(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-31
(45)【発行日】2025-04-08
(54)【発明の名称】浮揚結晶性呈味粒子群
(51)【国際特許分類】
A23L 2/39 20060101AFI20250401BHJP
A23L 2/60 20060101ALI20250401BHJP
A23L 2/395 20060101ALI20250401BHJP
A23L 5/00 20160101ALI20250401BHJP
A23L 27/00 20160101ALI20250401BHJP
【FI】
A23L2/00 Q
A23L2/00 C
A23L2/395
A23L2/60
A23L5/00 F
A23L27/00 A
(21)【出願番号】P 2021573918
(86)(22)【出願日】2020-06-25
(86)【国際出願番号】 EP2020067940
(87)【国際公開番号】W WO2020260527
(87)【国際公開日】2020-12-30
【審査請求日】2023-06-02
(32)【優先日】2019-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】590002013
【氏名又は名称】ソシエテ・デ・プロデュイ・ネスレ・エス・アー
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140453
【氏名又は名称】戸津 洋介
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【氏名又は名称】三上 敬史
(72)【発明者】
【氏名】ボゾン, アナベル
(72)【発明者】
【氏名】フリース, レナルト
(72)【発明者】
【氏名】レ レヴァランド, ベンジャミン, ジーン, ディディア
(72)【発明者】
【氏名】サルマン, アグバ
【審査官】安田 周史
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-524478(JP,A)
【文献】特開平02-234640(JP,A)
【文献】特開2015-202079(JP,A)
【文献】特開平05-076287(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 2/00
A23L 2/395
A23L 2/60
A23L 5/00
A23L 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
結晶性呈味粒子群を含む飲料粉末であって、前記結晶性呈味粒子群が、疎水性コーティングで少なくとも部分的にコーティングされていることを特徴とし、前記少なくとも部分的にコーティングされた結晶性呈味粒子群が、1g/cm
3超の平均密度を有し、
前記疎水性コーティングが
ココアバター、パーム脂肪、バター脂肪、ココナッツ脂肪、カルナバワックス、又は、ビーズワックスのみからなる、飲料粉末。
【請求項2】
前記少なくとも部分的にコーティングされた結晶性呈味粒子群が、1.5g/cm
3超の平均密度を有する、請求項1に記載の飲料粉末。
【請求項3】
前記呈味粒子群が、スクロース粒子群である、請求項1又は2に記載の飲料粉末。
【請求項4】
前記呈味粒子群の表面領域が、平均して1%~50%が疎水性コーティングによりコーティングされている、請求項1~3のいずれか一項に記載の飲料粉末。
【請求項5】
前記
ココアバター、パーム脂肪、バター脂肪、ココナッツ脂肪、カルナバワックス、又は、ビーズワックスの融点が、約35℃を超える、請求項1に記載の飲料粉末。
【請求項6】
前記
疎水性コーティングが、ココアバター又はパーム脂肪
のみからなる、請求項1又は5に記載の飲料粉末。
【請求項7】
前記コーティングされた呈味粒子群が、平均して約1.2%のココアバターを含む、請求項6に記載の飲料粉末。
【請求項8】
前記コーティングされた呈味粒子群が、平均して約0.3%のパーム脂肪を含む、請求項6に記載の飲料粉末。
【請求項9】
前記コーティングされた呈味粒子群が、平均して70°を超える水との接触角を有する、請求項1~8のいずれか一項に記載の飲料粉末。
【請求項10】
a.結晶性呈味粒子群を流動化する工程と、
b.疎水性コーティングを前記呈味粒子に塗布する工程と、
c.流動化して、前記疎水性コーティングを固化させる工程と、
を含み、前記疎水性コーティングが
ココアバター、パーム脂肪、バター脂肪、ココナッツ脂肪、カルナバワックス、又は、ビーズワックスのみからなり、コーティングされた結晶性呈味粒子群が1g/cm
3超の平均密度を有する、結晶性呈味粒子群を疎水性コーティングでコーティングする方法。
【請求項11】
a.結晶性呈味粒子群を、溶融脂肪又はテンパリングした脂肪と共に、混合する工程と、
b.前記混合物を粉末層として広げる工程と、
c.保管する工程と、
d.混合する工程と、
e.前記混合物を層として広げ、固化させる工程と、
を含む、結晶性呈味粒子群を疎水性コーティングでコーティングする方法であって、
前記疎水性コーティングが
ココアバター、パーム脂肪、バター脂肪、又はココナッツ脂肪のみからなり、コーティングされた結晶性呈味粒子群が1g/cm
3超の平均密度を有する、方法。
【請求項12】
前記
疎水性コーティングが、最終量が約1.2重量%のココアバターである、請求項10に記載の結晶性
呈味粒子群を
疎水性コーティングでコーティングする方法。
【請求項13】
前記
疎水性コーティングが、最終量が約0.2~0.3重量%のパーム脂肪である、請求項11に記載の結晶性
呈味粒子群を
疎水性コーティングでコーティングする方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[背景技術]
再構成される粉末は、コーヒーミックスなどの飲料を調製するのに便利な解決策を提供する。しかしながら、これらの製品は、多くの場合、砂糖のような呈味物質を大量に含有する。より健康的な食品製品に対する消費者需要が高まっていることから、特定の呈味物質の量を低減する必要がある。しかしながら、呈味物質濃度の低減は、官能特性に望ましくない変化ももたらす。過去の研究から、特定の刺激分布が確保されていれば、味の認識/強度を低下させることなく、呈味物質(糖、甘味料、塩、及び脂肪など)の総量を低減することが可能であることが示されている。
【0002】
この概念を粉末飲料に応用するには、再構成時に、カップの最上部における呈味物質濃度(例えば、砂糖)が高い呈味物質濃度勾配が達成されなければならない。この濃度勾配は、均一に分散しているスクロースと比較して、甘味の知覚を増加させる。
【0003】
非晶質多孔性粒子群は、これまで飲料の最上部に呈味物質を送達するために使用されてきた(国際公開第2018/224542号(A1))。閉鎖気孔率が高いと(10~80%)、粒子群が水面上に浮揚する。粒子群は、最上部領域で溶解し、飲料に濃度勾配を生じる。この解決策は、糖を非晶質状態で生成するための特別な処理を必要とする。この非晶質材料は、結晶質の相当物と比較して、水分及び温度に対する感受性が高い。この性質は結晶質材料には該当しない。
【0004】
多層飲料は、様々な密度の液体を層化することによって製造できる(米国特許第7,013,933号(B2))。液層の密度は、カップの底部から最上部に向かって減少する。この原理は、例えば、カプチーノ型飲料に該当する。
【0005】
国際公開第2016/071744号(A1)は、層状飲料の形成に使用される錠剤(クリーマー/白色付与(whitening)成分、風味成分及びビスケット成分を含有)を記載している。発泡性原材料は、飲料の表面上に泡沫を形成するのに対し、高密度のビスケット成分は最低層を形成する。したがって、層は、複数の層の相対密度の結果として形成される。
【0006】
国際公開第2016/020367号(A1)は、多層飲料の形成のための多層錠剤を記載している。当該錠剤は、暗色成分(砂糖、コーヒー及び/又はココア粒子群を含有、密度範囲:0.5~0.7g/cm3)と、白色成分(クリーマー及び糖を含有、密度範囲:0.74~0.9g/cm3)とを含む。
【0007】
これらのアプローチのいずれも、特定の呈味物質、例えば、結晶形態のスクロースが、水と接触すると直ちに沈下するという問題に対処していない。
【0008】
[発明の概要]
驚くべきことに、結晶性スクロース粒子群を少量の固形脂肪で部分的又は完全にコーティングすることにより、濃度勾配が形成されることが見出された。この勾配は、最終的には味の認識を向上させ、例えば消費者によって再構成される粉末食品製品中の全体的なスクロース濃度を低減するために使用できる。
【0009】
好適な疎水性コーティング材料としては、例えば、ココアバター、パーム脂肪、バター脂肪、及びココナッツ脂肪が挙げられる。塗布されたコーティングは、コーティングされた粒子の全体密度が水密度の1g/cm3を十分に上回ったままの場合(例えば0.1%のココアバターでコーティングされたスクロースの1.59g/cm3など)でも、粒子の浮揚をもたらす。
【0010】
コーティングされたスクロース粒子群は、様々な粉末食品製品に原材料として使用することができる。
【0011】
驚くべきことに、少量の固形脂肪(例えば、0.1~0.6%のココアバター)でも、粒子の浮揚を達成するのに十分であることが見出された。更に、粒子群は、完全なコーティングで被覆される必要はない。浮揚挙動を達成するには、部分的なコーティング、すなわち固形脂肪の不均質な分布(脂肪の斑点又は小領域)で十分である。したがって、粒子表面は、部分的に疎水性でさえあればよい。
【0012】
ぬれ性の低下と、対応する毛管力の作用向上とが、主要な関連要因として特定された。固体密度が高いことによる即時の沈下は、ぬれ性の低減によって回避される。少量の固形脂肪は、接触角の測定によって示されるように、ぬれ性に対して大きく重要な影響を与えた。塗布される脂質量は、粒子密度を水の密度未満に低下させるほど多量でないことから、固体密度の変化による効果は除外することができる。
【0013】
記載される解決策は、標準的な糖結晶又は塩結晶に適用することができ、粒子表面上に疎水性材料(例えば、固形脂肪)が(不均質又は均質)分布することのみを必要とする。結晶性呈味物質(例えば、結晶性スクロース)を使用すると、一般に、保存性を高めることと(high shelf-life)、水分及び温度に対する感受性を低減させることとが伴われる。したがって、製品の安定性及び取扱い性は、非晶質材料と比較して改善される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】純粋な球状スクロース粒子群(SpR)及びコーティングされた球状スクロース粒子群(SpC1~SpC3)の顕微鏡画像(倍率50倍)。100μmのスケールバーが各画像の右下角に示されている。
【
図2】10kVで記録したSpR粒子群の走査電子顕微鏡写真。a)倍率40倍、b)倍率100倍。
【
図3】10kVで記録したSpC1(0.1%ココアバター)の走査電子顕微鏡写真。a)倍率40倍;b)倍率100倍;c)倍率100倍、ココアバターを表示;d)cの拡大画像、ココアバターを表示。
【
図4】10kVで記録したSpC2の走査電子顕微鏡写真。a)倍率40倍;b)倍率100倍;c)倍率100倍、ココアバターを表示;d)cの拡大画像、ココアバターを表示。
【
図5】10kVで記録したSpC3の走査電子顕微鏡写真。a)倍率40倍;b)倍率100倍、実施例1;c)倍率100倍、実施例2;d)cの拡大画像;e)倍率100倍、実施例3;f)eの拡大画像。
【
図6】水面への純粋なスクロース粒子群の落下(左)、容器底部に形成されたスクロース層(右)。
【
図7】コーティングされたスクロース試料S1~S3の小規模湿潤試験。
【
図8】落下1秒後の浮揚中に撮影された単一コーティング粒子の画像、及び対応する粒子浸漬のパーセンテージ(10反復の平均)。
【
図9】純粋なスクロース(左)及び1.2%のココアバターでコーティングされたスクロース(右)の顕微鏡画像。1000μmのスケールバーが各画像の右下角に示されている。
【
図10】純粋なスクロース(右)及び1.2%のココアバターでコーティングされたスクロース(中央)の標準湿潤試験、並びに1.2%のココアバターでコーティングされたスクロースの「逆」(inverse)湿潤試験。室温で実施。
【
図11】1.2%のココアバターでコーティングされたスクロースの、水温40℃(左)及び65℃(右)における標準湿潤試験
【
図12】高剪断混合を用いてパーム脂肪でコーティングされた試料SP1~SP4の顕微鏡画像。1000μmのスケールバーが各画像の右下角に示されている。
【
図13】高剪断混合を用いて異なる量のパーム脂肪でコーティングされたスクロースの標準湿潤試験。
【
図14】高剪断混合を用いて異なる量のパーム脂肪でコーティングされたスクロースの標準湿潤試験。40℃及び65℃で実施。
【
図15】高剪断混合を用いて0.8%及び1.3%のパーム脂肪でコーティングされたスクロースの標準湿潤試験。40℃で実施。
【
図16】高剪断混合を用いてひまわり油でコーティングされた試料SSo1~SSo3の顕微鏡画像。1000μmのスケールバーが各画像の右下角に示されている。
【
図17】高剪断混合を用いて異なる量のひまわり油でコーティングされたスクロースの標準湿潤試験。
【
図18】パーム脂肪又はココアバターでコーティングされたスクロースの標準湿潤試験。
【0015】
[発明が解決しようとする課題]
本発明は、一般に、結晶性呈味粒子群を含む粉末食品製品であって、呈味粒子群が疎水性コーティングで少なくとも部分的にコーティングされていることを特徴とする、粉末食品製品に関する。
【0016】
特に、本発明は、結晶性呈味粒子群を含む飲料粉末であって、結晶性呈味粒子群が、疎水性コーティングで少なくとも部分的にコーティングされていることを特徴とし、少なくとも部分的にコーティングされた結晶性呈味粒子群が、1g/cm3超、又は1.25g/cm3超、又は1.5g/cm3超の平均密度を有する、飲料粉末に関する。
【0017】
いくつかの実施形態では、コーティングされた呈味粒子群は、1.2g/cm3~2g/cm3、又は1.3g/cm3~1.9g/cm3、又は1.4g/cm3~1.8g/cm3、又は1.5g/cm3~1.7g/cm3、又は1.55g/cm3~1.6g/cm3の平均密度を有する。
【0018】
いくつかの実施形態では、呈味粒子群は、スクロース粒子群である。
【0019】
いくつかの実施形態では、呈味粒子群は、200~1000μm、又は300~900μm、又は400~800μm、又は500~710μmの平均サイズを有する。
【0020】
いくつかの実施形態では、呈味粒子群は、500~710μmの平均サイズを有するスクロース粒子群である。
【0021】
いくつかの実施形態では、呈味粒子群の表面領域は、平均して少なくとも1%が疎水性コーティングによりコーティングされ、又は少なくとも5%、又は少なくとも10%、又は少なくとも15%、又は少なくとも20%、又は少なくとも40%、又は少なくとも50%、又は少なくとも60%、又は少なくとも70%、又は少なくとも80%、又は少なくとも90%が疎水性コーティングによりコーティングされている。
【0022】
いくつかの実施形態では、呈味粒子群の表面領域は、平均して1%~50%、又は1%~20%、又は10%~20%が疎水性コーティングによりコーティングされている。
【0023】
いくつかの実施形態では、呈味粒子群は、不均質な表面化学を有する。
【0024】
いくつかの実施形態では、呈味粒子群の表面領域は、疎水性コーティングの別個の領域を少なくとも5個、又は10個、又は20個、又は30個、又は40個、又は50個含む。
【0025】
いくつかの実施形態では、呈味粒子群の表面領域は、平均して1%~50%が疎水性コーティングによりコーティングされ、疎水性コーティングの領域を平均して少なくとも5個含む。
【0026】
いくつかの実施形態では、呈味粒子群の表面領域は、疎水性コーティングで完全にコーティングされている。
【0027】
いくつかの実施形態では、コーティングされた呈味粒子群は、平均して少なくとも98.6重量%のスクロース、又は少なくとも98.8重量%のスクロース、又は少なくとも99重量%のスクロース、又は少なくとも99.2重量%のスクロース、又は少なくとも99.4重量%のスクロース、又は少なくとも99.6重量%のスクロース、又は少なくとも99.8重量%のスクロースを含む。
【0028】
いくつかの実施形態では、疎水性コーティングは、固形脂肪又はワックスである。
【0029】
いくつかの実施形態では、コーティングされた呈味粒子群は、平均して少なくとも0.025重量%の固形脂肪若しくはワックス、又は少なくとも0.05重量%の固形脂肪若しくはワックス、又は少なくとも0.075重量%の固形脂肪若しくはワックス、又は少なくとも0.1重量%の固形脂肪若しくはワックス、又は少なくとも0.3重量%の固形脂肪若しくはワックス、又は少なくとも0.6重量%の固形脂肪若しくはワックス、又は少なくとも0.8重量%の固形脂肪若しくはワックス、又は少なくとも1重量%の固形脂肪若しくはワックス、又は少なくとも1.2重量%の固形脂肪若しくはワックスを含む。
【0030】
いくつかの実施形態では、疎水性コーティングは、固形脂肪であり、約35℃超、約35~60℃、又は約35~37℃、又は約44~46℃、又は約58~60℃の融点を有する。
【0031】
いくつかの実施形態では、疎水性コーティングは、ワックスであり、約62~88℃、又は約62~65℃、又は約82~88℃の融点を有する。
【0032】
いくつかの実施形態では、固形脂肪は、ココアバター、パーム脂肪、バター脂肪、又はココナッツ脂肪から選択される。いくつかの実施形態では、固形脂肪は、ココアバターである。いくつかの実施形態では、固形脂肪は、パーム脂肪である。
【0033】
いくつかの実施形態では、コーティングされた呈味粒子群は、平均して約0.1~1.8%のココアバター、又は約0.1%のココアバター、又は約0.3%のココアバター、又は約0.6%のココアバター、又は約0.9%のココアバター、又は約1.2%のココアバター、又は約1.5%のココアバター、又は約1.8%のココアバターを含む。
【0034】
いくつかの実施形態では、コーティングされた呈味粒子群は、平均して約0.05~0.6%のパーム脂肪、又は約0.1~0.5%のパーム脂肪、又は約0.2~0.4%のパーム脂肪、又は約0.3%のパーム脂肪を含む。
【0035】
いくつかの実施形態では、ワックスは、カルナバワックス又はビーズワックスから選択される。
【0036】
いくつかの実施形態では、コーティングされた呈味粒子は、平均して70°を超える、又は80°を超える、又は90°を超える水との接触角を有する。
【0037】
いくつかの実施形態では、コーティングされた呈味粒子は、平均して約100°の水との接触角を有する。
【0038】
いくつかの実施形態では、コーティングされた呈味粒子は、平均して150°未満、又は140°未満、又は130°未満、又は120°未満、又は110°未満の水との接触角を有する。
【0039】
いくつかの実施形態では、コーティングされた呈味粒子は、平均して70°~150°、又は80°~140°、又は90°~130°の水との接触角を有する。
【0040】
いくつかの実施形態では、飲料粉末は、約82℃未満の温度、又は約62℃未満の温度、又は約58℃未満の温度、又は約44℃未満の温度、又は約35℃未満の温度、又は約30℃未満の温度、又は約23℃未満の温度で、液体で再構成するのに好適である。
【0041】
いくつかの実施形態では、飲料粉末は、水、ミルク、コーヒー、又はチョコレートミルクでの再構成に好適である。
【0042】
本発明はまた、疎水性コーティング、好ましくは固形脂肪又はワックスで結晶性呈味粒子群をコーティングするための方法にも関する。
【0043】
いくつかの実施形態では、方法は、
a.結晶性呈味粒子群を流動化する工程と、
b.疎水性コーティング、好ましくは、溶融又はテンパリングしたココアバターを、好ましくは噴霧によって、呈味粒子群に塗布する工程と、
c.好ましくは20~25℃において、流動化して、疎水性コーティングを固化させる工程と、
を含む。
【0044】
いくつかの実施形態では、噴霧時間は、少なくとも4分、又は少なくとも6分、又は少なくとも9分、又は約10分である。
【0045】
いくつかの実施形態では、方法は、
a.結晶性呈味粒子群を、油又は溶融脂肪又はテンパリングした脂肪と共に、好ましくは剪断ミキサーを使用して、好ましくは約300rpmで、混合する工程と、
b.上記混合物を粉末層として広げる工程と、
c.好ましくは約70℃で、好ましくは約20~25分間、保管する工程と、
d.好ましくは5分間、好ましくは約300rpmで、混合する工程と、
e.上記混合物を層として広げ、混合物を固化させる工程と、
を含む。
【0046】
いくつかの実施形態では、脂肪はココアバターであり、好ましくは最終量が0.1~1.2重量%、好ましくは約1.2重量%である。
【0047】
いくつかの実施形態では、脂肪はパーム脂肪であり、好ましくは最終量が0.2~0.3重量%、好ましくは約0.3重量%である。
【0048】
本発明はまた、本明細書に記載される方法によって得られる、コーティングされた結晶性呈味粒子群にも関する。
【0049】
本発明はまた、粉末食品製品、好ましくは飲料粉末における、コーティングされた結晶性呈味粒子群の使用にも関する。
【0050】
[発明を実施するための形態]
本明細書で使用するとき、用語「約」は、およそ、ほぼ、概ね、又はその付近、を意味する。用語「約」が数値又は範囲と共に使用される場合、その値又は範囲は、記載された数値(複数可)の上方及び下方の境界を拡大することによって、その値又は範囲を修正する。用語「約」は、本明細書において、ある数値を、記述された値の上方及び下方に1%修正するために使用される。
【0051】
本明細書で使用するとき、粉末食品は、飲料粉末(例えば、コーヒー、コーヒーミックス、乳粉末、チョコレート粉末、乳児用フォーミュラ、麦芽飲料粉末)、スープ粉末、又はソース粉末であり得る。
【0052】
本明細書で使用するとき、「結晶性粒子群」又は「結晶性呈味粒子群」は、原子の位置が3次元長距離秩序を有することを特徴とする。結晶の原子は、並進的に周期的な配列で配置される。対照的に、非晶質粒子群は、非常に無秩序な原子位置を有する非周期的配列を有する。
【0053】
結晶性固体は、ある融点を有することを特徴とし、融点では、固体状態と液体状態との間の遷移が起こる(非晶質固体のTgと比較して)。結晶性個体は、臨界相対湿度(例えばスクロースの場合83~85%)に達すると溶解する。この値未満では、結晶において見出され得る水はごく少量である(結晶質マトリックス中に結晶水として保存される)。
【0054】
本明細書で使用するとき、用語「呈味物質」は、味覚を刺激する物質を指す。呈味物質は、所望の味覚プロファイルを達成するために食品及び飲料に使用される。結晶性呈味粒子群の例としては、糖及び塩が挙げられる。
【0055】
味覚としては、5つの確立された基本味:甘味、酸味、塩味、苦味、及びうまみが挙げられる。本明細書で使用するとき、味という用語は、香気(鼻によって検出される)、並びに味及び香気が構成成分である風味とは異なる。呈味物質を含む粒子群は、香気を更に含んでもよい。本発明による呈味物質は、甘味、塩味、及びうまみからなる群から選択される味を提供してもよく、例えば、呈味物質は甘味又は塩味であってもよい。
【0056】
本発明の呈味粒子は、好ましくは甘く、例えば、スクロース、ラクトース、マルトース、グルコース、フルクトース、イソマルツロース、ガラクトース、及びアルロースである。一実施形態では、呈味粒子はスクロースである。一実施形態では、呈味粒子はポリオールである。一実施形態では、呈味粒子は希少糖である。本発明の呈味物質は、塩味であってもよい。一実施形態では、呈味粒子は塩化ナトリウムである。
【0057】
本明細書で使用するとき、用語「疎水性コーティング」は、コア材料(ここでは呈味物質)が、疎水性コーティング材料(シェル/カプセル/壁材)で、完全に又は部分的にのいずれかで被覆され、その結果、ぬれ性の低下又はぬれ挙動の減少を生じる構造を指す。
【0058】
ぬれ性という用語は、固体と液体との間、好ましくは水との間の親和性(分子相互作用)を記載するものであり、一般に固液接触角を介して評価される。接触角は、液体が固体と接触したときの湿潤度を反映する。
【0059】
塗布される疎水性コーティング材料は、水によるぬれ性が低いことを特徴とする。疎水性材料と水との間の親和性は低い。水は、固体との接触面積を減少させる傾向がある。これに相当する接触角は高い。疎水性材料は、一般に、水との接触角が90°を超えることを特徴とする。
【0060】
種々の疎水性材料をコーティング剤として使用することができる。いくつかの実施形態では、疎水性材料としては、パーム脂肪、ココアバター、乳脂肪などの固形脂肪が挙げられる。いくつかの実施形態では、疎水性材料としては、ビーズワックス、カルナバワックスなどのワックスが挙げられる。いくつかの実施形態では、疎水性材料としては、脂肪酸が挙げられる。疎水性は、炭化水素鎖の構造特性によって影響を受ける。炭化水素鎖が長いほど、及び飽和度が低いほど、疎水性が高くなり、水溶性が低くなる。
【0061】
【0062】
コーティングプロセスは、種々の技術を用いて実施できる。いくつかの実施形態では、当該技術としては、流動床コーティング、高剪断混合、ドラムコーティング、噴霧チリング/噴霧冷却が挙げられる。
【0063】
本明細書で使用するとき、用語「固形脂肪」は、室温で固体である脂質を指す。脂質は、一般に、水には不溶性であるが非極性溶媒には可溶性である材料として定義され、とりわけ、脂肪及び油、ワックス及びリン脂質が挙げられる。
【0064】
固形脂肪は、周囲温度を超える融解温度をもたらす固形脂肪含有量を特徴とする。対照的に、油は、室温で液体である。固形脂肪としては、例えば、パーム脂肪、ココアバター、乳脂肪、ココナッツ脂肪、及びシアバターが挙げられる。
【0065】
脂肪は、通常、脂質の混合物、主に(トリアシルグリセロール(一般に95%超)、ジアシルグリセロール及びモノアシルグリセロール、遊離脂肪酸から構成される。リン脂質、トコフェロール、及び脂溶性ビタミンなどの更なる成分が、典型的には存在する。脂肪及び油は疎水性であり、したがって基本的に水に不溶性である。固形脂肪含有量は、方法ISO 8292-1:2008に従って測定することができる。
【0066】
本明細書で使用するとき、用語「真球度」は、粒子の実際の表面に対する、等価体積の球体の表面の比として定義される。理想的な球状粒子群では、比の値は1に近づく。
【0067】
[実施例]
実施例1
コーティングプロセスの方法論
粒子のコーティングは、種々の方法で実施することができる。浮揚粒子を用意するのに好適な2種類の方法を以下に記載する。
【0068】
流動床コーティング:
流動床技術を使用して、結晶性スクロース粒子群を様々な量のココアバターでコーティングした。スクロース粒子群を、プロセスチャンバ内で流動化し、溶融ココアバター(約70℃)を上に噴霧した。噴霧の後、粉末を10分間連続的に流動化し(20~25℃の流動化空気温度)、ココアバターを固化させた。この方法を用い、正確な量のコーティングを用意できる。
【0069】
高剪断混合:
注文製作した高剪断ミキサーインペラ(University of Sheffield)を備えた卓上フードプロセッサ(Kenwood)を使用して、結晶性スクロース粒子群を様々な量の脂肪/油でコーティングした。インペラ速度は、240V、7Amp調整器(University of Sheffield)によって制御した。スクロース粒子群を、混合容器内で約300rpmで混合し、油(RT)又は溶融脂肪(70℃)を、上部にゆっくりと注いだ。液体油/脂肪を添加した後、粉末を約300rpmで5分間連続的に混合した。続いて、試料を混合容器から取り出し、粉末層として広げ、70℃で20~25分間保管した。この手順は、固形脂肪を融解して混合物中の塊の量を減少させるために選択した。次いで、第2の混合工程を、300rpmで5分間実施した。その後、試料を薄層として広げ、周囲温度で一晩固化させた。
【0070】
実施例2
球状スクロースへのココアバターの流動床コーティング
球状スクロース粒子群(Nonpareil 103)を、流動床技術を使用して少量のココアバターでコーティングした。試料(SpC1~SpC3)の組成及び密度を表1に示す。脂肪含有量は、脂肪抽出によって求めた。純粋な結晶性スクロース球体(SpR)を参照材料として使用した。塗布されたココアバター量は少量であることから、粒子密度はあまり変動しない。
【0071】
【0072】
顕微鏡画像に示されるように、参照試料及びコーティングされた試料の外観には、目に見える差異は認められない(
図1)。純粋な粒子群及びコーティングされた粒子群のSEM画像を
図2~5に示す。ココアバターによる表面被覆は、試料SpC1及びSpC2でははっきりと見えない。ココアバターの斑点のみが、一部の粒子群の表面に観察できる。試料SpC3の粒子群については、異なる観察結果を得た。粒子群の大部分で、粒子表面がほぼ完全にココアバターで覆われているように見える。
【0073】
実施例3
ぬれ性に対するココアバターコーティングの効果
見かけの接触角を、静滴(sessile drop)法を使用して測定した。コーティングされた粉末の層を接着テープに固定し、液滴をこの粉末層上に載せた。純粋なスクロースについては、錠剤をプレスし(圧力:20kN、圧密速度:10mm/分)、液滴を錠剤上に置いた。接触角は、ゴニオメーターを使用して測定した。
【0074】
測定された見かけの接触角を表2に示す。粒子コーティングは、見かけの接触角を著しく増加させた。ココアバター含有量が増加すると、見かけの接触角が増加した。
【0075】
【0076】
実施例4
粉末及び粒子の浮揚に対するココアバターコーティングの効果
浮揚挙動は、顕微鏡法を用いて調査した。3.5mLの蒸留水(23±1℃)を満たしたポリスチレンキュベットを、傾斜させた顕微鏡レンズの前に置き、0.19gの試料を水面上に落下させた。同じ設定を使用して、各試料の浮揚を単一粒子レベルで調査した。
【0077】
純粋なスクロースは、水面上に落下すると直ちに沈下した(
図6)。落下後の異なる時点における試料SpC1~SpC3の浮揚挙動を
図7に示す。コーティングされた試料は全て、浮揚挙動を示した。浮揚粉末の量及び浮揚/溶解時間は、コーティング量に応じることが確認された。単一粒子の浮揚の分析により、コーティング量が増加すると、粒子浸漬深さが減少することが明らかとなった(
図8)。
【0078】
実施例5
標準スクロースへのココアバターの流動床コーティング
標準結晶性スクロース(Schweizer Zucker AG)を、流動床法を使用して、1.2±0.1%のココアバター(脂肪抽出により算出)でコーティングした。純粋な結晶性スクロースを参照材料として使用した。試料の顕微鏡画像を、
図9に倍率50倍で示す。コーティングは、スクロース外観の明白な変化を生じない。
【0079】
実施例6
粉末浮揚に対するココアバターコーティングの効果
標準湿潤試験を用いて、粉末浮揚/沈下を評価した。試験のために、15gの試料を、鋼製漏斗(直径3cm)に添加した。この漏斗を、ビーカー(直径7cm)の上のガラスプレートの上に配置した。ガラスビーカーには、200mLの水(RT)が入っていた。ガラスプレートを手で引き抜き、粉末の湿潤及び沈下挙動を観察した。更に、分散させた粉末を10分後に手動で混合し、混合後の浮揚挙動を評価した。
【0080】
純粋なスクロースは、水と接触すると直ちに沈下し、ビーカー底部にスクロースの層を形成する(
図10、左)。コーティングされたスクロースは、かなり異なる挙動を示した。ほとんどの粉末は液体表面上に浮揚した。更に、続いて残りの粉末が表面へと上昇することが観察された。10分後、ビーカーの底にある粉末はごく少量である。混合後であっても、ビーカーの液面への粉末の上昇が観察できた(
図10、中央)。
【0081】
コーティングされた粉末の浮揚挙動を更に評価するために、「逆湿潤試験」を実施した。最初に、粉末(15g)をビーカー(直径:7cm)に添加した。その後、200mLの水(RT)を上部に注いだ。粉末の浮揚及び移動を10分間観察した。
【0082】
以前に観察されたように、純粋なスクロースは、ビーカーの底に層を形成する。この結果とは対照的に、コーティングされた粉末の一部は、水を添加すると直ちに液面に浮揚する。ビーカー底部から液面への継続的な粉末の上昇が観察された(
図10、右)。
【0083】
標準湿潤試験を、更に40℃及び65℃の水温で実施した(
図11)。水温が高くなると、スクロースが直ちに沈下した。これはココアバター(融点:35~37℃)の融解によって説明することができる。
【0084】
実施例7
高剪断混合を使用した、標準スクロースへのパーム脂肪のコーティング
標準スクロース(Schweizer Zucker AG、サイズクラス500~710μm)を、高剪断混合を使用して少量のパーム脂肪(CLSP、555、完全水素添加パーム核油、20℃における固形脂肪:93~97%)でコーティングした。作製された試料の組成を表3に示す。脂肪含有量は、室温で、n-ヘプタンを用いた溶媒抽出によって求めた。純粋な結晶性スクロースを参照材料として使用した。顕微鏡画像に示されるように、各試料の外観に差異は認められない(
図12)。
【0085】
【0086】
実施例8
粉末浮揚に対するパーム脂肪コーティングの効果
標準湿潤試験を用いて、粉末浮揚/沈下を評価した。試験のために、15gの試料を、鋼製漏斗(直径3cm)に添加した。この漏斗を、ビーカー(直径7cm、粉末落下高さ4.5cm)上の金属プレートの上に配置した。ガラスビーカーには、200mLの水(23±1℃)が入っていた。プレートを手で引き抜き、粉末の浮揚/沈下挙動を記録した。更に、分散させた粉末を10分後に手動で混合し、混合後の浮揚挙動を評価した。
【0087】
試料SP1~SP4の経時的な浮揚挙動を
図13~15に示す。コーティングされたスクロースは、純粋なスクロース(直ちに沈下、
図13)とはかなり異なる挙動を示した。脂肪含有量が増加すると、浮揚粉末の量が増加する。試料SP1及びSP2については、水と接触すると粉末の一部が沈下する。時間の経過とともに、水面への粉末の上昇が観察できる。試料SP3及びSP4については、粉末の全量が水面上に浮揚した。手動での混合後、各試料について、水面への粉末の上昇が観察できた。
【0088】
実施例9
高剪断混合を使用した、標準スクロースへのひまわり油のコーティング
標準スクロース(Schweizer Zucker AG、サイズクラス500~710μm)を、高剪断混合を用いて少量のひまわり油でコーティングした。作製された試料の組成を表4に示す。油含有量は、室温で、n-ヘプタンを用いた溶媒抽出によって求めた。純粋な結晶性スクロースを参照材料として使用した。顕微鏡画像に示されるように、各試料の外観に差異は認められない(
図16)。
【0089】
【0090】
実施例10
粉末浮揚に対するひまわり油コーティングの効果
標準湿潤試験を用いて、粉末浮揚/沈下を評価した。試験のために、15gの試料を、鋼製漏斗(直径3cm)に添加した。この漏斗を、ビーカー(直径7cm、粉末落下高さ4.5cm)上の金属プレートの上に配置した。ガラスビーカーには、200mLの水(23±1℃)が入っていた。プレートを手で引き抜き、粉末の浮揚/沈下挙動を記録した。
【0091】
図17に示されるように、全ての試料は、水と接触すると直ちに沈下した。ひまわり油コーティングは、粉末浮揚を生じなかった。
【0092】
実施例11
コーティングされた粉末のミルク、コーヒー、及びチョコレートミルク中での浮揚
パーム脂肪及びココアバターでコーティングされた粉末を、ミルク、コーヒー、及びチョコレートミルク中での粉末浮揚/沈下について評価した。固体と液体との組み合わせの概要を表5に示す。
【0093】
【0094】
図18に示すように、標準湿潤試験を用いて浮揚を評価した。試験のために、15gの試料を、鋼製漏斗(直径3cm)に添加した。この漏斗を、ビーカー(直径7cm、粉末落下高さ4.5cm)上の金属プレートの上に配置した。ガラスビーカーには、それぞれ200mLのミルク、コーヒー、又はチョコレートミルク(21±1℃)が入っていた。プレートを手で引き抜き、粉末の浮揚/沈下挙動を記録した。
[1] 結晶性呈味粒子群を含む飲料粉末であって、前記結晶性呈味粒子群が、疎水性コーティングで少なくとも部分的にコーティングされていることを特徴とし、前記少なくとも部分的にコーティングされた結晶性呈味粒子群が、1g/cm
3
超の平均密度を有する、飲料粉末。
[2] 前記少なくとも部分的にコーティングされた結晶性呈味粒子群が、1.5g/cm
3
超の平均密度を有する、[1]に記載の飲料粉末。
[3] 前記呈味粒子群が、スクロース粒子群である、[1]又は[2]に記載の飲料粉末。
[4] 前記呈味粒子群が、平均して1%~50%が疎水性コーティングによりコーティングされている、[1]~[3]のいずれか一項に記載の飲料粉末。
[5] 前記疎水性コーティングが、固形脂肪又はワックスである、[1]~[4]のいずれか一項に記載の飲料粉末。
[6] 前記固形脂肪又はワックスの融点が、約35℃を超える、[5]に記載の飲料粉末。
[7] 前記固形脂肪が、ココアバター又はパーム脂肪から選択される、[5]又は[6]に記載の飲料粉末。
[8] 前記コーティングされた呈味粒子群が、平均して約1.2%のココアバターを含む、[7]に記載の飲料粉末。
[9] 前記コーティングされた呈味粒子群が、平均して約0.3%のパーム脂肪を含む、[7]に記載の飲料粉末。
[10] 前記コーティングされた呈味粒子群が、平均して70°を超える水との接触角を有する、[1]~[9]のいずれか一項に記載の飲料粉末。
[11] 前記飲料粉末が、約23℃の温度において液体で再構成するのに好適である、[1]~[10]のいずれか一項に記載の飲料粉末。
[12] a.結晶性呈味粒子群を流動化する工程と、
b.疎水性コーティング、好ましくは、溶融又はテンパリングしたココアバターを、好ましくは噴霧によって、前記呈味粒子に塗布する工程と、
c.好ましくは20~25℃において流動化して、前記疎水性コーティングを固化させる工程と、
を含む、結晶性呈味粒子群を疎水性コーティングでコーティングする方法。
[13] a.結晶性呈味粒子群を、油又は溶融脂肪又はテンパリングした脂肪と共に、好ましくは剪断ミキサーを使用して、好ましくは約300rpmで、混合する工程と、
b.前記混合物を粉末層として広げる工程と、
c.好ましくは約70℃で、好ましくは約20~25分間、保管する工程と、
d.好ましくは5分間、好ましくは約300rpmで、混合する工程と、
e.前記混合物を層として広げ、固化させる工程と、
を含む、結晶性呈味粒子群をコーティングする方法。
[14] 前記固形脂肪が、最終量が約1.2重量%のココアバターである、[12]に記載の結晶性粒子群をコーティングする方法。
[15] 前記固形脂肪が、最終量が約0.2~0.3重量%のパーム脂肪である、[13]に記載の結晶性粒子群をコーティングする方法。
[16] [12]~[15]のいずれか一項に記載の方法によって得られた、コーティングされた結晶性呈味粒子群。
[17] 粉末食品製品、好ましくは飲料粉末における、[16]に記載のコーティングされた結晶性呈味粒子群の使用。
[18] [12]~[15]のいずれか一項に記載の方法によって得られた、前記コーティングされた結晶性呈味粒子群を含む粉末食品製品。