(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-31
(45)【発行日】2025-04-08
(54)【発明の名称】眼科用超音波診断装置
(51)【国際特許分類】
A61B 8/10 20060101AFI20250401BHJP
A61B 3/10 20060101ALI20250401BHJP
【FI】
A61B8/10
A61B3/10 900
(21)【出願番号】P 2024189216
(22)【出願日】2024-10-28
【審査請求日】2025-01-27
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】501299406
【氏名又は名称】株式会社トーメーコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】大脇 裕史
(72)【発明者】
【氏名】川村 憲司
【審査官】佐野 浩樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-272308(JP,A)
【文献】特開平01-256939(JP,A)
【文献】特開2009-254779(JP,A)
【文献】特開2017-080135(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/10
A61B 3/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検眼に超音波を送信し、前記超音波の前記被検眼からの反射波を受信するように構成されるプローブと、
前記プローブによる受信信号が、予め定められた複数の条件を満足するとき、前記受信信号から特定される、前記被検眼における所定部位の長さを、計測値として出力するように構成される計測器と、
を備え、
前記計測器は、表示装置に、前記受信信号の波形を表示させると共に、前記複数の条件の満足度を指し示す指示画像を表示させ、前記複数の条件のうち、満足された条件の数に応じて、前記指示画像の表示態様を切り替えるように、前記表示装置を制御する眼科用超音波診断装置。
【請求項2】
請求項1記載の眼科用超音波診断装置であって、
前記指示画像は、複数の画像要素を含み、
前記複数の画像要素のそれぞれは、前記複数の条件のうちの一つに対応し、
前記複数の画像要素のそれぞれは、表示態様の異なる複数の表示モードを有し、
前記計測器は、前記表示装置に、前記指示画像として前記複数の画像要素を表示させ、前記複数の条件のうち、一以上の条件が満足されるとき、前記表示装置に、前記複数の画像要素のうち、満足された前記一以上の条件に対応する一以上の画像要素を、前記複数の画像要素のうち、前記一以上の画像要素を除く残りの画像要素とは異なる表示モードで表示させることによって、前記複数の条件の満足度を指し示すように、前記表示装置に、前記指示画像を表示させる眼科用超音波診断装置。
【請求項3】
請求項2記載の眼科用超音波診断装置であって、
前記複数の表示モードは、表示色の異なる複数の表示モードを含み、
前記計測器は、前記一以上の画像要素が前記残りの画像要素とは異なる色で表示されるように、前記表示装置に、前記指示画像を表示させる眼科用超音波診断装置。
【請求項4】
請求項2記載の眼科用超音波診断装置であって、
前記計測器は、前記受信信号が前記複数の条件のそれぞれを満足するか否かを、所定の判定順序で判定することにより、前記受信信号が前記複数の条件を満足するかを判定し、前記判定順序と同順序で、前記複数の条件に対応する前記複数の画像要素を配列した前記指示画像を、前記表示装置に表示させる眼科用超音波診断装置。
【請求項5】
請求項1記載の眼科用超音波診断装置であって、
前記計測器は、前記受信信号が前記複数の条件を満足するか否かを繰返し判定し、判定に応じて前記指示画像を更新するように構成される眼科用超音波診断装置。
【請求項6】
請求項1記載の眼科用超音波診断装置であって、
前記計測器は、前記計測値を、前記表示装置に表示させることによって、前記表示装置を通じて前記計測値を出力するように構成される眼科用超音波診断装置。
【請求項7】
請求項1記載の眼科用超音波診断装置であって、
前記計測器は、前記受信信号から特定される、前記被検眼の前房深度(ACD)、水晶体厚、及び眼軸長のうちの一つ以上を前記計測値として出力するように構成される眼科用超音波診断装置。
【請求項8】
請求項1記載の眼科用超音波診断装置であって、
前記複数の条件は、前記受信信号から特定される前記反射波の強度に関する条件、前記受信信号から特定される前記反射波の形状に関する条件、及び、前記受信信号から特定される反射波成分の位置に関する条件の少なくとも一つを含む眼科用超音波診断装置。
【請求項9】
請求項1~請求項8のいずれか一項記載の眼科用超音波診断装置であって、
前記複数の条件は、前記被検眼の種類に応じて異なり、
前記指示画像は、前記被検眼の種類に応じて異なり、
前記計測器は、前記受信信号が前記被検眼の種類に応じた前記複数の条件を満足するか否かを判定し、前記表示装置に、前記被検眼の種類に応じた前記指示画像を表示させるように構成される眼科用超音波診断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、眼科用超音波診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
眼科用装置として、被検眼の長さを計測する装置が知られている。具体的には、被検眼の前房深度(ACD)、水晶体厚、及び眼軸長を計測する眼科用超音波診断装置が知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
眼科用超音波診断装置では、プローブを被検眼に直接又は超音波媒体を介して接触させた状態で、プローブから被検眼に向けて超音波を送信し、その反射波をプローブで受信する。プローブから得られる受信信号に基づき、被検眼の各部位の長さが計測される。
【0004】
超音波媒体を介して被検眼が測定される場合、プローブから送信される超音波は、被検眼の角膜、水晶体前面、水晶体後面、及び網膜で反射する。このため、受信信号には、信号波形として、角膜、水晶体前面、水晶体後面、及び、網膜からの反射波成分に対応したピークがそれぞれ現れる。超音波の送信からの各ピークに対応する反射波成分の受信までの経過時間及び超音波の伝播速度に基づいて、上述したACD、水晶体厚み、及び眼軸長が計測される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した眼科用超音波診断装置では、プローブの姿勢等によって、超音波の伝播経路が変化する。このため、正確な被検眼の計測のためには、プローブを、被検眼に対して正しい姿勢に調整する等の作業が必要である。例えば、眼軸長の正確な計測には、超音波が眼軸に平行に伝播するように、プローブを配置する必要がある。プローブの僅かな傾きが眼軸長の計測誤差を生じさせる。
【0007】
眼科用超音波診断装置は、このようなプローブの姿勢等を原因とした計測誤差を抑制するために、プローブによる受信信号が予め定められた条件を満足する場合に限って、受信信号に基づく計測値を取り込む。したがって、プローブの操作者は、プローブを被検眼に対して正しい姿勢に調整する等の作業を行い、予め定められた条件を満たす受信波形が得られるようにしなければ、被検眼の計測値を得ることができない。
【0008】
しかしながら、従来装置は、操作者が被検眼の計測のために、プローブの姿勢等を調整しても、計測を実行するか実行しないかの程度の反応しか示さない。このため、従来装置では、計測が実行されないことに対して、操作者が状況を正しく理解できず、強い不満を感じる可能性があった。
【0009】
そこで、本開示の一側面によれば、被検眼の計測に際しての操作性に優れた眼科用超音波診断装置を提供できることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の一側面によれば、眼科用超音波診断装置が提供される。眼科用超音波診断装置は、プローブと、計測器と、を備える。プローブは、被検眼に超音波を送信し、超音波の被検眼からの反射波を受信するように構成される。
【0011】
計測器は、プローブによる受信信号が、予め定められた複数の条件を満足するとき、受信信号から特定される、被検眼における所定部位の長さを、計測値として出力するように構成される。
【0012】
計測器は、表示装置に、受信信号の波形を表示させると共に、複数の条件の満足度を指し示す指示画像を表示させ、複数の条件のうち、満足された条件の数に応じて、指示画像の表示態様を切り替えるように、表示装置を制御する構成にされる。
【0013】
このように構成された眼科用超音波診断装置によれば、プローブの操作者は、指示画像を見ながらのプローブの姿勢調整等によって、予め定められた条件を満たす受信信号が得られるようにする作業を、指示画像がない場合よりも、容易に行うことができる。したがって、本開示の一側面によれば、被検眼の計測に際しての操作性に優れた眼科用超音波診断装置を提供することが可能である。
【0014】
本開示の一側面によれば、指示画像は、複数の画像要素を含んでもよい。複数の画像要素のそれぞれは、複数の条件のうちの一つに対応してもよい。複数の画像要素のそれぞれは、表示態様の異なる複数の表示モードを有してもよい。
【0015】
この場合、計測器は、表示装置に、指示画像として複数の画像要素を表示させ、複数の条件のうち、一以上の条件が満足されるとき、表示装置に、複数の画像要素のうち、満足された一以上の条件に対応する一以上の画像要素を、複数の画像要素のうち、一以上の画像要素を除く残りの画像要素とは異なる表示モードで表示させるように構成され得る。この表示によって、計測器は、複数の条件の満足度を指し示すように、表示装置に、指示画像を表示させることができる。
【0016】
このように構成された眼科用超音波診断装置によれば、プローブの容易な姿勢調整及び予め定められた条件を満たす受信信号の取得に役立つ指示画像をユーザに向けて表示することができる。
【0017】
本開示の一側面によれば、複数の画像要素のそれぞれが有する複数の表示モードは、表示色の異なる複数の表示モードを含み得る。計測器は、一以上の画像要素が残りの画像要素とは異なる色で表示されるように、表示装置に、指示画像を表示させる構成にされ得る。
【0018】
本開示の一側面によれば、計測器は、受信信号が複数の条件のそれぞれを満足するか否かを、所定の判定順序で判定することにより、受信信号が複数の条件を満足するかを判定するように構成され得る。計測器は、判定順序と同順序で、複数の条件に対応する複数の画像要素を配列した指示画像を、表示装置に表示させる構成にされ得る。
【0019】
このように構成された眼科用超音波診断装置によれば、指示画像を、例えばレベルメータのように、複数条件の満足度に応じた表示態様で表示することができる。したがって、この眼科用超音波診断装置によれば、ユーザにとって状況理解が容易な態様で指示画像を表示することができる。
【0020】
本開示の一側面によれば、計測器は、受信信号が複数の条件を満足するか否かを繰返し判定し、判定に応じて指示画像を更新するように構成されてもよい。このように構成された眼科用超音波診断装置によれば、受信状況に追従するように指示画像を更新することができる。したがって、プローブの容易な姿勢調整及び予め定められた条件を満たす受信信号の取得に役立つ指示画像をユーザに向けて表示することができる。
【0021】
本開示の一側面によれば、計測器は、表示装置に計測値を表示させることによって、表示装置を通じて計測値を出力するように構成されてもよい。このように構成された眼科用超音波診断装置によれば、プローブの操作者は、受信信号の波形及び指示画像を確認しながら、計測値も併せて、同じ表示装置を通じて確認することができる。
【0022】
本開示の一側面によれば、計測器は、受信信号から特定される、被検眼の前房深度(ACD)、水晶体厚、及び眼軸長のうちの一つ以上を計測値として出力するように構成されてもよい。このような構成によれば、ACD、水晶体厚、及び/又は眼軸長を計測可能な眼科用超音波診断装置として、操作性に優れた装置を提供することができる。
【0023】
本開示の一側面によれば、複数の条件は、受信信号から特定される反射波の強度に関する条件、受信信号から特定される反射波の形状に関する条件、及び、受信信号から特定される反射波成分の位置に関する条件の少なくとも一つを含んでもよい。
【0024】
本開示の一側面によれば、複数の条件は、被検眼の種類に応じて異なってもよい。指示画像は、被検眼の種類に応じて異なってもよい。計測器は、受信信号が被検眼の種類に応じた複数の条件を満足するか否かを判定し、表示装置に、被検眼の種類に応じた指示画像を表示させるように構成されてもよい。
【0025】
上記複数の条件は、被検眼の種類に応じて変更され得る。被検眼の種類に応じた指示画像を表示装置に表示させることによれば、各種類の被検眼の計測に際しての操作性に優れた眼科用超音波診断装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】眼科用超音波診断装置の構成を表すブロック図である。
【
図5】プロセッサが実行する操作受付処理を表すフローチャートである。
【
図6】プロセッサが実行する計測関連処理を表すフローチャートである。
【
図7】取込条件定義テーブルの構成を表す図である。
【
図8】指示画像の表示態様の変化を説明する図である。
【
図9】
図9Aは、過熟白内障眼又はIOL眼に対する指示画像を説明する図であり、
図9Bは、無水晶体眼又は浅前房眼に対する指示画像を説明する図である。
【
図10】プロセッサが実行する強度条件判定処理を表すフローチャートである。
【
図11】プロセッサが実行する範囲条件判定処理を表すフローチャートである。
【
図12】プロセッサが実行する波形条件判定処理を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に本開示の例示的実施形態を、図面を参照しながら説明する。
図1に示す本実施形態の眼科用超音波診断装置1は、被検眼の前房深度、水晶体厚、及び/又は眼軸長を、超音波を用いて計測するように構成される。以下では、前房深度のことを、ACDと表現し、水晶体厚のことを、レンズ厚と表現する。被検眼のACD、レンズ厚、及び/又は眼軸長の計測のことを、被検眼の計測と表現する。
【0028】
この眼科用超音波診断装置1は、装置本体10と、装置本体10にケーブル接続される超音波プローブ50と、を備える。以下、超音波プローブ50のことを、単に、プローブ50と表現する。
【0029】
装置本体10は、コントローラ20と、送信回路31と、受信回路35と、AD変換器37と、ディスプレイ41と、タッチパネル43と、スピーカ45と、を備える。送信回路31は、コントローラ20からの制御信号にしたがって、プローブ50に送信信号を入力する。送信信号はプローブ50に対する駆動信号に対応する。
【0030】
プローブ50は、送信回路31からの送信信号に基づいて、対応する波形(例えばパルス波形)の超音波を発射、すなわち送信するように構成される。プローブ50は、図示しないトランスデューサを備え、電気信号としての送信信号を超音波に変換して出力する。
【0031】
プローブ50は、発射した超音波の反射波を受信可能に構成され、受信した超音波を電気信号に変換して受信信号として出力する。受信信号は、受信回路35に入力される。受信信号は、プローブ50が受けた超音波の波形、すなわち信号強度の時間変化を示し、発射した超音波の反射波成分を含む。
【0032】
受信回路35は、増幅器及びフィルタを含み、受信信号を増幅し、ノイズを除去する。増幅及びノイズ除去された受信信号は、AD変換器37によりディジタル信号に変換され、コントローラ20に入力される。
【0033】
コントローラ20は、送信回路31に対する制御信号の入力により、プローブ50を制御し、さらには、AD変換器37を通じて入力される受信信号に基づき、被検眼の計測を行うように構成される。コントローラ20は、制御器及び計測器として機能する。
【0034】
コントローラ20は更に、ディスプレイ41を通じて、眼科用超音波診断装置1の操作者に対するグラフィックユーザインタフェースを提供し、計測状況に応じた通知音などを、スピーカ45に出力させるように構成される。
【0035】
コントローラ20は、プロセッサ21及びメモリ23を備える。プロセッサ21は、メモリ23に記憶されたコンピュータプログラムに従って、被検眼の計測に関する処理を実行する。メモリ23は、ROM、RAM、及び、フラッシュメモリなどのNVRAMを含み得る。メモリ23は、ソリッドステートドライブ(SSD)などのストレージを含み得る。
【0036】
図示しないが、コントローラ20は、クロック発生回路及びカウンタ回路を更に備えることができる。クロック発生回路は、プローブ50の駆動のために使用される。カウンタ回路は、超音波発射時からの経過時間を計測するために使用される。
【0037】
ディスプレイ41は、表示装置の一例であり、コントローラ20により制御されて、眼科用超音波診断装置1のユーザに向けて各種情報を表示する。ユーザは、プローブ50の操作者であり得る。ディスプレイ41は、例えば液晶ディスプレイである。
【0038】
タッチパネル43は、ディスプレイ41と一体に構成され、ディスプレイ41の画面に対するユーザのタッチ操作を受け付け、その操作信号をコントローラ20に入力するように構成される。スピーカ45は、コントローラ20により制御されて、コントローラ20からの制御信号に基づく通知音を出力するように構成される。
【0039】
図2には、コントローラ20に制御されてディスプレイ41が表示する例示的な計測画面G0の構成を表す。計測画面G0は、タイプ表示エリアR1と、波形表示エリアR2と、計測値表示エリアR3と、指示画像表示エリアR4と、操作ボタン表示エリアR5と、その他の表示エリアR6と、を備える。
【0040】
タイプ表示エリアR1は、計測モードと、被検眼の種類(タイプ)とを表示するためのエリアである。
図2に示す例によれば、タイプ表示エリアR1は、計測モードが、自動計測モードであること、及び、被検眼の種類が、有水晶体眼であることを示す。本実施形態の眼科用超音波診断装置1は、有水晶体眼、過熟白内障眼、IOL(Intra Ocular Lens)眼、無水晶体眼、及び、浅前房眼を含む複数種の被検眼を計測可能に構成される。
【0041】
波形表示エリアR2は、プローブ50による受信信号の波形を表示するエリアである。
図2に示す例によれば、波形表示エリアR2では、時間の横軸及び信号強度の縦軸を有するグラフに、受信信号の波形が表示される。
【0042】
計測値表示エリアR3は、被検眼の計測値を表示するエリアである。
図2に示す例によれば、複数回の計測により得られた各回の計測値が、計測回を示す番号と共に列挙されている。各回の計測値は、眼軸長、ACD、及びレンズ厚の計測値を含む。
【0043】
番号左に表示される記号「S」は、計測値表示エリアR3に表示される計測値のうち、眼軸長が一番短い計測値の表示行の先頭に配置される。番号左に表示される記号「L」は、計測値表示エリアR3に表示される計測値のうち、眼軸長が一番長い計測値の表示行の先頭に配置される。
【0044】
計測値表示エリアR3は、上部に、複数回の計測により得られた眼軸長の平均、標準偏差、及び変動幅を表示するエリアを含む。変動幅は、眼軸長のデータ範囲に対応し、複数回の計測により得られた眼軸長の計測値の最大値と最小値との差である。計測値表示エリアR3は、下部に、複数回の計測により得られた眼軸長、ACD、及び、レンズ厚のそれぞれの平均を表示するエリアを含む。
【0045】
指示画像表示エリアR4は、受信信号が計測値の取込条件を満足している程度を指し示す指示画像70を表示するエリアである。取込条件は、複数の条件の一組で構成される。受信信号が計測値の取込条件を満足している程度、すなわち満足度は、取込条件を構成する複数の条件のうち、受信信号が満足している条件の数又は割合に対応する。
【0046】
指示画像70は、複数の画像オブジェクトを含む。画像オブジェクトは、指示画像70を構成する画像要素に対応する。以下、複数の画像オブジェクトのそれぞれを、パネル80と表現する。複数のパネル80のそれぞれは、取込条件を構成する複数の条件のうちの一つに対応する。複数のパネル80のそれぞれは、表示態様の異なる複数の表示モードを有する。複数の表示モードは、表示色の異なる第1の表示モード及び第2の表示モードを含む。
【0047】
各パネル80は、受信信号が対応する条件を満足する場合、第1の表示モードで表示され、受信信号が対応する条件を満足しない場合には、第2の表示モードで表示される。
【0048】
すなわち、指示画像表示エリアR4では、受信信号が満足する条件に対応する一以上のパネル80が第1の表示モードで表示され、残りのパネル80が第2の表示モードで表示される。例えば、第1の表示モードでは、ライトグリーンなどの明るい色でパネル80が表示され、第2の表示モードでは、グレーなどの暗い色でパネル80が表示される。このような表示色の切替は、パネル80の点灯及び消灯を演出する。
【0049】
ただし、第1の表示モード及び第2の表示モードにおける表示色は、逆であってもよい。すなわち、第1の表示モードでは、暗い色でパネル80が表示され、第2の表示モードでは、明るい色でパネル80が表示されてもよい。このように、指示画像表示エリアR4では、複数のパネル80の色切替、換言すれば複数のパネル80の点灯及び消灯を通じて、取込条件の満足度が表示される(
図8参照)。
【0050】
操作ボタン表示エリアR5は、ユーザがタッチ操作により押下可能な複数の操作ボタン(図示せず)がグラフィカルユーザインタフェースとして表示されるエリアである。その他の表示エリアR6には、被検者の情報を表示するエリア、プローブ50における超音波の受信強度を表示するエリア、及び/又は、周波数などの超音波情報を表示するエリアが含まれる。
【0051】
続いて、被検眼の計測方法を、受信信号の波形と共に
図3A及び
図3Bを用いて説明する。被検眼の計測に際しては、眼科用超音波診断装置1のユーザによってプローブ50が操作され、プローブ50が被検眼に対して位置合わせされる。
【0052】
プローブ50は、被検眼の角膜表面に接触するように配置される。あるいは、プローブ50は、被検眼の角膜表面に超音波媒体を介して接触するように配置される。プローブ50の正しい姿勢は、被検眼の眼軸と同軸上を超音波が伝播する姿勢である。プローブ50の位置合わせは、プローブ50が正しい姿勢となるように行われる。
【0053】
プローブ50が正しい姿勢にあるとき、プローブ50からの超音波は、被検眼の中心軸を通るように、被検眼の角膜から網膜側に伝播する。プローブ50が超音波媒体を介して角膜表面に接触する場合、この伝播過程において、超音波は、被検眼の角膜、水晶体前面、水晶体後面、及び網膜で反射する。受信信号には、プローブ50から送信された超音波の反射成分、すなわち反射波成分として、角膜で反射された成分、水晶体前面で反射された成分、水晶体後面で反射された成分、網膜で反射された成分が含まれる。
【0054】
プローブ50を、超音波媒体を介して角膜表面に接触させた状態で、被検眼を計測する方式は、水浸式と呼ばれる。
図3Aは、水浸式で被検眼が計測される場合における受信信号の波形を表す。
【0055】
別例として、プローブ50を、角膜表面に直接接触させ、被検眼を計測する方式は、接触式と呼ばれる。接触式の場合、超音波は、水晶体前面、水晶体後面、及び網膜で反射する。この場合、受信信号には、プローブ50から送信された超音波の反射成分、すなわち反射波成分として、水晶体前面で反射された成分、水晶体後面で反射された成分、網膜で反射された成分が含まれる。
図3Bは、接触式で被検眼が計測される場合における受信信号の波形を表す。
【0056】
これらの反射波成分は、受信信号において、信号強度のピークを示す。以下では、反射波の受信に伴って、受信信号に、ピークを有する凸型の波形として現れる反射波成分のことをエコーと表現する。受信信号は更に、プローブ50と被検眼との接触による影響を受ける、音響インピーダンスの差に起因するイニシャルエコーP0を含む。このイニシャルエコーP0は、水浸式及び接触式のいずれにおいても生じ得る。
【0057】
図3A及び
図3Bに示される受信信号の信号波形のうち、第1エコーP0は、音響インピーダンスの差に起因するイニシャルエコーP0に対応し、第2エコーP1は、角膜からの反射波成分に対応し、第3エコーP2は、水晶体前面からの反射波成分に対応し、第4エコーP3は、水晶体後面からの反射波成分に対応し、第5エコーP4は、網膜からの反射成分に対応する。
【0058】
各エコーP1,P2,P3,P4は、反射点の相違による超音波の飛行距離の相違に応じて、受信信号において時間的に分離して現れる。第1エコーP1と第2エコーP2との間の時間差D1は、ACDに対応する。エコーP2とエコーP3との間の時間差D2は、レンズ厚に対応する。エコーP1とエコーP4との間の時間差D3は、眼軸長に対応する。これらの時間差D1,D2,D3は、超音波の伝播速度と掛け合わせることにより、距離に変換することができる。
【0059】
本実施形態では、
図4に示すように、超音波の発射時から、受信信号の信号強度が所定の閾値TH1を超えた時点までの経過時間が、コントローラ20により計測される。これにより、超音波の発射時から、各エコーP1,P2,P3,P4に対応する反射波成分の受信時までの経過時間L1,L2,L3,L4が計測される。
【0060】
この経過時間L1,L2,L3,L4と、超音波の伝播速度と、に基づき、時間差D1=L2-L1に対応する距離が、ACDと判別され、時間差D2=L3-L2に対応する距離が、レンズ厚と判別され、時間差D3=L4-L1に対応する距離が、眼軸長と判別される。
【0061】
接触式のように、プローブ50が角膜表面に接触するときには、プローブ50からの超音波の送信点が角膜表面に略一致するために、時間L1は、ゼロに収束する。この場合、コントローラ20は、時間差D1=L2、時間差D2=L3-L2、及び、時間差D3=L4に対応する距離を、それぞれ、ACD、レンズ厚、及び眼軸長と判別することができる。
【0062】
コントローラ20は、受信信号の信号強度が、閾値TH1、閾値TH1より大きい閾値TH2、閾値TH2より大きい閾値TH3を順に超えたことを条件に、エコーP1,P2,P3,P4を検出することができる。ただし、コントローラ20は、信号強度が閾値TH3を超えていない場合でも、対応する信号強度のピークをエコーとして検出してもよい。
【0063】
コントローラ20は更に、各エコーP1,P2,P3,P4において、信号強度が閾値TH1を超えてから閾値TH3に到達するまでの時間幅W1,W2,W3,W4を計測することができる。各時間幅W1,W2,W3,W4の逆数1/W1,1/W2,1/W3,1/W4は、対応するエコーP1,P2,P3,P4の立ち上がりスロープ、すなわち、立ち上がりの鋭さに対応する。以下では、この時間幅W1,W2,W3,W4のことを立ち上がり時間とも表現する。
【0064】
コントローラ20は、受信信号の信号強度、経過時間L1,L2,L3,L4、及び立ち上がり時間W1,W2,W3,W4に基づき、受信信号が所定の取込条件を満足するときに、受信信号から特定される計測値(ACD、レンズ厚、及び眼軸長)を記録し、計測値が計測値表示エリアR3に表示されるように、ディスプレイ41を制御する。
【0065】
続いて、プロセッサ21が実行する操作受付処理の詳細を、
図5を用いて説明する。プロセッサ21は、操作受付処理を繰返し実行することにより、計測画面G0の操作ボタン表示エリアR5に対する操作をユーザから受け付け、操作に対応した処理を実行する。ここでいうユーザは、眼科用超音波診断装置1の操作者であり、プローブ50の操作者に対応する。
【0066】
操作受付処理を開始すると、プロセッサ21は、ユーザからの操作信号を、タッチパネル43を通じて受け取るまで待機し(S110)、操作信号を受け取ると、なされた操作に対応する処理を実行する(S120~S150)。
【0067】
プロセッサ21は、なされた操作が被検眼の種類(タイプ)の設定操作である場合(S120でYes)、眼タイプ選択画面を表示する(S121)。操作ボタン表示エリアR5には、被検眼の種類(タイプ)の設定操作を受け付けるための操作ボタンが設けられる。
【0068】
図示しないが、眼タイプ選択画面は、ユーザが、眼科用超音波診断装置1が計測可能な被検眼の種類の一群の中から、一つの種類を、計測対象としてタッチパネル43を通じて選択可能な画面であり得る。眼タイプ選択画面は、有水晶体眼、過熟白内障眼、IOL眼、無水晶体眼、及び、浅前房眼のうちの一つを計測対象として選択可能な画面であり得る。
【0069】
眼タイプ選択画面の表示後、プロセッサ21は、タッチパネル43を通じた計測対象としての被検眼の種類の選択操作を受け付け(S123)、選択操作がなされた場合、選択された被検眼の種類に対応する計測値の取込条件を設定する(S125)。眼科用超音波診断装置1は、メモリ23に、被検眼の種類毎の取込条件を定義する取込条件定義テーブル(
図7参照)を記憶することができる。
【0070】
取込条件の設定後、プロセッサ21は、眼タイプ選択画面を閉じて計測画面G0を再表示する。この際、計測画面G0のタイプ表示エリアR1では、選択された被検眼の種類が表示されるように計測画面G0を更新する(S127)。その後、プロセッサ21は、S110に移行して、次の操作がなされるまで待機する。
【0071】
プロセッサ21は、なされた操作が眼タイプ設定操作及び計測開始操作以外のその他の操作である場合(S130でYes)、なされた操作に対応した処理を実行する(S135)。その後、プロセッサ21は、S110に移行して、次の操作がなされるまで待機する。
【0072】
プロセッサ21は、なされた操作が計測開始操作である場合(S140でYes)、
図6に示す計測関連処理を開始する(S150)。操作ボタン表示エリアR5には、計測開始操作を受け付けるための操作ボタンが設けられる。計測関連処理の開始後、プロセッサ21は、操作受付処理を終了する。
【0073】
続いて、プロセッサ21が実行する計測関連処理の詳細を、
図6を用いて説明する。計測関連処理を開始すると、プロセッサ21は、計測を開始する旨を、ユーザに向けて通知する(S210)。通知は、例えば、ディスプレイ41にメッセージを表示させることにより、及び/又は、通知音をスピーカ45に出力させることにより実現され得る。
【0074】
続くS220において、プロセッサ21は、計測数をカウントするための変数N(以下計測数Nと表現する)を、値1に設定する。計測数Nは、計測値表示エリアR3に表示される計測回の番号に対応する(
図2参照)。
【0075】
続くS230において、プロセッサ21は、計測シーケンスを開始する。計測シーケンスにおいて、プロセッサ21は、プローブ50に超音波を発射させるための送信関連処理、及び、超音波の反射波成分を含むプローブ50からの受信信号を解析する受信関連処理を実行する。
【0076】
送信関連処理には、送信回路31に上述する制御信号を入力する処理が含まれる。受信関連処理には、受信信号の信号強度を計測する処理、及び、経過時間L1,L2,L3,L4、及び、立ち上がり時間W1,W2,W3,W4を計測する処理が含まれる。
【0077】
例えば、プロセッサ21は、計測シーケンスとして、1回の被検眼の計測に必要な、超音波の発射、受信、及び解析にかかる送信関連処理及び受信関連処理を実行することができる。
【0078】
続くS240において、プロセッサ21は、変数Mを値1に設定する。変数Mは、判定対象の条件を制御するための変数である。続くS250において、プロセッサ21は、予め設定された取込条件を構成する複数の条件のうち、第M条件を、判定対象に設定する。ここでは、取込条件を構成する複数の条件の合計を、MEと表現する。
【0079】
上述したように、取込条件を構成する複数の条件は、被検眼の種類毎に異なる。被検眼の種類が、有水晶体眼であるとき、取込条件を構成する複数の条件は、次の通りである。以下の取込条件は、接触式で被検眼が計測される場合に適用される。
-強度条件C1:水晶体前面、水晶体後面、及び網膜のエコーP2,P3,P4の信号強度が閾値を超えること。
-接触条件C2:イニシャルエコーP0の幅(例えば半値幅)が基準幅以下であること。
-範囲条件C3:受信信号から判別されるACD、レンズ厚及び眼軸長の各計測値が所定範囲内にあること。
-第1波形条件C4:水晶体前面のエコーP2の立ち上がり時間W2が、第1基準値以下であること。
-第2波形条件C5:水晶体後面のエコーP3の立ち上がり時間W3が、第2基準値以下であること。
-第3波形条件C6:網膜のエコーP4の立ち上がり時間W4が第3基準値以下であること
-ばらつき条件C7:ACD及び眼軸長の値のばらつきが所定範囲以内にあること。
【0080】
ばらつき条件C7で説明される「ACD及び眼軸長の値のばらつき」は、過去の計測シーケンスを含む複数回に亘る超音波の送受信により得られた複数回の受信信号に基づくACD及び眼軸長の値のばらつきに対応する。ばらつきの大きさは、変動幅で評価され得る。
【0081】
被検眼の種類が、過熟白内障眼又はIOL眼であるとき、取込条件を構成する複数の条件は、次の通りである。以下の取込条件は、接触式で被検眼が計測される場合に適用される。
-強度条件C1a:水晶体前面、及び、網膜のエコーP2,P4の信号強度が閾値を超えること。
-接触条件C2:イニシャルエコーP0の幅(例えば半値幅)が基準幅以下にあること。
-範囲条件C3a:受信信号から判別されるACD及び眼軸長の各計測値が所定範囲内にあること。
-第1波形条件C4:水晶体前面のエコーP2の立ち上がり時間W2が、第1基準値以下であること。
-第3波形条件C6:網膜のエコーP4の立ち上がり時間W4が第3基準値以下であること
-ばらつき条件C7:ACD及び眼軸長の値のばらつきが所定範囲以内にあること。
【0082】
強度条件C1a及び範囲条件C3aに付されるサフィックス「a」は、これらの条件が強度条件C1及び範囲条件C3の変形であることを意味している。変形は、被検眼の種類の相違に基づく。
【0083】
被検眼の種類が、無水晶体眼又は浅前房眼であるとき、取込条件を構成する複数の条件は、次の通りである。以下の取込条件は、接触式で被検眼が計測される場合に適用される。
-強度条件C1b:網膜のエコーP4の信号強度が閾値を超えること。
-接触条件C2:イニシャルエコーP0の幅(例えば半値幅)が基準幅以下にあること。
-範囲条件C3b:受信信号から判別される眼軸長の各計測値が所定範囲内にあること。
-第3波形条件C6:網膜のエコーP4の立ち上がり時間W4が第3基準値以下であること
-ばらつき条件C7b:眼軸長の値のばらつきが所定範囲以内であること。
【0084】
強度条件C1b、範囲条件C3b及びばらつき条件C7bに付されるサフィックス「b」は、これらの条件が強度条件C1、範囲条件C3及びばらつき条件C7の変形であることを意味している。変形は、被検眼の種類の相違に基づく。
【0085】
上述した被検眼の種類毎の取込条件を定義する取込条件定義テーブルは、
図7に示すように、第1分類、第2分類、第3分類のそれぞれについて、取込条件、及び、取込条件を構成する複数の条件の判定順序を定義する。ここで、有水晶体眼は、第1分類に属する。過熟白内障眼及びIOL眼は、第2分類に属する。無水晶体眼及び浅前房眼は、第3分類に属する。
【0086】
被検眼が第1分類(有水晶体眼)であるとき、第1条件は、強度条件C1である。第2条件は、接触条件C2である。第3条件は、範囲条件C3である。第4条件は、第1波形条件C4である。第5条件は、第2波形条件C5である。第6条件は、第3波形条件C6である。第7条件は、ばらつき条件C7である。第1条件から第7条件に付される序数は、判定順序に対応する。
【0087】
被検眼が第2分類(過熟白内障眼又はIOL眼)であるとき、第1条件は、強度条件C1aである。第2条件は、接触条件C2である。第3条件は、範囲条件C3aである。第4条件は、第1波形条件C4である。第5条件は、第3波形条件C6である。第6条件は、ばらつき条件C7である。
【0088】
被検眼が第3分類(無水晶体眼又は浅前房眼)であるとき、第1条件は、強度条件C1bである。第2条件は、接触条件C2である。第3条件は、範囲条件C3bである。第4条件は、第3波形条件C6である。第5条件は、ばらつき条件C7bである。
【0089】
続くS260(
図6参照)において、プロセッサ21は、判定対象の第M条件に関して、受信信号が第M条件を満足しているか否かを判断する。第M条件を満足していないと判断すると(S270でNo)、プロセッサ21は、S230の処理を実行する。すなわち、計測シーケンスを再実行する。さらに、プロセッサ21は、取込条件を満足するか否かの判定を、第1条件からやり直す(S240,S250,S260)。
【0090】
一方、プロセッサ21は、受信信号が第M条件を満足していると判断すると(S270でYes)、指示画像表示エリアR4において表示される指示画像70を、複数条件のうちの受信信号が満足する条件の数及び割合に応じた表示態様に更新する(S280)。
【0091】
すなわち、プロセッサ21は、第1~第M条件に対応するパネル80が第1の表示モードで表示され、第M+1~第ME条件に対応するパネル80が第二の表示モードで表示されるように、指示画像70を更新する。これにより指示画像70は、取込条件に対応する複数の条件の満足度に応じた表示態様に更新される(S280)。
【0092】
計測画面G0に表示される指示画像70は、計測対象の被検眼の種類に応じた数のパネル80を有する(
図2参照)。指示画像70は、被検眼の種類に対応する取込条件を構成する複数条件の満足度を指し示すために、複数条件の合計MEに対応する数のパネル80を有する。各パネル80は、対応する条件をイラスト化した波形画像である。
【0093】
有水晶体眼が計測対象であるときに計測画面G0に表示される指示画像70aは、
図8に示すように、第1条件に対応する第1パネル81a、第2条件に対応する第2パネル82a、第3条件に対応する第3パネル83a、第4条件に対応する第4パネル84a、第5条件に対応する第5パネル85a、第6条件に対応する第6パネル86a、第7条件に対応する第7パネル87aを有する。ここでは、有水晶体眼用の指示画像70a及び第1~第7パネル81a~87aの符号に対して、サフィックス「a」を付す。指示画像70aは、被検眼の種類を有水晶体眼に特定したときの指示画像70の具体例である。第1~第7パネル81a~87aは、上述した指示画像70が備える複数のパネル80に対応する。
【0094】
図8は、複数の条件のうち、満足される条件の数が増えるに従って、第一の表示モードで表示されるパネル80、具体的には点灯パネル80の数が増え、逆に、第二の表示モードで表示されるパネル80、具体的には消灯パネル80の数が減ることを説明する。
【0095】
図8の左から1番目に示される指示画像70aは、第1条件に対応する第1パネル81aが点灯し、第2条件から第7条件に対応する第2~第7パネル82a~87aが消灯している状態を示す。
図8の左から2番目に示される指示画像70aは、第1条件及び第2条件に対応する第1パネル81a及び第2パネル82aが点灯し、第3条件から第7条件に対応する第3~第7パネル83a~87aが消灯している状態を示す。
【0096】
図8の左から3番目に示される指示画像70aは、第1~第3条件に対応する第1~第3パネル81a~83aが点灯し、第4条件から第7条件に対応する第4~第7パネル84a~87aが消灯している状態を示す。
図8の左から4番目(換言すれば右から1番目)に示される指示画像70aは、第1~第7条件に対応する第1~第7パネル81a~87aが点灯している状態を示す。
【0097】
計測画面G0における指示画像70は、S127における計測画面G0の更新時に、直前で計測対象として選択された被検眼の種類に対応する数のパネル80を有する指示画像70に切り替えられる。
【0098】
過熟白内障眼又はIOL眼が計測対象であるときに計測画面G0に表示される指示画像70bは、
図9Aに示すように、第1条件に対応する第1パネル81b、第2条件に対応する第2パネル82b、第3条件に対応する第3パネル83b、第4条件に対応する第4パネル84b、第5条件に対応する第5パネル85b、第6条件に対応する第6パネル86bを有する。ここでは、過熟白内障眼及びIOL眼用の指示画像70b並びに第1~第6パネル81b~86bの符号に対して、サフィックス「b」を付す。指示画像70bは、被検眼の種類を過熟白内障眼又はIOL眼に特定したときの指示画像70の具体例である。第1~第6パネル81b~86bは、指示画像70が備える複数のパネル80に対応する。
【0099】
無水晶体眼又は浅前房眼が計測対象であるときに計測画面G0に表示される指示画像70は、
図9Bに示すように、第1条件に対応する第1パネル81c、第2条件に対応する第2パネル82c、第3条件に対応する第3パネル83c、第4条件に対応する第4パネル84c、第5条件に対応する第5パネル85cを有する。ここでは、無水晶体眼及び浅前房眼の指示画像70c並びに第1~第5パネル81c~85cの符号に対して、サフィックス「c」を付す。指示画像70cは、被検眼の種類を無水晶体眼又は浅前房眼に特定したときの指示画像70の具体例である。第1~第5パネル81c~85cは、指示画像70が備える複数のパネル80に対応する。
【0100】
プロセッサ21は、S280において指示画像70を更新すると、変数Mが、取込条件を構成する複数条件の合計に対応する値MEであるか否かを判断する(S290)。この判断は、受信信号が被検眼の種類に対応する取込条件を構成する複数の条件の全てを満足しているか否かを判断することに対応する。
【0101】
S290において、変数Mが値MEではないと判断すると、プロセッサ21は、変数Mを現在値から1増加した値に更新して(S300)、S250に移行する。S250において、プロセッサ21は、更新された変数Mに対応する、第M条件を判定対象に設定する。
【0102】
その後、プロセッサ21は、第M条件が満足されているか否かの判定を行い(S260)、満足されている場合には(S270でYes)、指示画像70を更新する(S280)。更新は、例えば点灯パネル80が増加するように行われる。第M条件が満足されていない場合、プロセッサ21は、S230に移行し、変数M=1にリセットして(S240)、再度、複数条件が満足されているか否かを判断する。
【0103】
プロセッサ21は、S290において変数Mが値MEであると判断すると(S290でYes)、S230の計測シーケンスにおける受信信号から特定された計測値(ACD、レンズ厚、及び/又は眼軸長)を、計測値表示エリアR3に表示する(S310)。具体的には、プロセッサ21は、N回目の計測結果として、番号Nに関連付けて、計測値表示エリアR3の第N行に計測値が表示されるように、ディスプレイ41が表示する計測画面G0を更新する(S310)。これにより、プロセッサ21は、ディスプレイ41を通じて計測値を出力する。
【0104】
その後、プロセッサ21は、計測数Nを現在値から1増加した値に更新する(S320)。プロセッサ21は、計測数Nが、表示可能な計測値の最大数NEを超えているか否かを判断する(S330)。
図2に示す例によれば、最大数NE=10である。
【0105】
プロセッサ21は、計測数Nが最大数NE以下であると判断すると(S330でNo)S230に処理を戻し、第N計測回における被検眼の計測を開始する(S230~S300)。
【0106】
プロセッサ21は、計測数Nが最大数NEを超えていると判断すると(S330でYes)、計測終了をスピーカ45からの出力音及び計測画面G0を通じてユーザに通知し(S340)、その後、当該計測関連処理を終了する。プロセッサ21は、計測画面G0の計測値表示エリアR3が最大数NEまでの計測結果を表示している状態を維持したまま、当該計測関連処理を終了することができる。
【0107】
以上に計測関連処理の詳細を説明したが、取込条件を構成する強度条件C1,C1a,C1bの判定手法を、
図10を用いて例示として具体的に説明する。プロセッサ21は、判定対象の第M条件が、強度条件C1,C1a,C1bであるときに、S260において、
図10に示す強度条件判定処理を実行することができる。
【0108】
プロセッサ21は、強度条件判定処理を開始すると、計測対象が第3分類(無水晶体眼又は浅前房眼)であるか否かを判断し(S410)、計測対象が第3分類であるときには(S410でYes)、S420,S430,S440の処理をスキップして、S450の処理を実行する。
【0109】
一方、プロセッサ21は、計測対象が第3分類以外である有水晶体眼、過熟白内障眼又はIOL眼であると判断したときには(S410No)、水晶体前面のエコーP2の信号強度が閾値を超えているか否かを判断する(S420)。
【0110】
ここで、水晶体前面のエコーP2の信号強度が閾値以下であると判断すると(S420でNo)、プロセッサ21は、受信信号が強度条件を満足していないと判定する(S470)。受信信号が強度条件を満足していないと判定することは、S260において、受信信号が第M条件を満足していないと判定することに対応する。
【0111】
プロセッサ21は、水晶体前面のエコーP2の信号強度が閾値を超えていると判断すると(S420でYes)、S430の処理を実行する。S430において、プロセッサ21は、計測対象が第1分類(有水晶体眼)であるか否かを判断し、計測対象が第1分類でないときには(S430でNo)、S440の処理をスキップして、S450の処理を実行する。プロセッサ21は、計測対象が第1分類であるときには(S430でYes)、水晶体後面のエコーP3の信号強度が閾値を超えているか否かを判断する(S440)。
【0112】
ここで、水晶体後面のエコーP3の信号強度が閾値以下であると判断すると(S440でNo)、プロセッサ21は、受信信号が強度条件を満足していないと判定する(S470)。プロセッサ21は、水晶体後面のエコーP3の信号強度が閾値を超えていると判断すると(S440でYes)、S450の処理を実行する。
【0113】
S450において、プロセッサ21は、網膜のエコーP4の信号強度が閾値を超えているか否かを判断する。プロセッサ21は、網膜のエコーP4の信号強度が閾値を超えていると判断すると(S450でYes)、受信信号が強度条件を満足していると判定する(S460)。受信信号が強度条件を満足していると判定することは、S260において、受信信号が第M条件を満足していると判定することに対応する。
【0114】
一方、プロセッサ21は、網膜のエコーP4の信号強度が閾値以下であると判断すると(S450でNo)、受信信号が強度条件を満足していないと判定する(S470)。
【0115】
プロセッサ21は、このような強度条件判定処理を実行することにより、受信信号が強度条件C1,C1a,C1bを満足するか否かを判定することができる。S420,S440,S450での判断に用いられる閾値は、
図4に示される閾値TH1であり得る。閾値は、S420,S440,S450において異なる値であってもよい。
【0116】
続いて、取込条件を構成する範囲条件C3,C3a,C3bの判定手法を、
図11を用いて説明する。プロセッサ21は、判定対象の第M条件が、範囲条件C3,C3a,C3bであるときに、S260において、
図11に示す範囲条件判定処理を実行することができる。範囲条件C3,C3a,C3bは、受信信号に含まれる反射波成分の位置に関する条件である。
【0117】
プロセッサ21は、範囲条件判定処理を開始すると、計測対象が第3分類であるか否かを判断し(S510)、計測対象が第3分類であるときには(S510でYes)、S520,S530,S540の処理をスキップして、S550の処理を実行する。
【0118】
一方、プロセッサ21は、計測対象が第3分類以外であるときには(S510No)、経過時間L1,L2の差に基づいて判別されるACDが所定の適正範囲内であるかを判断する(S520)。
【0119】
ここで、ACDが適正範囲内にないと判断する(S520でNo)、プロセッサ21は、受信信号が範囲条件を満足していないと判定する(S570)。受信信号が範囲条件を満足していないと判定することは、S260において、受信信号が第M条件を満足していないと判定することに対応する。
【0120】
一方、プロセッサ21は、ACDが適正範囲内にあると判断すると(S520でYes)、S530の処理を実行する。S530において、プロセッサ21は、計測対象が第1分類であるか否かを判断し、計測対象が第1分類でないときには(S530でNo)、S540の処理をスキップして、S550の処理を実行する。プロセッサ21は、計測対象が第1分類であるとき(S530でYes)、S540の処理を実行する。
【0121】
S540において、プロセッサ21は、経過時間L2,L3の差に基づいて判別されるレンズ厚が所定の適正範囲内であるかを判断する。ここで、レンズ厚が所定の適正範囲内にないと判断すると(S540でNo)、プロセッサ21は、受信信号が範囲条件を満足していないと判定する(S570)。一方、プロセッサ21は、レンズ厚が適正範囲内にあると判断すると(S540でYes)、S550の処理を実行する。
【0122】
S550において、プロセッサ21は、経過時間L1,L4の差に基づいて判別される眼軸長が所定の適正範囲内であるかを判断する。眼軸長が所定の適正範囲内にあると判断すると(S550でYes)、プロセッサ21は、受信信号が範囲条件を満足していると判定する(S560)。受信信号が範囲条件を満足していると判定することは、S260において、受信信号が第M条件を満足していると判定することに対応する。
【0123】
一方、プロセッサ21は、眼軸長が所定の適正範囲内にないと判断すると、受信信号が範囲条件を満足していないと判定する(S570)。プロセッサ21は、このような範囲条件判定処理を実行することにより、受信信号が範囲条件C3,C3a,C3bを満足するか否かを判定することができる。
【0124】
続いて、取込条件を構成する第1波形条件C4、第2波形条件C5、及び第3波形条件C6の判定手法を、
図12を用いて説明する。ここでは、第1波形条件C4、第2波形条件C5、及び第3波形条件C6を、まとめて波形条件C4,C5,C6と表現する。波形条件C4,C5,C6は、受信信号に含まれる反射波の形状に関する条件である。プロセッサ21は、判定対象の第M条件が、波形条件C4,C5,C6であるときに、S260において、
図12に示す波形条件判定処理を実行することができる。
【0125】
波形条件判定処理を開始すると、プロセッサ21は、受信信号の信号強度が閾値TH1から閾値TH3間を上昇する過程での受信信号の時間幅Wを取得する(S610)。判定対象が第1波形条件C4であるとき、取得する時間幅Wは、水晶体前面のエコーP2の立ち上がり時間W2である。判定対象が第2波形条件C5であるとき、取得する時間幅Wは、水晶体後面のエコーP3の立ち上がり時間W3である。判定対象が第3波形条件C6であるとき、取得する時間幅Wは、網膜のエコーP4の立ち上がり時間W4である。
【0126】
その後、プロセッサ21は、取得した時間幅Wが基準値以下であるか否かを判断する(S620)。基準値は、超音波の伝播速度を考慮して定められる。基準値は、判定対象の波形条件C4,C5,C6に応じた個別の値である。すなわち、判定対象が第1波形条件C4であるときの基準値は、上述した第1基準値であり、判定対象が第2波形条件C5であるときの基準値は、第2基準値であり、判定対象が第3波形条件C6であるときの基準値は、第3基準値である。
【0127】
プロセッサ21は、時間幅Wが基準値以下であるとき(S620でYes)、受信信号が波形条件を満足していると判定する(S630)。一方、プロセッサ21は、時間幅Wが基準値を超えているとき(S620でNo)、受信信号が波形条件を満足していないと判定する(S640)。
【0128】
プロセッサ21は、このように波形条件判定処理を実行することにより、受信信号が、波形条件C4,C5,C6を満足しているか否かを判定することができる。受信信号が波形条件を満足していると判定することは、S260において、受信信号が第M条件を満足していると判定することに対応する。受信信号が波形条件を満足していないと判定することは、S260において、受信信号が第M条件を満足していないと判定することに対応する。
【0129】
以上に説明した本実施形態の眼科用超音波診断装置1によれば、計測値が、被検眼の種類に応じて定められた取込条件を満足するときに限って、取り込まれ、計測値表示エリアR3で表示される。取込条件は、複数の条件で構成され、指示画像表示エリアR4には、取込条件を構成する複数の条件のうち、受信信号が満足する条件の数及び/又は割合に応じた表示態様で指示画像70が表示される。指示画像70は、各条件に対応する画像要素(パネル80)を有する。
【0130】
指示画像70は、受信信号が満足する条件の数及び/又は割合に応じて、レベルメータのように、パネル80の点灯及び消灯を演出する。更に言えば、各パネル80は、対応する条件を、文字の代わりに視覚的な図記号又はイラストで表現する。指示画像70の表示態様は、受信信号の変化に追従して、実質リアルタイムに変化する。
【0131】
したがって、本実施形態の眼科用超音波診断装置1は、プローブ50を操作するユーザが、計測値の取込条件を満足するように、プローブ50の姿勢を調整するまでの、ユーザのプローブ操作を、指示画像70を通じて支援することができる。
【0132】
ユーザ、すなわちプローブ50の操作者は、指示画像70を見ながらのプローブ50の姿勢調整によって、プローブ50が正しい姿勢に向かう方向への姿勢調整を、指示画像70がない場合よりも、容易に行うことができる。
【0133】
本実施形態では、上述したようにパネル80の表示を、色で切り替えることから、取込条件の満足度が、ユーザにとって視覚的に理解しやすい。本実施形態によれば、指示画像70を構成するパネル80の配列順序が、プロセッサ21による条件判定の順序に対応しているので、レベルメータのようにパネル80の表示態様を、取込条件の満足度に応じて切り替えることができる。
【0134】
更に言えば、本実施形態では、被検眼の種類に応じて取込条件が切り替わることに連動して、計測画面G0で表示される指示画像70が有するパネル数及び配列も切り替わる。このように、本実施形態の指示画像70は、被検眼の種類に応じた態様で表示され、取込条件の満足度の視認性に優れている。したがって、本実施形態によれば、取込条件を満足させる方向へのプローブ50の姿勢調整を効果的に支援することができる。
【0135】
この他、指示画像70は、計測画面G0において、受信信号の波形及び計測値と共に表示される。したがって、本実施形態によれば、被検眼の計測に際しての操作性に優れた眼科用超音波診断装置1を提供することが可能である。
【0136】
[その他の実施形態]
本開示は、上記実施形態に限定されるものではなく、種々の態様を採ることができる。上記実施形態では、指示画像70におけるパネル数が、被検眼の種類に応じて切り替えられる。
【0137】
しかしながら、計測画面G0には、被検眼の種類によらず一律のパネル数を有する指示画像70が表示されてもよい。この場合、指示画像70は、取込条件を構成する条件の数MEが最も多い被検眼の種類に合わせて、最大の条件数に対応する数のパネル80を有した構成にされ得る。満足する必要のない条件に対応するパネル80は、グレーアウト表示され得る。これにより、パネル80に対応する条件の満足が不要であることがユーザに示され得る。グレーアウトに代えて、不要なパネル80を表示しない手法により、被検眼の種類に応じて、指示画像70の表示態様(パネル数)が切り替えられてもよい。
【0138】
この他、取込条件がユーザにより変更可能であるように、眼科用超音波診断装置1は構成されてもよい。この場合、計測画面G0の操作ボタン表示エリアR5に、取込条件変更用のボタンを用意することができる。プロセッサ21は、取込条件変更用のボタンが押下操作されたときに、指示画像表示エリアR4に対するパネル80の挿入及び削除操作を受け付けるように構成され得る。これにより、プロセッサ21は、指示画像表示エリアR4におけるパネル80の配置に関する変更操作を受け付けると共に、パネル80の配置に対応した取込条件に、既存の取込条件を変更することができる。こうした取込条件の変更機能は、計測値の精度よりも迅速な計測を所望するユーザにとって便利である。
【0139】
この他、指示画像70が有する条件毎のパネル80は、図記号又はイラストではなく、文字によって、対応する条件を説明するように構成されてもよい。
【0140】
上記実施形態では、接触式での取込条件について詳しく説明したが、この取込条件は、水浸式に適用されてもよい。被検眼の種類が有水晶体眼であるとき、水浸式での取込条件は、上述した接触式での取込条件に、更に次の間隔条件を追加した取込条件であってもよい。
-間隔条件:イニシャルエコーP0と角膜のエコーP1との間隔が所定範囲内にあること。
【0141】
上記実施形態における1つの構成要素が有する機能は、複数の構成要素に分散して設けられてもよい。複数の構成要素が有する機能は、1つの構成要素に統合されてもよい。上記実施形態の構成の一部は、省略されてもよい。特許請求の範囲に記載の文言から特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本開示の実施形態である。
【0142】
[本明細書が開示する技術思想]
本明細書には、次の技術思想が開示されていると理解することができる。
[項目1]
被検眼に超音波を送信し、前記超音波の前記被検眼からの反射波を受信するように構成されるプローブと、
前記プローブによる受信信号が、予め定められた複数の条件を満足するとき、前記受信信号から特定される、前記被検眼における所定部位の長さを、計測値として出力するように構成される計測器と、
を備え、
前記計測器は、表示装置に、前記受信信号の波形を表示させると共に、前記複数の条件の満足度を指し示す指示画像を表示させ、前記複数の条件のうち、満足された条件の数に応じて、前記指示画像の表示態様を切り替えるように、前記表示装置を制御する眼科用超音波診断装置。
[項目2]
項目1記載の眼科用超音波診断装置であって、
前記指示画像は、複数の画像要素を含み、
前記複数の画像要素のそれぞれは、前記複数の条件のうちの一つに対応し、
前記複数の画像要素のそれぞれは、表示態様の異なる複数の表示モードを有し、
前記計測器は、前記表示装置に、前記指示画像として前記複数の画像要素を表示させ、前記複数の条件のうち、一以上の条件が満足されるとき、前記表示装置に、前記複数の画像要素のうち、満足された前記一以上の条件に対応する一以上の画像要素を、前記複数の画像要素のうち、前記一以上の画像要素を除く残りの画像要素とは異なる表示モードで表示させることによって、前記複数の条件の満足度を指し示すように、前記表示装置に、前記指示画像を表示させる眼科用超音波診断装置。
[項目3]
項目2記載の眼科用超音波診断装置であって、
前記複数の表示モードは、表示色の異なる複数の表示モードを含み、
前記計測器は、前記一以上の画像要素が前記残りの画像要素とは異なる色で表示されるように、前記表示装置に、前記指示画像を表示させる眼科用超音波診断装置。
[項目4]
項目2又は項目3記載の眼科用超音波診断装置であって、
前記計測器は、前記受信信号が前記複数の条件のそれぞれを満足するか否かを、所定の判定順序で判定することにより、前記受信信号が前記複数の条件を満足するかを判定し、前記判定順序と同順序で、前記複数の条件に対応する前記複数の画像要素を配列した前記指示画像を、前記表示装置に表示させる眼科用超音波診断装置。
[項目5]
項目1~項目4のいずれか一項記載の眼科用超音波診断装置であって、
前記計測器は、前記受信信号が前記複数の条件を満足するか否かを繰返し判定し、判定に応じて前記指示画像を更新するように構成される眼科用超音波診断装置。
[項目6]
項目1~項目5のいずれか一項記載の眼科用超音波診断装置であって、
前記計測器は、前記計測値を、前記表示装置に表示させることによって、前記表示装置を通じて前記計測値を出力するように構成される眼科用超音波診断装置。
[項目7]
項目1~項目6のいずれか一項記載の眼科用超音波診断装置であって、
前記計測器は、前記受信信号から特定される、前記被検眼の前房深度(ACD)、水晶体厚、及び眼軸長のうちの一つ以上を前記計測値として出力するように構成される眼科用超音波診断装置。
[項目8]
項目1~項目7のいずれか一項記載の眼科用超音波診断装置であって、
前記複数の条件は、前記受信信号から特定される前記反射波の強度に関する条件、前記受信信号から特定される前記反射波の形状に関する条件、及び、前記受信信号から特定される反射波成分の位置に関する条件の少なくとも一つを含む眼科用超音波診断装置。
[項目9]
項目1~項目8のいずれか一項記載の眼科用超音波診断装置であって、
前記複数の条件は、前記被検眼の種類に応じて異なり、
前記指示画像は、前記被検眼の種類に応じて異なり、
前記計測器は、前記受信信号が前記被検眼の種類に応じた前記複数の条件を満足するか否かを判定し、前記表示装置に、前記被検眼の種類に応じた前記指示画像を表示させるように構成される眼科用超音波診断装置。
【符号の説明】
【0143】
1…眼科用超音波診断装置、10…装置本体、20…コントローラ、21…プロセッサ、23…メモリ、31…送信回路、35…受信回路、37…AD変換器、41…ディスプレイ、43…タッチパネル、45…スピーカ、50…超音波プローブ、70…指示画像、80…パネル、G0…計測画面、R1…タイプ表示エリア、R2…波形表示エリア、R3…計測値表示エリア、R4…指示画像表示エリア、R5…操作ボタン表示エリア。
【要約】
【課題】被検眼の計測に際しての操作性に優れた眼科用超音波診断装置を提供する。
【解決手段】眼科用超音波診断装置は、プローブと、計測器と、を備える。プローブは、被検眼に超音波を送信し、超音波の被検眼からの反射波を受信するように構成される。計測器は、プローブによる受信信号が、予め定められた複数の条件を満足するとき、受信信号から特定される、被検眼における所定部位の長さを、計測値として出力するように構成される。計測器は、表示装置に、受信信号の波形を表示させると共に、複数の条件の満足度を指し示す指示画像を表示させ、複数の条件のうち、満足された条件の数に応じて、指示画像の表示態様を切り替えるように、表示装置を制御する構成にされる。
【選択図】
図1