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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-31
(45)【発行日】2025-04-08
(54)【発明の名称】サーバ、方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0241 20230101AFI20250401BHJP
【FI】
G06Q30/0241 444
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2024000672
(22)【出願日】2024-01-05
【審査請求日】2024-07-19
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和5年4月18日~令和5年7月2日 Founder Instituteにて公開
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和5年5月26日 インキュベイトファンドにて公開
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和5年7月20日 KPMG Dream Pitchにて公開
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和5年7月31日~令和5年8月2日 X-HUB OUTBOUND PROGRAM in Silicon Valleyにて公開
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和5年8月23日~令和5年8月25日 Bridge to MassChallenge Japanにて公開
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和5年8月28日~令和5年9月1日 Accelerate Aichi by 500 Global Seed Bootcampにて公開
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和5年9月1日 Accelerate Aichi by 500 Global Seed Bootcampにて公開
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和5年9月18日~令和5年9月22日 X-HUB OUTBOUND PROGRAM in Silicon Valleyにて公開
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和5年9月21日 JETRO Silicon Valley Pitch Nightにて公開
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和5年10月11日~令和5年10月12日 LocWorld50にて公開
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和5年10月18日~令和5年10月21日 SXSW Sydney 2023にて公開
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和5年10月27日 〔Tetra-X.ai〕ニュースレター:第1号にて公開
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】524009510
【氏名又は名称】Tetra Tokyo株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】市川 俊之
【審査官】渡邉 加寿磨
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-120286(JP,A)
【文献】米国特許第10394689(US,B1)
【文献】特表2007-510967(JP,A)
【文献】特開2023-67229(JP,A)
【文献】特開2006-293920(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品又はサービスに関する情報に基づいて、商品又はサービスの広告宣伝用メッセージの候補を生成する候補生成部と、
前記広告宣伝用メッセージの候補に対する修正結果であって、かつ複数の修正者の各々によって修正された複数の修正広告宣伝用メッセージを取得する修正結果取得部と、
複数の修正広告宣伝用メッセージの各々への投票結果であって、かつ複数の投票者の各々による投票結果を取得し、複数の修正広告宣伝用メッセージに対する投票結果に基づいて、商品又はサービスの最終の広告宣伝用メッセージを決定する投票結果取得部と、
前記最終の広告宣伝用メッセージを出力する出力部と、
を備えるサーバ。
【請求項2】
前記投票結果取得部は、複数の修正広告宣伝用メッセージに対する投票結果に基づいて、複数の修正広告宣伝用メッセージのうちの少なくとも1つ以上の修正広告宣伝用メッセージを、商品又はサービスの最終の広告宣伝用メッセージとして決定する、
請求項1に記載のサーバ。
【請求項3】
商品又はサービスに関する情報には、
商品又はサービスのターゲットとなる消費者の心理属性又は行動属性を表す情報、
商品又はサービスを前記消費者が利用することによってどのような態度変容又は行動変容が起こるのかを表す情報、
商品又はサービスが目指すトーンを表す情報、及び
商品又はサービスの属するカテゴリの現在の状況又は将来展望を表す情報の少なくとも1つが含まれている、
請求項1又は請求項2に記載のサーバ。
【請求項4】
商品又はサービスに関する情報には、商品又はサービスのカテゴリを表す情報及び商品又はサービスの消費者に関する情報の少なくとも一方が含まれる、
請求項1又は請求項2に記載のサーバ。
【請求項5】
前記候補生成部は、商品又はサービスに関する情報に基づいて、複数の候補者の中から前記修正者、前記修正者の候補、前記投票者又は前記投票者の候補を抽出する、
請求項1又は請求項2に記載のサーバ。
【請求項6】
前記候補生成部は、前記複数の候補者の各々の属性を示す属性情報と、前記商品又はサービスに関する情報との類似度に応じて、前記修正者、前記修正者の候補、前記投票者又は前記投票者の候補を抽出する、
請求項5に記載のサーバ。
【請求項7】
前記投票結果取得部は、前記投票結果に基づいて、得票数が最大である修正広告宣伝用メッセージを、商品又はサービスの最終の広告宣伝用メッセージとして決定する、
請求項1又は請求項2に記載のサーバ。
【請求項8】
前記候補生成部は、商品又はサービスに関する情報に対応するプロンプトを、広告宣伝用メッセージ生成用の予め作成された学習済みモデルへ入力することにより、商品又はサービスの広告宣伝用メッセージの候補を生成する、
請求項1又は請求項2に記載のサーバ。
【請求項9】
最終の広告宣伝用メッセージとして採用された修正広告宣伝用メッセージを作成した修正者の得票数と、前記最終の広告宣伝用メッセージが作成された商品又はサービスに関する情報とをブロックチェーンへ記録する、
請求項2に記載のサーバ。
【請求項10】
最終の広告宣伝用メッセージが作成された商品又はサービスに関する情報とブロックチェーンに記録されたデータに基づいて、広告宣伝用メッセージ生成用の予め作成された学習済みモデルを再学習させる、
請求項8に記載のサーバ。
【請求項11】
商品又はサービスに関する情報に基づいて、商品又はサービスの広告宣伝用メッセージの候補を生成し、
前記広告宣伝用メッセージの候補に対する修正結果であって、かつ複数の修正者の各々によって修正された複数の修正広告宣伝用メッセージを取得し、
複数の修正広告宣伝用メッセージの各々への投票結果であって、かつ複数の投票者の各々による投票結果を取得し、複数の修正広告宣伝用メッセージに対する投票結果に基づいて、商品又はサービスの最終の広告宣伝用メッセージを決定し、
前記最終の広告宣伝用メッセージを出力する、
処理をコンピュータが実行する方法。
【請求項12】
商品又はサービスに関する情報に基づいて、商品又はサービスの広告宣伝用メッセージの候補を生成し、
前記広告宣伝用メッセージの候補に対する修正結果であって、かつ複数の修正者の各々によって修正された複数の修正広告宣伝用メッセージを取得し、
複数の修正広告宣伝用メッセージの各々への投票結果であって、かつ複数の投票者の各々による投票結果を取得し、複数の修正広告宣伝用メッセージに対する投票結果に基づいて、商品又はサービスの最終の広告宣伝用メッセージを決定し、
前記最終の広告宣伝用メッセージを出力する、
処理をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、サーバ、方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、商品の広告又は販売促進に用いられる情報を生成する管理装置が知られている(例えば、特許文献1)。特許文献1には、学習済みの推定モデルに、商品の評価項目を入力して、当該推定モデルが出力した少なくとも1つの文言を、商品の訴求文言の候補とする点が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2023-149229号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、学習済みの推定モデルから出力された文言を商品の訴求文言の候補とする点が開示されているものの、その訴求文言を商品又はサービスの販売促進にそのまま利用することは難しい。このため、特許文献1に開示されている技術を利用したとしても、商品又はサービスの販売促進に利用することが可能な広告宣伝用メッセージを取得することは難しい、という課題がある。
【0005】
本開示は、上記の事情を鑑みてなされたもので、商品又はサービスの販売促進に利用することが可能な広告宣伝用メッセージを取得することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1態様は、商品又はサービスに関する情報に基づいて、商品又はサービスの広告宣伝用メッセージの候補を生成する候補生成部と、前記広告宣伝用メッセージの候補に対する修正結果であって、かつ複数の修正者の各々によって修正された複数の修正広告宣伝用メッセージを取得する修正結果取得部と、複数の修正広告宣伝用メッセージの各々への投票結果であって、かつ複数の投票者の各々による投票結果を取得する投票結果取得部と、を備えるサーバである。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、商品又はサービスの販売促進に用いることが可能な広告宣伝用メッセージを取得することができる、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態の広告宣伝用メッセージ生成システムの概略構成の一例を示す図である。
図2】本実施形態の概要を説明するための図である。
図3】システムの各装置として機能するコンピュータの概略ブロック図である。
図4】本実施形態の広告宣伝用メッセージ生成システムによって実行される処理を説明するための説明図である。
図5】ブロックチェーンに記録される情報の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して実施形態を詳細に説明する。
【0010】
<広告宣伝用メッセージ生成システムの構成>
図1は、本実施形態の広告宣伝用メッセージ生成システム10を示すブロック図である。図1に示されるように、本実施形態の広告宣伝用メッセージ生成システム10は、発注端末11と、サーバ12と、複数の修正端末14A,14B,14C,・・・と、複数の投票端末16A,16B,16C,・・・と、複数のブロックチェーンノード18A,18B,18C,・・・とを備える。各機器は、例えばインターネット等のネットワークNによって通信可能に接続されている。なお、以下では、複数の修正端末14A,14B,14C,・・・を単に修正端末14と称し、複数の投票端末16A,16B,16C,・・・を単に投票端末16と称し、複数のブロックチェーンノード18A,18B,18C,・・・を単にブロックチェーンノード18と称する。
【0011】
広告宣伝用メッセージ生成システム10では、商品又はサービスの広告宣伝用メッセージの作成が行われる。図2は、本実施形態の概要を説明するための図である。図2に示されるように、本実施形態では、商品又はサービスの広告宣伝用メッセージを作成する際に、生成AI(Generative Artificial Intelligence)である学習済みモデル、複数の修正者U1、及び複数の投票者U2によって広告宣伝用メッセージを作成、選択する。
【0012】
具体的には、まず、図2に示されるように、機械学習アルゴリズムによって予め生成された学習済みモデルに対して、商品又はサービスに関する情報を入力することにより、広告宣伝用メッセージの候補を生成する。本実施形態の学習済みモデルは、いわゆる生成AIであり、過去の優れた日本語の広告宣伝用メッセージ(キャッチフレーズ)を学習し、日本語クリエイティブライティングの開発を目的に調整されたものである。広告宣伝用メッセージの候補は1つ又は複数である。商品又はサービスに関する情報には、例えば、商品又はサービスのカテゴリを表す情報及び商品又はサービスの消費者属性に関する情報の少なくとも一方が含まれている。カテゴリを表す情報とは、例えば、食品、衣類、及び化粧品といった情報であり、より詳細な分類情報であってもよい。また、消費者に関する情報とは、例えば、20代男性及び20代女性といった情報であり、より詳細な分類情報であってもよい。
【0013】
更に、本実施形態では、以下の4つの情報も、商品又はサービスに関する情報として学習済みモデルへ入力することにより、広告宣伝用メッセージの候補を生成する。
【0014】
(1)本実施形態では、ターゲットとなる消費者の普段の心理属性に関する情報及び行動属性に関する情報を、学習済みモデルへ入力する。例えば、対象となる商品又はサービスを購入する消費者は、どのような性格的特徴を有しているのか、どのような価値を大事にしているか(家族を大事にする又は友人を大事にする等)といった、心理属性及び行動属性に関する情報を学習済みモデルへ入力する。例えば「ターゲットとなる消費者は、家族を大事にする主婦層であり、子供のことを第一に考えている」「肌荒れが気になっている」といった情報を学習済みモデルへ入力する。これにより、該当する心理属性及び行動属性を有している消費者向けの広告宣伝用メッセージの候補を生成することが可能となる。
【0015】
(2)本実施形態では、ターゲットとなる消費者が、対象となる商品又はサービス(又はブランド)を消費者が利用することによってどのような態度変容又は行動変容が起こるのか、またその変容が可能であるという根拠となる消費者の傾向を、学習済みモデルへ入力する。例えば、「肌がすべすべになる」「寝起きが良くなる」といった情報を学習済みモデルへ入力する。これにより、自らの態度変容又は行動変容を望んでいる消費者へ響く広告宣伝用メッセージの候補の生成が可能となる。
【0016】
(3)本実施形態では、商品又はサービス(又はブランド)が目指すトーンに関する情報を、学習済みモデルへ入力する。具体的には、対象となる商品又はサービス(又はブランド)は、断定的なのか寄り添いなのか、明るい又は暗い、感情的又は無機質等といった情報を、学習済みモデルへ入力する。これにより、後述する発注者の意図(具体的には、ブランドイメージ)に沿った広告宣伝用メッセージの候補が生成される。
【0017】
(4)本実施形態では、商品又はサービスの属するカテゴリがどんな状況で現在どの地位にあって、日本でどうしたいか(将来展望)などといった情報を学習済みモデルへ入力する。これにより、対象となる商品又はサービスの現在の状況及び発注者の意図に応じた広告宣伝用メッセージの候補が生成される。
【0018】
上記特許文献1では、商品又はサービスの機能的価値のみが重視されている。例えば、学習済みの推定モデルには、商品の評価項目として、商品の大きさ、味といった機能的な情報のみが入力されている。これに対し、本実施形態では、上述したような情報を学習済みモデルへ入力することにより、情緒的価値を重視した広告宣伝用メッセージの候補が生成されるため、消費者へより響く広告宣伝用メッセージの候補が生成される。
【0019】
次に、図2に示されるように、複数の修正者U1の各々は、その広告宣伝用メッセージの候補を修正することにより、修正広告宣伝用メッセージを作成する。
【0020】
次に、図2に示されるように、複数の投票者U2の各々は、複数の修正広告宣伝用メッセージのうち、どの修正広告宣伝用メッセージが対象となる商品又はサービスにとって適切であるのかを判断し、複数の修正広告宣伝用メッセージに対して投票をする。
【0021】
そして、修正広告宣伝用メッセージに対する投票結果に基づいて、対象となる商品又はサービスの最終の広告宣伝用メッセージが決定される。
【0022】
例えば、1つの商品に対する広告宣伝用メッセージの作成依頼(1案件)があった場合を考える。この場合には、例えば、「化粧品Aのキャッチコピー案を5つ生成してください。化粧品Aは、〇〇のための化粧品であり、ターゲットとなる消費者は30代~50代の女性です。また、ターゲットとなる消費者は、家族を大事にする主婦層であり、子供のことを第一に考えています。また、ターゲットとなる消費者は、肌荒れが気になっています。消費者が化粧品Aを利用することによってどのような肌がすべすべになるという効用が期待できます。また、化粧品Aが目指すトーンは、〇〇です。化粧品Aの現在の市場での立ち位置は〇〇ですが、将来展望として〇〇のような状態を目指しています。」といったプロンプトを、学習済みモデルへ入力することにより、例えば、5つの広告宣伝用メッセージの候補が生成される。
【0023】
次に、例えば、3人の修正者の各々は、5つの広告宣伝用メッセージの候補の各々を修正することにより、15個の修正広告宣伝用メッセージが作成される。そして、例えば、100人の投票者が、15個の修正広告宣伝用メッセージに対して投票をする。例えば、1人の投票者は、15個の修正広告宣伝用メッセージの中から、最も良いと思う修正広告宣伝用メッセージに対して投票をする。そして、最多得票の修正広告宣伝用メッセージが、最終の広告宣伝用メッセージとして採用される。
【0024】
なお、上記のプロセスにおいて報酬が付与される。例えば、最多得票の修正広告宣伝用メッセージを作成した修正者には、所定の現金又は所定のポイントが報酬として付与される。また、例えば、上位1~3位の票を獲得した修正広告宣伝用メッセージに対して投票をした投票者には、所定の現金又は所定のポイントが報酬として付与される。
【0025】
なお、最終の広告宣伝用メッセージが作成される過程において得られた各種データは、ブロックチェーンノード18が保持するブロックチェーンへ格納される。例えば、上述したような、プロンプト、広告宣伝用メッセージの候補、修正広告宣伝用メッセージ、最終の広告宣伝用メッセージ、投票結果、修正者に対して付与される現金又はポイントの情報、及び投票者に対して付与される現金又はポイントの情報等がブロックチェーンに格納される。以下、具体的に説明する。
【0026】
図1に示されるように、サーバ12は、機能的には、候補生成部120と、修正結果取得部122と、投票結果取得部124と、出力部126とを備えている。
【0027】
サーバ12、修正端末14、投票端末16、及びブロックチェーンノード18は、例えば、図3に示すコンピュータ70で実現することができる。コンピュータ70はCPU71、一時記憶領域としてのメモリ72、及び不揮発性の記憶部73を備える。また、コンピュータ70は、入出力装置等(図示省略)が接続される入出力interface(I/F)74、及び記録媒体に対するデータの読み込み及び書き込みを制御するread/write(R/W)部75を備える。また、コンピュータ70は、インターネット等のネットワークに接続されるネットワークI/F76を備える。CPU71、メモリ72、記憶部73、入出力I/F74、R/W部75、及びネットワークI/F76は、バス77を介して互いに接続される。
【0028】
記憶部73は、Hard Disk Drive(HDD)、solid state drive(SSD)、フラッシュメモリ等によって実現できる。記憶媒体としての記憶部73には、コンピュータ70を機能させるためのプログラムが記憶されている。CPU71は、プログラムを記憶部73から読み出してメモリ72に展開し、プログラムが有するプロセスを順次実行する。
【0029】
<広告宣伝用メッセージ生成システム10の作用>
【0030】
次に、本実施形態の広告宣伝用メッセージ生成システム10の作用について説明する。広告宣伝用メッセージ生成システム10の各種動作は、例えば、コンピュータへインストール可能なプログラムによって実現可能である。具体的には、サーバ12が、プログラムを事前にインストールすることにより、広告宣伝用メッセージの作成に関する各種動作をすることが可能となる。広告宣伝用メッセージ生成システム10は、図4に示されるシーケンスを実行する。
【0031】
ステップS100において、発注端末11は、広告宣伝用メッセージの作成依頼を表す信号をサーバ12に対して出力する。具体的には、発注端末11を操作する発注者は、広告宣伝用メッセージを作成したいと考えている商品又はサービスの広告宣伝用メッセージの作成を依頼する。例えば、発注端末11を操作する発注者は、発注端末11の表示部(図示省略)に表示される所定の入力フォームに各種情報を入力することにより、商品又はサービスの広告宣伝用メッセージの作成をサーバ12に対して依頼する。例えば、入力フォームには、上述したような、商品又はサービスに関する情報(例えば、商品又はサービスのカテゴリを表す情報、商品又はサービスの消費者に関する情報、商品又はサービスのターゲットとなる消費者の心理属性又は行動属性を表す情報、商品又はサービスを消費者が利用することによってどのような態度変容又は行動変容が起こるのかを表す情報、商品又はサービスが目指すトーンを表す情報、及び商品又はサービスの属するカテゴリの現在の状況又は将来展望を表す情報の少なくとも1つ)が入力される。
【0032】
ステップS102において、サーバ12の候補生成部120は、ステップS100で出力された作成依頼に基づいて、対象となる商品又はサービスの広告宣伝用メッセージの候補を生成する。具体的には、サーバ12の候補生成部120は、受信した広告宣伝用メッセージの作成依頼を取得する。そして、機械学習によって予め生成されている学習済みモデルに対して、対象となる商品又はサービスに関する情報を入力する。学習済みモデルからは、対象となる商品又はサービスの広告宣伝用メッセージの候補が出力される。より詳細には、候補生成部120は、商品又はサービスに関する情報に対応するプロンプトを、広告宣伝用メッセージ生成用の予め作成された学習済みモデルへ入力することにより、商品又はサービスの広告宣伝用メッセージの候補を生成する。例えば、サーバ12の候補生成部120は、発注端末11の表示部(図示省略)へ「広告宣伝用メッセージ作成ボタン」を表示させ、発注者による「広告宣伝用メッセージ作成ボタン」の押下があったことに応答して、商品又はサービスに関する情報に対応するプロンプトを、広告宣伝用メッセージ生成用の予め作成された学習済みモデルへ入力することにより、商品又はサービスの広告宣伝用メッセージの候補を生成する。なお、上述したように、広告宣伝用メッセージ生成用の予め作成された学習済みモデルは、例えば、ChatGPT等のような生成系AIであり、過去の優れた日本語の広告宣伝用メッセージ(キャッチフレーズ)を学習し、日本語クリエイティブライティングの開発を目的に予め調整されている。
【0033】
ステップS104において、サーバ12の候補生成部120は、ステップS102で生成された広告宣伝用メッセージの候補を、修正端末14へ提示する。例えば、サーバ12の候補生成部120は、広告宣伝用メッセージの候補を、専用サイト(ブラウザ)を利用して、修正端末14へ提示する。例えば、事前に登録された修正者のうち、依頼された案件に関する条件(例えば、ターゲットとなる消費者の属性)を満たす修正者の修正端末14に対してのみ、広告宣伝用メッセージの候補を提示する。
【0034】
なお、候補生成部120は、商品又はサービスに関する情報に基づいて、複数の候補者の中から修正者、修正者の候補、投票者又は投票者の候補を抽出するようにしてもよい。例えば、事前のアンケートにおいて、ある商品が好きであるというような結果が得られているようであれば、その商品を好きな者を、修正者、修正者の候補、投票者又は投票者の候補として抽出するようにしてもよい。
【0035】
また、候補生成部120は、複数の候補者の各々の属性を示す属性情報と、商品又はサービスに関する情報との類似度に応じて、修正者、修正者の候補、投票者又は投票者の候補を抽出するようにしてもよい。例えば、商品又はサービスの消費者が20代男性である場合には、複数の候補者の中から、20代男性である修正者、修正者の候補、投票者又は投票者の候補を抽出するようにしてもよい。
【0036】
ステップS106において、複数の修正者は、自らの修正端末14を操作することにより、ステップS104で提示された広告宣伝用メッセージを修正することにより、修正広告宣伝用メッセージを作成する。
【0037】
ステップS108において、サーバ12の修正結果取得部122は、ステップS106で作成された複数の修正広告宣伝用メッセージを取得する。
【0038】
ステップS110において、サーバ12の候補生成部120は、ステップS108で取得した修正広告宣伝用メッセージを、投票端末16へ提示する。
【0039】
ステップS112において、複数の投票者は、自らの投票端末16を操作することにより、ステップS110で提示された複数の修正広告宣伝用メッセージに対して投票をする。
【0040】
ステップS114において、サーバ12の投票結果取得部124は、ステップS112で得られた投票結果を取得する。サーバ12の投票結果取得部124は、投票結果に基づいて、得票数が最大である修正広告宣伝用メッセージを、商品又はサービスの最終の広告宣伝用メッセージとして決定する。
【0041】
ステップS114において、サーバ12の出力部126は、ステップS114で決定された最終の広告宣伝用メッセージを、発注端末11へ出力する。
【0042】
次に、出力部126は、商品又はサービスに関する情報と、最終の広告宣伝用メッセージとして採用された修正広告宣伝用メッセージを作成した修正者の得票数と、最終の広告宣伝用メッセージが作成された商品又はサービスに関する情報とをブロックチェーンへ記録する。
【0043】
図5は、ブロックチェーンノード18が保持するブロックチェーンに記録される情報の一例を示す図である。図5に示されるように、広告宣伝用メッセージ情報として、商品又はサービスに関する情報と、最終の広告宣伝用メッセージと、最終の広告宣伝用メッセージとして採用された修正広告宣伝用メッセージを作成した修正者の情報と、その得票数とがブロックチェーンへのブロックへ格納される。
【0044】
ブロックチェーンに格納されたこれらの情報を利用することにより、次回、別の商品又はサービスの広告宣伝用メッセージを作成する際に、どの修正者に修正してもらうのが良いのか、といったことが分かるようになる。なお、ブロックチェーンには、商品又はサービスに関する情報としてのカテゴリ又は消費者も記録されるため、どのような商品又はサービスであれば、どの修正者へ修正を依頼すればよいのか、といったことも分かるようになる。また、ブロックチェーンに格納された各種データをビッグデータとして扱うことにより、依頼された案件毎に適切な修正者又は投票者を選定することも可能である。例えば、依頼された案件に対して設定された条件に適合する、例えば数十~数百名に対して通知を送り、希望者による先着順で修正者又は投票者が選定される。
【0045】
このため、例えば、サーバ12は、次回、商品又はサービスの広告宣伝用メッセージを作成する際に、ブロックチェーンに記録された上記の情報を参照して、修正者を選定するようにしてもよい。これにより、商品又はサービスと、広告宣伝用メッセージの作成者とのマッチングが実現させる。
【0046】
また、上述したように、修正者に対して、得票数に応じた現金又はポイントが付与されるようにしてもよい。この場合には、例えば、ブロックチェーンには、修正者情報として現金又はポイントの情報が格納される。このポイントは、本システム内で利用することも可能であるし、本システムの外部で利用することが可能なようにしてもよい。これにより、修正者のモチベーションが向上し、より適切な広告宣伝用メッセージの作成が期待される。また、上述したように、投票者に対しても、自らが投票した修正広告宣伝用メッセージの順位に応じて現金又はポイントが付与されるようにしてもよい。
【0047】
また、出力部126は、最終の広告宣伝用メッセージが作成された商品又はサービスに関する情報とブロックチェーンに記録されたデータとに基づいて、上記の学習済みモデルを再学習させるようにしてもよい。図5に示されるように、ブロックチェーンには、商品又はサービスに関する情報と最終の広告宣伝用メッセージとが関連付けられて記録されている。このため、このデータを利用して、学習済みモデルを再学習させることにより、より良い広告宣伝用メッセージの候補を生成することが可能となる。
【0048】
以上説明したように、本実施の形態に係る広告宣伝用メッセージ生成システムのサーバは、商品又はサービスに関する情報に基づいて、商品又はサービスの広告宣伝用メッセージの候補を生成する。次に、サーバは、広告宣伝用メッセージの候補に対する修正結果であって、かつ複数の修正者の各々によって修正された複数の修正広告宣伝用メッセージを取得する。次に、サーバは、複数の修正広告宣伝用メッセージの各々への投票結果であって、かつ複数の投票者の各々による投票結果を取得する。そして、サーバは、複数の修正広告宣伝用メッセージに対する投票結果に基づいて、複数の修正広告宣伝用メッセージのうちの少なくとも1つ以上の修正広告宣伝用メッセージを、商品又はサービスの最終の広告宣伝用メッセージとして出力する。これにより、商品又はサービスの販売促進に用いることが可能な広告宣伝用メッセージを取得することができる。
【0049】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。
【0050】
例えば、本実施形態では、学習済みモデルを用いて広告宣伝用メッセージの候補を生成する場合を例に説明したがこれに限定されるものではなく、他の手法を用いて広告宣伝用メッセージの候補を生成するようにしてもよい。例えば、商品又はサービスに関する情報と広告宣伝用メッセージの候補とを紐付けて予めデータベースに格納しておき、対象となる商品又はサービスに関する情報を受け付けると、その情報に対応する広告宣伝用メッセージの候補をデータベースから読み出すことにより、広告宣伝用メッセージの候補を生成するようにしてもよい。
【0051】
また、以下に本実施形態によって得られる効果を示す。
【0052】
上述したように、本実施形態で用いられる学習済みモデルは、独自にチューニングした学習済みモデルである。また、その学習済みモデルは、過去の優れた日本語キャッチフレーズを学習し、日本語クリエイティブライティングの開発を目的に調整されたものである。このため、本実施形態によれば、より適切な広告宣伝用メッセージの候補を生成することができる。
【0053】
また、本実施形形態では、広告宣伝用メッセージの作成プロセスと投票プロセスの透明性を保ち、改ざん防止に貢献することができる。特に、投票プロセスは、広告宣伝用メッセージの公表の前に実行されるものであり、この投票プロセスにより、より適切な広告宣伝用メッセージが作成される。これにより、広告宣伝用メッセージの信頼性と安全性とが向上する。
【0054】
また、本実施形態のように、生成AIである学習済みモデルが生成した広告宣伝用メッセージに対して、実際の当該商品又はサービスのターゲット層をコミュニティ内から抽出・編集者として参加させることは、業界において類を見ない革新的な取り組みである。最終の消費者を広告宣伝用メッセージの創造過程に直接巻き込むことで、より効果的で共感を呼ぶマーケティングコンテンツを生み出すことが可能となる。
【0055】
また、本実施形態では、学習済みモデルが提供する効率とスピードと、人間のコミュニティが提供する人間ならでは(さらに当該商品又はサービスのターゲットならではの)クリエイティブな洞察により、より効率的で、ターゲットごとに大量に書き分けることが可能になると同時に、学習済みモデルが犯したエラーや盗作を見つける自浄作用を有する。
【0056】
また、本実施形態では、ブロックチェーンの利用により、広告宣伝用メッセージの生成と評価プロセスの透明性と信頼性を高めるという点で、従来のコピーライティングソリューションとの顕著な差別化を提供することが可能となる。
【0057】
また、ブロックチェーンに記録されるポイントを付与することで、修正者及び投票者のモチベーションを保つポイントシステムとなっている。
【0058】
また、本願明細書中において、プログラムが予めインストールされている実施形態として説明したが、当該プログラムを、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して提供することも可能である。
【0059】
以下、付記を開示する。
(付記1)
商品又はサービスに関する情報に基づいて、商品又はサービスの広告宣伝用メッセージの候補を生成する候補生成部と、
前記広告宣伝用メッセージの候補に対する修正結果であって、かつ複数の修正者の各々によって修正された複数の修正広告宣伝用メッセージを取得する修正結果取得部と、
複数の修正広告宣伝用メッセージの各々への投票結果であって、かつ複数の投票者の各々による投票結果を取得する投票結果取得部と、
を備えるサーバ。
(付記2)
前記投票結果取得部は、複数の修正広告宣伝用メッセージに対する投票結果に基づいて、複数の修正広告宣伝用メッセージのうちの少なくとも1つ以上の修正広告宣伝用メッセージを、商品又はサービスの最終の広告宣伝用メッセージとして決定し、
前記最終の広告宣伝用メッセージを出力する出力部を更に備える、
請求項1に記載のサーバ。
(付記3)
商品又はサービスに関する情報には、
商品又はサービスのターゲットとなる消費者の心理属性又は行動属性を表す情報、
商品又はサービスを前記消費者が利用することによってどのような態度変容又は行動変容が起こるのかを表す情報、
商品又はサービスが目指すトーンを表す情報、及び
商品又はサービスの属するカテゴリの現在の状況又は将来展望を表す情報の少なくとも1つが含まれている、
付記1又は付記2に記載のサーバ。
(付記4)
商品又はサービスに関する情報には、商品又はサービスのカテゴリを表す情報及び商品又はサービスの消費者に関する情報の少なくとも一方が含まれる、
付記1~付記3の何れか1項に記載のサーバ。
(付記5)
前記候補生成部は、商品又はサービスに関する情報に基づいて、複数の候補者の中から前記修正者、前記修正者の候補、前記投票者又は前記投票者の候補を抽出する、
付記1~付記4の何れか1項に記載のサーバ。
(付記6)
前記候補生成部は、前記複数の候補者の各々の属性を示す属性情報と、前記商品又はサービスに関する情報との類似度に応じて、前記修正者、前記修正者の候補、前記投票者又は前記投票者の候補を抽出する、
付記1~付記5の何れか1項に記載のサーバ。
(付記7)
前記投票結果取得部は、前記投票結果に基づいて、得票数が最大である修正広告宣伝用メッセージを、商品又はサービスの最終の広告宣伝用メッセージとして決定する、
付記1~付記6の何れか1項に記載のサーバ。
(付記8)
前記候補生成部は、商品又はサービスに関する情報に対応するプロンプトを、広告宣伝用メッセージ生成用の予め作成された学習済みモデルへ入力することにより、商品又はサービスの広告宣伝用メッセージの候補を生成する、
付記1~付記7の何れか1項に記載のサーバ。
(付記9)
最終の広告宣伝用メッセージとして採用された修正広告宣伝用メッセージを作成した修正者の得票数と、前記最終の広告宣伝用メッセージが作成された商品又はサービスに関する情報とをブロックチェーンへ記録する、
付記1~付記8の何れか1項に記載のサーバ。
(付記10)
最終の広告宣伝用メッセージが作成された商品又はサービスに関する情報とブロックチェーンに記録されたデータに基づいて、広告宣伝用メッセージ生成用の予め作成された学習済みモデルを再学習させる、
付記1~付記9の何れか1項に記載のサーバ。
(付記11)
商品又はサービスに関する情報に基づいて、商品又はサービスの広告宣伝用メッセージの候補を生成し、
前記広告宣伝用メッセージの候補に対する修正結果であって、かつ複数の修正者の各々によって修正された複数の修正広告宣伝用メッセージを取得し、
複数の修正広告宣伝用メッセージの各々への投票結果であって、かつ複数の投票者の各々による投票結果を取得する、
処理をコンピュータが実行する方法。
(付記12)
商品又はサービスに関する情報に基づいて、商品又はサービスの広告宣伝用メッセージの候補を生成し、
前記広告宣伝用メッセージの候補に対する修正結果であって、かつ複数の修正者の各々によって修正された複数の修正広告宣伝用メッセージを取得し、
複数の修正広告宣伝用メッセージの各々への投票結果であって、かつ複数の投票者の各々による投票結果を取得する、
処理をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0060】
10 広告宣伝用メッセージ生成システム
11 発注端末
12 サーバ
14A,14B,14C, 修正端末
16A,16B,16C, 投票端末
18A,18B,18C, ブロックチェーンノード
120 候補生成部
122 修正結果取得部
124 投票結果取得部
126 出力部
【要約】
【課題】商品又はサービスの販売促進に用いることが可能な広告宣伝用メッセージを取得する。
【解決手段】サーバ12は、商品又はサービスに関する情報に基づいて、商品又はサービスの広告宣伝用メッセージの候補を生成する。サーバ12は、広告宣伝用メッセージの候補に対する修正結果であって、かつ複数の修正者の各々によって修正された複数の修正広告宣伝用メッセージを取得する。サーバ12は、複数の修正広告宣伝用メッセージの各々への投票結果であって、かつ複数の投票者の各々による投票結果を取得する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5