表示部61には、ゲームエリアおよびその周辺の地図が表示され、任意に拡大・縮小表示することが可能である。また、地図には、道路や線路、建造物などの他、丸印で示された電柱2が表示される。図中、内部が塗りつぶされた4本の電柱21a~21dは、ユーザU1により獲得された電柱を示し、これらの電柱21a~21dを結ぶ閉空間はユーザU1ノ獲得領域A1を示している。また、図中、斜線のハッチングが施された4本の電柱22a~22dは、他のユーザU2により獲得された電柱を示し、この電柱22a~22dを結ぶ閉空間はユーザU2の獲得領域A2を示している。各ユーザUにより獲得された電柱および獲得領域は、ゲームの進行にしたがって随時更新される。
【0037】
また、地図表示部61には、ユーザU1の現在位置を示すユーザマーク611が表示される。さらに、ユーザU1が獲得しようとして電柱情報を取得した電柱23には、その周囲に破線枠612が表示され、地図上でその位置を確認することができるようになっている。
【0038】
ゲーム状況表示部62には、ゲームの進行状況が表示される。例えば、ゲーム状況表示部62には、ユーザU1が獲得した電柱の本数と、獲得領域の面積と、獲得したポイント数と、残りのゲーム時間とが表示される。ユーザU1は、このゲーム状況表示部62を確認しながらゲームを行い、他のユーザよりもより多くの電柱を獲得し、獲得領域を広げていく。
【0039】
操作部63には、電柱2を獲得する際に操作される獲得ボタン631と、電柱広告21の破損などの特定事象を報告する際に操作される報告ボタン632と、ゲームに参加している他のユーザUに罠電柱を設定するための罠ボタン633とが設けられている。罠ボタン633を使用することにより、他のユーザUに知られないように罠電柱を設定することができ、この罠電柱を他のユーザUが獲得した場合にペナルティを課すことができる。
【0040】
電柱情報表示部64には、獲得しようとして取得した電柱2の電柱情報が表示される。図2では、取得した電柱情報のうち、電柱番号が表示されている状態を示している。なお、地図表示部61に表示されている電柱2がタッチ操作された場合に、その電柱2の電柱情報と、その電柱2を獲得したユーザUに関する情報などを電柱情報表示部64に表示できるようにしてもよい。
【0041】
図3は、携帯通信端末4の概略構成を示す機能ブロック図である。携帯通信端末4は、主として、タッチパネルディスプレイ41、記憶部42、メモリ43、位置情報受信部44、カメラ45、通信部46、メインタスク47、およびこれらを制御などする中央処理部48などを備える。
【0042】
タッチパネルディスプレイ41は、液晶ディスプレイなどのディスプレイパネルに、タッチパネルが重ね合わされたデバイスである。タッチパネルディスプレイ41は、ユーザUのタッチ操作を受けて携帯通信端末4へ情報を入力するとともに、タッチ操作によって入力された情報や、携帯通信端末4としての処理結果などを表示する。
【0043】
記憶部42は、各種の情報、プログラム、およびデータなどを記憶する機能を備える記憶領域/記憶装置であり、データの読み書きが可能なフラッシュROM(Read Only Memory)などによって構成されている。記憶部42には、携帯通信端末4の動作全体を制御するためのオペレーティングシステムの他、ゲームアプリ421が記憶されている。ゲームアプリ421には、最初の起動時にゲームサーバ5にアクセスしてユーザ登録を行うことにより設定されたユーザIDとパスワードとが記憶されている。
【0044】
メモリ43は、中央処理部48がゲームアプリ421の各種処理を実行する際に生成される情報・データを一時的に記憶などするための作業領域となる機能を備える記憶領域/記憶装置であり、例えばRAM(Random Access Memory)により構成される。
【0045】
位置情報受信部44は、GPS(Global Positioning System)などのGNSS(Global Navigation Satellite System)を構成する測位衛星から、位置情報を受信する通信インターフェースである。本実施形態において、位置情報受信部44は、電柱獲得ゲームにおいて、ユーザUの位置情報を取得するために利用される。
【0046】
カメラ45は、CCDやCMOSなどの撮像素子と、撮像レンズとから構成された、いわゆるデジタルカメラである。本実施形態において、カメラ45は、電柱情報記録パネル3から電柱情報を取得する際と、電柱2に発生している特定事象を撮影して報告する際に利用される。
【0047】
通信部46は、通信回線網NWを介して伝送される信号・情報の送受信/入出力を行う機能を備える通信インターフェースである。通信部46は、詳しくは図示しないが、広域無線通信部、無線LAN通信部および近距離無線通信部などを備えている。広域無線通信部は、携帯電話通信網を介してLTE(Long Term Evolution)通信などを行う通信回路である。また、無線LAN通信部は、各家庭や公共施設、宿泊施設などに設置された無線LANを介して通信を行う通信回路である。さらに、近距離無線通信部は、Bluetooth(登録商標)などを利用して数m程度の近距離で通信を行う通信回路である。
【0048】
メインタスク47は、記憶部42に記憶されているゲームアプリ421が中央処理部48により実行されることによって実現される、電柱獲得ゲームの各種処理を実行するタスク群である。
【0049】
中央処理部48は、携帯通信端末4を構成する各部を統制して制御などする機能を備え、例えば、中央演算処理装置(CPU:Central Processing Unit の略)を含んで構成される。中央処理部48は、記憶部42に格納されているオペレーションシステムやゲームアプリ421に従って各機能を実現する。
【0050】
携帯通信端末4は、電柱獲得ゲームにおいて、ユーザUが電柱2を獲得するための各種処理を実行する。この処理は、記憶部42に格納されているゲームアプリ421が中央処理部48によって実行されることにより構成される、メインタスク47によって行われる。メインタスク47は、起動タスク471、ゲーム参加要求タスク472、ゲーム画面表示タスク473、電柱獲得タスク(電柱獲得手段)474、罠電柱設定タスク(罠電柱設定手段)475、および報告タスク(報告手段)476などを含む。
【0051】
起動タスク471は、ゲームアプリ421の起動と、ゲームサーバ5への自動ログインとを行うためのタスクである。起動タスク471は、携帯通信端末4においてゲームアプリ421を起動するための操作が行われると、ゲームアプリ421を起動し、ゲームサーバ5にユーザIDおよびパスワードを送信して自動ログインを行う。また、起動タスク471は、タッチパネルディスプレイ41に初期画面を表示する。初期画面には、例えば、過去に参加したゲームにより獲得した累積ポイント数や、電柱獲得ゲームへの参加をゲームサーバ5へ要求するための参加ボタン、ゲームサーバ5からログアウトするためのログアウトボタンなどが表示される。
【0052】
ゲーム参加要求タスク472は、ゲームサーバ5に電柱獲得ゲームへの参加を要求するためのタスクである。ゲーム参加要求タスク472は、初期画面において参加ボタンが操作されると、ユーザIDと、位置情報受信部44により取得した位置情報とを含む参加要求情報をゲームサーバ5へ送信する。
【0053】
ゲーム画面表示タスク473は、電柱獲得ゲームに参加している携帯通信端末4のタッチパネルディスプレイ41にゲーム画面6を表示するためのタスクである。図2に示すように、ゲーム画面6は、電柱獲得ゲームの進行状況を表示するための画面である。ゲーム画面表示タスク473は、電柱獲得ゲームの進行状況に応じて、ゲーム画面6を随時更新する。
【0054】
電柱獲得タスク474は、電柱獲得ゲームにおいて電柱2を獲得するためのタスクである。電柱獲得タスク474は、ゲーム画面6において獲得ボタン631が操作されると、カメラ45を起動し、ユーザUの操作に応じて電柱2の電柱情報記録パネル3を撮影する。また、電柱獲得タスク474は、撮影した画像の2次元コードから電柱2の電柱情報を読み取る。電柱獲得タスク474は、読み取った電柱情報と、ユーザIDとを含む電柱獲得情報をゲームサーバ5に送信する。
【0055】
罠電柱設定タスク475は、ゲームに参加している他のユーザUに知られないように罠電柱を設定するためのタスクである。罠電柱設定タスク475は、ゲーム画面6において罠ボタン633が操作されると、電柱獲得タスク474と同様に、電柱情報を取得し、電柱情報およびユーザIDを含む罠電柱設定情報をゲームサーバ5へ送信する。なお、各ユーザUには、罠電柱の設定回数が予め決められており、所定回数以上の罠電柱の設定は行えないようになっている。したがって、罠電柱が多用されてゲームの進行が滞るようなことはない。
【0056】
報告タスク476は、電柱獲得ゲームのプレイ中に特定事象が発生している電柱2を発見した場合に、ゲームサーバ5へ特定事象が発生している電柱を報告するためのタスクである。報告タスク476は、ゲーム画面6にて報告ボタン632が操作されると、カメラ45を起動し、ユーザUの操作に応じて電柱2の電柱情報記録パネル3を撮影する。また、報告タスク476は、撮影した画像の2次元コードから電柱2の電柱情報を読み取る。報告タスク476は、電柱情報を取得すると、ゲーム画面6に代えて、図4に示す報告画面7をタッチパネルディスプレイ41に表示する。
【0057】
報告画面7には、カメラ45により撮影した特定事象の画像71を登録する登録ボタン72と、コメント入力部73と、送信ボタン74とが設けられている。報告タスク476は、報告画面7において、送信ボタン74が操作されると、特定事象が発生している電柱2の電柱情報と、特定事象を撮影した画像71およびコメントと、ユーザIDとを含む報告情報をゲームサーバ5に送信する。
【0058】
なお、獲得済みの電柱2の特定事象を報告する場合には、ゲーム画面6の地図表示部61で獲得済みの電柱2をタッチ操作し、その後に報告ボタン632を操作された場合に、報告画面7を表示するようにしてもよい。
【0059】
図5は、ゲームサーバ5の概略構成を示す機能ブロック図である。ゲームサーバ5は、主として、入力部51、表示部52、記憶部53、メモリ54、通信部55、メインタスク56、およびこれらを制御などする中央処理部57などを備える。
【0060】
入力部51は、サーバ管理者の命令などを受けてゲームサーバ5へ情報を入力する機能を備えるインターフェースであり、例えばキーボードやマウスによって構成される。
【0061】
表示部52は、入力部51を介して入力される情報を表示したり、ゲームサーバ5としての処理結果を表示したり、などする機能を備え、例えば液晶ディスプレイによって構成される。
【0062】
記憶部53は、各種の情報、プログラム、およびデータなどを記憶する機能を備える記憶領域/記憶装置であり、例えばハードディスクによって構成される。記憶部53には、ゲームサーバ5の動作全体を制御するためのオペレーティングシステムの他、管理プログラム531が格納されている。また、記憶部53には、電柱情報データベース532、ユーザ情報データベース533、およびポイント情報データベース534が格納されている。
【0063】
電柱情報データベース532は、複数本の電柱2の電柱情報を記憶している。図6に示すように、電柱情報データベース532には、電柱2ごとに電柱番号と、電柱位置情報と、広告情報と、ポイントとが対応付けて記憶されている。広告情報は、電柱広告の有無を示す。また、ポイントは、当該電柱2が獲得された場合にユーザUに付与されるポイント数を示す。
【0064】
電柱2の獲得時に付与されるポイント数は、全ての電柱において同じにしてもよいし、電柱2ごとに異なるポイントを付与するようにしてもよい。例えば、電柱広告が設けられている電柱、特定事象の発生頻度が高い電柱、ユーザUによって見つけにくい位置にある電柱などについては、付与されるポイントが高くなるように設定してもよい。また、これとは逆に、電柱広告が設けられていない電柱、特定事象の発生頻度が低い電柱、ユーザUによって見つけやすい位置にある電柱などについては、付与されるポイントが低くなるように設定してもよい。
【0065】
また、電柱情報データベース532により、特定の電柱を電柱獲得ゲームによって獲得可能な電柱から除外できるようにしてもよい。これにより、例えば、私有地などに設置されている電柱などをゲームの対象から除外することができるので、ユーザUが私有地などに入り込んでトラブルが発生するのを未然に抑制することが可能である。
【0066】
ユーザ情報データベース533は、複数のユーザUに関する情報を記憶している。図7に示すように、ユーザ情報データベース533には、ユーザUごとにユーザIDと、パスワードと、氏名と、メールアドレスとが対応付けて記憶されている。
【0067】
ポイント情報データベース534は、ユーザUに付与されたポイントを記憶している。図8に示すように、ポイント情報データベース534には、ユーザUごとにユーザIDと、付与されたポイント数と、そのポイントの付与日時とが記憶されている。また、ポイント情報データベース534には、各ユーザUの累積ポイント数も記憶されている。ポイント情報データベース534は、ユーザUが電柱獲得ゲームに参加してポイントが付与され、あるいは取り消された場合に随時更新される。
【0068】
メモリ54は、中央処理部57が管理プログラム531の各種処理を実行する際に生成される情報・データを一時的に記憶などするための作業領域となる機能を備える記憶領域/記憶装置であり、例えばRAMにより構成される。通信部55は、通信回線網NWを介して伝送される信号・情報の送受信/入出力を行う機能を備える通信インターフェースである。
【0069】
メインタスク56は、記憶部53に記憶されている管理プログラム531が中央処理部57により実行されることによって実現される、電柱獲得ゲームの各種処理を実行するタスク群である。
【0070】
中央処理部57は、ゲームサーバ5を構成する各部を統制して制御などする機能を備え、例えば、CPUを含んで構成される。中央処理部57は、記憶部53に格納されているオペレーションシステムや管理プログラム531に従って各機能を実現する。
【0071】
ゲームサーバ5は、電柱獲得ゲームを開催・進行し、ユーザUに獲得した電柱2に応じてポイントを付与するための各種処理を実行する。この処理は、記憶部53に格納されている管理プログラム531が中央処理部57によって実行されることにより構成される、メインタスク56によって行われる。メインタスク56は、認証タスク561、ゲーム開催タスク562、ポイント付与タスク(ポイント付与手段)563、獲得済み電柱情報送信タスク(獲得済み電柱情報送信手段)564、ペナルティ付与タスク(ペナルティ付与手段)565、および特定事象判定タスク(特定事象判定手段)566などを含む。
【0072】
認証タスク561は、携帯通信端末4の起動タスク471によって送信されたユーザIDおよびパスワードを受信し、ユーザ情報データベース533と照合して認証処理を行うためのタスクである。
【0073】
ゲーム開催タスク562は、携帯通信端末4のゲーム参加要求タスク472によって送信された参加要求情報に応じて電柱獲得ゲームを開催し、進行を管理するためのタスクである。ゲーム開催タスク562は、所定エリア内に存在する所定人数以上のユーザUの携帯通信端末4から参加要求情報を受信すると、それらのユーザUをゲームの参加ユーザとして特定する。また、ゲーム開催タスク562は、ゲーム開催時刻を決定し、参加人数に応じたゲームエリア、ゲーム時間などをゲーム条件として設定する。ゲームエリアは、電柱獲得ゲームが開催されるエリアを示し、ゲーム時間は、電柱獲得ゲームのプレイ時間である。
【0074】
また、ゲーム開催タスク562は、設定されたゲーム条件を、参加要求情報を送信したユーザUの携帯通信端末4へ送信し、最終的なゲーム参加の意志を受け付ける。ゲーム開催タスク562は、ゲーム開催時刻になると電柱獲得ゲームを開催し、ゲーム時間の経過後に電柱獲得ゲームを終了する。なお、ゲーム条件として設定されるゲームエリアおよびゲーム時間は、参加人数が多い場合には、ゲームエリアが広く、かつ、ゲーム時間が長くなるように設定し、参加人数が少ない場合には、ゲームエリアが狭く、かつ、ゲーム時間が短くなるように設定してもよい。
【0075】
ポイント付与タスク563は、携帯通信端末4の電柱獲得タスク474によって送信された電柱獲得情報を受信し、ユーザUにポイントを付与するためのタスクである。ポイント付与タスク563は、携帯通信端末4から電柱獲得情報を受信すると、電柱獲得情報に含まれる電柱情報を電柱情報データベース532と照合し、ユーザUが獲得した電柱2を特定する。また、ポイント付与タスク563は、電柱獲得情報に含まれるユーザIDに基づいて、獲得した電柱2に応じたポイントをユーザUに付与する。具体的には、ポイント付与タスク563は、ポイント情報データベース534に付与したポイントを記憶することにより、ユーザUにポイントを付与する。
【0076】
また、ポイント付与タスク563は、ユーザUが獲得した複数の電柱間を線で結んだ閉空間の面積である獲得領域を特定し、獲得領域の広さに応じたポイントをユーザUに付与する。獲得領域によって付与されるポイントは、例えば、1平方メートル当たりのポイント数が予め決められており、獲得領域の広さに応じてポイントが付与される。
【0077】
本実施形態に係る電柱獲得ゲームは、上記のとおり、複数人のユーザUが参加して開催される。そのため、異なるユーザ間で電柱2の奪い合いが発生する場合がある。例えば、図9(A)は、ユーザU1により獲得された4本の電柱21a~21dおよび獲得領域A1と、ユーザU2により獲得された4本の電柱22a~22dおよび獲得領域A2とを示している。このような状態から、同図(B)に示すように、ユーザU1によってユーザU2の電柱22cが獲得された場合、ポイント付与タスク563は、ユーザU2に付与された電柱22cのポイントを取り消して、ユーザU1へ付与する。
【0078】
また、ポイント付与タスク563は、ユーザU1の獲得領域A1と、ユーザU2の獲得領域A2とを再特定し、再特定された獲得領域A1、A2の広さに応じて、ユーザU1のポイントとユーザU2のポイントとを調整する。すなわち、ポイント付与タスク563は、ユーザU2の電柱22cがユーザU1に獲得されたことにより、ユーザU2の獲得領域A2は狭くなっているため、その狭くなった面積分だけポイントを減算する。これとは逆に、ユーザU1の獲得領域A1は広くなっているため、その広くなった面積分だけポイントを加算する。このように、獲得済みの電柱2をユーザUの間で奪い合ってポイントを獲得することができるので、ゲームの興趣がより高まり、電柱および電柱広告への関心を高めることができる。
【0079】
獲得済み電柱情報送信タスク564は、携帯通信端末4から電柱獲得情報を受信した場合に、その獲得された電柱2に関する獲得済み電柱情報をゲームに参加している全てのユーザUの携帯通信端末4へ送信するタスクである。獲得済み電柱情報には、電柱情報と、獲得したユーザUのユーザIDとが含まれており、この獲得済み電柱情報は、ゲーム画面6に表示される。
【0080】
図2に示すゲーム画面6は、ユーザU1のゲーム画面であるが、獲得済み電柱情報に基づき、ユーザU2が獲得した電柱22a~22dおよび獲得領域A2が表示されている。これにより、ゲームに参加しているユーザUは、他のユーザUがどの電柱を獲得したかを知ることができるので、他のユーザUから電柱2を奪って獲得領域を狭くするなどの作戦を立てることができる。したがって、ゲームの興趣がより高まり、電柱および電柱広告への関心を高めることができる。
【0081】
ペナルティ付与タスク565は、携帯通信端末4の罠電柱設定タスク475から罠電柱設定情報を受信した場合に、罠電柱設定情報に含まれる電柱情報に基づいて、罠電柱として設定された電柱2を特定し、特定した電柱を罠電柱として設定する。また、ペナルティ付与タスク565は、罠電柱が他のユーザUによって獲得された場合に、そのユーザUにペナルティを課す。
【0082】
例えば、図10(A)に示すように、ユーザU1により5本の電柱21a~21eおよび獲得領域A1が獲得され、ユーザU2により3本の電柱22a~22cおよび獲得領域A2が獲得されている状態で、ユーザU1により、電柱21fが罠電柱として設定されたとする。このような状態で、ユーザU2が、罠電柱であると知らずに電柱21fを獲得すると、同図(B)に示すように、電柱21fがユーザU1の獲得済みの罠電柱であることが公開される。同図(C)に示すように、ペナルティ付与タスク565は、罠電柱を獲得したユーザU2に対し、獲得済みの電柱のなかからランダムに選択された電柱、例えば電柱22aを没収し、ユーザU1に与える。これにより、ユーザU1は7本の電柱と、広くなった獲得領域A1を獲得することができる。これに対し、ペナルティが課されたユーザU2は、2本の電柱のみを獲得し、獲得領域は消失する。このように、罠電柱を設定し、罠電柱を獲得したユーザUにペナルティを課すことができるので、ゲームの興趣がより高まり、電柱および電柱広告への関心を高めることができる。
【0083】
なお、罠電柱によってユーザU間で電柱の奪い合いが行われた場合には、ポイント付与タスク563によってポイント情報データベース534が更新され、各ユーザUのポイント数が調整される。
【0084】
特定事象判定タスク566は、携帯通信端末4の報告タスク476によって送信された報告情報を受信し、報告情報にて報告された特定事象の発生についての真偽を判定するためのタスクである。特定事象判定タスク566は、報告情報を受信すると、例えば、電力事業者Dの配電設備に関する管理システムにアクセスし、報告情報によって報告された特定事象が電力事業者Dによって確認済みであるか否かを確認する。特定事象判定タスク566は、例えば、報告情報によって報告された特定事象が電柱広告21の破損であり、この電柱広告21の破損が電力事業者Dによって確認済みである場合には、報告された特定事象が正しいと判定する。また、これとは逆に、電柱広告21の破損が電力事業者Dによって確認されていない場合には、報告された特定事象が誤りであると判定する。
【0085】
特定事象判定タスク566は、報告情報によって報告された特定事象が正しいと判定した場合には、報告情報を送信したユーザUにゲームに関する特典を付与する。この特典としては、ユーザUにポイントを付与してもよいし、罠電柱の設定回数を増やすようにしてもよい。
【0086】
次に、図11に示すフローチャートにしたがって、上記の実施の形態の作用について説明する。ユーザUは、携帯通信端末4を操作してゲームアプリ421を起動する(ステップS1)。起動タスク471は、ゲームサーバ5にユーザIDおよびパスワードを送信して自動ログインを行う(ステップS2)。
【0087】
ゲームサーバ5の認証タスク561は、受信したユーザIDおよびパスワードをユーザ情報データベース533と照合して認証処理を行う(ステップS3)。
【0088】
ユーザUが、携帯通信端末4の初期画面に表示されている参加ボタンを操作すると(ステップS4)、ゲーム参加要求タスク472は、ユーザIDおよび位置情報を含むゲーム参加要求情報をゲームサーバ5へ送信する(ステップS5)。
【0089】
ゲームサーバ5のゲーム開催タスク562は、所定エリア内に存在する所定人数以上のユーザUの携帯通信端末4から参加要求情報を受信すると、それらのユーザUをゲームの参加ユーザとして特定する。また、ゲーム開催タスク562は、ゲーム開催時刻を決定し、参加人数に応じたゲームエリア、ゲーム時間などをゲーム条件として設定する(ステップS6)。また、ゲーム開催タスク562は、設定されたゲーム条件を、参加要求情報を送信したユーザUの携帯通信端末4へ送信し、最終的なゲーム参加の意志を受け付ける(ステップS7)。
【0090】
携帯通信端末4のゲーム画面表示タスク473は、タッチパネルディスプレイ41にゲーム画面6を表示する(ステップS8)。また、ゲーム画面表示タスク473は、電柱獲得ゲームの進行状況に応じて、ゲーム画面6を随時更新する。
【0091】
携帯通信端末4の電柱獲得タスク474は、ゲーム画面6において獲得ボタン631が操作されると、カメラ45を起動し、ユーザUの操作に応じて電柱2の電柱情報記録パネル3を撮影する。また、電柱獲得タスク474は、撮影した画像の2次元コードから電柱2の電柱情報を読み取る(ステップS9)。電柱獲得タスク474は、読み取った電柱情報と、ユーザIDとを含む電柱獲得情報をゲームサーバ5に送信する(ステップS10)。
【0092】
ゲームサーバ5のポイント付与タスク563は、携帯通信端末4から電柱獲得情報を受信すると、電柱獲得情報に含まれる電柱情報を電柱情報データベース532と照合し、ユーザUが獲得した電柱2を特定する。また、ポイント付与タスク563は、電柱獲得情報に含まれるユーザIDに基づいて、獲得した電柱2に応じたポイントをユーザUに付与する。
【0093】
また、ポイント付与タスク563は、ユーザUの獲得領域を特定し、獲得領域の広さに応じたポイントをユーザUに付与する。さらに、ポイント付与タスク563は、ユーザUの間で電柱2の奪い合いが行われて獲得した電柱2の本数や獲得領域の面積が変動した場合に、変動後の電柱2の本数および獲得領域に応じて各ユーザUのポイントを調整する(ステップS11)。
【0094】
ゲームサーバ5の獲得済み電柱情報送信タスク564は、携帯通信端末4から電柱獲得情報を受信した場合に(ステップS12)、その獲得された電柱2に関する獲得済み電柱情報をゲームに参加している全てのユーザUの携帯通信端末4へ送信する(ステップS13)。
【0095】
ユーザUは、ゲーム画面6の罠ボタン633を操作して罠電柱を設定し(ステップS14)、ゲームサーバ5に罠電柱情報を送信する(ステップS15)。ゲームサーバ5のペナルティ付与タスク565は、携帯通信端末4から罠電柱設定情報を受信すると、罠電柱として設定された電柱2を特定し、特定した電柱を罠電柱として設定する。また、ペナルティ付与タスク565は、罠電柱が他のユーザUによって獲得された場合に、そのユーザUにペナルティを課す(ステップS16)。
【0096】
ユーザUは、電柱獲得ゲームのプレイ中に特定事象が発生している電柱2を発見した場合に、ゲーム画面6にて報告ボタン632を操作する。報告タスク476は、特定事象が発生している電柱2の電柱情報と、特定事象を撮影した画像71およびコメントと、ユーザIDとを含む報告情報を生成し(ステップS17)、生成した報告情報をゲームサーバ5に送信する(ステップS18)。
【0097】
ゲームサーバ5の特定事象判定タスク566は、携帯通信端末4から送信された報告情報を受信し、報告情報にて報告された特定事象の発生についての真偽を判定する(ステップS19)。特定事象判定タスク566は、報告された特定事象が正しいと判定した場合には、報告情報を送信したユーザUにゲームに関する特典を付与する(ステップS20)。
【0098】
以上で説明したように、本実施形態のゲームシステム1によれば、電柱2に設けられた電柱情報記録パネル3から電柱情報を取得し、取得した電柱情報を含む電柱獲得情報をゲームサーバ5へ送信し、ゲームサーバ5は電柱獲得情報を送信したユーザUにポイントを付与するので、ユーザUは電柱情報を取得するために電柱2をよく観察するようになり、電柱2や電柱2に取り付けられた電柱広告21に対するユーザUの関心を高めることが可能である。
【0099】
また、本実施形態のゲームシステム1によれば、ユーザUが獲得した獲得領域の広さに応じてポイントを付与するので、ユーザUは単に電柱2を獲得するだけでなく、できるだけ獲得領域が広くなるように電柱2を獲得するので、ゲームの興趣がより高まり、電柱2および電柱広告21への関心を高めることができる。
【0100】
さらに、本実施形態のゲームシステム1によれば、複数のユーザUの間で電柱2の奪い合いが行われた場合に、電柱2の本数の変動に応じてポイントが変化するので、ゲームの興趣がより高まり、電柱2および電柱広告21への関心を高めることができる。
【0101】
また、本実施形態のゲームシステム1によれば、複数のユーザUの間で電柱の奪い合いが行われて獲得領域が変化した場合に、獲得領域の変動に応じてポイントが変化するので、ゲームの興趣がより高まり、電柱2および電柱広告21への関心を高めることができる。
【0102】
さらに、本実施形態のゲームシステム1によれば、獲得された電柱2に関する情報をゲームに参加している全てのユーザUへ送信するので、他のユーザUから電柱2を奪って獲得領域を狭くするなどの作戦を立てることができ、ゲームの興趣がより高まり、電柱2および電柱広告21への関心を高めることができる。
【0103】
また、本実施形態のゲームシステム1によれば、ゲームに参加している他のユーザUに罠電柱を設定し、罠電柱を獲得したユーザUにペナルティを課すことができるので、単に電柱2の奪い合いを行うだけのゲームよりも興趣がより高まり、電柱2および電柱広告21への関心を高めることができる。
【0104】
さらに、本実施形態のゲームシステム1によれば、電柱2に特定事象が発生している場合に、この特定事象を報告し、特定事象が発生していると判定された場合に特典を得ることができるので、単に電柱2の奪い合いを行うだけのゲームよりも興趣がより高まり、電柱2および電柱広告21への関心を高めることができる。また、特定事象を早期に発見して対応することができるので、電柱2や電柱広告21を適切な状態に維持することが可能である。
【0105】
上記の実施形態では、特定事象の真偽を判定する際に、電力事業者Dの配電設備に関する管理システムにアクセスし、報告された特定事象が電力事業者Dによって確認済みであるか否かを確認するようにしたが、報告情報に添付された画像を画像解析して、特定事象が発生しているか否かを判定するようにしてもよい。また、画像解析の手法として、過去の特定事象の画像を教師データとして機械学習された学習済みモデルを利用して、報告情報に添付された画像を画像解析し、特定事象が発生しているか否かを判定するようにしてもよい。
【0106】
さらに、上記の実施形態では、電柱情報記録パネル3に表示された2次元コードで電柱情報を示しているが、1次元コードや3次元コードなどを利用してもよい。また、電柱2に電柱情報を送信する短距離無線装置などを設置し、携帯通信端末4の短距離無線通信機能を利用して、電柱情報を受信するようにしてもよい。
【0107】
また、上記実施形態では、各ユーザ同士が電柱を獲得する電柱獲得ゲームを例として説明したが、複数人のユーザで構成された複数のチームを構成し、各チーム間で電柱を獲得するようにしてもよい。この場合、チーム内でチャットやメールを利用した意志の疎通が行えるようにしてもよい。さらには、他のユーザと競わずに、ユーザごとに電柱を獲得するようなゲーム構成としてもよい。これによれば、他のユーザの存在を気にせずに、散歩をしながらゆっくりとゲームを楽しむことが可能である。
【0108】
また、上記実施形態では、ゲームシステム1によって独自のポイントを付与する例について説明したが、例えば、図12に示すように、ゲームサーバ5を他のゲームシステムあるいは他のポイントシステム8と連携させ、ユーザUに、他のゲームシステムあるいは他のポイントシステム8のポイントを付与するようにしてもよい。また、ユーザのポイントと、他のゲームシステムあるいは他のポイントシステム8のポイントとを交換できるようにしてもよい。
【0109】
他のゲームシステムあるいは他のポイントシステム8として、例えば、電力事業者Dにおいて、電気の使用量に応じた電力使用ポイントを付与するポイントシステムが運営されている場合には、この電力使用ポイントを本実施形態のゲームのユーザUに付与し、あるいはポイント交換を行えるようにしてもよい。これによれば、ユーザにおける電柱2および電柱広告21に対する関心だけでなく、電力事業者Dに対する関心も高めることが可能である。また、獲得したポイントを有効に活用することができ、ゲームの興趣がより高まり、電柱および電柱広告への関心を高めることができる。
【符号の説明】
【0110】
1 ゲームシステム
2 電柱
21 電柱広告
3 電柱情報記録パネル(電柱情報記録手段)
4 携帯通信端末
421 電柱獲得ゲームアプリケーションプログラム
471 起動タスク
472 ゲーム参加要求タスク(ゲーム参加要求手段)
473 ゲーム画面表示タスク(ゲーム画面表示手段)
474 電柱獲得タスク(電柱獲得手段)
475 罠電柱設定タスク(罠電柱設定手段)
476 報告タスク(報告手段)
5 ゲームサーバ(サーバ)
531 電柱獲得ゲーム管理プログラム
561 認証タスク
562 ゲーム開催タスク(ゲーム開催手段)
563 ポイント付与タスク(ポイント付与手段)
564 獲得済み電柱情報送信タスク(獲得済み電柱情報送信手段)
565 ペナルティ付与タスク(ペナルティ付与手段)
566 特定事象判定タスク(特定事象判定手段)
6 ゲーム画面
7 報告画面
8 他のゲームシステム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12