(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-31
(45)【発行日】2025-04-08
(54)【発明の名称】マルチポートバルブ
(51)【国際特許分類】
F16K 11/07 20060101AFI20250401BHJP
【FI】
F16K11/07 C
F16K11/07 M
(21)【出願番号】P 2023006869
(22)【出願日】2023-01-19
【審査請求日】2023-12-26
(73)【特許権者】
【識別番号】391002166
【氏名又は名称】株式会社不二工機
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森田 健斗
(72)【発明者】
【氏名】原 聖一
【審査官】所村 陽一
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-055943(JP,A)
【文献】特開2006-070913(JP,A)
【文献】特開2020-200864(JP,A)
【文献】実公昭35-004775(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 11/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に円筒状の空間が設けられ、前記空間にそれぞれ連通し前記空間の軸方向に配置された少なくとも4つのポートを有するハウジングと、
前記空間内に配置され、前記空間の周方向に回転可能とされ、前記4つのポートを軸方向の並び順に第1ポート、第2ポート、第3ポート及び第4ポートとすると、前記空間内での角度位置に応じて、前記第1ポートと前記第3ポートとを接続すると共に前記第2ポートと前記第4ポートとを接続する第1モード、前記第1ポートと前記第4ポートとを接続すると共に前記第2ポートと前記第3ポートとを接続する第2モード、並びに前記第1ポートと前記第2ポートとを接続すると共に前記第3ポートと前記第4ポートとを接続する第3モードの3つの切換モードのうち一つを選択する弁体と、
を有
し、
前記弁体は、
前記空間の軸方向に延び、前記空間を周方向に順に仕切る第1周方向仕切り、第2周方向仕切り及び第4周方向仕切りと、
前記第1周方向仕切りと前記第2周方向仕切りとで区画される第1領域を前記第1ポートと前記第2ポートので軸方向に仕切る第1軸方向仕切りと、
前記第2周方向仕切りと前記第4周方向仕切りとで区画される第2領域を前記第2ポートと前記第3ポートの間で軸方向に仕切る第2軸方向仕切りと、を有し、
前記第1周方向仕切りにおける前記第1軸方向仕切りより軸方向の前記第1ポート側には、前記第4周方向仕切りと前記第1周方向仕切りにより区画される第4領域と前記第1軸方向仕切りより軸方向の前記第1ポート側の前記第1領域とを連通させる第1通路が設けられ、
前記第2周方向仕切りにおける前記第1軸方向仕切りと前記第2軸方向仕切りの間には、前記第1軸方向仕切りより軸方向の前記第2ポート側の前記第1領域と前記第2軸方向仕切りより軸方向の前記第2ポート側の前記第2領域とを連通させる第2通路が設けられ、
前記第4周方向仕切りにおける前記第2軸方向仕切りより軸方向の前記第3ポート側には、前記第2軸方向仕切りより軸方向の前記第3ポート側の前記第2領域と、前記第4領域とを連通させる第5通路が設けられている、マルチポートバルブ。
【請求項2】
前記4つのポートは、前記空間の軸方向に千鳥状に配置されている請求項1のマルチポートバルブ。
【請求項3】
前記第2周方向仕切りと前記第4周方向仕切りの間に第3周方向仕切りが設けられ、
前記第2領域は、前記第2周方向仕切りと前記第3周方向仕切りとで区画され、
前記第2軸方向仕切りは、前記第2領域を前記第2ポートと前記第3ポートの間で軸方向に仕切り、
前記第3周方向仕切りと前記第4周方向仕切りとで第3領域が区画され、
前記第3領域を前記第2ポートと前記第3ポートの間で軸方向に仕切る第3軸方向仕切りが設けられ、
前記第3周方向仕切りにおける前記第2軸方向仕切りより軸方向の前記第2ポート側には、前記第2軸方向仕切りより軸方向の前記第2ポート側の前記第2領域と前記第3軸方向仕切りより軸方向の前記第2ポート側の前記第3領域とを連通させる第3通路が設けられ、
前記第3周方向仕切りにおける前記第2軸方向仕切りより軸方向の前記第3ポート側には、前記第2軸方向仕切りより軸方向の前記第3ポート側の前記第2領域と前記第3軸方向仕切りより前記第3ポート側の前記第3領域とを連通させる第4通路が設けられている、請求項1に記載のマルチポートバルブ。
【請求項4】
前記第1周方向仕切りが前記第1ポート及び前記第3ポートと、前記第2ポート及び前記第4ポートの間の角度位置にある前記第1モードでは、前記第1ポートと第3ポートは前記第4領域を通じて接続され、前記第2ポートと前記第4ポートは前記第1軸方向仕切りより軸方向の第2ポート側の前記第1領域を通じて接続され、
前記第2周方向仕切りが前記第1ポート及び前記第3ポートと、前記第2ポート及び前記第4ポートの間の角度位置にある前記第2モードでは、前記第2ポートと前記第3ポートは、前記第2軸方向仕切りより軸方向の前記第2ポート側の前記第2領域、前記第2通路、及び前記第1軸方向仕切りより軸方向の前記第2ポート側の前記第1領域を通じて接続され、前記第1ポートと前記第4ポートは、前記第1軸方向仕切りより軸方向の前記第1ポート側の前記第1領域、第1通路、前記第4領域、前記第5通路、前記第3軸方向仕切りより軸方向の前記第3ポート側の第3領域、前記第4通路、及び前記第2軸方向仕切りより軸方向の前記第3ポート側の前記第2領域を通じて接続され、
前記第3周方向仕切りが前記第1ポート及び前記第3ポートと、前記第2ポート及び前記第4ポートの間の角度位置にある前記第3モードでは、前記第1ポートと前記第2ポートは、前記第2軸方向仕切りより軸方向の前記第2ポート側の前記第2領域、前記第3通路及び前記第3軸方向仕切りより軸方向の前記第2ポート側の第3領域を通じて接続され、前記第3ポートと前記第4ポートは、前記第2軸方向仕切りより軸方向の前記第3ポート側の前記第2領域、前記第4通路、及び前記第3軸方向仕切りより軸方向の前記第3ポート側の前記第3領域を通じて接続される、請求項3に記載のマルチポートバルブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチポートバルブに関する。
【背景技術】
【0002】
部分的な円周シールを有するマルチポートバルブが開示されている(特許文献1参照)。このバルブは、シェルボディと、ハウジング内に収容されたシール部材を含んでいる。シール部材は、シェルボディを完全には囲まないように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許出願公開第2021/0131575号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した従来例では、円筒状のシェルボディ(弁体)が縦方向の通路(ポケット)と横方向の通路を有し、このシェルボディを軸回りに回転させることで、縦横に配列された複数のポートの接続の組合せを変更することができる。
【0005】
しかしながら、この従来例では、互いに横に隣接するポートを接続するモードと、互いに縦に隣接するポートを接続するモードの2通りの流路レイアウトしか実現できない。
【0006】
本発明は、マルチポートバルブにおいて、多彩な流路レイアウトを可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の態様に係るマルチポートバルブは、内部に円筒状の空間が設けられ、前記空間にそれぞれ連通し前記空間の軸方向に配置された少なくとも4つのポートを有するハウジングと、前記空間内に配置され、前記空間の周方向に回転可能とされ、前記4つのポートを軸方向の並び順に第1ポート、第2ポート、第3ポート及び第4ポートとすると、前記空間内での角度位置に応じて、前記第1ポートと前記第3ポートとを接続すると共に前記第2ポートと前記第4ポートとを接続する第1モード、前記第1ポートと前記第4ポートとを接続すると共に前記第2ポートと前記第3ポートとを接続する第2モード、並びに前記第1ポートと前記第2ポートとを接続すると共に前記第3ポートと前記第4ポートとを接続する第3モードのうち一つを選択する弁体と、を有する。
【0008】
このマルチポートバルブでは、弁体が3つの切換モード、具体的には、第1ポートと第3ポートとを接続すると共に第2ポートと第4ポートとを接続する第1モード、第1ポートと第4ポートとを接続すると共に第2ポートと第3ポートとを接続する第2モード、並びに第1ポートと第2ポートとを接続すると共に第3ポートと第4ポートとを接続する第3モードを有している。したがって、2通りの流路レイアウトしか有しない従来例と比較して多くの流路レイアウトが可能となる。
【0009】
第2の態様は、第1の態様に係るマルチポートバルブにおいて、前記4つのポートが、前記空間の軸方向に千鳥状に配置されている。
【0010】
第3の態様は、第1の態様に係るマルチポートバルブにおいて、前記弁体は、前記空間の軸方向に延び、前記空間を周方向に順に仕切る第1周方向仕切り、第2周方向仕切り、第3周方向仕切り及び第4周方向仕切りと、前記第1周方向仕切りと前記第2周方向仕切りとで区画される第1領域を前記第1ポートと前記第2ポートの間で軸方向に仕切る第1軸方向仕切りと、前記第2周方向仕切りと前記第3周方向仕切りとで区画される第2領域を前記第2ポートと前記第3ポートの間で軸方向に仕切る第2軸方向仕切りと、前記第3周方向仕切りと前記第4周方向仕切りとで区画される第3領域を前記第2ポートと前記第3ポートの間で軸方向に仕切る第3軸方向仕切りと、を有し、前記第1周方向仕切りにおける前記第1軸方向仕切りより軸方向の前記第1ポート側には、前記第4周方向仕切りと前記第1周方向仕切りにより区画される第4領域と前記第1軸方向仕切りより軸方向の前記第1ポート側の前記第1領域とを連通させる第1通路が設けられ、前記第2周方向仕切りにおける前記第1軸方向仕切りと前記第2軸方向仕切りの間には、前記第1軸方向仕切りより軸方向の前記第2ポート側の前記第1領域と前記第2軸方向仕切りより軸方向の前記第2ポート側の前記第2領域とを連通させる第2通路が設けられ、前記第3周方向仕切りにおける前記第2軸方向仕切りより軸方向の前記第2ポート側には、前記第2軸方向仕切りより軸方向の前記第2ポート側の前記第2領域と前記第3軸方向仕切りより軸方向の前記第2ポート側の前記第3領域とを連通させる第3通路が設けられ、前記第3周方向仕切りにおける前記第2軸方向仕切りより軸方向の前記第3ポート側には、前記第2軸方向仕切りより軸方向の前記第3ポート側の前記第2領域と前記第3軸方向仕切りより前記第3ポート側の前記第3領域とを連通させる第4通路が設けられ、前記第4周方向仕切りにおける前記第3軸方向仕切りより軸方向の前記第3ポート側には、前記第3軸方向仕切りより軸方向の前記第3ポート側の前記第3領域と、前記第4領域とを連通させる第5通路が設けられている。
【0011】
このマルチポートバルブでは、各種仕切りや各種通路を有する弁体をハウジングの空間内で回転させ、その角度位置を変化させることにより、3つの切換モードを可能にする。
【0012】
第4の態様は、第3の態様に係るマルチポートバルブにおいて、前記第1周方向仕切りが前記第1ポート及び前記第3ポートと、前記第2ポート及び前記第4ポートの間の角度位置にある前記第1モードでは、前記第1ポートと第3ポートは前記第4領域を通じて接続され、前記第2ポートと前記第4ポートは前記第1軸方向仕切りより軸方向の第2ポート側の前記第1領域を通じて接続され、前記第2周方向仕切りが前記第1ポート及び前記第3ポートと、前記第2ポート及び前記第4ポートの間の角度位置にある前記第2モードでは、前記第2ポートと前記第3ポートは、前記第2軸方向仕切りより軸方向の前記第2ポート側の前記第2領域、前記第2通路、及び前記第1軸方向仕切りより軸方向の前記第2ポート側の前記第1領域を通じて接続され、前記第1ポートと前記第4ポートは、前記第1軸方向仕切りより軸方向の前記第1ポート側の前記第1領域、第1通路、前記第4領域、前記第5通路、前記第3軸方向仕切りより軸方向の前記第3ポート側の第3領域、前記第4通路、及び前記第2軸方向仕切りより軸方向の前記第3ポート側の前記第2領域を通じて接続され、前記第3周方向仕切りが前記第1ポート及び前記第3ポートと、前記第2ポート及び前記第4ポートの間の角度位置にある前記第3モードでは、前記第1ポートと前記第2ポートは、前記第2軸方向仕切りより軸方向の前記第2ポート側の前記第2領域、前記第3通路及び前記第3軸方向仕切りより軸方向の前記第2ポート側の第3領域を通じて接続され、前記第3ポートと前記第4ポートは、前記第2軸方向仕切りより軸方向の前記第3ポート側の前記第2領域、前記第4通路、及び前記第3軸方向仕切りより軸方向の前記第3ポート側の前記第3領域を通じて接続される。
【0013】
このマルチポートバルブでは、各種仕切りや各種通路を有する弁体をハウジングの空間内で回転させることにより、3つの切換モードを可能にする。特に、第2モードにおける第1ポートと第4ポートの接続は、第1ポート及び第4ポートに面していない第4領域及び第3領域を利用することで、このような接続が可能となっている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、マルチポートバルブにおいて、多彩な流路レイアウトが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】(A)、(B)は、マルチポートバルブの切換モードにおける第1モードを示す斜視図である。(C)は、マニホールドにおける各ポートの接続状態を示す正面図である。
【
図2】(A)、(B)、(C)は、マルチポートバルブの切換モードにおける第2モードを示す斜視図である。(D)は、マニホールドにおける各ポートの接続状態を示す正面図である。
【
図3】(A)、(B)は、マルチポートバルブの切換モードにおける第3モードを示す斜視図である。(C)は、マニホールドにおける各ポートの接続状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態を図面に基づき説明する。各図面において同一の符号を用いて示される構成要素は、同一又は同様の構成要素であることを意味する。なお、以下に説明する実施形態において重複する説明及び符号については、省略する場合がある。また、以下の説明において用いられる図面は、いずれも模式的なものであり、図面に示される、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は、現実のものとは必ずしも一致していない。また、複数の図面の相互間においても、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は必ずしも一致していない。
【0017】
図1から
図3において、本実施形態に係るマルチポートバルブ10は、少なくとも4つのポートを有する流路切換弁である。このマルチポートバルブ10は、ハウジング12と、弁体14とを有している。ハウジング12と弁体14の間は、意図しないポート間に流体が流れないようにシールされている。弁体14は、流路の切換時に図示しない駆動手段によりハウジング12の空間16内で回転駆動される。
【0018】
ハウジング12には、例えば角柱状とされ、内部に円筒状の空間16が設けられている。空間16の軸方向Sは、ハウジング12の長手方向である。ハウジング12の外形は角柱に限られず、円柱等であってもよい。また、ハウジング12は、空間16にそれぞれ連通し、該空間16の軸方向Sに例えば千鳥状に配置された少なくとも4つのポートを有する。本実施形態では、4つのポートを千鳥状の並び順に第1ポート21、第2ポート22、第3ポート23及び第4ポート24とする。各ポートは、例えばハウジング12の正面12Aに形成されている。各ポートは、例えば正面12Aから突出しているが、突出していなくてもよい。
図1(A)において、正面12Aをハウジング12の幅方向に「A-B」の2列、長手方向に「1~4」の4行に区画し、例えば右列を「A」、最も上の行を「1」として番地を付す。そうすると、第1ポート21はA-1番地に配置され、第2ポートはB-2番地に配置され、第3ポートはA-3番地に配置され、そして第4ポート24はB-4番地に配置されている。なお、各図においてハウジング12の角に付された丸印は、同じ角を示している。
【0019】
図1(C)、
図2(D)、
図3(C)には、マニホールド20が示されている。マニホールド20は、マルチポートバルブ10における他の機器との接続部がまとめられた部分であり、数字が付された四角形は各ポートに対応している。1の四角形は第1ポート21、2の四角形は第2ポート22、3の四角形は第3ポート23、4の四角形は第4ポート24に対応している。数字のない四角形は、4つのポートを有する他のマルチポートバルブ(図示せず)に対応する。本実施形態に係るマルチポートバルブ10を2つ用い、1つのマニホールド20に接続してもよい。
【0020】
弁体14は、ハウジング12の空間16内に配置され、空間16の周方向に回転可能とされている。弁体14は、空間16内での角度位置に応じて、3つの切換モードを有する。
図1に示される第1モードは、第1ポート21と第3ポート23とを接続すると共に第2ポート22と第4ポート24とを接続するモードである。
図2に示される第2モードは、第1ポート21と第4ポート24とを接続すると共に第2ポート22と第3ポート23とを接続するモードである。
図3に示される第3モードは、第1ポート21と第2ポート22とを接続すると共に第3ポート23と第4ポート24とを接続するモードである。
【0021】
弁体14は、軸方向両端の円板部14A,14Bの間に、ハウジング12の空間16の軸方向Sに延び、空間16を周方向Cに仕切る周方向仕切りと、空間16を軸方向Sに仕切る軸方向仕切りと、を有している。具体的には、弁体14は、周方向仕切りとして、空間16を周方向Cに順に仕切る第1周方向仕切り31、第2周方向仕切り32、第3周方向仕切り33及び第4周方向仕切り34が設けられている。第1周方向仕切り31から第4周方向仕切り34までは、周方向Cにおいて、例えば90°ずつ均等に配置される。
【0022】
弁体14において、第1周方向仕切り31と第2周方向仕切り32とで、第1領域51が区画される。第2周方向仕切り32と第3周方向仕切り33とで、第2領域52が区画される。第3周方向仕切り33と第4周方向仕切り34とで、第3領域53が区画される。そして、第4周方向仕切り34と第1周方向仕切り31とで、第4領域54が区画される。これらの領域は、例えばそれぞれ略四分円柱状である。
【0023】
弁体14は、軸方向仕切りとして、第1軸方向仕切り41と、第2軸方向仕切り42と、第3軸方向仕切り43とを有している。第1軸方向仕切り41は、第1領域51を第1ポート21と第2ポート22の間で軸方向Sに仕切っている。第2軸方向仕切り42は、第2領域52を第2ポート22と第3ポート23の間で軸方向Sに仕切っている。第3軸方向仕切り43は、第3領域53を第2ポート22と第3ポート23の間で軸方向Sに仕切っている。これらの軸方向仕切りは、例えばそれぞれ略四分円板状である。
【0024】
第1周方向仕切り31における第1軸方向仕切り41より軸方向Sの第1ポート21側には、第4領域54と、第1軸方向仕切り41より軸方向Sの第1ポート21側の第1領域51とを連通させる第1通路61が設けられている。
【0025】
第2周方向仕切り32における第1軸方向仕切り41と第2軸方向仕切り42の間には、第1軸方向仕切り41より軸方向Sの第2ポート22側の第1領域51と、第2軸方向仕切り42より軸方向Sの第2ポート22側の第2領域52とを連通させる第2通路62が設けられている。
【0026】
第3周方向仕切り33における第2軸方向仕切り42より軸方向Sの第2ポート22側には、第2軸方向仕切り42より軸方向Sの第2ポート22側の第2領域52と第3軸方向仕切り43より軸方向Sの第2ポート22側の第3領域53とを連通させる第3通路63が設けられている。
【0027】
第3周方向仕切り33における第2軸方向仕切り42より軸方向Sの第3ポート23側には、第2軸方向仕切り42より軸方向Sの第3ポート23側の第2領域52と第3軸方向仕切り43より軸方向Sの第3ポート23側の第3領域53とを連通させる第4通路64が設けられている。
【0028】
第4周方向仕切り34における第3軸方向仕切り43より軸方向Sの第3ポート23側には、第3軸方向仕切り43より軸方向Sの第3ポート23側の第3領域53と、第4領域54とを連通させる第5通路65が設けられている。
【0029】
図1(A)、
図1(B)は、マルチポートバルブ10の切換モードにおける第1モードを示している。第1モードでは、第1周方向仕切り31が第1ポート21及び第3ポート23と、第2ポート22及び第4ポート24の間の角度位置にある。第1モードでは、第1ポート21と第3ポート23が、第4領域54を通じて接続される。また、第2ポート22と第4ポート24が、第1軸方向仕切り41より軸方向Sの第2ポート22側の第1領域51を通じて接続される。
【0030】
図2(A)、
図2(B)、
図2(C)は、マルチポートバルブ10の切換モードにおける第2モードを示している。第2モードでは、第2ポート22と第3ポート23が、第2軸方向仕切り42より軸方向Sの第2ポート22側の第2領域52、第2通路62、及び第1軸方向仕切り41より軸方向Sの第2ポート22側の第1領域51を通じて接続される。また、第1ポート21と第4ポート24が、第1軸方向仕切り41より軸方向Sの第1ポート21側の第1領域51、第1通路61、第4領域54、第5通路65、第3軸方向仕切り43より軸方向Sの第3ポート23側の第3領域53、第4通路64、及び第2軸方向仕切り42より軸方向Sの第3ポート23側の第2領域52を通じて接続される。
【0031】
図3(A)、
図3(B)は、マルチポートバルブ10の切換モードにおける第3モードを示している。第3モードでは、第1ポート21と第2ポート22が、第2軸方向仕切り42より軸方向Sの第2ポート22側の第2領域52、第3通路63及び第3軸方向仕切り43より軸方向Sの第2ポート22側の第3領域53を通じて接続され。また、第3ポート23と第4ポート24が、第2軸方向仕切り42より軸方向Sの第3ポート23側の第2領域52、第4通路64、及び第3軸方向仕切り43より軸方向Sの第3ポート23側の第3領域53を通じて接続される。
【0032】
(作用)
本実施形態は、上記のように構成されており、以下その作用について説明する。本実施形態に係るマルチポートバルブ10では、弁体14が3つの切換モード、具体的には、第1ポート21と第3ポート23とを接続すると共に第2ポート22と第4ポート24とを接続する第1モード、第1ポート21と第4ポート24とを接続すると共に第2ポート22と第3ポート23とを接続する第2モード、並びに第1ポート21と第2ポート22とを接続すると共に第3ポート23と第4ポート24とを接続する第3モードを有している。上記したように、各種仕切りや各種通路を有する弁体14をハウジング12の空間16内で回転させることによりその角度位置を変化させ、3つの切換モードを可能にする。特に、
図2(B)、
図2(C)に示されるように、第2モードにおける第1ポート21と第4ポート24の接続は、第1ポート21及び第4ポート24に面していない第4領域54及び第3領域53を利用することで、このような接続が可能となっている。なお、第3軸方向仕切り43は、第3ポート23と第4ポート24との間の第3領域53にあってもよい。
【0033】
図1に示されるように、第1モードでは、第1ポート21と第3ポート23とが接続され、第2ポート22と第4ポート24とが接続される。他の組合せは遮断される。具体的には、第1ポート21と第2ポート22の接続は、第1周方向仕切り31、第2周方向仕切り32、第4周方向仕切り34、第1軸方向仕切り41、第2軸方向仕切り42、及び第3軸方向仕切り43により遮断される。第3ポート23と第4ポート24の接続は、第1周方向仕切り31、第2周方向仕切り32、第4周方向仕切り34、第1軸方向仕切り41、第2軸方向仕切り42、及び第3軸方向仕切り43により遮断される。第1ポート21と第4ポート24の接続は、第1周方向仕切り31、第2周方向仕切り32、第4周方向仕切り34、第1軸方向仕切り41、第2軸方向仕切り42、及び第3軸方向仕切り43により遮断される。そして、第2ポート22と第3ポート23の接続は、第1周方向仕切り31、第2周方向仕切り32、第4周方向仕切り34、第1軸方向仕切り41、及び第2軸方向仕切り42、及び第3軸方向仕切り43により遮断される。
【0034】
図2に示されるように、第2モードでは、第1ポート21と第4ポート24とが接続され、第2ポート22と第3ポート23とが接続される。他の組合せは遮断される。具体的には、第1ポート21と第2ポート22の接続は、第2周方向仕切り32、第1周方向仕切り31、第4周方向仕切り34、第1軸方向仕切り41、第2軸方向仕切り42、及び第3軸方向仕切り43により遮断される。第1ポート21と第3ポート23の接続は、第1周方向仕切り31、第2周方向仕切り32、第4周方向仕切り34、第1軸方向仕切り41、第2軸方向仕切り42、及び第3軸方向仕切り43により遮断される。第2ポート22と第4ポート24の接続は、第1周方向仕切り31、第2周方向仕切り32、第4周方向仕切り34、第2軸方向仕切り42、第3軸方向仕切り43、及び第1軸方向仕切り41により遮断される。そして、第3ポート23と第4ポート24の接続は、第1周方向仕切り31、第2周方向仕切り32、第4周方向仕切り34、第2軸方向仕切り42、第3軸方向仕切り43、及び第1軸方向仕切り41により遮断される。
【0035】
図3に示されるように、第3モードでは、第1ポート21と第2ポート22とが接続され、第3ポート23と第4ポート24とが接続される。他の組合せは遮断される。具体的には、第1ポート21と第3ポート23の接続、第1ポート21と第4ポート24の接続、及び第2ポート22と第4ポート24の接続は、第1周方向仕切り31、第2周方向仕切り32、第4周方向仕切り34、第1軸方向仕切り41、第2軸方向仕切り42、及び第3軸方向仕切り43によりそれぞれ遮断される。
【0036】
このように、本実施形態によれば、2通りの流路レイアウトしか有しない従来例と比較して多くの流路レイアウトが可能となり、多彩な流路レイアウトが可能となる。
【0037】
以上、本発明の実施形態の一例について説明したが、本発明の実施形態は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
【0038】
マルチポートバルブ10は4つのポートを有するものとしたが、5つ以上のポートを有していてもよい。また、各ポートは、千鳥状に配置されていなくてもよい。
【0039】
マルチポートバルブ10の構成は、第3周方向仕切り33がなくとも成立する。第3周方向仕切り33を省略した場合、第3周方向仕切り33に形成される第3通路63及び第4通路64もなくなり、第2軸方向仕切り42及び第3軸方向仕切り43の上側と下側で、第2領域52と第3領域53がそれぞれ通じた構成となる。
【符号の説明】
【0040】
10 マルチポートバルブ
12 ハウジング
14 弁体
16 空間
21 第1ポート
22 第2ポート
23 第3ポート
24 第4ポート
31 第1周方向仕切り
32 第2周方向仕切り
33 第3周方向仕切り
34 第4周方向仕切り
41 第1軸方向仕切り
42 第2軸方向仕切り
44 第3軸方向仕切り
51 第1領域
52 第2領域
53 第3領域
54 第4領域
61 第1通路
62 第2通路
63 第3通路
64 第4通路
65 第5通路
C 周方向
S 軸方向