(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-31
(45)【発行日】2025-04-08
(54)【発明の名称】チェーン測定装置、チェーン測定システム、チェーンのたるみ量の演算方法
(51)【国際特許分類】
G01B 21/00 20060101AFI20250401BHJP
G01B 21/06 20060101ALI20250401BHJP
F16H 7/00 20060101ALI20250401BHJP
F16H 7/06 20060101ALI20250401BHJP
【FI】
G01B21/00 C
G01B21/06 101Z
F16H7/00 A
F16H7/06
(21)【出願番号】P 2021105177
(22)【出願日】2021-06-24
【審査請求日】2024-03-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000207425
【氏名又は名称】大同工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003133
【氏名又は名称】弁理士法人近島国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】増本 大悟
(72)【発明者】
【氏名】関戸 唯之
(72)【発明者】
【氏名】澤出 憲昭
(72)【発明者】
【氏名】氷見山 直人
(72)【発明者】
【氏名】出村 宇宙
【審査官】仲野 一秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-140534(JP,A)
【文献】特開2005-140535(JP,A)
【文献】中国実用新案第206812891(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 1/00-21/32
F16H 7/00-7/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スプロケットに巻回されたチェーンのたるみ量を測定するためのチェーン測定装置であって、
重力方向の加速度を検出可能な加速度センサを備えた本体部と、
前記チェーンに対して前記本体部を取り付ける取付部と、を備え、
前記加速度センサは、前記チェーンに取り付けられた前記本体部が、前記チェーンのたるみ量の範囲で上方に持ち上げられてから落下させられた際に前記重力方向の加速度を検出するように構成されている、
ことを特徴とするチェーン測定装置。
【請求項2】
前記取付部は、無端状の前記チェーンに対して前記本体部を取り付けるように構成され、
前記本体部は、前記チェーンに取り付けられた際に、前記チェーンの走行方向に延びる筐体を備え、
前記筐体は、前記取付部により前記本体部が前記チェーンに取り付けられた際に、前記チェーンと当接するガイド面を有する、
ことを特徴とする請求項1記載のチェーン測定装置。
【請求項3】
前記本体部は、
前記筐体の延設方向における第1端から突出し、スライド可能に支持された第1シャフトと、
前記筐体の前記延設方向における前記第1端とは反対側の第2端から突出する第2シャフトと、
前記第1シャフトを前記筐体から突出する方向に付勢する付勢部材と、を備え、
前記取付部は、
前記第1シャフトから前記第1シャフトの軸方向と交差する方向に向かって延びる第1部材と、
前記第2シャフトから前記第2シャフトの軸方向と交差する方向に向かって延びる第2部材と、を備え、
前記第1及び第2部材が、前記走行方向における異なる位置において、前記チェーンのローラ間に挿入されることによって、前記本体部は前記チェーンに対して取り付けられる、
ことを特徴とする請求項2記載のチェーン測定装置。
【請求項4】
前記本体部は、前記第1部材と前記第2部材との間の距離に基づいて前記チェーンの伸び量を検出するための検出センサを備えている、
ことを特徴とする請求項3記載のチェーン測定装置。
【請求項5】
前記第1部材及び第2部材は、ぞれぞれ、前記チェーンのローラ間に挿入される先端部を有し、
前記第1部材及び第2部材の先端部のそれぞれは、
前記先端部が前記チェーンのローラ間に挿入された際に前記チェーンの幅方向に対応する方向を第1方向、前記先端部が前記チェーンのローラ間に挿入された際に前記チェーンの走行方向に対応する方向を第2方向とした際に、
その断面形状において、前記第1方向の長さが前記第2方向の長さよりも短くなっている、
ことを特徴とする請求項3又は4記載のチェーン測定装置。
【請求項6】
前記チェーンに取り付けられた前記本体部が前記チェーンのたるみ量の範囲で上方に持ち上げられてから落下させられた際に前記加速度センサが検出した前記重力方向の加速度の時系列データを記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された前記加速度の時系列データに基づいて前記チェーンのたるみ量を演算する演算部を備えた、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載のチェーン測定装置。
【請求項7】
請求項1記載のチェーン測定装置と、
コンピュータと、を備え、
前記チェーン測定装置は、前記コンピュータと通信可能な通信モジュールを備え、
前記コンピュータは、
前記本体部が前記チェーンのたるみ量の範囲で上方に持ち上げられてから落下させられた際に前記加速度センサが検出した前記重力方向の加速度の時系列データを記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された前記加速度の時系列データに基づいて前記チェーンのたるみ量を演算する演算部と、を備えた、
ことを特徴とするチェーン測定システム。
【請求項8】
前記取付部は、無端状の前記チェーンに対して前記本体部を取り付けるように構成され、
前記本体部は、
前記チェーンに取り付けられた際に前記チェーンの走行方向に延びると共に、前記取付部により前記本体部が前記チェーンに取り付けられた際に、前記チェーンと当接するガイド面を有する筐体と、
前記筐体の延設方向における第1端から突出し、スライド可能に支持された第1シャフトと、
前記筐体の前記延設方向における前記第1端とは反対側の第2端から突出する第2シャフトと、
前記第1シャフトを前記筐体から突出する方向に向かって付勢する付勢部材と、を備え、
前記取付部は、
前記第1シャフトから前記第1シャフトの軸方向と交差する方向に向かって延びる第1部材と、
前記第2シャフトから前記第2シャフトの軸方向と交差する方向に向かって延びる第2部材と、を備え、
前記第1及び第2部材が、前記走行方向における異なる位置において、前記チェーンのローラ間に挿入されることによって、前記本体部は前記チェーンに対して取り付けられる、
ことを特徴とする請求項7記載のチェーン測定システム。
【請求項9】
前記本体部は、前記第1部材と前記第2部材との間の距離の変位を検出可能な検出センサを備え、
前記演算部は、前記検出センサの検出結果に基づいて、前記チェーンの伸び量を演算する、
ことを特徴とする請求項8記載のチェーン測定システム。
【請求項10】
チェーンのたるみ量の演算方法であって、コンピュータが以下の処理を実行すること、
a)前記チェーンに取り付けられた加速度センサが前記チェーンのたるみ量の範囲で上方に持ち上げられてから落下させられた際に検出した重力方向の加速度の時系列データを取得する、
b)前記取得した重力方向の加速度の時系列データの所定範囲について二階数値積分をし、前記チェーンのたるみ量を演算する、
ことを特徴とするチェーンのたるみ量の演算方法。
【請求項11】
請求項10に記載のチェーンのたるみ量の演算方法を、コンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。
【請求項12】
請求項11に記載のコンピュータプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チェーン測定装置、チェーン測定システム及びチェーンのたるみ量の演算方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ドライブチェーン等のチェーンの場合、チェーンの寿命を判定するためにチェーンの伸びが測定される。また、適正な範囲でチェーンを張るために、チェーンのたるみ量が測定される。これらチェーンの伸びや、チェーンのたるみ量は、通常、作業者がノギスや、専用のツール(特許文献1参照)を用いて、チェーンを測定することによって行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したノギスでチェーンを測定する場合、作業者間で測定精度にばらつきが生じてしまう。また、特許文献1に示すような専用ツールを用いた場合、ノギスと比較すれば精度は向上するものの、作業者は、依然として目視によりチェーンの測定を行わなければならず、測定精度及び作業性の観点から更なる向上を目指す余地があった。
【0005】
そこで、本発明は、簡単かつ高精度にチェーンの測定を行うことが可能なチェーン測定装置、チェーン測定システム、チェーンのたるみ量の演算方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、スプロケットに巻回されたチェーンのたるみ量を測定するためのチェーン測定装置であって、重力方向の加速度を検出可能な加速度センサを備えた本体部と、前記チェーンに対して前記本体部を取り付ける取付部と、を備え、前記加速度センサは、前記チェーンに取り付けられた前記本体部が、前記チェーンのたるみ量の範囲で上方に持ち上げられてから落下させられた際に前記重力方向の加速度を検出するように構成されている、ことを特徴とするチェーン測定装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によると、簡単かつ高精度にチェーンの測定を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施の形態に係るチェーン測定システムを示す模式図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係るチェーン測定装置の分解図である。
【
図3】(a)チェーンに取り付けられた状態のチェーン測定装置を示す平面図である。(b)チェーンに取り付けられた状態のチェーン測定装置を示す側面図である。(c)プローブピンの断面図である。
【
図6】チェーンの寿命判定処理を示すフローチャート図である。
【
図7】チェーンのたるみ判定処理を示すフローチャート図である。
【
図8】チェーンのたるみ判定時の動作を示す模式図であって、(a)はチェーン測定装置を取り付ける前の状態を示す図、(b)はチェーン測定装置を取り付けた状態を示す図、(c)はチェーン測定装置を上方に持ち上げた状態を示す図、(d)はチェーン測定装置を落下させた状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<チェーン測定システムの概略構成>
以下、本発明の実施の形態に係るチェーン測定システム1について
図1~9に基づいて説明をする。
図1に示すように、チェーン測定システム1は、チェーン4に取り付けられるチェーン測定装置2と、スマートフォン等の端末装置3と、を備えている。これらチェーン測定装置2と端末装置3とは、無線通信可能に構成されており、チェーン測定装置2が測定したデータに基づいて、端末装置3にてチェーン4の寿命判定や、チェーン4のたるみ(緩み)量の判定を行うように構成されている。
<チェーン測定装置の構成>
【0010】
チェーン測定装置2は、
図2に示すように、本体部5と、この本体部5をチェーン4に取り付けるための取付部6と、を備えている。本体部5は、円筒状の筐体7を備えていると共に、その両端部からは、それぞれ、スライドシャフト9及び固定シャフト10が突出して構成されている。より詳しくは、筐体7は、メインボディ7aと、左右のエンドキャップ7b,7cと、を備えており、これらエンドキャップ7b,7cから、上述したスライドシャフト9及び固定シャフト10がそれぞれ突出している。
【0011】
上記スライドシャフト9及び固定シャフト10の内、固定シャフト10は、エンドキャップ7cにボルト13によって固定されている。また、スライドシャフト9は、エンドキャップ7bと、ストッパ17と、によってスライド可能に支持されている。なお、ストッパ17は、メインボディ7aにネジ18により固定された固定部材である。更に、スライドシャフト9には、ストッパーナット16が取り付けられていると共に、ストッパーナット16とストッパ17との間には、付勢部材としてのコイルスプリング15が設けられている。スライドシャフト9は、このコイルスプリング15によって外方に向けて付勢されている。
【0012】
更に、スライドシャフト9及び固定シャフト10には、上述した取付部6を構成するプローブピン11,12がシャフトの軸線と交差する方向に取り付けられている。これらプローブピン11,12は、チェーン4のローラ間に差し込まれるように構成されている。そして、プローブピン11,12のそれぞれが、チェーン4のローラ間に差し込まれ、コイルスプリング15の付勢力によってローラの外径に押し付けられることにより、チェーン測定装置2は、チェーン4に取り付けられる。
【0013】
また、ストッパ17にはブラケット20が一体的に構成されている。筐体7内の内部構成は、上記ストッパ17及びブラケット20を中心としてサブアッシー化されており、このブラケット20には、ポジションセンサ19が取り付けられている。更に、ブラケット20には、基板21が取り付けられており、この基板21には、加速度センサ22と、端末装置3と無線通信を行うための通信モジュール23と、が設けられている。なお、本実施の形態では、上記ポジションセンサ19として抵抗式ポジションセンサが、加速度センサ22としてMEMS加速度センサが、通信モジュール23としてブルートゥース(登録商標)通信モジュールが搭載されている。
【0014】
加えて、ブラケット20には、ノックピン25によって電源ブラケット26が一体に取り付けられており、この電源ブラケット26には、不図示のバッテリが装着されるバッテリホルダ27が取り付けられている。
【0015】
また、筐体7のメインボディ7aには、電源ボタン用のブラケット29,30がネジ31,32によって固定されており、ブラケット29,30には、スイッチ基板33が取り付けられている。スイッチ基板33には、タクトスイッチからなる電源スイッチ35が設けられており、この電源スイッチ35をユーザが押圧することによって、チェーン測定装置2がオン/オフされる。
【0016】
<取付部周りの詳細構成>
ついで、チェーン測定装置2をチェーン4に取り付ける取付部周りの詳細構成について説明をする。まず、筐体7のガイド機能について説明をする。
図1に示すように、駆動側のスプロケット51及び被駆動側のスプロケット52に巻回されたチェーン4は、上方側が張力の高い張り側42、下方側が張力の低いたるみ側41となる。たるみ側41は、張り側42と異なり、チェーンケースなどによって覆われていないため、ユーザのアクセスが容易である一方、下方に向かって湾曲している(いわゆるカテナリー曲線)。
【0017】
このため、単にチェーン4のたるみ側41に加速度センサを取り付けた場合、上記チェーン4の湾曲によって加速度センサが傾き、測定精度に影響を与える虞がある。また、チェーン4の伸びを測定する場合であっても、湾曲している場合には、正確にチェーンの長さを測定することが困難になる。このため、本実施の形態では、
図3(a),(b)に示すように、プローブピン11,12間のチェーン4にコイルスプリング15によって張力を付与するようにしている。これにより、チェーン4のたるみ側41であっても、プローブピン11,12間については、コイルスプリング15の付勢力により所定の張力が付与されてチェーン4を張ることができ、チェーン4のカテナリー(湾曲)を抑制することができる。
【0018】
また、チェーン測定装置2を取り付ける際に、プローブピン11,12は、筐体7の上面71がチェーン4の外周と当接するまでチェーン4のローラ間に差し込まれるため、この筐体7の上面71がガイド面となって、上述したプローブピン11,12の間のチェーン4に本体部5の姿勢を沿わせることができるようになっている。そして、これにより、加速度センサ22を内蔵した本体部5の傾きを抑制することができるようになっている。
【0019】
ついで、プローブピン11,12の先端部11t,12tの形状について説明をする。なお、これらプローブピン11,12の先端部11t,12tの形状は、プローブピン11とプローブピン12とで、実質的に同様の形状をしているため、以下の説明では、プローブピン12の先端部12tの形状についてのみ説明をする。
【0020】
プローブピン12は、
図2及び
図3に示すように、固定シャフト10の端部に形成された孔に圧入された基部12bにおいて断面円形状をしている一方で、チェーン4のローラ間に差し込まれる先端部12tにおいては、異形断面形状をしている。
【0021】
より詳しくは、プローブピン12の先端部12tは、
図3(c)に示すように、チェーン4のローラ間に差し込まれた状態で、チェーン4のリンクプレートと対向する側面12t1,12t2が平面となるように切り欠いて形成されている。また、チェーン4のローラと接触する面12t3,12t4は曲面となるように形成されている。その結果として、先端部12tの断面形状は、チェーン4のローラ間に挿入された際にチェーン4の幅方向に対応する第1方向の長さL1が、チェーン4の走行方向に対応する第2方向の長さL2よりも短くなるように形成されている。
【0022】
このため、例えば、自転車用チェーンのようにチェーンのリンクプレート間の間隔が狭いチェーンから、自動二輪車用のチェーンのように自転車用チェーンと比較して、リンクプレート間の間隔が広いチェーンまで、幅広いチェーンに対してチェーン測定装置2の取り付けが可能となっている。また、コイルスプリング15の張力が掛かる第2方向の長さL2を第1方向の長さL1よりも長くすることで、プローブピン12の剛性を確保し、プローブピン12のたわみを抑制している。加えて、チェーン4のローラと接触する面12t4が曲面によって形成されているため、チェーン4のローラとプローブピン12とが点接触することになり、測定精度を向上させることができる。
【0023】
<チェーン伸び測定機構の詳細構成>
ついで、上述したポジションセンサ19を用いたチェーン伸び測定機構について、
図2及び
図4に基づいて説明をする。
図4に示すように、ポジションセンサ19は、センサレバー191がスライドシャフト9の取り付け溝91に嵌挿されるように構成されており、このセンサレバー191がスライドシャフト9と共に移動することによって、プローブピン11の位置を検出している。
【0024】
ここで、上述したように、これらポジションセンサ19及びスライドシャフト9は、ブラケット20(
図2参照)を介してサブアッシーとなっている。このサブアッシーは、筐体7内に組み付けられると、スライドシャフト9に取り付けられたストッパーナット16がエンドキャップ7bに押圧されることによって、コイルスプリング15が自然長よりも圧縮された状態となる。一方で、筐体7内に組み付ける前の状態では、ストッパーナット16の位置がエンドキャップ7bによって規制されない。もし、コイルスプリング15が自然状態において、スライドシャフト9の取り付け溝91の位置が、センサレバー191の移動範囲よりも軸方向外側に位置するような場合、サブアッシーを組み立てる際にスライドシャフト9の取り付け溝91にセンサレバー191を係合させると、上記サブアッシーが筐体7内に組み付けられる前の段階では、コイルスプリング15からの反力がセンサレバー191に掛かることとなる。
【0025】
このため、本実施の形態では、ポジションセンサ19は、コイルスプリング15が自然長の際の上記スライドシャフト9の取り付け溝91の位置が、上記センサレバー191の可動範囲内、もしくは、センサレバー191の可動範囲の近傍(例えば、取り付け溝91とセンサレバー191の可動範囲の取り付け溝91側の端部との間の距離が2mm以内)に位置するようにブラケット20に取り付けられている。
【0026】
これにより、サブアッシーの組み立て時に、スライドシャフト9を指で押し込んだ状態で、ポジションセンサ19のセンサレバー191をスライドシャフト9の取り付け溝91に嵌め込む必要が無い、もしくは、スライドシャフト9の押し込み量が少なくなるため、サブアッシーの組み立て性が向上する。また、サブアッシーが組みたった状態において、センサレバー191に掛かる負荷を低減することができるようになっている。
【0027】
<端末装置の構成>
ついで、端末装置3の構成について説明をする。
図5に示すように、本実施の形態の端末装置3は、スマートフォン等の携帯型のコンピュータであり、演算部としてのCPU301と、記憶部を構成するROM302及びRAM303を備えている。また、端末装置3は、チェーン測定装置2と通信可能な通信モジュール305と、ディスプレイ309と、ネットワークインターフェース310を備えている。これらCPU301、ROM302、RAM303、通信モジュール305、ディスプレイ309及びネットワークインターフェース310は、バス307によって互いに通信可能に接続されている。
【0028】
ROM302には、上述したチェーン測定装置2の測定結果に基づいて、チェーン4の寿命を判定する寿命判定プログラム321及びチェーン4のたるみを判定するたるみ判定プログラム322が記憶されており、これら寿命判定プログラム321及びたるみ判定プログラム322をCPU301が実行することによって、チェーン4の寿命判定処理及びたるみ判定処理が実行される。また、本実施形態においては、これら寿命判定プログラム321及びたるみ判定プログラム322は、端末装置3内において実行されるチェーン測定アプリを構成している。端末装置3は、このようなチェーン測定アプリを、ネットワークインターフェース310を介して、インターネット320を経由して、サーバー装置400からダウンロードすることが可能となっている。なお、ネットワークインターフェース310は、例えばIEEE 802.3のような有線通信、IEEE 802.11、802.15のような無線通信による通信規格を用いて構成することができる。また、サーバー装置400は、上記寿命判定プログラム321や、たるみ判定プログラム322を記憶する記憶装置及び演算部を備えたコンピュータによって構成されている。
【0029】
<寿命判定処理>
ついで、チェーンの寿命判定処理について、
図5及び
図6に基づいて説明をする。上述した寿命判定プログラム321が実行されるとCPU301は、チェーン4の伸びから寿命を判定する寿命判定部311として機能し、寿命判定処理を実行する。具体的には、
図6に示すように、ユーザは、チェーンの寿命判定処理を実行するに際し、まず、チェーン測定装置2の電源スイッチ35をONすると共に、端末装置3内にて寿命判定プログラム321を含むチェーン測定アプリを起動する(
図6のステップS1)。
【0030】
ついで、これらチェーン測定装置2及び端末装置3側のチェーン測定アプリを起動させると、これらチェーン測定装置2及び端末装置3がペアリングされる(S2)。チェーン測定装置2と端末装置3とがペアリングされると、ユーザは、チェーン測定装置2のスライドシャフト9を筐体7内に向けて押し込む。スライドシャフト9が押し込まれると、端末装置3がチェーン測定装置2から初期値を取得し、これら端末装置3とチェーン測定装置2との間の通信が正常に行われているか否かが確認される(S3)。
【0031】
そして、通信が正常であることが確認されると、ユーザは、端末装置3を操作して、測定対象のチェーンの種類を選択する。本実施の形態にでは、選択可能な複数のチェーンサイズ及びシールタイプの中から適合するチェーンサイズ及びシールタイプを選択する(S4)。そして、チェーン4のサイズ及びシールタイプが選択されると、チェーン測定装置2のスライドシャフト9が解放された状態(スライドシャフト9が押し込まれていない状態)で端末装置3を操作して、キャリブレーションを実行する(S5)。キャリブレーションが行われることで、解放状態におけるプローブピン11の初期位置(以下、キャリブレーション値という)が校正され、その結果が端末装置3へと通信される。
【0032】
上記キャリブレーションが終了すると、チェーン測定装置2の表示装置としてのLED40(
図3参照)が赤く点灯し、ユーザは、この状態でチェーン測定装置2をチェーン4へと取り付ける(S6)。具体的には、ユーザは、スライドシャフト9を押し込んで、プローブピン11,12間のリンク数が規定のリンク数となるようにして、チェーン測定装置2をチェーン4へと取り付ける。なお、本実施の形態では、LED40の点灯によりキャリブレーションの完了を報知したが、例えば、端末装置3のディスプレイにキャリブレーションが完了した旨を表示することによって報知しても良い。また、LED40の点灯によりチェーン測定装置2の電源がオンになったことを報知するようにしても良い。
【0033】
そして、チェーン測定装置2がチェーン4に取り付けられると、ユーザは、端末装置3を操作し(例えば、ディスプレイ309のタップ)、測定を開始させる(S7)。プローブピン11の位置(以下、実測値という)の測定が終了すると(S8)、チェーン測定装置2から端末装置3へと測定されたデータが通信される。
【0034】
端末装置3は、チェーン測定装置2から測定結果が通信されて来ると、ステップS4で選択されたチェーンのサイズ及びタイプ情報からゼロ補正値を取得し、上記実測値と、ゼロ補正値によって補正されたキャリブレーション値との差分を演算し、この差分をチェーン4の伸び量(変位)とする(S9)。
【0035】
なお、上述したゼロ補正値とは、チェーン伸びが無かった場合の設計上のプローブピン11の位置と、キャリブレーションが行われた初期位置との差分を表す値であり、チェーンの種類ごとに異なる。このため、ゼロ補正値によってキャリブレーション値を補正することによって、チェーン伸びが無かった場合の設計上のプローブピン11の位置を求めることができ、実測値と、ゼロ補正値によって補正されたキャリブレーション値との差分を求めることで、チェーン4の伸び量を求めることができる。
【0036】
上記チェーン4の伸び量が求められると、端末装置3は、選択されたチェーン4の基準長さに対する伸び量の割合である伸び率を算出し、この伸び率の値に基づいて、チェーンの寿命を判定する。そして、判定したチェーン寿命に関する結果を端末装置3のディスプレイ309に表示すると共に、端末装置3は、判定結果をチェーン測定装置2に通信する(S10)。なお、本実施の形態では、ディスプレイ309には、チェーンの伸び率が表示されると共に、「チェーンは良好です」「チェーンの交換時期が近づいています」「チェーンの交換を推奨します」の3段階で、チェーン寿命の診断結果を表示する。
【0037】
また、チェーン測定装置2は、判定結果を受信すると、LED40を点灯させてユーザに報知する。なお、上述したチェーンの寿命を判定するためのチェーンの伸び率の閾値は、チェーンの種類に応じて異なる値に設定されている。また、チェーン寿命の診断結果は、文字の他にも色によってディスプレイ309上に示しても良いし、例えば、チェーン寿命をパーセンテージ表示でディスプレイ309上に示しても良い。
【0038】
<たるみ判定処理>
ついで、チェーンのたるみ判定処理について、
図5,
図7及び
図8に基づいて説明をする。上述したたるみ判定プログラム322を実行されるとCPU301は、チェーン4のたるみが適正な範囲にあるか否かを判定するたるみ判定部312として機能し、たるみ判定処理を実行する。具体的には、
図7に示すように、ユーザは、チェーンのたるみ判定処理を実行するに際し、チェーン測定装置2の電源スイッチ35をONすると共に、端末装置3内にてたるみ判定プログラム322を含むチェーン測定アプリを起動する(
図7のステップS20)。
【0039】
そして、これらチェーン測定装置2及び端末装置3側のチェーン測定アプリが起動すると、これらチェーン測定装置2及び端末装置3がペアリングされる(S21)。チェーン測定装置2と端末装置3とがペアリングされると、ユーザは、チェーン測定装置2をチェーン4に取り付ける(S22、
図8の(a)から(b))。
【0040】
チェーン4に対してチェーン測定装置2が取り付けられると、ユーザは、
図8(c)に示すように、チェーン測定装置2を上死点まで持ち上げる(S23)。上死点までチェーン測定装置2が持ち上げられると、この上死点におけるXYZ軸方向の加速度が初期値として、チェーン測定装置2から端末装置3へと通信される(S24)。なお、この初期値は、Z軸方向の加速度の水平方向の補正に使用される。
【0041】
上記加速度の初期値が取得されると、ユーザは、端末装置3を操作し(例えば、ディスプレイ309のタップ)、測定を開始すると共に、チェーン測定装置2から手を離して落下させる(S25、
図8(d)参照)。チェーン測定装置2の加速度センサ22は、ステップS25で測定が開始されると、所定時間(例えば、本実施の形態では最大0.5sec)の間、Z軸方向(重力方向)の加速度を測定し、端末装置3に送信する(S26)。
【0042】
上記チェーン測定装置2から送信された加速度の測定値は、端末装置3の記憶部302,303に加速度の時系列データとして保存され、端末装置3のCPU301は、この時系列データにおける加速度の最大値を検出する(S28)。
【0043】
上記加速度の最大値が検出されると、この加速度が最大値を取った時点でチェーン測定装置2が下死点に到達したものとみなし(
図8(d)の状態)、端末装置3のCPU301は、Z方向の加速度を開始値から最大値までの間で二階数値積分し(S29)、この二階数値積分されたZ方向の加速度の値をチェーン4のたるみ量(たるみ変位)の推算値とする(S30)。
【0044】
そして、端末装置3のCPU301は、上記演算したチェーン4のたるみ量が、記憶部302,303に記憶されている適正なたるみ範囲内にあるか否かを判定し、その判定結果をディスプレイ309に表示する。例えば、本実施の形態では、演算したたるみ量が適正範囲内であれば、「適正範囲内です」と表示する。また、演算したたるみ量が、たるみが少ない側に上記適正範囲から外れている場合、「チェーンを張り過ぎです、緩めてください」と判定結果と共に追加調整の指示をディスプレイ309に表示する。更に、演算したたるみ量が、たるみが多い側に上記適正範囲から外れている場合、「チェーンがたるみ過ぎです、張りを強めてください」と判定結果と共に追加調整の指示をディスプレイ309に表示する。また、端末装置3は、判定結果をチェーン測定装置2に通信し、その結果をチェーン測定装置2のLED40を用いてユーザに報知する(S31)。
【0045】
<まとめ>
【0046】
上述したように、本実施の形態に係るチェーン測定装置(2)は、スプロケット(51,52)に巻回されたチェーン(4)のたるみ量を測定するためのチェーン測定装置(2)であって、
重力方向の加速度を検出可能な加速度センサ(22)を備えた本体部(5)と、
前記チェーン(4)に対して前記本体部(5)を取り付ける取付部(6)と、を備え、
前記加速度センサ(22)は、前記チェーン(4)に取り付けられた前記本体部(5)が、前記チェーン(4)のたるみ量の範囲で上方に持ち上げられてから落下させられた際に前記重力方向の加速度を検出するように構成されている。
【0047】
このように、加速度センサ22を内蔵したチェーン測定装置2をチェーン4に取り付け、チェーン4のたるみの範囲内でチェーン測定装置2を上方に持ち上げて落下させることによって、上記たるみ範囲内にてチェーン測定装置2が落下した際の加速度の応答値を取得することができる。そして、この加速度の時系列データを二階数値積分することによって、チェーン4のたるみ量を演算することができる。このような方法であれば、チェーン測定装置2を持ち上げて落下させるだけで、チェーン4のたるみ量を測定することができ、チェーン4のたるみ量の測定を簡単にすることができると共に、測定する作業者間による誤差も小さくすることができる。
【0048】
前記取付部(6)は、無端状の前記チェーン(4)に対して前記本体部(5)を取り付けるように構成され、
前記本体部(5)は、前記チェーン(4)に取り付けられた際に、前記チェーン(4)の走行方向に延びる筐体(7)を備え、
前記筐体(7)は、前記取付部(6)により前記本体部(5)が前記チェーン(4)に取り付けられた際に、前記チェーン(4)と当接するガイド面を有する。
【0049】
このように、筐体7がチェーンと当接するガイド面とすることによって、チェーン測定装置2をチェーン4に取り付ける際に、加速度センサ22を内蔵した本体部5を極力、傾けずチェーン4へと取り付けることが可能になり、加速度センサ22による測定精度を向上させることができる。
【0050】
前記本体部(5)は、
前記筐体(7)の延設方向における第1端から突出し、スライド可能に支持された第1シャフト(9)と、
前記筐体(7)の前記延設方向における前記第1端とは反対側の第2端から突出する第2シャフト(10)と、
前記第1シャフト(9)を前記筐体(7)から突出する方向に向かって付勢する付勢部材(15)と、を備え、
前記取付部(6)は、
前記第1シャフト(9)から前記第1シャフト(9)の軸方向と交差する方向に向かって延びる第1部材(11)と、
前記第2シャフト(10)から前記第2シャフト(10)の軸方向と交差する方向に向かって延びる第2部材(12)と、を備え、
前記第1及び第2部材(11,12)が、前記走行方向における異なる位置において、前記チェーン(4)のローラ間に挿入されることによって、前記本体部(5)は前記チェーン(4)に対して取り付けられる。
【0051】
このため、チェーン4のたるみ側に取り付けられるチェーン測定装置2であっても、第1及び第2部材11,12の間で上記付勢部材15によって適切な張力を付与することができる。そして、筐体7の上面71がガイド面であることと相俟って、取り付け時の本体部5の傾きを抑制することができる。
【0052】
なお、本実施の形態では、コイルスプリングを用いて上記付勢部材15を構成したが、チェーン4に対して適切な張力を付与することができれば、どのような種類の弾性部材であっても良く、また、第1及び第2部材11,12は、必ずしもプローブピンによって構成されなくとも良い。また、本実施の形態では、上面71をガイド面としたが、下面72(
図3(b)参照)をガイド面としてもよい。この場合、プローブピン11,12は重力方向(下方)に延びるようシャフト9,10に取り付けられており、本体部5は、チェーンに対して上方側(内周側)から取り付けられる。さらに、シャフト9,10、付勢部材15、第1部材11、第2部材12を省略する一方、取付部(6)として、マジックバンドのような締結部材を筐体7に設け、筐体7をチェーンに固定してもよい。
【0053】
前記本体部(5)は、前記第1部材(11)と前記第2部材(12)との間の距離に基づいて前記チェーン(4)の伸び量を検出するための検出センサ(19)を備えている。
【0054】
このように、検出センサ19を設けることによって、チェーン測定装置2を用いて、チェーン4のたるみ量のみならず、チェーン4の伸びについても簡単かつ正確に測定することが可能となる。特に、上記付勢部材15によってチェーン4に張力を付与し、かつ、筐体7のガイド面71によってもチェーン4のカテナリーを抑制した状態にて、チェーン4の伸びを測定することが可能となるため、精度良くチェーンの伸びを測定することができる。なお、本実施の形態では、第1部材としてのプローブピン11の位置を検出するポジションセンサ19によって上記検出センサを構成したが、例えば、プローブピン11,12の間の距離を検出するセンサ等によって構成されても良い。
【0055】
前記第1部材(11)及び第2部材(12)は、ぞれぞれ、前記チェーン(4)のローラ間に挿入される先端部(11t,12t)を有し、
前記第1部(11)材及び第2部材(12)の先端部(11t,12t)のそれぞれは、
前記先端部(11t,12t)が前記チェーンのローラ間に挿入された際に前記チェーン(4)の幅方向に対応する方向を第1方向、前記先端部(11t,12t)が前記チェーン(4)のローラ間に挿入された際に前記チェーン(4)の走行方向に対応する方向を第2方向とした際に、
その断面形状において、前記第1方向の長さ(L1)が前記第2方向の長さ(L2)よりも短くなっている。
【0056】
このように、第1部材(11)及び第2部材(12)の先端部(11t,12t)の第1方向の幅を狭く構成したことによって、例えば、自転車用チェーンのようなチェーン幅の狭いチェーンに対しても、チェーン測定装置2を取り付けることができる。
【0057】
また、本実施の形態では、上述したチェーン測定装置(2)と、このチェーン測定装置(2)とは別体に構成されたコンピュータ(3)と、によってチェーン測定システム(1)を構成しており、
前記チェーン測定装置(2)は、前記コンピュータ(3)と通信可能な通信モジュール(23)を備え、
前記端末装置(3)は、
前記本体部(5)が前記チェーン(4)のたるみ量の範囲で上方に持ち上げられてから落下させられた際に前記加速度センサ(22)が検出した前記重力方向の加速度の時系列データを記憶する記憶部(302,303)と、
前記記憶部(302,303)に記憶された前記加速度の時系列データに基づいて前記チェーン(4)のたるみ量を演算する演算部(301)を備えている。
【0058】
このように、加速度を測定するチェーン測定装置2と、チェーン測定装置2が測定した加速度の時系列データに基づいてチェーンのたるみ量を演算するコンピュータ3と、を別体に構成したことによって、チェーン測定装置2を安価に製造することができる。また、端末装置3側では、過去に測定したたるみ量などのログデータ323を記憶部に保持しておくことができ、チェーンの状態の変遷を容易に確認することができる。
【0059】
また、上記コンピュータ3の演算部301は、検出センサ19の検出結果に基づいて、チェーンの伸びについても演算することができるため、単一の端末装置3によって、チェーン4のたるみ量と伸び量とを一元的に測定及び管理することができる。なお、このコンピュータ3は、スマートフォン以外にも、デスクトップ端末等によって構成されても良い。また、このコンピュータは、上述したスマートフォンや、デスクトップ端末などの端末装置以外にも、端末装置3と通信可能なサーバー装置400によって構成されても良い。例えば、チェーン測定装置2の測定データ(加速度の時系列データや、チェーン4の伸び量に関するデータ)を、端末装置3を介して、サーバー装置400が取得するような構成としても良い。そして、このサーバー装置400が、演算部により、記憶部に記憶した寿命判定プログラム321や、たるみ判定プログラム322に基づいて、チェーンのたるみ量や、チェーンの伸び量に関するデータを演算するようにしても良い。この場合、サーバー装置400によって演算された結果は、端末装置3に通信され、ユーザに対して表示される。なお、チェーン測定装置2は、端末装置3を介してサーバー装置400と間接的に通信しても、インターネットワークにアクセスして、サーバー装置400と直接的に通信できるようにしても良い。このように、間接的及び直接的などちらの通信であっても、本実施の形態では、チェーン測定装置2が通信モジュールによって、コンピュータ400と通信可能と言うものとする。更に、各種ログ情報についても、サーバー装置400に保存するようにしても良い。
【0060】
本実施形態に係るチェーン(4)のたるみ量の演算方法では、コンピュータ(3)が以下の処理を実行する。
a)前記チェーン(4)に取り付けられた加速度センサ(22)が前記チェーン(4)のたるみ量の範囲で上方に持ち上げられてから落下させられた際に検出した重力方向の加速度の時系列データを取得する。
b)前記取得した重力方向の加速度の時系列データの所定範囲について二階数値積分をし、前記チェーン(4)のたるみ量を演算する。
【0061】
このように、重力方向の加速度の時系列データを二階数値積分することによって、チェーン4のたるみ量を演算することができる。
【0062】
上記チェーン(4)のたるみ量の演算方法を、コンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム(322)。
【0063】
このように、チェーン(4)のたるみ量の演算方法をコンピュータプログラム322として構成することによって、例えば、スマートフォンのアプリのような形で、当該たるみ量の演算方法を実装することができる。なお、本実施の形態では、上記プログラム322は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体の一例であるROM302に格納されている。
【0064】
また、上述した実施の形態では、チェーン測定装置2と、端末装置3とを別体に設けたが、例えば、端末装置3の演算部301及び記憶部302,303をチェーン測定装置2側に設けても良い。この場合、演算されたたるみ量や、チェーンの伸びを表示するための表示装置として、チェーン測定装置2は、
図9に示すように、ディスプレイ100を備えていることが望ましい。なお、チェーン測定装置2は、端末装置3を用いてチェーン4のたるみ量及びチェーン4の伸びを演算する場合であっても、ディスプレイ100を備えていても当然に良い。また、上述した実施の形態に記載された発明は、どのように組み合わされても良い。
【符号の説明】
【0065】
2:チェーン測定装置
4:チェーン
5:本体部
6:取付部
22:加速度センサ
51,52:スプロケット