(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-31
(45)【発行日】2025-04-08
(54)【発明の名称】端末装置及び方法
(51)【国際特許分類】
H04W 76/27 20180101AFI20250401BHJP
H04W 16/32 20090101ALI20250401BHJP
H04W 72/0457 20230101ALI20250401BHJP
H04W 76/34 20180101ALI20250401BHJP
【FI】
H04W76/27
H04W16/32
H04W72/0457 110
H04W76/34
(21)【出願番号】P 2022580153
(86)(22)【出願日】2020-06-23
(86)【国際出願番号】 CN2020097740
(87)【国際公開番号】W WO2021258291
(87)【国際公開日】2021-12-30
【審査請求日】2023-02-22
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】ワン ダー
(72)【発明者】
【氏名】ワン ガン
【審査官】永井 啓司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0387569(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0045568(US,A1)
【文献】国際公開第2017/163676(WO,A1)
【文献】Qualcomm Incorporated,Further discussion on suspension of SCG[online],3GPP TSG RAN WG2 #108 R2-1914364,Internet<URL:https://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_108/Docs/R2-1914364.zip>,2019年11月08日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末装置の方法であって、
マスターノードから、セカンダリノードに関連付けられているセルグループを非活性化する第1の指示を受信し、
前記セルグループを非活性化する前記第1の指示を受信したときに、サービスデータユニット(SDU)廃棄を実行するために、前記セカンダリノードと前記端末装置との間のシグナリング無線ベアラ3(SRB3)のパケットデータコンバージェンスプロトコル(PDCP)エンティティをトリガする
非活性化手続きを行い、
前記非活性化手続きにおいて、前記セルグループのメディアアクセス制御(МAC)のリセットを行う場合には、進行中のランダムアクセス手続きを停止する、
方法。
【請求項2】
さらに、前記SRB3の第1の無線リンク制御(RLC)エンティティを再確立する、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記PDCPエンティティは、PDCPサービスデータユニット(SDU)とPDCPプロトコルデータユニット(PDU)とを破棄する、
請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
さらに、前記セルグループのためのメディアアクセス制御(MAC)をリセットする、
請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の指示は、無線リソース制御(RRC)再設定メッセージに含まれる、
請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記マスターノードが、前記セカンダリノードに前記セルグループを非活性化にすることを要求する、
請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記セカンダリノードが、前記マスターノードに前記セルグループを非活性化することを要求する、
請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
さらに、前記セルグループのプライマリセルと前記セルグループのセカンダリセルとを非活性化する、
請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
さらに、前記セカンダリノードの前記セルグループを活性化する
第2のメッセージを受信し、
前記セカンダリノードに関連付けられている前記セルグループのプライマリセル
でランダムアクセス手順を開始
し、
前記ランダムアクセス手順が正常に完了した場合には、前記第2のメッセージを受信したときにスタートしたタイマT304を停止する、
請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記マスターノードが、前記セカンダリノードに前記セルグループを活性化することを要求する、
請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記セカンダリノードが、前記マスターノードに前記セルグループを活性化することを要求する、
請求項9に記載の方法。
【請求項12】
マスターノードから、セカンダリノードに関連付けられているセルグループを非活性化する第1の指示を受信する手段と、
前記セルグループを非活性化する前記第1の指示を受信したときに、サービスデータユニット(SDU)廃棄を実行するために、前記セカンダリノードとの間のシグナリング無線ベアラ3(SRB3)のパケットデータコンバージェンスプロトコル(PDCP)エンティティをトリガする
非活性化手続きを行う手段と、
前記非活性化手続きにおいて、前記セルグループのメディアアクセス制御(МAC)のリセットを行う場合には、進行中のランダムアクセス手続きを停止する手段と、
を備える、端末装置。
【請求項13】
前記端末装置は、前記SRB3の第1の無線リンク制御(RLC)エンティティを再確立する、
請求項12に記載の端末装置。
【請求項14】
前記PDCPエンティティは、PDCPサービスデータユニット(SDU)とPDCPプロトコルデータユニット(PDU)とを破棄する、
請求項12または13に記載の端末装置。
【請求項15】
前記端末装置は、前記セルグループのためのメディアアクセス制御(MAC)をリセットする、
請求項12から14のいずれか一項に記載の端末装置。
【請求項16】
前記第1の指示は、無線リソース制御(RRC)再設定メッセージに含まれる、
請求項12から15のいずれか一項に記載の端末装置。
【請求項17】
前記セカンダリノードが、前記マスターノードに前記セルグループを非活性化することを要求する、
請求項12から16のいずれか一項に記載の端末装置。
【請求項18】
前記マスターノードが、前記セカンダリノードに前記セルグループを非活性化することを要求する、
請求項12から16のいずれか一項に記載の端末装置。
【請求項19】
前記端末装置は、前記セルグループのプライマリセルと前記セルグループのセカンダリセルとを非活性化する、
請求項12から18のいずれか一項に記載の端末装置。
【請求項20】
前記端末装置は、前記セカンダリノードの前記セルグループを活性化する
第2のメッセージを受信し、
前記セカンダリノードに関連付けられている前記セルグループのプライマリセル
でランダムアクセス手順を開始
し、
前記ランダムアクセス手順が正常に完了した場合には、前記第2のメッセージを受信したときにスタートしたタイマT304を停止する、
請求項12から19のいずれか一項に記載の端末装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、一般に電気通信の分野に関し、特に、通信のための方法、装置及び媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
デュアルコネクティビティ(Dual Connectivity)とは、2つのネットワーク装置(例えば、2つの基地局)によって提供される無線リソースを利用するように端末装置(例えば、ユーザー端末(UE))を構成することができる動作モードである。第1ネットワーク装置がマスターノード(MN)として端末装置にサービスを提供し、第2ネットワーク装置がセカンダリノード(SN)として端末装置にサービスを提供する。MNとSNは、ネットワークインターフェースによって非理想的なバックホールを介して接続されており、少なくともMNはコアネットワークに接続されている。
【0003】
MNとSNは、1つ又は複数のサービングセルに関連付けられてもよい。キャリアアグリゲーション(CA)のシナリオでは、MN及びSNの各々は、プライマリセル(PCell)と、オプションとして1つ又は複数のセカンダリセル(SCell)とを含むサービングセルのグループに関連付けられてもよい。MNに関連付けられたサービングセルグループはMCG(Master Cell Group)と称され、SNに関連付けられたサービングセルグループはMCG(Secondary Cell Group)と称される。SCGは場合によって、例えば消費電力を抑えるためにサスペンド(suspend)する必要がある。しかしながら、SCGサスペンション(suspension)のメカニズムは未だ規定されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、本開示の例示的な実施形態は、SCGサスペンションの解決手段を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の態様では、通信方法が提供される。前記方法は、端末装置において、第1ネットワーク装置から、第2ネットワーク装置のセルグループを非活性化する第1指示を受信することと、前記セルグループでの送信のために使用される、前記端末装置のデータリンク層のデータユニットを破棄することと、を含む。前記第1ネットワーク装置は、前記端末装置にサービスを提供するマスターノードであり、前記第2ネットワーク装置は、前記端末装置にサービスを提供するセカンダリノードである。
【0006】
第2の態様では、通信方法が提供される。前記方法は、端末装置において、第1ネットワーク装置から、第2ネットワーク装置のセルグループを活性化する指示を受信することと、前記第1ネットワーク装置によって設定された上限値を有するタイマを開始することと、前記セルグループのプライマリセルにおいてランダムアクセス手順を開始することと、を含む。前記第1ネットワーク装置は、前記端末装置にサービスを提供するマスターノードであり、前記第2ネットワーク装置は、前記端末装置にサービスを提供するセカンダリノードである。
【0007】
第3の態様では、端末装置が提供される。前記ネットワーク装置は、プロセッサユニットと、前記プロセッサユニットに結合され命令が格納されているメモリと、を備える。前記命令は、前記プロセッサユニットによって実行される場合、前記装置に前記第1の態様にかかる方法を実行させる。
【0008】
第4の態様では、端末装置が提供される。前記端末装置は、プロセッサユニットと、前記プロセッサユニットに結合され命令が格納されているメモリと、を備える。前記命令は、前記プロセッサユニットによって実行された場合、前記装置に前記第2の態様にかかる方法を実行させる。
【0009】
第5の態様では、命令が格納されているコンピュータ可読媒体が提供される。前記命令は、少なくとも1つのプロセッサにおいて実行される場合、前記少なくとも1つのプロセッサに、前記第1の態様にかかる方法を実行させる。
【0010】
第6の態様では、命令が格納されているコンピュータ可読媒体が提供される。前記命令は、少なくとも1つのプロセッサにおいて実行される場合、前記少なくとも1つのプロセッサに、前記第2の態様にかかる方法を実行させる。
【0011】
本開示の他の特徴は、以下の説明を通して容易に理解されるはずである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
添付図面における本開示のいくつかの例示的な実施形態のより詳細な説明を通じて、本開示の上記及び他の目的、特徴及び利点がより明らかになるはずである。
【0013】
【
図1】本開示の実施形態を実施可能な通信環境のブロック図である。
【0014】
【
図2A】本開示のいくつかの実施形態にかかる、SCGサスペンションをトリガするプロセスを示すシグナリングチャートである。
【
図2B】本開示のいくつかの実施形態にかかる、SCGサスペンションをトリガするプロセスを示すシグナリングチャートである。
【0015】
【
図3】本開示のいくつかの実施形態にかかる、SCGサスペンションのプロセスを示すシグナリングチャートである。
【0016】
【
図4】本開示のいくつかの実施形態にかかる、端末装置において確立されるネットワークプロトコル層のエンティティのブロック図である。
【0017】
【
図5】本開示のいくつかの実施形態にかかる、端末装置において確立されるネットワークプロトコル層のエンティティのブロック図である。
【0018】
【
図6A】本開示のいくつかの実施形態にかかる、SCG再開をトリガするプロセスを示すシグナリングチャートである。
【
図6B】本開示のいくつかの実施形態にかかる、SCG再開をトリガするプロセスを示すシグナリングチャートである。
【0019】
【
図7】本開示のいくつかの実施形態にかかる、SCG再開のプロセスを示すシグナリングチャートである。
【0020】
【
図8A】本開示のいくつかの実施形態にかかる、SCG再開の失敗を示す例示的なメッセージを示す模式図である。
【
図8B】本開示のいくつかの実施形態にかかる、SCG再開の失敗を示す例示的なメッセージを示す模式図である。
【0021】
【
図9】本開示のいくつかの実施形態にかかる、端末装置で実施される別の例示的な通信方法を示す。
【0022】
【
図10】本開示のいくつかの実施形態にかかる、端末装置で実施される別の例示的な通信方法を示す。
【0023】
【
図11】本開示の実施形態を実施するのに好適な装置の概略ブロック図である。
【0024】
図面全体において、同一又は類似の参照番号は、同一又は類似の要素を表す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本開示の原理について、いくつかの例示的な実施形態を参照しながら説明する。これらの実施形態は、単に説明を目的として説明されるもので、当業者が本開示を理解し実施する際に役立つものであり、本開示の範囲に対する何らかの限定を示唆するものではないことを理解されたい。本明細書で説明する本開示は、以下で説明するもの以外にも様々な方法で実施することができる。
【0026】
以下の説明及び特許請求の範囲において、別途定義されない限り、使用される全ての技術用語及び科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。
【0027】
本明細書で使用される場合、「ネットワーク装置」という用語は、端末装置が通信できるセル又はカバレッジを提供又はホストすることが可能な装置を指す。ネットワーク装置の例には、Node B(NB又はNB)、Evolved NodeB(eNodeB又はeNB)、新無線アクセスのNodeB(gNB)、リモート無線ヘッド(RRU:Remote Radio Unit)、無線ヘッド(RH:Radio Head)、リモート無線ヘッド(RRH:Remote Radio Head)、フェムトノード、ピコノード等の低電力ノード、衛星ネットワーク装置、航空機ネットワーク装置等が含まれるが、これらに限定されない。以下では、議論を目的として、ネットワーク装置の例としてeNBを参照しながら、いくつかの例示的な実施形態を説明する。
【0028】
本明細書において、「端末装置」という用語は、無線又は有線の通信機能を有する任意の装置を指す。端末装置の例としては、ユーザ端末(UE)、パーソナルコンピュータ、デスクトップ、移動電話、携帯電話、スマートフォン、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、ポータブルコンピュータ、タブレット、ウェアラブルデバイス、IoT(Internet of Things)デバイス、IoE(Internet of Everything)デバイス、マシンタイプ通信(MTC)機器又は進化型MTC(eMTC:evolved MTC)機器、V2X通信用の車両搭載機器(ここでXは歩行者、車両又はインフラ/ネットワークを意味する)、デジタルカメラ等の撮像装置、ゲーム機器、音楽保存・再生装置、無線/有線でのインターネットアクセス及び閲覧を可能にするインターネット装置等が挙げられるが、それらに限定されない。以下の説明では、「端末装置」、「通信装置」、「端末」、「ユーザ端末」、「UE」という用語を互換的に使用する場合がある。
【0029】
一実施形態において、端末装置は、第1ネットワーク装置及び第2ネットワーク装置と接続されてもよい。第1ネットワーク装置と第2ネットワーク装置の一方はマスターノードで、他方はセカンダリーノードであってもよい。第1ネットワーク装置と第2ネットワーク装置は、異なる無線アクセス技術(RAT)を使用してもよい。一実施形態では、第1ネットワーク装置は第1RAT装置であってもよく、第2ネットワーク装置は第2RAT装置であってもよい。一実施形態では、第1RAT装置はeNBであり、第2RAT装置はgNBである。異なるRATに関連する情報は、第1ネットワーク装置及び第2ネットワーク装置の少なくとも一方から端末装置に送信されてもよい。一実施形態において、第1情報が第1ネットワーク装置から端末装置に送信されてもよく、第2情報が第2ネットワーク装置から端末装置に直接送信されるか、又は第1ネットワーク装置を介して送信されてもよい。一実施形態において、第2ネットワーク装置によって設定された端末装置の設定に関連する情報が、第2ネットワーク装置から第1ネットワーク装置を介して送信されてもよい。第2ネットワーク装置によって設定された端末装置の再設定に関連する情報が、第2ネットワーク装置から端末装置に、直接送信されるか、又は第1ネットワーク装置を介して送信されてもよい。
【0030】
本明細書で論じられる通信は、任意の適切な規格に準拠してもよく、規格は、新無線アクセス(NR)、ロングタームエボリューション(LTE:Long Term Evolution)、LTEエボリューション(LTE-Evolution)、LTEアドバンスト(LTE-A:LTE-Advanced)、広帯域符号分割多元接続(WCDMA(登録商標):Wideband Code Division Multiple Access)、符号分割多元接続(CDMA:Code Division Multiple Access)、cdma2000、及びモバイル通信用グローバルシステム(GSM:Global System for Mobile Communications)等を含んでもよいが、これらに限定されない。さらに、通信は、現在知られている、又は将来開発される任意の世代の通信プロトコルに従って実行されてもよい。通信プロトコルの例には、第1世代(1G)、第2世代(2G)、2.5G、2.75G、第3世代(3G)、第4世代(4G)、4.5G、第5世代(5G)の通信プロトコルが含まれるが、これらに限定されない。本明細書に記載された技術は、上記の無線ネットワーク及び無線技術だけでなく、他の無線ネットワーク及び無線技術に使用してもよい。
【0031】
本明細書で使用される場合、単数形「1つ(a)」、「1つ(an)」、及び「上記(the)」は、文脈で別途明確に示されていない限り、複数形も含むことを意図している。「含む」という用語及びその変形は、「含むがこれに限定されない」ことを意味する開放式の用語として解釈される。「・・・に基づいて」という用語は、「・・・に少なくとも部分的に基づいて」と解釈される。「一実施形態」及び「1つの実施形態」という用語は、「少なくとも1つの実施形態」と解釈される。「別の実施形態」という用語は、「少なくとも1つの他の実施形態」と解釈される。「第1」、「第2」等の用語は、異なる対象又は同じ対象を指してもよい。以下の内容には、明示的及び暗黙的な他の定義が含まれることがある。
【0032】
いくつかの例において、値、手順又は装置は、「最適」、「最低」、「最高」、「最小」、「最大」等と称される。理解される点として、こうした説明は、使用される複数の機能的代替の中から、選択可能であると示すことを意図しており、こうした選択は、他の選択と比べて、より優れていたり、より小さかったり、より高かったり、又はより好ましかったりする必要はない。
例示的な環境
【0033】
図1は、本開示の例示的な実施形態を実施可能な例示的な通信ネットワーク100を示す。
図1の例では、複数のネットワーク装置110、120が配備され、端末装置130にサービスを提供している。ネットワーク装置110はMNとして端末装置130にサービスを提供し、ネットワーク装置120はSNとして端末装置130にサービスを提供する。
【0034】
ネットワーク装置110、120のサービングエリアは、セルと称される。
図1に示すように、ネットワーク装置110のセルグループは、プライマリセル150-1とセカンダリセル150-2を含む。ネットワーク装置110がMNとして機能することから、ネットワーク装置110のセルグループをMCG150と称し、プライマリセル150-1をPCell 150-1とも称する。
【0035】
ネットワーク装置120のセルグループは、プライマリセル160-1とセカンダリセル160-2を含む。ネットワーク装置120がSNとして機能することから、ネットワーク装置120のセルグループをSCG160と称し、プライマリセル160-1をPSCell 160-1とも称する。なお、PCell 150-1とPSCell 160-1をSpCellと総称する場合がある。
【0036】
図1におけるSCellの数は、説明を目的として示されたものであり、本開示に対する何らかの限定を示唆するものではないことを理解されたい。ネットワーク装置110、120は、端末装置130にサービスを提供するために、任意の適切な数のSCellを提供してもよい。
【0037】
端末装置130とネットワーク装置110、120との間の通信は、任意の適切な通信プロトコルに従って実施してもよい。端末装置130からネットワーク装置110又は120に向かう方向の通信をUL通信と称し、ネットワーク装置110又は120から端末装置130に向かう逆方向の通信をDL通信と称する。端末装置130は、ネットワーク装置110、120、及び、場合によっては他のネットワーク装置のカバレッジエリア間を移動することができる。
【0038】
UL通信において、端末装置130は、ULチャネルによって、ネットワーク装置110又は120にULデータと制御情報を送信してもよい。いくつかの例において、ULデータは、物理アップリンク共有チャネル(PUSCH)、及び/又はデータ送信に使用可能な他の任意のULチャネルで送信されてもよい。いくつかの例において、UL制御情報は、物理アップリンク制御チャネル(PUCCH)、及び/又は制御情報の送信に使用可能な他の任意のULチャネルで送信されてもよい。DL送信において、ネットワーク装置110又は120は、DLチャネルによって、DLデータと制御情報を端末装置130に送信してもよい。いくつかの例において、DLデータは、物理ダウンリンク共有チャネル(PDSCH)、及び/又はデータ送信に使用可能な他の任意のDLチャネルで送信されてもよい。いくつかの例において、DL制御情報は、物理アップリンク制御チャネル(PDCCH)、及び/又は制御情報の送信に使用可能な他の任意のDLチャネルで送信されてもよい。
【0039】
ネットワーク装置110、120によって提供されるDCは、E-UTRA(Evolved Universal Terrestrial Radio Access)-NRデュアルコネクティビティ(EN-DC)、NGEN-DC及びNR-DCを含むがこれらに限定されない、任意の適切なタイプのマルチ無線デュアルコネクティビティ(MR-DC)を含んでもよい。EN-DCの場合、ネットワーク装置110はeNBであり、ネットワーク装置120はgNBである。NGEN-DCの場合、ネットワーク装置110はgNBであり、ネットワーク装置120はeNBである。NR-DCの場合、ネットワーク装置110、120は共にgNBである。
【0040】
図1における装置の数及び種類は、説明を目的として示されたもので、本開示に対する何らかの限定を示唆するものではないことを理解されたい。通信環境100は、本開示の実装を実施するのに適した任意の適切な数のネットワーク装置及び/又は端末装置を含んでもよい。さらに、通信環境100は、ネットワーク装置及び端末装置以外の任意の装置、例えばコアネットワーク要素を含んでもよいが、本発明が不明瞭になることを避けるため本明細書では省略する。
【0041】
通信環境において、端末装置(UE等)の消費電力は大きな課題である。CAシナリオのための省電力に関する既存の解決手段は、SCellの活性化と非活性化を含む。CA設定時のUEの合理的な電力消費(例えば、バッテリー消費)を可能にするために、SCellの活性化/非活性化のメカニズムがサポートされている。SCellが非活性化された場合、UEは対応するPDCCH又はPDSCHを受信する必要がなく、対応するアップリンクで送信することができず、チャネル品質指標(CQI:Channel Quality Indicator)測定を実行する必要もない。逆に、SCellが活性化された場合、UEは、(UEがこのSCellからのPDCCHをモニタリングするように設定されている場合)PDSCHとPDCCHを受信しなければならず、また、CQI測定を実行できるものと期待される。
【0042】
CAシナリオのための省電力に関する既存の解決手段は、さらにScellの休止(Scell Dormancy)を含む。CA設定時にSCellの高速活性化を可能にするために、SCellに休止の帯域幅部分(BWP)を1つ設定することができる。活性化されたSCellのアクティブなBWPが休止BWPである場合、UEはSCellでのPDCCHのモニタリングを中止するが、(設定されている場合は)チャネル状態情報(CSI)の測定、自動利得制御(AGC)及びビーム管理の実行を継続する。1つ若しくは複数のSCell又は1つ若しくは複数のSCellグループの休止BWPへの移行/休止BWPからの移行(entering/leaving the dormant BWP)を制御するためには、ダウンリンク制御情報(DCI)が使用される。休止BWPは、専用の無線リソース制御(RRC)シグナリングを介してネットワークによって設定されたUEの専用BWPの1つである。SpCellとPUCCH SCellには、休止BWPを設定することができない。
【0043】
また、DCシナリオにも省電力の解決手段が必要である。上述したように、場合によってSCGのサスペンションが必要となる。EN-DCを例にとる。2つの無線リンクを同時に維持するためには、UEとネットワークの電力消費が大きな課題である。例えば、NRネットワークにおけるUEの消費電力は、場合によってはLTEネットワークにおけるUEの消費電力の3倍から4倍になる。EN-DCの展開では、MNがベースのカバレッジを提供する。UEのデータレート要求が動的に変化する場合、例えば、高から低へ変化する場合、消費電力を削減するためにSNを非活性化又はサスペンドすることは、検討に値する。したがって、効率的なSCGの非活性化メカニズムが規定されるべきである。この効率的なSCGの非活性化メカニズムは、NGEN-DCやNR-DCを含むがこれらに限定されない、他のMR-DCの展開にも適用され得る。「SCGサスペンション」及び「SCG非活性化」という用語は、本明細書では互換的に使用される。
【0044】
SCGサスペンションのモデル化については、3つのオプションが提案されている。オプション1では、PScellとSCellを含むSNに関連付けられた全てのサービングセルが活性化され、アクティブBWPが休止BWPとして設定されている。このオプションの欠点は、全てのサービングセルにRRC設定のBWPを少なくとも2つ設定する必要があることである。オプション2では、PScellとSCellを含むSNに関連付けられた全てのサービングセルが非活性化される。このオプションの欠点は、データ通信の回復に時間がかかることである。オプション3では、SCGのSCellを非活性化し、SCGのPScellを活性化しなければならず、アクティブBWPは休止BWPとして設定されている。
【0045】
上記から理解できるように、SCellの活性化/非活性化、SCellの休止(PSCellがデータ送信を維持できるため、上位層の操作がない)とは異なり、SCGサスペンションでは、PSCellもSCellもデータの送受信ができない。そのため、SCGサスペンションのために、上位層の操作を規定する必要がある。しかしながら、SCGサスペンションメカニズムは明確ではなく、メディアアクセス制御(MAC:Medium Access Control)層の動作がおおまかに議論されただけである。現在のところ、効率的なSCGサスペンションメカニズムに関する具体的な解決手段は存在しない。
【0046】
さらに、SCGがサスペンド又は非活性化された後、MN又はSNは必要に応じて、サスペンドされたSCGを再開又は活性化すると決定する場合がある。本明細書では、サスペンドされたSCGの再開を「SCG再開」又は「SCG活性化」と称することがある。したがって、効率的で堅牢なSCG再開メカニズムが規定されるべきである。この効率的で堅牢なSCG再開は、EN-DC、NGEN-DC、NR-DCの展開を含むがこれらに限定されない、様々なMR-DCの展開に適用され得る。
【0047】
本開示の例示的な実施形態によれば、SCGサスペンションのための解決手段が提供される。本解決手段では、第1ネットワーク装置がMNとして端末装置にサービスを提供し、第2ネットワーク装置がSNとして端末装置にサービスを提供する。端末装置は、第2ネットワーク装置のセルグループ、すなわちSCGを非活性化する、第1ネットワーク装置からの指示を受信する。この指示は、SCGサスペンション指示とも称される。SCGサスペンション指示を受信すると、端末装置はSCGをサスペンドする手順を実行する。端末装置は、端末装置のデータリンク層のデータユニットを少なくとも破棄する。データユニットは、SCGでの送信のために使用されるものである。SCG再開時には古くなってしまうデータユニットを破棄することは、信頼性の高いSCGサスペンションの実現に有益であり、また、効率的なSCG再開の実現にも有益である。
【0048】
いくつかの実施形態では、SCG再開のための解決手段が提供される。本解決手段において、端末装置は、以前に非活性化されたSCGを活性化する、第1ネットワーク装置からの指示を受信する。この指示は、SCG再開指示とも称される。SCG再開指示を受信すると、端末装置は、SCGを再開するための手順を実行する。端末装置は、タイマを開始し、SCGのPSCellにおいてランダムアクセス手順を開始する。このタイマは、SCG再開が成功したかどうかを判定するために端末装置が使用することができる。SCGの再開が成功しなかった場合、端末装置は、第1ネットワーク装置に失敗を通知してもよい。こうして、堅牢なSCG再開を実現することができる。
SCGサスペンションの例示的なプロセス
【0049】
以下、本開示のいくつかの例示的な実施形態について、詳細に説明する。SCGサスペンションは、MN又はSNによってトリガ又は開始されてもよい。
図2Aと2Bは、本開示のいくつかの実施形態にかかる、SCGサスペンションをトリガするプロセス200、205を示すシグナリングチャートである。議論を目的として、
図1を参照してプロセス200、205について説明する。プロセス200、205は、端末装置130、ネットワーク装置110、及びネットワーク装置120に関わってもよい。
図2Aのプロセス200において、SCGサスペンションを開始するのは、MNとして動作するネットワーク装置110である。
図2Bのプロセス205において、SCGサスペンションを開始するのは、SNとして動作するネットワーク装置120である。
【0050】
まず、
図2Aのプロセス200について論ずる。前提条件又はトリガ条件として、いくつかの実施形態において、ネットワーク装置120は、ネットワーク装置110にアクティビティ通知(activity notification)を送信してもよい(202)。アクティビティ通知は、ネットワーク装置120が非アクティブ状態であることをネットワーク装置110に通知してもよい。代替として、又は追加で、いくつかの実施形態において、ネットワーク装置120は、セカンダリRATのデータ使用に関する報告をネットワーク装置110に送信してもよい(204)。報告は、定期的に送信されてもよい。
【0051】
ネットワーク装置110は、アクティビティ通知、及び/又はセカンダリRATのデータ使用に関する報告に基づいて、SCGサスペンションを開始すると決定する(206)。例えば、ネットワーク装置120が一定期間、非アクティブ状態にあることをアクティビティ通知が示す場合、又は、ネットワーク装置110が端末装置130のトラフィックを処理できることを報告が示す場合、ネットワーク装置110は、SCGサスペンションを開始すると決定してもよい。
【0052】
次に、ネットワーク装置110は、ネットワーク装置120のSCGをサスペンド又は非活性化する要求をネットワーク装置120に送信する(208)。この要求は、SCG停止要求と称されることがある。SCGサスペンション要求を受信すると、ネットワーク装置120は、SCGサスペンション要求に対する応答をネットワーク装置110に送信する(210)。この応答は、SCGサスペンション応答と称されることがある。
【0053】
ネットワーク装置110は、SCGサスペンションを示すメッセージを端末装置130に送信する(212)。このメッセージは、SCGサスペンションメッセージと称されることがある。いくつかの実施形態において、SCGサスペンションメッセージを受信すると、端末装置130は、ネットワーク装置110に応答を送信してもよい(214)。一例として、SCGサスペンションメッセージはRRCReconfigurationメッセージであってもよく、応答はRRCReconfigurationCompleteメッセージであってもよい。その他のメッセージ、例えばSCGサスペンションに特化したメッセージも可能である。
【0054】
端末装置130からの応答を受信すると、ネットワーク装置110は、SCGサスペンションを通知するメッセージを、ネットワーク装置120に送信する(216)。例として、このメッセージはSgNBReconfigurationCompleteメッセージであってもよい。
【0055】
ネットワーク装置110からSCGサスペンションメッセージを受信すると、端末装置130は、ネットワーク装置120のSCGをサスペンドする手順を実行する(218)。本明細書では、この手順をSCGサスペンション手順と称することがある。SCGサスペンション手順については、
図3と
図4を参照しながら後述する。
【0056】
図2Aに示す動作の順序は、単に説明のためであり、本開示の範囲に対する何らかの限定を示唆するものではないことを理解されたい。例えば、SCGサスペンションメッセージを受信すると、端末装置130はSCGサスペンション手順を実行し(218)、その後、ネットワーク装置110に応答を送信してもよい(214)。あるいは、SCGサスペンションメッセージを受信すると、端末装置130はSCGサスペンション手順を実行し(218)、同時にネットワーク装置110に応答を送信してもよい(214)。
【0057】
図2Bを参照すると、
図2Bでは、SNとして動作するネットワーク装置120がSCGサスペンションを開始する。
図2Bのプロセス205において、ネットワーク装置120は、SCGサスペンションを開始すると決定する(220)。例えば、ネットワーク装置120が一定期間、端末装置130からのトラフィックを処理していなかった場合、ネットワーク装置120は、SCGをサスペンドすると決定してもよい。
【0058】
ネットワーク装置120は、SCGをサスペンドする要求をネットワーク装置110に送信する(222)。この要求は、SCGサスペンション要求とも称されることがある。SCGサスペンション要求を受信すると、ネットワーク装置110は、SCGサスペンション要求に対する確認をネットワーク装置120に送信する(224)。これはSCGサスペンション確認と称されることがある。
【0059】
また、ネットワーク装置110は端末装置130にSCGサスペンション要求を送信する(212)。
図2Aと同じ参照符号を付した動作は、
図2Aを参照して説明したものと同じであるため、ここでは説明を繰り返さない。
【0060】
プロセス200、205から分かるように、SCGサスペンションがMN又はSNのどちらによって開始されたとしても、SNに関連付けられたSCGをサスペンドすることを端末装置130に示すのはMNである。
図3は、本開示のいくつかの実施形態にかかる、SCGサスペンションのプロセス300を示すシグナリングチャートである。議論を目的として、
図1を参照してプロセス300について説明する。プロセス300は、端末装置130と、MNとして動作するネットワーク装置110とに関わってもよい。
【0061】
プロセス300において、ネットワーク装置110は、ネットワーク装置120のSCG160をサスペンド又は非活性化する指示を端末装置130に送信する(302)。例えば、ネットワーク装置110は、(プロセス200に示すように)SCGサスペンションを開始すると決定した場合に当該指示を送信してもよい。別の例として、ネットワーク装置110は、(プロセス205に示すように)ネットワーク装置120からSCGサスペンション要求を受信した場合に当該指示を送信してもよい。
【0062】
本明細書では、この指示を「第1指示」又は「SCGサスペンション指示」とも称することがある。SCGサスペンション指示は、任意の適切なシグナリングによって実施されてもよい。いくつかの実施形態において、SCG停止指示は、RRCメッセージに含まれてもよい。これらの実施形態において、RRCメッセージを受信すると、端末装置130は、応答として、対応するRRCメッセージをネットワーク装置110に送信してもよい(304)。一例として、ネットワーク装置110は、SCGサスペンションを示すためにRRCReconfigurationメッセージを送信してもよい。これに応じて端末装置130は、応答としてRRCReconfigurationCompleteメッセージをネットワーク装置110に送信してもよい。
【0063】
このような実施形態では、SCGサスペンション指示を伝送するためにRRCシグナリングが使用される。このように、端末装置130における異なるプロトコル層間の通信を削減することができ、SCGサスペンションの効率を向上させることができる。
【0064】
SCGサスペンション指示を受信すると、端末装置130はSCGサスペンション手順を実行する。具体的に端末装置130は、SCGでの送信用のデータユニットを破棄する(306)。データユニットは、端末装置130のデータリンク層でバッファリングされたものである。
【0065】
バッファリングされたデータユニットは、端末装置130とネットワーク装置120との間の直接のシグナリング無線ベアラ(SRB)であるシグナリング無線ベアラ3(SRB3)用のバッファリングされたシグナリングを含む。ネットワーク装置120のSCGがサスペンションから再開される際、バッファリングされたシグナリングは古くなっており、ネットワーク装置120の誤認を招くことになる。古くなったシグナリングは、ネットワーク装置120の誤認を招く。SCGが再開される際に、古くなったシグナリングがネットワーク装置120に送信されるのを回避するために、バッファリングされたシグナリングは、SCGサスペンション指示を受信したときに破棄されるべきである。
【0066】
同様に、バッファリングされたデータユニットは、端末装置130とネットワーク装置120との間のDRB(Data Radio Bearer)用のバッファリングされたデータを含む。バッファリングされたデータは、ネットワーク装置120のSCGがサスペンションから再開される際には古くなっており、使い物にならない。SCGが再開される際に、古くなった使い物にならないデータがネットワーク装置120に送信されるのを回避するために、バッファリングされたデータは、SCGサスペンション指示を受信したときに破棄されるべきである。
【0067】
本開示のSCGサスペンション手順をより適切に理解するために、MR-DCにおける無線プロトコルアーキテクチャの例を、
図4と
図5を参照して説明する。端末装置130の側では、MCGベアラ、スプリットベアラ、SCGベアラという3種類のDRBが存在する。MCGベアラとは、MCGのみでの、RLC(Radio Link Control)ベアラ(CAパケット重複の場合は2つのRLCベアラ)を有する無線ベアラのことである。SCGベアラとは、SCGのみでの、RLCベアラ(CAパケット重複の場合は2つのRLCベアラ)を有する無線ベアラのことである。スプリットベアラ)は、MCGとSCGの両方における、RLCベアラを有する無線ベアラのことである。
【0068】
図4は、本開示のいくつかの実施形態にかかる、端末装置130において確立されるデータリンク層のエンティティのブロック図である。
図4に示すデータリンク層のエンティティは、EN-DCの無線プロトコルアーキテクチャをベースにしている。MAC層では、MCGベアラとスプリットベアラの両方に対してE-UTRA MACエンティティ411が確立されてもよい。また、SCGベアラとスプリットベアラの両方に対してNR MACエンティティ421が確立されてもよい。RLC層では、MCGベアラに対してE-UTRA RLCエンティティ412が確立されてもよい。また、スプリットベアラに対して別のE-UTRA RLC エンティティ431が確立されてもよい。同様に、SCGベアラに対してNR RLCエンティティ422が確立されてもよく、また、スプリットベアラに対して別のNR RLCエンティティ432が確立されてもよい。PDCP(Packet Data Convergence Protocol)層では、MCGベアラに対してE-UTRA/NR PDCPエンティティ413が確立されてもよく、スプリットベアラに対してNR PDCPエンティティ433が確立されてもよく、SCGベアラに対してNR PDCPエンティティ423が確立されてもよい。
【0069】
図5は、本開示のいくつかの実施形態にかかる、端末装置130において確立されるデータリンク層のエンティティのブロック図である。
図5に示すデータリンク層のエンティティは、5Gコアネットワーク(5GC)を有するMR-DC、例えばNGEN-DCやNR-DCにおける無線プロトコルアーキテクチャをベースとしたものである。MAC層では、MCGベアラとスプリットベアラの両方に対してMN MACエンティティ511が確立されてもよく、SCGベアラとスプリットベアラの両方に対してSN MACエンティティ521が確立されてもよい。RLC層では、MCGベアラに対してMN RLCエンティティ512が確立されてもよく、スプリットベアラに対して別のMN RLCエンティティ531が確立されてもよい。同様に、SCGベアラに対してSN RLCエンティティ522が確立されてもよく、スプリットベアラに対して別のSN RLCエンティティ532が確立されてもよい。PDCP層では、MCGベアラに対してNR PDCPエンティティ513が確立されてもよく、スプリットベアラに対して別のNR PDCPエンティティ533が確立されてもよく、SCGベアラに対してさらなるNR PDCPエンティティ523が確立されてもよい。
図4に示すアーキテクチャとは異なり、PDCP層の上にSDAP(Service Data Application Protocol)層が存在する。3種類のベアラに対してSDAPエンティティ514が確立されてもよい。
【0070】
SRB3ではスプリットSRBがサポートされていないため、SRB3の無線プロトコルアーキテクチャはシンプルであり、したがって本明細書では詳述しない。
【0071】
ここで、再び
図3を参照する。RLC層でデータユニットを破棄するために、端末装置130では、以下の動作のうちの1つ又は複数が実行されてもよい。いくつかの実施形態では、SRB3のRLCエンティティが再確立されてもよい。例えば、RRCメッセージにおいてSCGサスペンション指示が受信された場合、RRC層がSRB3のRLCエンティティの再確立を要求してもよい。いくつかの実施形態では、SCGベアラのRLCエンティティが再確立されてもよい。例えば、RRCメッセージにおいてSCGサスペンション指示が受信された場合、RRC層がSCGベアラのRLCエンティティの再確立を要求してもよい。EN-DCの展開では、
図4に示すようなNR RLCエンティティ422が再確立されてもよい。NGEN-DC又はNR-DCの展開では、SN RLCエンティティ522が再確立されてもよい。
【0072】
RLCエンティティ(SRB3又はSCGベアラのいずれかの)を再確立するために、端末装置130は、RLCエンティティの全てのRLCサービスデータユニット(SDU)、RLC SDUセグメント、及びRLCプロトコルデータユニット(PDU)(ある場合)を破棄してよい。端末装置130は、RLCエンティティが保持する全てのタイマを停止してリセットし、全ての状態変数を初期値にリセットしてもよい。
【0073】
したがって、このような実施形態では、RLC層のPDU及びSDUが破棄されるだけでなく、タイマ及び状態変数もリセットされる。SCGサスペンション時にタイマと状態変数がリセットされるため、SCG再開時にはタイマや状態変数のリセットを回避することができる。これにより、効率的なSCG再開の実現に寄与することができる。
【0074】
PDCP層のデータユニットを破棄するために、端末装置130では、以下の動作のうちの1つ又は複数が実行されてもよい。いくつかの実施形態において、端末装置130は、SRB3のPDCPエンティティに、PDCPエンティティのPDCP PDU及びPDCP SDUを破棄させてもよい。例えば、上位層(例えば、RRC層)は、SRB3のPDCPエンティティがPDCP SDUの破棄を実行するようにトリガしてもよい。SRBでは、上位層がPDCP SDUの破棄を要求した場合、PDCPエンティティは格納された全てのPDCP PDU及びPDCP SDUを破棄しなければならないことを理解されたい。したがって、上位層から要求されたPDCP SDUの破棄を実行することにより、PDCPエンティティのPDCP PDU及びPDCP SDUの両方を破棄することができる。
【0075】
このような実施形態において、PDCP層での操作はRLC層での動作と異なる。PDCP層では、バッファリングされたデータユニットがPDCPエンティティの再確立なしで破棄される。PDCP層は、暗号化・復号の機能を提供する。PDCPエンティティが再確立される場合、SCG再開時に暗号化・復号のための新しい鍵が必要となる。したがって、PDCPエンティティを再確立しない実施形態では、SCGサスペンションの効率を向上させることができる。また、SCG再開時には新しい鍵を用意する必要がなく、SCG再開の効率を向上させることもできる。
【0076】
いくつかの実施形態において、端末装置130は、SCGベアラのPDCPエンティティに、PDCPエンティティのPDCP PDU及びPDCP SDUを破棄させてもよい。例えば、SCGベアラのPDCPエンティティに対し、格納された全てのPDCP PDU及びPDCP SDUを破棄することを上位層(例えば、RRC層)が示してもよい。EN-DCの展開において、
図4に示すNR PDCPエンティティ423は、そこに格納された全てのPDCP PDU及びPDCP SDUを破棄してもよい。NGEN-DC又はNR-DCの展開において、NR PDCPエンティティ523は、そこに格納された全てのPDCP PDU及びPDCP SDUを破棄してもよい。
【0077】
さらに、いくつかの実施形態において、SCGサスペンション指示を受信すると、端末装置130は、SCGのMACエンティティをリセットしてもよい。これは、「SCG MACエンティティ」と称されることがある。例えば、RRC層等の上位層が、SCG MACエンティティのリセットを要求してもよい。SCG MACエンティティのリセットが上位層によって要求された場合、端末装置130は、以下のような一連の動作を実行してもよい。すなわち、全てのタイマを停止すること、進行中のランダムアクセスチャネル(RACH)手順を中止すること、種々のバッファをフラッシュすること、種々のトリガ手順をキャンセルすること、種々のカウンタをリセットすること等であるが、これらに限らない。
【0078】
SCGサスペンション指示が上位層(例えば、RRC層)で受信された場合、上位層はSCGサスペンションのSCG MACエンティティを示してもよい。端末装置130はさらに、データ送信とシグナリングを含むSCGでの送信をサスペンドしてもよい。例えば、端末装置130は、全てのSRB及びDRBのSCG送信をサスペンドしてもよい。
【0079】
上記の例示的な実施形態では、SCGのサスペンション又は非活性化の手順について説明した。本開示の範囲に対しいかなる限定も行わない具体例として、SCGサスペンション指示を受信すると、端末装置130は、SCG MACエンティティをリセットし、SCGサスペンションのSCG MACエンティティを指示すること、全てのSRB及びDRBのSCG送信をサスペンドすること、SRB3のRLCエンティティを再確立すること、SRB3のPDCPエンティティがSDU破棄を実行するようトリガすること、SCGベアラのPDCPエンティティに、バッファされたPDU及びSDUを破棄するよう指示すること、SCGベアラのRLCエンティティを再確立することのうち、1つ又は複数を実行してもよい。
SCG再開の例示的なプロセス
【0080】
SCG再開は、MN又はSNによってトリガ又は開始されてもよい。
図6Aと6Bは、本開示のいくつかの実施形態にかかる、SCG再開をトリガするプロセス600、605を示すシグナリングチャートである。議論を目的として、
図1を参照してプロセス600、605について説明する。プロセス600、605は、端末装置130、ネットワーク装置110、及びネットワーク装置120に関わってもよい。
図6Aのプロセス600において、SCG再開を開始するのは、MNとして動作するネットワーク装置110である。
図6Bのプロセス605において、SCG再開を開始するのは、SNとして動作するネットワーク装置120である。
【0081】
まず、
図6Aのプロセス600について論ずる。ネットワーク装置110は、SCG再開を開始すると決定する(602)。例えば、ネットワーク装置110が端末装置130のトラフィックを処理できない場合、ネットワーク装置110は、SCG再開を開始すると決定してもよい。
【0082】
次に、ネットワーク装置110は、ネットワーク装置120のSCGを再開又は活性化する要求をネットワーク装置120に送信する(604)。この要求は、SCG再開要求と称されることがある。SCG再開要求を受信すると、ネットワーク装置120は、SCG再開要求に対する応答をネットワーク装置110に送信する(606)。この応答は、SCG再開応答と称されることがある。
【0083】
ネットワーク装置110は、SCG再開を示すメッセージを端末装置130に送信する(608)。このメッセージは、SCG再開メッセージと称されることがある。いくつかの実施形態において、SCG再開メッセージを受信すると、端末装置130は、ネットワーク装置110に応答を送信してもよい(610)。一例として、SCG再開メッセージはRRCReconfigurationメッセージであってもよく、応答はRRCReconfigurationCompleteメッセージであってもよい。その他のメッセージ、例えばSCG再開に特化したメッセージも可能である。
【0084】
端末装置130からの応答を受信すると、ネットワーク装置110は、SCG再開を通知するメッセージを、ネットワーク装置120に送信する(612)。例として、このメッセージはSgNBReconfigurationCompleteメッセージであってもよい。
【0085】
ネットワーク装置110からSCG再開メッセージを受信すると、端末装置130は、ネットワーク装置120のSCGを再開する手順を実行する(614)。本明細書では、この手順をSCG再開手順と称することがある。SCG再開手順については、
図7を参照しながら後述する。
【0086】
図6Aに示す動作の順序は、単に説明のためであり、本開示の範囲に対する何らかの限定を示唆するものではないことを理解されたい。例えば、SCG再開メッセージを受信すると、端末装置130は、SCG再開手順を実行し(614)、その後、ネットワーク装置110に応答を送信してもよい(610)。あるいは、SCG再開メッセージを受信すると、端末装置130は、SCG再開手順を実行し(614)、同時にネットワーク装置110に応答を送信してもよい(610)。
【0087】
図6Bを参照すると、
図6Bでは、SNとして動作するネットワーク装置120がSCG再開を開始する。
図6Bのプロセス605において、ネットワーク装置120は、SCG再開を開始すると決定する(616)。
【0088】
ネットワーク装置120は、SCGを再開する要求をネットワーク装置110に送信する(618)。この要求は、SCG再開要求とも称されることがある。SCG再開要求を受信すると、ネットワーク装置110は、SCG再開要求に対する確認をネットワーク装置120に送信する(620)。これはSCG再開確認と称されることがある。
【0089】
ネットワーク装置110は、端末装置130にSCG再開メッセージを送信する(608)。
図6Aと同じ参照符号を付した動作は、
図6Aを参照して説明したものと同じであるため、ここでは説明を繰り返さない。
【0090】
プロセス600、605から分かるように、SCG再開がMN又はSNのどちらによって開始されたとしても、SNに関連付けられたSCGを再開又は活性化することを端末装置130に示すのはMNである。
図7は、本開示のいくつかの実施形態にかかる、SCG再開のプロセス700を示すシグナリングチャートである。議論を目的として、
図1を参照してプロセス700について説明する。プロセス700は、端末装置130と、MNとして動作するネットワーク装置110と、SNとして動作するネットワーク装置120とに関わってもよい。
【0091】
プロセス700において、ネットワーク装置110は、ネットワーク装置120のSCG160を再開又は活性化する指示を端末装置130に送信する(702)。例えば、ネットワーク装置110は、(プロセス600に示すように)SCG再開を開始すると決定した場合、当該指示を送信してもよい。別の例として、ネットワーク装置110は、(プロセス605に示すように)ネットワーク装置120からSCG再開要求を受信した場合、当該指示を送信してもよい。
【0092】
本明細書では、この指示を「第2指示」又は「SCG再開指示」とも称することがある。SCG再開指示は、任意の適切なシグナリングによって実施されてもよい。いくつかの実施形態において、SCG再開指示は、RRCメッセージに含まれてもよい。これらの実施形態において、RRCメッセージを受信すると、端末装置130は、応答として、対応するRRCメッセージをネットワーク装置110に送信してもよい(704)。一例として、ネットワーク装置110は、SCG再開を示すためにRRCReconfigurationメッセージを送信してもよい。SCG再開を示すために、RRCReconfigurationメッセージの情報要素(IE)が使用されてもよい。これに応じて端末装置130は、応答としてRRCReconfigurationCompleteメッセージをネットワーク装置110に送信してもよい。
【0093】
このような実施形態では、SCG再開指示を伝送するためにRRC信号が使用される。このように、端末装置130における異なるプロトコル層間の通信を削減することができ、効率的なSCG再開の実現に寄与することができる。
【0094】
SCG再開指示を受信すると、端末装置130は、SCG再開の手順を実行する。具体的には、端末装置130は、ネットワーク装置110によって設定された上限値を有するタイマを開始する(706)。「T3xx」で表されるタイマは、SCG再開が成功したかどうかを判定するために使用される。
【0095】
いくつかの実施形態において、タイマT3xxの上限値「t3xx」は、SCG再開指示とともに端末装置130に示されてもよい。SCG再開指示がRRCメッセージに含まれる場合、RRCメッセージはさらに、上限値t3xxを示すIEを備えてもよい。いくつかの実施形態において、タイマT3xxの上限値t3xxは、SCG再開指示とは別に端末装置130に示されてもよい。例えば、上限値t3xxは、予め設定されるか、又は予め定義された値であってもよい。
【0096】
タイマT3xxは、SCG再開指示に特化したタイマであってもよい。代替として、又は追加で、タイマT3xxは、例えば、同期に伴う再設定のためのタイマT304、RRC再開要求のためのタイマT319等、既存のタイマを再利用してもよい。タイマT3xxのさらなる詳細については、表1を参照して後述する。
【0097】
引き続き
図7を参照する。SCG再開指示を受信すると、端末装置130は、PSCell 160-1、すなわちSCGのプライマリセルにおいて、ランダムアクセス(RA)手順を開始する(708)。例えば、端末装置130は、PSCell 160-1でのランダムアクセスプリアンブルをネットワーク装置120に送信してもよい。
【0098】
いくつかの実施形態において、RA手順は、非競合ランダムアクセス(CFRA)に基づいてもよい。例えば、ネットワーク装置120は、(
図6Aを参照して説明したように)SCG再開応答において、又は(
図6Bを参照して説明したように)SCG再開要求において、CFRAのリソースに関する情報をネットワーク装置110に送信してよい。ネットワーク装置110は、リソースに関する情報をSCG再開指示に含めてもよく、又は、リソースに関する情報をSCG再開指示とともに端末装置130に送信してもよい。端末装置130は、SCG再開指示から決定されたリソースを用いて、PSCell 160-1においてランダムアクセスプリアンブルを送信してもよい。このような実施形態では、CFRAのために専用リソースを割り当てることにより、SCG再開の効率を向上させることができる。
【0099】
また、SCG再開指示を受信すると、端末装置130はさらに、全てのSRB及びDRBのSCG送信を再開し、SCG160を再開してもよい。例えば、SCG再開指示を上位層(例えば、RRC層)で受信した場合、上位層は下位層(例えば、MAC層)にSCG160を再開することを示してもよい。
【0100】
プロセス700を継続し、ランダムアクセス手順が成功した場合、端末装置130は、タイマT3xxを停止してもよい。例えば、ネットワーク装置120からランダムアクセス応答を受信した場合、端末装置130は、SCG再開が成功したと判定し、タイマT3xxを停止してもよい。
【0101】
タイマT3xxが満了した場合、端末装置130は、SCG再開が失敗したと判定してもよい(710)。端末装置130は、SCG160の再開又は活性化に失敗したことを示すメッセージをネットワーク装置110に送信してもよい(712)。SCG160の再開又は活性化の失敗は、「SCG再開失敗」と称されることがある。
【0102】
次の表1は、以上の説明から総括し得るタイマT3xxの属性を示す。タイマT3xxの開始条件は、SCG再開指示の受信であり、タイマT3xxの停止条件は、対応するPSCell160においてランダムアクセスが正常に終了したことである。タイマT3xxの満了時、端末装置130は、例えば、SCG再開失敗を示すメッセージをネットワーク装置に送信することによって、SCG再開失敗についてネットワーク装置に通知してもよい。タイマT3xxがタイマT304又はT319を再利用する場合には、再利用されるタイマに、表1の属性を追加してもよいことを理解されたい。
【表1】
【0103】
SCG再開失敗は、SCG再開に特化した失敗のタイプによって示されてもよい。例えば、SCG再開のために、新たな失敗のタイプが定義されてもよい。代替として、又は追加で、他の手順のために定義された他の失敗のタイプを、SCG再開失敗を示すために再利用することができる。例えば、SCGの同期に伴う再設定のために定義された失敗のタイプを再利用してもよい。
【0104】
いくつかの実施形態において、SCG再開失敗を示すメッセージは、SCGfailureinformationメッセージであってもよい。
図8Aと8Bは、本開示のいくつかの実施形態にかかる、SCG再開失敗を示す例示的なメッセージ800、805を示す模式図である。
【0105】
いくつかの実施形態では、SCG再開失敗を示すために既存の失敗のタイプが再利用されてもよい。例えば、
図8Aに示すように、「failureType」のIE810の「synchReconfigFailureSCG」の失敗のタイプ811を再利用して、SCG再開失敗を示してもよい。
【0106】
いくつかの実施形態では、SCG再開失敗を示すために、新たな失敗のタイプが導入されてもよい。新たな失敗のタイプは、既存のIEに追加されてもよい。
図8Aに示すように、「failureTypeExt-r16」のIE820に「scg-ResumeFailure」の失敗のタイプ821が追加されてもよい。「scg-ResumeFailure」の失敗のタイプ821は、SCG再開失敗に特化した失敗のタイプである。あるいは、新たな失敗のタイプを含む新たなIEが追加されてもよい。
図8Bに示すように、SCGfailureinformationメッセージに「failureTypeExt-r17」のIE830を追加し、「scg-ResumeFailure」の失敗のタイプ831を、SCG再開失敗に特化した失敗のタイプとしてもよい。
【0107】
引き続き
図7を参照する。タイマT3xxが満了すると、端末装置130は、SCG再開のためのランダムアクセス手順をキャンセルしてもよい。端末装置130は、
図3を参照して上述したSCGサスペンション手順を実行してもよい。例えば、端末装置130は、全てのSRB及びDRBのSCG送信をサスペンドし、SCG MACエンティティをリセットしてもよい。
例示的な方法
【0108】
図9は、本開示のいくつかの実施形態にかかる例示的な方法900のフローチャートを示す。方法900は、
図1に示すような端末装置130で実施することができる。方法900は、示されていない追加のブロックを含んでもよく、且つ/又は示されたいくつかのブロックを省略してもよく、この点に関して本開示の範囲は限定されないことを理解されたい。議論を目的として、方法900について、
図1を参照して端末装置130の観点から説明を行う。
【0109】
ブロック910において、端末装置130は、第2ネットワーク装置120のセルグループを非活性化する第1指示を、第1ネットワーク装置110から受信する。第1ネットワーク装置110は、端末装置130にサービスを提供するマスターノードであり、第2ネットワーク装置120は、端末装置130にサービスを提供するセカンダリノードである。ブロック920において、端末装置120は、端末装置130のデータリンク層のデータユニットを破棄する。データユニットは、セルグループでの送信のために使用されるものである。
【0110】
いくつかの実施形態において、端末装置130の無線リンク制御(RLC)層のために、少なくとも1つのRLCエンティティが以前に確立されており、データユニットを破棄することは、以下を含む。すなわち、セルグループでのシグナリング無線ベアラの第1のRLCエンティティを再確立し、第1のRLCエンティティのプロトコルデータユニット(PDU)及び第1のRLCエンティティのサービスデータユニット(SDU)を破棄することと、セルグループでのデータ無線ベアラの第2のRLCエンティティを再確立し、第2のRLCエンティティのPDU及び第2のRLCエンティティのSDUを破棄することと、を含む。
【0111】
いくつかの実施形態において、端末装置130のPDCP(packet data convergence protocol)層のために、少なくとも1つのPDCPエンティティが以前に確立されており、データユニットを破棄することは以下を含む。すなわち、セルグループでのシグナリング無線ベアラの第1のPDCPエンティティに、第1のPDCPエンティティのプロトコルデータユニット(PDU)及び第1のPDCPエンティティのサービスデータユニット(SDU)を破棄させることと、セルグループでのデータ無線ベアラの第2のPDCPエンティティに、第2のPDCPエンティティのPDU及び第2のPDCPエンティティのSDUを破棄させることと、を含む。
【0112】
いくつかの実施形態において、方法900は、セルグループのメディアアクセス制御(MAC)エンティティをリセットすることと、セルグループでの送信をサスペンドすることと、をさらに含む。MACエンティティは、端末装置130のMAC層のために確立されたものである。
【0113】
いくつかの実施形態において、第1指示は無線リソース制御(RRC)再設定メッセージに含まれており、方法900は、RRC再設定メッセージの受信に応じて、RRC再設定完了メッセージを第1ネットワーク装置110に送信することをさらに含む。
【0114】
いくつかの実施形態において、方法900は、第2ネットワーク装置120のセルグループを活性化する第2指示を第1ネットワーク装置110から受信することと、第1ネットワーク装置110によって設定された上限値を有するタイマを開始することと、セルグループのプライマリセルにおいてランダムアクセス手順を開始することと、をさらに含む。
【0115】
いくつかの実施形態において、方法900は、ランダムアクセス手順が成功したとの判定に従って、タイマを停止することをさらに含む。
【0116】
いくつかの実施形態において、ランダムアクセス手順を開始することは、第2指示からランダムアクセス手順用のリソースを決定することと、決定されたリソースを使用してプライマリセルにおいてランダムアクセス要求を送信することによって、ランダムアクセス手順を開始することと、を含む。
【0117】
いくつかの実施形態において、方法900は、タイマが満了したとの判定に従って、第1ネットワーク装置110に、第2ネットワーク装置120のセルグループの活性化が失敗したことを示すメッセージを送信することをさらに含む。
【0118】
いくつかの実施形態において、メッセージは、セルグループに関する失敗情報のために定義され、失敗は、セルグループの活性化に特化した失敗のタイプ、又はセルグループの同期に伴う再設定のために定義された失敗のタイプのうち、少なくとも1つによって示される。
【0119】
いくつかの実施形態において、方法900は、タイマが満了したとの判定に従って、セルグループのメディアアクセス制御(MAC)エンティティをリセットすることと、セルグループでの送信をサスペンドすることと、をさらに含む。MACエンティティは、端末装置130のMAC層のために確立されたものである。
【0120】
いくつかの実施形態において、第2指示と、上限値に関する情報とは、無線リソース制御(RRC)再設定メッセージに含まれており、方法900は、RRC再設定メッセージの受信に応じて、RRC再設定完了メッセージを第1ネットワーク装置110に送信することをさらに含む。
【0121】
図10は、本開示のいくつかの実施形態にかかる例示的な方法1000のフローチャートを示す。方法1000は、
図1に示すような端末装置130で実施することができる。方法1000は、示されていない追加のブロックを含んでもよく、且つ/又は示されたいくつかのブロックを省略してもよく、この点に関して本開示の範囲は限定されないことを理解されたい。議論を目的として、方法1000について、
図1を参照して端末装置130の観点から説明を行う。
【0122】
ブロック1010において、端末装置130は、第2ネットワーク装置120のセルグループを活性化する指示を、第1ネットワーク装置110から受信する。第1ネットワーク装置110は、端末装置130にサービスを提供するマスターノードであり、第2ネットワーク装置120は、端末装置130にサービスを提供するセカンダリノードである。ブロック1020において、端末装置130は、第1ネットワーク装置によって設定された上限値を有するタイマを開始する。ブロック1030において、端末装置130は、セルグループのプライマリセルにおいてランダムアクセス手順を開始する。
【0123】
いくつかの実施形態において、方法1000は、ランダムアクセス手順が成功したとの判定に従って、タイマを停止することをさらに含む。
【0124】
いくつかの実施形態において、ランダムアクセス手順を開始することは、指示から、ランダムアクセス手順用のリソースを決定することと、決定されたリソースを使用してプライマリセルにおいてランダムアクセス要求を送信することによって、ランダムアクセス手順を開始することと、を含む。
【0125】
いくつかの実施形態において、方法1000は、タイマが満了したとの判定に従って、第1ネットワーク装置110に、第2ネットワーク装置120のセルグループの活性化が失敗したことを示すメッセージを送信することをさらに含む。
【0126】
いくつかの実施形態において、メッセージは、セルグループに関する失敗情報のために定義され、失敗は、セルグループの活性化に特化した失敗のタイプ、又はセルグループの同期に伴う再設定のために定義された失敗のタイプのうち、少なくとも1つによって示される。
【0127】
いくつかの実施形態において、方法1000は、タイマが満了したとの判定に従って、セルグループのメディアアクセス制御(MAC)エンティティをリセットすることと、セルグループでの送信をサスペンドすることと、をさらに含む。MACエンティティは、端末装置130のMAC層のために確立されたものである。
【0128】
いくつかの実施形態において、指示と、上限値に関する情報とは、無線リソース制御(RRC)再設定メッセージに含まれており、方法900は、RRC再設定メッセージの受信に応じて、RRC再設定完了メッセージを第1ネットワーク装置110に送信することをさらに含む。
【0129】
いくつかの実施形態では、ネットワーク装置、例えば、
図1に示すようなネットワーク装置110で実施可能な方法が提供される。この方法は、
図2A、2B、3、6A、6B、7を参照して説明した、ネットワーク装置110によって実行される動作を含んでもよい。
【0130】
いくつかの実施形態では、ネットワーク装置、例えば、
図1に示すようなネットワーク装置120で実施可能な方法が提供される。この方法は、
図2A、2B、6A、6B、7を参照して説明した、ネットワーク装置120によって実行される動作を含んでもよい。
例示的な装置
【0131】
図11は、本開示の実施形態を実施するのに適した装置1100の概略ブロック図である。装置1100は、
図1に示す端末装置130、ネットワーク装置120、又はネットワーク装置110のさらなる例示的な実施であるとみなすことができる。したがって、装置1100は、端末装置130、ネットワーク装置120又はネットワーク装置110において、又は少なくともその一部として実施することができる。
【0132】
図に示すように、装置1100は、プロセッサ1110、プロセッサ1110に結合されたメモリ1120、プロセッサ1110に結合された適切な送信機(TX)及び受信機(RX)1140、並びにTX/RX 1140に結合された通信インタフェースを備える。メモリ1110は、プログラム1130の少なくとも一部を格納する。TX/RX 1140は、双方向通信用である。TX/RX 1140は、通信を促進する少なくとも1つのアンテナを有するが、実際には、本願で述べたアクセスノードは、複数のアンテナを有してもよい。通信インタフェースは、他のネットワーク要素と通信を行う際に必要な任意のインタフェース、例えば、eNB間の双方向通信用のX2インタフェース、Mobility Management Entity(MME)/サービングゲートウェイ(S-GW)とeNBとの間の通信用のS1インタフェース、eNBと中継ノード(RN)との間の通信用のUnインタフェース、又はeNBと端末装置との間の通信用のUuインタフェースを表してもよい。
【0133】
プログラム1130はプログラム命令を含むとみなされ、プログラムは、関連付けられているプロセッサ1110によって実行されると、本明細書で
図2A、2B、3、6A、6B、7、9、10を参照して論じたように、本開示の実施形態に従って装置1100が動作することを可能にする。本明細書の実施形態は、装置1100のプロセッサ1110が実行可能なコンピュータソフトウェア、ハードウェア、又はソフトウェア及びハードウェアの組合せにより実施してもよい。プロセッサ1110は、本開示の様々な実施形態を実施するように構成され得る。また、プロセッサ1110及びメモリ1110の組合せは、本開示の各実施形態を実施するのに適した処理手段1150を構成してもよい。
【0134】
メモリ1110は、ローカルの技術ネットワークに適した任意のタイプとしてもよく、任意の適切なデータ記憶技術(例として、コンピュータが読み取り可能な非一時的記憶媒体、半導体ベースの記憶装置、磁気記憶装置及びシステム、光学記憶装置及びシステム、固定メモリ及び移動可能メモリ等が挙げられるが、これらに限定されない)により実施してもよい。装置1100には1つのメモリ1110しか示されていないが、装置1100には複数の物理上異なるメモリモジュールを設置してもよい。プロセッサ1110は、ローカルの技術ネットワークに適した任意のタイプであってもよく、例として、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、マイクロプロセッサ、デジタル信号処理器(DSP)、及びマルチコアプロセッサ構成に基づくプロセッサのうち、1つ又は複数を含んでもよいが、これらに限定されない。装置1100は複数のプロセッサ、例えば、マスタープロセッサと同期するクロックに時間的に従属する特定用途向け集積回路チップを有してもよい。
【0135】
通常、本開示の様々な実施形態は、ハードウェア若しくは専用回路、ソフトウェア、論理又はそれらの任意の組合せにより実施してもよい。いくつかの態様はハードウェアによって実施し、他の態様はコントローラ、マイクロプロセッサ又は他のコンピューティングデバイスが実行し得るファームウェア又はソフトウェアによって実施してもよい。本開示の実施形態の様々な態様は、ブロック図、フローチャートとして図示されて説明され、又は他の何らかの絵画的表現によって示されているが、本明細書に記載のブロック、装置、システム、技術又は方法は、例えば、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、専用回路若しくは論理、汎用ハードウェア若しくはコントローラ若しくは他のコンピューティングデバイス、又はそれらの組合せによって実施してもよいが、これらに限定されないことが理解されるであろう。
【0136】
本開示はさらに、コンピュータが読み取り可能な非一時的記憶媒体に有形記憶される少なくとも1つのコンピュータプログラム製品を提供する。当該コンピュータプログラム製品は、プログラムモジュールに含まれる命令のような、コンピュータが実行可能な命令を含む。当該命令は、対象の実プロセッサ又は仮想プロセッサ上のデバイスにおいて実行され、例えば
図2A、2B、3、6A、6B、7、9、10を参照して上述したプロセス又は方法を実行する。通常、プログラムモジュールは、特定のタスクを実行するか、又は特定の抽象データタイプを実装するルーチン、プログラム、ライブラリ、オブジェクト、クラス、コンポーネント、データ構造等を含む。様々な実施形態において、プログラムモジュールの機能は、必要に応じてプログラムモジュール間で組み合わせるか、又は分割してもよい。プログラムモジュールのマシン可読命令は、ローカル又は分散型のデバイス内で実行してもよい。分散型デバイスにおいて、プログラムモジュールはローカル及びリモートの記憶媒体のどちらに置いてもよい。
【0137】
本開示の方法を実行するためのプログラムコードは、1つ又は複数のプログラミング言語の任意の組合せにより記述されてもよい。これらのプログラムコードは、汎用コンピュータ、専用コンピュータ又はその他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサ又はコントローラに提供されてもよく、プログラムコードがプロセッサ又はコントローラによって実行されると、フローチャート及び/又はブロック図に規定された機能/操作が実施される。プログラムコードは全てマシン上で実行するか、部分的にマシン上で実行するか、独立したソフトウェアパッケージとして実行するか、マシン上で部分的に実行するとともにリモートのマシン上で部分的に実行するか、又は全てリモートのマシン若しくはサーバ上で実行してもよい。
【0138】
上述のプログラムコードは、マシン可読媒体上で具現化されてもよく、当該マシン可読媒体は、命令実行システム、装置若しくはデバイスにより使用されるプログラム、又は、それらと結合して使用されるプログラムを含むか又は格納する任意の有形媒体であり得る。マシン可読媒体は、マシン可読信号媒体又はマシン可読記憶媒体であり得る。マシン可読媒体は、電子、磁気、光学、電磁気、赤外線若しくは半導体のシステム、装置若しくはデバイス、又は前述の任意の適切な組合せを含んでもよいが、これらに限定されない。マシン可読記憶媒体のさらにより具体的な例には、1つ若しくは複数のワイヤ、ポータブル・コンピュータ・ディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、消去・書き込み可能なリードオンリーメモリ(EPROM又はフラッシュメモリ)、光ファイバ、携帯型コンパクトディスクリードオンリーメモリ(CD-ROM)、光学的記憶装置、磁気記憶装置、又は前述の任意の適切な組合せが含まれる。
【0139】
なお、操作について、特定の順序で説明を行ったが、所望の結果を得るために、こうした操作を示された特定の順序で実行するか若しくは順に実行するか、又は、示された全ての操作を実行することが求められる、と理解されるべきではない。いくつかの状況では、マルチタスク及び並行処理が有利である可能性がある。同様に、上述の議論には、いくつかの具体的な実施の詳細が含まれるが、これらは本開示の範囲に対する限定ではなく、特定の実施形態に特定され得る特徴についての説明であると解釈されるべきである。個々の実施形態の文脈において説明したいくつかの特徴は、ある1つの実施形態において組み合わせて実施されてもよい。逆に、1つの実施形態の文脈において説明された各種特徴は、複数の実施形態において別々に、又は任意の適切な副次的な組合せにより、実施されてもよい。
【0140】
本開示について、構造的特徴及び/又は方法論的な動作に特有の言葉で説明したが、添付の特許請求の範囲によって定義される本開示は、必ずしも上述の特定の特徴又は動作に限定されないことを理解されたい。上述の特定の特徴や動作はむしろ、特許請求の範囲を実施する例示的形態として開示されている。