(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-31
(45)【発行日】2025-04-08
(54)【発明の名称】液体吐出ヘッドおよび記録装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20250401BHJP
【FI】
B41J2/01 301
(21)【出願番号】P 2021215313
(22)【出願日】2021-12-28
【審査請求日】2024-05-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】道廣 利昭
【審査官】上田 正樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-095915(JP,A)
【文献】特開2023-031359(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0018941(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出する複数のノズルと、前記複数のノズルから液体を吐出させる複数の素子と、前記複数の素子それぞれに電気的に接続された複数の端子とを有する吐出部材と、
前記複数の端子に対応する複数の信号線を有するフレキシブル基板と、
前記吐出部材と前記フレキシブル基板とを電気的に接続する中継基板と
を備え、
前記中継基板は、
前記吐出部材の前記複数の端子に接合される複数の第1パッドと、
前記フレキシブル基板の前記複数の信号線に接合される複数の第2パッドと、
前記複数の第1パッドと前記複数の第2パッドとを接続する複数の配線と
を有し、
前記複数の第2パッドの各々の面積は、前記複数の第1パッドの各々の面積よりも大き
く、
前記複数の第2パッドは、前記中継基板の前記吐出部材側の一端部から他端部に向かう第1方向に沿って並ぶ複数の領域に、前記第1方向と交差する第2方向において互いに隣接しないように位置する、液体吐出ヘッド。
【請求項2】
液体を吐出する複数のノズルと、前記複数のノズルから液体を吐出させる複数の素子と、前記複数の素子それぞれに電気的に接続された複数の端子とを有する吐出部材と、
前記複数の端子に対応する複数の信号線を有するフレキシブル基板と、
前記吐出部材と前記フレキシブル基板とを電気的に接続する中継基板と
を備え、
前記中継基板は、
前記吐出部材の前記複数の端子に接合される複数の第1パッドと、
前記フレキシブル基板の前記複数の信号線に接合される複数の第2パッドと、
前記複数の第1パッドと前記複数の第2パッドとを接続する複数の配線と
を有し、
前記複数の第2パッドの各々の面積は、前記複数の第1パッドの各々の面積よりも大きく、
前記中継基板は、
前記複数の第1パッドに接続される一端よりも前記複数の第2パッドに接続される他端において配線間の間隔が大きい前記複数の配線を有する、液体吐出ヘッド。
【請求項3】
液体を吐出する複数のノズルと、前記複数のノズルから液体を吐出させる複数の素子と、前記複数の素子それぞれに電気的に接続された複数の端子とを有する吐出部材と、
前記複数の端子に対応する複数の信号線を有するフレキシブル基板と、
前記吐出部材と前記フレキシブル基板とを電気的に接続する中継基板と
を備え、
前記中継基板は、
前記吐出部材の前記複数の端子に接合される複数の第1パッドと、
前記フレキシブル基板の前記複数の信号線に接合される複数の第2パッドと、
前記複数の第1パッドと前記複数の第2パッドとを接続する複数の配線と
を有し、
前記複数の第2パッドの各々の面積は、前記複数の第1パッドの各々の面積よりも大きく、
前記中継基板は、前記吐出部材へ向けられる第1面と、前記第1面の反対側に位置する第2面とを有し、
前記複数の第1パッド、前記複数の第2パッドおよび前記複数の配線は、前記第1面に位置する、液体吐出ヘッド。
【請求項4】
前記複数の第2パッドは、前記中継基板の前記吐出部材側の一端部から他端部に向かう第1方向に沿って並ぶ複数の領域に、前記第1方向と交差する第2方向において互いに隣接しないように位置する、請求項
3に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項5】
前記吐出部材の駆動を制御する駆動ICをさらに備え、
前記駆動ICは、前記第1面に位置する、請求項
3に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項6】
前記中継基板は、前記吐出部材へ向けられる第1面と、前記第1面の反対側に位置する第2面と、前記第1面と前記第2面とに繋がる側面とを有し、
前記複数の第1パッドは、前記第1面に位置し、
前記複数の第2パッドは、前記第2面に位置し、
前記複数の配線は、前記側面を介して前記第1面および前記第2面に引き回されて位置する、若しくは、前記第1面および前記第2面を貫通して位置する、請求項
3に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項7】
前記複数の第2パッドは、前記複数の第1パッドと平面視で重なる位置に位置する、請求項6に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項8】
液体を吐出する複数のノズルと、前記複数のノズルから液体を吐出させる複数の素子と、前記複数の素子それぞれに電気的に接続された複数の端子とを有する吐出部材と、
前記複数の端子に対応する複数の信号線を有するフレキシブル基板と、
前記吐出部材と前記フレキシブル基板とを電気的に接続する中継基板と
を備え、
前記中継基板は、
前記吐出部材の前記複数の端子に接合される複数の第1パッドと、
前記フレキシブル基板の前記複数の信号線に接合される複数の第2パッドと、
前記複数の第1パッドと前記複数の第2パッドとを接続する複数の配線と
を有し、
前記複数の第2パッドの各々の面積は、前記複数の第1パッドの各々の面積よりも大きく、
前記中継基板は、前記吐出部材へ向けられる第1面と、前記第1面の反対側に位置する第2面と、前記第1面と前記第2面とに繋がる側面とを有し、
前記複数の第1パッドは、前記第1面に位置し、
前記複数の第2パッドは、前記第2面に位置し、
前記複数の配線は、前記側面を介して前記第1面および前記第2面に引き回されて位置する、若しくは、前記第1面および前記第2面を貫通して位置し、
前記吐出部材の駆動を制御する駆動ICをさらに備え、
前記駆動ICは、前記第2面に位置する
、液体吐出ヘッド。
【請求項9】
前記吐出部材の上に位置し、内部に前記吐出部材に供給される前記液体が流れる流路を有するサポート基板をさらに備える、請求項
3に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項10】
前記中継基板は、前記吐出部材の上に位置し、
前記中継基板は、前記吐出部材からの高さが前記サポート基板よりも低い、請求項9に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項11】
液体を吐出する複数のノズルと、前記複数のノズルから液体を吐出させる複数の素子と、前記複数の素子それぞれに電気的に接続された複数の端子とを有する吐出部材と、
前記複数の端子に対応する複数の信号線を有するフレキシブル基板と、
前記吐出部材と前記フレキシブル基板とを電気的に接続する中継基板と
を備え、
前記中継基板は、
前記吐出部材の前記複数の端子に接合される複数の第1パッドと、
前記フレキシブル基板の前記複数の信号線に接合される複数の第2パッドと、
前記複数の第1パッドと前記複数の第2パッドとを接続する複数の配線と
を有し、
前記複数の第2パッドの各々の面積は、前記複数の第1パッドの各々の面積よりも大きく、
前記吐出部材の上に位置し、内部に前記吐出部材に供給される前記液体が流れる流路を有するサポート基板をさらに備え、
前記中継基板は、前記吐出部材の上に位置し、
前記中継基板は、前記吐出部材からの高さが前記サポート基板よりも高い
、液体吐出ヘッド。
【請求項12】
液体を吐出する複数のノズルと、前記複数のノズルから液体を吐出させる複数の素子と、前記複数の素子それぞれに電気的に接続された複数の端子とを有する吐出部材と、
前記複数の端子に対応する複数の信号線を有するフレキシブル基板と、
前記吐出部材と前記フレキシブル基板とを電気的に接続する中継基板と
を備え、
前記中継基板は、
前記吐出部材の前記複数の端子に接合される複数の第1パッドと、
前記フレキシブル基板の前記複数の信号線に接合される複数の第2パッドと、
前記複数の第1パッドと前記複数の第2パッドとを接続する複数の配線と
を有し、
前記複数の第2パッドの各々の面積は、前記複数の第1パッドの各々の面積よりも大きく、
前記吐出部材の上に位置し、内部に前記吐出部材に供給される前記液体が流れる流路を有するサポート基板をさらに備え、
前記中継基板と前記サポート基板とは、一体化されている
、液体吐出ヘッド。
【請求項13】
前記サポート基板は、前記吐出部材へ向けられる第1面と、前記第1面の反対側に位置する第2面とを有し、
前記吐出部材の駆動を制御する駆動ICをさらに備え、
前記駆動ICは、前記第1面または前記第2面に位置する、請求項12に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項14】
前記駆動ICは、低温ポリシリコン(LTPS:Low-Temperature Poly Silicon)膜で形成される、請求項13に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一つに記載の液体吐出ヘッドを備える記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、液体吐出ヘッドおよび記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷装置として、インクジェット記録方式を利用したインクジェットプリンタやインクジェットプロッタが知られている。このようなインクジェット方式の印刷装置には、液体を吐出させるための液体吐出ヘッドが搭載されている。
【0003】
かかる液体吐出ヘッドでは、例えば、液体を吐出する吐出部材に設けられた複数の個別電極が異方導電性接合材によって可撓性のフレキシブル基板の複数の信号線にそれぞれ接合されることにより、吐出部材とフレキシブル基板とが電気的に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の液体吐出ヘッドでは、吐出部材とフレキシブル基板との間の接続信頼性を向上するという点でさらなる改善の余地がある。
【0006】
実施形態の一態様は、上記に鑑みてなされたものであって、吐出部材とフレキシブル基板との間の接続信頼性を向上することができる液体吐出ヘッドおよび記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の一態様による液体吐出ヘッドは、吐出部材と、フレキシブル基板と、中継基板とを備える。吐出部材は、液体を吐出する複数のノズルと、複数のノズルから液体を吐出させる複数の素子と、複数の素子それぞれに電気的に接続された複数の端子とを有する。フレキシブル基板は、複数の端子に対応する複数の信号線を有する。中継基板は、吐出部材とフレキシブル基板とを電気的に接続する。中継基板は、複数の第1パッドと、複数の第2パッドと、複数の配線とを有する。複数の第1パッドは、吐出部材の複数の端子に接合される。複数の第2パッドは、フレキシブル基板の複数の信号線に接合される。複数の配線は、複数の第1パッドと複数の第2パッドとを接続する。複数の第2パッドの各々の面積は、複数の第1パッドの各々の面積よりも大きい。
【発明の効果】
【0008】
実施形態の一態様によれば、吐出部材とフレキシブル基板との間の接続信頼性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態に係るプリンタの概略的な正面を模式的に示す正面図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係るプリンタの概略的な平面を模式的に示す平面図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る液体吐出ヘッドの内部構成を示す側面模式図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る吐出部材およびサポート基板の側断面を示す模式図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る吐出部材、中継基板およびフレキシブル基板の構成を示す側面模式図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る中継基板とフレキシブル基板との接続部の構成の一例を示す平面模式図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る中継基板とフレキシブル基板の接続部の構成の他の一例を示す平面模式図である。
【
図8】
図8は、変形例1に係る吐出部材、中継基板およびフレキシブル基板の構成を示す側面模式図である。
【
図9】
図9は、変形例2に係る吐出部材、中継基板およびフレキシブル基板の構成を示す側面模式図である。
【
図10】
図10は、変形例3に係る吐出部材、中継基板およびフレキシブル基板の構成を示す側面模式図である。
【
図11】
図11は、変形例4に係る吐出部材、中継基板およびフレキシブル基板の構成を示す側面模式図である。
【
図12】
図12は、変形例5に係る液体吐出ヘッドの内部構成を示す側面模式図である。
【
図13】
図13は、変形例6に係る液体吐出ヘッドの内部構成を示す側面模式図である。
【
図14】
図14は、変形例7に係る液体吐出ヘッドの内部構成を示す側面模式図である。
【
図15】
図15は、中継基板の配置位置の一例を示す平面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する液体吐出ヘッドおよび記録装置の実施形態について説明する。なお、以下に示す実施形態により本開示が限定されるものではない。また、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実と異なる場合があることに留意する必要がある。さらに、図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
【0011】
また、以下に示す実施形態では、「一定」、「直交」、「垂直」あるいは「平行」といった表現が用いられる場合があるが、これらの表現は、厳密に「一定」、「直交」、「垂直」あるいは「平行」であることを要しない。すなわち、上記した各表現は、たとえば製造精度、設置精度などのずれを許容するものとする。
【0012】
また、各実施形態は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。また、以下の各実施形態において同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略される。
【0013】
<プリンタの構成>
まず、
図1および
図2を参照して実施形態に係る記録装置の一例であるプリンタ1の概要について説明する。
図1は、実施形態に係るプリンタ1の概略的な正面を模式的に示す正面図である。
図2は、実施形態に係るプリンタ1の概略的な平面を模式的に示す平面図である。実施形態に係るプリンタ1は、たとえば、カラーインクジェットプリンタである。
【0014】
図1に示すように、プリンタ1は、給紙ローラ2と、ガイドローラ3と、塗布機4と、ヘッドケース5と、複数の搬送ローラ6と、複数のフレーム7と、複数の液体吐出ヘッド8と、搬送ローラ9と、乾燥機10と、搬送ローラ11と、センサ部12と、回収ローラ13とを備える。搬送ローラ6は、搬送部の一例である。
【0015】
さらに、プリンタ1は、プリンタ1の各部を制御する制御部14を有している。制御部14は、給紙ローラ2、ガイドローラ3、塗布機4、ヘッドケース5、複数の搬送ローラ6、複数のフレーム7、複数の液体吐出ヘッド8、搬送ローラ9、乾燥機10、搬送ローラ11、センサ部12および回収ローラ13の動作を制御する。
【0016】
プリンタ1は、印刷用紙Pに液滴を着弾させることにより、印刷用紙Pに画像や文字の記録を行う。印刷用紙Pは、記録媒体の一例である。印刷用紙Pは、使用前において給紙ローラ2に巻かれた状態になっている。プリンタ1は、印刷用紙Pを、給紙ローラ2からガイドローラ3および塗布機4を介してヘッドケース5の内部に搬送する。
【0017】
塗布機4は、コーティング剤を印刷用紙Pに一様に塗布する。これにより、印刷用紙Pに表面処理を施すことができることから、プリンタ1の印刷品質を向上させることができる。
【0018】
ヘッドケース5は、複数の搬送ローラ6と、複数のフレーム7と、複数の液体吐出ヘッド8とを収容する。ヘッドケース5の内部には、印刷用紙Pが出入りする部分などの一部において外部と繋がっている他は、外部と隔離された空間が形成されている。
【0019】
ヘッドケース5の内部空間は、必要に応じて、温度、湿度、および気圧などの制御因子のうち、少なくとも1つが制御部14によって制御される。搬送ローラ6は、ヘッドケース5の内部で印刷用紙Pを液体吐出ヘッド8の近傍に搬送する。
【0020】
フレーム7は、矩形状の平板であり、搬送ローラ6で搬送される印刷用紙Pの上方に近接して位置している。また、
図2に示すように、フレーム7は、長手方向が印刷用紙Pの搬送方向に直交するように位置している。そして、ヘッドケース5の内部には、複数(たとえば、4つ)のフレーム7が、印刷用紙Pの搬送方向に沿って所定の間隔で位置している。
【0021】
液体吐出ヘッド8には、図示しない液体タンクから液体、たとえば、インクが供給される。液体吐出ヘッド8は、液体タンクから供給される液体を吐出する。
【0022】
制御部14は、画像や文字などのデータに基づいて液体吐出ヘッド8を制御し、印刷用紙Pに向けて液体を吐出させる。液体吐出ヘッド8と印刷用紙Pとの間の距離は、たとえば、0.5~20mm程度である。
【0023】
液体吐出ヘッド8は、フレーム7に固定されている。液体吐出ヘッド8は、長手方向が印刷用紙Pの搬送方向に直交するように位置している。
【0024】
すなわち、実施形態に係るプリンタ1は、プリンタ1の内部に液体吐出ヘッド8が固定されている、いわゆるラインプリンタである。なお、実施形態に係るプリンタ1は、ラインプリンタに限られず、いわゆるシリアルプリンタであってもよい。
【0025】
シリアルプリンタとは、液体吐出ヘッド8を、印刷用紙Pの搬送方向に交差する方向、たとえば、略直交する方向に往復させるなどして移動させながら記録する動作と、印刷用紙Pの搬送とを交互に行う方式のプリンタである。
【0026】
図2に示すように、1つのフレーム7に複数(たとえば、5つ)の液体吐出ヘッド8が固定されている。
図2では、印刷用紙Pの搬送方向の前方に3つ、後方に2つの液体吐出ヘッド8が位置している例を示しており、印刷用紙Pの搬送方向において、それぞれの液体吐出ヘッド8の中心が重ならないように液体吐出ヘッド8が位置している。
【0027】
そして、1つのフレーム7に位置する複数の液体吐出ヘッド8によって、ヘッド群8Aが構成されている。4つのヘッド群8Aは、印刷用紙Pの搬送方向に沿って位置している。同じヘッド群8Aに属する液体吐出ヘッド8には、4色のインクが供給される。これにより、プリンタ1は、4つのヘッド群8Aを用いて4色のインクによる印刷を行うことができる。
【0028】
各液体吐出ヘッド8から吐出されるインクの色は、たとえば、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、シアン(C)およびブラック(K)である。制御部14は、各液体吐出ヘッド8を制御して複数色のインクを印刷用紙Pに吐出することにより、印刷用紙Pにカラー画像を印刷することができる。
【0029】
なお、印刷用紙Pの表面処理をするために、液体吐出ヘッド8からコーティング剤を印刷用紙Pに吐出してもよい。
【0030】
また、1つのヘッド群8Aに含まれる液体吐出ヘッド8の個数や、プリンタ1に搭載されているヘッド群8Aの個数は、印刷する対象や印刷条件に応じて適宜変更可能である。たとえば、1つの液体吐出ヘッド8で印刷可能な範囲を印刷するのであれば、プリンタ1に搭載されている液体吐出ヘッド8の個数は1つでもよい。
【0031】
ヘッドケース5の内部で印刷処理された印刷用紙Pは、搬送ローラ9によってヘッドケース5の外部に搬送され、乾燥機10の内部を通る。乾燥機10は、印刷処理された印刷用紙Pを乾燥する。乾燥機10で乾燥された印刷用紙Pは、搬送ローラ11で搬送されて、回収ローラ13で回収される。
【0032】
プリンタ1では、乾燥機10で印刷用紙Pを乾燥することにより、回収ローラ13において、重なって巻き取られる印刷用紙P同士が接着したり、未乾燥の液体が擦れたりすることを抑制することができる。
【0033】
センサ部12は、位置センサや速度センサ、温度センサなどにより構成されている。制御部14は、センサ部12からの情報に基づいて、プリンタ1の各部における状態を判断し、プリンタ1の各部を制御することができる。
【0034】
ここまで説明したプリンタ1では、印刷対象(すなわち、記録媒体)として印刷用紙Pを用いた場合について示したが、プリンタ1における印刷対象は印刷用紙Pに限られず、ロール状の布などを印刷対象としてもよい。
【0035】
また、プリンタ1は、印刷用紙Pを直接搬送する代わりに、搬送ベルト上に載せて搬送するものであってもよい。搬送ベルトを用いることで、プリンタ1は、枚葉紙や裁断された布、木材、タイルなどを印刷対象とすることができる。
【0036】
また、プリンタ1は、液体吐出ヘッド8から導電性の粒子を含む液体を吐出するようにして、電子機器の配線パターンなどを印刷してもよい。また、プリンタ1は、液体吐出ヘッド8から反応容器などに向けて所定量の液体の化学薬剤や化学薬剤を含んだ液体を吐出させて、化学薬品を作製してもよい。
【0037】
また、プリンタ1は、液体吐出ヘッド8をクリーニングするクリーニング部を備えていてもよい。クリーニング部は、たとえば、ワイピング処理やキャッピング処理によって液体吐出ヘッド8の洗浄を行う。
【0038】
ワイピング処理とは、たとえば、柔軟性のあるワイパーで、液体が吐出される部位の面を払拭することで、液体吐出ヘッド8に付着していた液体を取り除く処理である。
【0039】
また、キャッピング処理は、たとえば、次のように実施する。まず、液体を吐出される部位、たとえば、吐出部材20の第2面20b(
図3参照)を覆うようにキャップを被せる(これをキャッピングという)。これにより、第2面20bとキャップとの間に、略密閉された空間が形成される。
【0040】
次に、このような密閉された空間で液体の吐出を繰り返す。これにより、吐出孔(ノズル)163(
図4参照)に詰まっていた、標準状態よりも粘度が高い液体や異物などを取り除くことができる。
【0041】
<液体吐出ヘッドの構成>
次に、
図3を参照して実施形態に係る液体吐出ヘッド8の構成について説明する。
図3は、実施形態に係る液体吐出ヘッド8の内部構成を示す側面模式図である。
図3においては、液体吐出ヘッド8の長手方向と直交する側面が示されている。
【0042】
液体吐出ヘッド8は、吐出部材20と、サポート基板30と、中継基板40と、フレキシブル基板50と、駆動IC60と、液体供給部材(不図示)とを備える。吐出部材20、サポート基板30、中継基板40、フレキシブル基板50、駆動IC60および液体供給部材は、不図示の筐体に収容されている。
【0043】
以下の説明において、便宜的に、液体吐出ヘッド8において吐出部材20が設けられる方向を「下」と表記し、吐出部材20に対してサポート基板30が設けられる方向を「上」と表記する場合がある。
【0044】
吐出部材20は、略平板形状であり、第1面20aと、第1面20aの反対側に位置する第2面20bとを有している。第1面20aは、不図示の開口を有し、サポート基板30からかかる開口を介して吐出部材20の内部に液体が供給される。
【0045】
第2面20bには、印刷用紙Pに液体を吐出する複数の吐出孔22(
図4参照)が位置している。吐出部材20は、第1面20aから第2面20bに液体を流す流路を内部に有している。
【0046】
吐出部材20は、複数の変位素子23(
図4参照)を有している。複数の変位素子23は、吐出部材20の第1面20a上に位置している。
【0047】
サポート基板30は、吐出部材20の第1面20a上に位置している。サポート基板30は、内部に流路を有しており、液体供給部材から供給される液体を吐出部材20に供給する。また、サポート基板30は、吐出部材20よりも厚い所定の厚みを有し、吐出部材20を補強する機能を有している。
【0048】
サポート基板30上には液体供給部材が位置している。液体供給部材には、印刷用紙Pの搬送方向である副走査方向に直交し、かつ印刷用紙Pに平行な方向である主走査方向の両端部に開口(不図示)が設けられている。液体供給部材は、内部に流路を有しており、外部から開口を介して液体が供給される。液体供給部材は、サポート基板30に液体を供給する。また、液体供給部材は、サポート基板30に供給される液体を貯留する。
【0049】
中継基板40は、吐出部材20の第1面20a上のサポート基板30を挟む2つの位置それぞれに位置している。中継基板40の一端部は、吐出部材20と電気的に接続され、中継基板40の他端部は、フレキシブル基板50と電気的に接続されている。中継基板40は、フレキシブル基板50によって伝達された信号を吐出部材20へ中継する機能を有する。中継基板40は、吐出部材20の第1面20aからの高さがサポート基板30よりも低い。これにより、サポート基板30上に液体供給部材を設置する際に、中継基板40と液体供給部材とが干渉する可能性を低減することができることから、液体供給部材のレイアウトの自由度を向上することができる。
【0050】
フレキシブル基板50は、可撓性を有する配線基板であり、外部から送られた信号を中継基板40に伝達する。フレキシブル基板50の一端部は、中継基板40と電気的に接続され、フレキシブル基板50の他端部は、サポート基板30よりも上方に引き出されており、不図示の配線基板と電気的に接続されている。
【0051】
駆動IC60は、フレキシブル基板50に搭載されている。駆動IC60は、制御部14(
図1参照)から送られた駆動信号に基づいて、吐出部材20における各変位素子23を駆動させる。これにより、駆動IC60は、液体吐出ヘッド8の駆動を制御することができる。
【0052】
なお、
図3は、液体吐出ヘッド8の構成の一例を示すものであり、
図3に示した部材以外の部材をさらに含んでもよい。
【0053】
<吐出部材およびサポート基板の構成>
次に、
図4を参照して実施形態に係る吐出部材20およびサポート基板30の構成について説明する。
図4は、実施形態に係る吐出部材20およびサポート基板30の側断面
を示す模式図である。
【0054】
図4に示すように、吐出部材20は、複数の加圧室21と、複数の吐出孔22、複数の変位素子23と、複数の端子24とを有している。
【0055】
複数の加圧室21は、サポート基板30における複数の流路31にそれぞれ繋がっている。複数の吐出孔22は、複数の加圧室21にそれぞれ繋がっている。複数の変位素子23は、吐出部材20の第1面20a上であって、複数の加圧室21にそれぞれ対応する複数の位置に位置している。
【0056】
複数の端子24は、吐出部材20の第1面20a上であって、サポート基板30を挟む位置に位置している。複数の端子24は、不図示の電極および配線を介して複数の変位素子23それぞれに電気的に接続されている。かかる複数の端子24には、フレキシブル基板50における複数の信号線がそれぞれ電気的に接続される。そして、フレキシブル基板50によって伝達される信号が端子24から変位素子23に入力されると、変位素子23が変位する。
【0057】
サポート基板30は、吐出部材20の第1面20a上に位置している。サポート基板30は、下面に複数の変位素子23をそれぞれ収容するための複数の空間を有している。サポート基板30は、内部に複数の流路31を有している。複数の流路31は、複数の加圧室21にそれぞれ繋がっている。複数の流路31は、サポート基板30の上面に開口している。また、サポート基板30の上面には、不図示の液体供給部材が位置している。複数の流路31は、液体供給部材に繋がっている。
【0058】
そして、液体供給部材から流路31を介して吐出部材20の内部に液体が供給されるとともに、対応する変位素子23が変位することにより、加圧室21が押圧され、吐出孔22から液体が吐出される。すなわち、複数の変位素子23は、複数の吐出孔22から液体を吐出させる複数の素子として機能する。
【0059】
図4に示すように、吐出部材20は、ノズルプレート20Aおよびアクチュエータプレート20Bが積層された積層構造を有している。ノズルプレート20Aには、複数の吐出孔22が設けられている。アクチュエータプレート20Bには、複数の加圧室21、複数の変位素子23および複数の端子24が設けられている。ノズルプレート20Aおよびアクチュエータプレート20Bが位置合わせされて積層されることにより、複数の加圧室21と複数の吐出孔22とが互いに連通して吐出部材20が構成される。
【0060】
<吐出部材、中継基板およびフレキシブル基板の接続態様>
次に、
図5および
図6を参照して、吐出部材20、中継基板40およびフレキシブル基板50の接続態様について説明する。
図5は、実施形態に係る吐出部材20、中継基板40およびフレキシブル基板50の構成を示す側面模式図である。
図6は、実施形態に係る中継基板40とフレキシブル基板50との接続部の構成の一例を示す平面模式図である。
図6においては、中継基板40の下面(つまり、吐出部材20へ向けられる面)が示されている。
【0061】
図5に示すように、吐出部材20の第1面20a上には複数の端子24(
図4参照)が位置しており、フレキシブル基板50の表面には複数の端子24に対応する複数の信号線51(
図6参照)が位置している。中継基板40の一端部は、吐出部材20の複数の端子24に接続され、中継基板40の他端部は、フレキシブル基板50の複数の信号線51に接続されている。すなわち、中継基板40の一端部には複数の第1パッド41(
図6参照)が形成されており、これら複数の第1パッド41と吐出部材20の複数の端子24とが導電性接合材401によって接合されている。また、中継基板40の他端部には複数の第2パッド42(
図6参照)が形成されており、これら複数の第2パッド42とフレキシブル基板50の複数の信号線51とが導電性接合材402によって接合されている。複数の第1パッド41と複数の第2パッド42とは、複数の配線43によってそれぞれ接続されている。導電性接合材401、402としては、たとえば、異方性導電フィルム(ACF:Anisotropic Conductive Film)を用いることができる。
【0062】
図6に示すように、中継基板40において、複数の第2パッド42の各々の面積は、複数の第1パッド41の各々の面積よりも大きい。このように、フレキシブル基板50の複数の信号線51と接合される複数の第2パッド42の各々の面積を大きくすることにより、フレキシブル基板50と中継基板40との接続不良を抑制することができる。すなわち、フレキシブル基板50を中継基板40に接続する際には、フレキシブル基板50の屈曲に伴い第2パッド42からの信号線51へ機械的負荷がかかるが、第2パッド42の面積を大きくすることで、信号線51への機械的負荷を低減させることができる。また、フレキシブル基板50を中継基板40に接続する際には、加熱により導電性接合材402を溶融するため、フレキシブル基板50の熱膨張が生じ、第2パッド42からの信号線51の位置ずれが生じ易い。かかる場合であっても、第2パッド42の面積を大きくすることにより、信号線51の位置ずれが生じていても、第2パッド42と信号線51との電気的な接続を確保することができる。フレキシブル基板50と中継基板40との接続不良を抑制することができることから、中継基板40によってフレキシブル基板50と吐出部材20とを安定的に接続することができる。その結果、実施形態に係る液体吐出ヘッド8によれば、吐出部材20とフレキシブル基板50との間の接続信頼性を向上することができる。なお、第1パッド41および第2パッド42の面積とは、中継基板40を平面視した平面視面積である。
【0063】
また、複数の第2パッド42は、中継基板40の吐出部材20側の一端部から他端部に向かう方向(以下「第1方向」と呼ぶ。)に沿って並ぶ複数(ここでは、2つ)の領域421に、第1方向と交差する第2方向において互いに隣接しないように位置している。これにより、第2パッド42どうしが干渉しない範囲で第2方向に沿った第2パッド42のサイズを拡大させることができることから、第2パッド42の面積をより大きくすることができる。
【0064】
また、
図5および
図6に示すように、複数の第1パッド41、複数の第2パッド42および複数の配線43は、中継基板40の吐出部材20へ向けられる下面に位置している。このように、複数の第1パッド41、複数の第2パッド42および複数の配線43が同一面である中継基板40の下面に位置することにより、複数の配線43の長さを最小限とすることができ、中継基板40における電気抵抗を低減することができる。
【0065】
なお、
図6では、複数の第2パッド42を互いに隣接しないように位置させて第2パッド42の面積を大きくする場合を例に示したが、中継基板40において第2パッド42の面積を大きくするための構造は、これに限定されない。例えば、
図7に示すように、中継基板40上で複数の配線43のピッチ変換を行うことで第2パッド42の面積を大きくしてもよい。
図7は、実施形態に係る中継基板40とフレキシブル基板50の接続部の構成の他の一例を示す平面模式図である。
図7に示す複数の配線43は、中継基板40上でピッチ変換されており、複数の第1パッド41側では配線43間のピッチ(間隔)が小さいが複数の第2パッド42側ではピッチ(間隔)が大きくなっている。これにより、第2パッド42どうしが干渉しない範囲で第2方向に沿った第2パッド42のサイズを拡大させることができることから、第2パッド42の面積をより大きくすることができる。
【0066】
<液体吐出ヘッドの製造方法>
次に、実施形態に係る液体吐出ヘッド8の製造方法について説明する。まず、吐出部材20の第1面20a上にサポート基板30を設置する。つづいて、ノズルプレート20Aおよびアクチュエータプレート20Bを位置合わせして積層することにより、吐出部材20の積層構造を作成する。つづいて、中継基板40の複数の第1パッド41と吐出部材20の複数の端子24とを導電性接合材401によって接合することにより、中継基板40と吐出部材20とを電気的に接続する。つづいて、中継基板40の複数の第2パッド42とフレキシブル基板50の複数の信号線51とを導電性接合材402によって接合することにより、中継基板40とフレキシブル基板50とを電気的に接続する。その後、サポート基板30上に液体供給部材を設置し、吐出部材20等の部材(および必要に応じてその他の部材)を筐体に収容する。これにより、実施形態に係る液体吐出ヘッド8が得られる。
【0067】
<各種変形例>
図8は、変形例1に係る吐出部材20、中継基板40およびフレキシブル基板50の構成を示す側面模式図である。
図8に示すフレキシブル基板50は、駆動IC60を搭載しておらず、駆動IC60は、中継基板40の下面(つまり、吐出部材20へ向けられる面)に位置している。このように、駆動IC60を中継基板40の下面に位置させることにより、駆動IC60と吐出部材20との間の配線長を短くすることができることから、駆動IC60と吐出部材20との間の抵抗損失を低減することができる。また、駆動IC60と吐出部材20との間の断線の可能性を低減することができることから、駆動IC60と吐出部材20との接続信頼性を向上することもできる。
【0068】
なお、
図8において、中継基板40の駆動IC60とは反対側の上面に放熱部材を設けてもよい。これにより、駆動IC60の放熱性を向上することができる。放熱部材としては、放熱フィン、ペルチェ素子などを用いてもよい。また、駆動IC60を保護カバーによって覆ってもよい。これにより、吐出部材20から吐出された液体が駆動IC60に付着することを抑制することができる。
【0069】
図9は、変形例2に係る吐出部材20、中継基板40およびフレキシブル基板50の構成を示す側面模式図である。
図9に示す中継基板40において、複数の第1パッド41は、中継基板40の吐出部材20へ向けられる下面に位置している。また、複数の第2パッド42は、中継基板の上面に位置している。また、複数の配線43は、中継基板40の側面を介して中継基板40の上面および下面に引き回されて位置している。このように、複数の第1パッド41および複数の第2パッド42が中継基板40の下面および上面に位置することにより、中継基板40の異なる面において吐出部材20とフレキシブル基板50とを電気的に接続することができる。これにより、中継基板40の吐出部材20側の一端部から他端部までの幅を小さくした場合であっても、吐出部材20とフレキシブル基板50との干渉が回避されることから、液体吐出ヘッド8の小型化を促進することができる。
【0070】
なお、
図9において、複数の配線43は、中継基板40の下面および上面を貫通して位置してもよい。これにより、複数の配線43の長さを短くすることができ、中継基板40における電気抵抗を低減することができる。
【0071】
図10は、変形例3に係る吐出部材20、中継基板40およびフレキシブル基板50の構成を示す側面模式図である。変形例3は、中継基板40の構造が変形例2とは異なる。
図10に示す中継基板40において、複数の第2パッド42は、複数の第1パッド41と平面視で重なる位置に位置している。これにより、中継基板40の吐出部材20側の一端部から他端部までの幅を最小限とすることができ、液体吐出ヘッド8の小型化をより促進することができる。
【0072】
図11は、変形例4に係る吐出部材20、中継基板40およびフレキシブル基板50の構成を示す側面模式図である。
図11に示すフレキシブル基板50は、駆動IC60を搭載しておらず、駆動IC60は、中継基板40の上面(つまり、吐出部材20へ向けられる面とは反対側の面)に位置している。このように、駆動IC60を中継基板40の上面に位置させることにより、吐出部材20から吐出される液体から駆動IC60を保護することができる。
【0073】
図12は、変形例5に係る液体吐出ヘッド8の内部構成を示す側面模式図である。
図12に示す液体吐出ヘッド8は、中継基板40の構造が
図3に示す液体吐出ヘッド8と異なる。
図12に示すように、中継基板40とサポート基板30とが吐出部材20上に位置しており、中継基板40は、吐出部材20の第1面20aからの高さがサポート基板30よりも高い。言い換えると、中継基板40の厚さがサポート基板30の厚さよりも厚い。このように中継基板40の厚さを厚くすることにより、中継基板40の強度を向上させることができる。また、サポート基板30上に液体供給部材を設置する際に、液体供給部材からサポート基板30に付与される負荷を緩和する緩衝材として中継基板40を利用することができる。
【0074】
図13は、変形例6に係る液体吐出ヘッド8の内部構成を示す側面模式図である。
図13に示す液体吐出ヘッド8は、中継基板40(
図6参照)とサポート基板30とが一体化されている点が
図3に示す液体吐出ヘッド8と異なる。言い換えると、中継基板40とサポート基板30とを同じ部材によって形成してもよい。変形例6にかかる液体吐出ヘッド8の例では、中継基板40の機能を備えたサポート基板30が、吐出部材20上に位置している。このように中継基板40とサポート基板30とを一体化させることにより、中継基板40とサポート基板30との間の隙間が無くなり、液体吐出ヘッド8の小型化を促進することができる。
【0075】
図14は、変形例7に係る液体吐出ヘッド8の内部構成を示す側面模式図である。
図14に示す液体吐出ヘッド8は、駆動IC60がサポート基板30の下面(つまり、吐出部材20へ向けられる面)に位置している点が
図13に示す液体吐出ヘッド8と異なる。このように、駆動IC60をサポート基板30の下面に位置させることにより、駆動IC60と吐出部材20との間の配線長を短くすることができることから、駆動IC60と吐出部材20との間の抵抗損失を低減することができる。また、駆動IC60と吐出部材20との間の断線の可能性を低減することができることから、駆動IC60と吐出部材20との接続信頼性を向上することもできる。
【0076】
なお、
図14において、駆動IC60は、サポート基板30の上面(つまり、吐出部材20へ向けられる面とは反対側の面)に位置してもよい。このように、駆動IC60をサポート基板30の上面に位置させることにより、吐出部材20から吐出される液体から駆動IC60を保護することができる。
【0077】
また、
図14において、駆動IC60は、低温ポリシリコン(LTPS:Low-Temperature Poly Silicon)膜で形成されてもよい。これにより、駆動IC60を小型化することができる。
【0078】
<その他の変形例>
上述の実施形態では、中継基板40が吐出部材20の第1面20a上のサポート基板30を挟む2つの位置それぞれに位置する例について示したが、中継基板40の配置位置はこれに限定されない。例えば、中継基板40は、
図15に示すように、吐出部材20の第1面20a上のサポート基板30を囲む位置に位置してもよい。すなわち、中継基板40の形状は、吐出部材20の第1面20a上のサポート基板30を囲む矩形枠形状であってもよい。これにより、中継基板40の強度を向上させることができる。なお、
図15は、中継基板40の配置位置の一例を示す平面模式図である。
図15においては、吐出部材20、サポート基板30および中継基板40を第1面20a側から見た状態が示されている。
【0079】
以上のように、実施形態に係る液体吐出ヘッド(例えば、液体吐出ヘッド8)は、吐出部材(例えば、吐出部材20)と、フレキシブル基板(例えば、フレキシブル基板50)と、中継基板(例えば、中継基板40)とを備える。吐出部材は、液体を吐出する複数のノズル(例えば、吐出孔22)と、複数のノズルから液体を吐出させる複数の素子(例えば、変位素子23)と、複数の素子それぞれに電気的に接続された複数の端子(例えば、端子24)とを有する。フレキシブル基板は、複数の端子に対応する複数の信号線(例えば、信号線51)を有する。中継基板は、吐出部材とフレキシブル基板とを電気的に接続する。中継基板は、複数の第1パッド(例えば、第1パッド41)と、複数の第2パッド(例えば、第2パッド42)と、複数の配線(例えば、配線43)とを有する。複数の第1パッドは、吐出部材の複数の端子に接合される。複数の第2パッドは、フレキシブル基板の複数の信号線に接合される。複数の配線は、複数の第1パッドと複数の第2パッドとを接続する。複数の第2パッドの各々の面積は、複数の第1パッドの各々の面積よりも大きい。これにより、実施形態に係る液体吐出ヘッドによれば、吐出部材とフレキシブル基板との間の接続信頼性を向上することができる。
【0080】
また、複数の第2パッドは、中継基板の吐出部材側の一端部から他端部に向かう第1方向に沿って並ぶ複数の領域(例えば、領域421)に、第1方向と交差する第2方向において互いに隣接しないように位置してもよい。これにより、実施形態に係る液体吐出ヘッドによれば、第2パッドの面積をより大きくすることができる。
【0081】
また、中継基板は、複数の第1パッドに接続される一端よりも複数の第2パッドに接続される他端において配線間の間隔が大きい複数の配線を有してもよい。これにより、実施形態に係る液体吐出ヘッドによれば、第2パッドの面積をより大きくすることができる。
【0082】
また、中継基板は、吐出部材へ向けられる第1面(例えば、下面)と、第1面の反対側に位置する第2面(例えば、上面)とを有してもよい。複数の第1パッド、複数の第2パッドおよび複数の配線は、第1面に位置してもよい。これにより、実施形態に係る液体吐出ヘッドによれば、複数の配線の長さを最小限とすることができ、中継基板における電気抵抗を低減することができる。
【0083】
また、液体吐出ヘッドは、吐出部材の駆動を制御する駆動IC(例えば、駆動IC60)をさらに備えてもよい。駆動ICは、第1面に位置してもよい。これにより、実施形態に係る液体吐出ヘッドによれば、駆動ICと吐出部材との間の抵抗損失を低減することができる。また、駆動ICと吐出部材との接続信頼性を向上することもできる。
【0084】
また、中継基板は、吐出部材へ向けられる第1面と、第1面の反対側に位置する第2面と、第1面と第2面とに繋がる側面とを有してもよい。複数の第1パッドは、第1面に位置してもよい。複数の第2パッドは、第2面に位置してもよい。複数の配線は、側面を介して第1面および第2面に引き回されて位置してもよく、若しくは、第1面および第2面を貫通して位置してもよい。これにより、実施形態に係る液体吐出ヘッドによれば、中継基板の吐出部材側の一端部から他端部までの幅を小さくした場合であっても、吐出部材とフレキシブル基板との干渉が回避されることから、液体吐出ヘッドの小型化を促進することができる。
【0085】
また、複数の第2パッドは、複数の第1パッドと平面視で重なる位置に位置してもよい。これにより、実施形態に係る液体吐出ヘッドによれば、中継基板の吐出部材側の一端部から他端部までの幅を最小限とすることができ、液体吐出ヘッドの小型化をより促進することができる。
【0086】
また、液体吐出ヘッドは、吐出部材の駆動を制御する駆動IC(例えば、駆動IC60)をさらに備えてもよい。駆動ICは、第2面に位置してもよい。これにより、実施形態に係る液体吐出ヘッドによれば、吐出部材から吐出される液体から駆動ICを保護することができる。
【0087】
また、液体吐出ヘッドは、吐出部材の上に位置し、内部に吐出部材に供給される液体が流れる流路(例えば、流路31)を有するサポート基板(例えば、サポート基板30)をさらに備えてもよい。これにより、実施形態に係る液体吐出ヘッドによれば、サポート基板によって吐出部材を補強しつつ、吐出部材に液体を供給することができる。
【0088】
また、中継基板は、吐出部材の上に位置してもよい。そして、中継基板は、吐出部材からの高さがサポート基板よりも低くてもよい。これにより、実施形態に係る液体吐出ヘッドによれば、サポート基板上に液体供給部材を設置する際に、中継基板と液体供給部材とが干渉する可能性を低減することができることから、液体供給部材のレイアウトの自由度を向上することができる。
【0089】
また、中継基板は、吐出部材の上に位置してもよい。そして、中継基板は、吐出部材からの高さがサポート基板よりも高くてもよい。これにより、実施形態に係る液体吐出ヘッドによれば、中継基板の強度を向上させることができる。また、サポート基板上に液体供給部材を設置する際に、液体供給部材からサポート基板に付与される負荷を緩和する緩衝材として中継基板を利用することができる。
【0090】
また、中継基板とサポート基板とは、一体化されていてもよい。これにより、実施形態に係る液体吐出ヘッドによれば、中継基板とサポート基板との間の隙間が無くなり、液体吐出ヘッドの小型化を促進することができる。
【0091】
また、サポート基板は、吐出部材へ向けられる第1面(例えば、下面)と、第1面の反対側に位置する第2面(例えば、上面)とを有してもよい。液体吐出ヘッドは、吐出部材の駆動を制御する駆動ICをさらに備えてもよい。駆動ICは、第1面または第2面に位置してもよい。これにより、実施形態に係る液体吐出ヘッドによれば、駆動ICと吐出部材との間の抵抗損失を低減することができる。また、駆動ICと吐出部材との接続信頼性を向上することもできる。また、吐出部材から吐出される液体から駆動ICを保護することができる。
【0092】
また、駆動ICは、低温ポリシリコン膜で形成されてもよい。これにより、実施形態に係る液体吐出ヘッドによれば、駆動ICを小型化することができる。
【0093】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細及び代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲及びその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神又は範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0094】
1 プリンタ
8 液体吐出ヘッド
14 制御部
20 吐出部材
21 加圧室
22 吐出孔
23 変位素子
24 端子
30 サポート基板
31 流路
40 中継基板
41 第1パッド
42 第2パッド
43 配線
50 フレキシブル基板
51 信号線
60 駆動IC
421 領域