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特許7658406無動作状態判定システム、無動作状態判定方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-31
(45)【発行日】2025-04-08
(54)【発明の名称】無動作状態判定システム、無動作状態判定方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/11 20060101AFI20250401BHJP
   A61B 5/00 20060101ALI20250401BHJP
【FI】
A61B5/11 110
A61B5/00 102A
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2023189436
(22)【出願日】2023-11-06
【審査請求日】2024-04-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】弁理士法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福島 暁洋
(72)【発明者】
【氏名】森 文徳
(72)【発明者】
【氏名】仲本 晶絵
【審査官】上田 正樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-075861(JP,A)
【文献】特開2012-205673(JP,A)
【文献】特開2015-217143(JP,A)
【文献】特開2002-159453(JP,A)
【文献】国際公開第2017/098609(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2021/0245763(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/11
A61B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定者に向けて設けられるドップラセンサによる測定結果を示すドップラデータを繰り返し取得する取得手段と、
連続する複数の時点のそれぞれにおける前記ドップラデータの値の変化率を算出する変化率算出手段と、
連続する第1の所定数の前記時点をそれぞれ含む複数の時間窓のそれぞれについて、当該時間窓に含まれる前記第1の所定数の前記時点のそれぞれにおける前記変化率の絶対値の合計を、当該時間窓に対応する時間窓変化率合計として算出する時間窓変化率合計算出手段と、
連続する第2の所定数の前記時間窓のそれぞれに対応する前記時間窓変化率合計の平均、合計、又は、分散に基づいて、前記被測定者にあるべき動作が現れていないことを判定する無動作状態判定手段と、
を含む無動作状態判定システム。
【請求項2】
請求項1に記載の無動作状態判定システムにおいて、
前記変化率算出手段は、複数のドップラセンサのそれぞれについて、前記複数の時点のそれぞれにおける前記ドップラデータの値の変化率を算出し、
前記時間窓変化率合計算出手段は、
前記複数のドップラセンサのそれぞれの、連続する第1の所定数の前記時点をそれぞれ含む複数の時間窓のそれぞれについて、当該時間窓に含まれる前記第1の所定数の前記時点のそれぞれにおける前記変化率の絶対値の合計を、当該時間窓に対応する個別時間窓変化率合計として算出する個別時間窓変化率合計算出手段と、
前記複数の時間窓のそれぞれについて、前記複数のドップラセンサのそれぞれの当該時間窓に対応する前記個別時間窓変化率合計の合計を、当該時間窓に対応する時間窓変化率合計として算出する時間窓変化率合計算出手段と、を含む、無動作状態判定システム。
【請求項3】
請求項1に記載の無動作状態判定システムにおいて、
前記変化率算出手段は、複数のドップラセンサのそれぞれについて、前記複数の時点のそれぞれにおける前記ドップラデータの値の変化率を算出し、
前記複数の時点のそれぞれについて、前記複数のドップラセンサのそれぞれの前記変化率の絶対値の合計を当該時点に対応する時点変化率合計として算出する時点変化率合計算出手段、をさらに含み、
前記時間窓変化率合計算出手段は、連続する第1の所定数の前記時点をそれぞれ含む複数の時間窓のそれぞれについて、当該時間窓に含まれる前記第1の所定数の前記時点のそれぞれにおける前記時点変化率合計の合計を、当該時間窓に対応する時間窓変化率合計として算出する、
無動作状態判定システム。
【請求項4】
被測定者に向けて設けられるドップラセンサによる測定結果を示すドップラデータを繰り返し取得する取得手段と、
連続する複数の時点のそれぞれにおける前記ドップラデータの値の変化率を算出する変化率算出手段と、
前記複数の時点のそれぞれにおける前記変化率の絶対値の平均、合計、又は、分散に基づいて、前記被測定者にあるべき動作が現れていないことを判定する無動作状態判定手段と、
を含む無動作状態判定システム。
【請求項5】
請求項4に記載の無動作状態判定システムにおいて、
前記変化率算出手段は、複数のドップラセンサのそれぞれについて、前記複数の時点のそれぞれにおける前記ドップラデータの値の変化率を算出し、
前記複数の時点のそれぞれについて、前記複数のドップラセンサのそれぞれの前記変化率の絶対値の合計を、当該時点に対応する時点変化率合計として算出する時点変化率合計算出手段、をさらに含み、
前記無動作状態判定手段は、前記複数の時点のそれぞれに対応する前記時点変化率合計の平均、合計、又は、分散に基づいて、前記被測定者にあるべき動作が現れていないことを判定する、無動作状態判定システム。
【請求項6】
被測定者に向けて設けられるドップラセンサによる測定結果を示すドップラデータを繰り返し取得する取得手段と、
連続する複数の時点のそれぞれにおける前記ドップラデータの値の変化率を算出する変化率算出手段と、
前記複数の時点のそれぞれにおける前記変化率の分散に基づいて、前記被測定者にあるべき動作が現れていないことを判定する無動作状態判定手段と、
を含む無動作状態判定システム。
【請求項7】
請求項6に記載の無動作状態判定システムにおいて、
前記変化率算出手段は、複数のドップラセンサのそれぞれについて、前記複数の時点のそれぞれにおける前記ドップラデータの値の変化率を算出し、
前記複数のドップラセンサのそれぞれについて、前記複数の時点のそれぞれにおける前記ドップラデータの値の変化率の分散を算出する分散算出手段、をさらに含み、
前記無動作状態判定手段は、前記複数のドップラセンサのそれぞれにおける前記変化率の分散の平均、又は、合計に基づいて、前記被測定者にあるべき動作が現れていないことを判定する、無動作状態判定システム。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の無動作状態判定システムにおいて、
前記無動作状態判定手段は、前記被測定者が無呼吸状態であるか否かを判定する、無動作状態判定システム。
【請求項9】
請求項1から7のいずれか一項に記載の無動作状態判定システムにおいて、
前記無動作状態判定手段は、前記被測定者が徐脈性の不整脈であるか否かを判定する、無動作状態判定システム。
【請求項10】
無動作状態判定システムが、被測定者に向けて設けられるドップラセンサによる測定結果を示すドップラデータを繰り返し取得するステップと、
前記無動作状態判定システムが、連続する複数の時点のそれぞれにおける前記ドップラデータの値の変化率を算出するステップと、
前記無動作状態判定システムが、連続する第1の所定数の前記時点をそれぞれ含む複数の時間窓のそれぞれについて、当該時間窓に含まれる前記第1の所定数の前記時点のそれぞれにおける前記変化率の絶対値の合計を、当該時間窓に対応する時間窓変化率合計として算出するステップと、
前記無動作状態判定システムが、連続する第2の所定数の前記時間窓のそれぞれに対応する前記時間窓変化率合計の平均、合計、又は、分散に基づいて、前記被測定者にあるべき動作が現れていないことを判定するステップと、
を含む無動作状態判定方法。
【請求項11】
無動作状態判定システムが、被測定者に向けて設けられるドップラセンサによる測定結果を示すドップラデータを繰り返し取得するステップと、
前記無動作状態判定システムが、連続する複数の時点のそれぞれにおける前記ドップラデータの値の変化率を算出するステップと、
前記無動作状態判定システムが、前記複数の時点のそれぞれにおける前記変化率の絶対値の平均、合計、又は、分散に基づいて、前記被測定者にあるべき動作が現れていないことを判定するステップと、
を含む無動作状態判定方法。
【請求項12】
無動作状態判定システムが、被測定者に向けて設けられるドップラセンサによる測定結果を示すドップラデータを繰り返し取得するステップと、
前記無動作状態判定システムが、連続する複数の時点のそれぞれにおける前記ドップラデータの値の変化率を算出するステップと、
前記無動作状態判定システムが、前記複数の時点のそれぞれにおける前記変化率の分散に基づいて、前記被測定者にあるべき動作が現れていないことを判定するステップと、
を含む無動作状態判定方法。
【請求項13】
被測定者に向けて設けられるドップラセンサによる測定結果を示すドップラデータを繰り返し取得するステップと、
連続する複数の時点のそれぞれにおける前記ドップラデータの値の変化率を算出するステップと、
連続する第1の所定数の前記時点をそれぞれ含む複数の時間窓のそれぞれについて、当該時間窓に含まれる前記第1の所定数の前記時点のそれぞれにおける前記変化率の絶対値の合計を、当該時間窓に対応する時間窓変化率合計として算出するステップと、
連続する第2の所定数の前記時間窓のそれぞれに対応する前記時間窓変化率合計の平均、合計、又は、分散に基づいて、前記被測定者にあるべき動作が現れていないことを判定するステップと、
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項14】
被測定者に向けて設けられるドップラセンサによる測定結果を示すドップラデータを繰り返し取得するステップと、
連続する複数の時点のそれぞれにおける前記ドップラデータの値の変化率を算出するステップと、
前記複数の時点のそれぞれにおける前記変化率の絶対値の平均、合計、又は、分散に基づいて、前記被測定者にあるべき動作が現れていないことを判定するステップと、
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項15】
被測定者に向けて設けられるドップラセンサによる測定結果を示すドップラデータを繰り返し取得するステップと、
連続する複数の時点のそれぞれにおける前記ドップラデータの値の変化率を算出するステップと、
前記複数の時点のそれぞれにおける前記変化率の分散に基づいて、前記被測定者にあるべき動作が現れていないことを判定するステップと、
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は無動作状態判定システム、無動作状態判定方法及びプログラムに関し、特にドップラデータに基づいて被測定者にあるべき動作が現れていないことを判定するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ドップラセンサによる測定結果であるドップラデータに基づいて被測定者の呼吸数や心拍数を測定する各種のシステムが検討されている。このようなシステムの一例として、特許文献1には、マイクロ波ドップラセンサによって非接触で呼吸数や心拍数を判定する見守り装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-134795号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発明者は、ドップラセンサを用いて被測定者にあるべき動作が現れていないことを判定することを検討している。具体的には例えば、被測定者が無呼吸状態であること、あるいは、被測定者が徐脈性の不整脈であること、を判定することを検討している。ここで、ドップラセンサによる測定結果であるドップラデータの振幅が小さい場合に被測定者にあるべき動作が現れていないと判定することが考えられる。
【0005】
しかし、例えば被測定者がドップラセンサから離れた場所にいる場合にドップラデータの振幅が小さくなることがある。そのため、上述のような判定を行った場合に、被測定者にあるべき動作が現れているにも関わらず当該被測定者にあるべき動作が現れていないと誤判定されるおそれがある。また、被測定者にあるべき動作が現れていないことの判定に用いられる閾値が適切でない場合に、被測定者にあるべき動作が現れていないにも関わらず当該被測定者にあるべき動作が現れていると誤判定されるおそれがある。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、ドップラセンサを用いて被測定者にあるべき動作が現れていないことを安定的に判定できる無動作状態判定システム、無動作状態判定方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明に係る無動作状態判定システムは、被測定者に向けて設けられるドップラセンサによる測定結果を示すドップラデータを繰り返し取得する取得手段と、連続する複数の時点のそれぞれにおける前記ドップラデータの値の変化率を算出する変化率算出手段と、前記複数の時点のそれぞれにおける前記変化率に基づいて、前記被測定者にあるべき動作が現れていないことを判定する無動作状態判定手段と、を含む。
【0008】
(2)(1)に記載の無動作状態判定システムにおいて、連続する第1の所定数の前記時点をそれぞれ含む複数の時間窓のそれぞれについて、当該時間窓に含まれる前記第1の所定数の前記時点のそれぞれにおける前記変化率の絶対値の合計を、当該時間窓に対応する時間窓変化率合計として算出する時間窓変化率合計算出手段、をさらに含み、前記無動作状態判定手段は、連続する第2の所定数の前記時間窓のそれぞれに対応する前記時間窓変化率合計の平均、合計、又は、分散に基づいて、前記被測定者にあるべき動作が現れていないことを判定してもよい。
【0009】
(3)(1)に記載の無動作状態判定システムにおいて、前記無動作状態判定手段は、前記複数の時点のそれぞれにおける前記変化率の絶対値の平均、合計、又は、分散に基づいて、前記被測定者にあるべき動作が現れていないことを判定してもよい。
【0010】
(4)(1)に記載の無動作状態判定システムにおいて、前記無動作状態判定手段は、前記複数の時点のそれぞれにおける前記変化率の分散に基づいて、前記被測定者にあるべき動作が現れていないことを判定してもよい。
【0011】
(5)(1)から(4)のいずれかに記載の無動作状態判定システムにおいて、前記変化率算出手段は、複数のドップラセンサのそれぞれについて、前記複数の時点のそれぞれにおける前記ドップラデータの値の変化率を算出し、前記無動作状態判定手段は、前記複数のドップラセンサのそれぞれについて算出される前記変化率に基づいて、前記被測定者にあるべき動作が現れていないことを判定してもよい。
【0012】
(6)(5)に記載の無動作状態判定システムにおいて、前記複数のドップラセンサのそれぞれの、連続する第1の所定数の前記時点をそれぞれ含む複数の時間窓のそれぞれについて、当該時間窓に含まれる前記第1の所定数の前記時点のそれぞれにおける前記変化率の絶対値の合計を、当該時間窓に対応する個別時間窓変化率合計として算出する個別時間窓変化率合計算出手段と、前記複数の時間窓のそれぞれについて、前記複数のドップラセンサのそれぞれの当該時間窓に対応する前記個別時間窓変化率合計の合計を、当該時間窓に対応する時間窓変化率合計として算出する時間窓変化率合計算出手段と、をさらに含み、前記無動作状態判定手段は、連続する第2の所定数の前記時間窓のそれぞれに対応する前記時間窓変化率合計の平均、合計、又は、分散に基づいて、前記被測定者にあるべき動作が現れていないことを判定してもよい。
【0013】
(7)(5)に記載の無動作状態判定システムにおいて、前記複数の時点のそれぞれについて、前記複数のドップラセンサのそれぞれの前記変化率の絶対値の合計を当該時点に対応する時点変化率合計として算出する時点変化率合計算出手段と、連続する第1の所定数の前記時点をそれぞれ含む複数の時間窓のそれぞれについて、当該時間窓に含まれる前記第1の所定数の前記時点のそれぞれにおける前記時点変化率合計の合計を、当該時間窓に対応する時間窓変化率合計として算出する時間窓変化率合計算出手段と、をさらに含み、前記無動作状態判定手段は、連続する第2の所定数の前記時間窓のそれぞれに対応する前記時間窓変化率合計の平均、合計、又は、分散に基づいて、前記被測定者にあるべき動作が現れていないことを判定してもよい。
【0014】
(8)(5)に記載の無動作状態判定システムにおいて、前記複数の時点のそれぞれについて、前記複数のドップラセンサのそれぞれの前記変化率の絶対値の合計を、当該時点に対応する時点変化率合計として算出する時点変化率合計算出手段、をさらに含み、前記無動作状態判定手段は、前記複数の時点のそれぞれに対応する前記時点変化率合計の平均、合計、又は、分散に基づいて、前記被測定者にあるべき動作が現れていないことを判定してもよい。
【0015】
(9)(5)に記載の無動作状態判定システムにおいて、前記複数のドップラセンサのそれぞれについて、前記複数の時点のそれぞれにおける前記ドップラデータの値の変化率の分散を算出する分散算出手段、をさらに含み、前記無動作状態判定手段は、前記複数のドップラセンサのそれぞれにおける前記変化率の分散の平均、又は、合計に基づいて、前記被測定者にあるべき動作が現れていないことを判定してもよい。
【0016】
(10)(1)から(9)のいずれかに記載の無動作状態判定システムにおいて、前記無動作状態判定手段は、前記被測定者が無呼吸状態であるか否かを判定してもよい。
【0017】
(11)(1)から(10)のいずれかに記載の無動作状態判定システムにおいて、前記無動作状態判定手段は、前記被測定者が徐脈性の不整脈であるか否かを判定してもよい。
【0018】
(12)本発明に係る無動作状態判定方法は、被測定者に向けて設けられるドップラセンサによる測定結果を示すドップラデータを繰り返し取得するステップと、連続する複数の時点のそれぞれにおける前記ドップラデータの値の変化率を算出するステップと、前記複数の時点のそれぞれにおける前記変化率に基づいて、前記被測定者にあるべき動作が現れていないことを判定するステップと、を含む。
【0019】
(13)本発明に係るプログラムは、被測定者に向けて設けられるドップラセンサによる測定結果を示すドップラデータを繰り返し取得するステップと、連続する複数の時点のそれぞれにおける前記ドップラデータの値の変化率を算出するステップと、前記複数の時点のそれぞれにおける前記変化率に基づいて、前記被測定者にあるべき動作が現れていないことを判定するステップと、をコンピュータに実行させるためのプログラムである。このプログラムはコンピュータ可読情報記憶媒体に格納されてよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、ドップラセンサを用いて被測定者にあるべき動作が現れていないことを安定的に判定できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施形態に係る無動作状態判定システムの構成図である。
図2】本発明の実施形態に係る信号処理装置の機能ブロック図である。
図3】本発明の実施形態に係る信号処理装置で行われる処理の流れの一例を示すフロー図である。
図4】小時間窓と大時間窓の一例を説明する図である。
図5A】ドップラデータの値の変化の一例を模式的に示す図である。
図5B】ドップラデータの値の変化の一例を模式的に示す図である。
図6A】判定指標の値の変化の一例を模式的に示す図である。
図6B】判定指標の値の変化の一例を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について図面に基づき詳細に説明する。
【0023】
図1は、本発明の実施形態に係る無動作状態判定システム1の構成図である。同図に示すように無動作状態判定システム1は、信号処理装置10と、ドップラセンサ12と、を含む。図1に示すように、ドップラセンサ12は、被測定者に向けて設けられている。
【0024】
また、図1の例では、ドップラセンサ12が、ベッド14のヘッドボードに取り付けられている。なお、本実施形態に係る無動作状態判定システム1が、複数のドップラセンサ12を含んでいてもよい。ここで、複数のドップラセンサ12が、ベッド14の中心線(ベッド14の幅方向の中心を通りベッド14の長さ方向に延伸する線)に対して対称に設けられていてもよい。また、複数のドップラセンサ12が、ベッド14の長さ方向(ベッド14の中心線に沿った方向)に対して垂直に並んで設けられていてもよい。また、複数のドップラセンサ12が、等間隔に一列に並んで設けられていてもよい。
【0025】
ドップラセンサ12は、ベッド14の長さ方向(長手方向)を向くように設けられており、ベッド14の長さ方向にマイクロ波を出射する。マイクロ波はベッド14で就寝する被測定者の胸部にて反射し、その反射波をドップラセンサ12が受信する。ドップラセンサ12は、反射波から呼吸に伴う胸部の動きを示すドップラ信号を生成し、このドップラ信号をデジタル化したドップラデータを出力する。なお、ドップラセンサ12から出射されるマイクロ波は、周波数が少しずつずれており、これにより相互の混信を防止している。
【0026】
ドップラ効果により反射波は周波数シフトしており、これを観測することにより被測定者の呼吸数を得ることができる。反射波は、直交検波により、送信波と同相成分であるI信号と直交成分であるQ信号とを含むドップラ信号として検出され、デジタル形式で信号処理装置10に出力される。信号処理装置10に入力されるドップラ信号は時系列データであり、各時刻の振幅(I成分及びQ成分)を示している。
【0027】
信号処理装置10は、例えばCPU、メモリ、入力デバイス及びディスプレイを含む、公知のコンピュータにより構成されてよく、ドップラセンサ12から出力されるドップラ信号に基づいて被測定者の呼吸数を生成する。
【0028】
図2は、本発明の実施形態に係る信号処理装置10の機能ブロック図である。同図に示すように、信号処理装置10は、ドップラデータ取得部20と、変化率算出部22と、判定指標算出部24と、無動作状態判定部26と、を含んでいる。これらの機能ブロックは、コンピュータである信号処理装置10において信号処理プログラムが実行されることにより実現される。この信号処理プログラムは、半導体メモリなどの各種のコンピュータ可読情報記憶媒体に格納され、該媒体から信号処理装置10にロードされてもよい。あるいは、インターネットなどのデータ通信回線を介して信号処理装置10にダウンロードされてもよい。
【0029】
ドップラデータ取得部20は、例えば、被測定者に向けて設けられるドップラセンサ12による測定結果を示すドップラデータを繰り返し取得する。ここで、ドップラデータ取得部20は、複数のドップラセンサ12のそれぞれから、当該ドップラセンサ12による測定結果を示すドップラデータを繰り返し取得してもよい。ここで、ドップラデータ取得部20が取得するドップラデータの値は、測定結果自体(生データ)に対して、直流成分のカット、フィルタリング、各種の補正等の前処理(データ加工)を実行した値であってもよい。
【0030】
変化率算出部22は、例えば、連続する複数の時点のそれぞれにおけるドップラデータの値の変化率を算出する。ここで、変化率算出部22が、複数のドップラセンサ12のそれぞれについて、連続する複数の時点のそれぞれにおけるドップラデータの値の変化率を算出してもよい。当該変化率は、例えば、ドップラデータの値のグラフにおける接線の傾きに相当する。本実施形態では、IデータとQデータのそれぞれについての変化率が算出される。
【0031】
例えば、1ミリ秒間隔で最新のドップラデータの取得が行われ、10ミリ秒間隔で変化率が特定されることとする。この場合、変化率算出部22は、ある時点の所定時間前(例えば、5ミリ秒前)から、当該時点の所定時間後(例えば、5ミリ秒後)までにおけるドップラデータの値の近似曲線(近似直線でもよい)を最小二乗法で算出してもよい。そして、変化率算出部22は、当該時点における当該近似曲線(近似直線でもよい)の傾きを、当該時点における変化率として決定してもよい。
【0032】
なお、変化率の算出方法は上述のものには限定されない。例えば、ある時点の所定時間後(例えば、1ミリ秒後)におけるドップラデータの値から、当該時点の所定時間前(例えば、1ミリ秒前)におけるドップラデータの値を引いた値が算出されてもよい。そして、算出される値が、当該時点における変化率として決定されてもよい。あるいは、算出される値を、時間差(例えば、2ミリ秒)で割った値が、当該時点における変化率として決定されてもよい。
【0033】
判定指標算出部24は、例えば、変化率算出部22により算出される変化率に基づいて、被測定者にあるべき動作が現れていないことの判定に用いられる判定指標の値を算出する。ここで、被測定者にあるべき動作が現れていないことの判定の一例として、被測定者が無呼吸状態であることの判定が挙げられる。すなわち、判定指標算出部24が、被測定者が無呼吸状態であるか否かの判定に用いられる判定指標の値を算出してもよい。
【0034】
無動作状態判定部26は、例えば、連続する複数の時点のそれぞれにおけるドップラデータの値の変化率に基づいて、被測定者にあるべき動作が現れていないことを判定する。ここで、無動作状態判定部26は、連続する複数の時点のそれぞれにおけるドップラデータの値の変化率に基づいて、被測定者が無呼吸状態であるか否かを判定してもよい。また、無動作状態判定部26は、複数のドップラセンサ12のそれぞれについて算出される、連続する複数の時点のそれぞれにおけるドップラデータの値の変化率に基づいて、被測定者が無呼吸状態であるか否かを判定してもよい。また、無動作状態判定部26は、判定指標算出部24により算出される判定指標の値に基づいて、被測定者が無呼吸状態であるか否かを判定してもよい。
【0035】
ここで、信号処理装置10で行われる、無呼吸状態判定処理の流れの一例を、図3に例示するフロー図を参照しながら説明する。
【0036】
まず、変化率算出部22が、複数のドップラセンサ12のそれぞれについて、所定時間間隔(例えば、10ミリ秒間隔)の、連続する複数の時点のそれぞれにおける変化率を算出する(S101)。以下、変化率が算出される時点を変化率算出時点と呼ぶこととする。本実施形態では、変化率算出時点は、複数のドップラセンサ12において共通であることとする。
【0037】
そして、判定指標算出部24が、複数のドップラセンサ12のそれぞれの、連続する第1の所定数(例えば、10)の変化率算出時点をそれぞれ含む複数の小時間窓SW(図4参照)のそれぞれについて、当該小時間窓SWに含まれる第1の所定数の変化率算出時点のそれぞれにおける変化率の絶対値の合計を、当該小時間窓SWに対応する個別時間窓変化率合計として算出する(S102)。ここで、小時間窓SWに含まれる第1の所定数の変化率算出時点のそれぞれにおける、Iデータの変化率の絶対値の合計と、Qデータの変化率の絶対値の合計と、の和が、当該小時間窓SWに対応する個別時間窓変化率合計として算出されてもよい。
【0038】
そして、判定指標算出部24が、連続する第2の所定数(例えば、100)の小時間窓SWのそれぞれについて、複数のドップラセンサ12のそれぞれの当該小時間窓SWに対応する個別時間窓変化率合計の合計を、当該小時間窓SWに対応する時間窓変化率合計として算出する(S103)。
【0039】
そして、判定指標算出部24は、被測定者が無呼吸状態であるか否かの判定に用いられる判定指標の値を算出する(S104)。S104に示す処理では、例えば、連続する第2の所定数の小時間窓SWのそれぞれに対応する時間窓変化率合計の平均、合計、又は、分散が、当該第2の所定数の小時間窓SWを含む大時間窓LW(図4参照)に対応する判定指標の値として算出されてもよい。
【0040】
図4には、連続する100個の小時間窓SWであるSW(1)からSW(100)が模式的に示されている。本実施形態では、それぞれの小時間窓SWの開始タイミングは上述の所定時間(例えば、10ミリ秒)ずつずれている。図4に示すように、互いに隣接する小時間窓SWによってカバーされる時間範囲の一部が重複していてもよい。また、図4には、連続する100個の小時間窓SWを含む大時間窓LWが模式的に示されている。
【0041】
そして、無動作状態判定部26が、S104に示す処理で算出された判定指標の値に基づいて、被測定者が無呼吸状態であるか否かを判定して(S105)、本処理例に示す処理は終了される。
【0042】
S105に示す処理では、例えば、S104に示す処理で算出された、大時間窓LWに対応する判定指標の値が所定閾値以下である場合に、当該大時間窓LWによってカバーされる期間に被測定者が無呼吸状態であると判定されてもよい。
【0043】
本実施形態において、小時間窓SWによってカバーされる時間範囲の長さが、1回の呼吸の時間の長さ以上となるようにしてもよい。例えば、小時間窓SWによってカバーされる時間範囲の長さが、3秒、あるいは、5秒、などであってもよい。
【0044】
また、以上の説明における第1の所定数と第2の所定数とは異なっているが、第1の所定数と第2の所定数とは同じであっても構わない。
【0045】
また、S102に示す処理において、判定指標算出部24が、連続する複数の変化率算出時点のそれぞれについて、複数のドップラセンサ12のそれぞれの変化率の絶対値の合計を、当該時点に対応する時点変化率合計として算出してもよい。
【0046】
そして、S103に示す処理において、判定指標算出部24が、連続する第1の所定数(例えば、10)の変化率判定時点をそれぞれ含む複数の小時間窓SWのそれぞれについて、当該小時間窓SWに含まれる第1の所定数の変化率判定時点のそれぞれにおける時点変化率合計の合計を、当該小時間窓SWに対応する時間窓変化率合計として算出してもよい。
【0047】
そして、その後、上述のS104、及び、S105に示す処理が実行されてもよい。
【0048】
また、本実施形態において、小時間窓SWに対応する時間窓変化率合計に基づいて、大時間窓LWに対応する判定指標の値が算出される必要はない。
【0049】
例えば、S101に示す処理の後で、判定指標算出部24が、連続する複数(例えば、100)の変化率算出時点のそれぞれについて、複数のドップラセンサ12のそれぞれの変化率の絶対値の合計を、当該時点に対応する時点変化率合計として算出してもよい。
【0050】
そして、判定指標算出部24が、当該複数(例えば、100)の変化率算出時点のそれぞれに対応する時点変化率合計の平均、合計、又は、分散を、当該複数の変化率算出時点を含む時間窓に対応する判定指標の値として算出してもよい。
【0051】
そして、S105に示す処理と同様に、無動作状態判定部26が、このようにして算出される判定指標の値に基づいて、被測定者が無呼吸状態であるか否かを判定してもよい。例えば、当該時間窓に対応する判定指標の値が所定閾値以下である場合に、当該時間窓によってカバーされる期間に被測定者が無呼吸状態であると判定されてもよい。
【0052】
また、本実施形態において、変化率の絶対値に基づいて、被測定者が無呼吸状態であるか否かが判定される必要はない。
【0053】
例えば、S101に示す処理の後で、判定指標算出部24が、複数のドップラセンサ12のそれぞれについて、連続する複数の変化率算出時点のそれぞれにおけるドップラデータの値の変化率の分散を算出してもよい。
【0054】
そして、判定指標算出部24が、複数のドップラセンサ12のそれぞれにおける変化率の分散の平均、又は、合計を、当該複数の変化率算出時点を含む時間窓に対応する判定指標の値として算出してもよい。
【0055】
そして、S105に示す処理と同様に、無動作状態判定部26が、このようにして算出される判定指標の値に基づいて、被測定者が無呼吸状態であるか否かを判定してもよい。例えば、当該時間窓に対応する判定指標の値が所定閾値以下である場合に、当該時間窓によってカバーされる期間に被測定者が無呼吸状態であると判定されてもよい。
【0056】
また、本実施形態に係る無動作状態判定システム1に、ドップラセンサ12が1つだけ含まれている場合に、連続する複数の変化率判定時点のそれぞれにおける当該1つのドップラセンサ12の値の変化率が算出されてもよい。
【0057】
そして、連続する第1の所定数の変化率判定時点をそれぞれ含む複数の小時間窓SWのそれぞれについて、当該小時間窓SWに含まれる第1の所定数の変化率判定時点のそれぞれにおける変化率の絶対値の合計が、当該小時間窓SWに対応する時間窓変化率合計として算出されてもよい。そして、連続する第2の所定数の小時間窓SWのそれぞれに対応する時間窓変化率合計の平均、合計、又は、分散が、当該第2の所定数の小時間窓SWを含む大時間窓LWに対応する判定指標の値として算出されてもよい。そして、算出される判定指標の値に基づいて、当該大時間窓LWによってカバーされる期間に被測定者が無呼吸状態であるか否かが判定されてもよい。
【0058】
あるいは、連続する複数の変化率算出時点のそれぞれにおける変化率の絶対値の平均、合計、又は、分散が、当該複数の変化率算出時点を含む時間窓に対応する判定指標の値として算出されてもよい。そして、算出される判定指標の値に基づいて、当該時間窓によってカバーされる期間に被測定者が無呼吸状態であるか否かが判定されてもよい。
【0059】
あるいは、連続する複数の変化率算出時点のそれぞれにおける変化率の分散が、当該複数の変化率算出時点を含む時間窓に対応する判定指標の値として算出されてもよい。そして、算出される判定指標の値に基づいて、当該時間窓によってカバーされる期間に被測定者が無呼吸状態であるか否かが判定されてもよい。
【0060】
図5A、及び、図5Bは、ドップラデータの値の変化の一例を模式的に示す図である。横軸は、日時tを表しており、縦軸は、ドップラデータの値xを表している。そして、期間P1では被測定者が無呼吸状態でなく、期間P2では被測定者が無呼吸状態であることとする。
【0061】
図5Bに示されている状況は、図5Aに示されている状況よりも、ドップラデータの振幅が小さい。例えば被測定者がドップラセンサ12から離れた場所にいる場合などに、図5Bに示すような、ドップラデータの振幅が小さくなる状況が発生する。
【0062】
ここで例えば、ドップラデータの振幅が所定閾値th1よりも小さい状況(ドップラデータの値が-th1より大きくth1よりも小さい状況)が所定時間以上継続した場合に、被測定者が無呼吸状態であると判定することが考えられる。
【0063】
この判定では、図5Aに示すように、期間P2におけるドップラデータの値が閾値th1よりも大きい場合に、期間P2において被測定者が無呼吸状態であるにも関わらず、無呼吸状態でないと判定されてしまう。また、図5Bに示すように期間P1におけるドップラデータの値が閾値th1よりも小さい場合に、期間P1において被測定者が無呼吸状態でないにも関わらず無呼吸状態であると判定されてしまう。
【0064】
このように、ドップラデータの振幅に基づいて被測定者が無呼吸状態であるか否かを判定する手法では、被測定者が無呼吸状態であるか否かについて安定的に判定できない。
【0065】
図6A、及び、図6Bは、上述の、連続する複数の時点のそれぞれにおけるドップラデータの値の変化率に基づく判定指標の値の変化の一例を模式的に示す図である。横軸は、日時tを表しており、縦軸は、上述の判定指標の値yを表している。そして、図5A、及び、図5Bと同様に、期間P1では被測定者が無呼吸状態でなく、期間P2では被測定者が無呼吸状態であることとする。また、図6Bに示されている状況は、図6Aに示されている状況よりも、ドップラデータの振幅が小さいこととする。
【0066】
図6A、及び、図6Bに示すように、被測定者が無呼吸状態である場合には、被測定者が無呼吸状態でない状況におけるドップラデータの振幅がどのくらいの大きさであろうと、上述の判定指標の値yはほぼゼロとなる。
【0067】
そのため、本実施形態によれば、期間P1におけるドップラデータの振幅によらず、図6A、及び、図6Bに示すように所定閾値th2を適切に設定し、閾値th2を超えているか否かによって被測定者が無呼吸状態であるか否かを判定することで、期間P1におけるドップラデータの振幅がどのくらいの大きさであろうと被測定者が無呼吸状態であるか否かを安定的に判定できることとなる。
【0068】
なお、本発明は上記実施形態に限定されず、種々の変形実施が可能である。
【0069】
例えば本発明が、被測定者が徐脈性の不整脈であることの判定に用いられてもよい。
【0070】
この場合に、ドップラセンサ12から出射されるマイクロ波が、ベッド14で就寝する被測定者の心臓にて反射し、その反射波をドップラセンサ12が受信してもよい。そして、信号処理装置10が、ドップラセンサ12から出力されるドップラ信号に基づいて被測定者の心拍数を生成してもよい。
【0071】
そして、以上で説明した、被測定者が無呼吸状態であるか否かを判定する手法と同様の手法によって、被測定者が徐脈性の不整脈であるか否かが判定されてもよい。被測定者が徐脈性の不整脈であるか否かの判定においては、被測定者が無呼吸状態であるか否かの判定に用いられた時間窓とは異なる時間窓(例えば、大きさが異なる時間窓)が用いられてもよい。またこの場合に、無呼吸状態であるか否かの判定に用いられるドップラデータの値に対して短時間フーリエ変換(STFFT)を実行したスペクトルの積分値が、被測定者が徐脈性の不整脈であるか否かの判定における、ドップラデータ取得部20が取得するドップラデータの値として用いられるようにしてもよい。この場合における、被測定者が徐脈性の不整脈であることの判定は、被測定者にあるべき動作が現れていないことの判定の一例に相当する。このようにすることで、ドップラデータの振幅がどのくらいの大きさであろうと被測定者が徐脈性の不整脈であるか否かを安定的に判定できることとなる。
【0072】
以上のようにして、本実施形態によれば、ドップラセンサ12を用いて被測定者にあるべき動作が現れていないこと(例えば、被測定者が無呼吸状態であること、被測定者が徐脈性の不整脈であること、など)を安定的に判定できることとなる。
【0073】
また、本実施形態において、被測定者が無呼吸状態であるか否かが判定されるとともに、当該被測定者が徐脈性の不整脈であるか否かが判定されてもよい。また、本実施形態において、被測定者が無呼吸状態であると判定される場合に、無呼吸状態であるか否かの判定に用いられたドップラデータを用いて、当該被測定者が徐脈性の不整脈であるか否かが判定されてもよい。この場合、無呼吸状態であるか否かの判定に用いられたドップラデータの値に対して短時間フーリエ変換(STFFT)を実行したスペクトルの積分値が、被測定者が徐脈性の不整脈であるか否かの判定における、ドップラデータ取得部20が取得するドップラデータの値として用いられるようにしてもよい。無呼吸症候群である被測定者が、徐脈性の不整脈でもある可能性が高い傾向にあることから、このようにすることで、被測定者が徐脈性の不整脈であることを効率よく判定できることとなる。
【符号の説明】
【0074】
1 無動作状態判定システム、10 信号処理装置、12 ドップラセンサ、14 ベッド、20 ドップラデータ取得部、22 変化率算出部、24 判定指標算出部、26 無動作状態判定部。

【要約】
【課題】ドップラセンサを用いて被測定者にあるべき動作が現れていないことを安定的に判定できる無動作状態判定システム、無動作状態判定方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】ドップラデータ取得部20は、被測定者に向けて設けられるドップラセンサ12による測定結果を示すドップラデータを繰り返し取得する。変化率算出部22は、連続する複数の時点のそれぞれにおけるドップラデータの値の変化率を算出する。無動作状態判定部26は、複数の時点のそれぞれにおける変化率に基づいて、被測定者にあるべき動作が現れていないことを判定する。
【選択図】図2

図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B